散薬供給装置
【課題】振動フィーダによる散薬の落下供給が終了したことを的確に判断できながらも、次の作業工程へ直ちに移行することができる散薬供給装置を提供する。
【解決手段】検出手段5により経時的に検出される検出データのうちの予め設定された周期で複数の検出データを取り込み、それら取り込んだ複数の検出データの平均値を算出していく平滑化手段13と、算出された移動平均値が閾値以下又は閾値未満であることを判別するための判別手段14と、判別手段14により移動平均値が閾値以下又は閾値未満であることが判別されたときの出力信号に基づいて、次の作業工程に移行するための移行手段15とを備えた。
【解決手段】検出手段5により経時的に検出される検出データのうちの予め設定された周期で複数の検出データを取り込み、それら取り込んだ複数の検出データの平均値を算出していく平滑化手段13と、算出された移動平均値が閾値以下又は閾値未満であることを判別するための判別手段14と、判別手段14により移動平均値が閾値以下又は閾値未満であることが判別されたときの出力信号に基づいて、次の作業工程に移行するための移行手段15とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホッパーからの散薬を振動フィーダにより送り出した後、該振動フィーダの下方に配置した回転テーブルに散薬を落下供給させ、前記振動フィーダから落下供給される散薬を検出手段により検出するように構成された散薬供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の散薬供給装置は、一定速度で回転する回転テーブルに備えた環状の凹溝に、振動フィーダにより散薬を落下供給し、その落下供給される散薬を発光部と受光部とからなる光学式のセンサにより検出し、その検出信号に基づいて散薬の排出量を算出することができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、前記センサからの検出信号に基づいて散薬の供給が終了したと判断し、次の作業工程(例えば残薬処理を行う工程)へ移行する制御も行われている。具体的には、散薬供給装置に備える制御装置が、センサからの検出信号が予め設定された閾値を下回ったことを確認すると、その時点からタイマーなどにより所定時間(例えば10秒)が経過したことを確認し、確認が終わると、次の作業工程へと移行するようにしている。尚、前記閾値は、散薬の供給が終了したことを判断するために設定されるものであるため、値の大きさとしては十分に小さな値に設定されている。
【0004】
因みに、センサからの検出信号が予め設定された閾値を下回ると、次の作業工程へ直ちに移行させると、次のような不都合が発生する。
つまり、センサの検出値が、散薬によって経時的に大きく変動して閾値を下回ってしまうことがある。このため、散薬の供給中であるにもかかわらず、誤って次の作業工程へ移行してしまうことになるため、前記のようにタイマーなどにより所定時間が経過するまで次の作業工程へ移行できないようにすることで誤検出を回避することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3761912号公報(図1、段落0037参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成によれば、閾値を下回ってから、タイマーを用いて余分な時間(例えば10秒)を計測しなければならず、次の作業工程に移行するまでに時間がかかる不都合があった。
また、タイマーを用いて所定の時間(例えば10秒)を計測している間に、例えば振動フィーダに残っている散薬の塊が落下することがある。この場合、落下する散薬の塊をセンサが検出すると、塊の大きさによっては、閾値を上回る検出信号をセンサが出力してしまうことがあり、その時点から再度所定時間の計測をやり直すことになり、更に時間がかかるものであり、改善の余地があった。
因みに、振動フィーダに残っている散薬の塊をセンサで検出したときの値が閾値を上回らないように閾値を大きく設定することも考えられるが、次のような不都合が発生する。
つまり、振動フィーダを流れ難い散薬やセンサが検知しにくい黒色の散薬などの散薬の性状によって、振動フィーダからの落下供給が行われているときのセンサの検出値が閾値よりも低くなる場合がある。このように振動フィーダからの落下供給が終わっていないにもかかわらず、センサの検出値が閾値よりも低くなると、所定時間の計測が終われば、次の作業工程に移行してしまうことになる。従って、閾値を不必要に大きく設定することができない。
【0007】
そこで、本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであって、その解決しようとするところは、振動フィーダによる散薬の落下供給が終了したことを的確に判断できながらも、次の作業工程へ直ちに移行することができる散薬供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明の散薬供給装置は、前述の課題解決のために、散薬を送り出すための振動フィーダと、該振動フィーダにより送り出された散薬が落下供給される回転テーブルと、前記振動フィーダから落下供給される散薬を検出するための検出手段とを備えた散薬供給装置であって、前記検出手段により経時的に検出される検出データのうちの予め設定された周期で複数の検出データを取り込み、それら取り込んだ複数の検出データを平滑化して平滑化データを算出していく平滑化手段と、前記平滑化データが閾値以下又は閾値未満であることを判別するための判別手段と、該判別手段により平滑化データが閾値以下又は閾値未満であることが判別されたときの出力信号に基づいて、次の作業工程に移行するための移行手段とを備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、平滑化手段により検出データを平滑化することによって、散薬の性状によって検出手段からの検出値が大きく変動する場合でも、振動フィーダで落下供給している落下供給中に、算出された平滑化データが閾値以下又は閾値未満になることを回避することができる。従って、振動フィーダで落下供給している落下供給中に次の作業工程に移行するといった誤動作がないから、その平滑化データが閾値以下又は閾値未満になったことを判別手段で判別すると、移行手段により次の作業工程へ直ちに移行することができる。尚、次の作業工程への移行後に、振動フィーダに残っている散薬の塊が落下し、それを検出手段が検出したとしても、移行した作業が中断されるようなことはない。
【0009】
また、本発明の散薬供給装置は、前記平滑化データのうちのピーク値を特定するピーク値特定手段を備え、該ピーク値特定手段によりピーク値が特定された時点から前記判別手段による判別を開始してもよい。
【0010】
上記のように、ピーク値が特定された時点から判別手段による判別を開始する構成にしておけば、特に散薬の落下供給が開始された落下供給量が少ない時期に、平滑化データが閾値以下又は閾値未満になった場合でも、判別手段による判別が開始されることがない。このため、誤って次の作業工程に移行するといった誤動作を確実に回避することができる信頼性の高い散薬供給装置を提供することができる。
【0011】
また、本発明の散薬供給装置は、前記ピーク値特定手段により特定されたピーク値の0割から2割までの範囲の任意の値を前記閾値としてもよい。
【0012】
上記のように、ピーク値特定手段により特定されたピーク値の0割から2割までの範囲の任意の値を閾値とする構成にしておけば、検出手段が光学式センサで構成されている場合に、例えば色の違いにより検出値が異なる場合(一般的に黒色の散薬が白色の散薬に比べて検出しにくい)でも、ピーク値に応じて閾値を設定することができるので、例えば散薬の落下供給中に、閾値以下又は閾値未満になってしまい、誤って次の作業工程に移行するといった誤動作を確実に回避することができ、精度よく判別手段による判別を行うことができる。
【0013】
前記平滑化手段は、平滑化データとして、前記複数の検出データの移動平均値を算出していく構成であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明における散薬供給装置にあっては、平滑化データを算出することによって、平滑化データが閾値以下又は閾値未満になることがないから、平滑化データが閾値以下又は閾値未満になった時点で、移行手段により次の作業工程へ直ちに移行することができる。従って、従来のようにタイマーにより所定時間をカウントする時間が不要になり、しかも判別手段で判別して次の作業工程へ直ちに移行するから、移行後に振動フィーダに残っている散薬の塊を検出手段により検出することもないから、閾値を適正な値に設定して精度の良い制御を行うことができる。もって、振動フィーダによる散薬の落下供給が終了したことを的確に判断できながらも、次の作業工程へ直ちに移行することができる散薬供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る散薬供給装置の一実施形態を示す概略側面図である。
【図2】同散薬供給装置を組み込んだ薬剤分包装置の一部を省略した斜視図である。
【図3】散薬供給装置の制御ブロック図である。
【図4】落下供給される第1の散薬を検出装置により検出したときのグラフである。
【図5】散薬供給装置の制御を示すフローチャートである。
【図6】多量の散薬が堆積された状態の散薬供給装置の概略側面図である。
【図7】散薬供給装置の第2の制御ブロック図である。
【図8】落下供給される第2の散薬を検出装置により検出したときのグラフである。
【図9】散薬供給装置の第2の制御を示すフローチャートである。
【図10】図8よりも供給量を少なくした第2の散薬を検出装置により検出したときのグラフである。
【図11】散薬供給装置の第3の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る散薬供給装置の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本実施形態における散薬供給装置1を示している。この散薬供給装置1は、ホッパー2からの散薬を送り出すための振動フィーダ3と、振動フィーダ3により送り出された散薬が落下供給される回転テーブル4と、振動フィーダ3の排出口3Aから落下供給される散薬を検出するための検出手段5とを備えている。
【0017】
振動フィーダ3は、図示していない振動部を備えており、振動部を駆動することにより散薬を図1において左側に送り出すようにしている。
【0018】
検出手段5は、発光部と受光部とを備えた光センサからなり、発光部から照射された光が落下供給される散薬に当たって反射し、その反射光を受光部で受光したときの光量と受光時間とに基づいて後述する制御部Uが散薬の落下供給量を算出することになる。
【0019】
回転テーブル4は、図2にも示すように、縦軸6回りに回転自在に構成されたドーナツ状の板部材からなり、振動フィーダ3からの散薬を堆積させるための環状の凹溝4Aを形成している。
【0020】
振動フィーダ3の排出口3Aが、回転テーブル4の凹溝4Aの外側から内側に移動して凹溝4Aに散薬の山の高さが均一になるように、振動フィーダ3の先端部を首振り自在に構成する又は振動フィーダ3全体を移動させる構成とすることが好ましい。尚、振動フィーダ3の排出口3Aが、回転テーブル4の凹溝4Aの内側から外側に移動する構成であってもよい。排出口3Aの移動に連動して光センサも一体的に移動できるようにそれらをユニット化して実施することが好ましい。
【0021】
図2では、ホッパー2を省略した散薬供給装置を組み込んだ薬剤分包装置の一部を示している。
この薬剤分包装置は、振動フィーダ3から凹溝4Aに堆積した散薬7の山を一包分ずつ切り出すべく横軸8回りに回転自在な切出装置9と、切出装置9で切り出した散薬7を受け入れるように配置されたホッパー10とを備えている。尚、ホッパー10の下端開口部11から排出された散薬は、図示していない分包紙に受け入れられ、その分包紙は、シール装置により一包ずつに分包するべく熱融着されるようになっている。
【0022】
散薬供給装置1は、図3に示すように、検出手段5からの検出信号に基づいて、ロータリソレノイド12及び振動フィーダ3の駆動を制御するコンピュータなどでなる制御部Uを備えている。
【0023】
制御部Uには、検出手段5により経時的に検出される検出データ(センサ値)のうちの予め設定された周期で複数の検出データを取り込み、それら取り込んだ複数の検出データを平滑化して平滑化データを算出していく平滑化手段13と、算出された平滑化データが閾値A未満(又は閾値以下)であることを判別するための判別手段14と、判別手段14により移動平均値が閾値A未満(又は閾値以下)であることが判別されたときの出力信号に基づいて、次の作業工程に移行するための移行手段15とを備えている。平滑化とは、データのばらつきを小さくすることをいう。具体的は、後述するようにデータを平均化すること、あるいは、他のデータよりも大きく離れているデータを除去すること、を含む。
【0024】
また、制御部Uには、平滑化手段13により算出される移動平均値のうちのピーク値を特定するピーク値特定手段16を備えている。そして、ピーク値特定手段16によりピーク値が特定された時点から判別手段14による判別を開始するように構成している。
【0025】
図4は、乳糖という散薬を振動フィーダ3により回転テーブル4に落下供給したときの検出手段5により散薬を検出したときのデータであり、横軸に時間(sec)を取り、縦軸にセンサ値(単位なし)を取ったグラフである。グラフにおいて細線21が加工していないセンサ値であり、太線22が平滑化手段13にてセンサ値の移動平均を取った移動平均値である。そして、ピーク値特定手段16により特定されたピーク値P1が650である。また、閾値Aは、散薬の供給が終了したことを判別するために設定されることから十分に低い値に設定される。ここでは、前記ピーク値P1の650に対して1割の65を閾値Aとして設定しているが、ピーク値P1の0割から2割までの範囲の任意の値であってもよいが、ピーク値P1の0割を超える値から2割までの任意の値が好ましい。
【0026】
図4に示すように、特にセンサ値が大きく変動するような散薬の場合には、移動平均値を算出しないセンサ値(細線21の値)のうちの低い値が閾値Aよりも下回っているが、前記のように移動平均値を算出することにより、全てのセンサ値が閾値Aを下回ることがなくなり、散薬の落下供給中に次の作業工程に移行することを回避できる利点がある。
【0027】
前記のように構成された制御部Uによりロータリソレノイド12及び振動フィーダ3の駆動を制御する制御方法を図5のフローチャートに基づいて説明する。
例えば、スイッチが押されて制御を開始すると、散薬の落下供給(振り撒きとも言う)が開始されたか否かを判別する(ステップS1)。この判別は、検出手段5が設定量以上の散薬を検出したかどうかにより判別することになる。振り撒きが開始されると、センサ値(検出値)の平均化処理を行う(ステップS2)。ここでいう平均化処理とは、前述したように平滑化手段13により取り込んだ複数の検出データの平均値を算出していく処理である。具体的には、2秒間に検出される1番目の検出データから10番目までの10個の検出データの総和を個数10で割って平均値を算出し、次に一番古い1番目の検出データを捨てて2番目の検出データから新たに検出される一番新しい11番目の検出データまでの10個の検出データの総和を個数10で割って平均値を算出し、このような算出を繰り返し行い、検出データがなくなるまでこの平均化処理を続ける。特に、平均化するために総和を取る検出データの個数は、10個に限定されるものではなく、複数であれば何個であってもよい。
【0028】
そして、一回目のセンサ値(検出値)の平均化処理が終了すると、ピーク値特定手段16によりピーク値を特定することになるが、一回目のセンサ値(検出値)の平均化処理後では、ピーク値が存在しないため、平均化された一回目の値をピーク値として記憶する。二回目以降の平均化された値は、記憶されているピーク値と比較し、ピーク値未満であるか否かを判別する(ステップS3)。平均化処理された値がピーク値以上である場合には、その値をピーク値として更新する(ステップS4)。これを繰り返しながら、平均化された値がピーク値未満になると、散薬の落下供給量が減ってきたと判断し、平均化された値が前記設定された閾値A(65)未満であるか否かを判別する(ステップS5)。そして、平均化された値が閾値A未満になると、散薬の落下供給が終了したと判断し、制御を終了するとともに、移行手段15により次の作業工程に直ちに移行する。図4において、時間が68秒の時点22Aが閾値A未満になった時点であり、この時点22Aで次の作業工程に移行することになる。
【0029】
次の作業工程は、具体的には、図3に示すように、ロータリソレノイド12を駆動してホッパー2を叩くことでホッパー2内に残っている散薬を振動フィーダ3に排出するとともに、振動フィーダ3の振動を最大にして残った散薬を回転テーブル4に確実に落下供給させるための残薬処理を行う工程である。
【0030】
ところで、回転テーブル4に供給される散薬の量が多くなると、回転テーブル4に堆積する散薬7の山の高さが高くなる。このような状況において、図6に示すように、回転テーブル4に近い位置(低い位置)に配置された光センサ5からの照射光が高くなった散薬7の山に当たってしまい、その散薬7の山からの反射光を受光してしまう。この反射光の検出値を見ると、図8において時間が130秒の地点20Aで、前記設定した閾値Aよりも高い値になり、その状態が続いてしまうことから、散薬7が落下供給されていると制御部Uが誤認識してしまい、次の作業工程に移行することができない不都合が発生する。つまり、図5の制御方法では、閾値A(散薬の供給が終了したことを認識するために設定された低い値)よりも散薬7の山の高さが高くなる場合には、次の作業工程には移行できないことになる。
【0031】
前記不都合を解消するべく、図7に示すように制御部Uを構成している。
つまり、前記と同一構成の平滑化手段13と、算出された移動平均値が閾値B未満(又は閾値以下)であり、かつ、安定状態であることを判別するための安定状態判別手段17と、安定状態判別手段17により移動平均値が閾値B未満(又は閾値以下)であり、かつ、安定状態であることが判別されたときの出力信号に基づいて、次の作業工程に移行する前記と同一構成の移行手段15とを備えている。前記閾値Bは、散薬の供給が減って散薬の落下供給が終了する終了領域に入ったかどうかを認識するための値であるため、同図の閾値Aよりも当然高い値に設定され、しかも散薬の山を検出したときのセンサ値よりも高い値に設定されることになる。従って、センサ値が閾値B未満になることにより散薬の落下供給量が所定量減ったと認識し、散薬の落下供給が終了する終了領域に入ったことを認識することができるようになっている。この終了領域に入ると、散薬の山を検出したかどうかを、安定状態であることを判別することで認識できるようにしている。
【0032】
図4では、散薬の検出データが閾値Aよりも下回る場合があるため、平滑化手段13を設けることによって、散薬の落下供給中に次の作業工程に移行することを回避できるようにしたが、図8の散薬の検出データが、図4で示した散薬の検出データに比べて、変動量が非常に小さく安定しているデータであるため、平滑化手段13を省略して実施することもできる。この場合、安定状態判別手段17が、散薬の検出データが閾値B未満(又は閾値以下)であり、かつ、安定状態であることを判別する手段となる。
【0033】
また、制御部Uには、平滑化手段13により算出される移動平均値のうちのピーク値を特定するピーク値特定手段18を備えている。そして、ピーク値特定手段18によりピーク値が特定された時点から移動平均値安定状態判別手段17による判別を開始するように構成している。図8では、カマグという散薬を落下供給した場合のグラフを示している。図8は、横軸に時間(sec)を取り、縦軸にセンサ値(単位なし)を取ったグラフである。グラフにおいて細線19が加工していないセンサ値であり、太線20が平滑化手段13にて移動平均を取った移動平均値である。そして、ピーク値特定手段18により特定されたピーク値P1が2400であり、このピーク値2400に対してほぼ5割5分の1300を閾値Bに設定しているが、ピーク値の2割から6割までの範囲の任意の値であってもよい。
【0034】
この制御部Uによりロータリソレノイド12及び振動フィーダ3の駆動を制御する方法を、図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
図5と同様に、例えば、スイッチが押されて制御を開始すると、散薬の落下供給(振り撒き)が開始されたか否かを判別する(ステップS6)。この判別は、検出手段5が設定量以上の散薬を検出したかどうかにより判別することになる。振り撒きが開始されると、センサ値(検出値)の平均化処理を行う(ステップS7)。ここでいう平均化処理とは、前述したように平滑化手段13により取り込んだ複数の検出データの平均値を算出していく処理であり、詳細説明を省略する。
【0035】
そして、一回目のセンサ値(検出値)の平均化処理が終了すると、前述と同様に、ピーク値特定手段18によりピーク値を特定することになるが、一回目のセンサ値(検出値)の平均化処理では、ピーク値がないため、平均化された値をピーク値として記憶する。二回目以降の平均化された値は、記憶されているピーク値と比較し、ピーク値未満であるか否かを判別する(ステップS8)。平均化処理された値がピーク値以上である場合には、その値をピーク値として更新する(ステップS9)。これを繰り返しながら、平均化された値がピーク値未満になると、散薬の落下供給量が減ってきたと判断し、平均化された値が前記設定された閾値B未満であるか否かを判別する(ステップS10)。そして、平均化された値が閾値未満になると、安定であるか否かを判別する(ステップS11)。安定ではないと判別されると、平均化処理(S7)に戻る。これに対して、安定であると判別されると、散薬の山を検出していると判別し、制御を終了するとともに、移行手段15により次の作業工程に直ちに移行する。前記安定と判断する基準は、算出された移動平均値のうちの連続する複数(例えば5個としているが、複数個であれば何個でもよい)の移動平均値が同一(又はほぼ同一)となる状態になることである。
【0036】
次の作業工程は、前述と同様に、図7に示すように、ロータリソレノイド12を駆動してホッパー2を叩くことでホッパー2内に残っている散薬を振動フィーダ3に排出するとともに、振動フィーダ3の振動を最大にして残った散薬を回転テーブル4に確実に落下供給させるための残薬処理を行うようにしている。
【0037】
図10では、図8と同じ散薬を用い、図8では散薬の山が閾値Aよりも高い位置にある場合を示したのに対して、図10では散薬の山が閾値Aよりも低い場合を示している。つまり、時間が130秒の時点20Bでのセンサ値が閾値Aよりも小さい値になっている場合である。図11のフローチャートで、図8の散薬の山を検出した場合の対処方法と図10の散薬の山を検出していない場合の対処方法のいずれも対処できる制御方法を示している。
【0038】
その制御を行うための制御部は、検出手段5により経時的に検出される検出データ(センサ値)のうちの予め設定された周期で複数の検出データを取り込み、それら取り込んだ複数の検出データの平均値を算出していく前記平滑化手段13と、算出された移動平均値が閾値B未満(以下)でかつ閾値A以上であり(又は越えており)の範囲にあり、かつ、安定状態であることを判別する第1判別手段と、該移動平均値が閾値A未満(又は閾値以下)であることを判別する第2判別手段と、前記第1判別手段及び第2判別手段からの出力信号に基づいて、次の作業工程に移行するための移行手段15とを備えている。
つまり、第1判別手段により移動平均値が閾値B未満(以下)でかつ閾値A以上であり(又は越えており)の範囲にあり、かつ、安定状態であることを判別すると、移行手段15により次の作業工程に移行し、また第2判別手段により移動平均値が閾値A未満(又は閾値以下)であると判別すると、移行手段15により次の作業工程に移行する。
【0039】
次に、前記制御部の制御方法について説明すれば、図9と同様に、例えば、スイッチが押されて制御を開始すると、散薬の落下供給(振り撒き)が開始されたか否かを判別する(ステップS12)。この判別は、検出手段5が設定量以上の散薬を検出したかどうかにより判別することになる。振り撒きが開始されると、センサ値の平均化処理を行う(ステップS13)。ここでいう平均化処理とは、前述したように平滑化手段13により取り込んだ複数の検出データの平均値を算出していく処理であり、前述と同様である。
【0040】
そして、一回目のセンサ値(検出値)の平均化処理が終了すると、ピーク値特定手段18によりピーク値を特定することになるが、一回目のセンサ値(検出値)の平均化処理では、ピーク値がないため、平均化された値をピーク値として記憶する。二回目以降の平均化された値は、記憶されているピーク値と比較し、ピーク値未満であるか否かを判別する(ステップS14)。平均化処理された値がピーク値以上である場合には、その値をピーク値として更新する(ステップS15)。これを繰り返しながら、平均化された値がピーク値未満になると、散薬の落下供給量が減ってきたと判断し、平均化された値が前記設定された閾値B未満であるか否かを判別する(ステップS16)。
【0041】
そして、平均化された値が閾値B未満になると、安定であるか否かを判別する(ステップS17)。安定ではないと判別されると、平均化された値が閾値Bよりも低い値に設定されている閾値A未満であるか否かを判別し、閾値A未満でない場合には、平均化処理(S13)に戻る。
これに対して、安定であると判別されると、前述同様に、散薬の山を検出していると判別し、制御を終了するとともに、移行手段15により次の作業工程に直ちに移行する。また、平均化された値が閾値A未満であると判別されると、振り撒きが終了したと判断して、制御を終了するとともに、移行手段15により次の作業工程に直ちに移行する。
【0042】
要するに、図11のフローチャートは、散薬の山を検出している場合には、山を検出しているものと判別し、また、平均化された値が閾値A未満になると、振り撒きが終わったと判別する。従って、いずれの場合にも直ちに次の作業工程に移行することができるように構成している。
【0043】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0044】
前記実施形態では、閾値A,Bを平均化された値のピーク値から求めるようにしたが、予め設定した値(散薬毎に設定された値であってもよいし、散薬とは無関係に設定した値)であってもよい。また、センサの発光部や受光部のレンズが汚れている場合には、その検出値(センサ値)が汚れていないときのセンサの検出値と異なってしまい、閾値との整合が取れなくなる。このため、閾値をセンサの検出値(センサ値)の誤差に応じて補正した値にすることによって、センサの検出値と閾値との整合が取れた状態にして実施することが好ましい。つまり、レンズの汚れに無関係となるように、検出前のセンサの発光部と受光部の出力値を把握し、それらの値を閾値A,Bに加えた値を閾値として設定する。
【0045】
また、前記実施形態において、制御する散薬はどのような散薬であってもよく、例えば図4で示した散薬と図8で示した散薬とを入れ替えて制御を行うこともできる。
【0046】
また、前記実施形態では、検出手段として光センサ5を用いたが、超音波センサなどを用いてもよい。なお、センサの検出値の誤差が所定値を超えると、警告するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…散薬供給装置、2…ホッパー、3…振動フィーダ、3A…排出口、4…回転テーブル、4A…凹溝、5…検出手段(光センサ)、6…縦軸、7…散薬、8…横軸、9…切出装置、10…ホッパー、11…下端開口部、12…ロータリソレノイド、13…平滑化手段、14…判別手段、15…移行手段、16,18…ピーク値特定手段、17…安定状態判別手段、19,21…細線、20,22…太線、20A,20B,22A…地点、A,B…閾値、P1…ピーク値、U…制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホッパーからの散薬を振動フィーダにより送り出した後、該振動フィーダの下方に配置した回転テーブルに散薬を落下供給させ、前記振動フィーダから落下供給される散薬を検出手段により検出するように構成された散薬供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の散薬供給装置は、一定速度で回転する回転テーブルに備えた環状の凹溝に、振動フィーダにより散薬を落下供給し、その落下供給される散薬を発光部と受光部とからなる光学式のセンサにより検出し、その検出信号に基づいて散薬の排出量を算出することができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、前記センサからの検出信号に基づいて散薬の供給が終了したと判断し、次の作業工程(例えば残薬処理を行う工程)へ移行する制御も行われている。具体的には、散薬供給装置に備える制御装置が、センサからの検出信号が予め設定された閾値を下回ったことを確認すると、その時点からタイマーなどにより所定時間(例えば10秒)が経過したことを確認し、確認が終わると、次の作業工程へと移行するようにしている。尚、前記閾値は、散薬の供給が終了したことを判断するために設定されるものであるため、値の大きさとしては十分に小さな値に設定されている。
【0004】
因みに、センサからの検出信号が予め設定された閾値を下回ると、次の作業工程へ直ちに移行させると、次のような不都合が発生する。
つまり、センサの検出値が、散薬によって経時的に大きく変動して閾値を下回ってしまうことがある。このため、散薬の供給中であるにもかかわらず、誤って次の作業工程へ移行してしまうことになるため、前記のようにタイマーなどにより所定時間が経過するまで次の作業工程へ移行できないようにすることで誤検出を回避することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3761912号公報(図1、段落0037参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成によれば、閾値を下回ってから、タイマーを用いて余分な時間(例えば10秒)を計測しなければならず、次の作業工程に移行するまでに時間がかかる不都合があった。
また、タイマーを用いて所定の時間(例えば10秒)を計測している間に、例えば振動フィーダに残っている散薬の塊が落下することがある。この場合、落下する散薬の塊をセンサが検出すると、塊の大きさによっては、閾値を上回る検出信号をセンサが出力してしまうことがあり、その時点から再度所定時間の計測をやり直すことになり、更に時間がかかるものであり、改善の余地があった。
因みに、振動フィーダに残っている散薬の塊をセンサで検出したときの値が閾値を上回らないように閾値を大きく設定することも考えられるが、次のような不都合が発生する。
つまり、振動フィーダを流れ難い散薬やセンサが検知しにくい黒色の散薬などの散薬の性状によって、振動フィーダからの落下供給が行われているときのセンサの検出値が閾値よりも低くなる場合がある。このように振動フィーダからの落下供給が終わっていないにもかかわらず、センサの検出値が閾値よりも低くなると、所定時間の計測が終われば、次の作業工程に移行してしまうことになる。従って、閾値を不必要に大きく設定することができない。
【0007】
そこで、本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであって、その解決しようとするところは、振動フィーダによる散薬の落下供給が終了したことを的確に判断できながらも、次の作業工程へ直ちに移行することができる散薬供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明の散薬供給装置は、前述の課題解決のために、散薬を送り出すための振動フィーダと、該振動フィーダにより送り出された散薬が落下供給される回転テーブルと、前記振動フィーダから落下供給される散薬を検出するための検出手段とを備えた散薬供給装置であって、前記検出手段により経時的に検出される検出データのうちの予め設定された周期で複数の検出データを取り込み、それら取り込んだ複数の検出データを平滑化して平滑化データを算出していく平滑化手段と、前記平滑化データが閾値以下又は閾値未満であることを判別するための判別手段と、該判別手段により平滑化データが閾値以下又は閾値未満であることが判別されたときの出力信号に基づいて、次の作業工程に移行するための移行手段とを備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、平滑化手段により検出データを平滑化することによって、散薬の性状によって検出手段からの検出値が大きく変動する場合でも、振動フィーダで落下供給している落下供給中に、算出された平滑化データが閾値以下又は閾値未満になることを回避することができる。従って、振動フィーダで落下供給している落下供給中に次の作業工程に移行するといった誤動作がないから、その平滑化データが閾値以下又は閾値未満になったことを判別手段で判別すると、移行手段により次の作業工程へ直ちに移行することができる。尚、次の作業工程への移行後に、振動フィーダに残っている散薬の塊が落下し、それを検出手段が検出したとしても、移行した作業が中断されるようなことはない。
【0009】
また、本発明の散薬供給装置は、前記平滑化データのうちのピーク値を特定するピーク値特定手段を備え、該ピーク値特定手段によりピーク値が特定された時点から前記判別手段による判別を開始してもよい。
【0010】
上記のように、ピーク値が特定された時点から判別手段による判別を開始する構成にしておけば、特に散薬の落下供給が開始された落下供給量が少ない時期に、平滑化データが閾値以下又は閾値未満になった場合でも、判別手段による判別が開始されることがない。このため、誤って次の作業工程に移行するといった誤動作を確実に回避することができる信頼性の高い散薬供給装置を提供することができる。
【0011】
また、本発明の散薬供給装置は、前記ピーク値特定手段により特定されたピーク値の0割から2割までの範囲の任意の値を前記閾値としてもよい。
【0012】
上記のように、ピーク値特定手段により特定されたピーク値の0割から2割までの範囲の任意の値を閾値とする構成にしておけば、検出手段が光学式センサで構成されている場合に、例えば色の違いにより検出値が異なる場合(一般的に黒色の散薬が白色の散薬に比べて検出しにくい)でも、ピーク値に応じて閾値を設定することができるので、例えば散薬の落下供給中に、閾値以下又は閾値未満になってしまい、誤って次の作業工程に移行するといった誤動作を確実に回避することができ、精度よく判別手段による判別を行うことができる。
【0013】
前記平滑化手段は、平滑化データとして、前記複数の検出データの移動平均値を算出していく構成であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明における散薬供給装置にあっては、平滑化データを算出することによって、平滑化データが閾値以下又は閾値未満になることがないから、平滑化データが閾値以下又は閾値未満になった時点で、移行手段により次の作業工程へ直ちに移行することができる。従って、従来のようにタイマーにより所定時間をカウントする時間が不要になり、しかも判別手段で判別して次の作業工程へ直ちに移行するから、移行後に振動フィーダに残っている散薬の塊を検出手段により検出することもないから、閾値を適正な値に設定して精度の良い制御を行うことができる。もって、振動フィーダによる散薬の落下供給が終了したことを的確に判断できながらも、次の作業工程へ直ちに移行することができる散薬供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る散薬供給装置の一実施形態を示す概略側面図である。
【図2】同散薬供給装置を組み込んだ薬剤分包装置の一部を省略した斜視図である。
【図3】散薬供給装置の制御ブロック図である。
【図4】落下供給される第1の散薬を検出装置により検出したときのグラフである。
【図5】散薬供給装置の制御を示すフローチャートである。
【図6】多量の散薬が堆積された状態の散薬供給装置の概略側面図である。
【図7】散薬供給装置の第2の制御ブロック図である。
【図8】落下供給される第2の散薬を検出装置により検出したときのグラフである。
【図9】散薬供給装置の第2の制御を示すフローチャートである。
【図10】図8よりも供給量を少なくした第2の散薬を検出装置により検出したときのグラフである。
【図11】散薬供給装置の第3の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る散薬供給装置の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本実施形態における散薬供給装置1を示している。この散薬供給装置1は、ホッパー2からの散薬を送り出すための振動フィーダ3と、振動フィーダ3により送り出された散薬が落下供給される回転テーブル4と、振動フィーダ3の排出口3Aから落下供給される散薬を検出するための検出手段5とを備えている。
【0017】
振動フィーダ3は、図示していない振動部を備えており、振動部を駆動することにより散薬を図1において左側に送り出すようにしている。
【0018】
検出手段5は、発光部と受光部とを備えた光センサからなり、発光部から照射された光が落下供給される散薬に当たって反射し、その反射光を受光部で受光したときの光量と受光時間とに基づいて後述する制御部Uが散薬の落下供給量を算出することになる。
【0019】
回転テーブル4は、図2にも示すように、縦軸6回りに回転自在に構成されたドーナツ状の板部材からなり、振動フィーダ3からの散薬を堆積させるための環状の凹溝4Aを形成している。
【0020】
振動フィーダ3の排出口3Aが、回転テーブル4の凹溝4Aの外側から内側に移動して凹溝4Aに散薬の山の高さが均一になるように、振動フィーダ3の先端部を首振り自在に構成する又は振動フィーダ3全体を移動させる構成とすることが好ましい。尚、振動フィーダ3の排出口3Aが、回転テーブル4の凹溝4Aの内側から外側に移動する構成であってもよい。排出口3Aの移動に連動して光センサも一体的に移動できるようにそれらをユニット化して実施することが好ましい。
【0021】
図2では、ホッパー2を省略した散薬供給装置を組み込んだ薬剤分包装置の一部を示している。
この薬剤分包装置は、振動フィーダ3から凹溝4Aに堆積した散薬7の山を一包分ずつ切り出すべく横軸8回りに回転自在な切出装置9と、切出装置9で切り出した散薬7を受け入れるように配置されたホッパー10とを備えている。尚、ホッパー10の下端開口部11から排出された散薬は、図示していない分包紙に受け入れられ、その分包紙は、シール装置により一包ずつに分包するべく熱融着されるようになっている。
【0022】
散薬供給装置1は、図3に示すように、検出手段5からの検出信号に基づいて、ロータリソレノイド12及び振動フィーダ3の駆動を制御するコンピュータなどでなる制御部Uを備えている。
【0023】
制御部Uには、検出手段5により経時的に検出される検出データ(センサ値)のうちの予め設定された周期で複数の検出データを取り込み、それら取り込んだ複数の検出データを平滑化して平滑化データを算出していく平滑化手段13と、算出された平滑化データが閾値A未満(又は閾値以下)であることを判別するための判別手段14と、判別手段14により移動平均値が閾値A未満(又は閾値以下)であることが判別されたときの出力信号に基づいて、次の作業工程に移行するための移行手段15とを備えている。平滑化とは、データのばらつきを小さくすることをいう。具体的は、後述するようにデータを平均化すること、あるいは、他のデータよりも大きく離れているデータを除去すること、を含む。
【0024】
また、制御部Uには、平滑化手段13により算出される移動平均値のうちのピーク値を特定するピーク値特定手段16を備えている。そして、ピーク値特定手段16によりピーク値が特定された時点から判別手段14による判別を開始するように構成している。
【0025】
図4は、乳糖という散薬を振動フィーダ3により回転テーブル4に落下供給したときの検出手段5により散薬を検出したときのデータであり、横軸に時間(sec)を取り、縦軸にセンサ値(単位なし)を取ったグラフである。グラフにおいて細線21が加工していないセンサ値であり、太線22が平滑化手段13にてセンサ値の移動平均を取った移動平均値である。そして、ピーク値特定手段16により特定されたピーク値P1が650である。また、閾値Aは、散薬の供給が終了したことを判別するために設定されることから十分に低い値に設定される。ここでは、前記ピーク値P1の650に対して1割の65を閾値Aとして設定しているが、ピーク値P1の0割から2割までの範囲の任意の値であってもよいが、ピーク値P1の0割を超える値から2割までの任意の値が好ましい。
【0026】
図4に示すように、特にセンサ値が大きく変動するような散薬の場合には、移動平均値を算出しないセンサ値(細線21の値)のうちの低い値が閾値Aよりも下回っているが、前記のように移動平均値を算出することにより、全てのセンサ値が閾値Aを下回ることがなくなり、散薬の落下供給中に次の作業工程に移行することを回避できる利点がある。
【0027】
前記のように構成された制御部Uによりロータリソレノイド12及び振動フィーダ3の駆動を制御する制御方法を図5のフローチャートに基づいて説明する。
例えば、スイッチが押されて制御を開始すると、散薬の落下供給(振り撒きとも言う)が開始されたか否かを判別する(ステップS1)。この判別は、検出手段5が設定量以上の散薬を検出したかどうかにより判別することになる。振り撒きが開始されると、センサ値(検出値)の平均化処理を行う(ステップS2)。ここでいう平均化処理とは、前述したように平滑化手段13により取り込んだ複数の検出データの平均値を算出していく処理である。具体的には、2秒間に検出される1番目の検出データから10番目までの10個の検出データの総和を個数10で割って平均値を算出し、次に一番古い1番目の検出データを捨てて2番目の検出データから新たに検出される一番新しい11番目の検出データまでの10個の検出データの総和を個数10で割って平均値を算出し、このような算出を繰り返し行い、検出データがなくなるまでこの平均化処理を続ける。特に、平均化するために総和を取る検出データの個数は、10個に限定されるものではなく、複数であれば何個であってもよい。
【0028】
そして、一回目のセンサ値(検出値)の平均化処理が終了すると、ピーク値特定手段16によりピーク値を特定することになるが、一回目のセンサ値(検出値)の平均化処理後では、ピーク値が存在しないため、平均化された一回目の値をピーク値として記憶する。二回目以降の平均化された値は、記憶されているピーク値と比較し、ピーク値未満であるか否かを判別する(ステップS3)。平均化処理された値がピーク値以上である場合には、その値をピーク値として更新する(ステップS4)。これを繰り返しながら、平均化された値がピーク値未満になると、散薬の落下供給量が減ってきたと判断し、平均化された値が前記設定された閾値A(65)未満であるか否かを判別する(ステップS5)。そして、平均化された値が閾値A未満になると、散薬の落下供給が終了したと判断し、制御を終了するとともに、移行手段15により次の作業工程に直ちに移行する。図4において、時間が68秒の時点22Aが閾値A未満になった時点であり、この時点22Aで次の作業工程に移行することになる。
【0029】
次の作業工程は、具体的には、図3に示すように、ロータリソレノイド12を駆動してホッパー2を叩くことでホッパー2内に残っている散薬を振動フィーダ3に排出するとともに、振動フィーダ3の振動を最大にして残った散薬を回転テーブル4に確実に落下供給させるための残薬処理を行う工程である。
【0030】
ところで、回転テーブル4に供給される散薬の量が多くなると、回転テーブル4に堆積する散薬7の山の高さが高くなる。このような状況において、図6に示すように、回転テーブル4に近い位置(低い位置)に配置された光センサ5からの照射光が高くなった散薬7の山に当たってしまい、その散薬7の山からの反射光を受光してしまう。この反射光の検出値を見ると、図8において時間が130秒の地点20Aで、前記設定した閾値Aよりも高い値になり、その状態が続いてしまうことから、散薬7が落下供給されていると制御部Uが誤認識してしまい、次の作業工程に移行することができない不都合が発生する。つまり、図5の制御方法では、閾値A(散薬の供給が終了したことを認識するために設定された低い値)よりも散薬7の山の高さが高くなる場合には、次の作業工程には移行できないことになる。
【0031】
前記不都合を解消するべく、図7に示すように制御部Uを構成している。
つまり、前記と同一構成の平滑化手段13と、算出された移動平均値が閾値B未満(又は閾値以下)であり、かつ、安定状態であることを判別するための安定状態判別手段17と、安定状態判別手段17により移動平均値が閾値B未満(又は閾値以下)であり、かつ、安定状態であることが判別されたときの出力信号に基づいて、次の作業工程に移行する前記と同一構成の移行手段15とを備えている。前記閾値Bは、散薬の供給が減って散薬の落下供給が終了する終了領域に入ったかどうかを認識するための値であるため、同図の閾値Aよりも当然高い値に設定され、しかも散薬の山を検出したときのセンサ値よりも高い値に設定されることになる。従って、センサ値が閾値B未満になることにより散薬の落下供給量が所定量減ったと認識し、散薬の落下供給が終了する終了領域に入ったことを認識することができるようになっている。この終了領域に入ると、散薬の山を検出したかどうかを、安定状態であることを判別することで認識できるようにしている。
【0032】
図4では、散薬の検出データが閾値Aよりも下回る場合があるため、平滑化手段13を設けることによって、散薬の落下供給中に次の作業工程に移行することを回避できるようにしたが、図8の散薬の検出データが、図4で示した散薬の検出データに比べて、変動量が非常に小さく安定しているデータであるため、平滑化手段13を省略して実施することもできる。この場合、安定状態判別手段17が、散薬の検出データが閾値B未満(又は閾値以下)であり、かつ、安定状態であることを判別する手段となる。
【0033】
また、制御部Uには、平滑化手段13により算出される移動平均値のうちのピーク値を特定するピーク値特定手段18を備えている。そして、ピーク値特定手段18によりピーク値が特定された時点から移動平均値安定状態判別手段17による判別を開始するように構成している。図8では、カマグという散薬を落下供給した場合のグラフを示している。図8は、横軸に時間(sec)を取り、縦軸にセンサ値(単位なし)を取ったグラフである。グラフにおいて細線19が加工していないセンサ値であり、太線20が平滑化手段13にて移動平均を取った移動平均値である。そして、ピーク値特定手段18により特定されたピーク値P1が2400であり、このピーク値2400に対してほぼ5割5分の1300を閾値Bに設定しているが、ピーク値の2割から6割までの範囲の任意の値であってもよい。
【0034】
この制御部Uによりロータリソレノイド12及び振動フィーダ3の駆動を制御する方法を、図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
図5と同様に、例えば、スイッチが押されて制御を開始すると、散薬の落下供給(振り撒き)が開始されたか否かを判別する(ステップS6)。この判別は、検出手段5が設定量以上の散薬を検出したかどうかにより判別することになる。振り撒きが開始されると、センサ値(検出値)の平均化処理を行う(ステップS7)。ここでいう平均化処理とは、前述したように平滑化手段13により取り込んだ複数の検出データの平均値を算出していく処理であり、詳細説明を省略する。
【0035】
そして、一回目のセンサ値(検出値)の平均化処理が終了すると、前述と同様に、ピーク値特定手段18によりピーク値を特定することになるが、一回目のセンサ値(検出値)の平均化処理では、ピーク値がないため、平均化された値をピーク値として記憶する。二回目以降の平均化された値は、記憶されているピーク値と比較し、ピーク値未満であるか否かを判別する(ステップS8)。平均化処理された値がピーク値以上である場合には、その値をピーク値として更新する(ステップS9)。これを繰り返しながら、平均化された値がピーク値未満になると、散薬の落下供給量が減ってきたと判断し、平均化された値が前記設定された閾値B未満であるか否かを判別する(ステップS10)。そして、平均化された値が閾値未満になると、安定であるか否かを判別する(ステップS11)。安定ではないと判別されると、平均化処理(S7)に戻る。これに対して、安定であると判別されると、散薬の山を検出していると判別し、制御を終了するとともに、移行手段15により次の作業工程に直ちに移行する。前記安定と判断する基準は、算出された移動平均値のうちの連続する複数(例えば5個としているが、複数個であれば何個でもよい)の移動平均値が同一(又はほぼ同一)となる状態になることである。
【0036】
次の作業工程は、前述と同様に、図7に示すように、ロータリソレノイド12を駆動してホッパー2を叩くことでホッパー2内に残っている散薬を振動フィーダ3に排出するとともに、振動フィーダ3の振動を最大にして残った散薬を回転テーブル4に確実に落下供給させるための残薬処理を行うようにしている。
【0037】
図10では、図8と同じ散薬を用い、図8では散薬の山が閾値Aよりも高い位置にある場合を示したのに対して、図10では散薬の山が閾値Aよりも低い場合を示している。つまり、時間が130秒の時点20Bでのセンサ値が閾値Aよりも小さい値になっている場合である。図11のフローチャートで、図8の散薬の山を検出した場合の対処方法と図10の散薬の山を検出していない場合の対処方法のいずれも対処できる制御方法を示している。
【0038】
その制御を行うための制御部は、検出手段5により経時的に検出される検出データ(センサ値)のうちの予め設定された周期で複数の検出データを取り込み、それら取り込んだ複数の検出データの平均値を算出していく前記平滑化手段13と、算出された移動平均値が閾値B未満(以下)でかつ閾値A以上であり(又は越えており)の範囲にあり、かつ、安定状態であることを判別する第1判別手段と、該移動平均値が閾値A未満(又は閾値以下)であることを判別する第2判別手段と、前記第1判別手段及び第2判別手段からの出力信号に基づいて、次の作業工程に移行するための移行手段15とを備えている。
つまり、第1判別手段により移動平均値が閾値B未満(以下)でかつ閾値A以上であり(又は越えており)の範囲にあり、かつ、安定状態であることを判別すると、移行手段15により次の作業工程に移行し、また第2判別手段により移動平均値が閾値A未満(又は閾値以下)であると判別すると、移行手段15により次の作業工程に移行する。
【0039】
次に、前記制御部の制御方法について説明すれば、図9と同様に、例えば、スイッチが押されて制御を開始すると、散薬の落下供給(振り撒き)が開始されたか否かを判別する(ステップS12)。この判別は、検出手段5が設定量以上の散薬を検出したかどうかにより判別することになる。振り撒きが開始されると、センサ値の平均化処理を行う(ステップS13)。ここでいう平均化処理とは、前述したように平滑化手段13により取り込んだ複数の検出データの平均値を算出していく処理であり、前述と同様である。
【0040】
そして、一回目のセンサ値(検出値)の平均化処理が終了すると、ピーク値特定手段18によりピーク値を特定することになるが、一回目のセンサ値(検出値)の平均化処理では、ピーク値がないため、平均化された値をピーク値として記憶する。二回目以降の平均化された値は、記憶されているピーク値と比較し、ピーク値未満であるか否かを判別する(ステップS14)。平均化処理された値がピーク値以上である場合には、その値をピーク値として更新する(ステップS15)。これを繰り返しながら、平均化された値がピーク値未満になると、散薬の落下供給量が減ってきたと判断し、平均化された値が前記設定された閾値B未満であるか否かを判別する(ステップS16)。
【0041】
そして、平均化された値が閾値B未満になると、安定であるか否かを判別する(ステップS17)。安定ではないと判別されると、平均化された値が閾値Bよりも低い値に設定されている閾値A未満であるか否かを判別し、閾値A未満でない場合には、平均化処理(S13)に戻る。
これに対して、安定であると判別されると、前述同様に、散薬の山を検出していると判別し、制御を終了するとともに、移行手段15により次の作業工程に直ちに移行する。また、平均化された値が閾値A未満であると判別されると、振り撒きが終了したと判断して、制御を終了するとともに、移行手段15により次の作業工程に直ちに移行する。
【0042】
要するに、図11のフローチャートは、散薬の山を検出している場合には、山を検出しているものと判別し、また、平均化された値が閾値A未満になると、振り撒きが終わったと判別する。従って、いずれの場合にも直ちに次の作業工程に移行することができるように構成している。
【0043】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0044】
前記実施形態では、閾値A,Bを平均化された値のピーク値から求めるようにしたが、予め設定した値(散薬毎に設定された値であってもよいし、散薬とは無関係に設定した値)であってもよい。また、センサの発光部や受光部のレンズが汚れている場合には、その検出値(センサ値)が汚れていないときのセンサの検出値と異なってしまい、閾値との整合が取れなくなる。このため、閾値をセンサの検出値(センサ値)の誤差に応じて補正した値にすることによって、センサの検出値と閾値との整合が取れた状態にして実施することが好ましい。つまり、レンズの汚れに無関係となるように、検出前のセンサの発光部と受光部の出力値を把握し、それらの値を閾値A,Bに加えた値を閾値として設定する。
【0045】
また、前記実施形態において、制御する散薬はどのような散薬であってもよく、例えば図4で示した散薬と図8で示した散薬とを入れ替えて制御を行うこともできる。
【0046】
また、前記実施形態では、検出手段として光センサ5を用いたが、超音波センサなどを用いてもよい。なお、センサの検出値の誤差が所定値を超えると、警告するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…散薬供給装置、2…ホッパー、3…振動フィーダ、3A…排出口、4…回転テーブル、4A…凹溝、5…検出手段(光センサ)、6…縦軸、7…散薬、8…横軸、9…切出装置、10…ホッパー、11…下端開口部、12…ロータリソレノイド、13…平滑化手段、14…判別手段、15…移行手段、16,18…ピーク値特定手段、17…安定状態判別手段、19,21…細線、20,22…太線、20A,20B,22A…地点、A,B…閾値、P1…ピーク値、U…制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
散薬を送り出すための振動フィーダと、
該振動フィーダにより送り出された散薬が落下供給される回転テーブルと、
前記振動フィーダから落下供給される散薬を検出するための検出手段とを備えた散薬供給装置であって、
前記検出手段により経時的に検出される検出データのうちの予め設定された周期で複数の検出データを取り込み、それら取り込んだ複数の検出データを平滑化して平滑化データを算出していく平滑化手段と、
前記平滑化データが閾値以下又は閾値未満であることを判別するための判別手段と、
該判別手段により平滑化データが閾値以下又は閾値未満であることが判別されたときの出力信号に基づいて、次の作業工程に移行するための移行手段とを備えたことを特徴とする散薬供給装置。
【請求項2】
前記平滑化データのうちのピーク値を特定するピーク値特定手段を備え、該ピーク値特定手段によりピーク値が特定された時点から前記判別手段による判別を開始することを特徴とする請求項1記載の散薬供給装置。
【請求項3】
前記ピーク値特定手段により特定されたピーク値の0割から2割までの範囲の任意の値を前記閾値とすることを特徴とする請求項2記載の散薬供給装置。
【請求項4】
前記平滑化手段は、平滑化データとして、前記複数の検出データの移動平均値を算出していくことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の薬剤供給装置。
【請求項1】
散薬を送り出すための振動フィーダと、
該振動フィーダにより送り出された散薬が落下供給される回転テーブルと、
前記振動フィーダから落下供給される散薬を検出するための検出手段とを備えた散薬供給装置であって、
前記検出手段により経時的に検出される検出データのうちの予め設定された周期で複数の検出データを取り込み、それら取り込んだ複数の検出データを平滑化して平滑化データを算出していく平滑化手段と、
前記平滑化データが閾値以下又は閾値未満であることを判別するための判別手段と、
該判別手段により平滑化データが閾値以下又は閾値未満であることが判別されたときの出力信号に基づいて、次の作業工程に移行するための移行手段とを備えたことを特徴とする散薬供給装置。
【請求項2】
前記平滑化データのうちのピーク値を特定するピーク値特定手段を備え、該ピーク値特定手段によりピーク値が特定された時点から前記判別手段による判別を開始することを特徴とする請求項1記載の散薬供給装置。
【請求項3】
前記ピーク値特定手段により特定されたピーク値の0割から2割までの範囲の任意の値を前記閾値とすることを特徴とする請求項2記載の散薬供給装置。
【請求項4】
前記平滑化手段は、平滑化データとして、前記複数の検出データの移動平均値を算出していくことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の薬剤供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−235179(P2010−235179A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87105(P2009−87105)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]