説明

整形キャストシステムおよび方法

親水性内側層と、前記親水性内側層に隣接して対向する表面を有し、約0.0006N/cm(1センチメートル当たり60ダイン)未満の見かけ表面エネルギーを有する疎水性外側層と、前記対向する表面の1つに配置された硬化性キャスティング材とを備える整形キャストシステムが提供される。更に、身体部分を固定する方法が提供される。整形キャストキットも提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
整形外科の用途に使用されるキャスティング材には、焼石膏(plaster of Paris)、その変形、および硬化性樹脂系が挙げられる。キャストは、多くの場合負荷支持キャスティング材と皮膚との間に使用されるパディングの軟質層と組み合わせて使用される。ほとんどの焼石膏および硬化性樹脂系は、水又は水性触媒系で硬化される。一般に、硬化は、身体に適用する前にキャスティング材を浸漬ないしは別の方法で水につけることにより行われる。この方法は、皮膚および使用する全てのキャストパディングを結果的に濡らすことになる。使用中、キャストは、水をかけられ、水に浸され、ないしは別の方法で水に暴露される場合があり、下にあるパディングを濡らす結果となる。更に、患者は、キャストの下で発散又は発汗し、キャストの下で多湿な環境を作るおそれがあり、それが微生物の増殖土壌としての役割を可能にし、重大な皮膚損傷をもたらすことがある。従って、湿った場合、キャストパディングをできるだけ素早く完全に乾燥することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
従来のパディング材のキャストで使用される布地には、綿、発泡体、合成物および羊毛が挙げられている。パディング材の主要な機能は、緩衝、充填および断熱である。パディング材の医療用使用には、圧力の付加又は軽減および過剰水分の吸収が挙げられる。しかし、ほとんどのパディング材は、水に浸漬されるとその機能を失う。
【0003】
更に、綿およびポリエステル等の従来のパディング材は、高い見かけ表面エネルギーを有する水吸収剤であり、濡れると圧縮し水を保持する傾向がある。長期間濡れた状態のパディングは、バクテリアおよび菌類等の微生物がこの環境で生存できるため比較的短時間で(例えば、24時間以内)、皮膚刺激、浸軟、感染および不快の原因になる。また、これらの状況は、不潔な臭いを生じる場合がある。ヘアドライヤー等の強制熱風で濡れた状態のキャストを乾燥することは、長時間にわたるわずらわしい方法である。あるいは、種々の形状のプラスチックバッグを使用して、キャストが濡れるのを防止することができるが、それらは、負傷した手足のあらゆる水治療法の使用のさまたげになる。
【0004】
ミクロ孔質フィルム、多孔性でないフィルム、および複合構造体を、皮膚に隣接させるキャストパディングシステムも既知である。当該フィルムは、湿っぽく感じる場合があり患者にとって心地よくない。更に、これらのシステムは多くの場合、自己付着性および/又は嵩高ではなく、手足を包むのに特殊な技術を必要とする。
【0005】
水に暴露しても迅速に乾燥するパディング材を有するキャストシステムを提供することが望ましい。また、当該パディング材は、例えば、入浴中又は水へ恣意的に暴露したときに、キャストを意図的に濡らせることが望ましい。更に、当該パディング材は、患者が非常に快適に着用しおよび/又は臨床医が容易に取付けられることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ヘアドライヤー等の外部乾燥源を必要としない、水で濡らすことができる整形キャストシステムを含む。本発明のキャストシステムでは、必要に応じて、患者は、影響を受けた手足を入浴することができる。本発明のキャストシステムは、多孔質であり患者が着用して非常に快適である。好ましいキャストシステムは、構成材が手足に一度適用されると、キャスティング材が調製され適用される間所定の場所にとどまるので、臨床医は容易にキャストシステムを適用することができる。
【0007】
1つの実施形態において、整形キャストシステムは、親水性内側層と、前記親水性内側層に隣接して対向する表面を有し、約0.0006N/cm(1センチメートル当たり60ダイン)未満の見かけ表面エネルギーを有する疎水性外側層と、対向する表面の1つに配置された硬化性キャスティング材とを備えて提供される。
【0008】
他の実施形態において、身体部分を固定する方法が提供される。方法は、内側層と、約0.0006N/cm(1センチメートル当たり60ダイン)未満の見かけ表面エネルギーを有する前記親水性外側層に隣接して対向する表面を有する疎水性外側層とを含むキャストパディングシステムを適用すること、キャストパディングシステムの対向する表面の1つに硬化性キャスティング材を適用すること、および硬化性キャスティング材を硬化させることを含む。
【0009】
更に他の実施形態では、親水性内側層と、前記親水性内側層に隣接して対向する表面を有し、約0.0006N/cm(1センチメートル当たり60ダイン)未満の見かけ表面エネルギーを有する疎水性外側層と、硬化性キャスティング材とを備える、整形キャストキットが提供される。
【0010】
他の実施形態において、親水性内側層と、前記親水性内側層に隣接して対向する表面を有し、約0.0006N/cm(1センチメートル当たり60ダイン)未満の見かけ表面エネルギーを有する疎水性外側層とを備える、整形キャストキットが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、迅速な乾燥を実証し撥水性が提供される整形積層キャストシステムに関する。本発明の整形キャストシステムは、身体部分に隣接して位置決めされるメリヤス等の材料の第1親水性層を包含する。次に、約0.0006N/cm(1センチメートル当たり60ダイン)未満の見かけ表面エネルギーを有する第2疎水性層が適用される。パディングの疎水性層は、本質的に疎水性であっても又は実質的な化合物で化学的に処理されていてもよく、濡れに耐えおよび/又は伝統的なキャストパディングよりもより素早く完全に乾燥する。本明細書に記載する実質的な化合物(substantive compound)は、通常の使用条件で皮膚浸軟を生じない、迅速に乾燥するキャストを提供するのに必要な程度、キャストパディング上に残るものである。そして、最後に、硬化性キャスティング材が、疎水性層の対向する表面の1つに配置される。
【0012】
パディングの疎水性層は、全体的に浸漬され又は水がパディング内の空隙に機械的に押し込まれても有効である。また、キャストシステムの剛性は、特にキャスティング材が水に対して敏感な場合に、疎水性の迅速に乾燥するキャストパディングを使用し改善できる。
【0013】
1つの実施形態において、身体部分に隣接したパディング材の親水性層が提供される。本明細書で使用するとき、用語「親水性」とは、水に対して親和性を有する材料、すなわち水吸収剤を指す。本明細書に記載するように、AATC118−1983の修正により試験したとき、少なくとも純粋な蒸留水5滴のうち3滴が材料に吸収される場合、材料は親水性と考えられる。本発明の1つの実施形態において、親水性層は、フィルムを使用しない複合構造体である。本明細書で使用するとき、複合構造体は、布地又は連続気泡発泡体から選択される少なくとも2つの層から構成される積層体である。
【0014】
米国特許番号第5,102,711号に記載されたもののようなミクロ孔質膜は、本発明の好ましい材料に比較して、非常に高い多孔性値を有する。より高い多孔性値は、比較的低い多孔性を示す。
【0015】
1つの実施形態において、キャストパディング材の親水性層は、綿、ポリエステル、ナイロン等のポリアミド類、アクリル、レーヨン、親水性であるよう処理されたポリオレフィン類、およびその他の繊維形成材料、並びに不織布、編物、織布、又はメルトブロー繊維構造に形成された繊維ブレンドから製造できる。連続気泡発泡体もここに詳述する必須の多孔性、坪量、および表面エネルギー特性がある限り、親水性層として使用できる。これらの材料は、本質的に親水性であってもよく、又はそれらを親水性にする界面活性剤類、乳化剤類、湿潤剤類、ポリマー類若しくはこれらの組み合わせで処理されてもよい。親水性層は、それを親水性にするため処理されてもよく、又は繊維若しくは発泡体形成材等の親水性構成材で構成されてもよい。
【0016】
哺乳類は、綿、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、絹、羊毛、アクリル、並びに特定の処理がされたポリオレフィン類、および種々のブレンド等の皮膚に隣接した柔軟で高度に多孔質の吸収性布地の感触を好む。本明細書で使用するとき、布地という用語は、少なくとも部分的に連続又は不連続繊維又はフィラメントから形成される編まれた、織られた、および不織の構造体を指す。布地は、管状又は平坦および単一又は多層であってよい。好ましい布地は、管状メリヤスである。これらの布地は、以下の例で記載するように低い多孔性値を有し高度に多孔質である。
【0017】
親水性層は、フィルムを使用しないのが好ましい。本明細書で使用するとき、フィルムは連続シートであり、固体又はミクロ孔質であってもよい。ミクロ孔質フィルムは、しばしば膜と呼ばれる。
【0018】
布地は、蒸気透過だけではなく実際の空気流を可能にするのが好ましい。親水性層に使用される布地は、本明細書に記載するW&L.E.ガーレーデンソメータモデル(W & L. E. Gurley Densiometer Model)4110(ニューヨーク州トロイ(Troy))を使用して試験したとき、一般に60秒未満に74〜76℃および50%相対湿度でパディング材の6.45cm(1平方インチ)単一層を通過する空気100ccの通過として定義される多孔性を有する。好ましくは、布地は30秒未満、より好ましくは15秒未満内、最も好ましくは5秒未満内の多孔性を有する。親水性層により提供される多孔性は、負傷した手足が、熱を消散し、水分を蓄積することなく発散し、濡れても素早く乾燥することを可能にする。
【0019】
坪量は、親水性層として使用される材料の別の特性である。比較的低い坪量の親水性層は、一般に皮膚に最も近い柔軟で軽量で快適な布地、高い空気透過性、少ない絶縁性を提供し、従って着用に涼しく迅速な乾燥を確実にする。特定の実施形態の場合、親水性層は、以下の例で記載する引張り条件で測定したとき、少なくとも50g/M、好ましくは少なくとも100g/M、より好ましくは150g/Mの坪量を有する。特定の実施形態の場合、親水性層は、以下の例で記載する引張り条件で測定したとき、500g/M以下、好ましくは400g/M以下、より好ましくは300g/M以下の坪量を有する。好ましい布地は、以下の例で記載する引張り条件で測定したとき、175〜225g/Mの坪量を有する。
【0020】
パディング材の親水性層は、0.0006N/cm(60ダイン/センチメートル)を超え、好ましくは0.0007N/cm(70ダイン/センチメートル)を超える見かけ表面エネルギーを有する。本発明の整形キャストシステムのパディング材の親水性層は、衣料産業で皮膚に対して従来から使用される全ての親水性材料から作製できる。
【0021】
1つの実施形態において、整形外科キャストシステムのパディング材の親水性層は、エラストマーの不連続コーティングも包含する。不連続コーティングの場合、選択されるエラストマー材の使用のパターンは、米国特許番号第5,948,707号に開示されているように、パディング材上に多方向(例えば、材料の平面に平行および互いに垂直な方向)に異なる摩擦係数を付与するため意図的に方向が非対称であってもよい。この条件は、1つの方向へのより大きい滑りを可能としながらも別の方向への滑りに対する抵抗を増加させることが利益になる、特定の用途に特に望ましい場合がある。
【0022】
エラストマー材は、皮膚又は他の布地表面に接触して使用される場合、必要な把持力と快適さをもたらすよう十分に柔軟であるべきである。典型的に、非滑りでの適用が必要で、直接皮膚に接触するのではなく別の布地との接触を伴う場合、簡単に曲げたり、ねじったり、又は適合させたりできるように低弾性率のエラストマーが必要な場合がある。語句「非滑り」は、本明細書において、一般にヒトの皮膚、他の布地又はその他の表面に接触して使用されるときに、結果として実質的に滑りが減少される、上記したように改善されている表面を有する耐水性、水蒸気透過性布地を説明するために使用される。エラストマー、エラストマーの使用パターンの種類、並びに適用範囲の割合の選択は、発明の材料の具体的な用途毎に当業者によって容易に決定できるであろう。
【0023】
1つの実施形態において、エラストマーの不連続コーティングを有する非滑り親水性層は、約1.0を超える静的摩擦係数を有する種々の形態に作製できる。この「非滑り」材料の静的摩擦係数は、エラストマーの種類、エラストマーで覆われる表面の大きさおよび使用するパターンの種類にもよるが、2.5以上であってよい。親水性層の非滑り表面の摩擦係数は、ニューヨーク州アミチビル(Amityville)のテスティング・マシーンズ社(Testing Machines, Inc.)により製造された試験装置、モニタ/滑りおよび摩擦(Monitor/Slip and Friction)モデル32−06を使用し、ASTM D1894、プラスチックフィルムおよびシーティングの静的および動的摩擦係数の標準試験法(Standard Test Method for Static and Kinetic Coefficients of Friction of Plastic Film and Sheeting)により評価できる。
【0024】
上記したように各種エラストマー類が、異なる空隙部を有する異なるパターン形態の不連続コーティングとして有用であり得る。各種エラストマー類には、熱硬化シリコーン類、縮合硬化シリコーン類、およびRTVシリコーン類等のシリコーン類、ポリウレタン類、クラトン(KRATON)エラストマー類等のブロックコポリマー類、天然ゴム、ポリイソプレン、ネオプレン等が挙げられる。エラストマー類は、意図された用途に対して十分固着する種々の方法により適用されてよい。
【0025】
比較的薄い親水性層は、疎水性層により覆われる。キャストパディングシステムの次にくる層は、互いに対して十分な接着を有し、層を所定の場所に保持する。この接着は、感圧性接着剤を使用するのではなく繊維をかみ合わせる等の機械的な手段により達成されるのが好ましい。疎水性層は、単一層又は多層から形成されてよい。
【0026】
疎水性層は、好ましくは親水性層よりもかなり厚い。本明細書で使用するとき、用語「疎水性」とは、見かけ表面エネルギー試験(Apparent Surface Energy Test)で試験したとき水に対する親和性が不足し、水を忌避し吸収しない傾向の材料を指す。本明細書で使用するとき、疎水性層は、「キャストパディング」と呼ばれる。層(疎水性層および親水性層のいずれであってもよい)はともに、着用時又はキャスト鋸で取り除く際、堅いキャスティング材が皮膚を損傷するのを防止するための有効なパディングを提供する。
【0027】
本発明のキャストパディングは、着用時およびキャスト鋸で取り除く際、患者に対して快適さを提供するよう十分に稠密とすべきである。好ましいキャストパディングは、少なくとも40g/M、好ましくは少なくとも60g/M、最も好ましくは90g/Mの坪量を有する。キャストパディングの坪量は、200g/M以上であってもよい。本発明の好ましいキャストパディング材の多くは、非弾性で比較的脆いため、坪量は完全に緩和したキャストパディング布地の部分を秤量することにより決定すべきである。
【0028】
キャストパディングは、低い表面エネルギーを所有するように処理される。キャストパディングは、撥水性であることに加え、パディングが低い表面エネルギーを所有するとき空隙に押し込まれた水を素早くはじく特性も示す。未処理のパディングは、長時間濡れた状態にとどまり、加熱空気流でさえも乾燥させるのに時間がかかり困難になる。処理されたパディングは、より早く乾燥するが、これは、処理されたパディングが、空隙の水をはじき、繊維等のパディング要素と共同してより少ない水を保持することによる。キャストパディングは、低い表面エネルギーを有することに加え、空気および水蒸気に対して透過性である。
【0029】
キャストパディングは、領域の少なくとも50%が疎水性、より好ましくは領域の75%が疎水性、最も好ましくは領域の90%が疎水性であるように構成すべきである。キャストパディング全体が、疎水性であるのが最も好ましい。
【0030】
1つの実施形態において、整形キャストシステムは、対向する表面を有するキャストパディングの疎水性層を包含する。疎水性は、化学処理によりキャストシステムのキャストパディングに付与されてもよく、それが繊維等のパディングの要素に減少した表面エネルギーを提供する。低い表面エネルギーは、シリコーン類、フッ素性化学物質類、炭化水素類およびこれらの組み合わせ等の実質的な化合物の適用により、パディングに付与できることが見出されている。実質的な化合物は、皮膚に対して刺激がなく、溶液、スプレー、又はプラズマ蒸気によりキャストパディング材に適用できる。
【0031】
あるいは、本質的に疎水性の繊維を使用し、疎水性キャストパディングを形成してもよい。本明細書で使用するとき、本質的に疎水性の繊維は、いかなる仕上げも行わないものであって、0.0005N/cm(50ダイン/cm)未満、好ましくは0.00045N/cm(45ダイン/cm)未満、最も好ましくは0.0004(40ダイン/cm)未満の表面エネルギーを有するものである。本質的に疎水性の繊維は、0.0005N/cm(50ダイン/cm)未満、好ましくは0.00045N/cm(45ダイン/cm)未満、より好ましくは0.0004(40ダイン/cm)未満、最も好ましくは0.00035N/cm(35ダイン/cm)未満の見かけ表面エネルギーを有する布地を形成する。繊維は、フィラメントと同意語である。それは、糸に紡がれてよい天然又は合成の糸様の細長い構造体である。
【0032】
疎水性キャストパディング層はまた、ポリウレタン又はポリ尿素発泡体等の連続気泡発泡体であってもよい。その他の発泡体組成物が好適な場合もある。当該発泡体は、本質的に疎水性であってもよいし、又は本明細書に記載された実質的な化合物で処理されてもよい。それらは、0.0005N/cm(50ダイン/cm)未満、好ましくは0.00045N/cm(45ダイン/cm)未満、より好ましくは0.0004(40ダイン/cm)未満、最も好ましくは0.00035N/cm(35ダイン/cm)未満の見かけ表面エネルギーを所有するはずである。実質的な化合物は、必須の見かけ表面エネルギーに達している限り、発泡体を形成後又は発泡体形成プロセスより前に適用されてもよい。好ましい発泡体は、高度に多孔質であり、15秒未満、好ましくは10秒未満、最も好ましくは5秒未満のガーレー多孔性値を有する。典型的な発泡体は、本明細書において不繊布パディングについて記載したように、測定時1.5〜10mmの厚さであってもよい。好ましい発泡体は、厚さが3〜6mmである。
【0033】
キャストパディングにおける使用に好適な本質的に疎水性の繊維又はフィラメントには、ポリオレフィン類(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリ(4−メチルペンテン)等、並びにこれらの混合物類およびランダム又はブロックコポリマー類)、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられるがこれに限定されない、フッ素化ポリマー類等のハロゲン化ポリオレフィン類が挙げられるが、これらに限定されない。本質的に疎水性の当該繊維の1つが、米国特許番号第6,524,349号に記載されている。これらの布地は、所望により、その感触、加工性、疎水性等を向上させるため種々の仕上げ剤がコーティングされてもよい。
【0034】
本質的に疎水性の繊維又は疎水性の表面を形成するよう処理された繊維で構成されていようがいまいが、キャストパディングは、0.0006N/cm(60ダイン/cm)未満、好ましくは0.0005N/cm(50ダイン/cm)未満、より好ましくは0.0004(40ダイン/cm)未満、最も好ましくは0.0003N/cm(30ダイン/cm)未満の見かけ表面エネルギーを有する。
【0035】
使用時、実質的な化合物は、使用される繊維上に存在し布地を形成してもよいし、又は布地パディング材上にコーティングされ低表面エネルギーを付与してもよい。前記化合物は、一般に少ない量で使用される。好適な量は、布地又はパディングの部当たり0.001〜0.10重量部の有効成分である。好ましい範囲は、0.25〜2.5重量%、すなわち布地又はパディングのグラム当たり0.0025〜0.025グラムの有効成分である。より好ましい範囲は、0.40〜2.5重量%である。なお、撥水性仕上げ剤は、形成後繊維に適用されてもよいし、又は繊維形成時にポリマー溶融物に加えられてもよい。
【0036】
これらの布地若しくはその他の布地、糸、繊維、又はフィラメントは、炭化水素類、シリコーン類、フッ素性化学物質類およびこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない、低表面エネルギーコーティング剤で処理されてもよい。炭化水素忌避処理剤は、少なくとも8個の炭素原子数の少なくとも1つの炭化水素鎖を含むものである。好ましい炭化水素撥水性仕上げ剤には、パラフィン類およびポリオレフィン類が挙げられるがこれらに限定されない炭化水素ワックス;炭化水素ワックス類およびメラミンのベヘン酸エステル;ステアリルメタクリレート/ジエチルアミノエチルメタクリレートコポリマー等の炭化水素ワックス、C8〜C18アルキルメタクリレート/ジエチルアミノエチルメタクリレートコポリマー;並びに「オクトワックス(OCTOWAX)」321(ジョージア州ダルトン(Dalton)のティアルコ・ケミカル社(Tiarco Chemical Co.)からの水性パラフィンワックスエマルション)の水性分散液が挙げられる。他の有用な炭化水素コーティング剤は、ワシントン州シアトル(Seattle)のニクワックス・ノース・アメリカ社(Nikwax North America Inc.)により製造されている。脂肪酸金属塩類等を含む脂肪酸又は脂肪族アルコール類系の界面活性剤類も有用な場合がある。
【0037】
ワックス、米国特許番号第4,595,518号に開示された種類のジエチルアミノエチルメタクリレート/ヘキサデシルメタクリレート/オクタデシルメタクリレートコポリマー、および米国特許番号第4,742,140号に開示されたフルオロアルキルアクリレート/ヘキサデシルメタクリレート/オクタデシルメタクリレート/ビニリデンクロライドコポリマーのブレンド;並びにワックス、ジエチルアミノエチルメタクリレート/ヘキサデシルメタクリレート/オクタデシルメタクリレートコポリマー、米国特許番号第4,595,518号に開示された種類のジエチルアミノエチルメタクリレート/ヘキサデシルメタクリレート/オクタデシルメタクリレートコポリマーおよびフルオロアルキルメタクリレート/ドデシルメタクリレートコポリマー、並びに米国特許番号第6,664,354号および同第6,852,781号に開示された種類の物質のブレンドを含む混合フッ素性化学物質および炭化水素忌避仕上げ剤もまた使用してよい。
【0038】
忌避仕上げ剤の量は、布地に適用される水又はアルコール等の必須の希釈剤と一緒に乾燥および硬化する前にウェットピックアップとして測定される。布地に適用されるウェットピックアップは、未処理のパディング布地を基準にして、一般に20〜300重量%、好ましくは50〜200重量%の範囲である。「ウェットピックアップ」は、添加された未処理の布地の重量%を指す。それは、以下の式:
(ウェット(処理された)重量−ドライ未処理重量)/ドライ未処理重量
により計算される。
【0039】
例えば、ドライで10gで、処理組成物で濡れたとき20gの重量の布地部分は、100%ウェットピックアップを有することになる。
【0040】
典型的に市販の忌避仕上げ剤は、約0.5〜約40重量%の合計有効成分を含有する。シリコーン類の場合、合計有効成分は、40重量%を超えてよい。この発明において、使用される忌避仕上げ剤の有効成分の量は、基材(布地)を基準とした忌避仕上げにおいて一般に、約0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜3重量%の範囲の有効成分となる。
【0041】
本発明の疎水性層の低表面エネルギー層を得るために使用できる好適なフッ素性化学物質類には、天然又は合成の繊維およびフィルムに撥水性および所望により油忌避性を付与する当該技術分野において既知である任意のフッ素性化学物質類が挙げられる。
【0042】
この発明に有用なフッ素性化学物質剤類又は組成物類の部類には、1つ以上のフルオロ脂肪族ラジカルRを含有する化合物類およびポリマー類が挙げられる。広くは、この発明に有用なフッ素性化学物質剤類又は組成物類は、フルオロ脂肪族ラジカル又は基Rを含有するフッ素性化学物質化合物類又はポリマー類を含む。フルオロ脂肪族ラジカルRは、フッ素化され、安定、不活性、非極性で、好ましくは、飽和された一価の部分であり、疎水性のみならずまた疎油性である。それは、直鎖、分枝鎖、又は十分な大きさであればアルキルシクロ脂肪族ラジカル等の環状、又はその組み合わせであってよい。フルオロ脂肪族ラジカル中の骨格鎖には、炭素原子だけに結合するカテナリ二価酸素原子および/又は三価窒素原子を挙げることができる。一般に、Rは、炭素原子数3〜20、好ましくは炭素原子数6〜約12を有し、約40〜78重量%、好ましくは50〜78重量%の炭素結合フッ素を含有することになる。R基の端末部分は、少なくとも1つのトリフルオロメチル基を有し、好ましくは少なくとも3個の完全にフッ素化された炭素原子、例えばCFCFCF−を有する。好ましいR基は、Rがパーフルオロアルキル(perfluroalkyl)C2n+1−である場合のように完全に又は実質的にフッ素化される。
【0043】
そのような化合物類の例には、例えば、フッ素性化学物質ウレタン類、尿素類、エステル類、アミン類(およびそれらの塩類)、アミド類、酸類(およびそれらの塩類)、カルボジイミド類、グアニジン類、アロファネート類、ビウレット類、および2つ又はそれ以上のこれらの基を含有する化合物類、並びにこれらの化合物類のブレンド類が挙げられる。
【0044】
ラジカルを含有する有用なフッ素性化学物質ポリマー類には、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、ポリ(オキシアルキレン)ポリオールオリゴマー類およびポリマー類のアクリレートおよびメタクリレートエステル類等の含フッ素およびフッ素を含まないモノマー類(例えばポリ(オキシエチレン)グリコールジメタクリレート、グリシジルメタクリレート、エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルクロロアセテート、イソプレン、クロロプレン、スチレン、ブタジエン、ビニルピリジン、ビニルアルキルエステル、ビニルアルキルケトン類、アクリルおよびメタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルメタクリレート等)を含んでなる共重合性モノマー類を有するフッ素性化学物質アクリレートおよび/又はメタクリレートモノマー類のコポリマー類が挙げられる。
【0045】
フッ素性化学物質モノマーとともに使用できる各種のコモノマー類の相対量は、一般に実験的に選択され、処理される基材、フッ素性化学物質処理から望まれる特性、すなわち所望の油および/又は撥水性の度合、および基材への適用の方法によって決まる。
【0046】
有用なフッ素性化学物質剤類又は組成物類には、上記したフッ素性化学物質化合物類および/又はポリマー類の各種部類のブレンドが挙げられる。また、フッ素を含まない化合物類を有するこれらのフッ素性化学物質化合物類又は組成物類のブレンド、例えば、N−アシルアジリジン類、又はフッ素を含まないポリマー類、例えばポリ(メチルメタクリレート)およびポリ(メチルメタクリレート−コ−デシルアクリレート)、ポリシロキサン類等のポリアクリレート類。
【0047】
フッ素性化学物質剤類又は組成物類には、湿潤剤類、乳化剤類、溶媒類(水性又は有機性)、染料類、殺生物剤類、充填材類、触媒類、硬化剤類等の非干渉性補助剤類を挙げることができる。最終のフッ素性化学物質剤又は組成物は、この発明に記載する利益を付与するため固体ベースで少なくとも約5重量%、好ましくは少なくとも約10重量%の前記R基形態の炭素結合フッ素を含有すべきである。当該フッ素性化学物質類は、パーフルオロ脂肪族基含有水/油忌避剤類として一般に既知であって市販されており、利用可能な処方では少なくとも5重量%、好ましくは7〜12重量%のフッ素を含有する。
【0048】
パーフルオロ脂肪族チオグリコールとジイソシアネートとの反応により、パーフルオロ脂肪族基含有ポリウレタンが生成される。これらの生成物は、通常繊維処理のための水性分散液に使用される。当該反応生成物は、米国特許番号第4,054,592号に記載されている。
【0049】
好適な化合物類の他の群は、パーフルオロ脂肪族基含有N−メチロール縮合生成物である。これらの化合物類は、米国特許番号第4,477,498号に記載されているが、そこでは、当該生成物の乳化が詳細に扱われている。
【0050】
パーフルオロ脂肪族基含有ポリカルボジイミド(polycarbodimides)は、例えばパーフルオロ脂肪族スルフォアミドアルカノールとポリイソシアネートとを好適な触媒が存在する状態で反応させることにより得られる。この部類の化合物は、それだけで使用できるが、多くの場合、他のR基含有化合物類、特に(コ)ポリマー類とともに使用される。従って、分散液に使用できる化合物類の他の群を記載する。これらの化合物類の中では、フルオロ脂肪族残基を含有する全ての既知のポリマーが使用でき、また、相当するパーフルオロ脂肪族基を含有するポリエステル類およびポリアミド類等の縮合ポリマー類、特にコモノマーとして別のフッ素を含まないビニル化合物類を含有できる、例えばR−アクリレート類およびR−メタクリレート類に基づく(コ)ポリマー類が考えられる。DE−A 2 310 801において、これらの化合物類が詳細に議論されている。R基含有ポリカルボジイミド、並びにこれらの化合物類の互いの組み合わせの製造も詳細に記載されている。
【0051】
前記パーフルオロ脂肪族基含有剤の他に、更にフッ素性化学物質成分、例えば、米国特許番号第4,540,479号のR−基含有グアニジン類、米国特許番号第4,606,737号のR−基含有アロファネート類、および米国特許番号第4,668,406号のR−基含有ビウレット類が使用されてもよい。これらの部類は、概ね組み合わせて使用される。その他には、フルオロアルキル−置換シロキサン類、例えばCF(CFCHO(CHSi(OCが挙げられる。
【0052】
有用な化合物類は、広くは、好ましくは少なくとも4個の炭素原子数、特にそれぞれ4〜14個の原子数を有する1つ以上のパーフルオロ脂肪族残基を示す。代表的なフッ素性化学物質は、溶媒70%と乳化固体フッ素性化学物質ポリマー30%の処方である。処方は、溶媒としてメチルイソブチルケトン11%、エチレングリコール6%および水53%を含む。フッ素性化学物質ポリマーは、ブチルアクリレートと、10/90コポリマーについて米国特許番号第3,816,229号(特に、3欄66〜68行および4欄1〜11行を参照)に記載されたように調製したC17SO(CH)CO−−CCH=CHとの5/95コポリマーの50/50ブレンドである。50/50ブレンドの第2の成分は、1モルの三官能フェニルイソシアネート(PAPIという名称でアップジョン社(Upjohn Company)から入手可能)、2モルのC17N(CHCH)CHCHOH、および1モルの米国特許番号第4,401,780号に記載されたように調製したステアリルアルコール(特に、表I、脚注AのCを参照)から調製されたコポリマーである。使用した乳化剤類は、ポリエトキシレート化第四級アンモニウム化合物(アクゾ・ケミ・アメリカ(Akzo Chemie America)から5%エトクァッド(Ethoquad)18/25という名で入手可能)およびC17SONHCN(CHClとポリエトキシレート化ソルビタンモノオレエート(トウィーン(TWEEN)80という名でICI社(ICI Limited)から入手可能)との7.5%の50/50混合物等の従来の市販の物質である。当該フッ素性化学物質類は、皮膚に対して黄変および特に刺激がなく、加えて優れた長期老化性を有する安定した物品を提供する。
【0053】
代表的なフッ素性化学物質類は、商標表記スコッチガード(SCOTCHGARD)、スコッチーリリース(SCOTCH-RELEASE)、および3Mブランドテクスタイル・ケミカル(3M BRAND TEXTILE CHEMICAL)のもとに入手可能であり、3M社(3M Company)から市販されている。他の市販の材料には、デュポンにより提供されたフルオロテロマー化学材料を使用する材料(デラウェア州ウィルミントンのデュポン・デネマース・アンド・カンパニー(duPont deNemours and Company)から入手可能)が挙げられる。
【0054】
本発明の低表面エネルギー層を得るために使用される好適なシリコーン類には、繊維およびフィルムに撥水性および所望により油忌避性を付与する当該技術分野において既知の任意のシリコーン類が挙げられる。シリコーン流体類は、典型的に、やや低分子量、すなわち約40002〜25,000の直鎖ポリマーから構成される。最も一般的には、ポリマーは、ポリジメチルシロキサン類である。
【0055】
強化熱安定性を有する流体として使用される場合、メチルおよびフェニル基の両方を含有するシリコーンが多くの場合使用される。一般に、フェニル基は、存在する置換基合計数の10〜45%を構成する。当該シリコーンは、一般にメチル−とフェニルクロロシロキサン混合物の加水分解により得られる。織物処理に使用される流体には、それらが架橋され恒久の仕上げを付与するよう反応性基が組み込まれてもよい。通常、これらの流体は、Si−−H結合を含有し(重合系にメチルジクロロシロキサンを含むことにより導入される)、アルカリとともに加熱すると架橋を生成する。
【0056】
好適なシリコーン類の例は、C2−0563等のダウ・コーニング社(Dow-Corning Corporation)およびGE−SS4098等のゼネラル・エレクトリック社(General Electric Corporation)から入手できるものである。特に好ましいシリコーン仕上げ剤が、米国特許番号第5,045,387号に開示されている。
【0057】
それらを疎水性にするため直接化学反応、グラフト等により種々の疎水基を共有結合することにより特定の材料を誘導することも可能である。例えば、綿は、C〜C22カルボン酸又はC〜C22カルボン酸ハロゲン化物と反応し、アルキルエステルを形成できる。
【0058】
この発明の整形キャストシステムの他の利点は、損傷した手足を呼吸可能とする高多孔性である。W&L.E.ガーレーデンソメータモデル(W & L. E. Gurley Densometer Model)4110(ニューヨーク州トロイ(Troy))を使用してキャストパディングの疎水性層の多孔性を試験する。ガーレーデンソメータを使用し測定したとき、キャストパディングの疎水性層が、約15秒未満の多孔性を有することが好ましい。より好ましくは、疎水性層は、約11秒未満の多孔性を有する。
【0059】
図に示すように、図1は、取り巻かれ、封入され、皮膚と硬化性キャスティング材2の間に保護層として備えられたキャストパディング1の疎水性層を示す。硬化性キャスティング材は、整形キャストの負荷支持又は固定構造体として従来から使用されている任意の材料であってよい。例えば、キャスティング材は、硬化性組成物が含浸されている編物、織布若しくは不織布ウェブ、又は連続気泡発泡体から構成されてよい。好適な硬化性組成物には、焼石膏、水硬化性イソシアネート官能プレポリマー類、アクリレート類、水硬化性シリコーンエーテル類、メタクリレート類又はシアノアクリレートエステル類、エポキシ樹脂類、およびビニル樹脂類が挙げられる。硬化性樹脂類には、水硬化、又は熱若しくは光硬化樹脂が挙げられる。好適な当該キャスティング材の1つが、ミネソタ州セントポール(St. Paul)の3M社(3M Company)から商標表記スコッチキャストプラス(SCOTCHCAST PLUS)ブランドのキャスティングテープのもとに入手できる。
【0060】
キャストパディング1の疎水性層は、硬化性キャスティング材2と、多孔質布地、発泡体織布、又はメリヤス等の不繊布カバー3の親水性内側層との間に定置又は封入される。メリヤスは、通常手足に適用され、その後キャストパディングでカバーされる。
【0061】
適用時には、親水性内側層3を患部の手足に適用し、固定される領域の少なくとも一部および好ましくは実質的に全てをカバーする。それに続いて又は同時にキャストパディング2の疎水性層(0.0006N/cm(60ダイン/cm)未満の見かけ表面エネルギーを有する)が、親水性内側層3の上に適用される。追加の材料の層が、所望により疎水性層の前又は後のいずれかに加えられてもよい。最後に、硬化性キャスティング材2又は添木が外面に適用される。好ましいキャスティング材は、スコッチキャストキャスティングテープ(SCOTCHCAST Casting Tape)として商標表記のもとに入手できるような従来の水硬化性ポリウレタンプレポリマーテープ、また焼石膏、ポリカプロラクトン系材料等の熱可塑性材料等である。硬化性キャスティング材は、一般に流動性又は成形性未硬化第1状態から一般に非流動性又は非成形性硬化第2状態への状態変化を受ける全ての種類の材料を指す。
【0062】
本発明は、更にキャストパディングの疎水性層に積層された親水性内側層の積層複合材料である線状および管状製品を意図する。積層は、一緒に供給された単なる多層であってもよいし、又は層が熱若しくは接着剤により固着されていてもよい。熱接着は、熱的エンボス加工、火炎融着等により達成できる。本整形キャストシステムの親水性内側層は、布地が、コーティングされていない領域のその多孔性および疎水性を維持するという前提で、所望により米国特許番号第5,948,707号に記載されたような非滑りエラストマーの不連続コーティングの一方又は両方の主表面に配置されてもよい。
【0063】
本発明の整形キャストシステムは、患者快復期間の水治療法を包含する様々なレジメンにより快適で適している。これにより治療の柔軟性が可能となり、皮膚の長期間の濡れに伴う潜在的な負の副作用を避けるのに役立つ。
【0064】
以下の実施例は、発明を説明するために提供されており、決してそれを限定すると解釈されるべきではない。発明の範囲は、請求項により確定され、実施例又は本明細書での記載により確定されない。
【実施例】
【0065】
試験手順
メリヤス特性の測定
長さ方向に引張る
メリヤス試料(MS02又はMS04のいずれか(ミネソタ州セントポール(St. Paul)の3M社(3M Company))、メリヤス幅公称5.1cm(2インチ)又は10.2cm(4インチ))を測定し、引張らずに緩和状態のまま12.7cm(5インチ)の位置において印をつけ、試験に使用した。試料の重量を測定し、その重量を記録した。
【0066】
その後、試料を長さ方向の各縁部から1.3cm(1/2インチ)の位置で固定し、固定されない長さを10.2cm(4インチ)とした。坪量測定のため、合計固定試料(各末端部で試験領域外に1.3cm(1/2インチ)を有する)の80%は引張られていないので。長さ方向に引張った試料の試料重量を試験試料の重量の80%に調節した。0.45kg(1ポンド)の重りを下部クランプに加え、試料が急に動かないように非常にゆっくり緩やかに手を放した。試料を上部クランプから吊り下げた。
【0067】
それが一定の長さ(通常10秒間待つ)に達した後、引張り長さを記録した。引張られたメリヤスの平均幅を試料の長さに沿って少なくとも4点で測定し、平均引張幅を求めた。これは、負荷状態下で坪量を正確に測定するのに必要であった。
【0068】
引張り面積は、記録された平均幅x記録された引張り長さの生成物の2倍であった。なお、面積は、引張られたチューブの2つの側を考慮し2倍とした点に注意すること。
【0069】
引張り%は、以下の式により計算した。
【0070】
(引張り長さ−緩和長さ)/緩和長さ*100
幅方向の引張り
メリヤス試料(MS02又はMS04のいずれか、メリヤス幅公称5.1cm(2インチ)又は10.2cm(4インチ))を測定し、引張らずに緩和状態のまま5.1cm(2.0インチ)の長さの位置において印をつけ、この試験に使用した。試料の重量を測定し、その重量を記録した。
【0071】
1.27cm(1/2”)直径のロッドを5.1cm(2”)スリーブを介して定置してそれを上部から吊下げ、1.27cm(1/2”)直径x10.2cm(4”)長さのロッドをスリーブの下部で休止した5.1cm(2”)スリーブを介して定置した。試料に触れないようにワイヤを下のロッドの両末端部に接続し、0.45kg(1ポンド)の重りをワイヤから吊下げた。ロッドとワイヤの重量は、55.40gであった。
【0072】
0.45kg(1ポンド)の重りを緩やかにゆっくり放し、試料を急に動かすことなく布地を伸長した。10秒又は引張られた布地を安定させ一定の引張り長さに達する十分な時間後、長さを測定し、メリヤス「幅伸び」として記録した。「幅伸び」は、布地を支持する2つのバーの外側縁部から測定したメリヤスの長さとして得られた。
【0073】
引張られたメリヤスの平均幅は、長さに沿って4点以上で平均引張り幅に達するまで幅を測定することにより決定した。
【0074】
引張られた面積は、記録された平均幅x記録された「幅伸び」の生成物の2倍であった。なお、面積は、引張られたチューブの2つの側を考慮し2倍とした点に注意すること。
【0075】
幅引張り%は、以下の式により計算した。
【0076】
(引張り幅−緩和幅)/緩和幅*100
多孔性
W&L.E.ガーレーデンソメータモデル(W & L. E. Gurley Densometer Model)4110(ニューヨーク州トロイ(Troy))を使用してキャストパディングの疎水性層の多孔性を試験した。「ガーレー」デンソメータ又は貫流時間は、ニューヨーク州トロイのW&L.E.ガーレーにより商標表記「モデル4110」デンソメータのもとに販売されている種類のデンソメータで測定し、それをガーレー−テレダイン(Gurley-Teledyne)感度メータ(Cat. No.4134/4135)で較正し計算した。「ガーレー」デンソメータ時間は、ASTM D726−58に指定されたものと同様の方法で測定した。「ガーレー値」は、空気100ccが124mm(4.88インチ)の水圧で約1平方インチ(645mm)の円形の断面積を有するウェブ試料を通過するのに要する時間であった。試験は、300ccが通過するのに要する時間を3で除し、100ccが試料を通過する時間を求めることにより行った。試験は、温度約23℃、相対湿度50%で行った。
【0077】
不繊布パディングの厚さ
不繊布パディングの厚さをアメス・ベンチ・コンパレータ(Ames Bench Comparator)モデル#2(マサチューセッツ州メルローズ(Melrose))を使用し、以下の手順で測定した。ダイアルマイクロメータは、0.0025cm(0.001インチ)インクリメント単位で較正された0.64cm(0.250インチ)の厚さ範囲を有する。マイクロメータの支持アンビルは、直径5.1cm(2インチ)以上の作業面を有し、圧力接点は、4.05cm(1.596インチ)直径のアルミニウム部分(アメスパート(Ames Part)No.P−500−1.596)であった。パディングのロールを試験用試料として使用した。圧力接点がアンビルとぴったり重なったとき、ダイアル指標を読みゼロに調節した。試料ロールを注意深く広げ、不織布の本来の状態が変わるのを避けた。圧力接点をその縁部から少なくとも0.64cm(1/4インチ)離して試料面に降ろした。その後厚さ指数をマイクロメータから読み上げた。他の指数から少なくとも15.2cm(6インチ)だけ離れた点での厚さの、更に4個の指数を読み上げた。5個の指数が平均され、その結果をパディングの厚さ測定値として記録した。
【0078】
見かけ表面エネルギー試験
表面エネルギーを測定する方法は、以下に記載した変更を用いたAATCC試験法118−1983である。この変更試験法により測定した表面エネルギーは、以後「見かけ」表面エネルギーと呼ぶ。
【0079】
AATCC試験法118−1983は、一連の選択された炭化水素組成物による濡れに対する布地の耐性を評価することにより、布地の表面エネルギーを測定する。炭化水素類は、AATCC118−1983で説明されているが、25℃で約0.00019N/cm(19.8ダイン/センチメートル)〜0.00027N/cm(27.3ダイン/センチメートル)の表面張力の測定値が提供されているにすぎない。この範囲は、布地耐性試験にメタノールと水の各種混合物を使用することにより広げられる。組成物とその代表的な表面張力は、以下の通りである。表面張力は直接測定されるか、又は「化学および物理便覧(Handbook of Chemistry and Physics)、第56版、CRCプレス(Press)、F−42頁およびF−43頁から補間される。表面張力を表1および2に示す。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
試験手順は次の通りである。パディングの試験片を23℃、50%相対湿度で平滑水平な表面上に平らに定置する。最も少ない数の試験液で始める場合を除き、AATC118−1983の方法が使用され、5滴の液体を種々の位置の布地の表面に定置する。5滴のうち3滴が60秒以内に布地に吸い取られた場合、試験は、次のより高い表面張力の流体を使用したと報告される。60秒後表面に少なくとも3滴が残った場合、見かけ表面エネルギーは、使用した最後の2つの液体の間の範囲にある。
【0083】
(実施例1)
キャストパディングシステムは、親水性(水吸収)メリヤスと疎水性(撥水性)不繊布パディングを含む2成分系であった。メリヤスおよび不繊布パディングは、以下を特徴とする。
【0084】
メリヤス
親水性メリヤスを、DAKタイプ40Hポリエステルから製造されノースカロライナ州メイデン(Maiden)のカロライナ・ミルズ社(Carolina Mills Inc.)により供給された、18/1綿カウント紡糸ポリエステル糸から作製した。この糸をチューブ状編み機で編んだ。編物は、緩和(引張らない)状態で測定したとき20横目/2.5cm(インチ)と2.5cm(インチ)当たり17縦目を有していた。メリヤスを5.1cm(2インチ)〜12.7cm(5インチ)の幅の公称緩和幅に編んだ。本明細書に記載したように、5.1cm(2インチ)(MS02)および10.2cm(4インチ)(MS04)の幅特性を測定した。MS02およびMS04メリヤス試料は、ミネソタ州セントポール(St. Paul)の3M社(3M Company)からCat#MS02およびMS04、3Mスコッチキャスト(SCOTCHCAST)ポリエステルメリヤス材料として入手できる。
【0085】
下記の値は、試験した各メリヤス毎に長さ方向の5試料、および試験した各メリヤス毎に幅方向の4試料を試験した結果である。値は、これら試験の平均である。
【0086】
【表3】

【0087】
メリヤスの見かけ表面エネルギー:本明細書に記載した方法により、緩和(引張らない)条件でメリヤスの表面に5滴の脱イオン水を定置した。MS02およびMS04の両方の布地とも5滴全てが布地内に吸い取られた。
【0088】
不繊布パディング:
短繊維をジョージア州コビントン(Covington)のファイバー・ビジョンズ社(FiberVisions Inc)からT190 3.8cm(1.5インチ)ポリプロピレン短繊維として購入した。この繊維は、撥水性シリコーン仕上げおよび下記の特性を有していた。
【0089】
【表4】

【0090】
糸には、結合剤、充填材、および蛍光増白剤を使用しなかった。
【0091】
この繊維を公称5.1cm(2”)、7.6cm(3”)、10.2cm(4”)、および15.2cm(6”)幅のロールに切り離し、不繊布パディングに毛羽立てた。パディングは、以下の特性を有していた。
【0092】
坪量 92.2g/m(8.30g/平方フィート)
引張り強さ 0.05kg/cm(0.3ポンド/インチ)〜0.18kg/cm(1ポンド/線インチ)幅(目標0.09kg/cm(0.5ポンド/線インチ)幅)
厚さ 0.076cm(0.030”)〜0.127cm(0.050”)試験手順の項に記載した手順を使用し測定した。
【0093】
ロール 365.8cm(144”)長ロールは、5.8cm(2.3”)〜7.6cm(3.0”)(目標6.6cm(2.6”))の直径を有する。
【0094】
忌避性試験 試験手順の項に記載した見かけ表面エネルギー法により測定した、0.0003N/cm(30ダイン/cm)未満の表面張力(容量での忌避性65/35メタノール/水溶液)。
【0095】
多孔性 試験手順に記載したように測定した、300ccが通過する0.2〜0.3秒のガーレー値。
【0096】
(実施例2)メリヤス有り又は無しでの濡れ又は乾燥の研究
16人の健康な志願者を使って研究に着手した。研究の目的は、4日4晩の期間にわたるキャスト状態下での皮膚の状態並びにキャスト耐久性を評価することであった。
【0097】
研究ではキャストされた材料の2つの組み合わせを評価した。第1は、疎水性パディング(実施例1に「不繊布パディング」として記載されたシリコーン処理ポリプロピレンキャストパディング15.2cm(6”))とポリエステルメリヤス7.6cm(3”)材料(ミネソタ州セントポール(St. Paul)の3M社(3M Company)からCat#MS03、3Mスコッチキャスト(SCOTCHCAST)ポリエステルメリヤス材料7.6cm(3”)として入手可能)との組み合わせであり、第2は、メリヤスのない同じパディングであった。これらの材料を実施例1に記載した。
【0098】
3Mスコッチキャストプラス(SCOTCHCAST PLUS)EPキャスティングテープ(ミネソタ州セントポールの3M社からスコッチキャスト合成キャスティングテープ10.2cm(4”)として入手可能)を使用し、キャストされた状態の両方の組み合わせで、材料を短脚歩行キャストに構成した。
【0099】
16被験者をランダムな選択により8被験者の2グループに分割し、キャストが取付けられる良好な皮膚の健康を確認するため全てを検査した。キャストは下肢であり、重量を支持するキャストは、各被験者の左脚部に取付けた。キャストされた材料の組み合わせの1つを取付け、続いてスコッチキャストプラスキャスティングテープを取付け、キャスト取付けを完成させたが、それには約30分を要した。キャスト取付け後、被験者を臨床場所で20分間留まり、更に2時間活動レベルを制限するよう依頼した。キャストは、丁度ふくらはぎ中央の上から踵と足までの外周をカバーし、丁度爪先の近位で終了していた。キャストの取付けおよび取外しは、経験に富んだ臨床医によって行われた。キャスティングシューズが被験者毎に与えられキャストの上に着用した。キャストは所定の位置のまま、4日4晩キャストをつけた状態で被験者は入浴しおよび/又は水泳することを促された。研究の5日目にキャストが取り除かれ、経験に富んだ臨床医により皮膚の状態が評価された。
【0100】
浸軟評価は、以下のように確定された。
【0101】
なし=なし=0
軽い=生白く僅かにしわが寄る=1
中程度=皮膚が白く著しくしわが寄る=2
ひどい=皮膚が割れ非常に白い=3
14被験者の軽い又はなしに対して、中程度位の浸軟スコアを有する2被験者があった。
【0102】
両被験者を、浸軟に関してその日のうちに面接した。両被験者は、皮膚状態がキャスト前の状態に戻ったと感じていた。
【0103】
ひどい評価を示した被験者はいなかった。結果は、下の表3に示した。
【0104】
【表5】

【0105】
N−評価レベルの被験者の数;%−この評価を受けたキャストされた被験者の割合
患者の快適さのため追加された親水性メリヤスの付加は、更なる皮膚浸軟を少しも生じなかった。
【0106】
(実施例3)現在使用製品との比較
実施例1のシリコーン処理疎水性キャストパディングおよび実施例1の親水性ポリエステル編みメリヤスを使用し、キャストを構成した。この評価は、9つの評価サイトで実施され、そのうち8つは市販の濡れ可能パディングを使用している又は使用した(ゴア・キャスト・ライナー(GORE Cast Liner)、デラウェア州ニューアーク(Newark)のW.L.ゴア&アソシエイツ(Gore & Associates)から入手可能)。実施例1により作製したシリコーン処理ポリプロピレン不織布キャストパディング材と組み合わせて親水性メリヤスを使用し、各サイトに、少なくとも10短脚部キャストおよび少なくとも10短腕部キャストを適用した。サイトには、それらの現行のシステムを基準にして濡れ又は乾燥の性能を評価する質問表を支給した。
【0107】
質問表の比較部分の評価スケールは、以下の通りであった。
【0108】
1=キャストパディングシステムは、現行の濡れ可能パディングシステムよりも更に悪い。
【0109】
2=キャストパディングシステムは、現行の濡れ可能パディングシステムよりも悪い。
【0110】
3=キャストパディングシステムは、現行の濡れ可能パディングシステムと同じである。
【0111】
4=キャストパディングシステムは、現行の濡れ可能パディングシステムよりもよい。
【0112】
5=キャストパディングシステムは、現行の濡れ可能パディングシステムよりも更によい。
【0113】
キャストは、評価に入る順に番号がつけられる。キャストを取り外すのと同時に各患者に許容格付けが与えられた。評価の結論で質問表は完了する。
【0114】
取り外され得点が記入されたのは合計248キャストであった。得点が記入された248キャストのうち、「3」(現行の濡れ可能パディングシステムと同じ)の評価は5個で、残りは「4」又はより高い得点であった。取り除かれた248キャストのうち「3」より低い得点はなかった。
【0115】
(実施例4)
不織布パディングとして実施例1に記載されたゴア・キャスト・ライナー(GORE Cast Liner)およびキャストパディングの試料を、本明細書に記載したように多孔性について試験した。ゴア・キャスト・ライナー製品は、2つのミクロ孔質フィルム間に挟持された中間発泡体パディング層の複合構造体である。疎水性ミクロ孔質膨張性ポリテトラフルオロエチレン膜フィルムは、水不透過性であるが、水蒸気透過性といわれている。ゴア・キャスト・ライナーの多数の試料を多孔性値について試験すると、全ての試料の多孔性値は、300ccの空気通過の場合、1500秒を超えて測定された(100ccの空気通過の場合<500秒)。疎水性不織布ポリプロピレンパディング(実施例1)の多孔性は、4試験試料以上について、23℃および相対湿度50%で、300cc(0.07〜0.1秒/100cc)を通過させるのに0.2〜0.3秒であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】整形キャストシステムの断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性内側層と、
前記親水性内側層に隣接して対向する表面を有し、約0.0006N/cm(1センチメートル当たり60ダイン)未満の見かけ表面エネルギーを有する疎水性外側層と、
前記対向する表面の1つに配置される硬化性キャスティング材と
を備える、整形キャストシステム。
【請求項2】
前記親水性層が、約0.0006N/cm(1センチメートル当たり60ダイン)を超える見かけ表面エネルギーを有する、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項3】
前記親水性層が、約0.0007N/cm(1センチメートル当たり70ダイン)を超える見かけ表面エネルギーを有する、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項4】
前記親水性層が、織布、不織布、編物布地又は連続気泡発泡体を含む群から選択される、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項5】
前記親水性層にフィルムを使用しない、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項6】
前記親水性層が、複合構造体である、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項7】
前記親水性層が、約60秒未満の多孔性を有する、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項8】
前記親水性層が、約15秒未満の多孔性を有する、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項9】
前記親水性層が、1平方メートル当たり400グラム未満の坪量を有する、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項10】
前記親水性層が、1平方メートル当たり少なくとも100グラムの坪量を有する、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項11】
前記親水性層が、エラストマーの不連続コーティングを有する、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項12】
前記コーティングが、1.0を超える静的摩擦係数を有する、請求項11に記載の整形キャストシステム。
【請求項13】
前記疎水性層が、撥水性パディングを含む、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項14】
前記親水性層が、綿、ポリエステル、ナイロン、アクリル、若しくはレーヨン繊維、又は連続気泡発泡体を含む材料である、請求項13に記載の整形キャストシステム。
【請求項15】
前記材料が疎水性に処理される、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項16】
前記材料が、本質的に疎水性である、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項17】
前記疎水性層が、1平方メートル当たり少なくとも40グラムの坪量を有する、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項18】
前記疎水性層が、約0.0005N/cm(1センチメートル当たり50ダイン)未満の見かけ表面エネルギーを有する、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項19】
前記疎水性層が、約0.0004N/cm(1センチメートル当たり40ダイン)未満の見かけ表面エネルギーを有する、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項20】
前記疎水性層が、実質的な化合物で処理されている、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項21】
前記実質的な化合物が、フッ素性化学物質、シリコーン、又は炭化水素から成る群から選択される、請求項20に記載の整形キャストシステム。
【請求項22】
前記疎水性層が、本質的に疎水性繊維から製作されている、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項23】
前記実質的な化合物が、疎水性層の0.25〜2.5重量%の量で存在する、請求項20に記載の整形キャストシステム。
【請求項24】
前記実質的な化合物が、皮膚に対して刺激がない、請求項20に記載の整形キャストシステム。
【請求項25】
前記疎水性層が、約15秒未満の多孔性を有する、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項26】
前記疎水性層が、約10秒未満の多孔性を有する、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項27】
前記硬化性キャスティング材が、硬化させる化合物が浸透したウェブを含む、請求項1に記載の整形キャストシステム。
【請求項28】
前記硬化化合物が、硬化ポリウレタンである、請求項27に記載の整形キャストシステム。
【請求項29】
前記硬化化合物が、焼石膏である、請求項27に記載の整形キャストシステム。
【請求項30】
親水性内側層と、
約0.0006N/cm(1センチメートル当たり60ダイン)未満の見かけ表面エネルギーを有する前記親水性層に隣接して対向する表面を有する疎水性外側層とを含むキャストパディングシステムを適用し、
前記キャストパディングシステムの前記対向する表面の1つに硬化性キャスティング材を適用し、
前記硬化性キャスティング材を硬化させる
身体部分を固定する方法。
【請求項31】
前記親水性層が、約0.0006N/cm(1センチメートル当たり60ダイン)を超える見かけ表面エネルギーを有する、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項32】
前記親水性層が、約0.0007N/cm(1センチメートル当たり70ダイン)を超える見かけ表面エネルギーを有する、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項33】
前記親水性層が、織布、不織布、編物布地又は連続気泡発泡体を含む群から選択される、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項34】
前記親水性層にフィルムを使用しない、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項35】
前記親水性層が、複合構造体である、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項36】
前記親水性層が、約60秒未満の多孔性を有する、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項37】
前記親水性層が、約15秒未満の多孔性を有する、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項38】
前記親水性層が、1平方メートル当たり400グラム未満の坪量を有する、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項39】
前記親水性層が、1平方メートル当たり少なくとも100グラム未満の坪量を有する、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項40】
前記親水性層が、エラストマーの不連続コーティングを有する、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項41】
前記コーティングが、1.0を超える静的摩擦係数を有する、請求項40に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項42】
前記疎水性層が、撥水性パディングを含む、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項43】
前記親水性層が、綿、ポリエステル、ナイロン、アクリル、若しくはレーヨン繊維、又は連続気泡発泡体を含む群から選択される、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項44】
前記材料が疎水性に処理される、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項45】
前記材料が、本質的に疎水性である、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項46】
前記疎水性層が、1平方メートル当たり少なくとも40グラムの坪量を有する、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項47】
前記疎水性層が、約0.0005N/cm(1センチメートル当たり50ダイン)未満の見かけ表面エネルギーを有する、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項48】
前記疎水性層が、約0.0004N/cm(1センチメートル当たり40ダイン)未満の見かけ表面エネルギーを有する、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項49】
前記疎水性層が、実質的な化合物で処理されている、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項50】
前記実質的な化合物が、フッ素性化学物質、シリコーン、又は炭化水素から成る群から選択される、請求項49に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項51】
前記疎水性層が、本質的に疎水性繊維から製作されている、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項52】
前記実質的な化合物が、疎水性層の0.25〜2.5重量%の量で存在する、請求項49に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項53】
前記実質的な化合物が、皮膚に対して刺激がない、請求項49に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項54】
前記疎水性層が、約15秒未満の多孔性を有する、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項55】
前記疎水性層が、約10秒未満の多孔性を有する、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項56】
前記硬化性キャスティング材が、硬化させる化合物が浸透したウェブを含む、請求項30に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項57】
前記化合物がポリウレタンである、請求項56に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項58】
前記硬化化合物が、焼石膏である、請求項56に記載の身体部分を固定する方法。
【請求項59】
親水性内側層と、
前記親水性内側層に隣接して対向する表面を有し、約0.0006N/cm(1センチメートル当たり60ダイン)未満の見かけ表面エネルギーを有する疎水性外側層と、
硬化性キャスティング材と
を備える、整形キャストキット。
【請求項60】
親水性内側層と、
前記親水性内側層に隣接して対向する表面を有し、約0.0006N/cm(1センチメートル当たり60ダイン)未満の見かけ表面エネルギーを有する疎水性外側層と
を備える、整形キャストキット。

【図1】
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【公表番号】特表2009−509655(P2009−509655A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533535(P2008−533535)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/037553
【国際公開番号】WO2007/038547
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】