説明

整形外科用多軸固締装置

装置は、この装置によって固定する前に、複数の軸周りでのインプラントの回転調節が可能となる形で、インプラントを骨に取り付けるように設計されている。この装置は、インプラントの骨に対する回転と並進とを別々に制限するように個々に係止させることができる別個の回転固締具と並進固締具とを含むことができる。回転固締具は、間置部材、拡張可能な係合部材、および拡張可能な係合部材を間置部材に沿って前進させる回転係止部材を含む。結果として生じる係合部材の拡張によって、この係合部材はインプラントに係合することになる。回転固締具は、その回転固締具と骨との間の相対的な並進を制限するように並進固締具が用いられるまでは、骨に植え込まれた固定部材に沿って摺動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、骨にインプラントを取り付けるシステムおよび方法に関し、より詳細には、椎間関節置換分野において特に有用な整形外科用多軸固締装置に関する。
【背景技術】
【0002】
整形外科医療では、様々な病理を軽減するために骨に取り付けることができる多種多様なインプラントが供給されている。整形外科学において特有の課題の1つに、様々な骨形態に適合可能なインプラントおよび固締装置を供給することがある。患者は、それぞれ異なる骨構造を有するものであり、したがって、インプラントがその機能を果たす配置となるように、インプラントの骨に対する配置を調節可能とすることが必要となる。
【0003】
そのため、インプラントと固締具との間の角度の変動が可能ないくつかの固定システムが発明されてきている。一般には、かかる固定システムによって、インプラントが骨にしっかりと係留されるように、患者の骨形態に適合させることが可能となるが、こうした固定システムでは、一般に、骨に対して可能となる調節の種類が幾分制限される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、かかる固定システムは、より幅広い調節能力が必要となるいくつかのインプラントでは使用できないことがある。さらに、多くの既知のインプラント固定システムは、いくつかの部品が存在するため、または、それらのシステムを利用してインプラントを骨に取り付けるにはいくつかのステップを実施する必要があるため、複雑である。さらにまた、いくつかの既知のインプラント固定システムは高価であり、独特の工具類の使用が必要となる。当技術分野では、前述の欠点を軽減するインプラント固定システムおよび方法が求められている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の様々な実施形態について論じる。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態を単に示すものにすぎず、したがって、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0006】
本発明は、高度のインプラント調節能力、簡便性、および使い易さをもたらすように、整形外科用インプラントを骨に係留させるために使用可能なシステムおよび方法を提供することによって、現況技術を進歩させるものである。本発明は、どのような整形外科手技にも使用することができるが、特に、外傷性、炎症性、代謝性、滑液性、腫瘍性、および変性脊髄障害から生じる背痛を緩和する椎間関節置換の分野で有用性を有する。以下、図1から7を参照しながら、本発明の選択された実施形態の構成および動作についてより詳細に説明する。
【0007】
本願において、用語の「固締具(fastener)」、「係合部材(engagement member)」、「圧縮部材(compression member)」、および「間置部材(interpositional member)」は、広い意味で使用するものである。「固締具」とは、一般に、少なくとも1つの軸周り、またはそれに沿った相対的な回転および/または並進(translation)を制限することによって、2つの他の対象物を一体に「係止する(lock)」ために使用可能な1つまたは複数の部材を表す。より正確には、「回転固締具(rotational fastener)」とは、2つの対象物の相対的な回転を制限する固締具である。「並進」固締具とは、2つの対象物の相対的な並進を制限する固締具である。「係合部材」とは、別の部材に接触するように、かつ/または接触解除となるように移動可能であり、それによって部材同士を一体に係止するなどの機能を果たす部材である。「圧縮部材」とは、一般に、圧縮力を受ける部材である。「間置部材」とは、一般に、少なくともその一部分が、システムの少なくとも2つの他の部材の間に配置されるように設計された部材である。別の部品を「係止する」ためのある部品の変形とは、第1の部品が係止を実現する摩擦力を単にもたらすのではなく、2つの部品の間の相対運動を物理的に妨げるような第1の部品の変形を表す。しかし、本発明には、単に1つまたは複数の摩擦力だけで係止を実現する実施形態も含まれる。
【0008】
「多軸(polyaxial)」回転とは、互いに平行でない少なくとも2つの軸の周りで生じ得る回転である。「3軸回転(triaxial rotation)」とは、3つの垂直軸の周りでの回転である。3軸回転は、1点の周りでの回転に相当し、これは、3次元座標系のどの軸の周りでの自由回転も、座標系のどの軸にも限定されない回転と同じとなるからである。
【0009】
図1を参照すると、それは、本発明の一実施形態による装置10を示す斜視図であり、その装置は、ヒトの脊椎の第5腰椎(L5)などの脊椎骨12と共に使用される。図示のように、脊椎骨12は、略円板形の椎体18を有する。さらに脊椎骨12は、椎体18から延びる2つの椎弓根20と、椎弓根20の後部端間に延びて、椎弓根20を一体に結合する後弓つまり椎弓板22と、を有する。また脊椎骨12は、椎弓根20から横に延びる1対の横突起(transverse processes)24と、椎弓板22から後方に延びる棘突起(spinous process)26と、を有する。
【0010】
また脊椎骨12は1対の上関節面28を有し、それは、脊椎骨12の頂部の方に位置し、概ね中央に面しする。さらに脊椎骨12は下関節面30を有し、それは、脊椎骨12の底部の方に位置し、概ね横に面する。脊椎骨12の椎弓根20のそれぞれは鞍点(saddle point)32を有し、それは、各上関節面28と、隣接する横突起24と、の接合部の中央に概ね位置する。
【0011】
脊椎骨12の上関節面28は、隣接する上位脊椎骨(図示せず)の下関節面(図示せず)に連節(articulate)(すなわち、スライド(slide)および/またはプレス(press))して、脊椎骨12と上位脊椎骨との間の相対運動を制限する。したがって、各上関節面28と、隣接する下関節面と、の組合せによって、椎間関節(図示せず)が形成される。それにより、2つの椎間関節は、隣接する各脊椎骨対の間に架かる。脊椎骨30の下関節面30は、脊椎骨12と、隣接する下位脊椎骨(図示せず)および/または仙骨(やはり図示せず)と、の間の動きを制御する他の椎間関節の一部となる。
【0012】
それぞれの椎間関節は、関節面28、30の摩耗を低減し、かつ関節を円滑にする流体(図示せず)を含む被膜(図示せず)によって、被覆されてもよい。より摩耗を低減して、関節を円滑にするために、さらに軟骨の層(図示せず)が関節面28、30を被覆してもよい。様々な筋肉、靭帯、および脊椎神経のみならず、これらの解剖学的構造は、本発明の開示を見やすくするために、図には示さないものとする。かかる構造は、脊椎骨12への必要なアクセスをもたらすために、既知の方法に従って除去または移動させることができる。
【0013】
図示のように、脊椎骨12の鞍点32の1つに半球状切除部34が形成されている。この半球状切除部34は、隣接する上関節面28および下関節面30の一方、または両方の関節表面に置き換わるインプラントを受けるように成形されている。この半球状切除部34によって、インプラントを脊椎骨12に固定する前に、インプラントと脊椎骨12との間の3つの垂直軸周りでの相対的な回転が可能となる。これらの軸は、図1の参照番号40、42、および44で示すように定義することができる。
【0014】
より正確には、これらの軸は、第1の軸40、第2の軸42、および第3の軸44を含むことができる。第1の軸40は、対応する椎弓根20の軸と概ね共線である。第2の軸42は、概ね垂直であり(すなわち、椎体18の軸に平行)、第1の軸40に直交する。第3の軸44は、概ね水平であり(すなわち、椎体18の終板に平行)、第1および第2の軸40、42に直交する。
【0015】
装置10は、インプラント50、固定部材52、および整形外科用固締具54つまり固締具54を含む。インプラント50は、半球状切除部34に接して据わり、そのすぐ下位にある下関節面30の関節表面に置き換わるように設計されている。固定部材52は、インプラント50を定位置に係留させるために、対応する椎弓根20に植え込まれるように設計された椎弓根スクリューの形を取ることができる。整形外科用固締具54は、インプラント50を脊椎骨12に対して保持するために、固定部材52に結合されるように設計されている。
【0016】
図1の実施形態において、インプラント50は、固定部分60、関節部分62、およびステム64を有する。固定部分60は、半球状切除部34に取り付けられるように成形され、関節部分62は、隣接する脊椎骨面と連節(articulate)する表面をもたらして、下関節面30の機能を果たす。関節部分62は、ステム64によって固定部分60に結合される。
【0017】
図示のように、固定部分60は、骨並置表面(bone apposition surface)66を有し、この表面は、半球状切除部34の形状と対応する略半球状とすることができる。また固定部分60は、固定部材52を受けるように骨並置表面66を貫通する開口(図1では見えず)を有する。この開口は、固定部材52の外側表面よりも幾分大きく、したがって、骨並置表面66は、椎弓根20に植え込まれた固定部材52を用いて、半球状切除部34に接する定位置まで摺動させることが可能である。
【0018】
同様に関節部分62は、脊椎骨12のすぐ下位にある脊椎骨の上関節面と連節するように設計された関節表面68を有する。この関節表面68は凸形状を有することができ、この表面は、さらには半球状や半円筒状などでもよい。この関節表面68は、自然の上関節面、または補綴上関節面(prosthetic superior facet)と連節するように設計することができる。
【0019】
骨並置表面に加えて、さらに固定部分60は、固締具54と後述するような形で相互作用するように成形された間置接触面(interposition interface)70を有する。この間置接触面70は、固定部分60の開口に収束する略円錐状の表面を有する。
【0020】
図1の実施形態において、固定部材52は、脊椎骨12の椎弓根20の1つに植え込まれた遠位端74と、対応する鞍点32から突き出る近位端76と、を有する。遠位端74はねじ山(図1では見えず)を有し、それは、遠位端74を椎弓根20に植え込みやすくし、植え込まれた遠位端74を定位置に保持する。近位端76は、固締具54を受けるように露出した複数のねじ山78を有する。さらに、近位端76は、遠位端74を椎弓根20に植え込むように、固定部材52にトルクを与えるために使用できるトルク付与接触面を有する。このトルク付与接触面は、六角形ドライバの端部を中に挿入できる六角形凹部の形を獲ることができる。
【0021】
図1に示すように、固締具54は、間置部材(interpositional member)82および圧縮部材(compression member)84を含む。間置部材82は、図示のように、割れリングの形を採ることができる。圧縮部材84は、固定部材52の近位端76に沿って前進して、間置部材82をインプラント50の間置接触面70内に押し込むように設計されている。
【0022】
より具体的に、間置部材82は、インプラント接触面88、圧縮接触面90、およびギャップ92を有する。図1で具体化したように、インプラント接触面88は略円錐状の外側表面を含み、それは、間置部材82が間置接触面70に押し込まれると内方に比較的均一に圧縮されるようにして、間置接触面70と嵌合するように設計される。圧縮接触面90は、圧縮部材84の対応する表面を受けるように設計された略半球状の内側表面を含む。ギャップ92は、間置部材82の比較的高度の歪み(deflection)を可能とし、この歪みによって、2つの極めて異なる形態、すなわち、間置部材82が比較的歪んでいない非係止形態と、ギャップ92が狭くなるかまたはなくなるまで間置部材82が圧縮した係止形態と、がもたらされる。
【0023】
間置部材82は、プラスチックまたはゴムなど比較的剛性の低い材料で形成することができる。低い剛性によって、過剰な力を必要とせずに間置部材82に比較的高度の歪みがもたらされる。したがって、固締具54の非係止形態と係止形態との間の移行は、比較的容易に実現される。
【0024】
圧縮部材84は、間置接触面96、トルク付与接触面98、および孔100を有する。間置接触面96は、間置部材82の圧縮接触面90と嵌合するように成形されている。より具体的には、間置接触面96は、圧縮接触面90内に配置可能な半球状の外側表面を含むことができる。トルク付与接触面98は、トルク付与接触面98と噛み合う突起を備えた工具(図示せず)の端部を用いて係合させることができる、複数の放射状突起を備えた溝付きナット接触面を備えることができる。このトルク付与接触面98は、かかる工具から、圧縮部材84を固定部材52の近位端76に沿って前進させるトルクを受けることが可能である。
【0025】
孔100は、圧縮部材84を貫通しており、近位端76を受けるように寸法設定されている。孔100は、近位端76のねじ山78と係合するねじ山(図示せず)を有し、したがって、圧縮部材84の回転に応答して、圧縮部材84は近位端76に沿って前進することになる。
【0026】
圧縮接触面90と間置接触面96とは、間置部材82が比較的歪んでいないときには、隙間を空けて互いに嵌合するように寸法設定されている。したがって、間置部材82と圧縮部材84とは、3つの軸40、42、44全ての周りで互いに回転することが可能である。これにより、間置部材82が比較的歪んでいないか、あるいは僅かに歪んでいるときに、固締具54は非係止形態にある。間置部材82が圧縮されると、圧縮接触面90は間置接触面と緊密に係合し、これにより、3つの軸40、42、44の全ての周りでの相対的な回転が制限される。したがって、間置部材82が比較的圧縮されると、固締具54は係止形態となる。
【0027】
間置接触面96は複数の隆起102などの機構を有してもよく、それは、間置部材82を係止形態に係合して、係止を強化するように設計される。隆起102は、第1の軸40周りで、間置接触面96の周囲に延在する。隆起102のそれぞれは、図1に示すように、切子面のある(faceted)形状を有し、これにより、各隆起102は、間置接触面96の略半球形状から外方に延在する複数の比較的鋭い突起を有する。
【0028】
圧縮部材84は、間置部材82の材料よりも硬い材料で形成することができる。例えば、圧縮部材84は、生体適合金属で形成することができる。したがって、固締具54が係止形態に移ると、隆起102の突起は、それら自体が圧縮接触面90内に埋め込まれることができ、それにより、間置部材82と圧縮部材84との間の相対的な回転に抵抗することによって係止が強化される。
【0029】
間置接触面96と圧縮接触面90とは、非係止形態において、間置部材82と圧縮部材84とが概ね組み立てられた状態となるように、十分な隙間がほとんどないように相対的に寸法設定することができる。したがって、間置部材82と圧縮部材84とは、予め組み立てておくこと(すなわち、工場で組み立てておくことなど)ができ、これにより固締具54は、外科的手技の開始時には、さらに組み立てることなく使用できる状態にある。
【0030】
固締具54は、脊椎骨12に対してインプラント50を複数の向きのいずれにも保持するように、固定部材52と併せて使用することができる。以下、図2および3を参照しながら、それを実施する形態についてより詳細に説明する。
【0031】
図2を参照すると、頭部側断面図は、装置10が完全に組み立てられて、固締具54が非係止形態にある装置10および脊椎骨12を示す。図示のように、固定部材52の遠位端74は、椎体18、および脊椎骨12の対応する椎弓根20に埋め込まれるねじ山104を有する。インプラント50の固定部分60は、インプラント50の間置接触面70の略円錐状の表面が収束する開口106を有する。圧縮部材84の孔100は、固定部材52の近位端76のねじ山78と係合するねじ山108を有する。これらの要素は、図1の考察で簡単に説明したが、図1では見えていなかった。
【0032】
インプラント50を取り付けるには、まず、当技術分野で既知の手順を用いて、脊椎骨12の背部要素を露出させることができる。インプラント50を選択し、インプラント50、および同じ手術で取り付けるべき他の任意のインプラントの適切な向きを決定するために、測定を行うことができる。半球状切除部34は、リーマ作業(reaming operation)などによって形成することができ、置換すべき下関節面30などの脊椎骨12の他の部分を必要に応じて切除してもよい。固定部材52は、対応する椎弓根20に所望の角度に沿って植え込むことができる。
【0033】
次いで、骨並置表面66が半球状切除部34に当接するように、インプラント50を挿入して配置することができる。インプラント50の向きを調節する前に固締具54を取り付けることができ、これにより、この固締具54を用いて、インプラント50が所望の向きに達した後、このインプラント50を定位置に容易に固定することができる。先に述べたように、間置部材82と圧縮部材84とは、予め組み立てておくことができ、したがって、それらの部材は植込みの前に組み立てる必要がない。
【0034】
圧縮部材84は、そこに予め結合された間置部材82と共に、固定部材52の近位端76が圧縮部材84の孔100を貫通するように、配置することができる。次いで、圧縮部材84を回転させて、孔100のねじ山108を近位端76のねじ山78と係合させることができる。間置部材82の略円錐状のインプラント接触面88が間置接触面70の略円錐状の表面と係合するように、間置部材82をインプラント50の間置接触面70に挿入する。それによって、間置部材82は、インプラント50の固定部分60と同軸に引き込まれることになる。
【0035】
圧縮部材84をさらに回転させると、間置部材82は、間置接触面70に沿って椎弓根20の方にさらに押し付けられることになる。間置接触面70の略円錐状の表面とインプラント接触面88との係合によって、間置部材82がかかる動きに応答して収縮することになり、それによって固締具54が係止形態となる。インプラント50が所望の向きに調節されるまでは、圧縮部材84を、その後の締付けを容易とするように定位置に保持するには十分であるが、固締具54が係止形態に移るには十分でないほど回転させることができる。
【0036】
したがって、装置10は図2に示す形態に至る。固締具54は、固定部材52の近位端76に結合されているが、締め付けられてはいない。これにより、間置部材の向きがインプラント50に対して実質的に固定されるものの、圧縮部材84は、間置部材82に対して、軸40、42、44のいずれの周りでも回転可能である。したがって、インプラント50は、脊椎骨12に対して軸40、42、44の周りでなおも比較的自由に回転可能である。
【0037】
次いで、関節表面68が所望の位置および角度となるまで、骨並置表面66が半球状切除部34内で軸40、42、44のいずれかまたは全ての周りで回転するように、インプラント50を脊椎骨12に対して回転させることによって、インプラント50を調節することができる。その後、図3を伴って図解するように、骨に対してインプラント50の向きを固定することが望ましい。
【0038】
図3を参照すると、固締具54が係止形態にある状態における装置10および脊椎骨12を示す頭部側断面図である。インプラント50を脊椎骨12に対して回転させて調整した後、例えば、先に説明したように、トルク付与接触面98を適当な工具と係合させ、トルクを与えることによって、圧縮部材84をさらに回転させる。圧縮部材84は、近位端76に沿って椎弓根20の方に前進し、これにより、間置部材82は、インプラント50の間置接触面70との係合によって圧縮される。
【0039】
間置部材82が圧縮されると、ギャップ92が縮小し、間置部材82の圧縮接触面90が収縮して間置接触面96を把持する。隆起102、またはその突起だけが圧縮接触面90に埋まって、間置部材82に対する圧縮部材84のさらなる回転を制限および/または完全に防止する。インプラント50の間置接触面70と間置部材82のインプラント接触面88は、第2および第3の軸42、44の周りでのインプラント50と間置部材82との相対的な回転が実質的に防止されるように、互いに係合する。間置部材82が圧縮されると、第1の軸40の周りでの相対的な回転もまた制限され、これにより、間置接触面70に対して間置部材82を外方に押し付ける際に摩擦力が生じる。
【0040】
したがって、圧縮部材84が近位端76に沿って前進して係止形態となると、脊椎骨12とインプラント50との間の相対的な回転は実質的に防止される。この状態が図3に示す形態である。インプラント50は、脊椎骨12に対してその好ましい向きで係止されている。インプラント50は、固定部材52および固締具54の使用によって、脊椎骨12に対して様々な異なる向きのいずれにも固定することができる。
【0041】
図1、2、および3に示す実施形態は、本発明の数多くの実施形態の1つに過ぎない。代替実施形態においては、異なる形状のインプラント、間置部材、圧縮部材、および固定部材を使用することもできる。例えば、インプラントと間置部材とを結合するために略円錐状の表面を使用する必要はない。かかる結合表面には、円筒状、半球状、円錐状、放物面状、またはその他の形状、あるいはそれらの組合せを含むことができる。一つの代替実施形態によれば、結合表面は、半円筒または放物面状の構成要素に隣接する円筒状の構成要素を含むことができ、その半円筒または放物面状の構成要素は、円筒状の構成要素の直径よりも大きい直径となるように接触面がフレア状に広がる。かかる結合表面は、さらに、脊椎骨に対するインプラントの相対的な向きの不連続的な数を限定するように、多角形の断面を有したり、または、鍵形もしくはその他の形状とすることもできる。
【0042】
同様に、間置部材と圧縮部材との間の結合のために、略半球状の表面を使用する必要はない。かかる結合表面には、円筒状、半球状、円錐状、放物面状、またはその他の形状、あるいはそれらの組合せを含めることができる。図1、2、および3の実施形態とは異なり、本発明の代替実施形態では、脊椎骨に対して必ずしも3つの垂直軸の周りでインプラントを回転させる必要はない。
【0043】
いくつかの代替実施形態において、係止形態によってもたらされる係止を強化するために、追加の機構を加えることができる。かかる機構によって、インプラントは、脊椎骨に対して、その好ましい向きから動かずに、より大きな荷重を受けることが可能となる。かかる代替実施形態の一例は、以下、図4に関連して図解される。
【0044】
図4を参照すると、斜視図は本発明の一つの代替実施形態による装置110を示し、それは、先に説明したように脊椎骨12と共に使用される。図示のように、装置110は、インプラント150、固定部材52、および整形外科用固締具154すなわち固締具154を含む。固定部材52は、前述の実施形態のものと同一でもよい。インプラント150および固締具154は、前述の実施形態のそれらの相当物と類似しているが、以下で説明するように、係止を強化するための追加の機構を含む。
【0045】
図示のように、インプラント150は、半球状切除部34に取り付けられるように設計された固定部分160を有する。この固定部分160は間置接触面170を有し、この接触面170は、前述の実施形態の間置接触面70のものと同様の略円錐状の表面を有する。しかし、この間置接触面170は滑らかな円錐状表面となってはいない。そうではなく、この間置接触面170は、略円錐状表面の周りに、概ね半径方向に対称なパターンに沿って分散配置された複数の隆起172を有する。
【0046】
隆起172は、インプラント150と固締具154の間置部材182との間の相対的な回転に抵抗するように、内方に突き出ている。前述の実施形態の間置部材82と同様に、間置部材182も略円錐形状のインプラント接触面88を有する。このインプラント接触面は、インプラント150の間置接触面170と嵌合する。前述の実施形態とは異なり、間置接触面170の隆起172は、インプラント接触面88の略円錐状表面に入り込んで、インプラント150と間置部材182との間の第1の軸40周りの相対的な回転を制限、さらには実質的に防止することさえ可能である。
【0047】
インプラント150は、間置部材182の材料よりも硬い材料で形成することができるため、隆起172のインプラント接触面88への入り込みを生じさせることができる。例えば、間置部材182は、ポリマー、エラストマなどで形成することができ、一方、インプラント150は、金属、セラミック、またはより硬いポリマー、もしくはエラストマで形成することができる。したがって、隆起172は、固締具154の係止形態によってもたらされる係止を強化する働きをすることができる。
【0048】
間置部材182に加えて、固締具154は、前述の実施形態のものと同一の圧縮部材84を有する。しかし、この間置部材182は、圧縮部材84の間置接触面96との係止を強化するように設計された機構を備えた圧縮接触面190を有するという点において、前述の実施形態の間置部材82とは異なる。より正確には、圧縮接触面190は、前述の実施形態のものと同様の略半球状の表面を含む。しかし、この圧縮接触面190は、圧縮接触面190の周囲の略円形の経路に沿って延びる複数の隆起192を有する。
【0049】
係止形態において、隆起192は、圧縮接触面190と圧縮部材84の間置接触面96との間の回転を防止する一助となることによって、係止を強化する。より正確には、隆起192は、圧縮部材84の間置接触面96に接して変形することができ、それによって、圧縮接触面190と間置接触面96との間の摩擦力が比較的大きい領域をもたらす。また隆起192は、間置接触面96の隆起102の動きを直接阻止し、それによって、第2および第3の軸42、44の周りでの間置部材182と圧縮部材84との間の相対的な回転を特に制限することができる。
【0050】
したがって、図4の装置110に追加された隆起172および隆起192は、固締具154の係止形態において、インプラント150の脊椎骨12に対する向きの係止を強化する働きをすることができる。当業者であれば、係止を強化するために代替の機構を追加できることを理解するであろう。選択された変形形態において、インプラント150の間置接触面170の隆起172は、間置部材182の圧縮の妨げを回避するように設計された比収束(nom-converging)または曲線の経路を辿ることができる。さらに、インプラント50と間置部材82との間、または間置部材82と圧縮部材84との間を結合するための前述した表面とは異なる形状の表面は、図4の実施形態の隆起172および隆起192のような機構と共に使用して、かかる代替の結合表面形状に係止の強化をもたらすこともできる。
【0051】
図5を参照すると、斜視図は、ヒトの脊椎の第4腰椎(L4)などの脊椎骨212と共に使用される本発明の一実施形態による装置210を示す。脊椎骨12と同様に、脊椎骨212は、略円板形の椎体18を有する。また脊椎骨212は、椎体18から延びる2つの椎弓根20と、椎弓根20の後部端間に延びて、椎弓根20を一体に結合する後弓つまり椎弓板22と、を有する。さらに脊椎骨212は、椎弓根20から横に延びる1対の横突起24と、椎弓板22から後方に延びる棘突起26と、を有する。
【0052】
また脊椎骨212は、脊椎骨212の頂部の方に位置して、概ね中央に面する1対の上関節面28を有する。さらに脊椎骨212は、脊椎骨212の底部の方に位置して、概ね横に面する下関節面30を有する。切除済み下関節面231もまた、概ね横に面している。切除済み下関節面231の関節表面は、関節形成術用の切除済み下関節面231を用意するために、任意に切除しておくことができる。脊椎骨212の椎弓根20のそれぞれは、各上関節面28における隣接する横突起24との接合部の中央に概ね位置する鞍点32を有する。
【0053】
脊椎骨212の上関節面28は、第3腰椎(L3)などの隣接する上位脊椎骨(図示せず)の下関節面(図示せず)に連節して、脊椎骨212と上位脊椎骨との間の相対運動を制限する。したがって、各上関節面28と隣接する下面との組合せによって、椎間関節(図示せず)が形成される。これにより、2つの椎間関節は、隣接する各脊椎骨対の間に架けられる。脊椎骨212の下関節面30は、脊椎骨212と、第5腰椎(L5)または仙骨などの隣接する下位脊椎骨(図示せず)と、の間の動きを制御する他の椎間関節の一部となる。
【0054】
椎間関節のそれぞれは、関節面28、30の摩耗を低減して、関節を円滑にする流体(図示せず)を含む被膜(図示せず)によって被覆することができる。さらに、軟骨の層(図示せず)が関節面28、30を被覆して、さらに摩耗を低減して、関節を円滑にすることができる。様々な筋肉、靭帯、および脊椎神経のみならず、これらの解剖学的構造は、本発明の開示を見やすくするために、図には示さないものとする。かかる構造は、脊椎骨212への必要なアクセスをもたらすために、既知の方法によって除去または移動させることができる。
【0055】
図示のように、脊椎骨212の鞍点32の1つに半球状切除部34が形成されている。この半球状切除部34は、隣接する上関節面28および下関節面30の一方、または両方の関節表面に置き換わるインプラントを受けるように成形されている。この半球状切除部34によって、インプラントを脊椎骨212に固定する前に、インプラントと脊椎骨212との間の3つの垂直軸周りでの相対的な回転が可能となる。これらの軸は、参照番号40、42、および44で示すように定義することができ、これらは図1のものに対応している。
【0056】
装置210は、インプラント250、固定部材252、回転固締具254、および並進固締具256を含む。インプラント250は、半球状切除部234に接して据わり、そのすぐ下位にある切除済み下関節面231の除去された関節表面に置き換わるように設計されている。固定部材252は、対応する椎弓根20に埋め込まれて、インプラント250を定位置に係留させるように設計された椎弓根スクリューの形を取ることができる。整形外科用固締具254は、固定部材252に結合されて、インプラント250を脊椎骨212に保持するように設計されている。
【0057】
図5の実施形態において、インプラント250は、固定部分260、関節部分262、およびステム264を有する。固定部分260は、半球状切除部234に取り付けられるように成形され、関節部分262は、隣接する脊椎骨面と連節する表面をもたらして下関節面30の機能を果たす。関節部分262は、ステム264によって固定部分260に結合される。
【0058】
図示のように、固定部分260は骨並置表面266を有し、この表面は、半球状切除部234の形状と対応するように略半球状とすることができる。また固定部分260は、固定部材252を受けるように骨並置表面266を貫通する開口(図5では見えず)を有する。この開口は、固定部材252の外側表面よりも幾分大きく、これにより、骨並置表面266は、椎弓根20に植え込まれた固定部材252を用いて、半球状切除部234に接する定位置まで摺動させることが可能である。
【0059】
関節部分262も同様に、脊椎骨212のすぐ下位にある脊椎骨(または仙骨)の上関節面と連節するように設計された関節表面268を有する。この関節表面268は凸形状を有することができ、この表面は、さらには半球状、半円筒状などでもよい。この関節表面268は、自然の上関節面および/または補綴上関節面と連節するように設計することができる。
【0060】
骨並置表面266に加えて、さらに固定部分260は、回転固締具254がインプラント250と固定部材252との間の相対的な回転を制限できるように、回転固締具254を受ける形状とされた係合表面270を有する。係合表面270は、固定部分260の開口(図示せず)が中を貫通する略半球状の凹形状を有する。
【0061】
図5の実施形態において、固定部材252は、脊椎骨212の対応する椎弓根20に植え込まれた遠位端(図5では見えず)と、対応する鞍点32から突き出た近位端274と、を有する。遠位端は、その遠位端を椎弓根20に植え込みやすくし、植え込まれた遠位端を定位置に保持するねじ山を有する。また固定部材252は、遠位端と近位端274との間に配置された摺動接触面276を有する。摺動接触面276は、その摺動接触面276と回転固締具254との間で有意な相対回転が生じないように、回転固締具254を受ける形状とされた多角形または他の非円形断面を有することができる。
【0062】
近位端274は、固締具254を受けるように露出した複数のねじ山278を有する。さらに近位端274は、遠位端を椎弓根20に植え込むように、固定部材252にトルクを与えるために使用できるトルク付与接触面280を有する。このトルク付与接触面280は、ドライバ(図示せず)の対応する六角形機構と嵌合する六角形凹部または突起の形を取ることができる。
【0063】
図示のように、回転固締具254は、間置部材282、係合部材284、および回転係止部材286を含む。間置部材282は、テーパ部分290、テーパ部分290に隣接した複数のねじ山292、および接触面294を備えた略管形状を有することができる。図示のように、テーパ部分290は、ねじ山292の方に向けてより狭くなっている。接触面294は、間置部材282と固定部材252の摺動接触面276との間に、摺動可能であるが回転しない連結をもたらすように設計されている。したがって、接触面294は多角形断面を備えた孔の形を取ることができ、それは、摺動接触面276の対応する多角形断面を比較的自由な摺動運動が可能となる十分な隙間で受ける。あるいは、よりきつい嵌合を用いて、摺動を制限するが、力を加えると間置部材282と固定部材252との間の相対的な並進が可能となるようにすることもできる。
【0064】
また、図5に示すように、係合部材284は、中空内部を備えた略球形状である。この中空内部は、間置部材282のテーパ部分290のテーパに概ね整合するテーパを有する。係合部材284は、半球形状のインプラント係合表面298と、インプラント係合表面298の周りに、実質的に半径方向に対称となる形で平行に配置された複数の溝300と、を有する。これらの溝298によって、インプラント係合表面298の拡張および収縮が可能となる。中空内部は、インプラント係合表面298の両端に位置するポート302からアクセス可能である。
【0065】
回転係止部材286は、複数のねじ山306が中に形成された孔304を有する。ねじ山306は、間置部材282のねじ山292と噛合するように設計されている。また孔304は、その中に形成されて、回転係止部材286を回転させて間置部材282と係合させやすくするトルク付与接触面308を有する。このトルク付与接触面308は、六角形の断面形状など、略多角形の断面形状を有する孔304の一部分の形を取ることができる。したがって、ドライバ(図示せず)の対応する六角形突起をトルク付与接触面308内に挿入して、回転係止部材86を回転させて、間置部材282と係合させることができる。
【0066】
並進固締具256は、並進係止部材とも呼ぶことができ、ねじ孔312、トルク付与接触面314、およびフランジ316を有する。ねじ孔312のねじ山は、回転して固定部材252の近位端274のねじ山278と係合するように寸法設定されている。トルク付与接触面314は、対応する六角形状を有するドライバ(図示せず)の凹部内に受けることが可能な略六角形状を有する突起の形を取ることができる。
【0067】
フランジ316は、トルク付与接触面314に隣接する並進固締具256の外側表面から、概ね半径方向に突き出ている。このフランジ316は、隣接する回転係止部材286の環状表面に当接し、並進固締具256を締め付けたときに、この並進固締具256によって、回転係止部材286に対して比較的均一で直線の力を加えることが可能となるように、寸法設定することができる。必要に応じて、並進固締具256の一部分を回転係止部材286の孔304内に収容して、組み立てた装置210のプロファイルを低減させることもできる。
【0068】
装置210は、様々な方法によって脊椎骨212に固定することができる。一つの方法によれば、固定部材252を対応する椎弓根20内にまず植え込む。これは、例えば、その上を覆う組織に切開部を形成し、施術領域から組織を取り出し、蛍光透視下で椎弓根20にガイドワイヤを植え込み、次いで、トルク付与接触面280に結合させたドライバ(図示せず)を使用して固定部材252を回転させて椎弓根20と係合させることにより、実施することができる。
【0069】
回転固締具254および並進固締具256の使用によって、インプラント250の向きと、固定部材252に沿った(すなわち、第1の軸40に沿った)インプラント250の位置と、を別々に係止することができる。間置部材282、係合部材284、回転係止部材286、およびインプラント250を組み立てることによって、回転固締具254とインプラント250とをまず一体に組み立てることができる。
【0070】
まず、係合部材284をインプラント250の固定部分260の中空内部に挿入することができる。係合部材284はまだそれほど拡張していないので、係合部材284のインプラント係合表面298と、インプラント250の固定部分260の係合表面270と、の間には隙間がある。この隙間によって、係合部材284が固定部分260内部で回転することが可能となる。固定部分260の係合表面270は、係合部材284を有効に捕捉するために十分なほど延びる半球形状を有することができる。したがって、係合部材284は、固定部分260の中空内部に圧縮および/または押し込む必要がある。
【0071】
次いで、固定部分260の開口(図示せず)から、間置部材282を係合部材284の中空内部に挿入する。その際、テーパ部分290は、固定部材252の方に向くことになるポート302から延び、ねじ山292は、他方のポート302(すなわち、図5の分解図に示すように、並進固締具256および回転係止部材286の方に向くことになるポート302)から延びるように挿入する。次いで、ねじ山292が孔304に入るように、回転係止部材286を対応するポート302に隣接して配置する。
【0072】
孔304のねじ山306が間置部材282のねじ山292と係合するように、回転係止部材286を間置部材282に対して回転させる。回転係止部材286を間置部材282に対して回転させ続けると、係合部材284は、反対側のポート302がテーパ部分290のより大径の端部の方に摺動するにつれて拡張することになる。しかし、この段階において、回転固締具254は非係止形態のままであり、なぜならば、回転係止部材286と間置部材282と係合部材284とを一体に保持するために十分なだけねじ山292と係合するように、回転係止部材286を回転させたに過ぎないからである。
【0073】
次いで、トルク付与接触面280、次いでねじ山278の少なくともいくつかが間置部材282の接触面294または孔を貫通するように、組立て済みインプラント250と回転固締具254とを、植え込まれた固定部材252の近位端274の方に前進させることができる。次いで、固定部材252の近位端274の摺動接触面276の周りで接触面294を摺動させる。前述のように、近位端274の摺動接触面276と、間置部材282の接触面294と、の間には、隙間が存在することができる。しかし、摺動接触面276と接触面294との整合した多角形状のため、固定部材252と回転固締具254との間の相対的な回転は防止される。
【0074】
回転固締具254はなおも非係止形態にあるため、インプラント250は、固定部材252および脊椎骨212に対して回転させることができる。関節表面268が対応する自然または補綴上位関節表面と連節するように適正に配置および配向されるまで、インプラント250を係合表面270の半径の概ね中心周りで回動させる。図5の実施形態において、インプラント250の回転は、多軸であるだけでなく、3軸でもある。したがって、インプラント250は、係合表面270の半径の中心を通るどのような軸の周りでも回転させることができる。
【0075】
インプラント250を脊椎骨に212対して適正な向きまで回転させた後、回転固締具254を係止形態に移すことによって、インプラント250をその向きに係止することができる。例えば、孔304のトルク付与接触面308をドライバ(図示せず)の対応する機構と係合させることによって、回転係止部材286を間置部材282に対してさらに回転させる。この回転によって、反対側のポート302は、間置部材282のテーパ部分290に沿って、テーパ部分290のより大径の端部の方に前進することになる。ポート302に対する外向きの圧力によって、係合部材284は拡張することになり、それによってインプラント係合表面298の全体的な半径が増大する。インプラント係合表面298は、インプラントの固定部分260の係合表面270と係合し、係合表面270に外向きの圧力を加える。その結果、インプラント250は、係合部材284に係止されることになる。
【0076】
このようにして、回転固締具254は係止形態に至り、インプラント250は、脊椎骨212に対してもはや回転可能でなくなる。しかし、インプラント250は、今やそこにしっかりと係止された回転固締具254と共に、固定部材252に沿ってなおも動くことができる。次いで、かかる並進運動を制限するように、並進固締具256を適用することができる。より正確には、近位端274のねじ山278が並進固締具256のねじ穴312に入るように、並進固締具256を固定部材252の近位端274の方に動かす。並進固締具256を回転させて、フランジ316が回転係止部材286の隣接する環状表面に接してぴったりと押し付けられるまで、ねじ孔312をねじ山278に沿って前進させる。こうすると、インプラント250の固定部分260の骨並置表面266は、対応する鞍点32の半球状切除部234に対して効果的に押し付けられる。
【0077】
図6を参照すると、斜視図は、脊椎骨212に対して完全に組み立てられた形態にある装置210を示す。インプラント250の位置および向きは、脊椎骨212に対して固定されている。有利なことに、インプラント250の向きおよび位置は別々に係止されているため、鞍点32の周囲での骨のどのような陥没も、脊椎骨212に対して、インプラント250をその所望の向きから回転させることはない。かかる陥没が生じた場合、インプラント250の位置は、比較的簡単な修正手術によって、すなわち、並進固締具256をさらに締め付けることによって、または骨並置表面266と半球状切除部234との間の空間に、骨移植片、インプラント、または他の何らかの形の支持体を挿入することによって、安定させることができる。
【0078】
当業者ならば、両側手術のために、装置210と類似の装置を脊椎骨212の反対側にも用いることができることを理解するであろう。固定部材252、回転固締具254、および並進固締具256は、左または右、上位および/または下位のインプラントを脊椎骨212に取り付けるために使用することができる。代替の実施形態(図示せず)において、構成要素252、254、および256と類似の構成要素を用いて、上位インプラントと下位インプラントの入れ子になった固定部分を単一の鞍点32に固定することさえもできる。さらに他の代替実施形態においては、かかる類似の構成要素を用いて、椎間関節インプラントに加え、それだけには限らないが、人工椎間板、後方ロッド固定システム、動的安定化システムなど(図示せず)を含めた他のタイプのインプラントを脊椎骨212に固定することもできる。
【0079】
図7を参照すると、頭部側断面図は、脊椎骨212に対して完全に組み立てられた形態にある装置210を示す。先に述べたように、固定部材252は、対応する椎弓根20の内部に係合するねじ山320を備えた遠位端318を有する。インプラント250の独立した回転係止および並進係止の別の考えられる利点は、インプラント250の向きを脊椎骨212に対して係止するために使用するどのステップによっても、椎弓根20内のねじ山320に、それほど大きいてこ作用(purchase)がかからない点である。並進固締具256の係止によって加わる軸方向の力だけが、ねじ山320と周囲の骨との間の接触面に伝達される。このため、ねじ山320間の骨が剪断力下で損傷して、遠位端318が骨から抜け出る可能性を低減させる。
【0080】
本発明は、整形外科医療に特に関連を有し、より詳細には、椎間関節置換に特に関連する。しかし、本発明の原理、構造、および方法は、さらに多種多様な他の分野にも及ぶことができる。
【0081】
本発明は、その趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実施することもできる。したがって、上述の実施形態は、あらゆる点で例示的なものに過ぎず、限定的なものではないことを理解されたい。したがって、本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示されるものである。特許請求の範囲の均等物の意味および範囲に含まれるいかなる変更も、特許請求の範囲内に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】脊椎骨に取り付けるように配置された本発明の一実施形態による装置を備えた脊椎骨の分解斜視図である。
【図2】図1の脊椎骨および装置の尾部側断面図であり、装置の整形外科用固締具は、インプラントの骨に対する向きの調整を可能とする非係止形態にある。
【図3】図1の脊椎骨および装置の尾部側断面図であり、整形外科用固締具は、インプラントの骨に対する回転運動を制限する係止形態にある。
【図4】脊椎骨に取り付けるように配置された本発明の一つの代替実施形態による装置を備えた脊椎骨の分解図斜視図である。
【図5】インプラントを脊椎骨に取り付けるように配置された本発明の別の代替実施形態による装置を備えた脊椎骨の分解斜視図である。
【図6】図5の装置を備えた脊椎骨の斜視図であり、装置は、脊椎骨に固定されて、インプラントの回転および並進の両方を係止する係止形態にある。
【図7】図5の装置を備えた脊椎骨の頭部側断面図であり、装置は、脊椎骨に固定されて、図6のような係止形態にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応する骨の表面に対して摺動するように成形された骨並置表面を備え、前記骨に対して第1の軸周りで回転可能なインプラントと、
前記インプラントを前記骨に固定するように構成された整形外科用固締具と、
を備える装置であって、
前記整形外科用固締具は、
圧縮部材と、
前記圧縮部材と協働するように構成されて、前記圧縮部材に対して回転可能である非係止形態と、前記圧縮部材との間の相対的な回転が制限される係止形態と、をもたらす間置部材と、
を備え、
前記整形外科用固締具は、前記第1の軸と平行ではない方向に沿って前記骨の方に前記圧縮部材を押し付けることに応答して、前記非係止形態から前記係止形態に移ることにより、前記第1の軸周りにおいて、前記骨に対する前記インプラントの向きを固定するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記骨に植込み可能な固定部材をさらに備え、
前記固定部材は、前記圧縮部材と協働して、前記圧縮部材を前記骨の方に押し付けるように構成された受け接触面を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記固定部材は、前記骨に植え込まれるように成形された遠位端と、ねじ山を有する近位端と、を備え、
前記圧縮部材は、前記近位端の前記ねじ山と協働するように成形されて、前記固定部材に対する前記圧縮部材の回転に応答して前記圧縮部材を前記遠位端の方に前進させるねじ山を備えることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記骨は脊椎骨を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記インプラントは、前記脊椎骨関節面の自然の関節表面に置き換わるように成形された関節表面を備えることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記骨並置表面は、略半球形状を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記圧縮部材および前記間置部材の少なくとも一方は、前記圧縮部材の前記骨に向けた動きに応答して変形して、前記圧縮部材および前記間置部材の他方に対して係止するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記圧縮部材および前記間置部材の少なくとも一方は、前記圧縮部材および前記間置部材の他方の方に突き出て、前記圧縮部材と前記間置部材との間の相対的な回転を制限する複数の機構を備えることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記間置部材は、前記圧縮部材の前記骨に向けた動きに応答して収縮するように構成された割れリングを備えることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記間置部材は、略円錐形状を有するインプラント接触面を備え、
前記インプラントは、前記インプラント接触面と嵌合する略円錐形状を有して、前記第1の軸周りでの前記骨に対する前記インプラントの回転を制限する間置接触面を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記インプラント接触面および前記間置接触面の少なくとも一方は、前記インプラント接触面および前記間置接触面の他方の方に突き出て、前記インプラントと前記間置部材との間の相対的な回転を制限する複数の機構を備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記骨並置表面は、前記骨の前記対応する表面に対して摺動して、前記インプラントの前記第1の軸に垂直な第2の軸周りでの前記骨に対する回転が可能となるようにさらに成形され、
前記整形外科用固締具の前記非係止形態から前記係止形態への移行によって、前記第2の軸周りでの前記骨に対する前記インプラントの向きがさらに固定されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
インプラントを骨に固定するように構成された整形外科用固締具を備えた装置あって、
前記整形外科用固締具は、
圧縮部材と、
係止表面およびインプラント接触面を備える間置部材であって、前記係止表面が前記圧縮部材に係合することにより、前記圧縮部材に対して前記間置部材が軸周りで回転可能である非係止形態と、前記間置部材と前記圧縮部材との間の前記軸周りでの相対的な回転が制限される係止形態と、をもたらし、前記インプラント接触面は、前記圧縮部材を前記骨の方に押し付けることに応答して前記インプラントに係合することにより、前記インプラントを前記骨の方に押し付けるように成形される前記間置部材と、
を備え、
前記固締具は、前記圧縮部材を前記骨の方に押し付けることに応答して、前記非係止形態から前記係止形態に移るように構成され、
前記非係止形態において、前記軸に平行ではない方向に沿って前記骨に植込み可能な固定部材を備え、前記固定部材は、前記圧縮部材と協働して、前記圧縮部材を前記骨の方に押し付けるように構成された受け接触面を有することを特徴とする装置。
【請求項14】
前記インプラントをさらに備え、
前記骨は脊椎骨を含み、
前記インプラントは、前記脊椎骨の関節面の自然の関節表面に置き換わるように成形された関節表面を備えることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記固定部材は、前記骨に植え込まれるように成形された遠位端と、ねじ山を有する近位端と、を備え、
前記圧縮部材は、前記近位端の前記ねじ山と協働するように成形されて、前記固定部材に対する前記圧縮部材の回転に応答して前記圧縮部材を前記遠位端の方に前進させるねじ山を備えることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記圧縮部材および前記間置部材の少なくとも一方は、前記圧縮部材の前記骨に向けた動きに応答して変形して、前記圧縮部材および前記間置部材の他方に対して係止するように構成されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記圧縮部材および前記間置部材の少なくとも一方は、前記圧縮部材および前記間置部材の他方の方に突き出て、前記圧縮部材と前記間置部材との間の相対的な回転を制限する複数の機構を備えることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記間置部材は、略円錐形状を有するインプラント接触面を備え、
前記インプラントは、前記インプラント接触面と嵌合する略円錐形状を有して、前記軸周りでの前記骨に対する前記インプラントの回転を制限する間置接触面を備えることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項19】
圧縮部材および間置部材を備えた整形外科固締具の使用によって、インプラントを骨に固定する方法であって、
前記インプラントが前記骨に対して第1の軸周りで回転するように、前記インプラントを前記骨に対して摺動させる工程と、
前記圧縮部材を前記第1の軸と平行ではない方向に沿って前記骨の方に押し付ける工程と、
前記圧縮部材を押し付けることに応答して、前記整形外科用固締具を、前記間置部材が前記圧縮部材に対して回転可能である非係止形態から、前記間置部材と前記圧縮部材との間の相対的な回転が制限される係止形態に移す工程と、
前記圧縮部材を前記骨の方に押し付けることに応答して、前記インプラントを前記骨の方に押し付ける工程と、
前記整形外科用固締具の前記係止形態への移行に応答して、前記インプラントと前記骨との間の前記第1の軸周りでの相対的な回転を制限する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
受け接触面を有する固定部材を前記骨に植え込む工程をさらに含み、
前記圧縮部材を前記骨の方に押し付ける工程は、前記圧縮部材を前記受け接触面に沿って前進させることを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記骨は脊椎骨を含み、
前記インプラントを前記骨に対して摺動させる工程は、前記脊椎骨の関節面の自然の関節表面に置き換わるように、前記インプラントの関節表面を配置することを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記整形外科用固締具を前記非係止形態から前記係止形態に移す工程は、前記圧縮部材および前記間置部材の少なくとも一方を、前記圧縮部材および前記間置部材の他方に対して係止するように変形させることを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記間置部材は、略円錐形状を有するインプラント接触面を備え、
前記インプラントは、略円錐形状を有する間置接触面を備え、
前記整形外科用固締具を前記非係止形態から前記係止形態に移す工程は、前記インプラントの前記第1の軸周りでの前記骨に対する回転を制限するように、前記インプラント接触面を前記間置接触面と嵌合させることを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記インプラントが前記第1の軸に垂直な第2の軸周りで前記骨に対して回転するように、前記インプラントを前記骨に対して摺動させる工程と、
前記整形外科用固締具の前記係止形態への移行に応答して、前記インプラントと前記骨との間の前記第2の軸周りでの相対的な回転を制限する工程と、
さらに含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項25】
骨に植込み可能な遠位端を備える固定部材と、
係止形態を含む回転固締具であって、前記係止形態において、インプラントと前記回転固締具との間の第1の軸周りでの複数の相対的な向きのいずれにおいても前記インプラントに係合して、前記インプラントと前記回転固締具との間の前記第1の軸周りでの相対的な回転を実質的に防止する前記回転固締具と、
を備え、
前記係止形態において、前記回転固締具は、前記第1の軸と平行ではない方向への前記固定部材に沿った前記回転固締具の動きが可能となるように、前記固定部材に摺動可能に取付け可能であることを特徴とする装置。
【請求項26】
前記係止形態において、前記回転固締具は、前記インプラントと前記回転固締具との間における前記第1の軸に直交する第2の軸周りでの複数の向きのいずれにおいても、かつ、前記第1および第2の軸に直交する第3の軸周りでの複数の向きのいずれにおいても、前記インプラントにさらに係合し、
前記係止形態において、前記インプラントと前記回転固締具との間のどのような相対運動も実質的に防止されることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記回転固締具は、
間置部材と、
前記間置部材に対して作動して、前記回転固締具を非係止形態から前記係止形態に移すように構成された係合部材と、
を備えることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記係合部材は、拡張して、前記回転固締具を前記非係止形態から前記係止形態に移すように成形されることを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記係合部材は、略球形状を有するインプラント係合表面を備え、
前記係合部材は、前記インプラント係合表面の拡張を可能とする複数の溝を備えることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記間置部材は、テーパ形状を備え、
前記係合部材は、前記テーパ形状のより広い端部に向けた前進に応答して拡張するように構成されることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記回転固締具は、前記間置部材に沿って前進することにより、前記係合部材を押し付けて拡張させて、前記回転固締具を前記係止形態に保持するように構成された回転係止部材をさらに備えることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項32】
前記回転固締具は、前記回転固締具と前記固定部材との間の相対的な回転を実質的に防止するように、前記固定部材と摺動可能に嵌合するように成形された接触面を備えることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項33】
前記固定部材と係合して、前記回転固締具の前記固定部材に沿った動きを制限するように成形された並進係止部材をさらに備えることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項34】
前記骨は脊椎骨を含み、
前記装置は前記インプラントをさらに備え、
前記インプラントは、前記脊椎骨の天然の関節表面の少なくとも一部分に置き換わるように成形された関節表面を備えることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項35】
回転固締具と、
接触面を備える間置部材であって、前記接触面は、骨に植込み可能な遠位端を有する固定部材に対する前記間置部材の結合を容易にするように構成された前記間置部材と、
前記間置部材に結合するように構成されて、インプラント係合表面を備える係合部材と、
を備え
前記係合部材は、前記インプラント係合表面を動かしてインプラントと係合させて、前記回転固締具に対する前記インプラントの回転を制限するように、拡張可能であることを特徴とする装置。
【請求項36】
前記インプラント係合表面は、第1の軸周りでの前記インプラントに対する前記係合部材の複数の向きのいずれにおいても、第2の軸周りでの前記インプラントに対する前記係合部材の複数の向きのいずれにおいても、かつ、第3の軸周りでの前記インプラントに対する前記係合部材の複数の向きのいずれにおいても、拡張して前記インプラントと係合するように成形されることを特徴とする請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記インプラント係合表面は略球形状を有し、
前記係合部材は、前記インプラント係合表面の拡張を可能とする複数の溝を備えることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記間置部材はテーパ形状を備え、
前記係合部材は、前記テーパ形状のより広い端部に向けた前進に応答して拡張するように構成されることを特徴とする請求項35に記載の装置。
【請求項39】
前記回転固締具は、前記間置部材に沿って前進して前記係合部材を拡張させ、かつ前記回転固締具を前記係止形態に保持するように構成された回転係止部材をさらに備えることを特徴とする請求項35に記載の装置。
【請求項40】
前記回転固締具は、前記回転固締具と前記固定部材との間の相対的な回転を実質的に防止するように、前記固定部材と摺動可能に嵌合する形状とされた接触面を備えることを特徴とする請求項35に記載の装置。
【請求項41】
前記固定部材に係合して、前記回転固締具の前記固定部材に沿った動きを制限するように成形された並進係止部材をさらに備えることを特徴とする請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記骨は脊椎骨を含み、前記装置は前記インプラントをさらに備え、
前記インプラントは、前記脊椎骨の自然の関節表面の少なくとも一部分に置き換わるように成形された関節表面を備えることを特徴とする請求項35に記載の装置。
【請求項43】
固定部材の遠位端を骨に植え込む工程と、
回転固締具に対して複数の向きのいずれかにインプラントを配置する工程と、
前記回転固締具と前記インプラントとの間の第1の軸周りでの相対的な回転を制限するように、前記回転固締具を係止形態に作動させる工程と、
前記回転固締具を前記固定部材に摺動可能に結合させる工程と、
前記摺動可能に結合された回転固締具を、前記固定部材に沿い、前記第1の軸に平行ではない方向に沿って、前記係止形態に動かす工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
前記回転固締具を前記係止形態に作動させる工程は、前記インプラントと前記回転固締具との間のどのような相対運動も実質的に防止することを含み、
前記複数の向きのいずれかに前記インプラントを配置する工程は、
第1の軸周りでの前記インプラントと前記回転固締具との間の複数の向きのいずれかに、前記インプラントを配置する工程と、
前記第1の軸に直交する第2の軸周りでの前記インプラントと前記回転固締具との間の複数の向きのいずれかに、前記インプラントを配置する工程と、
前記第1および第2の軸に直交する第3の軸周りでの前記インプラントと前記回転固締具との間の複数の向きのいずれかに、前記インプラントを配置する工程と、
を含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記回転固締具は、間置部材および係合部材を備え、
前記回転固締具を前記係止形態に作動させる工程は、前記係合部材を前記間置部材に対して作動させることを含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記係合部材は、拡張するように成形され、
前記係合部材を前記間置部材に対して作動させることは、前記係合部材を拡張させることを含むことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記係合部材は、略球形状を有するインプラント係合表面を備え、
前記係合部材を拡張させることは、前記係合部材の複数の溝を拡張させることを含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記間置部材はテーパ形状を備え、
前記係合部材を前記間置部材に対して作動させることは、前記係合部材を前記テーパ形状のより広い端部の方に前進させて、前記係合部材の拡張を生じさせることを含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記回転固締具は、回転係止部材をさらに備え、
前記係合部材を前記間置部材に対して作動させることは、前記回転係止部材を前記間置部材に沿って前進させて、前記係合部材を拡張させることを含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記回転固締具を前記固定部材に摺動可能に結合させる工程は、前記回転固締具と前記固定部材との間の相対的な回転を実質的に防止することを含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項51】
前記固定部材を前記並進係止部材と係合させて、前記固定部材に沿った前記回転固締具の動きを制限する工程をさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項52】
前記骨は脊椎骨を含み、
前記摺動可能に結合された回転固締具を前記固定部材に沿って動かす工程は、前記脊椎骨の自然の関節表面の少なくとも一部分に置き換わるように前記インプラントの関節表面を配置することを含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−531121(P2008−531121A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557091(P2007−557091)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/005975
【国際公開番号】WO2006/091539
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(506097852)ファセット ソリューションズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】