説明

整調性を有する透明なゼオライト−ポリマーハイブリッド材料

【課題】整調性を持つ透明なゼオライト−ポリマーハイブリッド材料を提供すること。
【解決手段】本発明は、新規な高度に透明なゼオライトドープポリマーおよびゼオライト単分子層の調製に関する。
共有結合した官能化アルコキシシラン誘導体によりゼオライト結晶の外部を覆うと、有機液体モノマー中へのナノゼオライト粒子の効率的な分散が可能となり、その後の共重合方法は、前記ゼオライトを含む、硬質の不溶性で透明な材料をもたらす。光学的性質、例えば、色、屈折率、アッベ数または光発色性等は、ゼオライト導入を簡単に変えることにより細かく調整することができ、その一方で、透明性が維持される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
無機粒子を有機マトリックス中に封入することは、規定の材料に新たな特徴を加えるための多目的方法の1つである。これらの新規な性質は、取りも直さず、電気通信における使用のための赤外プラスチック発光ダイオード等の装置、光データ記憶用の染料ナノ構造化材料の開発においてまたはポリマーの化学的、物理的性質の改善のために使用することができる。光学用途のためには、粒子は、透明性を維持しながらマトリックス中に挿入される。この目標を達成するためには、幾つかの要因の検討が必要である。光散乱は、粒径に大きく依存するので、凝集は避けなければならない。未被覆のゼオライトサンプルは、例えば、400nmの直径までの異なるサイズの特徴的なゼオライト凝集体(白斑)を示す。そのような凝集体は可視光散乱を生み出す。一方、被覆ゼオライトサンプルは、ポリマー構造のみを示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の目的は、新規な高度に透明なゼオライト−ポリマーハイブリッド材料、この調製のための簡単な方法、ならびに光学装置の作製におけるその使用を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、
ポリマーAに分散したゼオライト結晶を含み、
(i)ゼオライト結晶は、結晶内部に平行なチャンネルおよび/またはキャビティーを有し、および20〜7000nmの結晶長を有し、
(ii)ゼオライト結晶のチャンネルおよび/またはキャビティーは、ゲストの分子、クラスターまたはイオンを含み、
(iii)ゼオライト結晶は、重合性シランで表面被覆され、
(iv)ポリマーAは、透明な有機ポリマーである、
透明なゼオライト−ポリマーハイブリッド材料を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
好ましくは、ポリマーAは、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニル、ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリウレタンからなる群から選択される。
ポリマーAは、当業者に知られている方法により、それぞれのモノマーの一般的な重合方法により得ることができる。
ポリマーAまたはポリマーAを製造するための適当な出発生成物の例としては:
ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、例えばアリルジグリコールカーボネート、例えば、PPG社(PPG Industries,Inc.)からCR−39(登録商標)の商標で市販されているジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)等;
例えばポリウレタンプレポリマーおよびジアミン硬化剤との反応により調製されるポリ(尿素ウレタン)ポリマー、そのようなポリマーの1つの組成物は、PPG社からTRIVEX(登録商標)の商標で市販されている;
ポリオール(メタ)アクリロイル末端化カーボネートモノマー;ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー;エトキシレート化フェノールメタクリレートモノマー;ジイソプロペニルベンゼンモノマー;エトキシレート化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー;エチレングリコールビスメタクリレートモノマー;ポリ(エチレングリコール)ビスメタクリレートモノマー;ウレタンアクリレートモノマー;ポリ(エトキシレート化ビスフェノールAジメタクリレート);ポリ(酢酸ビニル);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(塩化ビニル);ポリ(塩化ビニリデン);ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリウレタン;ポリチオウレタン;熱可塑性ポリカーボネート、例えばビスフェノールAおよびホスゲンから誘導されるカーボネート結合樹脂等、そのような材料の1つは、LEXAN(登録商標)の商標で市販されている;ポリエステル、例えば、MYLAR(登録商標)の商標で市販されている材料等;ポリ(エチレンテレフタレート);ポリビニルブチラール;ポリ(メチルメタクリレート)、例えばPLEXIGLAS(登録商標)の商標で市販されている材料等、および多官能イソシアネートとポリチオールまたはポリエピスルフィドモノマーとの反応により調製されるポリマー、ポリチオール、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネートおよび場合によりエチレン系不飽和モノマーまたはハロゲン化芳香族含有ビニルモノマーのホモ重合または共重合および/または三元重合ポリマーが挙げられる。また、そのようなモノマーのコポリマーおよび言及されたポリマーと、例えばブロックコポリマーを形成するためのその他のポリマーとのコポリマーとのブレンドも考慮される。
【0005】
ジエチレングリコールビス−アリルカーボネートから作られるポリマーが特に好ましく、以後CR−39(登録商標)と称する。CR−39は、液体モノマーのジエチレングリコールビス−アリルカーボネートを、開始剤として3〜6w/w%のジベンゾイルペルオキシドと一緒に重合することにより得ることができる。2つのアリル基は、架橋重合して硬質の不溶性で透明な材料を与えることができる。
ポリマーAに分散したゼオライト結晶の量は、好ましくは、ハイブリッド材料の全容量に関して、0.1〜40容量%、例えば、0.5〜25容量%である。
【0006】
本発明において、ゼオライトは、遊離水酸基を含み、結晶の内側に、平行なチャンネルおよび/またはキャビティーを有し、20〜7000nm、好ましくは、30〜3000nmの結晶長を有するアルモ−シリケートと理解される。
ゼオライトLは、特に興味深い。ゼオライトLは、30〜7000nmの範囲の結晶長を有し、数十万の完全に平行なチャンネルを特徴とする円筒形状の多孔性アルミノケイ酸塩である。チャンネル開口部の直径は約0.7nmであり、最大自由直径は約1.3nmであり、ゼオライトLを、モノマー染料の超分子組織化のための理想的なホスト材料とするものである。
ゼオライトキャビティー内に導入されるゲスト種は周囲環境から保護されているが、それにもかかわらず、これらの光学特性をハイブリッド材料に提供する。例えば、光発色性および/または顕著な光ルミネセンス性は、有機化合物、特に、有機染料および顔料、例えばビフェニル、ターフェニル、クアテルフェニル、テトラセン、ペリレン、トリフェンジオキサジン、アクリジン、スチルベン、アゾベンゼン、オキサゾリルベンゼン、スチリルベンゼン、フルオレノン、イソビオラントロン、色指数ソルベントオレンジ63(C.I. Solvent Orange 63)、色指数ソルベントイエロー98、43、44(C.I. Solvent Yellow 98、43、44)、色指数ソルベントグリーン5(C.I. Solvent Green 5)、チオインジゴ化合物、およびスピロピラン、ナフトピラン、カロテノイド、カロテン、キサンテノフィル、フラビン、ピロニン、オキサジン、チオニン、レゾルフィン、メチルビオロゲン、カルボシアニンから誘導される有機化合物、またはハロゲン化銀、例えば塩化銀、硫化銀、二酸化チタン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、硫化鉛等の無機化合物のゼオライト中への挿入により達成することができる。
ゼオライトチャンネルにおける、TiO、SiO、SiN、AgS、PbS、Si−クラスター等の高屈折率(RI)成分の導入は、ポリマーAを基にした有機ガラスレンズのRIの増加につながる可能性がある。これらの結果は、レンズ、特殊ミラー、フィルター、偏光子、グリッド、光記憶装置、モニター、窓ガラス、フロートガラス等の光学装置を開発するための有望な方法を提供する。
【0007】
ゼオライト結晶におけるゲストの分子またはイオンの量は、未導入ゼオライトの重量に関して、好ましくは、3〜6重量%(M/M)である。10%までの導入が達成できる。
【0008】
また、本発明は、
(i)ゼオライト結晶に、ゲストの分子またはイオンを導入するステップ、
(ii)導入ゼオライト結晶の表面を重合性シランで被覆するステップ、
(iii)被覆ゼオライト結晶を、上で特定された液体モノマーに分散するステップ、および
(iv)重合性シランおよび液体モノマーを重合させて、前記ゼオライト結晶が分散されたポリマーAを形成するステップ
を含む、上述の透明なゼオライト−ポリマーハイブリッド材料の調製方法を提供する。
【0009】
ロシアの入れ子人形の原理の様に、本発明の一般的方法は、それ自身はポリマーAの内側に導入されている被覆されたゼオライト結晶の内側への光学的に活性な化合物(染料、高屈折率元素、大きいまたは負のアッベ数を与える元素)の挿入に基づくものである(図1)。さらに、そのようなマトリックスは、ゼオライトを保護して酸素および水の相互作用を防ぐ。したがって、キサンテン染料またはチオキサンテン等の不安定な染料でも、安定な材料の開発において使用することができる。
【0010】
ゼオライト結晶に所望のゲストの分子を導入する前に、ゼオライト対イオンを部分的または完全に置換することにより、環境条件、例えば、pH、対イオン、水または気体含有量等を調節することが特に好ましい。
したがって、固相酸性度は、ゼオライト対イオンを置換することにより調整することができる。
驚くべきことに、固相酸性度についてのNa>K>Cs系列における強力な調節効果は、Csイオンでの置換によりナトリウムゼオライトの強力な酸性度を緩衝することを可能にすることが分かった。酸感応性染料は、指示薬として役立つ可能性がある。
【0011】
ゼオライト粒子は、通常、液体モノマーにおいては低い分散安定性を有し、急速な沈降が引き起される。この欠点は、ゼオライト結晶の表面上の水酸基を、少なくとも1つの末端オレフィン二重結合を含むかまたは脱離基、例えば、ハロゲン化物もしくはアルコキシ等を含むシランで変性することにより解消することができることが分かった。以下はそのようなシランの例である。
トリビニルエトキシシラン:CHCHOSi(CH=CH
メタクリロキシメチルトリメトキシシラン:
【0012】
【化1】

【0013】
エトキシ(ジメチル)ビニルシラン:
【0014】
【化2】

【0015】
エトキシトリアリルシラン:
【0016】
【化3】

【0017】
ジメトキシメチルビニルシラン:
【0018】
【化4】

【0019】
ジエトキシメチルビニルシラン:
【0020】
【化5】

【0021】
3−(ジエトキシメチルシリル)プロピルメタクリレート:
【0022】
【化6】

【0023】
ビニルトリメトキシシラン:
【0024】
【化7】

【0025】
アリルトリメトキシシラン:
【0026】
【化8】

【0027】
トリエトキシビニルシラン:
【0028】
【化9】

【0029】
アリルトリエトキシシラン:
【0030】
【化10】

【0031】
トリアリルオキシビニルシラン:
【0032】
【化11】

【0033】
トリアセトキシ(ビニル)シラン:
【0034】
【化12】

【0035】
トリメトキシ(7−オクテン−1−イル)シラン:
【0036】
【化13】

【0037】
トリイソプロポキシビニルシラン:
【0038】
【化14】

【0039】
3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート:
【0040】
【化15】

【0041】
トリス(2−メトキシエトキシ)(ビニル)シラン:
【0042】
【化16】

【0043】
3−[トリス(2−メトキシエトキシ)シリル]プロピルメタクリレート:
【0044】
【化17】

【0045】
被覆材料として最も好ましいシランは、トリビニル−エトキシシランおよびメタクリロキシメチルトリメトキシシランであり、有利には、ゼオライトを被覆して、それをCR−39(登録商標)およびポリメチルメタクリレートの両方に導入するのに使用することができる。
【0046】
ゼオライトの表面全体を良好に被覆するために、導入ゼオライト結晶および重合性シランは、不活性有機溶剤、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、エーテルおよびエステル等において一緒にされ、10〜200℃、好ましくは、20〜150℃の温度で処理される。ゼオライト結晶に関して必要なシランの量は、ゼオライト材料の比表面積により推定することができる。大まかな指針では、0.5〜10のシランの単分子層に対応するには、2〜4mg/mが必要であると推定される。
【0047】
ポリマーAの高い透明性は、ゼオライトを導入しても維持されるべきである。その有機性により、ポリマーAを形成するための液体モノマーは、ゼオライト等の無機化合物を十分に可溶性にすることができない。前述の様に、シラン誘導体でのゼオライト表面変性は、凝集を減らし、液体モノマーにおけるゼオライトの分散性を改善する。前記シランは、外側領域においてゼオライト粒子に親有機性を付与し、その一方で、無機ホストチャンネルおよびキャビティーをそのままに維持する。
ゼオライト結晶に共有結合した被膜は、2つの役割を果す。第1に、それは結晶のさらに効率的な分散を可能にする、液体モノマーとの相互作用を増加させる。第2に、重合は、ミクロ相分離を全体に抑制する。結果として、被覆ゼオライトは、高度に透明なドープポリマーを生み出す。
【0048】
液体モノマーにおける被覆ゼオライト結晶の分散後、混合物は、それぞれの純粋なポリマーのために使用される通常の手順により重合される。この工程中に、重合性シランの(共)重合、ならびに液体モノマーの(共)重合が生起する。
【0049】
外側表面変性は、ゼオライトLの内側で見出される条件に影響を与えないので、これらのチャンネルおよび/またはキャビティーには、この工程前に、多様なゲスト種を導入することができる。ゲストの光学的特性、例えば、色、光発色性、アッベ数または屈折率等は、ハイブリッド材料の性質を調整するのに使用することができる。
【0050】
本発明のその他の実施形態は、予防策が講じられなければ可視光線を強力に散乱させる有機および無機ガラス等の基体上での透明な配向ゼオライト単分子層の調製である。この散乱現象は、単分子層が、例えばCR−39で被覆される場合に完全に消滅し、透明な、単一配向ゼオライト含有材料を生み出す。
【0051】
ゼオライト単分子層を構築するために、ガラス表面は、シラン誘導体、例えば、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等で化学的に活性化される。次いで、ゼオライトは、官能化ガラス表面上で水酸基を介して反応させられ、洗浄後に、緻密な単分子層をもたらす。これらは、上で特定された液体モノマーで最終的に覆われ、および硬化されて、ポリマーAで覆われた単一配向ゼオライト単分子層を含む透明な材料を生み出す。この実施形態において、ゼオライト表面の変性は、凝集体がポリマーで覆われる前にガラス板から洗浄されるので必要なく、ミクロ相分離は単分子層において大きな役割を演じることはない。
【0052】
その他の可能性は、メチル−2−シアノアクリレート等のシアノアクリレートのような高屈折率を持つ接着剤を使用することである。この接着剤は単分子層を覆い、ガラスまたは硬質ポリマーのその他のシートをその上に積み重ねることができる。接着剤は、アクリル、エポキシ、ポリウレタンの誘導体であることができる。
【0053】
チャンネルの寸法は、導入される染料の優先方向を強制するので、2つの異なる機能を考えることができる。WO02/36490A1に記載されている栓の原理を使用することにより、透明な単一方向性発光材料を得ることができる。適当な染料を選択することにより、全内部反射を生起させることができ、したがって、取り入れた光を、エネルギー転換のために材料の特定の場所に転送することができる。
【0054】
例えば、CR−39(登録商標)で覆われる前に測定された、キサンテン導入ゼオライトL単分子層のUV−Vis吸収スペクトルは、染料の特徴的吸収帯を示さず、光散乱が強過ぎて、サンプルを光学的に不透明にして測定を邪魔する。ポリマーで覆われた単分子層と比較した、CR−39、キサンテン導入ゼオライト単分子層およびガラス基体上でCR−39(登録商標)で覆われたキサンテン導入ゼオライト単分子層の吸収スペクトルの試験は、次の効果を証明する:ポリマーで覆われた単分子層のみが、580nm付近でキサンテン吸収帯を観察することを可能にする。
【0055】
(実施例)
円盤状ゼオライトを、Monatshefte fur Chemie 136、77−89(2005年)における手順により合成した。
ナノサイズゼオライトLおよびHostasol Red GGは、Clariant Produkte (Deutschland) GmbHから入手した。
【実施例1】
【0056】
内部酸性度を調節するためのゼオライト結晶の前処理
ナノゼオライトLの0.1gを、硝酸セシウムの10ml(1mmol/l)溶液に懸濁した。懸濁液を、60℃で12時間撹拌しながら放置した。遠心分離後、置換材料を脱イオン水で2度洗浄し、オーブンで、80℃で12時間乾燥した。
【実施例2】
【0057】
アルコキシシランでのゼオライト表面変性
トリビニルエトキシシラン(0.4ml)を、トルエン(4ml)におけるゼオライトL(0.100g)の懸濁液に添加した。混合物を、16時間、110℃で還流した。遠心分離後、残渣をトルエンで1度洗浄し、80℃で12時間乾燥した。
収率:測定可能量。
【実施例3】
【0058】
液体モノマーと表面変性ゼオライト結晶との共重合
液体モノマーのジエチレングリコールビスアリルカーボネートの1mlを、表面処理したナノサイズゼオライトL(実施例2)の1〜5%w/wを含むガラス型に添加した。30秒間渦巻き混合した後、混合物を、60℃で30分間超音波処理した。ジベンゾイルペルオキシド(0.030g)を添加し、混合物を、ゲル形成が起るまで、65℃で再度超音波処理した。サンプルを、80℃で48時間オーブンに放置した。
【実施例4】
【0059】
Hostasol(登録商標)Red GG導入ゼオライトLを伴うハイブリッド材料の調製
ゼオライトLナノ結晶を、これらにHostasol Red GGを導入する前に、初めに、実施例1の手順によりCsで置換した。有機染料を、気相吸着方法により挿入した。Hostasol Red GGの0.73mgを、ガラスアンプルにおけるゼオライトLの100mgに添加した。この混合物を、110℃で16時間、6×10−2mbarの圧力で乾燥した。次いで、アンプルを真空下で密閉し、回転オーブンにおいて、250℃で24時間挿入を行った。生成物を乾燥トルエンで洗浄して、ゼオライトの外側表面に吸着した染料を除去した。次いで、清浄な結晶の表面を、実施例2における上述の方法により、トリビニルエトキシシランで変性した。
乾燥され、導入され、変性された材料の60mgを微粉化して微粉末を得、トルエンの6mlに懸濁し、30分間超音波処理した。共重合工程のために、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートの1mlを懸濁液に添加した。トルエンを、65℃で、真空(6×10−2mbar)および超音波の下で蒸発させた。ジベンゾイルペルオキシドの0.030gを添加し、混合物を、ゲル形成が観察できるまで65℃で超音波処理した。次いで、サンプルを、オーブンで、80℃で48時間硬化させた。
【実施例5】
【0060】
オキソニン導入ゼオライトLを伴うハイブリッド材料の調製
ナノサイズゼオライトL結晶を、内部酸性度を減少させるために、初めにKで置換した。これは、実施例1において記載された方法と同様の方法において行われた。K置換ゼオライトLの300mgをフラスコに入れ、水の400mlにおいて懸濁した。オキソニン水溶液(c=6×10−5M)の3mlを添加した。懸濁液を90分間還流し、室温まで冷却し、遠心分離に掛けた。導入ゼオライトを、1−ブタノールで3度洗浄した。次いで、清浄な結晶の表面を、実施例2に記載された方法により、トリビニルエトキシシランで変性した。乾燥され、導入され、変性された材料の100mgを微粉末にし、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートの1mlに添加した。混合物を30秒間渦巻き混合し、60℃で30分間超音波処理した。ジベンゾイルペルオキシドの0.030gを添加し、混合物を、ゲル形成が観察できるまで65℃で超音波処理した。次いで、サンプルを、オーブンで、80℃で48時間硬化させた。
【実施例6】
【0061】
ポリマーAで被覆したゼオライト単分子層
ガラス板(直径2cm、幅2mm)を、カロー酸(過酸化水素と硫酸との混合物)において、3時間、110℃で洗浄し、脱イオン水で広範囲にリンスし、トルエン(10ml)を含むフラスコに入れた。次いで、3−クロロプロピルトリメトキシシラン(0.4ml)を添加し、混合物を、3時間、不活性雰囲気下で還流した。
トルエン(10ml)における円盤状ゼオライトL(15mg)の懸濁液を、20分間超音波処理した。次いで、ガラス板をゼオライト懸濁液に添加し、さらに30分間超音波処理した。ガラス板をトルエンにおいて数秒間超音波処理して、物理的に吸着したゼオライトを除去した。
調製された単分子層には、ゲストの化合物が新たに導入される。導入手順は、実施例4および5で記載されているものと同じである。
液体モノマーのジエチレングリコールビスアリルカーボネート(0.5ml)およびジベンゾイルペルオキシド(0.030g)の混合物を、溶液が粘稠になるまで約80℃で加熱した。ガラス板の1つの面をこの粘稠溶液で覆い、オーブンで48時間放置した。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の透明なゼオライト−ポリマーハイブリッド材料の処理過程の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーAに分散したゼオライト結晶を含み、
(i)ゼオライト結晶は、結晶内部に平行なチャンネルおよび/またはキャビティーを有し、および20から7000nmの結晶長を有し、
(ii)ゼオライト結晶のチャンネルおよび/またはキャビティーは、ゲストの分子、クラスターまたはイオンを含み、
(iii)ゼオライト結晶は、重合性シランで表面被覆されていて、
(iv)ポリマーAは、透明な有機ポリマーである、
透明なゼオライト−ポリマーハイブリッド材料。
【請求項2】
ポリマーAが、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニル、ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリウレタンからなる群から選択される、請求項1に記載のゼオライト−ポリマーハイブリッド材料。
【請求項3】
ポリマーAが、ジエチレングリコールビス−アリルカーボネートで作られている、請求項1または2に記載のゼオライト−ポリマーハイブリッド材料。
【請求項4】
ポリマーAに分散したゼオライト結晶の量が、ハイブリッド材料の全容量に関して、0.1から40容量%である、請求項1から3のいずれかに記載のゼオライト−ポリマーハイブリッド材料。
【請求項5】
ゲストの分子またはイオンが、有機染料、有機顔料、ハロゲン化銀、硫化銀、二酸化チタン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ素クラスターおよび硫化鉛からなる群から選択される、請求項1から4のいずれかに記載のゼオライト−ポリマーハイブリッド材料。
【請求項6】
重合性シランが、アルコキシおよびハロゲン化物からなる群からの少なくとも1つの脱離基を含むシランであり、および/または少なくとも1つの末端オレフィン二重結合を含む、請求項1から5のいずれかに記載のゼオライト−ポリマーハイブリッド材料。
【請求項7】
重合性シランが、トリビニル−エトキシシランまたはメタクリロキシメチル−トリメトキシシランである、請求項1から6のいずれかに記載のゼオライト−ポリマーハイブリッド材料。
【請求項8】
(i)ゼオライト結晶に、ゲストの分子、クラスターまたはイオンを導入するステップ、
(ii)導入ゼオライト結晶の表面を重合性シランで被覆するステップ、
(iii)被覆ゼオライト結晶を液体モノマーまたはオリゴマーに分散するステップ、および
(iv)重合性シランおよび液体モノマーまたはオリゴマーを重合させて、前記ゼオライト結晶が分散されたポリマーAを形成するステップ
を含む、請求項1から7のいずれかに記載の透明なゼオライト−ポリマーハイブリッド材料の調製方法。
【請求項9】
ゼオライト結晶に、ゲストの分子、クラスターまたはイオンを導入する前に、ゼオライトの対イオンが、アルカリカチオンで部分的にまたは完全に置換される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
レンズ、眼鏡、特殊ミラー、フィルター、偏光子、グリッド、光記憶装置、モニター、窓ガラス、フロートガラス等の光学装置を開発するための、または反射防止性もしくは光波長変換のために有機および無機表面を被覆するための、請求項1から7のいずれかに記載の透明なゼオライト−ポリマーハイブリッド材料の使用。

【図1】
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【公開番号】特開2008−13749(P2008−13749A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−129106(P2007−129106)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(501251079)ウニフェルシテット ベルン (3)
【出願人】(507336813)オプテイカル・アデイテイブス・ゲー・エム・ベーハー (1)
【Fターム(参考)】