整形外科伸延用移植片及び技術
骨セグメントを安定させるための移植片は少なくとも第1及び第2の骨部分間を椎骨間方向に延びるように寸法決めされ形状づけられた可撓性の本体を有する。使用において、本体は、第1及び第2の骨部分の各々間の運動を許容しながら、第1及び第2の骨部分の各々を伸延するように、第1及び第2の骨部分の各々に椎骨間的に取り付けることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する骨部分の適正な位置決め及び整合を提供するように骨部分間での伸延力の適用及び(又は)維持を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
隣接する骨部分は所望の手術結果を得るために処置を施す必要があることがある。例えば、隣接する骨部分は所望の手術的な修正及び治癒のために隣接する骨部分の適正な位置決め及び整合を提供するように骨部分間での伸延力の適用及び(又は)維持を必要とすることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
伸延力により隣接する骨部分の手術的な修正を容易にする移植片及び技術の要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
隣接する骨部分の手術的な修正を容易にするため、移植片は隣接する骨部分に取り付け可能で、隣接する骨部分間で伸延力を適用及び(又は)維持するようになった本体を有する。
【0005】
1つの態様によれば、骨セグメントを処置するための移植片は第1及び第2の骨部分の各々に対して椎骨間的に取り付け可能で、第1及び第2の骨部分の各々の間で運動を許容しながら、第1及び第2の骨部分の各々間で伸延力を適用及び(又は)維持するようになった本体を有する。
【0006】
別の態様によれば、隣接する骨部分を伸延させるための移植片は第1の状態及び第2の状態を備えた本体を有する。本体は第2の状態においてそれに取り付けるために隣接する骨部分間で椎骨間的に延びる。取り付けたとき、本体は隣接する骨部分に伸延力を適用するように第1の状態の方へ戻る。
【0007】
更なる態様においては、隣接する骨部分を伸延させるための装置は隣接する骨部分の対応する1つに係合できる第1のアンカー及び第2のアンカーを有する。移植片の本体は隣接する骨部分の椎骨間方向に延び、第1及び第2のアンカーに取り付けられる。本体は、取り付けられたときに、第1及び第2のアンカー間に伸延力を適用する。
【0008】
別の態様によれば、脊柱セグメントの湾曲した部分を修正するための方法は脊柱セグメントの凹状に湾曲した側に移植片を取り付ける工程と、移植片により凹状の側に伸延荷重を適用する工程とを有する。
【0009】
別の態様によれば、脊柱セグメントの湾曲した部分を修正するための方法は、移植片の端部が第1の距離だけ離間するような第1の状態と、移植片の端部が第1の距離よりも小さい第2の距離だけ離間するような第2の状態とを備えた移植片を提供する工程;第2の状態において脊柱の凹状の側に移植片を取り付ける工程;及び、伸延荷重を適用するように第2の状態から第1の状態へ移植片を偏倚する工程を有する。
【0010】
別の態様においては、脊柱セグメントの隣接する椎骨を伸延させるための方法は隣接する椎骨に沿って椎間板外に移植片を位置決めする工程と;隣接する椎骨に移植片を取り付ける工程と;移植片により隣接する椎骨に伸延荷重を適用する工程とを有する。
【0011】
この開示のこれら及び他の態様はまた以下で説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の原理の理解を促進する目的で、図面に示す実施の形態をここで参照し、その説明のために特定の用語を使用する。しかし、これによって本発明の要旨を限定することを意図しないことを理解されたい。図示の装置に対するいかなるこのような変更及び更なる修正、並びに、ここに示すような本発明の原理のいかなる更なるこのような応用も、本発明に関連する当業者なら普通に行うことができるものと想定される。
【0013】
図1には、伸延用移植片を有する処置システム20を示す。伸延用移植片40は本体41を有し、この本体は本体41の取り付けのために隣接する骨部分間を延びるように寸法決めされた、長手軸線49(図2)に沿って延びる長さを有する。伸延用移植片40は、隣接する骨部分の対応する1つに係合できる第1のアンカー21及び第2のアンカー30により、隣接する骨部分に椎骨間的に取り付けることができる。図示の実施の形態では、第1のアンカー21は末端骨係合部分22及び基端取り付け部分24を有する。第2のアンカー30もまた末端骨係合部分32及び基端取り付け部分34を有する。伸延用移植片40の本体41はアンカー21、30の取り付け部分24、34間を延び、これらの部分にそれぞれ取り付けられる。
【0014】
アンカー21、30への取り付けを容易にするため、伸延用移植片40は本体41の第1の端部43に隣接する第1の穴42と、本体41の第2の端部45に隣接する第2の穴44とを具備することができる。第1及び第2の穴42、44はその中にアンカー21、31の基端取り付け部分24、34を受け入れるように寸法決めすることができる。他の実施の形態では、伸延用移植片40は、隣接する骨部分の対応する1つに係合する2又はそれ以上のアンカーに取り付けるように、その各端部において形状づけることができる。穴42、44は伸延用移植片40と各アンカー21、30との間の接触表面積を最大にするような幅広くて深い形状を有することができる。また、アンカーは本体41内にアンカーを侵入させることにより位置決めできることも想定されている。
【0015】
本体41は、本体が隣接する骨部分間で所望の空間的な関係を維持できるような適当な材料で作ることができることが想定されている。本体41は、隣接する骨部分を互いに剛直に固定することなく、アンカー21、30間で伸延力を連続的に維持及び(又は)作用させることができる。例えば、本体41はその端部が第1の距離だけ互いに離間するような第1の状態を有することができる。本体41は、その端部が第1の距離よりも小さな第2の距離だけ離間するように互いに近づく運動をするような第2の状態へ移行できる。本体41は圧縮、変形、あるいは非膨張その他の変態により第2の状態へ移行できる。本体41はこれを取り付けた椎骨間に伸延力を提供するように第2の状態から第1の状態へ解放、変形、膨張又はその他の形態の変態を生ぜしめられる。
【0016】
使用において、本体41はその第2の状態でアンカー21、30に取り付けることができる。取り付け後、本体41はアンカー21、30間に伸延力を作用及び(又は)維持させるように第1の状態の方へ戻る。また、伸延力を伸延器具によりアンカー21、30に適用して、伸延用移植片40は適用された伸延力を少なくとも部分的に維持するように伸延されたアンカー21、30に取り付けることができることも想定されている。更に、伸延力をアンカー21、30間に適用し、伸延用移植片40はその第2の状態で伸延されたアンカー21、30に取り付け、アンカー21、30への取り付け後に、アンカー21、30間の伸延力を維持又は増大させるようにその第1の状態の方へ戻ることができることも想定されている。
【0017】
本体41に対しては、ゲル、エラストマー、粘弾性ゲル又はプラスチック、フォーム、布、メッシュ、形状記憶合金、他の適当な生物的適合性の材料及びその組合せを含む種々の材料が想定されている。アンカー21、30はアンカーを係合させる骨部分への骨合体を提供するように形状づけられた形式のものとすることができる。このようなアンカーの例は、その全体を参照としてここに組み込む、2002年5月2日に出願された米国特許出願番号第10/137,038号明細書において提供される。また、アンカー21、30は有穴骨スクリュー及び多軸骨スクリューを含む骨スクリュー、ステープル、縫合アンカー、スパイク、ボルト、隣接する骨部分間に位置する体内融着装置、隣接する骨部分間に位置する体内移植片及び骨構造に係合するのに適する他の装置の形として提供することができることも想定されている。
【0018】
本体41は長手軸線49の方向の長さ及び中間軸線51の方向の幅を有する。図示の実施の形態では、本体41の幅は長手軸線49に沿って変化する。図1に示すように、本体41は第1の端部43と第2の端部45との間を延びるベース部分53を有する。本体41の下表面57はベース部分53に沿って延び、伸延用移植片40を取り付ける骨部分に隣接して位置決めできる。ベース部分53は本体部分41の長さ及び幅に沿って実質上一定の厚さを具備することができる。拡大中間部分48の形をした伸延用移植片40の可変こわさの部分はベース部分53から下表面57の反対側へ延びる。
【0019】
中間軸線51は本体41を第1の部分46と第2の部分47とに分ける。本体41の第1の部分46は長手軸線49の片側における第1の上表面48と、長手軸線49の反対側における第2の上表面54とを有する。中間軸線51の他側において、本体41の第2の部分47は長手軸線49の片側に沿った第3の上表面50と、長手軸線49の他側に沿った第4の上表面52とを有する。隣接する上表面48、54は長手軸線49に沿って又はこれに隣接して接することができ、隣接する上表面50、52は長手軸線49に沿って又はこれに隣接して接することができる。隣接する上表面48、50は中間軸線51に沿って又はこれに隣接して接することができ、隣接する上表面52、54は中間軸線51に沿って又はこれに隣接して接することができる。
【0020】
各表面48、50、52、54は長手軸線49と中間軸線51との間の交差部に形成された頂点55において接することができる。頂点55は中間部分48に沿った本体41のための最大厚さの区域即ち地点を提供するものと想定されている。本体41の表面48、50、52、54は頂点55から本体41の外縁の方へテーパすることができる。図示の実施の形態においては、表面48、50、52、54は平坦で、ピラミッド形状を形成する。また、他のピラミッド形状を形成する数個の又は付加的な上表面も想定されており、表面48、50、52、54の任意の1つ又はすべては、本体41が球状又は丸い形状を有するような曲率を具備できることも想定されている。
【0021】
図1、2に示す実施の形態においては、本体41の上表面は長手軸線49と中間軸線51との間の交差部において又はこれに隣接して最大厚さを備えた本体41を提供する。従って、本体41を圧縮変形させる傾向を持つ力に対する本体41の抵抗は本体41の各端部53、45から頂点55に向かって増大する。中間部分48は、本体41が予期した圧縮荷重の下で座屈するのを阻止するように寸法決めできる。本体41の圧縮変形の量は、隣接する骨部分が互いに剛直に固定されないように端部43、45が互いに関して運動するのを許容しながら、端部43、45間の最小間隔を維持するように予期された圧縮荷重の下で制限することができる。
【0022】
図3は力の矢印56により表されるような圧縮力分散パターンをその上に重ねて示した伸延用移植片40を示す。このような圧縮力は隣接する骨部分による伸延用移植片40上への静的及び動的な圧縮負荷により生じさせることができる。単位横断面積当りの圧縮力は材料の横断面積が最小になる穴42、44にすぐ隣接した部分で最高となる。本体41の幅及び高さの各々は端部43、45から頂点55に向かって増大し、その長さに沿って可変のこわさ特性を本体41に提供する。単位横断面積当りの圧縮力は端部43、45から頂点55に向かって減少し、圧縮力による本体41の変形を減少させる。本体41は、取り付けのための第2の状態に圧縮でき、またアンカー21、30間で伸延荷重を適用又は維持するためにその未圧縮の第1の状態の方へ戻るのに十分な弾性を提供する、ショックアブソーバ装置として機能できる。可撓性の本体41はまた隣接する骨部分のある相対運動を許容する。本体41の可変のこわさ特性は隣接する骨部分の安定性を維持するためにこの運動を制限する。
【0023】
伸延用移植片40の特定の実施の形態は、椎骨本体間のセグメント運動を少なくとも部分的に保持しながら、隣接する椎骨本体間に伸延を維持及び(又は)提供するように脊椎区域での使用のために形状づけられる。このような脊椎への使用に対しては、本体41は穴42、44の隣接する側間に2ないし4センチメートルの範囲の長手軸線49の方向の全長を具備することができることが想定されている。穴42、44は1ないし2センチメートルの範囲の直径を具備することができる。本体41は2ないし4センチメートルの範囲の中間軸線51の方向の最大幅を具備することができる。本体41は約1ないし3センチメートルの範囲の底表面57から頂点55までの最大高さを具備することができる。このような寸法は変更することができ、例えば患者の解剖学的構造、伸延用移植片40を取り付けるべき患者の人体の区域、伸延用移植片40を構成する材料の特性及び伸延用移植片40上の予期される負荷に基づいて他の材料が想定される。
【0024】
図4を参照すると、別の実施の形態の伸延用移植片240は本体241と、端部243、245にそれぞれ隣接する第1及び第2の穴242、244とを有する。本体241は伸延用移植片40の本体41に関して上述したように設けることができる。本体241は長手軸線249に沿って延び、中間軸線251は本体241を第1の部分246と第2の部分247とに分割する。本体241は軸線249、251の交差部により形成されるそれぞれの四分円区画内にその全体又は大半が位置する上表面部分248、250、252、254を具備することができる。表面248、250、252、254は長手軸線249及び中間軸線251の交差部又はそれに隣接した頂点255から延びる拡大中間部分を提供する。
【0025】
伸延用移植片240は本体241の構造上の一体性の維持を補助し、それへ可変のこわさ特性を提供するように本体241内に1又はそれ以上の補強部材を具備することができる。例えば、補強部材258は穴242に関連して示すように本体241を通る1又はそれ以上のアンカー穴のまわりに設けることができる。補強部材258は圧縮力に抵抗するように本体241を補助するために穴242の中間側に設けることができる。補強部材258は引っ張り力に抵抗するように本体241及び補強部材258を補助するために穴242と端部243との間に設けることができる。補強部材258は隣接する穴を通って延びるアンカーにより加えられる高応力集中を受ける本体241の領域において補強を提供するように隣接する穴242のまわりを延びる湾曲形状を有することができる。
【0026】
中間方向に指向する補強部材260は、例えば、圧縮及び引っ張り力に抵抗するように本体241を補助するために長手軸線249を横切って延びるよう第1の部分246内に設けることができる。補強部材260の端部は、圧縮及び伸延荷重に対する長手方向の抵抗を提供するために、中間軸線251から離れて端部243のような移植片の端部へ向かうように長手軸線249から延びることができる。補強部材261の中間方向に延びる成分は本体241に加わる捻り即ち捩り力に抵抗できる。他の実施の形態は長手軸線249から中間軸線251の方へ延びる中間方向に指向したものや、中間軸線251に平行に延びる補強部材及びその組合せを想定している。
【0027】
第1の長手方向に指向する補強部材262は本体241の第1の部分246と第2の部分247との間で中間軸線251を横切って延びる。補強部材262は長手軸線249の方向に主として長手方向に延びる。第2の長手方向の補強部材264は例えば第2の部分247内に示すように、第1及び第2の部分246、247のうちの一方において本体241内に位置するように設けることができる。本体241は上述の補強部材258、260、262、264の任意の1つ又は組合せを具備することができる。他の実施の形態は直線状又は非直線状の配列となって本体241を通してランダムに分布する補強部材を想定している。
【0028】
補強部材258、260、262、264のための種々の形が想定される。補強部材は増大した材料密度の形とすることができ、または、本体241の材料とは異なる材料の形とすることができる。その例は、金属、プラスチック又は他の適当な材料で作ったバー、ストリップ、ファイバ又はフィラメントである。補強部材258、260、262、264は本体241内に埋設することができ、または、1又はそれ以上の上表面部分に沿って又は本体241の下表面に沿って延びることができる。
【0029】
図5を参照すると、第1の端部343に隣接する第1の穴342と、第2の端部345に隣接する第2の穴344とを備えた本体341を有する別の実施の形態の伸延用移植片340を示す。穴342、344は上述したアンカー21、30のような第1及び第2のアンカーを受け入れることができる。本体341は長手軸線349に沿って延び、中間軸線351は本体341を第1の部分346と第2の部分347とに分割する。本体341は所望の負荷抵抗特性を本体341に提供するために可変こわさの中間部分348を有する。図示の実施の形態においては、中間部分348は長手軸線349と中間軸線351との間の交差部において又はそれに隣接して頂点355で最大厚さを備えた球状(凸曲面)形状を有する。中間部分348はまたピラミッド又は他の拡大形状を具備することができる。
【0030】
図6に示すように、中間部分348は本体341のベース部分353から延び、各端部でベース部分と一緒になるよう形成された上方部材352を有する。上方部材352はベース部材353と一緒に室350を形成することができ、この室内に補助装置356を配置することができる。補助装置356は隣接する骨部分に対する伸延力を適用及び(又は)維持するように流体又は水を常に吸収することができる。矢印354(図5)は、圧縮力が本体341に作用するときに流体により室350内に発生する外向きの圧力を表す。補助装置356内への浸透勾配は矢印354とは反対の方向に延び、そのため、補助装置356は剛直になることができ伸延力を常に維持することができ、または、伸延用移植片340により適用される伸延力を増大させるように常に膨張することができる。補助装置356はスポンジ、フォーム又は他の適当な浸透材料の形として設けることができる。他の実施の形態は、補助装置356無しに、室内での流体、ゲル、フォーム液体又は他の流動可能な材料を想定している。
【0031】
図7を参照すると、脊柱セグメント500を含む、伸延用移植片の1つの特定の応用のための隣接する骨部分を示す。脊柱セグメント500は第1の椎骨502、第2の椎骨504及び第3の椎骨506を有する。第1の椎間板空間508は第1の椎骨502と第2の椎骨504との間に位置し、第2の椎間板空間510は第2の椎骨504と第3の椎骨506との間に位置する。第1のアンカー21は第1の椎骨502に係合し、第2のアンカー30は第2の椎骨504に係合し、第3のアンカー430は第3の椎骨506に係合する。アンカー21、30に関して説明したように、第3のアンカー430は椎骨506に係合できる末端骨係合部分432と、そこから延びる伸延用移植片の取り付けのための基端取り付け部分434とを有することができる。
【0032】
図7において、脊柱セグメント500は前後方向で示され、その片側に沿って横方向の凹状湾曲を伴うように変形した、側彎症となっている。図8、9に示すように、伸延用移植片システム420は脊柱セグメント500の凹状湾曲を修正するためにアンカー21、30、430に取り付けることができる。伸延用移植片システム420は、第1の伸延用移植片40と、第1の伸延用移植片40と同一とすることのできる第2の伸延用移植片440とを有する。第1の移植片40は第1のアンカー21及び第2のアンカー30に椎骨間的に取り付けられる。
【0033】
椎骨本体の前方部分に沿って横方向に移植片40、440を取り付けるということは、後方の椎骨素子に関連する神経及び筋肉組織、及び、椎骨の前方面に沿う脈管構造及びデリケートな靭帯を避ける。更に、移植片の伸延力は整合するように椎骨を押すために椎骨本体の凹状に湾曲した側に沿って直接適用される。
【0034】
伸延用移植片40がアンカー21、30に取り付けられるとき、移植片は、例えばこれを圧縮し、アンカー21、30の基端取り付け部分24、34に取り付けることにより、その第2の状態に置くことができる。同様に、移植片440を圧縮してアンカー30、430の基端取り付け部分34、434に取り付けることができる。取り付けられた伸延用移植片40、440は第2の状態から第1の状態へ移行する傾向を有し、その結果、伸延力が移植片に取り付けたアンカーの対応する1つ間に適用され、脊柱500の凹状の湾曲を図9に示すような正常な状態の方へ修正する。
【0035】
図7において、矢印512、514はアンカー21、30間に適用されている伸延力を示し、矢印516、518はアンカー30、430間に適用されている伸延力を示す。このような伸延力は、脊柱500についての凹状の湾曲を修正するために移植片40、440の取り付け前に、アンカー間に適用することができる。伸延用移植片40、440は対応するアンカーを通して隣接する椎骨間で伸延を維持及び(又は)増大させるために取り付けることができ、これにより、脊柱500の凹状の湾曲を図9に示すような正常な状態の方へ修正する。
【0036】
ここで図10−12を参照すると、別の実施の形態の伸延用移植片システム520が提供される。図10において、脊柱セグメント500は間に椎間板空間508を伴った第1の椎骨502及び第2の椎骨504を有する。椎間板空間508は、図10にD1で示すように、椎骨502、504間に正常な又は所望の空間が提供されないように収縮している。第1のアンカー21は椎骨502の前方部分に沿って係合し、第2及び第3のアンカー521、621は椎骨502の両側で横方向に又は傾斜して係合する。同様に、椎骨504はこれに前方で係合する第4のアンカー30を有し、第5及び第6のアンカー530、630は椎骨504の両側で横方向に又は傾斜して係合する。
【0037】
図11にD2で示す空間高さを有する伸延された椎間板空間508を提供するため、伸延力512、513、612を椎骨502に係合するアンカー21、521、621にそれぞれ適用することができる。伸延力514、515、614を椎骨504に係合するアンカー30、530、630にそれぞれ適用することができる。このような伸延力は、1又はそれ以上の伸延用移植片の取り付けにより及び(又は)1又はそれ以上の伸延用移植片の取り付け前に伸延器具により、適用することができる。椎骨本体502、504のまわりでアンカーを分布させることにより、椎間板空間508はその幅にわたって均一な高さとなるように伸延することができる。
【0038】
アンカー21、521、621及びアンカー30、530、630に取り付けることのできる伸延用移植片540を図11に示す。図示の実施の形態においては、伸延用移植片540は図12に示すように各椎骨502、504のまわりで少なくとも部分的に延びまた椎骨502、504間を延びるよう、その下表面547に少なくとも沿ってU字形即ち馬蹄形を具備する。反対側の上表面552は、システム520が椎骨502、504から延びる低プロフィールを維持できるように、アンカーの各穴のまわりにくぼみ554を具備することができる。伸延用移植片540は、移植片が第2の状態に置かれるのを許容し、椎骨502、504に係合するアンカーの対応する1つに伸延荷重を作用させるために第1の状態の方へ戻るのを許容し、椎骨502、504間の運動を許容しながら所望の椎間板空間高さD2を回復し維持するのを許容するような特性を備えた本体541を具備することができる。1つの実施の形態においては、本体541は球状又は丸みを持った形をした拡大中間部分を有し、移植片540を第2の状態にするように圧縮可能で、伸延力を与えるようにその第1の非圧縮状態に戻るのに十分な弾性を有する可撓性の材料で構成される。
【0039】
図13−14を参照すると、別の実施の形態の伸延用移植片700を示す。伸延用移植片700は第1の端部704から反対側の第2の端部706へ延びる本体702を有する。例えばシステム20に関して上述したような第1のアンカー21及び第2のアンカー30により椎骨本体への椎骨間取り付けを容易にするため、第1の端部704は穴710を有し、第2の端部706は穴712を有する。各端部704、706はそこを通るアンカーを受け入れるためのそれぞれの穴710、712を形成するように本体702に関して拡大することができる。また、端部704、706が本体702に関して拡大しないように、本体702又は穴710、712のいずれか及び対応するアンカーを寸法決めすることができることも想定されている。
【0040】
第1の穴710は長手軸線701に沿って第2の穴712から距離714だけ離間し、その間には、長手軸線701に沿ってギャップが形成され、本体702の圧縮、膨張、変形又は変態に応答して第1及び第2の端部704、706が互いに関して進退運動するのを容易にする。距離714は、端部704、706を隣接する椎骨本体の対応する1つに取り付けることができるように、少なくとも1つの椎間板空間を横切って延びるのに十分な長さを有することができる。また、本体702が1又はそれ以上の椎骨を横切って延びるような長さ714を提供でき、また、多レベルの伸延を提供するように端部704、706を取り付けることができることも想定されている。移植片700は更に長手軸線701と本体702の外壁表面705との間に全体幅718を有する。
【0041】
移植片700は側彎した脊椎の横方向又は前方横方向の部分のような脊椎の凹状に湾曲した部分に沿って位置決めすることができ、凹状湾曲を処置するために隣接するアンカー間に伸延力を作用させるようになっていることが想定されている。本体702は端部704、706間の半円形経路に沿って湾曲し、凹状の第1の表面703と、反対側の凸状の第2の外表面705とを有する。本体702は第1及び第2の表面703、705間の第1の幅708を有する。本体702は更に第1の表面703と第2の表面705との間を延びる対向する第3及び第4の表面707、709を有する。第3及び第4の表面707、709はその間を延びる第2の幅711を有する。脊柱に固定したとき、第3及び第4の表面707、709の一方が脊柱に隣接して位置決めされ、第3及び第4の表面707、709の他方が脊柱から離れてこれに対面することが想定されている。
【0042】
伸延用移植片700及びここで説明する他の実施の形態の伸延用移植片の1つの応用においては、移植片700は第1の状態を有し、端部704、706を互いの方へ移動させることにより第2の状態へ移行される。第2の状態において、端部704、706は脊椎の凹状に湾曲した部分に沿って椎骨又は他の構造に係合するアンカーに取り付けられる。次いで、伸延用移植片はその第1の状態の方へ移行し、脊椎の凹状に湾曲した部分を所望の整合状態に修正及び(又は)維持するようにそれに係合するアンカー間に伸延力を作用させる。長手軸線701に関して横方向に片寄った本体702により形成される端部704、706間のギャップは第2の状態を得るために端部704、706が互いの方へ運動するのを容易にする。更に、端部704、706間のギャップは移植片700を係合させた椎骨レベル(単数又は複数)のための限られた範囲の運動を許容するように第1の状態での本体702の撓みを容易にする。
【0043】
伸延用移植片700はほぼ人体温度での擬似弾性特性又は挙動を示す形状記憶材料で少なくとも部分的に形成することができる。1つの実施の形態においては、移植片700は形状記憶材料で形成される。しかし、端部704、706間の部分のみを形状記憶材料で少なくとも部分的に形成でき、端部704、706は例えばステンレス鋼又はチタンのような任意の適当な生物的適合性の材料で形成できることを理解すべきである。
【0044】
SMAは、形状記憶合金(「SMA」)で作った特定の素子が初期の「記憶された」形即ち形状から異なる形へ変形することができ、次いでその初期の形即ち形状の方へ戻るように移行できるような「形状記憶」特性又は挙動を示す。形状記憶を所有する能力は、SMAがオーステナイト状態からマルテンサイト状態への可逆的な変態を受けるという事実から由来する。温度の変化によりこの変態が生じる場合は、形状記憶現象は一般に熱弾性マルテンサイト変態と呼ばれる。応力の付与によりマルテンサイト変態が生じる場合は、形状記憶現象は一般に応力誘起マルテンサイト変態と呼ばれる。ここでは、両方の形式の変態が想定されている。
【0045】
SMAは、負荷中にSMA材料の弾性限界を越えで生じる歪が負荷解除中に回復されるような超弾性現象又はゴム様の挙動を示すものとして知られている。SMAがオーステナイトへの変態を開始するような温度(時として、変態温度と呼ばれる)よりも僅かに高い温度において応力がSMA物品に加えられた場合に、この超弾性現象が生じる。応力を受けたとき、物品は最初にSMA材料の降伏点(時として、臨界応力と呼ばれる)まで弾性的に変形する。しかし、更に応力を加えると、SMA材料は応力誘起マルテンサイト即ち「SIM」への変態を開始する。この変態は、SMA材料がマルテンサイトへ完全に変態するような地点まで、実質上一定の応力で生じる。応力が解除されたとき、SMA材料はオーステナイトへ戻るように移行し、物品はその元の予めプログラムされた即ち記憶された形へ戻る。この現象は、時として、超弾性又は擬似弾性と呼ばれる。この現象はSMA材料の対応する温度変化無しに生じ得ることを理解すべきである。
【0046】
形状記憶材料はまた柔軟なものとすることができ、典型的には、その変態温度以下の温度で容易に元の形状に戻ることができる。このような物品は、形状記憶材料がその変態温度範囲以上の温度に達したときに物品が移行するような予めプログラムされた形状(一般に「記憶された形状」と呼ばれる)を有するように養成することができる。このような温度に達した後、物品はその予めプログラムされた記憶された形状へ移行しようとする。そうする際に、物品は熱エネルギを機械的な仕事に変換する。
【0047】
形状記憶金属合金(例えば銅及び亜鉛やニッケル及びチタンや銀及びカドミウムのような例えば既知の金属の合金)及び形状記憶ポリマーを含む、伸延用移植片に使用するのに適した種々の形状記憶材料が存在する。形状記憶特性を示す多くの合金が存在するが、最も一般的なSMAの1つはニッケル及びチタンの合金である。1つのこのような合金はニッケル及びチタンで形成した生物的適合性のSMAとしてのニチノールである。ニチノールは伸延用移植片の特定の応用に対して特に適する。その理由は、ほほ正常な人体温度(即ち約35−40℃)において応力誘起マルテンサイト変態又は熱弾性マルテンサイト変態を受けるようにプログラムできるからである。更に、ニチノールは極めて低い腐食率及び優れた磨耗抵抗を有し、それによって、人体内で支持構造体として使用したときに利点を提供する。更に、移植片の動物実験によれば、ニチノール材料と接触する組織内のニッケル上昇が最小であることが分かった。しかし、超弾性特性を示す他のSMA材料も本発明の要旨内に入るものと想定されていることを理解すべきである。
【0048】
形状記憶材料から作った伸延用移植片700にとって適する技術が想定されている。このような技術はまたここで説明する他の実施の形態の伸延用移植片にも適用できることを理解すべきである。移植片700の端部704、706のような伸延用移植片の端部は本体702を屈曲させ、本体702の少なくとも一部を構成する形状記憶材料をSIM状態に置くように互いの方へ移動される。本体702はこのSIM状態に維持され、移植片700の端部704、706はアンカーにより脊椎の凹状に湾曲した部分に沿って椎骨又は他の構造に取り付けられる。次いで、本体702上の応力が取り除かれ、係合した伸延用移植片700はその元の形状の方へオーステナイト状態に戻るように移行し、脊椎の凹状に湾曲した部分を所望の整合状態に修正及び(又は)維持するようにそれに係合したアンカー間に伸延力を作用させる。長手軸線701に関して横方向に片寄った本体702により形成される端部704、706間のギャップはSIM状態を得るために互いの方への端部704、706の運動を容易にし、移植片700を係合させた椎骨レベル(単数又は複数)のための限られた運動範囲を許容するようにオーステナイト状態への本体702の撓みを容易にする。
【0049】
付加的な伸延力及び脊椎の運動を減少させる増大したこわさを達成するため、複数の伸延用移植片700を上下に重ねて、各端部において、同じ骨アンカーにより脊柱の凹状に湾曲した部分に係合させることができる。重なった移植片700の本体702は長手軸線701の同じ側へ横方向に片寄るように配置でき、または、長手軸線701の反対側へ横方向に片寄るように配置できる。多数の伸延用移植片700はまた長手方向で離間することができ、複数のレベルで伸延を提供するように脊柱に沿って係合することができる。脊柱の異なるレベルは、脊柱に沿って移植片装置のための異なる伸延力及びこわさ特性を提供するために、単一の移植片700又は異なる数の重なった移植片700により、伸延することができる。
【0050】
移植片700の端部704、706の一方又は両方は隣接する骨アンカーに剛直に固定できるか又はそれに関して回転できる。端部704、706が回転できるようにすることにより、本体702が第1の状態へ移行する際に、伸延力は相互に離れるような端部704、706の運動方向に主として指向する。端部704、706の一方又は両方が骨アンカーに固定された場合、複合力がアンカー上に発生する。複合力は脊柱の中心軸線に対して横断方向に延びる成分を含み、脊椎すべり症の修正が望ましい場合のように、前後方向において脊柱の中心線に対して横断方向で隣接する椎骨を整合させ又は整合を維持するために使用することができる。
【0051】
伸延用移植片700の他の形も想定されている。例えば、図15、16は伸延用移植片700と同様の伸延用移植片720を示す。伸延用移植片720は第1の端部724と反対側の第2の端部726との間を延びる本体722を有する。本体722は第1及び第2の端部724、726間で半卵(半楕円)形状を有する。本体722の半卵形状は、同一の長さ714、734の移植片について、同じ全体幅を有する半円形の伸延用移植片700に比べて、伸延用移植片720のために減少した全体幅738を提供する。
【0052】
更に別の実施の形態は、伸延用移植片が伸延力を維持するための付加的な支持を提供するように対向する端部間を延びる第2の本体部分を有することを想定している。例えば、図17、18には、第1の本体部分762と第2の本体部分763とを備えた本体761を有する伸延用移植片760を示す。各本体部分762、763は対向する端部764、766間を延び、この端部で、椎骨への取り付けを容易にするために長手軸線769に沿って穴を提供できる。
【0053】
本体761は貫通する開口768を備えた円形形状で形成され、端部764、766が本体部分762、763の変形又は形状変化に応答して撓むこと、即ち互いに近づく運動をするか又は互いに離れる運動をすることを許容する。本体部分762、763は開口768のまわりでの連続的な本体構造を提供するために第1及び第2の端部764、766の各々において互いに一体的に形成される。
【0054】
別の例においては、図19、20は第1の本体部分782と第2の本体部分783とを備えた本体781を有する伸延用移植片780を示す。各本体部分782、783は対向する端部784、786間を延び、この端部で、椎骨に対する取り付けを容易にするために穴を設けることができる。本体781は貫通する開口788を備えた卵形(楕円)形状として形成され、端部784、786が本体部分782、783の変形又は形状変化に応答して撓むこと、即ち互いに近づく運動をするか又は互いに離れる運動をすることを許容する。本体部分782、783は開口768のまわりでの連続的な本体構造を提供するために第1及び第2の端部784,786の各々において互いに一体的に形成される。
【0055】
伸延用移植片780の本体781の卵形形状は本体部分782、783の外表面間の全体幅790を有する。本体781は端部784、786間の長さ792を有する。同様に、伸延用移植片760はその円形の本体のための幅770と、幅770と実質上同じ、軸線769に沿った長さ772とを有する。伸延用移植片780については、幅790は同じ長さを有する移植片としての伸延用移植片760の幅770よりも小さい。従って、伸延用移植片780は、幅に対する長さの一層大きな比が望ましい場合に、使用できる。
【0056】
図21、22は伸延用移植片780と類似する伸延用移植片800を示す。伸延用移植片800は第1の本体部分802と第2の本体部分803とを備えた本体801を有する。各本体部分802、803は対向する端部804、806間を延び、この端部で、椎骨への取り付けを容易にするため穴を設けることができる。本体801は貫通する開口808を備えた卵形形状として形成され、端部804、806が本体部分802、803の変形又は形状変化に応答して撓むこと、即ち互いに近づく運動をするか又は互いに離れる運動をすることを許容する。伸延用移植片780とは異なり、伸延用移植片800は、本体部分802、803が互いに独立に運動するのを許容するために端部804、806の一方又は双方においてヒンジ接続部を有する。ヒンジ接続部は端部804、806の相互の進退運動を容易にする。その理由は、本体部分802、803が隣接する端部804、806を屈曲又は変形させる必要が無いからである。
【0057】
円形、矩形、正方形、ダイアモンド形、波形、多角形又は他の適当な形を含む、伸延用移植片760、780、800のための他の形も想定されている。更に、伸延用移植片700、720はまた他の形状を具備することができる。図23−24は第1の端部824と反対側の第2の端部826との間を延びる本体822を有する伸延用移植片820を示す。本体822は、本体822の圧縮、変形又は変態に応答して端部824、826が相互に進退運動するのを容易にするために、端部824、826から横方向に片寄る。本体822は直線部分828と、直線部分828の両端における一対の角度部分830、832とを有する。角度部分830、832は直線部分828から端部824、826の対応する1つへ延び、端部から直線部分828を片寄らせる。本体822が角度部分により相互接続された多数の直線セグメント、互いに相互接続された多数の角度部分、及び、端部824、826間の直線部分、角度部分及び湾曲部分の組合せを有することができるような別の実施の形態も想定されている。
【0058】
図25−26には、対向する端部844、846間を延びる本体842を有する伸延用移植片840を示す。本体842は開口848の両側に沿って延び、移植片840の長手軸線から横方向に片寄った、第1の本体部分850及び第2の本体部分856を有する。本体部分850は第1の端部844から第2の角度部分854へ延びる第1の角度部分852を有し、第2の角度部分は第1の角度部分852から第2の端部846へ延びる。同様に、第2の本体部分856は第1の端部844から第2の角度部分860へ延びる第1の角度部分858を有し、第2の角度部分は第1の角度部分858から第2の端部846へ延びる。角度部分852、854及び角度部分858、860の交差部は端部844、846から横方向に片寄り、開口848のまわりでダイアモンド形をした本体842を提供する。角度部分は、端部804、806が第1及び第2の本体部分850、856の圧縮、変形又は変態に応答して相互に進退運動するのを容易にする。
【0059】
図27−28を参照すると、対向する端部874、876間を延びる本体872を有する伸延用移植片870を示す。本体872は、チェーン形状を形成するように、端部874、876間で本体872の長さに沿って互いにリンク接続された複数の本体部分878、880を有する。図示の実施の形態においては、本体部分878、880は、各本体部分の少なくとも一部が長手軸線871から横方向に片寄るように、ダイアモンド形状をしている。このような片寄りは、一部の又は全部の本体部分878、880の圧縮、変形又は変態に応答して端部874、876が相互に進退運動するのを容易にする。本体部分878、880はまた円形、卵形、正方形、矩形又はここで述べた他の形のような他の形状を具備することができる。更に、本体部分878、880は伸延の長手軸線871に沿って対称である必要はない。例えば、本体部分878、880は長手軸線871に沿ったジグザグ形又は波形を形成するように長手軸線871に沿って又はこれに隣接して開く(オープンする)ことができる。
【0060】
ここで説明した移植片は、例えば脊柱の凹状に湾曲した部分を伸延することにより、脊椎の変形を修正するために使用できることが想定されている。伸延用移植片は、伸延力により凹状の湾曲に直接逆らうように、脊柱セグメントの凹状に湾曲した部分を含む脊柱セグメントの表面に沿って位置決めすることができる。伸延用移植片は、単独で側彎の融着無し処置に使用することができ、または、凸状適用融着無し側彎処置装置に付随して使用することができる。更に、ここで述べた移植片は、椎間板空間が収縮しているか、または、椎骨間の関係又は間隔を変更又は維持したいような状況で、椎間板空間を横切る隣接する椎骨の椎骨間伸延に使用することができることが想定されている。伸延用移植片は、セグメントの運動を許容しながら、脊柱セグメントを安定させることができる。更に、隣接する骨部分間の伸延及び運動が望ましい場合には、1又はそれ以上の伸延用移植片を任意の骨部分に取り付けることができることが想定されている。
【0061】
図面及び上述の説明において本発明を図示し、詳細に説明したが、これは例示のためのものであり、特徴を限定するためのものではないと考えるべきであり、本発明の精神内に入るすべての変更及び修正は保護されることを望む。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】伸延用移植片の1つの実施の形態の立面図である。
【図2】図1の伸延用移植片の平面図である。
【図3】圧縮力の分布パターンを示す、図1の伸延用移植片の平面図である。
【図4】別の実施の形態の伸延用移植片の平面図である。
【図5】別の実施の形態の伸延用移植片の平面図である。
【図6】図5の6−6線における断面図である。
【図7】係合したアンカーを備えた脊柱セグメントの凹状に湾曲した部分での前後方向において見た立面図である。
【図8】固定された図1の伸延用移植片を備えた図7の脊柱セグメントの凹状に湾曲した部分に向かう中間横方向において見た立面図である。
【図9】脊柱セグメント及び図8の伸延用移植片の前後方向の立面図である。
【図10】固定したアンカーを備えた脊柱セグメントの前後方向における立面図である。
【図11】固定した別の実施の形態の伸延用移植片を備えた図10の脊柱セグメントの立面図である。
【図12】脊柱セグメント及び図11の伸延用移植片の前後方向の平面図である。
【図13】別の実施の形態の伸延用移植片の立面図である。
【図14】図13の伸延用移植片の斜視図である。
【図15】別の実施の形態の伸延用移植片の立面図である。
【図16】図15の伸延用移植片の斜視図である。
【図17】別の実施の形態の伸延用移植片の立面図である。
【図18】図17の伸延用移植片の斜視図である。
【図19】別の実施の形態の伸延用移植片の立面図である。
【図20】図19の伸延用移植片の斜視図である。
【図21】別の実施の形態の伸延用移植片の立面図である。
【図22】図21の伸延用移植片の斜視図である。
【図23】別の実施の形態の伸延用移植片の立面図である。
【図24】図23の伸延用移植片の斜視図である。
【図25】別の実施の形態の伸延用移植片の立面図である。
【図26】図25の伸延用移植片の斜視図である。
【図27】別の実施の形態の伸延用移植片の立面図である。
【図28】図27の伸延用移植片の斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する骨部分の適正な位置決め及び整合を提供するように骨部分間での伸延力の適用及び(又は)維持を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
隣接する骨部分は所望の手術結果を得るために処置を施す必要があることがある。例えば、隣接する骨部分は所望の手術的な修正及び治癒のために隣接する骨部分の適正な位置決め及び整合を提供するように骨部分間での伸延力の適用及び(又は)維持を必要とすることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
伸延力により隣接する骨部分の手術的な修正を容易にする移植片及び技術の要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
隣接する骨部分の手術的な修正を容易にするため、移植片は隣接する骨部分に取り付け可能で、隣接する骨部分間で伸延力を適用及び(又は)維持するようになった本体を有する。
【0005】
1つの態様によれば、骨セグメントを処置するための移植片は第1及び第2の骨部分の各々に対して椎骨間的に取り付け可能で、第1及び第2の骨部分の各々の間で運動を許容しながら、第1及び第2の骨部分の各々間で伸延力を適用及び(又は)維持するようになった本体を有する。
【0006】
別の態様によれば、隣接する骨部分を伸延させるための移植片は第1の状態及び第2の状態を備えた本体を有する。本体は第2の状態においてそれに取り付けるために隣接する骨部分間で椎骨間的に延びる。取り付けたとき、本体は隣接する骨部分に伸延力を適用するように第1の状態の方へ戻る。
【0007】
更なる態様においては、隣接する骨部分を伸延させるための装置は隣接する骨部分の対応する1つに係合できる第1のアンカー及び第2のアンカーを有する。移植片の本体は隣接する骨部分の椎骨間方向に延び、第1及び第2のアンカーに取り付けられる。本体は、取り付けられたときに、第1及び第2のアンカー間に伸延力を適用する。
【0008】
別の態様によれば、脊柱セグメントの湾曲した部分を修正するための方法は脊柱セグメントの凹状に湾曲した側に移植片を取り付ける工程と、移植片により凹状の側に伸延荷重を適用する工程とを有する。
【0009】
別の態様によれば、脊柱セグメントの湾曲した部分を修正するための方法は、移植片の端部が第1の距離だけ離間するような第1の状態と、移植片の端部が第1の距離よりも小さい第2の距離だけ離間するような第2の状態とを備えた移植片を提供する工程;第2の状態において脊柱の凹状の側に移植片を取り付ける工程;及び、伸延荷重を適用するように第2の状態から第1の状態へ移植片を偏倚する工程を有する。
【0010】
別の態様においては、脊柱セグメントの隣接する椎骨を伸延させるための方法は隣接する椎骨に沿って椎間板外に移植片を位置決めする工程と;隣接する椎骨に移植片を取り付ける工程と;移植片により隣接する椎骨に伸延荷重を適用する工程とを有する。
【0011】
この開示のこれら及び他の態様はまた以下で説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の原理の理解を促進する目的で、図面に示す実施の形態をここで参照し、その説明のために特定の用語を使用する。しかし、これによって本発明の要旨を限定することを意図しないことを理解されたい。図示の装置に対するいかなるこのような変更及び更なる修正、並びに、ここに示すような本発明の原理のいかなる更なるこのような応用も、本発明に関連する当業者なら普通に行うことができるものと想定される。
【0013】
図1には、伸延用移植片を有する処置システム20を示す。伸延用移植片40は本体41を有し、この本体は本体41の取り付けのために隣接する骨部分間を延びるように寸法決めされた、長手軸線49(図2)に沿って延びる長さを有する。伸延用移植片40は、隣接する骨部分の対応する1つに係合できる第1のアンカー21及び第2のアンカー30により、隣接する骨部分に椎骨間的に取り付けることができる。図示の実施の形態では、第1のアンカー21は末端骨係合部分22及び基端取り付け部分24を有する。第2のアンカー30もまた末端骨係合部分32及び基端取り付け部分34を有する。伸延用移植片40の本体41はアンカー21、30の取り付け部分24、34間を延び、これらの部分にそれぞれ取り付けられる。
【0014】
アンカー21、30への取り付けを容易にするため、伸延用移植片40は本体41の第1の端部43に隣接する第1の穴42と、本体41の第2の端部45に隣接する第2の穴44とを具備することができる。第1及び第2の穴42、44はその中にアンカー21、31の基端取り付け部分24、34を受け入れるように寸法決めすることができる。他の実施の形態では、伸延用移植片40は、隣接する骨部分の対応する1つに係合する2又はそれ以上のアンカーに取り付けるように、その各端部において形状づけることができる。穴42、44は伸延用移植片40と各アンカー21、30との間の接触表面積を最大にするような幅広くて深い形状を有することができる。また、アンカーは本体41内にアンカーを侵入させることにより位置決めできることも想定されている。
【0015】
本体41は、本体が隣接する骨部分間で所望の空間的な関係を維持できるような適当な材料で作ることができることが想定されている。本体41は、隣接する骨部分を互いに剛直に固定することなく、アンカー21、30間で伸延力を連続的に維持及び(又は)作用させることができる。例えば、本体41はその端部が第1の距離だけ互いに離間するような第1の状態を有することができる。本体41は、その端部が第1の距離よりも小さな第2の距離だけ離間するように互いに近づく運動をするような第2の状態へ移行できる。本体41は圧縮、変形、あるいは非膨張その他の変態により第2の状態へ移行できる。本体41はこれを取り付けた椎骨間に伸延力を提供するように第2の状態から第1の状態へ解放、変形、膨張又はその他の形態の変態を生ぜしめられる。
【0016】
使用において、本体41はその第2の状態でアンカー21、30に取り付けることができる。取り付け後、本体41はアンカー21、30間に伸延力を作用及び(又は)維持させるように第1の状態の方へ戻る。また、伸延力を伸延器具によりアンカー21、30に適用して、伸延用移植片40は適用された伸延力を少なくとも部分的に維持するように伸延されたアンカー21、30に取り付けることができることも想定されている。更に、伸延力をアンカー21、30間に適用し、伸延用移植片40はその第2の状態で伸延されたアンカー21、30に取り付け、アンカー21、30への取り付け後に、アンカー21、30間の伸延力を維持又は増大させるようにその第1の状態の方へ戻ることができることも想定されている。
【0017】
本体41に対しては、ゲル、エラストマー、粘弾性ゲル又はプラスチック、フォーム、布、メッシュ、形状記憶合金、他の適当な生物的適合性の材料及びその組合せを含む種々の材料が想定されている。アンカー21、30はアンカーを係合させる骨部分への骨合体を提供するように形状づけられた形式のものとすることができる。このようなアンカーの例は、その全体を参照としてここに組み込む、2002年5月2日に出願された米国特許出願番号第10/137,038号明細書において提供される。また、アンカー21、30は有穴骨スクリュー及び多軸骨スクリューを含む骨スクリュー、ステープル、縫合アンカー、スパイク、ボルト、隣接する骨部分間に位置する体内融着装置、隣接する骨部分間に位置する体内移植片及び骨構造に係合するのに適する他の装置の形として提供することができることも想定されている。
【0018】
本体41は長手軸線49の方向の長さ及び中間軸線51の方向の幅を有する。図示の実施の形態では、本体41の幅は長手軸線49に沿って変化する。図1に示すように、本体41は第1の端部43と第2の端部45との間を延びるベース部分53を有する。本体41の下表面57はベース部分53に沿って延び、伸延用移植片40を取り付ける骨部分に隣接して位置決めできる。ベース部分53は本体部分41の長さ及び幅に沿って実質上一定の厚さを具備することができる。拡大中間部分48の形をした伸延用移植片40の可変こわさの部分はベース部分53から下表面57の反対側へ延びる。
【0019】
中間軸線51は本体41を第1の部分46と第2の部分47とに分ける。本体41の第1の部分46は長手軸線49の片側における第1の上表面48と、長手軸線49の反対側における第2の上表面54とを有する。中間軸線51の他側において、本体41の第2の部分47は長手軸線49の片側に沿った第3の上表面50と、長手軸線49の他側に沿った第4の上表面52とを有する。隣接する上表面48、54は長手軸線49に沿って又はこれに隣接して接することができ、隣接する上表面50、52は長手軸線49に沿って又はこれに隣接して接することができる。隣接する上表面48、50は中間軸線51に沿って又はこれに隣接して接することができ、隣接する上表面52、54は中間軸線51に沿って又はこれに隣接して接することができる。
【0020】
各表面48、50、52、54は長手軸線49と中間軸線51との間の交差部に形成された頂点55において接することができる。頂点55は中間部分48に沿った本体41のための最大厚さの区域即ち地点を提供するものと想定されている。本体41の表面48、50、52、54は頂点55から本体41の外縁の方へテーパすることができる。図示の実施の形態においては、表面48、50、52、54は平坦で、ピラミッド形状を形成する。また、他のピラミッド形状を形成する数個の又は付加的な上表面も想定されており、表面48、50、52、54の任意の1つ又はすべては、本体41が球状又は丸い形状を有するような曲率を具備できることも想定されている。
【0021】
図1、2に示す実施の形態においては、本体41の上表面は長手軸線49と中間軸線51との間の交差部において又はこれに隣接して最大厚さを備えた本体41を提供する。従って、本体41を圧縮変形させる傾向を持つ力に対する本体41の抵抗は本体41の各端部53、45から頂点55に向かって増大する。中間部分48は、本体41が予期した圧縮荷重の下で座屈するのを阻止するように寸法決めできる。本体41の圧縮変形の量は、隣接する骨部分が互いに剛直に固定されないように端部43、45が互いに関して運動するのを許容しながら、端部43、45間の最小間隔を維持するように予期された圧縮荷重の下で制限することができる。
【0022】
図3は力の矢印56により表されるような圧縮力分散パターンをその上に重ねて示した伸延用移植片40を示す。このような圧縮力は隣接する骨部分による伸延用移植片40上への静的及び動的な圧縮負荷により生じさせることができる。単位横断面積当りの圧縮力は材料の横断面積が最小になる穴42、44にすぐ隣接した部分で最高となる。本体41の幅及び高さの各々は端部43、45から頂点55に向かって増大し、その長さに沿って可変のこわさ特性を本体41に提供する。単位横断面積当りの圧縮力は端部43、45から頂点55に向かって減少し、圧縮力による本体41の変形を減少させる。本体41は、取り付けのための第2の状態に圧縮でき、またアンカー21、30間で伸延荷重を適用又は維持するためにその未圧縮の第1の状態の方へ戻るのに十分な弾性を提供する、ショックアブソーバ装置として機能できる。可撓性の本体41はまた隣接する骨部分のある相対運動を許容する。本体41の可変のこわさ特性は隣接する骨部分の安定性を維持するためにこの運動を制限する。
【0023】
伸延用移植片40の特定の実施の形態は、椎骨本体間のセグメント運動を少なくとも部分的に保持しながら、隣接する椎骨本体間に伸延を維持及び(又は)提供するように脊椎区域での使用のために形状づけられる。このような脊椎への使用に対しては、本体41は穴42、44の隣接する側間に2ないし4センチメートルの範囲の長手軸線49の方向の全長を具備することができることが想定されている。穴42、44は1ないし2センチメートルの範囲の直径を具備することができる。本体41は2ないし4センチメートルの範囲の中間軸線51の方向の最大幅を具備することができる。本体41は約1ないし3センチメートルの範囲の底表面57から頂点55までの最大高さを具備することができる。このような寸法は変更することができ、例えば患者の解剖学的構造、伸延用移植片40を取り付けるべき患者の人体の区域、伸延用移植片40を構成する材料の特性及び伸延用移植片40上の予期される負荷に基づいて他の材料が想定される。
【0024】
図4を参照すると、別の実施の形態の伸延用移植片240は本体241と、端部243、245にそれぞれ隣接する第1及び第2の穴242、244とを有する。本体241は伸延用移植片40の本体41に関して上述したように設けることができる。本体241は長手軸線249に沿って延び、中間軸線251は本体241を第1の部分246と第2の部分247とに分割する。本体241は軸線249、251の交差部により形成されるそれぞれの四分円区画内にその全体又は大半が位置する上表面部分248、250、252、254を具備することができる。表面248、250、252、254は長手軸線249及び中間軸線251の交差部又はそれに隣接した頂点255から延びる拡大中間部分を提供する。
【0025】
伸延用移植片240は本体241の構造上の一体性の維持を補助し、それへ可変のこわさ特性を提供するように本体241内に1又はそれ以上の補強部材を具備することができる。例えば、補強部材258は穴242に関連して示すように本体241を通る1又はそれ以上のアンカー穴のまわりに設けることができる。補強部材258は圧縮力に抵抗するように本体241を補助するために穴242の中間側に設けることができる。補強部材258は引っ張り力に抵抗するように本体241及び補強部材258を補助するために穴242と端部243との間に設けることができる。補強部材258は隣接する穴を通って延びるアンカーにより加えられる高応力集中を受ける本体241の領域において補強を提供するように隣接する穴242のまわりを延びる湾曲形状を有することができる。
【0026】
中間方向に指向する補強部材260は、例えば、圧縮及び引っ張り力に抵抗するように本体241を補助するために長手軸線249を横切って延びるよう第1の部分246内に設けることができる。補強部材260の端部は、圧縮及び伸延荷重に対する長手方向の抵抗を提供するために、中間軸線251から離れて端部243のような移植片の端部へ向かうように長手軸線249から延びることができる。補強部材261の中間方向に延びる成分は本体241に加わる捻り即ち捩り力に抵抗できる。他の実施の形態は長手軸線249から中間軸線251の方へ延びる中間方向に指向したものや、中間軸線251に平行に延びる補強部材及びその組合せを想定している。
【0027】
第1の長手方向に指向する補強部材262は本体241の第1の部分246と第2の部分247との間で中間軸線251を横切って延びる。補強部材262は長手軸線249の方向に主として長手方向に延びる。第2の長手方向の補強部材264は例えば第2の部分247内に示すように、第1及び第2の部分246、247のうちの一方において本体241内に位置するように設けることができる。本体241は上述の補強部材258、260、262、264の任意の1つ又は組合せを具備することができる。他の実施の形態は直線状又は非直線状の配列となって本体241を通してランダムに分布する補強部材を想定している。
【0028】
補強部材258、260、262、264のための種々の形が想定される。補強部材は増大した材料密度の形とすることができ、または、本体241の材料とは異なる材料の形とすることができる。その例は、金属、プラスチック又は他の適当な材料で作ったバー、ストリップ、ファイバ又はフィラメントである。補強部材258、260、262、264は本体241内に埋設することができ、または、1又はそれ以上の上表面部分に沿って又は本体241の下表面に沿って延びることができる。
【0029】
図5を参照すると、第1の端部343に隣接する第1の穴342と、第2の端部345に隣接する第2の穴344とを備えた本体341を有する別の実施の形態の伸延用移植片340を示す。穴342、344は上述したアンカー21、30のような第1及び第2のアンカーを受け入れることができる。本体341は長手軸線349に沿って延び、中間軸線351は本体341を第1の部分346と第2の部分347とに分割する。本体341は所望の負荷抵抗特性を本体341に提供するために可変こわさの中間部分348を有する。図示の実施の形態においては、中間部分348は長手軸線349と中間軸線351との間の交差部において又はそれに隣接して頂点355で最大厚さを備えた球状(凸曲面)形状を有する。中間部分348はまたピラミッド又は他の拡大形状を具備することができる。
【0030】
図6に示すように、中間部分348は本体341のベース部分353から延び、各端部でベース部分と一緒になるよう形成された上方部材352を有する。上方部材352はベース部材353と一緒に室350を形成することができ、この室内に補助装置356を配置することができる。補助装置356は隣接する骨部分に対する伸延力を適用及び(又は)維持するように流体又は水を常に吸収することができる。矢印354(図5)は、圧縮力が本体341に作用するときに流体により室350内に発生する外向きの圧力を表す。補助装置356内への浸透勾配は矢印354とは反対の方向に延び、そのため、補助装置356は剛直になることができ伸延力を常に維持することができ、または、伸延用移植片340により適用される伸延力を増大させるように常に膨張することができる。補助装置356はスポンジ、フォーム又は他の適当な浸透材料の形として設けることができる。他の実施の形態は、補助装置356無しに、室内での流体、ゲル、フォーム液体又は他の流動可能な材料を想定している。
【0031】
図7を参照すると、脊柱セグメント500を含む、伸延用移植片の1つの特定の応用のための隣接する骨部分を示す。脊柱セグメント500は第1の椎骨502、第2の椎骨504及び第3の椎骨506を有する。第1の椎間板空間508は第1の椎骨502と第2の椎骨504との間に位置し、第2の椎間板空間510は第2の椎骨504と第3の椎骨506との間に位置する。第1のアンカー21は第1の椎骨502に係合し、第2のアンカー30は第2の椎骨504に係合し、第3のアンカー430は第3の椎骨506に係合する。アンカー21、30に関して説明したように、第3のアンカー430は椎骨506に係合できる末端骨係合部分432と、そこから延びる伸延用移植片の取り付けのための基端取り付け部分434とを有することができる。
【0032】
図7において、脊柱セグメント500は前後方向で示され、その片側に沿って横方向の凹状湾曲を伴うように変形した、側彎症となっている。図8、9に示すように、伸延用移植片システム420は脊柱セグメント500の凹状湾曲を修正するためにアンカー21、30、430に取り付けることができる。伸延用移植片システム420は、第1の伸延用移植片40と、第1の伸延用移植片40と同一とすることのできる第2の伸延用移植片440とを有する。第1の移植片40は第1のアンカー21及び第2のアンカー30に椎骨間的に取り付けられる。
【0033】
椎骨本体の前方部分に沿って横方向に移植片40、440を取り付けるということは、後方の椎骨素子に関連する神経及び筋肉組織、及び、椎骨の前方面に沿う脈管構造及びデリケートな靭帯を避ける。更に、移植片の伸延力は整合するように椎骨を押すために椎骨本体の凹状に湾曲した側に沿って直接適用される。
【0034】
伸延用移植片40がアンカー21、30に取り付けられるとき、移植片は、例えばこれを圧縮し、アンカー21、30の基端取り付け部分24、34に取り付けることにより、その第2の状態に置くことができる。同様に、移植片440を圧縮してアンカー30、430の基端取り付け部分34、434に取り付けることができる。取り付けられた伸延用移植片40、440は第2の状態から第1の状態へ移行する傾向を有し、その結果、伸延力が移植片に取り付けたアンカーの対応する1つ間に適用され、脊柱500の凹状の湾曲を図9に示すような正常な状態の方へ修正する。
【0035】
図7において、矢印512、514はアンカー21、30間に適用されている伸延力を示し、矢印516、518はアンカー30、430間に適用されている伸延力を示す。このような伸延力は、脊柱500についての凹状の湾曲を修正するために移植片40、440の取り付け前に、アンカー間に適用することができる。伸延用移植片40、440は対応するアンカーを通して隣接する椎骨間で伸延を維持及び(又は)増大させるために取り付けることができ、これにより、脊柱500の凹状の湾曲を図9に示すような正常な状態の方へ修正する。
【0036】
ここで図10−12を参照すると、別の実施の形態の伸延用移植片システム520が提供される。図10において、脊柱セグメント500は間に椎間板空間508を伴った第1の椎骨502及び第2の椎骨504を有する。椎間板空間508は、図10にD1で示すように、椎骨502、504間に正常な又は所望の空間が提供されないように収縮している。第1のアンカー21は椎骨502の前方部分に沿って係合し、第2及び第3のアンカー521、621は椎骨502の両側で横方向に又は傾斜して係合する。同様に、椎骨504はこれに前方で係合する第4のアンカー30を有し、第5及び第6のアンカー530、630は椎骨504の両側で横方向に又は傾斜して係合する。
【0037】
図11にD2で示す空間高さを有する伸延された椎間板空間508を提供するため、伸延力512、513、612を椎骨502に係合するアンカー21、521、621にそれぞれ適用することができる。伸延力514、515、614を椎骨504に係合するアンカー30、530、630にそれぞれ適用することができる。このような伸延力は、1又はそれ以上の伸延用移植片の取り付けにより及び(又は)1又はそれ以上の伸延用移植片の取り付け前に伸延器具により、適用することができる。椎骨本体502、504のまわりでアンカーを分布させることにより、椎間板空間508はその幅にわたって均一な高さとなるように伸延することができる。
【0038】
アンカー21、521、621及びアンカー30、530、630に取り付けることのできる伸延用移植片540を図11に示す。図示の実施の形態においては、伸延用移植片540は図12に示すように各椎骨502、504のまわりで少なくとも部分的に延びまた椎骨502、504間を延びるよう、その下表面547に少なくとも沿ってU字形即ち馬蹄形を具備する。反対側の上表面552は、システム520が椎骨502、504から延びる低プロフィールを維持できるように、アンカーの各穴のまわりにくぼみ554を具備することができる。伸延用移植片540は、移植片が第2の状態に置かれるのを許容し、椎骨502、504に係合するアンカーの対応する1つに伸延荷重を作用させるために第1の状態の方へ戻るのを許容し、椎骨502、504間の運動を許容しながら所望の椎間板空間高さD2を回復し維持するのを許容するような特性を備えた本体541を具備することができる。1つの実施の形態においては、本体541は球状又は丸みを持った形をした拡大中間部分を有し、移植片540を第2の状態にするように圧縮可能で、伸延力を与えるようにその第1の非圧縮状態に戻るのに十分な弾性を有する可撓性の材料で構成される。
【0039】
図13−14を参照すると、別の実施の形態の伸延用移植片700を示す。伸延用移植片700は第1の端部704から反対側の第2の端部706へ延びる本体702を有する。例えばシステム20に関して上述したような第1のアンカー21及び第2のアンカー30により椎骨本体への椎骨間取り付けを容易にするため、第1の端部704は穴710を有し、第2の端部706は穴712を有する。各端部704、706はそこを通るアンカーを受け入れるためのそれぞれの穴710、712を形成するように本体702に関して拡大することができる。また、端部704、706が本体702に関して拡大しないように、本体702又は穴710、712のいずれか及び対応するアンカーを寸法決めすることができることも想定されている。
【0040】
第1の穴710は長手軸線701に沿って第2の穴712から距離714だけ離間し、その間には、長手軸線701に沿ってギャップが形成され、本体702の圧縮、膨張、変形又は変態に応答して第1及び第2の端部704、706が互いに関して進退運動するのを容易にする。距離714は、端部704、706を隣接する椎骨本体の対応する1つに取り付けることができるように、少なくとも1つの椎間板空間を横切って延びるのに十分な長さを有することができる。また、本体702が1又はそれ以上の椎骨を横切って延びるような長さ714を提供でき、また、多レベルの伸延を提供するように端部704、706を取り付けることができることも想定されている。移植片700は更に長手軸線701と本体702の外壁表面705との間に全体幅718を有する。
【0041】
移植片700は側彎した脊椎の横方向又は前方横方向の部分のような脊椎の凹状に湾曲した部分に沿って位置決めすることができ、凹状湾曲を処置するために隣接するアンカー間に伸延力を作用させるようになっていることが想定されている。本体702は端部704、706間の半円形経路に沿って湾曲し、凹状の第1の表面703と、反対側の凸状の第2の外表面705とを有する。本体702は第1及び第2の表面703、705間の第1の幅708を有する。本体702は更に第1の表面703と第2の表面705との間を延びる対向する第3及び第4の表面707、709を有する。第3及び第4の表面707、709はその間を延びる第2の幅711を有する。脊柱に固定したとき、第3及び第4の表面707、709の一方が脊柱に隣接して位置決めされ、第3及び第4の表面707、709の他方が脊柱から離れてこれに対面することが想定されている。
【0042】
伸延用移植片700及びここで説明する他の実施の形態の伸延用移植片の1つの応用においては、移植片700は第1の状態を有し、端部704、706を互いの方へ移動させることにより第2の状態へ移行される。第2の状態において、端部704、706は脊椎の凹状に湾曲した部分に沿って椎骨又は他の構造に係合するアンカーに取り付けられる。次いで、伸延用移植片はその第1の状態の方へ移行し、脊椎の凹状に湾曲した部分を所望の整合状態に修正及び(又は)維持するようにそれに係合するアンカー間に伸延力を作用させる。長手軸線701に関して横方向に片寄った本体702により形成される端部704、706間のギャップは第2の状態を得るために端部704、706が互いの方へ運動するのを容易にする。更に、端部704、706間のギャップは移植片700を係合させた椎骨レベル(単数又は複数)のための限られた範囲の運動を許容するように第1の状態での本体702の撓みを容易にする。
【0043】
伸延用移植片700はほぼ人体温度での擬似弾性特性又は挙動を示す形状記憶材料で少なくとも部分的に形成することができる。1つの実施の形態においては、移植片700は形状記憶材料で形成される。しかし、端部704、706間の部分のみを形状記憶材料で少なくとも部分的に形成でき、端部704、706は例えばステンレス鋼又はチタンのような任意の適当な生物的適合性の材料で形成できることを理解すべきである。
【0044】
SMAは、形状記憶合金(「SMA」)で作った特定の素子が初期の「記憶された」形即ち形状から異なる形へ変形することができ、次いでその初期の形即ち形状の方へ戻るように移行できるような「形状記憶」特性又は挙動を示す。形状記憶を所有する能力は、SMAがオーステナイト状態からマルテンサイト状態への可逆的な変態を受けるという事実から由来する。温度の変化によりこの変態が生じる場合は、形状記憶現象は一般に熱弾性マルテンサイト変態と呼ばれる。応力の付与によりマルテンサイト変態が生じる場合は、形状記憶現象は一般に応力誘起マルテンサイト変態と呼ばれる。ここでは、両方の形式の変態が想定されている。
【0045】
SMAは、負荷中にSMA材料の弾性限界を越えで生じる歪が負荷解除中に回復されるような超弾性現象又はゴム様の挙動を示すものとして知られている。SMAがオーステナイトへの変態を開始するような温度(時として、変態温度と呼ばれる)よりも僅かに高い温度において応力がSMA物品に加えられた場合に、この超弾性現象が生じる。応力を受けたとき、物品は最初にSMA材料の降伏点(時として、臨界応力と呼ばれる)まで弾性的に変形する。しかし、更に応力を加えると、SMA材料は応力誘起マルテンサイト即ち「SIM」への変態を開始する。この変態は、SMA材料がマルテンサイトへ完全に変態するような地点まで、実質上一定の応力で生じる。応力が解除されたとき、SMA材料はオーステナイトへ戻るように移行し、物品はその元の予めプログラムされた即ち記憶された形へ戻る。この現象は、時として、超弾性又は擬似弾性と呼ばれる。この現象はSMA材料の対応する温度変化無しに生じ得ることを理解すべきである。
【0046】
形状記憶材料はまた柔軟なものとすることができ、典型的には、その変態温度以下の温度で容易に元の形状に戻ることができる。このような物品は、形状記憶材料がその変態温度範囲以上の温度に達したときに物品が移行するような予めプログラムされた形状(一般に「記憶された形状」と呼ばれる)を有するように養成することができる。このような温度に達した後、物品はその予めプログラムされた記憶された形状へ移行しようとする。そうする際に、物品は熱エネルギを機械的な仕事に変換する。
【0047】
形状記憶金属合金(例えば銅及び亜鉛やニッケル及びチタンや銀及びカドミウムのような例えば既知の金属の合金)及び形状記憶ポリマーを含む、伸延用移植片に使用するのに適した種々の形状記憶材料が存在する。形状記憶特性を示す多くの合金が存在するが、最も一般的なSMAの1つはニッケル及びチタンの合金である。1つのこのような合金はニッケル及びチタンで形成した生物的適合性のSMAとしてのニチノールである。ニチノールは伸延用移植片の特定の応用に対して特に適する。その理由は、ほほ正常な人体温度(即ち約35−40℃)において応力誘起マルテンサイト変態又は熱弾性マルテンサイト変態を受けるようにプログラムできるからである。更に、ニチノールは極めて低い腐食率及び優れた磨耗抵抗を有し、それによって、人体内で支持構造体として使用したときに利点を提供する。更に、移植片の動物実験によれば、ニチノール材料と接触する組織内のニッケル上昇が最小であることが分かった。しかし、超弾性特性を示す他のSMA材料も本発明の要旨内に入るものと想定されていることを理解すべきである。
【0048】
形状記憶材料から作った伸延用移植片700にとって適する技術が想定されている。このような技術はまたここで説明する他の実施の形態の伸延用移植片にも適用できることを理解すべきである。移植片700の端部704、706のような伸延用移植片の端部は本体702を屈曲させ、本体702の少なくとも一部を構成する形状記憶材料をSIM状態に置くように互いの方へ移動される。本体702はこのSIM状態に維持され、移植片700の端部704、706はアンカーにより脊椎の凹状に湾曲した部分に沿って椎骨又は他の構造に取り付けられる。次いで、本体702上の応力が取り除かれ、係合した伸延用移植片700はその元の形状の方へオーステナイト状態に戻るように移行し、脊椎の凹状に湾曲した部分を所望の整合状態に修正及び(又は)維持するようにそれに係合したアンカー間に伸延力を作用させる。長手軸線701に関して横方向に片寄った本体702により形成される端部704、706間のギャップはSIM状態を得るために互いの方への端部704、706の運動を容易にし、移植片700を係合させた椎骨レベル(単数又は複数)のための限られた運動範囲を許容するようにオーステナイト状態への本体702の撓みを容易にする。
【0049】
付加的な伸延力及び脊椎の運動を減少させる増大したこわさを達成するため、複数の伸延用移植片700を上下に重ねて、各端部において、同じ骨アンカーにより脊柱の凹状に湾曲した部分に係合させることができる。重なった移植片700の本体702は長手軸線701の同じ側へ横方向に片寄るように配置でき、または、長手軸線701の反対側へ横方向に片寄るように配置できる。多数の伸延用移植片700はまた長手方向で離間することができ、複数のレベルで伸延を提供するように脊柱に沿って係合することができる。脊柱の異なるレベルは、脊柱に沿って移植片装置のための異なる伸延力及びこわさ特性を提供するために、単一の移植片700又は異なる数の重なった移植片700により、伸延することができる。
【0050】
移植片700の端部704、706の一方又は両方は隣接する骨アンカーに剛直に固定できるか又はそれに関して回転できる。端部704、706が回転できるようにすることにより、本体702が第1の状態へ移行する際に、伸延力は相互に離れるような端部704、706の運動方向に主として指向する。端部704、706の一方又は両方が骨アンカーに固定された場合、複合力がアンカー上に発生する。複合力は脊柱の中心軸線に対して横断方向に延びる成分を含み、脊椎すべり症の修正が望ましい場合のように、前後方向において脊柱の中心線に対して横断方向で隣接する椎骨を整合させ又は整合を維持するために使用することができる。
【0051】
伸延用移植片700の他の形も想定されている。例えば、図15、16は伸延用移植片700と同様の伸延用移植片720を示す。伸延用移植片720は第1の端部724と反対側の第2の端部726との間を延びる本体722を有する。本体722は第1及び第2の端部724、726間で半卵(半楕円)形状を有する。本体722の半卵形状は、同一の長さ714、734の移植片について、同じ全体幅を有する半円形の伸延用移植片700に比べて、伸延用移植片720のために減少した全体幅738を提供する。
【0052】
更に別の実施の形態は、伸延用移植片が伸延力を維持するための付加的な支持を提供するように対向する端部間を延びる第2の本体部分を有することを想定している。例えば、図17、18には、第1の本体部分762と第2の本体部分763とを備えた本体761を有する伸延用移植片760を示す。各本体部分762、763は対向する端部764、766間を延び、この端部で、椎骨への取り付けを容易にするために長手軸線769に沿って穴を提供できる。
【0053】
本体761は貫通する開口768を備えた円形形状で形成され、端部764、766が本体部分762、763の変形又は形状変化に応答して撓むこと、即ち互いに近づく運動をするか又は互いに離れる運動をすることを許容する。本体部分762、763は開口768のまわりでの連続的な本体構造を提供するために第1及び第2の端部764、766の各々において互いに一体的に形成される。
【0054】
別の例においては、図19、20は第1の本体部分782と第2の本体部分783とを備えた本体781を有する伸延用移植片780を示す。各本体部分782、783は対向する端部784、786間を延び、この端部で、椎骨に対する取り付けを容易にするために穴を設けることができる。本体781は貫通する開口788を備えた卵形(楕円)形状として形成され、端部784、786が本体部分782、783の変形又は形状変化に応答して撓むこと、即ち互いに近づく運動をするか又は互いに離れる運動をすることを許容する。本体部分782、783は開口768のまわりでの連続的な本体構造を提供するために第1及び第2の端部784,786の各々において互いに一体的に形成される。
【0055】
伸延用移植片780の本体781の卵形形状は本体部分782、783の外表面間の全体幅790を有する。本体781は端部784、786間の長さ792を有する。同様に、伸延用移植片760はその円形の本体のための幅770と、幅770と実質上同じ、軸線769に沿った長さ772とを有する。伸延用移植片780については、幅790は同じ長さを有する移植片としての伸延用移植片760の幅770よりも小さい。従って、伸延用移植片780は、幅に対する長さの一層大きな比が望ましい場合に、使用できる。
【0056】
図21、22は伸延用移植片780と類似する伸延用移植片800を示す。伸延用移植片800は第1の本体部分802と第2の本体部分803とを備えた本体801を有する。各本体部分802、803は対向する端部804、806間を延び、この端部で、椎骨への取り付けを容易にするため穴を設けることができる。本体801は貫通する開口808を備えた卵形形状として形成され、端部804、806が本体部分802、803の変形又は形状変化に応答して撓むこと、即ち互いに近づく運動をするか又は互いに離れる運動をすることを許容する。伸延用移植片780とは異なり、伸延用移植片800は、本体部分802、803が互いに独立に運動するのを許容するために端部804、806の一方又は双方においてヒンジ接続部を有する。ヒンジ接続部は端部804、806の相互の進退運動を容易にする。その理由は、本体部分802、803が隣接する端部804、806を屈曲又は変形させる必要が無いからである。
【0057】
円形、矩形、正方形、ダイアモンド形、波形、多角形又は他の適当な形を含む、伸延用移植片760、780、800のための他の形も想定されている。更に、伸延用移植片700、720はまた他の形状を具備することができる。図23−24は第1の端部824と反対側の第2の端部826との間を延びる本体822を有する伸延用移植片820を示す。本体822は、本体822の圧縮、変形又は変態に応答して端部824、826が相互に進退運動するのを容易にするために、端部824、826から横方向に片寄る。本体822は直線部分828と、直線部分828の両端における一対の角度部分830、832とを有する。角度部分830、832は直線部分828から端部824、826の対応する1つへ延び、端部から直線部分828を片寄らせる。本体822が角度部分により相互接続された多数の直線セグメント、互いに相互接続された多数の角度部分、及び、端部824、826間の直線部分、角度部分及び湾曲部分の組合せを有することができるような別の実施の形態も想定されている。
【0058】
図25−26には、対向する端部844、846間を延びる本体842を有する伸延用移植片840を示す。本体842は開口848の両側に沿って延び、移植片840の長手軸線から横方向に片寄った、第1の本体部分850及び第2の本体部分856を有する。本体部分850は第1の端部844から第2の角度部分854へ延びる第1の角度部分852を有し、第2の角度部分は第1の角度部分852から第2の端部846へ延びる。同様に、第2の本体部分856は第1の端部844から第2の角度部分860へ延びる第1の角度部分858を有し、第2の角度部分は第1の角度部分858から第2の端部846へ延びる。角度部分852、854及び角度部分858、860の交差部は端部844、846から横方向に片寄り、開口848のまわりでダイアモンド形をした本体842を提供する。角度部分は、端部804、806が第1及び第2の本体部分850、856の圧縮、変形又は変態に応答して相互に進退運動するのを容易にする。
【0059】
図27−28を参照すると、対向する端部874、876間を延びる本体872を有する伸延用移植片870を示す。本体872は、チェーン形状を形成するように、端部874、876間で本体872の長さに沿って互いにリンク接続された複数の本体部分878、880を有する。図示の実施の形態においては、本体部分878、880は、各本体部分の少なくとも一部が長手軸線871から横方向に片寄るように、ダイアモンド形状をしている。このような片寄りは、一部の又は全部の本体部分878、880の圧縮、変形又は変態に応答して端部874、876が相互に進退運動するのを容易にする。本体部分878、880はまた円形、卵形、正方形、矩形又はここで述べた他の形のような他の形状を具備することができる。更に、本体部分878、880は伸延の長手軸線871に沿って対称である必要はない。例えば、本体部分878、880は長手軸線871に沿ったジグザグ形又は波形を形成するように長手軸線871に沿って又はこれに隣接して開く(オープンする)ことができる。
【0060】
ここで説明した移植片は、例えば脊柱の凹状に湾曲した部分を伸延することにより、脊椎の変形を修正するために使用できることが想定されている。伸延用移植片は、伸延力により凹状の湾曲に直接逆らうように、脊柱セグメントの凹状に湾曲した部分を含む脊柱セグメントの表面に沿って位置決めすることができる。伸延用移植片は、単独で側彎の融着無し処置に使用することができ、または、凸状適用融着無し側彎処置装置に付随して使用することができる。更に、ここで述べた移植片は、椎間板空間が収縮しているか、または、椎骨間の関係又は間隔を変更又は維持したいような状況で、椎間板空間を横切る隣接する椎骨の椎骨間伸延に使用することができることが想定されている。伸延用移植片は、セグメントの運動を許容しながら、脊柱セグメントを安定させることができる。更に、隣接する骨部分間の伸延及び運動が望ましい場合には、1又はそれ以上の伸延用移植片を任意の骨部分に取り付けることができることが想定されている。
【0061】
図面及び上述の説明において本発明を図示し、詳細に説明したが、これは例示のためのものであり、特徴を限定するためのものではないと考えるべきであり、本発明の精神内に入るすべての変更及び修正は保護されることを望む。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】伸延用移植片の1つの実施の形態の立面図である。
【図2】図1の伸延用移植片の平面図である。
【図3】圧縮力の分布パターンを示す、図1の伸延用移植片の平面図である。
【図4】別の実施の形態の伸延用移植片の平面図である。
【図5】別の実施の形態の伸延用移植片の平面図である。
【図6】図5の6−6線における断面図である。
【図7】係合したアンカーを備えた脊柱セグメントの凹状に湾曲した部分での前後方向において見た立面図である。
【図8】固定された図1の伸延用移植片を備えた図7の脊柱セグメントの凹状に湾曲した部分に向かう中間横方向において見た立面図である。
【図9】脊柱セグメント及び図8の伸延用移植片の前後方向の立面図である。
【図10】固定したアンカーを備えた脊柱セグメントの前後方向における立面図である。
【図11】固定した別の実施の形態の伸延用移植片を備えた図10の脊柱セグメントの立面図である。
【図12】脊柱セグメント及び図11の伸延用移植片の前後方向の平面図である。
【図13】別の実施の形態の伸延用移植片の立面図である。
【図14】図13の伸延用移植片の斜視図である。
【図15】別の実施の形態の伸延用移植片の立面図である。
【図16】図15の伸延用移植片の斜視図である。
【図17】別の実施の形態の伸延用移植片の立面図である。
【図18】図17の伸延用移植片の斜視図である。
【図19】別の実施の形態の伸延用移植片の立面図である。
【図20】図19の伸延用移植片の斜視図である。
【図21】別の実施の形態の伸延用移植片の立面図である。
【図22】図21の伸延用移植片の斜視図である。
【図23】別の実施の形態の伸延用移植片の立面図である。
【図24】図23の伸延用移植片の斜視図である。
【図25】別の実施の形態の伸延用移植片の立面図である。
【図26】図25の伸延用移植片の斜視図である。
【図27】別の実施の形態の伸延用移植片の立面図である。
【図28】図27の伸延用移植片の斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲した脊柱セグメントの処理のための移植片において、
脊柱セグメントの凹状に湾曲した表面を有する第1及び第2の椎骨の表面に沿って第1及び第2の椎骨の対応する1つに取り付け可能な第1及び第2の端部を具備する本体を有し、上記本体が、第1及び第2の椎骨に上記本体が取り付けられた状態で脊柱セグメントの運動を許容するような態様で、凹状に湾曲した表面に沿って直線形状へと脊柱セグメントを伸延させるように構成されることを特徴とする移植片。
【請求項2】
上記本体が第1及び第2の状態間で移行可能であり、当該本体が第1及び第2の椎骨への取り付けのための上記第2の状態として形成され、第1及び第2の椎骨に取り付けられた状態で同第1及び第2の椎骨を連続的に伸延させるように当該第2の状態から上記第1の状態の方へ変形することを特徴とする請求項1に記載の移植片。
【請求項3】
上記本体が上記第1及び第2の端部間で当該本体を圧縮することにより移行可能であることを特徴とする請求項2に記載の移植片。
【請求項4】
上記本体が形状記憶材料で構成され、当該本体が上記形状記憶材料の相を変更することにより移行可能であることを特徴とする請求項2に記載の移植片。
【請求項5】
上記本体の上記第1の端部が第1の椎骨に係合できる第1の骨アンカーを受け入れるための第1の穴を有し、上記第2の端部が第2の椎骨に係合できる第2の骨アンカーを受け入れるための第2の穴を有することを特徴とする請求項1に記載の移植片。
【請求項6】
上記本体が上記第1及び第2の開口即ち穴のうちの少なくとも一方に隣接して当該本体内に埋設された少なくとも1つの補強部材を有することを特徴とする請求項5に記載の移植片。
【請求項7】
上記少なくとも1つの補強部材が上記隣接する開口のまわりで少なくとも部分的に延びることを特徴とする請求項6に記載の移植片。
【請求項8】
上記本体が同本体に沿って上記第1及び第2の端部間で変化するこわさを有することを特徴とする請求項1に記載の移植片。
【請求項9】
上記本体が第1の状態から第2の状態へと圧縮可能であり、脊柱セグメントに取り付けられた状態で脊柱セグメントを連続的に伸延させるために上記第2の状態から上記第1の状態へ変形するように弾性的になっていることを特徴とする請求項8に記載の移植片。
【請求項10】
上記本体がその中に埋設された多数の補強部材を有することを特徴とする請求項9に記載の移植片。
【請求項11】
上記本体がその中間部分に沿って室を有し、同室がその中に流体を含むことを特徴とする請求項1に記載の移植片。
【請求項12】
上記室内に位置し、脊柱セグメントの運動時に上記本体に加えられる圧縮及び引っ張り力に応答して当該室内の流体を吸収するようになった補助装置を更に有することを特徴とする請求項11に記載の移植片。
【請求項13】
上記本体が、同本体を脊柱セグメントに取り付けた状態で脊柱セグメントの方に向いた下方表面を有し、当該本体が更に上記下方表面に対向する上方表面を有することを特徴とする請求項1に記載の移植片。
【請求項14】
上記本体が上記上方及び下方の表面間に拡大中間部分を有することを特徴とする請求項13に記載の移植片。
【請求項15】
上記拡大中間部分が上記本体の上記第1及び第2の端部間でピラミッド形状を有することを特徴とする請求項14に記載の移植片。
【請求項16】
上記拡大中間部分が上記本体の上記第1及び第2の端部間で凸曲面形状を有することを特徴とする請求項14に記載の移植片。
【請求項17】
上記下方表面が第1及び第2の椎骨の前方部分のまわりで少なくとも部分的に延びるようになったU字形状を有することを特徴とする請求項13に記載の移植片。
【請求項18】
上記本体が脊柱セグメントの隣接する第1及び第2の椎骨に取り付けられるように寸法決めされた長さを有することを特徴とする請求項1に記載の移植片。
【請求項19】
上記本体が長手軸線に沿って上記第1の端部から上記第2の端部へ延び、当該本体が更に当該第1及び第2の端部間で上記長手軸線に対して直交する中間軸線を有し、該本体が上記中間軸線から当該各第1及び第2の端部の方へ幅方向に先細りすることを特徴とする請求項1に記載の移植片。
【請求項20】
上記本体が上記中間軸線の第1の側に位置する第1の部分と、当該中間軸線の第2の側に位置する第2の部分とを有し、上記第1及び第2の部分が各々ほぼ三角形の形状を有することを特徴とする請求項19に記載の移植片。
【請求項21】
上記本体がその下方表面と上方表面との間に高さを有し、同高さが上記中間軸線から上記第1及び第2の端部の各々に向かって先細りすることを特徴とする請求項19に記載の移植片。
【請求項22】
上記本体が長手軸線に沿って上記第1の端部から上記第2の端部へ延び、当該本体が当該第1及び第2の端部間を延びる第1の部分を有し、同第1の部分が該第1及び第2の部分間にギャップを形成するように上記長手軸線から横方向に片寄ることを特徴とする請求項1に記載の移植片。
【請求項23】
上記本体の上記第1の部分が半円形、半卵形、半矩形及び三角形からなるグループから選択された形を有することを特徴とする請求項22に記載の移植片。
【請求項24】
上記本体が上記第1及び第2の端部間を延び、当該本体の上記第1の部分とは反対の方向において上記長手軸線から横方向に片寄った第2の部分を有し、上記第1及び第2の部分が当該第1及び第2の端部間で該本体を通る開口を形成することを特徴とする請求項22に記載の移植片。
【請求項25】
上記本体の上記第1及び第2の部分が、上記第1及び第2の端部間で、円形、卵形、ダイアモンド形及びチェーン形からなるグループから選択された形を形成することを特徴とする請求項24に記載の移植片。
【請求項26】
上記本体の上記第1及び第2の部分が上記第1及び第2の端部のうちの少なくとも一方に隣接して一緒にヒンジ結合されることを特徴とする請求項24に記載の移植片。
【請求項27】
脊柱セグメントの第1及び第2の椎骨を伸延するための移植片において、
長手軸線に沿った長さを備える本体を有し、同本体が第1の状態及び第2の状態を有し、上記本体は、上記長さが第1及び第2の椎骨間を延びた状態で、上記第2の状態で椎骨間的に移植可能であり、当該本体が、移植されたときに、第1及び第2の椎骨間に伸延力を作用させ、当該第2の状態から上記第1の状態へ変形させるための手段を有しかつ第1及び第2の椎骨間の相対運動を許容することを特徴とする移植片。
【請求項28】
上記本体が上記長さに沿って変化するこわさを有することを特徴とする請求項27に記載の移植片。
【請求項29】
上記本体が拡大中間部分を有し、上記こわさが当該本体の中間軸線に向かって増大することを特徴とする請求項28に記載の移植片。
【請求項30】
上記拡大中間部分が凸曲面形状を有することを特徴とする請求項29に記載の移植片。
【請求項31】
上記拡大中間部分がピラミッド形状を有することを特徴とする請求項29に記載の移植片。
【請求項32】
上記本体が第1および第2の椎骨に隣接して位置決めできる下表面と、当該本体に沿って実質上一定の厚さを有する、上記下表面に沿ったベース部分とを有し、該本体が更に上記ベース部分から延び上記拡大中間部分を含む上方部分を有し、同上方部分が当該ベース部分と該本体の上表面との間の厚さを有し、同厚さが該本体の上記上方部分の長さに沿って変化することを特徴とする請求項29に記載の移植片。
【請求項33】
上記下表面が上記長手軸線に対して横断方向にU字形状を画定することを特徴とする請求項32に記載の移植片。
【請求項34】
上記厚さが上記本体の中間部分から当該本体の両端に向かって先細りすることを特徴とする請求項32に記載の移植片。
【請求項35】
上記本体が上記長手軸線に対して直交する中間軸線を有し、当該本体が上記中間軸線の片側の第1の部分と、当該中間軸線の反対側の第2の部分とを有し、上記第1及び第2の部分の各々がほぼ三角形形状を形成し、同三角形形状の底辺が該中間軸線に沿って互いに隣接して位置することを特徴とする請求項27に記載の移植片。
【請求項36】
上記第1及び第2の部分の各々が上記三角形形状の上記底辺とは反対側にアンカー穴を有することを特徴とする請求項35に記載の移植片。
【請求項37】
上記本体が上記長手軸線に沿って当該本体を圧縮することにより上記第2の状態へ移行し、上記変形手段が該本体を構成する弾性材料を含むことを特徴とする請求項27に記載の移植片。
【請求項38】
上記本体が形状記憶材料で構成され、上記変形手段が上記形状記憶材料の相を変更することを特徴とする請求項27に記載の移植片。
【請求項39】
上記本体が上記長手軸線に沿った、第1の端部及び反対側の第2の端部を有し、当該本体が上記第1及び第2の端部間を延びる第1の部分を有し、同第1の部分が当該第1及び第2の端部間にギャップを形成するように当該長手軸線から横方向に片寄っていることを特徴とする請求項27に記載の移植片。
【請求項40】
上記本体が、上記長手軸線に沿って上記第1及び第2の端部を互いの方へ移動させることにより、上記第1の状態から上記第2の状態へ移行されることを特徴とする請求項39に記載の移植片。
【請求項41】
上記本体の上記第1の部分が半円形、半卵形、半矩形及び三角形からなるグループから選択された形状を有することを特徴とする請求項39に記載の移植片。
【請求項42】
上記本体が上記第1及び第2の端部間を延びる第2の部分を有し、同第2の部分が上記第1の部分とは反対の方向において上記長手軸線から横方向に片寄り、上記第1及び第2の部分が当該第1及び第2の端部間で当該本体を通る開口を形成することを特徴とする請求項39に記載の移植片。
【請求項43】
上記本体の上記第1及び第2の部分が、上記第1及び第2の端部間において、円形、卵形、ダイアモンド形及びチェーン形からなるグループから選択された形状を形成することを特徴とする請求項42に記載の移植片。
【請求項44】
上記本体の上記第1及び第2の部分が上記第1及び第2の端部のうちの少なくとも一方に隣接して一緒にヒンジ結合されることを特徴とする請求項42に記載の移植片。
【請求項45】
湾曲した脊柱セグメントの処置のための装置において、
第1の椎骨に係合できる第1のアンカーと;
第2の椎骨に係合できる第2のアンカーと;
脊柱セグメントの凹状に湾曲した表面を含む第1及び第2の椎骨の表面に沿って椎骨間的に位置決めでき、上記第1及び第2のアンカーにより椎骨に取り付けできる本体であって、第1及び第2の椎骨に取り付けられた状態で脊柱セグメントの運動を許容する態様で、凹状に湾曲した表面に沿って、当該第1及び第2のアンカー間で、脊柱セグメントを直線形状の方へ伸延するように構成された本体と;
を有することを特徴とする装置。
【請求項46】
上記本体が第1の端部と反対側の第2の端部との間を延び、上記第1及び第2の端部が上記第1及び第2のアンカーの対応する1つにより脊柱セグメントの第1及び第2の椎骨の対応する1つに取り付けることができ、当該本体が第1の状態から第2の状態へ移行でき、該本体が第1及び第2の椎骨への取り付けのために上記第2の状態へ移行され、第1及び第2の椎骨を連続的に伸延するように当該第2の状態から上記第1の状態の方へ変形されることを特徴とする請求項45に記載の装置。
【請求項47】
上記本体が上記第1及び第2の端部間で当該本体を圧縮することにより移行可能であることを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項48】
上記本体が形状記憶材料で構成され、当該本体が上記第1及び第2の端部を互いの方へ移動させるように上記形状記憶材料の相を変更することにより移行可能であることを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項49】
上記本体が上記第1及び第2の端部間を延びる第1の部分を有し、同第1の部分が当該第1及び第2の端部間にギャップを形成するように当該本体の長手軸線から横方向に片寄ることを特徴とする請求項48に記載の装置。
【請求項50】
上記本体が室と、同室内の流体吸収装置と、上記室内の流体とを有し、上記流体吸収装置が上記第1及び第2のアンカーに抗して当該本体を上記第2の状態から上記第1の状態へ膨張させるように常に流体を吸収することを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項1】
湾曲した脊柱セグメントの処理のための移植片において、
脊柱セグメントの凹状に湾曲した表面を有する第1及び第2の椎骨の表面に沿って第1及び第2の椎骨の対応する1つに取り付け可能な第1及び第2の端部を具備する本体を有し、上記本体が、第1及び第2の椎骨に上記本体が取り付けられた状態で脊柱セグメントの運動を許容するような態様で、凹状に湾曲した表面に沿って直線形状へと脊柱セグメントを伸延させるように構成されることを特徴とする移植片。
【請求項2】
上記本体が第1及び第2の状態間で移行可能であり、当該本体が第1及び第2の椎骨への取り付けのための上記第2の状態として形成され、第1及び第2の椎骨に取り付けられた状態で同第1及び第2の椎骨を連続的に伸延させるように当該第2の状態から上記第1の状態の方へ変形することを特徴とする請求項1に記載の移植片。
【請求項3】
上記本体が上記第1及び第2の端部間で当該本体を圧縮することにより移行可能であることを特徴とする請求項2に記載の移植片。
【請求項4】
上記本体が形状記憶材料で構成され、当該本体が上記形状記憶材料の相を変更することにより移行可能であることを特徴とする請求項2に記載の移植片。
【請求項5】
上記本体の上記第1の端部が第1の椎骨に係合できる第1の骨アンカーを受け入れるための第1の穴を有し、上記第2の端部が第2の椎骨に係合できる第2の骨アンカーを受け入れるための第2の穴を有することを特徴とする請求項1に記載の移植片。
【請求項6】
上記本体が上記第1及び第2の開口即ち穴のうちの少なくとも一方に隣接して当該本体内に埋設された少なくとも1つの補強部材を有することを特徴とする請求項5に記載の移植片。
【請求項7】
上記少なくとも1つの補強部材が上記隣接する開口のまわりで少なくとも部分的に延びることを特徴とする請求項6に記載の移植片。
【請求項8】
上記本体が同本体に沿って上記第1及び第2の端部間で変化するこわさを有することを特徴とする請求項1に記載の移植片。
【請求項9】
上記本体が第1の状態から第2の状態へと圧縮可能であり、脊柱セグメントに取り付けられた状態で脊柱セグメントを連続的に伸延させるために上記第2の状態から上記第1の状態へ変形するように弾性的になっていることを特徴とする請求項8に記載の移植片。
【請求項10】
上記本体がその中に埋設された多数の補強部材を有することを特徴とする請求項9に記載の移植片。
【請求項11】
上記本体がその中間部分に沿って室を有し、同室がその中に流体を含むことを特徴とする請求項1に記載の移植片。
【請求項12】
上記室内に位置し、脊柱セグメントの運動時に上記本体に加えられる圧縮及び引っ張り力に応答して当該室内の流体を吸収するようになった補助装置を更に有することを特徴とする請求項11に記載の移植片。
【請求項13】
上記本体が、同本体を脊柱セグメントに取り付けた状態で脊柱セグメントの方に向いた下方表面を有し、当該本体が更に上記下方表面に対向する上方表面を有することを特徴とする請求項1に記載の移植片。
【請求項14】
上記本体が上記上方及び下方の表面間に拡大中間部分を有することを特徴とする請求項13に記載の移植片。
【請求項15】
上記拡大中間部分が上記本体の上記第1及び第2の端部間でピラミッド形状を有することを特徴とする請求項14に記載の移植片。
【請求項16】
上記拡大中間部分が上記本体の上記第1及び第2の端部間で凸曲面形状を有することを特徴とする請求項14に記載の移植片。
【請求項17】
上記下方表面が第1及び第2の椎骨の前方部分のまわりで少なくとも部分的に延びるようになったU字形状を有することを特徴とする請求項13に記載の移植片。
【請求項18】
上記本体が脊柱セグメントの隣接する第1及び第2の椎骨に取り付けられるように寸法決めされた長さを有することを特徴とする請求項1に記載の移植片。
【請求項19】
上記本体が長手軸線に沿って上記第1の端部から上記第2の端部へ延び、当該本体が更に当該第1及び第2の端部間で上記長手軸線に対して直交する中間軸線を有し、該本体が上記中間軸線から当該各第1及び第2の端部の方へ幅方向に先細りすることを特徴とする請求項1に記載の移植片。
【請求項20】
上記本体が上記中間軸線の第1の側に位置する第1の部分と、当該中間軸線の第2の側に位置する第2の部分とを有し、上記第1及び第2の部分が各々ほぼ三角形の形状を有することを特徴とする請求項19に記載の移植片。
【請求項21】
上記本体がその下方表面と上方表面との間に高さを有し、同高さが上記中間軸線から上記第1及び第2の端部の各々に向かって先細りすることを特徴とする請求項19に記載の移植片。
【請求項22】
上記本体が長手軸線に沿って上記第1の端部から上記第2の端部へ延び、当該本体が当該第1及び第2の端部間を延びる第1の部分を有し、同第1の部分が該第1及び第2の部分間にギャップを形成するように上記長手軸線から横方向に片寄ることを特徴とする請求項1に記載の移植片。
【請求項23】
上記本体の上記第1の部分が半円形、半卵形、半矩形及び三角形からなるグループから選択された形を有することを特徴とする請求項22に記載の移植片。
【請求項24】
上記本体が上記第1及び第2の端部間を延び、当該本体の上記第1の部分とは反対の方向において上記長手軸線から横方向に片寄った第2の部分を有し、上記第1及び第2の部分が当該第1及び第2の端部間で該本体を通る開口を形成することを特徴とする請求項22に記載の移植片。
【請求項25】
上記本体の上記第1及び第2の部分が、上記第1及び第2の端部間で、円形、卵形、ダイアモンド形及びチェーン形からなるグループから選択された形を形成することを特徴とする請求項24に記載の移植片。
【請求項26】
上記本体の上記第1及び第2の部分が上記第1及び第2の端部のうちの少なくとも一方に隣接して一緒にヒンジ結合されることを特徴とする請求項24に記載の移植片。
【請求項27】
脊柱セグメントの第1及び第2の椎骨を伸延するための移植片において、
長手軸線に沿った長さを備える本体を有し、同本体が第1の状態及び第2の状態を有し、上記本体は、上記長さが第1及び第2の椎骨間を延びた状態で、上記第2の状態で椎骨間的に移植可能であり、当該本体が、移植されたときに、第1及び第2の椎骨間に伸延力を作用させ、当該第2の状態から上記第1の状態へ変形させるための手段を有しかつ第1及び第2の椎骨間の相対運動を許容することを特徴とする移植片。
【請求項28】
上記本体が上記長さに沿って変化するこわさを有することを特徴とする請求項27に記載の移植片。
【請求項29】
上記本体が拡大中間部分を有し、上記こわさが当該本体の中間軸線に向かって増大することを特徴とする請求項28に記載の移植片。
【請求項30】
上記拡大中間部分が凸曲面形状を有することを特徴とする請求項29に記載の移植片。
【請求項31】
上記拡大中間部分がピラミッド形状を有することを特徴とする請求項29に記載の移植片。
【請求項32】
上記本体が第1および第2の椎骨に隣接して位置決めできる下表面と、当該本体に沿って実質上一定の厚さを有する、上記下表面に沿ったベース部分とを有し、該本体が更に上記ベース部分から延び上記拡大中間部分を含む上方部分を有し、同上方部分が当該ベース部分と該本体の上表面との間の厚さを有し、同厚さが該本体の上記上方部分の長さに沿って変化することを特徴とする請求項29に記載の移植片。
【請求項33】
上記下表面が上記長手軸線に対して横断方向にU字形状を画定することを特徴とする請求項32に記載の移植片。
【請求項34】
上記厚さが上記本体の中間部分から当該本体の両端に向かって先細りすることを特徴とする請求項32に記載の移植片。
【請求項35】
上記本体が上記長手軸線に対して直交する中間軸線を有し、当該本体が上記中間軸線の片側の第1の部分と、当該中間軸線の反対側の第2の部分とを有し、上記第1及び第2の部分の各々がほぼ三角形形状を形成し、同三角形形状の底辺が該中間軸線に沿って互いに隣接して位置することを特徴とする請求項27に記載の移植片。
【請求項36】
上記第1及び第2の部分の各々が上記三角形形状の上記底辺とは反対側にアンカー穴を有することを特徴とする請求項35に記載の移植片。
【請求項37】
上記本体が上記長手軸線に沿って当該本体を圧縮することにより上記第2の状態へ移行し、上記変形手段が該本体を構成する弾性材料を含むことを特徴とする請求項27に記載の移植片。
【請求項38】
上記本体が形状記憶材料で構成され、上記変形手段が上記形状記憶材料の相を変更することを特徴とする請求項27に記載の移植片。
【請求項39】
上記本体が上記長手軸線に沿った、第1の端部及び反対側の第2の端部を有し、当該本体が上記第1及び第2の端部間を延びる第1の部分を有し、同第1の部分が当該第1及び第2の端部間にギャップを形成するように当該長手軸線から横方向に片寄っていることを特徴とする請求項27に記載の移植片。
【請求項40】
上記本体が、上記長手軸線に沿って上記第1及び第2の端部を互いの方へ移動させることにより、上記第1の状態から上記第2の状態へ移行されることを特徴とする請求項39に記載の移植片。
【請求項41】
上記本体の上記第1の部分が半円形、半卵形、半矩形及び三角形からなるグループから選択された形状を有することを特徴とする請求項39に記載の移植片。
【請求項42】
上記本体が上記第1及び第2の端部間を延びる第2の部分を有し、同第2の部分が上記第1の部分とは反対の方向において上記長手軸線から横方向に片寄り、上記第1及び第2の部分が当該第1及び第2の端部間で当該本体を通る開口を形成することを特徴とする請求項39に記載の移植片。
【請求項43】
上記本体の上記第1及び第2の部分が、上記第1及び第2の端部間において、円形、卵形、ダイアモンド形及びチェーン形からなるグループから選択された形状を形成することを特徴とする請求項42に記載の移植片。
【請求項44】
上記本体の上記第1及び第2の部分が上記第1及び第2の端部のうちの少なくとも一方に隣接して一緒にヒンジ結合されることを特徴とする請求項42に記載の移植片。
【請求項45】
湾曲した脊柱セグメントの処置のための装置において、
第1の椎骨に係合できる第1のアンカーと;
第2の椎骨に係合できる第2のアンカーと;
脊柱セグメントの凹状に湾曲した表面を含む第1及び第2の椎骨の表面に沿って椎骨間的に位置決めでき、上記第1及び第2のアンカーにより椎骨に取り付けできる本体であって、第1及び第2の椎骨に取り付けられた状態で脊柱セグメントの運動を許容する態様で、凹状に湾曲した表面に沿って、当該第1及び第2のアンカー間で、脊柱セグメントを直線形状の方へ伸延するように構成された本体と;
を有することを特徴とする装置。
【請求項46】
上記本体が第1の端部と反対側の第2の端部との間を延び、上記第1及び第2の端部が上記第1及び第2のアンカーの対応する1つにより脊柱セグメントの第1及び第2の椎骨の対応する1つに取り付けることができ、当該本体が第1の状態から第2の状態へ移行でき、該本体が第1及び第2の椎骨への取り付けのために上記第2の状態へ移行され、第1及び第2の椎骨を連続的に伸延するように当該第2の状態から上記第1の状態の方へ変形されることを特徴とする請求項45に記載の装置。
【請求項47】
上記本体が上記第1及び第2の端部間で当該本体を圧縮することにより移行可能であることを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項48】
上記本体が形状記憶材料で構成され、当該本体が上記第1及び第2の端部を互いの方へ移動させるように上記形状記憶材料の相を変更することにより移行可能であることを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項49】
上記本体が上記第1及び第2の端部間を延びる第1の部分を有し、同第1の部分が当該第1及び第2の端部間にギャップを形成するように当該本体の長手軸線から横方向に片寄ることを特徴とする請求項48に記載の装置。
【請求項50】
上記本体が室と、同室内の流体吸収装置と、上記室内の流体とを有し、上記流体吸収装置が上記第1及び第2のアンカーに抗して当該本体を上記第2の状態から上記第1の状態へ膨張させるように常に流体を吸収することを特徴とする請求項46に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
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【図21】
【図22】
【図23】
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【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2007−519478(P2007−519478A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551216(P2006−551216)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/001612
【国際公開番号】WO2005/074825
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/001612
【国際公開番号】WO2005/074825
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】
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