整流器システム
【課題】蓄電池が劣化に至る深い放電を行うことを回避することにより、信頼性の高い整流器システム1を提供する。
【解決手段】交流入力端子と直流出力端子において互いに並列に接続され、交流電流を直流電流に変換して負荷4に供給する複数の整流器ユニット3と、前記直流出力端子に接続された蓄電池5と、蓄電池からの蓄電池電流を検出する第1の電流検出器6と、複数の整流器ユニットの出力電流の総和である整流器電流を検出する第2の電流検出器7とを備えている。
さらに蓄電池電流と整流器電流との合計によって負荷から要求された負荷要求電流を供給できるように、蓄電池電流の時間積分値が所定の設定容量を超えた場合又は蓄電池電流が所定の電流容量を超えた場合に追加の整流器ユニットを起動する給電制御手段8を備えたことを特徴とする。
【解決手段】交流入力端子と直流出力端子において互いに並列に接続され、交流電流を直流電流に変換して負荷4に供給する複数の整流器ユニット3と、前記直流出力端子に接続された蓄電池5と、蓄電池からの蓄電池電流を検出する第1の電流検出器6と、複数の整流器ユニットの出力電流の総和である整流器電流を検出する第2の電流検出器7とを備えている。
さらに蓄電池電流と整流器電流との合計によって負荷から要求された負荷要求電流を供給できるように、蓄電池電流の時間積分値が所定の設定容量を超えた場合又は蓄電池電流が所定の電流容量を超えた場合に追加の整流器ユニットを起動する給電制御手段8を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、交流電流を直流電流に変換し、負荷に直流電流を供給する整流器システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の整流器システムは、複数の整流器ユニットと、この整流器ユニットの出力側に接続された蓄電池と、前記複数の整流器ユニットからの総出力電流を検出する出力検出部と、これら各機器を監視、制御する監視制御部を備え、前記出力検出部で検出された総出力電流に基づいて整流器ユニットの最適な運転台数を決定し、決定した運転台数分の整流器ユニットを運転させる構成になっている。このように運転台数を削減することで、運転状態にある整流器ユニットについては高負荷率に維持することができるため、整流器ユニットの効率低下による電力損失を低減することができるという効果が得られる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−195079(3−10頁、図1−8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の整流器システムにおいては総出力電流にのみ着目して整流器ユニットの起動停止制御を行っているため、負荷に供給する電流量を確保しつつ整流器ユニットの運転台数を最小化するために、蓄電池からの放電電流及び放電電流の積分値が過大となる場合もあった。このとき蓄電池として鉛蓄電池を使用する場合には、過放電を行うと電池の劣化が早く、数回程度の使用で使用不能となることが懸念される。特に整流器システムを無停電電源装置(UPS)として使用する場合には、蓄電池が使用不能となることにより停電時のバックアップとして機能しえなくなるため、信頼性の面で問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、蓄電池が劣化に至る深い放電を行うことを回避することにより、信頼性の高い整流器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る整流器システムは、交流入力端子と直流出力端子において互いに並列に接続され、交流電流を直流電流に変換して負荷に供給する複数の整流器ユニットと、前記直流出力端子に接続された蓄電池と、蓄電池からの蓄電池電流を検出する第1の電流検出器と、複数の整流器ユニットの出力電流の総和である整流器電流を検出する第2の電流検出器とを備えている。
さらに蓄電池電流と整流器電流との合計によって負荷から要求された負荷要求電流を供給できるように、蓄電池電流の時間積分値が所定の設定容量を超えた場合又は蓄電池電流が所定の電流容量を超えた場合に追加の整流器ユニットを起動する給電制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る整流器システムによると、蓄電池電流と整流器電流との合計によって負荷から要求された負荷要求電流を供給できるように、蓄電池電流の時間積分値が所定の設定容量を超えた場合又は蓄電池電流が所定の電流容量を超えた場合に追加の整流器ユニットを起動する給電制御手段を備えているため、蓄電池が劣化に至る深い放電を行う前に追加の整流器ユニットを起動させて負荷側に必要な電流を供給することができる。従って劣化に至る深い放電を回避できるため信頼性の高い整流器システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1ないし4に係る整流器システムの回路図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る整流器システムにおいて、運転例を示すグラフである。
【図3】本発明の実施の形態1に係る整流器システムにおいて、運転例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2に係る整流器システムにおいて、運転例を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態2に係る整流器システムにおいて、運転例を示すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る整流器システムにおいて、運転例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態3に係る整流器システムにおいて、運転例を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態3に係る整流器システムにおいて、運転例を示すグラフである。
【図9】本発明の実施の形態3に係る整流器システムにおいて、運転例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態4に係る整流器システムにおいて、運転例を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の形態4に係る整流器システムにおいて、運転例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る整流器システム1の回路図である。本図において、2は交流電源、3は交流電流を直流電流に変換する整流器ユニットであり、整流器ユニット3は、交流電源2に接続された交流入力端子と負荷4に接続された直流出力端子において、複数台が並列に接続されている。5は整流器ユニット3の直流出力端子と負荷4との間の配線に接続され、整流器ユニット2からの出力電流を充電すると同時に負荷4に直流電流を放電する蓄電池であり、6は蓄電池5に充電され、又は蓄電池5から放電される電流を検出する第1の電流検出器である。本実施の形態においては、さらに複数台の整流器ユニット3からの出力電流の総和である整流器電流を検出する第2の電流検出器7を備えており、第1の電流検出器6と第2の電流検出器7からの出力信号、及び複数台の整流器ユニット3の運転状態(起動状態又は停止状態)に基づいて、整流器ユニット3の運転台数を最小限に制御するために、給電制御手段8により整流器ユニット3に対して起動、停止命令が出力される。
【0010】
図2は本実施の形態に係る整流器システム1の運転例を示す図であり、上段から各電流値i(整流器電流io、蓄電池電流ib及び整流器システム出力電流it(=io+ib))、蓄電池電流積分値wb、整流器ユニット運転台数kの時間変化を示す。ここで、蓄電池電流ibは充電時と放電時とで向きが反転するが、放電時の蓄電池電流ibの符号を正、充電時の符号を負と定める。負荷4に必要な電流(負荷要求電流)が整流器システム出力電流itと等しくなるように運転されるが、本図に示すのは負荷要求電流が整流器ユニット3の1台の定格電流irを上回ったり下回ったりして変動するのが繰り返される場合である。
【0011】
蓄電池電流積分値wbは蓄電池電流ibの時間積分を行ったものであり、蓄電池5の放電電流の積分値から充電電流の積分値を差し引いたものであるため、蓄電池5が放電状態の時に増加し、充電状態の時に減少する。本実施の形態においては、放電時の電流積分値が充電積分値より大きい場合、すなわち蓄電池電流積分値wbが正であって、wbが所定の設定容量wsを上回った(wb>ws)時点(t=t1)のときに、停止状態にある整流器ユニット3のうち1台を追加して起動する点に特徴がある。ここで、設定容量wsについては、蓄電池の種類によっても違うが、蓄電池の充放電回数は放電容量の大きさによって大きく影響を受けるため、例えば蓄電池の交換周期内での充放電回数を許容できる放電容量値をwsに設定すればよい。
【0012】
図3は本実施の形態に係る整流器システム1における給電制御手段8の制御フローを示す図である。本図に基づいてまず整流器ユニット3の起動判定フローについて説明する。ステップ101において整流器ユニット3の起動判定、停止判定に必要な値(整流器電流io、蓄電池電流ib、整流器ユニット3の運転台数k)を検出し、ステップ102において整流器ユニット運転台数kが1以上であるかどうかを判定し、ステップ103において蓄電池電流ibを時間積分することにより蓄電池電流積分値wbを算出し、ステップ104において蓄電池電流積分値wbが設定容量wsを超えたかどうかを判定し、ステップ105においてステップ104の判定がYESの場合に整流器ユニット3を追加で1台起動させる。以上のように整流器ユニット3の起動判定は、整流器ユニット3の運転台数が1台以上であるとき、蓄電池電流積分値wbが設定容量wsを超えたかどうかによって行う。
【0013】
次に図3に基づいて整流器ユニット3の停止判定フローについて説明する。ステップ106において整流器ユニット3の運転台数kが2以上であるかどうかを判定し、ステップ107において運転中の整流器ユニット3のうち1台を停止した場合であってもなおその時の負荷4から要求される電流(負荷要求電流=整流器システム出力電流it)を供給するのに十分であるかどうかを判定する。このステップでは、負荷要求電流が変動することを見込んで閾値電流i3だけ余裕を持って定め、it≦(k−1)×ir−i3を満たすかどうかにより判定する。ここで閾値電流i3については、例えば負荷要求電流のパターン(定期的な電流変動分)を考慮して、その変動分より大きな値をi3として設定することが可能である。ステップ108においてステップ107における判定結果がYESの場合には、整流器ユニット3を1台停止させる。
【0014】
以上のとおり実施の形態1に係る整流器システム1によると、蓄電池電流積分値wbが所定の設定容量wsを超えた場合に追加の整流器ユニット3を起動するように給電制御手段8が制御する。このときにはこの追加で起動された整流器ユニット3により蓄電池5が充電されることになるため、蓄電池電流積分値wbは設定容量wsを超えることはない。従って蓄電池5が劣化に至る深い放電を行うことを回避できるため、信頼性の高い整流器システム1を提供することができる。
【0015】
また、現状の整流器ユニット3の運転台数kより1台減らして運転した場合であっても負荷要求電流をまかなうのに十分であると判断される場合には、運転中の整流器ユニット3のうち1台を停止するように給電制御手段8が制御を行うため、整流器ユニット3の運転台数を必要最小限に制御でき、高効率な整流器システム1を提供することができる。しかも、整流器ユニット3の運転台数を1台減らした後に負荷要求電流が多少変動した場合であっても、この変動が閾値電流i3の範囲内であれば蓄電池5から放電しなくても負荷要求電流をまかなうことができる。従って蓄電池5の充放電回数を低減することができるため蓄電池5の寿命を延ばすことができ、更に信頼性の高い整流器システム1を提供することができる。
【0016】
実施の形態2.
実施の形態1においては、蓄電池5の蓄電池電流積分値wbが所定の設定容量wsを超えた場合に停止状態の整流器ユニット3の1台を起動させる場合について述べたが、本実施の形態では実施の形態1に係る給電制御方法に加え、蓄電池電流ibが0(ゼロ)を超える所定の設定電流値isを超えた場合でも、停止状態の整流器ユニット3の1台を起動させることを特徴とする。
【0017】
本実施の形態にかかる整流器システム1の回路構成は図1に示される実施の形態1と同じであるため説明を省略し、図4、図5を用いて運転例について説明する。図4では負荷要求電流、すなわち整流器システム出力電流itが、整流器ユニット3の1台の定格電流irを上回ったり下回ったりして変動するのが繰り返される場合である。ここで設定電流isについては、蓄電池5の種類によっても違うが、蓄電池の充放電回数は放電電流の大きさによって大きく影響を受けるため、例えば蓄電池の交換周期内での充放電回数を許容できる放電電流値をisとして設定すればよい。図4における設定電流isについては、後に説明する図5で用いられるものよりも比較的小さな値を採用している。従って本図においては、蓄電池電流積分値wbが所定の設定容量wsに到達する前に、蓄電池電流ibが設定電流isに到達したt=t2の時点において、停止状態にある整流器ユニット3のうち1台を追加して起動している。
【0018】
一方図5においては、設定電流isを図4にて採用したものよりも比較的大きな値を採用している。本図においては、図4に示したものとは反対に、蓄電池電流ibが設定電流isに到達する前に、蓄電池電流積分値wbが所定の設定容量wsに到達したt=t3の時点において、停止状態にある整流器ユニット3のうち1台を追加して起動している。
【0019】
図6は本実施の形態に係る整流器システム1における給電制御手段8の制御フローを示すものである。ステップ201において整流器ユニット3の起動判定、停止判定に必要な値(整流器電流io、蓄電池電流ib、整流器ユニット3の運転台数k)を検出し、ステップ202において整流器ユニット運転台数kが1以上であるかどうかを判定し、ステップ203において蓄電池電流ibが設定電流isを超えたかどうかを判定し、ステップ204においてステップ203の判定がYESの場合に整流器ユニット3を追加で1台起動させる。以上のように整流器ユニット3の起動判定は、整流器ユニット3の運転台数が1台以上であるとき、蓄電池電流ibが設定電流isを超えたかどうかによって行っている。なお、以降に続く蓄電池電流積分値wbに基づいて起動判定を行うフロー(ステップ205〜207)及び停止判定フロー(ステップ208〜210)については、実施の形態1と同じであるため説明を省略する。
【0020】
以上のとおり実施の形態2に係る整流器システム1によると、蓄電池電流ibが所定の設定電流isを超えた場合に追加の整流器ユニット3を起動するように給電制御手段8が制御する。このときにはこの追加で起動された整流器ユニット3により蓄電池5が充電されることになるため、蓄電池電流ibは設定電流isを超えることはない。従って蓄電池5が劣化に至る深い放電電流を流すことを回避できるため、信頼性の高い整流器システム1を提供することができる。
【0021】
また、実施の形態1に係る整流器システム1によると、蓄電池電流ibが所定の設定電流isを超えない場合であっても、蓄電池電流積分値wbが所定の設定容量wsを超えた場合には追加の整流器ユニット3を起動するように給電制御手段6が制御する。このときにはこの追加で起動された整流器ユニットにより蓄電池5が充電されることになるため、蓄電池電流積分値wbは設定容量wsを超えることはない。従って蓄電池5が劣化に至る深い放電を行うことを回避できるため、信頼性の高い整流器システム1を提供することができる。
【0022】
また、現状の運転台数kより1台減らして運転した場合であっても負荷要求電流をまかなうのに十分であると判断される場合には、運転中の整流器ユニット3のうち1台を停止するように給電制御手段8が制御を行うため、整流器ユニット3の運転台数を必要最小限に制御でき、高効率な整流器システム1を提供することができる。しかも、整流器ユニット3の運転台数を1台減らした後に負荷要求電流が多少変動した場合であっても、この変動が閾値電流i3の範囲内であれば蓄電池5から放電しなくても負荷要求電流をまかなうことができる。従って蓄電池5の充放電回数を低減することができるため蓄電池5の寿命を延ばすことができ、更に信頼性の高い整流器システム1を提供することができる。
【0023】
なお、本実施の形態においては、蓄電池電流ibに基づく起動判定フロー(図6におけるステップ203〜204)と蓄電池電流積分値wbに基づく判定フロー(同図におけるステップ205〜207)とを組み合わせたものについて説明を行ったが、蓄電池電流ibに基づく起動判定フローのみを備える給電制御手段8であっても、前記のとおり蓄電池が劣化に至る深い放電電流を回避できるため、信頼性の高い整流器システム1を提供することができるという効果を奏することはいうまでもない。
【0024】
実施の形態3.
実施の形態1においては、蓄電池5の蓄電池電流積分値wbが所定の設定容量wsを超えたときに停止状態の整流器ユニット3の1台を起動させる場合について述べたが、本実施の形態では実施の形態1に係る給電制御方法に加え、蓄電池電流ibが正(放電方向)である時間、すなわち蓄電池放電時間tbが設定時間tsを越えたときに、停止状態の整流器ユニット3を1台追加で起動させることを特徴とする。
【0025】
本実施の形態にかかる整流器システム1の回路構成は図1に示される実施の形態1と同じであるが、蓄電池放電時間tbをカウントするカウンタ(図1には図示せず)を備えている点が異なる。このカウンタは蓄電池電流ibが0以下となった時又は整流器ユニット3を追加起動した時にリセットされ、蓄電池電流ibが再び正となるとカウントを開始する。蓄電池放電時間tbのカウントは各機器とは別個に設けられたハードウェアカウンタで行ってもよいし、給電制御手段8の内部に設けられたソフトウェアカウンタで行ってもよい。
【0026】
次に図7、図8を用いて運転例について説明する。図7では負荷要求電流、すなわち整流器システム出力電流itが、整流器ユニット3の1台の定格電流irを上回ったり下回ったりして変動するのが繰り返される場合である。図5に示す場合では設定時間tsが比較的短く定められているため、蓄電池電流積分値wbが設定容量wsを超える以前に蓄電池放電時間tbが設定時間tsを超えた時点(t=t4)において、停止状態にある整流器ユニット3のうち1台を追加して起動している。一方、図8には図7の運転例よりも設定時間tsが長い場合の運転例を示す。この運転例では蓄電池放電時間tbがいずれの場合も設定時間tsを上回ることがなく、蓄電池電流積分値wbが所定容量wsを超えた時点(t=t5)において、停止状態にある整流器ユニット3のうち1台を追加して起動している。
【0027】
図9は本実施の形態に係る整流器システム1における給電制御手段8の制御フローを示すものである。ステップ301において整流器ユニット3の起動判定、停止判定に必要な値(整流器電流io、蓄電池電流ib、整流器ユニット3の運転台数k)を検出し、ステップ302において整流器ユニット運転台数kが1以上であるかどうかを判定し、ステップ303において蓄電池電流ibが正であればtbをカウントし、ステップ304においてtbが設定時間tsを超えた場合には、ステップ305において整流器ユニット3を追加で1台起動させる。以上のように整流器ユニット3の起動判定は、整流器ユニット3の運転台数が1台以上であるとき、蓄電池放電時間tbが設定時間tsを超えたときかどうかにより行う。なお、以降に続く蓄電池電流積分値wbに基づいて起動判定を行うフロー(ステップ306〜308)及び停止判定フロー(ステップ309〜311)については、実施の形態1と同じであるため説明を省略する。
【0028】
以上のとおり本実施の形態に係る整流器システム1によれば、前記実施の形態1の整流器システム1の奏する効果に加えて、蓄電池放電時間tbが設定時間tsを超えた場合に追加の整流器ユニット3を1台起動させるため、図7に示すように設定時間tsを比較的短めに定めておくことにより、蓄電池5が設定容量wsを放電する以前に追加の整流器ユニット3を起動することも可能となる。従って蓄電池5の放電量を実施の形態1に示すものよりも低減させることにより蓄電池5の劣化を抑制することが可能となるため、更に信頼性の高い整流器システム1を提供することができる。
【0029】
実施の形態4.
実施の形態3においては、蓄電池5の蓄電池電流積分値wbが所定の設定容量wsを超えたとき、又は蓄電池放電時間tbが設定時間tsを越えたときに、停止状態の整流器ユニット3を1台追加で起動させる場合について述べたが、本実施の形態では実施の形態3に係る給電制御方法に加え、蓄電池電流ibが0(ゼロ)を超える所定の設定電流値isを超えた場合でも、停止状態の整流器ユニット3の1台を起動させることを特徴とする。
【0030】
以下図10を使用して、本実施の形態に係る整流器システム1の運転例について説明する。図10では負荷要求電流、すなわち整流器システム出力電流itが、整流器ユニット3の1台の定格電流irを上回ったり下回ったりして変動するのが繰り返されており、しかもその電流変化率がこれまでの実施の形態と比較して大きい場合である。この場合には蓄電池電流積分値wbが設定容量wsを超えず、また蓄電池放電時間tbが設定時間tsを超えない場合であっても、蓄電池電流ibが設定電流isを超えた時点(t=t6)において、停止状態の整流器ユニット3の1台を起動している。
【0031】
図11は本実施の形態に係る整流器システム1における給電制御手段8の制御フローを示すものである。ここで、ステップ402〜ステップ404は図6に示された蓄電池電流ibに基づいて起動判定を行うフロー(ステップ202〜204)と、ステップ405〜407は図9に示された蓄電池放電時間tbに基づいて起動判定を行うフロー(ステップ303〜305)と、ステップ408〜410は図3に示された蓄電池電流積分値wbに基づいて起動判定を行うフロー(ステップ103〜105)と、ステップ411〜413は図3に示された停止判定フロー(ステップ106〜108)と、各々同じであるため、内容の説明は省略する。
【0032】
以上のとおり本実施の形態に係る整流器システム1によれば、前記実施の形態3の整流器システム1と同じ効果を奏する。さらに、図10に示すように負荷要求電流itの電流変化率が大きく、蓄電池電流積分値wbに基づく起動判定及び蓄電池放電時間tbに基づく起動判定のいずれにおいても整流器ユニット3の追加起動が行えない場合であっても、蓄電池電流ibが設定電流isを超えることにより停止状態の整流器ユニット3の1台を起動させるため、蓄電池5が過放電にいたるのを未然に防止することができる。従って蓄電池5の放電量を実施の形態1に示すものよりも低減させることにより蓄電池5の劣化を抑制することが可能となるため、更に信頼性の高い整流器システム1を提供することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 整流器システム
3 整流器ユニット
4 負荷
5 蓄電池
6 第1の電流検出器
7 第2の電流検出器
8 給電制御手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、交流電流を直流電流に変換し、負荷に直流電流を供給する整流器システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の整流器システムは、複数の整流器ユニットと、この整流器ユニットの出力側に接続された蓄電池と、前記複数の整流器ユニットからの総出力電流を検出する出力検出部と、これら各機器を監視、制御する監視制御部を備え、前記出力検出部で検出された総出力電流に基づいて整流器ユニットの最適な運転台数を決定し、決定した運転台数分の整流器ユニットを運転させる構成になっている。このように運転台数を削減することで、運転状態にある整流器ユニットについては高負荷率に維持することができるため、整流器ユニットの効率低下による電力損失を低減することができるという効果が得られる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−195079(3−10頁、図1−8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の整流器システムにおいては総出力電流にのみ着目して整流器ユニットの起動停止制御を行っているため、負荷に供給する電流量を確保しつつ整流器ユニットの運転台数を最小化するために、蓄電池からの放電電流及び放電電流の積分値が過大となる場合もあった。このとき蓄電池として鉛蓄電池を使用する場合には、過放電を行うと電池の劣化が早く、数回程度の使用で使用不能となることが懸念される。特に整流器システムを無停電電源装置(UPS)として使用する場合には、蓄電池が使用不能となることにより停電時のバックアップとして機能しえなくなるため、信頼性の面で問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、蓄電池が劣化に至る深い放電を行うことを回避することにより、信頼性の高い整流器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る整流器システムは、交流入力端子と直流出力端子において互いに並列に接続され、交流電流を直流電流に変換して負荷に供給する複数の整流器ユニットと、前記直流出力端子に接続された蓄電池と、蓄電池からの蓄電池電流を検出する第1の電流検出器と、複数の整流器ユニットの出力電流の総和である整流器電流を検出する第2の電流検出器とを備えている。
さらに蓄電池電流と整流器電流との合計によって負荷から要求された負荷要求電流を供給できるように、蓄電池電流の時間積分値が所定の設定容量を超えた場合又は蓄電池電流が所定の電流容量を超えた場合に追加の整流器ユニットを起動する給電制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る整流器システムによると、蓄電池電流と整流器電流との合計によって負荷から要求された負荷要求電流を供給できるように、蓄電池電流の時間積分値が所定の設定容量を超えた場合又は蓄電池電流が所定の電流容量を超えた場合に追加の整流器ユニットを起動する給電制御手段を備えているため、蓄電池が劣化に至る深い放電を行う前に追加の整流器ユニットを起動させて負荷側に必要な電流を供給することができる。従って劣化に至る深い放電を回避できるため信頼性の高い整流器システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1ないし4に係る整流器システムの回路図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る整流器システムにおいて、運転例を示すグラフである。
【図3】本発明の実施の形態1に係る整流器システムにおいて、運転例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2に係る整流器システムにおいて、運転例を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態2に係る整流器システムにおいて、運転例を示すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る整流器システムにおいて、運転例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態3に係る整流器システムにおいて、運転例を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態3に係る整流器システムにおいて、運転例を示すグラフである。
【図9】本発明の実施の形態3に係る整流器システムにおいて、運転例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態4に係る整流器システムにおいて、運転例を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の形態4に係る整流器システムにおいて、運転例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る整流器システム1の回路図である。本図において、2は交流電源、3は交流電流を直流電流に変換する整流器ユニットであり、整流器ユニット3は、交流電源2に接続された交流入力端子と負荷4に接続された直流出力端子において、複数台が並列に接続されている。5は整流器ユニット3の直流出力端子と負荷4との間の配線に接続され、整流器ユニット2からの出力電流を充電すると同時に負荷4に直流電流を放電する蓄電池であり、6は蓄電池5に充電され、又は蓄電池5から放電される電流を検出する第1の電流検出器である。本実施の形態においては、さらに複数台の整流器ユニット3からの出力電流の総和である整流器電流を検出する第2の電流検出器7を備えており、第1の電流検出器6と第2の電流検出器7からの出力信号、及び複数台の整流器ユニット3の運転状態(起動状態又は停止状態)に基づいて、整流器ユニット3の運転台数を最小限に制御するために、給電制御手段8により整流器ユニット3に対して起動、停止命令が出力される。
【0010】
図2は本実施の形態に係る整流器システム1の運転例を示す図であり、上段から各電流値i(整流器電流io、蓄電池電流ib及び整流器システム出力電流it(=io+ib))、蓄電池電流積分値wb、整流器ユニット運転台数kの時間変化を示す。ここで、蓄電池電流ibは充電時と放電時とで向きが反転するが、放電時の蓄電池電流ibの符号を正、充電時の符号を負と定める。負荷4に必要な電流(負荷要求電流)が整流器システム出力電流itと等しくなるように運転されるが、本図に示すのは負荷要求電流が整流器ユニット3の1台の定格電流irを上回ったり下回ったりして変動するのが繰り返される場合である。
【0011】
蓄電池電流積分値wbは蓄電池電流ibの時間積分を行ったものであり、蓄電池5の放電電流の積分値から充電電流の積分値を差し引いたものであるため、蓄電池5が放電状態の時に増加し、充電状態の時に減少する。本実施の形態においては、放電時の電流積分値が充電積分値より大きい場合、すなわち蓄電池電流積分値wbが正であって、wbが所定の設定容量wsを上回った(wb>ws)時点(t=t1)のときに、停止状態にある整流器ユニット3のうち1台を追加して起動する点に特徴がある。ここで、設定容量wsについては、蓄電池の種類によっても違うが、蓄電池の充放電回数は放電容量の大きさによって大きく影響を受けるため、例えば蓄電池の交換周期内での充放電回数を許容できる放電容量値をwsに設定すればよい。
【0012】
図3は本実施の形態に係る整流器システム1における給電制御手段8の制御フローを示す図である。本図に基づいてまず整流器ユニット3の起動判定フローについて説明する。ステップ101において整流器ユニット3の起動判定、停止判定に必要な値(整流器電流io、蓄電池電流ib、整流器ユニット3の運転台数k)を検出し、ステップ102において整流器ユニット運転台数kが1以上であるかどうかを判定し、ステップ103において蓄電池電流ibを時間積分することにより蓄電池電流積分値wbを算出し、ステップ104において蓄電池電流積分値wbが設定容量wsを超えたかどうかを判定し、ステップ105においてステップ104の判定がYESの場合に整流器ユニット3を追加で1台起動させる。以上のように整流器ユニット3の起動判定は、整流器ユニット3の運転台数が1台以上であるとき、蓄電池電流積分値wbが設定容量wsを超えたかどうかによって行う。
【0013】
次に図3に基づいて整流器ユニット3の停止判定フローについて説明する。ステップ106において整流器ユニット3の運転台数kが2以上であるかどうかを判定し、ステップ107において運転中の整流器ユニット3のうち1台を停止した場合であってもなおその時の負荷4から要求される電流(負荷要求電流=整流器システム出力電流it)を供給するのに十分であるかどうかを判定する。このステップでは、負荷要求電流が変動することを見込んで閾値電流i3だけ余裕を持って定め、it≦(k−1)×ir−i3を満たすかどうかにより判定する。ここで閾値電流i3については、例えば負荷要求電流のパターン(定期的な電流変動分)を考慮して、その変動分より大きな値をi3として設定することが可能である。ステップ108においてステップ107における判定結果がYESの場合には、整流器ユニット3を1台停止させる。
【0014】
以上のとおり実施の形態1に係る整流器システム1によると、蓄電池電流積分値wbが所定の設定容量wsを超えた場合に追加の整流器ユニット3を起動するように給電制御手段8が制御する。このときにはこの追加で起動された整流器ユニット3により蓄電池5が充電されることになるため、蓄電池電流積分値wbは設定容量wsを超えることはない。従って蓄電池5が劣化に至る深い放電を行うことを回避できるため、信頼性の高い整流器システム1を提供することができる。
【0015】
また、現状の整流器ユニット3の運転台数kより1台減らして運転した場合であっても負荷要求電流をまかなうのに十分であると判断される場合には、運転中の整流器ユニット3のうち1台を停止するように給電制御手段8が制御を行うため、整流器ユニット3の運転台数を必要最小限に制御でき、高効率な整流器システム1を提供することができる。しかも、整流器ユニット3の運転台数を1台減らした後に負荷要求電流が多少変動した場合であっても、この変動が閾値電流i3の範囲内であれば蓄電池5から放電しなくても負荷要求電流をまかなうことができる。従って蓄電池5の充放電回数を低減することができるため蓄電池5の寿命を延ばすことができ、更に信頼性の高い整流器システム1を提供することができる。
【0016】
実施の形態2.
実施の形態1においては、蓄電池5の蓄電池電流積分値wbが所定の設定容量wsを超えた場合に停止状態の整流器ユニット3の1台を起動させる場合について述べたが、本実施の形態では実施の形態1に係る給電制御方法に加え、蓄電池電流ibが0(ゼロ)を超える所定の設定電流値isを超えた場合でも、停止状態の整流器ユニット3の1台を起動させることを特徴とする。
【0017】
本実施の形態にかかる整流器システム1の回路構成は図1に示される実施の形態1と同じであるため説明を省略し、図4、図5を用いて運転例について説明する。図4では負荷要求電流、すなわち整流器システム出力電流itが、整流器ユニット3の1台の定格電流irを上回ったり下回ったりして変動するのが繰り返される場合である。ここで設定電流isについては、蓄電池5の種類によっても違うが、蓄電池の充放電回数は放電電流の大きさによって大きく影響を受けるため、例えば蓄電池の交換周期内での充放電回数を許容できる放電電流値をisとして設定すればよい。図4における設定電流isについては、後に説明する図5で用いられるものよりも比較的小さな値を採用している。従って本図においては、蓄電池電流積分値wbが所定の設定容量wsに到達する前に、蓄電池電流ibが設定電流isに到達したt=t2の時点において、停止状態にある整流器ユニット3のうち1台を追加して起動している。
【0018】
一方図5においては、設定電流isを図4にて採用したものよりも比較的大きな値を採用している。本図においては、図4に示したものとは反対に、蓄電池電流ibが設定電流isに到達する前に、蓄電池電流積分値wbが所定の設定容量wsに到達したt=t3の時点において、停止状態にある整流器ユニット3のうち1台を追加して起動している。
【0019】
図6は本実施の形態に係る整流器システム1における給電制御手段8の制御フローを示すものである。ステップ201において整流器ユニット3の起動判定、停止判定に必要な値(整流器電流io、蓄電池電流ib、整流器ユニット3の運転台数k)を検出し、ステップ202において整流器ユニット運転台数kが1以上であるかどうかを判定し、ステップ203において蓄電池電流ibが設定電流isを超えたかどうかを判定し、ステップ204においてステップ203の判定がYESの場合に整流器ユニット3を追加で1台起動させる。以上のように整流器ユニット3の起動判定は、整流器ユニット3の運転台数が1台以上であるとき、蓄電池電流ibが設定電流isを超えたかどうかによって行っている。なお、以降に続く蓄電池電流積分値wbに基づいて起動判定を行うフロー(ステップ205〜207)及び停止判定フロー(ステップ208〜210)については、実施の形態1と同じであるため説明を省略する。
【0020】
以上のとおり実施の形態2に係る整流器システム1によると、蓄電池電流ibが所定の設定電流isを超えた場合に追加の整流器ユニット3を起動するように給電制御手段8が制御する。このときにはこの追加で起動された整流器ユニット3により蓄電池5が充電されることになるため、蓄電池電流ibは設定電流isを超えることはない。従って蓄電池5が劣化に至る深い放電電流を流すことを回避できるため、信頼性の高い整流器システム1を提供することができる。
【0021】
また、実施の形態1に係る整流器システム1によると、蓄電池電流ibが所定の設定電流isを超えない場合であっても、蓄電池電流積分値wbが所定の設定容量wsを超えた場合には追加の整流器ユニット3を起動するように給電制御手段6が制御する。このときにはこの追加で起動された整流器ユニットにより蓄電池5が充電されることになるため、蓄電池電流積分値wbは設定容量wsを超えることはない。従って蓄電池5が劣化に至る深い放電を行うことを回避できるため、信頼性の高い整流器システム1を提供することができる。
【0022】
また、現状の運転台数kより1台減らして運転した場合であっても負荷要求電流をまかなうのに十分であると判断される場合には、運転中の整流器ユニット3のうち1台を停止するように給電制御手段8が制御を行うため、整流器ユニット3の運転台数を必要最小限に制御でき、高効率な整流器システム1を提供することができる。しかも、整流器ユニット3の運転台数を1台減らした後に負荷要求電流が多少変動した場合であっても、この変動が閾値電流i3の範囲内であれば蓄電池5から放電しなくても負荷要求電流をまかなうことができる。従って蓄電池5の充放電回数を低減することができるため蓄電池5の寿命を延ばすことができ、更に信頼性の高い整流器システム1を提供することができる。
【0023】
なお、本実施の形態においては、蓄電池電流ibに基づく起動判定フロー(図6におけるステップ203〜204)と蓄電池電流積分値wbに基づく判定フロー(同図におけるステップ205〜207)とを組み合わせたものについて説明を行ったが、蓄電池電流ibに基づく起動判定フローのみを備える給電制御手段8であっても、前記のとおり蓄電池が劣化に至る深い放電電流を回避できるため、信頼性の高い整流器システム1を提供することができるという効果を奏することはいうまでもない。
【0024】
実施の形態3.
実施の形態1においては、蓄電池5の蓄電池電流積分値wbが所定の設定容量wsを超えたときに停止状態の整流器ユニット3の1台を起動させる場合について述べたが、本実施の形態では実施の形態1に係る給電制御方法に加え、蓄電池電流ibが正(放電方向)である時間、すなわち蓄電池放電時間tbが設定時間tsを越えたときに、停止状態の整流器ユニット3を1台追加で起動させることを特徴とする。
【0025】
本実施の形態にかかる整流器システム1の回路構成は図1に示される実施の形態1と同じであるが、蓄電池放電時間tbをカウントするカウンタ(図1には図示せず)を備えている点が異なる。このカウンタは蓄電池電流ibが0以下となった時又は整流器ユニット3を追加起動した時にリセットされ、蓄電池電流ibが再び正となるとカウントを開始する。蓄電池放電時間tbのカウントは各機器とは別個に設けられたハードウェアカウンタで行ってもよいし、給電制御手段8の内部に設けられたソフトウェアカウンタで行ってもよい。
【0026】
次に図7、図8を用いて運転例について説明する。図7では負荷要求電流、すなわち整流器システム出力電流itが、整流器ユニット3の1台の定格電流irを上回ったり下回ったりして変動するのが繰り返される場合である。図5に示す場合では設定時間tsが比較的短く定められているため、蓄電池電流積分値wbが設定容量wsを超える以前に蓄電池放電時間tbが設定時間tsを超えた時点(t=t4)において、停止状態にある整流器ユニット3のうち1台を追加して起動している。一方、図8には図7の運転例よりも設定時間tsが長い場合の運転例を示す。この運転例では蓄電池放電時間tbがいずれの場合も設定時間tsを上回ることがなく、蓄電池電流積分値wbが所定容量wsを超えた時点(t=t5)において、停止状態にある整流器ユニット3のうち1台を追加して起動している。
【0027】
図9は本実施の形態に係る整流器システム1における給電制御手段8の制御フローを示すものである。ステップ301において整流器ユニット3の起動判定、停止判定に必要な値(整流器電流io、蓄電池電流ib、整流器ユニット3の運転台数k)を検出し、ステップ302において整流器ユニット運転台数kが1以上であるかどうかを判定し、ステップ303において蓄電池電流ibが正であればtbをカウントし、ステップ304においてtbが設定時間tsを超えた場合には、ステップ305において整流器ユニット3を追加で1台起動させる。以上のように整流器ユニット3の起動判定は、整流器ユニット3の運転台数が1台以上であるとき、蓄電池放電時間tbが設定時間tsを超えたときかどうかにより行う。なお、以降に続く蓄電池電流積分値wbに基づいて起動判定を行うフロー(ステップ306〜308)及び停止判定フロー(ステップ309〜311)については、実施の形態1と同じであるため説明を省略する。
【0028】
以上のとおり本実施の形態に係る整流器システム1によれば、前記実施の形態1の整流器システム1の奏する効果に加えて、蓄電池放電時間tbが設定時間tsを超えた場合に追加の整流器ユニット3を1台起動させるため、図7に示すように設定時間tsを比較的短めに定めておくことにより、蓄電池5が設定容量wsを放電する以前に追加の整流器ユニット3を起動することも可能となる。従って蓄電池5の放電量を実施の形態1に示すものよりも低減させることにより蓄電池5の劣化を抑制することが可能となるため、更に信頼性の高い整流器システム1を提供することができる。
【0029】
実施の形態4.
実施の形態3においては、蓄電池5の蓄電池電流積分値wbが所定の設定容量wsを超えたとき、又は蓄電池放電時間tbが設定時間tsを越えたときに、停止状態の整流器ユニット3を1台追加で起動させる場合について述べたが、本実施の形態では実施の形態3に係る給電制御方法に加え、蓄電池電流ibが0(ゼロ)を超える所定の設定電流値isを超えた場合でも、停止状態の整流器ユニット3の1台を起動させることを特徴とする。
【0030】
以下図10を使用して、本実施の形態に係る整流器システム1の運転例について説明する。図10では負荷要求電流、すなわち整流器システム出力電流itが、整流器ユニット3の1台の定格電流irを上回ったり下回ったりして変動するのが繰り返されており、しかもその電流変化率がこれまでの実施の形態と比較して大きい場合である。この場合には蓄電池電流積分値wbが設定容量wsを超えず、また蓄電池放電時間tbが設定時間tsを超えない場合であっても、蓄電池電流ibが設定電流isを超えた時点(t=t6)において、停止状態の整流器ユニット3の1台を起動している。
【0031】
図11は本実施の形態に係る整流器システム1における給電制御手段8の制御フローを示すものである。ここで、ステップ402〜ステップ404は図6に示された蓄電池電流ibに基づいて起動判定を行うフロー(ステップ202〜204)と、ステップ405〜407は図9に示された蓄電池放電時間tbに基づいて起動判定を行うフロー(ステップ303〜305)と、ステップ408〜410は図3に示された蓄電池電流積分値wbに基づいて起動判定を行うフロー(ステップ103〜105)と、ステップ411〜413は図3に示された停止判定フロー(ステップ106〜108)と、各々同じであるため、内容の説明は省略する。
【0032】
以上のとおり本実施の形態に係る整流器システム1によれば、前記実施の形態3の整流器システム1と同じ効果を奏する。さらに、図10に示すように負荷要求電流itの電流変化率が大きく、蓄電池電流積分値wbに基づく起動判定及び蓄電池放電時間tbに基づく起動判定のいずれにおいても整流器ユニット3の追加起動が行えない場合であっても、蓄電池電流ibが設定電流isを超えることにより停止状態の整流器ユニット3の1台を起動させるため、蓄電池5が過放電にいたるのを未然に防止することができる。従って蓄電池5の放電量を実施の形態1に示すものよりも低減させることにより蓄電池5の劣化を抑制することが可能となるため、更に信頼性の高い整流器システム1を提供することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 整流器システム
3 整流器ユニット
4 負荷
5 蓄電池
6 第1の電流検出器
7 第2の電流検出器
8 給電制御手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流入力端子と直流出力端子において互いに並列に接続され、交流電流を直流電流に変換して負荷に供給する複数の整流器ユニットと、
前記直流出力端子に接続された蓄電池と、
前記蓄電池からの蓄電池電流を検出する第1の電流検出器と、
前記複数の整流器ユニットの出力電流の総和である整流器電流を検出する第2の電流検出器と、
前記蓄電池電流と前記整流器電流との合計によって前記負荷から要求された負荷要求電流を供給できるように、前記蓄電池電流の時間積分値が所定の設定容量を超えた場合に追加の整流器ユニットを起動する給電制御手段と
を備えた整流器システム。
【請求項2】
交流入力端子と直流出力端子において互いに並列に接続され、交流電流を直流電流に変換して負荷に供給する複数の整流器ユニットと、
前記直流出力端子に接続された蓄電池と、
前記蓄電池からの蓄電池電流を検出する第1の電流検出器と、
前記複数の整流器ユニットの出力電流の総和である整流器電流を検出する第2の電流検出器と、
前記蓄電池電流と前記整流器電流との合計によって前記負荷から要求された負荷要求電流を供給できるように、前記蓄電池電流が所定の設定電流を超えた場合に追加の整流器ユニットを起動する給電制御手段と
を備えた整流器システム。
【請求項3】
給電制御手段は、蓄電池放電時間が所定の設定時間を超えた場合に追加の整流器ユニットを起動することを特徴とする
請求項1又は2に記載の整流器システム。
【請求項4】
給電制御手段は、下記不等式
it≦(k−1)×ir−i3、
ここでit:負荷要求電流、k:整流器ユニットの運転台数、ir:整流器ユニット1台あたりの定格電流、i3:所定の閾値電流
を満たす場合に整流器ユニットのうちの1台を停止することを特徴とする
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の整流器システム。
【請求項1】
交流入力端子と直流出力端子において互いに並列に接続され、交流電流を直流電流に変換して負荷に供給する複数の整流器ユニットと、
前記直流出力端子に接続された蓄電池と、
前記蓄電池からの蓄電池電流を検出する第1の電流検出器と、
前記複数の整流器ユニットの出力電流の総和である整流器電流を検出する第2の電流検出器と、
前記蓄電池電流と前記整流器電流との合計によって前記負荷から要求された負荷要求電流を供給できるように、前記蓄電池電流の時間積分値が所定の設定容量を超えた場合に追加の整流器ユニットを起動する給電制御手段と
を備えた整流器システム。
【請求項2】
交流入力端子と直流出力端子において互いに並列に接続され、交流電流を直流電流に変換して負荷に供給する複数の整流器ユニットと、
前記直流出力端子に接続された蓄電池と、
前記蓄電池からの蓄電池電流を検出する第1の電流検出器と、
前記複数の整流器ユニットの出力電流の総和である整流器電流を検出する第2の電流検出器と、
前記蓄電池電流と前記整流器電流との合計によって前記負荷から要求された負荷要求電流を供給できるように、前記蓄電池電流が所定の設定電流を超えた場合に追加の整流器ユニットを起動する給電制御手段と
を備えた整流器システム。
【請求項3】
給電制御手段は、蓄電池放電時間が所定の設定時間を超えた場合に追加の整流器ユニットを起動することを特徴とする
請求項1又は2に記載の整流器システム。
【請求項4】
給電制御手段は、下記不等式
it≦(k−1)×ir−i3、
ここでit:負荷要求電流、k:整流器ユニットの運転台数、ir:整流器ユニット1台あたりの定格電流、i3:所定の閾値電流
を満たす場合に整流器ユニットのうちの1台を停止することを特徴とする
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の整流器システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−175859(P2012−175859A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37164(P2011−37164)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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