説明

整形外科において使用される、挿入/摘出装置及び部品、を含むアッセンブリ

挿入/摘出装置5、22と、骨4の髄内キャビティ内へのそれらの挿入を含んでいる整形外科手術において使用される予備器具2又はプロテーゼ部品と、を含むアッセンブリ1が、記載されている。本発明のアッセンブリ1は、上記予備器具2又はプロテーゼ部品24の、自由端2nは、その中に形成された、第1凹部6、25と、第2凹部7、26と、を有しており、第1凹部6、25は、モジュラーネックの端部と相補的態様で接続でき、第2凹部7、26は、第1凹部6、25の軸と実質的に交差する軸を有しており、装置1は、ハンドル8,23を備えており、ハンドル8,23は、第2凹部7、26の軸と平行な軸を有しており、且つ、第1末端部8t、23r及び第2末端部8s、23sを有しており、第1末端部8t、23rは、上記第1凹部6、25と相補的態様で係合するように形成されており、第2末端部8s、23sは、第1凹部8t、23rと近接しており、且つ、手段10、11、12、13、14、27、28に接続されており、それらの手段は、上記ハンドル8、23に固定されており、且つ、操作される際に、上記第2凹部7、26内に上記部分の同軸挿入を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性疾患や外傷等により損傷を受けた関節に対して、代替用プロテーゼを移植することを目的とした整形外科手術を行うのに、使用されている、挿入/摘出装置の分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
そのような手術を行うために、外科医が、骨(肩、大腿部)の髄内チャネル内に、所定形状のキャビティを骨内に形成する予備器具を、挿入しなくてはならず、且つ、その後、このキャビティ内にプロテーゼを挿入しなくてはならないことが、知られている。
【0003】
これらの予備器具の好例は、ラスプ(rasp)を含んでいる。ラスプは、挿入されるプロテーゼと同じ形状を有しており、且つ、極めて小さな切断エッジで覆われた表面を有している。切断エッジは、上記ラスプが押され且つ適切に操作された場合、削り屑及び/又は破片を取り除くことによって、望ましい形状を備えたキャビティを、形成する。
【0004】
プロテーゼの代わりの例としては、ステムがあり、ステムは、上記キャビティ内に挿入される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
予備器具とプロテーゼ部品との両方は、力によって、髄内チャネル内に導入されなくてはならず、且つ、特に予備器具は、望ましい手術が行われた後に、更に髄内チャネルから摘出されなくてはならない。
【0006】
ラスプの場合には、例えば、ラスプが、プロテーゼと同じ形状を有しており、且つ、それ故、上記手術を行った後に、更には上記切断エッジの存在のせいで、テーパー形状であるので、その内部にラスプが挿入されていた骨に、ラスプがある程度付着したままになっている。それを摘出するためには、骨の一体性にとって不安定であり且つ潜在的に危険でさえあるけん引力が、加えられなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
同様の問題が、プロテーゼのステムの、必要に応じた適用及び摘出に関して存在する。それ故、上記手術の簡単で且つ安全な施行を可能とすることができる装置を、有することができることが、必要である。
【0008】
本発明の主題の発明者は、革新的な解決を提供し、整形外科において使用される挿入/摘出装置及び部品を含む、簡素で且つ機能的なアッセンブリを、考案した。
【0009】
アッセンブリは、予備器具及び/又はプロテーゼ部品の、挿入及び摘出が、注意深く且つ正確な態様で行われることを、可能とする。このアッセンブリにおいて、ハンドルは、異なる大きさの器具又はプロテーゼ部品と一体的に接続できる、という特性を有しており、更に、器具又はプロテーゼから簡単に離して、形成されたキャビティ内にそれらを残すことができ、且つ、それらを摘出できるようにするために、再度、それらと接続できる、という特性を有している。
【0010】
上記アッセンブリの主たる特性は、適用される予備器具又はプロテーゼが、実質的に交差している軸と互いに平行に配置された、2つの凹部を、有していること、を含んでいる。その凹部の内、一方は、プロテーゼのモジュラーネックの端部を収容でき、他方は、長方形状、好ましくは円筒形状、を有する凹部である。本発明の挿入/摘出装置は、以下に、より詳細に記載されるが、2つの上記凹部の形状に適合する形状を有する2つの末端部を有しており、その末端部の1つは、その末端部に接続され且つハンドル自身と一体である作動手段(レバー、ねじ要素等)によって、装置のハンドルに対して平行にスライドするように、作ることができる。
【0011】
プロテーゼのモジュラーネックの端部を受け入れるように形成された凹部と適合している、挿入/摘出装置の末端部が、初めて適用され且つ凹部内に挿入され、その後、上記手段を、作動させて上記の好ましくは円筒形状の凹部内に貫通させることによって、他方の末端部が、スライドするように作られている場合には、2つの上記凹部の、互いに交差する軸の方向に因って、上記末端部の間で、予備器具又はプロテーゼ部品を把持することができ、結果として、安全に且つ信頼性良く把持できる。
【0012】
それ故、上記ハンドルに対して、単なる押す力又はけん引力をそれぞれ与えることによって、予備器具又はプロテーゼ部品を、骨内に挿入し、及び/又は、骨から摘出することが、可能である。
【0013】
それ故、本発明の主題は、添付の請求項1に記載されたアッセンブリを含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のアッセンブリの2つの好ましい実施形態のより詳細な説明を、添付図面も参照しながら、記載する。
【0015】
まず、図1について考慮すると、図1は、本発明のアッセンブリ1が、どのようにラスプ2及び装置5を備えているか、を示しており、第1実施形態において、ラスプ2は、周知の態様で、骨4の髄内キャビティ3内に挿入されることができ、装置5は、キャビティ3内への上記ラスプ2の挿入を行うことができ、プロテーゼ(図示せず)の適用のための骨4の準備が行われた後に、それに続く、ラスプの摘出を、行うことができる。
【0016】
本発明のアッセンブリ1において、ラスプ2の自由端2nは、その中に形成された、第1凹部6と第2凹部7とを有している。第1凹部6は、プロテーゼのモジュラーネックの端部と相補的態様で接続することができ、第2凹部7は、上記第1凹部の軸V−Vを実質的に交差している軸T−Tを備えている。装置5は、挿入/摘出装置として画定できるが、2つの末端部8t、8sを有している。末端部8t、8sは、互いに平行に配置されており、第1部分8tは、上記第1凹部6と相補的態様で係合できるように、形成され且つ方向付けられており、第2部分8sは、ハンドル8に固定された手段10、11、12、13、14に接続されており、ハンドル8は、以下に更に詳細に記載されているが、操作される際に、上記第2凹部7内に上記部分の挿入を行う。
【0017】
図2は、第1末端部8t(より明瞭に見えるように破線で示されている)が、第1凹部6内に挿入され、簡単な周知の方法を用いて適用する際の、アッセンブリ1を示す。更に、レバー10が、固定点Pに対して回転できるようにハンドル8にどのように固定されているか、を見ることができる。このレバー10は、突起部11を有しており、そこでは、上記第2末端部8sに終結している長手方向ロッド12が、一端にて旋回可能にヒンジ連結されており、全ての構成部品は、レバー10の回転Rが、上記第2キャビティ7の軸T−T方向に、且つ、ハンドル8の軸X−Xと平行に、長手方向ロッド12の直線変位9を引き起こすように、形成されている。
【0018】
レバー10をハンドル8の方へ動かすように示されている図2の場合において、図2に示された状態から始めて、レバー10をR方向に回転させてハンドル8に平行に配置すると、第2末端部8sは、直線的に移動して、図3に示されるように、上記第2凹部7内に同軸に挿入される。
【0019】
第2末端部8sが、第2凹部7の軸T−Tに沿って且つハンドル8に平行に、上記移動を行うことができるのを、確実にするために、レバー10は、そこに小穴13が形成されている突起部11を有しており、上記長手方向ロッド12は、固定要素14(例えば、小ボルト、小リベット等)を用いて、この突起部11に旋回可能にヒンジ連結されている。固定要素14は、上記小穴12を通り、レバー10と共に回転する突起11と、長手方向ロッド12と、の相対的なスライド動作及び回転動作を可能にする。しかし、他の同様の方法を、適用してもよい。
【0020】
長手方向ロッド12を、ハンドル8に対して、常に平行に且つ近接するよう、維持するために、発明者は、ロッド12のガイド手段の適用を、構想していた。そのガイド手段は、図面に示されるように、簡素なレリーフ15を、更に含んでいてもよく、レリーフ15は、ハンドル8から突き出ており、ロッド12の軸X−Xに対して、及び、既に記載した第2凹部7の上記軸T−Tに対して、平行に伸びている。しかし、ハンドル8の第2末端部8sと、各凹部7と、の間の係合を、ガイドし且つ促進するための、他の手段も、適用できる。これらの手段は図に示されていない。
【0021】
本発明のアッセンブリが、図3に示された位置にあるとき、ラスプ2は、ハンドル8の2つの末端部8t、8sの間で把持されており、レバー10を図に示された位置に維持しながら、上記ハンドル8にけん引力を与えることによって骨4のキャビティ3から容易にラスプ2を摘出することが、可能である。
【0022】
このけん引力は、更に、必要であれば、かなりの強さでもよく、ラスプ2が、ハンドル8の2つの末端部8t、8sの間で把持されているという事実に因って、ラスプ2の上記摘出を引き起こしてもよい。ハンドル8の2つの末端部8t、8sは、適当なグリップ挟みのように、作動する。
【0023】
図4から図6を考慮すると、それらの図は、本発明のアッセンブリの第2実施形態21を示しており、アッセンブリは、挿入/摘出装置22を含んでいる。挿入/摘出装置22は、上記記載と同様の機能的特徴を有しているが、その第2末端部の軸方向のスライドを引き起こすために使用される手段に関しては、異なっている。
【0024】
問題の場合(まず図4を考慮する)において、装置22も、前例のように、第1末端部23s及び第2末端部23tを有しており、両末端部は、それらと一体のハンドル23から突き出ている。第1末端部23sは、ネックの末端部と同じ形状を有しており、ネックは、装置21と接続される、ステム24と係合されなければならず、且つ、前述した場合と同様に、第1凹部25及び第2凹部26を、有している。第1凹部25は、上記第1末端部23sに適合しており、第凹部26は、ほぼ円筒形状であり、且つ、ハンドル23に接続された上記第2末端部23tに係合できる。
【0025】
ハンドル23の軸Z−Zは、第2凹部26の軸N−Nと平行である。
【0026】
末端部23sが、一旦、第1凹部25内に挿入されて、それを第一凹部25の長手方向軸M−Mに沿って動かすと、第2末端部23tを、上記軸M−Mと交差する第2凹部26の軸N−N、に沿って、端壁26fを圧迫するまで、動かすことによって、既に前述した場合のように、挿入/摘出装置21とステム24との間の把持が、得られる。
【0027】
この実施形態において、上記第2末端部23sは、ハンドル23内に形成されたねじ貫通孔28に、ねじ込まれた、ねじ要素27、の端部であり、軸N−Nに沿ったその上記動作は、第2凹部26内への完全なその侵入を得るのに必要な多数の回転を、末端部23sに実行させることによって、得られる。
【0028】
本発明のアッセンブリを考案する第2の方法は、発明者によって、より簡素に且つ低コストとなるように考慮され、それ故、特に高い把持力での係合が必要ない通常の場合に、より適している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】骨内に挿入されたラスプと、そこから離れている関連装置と、を備えた、本発明のアッセンブリの第1実施例の部分断面図である。
【図2】プロテーゼのモジュラーネックの端部のような形をしているハンドルの、上記末端部のみを、各凹部内に備えている、図1と同様の部分断面図である。
【図3】前図と同様であるが、各凹部内に挿入されているハンドルの、両末端部、を備えている、部分断面図である。
【図4】そこから離れて配置されたプロテーゼの、ステム形成部分、を備えている、挿入/摘出装置の第2実施例の縦断面図である。
【図5】上記ステム内に形成された2つの凹部の内の、一方の中に、相補的態様で係合された、末端部、を備えている、図4の装置の縦断面図である。
【図6】プロテーゼのステム内に形成された2つの凹部の内の、他方と、係合された、第2末端部、を更に備えている、図4及び図5の装置の縦断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入/摘出装置(5、22)と、整形外科手術において使用される予備器具(2)又はプロテーゼ部品(24)と、を含むアッセンブリ(1、21)であって、
整形外科手術は、骨(4)の髄内キャビティ内へのそれらの挿入を含んでおり、
上記予備器具(2)又はプロテーゼ部品(24)の、自由端(2n)は、その中に形成された、第1凹部(6、25)と、第2凹部(7、26)と、を有しており、
第1凹部(6、25)は、モジュラーネックの端部と相補的態様で接続でき、
第2凹部(7、26)は、第1凹部(6、25)の軸と実質的に交差する軸を有しており、
装置(1、21)は、ハンドル(8、23)を備えており、
ハンドル(8、23)は、第2凹部(7、26)の軸と平行な軸を有しており、且つ、第1末端部(8t、23r)及び第2末端部(8s、23s)を有しており、
第1末端部(8t、23r)は、上記第1凹部(6、25)と相補的態様で係合するように形成されており、
第2末端部(8s、23s)は、第1凹部(8t、23r)と近接しており、且つ、手段(10、11、12、13、14、27、28)に接続されており、
手段(10、11、12、13、14、27、28)は、上記ハンドル(8、23)に固定されており、且つ、操作される際に、上記第2凹部(7、26)内に上記部分の同軸挿入を行う、ことを特徴とするアッセンブリ。
【請求項2】
上記第2末端部(8s)の、第2凹部内への同軸挿入、及び/又は、第2凹部からの同軸摘出、を行う、上記手段は、レバー(10)を含んでおり、
レバー(10)は、固定点(P)に対して回転できるように、ハンドル(8)に固定されており、且つ、突起部(11)を有しており、
突起部(11)には、上記第2末端部(8s)の他端に終結している長手方向ロッド(12)が、一端にて、旋回可能にヒンジ連結されており、
全ての構成要素は、上記レバーの回転(R)が、第2凹部(7)の上記軸(T−T)方向に上記長手方向ロッド(12)の直線移動(S)を引き起こすように、形成されている、請求項1記載のアッセンブリ。
【請求項3】
小穴(13)が、レバー(10)の上記突起(11)に形成されており、
上記長手方向ロッド(12)が、固定要素(14)を用いて、上記突起(11)に旋回可能にヒンジ連結されており、
固定要素(14)が、上記小穴(12)を通り、且つ、突起(11)と長手方向ロッド(12)との、相対的なスライド動作及び回転動作を可能にしている、請求項2記載のアッセンブリ。
【請求項4】
ハンドル(8)が、そこに取り付けられたガイド手段(15)を有しており、
ガイド手段(15)は、長手方向ロッド(12)が、上記レバー(10)の回転(R)の結果として移動される際に、長手方向ロッド(12)を、上記ハンドル(8)に対して平行に且つ近接するように維持できる、請求項3記載のアッセンブリ。
【請求項5】
上記ガイド手段が、レリーフ(15)を含んでおり、
レリーフ(15)が、長手方向ロッド(12)の下に、ハンドル(8)から突き出ており、且つ、ハンドル(8)自身と、上記第2凹部(7)の上記軸(T−T)と、に対して平行に伸びている、請求項3記載のアッセンブリ。
【請求項6】
上記第2凹部(26)内に、上記第2末端部(23s)の、同軸挿入及び/又は同軸摘出を行う、上記手段は、ハンドル(23)に形成されたねじ貫通孔(28)にねじ込まれたねじ要素(27)を含んでいる、請求項1記載のアッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−528161(P2008−528161A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552741(P2007−552741)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【国際出願番号】PCT/IB2006/000113
【国際公開番号】WO2006/079895
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(507255422)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL EAST LICENCE KFT
【Fターム(参考)】