説明

教育支援プログラムおよび教育支援装置

【課題】利用者の知識レベルや利用傾向に応じて効率よくアプリケーションプログラムの教育をおこなうことを可能にする教育支援プログラムおよび教育支援装置を提供すること。
【解決手段】利用者端末100で稼動するアプリケーション110は、利用者の操作内容を操作履歴データ120に記録する。教育支援装置200は、各利用者端末において記録された操作履歴データ120を操作履歴DB221に格納し、これを分析して利用実績DB224を生成する。そして、この利用実績DB224を基にして個別カリキュラム226やアドバイスデータ228を生成することで、利用者の知識レベルや利用傾向に応じた効率のよい教育を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アプリケーションプログラムに関する教育を支援する教育支援プログラムおよび教育支援装置に関し、特に、利用者の知識レベルや利用傾向に応じて効率よく教育をおこなうことを可能にする教育支援プログラムおよび教育支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生産性の向上に対する強い要望から、各種のアプリケーションプログラム(以下、単に「アプリケーション」と言う。)は、バージョンアップを重ねるごとに多数の新機能が追加されるようになっている。これらの新機能は、有効に用いることで生産性を大いに向上させるが、利用者がその機能を認知し、使いこなすことができなければ用をなさない。
【0003】
利用者に新機能を有効に利用させるための方策のひとつにユーザ教育がある。集合教育やオンライン教育などの形態で利用者に新機能に関する教育をおこなうことで、新機能が利用者の間に浸透し、有効活用されるようになる。
【0004】
ユーザ教育をおこなうに当たっては、利用者の知識レベルや利用傾向にばらつきがあるため、利用者に合わせて教育内容を変更できることが好ましい。たとえば、特許文献1では、ユーザ教育をおこなうに際して、利用者に対してテストをおこない、このテストの結果に基づいて教育内容を変更する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−140538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようにテストに基づいて利用者の知識レベルや利用傾向を確認する方式では、テストの作成の手間や実施時間の制限などから、利用者の知識レベルや利用傾向を詳細に確認することが難しい。また、使いこなすことはできていないが、知識だけはある機能については教育対象から除外される可能性がある。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、利用者の知識レベルや利用傾向に応じて効率よく教育をおこなうことを可能にする教育支援プログラムおよび教育支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、アプリケーションプログラムに関する教育を支援する教育支援プログラムであって、アプリケーションプログラムの操作履歴情報を基にして前記アプリケーションプログラムの各種機能の利用実績を分析する分析手順と、前記分析手段により分析された利用実績を基にして教育データを生成する教育データ生成手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、アプリケーションプログラムに関する教育を支援する教育支援装置であって、アプリケーションプログラムの操作履歴情報を基にして前記アプリケーションプログラムの各種機能の利用実績を分析する分析手段と、前記分析手段により分析された利用実績を基にして教育データを生成する教育データ生成手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、利用者が実際にアプリケーションプログラムを操作した操作履歴を基にして、教育のための基礎データを生成するように構成したので、利用者の知識レベルや利用傾向に応じて効率よく教育をおこなうことができる。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記教育データ生成手順は、前記アプリケーションプログラムの教育講座のカリキュラムデータを生成することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、利用者が実際にアプリケーションプログラムを操作した操作履歴を基にして、オンライン教育や集合教育等の教育講座のための基礎データを生成するように構成したので、利用者の知識レベルや利用傾向に応じて効率よく教育講座を実施することができる。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記教育データ生成手順は、前記アプリケーションプログラムが利用者の操作を受け付けた場合にその操作と関連する機能を前記利用者に紹介するために、前記操作と前記機能とを関連付けて記録したアドバイスデータを生成することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、利用者が実際にアプリケーションプログラムを操作した操作履歴を基にして、操作と関連する機能とを関連付けて記録したアドバイスデータを生成するように構成したので、利用者の知識レベルや利用傾向に応じて、アプリケーションプログラムが操作に関連する機能の紹介を効率よくおこなうことができる。
【0015】
また、本発明は、上記の発明において、前記分析手段により分析された利用実績を出力手段に出力する出力手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、利用者が実際にアプリケーションプログラムを操作した操作履歴を基にして分析した利用実績をディスプレイやプリンタ等に出力するように構成したので、教育担当者等がその出力結果を参照して、いかにすれば効率よく教育をおこなうことができるかを検討することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、利用者が実際にアプリケーションプログラムを操作した操作履歴を基にして、教育のための基礎データを生成するように構成したので、利用者の知識レベルや利用傾向に応じて効率よく教育をおこなうことができるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明によれば、利用者が実際にアプリケーションプログラムを操作した操作履歴を基にして、オンライン教育や集合教育等の教育講座のための基礎データを生成するように構成したので、利用者の知識レベルや利用傾向に応じて効率よく教育講座を実施することができるという効果を奏する。
【0019】
また、本発明によれば、利用者が実際にアプリケーションプログラムを操作した操作履歴を基にして、操作と関連する機能とを関連付けて記録したアドバイスデータを生成するように構成したので、利用者の知識レベルや利用傾向に応じて、アプリケーションプログラムが操作に関連する機能の紹介を効率よくおこなうことができるという効果を奏する。
【0020】
また、本発明によれば、利用者が実際にアプリケーションプログラムを操作した操作履歴を基にして分析した利用実績をディスプレイやプリンタ等に出力するように構成したので、教育担当者等がその出力結果を参照して、いかにすれば効率よく教育をおこなうことができるかを検討することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る教育支援プログラムおよび教育支援装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。以下の実施例では、本発明に係る教育支援プログラムおよび教育支援装置をCADアプリケーションの利用者の教育に適用した場合を例として説明するが、本発明に係る教育支援プログラムおよび教育支援装置は、他の種類のアプリケーションの利用者の教育においても有効である。
【実施例】
【0022】
まず、本実施例に係る教育支援方式の概要について説明する。図1は、本実施例に係る教育支援方式の概要について説明するための説明図である。同図に示すように、本実施例に係る教育支援方式では、アプリケーションの操作履歴を記録し、この操作履歴の集積結果を分析した利用実績を基にして、ユーザ教育の内容を決定する。
【0023】
利用者端末100は、教育対象のアプリケーションの利用者が使用する情報処理装置であり、この利用者端末100上で教育対象のアプリケーションであるアプリケーション110が動作する。アプリケーション110は、利用者の操作内容を操作履歴データ120として逐次記録する。
【0024】
なお、以下の実施例では、説明の便宜上、アプリケーション110がCADアプリケーションであるという前提で説明をおこなうが、アプリケーション110が他の種類のアプリケーションであっても本発明は有効である。また、アプリケーション110は、教育対象のバージョンと同じバージョンであってもよいし、古いバージョンであってもよい。
【0025】
また、操作履歴の記録については、アプリケーション110自身がおこなうのではなく、他のアプリケーション等が外部からアプリケーション110を監視して記録するように構成してもよい。
【0026】
利用者端末100において記録された操作履歴データ120は、教育支援装置200へ送られ、他の利用者端末で記録された操作履歴とマージされて操作履歴DB221に格納される。そして、操作履歴DB221を分析して、利用実績DB224が作成される。
【0027】
教育支援装置200は、利用実績DB224を基にして、個別カリキュラム226やアドバイスデータ228等の教育データを生成する。教育データとは、アプリケーションの各種機能について教育をおこなうための基礎データを指す。
【0028】
個別カリキュラム226は、ユーザ教育の内容を定義したデータであり、たとえば、オンライン教育システム300において教育内容を取捨選択するための判断材料となる。アドバイスデータ228は、アプリケーション110が、利用者の操作に応じて、より効率的な機能を紹介するための基礎データとなる。
【0029】
このように、本実施例に係る教育支援方式では、利用者の操作履歴から生成した利用実績情報を基にしてユーザ教育の内容を決定するため、利用者の知識レベルや利用傾向に即した効率的な教育をおこなうことができる。
【0030】
また、本実施例に係る教育支援方式では、利用者の操作履歴から生成した利用実績情報を基にしてアドバイスデータを生成し、このアドバイスデータに基づいてアプリケーションの利用中に新機能等を紹介するため、集合教育等に時間を割くことができない多忙な利用者にも通常作業の中で教育を施すことができる。このように、アプリケーションの利用中に新機能等を紹介する場合、不必要な機能が数多く紹介されると作業者の生産性を低下させる恐れがあるが、本実施例に係る教育支援方式では、利用者の操作履歴から生成した利用実績情報を基にしてアドバイスデータを生成するため問題ない。
【0031】
なお、利用実績を基にして教育データを生成する方式は、様々な方式があり、目的に応じて使い分けることができる。ここでは2つの方式を説明しておく。第1の方式は、利用頻度の低い機能を教育対象とする方式である。この方式は、教育対象と同じバージョン、もしくは、同等の機能をもったアプリケーションが既に利用されている場合に有効である。
【0032】
この第1の方式では、利用可能な状態であるにも関わらず、有効に利用されていない機能についての教育に重点が置かれることになる。第1の方式では、利用者からみた機能の重要性も加味して、利用頻度が低くても、利用者にとって重要度の低い機能を教育対象から除外することにより、教育をさらに効率的におこなうことができる。
【0033】
第2の方式は、利用頻度の高い機能を教育対象とする方式である。この方式は、教育対象よりも古いバージョンのアプリケーションが利用されている場合に有効である。この第2の方式では、利用頻度の高い機能に関連した新機能についての教育に重点が置かれることとなる。
【0034】
次に、図1に示したアプリケーション110の構成について説明する。図2は、図1に示したアプリケーション110の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、アプリケーション110は、操作認識部111と、操作履歴記録部112と、アドバイス表示部113と、主処理部114とを有する。
【0035】
操作認識部111は、利用者がキーボード130やマウス140等を使用しておこなった操作を認識する処理部である。操作履歴記録部112は、操作認識部111が認識した利用者の操作を操作履歴データ120へ記録する処理部である。
【0036】
ここで、操作履歴データ120のデータ構成について説明する。図3は、操作履歴データ120のデータ構成の一例を示す構成図である。同図に示すように、操作履歴データ120は、各操作ごとに、ユーザ名と、IPアドレスと、システム名と、バージョンと、コマンド名と、使用日時とを記録する。
【0037】
ユーザ名は、利用者を識別するための名称であり、ユーザ認証時のログオン名等を取得して設定する。IPアドレスは、アプリケーション110が稼動する利用者端末のIPアドレスである。システム名とバージョンは、アプリケーション110の名称とバージョンである。コマンド名は、利用者の操作に対応する処理の名称である。使用日時は、操作がおこなわれた日時である。
【0038】
なお、本実施例では、全てのデータ構造をリスト構造で表現しているが、データ構造がリスト構造である必要はなく、テーブル構造等の他のデータ構造で情報を保持してもよい。
【0039】
図2の説明に戻って、アドバイス表示部113は、操作認識部111が認識した利用者の操作に対応するアドバイスを表示する処理部である。アドバイスの表示は、アドバイスデータ228に基づいておこなう。
【0040】
ここで、アドバイスデータ228の例を示し、アドバイスの表示画どのようにおこなわれるかについて具体例を示して説明する。図4は、アドバイスデータ228のデータ構成の一例を示す構成図である。
【0041】
同図に示すように、アドバイスデータ228は、リストヘッダと、コマンドリストと、代替コマンドリストという3階層の構造からなる。リストヘッダは、最上位のデータであり、コマンドリストに含まれるコマンドの数と、コマンドリストの先頭の要素へのポインタを保持する。
【0042】
コマンドリストは、利用者の操作に対応する処理であるコマンドを要素とするリストであり、各要素は、コマンド名と、当該のコマンドに対応する代替コマンドの有無を示すフラグと、代替コマンドの数と、代替コマンドリストの最初の要素へのポインタとを保持する。
【0043】
代替コマンドリストは、当該のコマンドと同様の機能をはたす他のコマンドを要素とするリストであり、コマンドリストの要素ごとに存在する。代替コマンドリストの各要素は、コマンド名と、コマンドを説明するメッセージとを保持する。
【0044】
利用者がアプリケーション110において、設計要素を移動させる操作をおこなった場合、操作認識部111は、「移動」コマンドが実行されたことを認識し、その旨をアドバイス表示部113へ通知する。アドバイス表示部113は、コマンドリストを検索し、コマンド名が「移動」である要素を検索する。検索された要素では代替コマンドの有無を示すフラグがオフとなっているため、この場合は、アドバイスの表示はおこなわない。
【0045】
利用者がアプリケーション110において、信号線を入力する操作をおこなった場合、操作認識部111は、「信号線入力」コマンドが実行されたことを認識し、その旨をアドバイス表示部113へ通知する。アドバイス表示部113は、コマンドリストを検索し、コマンド名が「信号線入力」である要素を検索する。
【0046】
検索された要素では代替コマンドの有無を示すフラグがオンとなっているため、ポインタを辿ってこの要素に対応する代替コマンドリストを取得し、その内容をディスプレイ150に表示する。この場合、「信号線一括入力」と「コピー入力」という2つの代替コマンドが存在するため、この2つのコマンドをメッセージとともに表示し、「信号線入力」をそのまま実行するか、あるいは、「信号線一括入力」もしくは「コピー入力」のいずれかを実行するかを利用者に選択させる。
【0047】
アプリケーションをバージョンアップする際は、利用者の生産性を向上させるために、同等の機能が従来よりも簡便な操作で実行できるようになっていることが多い。このような生産性の高い新しい操作を代替コマンドとしてアドバイスデータ228に登録しておくことにより、利用者の操作に応じて新しい操作の存在を提示することができ、新しい操作の浸透を図ることができる。
【0048】
図2の説明に戻って、主処理部114は、操作認識部111が認識した利用者の操作等に対応する処理を実行する処理部であり、アプリケーション110の諸機能を実現する処理部である。
【0049】
次に、図1に示した教育支援装置200の構成について説明する。図5は、図1に示した教育支援装置200の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、教育支援装置200は、制御部210と、記憶部220とを有する。
【0050】
制御部210は、教育支援装置200を全体制御する制御部であり、操作履歴統合部211と、操作履歴分析部212と、利用実績出力部213と、教育データ生成部214とを有する。操作履歴統合部211は、各利用者端末にて記録された操作履歴データ120を統合して操作履歴DB221に格納する処理部である。
【0051】
操作履歴分析部212は、操作履歴DB221に格納された操作履歴情報と、操作指標DB222に格納された標準的な操作頻度に関する情報と、利用者情報DB223に格納された利用者の属性情報とに基づいてアプリケーション110の各機能の利用実績を分析し、結果を利用実績DB224に格納する処理部である。
【0052】
利用実績出力部213は、利用実績DB224の内容をディスプレイ等の表示手段やプリンタ等の印字手段に出力する処理部である。利用実績出力部213の出力結果を参照することで、教育担当者等は、どのような教育が有効であるかを検討することができる。
【0053】
図6は、利用実績出力部213の出力結果の一例を示すサンプル図である。同図に示すように、利用実績出力部213は、各機能の利用状況をグラフや表に表現して出力する。図6の例では、利用者の利用実績を機能種別毎に集計した結果を、標準的な値と比較してグラフ表示している。このグラフでは、比較対象を他の利用者や特定のグループの平均値等に変更することもできる。
【0054】
教育データ生成部214は、利用実績DB224を基にしてアプリケーション110に関する教育をおこなうためのデータを生成する処理部であり、カリキュラム生成部214aと、アドバイスデータ生成部214bとを有する。
【0055】
カリキュラム生成部214aは、利用実績DB224に格納された利用情報を基にして、教育コンテンツDB225に含まれる教育コンテンツの取捨選択をおこない、個別カリキュラム226を生成する処理部である。アドバイスデータ生成部214bは、利用実績DB224に格納された利用情報を基にして、アドバイスDB227に含まれるアドバイス情報の取捨選択をおこない、アドバイスデータ228を生成する処理部である。個別カリキュラム226とアドバイスデータ228は、利用者の実際の利用実績に基づいて生成されるため、利用者の知識レベルや利用傾向に即した内容となる。
【0056】
記憶部220は、各種データを記憶する記憶部であり、操作履歴DB221と、操作指標DB222と、利用者情報DB223と、利用実績DB224と、教育コンテンツDB225と、個別カリキュラム226と、アドバイスDB227と、アドバイスデータ228とを記憶する。
【0057】
操作履歴DB221は、各利用者端末で記録された操作履歴を集積するデータベースである。操作指標DB222は、アプリケーションの各機能の標準的な使用頻度を示す基準値を保持するデータベースである。
【0058】
利用者情報DB223は、アプリケーションの利用者の属性情報を保持するデータベースである。図7は、利用者情報DB223のデータ構成の一例を示す構成図である。
【0059】
同図に示すように、利用者情報DB223は、リストヘッダと、利用者リストと、部門リストとからなる。リストヘッダは、利用者リストに含まれる利用者の数と、部門リストに含まれる部門の数と、利用者リストの先頭の要素へのポインタと、部門リストの先頭の要素へのポインタを保持する。
【0060】
利用者リストは、利用者の属性情報を要素とするリストであり、各要素は、ユーザ名と、氏名と、部門名と、メールアドレスと、電話番号を保持する。部門リストは、利用者が属する部門の情報を要素とするリストであり、各要素は、部門名と、その部門に属する利用者数とを保持する。
【0061】
利用実績DB224は、アプリケーションの各機能の利用実績を分析した結果を保持するデータベースである。図8は、利用実績DB224のデータ構成の一例を示す構成図である。
【0062】
同図に示すように、利用実績DB224は、リストヘッダと、部門リストと、利用者リストと、利用者別実績リストと、利用年月日リストと、部門別実績リストとからなる。リストヘッダは、部門リストに含まれる部門の数と、部門リストの先頭の要素へのポインタを保持する。
【0063】
部門リストは、利用者の所属部門情報を要素とするリストであり、各要素は、部門名と、その部門に属する利用者数と、利用者リストの最初の要素へのポインタと、部門別実績リストの最初の要素へのポインタを保持する。
【0064】
利用者リストは、部門に属する利用者の情報を要素とするリストであり、部門リストの要素ごとに存在する。利用者リストの各要素は、ユーザ名と、当該の利用者が利用したコマンド数と、利用者別実績リストの最初の要素へのポインタとを保持する。
【0065】
利用者別実績リストは、利用者が利用したコマンドとその利用回数を要素とするリストであり、利用者リストの要素ごとに存在する。利用者別実績リストの各要素は、コマンド名と、当該のコマンドが利用された回数と、利用年月日リストの最初の要素へのポインタとを保持する。
【0066】
利用年月日リストは、コマンドが利用された年月日を要素とするリストであり、利用者別実績リストの要素ごとに存在する。利用年月日リストの各要素は、コマンドが利用された年月日を保持する。
【0067】
部門別実績リストは、部門に所属する利用者が利用したコマンドとその利用回数の集計値を要素とするリストであり、部門リストの要素ごとに存在する。部門別実績リストの各要素は、コマンド名と、コマンドの分類名と、当該の部門に所属する利用者に当該のコマンドが利用された回数の集計値と、当該のコマンドの標準的な利用頻度を示す基準値(操作指標DB222を基にして求めた値)とを保持する。
【0068】
このように利用実績DB224には、コマンドの利用実績を部門単位で集計した結果が分析結果として格納される。なお、これは、一例であり、利用目的に応じて、他の分析結果を利用実績DB224に格納することとしてもよい。
【0069】
教育コンテンツDB225は、ユーザ教育の内容を保持するデータベースである。図9は、教育コンテンツDB225のデータ構成の一例を示す構成図である。
【0070】
同図に示すように、教育コンテンツDB225は、リストヘッダと、コンテンツリストとからなる。リストヘッダは、コンテンツリストに含まれるコンテンツの数と、コンテンツリストの先頭の要素へのポインタを保持する。コンテンツリストは、コマンドごとの教育内容を要素とするリストであり、各要素は、コマンド名と、操作手順と、解説用のメッセージ等を保持する。
【0071】
個別カリキュラム226は、カリキュラム生成部214aが利用実績DB224に基づいて、教育コンテンツDB225から教育内容を抜粋したデータである。
【0072】
アドバイスDB227は、コマンドとそれに対応する代替コマンドの情報を保持するデータベースであり、図4に示したアドバイスデータ228と同様の構成を有する。アドバイスデータ228については、既に説明済みのため、ここでは説明を省略する。
【0073】
次に、図2に示したアプリケーション110の処理手順について説明する。図10は、図2に示したアプリケーション110の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、アプリケーション110は、キーボード等からコマンドの入力を受け付けたならば(ステップS101)、アドバイスデータ228を参照し、代替コマンドが存在するか否かを確認する。
【0074】
ここで、代替コマンドが存在した場合は(ステップS102肯定)、代替コマンドをアドバイスとして表示し、入力したコマンドをそのまま実行するか、代替コマンドを実行するかを利用者に問い合わせる(ステップS103)。
【0075】
利用者が代替コマンドを実行することを選択した場合は(ステップS104肯定)、その代替コマンドを実行する(ステップS105)。利用者が入力したコマンドをそのまま実行することを選択した場合(ステップS104否定)、および、代替コマンドが存在しなかった場合は(ステップS102否定)、利用者が入力したコマンドをそのまま実行する(ステップS106)。
【0076】
こうしてコマンドの実行が完了したならば、実行したコマンドを操作履歴データ120に記録し(ステップS107)、次のコマンドの入力を待ち受ける。
【0077】
次に、図5に示した教育支援装置200の処理手順について説明する。教育支援装置200の処理内容は、処理目的に応じて変化する。まず、既に説明したとおり、操作履歴データ120が教育対象と同じバージョンのアプリケーションを操作した結果として生成された操作履歴であるか否かによって異なる。具体的には、同一バージョンのアプリケーションの操作履歴であれば、利用頻度が低い機能に関する教育内容を抽出することが必要になる。旧バージョンのアプリケーションの操作履歴であれば、利用頻度が高い機能に関する教育内容を抽出することが必要になる。
【0078】
また、特定の利用者個人の利用実績に基づいて教育内容を抽出するのか、部門単位の利用実績に基づいて教育内容を抽出するのかによっても処理内容が変化する。前者は、個人単位で教育をおこなうオンライン教育などの場合に有効であり、後者は、部門単位で集合教育をおこなう場合に有効である。
【0079】
また、部門に新たな人材が配属された場合には、部門単位の利用実績に基づいて利用頻度の高い機能を抽出するのが効果的である。これは、その部門の業務に重要な機能を教育対象とすることができるためである。
【0080】
なお、本実施例では、利用者を部門を単位としてグルーピングしているが、他の単位でグルーピングしてもよい。また、複数階層でグルーピングをおこなって、各階層で分析と教育データの生成をおこなうように構成してもよい。
【0081】
図11は、特定の個人の利用実績に基づいて利用頻度が低い機能に関する教育内容を抽出する場合の処理手順を示すフォローチャートである。同図に示すように、教育支援装置200は、まず、対象となっている利用者の利用実績を利用実績DB224から抽出する(ステップS201)。
【0082】
そして、未処理の利用実績データを1件取得し(ステップS202)、取得できたならば(ステップS203肯定)、利用回数が所定の回数より小さいか否かを確認する。この所定の回数は、教育担当者等が定めた固定値でもよいし、標準的な操作回数や、部門単位の平均値であってもよい。
【0083】
ここで、利用回数が所定の回数より小さい場合は(ステップS204肯定)、利用実績に対応するコマンドに関連する教育コンテンツを教育コンテンツDB225から取得して個別カリキュラム226に出力し(ステップS205)、同様に、アドバイス情報をアドバイスDB227から取得してアドバイスデータ228に出力する(ステップS206)。
【0084】
そして、ステップS201で抽出した利用実績をすべて処理するまで、ステップS202〜S206を繰り返し実行する。
【0085】
図12は、部門単位の利用実績に基づいて利用頻度が低い機能に関する教育内容を抽出する場合の処理手順を示すフォローチャートである。同図に示すように、教育支援装置200は、まず、対象となっている部門の利用実績を利用実績DB224から抽出する(ステップS301)。
【0086】
そして、未処理の利用実績データを1件取得し(ステップS302)、取得できたならば(ステップS303肯定)、利用回数が基準値より小さいか否かを確認する。ここで、利用回数が基準値より小さい場合は(ステップS304肯定)、利用実績に対応するコマンドに関連する教育コンテンツを教育コンテンツDB225から取得して個別カリキュラム226に出力し(ステップS305)、同様に、アドバイス情報をアドバイスDB227から取得してアドバイスデータ228に出力する(ステップS306)。
【0087】
そして、ステップS301で抽出した利用実績をすべて処理するまで、ステップS302〜S306を繰り返し実行する。
【0088】
上記実施例で説明した教育支援装置200の各種の処理は、あらかじめ用意された教育支援プログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図13をもちいて、教育支援プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
【0089】
図13は、教育支援プログラムを実行するコンピュータを示す機能ブロック図である。このコンピュータ1000は、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置1010、モニタ1020、各種プログラムを記録した記録媒体からプログラムを読み取る媒体読取り装置1030、各種情報を一時記憶するRAM(Random Access Memory)1040、ネットワークを介して他のコンピュータとの間でデータの授受をおこなうネットワークインターフェース装置1050、HDD(Hard Disk Drive)1060およびCPU(Central Processing Unit)1070をバス1080で接続して構成される。
【0090】
そして、HDD1060には、教育支援装置200の機能と同様の機能を発揮するプログラムである教育支援プログラム1060bが記憶されている。HDD1060には、図5の操作履歴DB221〜アドバイスデータ228に対応する教育支援用データベース1060aも記憶される。
【0091】
なお、教育支援用データベース1060aについては、適宜統合または分散して配置することとしてもよい。
【0092】
そして、CPU1070が、教育支援プログラム1060bをHDD1060から読み出して実行することにより、同プログラムは、教育支援プロセス1070aとして機能するようになる。この教育支援プロセス1070aは、図5に示した制御部210に対応する。
【0093】
また、CPU1070は、HDD1060の教育支援用データベース1060aから適宜必要な情報を読み出してRAM1040に教育支援用データ1040aとして格納し、このRAM1040に格納された教育支援用データ1040aに基づいて各種データ処理を実行する。
【0094】
なお、上記の教育支援プログラム1060bについては、必ずしもHDD1060に格納されている必要はなく、CD−ROM等の記憶媒体に記憶された教育支援プログラム1060bを、コンピュータ1000が読み出して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN、WAN等を介してコンピュータ1000に接続される他のコンピュータ(またはサーバ)などに教育支援プログラム1060bを記憶させておき、コンピュータ1000がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0095】
上述してきたように、本実施例では、利用者が実際にアプリケーションプログラムを操作した操作履歴を基にして、教育のための基礎データを生成するように構成したので、利用者の知識レベルや利用傾向に応じて効率よく教育をおこなうことができる。
【0096】
(付記1)アプリケーションプログラムに関する教育を支援する教育支援プログラムであって、
アプリケーションプログラムの操作履歴情報を基にして前記アプリケーションプログラムの各種機能の利用実績を分析する分析手順と、
前記分析手段により分析された利用実績を基にして教育データを生成する教育データ生成手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする教育支援プログラム。
【0097】
(付記2)前記教育データ生成手順は、前記アプリケーションプログラムの教育講座のカリキュラムデータを生成することを特徴とする付記1に記載の教育支援プログラム。
【0098】
(付記3)前記教育データ生成手順は、前記アプリケーションプログラムが利用者の操作を受け付けた場合にその操作と関連する機能を前記利用者に紹介するために、前記操作と前記機能とを関連付けて記録したアドバイスデータを生成することを特徴とする付記1に記載の教育支援プログラム。
【0099】
(付記4)前記教育データ生成手順は、特定の個人の利用実績を基にして教育データを生成することを特徴とする付記1に記載の教育支援プログラム。
【0100】
(付記5)前記教育データ生成手順は、特定の集団の利用実績を基にして教育データを生成することを特徴とする付記1に記載の教育支援プログラム。
【0101】
(付記6)前記分析手段により分析された利用実績を出力手段に出力する出力手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする付記1に記載の教育支援プログラム。
【0102】
(付記7)アプリケーションプログラムに関する教育を支援する教育支援装置であって、
アプリケーションプログラムの操作履歴情報を基にして前記アプリケーションプログラムの各種機能の利用実績を分析する分析手段と、
前記分析手段により分析された利用実績を基にして教育データを生成する教育データ生成手段と
を備えたことを特徴とする教育支援装置。
【0103】
(付記8)前記教育データ生成手段は、前記アプリケーションプログラムの教育講座のカリキュラムデータを生成することを特徴とする付記7に記載の教育支援装置。
【0104】
(付記9)前記教育データ生成手段は、前記アプリケーションプログラムが利用者の操作を受け付けた場合にその操作と関連する機能を前記利用者に紹介するために、前記操作と前記機能とを関連付けて記録したアドバイスデータを生成することを特徴とする付記7に記載の教育支援装置。
【0105】
(付記10)アプリケーションプログラムに関する教育を支援する教育支援方法であって、
アプリケーションプログラムの操作履歴情報を基にして前記アプリケーションプログラムの各種機能の利用実績を分析する分析工程と、
前記分析工程により分析された利用実績を基にして教育データを生成する教育データ生成工程と
を含んだことを特徴とする教育支援方法。
【0106】
(付記11)前記教育データ生成工程は、前記アプリケーションプログラムの教育講座のカリキュラムデータを生成することを特徴とする付記10に記載の教育支援方法。
【0107】
(付記12)前記教育データ生成工程は、前記アプリケーションプログラムが利用者の操作を受け付けた場合にその操作と関連する機能を前記利用者に紹介するために、前記操作と前記機能とを関連付けて記録したアドバイスデータを生成することを特徴とする付記10に記載の教育支援方法。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上のように、本発明に係る教育支援プログラムおよび教育支援装置は、アプリケーションプログラムに関する教育に有用であり、特に、利用者の知識レベルや利用傾向に応じて効率よく教育をおこなうことが必要な場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本実施例に係る教育支援方式の概要について説明するための説明図である。
【図2】図1に示したアプリケーションの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】操作履歴データのデータ構成の一例を示す構成図である。
【図4】アドバイスデータのデータ構成の一例を示す構成図である。
【図5】図1に示した教育支援装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図6】利用実績出力部の出力結果の一例を示すサンプル図である。
【図7】利用者情報DBのデータ構成の一例を示す構成図である。
【図8】利用実績DBのデータ構成の一例を示す構成図である。
【図9】教育コンテンツDBのデータ構成の一例を示す構成図である。
【図10】図2に示したアプリケーションの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】特定の個人の利用実績に基づいて利用頻度が低い機能に関する教育内容を抽出する場合の処理手順を示すフォローチャートである。
【図12】部門単位の利用実績に基づいて利用頻度が低い機能に関する教育内容を抽出する場合の処理手順を示すフォローチャートである。
【図13】教育支援プログラムを実行するコンピュータを示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0110】
100 利用者端末
110 アプリケーション
111 操作認識部
112 操作履歴記録部
113 アドバイス表示部
114 主処理部
120 操作履歴データ
130 利用者がキーボード
140 マウス
150 ディスプレイ
200 教育支援装置
210 制御部
211 操作履歴統合部
212 操作履歴分析部
213 利用実績出力部
214 教育データ生成部
214a カリキュラム生成部
214b アドバイスデータ生成部
220 記憶部
221 操作履歴DB
222 操作指標DB
223 利用者情報DB
224 利用実績DB
225 教育コンテンツDB
226 個別カリキュラム
227 アドバイスDB
228 アドバイスデータ
300 オンライン教育システム
1000 コンピュータ
1010 入力装置
1020 モニタ
1030 媒体読取り装置
1040 RAM
1040a 教育支援用データ
1050 ネットワークインターフェース装置
1060 HDD
1060a 教育支援用データベース
1060b 教育支援プログラム
1070 CPU
1070a 教育支援プロセス
1080 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションプログラムに関する教育を支援する教育支援プログラムであって、
アプリケーションプログラムの操作履歴情報を基にして前記アプリケーションプログラムの各種機能の利用実績を分析する分析手順と、
前記分析手段により分析された利用実績を基にして教育データを生成する教育データ生成手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする教育支援プログラム。
【請求項2】
前記教育データ生成手順は、前記アプリケーションプログラムの教育講座のカリキュラムデータを生成することを特徴とする請求項1に記載の教育支援プログラム。
【請求項3】
前記教育データ生成手順は、前記アプリケーションプログラムが利用者の操作を受け付けた場合にその操作と関連する機能を前記利用者に紹介するために、前記操作と前記機能とを関連付けて記録したアドバイスデータを生成することを特徴とする請求項1に記載の教育支援プログラム。
【請求項4】
前記分析手段により分析された利用実績を出力手段に出力する出力手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に記載の教育支援プログラム。
【請求項5】
アプリケーションプログラムに関する教育を支援する教育支援装置であって、
アプリケーションプログラムの操作履歴情報を基にして前記アプリケーションプログラムの各種機能の利用実績を分析する分析手段と、
前記分析手段により分析された利用実績を基にして教育データを生成する教育データ生成手段と
を備えたことを特徴とする教育支援装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2007−25497(P2007−25497A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210494(P2005−210494)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】