説明

整髪料

【課題】洗髪後にタオルドライ後の濡れた髪に使用する整髪料であって、毛髪スタイリング剤を毛髪に直接塗布する整髪料を提供すること。
【解決手段】
(a)毛髪スタイリング剤を含有し、水及び/又はエタノールを実質的に配合しないか又はその配合量が5質量%以下であることを特徴とする整髪料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は整髪用毛髪化粧料に関する。さらに詳しくは、洗髪後にタオルドライ後の濡れた髪に使用する整髪料であって、毛髪スタイリング剤を溶解したり分散したりする溶液成分のエタノール、水を配合しないか極端にその配合量を減少せしめた整髪料に関する発明である。
また、本発明は洗髪後にタオルドライ後の濡れた髪に使用するエアゾール式の整髪料であって、水及び/又はエタノールに溶解したセット剤樹脂粉末の原液をエアゾール缶に充填するのではなく、毛髪スタイリング剤粉末を特定の粉末状態で充填し、特定の粉末状態の毛髪スタイリング剤粉末が毛髪に直接スプレーされることを特徴とするパウダースプレー整髪料に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
整髪料とは、最終的に髪型を整えて毛髪をセットする場合に使用する毛髪化粧料である。すなわち、毛髪セットを行う乾いた髪に対して塗布する化粧料であって、多量のエタノールや水にスタイリング剤(例えば毛髪セット剤樹脂等)が溶解したヘアリキッドや、ジェル状のヘアジェルや、ペースト状やクリーム状のヘアワックス等の、液体状、ジェル状、ペースト状若しくはクリーム状の整髪料が一般的である。
【0003】
非特許文献1には、多量の水(69.0%)及びエタノール(15.0%)の混合液にセット剤樹脂を配合した原液を使用するエアゾールヘアスプレーのへアフォーム(p431、処方例1)や、多量のエタノール(92.6%)にセット剤樹脂を配合した原液を使用するヘアスプレー(p432、ヘアスプレー処方例)が記載されている。このように、整髪料としては、多量のエタノールや水を原液として配合するエアゾールタイプの整髪料が周知である。
【0004】
特許文献1には、球状粉体シリコーンと、モノ若しくはポリグリセリン又はその誘導体とを含有し、毛髪セット力の向上を目的とする、エアゾールスプレーに使用可能な毛髪用化粧料が開示されている。その実施例12にはヘアスプレーの例があり、その原液にはエタノールが92質量%以上も多量に配合されている。また、実施例13には、エアゾール式のヘアフォームの例があり、当該その原液にはエタノールが実に93質量%以上も多量に配合されている。
【0005】
また、特許文献2には、(a)融点20〜50℃のロウ類及び油脂類から選ばれる1種又は2種以上と(b)アルキル変性シリコーンとを含有し、エアゾールスプレーに使用可能な整髪剤組成物が開示されている。そして、その実施例11にはエアゾールフォームの例があり、その原液にはエタノールが20質量%と水が61.8質量%と多量に配合されている。
【0006】
また、特許文献3には、球状粉体シリコーンと、モノ若しくはポリグリセリン又はその誘導体とを含有し、毛髪セット力の向上を目的とする毛髪用化粧料が開示されている。その実施例7にはヘアジェルの例があり、エタノールが20質量%と水が65質量%以上も多量に配合されている。また、実施例10にはヘアワックスの例があり、当該ヘアワックスには水が65質量%以上も多量に配合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−191452号公報
【特許文献2】特開2007−169230号公報
【特許文献3】特開2000−191452号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】編者 光井武夫、「新化粧品学(第2版)」、南山堂、2009年3月20日 第5刷、P453−459
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した如く、従来の整髪料(ヘアスタイリング製品)には溶液状からクリーム状、パウダースプレーの製品があり、低粘度から高粘度の剤型の整髪料が存在しているが、水やアルコール、ワックス等を多量に含んでいるため、例えば洗髪後の濡れた髪へ使用すると乾きにくくセット力が低下する。
本発明の整髪料は、従来の乾いた髪に使用する(例えば洗髪後であればタオルドライし、ヘアドライヤー等で乾燥させた髪に使用する)という前提条件を覆す整髪料である。
本発明の整髪料は、水やエタノールを多量にしない(或いは全く使用しない)整髪料であって、濡れた髪に対して粉末状態の毛髪スタイリング剤を毛髪に直接塗布することによって、適度にちょうど良いセット力を発揮するものである。
【0010】
本発明は、従来の整髪料の概念とは異なる水やアルコールを含有しないか又は僅かに含有する整髪料であって、主に濡れた髪に対してセットを行う整髪料を提供することを目的とする。
また、濡れた髪のみならず、乾いた髪に対しても使用でき、例えば、手のひらの上で本発明の整髪用組成物と水とを混合してなじませから、これを髪に塗布することにより適度な整髪を可能とする新規な整髪料を提供することを目的とする。
さらに、従来の整髪料に多量に配合されていた水やエタノールを基本的に配合しないことにより、整髪料の配合成分を少なくし、また、その容器サイズを極端にコンパクトにすることが可能な整髪料を提供することを目的とするものである。
また本発明は、原液に水及び/又はエタノールを含有しないか又は僅かに含有する整髪料であって、セット剤樹脂が水及び/又は特定粒径の粉末としてエアゾール缶に充填され、主に濡れた髪に対して、直接セット剤樹脂の粉末を噴射してセットを行う整髪料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、(a)毛髪スタイリング剤を含有し、水及び/又はエタノールを実質的に配合しないか又はその配合量が5質量%以下であることを特徴とする整髪料である。
また、本発明は、前記(a)毛髪スタイリング剤が、粒径が75μm以下の粉末状であることを特徴とする整髪料である。
さらに、本発明は、前記整髪料を、エアゾール缶に充填したことを特徴とする整髪用エアゾールヘアスプレーである。
【発明の効果】
【0012】
(1)本発明は、適度に濡れた髪に対して、そのまま使用することによって、ちょうど良いセット力を発揮する整髪料である。例えば、洗髪後であっても、タオルドライ後の乾燥していない髪に対して直ちに使用することが可能であり、優れた整髪力を発揮する。
(2)本発明の整髪料を、エアゾールヘアスプレーとした場合には、エアゾールの原液に水及び/又はエタノールが配合されていないかその配合量が極めて少ないので、例えば洗髪後の濡れた髪へ使用した場合に、乾きにくくセット力が低下するという問題点がない。
(3)本発明の整髪料を、エアゾールヘアスプレーとした場合には、通常エアゾールヘアスプレーの原液として多量に使用する水及び/又はエタノールなどの溶媒を使用しないため、これらの成分を節約できると同時に、容器を極めてコンパクトに出来るという利点を有する。
(4)本発明の整髪料を、エアゾールヘアスプレーとした場合には、手軽に毛髪のセットが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<毛髪スタイリング剤>
本発明において毛髪スタイリング剤は、整髪(毛髪のセット)を行うための主剤である。最も好ましい毛髪スタイリング剤は毛髪セット剤樹脂である。
本発明に用いる毛髪セット剤樹脂は特に限定されず、通常、整髪料に毛髪セット剤樹脂として使用される成分であれば使用できる。
例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体、ビニルピロリドン・メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル・アクリル酸ステアリル・ジアクリル酸トリプロピレングリコール共重合体、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、N,N−ジメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)アミンN−オキシド・メタクリル酸アルキル共重合体など等の毛髪セット剤樹脂が挙げられる。ポリビニルピロリドンが特に好ましい。市販品としては、PVP K−30(アイエスピー・ジャパン株式会社)、PVP/VA S−630(化成品商事会社)、カーボポール980(日光ケミカルズ株式会社)、カーボポール981(日光ケミカルズ株式会社)、シンタレンL(3V SIGMA)、シンタレンK(3V SIGMA)、PEMULEN TR−1(B.F.Goodrich Chemical Company)、PEMULEN TR−2(B.F.Goodrich Chemical Company)、CGポリマー(HV)(大阪有機化学工業株式会社)、ポリマーJR−400(ユニオン・カーバイド日本株式会社)、カチナールPC−100(東邦化学工業株式会社)、ケルトロール(ケルコ社)、ケルトロールT(ケルコ社)、ノムコートZZ(日清オイリオグループ株式会社)、NATROSOL 250HHR(Hercules Inc.)、SUpolymer G−1(東邦化学工業株式会社)、ユカフォーマー WPS(三菱化学株式会社)、ユカフォーマー R−205S(三菱化学株式会社)、ユカフォーマー 104D(三菱化学株式会社)、ユカフォーマー301(三菱化学株式会社)、RAMレジン−4000(大阪有機化学工業株式会社)、プラスサイズL−9909B(互応化学工業株式会社)、PDMポリマー(PF)(大阪有機化学工業株式会社)、アコーンM脱臭品(大阪有機化学工業株式会社)、ダイヤフォーマー Z−772(三菱化学株式会社)などが好ましく使用される。
【0014】
また、上記の毛髪セット剤樹脂が水またはエタノールに溶解している場合には、溶媒を飛ばし乾燥させてから用いることができる。乾燥した毛髪セット剤を、乳鉢等の粉砕機により粉砕して用いることが好ましい。
【0015】
一方、本発明において用いる毛髪セット剤樹脂以外の毛髪スタイリング剤としては、糖、糖アルコール、エリスリトール、果糖、ソルビトール、スクロース、マルチトール、トレハロース、グルコース、ポリエチレングリコール等が好ましい。
本発明におけるポリエチレングリコールの市販品としてはポリエチレングリコール20000(以下PEG−20000)(三洋化成工業株式会社)、ポリエチレングリコール11000(日油株式会社)、ポリエチレングリコール6000(三洋化成工業株式会社)、ポリエチレングリコール4000(以下PEG−4000)(東邦化学工業株式会社)、などが好ましく使用される。
本発明においては、これらの毛髪スタイリング剤を乳鉢等の粉砕機により粉砕して用いることが好ましい。
特定粒径の粉末状態にしてエアゾールスプレーから毛髪に噴射可能であり、仮に毛髪セット剤樹脂が配合されていなくても、優れた整髪力を発揮する。
【0016】
<配合量>
毛髪スタイリング剤の配合量は、化粧料全量に対して、80〜100質量%である。
エアゾール缶に充填して用いる場合には、毛髪スタイリング剤の配合量は、エアゾール缶に充填する整髪用組成物全量に対して(原液全量に対してであり、噴射剤は含まない)、80〜100質量%が好ましく、最も好ましくは90〜100質量%である。
【0017】
<粒径が75μm以下の毛髪スタイリング剤粉末の調製方法>
本発明においては、エアゾール缶に充填する場合には、毛髪スタイリング剤を含む原液は、基本的に水及び/又はエタノールには溶解させない。
そして、エアゾール缶に充填する毛髪スタイリング剤は75μm以下の粉末であることが好ましい。
なぜなら、75μmよりも大きな粒径では、通常の口径及び内圧(バルブ口径0.4〜0.6mm、噴射剤の初期内圧が20℃で0.18〜0.4MPa程度)を有するエアゾールへアスプレーでは容易に目詰まりを起し、粉末状態の毛髪スタイリング剤粉末を噴射できないからである。この事実は本発明者等により見出され、75μmの粒径は、度重なるエアゾールヘアスプレーの目詰まり実験により実証された本発明に特有の数値である。
粒径を75μm以下に調製する具体的方法は、粉末セット剤樹脂を75μm角の穴(目)を有するメッシュでふるいにかけて、この目を通り抜ける粉末のみを、本発明に使用する。特に75μm以下近辺の微粒子(40〜75μm)が特に好ましい。
なお、毛髪スタイリング剤粉末の粒径の下限値は、0.1μm程度が好ましく、本発明においては、少なくとも1〜75μmの毛髪スタイリング剤粉末を使用することが好ましい。
【0018】
<水及び/又はエタノール>
水及び/又はエタノールの配合量は、整髪料全量に対して(エアゾールの場合は原液全量に対してであり噴射剤は含まない)、5質量%以下としなければならない。水を配合する場合、エタノールを配合する場合、水とエタノールを任意に割合で混合する場合の全ての場合において、整髪料に対して5質量%以下とすることが、本発明の必須要件である。
また、分散している毛髪スタイリング剤の粉末が凝縮したりすることも防止できるので、目詰まり防止の観点から、水及び/又はエタノールを配合しない方が好ましい。
基本的には、水及び/又はエタノールは実質的に配合しない方が好ましいが、コンセプト原料として配合しなくてはならない場合もあるので、その場合の配合量は、整髪料全量に対して少なくとも5質量%以下としなければならないということである。
なお、従来の整髪料には、極めて多量の水、エタノール、ワックス等が配合されており、本発明の配合量の上限である5質量%又は無配合とはかなりかけ離れた量が配合されていることは、上述の「背景技術」で述べた通りである。
【0019】
本発明の整髪料には、上記必須成分の他に、本発明の効果を損なわない限り、通常毛髪化粧料に配合可能な成分、例えば、粉末、その他の油分、界面活性剤、水溶性高分子、キレート剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、ビタミンなどの薬剤、香料等を添加することが出来る。
【0020】
本発明の整髪料を、予め粉末状にして容器に充填する場合でも、使用時に粉末化する装置(ミルや、やすり状の粉砕器具)を使用して粉末状にする場合でも、どちらの場合であっても好都合である。
本発明の整髪料は、洗髪後にタオルドライ後の濡れた髪に対して、ふりかけるように塗布して用いることもできる。
【0021】
本発の整髪料を、エアゾールヘアスプレーとする場合には、上記の整髪料からなる原液(エアゾール中味成分である原液)と任意の噴射剤とを常法によりエアゾール缶に充填して製造される。噴射剤ガスとしては特に制限されないが、液化石油ガス(LPG)が好ましい。
液化石油ガスの充填量は、原液及び噴射剤ガスの合計量中、通常、40〜60質量%に調製される。通常のエアゾールヘアスプレーでは、初期内圧が20℃で低い液化石油ガスを使用すると、詰まり現象が生じ易く、また、霧の粒径が大きくなったり、噴射パターンが狭くなったりするといった霧質悪化現象が予想される。しかしながら、本発明においては、液化石油ガスの充填量を85質量%以上として上記必須成分を配合することによりこれらの現象を解決することが出来る。
本発明においては、液化石油ガスの充填量は、原液及び噴射剤ガスの合計量中、90〜99質量%に調製されることが好ましい。
また、本発明に用いるエアゾール噴射剤は、初期内圧が20℃で0.15〜0.40MPa程度に調製される。
【0022】
本発明の整髪用エアゾールヘアスプレーは、整髪用ヘアスプレーとして、水及び/又はエタノールを含まないか含む場合であっても僅かな配合量であるので、洗髪後にタオルドライ後の濡れた髪に対して好適に使用して整髪が可能である。
【実施例】
【0023】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0024】
以下の「表1」に示す配合処方によってエアゾールヘアスプレーを調製した。
(a)粒径が75μm以下の毛髪スタイリング剤の粉末は、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、PEG4000、エリスリトール、マルチトールの4種を使用した。
先ず、PEG4000についてはフレーク状または粉末状であり、また、エリスリトールは比較的大きな粒状であったため乳鉢で粉砕した。ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、マルチトールは、既に微細な粉末状態であったので乳鉢での粉砕は省略した。
ペレット状や砂糖のような粒子の大きいものにおいては、75μm以下のメッシュが通るくらいにまで、乳鉢等を使用して、粒を細かくする。その後、メッシュを通すことにより、75μm以下の粒径に揃える必要があるからである。
ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、PEG4000、マルチトール、エリスリトールの4種の粉末を、メッシュを通してふるいにかけることにより、粒径が75μm以下の粉末を調製し、パウダースプレーの原液を調製した。なお、水又はエタノールを配合した原液も調製した。
この原液をエアゾール缶に充填し、弁をした。次いで、所定の液化石油ガス(LPG)を充填し、エアゾールヘアスプレーを得た。
これらを試料として、「粉末の分散状態」すなわち(a)粒径が75μm以下の毛髪スタイリング剤の粉末の分散状態と、「噴出詰まり状態」すなわち噴射した場合の詰まりの状態を観察した。同時に、実使用試験によって濡れた髪に対する毛髪セット力を評価した。
最初に、評価方法について説明する。
【0025】
<粉末の分散状態の評価方法>
目視により、粉末の分散状態を評価した。
「判定」
分散:均一に分散している状態
一部分散:一部が分散し、一部が凝集している状態
非分散:均一に分散せず、凝集している場合
【0026】
<噴出詰まり状態の評価方法>
上記で調製したエアゾールヘアスプレー3本を試料として噴射した。以下の如く判定した。
「判定」
詰まらない:30gの試料(原液とLPG含む)を含むエアゾールヘアスプレー1本を使いきるまで詰まらないもの
すぐ詰まる:30gの試料(原液とLPG含む)を含むエアゾールヘアスプレーを使いきる前に詰まってしまうもの
【0027】
<濡れた髪に対する毛髪セット力の評価方法>
パネラー(2名)により実使用試験を行って、洗髪後に軽くタオルドライし濡れた髪に対して塗布し、毛髪セット力を評価した。
「判定」
A:タオルドライ後の濡れた髪に対して、パネラー(2名全員)が希望する毛髪のセットが十分容易にできた。
B:タオルドライ後の濡れた髪に対して、パネラー(2名全員)が希望する毛髪のセットが容易にできた。
C:タオルドライ後の濡れた髪に対して、パネラー(2名全員)が希望する毛髪のセットができなかった。
【0028】
【表1】

【0029】
*1:ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体
PVP/VA S−630(化成品商事株式会社製)
【0030】
「表1」の結果から、本発明のエアゾールヘアスプレーは、粉末の分散状態も良く、噴出詰まり状態も詰まりがなく安定したエアゾールヘアスプレーであった。
【0031】
以下に本発明のパウダースプレーと、これを利用した整髪用エアゾールヘアスプレーのその他の実施例を挙げる。いずれの実施例も、洗髪後にタオルドライし適度に濡れた髪に対して、優れた整髪力を有する整髪料である。
【0032】
実施例5:エアゾールヘアスプレー
配合成分 質量%
(a)ポリビニルピロリドン 3
(a)PEG20000 3
カルシウムステアレート 0.1
香料 0.01
LPG(0.18MPa) 残量
<製造方法>
ポリビニルピロリドン及びPEG20000からなる粉末成分は、粒径を75μm以下に調製して使用する。その後、これら粉末や香料を混合して、これらの原液とLPGをエアゾール缶に充填する。
【0033】
実施例6:エアゾールヘアスプレー
配合成分 質量%
(a)ポリビニルピロリドン 3
(a)マルチトール 3
球状ポリエチレン粉末 0.5
(HFP−EZ−9DV:日本ピグメント株式会社製) 0.5
デンプン 0.5
カルシウムステアレート 0.1
香料 0.01
LPG(0.18MPa) 残量
<製造方法>
ポリビニルピロリドン及びマルチトールからなる粉末成分は、粒径を75μm以下に調製して使用する。その後、球状ポリエチレン粉末これら粉末と香料を混合して、これらの原液とLPGをエアゾール缶に充填する。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、濡れた髪に使用することによって、適度にちょうど良いセット力を発揮する整髪料を提供できる。例えば、洗髪後であっても、タオルドライ後の乾燥していない髪に対して直ぐに使用することが出来て、優れた整髪力を発揮する。
また、本発明の整髪料をエアゾール缶に充填して、ヘアスプレーとして用いることで、優れた整髪力を発揮する。
以上から本発明の新規な整髪料は産業上の利用可能性が極めて高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)毛髪スタイリング剤を含有し、水及び/又はエタノールを実質的に配合しないか又はその配合量が5質量%以下であることを特徴とする整髪料。
【請求項2】
(a)毛髪スタイリング剤が、粒径が75μm以下の粉末状であることを特徴とする請求項1記載の整髪料。
【請求項3】
請求項1又は2記載の整髪料を、エアゾール缶に充填したことを特徴とする整髪用エアゾールヘアスプレー。

【公開番号】特開2011−213623(P2011−213623A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81626(P2010−81626)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】