説明

散布装置

【課題】ポンプセットを利用すると共に蓋を立てるというように蓋の収容領域を小さくしながら、蓋の取扱性の向上を図ることができる散布装置を提供する。
【解決手段】台車2に、液体を貯留するタンク3が搭載されると共に、タンク3より上に、液体をタンク3から送り出すためのポンプセット4が搭載された散布装置1において、ポンプセット4を、タンク3に液体を投入するための投入口17の後方に隣接して配置し、ポンプセット4におけるタンク3の投入口17側に、タンク3の投入口17に取り付けられる蓋19を立てて収容する収容空間xを形成することで、投入口17から外した蓋19を当該投入口17の後方に設けられた収容空間xに立てて収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台車に、液体を貯留するタンクが搭載されると共に、このタンクより上に、ポンプ及びこれを駆動する原動機を有し液体をタンクから送り出すためのポンプセットと、ポンプに接続された液体散布用のホースを巻き取るためのホースリールとが搭載された散布装置が知られている(例えば、非特許文献1参照)。この散布装置にあっては、その使用状態の一例に示されているように、タンク上に、前端側から、タンクに液体を投入するタンクの投入口、ホースリール及びポンプセットがこの順で配置されている。
【非特許文献1】意匠1250385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来の散布装置にあっては、タンクの投入口に取り付けられる蓋を置く場所がない。そのため、蓋を外す度に蓋を載置する場所を探さなければならず、液体(薬剤)を投入するための一連の動作に支障をきたすことがある。また、蓋を置く場所によっては、蓋に汚れやゴミが付着する虞があり、ゴミ等が付着したまま蓋を閉めた場合には、タンク内の液体に異物が混入する原因となる。このように、上記従来の散布装置にあっては、蓋の取扱性が悪いという問題があった。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、タンクの投入口の蓋の取扱性の向上を図ることができる散布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による散布装置(1)は、台車(2)に、液体を貯留するタンク(3)が搭載されると共に、タンク(3)より上に、ポンプ(20)及びこれを駆動する原動機(22)を有し液体をタンク(3)から送り出すためのポンプセット(4)が搭載された散布装置(1)において、ポンプセット(4)は、当該ポンプセット(4)が有するポンプ台(25)を介して台車(2)に搭載されると共に、タンク(3)に液体を投入するための投入口(17)の後方に隣接して配置されており、ポンプセット(4)におけるタンク(3)の投入口(17)側には、タンク(3)の投入口(17)に取り付けられる蓋(19)を立てて収容する収容空間(x)が設けられていることを特徴とする。
【0006】
この散布装置(1)によれば、ポンプセット(4)は、当該ポンプセット(4)が有するポンプ台(25)を介して台車(2)に搭載されると共に、タンク(3)に液体を投入するための投入口(17)の後方に隣接して配置されており、ポンプセット(4)におけるタンク(3)の投入口(17)側には、タンク(3)の投入口(17)に取り付けられる蓋(19)を立てて収容する収容空間(x)が設けられているので、投入口(17)から外した蓋(19)を当該投入口(17)の後方に設けられた収容空間(x)に立てて収容することができる。従って、ポンプセット(4)を利用すると共に蓋(19)を立てるというように蓋(19)の収容領域を小さくしながら、液体を投入するための一連の動作を円滑に行うことができると共に、蓋(19)に汚れやゴミが付着しタンク(3)内の液体に混入するといった問題を解消することができ、蓋(19)の取扱性の向上を図ることができる。
【0007】
ここで、ポンプセット(4)は、原動機(22)に電力を供給すると共に、ポンプセット(4)において投入口(17)側から出入口(4a)を通して出し入れされるバッテリ(23)を備えており、収容空間(x)は、ポンプ台(25)の前面から前側に突出する突出部(29)により形成され、突出部(29)は、L字状を成し対向する一対のステー(29a,29b)を有し、一対のステー(29a,29b)は、ポンプセット(4)の出入口(4a)よりも下側において、互いのステー(29a,29b)の先端部同士が向かい合うように対向し且つ台車(2)の幅方向に離間すると共に、その基端部がポンプ台(25)の前面に連結されていることが好ましい。このような構成を採用した場合、一対のステー(29a,29b)の先端部同士の間に間隙が存在するため、バッテリ(23)を出し入れする際に、作業者の手が間隙を通して出し入れでき、一対のステー(29a,29b)に干渉することがないため、一対のステー(29a,29b)が邪魔にならない。また、一対のステー(29a,29b)がバッテリ(23)が出し入れされる出入口(4a)よりも下側に設けられているので、ポンプセット(4)から取り外したバッテリ(23)を一対のステー(29a,29b)上に載置することができ、バッテリ(23)の置き場所としても利用できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポンプセットを利用すると共に蓋を立てるというように蓋の収容領域を小さくしながら、蓋の取扱性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る散布装置の好適な実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る散布装置の外観を示す斜視図、図2は、図1に示す散布装置の側面図である。
【0010】
図1及び図2に示すように、散布装置1は、移動可能な台車2と、液体を貯留するタンク3と、液体をタンク3から送り出すためのポンプセット4と、液体を散布するホース5を巻き取るためのホースリール6とを備えている。ここで、液体としては、例えば薬剤が用いられる。以下、各部について詳細に説明する。
【0011】
台車2は、タンク3、ポンプセット4及びホースリール6を移動するためのものであり、パイプ状のフレーム2aから構成されたフレーム構造となっている。この台車2には、当該台車2を移動可能にするための一対の車輪7及び一対のキャスタ8が回動自在に取り付けられている。一対の車輪7は、台車2の前側(図示左側)に取り付けられており、一対のキャスタ8は、台車2の後側(図示右側)に取り付けられている。そして、キャスタ8の上部には、荷物等を収容可能な収容カゴ9が設けられている。
【0012】
また、台車2には、この台車2と一体形成されたハンドル10が設けられている。このハンドル10は、台車2の後側、すなわちキャスタ8側の上方に設けられており、後方且つ斜め上方に突出している。このハンドル10は、水平を成し作業者に把持される把手部11と、当該把手部11の両端部及びフレーム2aを連結する一対の連結部12a,12bとを有しており、コ字状を成している。
【0013】
さらに、図1に示すように、ハンドル10の一対の連結部12a,12b間には、把手部11と平行に上下に離間し一対の連結部12a,12bを繋ぐレール13,14が設けられている。このレール13,14には、レール13,14の軸線方向(左右方向)に沿って移動(摺動)可能でありホース5が通されたホースガイド15が支持されている。このホースガイド15は、図1に示すように、矩形状の開口16を有しており、この開口16にホース5が通されている。
【0014】
タンク3は、台車2のフレーム2aに囲われるように搭載されている。このタンク3には、タンク3内へ液体を投入するための投入口17と、タンク3内の液体を排出するための排出口18とが設けられている。投入口17は、前側上部に設けられ、この投入口17には、当該投入口17を塞ぐための蓋19が着脱可能に取り付けられている。また、排出口18は、前側下部に設けられ、この排出口18には、蓋20が取り付けられている。そして、タンク3には、図2に示すように、その側面にタンク3内の液体残量を示す目盛Mが付されている。
【0015】
また、タンク3は、後述するホースリール6が配置される側の端部の上部にへこみ部3aを有する。このへこみ部3aは、円形状のホースリール6の形状に合わせて、タンク3の上部の角部が取られて湾曲するように凹状にえぐれている。これにより、ホースリール6は、ポンプセット4が配置されている位置のタンク3の上面よりも下側に入り込んで配置されている。
【0016】
ホースリール6は、ホース5の巻き取り及び繰り出しを行うもので、前述したように、タンク3のへこみ部3aより上に配置されており、ホース5を巻き取る軸27、軸受28を介して台車2(フレーム2a)に回動自在に搭載されている。また、ホースリール6には、ホース5を巻き取るためのハンドル(図示しない)が取り付けられている。
【0017】
ポンプセット4は、図1及び図2に示すように、ポンプ21と、原動機22と、バッテリ23とを備え、原動機22及びバッテリ23は、カバー24によって覆われている。このポンプセット4は、タンク3より上に配置されており、当該ポンプセット4が有するポンプ台25を介して台車2(フレーム2a)に搭載されている。
【0018】
ポンプ21は、ポンプ作用を行うもので、カバー24の側面より突出するように設けられており、その吸入口がタンク3に接続されている。原動機22は、ポンプ21の駆動源となるもので、カバー24の内部に収容されて覆われる。そして、ポンプ21は、原動機22により駆動され、タンク3から液体を排出口に送り出し、この排出口に接続されたホース5に排出する。
【0019】
また、バッテリ23は、原動機22の動力源となるもので、原動機22の下方に設けられている。このバッテリ23は、バッテリケース26内に収容され、このバッテリケース26が、カバー24の下部に形成されて前方(タンク3の投入口17側)に開放された出入口4aを通してカバー24内にスライドして出し入れされる。
【0020】
ここで、特に本実施形態においては、タンク3の投入口17、ポンプセット4及びホースリール6が前側から後側へこの順で配置されており、ポンプセット4は、タンク3の投入口17の後方に隣接して配置されている。
【0021】
そして、ポンプセット4におけるタンク3の投入口17側には、タンク3の投入口17に取り付けられる蓋19を立てて収容する収容空間xが設けられている。
【0022】
具体的には、図1に示すように、収容空間xは、ポンプ台25の前面から前側に突出する突出部29により形成されており、この突出部29は、L字状を成し対向する一対のステー29a,29bを有している。この一対のステー29a,29bは、バッテリ23を出し入れする出入口4aよりも下側において、互いのステー29a,29bの先端部同士が向かい合うように対向し且つ台車2の幅方向に離間すると共に、その基端部がポンプ台25の前面に連結されている。すなわち、ポンプ台25との間に平面視略長方形の蓋19の収容空間xが形成され、且つ、一対のステー29a,29bの先端部間に間隙が形成されるように、一対のステー29a,29bがポンプ台25に設けられている。これにより、図3に示すように、タンク3の投入口17から取り外された蓋19は、一対のステー29a,29bによってポンプ台25との間に形成された収容空間xに差し込まれることで、タンク3の上面に載置され立てた状態で一対のステー29a,29bによって保持される。
【0023】
また、図4に示すように、バッテリケース26(バッテリ23)をポンプセット4から取り出した際に、このバッテリケース26の直ぐ下方の一対のステー29a,29b上にバッテリケース26を載置することもできる。そして、バッテリケース26を出し入れする際、一対のステー29a,29bの先端部同士の間に空隙が形成されているので、作業者の手が一対のステー29a,29bに干渉することがない。
【0024】
このように、本実施形態にあっては、ポンプセット4は、当該ポンプセット4が有するポンプ台25を介して台車2に搭載されると共に、タンク3に液体を投入するための投入口17の後方に隣接して配置されており、ポンプセット4におけるタンク3の投入口17側には、タンク3の投入口17に取り付けられる蓋19を立てて収容する収容空間xが設けられているので、投入口17から外した蓋19を当該投入口17の後方に設けられた収容空間xに立てて収容することができる。従って、ポンプセット4を利用すると共に蓋19を立てるというように蓋19の収容領域を小さくしながら、液体を投入するための一連の動作を円滑に行うことができると共に、蓋19に汚れやゴミが付着しタンク3内の液体に混入するといった問題を解消することができ、蓋19の取扱性の向上を図ることができる。
【0025】
また、本実施形態にあっては、ポンプセット4は、原動機22に電力を供給すると共に、ポンプセット4において投入口17側から出入口4aを通して出し入れされるバッテリ23を備えており、収容空間xは、ポンプ台25の前面から前側に突出する突出部29により形成され、突出部29は、L字状を成し対向する一対のステー29a,29bを有し、一対のステー29a,29bは、ポンプセット4の出入口4aよりも下側において、互いのステー29a,29bの先端部同士が向かい合うように対向し且つ台車2の幅方向に離間すると共に、その基端部がポンプ台25の前面に連結されているので、一対のステー29a,29bの先端部同士の間に間隙が存在し、バッテリ23を出し入れする際に、作業者の手が間隙を通して出し入れでき、一対のステー29a,29bに干渉することがなく、一対のステー29a,29bが邪魔にならない。また、一対のステー29a,29bがバッテリ23が通る出入口4aよりも下側に設けられているので、ポンプセット4から取り外したバッテリ23を一対のステー29a,29b上に載置することができ、バッテリ23の置き場所としても利用できる。これにより、バッテリ23の落下を防止することができる。
【0026】
また、一対のステー29a,29bがバッテリ23が出し入れされる出入口4aの直ぐ下に設けられているので、タンク3の投入口17の蓋19を収容空間xに収納した場合に、図3に示すように、蓋19によってバッテリケース26の前面が覆われることになり、タンク3内に投入口17から液体を投入する際に、液体がバッテリケース26(バッテリ23)にかかることを防止できる。
【0027】
また、タンク3の投入口17から外した蓋19を、毎回決まった位置に収容することで、蓋19の紛失を防止できるといった利点もある。
【0028】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、突出部29をL字状を成し対向する一対のステー29a,29bとし、この一対のステー29a,29bの先端部同士の間に間隙が形成される構成としたが、突出部29は蓋19の収容空間xを形成すればよく、間隙が形成されない形状(例えば、コ字状)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る散布装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示す散布装置の側面図である。
【図3】ポンプ台に設けられたステーによる収容空間に蓋を立てて収納した状態を示す図である。
【図4】ポンプ台に設けられたステーにバッテリを載置した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1…散布装置、2…台車、3…タンク、4…ポンプセット、4a…出入口、17…投入口、19…蓋、20…ポンプ、22…原動機、23…バッテリ、25…ポンプ台、29…突出部、29a,20b…ステー、x…収容空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車(2)に、液体を貯留するタンク(3)が搭載されると共に、当該タンク(3)より上に、ポンプ(20)及びこれを駆動する原動機(22)を有し前記液体を前記タンク(3)から送り出すためのポンプセット(4)が搭載された散布装置(1)において、
前記ポンプセット(4)は、当該ポンプセット(4)が有するポンプ台(25)を介して前記台車(2)に搭載されると共に、前記タンク(3)に液体を投入するための投入口(17)の後方に隣接して配置されており、
前記ポンプセット(4)における前記タンク(3)の前記投入口(17)側には、前記タンク(3)の前記投入口(17)に取り付けられる蓋(19)を立てて収容する収容空間(x)が設けられていることを特徴とする散布装置(1)。
【請求項2】
前記ポンプセット(4)は、前記原動機(22)に電力を供給すると共に、前記ポンプセット(4)において前記投入口(17)側から出入口(4a)を通して出し入れされるバッテリ(23)を備えており、
前記収容空間(x)は、前記ポンプ台(25)の前面から前側に突出する突出部(29)により形成され、
前記突出部(29)は、L字状を成し対向する一対のステー(29a,29b)を有し、
前記一対のステー(29a,29b)は、前記ポンプセット(4)の前記出入口(4a)よりも下側において、互いのステー(29a,29b)の先端部同士が向かい合うように対向し且つ前記台車(2)の幅方向に離間すると共に、その基端部が前記ポンプ台(25)の前面に連結されていることを特徴とする請求項1記載の散布装置(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−155186(P2010−155186A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333911(P2008−333911)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】