説明

散布機

【課題】適切な散布作業ができる散布機を提供する。
【解決手段】散布機1は、トラクタの走行により圃場を移動しながら被散布物を圃場に散布する。散布機1は、機体2に取り付けた収容体と、回転して収容体からの被散布物を散布する散布体11とを備える。散布体11の周囲には覆い体16を設け、この覆い体16は覆い体用シリンダ21の作動によって回動する。この覆い体16の回動により、被散布物の散布方向が機体の移動方向に対して左右に変更可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車の走行により圃場を移動しながら被散布物を圃場に散布する散布機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された散布機が知られている。
【0003】
この従来の散布機は、走行車であるトラクタの走行により圃場を移動しながら肥料等の被散布物を圃場に散布するもので、被散布物が投入収容されるホッパー等の収容体と、トラクタからの動力で左右方向に往復回動して収容体からの被散布物を散布する略筒状のスパウト等の散布体とを備えている。
【特許文献1】特開2005−229887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の散布機では、散布体にて散布される被散布物の散布方向および散布幅が一定であるため、不必要な場所や、既に散布した場所に被散布物を散布する等の不具合が生じ、適切な散布作業ができないおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、適切な散布作業ができる散布機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の散布機は、走行車の走行により圃場を移動しながら、被散布物を圃場に散布する散布機であって、被散布物が収容される収容体と、この収容体からの被散布物を散布する散布体とを備え、前記散布体にて散布される被散布物の散布方向が左右に変更可能になっているものである。
【0007】
請求項2記載の散布機は、走行車の走行により圃場を移動しながら、被散布物を圃場に散布する散布機であって、被散布物が収容される収容体と、この収容体からの被散布物を散布する散布体とを備え、前記散布体にて散布される被散布物の散布幅が変更可能になっているものである。
【0008】
請求項3記載の散布機は、走行車の走行により圃場を移動しながら、被散布物を圃場に散布する散布機であって、被散布物が収容される収容体と、この収容体からの被散布物を散布する散布体とを備え、前記散布体にて散布される被散布物の散布方向が左右に変更可能になっているとともに、前記散布体にて散布される被散布物の散布幅が変更可能になっているものである。
【0009】
請求項4記載の散布機は、請求項1または3記載の散布機において、走行車からの情報に基づいて、散布体にて散布される被散布物の散布方向が自動的に左右に変更されるものである。
【0010】
請求項5記載の散布機は、請求項2または3記載の散布機において、走行車からの情報に基づいて、散布体にて散布される被散布物の散布幅が自動的に変更されるものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、散布体にて散布される被散布物の散布方向を左右に変更でき、適切な散布作業ができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、散布体にて散布される被散布物の散布幅を変更でき、適切な散布作業ができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、散布体にて散布される被散布物の散布方向および散布幅を変更でき、適切な散布作業ができる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、走行車からの情報に基づいて散布体にて散布される被散布物の散布方向が自動的に左右に変更されるため、より一層適切な散布作業ができる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、走行車からの情報に基づいて散布体にて散布される被散布物の散布幅が自動的に変更されるため、より一層適切な散布作業ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の散布機の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1および図2において、1は散布機で、この散布機1は、例えば走行車であるトラクタTの走行により圃場を前方(図1中、左方向)に向って移動しながら被散布物Aを圃場に散布するスピンナー型の散布装置である。被散布物Aは、例えば粉状或いは粒状の肥料、種子、薬剤等である。
【0018】
散布機1は、トラクタTの後部の作業機昇降支持手段である3点リンク部に連結される機体2を備えている。機体2は、フレーム等にて構成され、トラクタTの3点リンク部に連結される走行車連結部である3点連結部3を前部に有し、この3点連結部3は、トップマストおよびロワアーム等にて構成されている。機体2は、軸保持部4を下部に有し、この軸保持部4にはトラクタTのPTO軸にユニバーサルジョイントおよび伝動軸等を介して接続される略前後方向の入力軸5がベアリングを介して回転可能に設けられている。
【0019】
また、機体2には、肥料等の被散布物Aが投入収容されるホッパー等の収容体6が設けられている。収容体6は、例えば上方に向って徐々に拡径する略逆截頭円錐状に形成されている。収容体6は、上部に被散布物投入用の投入用開口部7を有し、下部に被散布物排出用の排出用開口部8を有し、この排出用開口部8は開閉体であるシャッタ9にて開閉される。シャッタ9は、開閉体用駆動手段であるシャッタ用シリンダ10の作動により収容体6の排出用開口部8を開閉する。すなわち、シャッタ用シリンダ10の作動に基づくシャッタ9の開閉動作により収容体6の排出用開口部8の開口量(被散布物Aの散布量)が変更可能になっている。なお、例えば図示しないが、収容体6内には、被散布物Aを攪拌する攪拌手段が設けられている。
【0020】
さらに、収容体6の排出用開口部8の下方には、所定方向に回転しながら、収容体6の排出用開口部8から繰り出される被散布物Aを後方に向けて散布する略円板状のスピンナー等の散布体11が上下方向の軸線Xを中心として回転可能に設けられている。散布体11の中央部には伝動軸12の上部が連結され、この伝動軸12の下部には歯車13が固着され、この歯車13は入力軸5の後端部に固着された歯車14に噛み合っている。
【0021】
また、図2に示されるように、散布体11の周囲には、この散布体11を覆う略有底筒状の覆い体16が上下方向の軸線Xを中心として左右方向に回動可能に設けられている。覆い体16は、散布体11の周囲を覆う略有底円筒状の覆い部17と、覆い部17に形成され後方に向って開口する散布口部18と、覆い部17の散布口部18に臨んだ両端部に後方に向って突出した状態に固設され略ハ字状の位置して互いに離間対向する略板状の左右一対の遮蔽板等の突出部19とを有している。
【0022】
さらに、機体2には、この機体2に対して覆い体16を軸線Xを中心として左右方向に回動させる覆い体用駆動手段である覆い体用シリンダ21が設けられている。覆い体用シリンダ21は、機体2に固着されたシリンダ本体22と、このシリンダ本体22内に対して出入りするロッド23とを有し、このロッド23の先端部が覆い体16の覆い部17に突設されたロッド連結部24に回動可能に連結されている。
【0023】
そして、覆い体用シリンダ21の作動に基づく機体2に対する覆い体16の左右方向の回動により、散布体11にて散布される被散布物Aの散布方向(散布口部18の開口方向)が機体2の移動方向に対して左右に変更可能になっている。
【0024】
また、シャッタ用シリンダ10および覆い体用シリンダ21等には制御手段(図示せず)が電気的に接続されている。そして、制御手段は、トラクタTからの情報に基づいて各シリンダ10,21等を制御する。制御手段がトラクタTから受信する情報は、例えばトラクタの走行速度および走行方向等に関する情報や、GPSを利用した位置情報等である。
【0025】
次に、上記散布機1の作用等について説明する。
【0026】
トラクタTに連結された状態でトラクタTの走行により散布機1が圃場を前方に向って移動すると、散布体11がトラクタT側からの動力で所定方向に回転し、収容体6内の被散布物Aが排出用開口部8から繰り出されて散布口部18から後方に向って散布される。
【0027】
この際、トラクタTからの情報に基づいて各シリンダ10,21等が適宜制御されることにより、散布体11にて散布される被散布物Aの散布方向および散布量が散布作業等に応じて適宜変更調整される。
【0028】
そして、このような散布機1によれば、散布体11にて散布される被散布物Aの散布方向を左右に変更でき、適切な散布作業ができる。すなわち例えば図3(a)に示すように機体2に対して覆い体16が回動しない構成では、圃場の隅部で被散布物Aが圃場外の不必要な場所にまで散布されるのに対し、本実施の形態に係る散布機1の構成では図3(b)に示すように機体2に対する覆い体16の回動により散布体11にて散布される被散布物Aの散布方向が変更され、被散布物Aが圃場外の不必要な場所に散布される不具合を防止でき、また既に散布した場所に被散布物Aが散布される不具合等も防止できる。
【0029】
また、トラクタTからの情報に基づく制御手段の制御により散布体11にて散布される被散布物Aの散布方向が自動的に左右に変更されるため、トラクタTの運転席に乗った作業者による手動操作が不要な上、より一層適切な散布作業ができる。
【0030】
次に、本発明の散布機の第2の実施の形態を図4を参照して説明する。
【0031】
図4に示す散布機1の覆い体16は、前記第1の実施の形態とは異なり、左右対をなす略板状の散布幅設定用の回動部(遮蔽板等)31が覆い部17の散布口部18に臨んだ端部に上下方向の軸32を中心として左右方向に回動可能に設けられている。すなわち例えば互いに接近および離反方向に回動可能な左右一対の回動部31が覆い部17の端部に設けられている。なお、覆い部17は、前記第1の実施の形態とは異なり、機体2に固着されている。
【0032】
また、機体2には、この機体2に対してつまり機体2に固着された覆い部17に対して、回動部31を左右方向に回動させる覆い部用駆動手段である覆い部用シリンダ33が設けられている。各覆い部用シリンダ33は、機体2に固着されたシリンダ本体34と、このシリンダ本体34内に対して出入りするロッド35とを有し、各ロッド35の先端部が回動部31に突設されたロッド連結部36に回動可能に連結されている。この各覆い部用シリンダ33は制御手段にてそれぞれ個別に制御される。なお、両覆い部用シリンダ33が制御手段にて一斉に制御される構成でもよい。
【0033】
そして、覆い部用シリンダ33の作動に基づく覆い部17に対する回動部31の左右方向の回動により、散布体11にて散布される被散布物Aの散布幅が変更可能になっている。なお、その他の構成部材は前記第1の実施の形態と同一である。
【0034】
そして、このような散布機1によれば、散布体11にて散布される被散布物Aの散布幅を変更でき、適切な散布作業ができる。すなわち例えば被散布物Aの散布幅の変更によって圃場外の不必要な場所や既に散布した場所に被散布物Aが散布される不具合等を防止できる。
【0035】
また、トラクタTからの情報に基づく制御手段の制御により散布体11にて散布される被散布物Aの散布幅が自動的に変更されるため、トラクタTの運転席に乗った作業者による手動操作が不要な上、より一層適切な散布作業ができる。
【0036】
次に、本発明の散布機の第3の実施の形態を図5ないし図8を参照して説明する。
【0037】
図5ないし図8に示す散布機1は、例えば走行車であるトラクタTの走行により圃場を前方(図5中、左方向)に向って移動しながら被散布物Aを圃場に散布するスパウト型の散布装置である。被散布物Aは、例えば粉状或いは粒状の肥料、種子、薬剤等である。
【0038】
この散布機1は、前記スピンナー型の構成と同様、トラクタTの後部の作業機昇降支持手段である3点リンク部に連結される機体2を備え、機体2はトラクタTの3点リンク部に連結される走行車連結部である3点連結部3を前部に有し、この3点連結部3はトップマストおよびロワアーム等にて構成されている。また、機体2は、軸保持部4を下部に有し、この軸保持部4にはトラクタTのPTO軸にユニバーサルジョイントおよび伝動軸等を介して接続される略前後方向の入力軸5がベアリングを介して回転可能に設けられている。
【0039】
また、機体2には、肥料等の被散布物Aが投入収容されるホッパー等の収容体6が設けられている。収容体6は、例えば上方に向って徐々に拡径する略逆截頭円錐状に形成されている。収容体6は、上部に被散布物投入用の投入用開口部7を有し、下部に被散布物排出用の排出用開口部8を有し、この排出用開口部8は開閉体であるシャッタ9にて開閉される。シャッタ9は、開閉体用駆動手段であるシャッタ用シリンダ10の作動により収容体6の排出用開口部8を開閉する。すなわち、シャッタ用シリンダ10の作動に基づくシャッタ9の開閉動作により収容体6の排出用開口部8の開口量(被散布物Aの散布量)が変更可能になっている。なお、例えば図示しないが、収容体6内には、被散布物Aを攪拌する攪拌手段が設けられている。
【0040】
さらに、散布機1は、前端側の上下方向の軸線Xを中心として往復回動角度をもって左右方向に往復回動しながら、収容体6の排出用開口部8から繰り出される被散布物Aを後端側の散布口部42から後方に向けて散布する細長い略筒状のスパウト等の散布体41を備えている。散布体41は、この散布体41と一体となって軸線Xを中心として往復回動する回動部材43、この回動部材43に連結されたヨーク44、このヨーク44に連結されたフライホイール45および歯車46,47を介して、入力軸5に接続されている。そして、入力軸5の回転時に回動部材43、ヨーク44およびフライホイール45が連動して散布体41が左右方向に往復回動する。
【0041】
また、図7および図8に示されるように、入力軸5およびフライホイール45の軸部45aを保持するミッションケース等の軸保持部4は、機体2の支持部48にベアリング49を介して回動可能に支持されており、この軸保持部4は入力軸5を中心としてつまり入力軸5の軸芯を通る前後方向の軸線を中心として回動可能になっている。
【0042】
さらに、機体2の支持部48には、この支持部48に対して軸保持部4を入力軸5を中心として左右方向に回動させる軸保持部用駆動手段である軸保持部用シリンダ51が設けられている。軸保持部用シリンダ51は、支持部48の固定板54から前方に向って突出する軸55に回動可能に連結されたシリンダ本体52と、このシリンダ本体内に対して出入りするロッド53とを有している。このロッド53の先端部は、軸保持部4に突設されたロッド連結板56から前方に突出する軸57に回動可能に連結されている。
【0043】
そして、軸保持部用シリンダ51の作動に基づく機体2の支持部48に対する軸保持部4の左右方向の回動により、散布体41にて散布される被散布物Aの散布方向(散布口部42の基準開口方向)が機体2の移動方向に対して左右に変更可能になっている。すなわち図6(a)ないし(c)に示すように、軸保持部用シリンダ51の作動に基づく散布体41の向き(平面視でフライホイール45の軸部45aの軸方向に沿った方向である基準向き)の変更により、散布体41にて散布される被散布物Aの散布方向が機体2の移動方向に対して左右に変更可能になっている。
【0044】
また、シャッタ用シリンダ10および軸保持部用シリンダ51等には制御手段(図示せず)が電気的に接続されている。そして、制御手段は、トラクタTからの情報に基づいて各シリンダ10,51等を制御する。制御手段がトラクタTから受信する情報は、例えばトラクタの走行速度および走行方向等に関する情報や、GPSを利用した位置情報等である。
【0045】
次に、上記散布機1の作用等について説明する。
【0046】
トラクタTに連結された状態でトラクタTの走行により散布機1が圃場を前方に向って移動すると、散布体41がトラクタT側からの動力で左右振動つまり左右に往復回動し、収容体6内の被散布物Aが排出用開口部8から繰り出されて散布体41の後端側の散布口部42から後方に向って散布される。
【0047】
この際、トラクタTからの情報に基づいて各シリンダ10,51等が適宜制御されることにより、散布体41にて散布される被散布物Aの散布方向および散布量が散布作業等に応じて適宜変更調整される。
【0048】
そして、このような散布機1によれば、散布体41にて散布される被散布物Aの散布方向を左右に変更でき、適切な散布作業ができる。すなわち例えば図示しないが機体2の支持部48に対して軸保持部4が入力軸5を中心として回動しない構成では、圃場の隅部で被散布物Aが圃場外の不必要な場所にまで散布されるのに対し、本実施の形態に係る散布機1の構成では機体2の支持部48に対する軸保持部4の回動により散布体41にて散布される被散布物Aの散布方向が変更され、被散布物Aが圃場外の不必要な場所に散布される不具合等を防止でき、また既に散布した場所に被散布物Aが散布される不具合等も防止できる。
【0049】
また、トラクタTからの情報に基づく制御手段の制御により散布体41にて散布される被散布物Aの散布方向が自動的に左右に変更されるため、トラクタTの運転席に乗った作業者による手動操作が不要な上、より一層適切な散布作業ができる。
【0050】
次に、本発明の散布機の第4の実施の形態を図9ないし図11を参照して説明する。
【0051】
図9ないし図11に示す散布機1は、前記第3の実施の形態とは異なり、散布体41の
振れ角度である往復回動角度(図9中のα)の変更により、散布体41にて散布される被散布物Aの散布幅が変更可能になっている。なお、この往復回動角度αは、例えば30度から60度の範囲内で変更可能である。
【0052】
すなわちこの散布機1では、軸保持部4が機体2の支持部48に固着され、この軸保持部4にてフライホイール45がその軸部45aに沿った方向に移動可能に保持されている。つまりフライホイール45は、図10の実線で示す状態と図10の2点鎖線で示す状態とに移動可能すなわちヨーク44側に対して進退可能になっており、このフライホイール45の移動により散布体41の往復回動角度が変更する。
【0053】
また、機体2の固定板60には、軸保持部4に対してフライホイール45をその軸部45aに沿った方向に移動させるフライホイール用駆動手段であるフライホイール用シリンダ61が設けられている。フライホイール用シリンダ61は、固定板60に固着されたシリンダ本体62と、このシリンダ本体62内に対して出入りするロッド63とを有している。ロッド63の先端部は、略L字状の移動レバーである連結棒64を介してフライホイール45の軸部45aに連結されている。連結棒64は固定板60の軸部65を中心として回動可能であり、連結棒64の一端部がロッド63の先端部に回動可能に連結され、連結棒64の他端部がフライホイール45の軸部45aに回動可能に連結されている。
【0054】
そして、フライホイール用シリンダ61の作動に基づく軸保持部4に対するフライホイール45の移動により、散布体11にて散布される被散布物Aの散布幅が変更可能になっている。すなわちフライホイール45の移動による散布体41の往復回動角度(振れ角度)の変更により、散布体41にて散布される被散布物Aの散布幅が変更可能になっている。なお、その他の構成部材は前記第3の実施の形態と同一である。
【0055】
そして、このような散布機1によれば、散布体41にて散布される被散布物Aの散布幅を変更でき、適切な散布作業ができる。すなわち例えば被散布物Aの散布幅の変更によって圃場外の不必要な場所や既に散布した場所に被散布物Aが散布される不具合等を防止できる。
【0056】
また、トラクタTからの情報に基づく制御手段の制御により散布体41にて散布される被散布物Aの散布幅が自動的に変更されるため、トラクタTの運転席に乗った作業者による手動操作が不要な上、より一層適切な散布作業ができる。
【0057】
なお、例えば図12に示す第5の実施の形態のように、前記第3の実施の形態と前記第4の実施の形態との組合せにより、散布体41にて散布される被散布物Aの散布方向および散布幅が変更可能な構成でもよい。すなわち図12に示す散布機1では、軸保持部用シリンダ51の作動に基づく散布体41の向き(平面視でフライホイール45の軸部45aの軸方向に沿った方向である基準向き)の変更により散布体41にて散布される被散布物Aの散布方向が機体2の移動方向に対して左右に変更可能になっているとともに、散布体41の往復回動角度(振れ角度)の変更により散布体41にて散布される被散布物Aの散布幅が変更可能になっている。
【0058】
なお、例えば図示しないが、前記第1の実施の形態と前記第2の実施の形態との組合せにより、散布体11にて散布される被散布物Aの散布方向が移動方向に対して左右に変更可能になっているとともに、散布体11にて散布される被散布物Aの散布幅が変更可能になっている構成等でもよい。
【0059】
また、いずれの実施の形態においても、トラクタTからの情報に基づいて散布体11,41にて散布される被散布物Aの散布方向等が自動的に変更される構成について説明したが、例えばトラクタTの運転席に乗った作業者が手動操作する構成や、作業者がリモコン操作手段の操作ボタン等を操作することに基づいて散布体11,41にて散布される被散布物Aの散布方向等が変更される構成等でもよい。
【0060】
さらに、シャッタ用シリンダ10や覆い体用シリンダ21等の各駆動手段は、油圧式のシリンダには限定されず、モータ、電動シリンダ、電動油圧シリンダ等でもよい。
【0061】
また、被散布物Aが圃場に均一に散布されるように、散布体11,41にて散布される被散布物Aの散布幅の変更に対応して、シャッタ9の動作により収容体6の排出用開口部8の開口量が変更する構成でもよい。すなわち散布幅の増大に応じて排出用開口部8の開口量が大きくなり、散布幅の縮小に応じて排出用開口部8の開口量が小さくなるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る散布機の概略側面図である。
【図2】同上散布機の要部平面図である。
【図3】散布機による作業説明図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る散布機の要部平面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る散布機の概略側面図である。
【図6】同上散布機の散布方向の変更を示す説明図である。
【図7】同上散布機の要部側面図である。
【図8】同上散布機の要部正面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る散布機の散布幅の変更を示す説明図である。
【図10】同上散布機の要部側面図である。
【図11】同上散布機の要部正面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係る散布機の要部正面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 散布機
6 収容体
11,41 散布体
A 被散布物
T 走行車であるトラクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車の走行により圃場を移動しながら、被散布物を圃場に散布する散布機であって、
被散布物が収容される収容体と、
この収容体からの被散布物を散布する散布体とを備え、
前記散布体にて散布される被散布物の散布方向が左右に変更可能になっている
ことを特徴とする散布機。
【請求項2】
走行車の走行により圃場を移動しながら、被散布物を圃場に散布する散布機であって、
被散布物が収容される収容体と、
この収容体からの被散布物を散布する散布体とを備え、
前記散布体にて散布される被散布物の散布幅が変更可能になっている
ことを特徴とする散布機。
【請求項3】
走行車の走行により圃場を移動しながら、被散布物を圃場に散布する散布機であって、
被散布物が収容される収容体と、
この収容体からの被散布物を散布する散布体とを備え、
前記散布体にて散布される被散布物の散布方向が左右に変更可能になっているとともに、前記散布体にて散布される被散布物の散布幅が変更可能になっている
ことを特徴とする散布機。
【請求項4】
走行車からの情報に基づいて、散布体にて散布される被散布物の散布方向が自動的に左右に変更される
ことを特徴とする請求項1または3記載の散布機。
【請求項5】
走行車からの情報に基づいて、散布体にて散布される被散布物の散布幅が自動的に変更される
ことを特徴とする請求項2または3記載の散布機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−22263(P2010−22263A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186887(P2008−186887)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】