説明

整髪料の製造方法及び整髪料

【課題】
本発明の課題は、鉱石中の成分を抽出して得られる水溶液を使用するだけで、髪を滑らかにするだけでなく、髪に艶とコシを与え、クセを改善させることができる整髪料及びその整髪料の製造方法を提供するものである。
【解決手段】
本発明は、バートガスタイン鉱石を水に浸漬し、バートガスタイン鉱石を浸漬させた水を加熱し、加熱した水からバートガスタイン鉱石をろ過することで、髪を滑らかにするだけでなく、クセのある髪を改善し、髪に艶とコシを与え、髪質を改善することができる整髪料を製造することができる。この効果は、鉱石中の成分を抽出して得られる水溶液を使用するだけで得られ、他の整髪料を使用したり、多くの化合物を整髪料に含有させる必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジウム鉱石中の成分を抽出して形成される整髪料及びその整髪料の製造方法及び整髪料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉱物を含有する整髪料が開発されている。例えば、鉱物を含有する整髪料としては、乳酸と、乳酸カルシウムと、アスコルビン酸と、鉱物を含む水とを含有するものがある(例えば、特許文献1参照)。この鉱物を含む水として、種々のミネラル分を含有するヌライフ(登録商標)が使用されている。この整髪料を使用することで、潤いと保湿性を髪に与え、髪を滑らかにすることができる。
【0003】
【特許文献1】特開平8−325134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような特許文献1によれば、髪を滑らかにするに留まるもので、髪にコシを与えたり、クセの改善させたりといった髪質を改善する効果はなく、これらの効果を得るためには、別の整髪料を使用したり、多くの化合物を含有させる必要がある。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑み、発明者の鋭意研究の結果、見出されたもので、鉱石中の成分を抽出して得られる水溶液を使用するだけで、髪を滑らかにするだけでなく、髪に艶とコシを与え、クセを改善させることができる整髪料及びその整髪料の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の整髪料の製造方法は、バートガスタイン鉱石を水に浸漬する工程と、前記バートガスタイン鉱石を浸漬させた水を加熱する工程と、加熱した水から前記バートガスタイン鉱石をろ過する工程とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の整髪料の製造方法によれば、バートガスタイン鉱石に含まれる成分を水に溶出させて整髪料を製造する。この整髪料を使用することで、髪を滑らかにするだけでなく、髪に艶とコシを与え、クセを改善させるといったように髪質を改善することができる。すなわち、本発明の製造方法により製造された整髪料を使用することで、多くの整髪料を使用することなく、髪質を改善させることができる。
【0008】
そして、本発明の整髪料は、水中に溶質として少なくともメタ珪酸と、カルシウムイオンと、亜鉛イオンと、リン酸イオンとを含有し、前記メタ珪酸の重量は、前記水中の溶質全体の重量に対して10%以上15%以下を満たし、前記カルシウムイオンの重量は、前記水中の溶質全体の重量に対して2%以上3%以下を満たし、前記亜鉛イオンの重量は、前記水中の溶質全体の重量に対して0.01%以上0.1%以下を満たし、前記リン酸イオンの重量は、前記水中の溶質全体の重量に対して0.01%以上0.1%以下を満たすことを特徴とする。これら物質は、バートガスタイン鉱石から抽出され、この成分を含有する整髪料を使用することで、髪を滑らかにするだけでなく、髪に艶とコシを与え、クセを改善させるといったように髪質を改善することができる。すなわち、本発明の製造方法により製造された整髪料を使用することで、多くの整髪料を使用することなく、髪質を改善させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の整髪料の製造方法及び整髪料は、使用することで、髪の水分量を増加させるだけでなく、髪にコシを与えたり、クセを改善させたりといったように髪質を改善することができる。すなわち、本発明の製造方法により製造された整髪料を使用することで、多くの整髪料を使用することなく、髪質を改善させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、頭皮又は髪に対して使用される整髪料又はその整髪料の製造方法である。この整髪料は、バートガスタイン鉱石を用いることで髪質を改善させることができる。本発明の整髪料の製造方法は、バートガスタイン鉱石を水に浸漬する工程と、バートガスタイン鉱石を浸漬させた水を加熱する工程と、加熱した水から前記バートガスタイン鉱石をろ過する工程とを有している。
【0011】
バートガスタイン(バートガシュタイン)鉱石は、ラジウム鉱石の一種で、学名でガイアライト鉱石と呼ばれている。このバートガスタイン鉱石は、オーストリアのバートガスタインで採掘されている。また、このバートガスタイン鉱石は、日本や台湾などでも採掘され、北投石とも呼ばれ、天然記念物に指定されている。
【0012】
バートガスタイン鉱石を含むラジウム鉱石は、ラジウムを含む鉱石で、ラジウムがアルファ崩壊することで、微量の放射線(アルファ線)を放出してラドンに変化する。このラドンもアルファ崩壊して別の元素に変化する。このような微量の放射線は、毛細血管が拡張して新陳代謝が向上し、その結果、免疫力や自然治癒力(ホメオスタシス)が向上すると考えられている。
【0013】
このバートガスタイン鉱石には、種々の成分が含有している。本発明は、このバートガスタイン鉱石を水に浸漬し、そのバートガスタイン鉱石を浸漬させた水を加熱することで、バートガスタイン鉱石の含有成分を水に抽出する。
【0014】
まず、水に浸漬する前、バートガスタイン鉱石は、所定の大きさに粉砕される。その大きさは、例えば直径が平均約3cm程度である。粉砕後のバートガスタイン鉱石の大きさは、特に限定されるものではないが、直径が10cmを超えると、後述するバートガスタイン鉱石中に含有する成分の抽出効率が低下してしまい、抽出に時間がかかってしまう。
【0015】
この粉砕したバートガスタイン鉱石を水に浸漬する。この水は、純水であることが好ましい。そして、バートガスタイン鉱石が浸漬した水は、所定の温度、所定の時間加熱される。この加熱により、バートガスタイン鉱石に含有する種々の成分を水に抽出することができる。
【0016】
加熱温度は、及び、加熱時間は、特に限定されるものではないが、バートガスタイン鉱石を浸漬した水が沸騰する程度、例えば100℃〜120℃程度の温度で、30分以上加熱することが好ましい。これにより、バートガスタイン鉱石中の成分を抽出することができる。
【0017】
バートガスタイン鉱石が浸漬した水を加熱することで、バートガスタイン鉱石中から少なくともメタ珪酸、カルシウムイオン、亜鉛イオン、リン酸イオンが抽出され、これら成分を含有する水溶液となる。また、この他に、カリウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン等が抽出される。
【0018】
バートガスタイン鉱石が浸漬した水の加熱後、水中に浸漬されているバートガスタイン鉱石をろ過により取り除く。これにより、バートガスタイン鉱石中の成分を抽出し、上述の成分を含有する整髪料を製造することができる。
【実施例】
【0019】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明の効果について説明する。
【0020】
[実施例1]整髪料の製造
本発明の整髪料は、以下のように製造される。まず、60gのバートガスタイン鉱石を直径が約3cm程度となるように金槌で粉砕した。粉砕したバートガスタイン鉱石は、2Lの純水に浸漬し、室温で72時間そのまま放置した。その後、バートガスタイン鉱石を浸漬させた純水を100℃にまで昇温し、30分間煮沸した。煮沸後、室温まで冷却し、純水中のバートガスタイン鉱石をろ過によって取り除き、整髪料を製造した。
【0021】
[実施例2]整髪料の使用
このように製造された整髪料を、数人の髪に数日間、適宜塗布してその効果を確認した。以下その結果を表1に示す。表1は、上述のように製造した整髪料を使用前と使用後とにおいて、各項目における髪の変化についてまとめたものである。
【0022】
【表1】

【0023】
表1中の評価について説明する。髪のコシは、整髪料を十分に乾燥させた後、使用前と使用後の髪の延びや切れにくさを被験者が髪をとかした実感で判断した。使用前に比べて、髪の延びや切れにくさを感じた場合、髪のコシが改善したとし、従来よりも切れやすくなった場合に悪化したとした。
【0024】
髪の艶は、整髪料の使用後に、整髪料を十分に乾燥させた後、使用前と使用後の髪の艶を被験者が目視により判断した。使用前に比べて、髪に艶が出たと判断した場合、髪の艶が改善したとし、使用前よりも艶がなくなりくすんだと判断した場合、悪化したとした。
【0025】
髪のクセは、整髪料の使用後に、整髪料を十分に乾燥させた後、使用前と使用後の髪のクセに付いて被験者が目視により判断した。使用前に比べて、髪のクセがなくなり、まとまりやすくなったと判断した場合、髪のクセが改善したとし、使用前よりもクセが出てしまった場合、悪化したとした。
【0026】
髪の滑らかさは、整髪料の使用後に、整髪料を十分に乾燥させた後、使用前と使用後の髪の水分量と指通りを被験者が髪をとかした実感で判断した。使用前に比べて、指が髪に引っかかることなく、髪にしっとりと水分を含んでいるような触感を得た場合、髪の滑らかさが改善したとし、使用前よりもこの触感が得られない場合、髪の滑らかさが悪化したとした。
【0027】
この結果、表1のように、本発明の方法で製造された整髪料は、適量髪に塗布することで、塗布した髪の水分量が増加し、指通りが良くなる。すなわち、整髪料を使用することで髪を滑らかにする。また、この整髪料の使用により、クセのある髪を改善し、髪に艶とコシを与えることがわかった。
【0028】
[実施例3]整髪料の成分
実施例1の通り製造された整髪料中に含まれる成分を定量した。その結果を表2に示す。また、その測定方法についても併記する。
【0029】
【表2】

【0030】
実施例1の通り製造された整髪料は、表2のとおり、メタ珪酸と、カルシウムイオンと、亜鉛イオンと、リン酸イオンとを含有している。そして、整髪料中の溶質全体の重量に対して、メタ珪酸の重量は13.11%、カルシウムイオンの重量は12.45%、亜鉛イオンの重量は0.01%、リン酸イオンの重量は0.01%であることがわかった。
【0031】
これらの成分が髪及び頭皮の細胞中に浸透することで、上述のように、髪を滑らかにするだけでなく、クセのある髪を改善し、髪にコシ髪質を改善することができたものと考えられる。
【0032】
そのほかの成分の重量としては、整髪料中の質量全体の重量に対して、カリウムイオンの重量が1.64%、ナトリウムイオンの重量が11.14%、マグネシウムイオンの重量が2.62%、アルミニウムイオンの重量が0.02%、銅イオンの重量が0.01%、塩化物イオンの重量が12.45%、硫酸イオンの重量が17.04%、炭酸水素イオンの重量が29.49%であることがわかった。これらの成分も上述のメタ珪酸、カルシウムイオン、亜鉛イオン、リン酸イオンとともに髪又は頭皮に作用し、髪質の改善に寄与するものと考えられる。
【0033】
以上のことから、本発明は、バートガスタイン鉱石を水に浸漬し、バートガスタイン鉱石を浸漬させた水を加熱し、加熱した水からバートガスタイン鉱石をろ過することで、髪を滑らかにするだけでなく、クセのある髪を改善し、髪に艶とコシを与え、髪質を改善することができる整髪料を製造することができる。
【0034】
この効果は、鉱石中の成分を抽出して得られる水溶液を使用するだけで得られ、他の整髪料を使用したり、多くの化合物を整髪料に含有させる必要がない。
【0035】
そして、この製造方法で製造される整髪料は、メタ珪酸と、カルシウムイオンと、亜鉛イオンと、リン酸イオンとを含有している。そして、メタ珪酸の重量は、前記水中の溶質全体の重量に対して10%以上15%以下を満たし、カルシウムイオンの重量は、前記水中の溶質全体の重量に対して2%以上3%以下を満たし、亜鉛イオンの重量は、前記水中の溶質全体の重量に対して0.01%以上0.1%以下を満たし、リン酸イオンの重量は、前記水中の溶質全体の重量に対して0.01%以上0.1%以下を満たす。したがって、このような成分を有する整髪料を使用することで、髪を滑らかにするだけでなく、クセのある髪を改善し、髪に艶とコシを与え、髪質を改善することができる。
【0036】
なお、本発明は、以上の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バートガスタイン鉱石を水に浸漬する工程と、
前記バートガスタイン鉱石を浸漬させた水を加熱する工程と、
加熱した水から前記バートガスタイン鉱石をろ過する工程とを有することを特徴とする整髪料の製造方法。
【請求項2】
前記バートガスタイン鉱石は、粉砕後、水に浸漬することを特徴とする請求項1記載の整髪料の製造方法。
【請求項3】
水中に溶質として少なくともメタ珪酸と、カルシウムイオンと、亜鉛イオンと、リン酸イオンとを含有し、
前記メタ珪酸の重量は、前記水中の溶質全体の重量に対して10%以上15%以下を満たし、
前記カルシウムイオンの重量は、前記水中の溶質全体の重量に対して2%以上3%以下を満たし、
前記亜鉛イオンの重量は、前記水中の溶質全体の重量に対して0.01%以上0.1%以下を満たし、
前記リン酸イオンの重量は、前記水中の溶質全体の重量に対して0.01%以上0.1%以下を満たすことを特徴とする整髪料。
【請求項4】
前記カルシウムイオン、前記メタ珪酸、前記亜鉛イオン、及び、前記リン酸イオンは、
バートガスタイン鉱石を水に浸漬した後、加熱することで得られる水溶液中に含有することを特徴とする整髪料。

【公開番号】特開2007−297341(P2007−297341A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127184(P2006−127184)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(506151073)有限会社アスリーツ (1)
【Fターム(参考)】