説明

整髪用化粧料

【課題】 水性系で低粘度でありながら整髪力および再整髪力に優れ、しかも、べたつきがなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れる整髪用化粧料を提供する。
【解決手段】 糖アルコール、ポリアルキレングリコール、及びそれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上を3〜30質量%含有する化粧料であって、傾斜式ボールタック試験(傾斜角10度、25℃、湿度50%)におけるボールナンバーが1〜30の粘着性を有し、かつ粘度が100mPa・s以下(25℃、B型粘度計)であることを特徴とする整髪用化粧料の調整方法。
【効果】 整髪力および再整髪力に優れ、しかも、べたつきがなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れた、霧状に噴霧して用いるのに適した整髪用化粧料が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は整髪用化粧料に関する。さらに詳しくは、低粘度でありながら整髪力および再整髪力に優れ、しかも、べたつきがなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れる整髪用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、整髪用化粧料においては、スタイリングのために毛髪固定用高分子、皮膜形成性高分子等の毛髪セット樹脂を配合している。しかし毛髪セット樹脂は、ごわつき、皮膜の非均一性、高湿度下におけるスタイリング保持力低下をもたらす等の不具合がある。そこでこの不具合を解消するために、種々の対応策が採られてきた。
【0003】
例えば特開2007−217314号公報(特許文献1)には、毛髪固定用高分子化合物、多価アルコール、一価のアルコール、および噴射剤をそれぞれ特定量配合した霧状粉末化粧料が、再整髪性に優れ、べたつき感がなく、自然な艶感を有するということが記載されている。
【0004】
特開平11−100312号公報(特許文献2)には、特定の低粘度ポリエーテル化合物と、高分子樹脂化合物をそれぞれ特定量配合した毛髪化粧料が、整髪力および整髪キープ力を有し、べたつき、ごわつきがなく、ドライ後でも手ぐし等で再整髪可能であるということが記載されている。
【0005】
特開平3−261713号公報(特許文献3)には、特定のポリオキシアルキレン系化合物および/またはポリオキシアルキレンアルキルグリコシドと、毛髪固定用高分子化合物と、高分子量のポリエチレングリコール(分子量6,000〜30,000)を配合した毛髪化粧料が、整髪性、平滑性(滑らかさ)を有するということが記載されている。
【0006】
特開2002−167317号公報(特許文献4)には、両性高分子、糖アルコール、糖アルコール誘導体(例えば糖アルコールのポリオキシアルキレン付加物など)を配合した毛髪化粧料組成物が、整髪力、セット保持力を有し、べたつき感やごわつき感がないということが記載されている。
【0007】
特表2004−505902号公報(特許文献5)には、特定の水溶性ポリアルキレングリコールと皮膜形成ポリマーを特定の比率で配合し、さらに液体キャリアを配合したヘアケ組成物が、再スタイリング性、感触に優れるということが記載されている。
【0008】
しかし上記公報には、特に水系で低粘度の整髪用化粧料において整髪力と再整髪力をともに十分に満足し得る程度に得るということ、およびそれに加えてさらに、べたつき感がなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れるという効果を奏する整髪用化粧料を得るという目的や課題についての記載・示唆がない。粘度の低い水系の整髪用化粧料においては、セット力とアレンジ力の両立は特に難しい。そのため、十分なセット力およびアレンジ力を併せ持ち、しかも良好な使用感を有する水系低粘度の整髪用化粧料の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−217314号公報
【特許文献2】特開平11−100312号公報
【特許文献3】特開平3−261713号公報
【特許文献4】特開2002−167317号公報
【特許文献5】特表2004−505902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記従来の事情に鑑みてなされたもので、水性系で低粘度でありながら整髪力および再整髪力に優れ、しかも、べたつきがなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れる整髪用化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち本発明は、(a)糖アルコール及び/又はポリアルキレングリコール誘導体を3〜30質量%含有する化粧料であって、傾斜式ボールタック試験(傾斜角10度、25℃)におけるボールナンバーが1〜30の粘着性を有し、かつ粘度が100mPa・s以下(25℃、B型粘度計)であることを特徴とする整髪用化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の整髪用化粧料は、糖アルコール、ポリアルキレングリコール、及びそれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上という特定の成分を所定量配合し、なおかつ特定の粘着性及び粘度を有するため、特に霧状に噴霧して使用するのに適していると同時に、優れた整髪力及び再整髪力を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ボールタック試験のための装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の整髪用化粧料は、糖アルコール、ポリアルキレングリコール、及びそれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上(成分a)を必須成分として含有している。
【0015】
本発明で用いられる糖アルコールは、糖類のカルボニル基を還元して得られる多価アルコールである。具体的には、マルチトール(「マルビット」;物産フードサイエンス(株)製)、ソルビトール(「ソルビトールC」;物産フードサイエンス(株)製)、リビトール、マンニトール、アラビトール、ガラクチトール、キシリトール、エリトリトール、イノシトール等を例示することができる。
また本発明では、糖アルコールの誘導体を用いることもできる。例えばPOE・POP付加(オレイン酸ポリオキシエチレンソルビット「レオドール430V」:花王株式会社、ポリオキシプロピレンソルビット「ユニオールHS−1600D」:日油株式会社)、アルキル基付加、カチオン化、アニオン化、シリル化類などを例示することができる。
中でもべたつき、ごわつきのなさ等の点からソルビトール、マルチトールが好ましく用いられる。
【0016】
本発明で用いられるポリアルキレングリコール、およびその誘導体としては、エチレンオキシド(EO)構成単位が重合したEO重合体、プロピレンオキシド(PO)構成単位が重合したPO重合体、ブチレンオキシド(BO)構成単位が重合したBO重合体、あるいは上記の構成単位が共重合した各共重合体等が好適例として挙げられる。特にはEO重合体、EO構成単位とPO構成単位を含むEO・PO共重合体、EO構成単位とBO構成単位を含むEO・BO共重合体等が好ましい。共重合の形式は特に限定されるものでなく、ブロック共重合、グラフト共重合、ランダム共重合等、任意である。
【0017】
本発明で用いられるポリアルキレングリコール類は市販のものを利用することができ、例えば、EO付加重合体:PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1540、PEG2000、PEG4000、PEG6000、PEG11000、PEG20000(日油株式会社または東邦化学社)PO付加重合体:ユニオールD−700、ユニオールD−1000、ユニオールD−1200、ユニオールD−2000(以上日油株式会社)などを挙げることができる。
本発明で用いられるポリアルキレングリコール類は限定されないが、それらの中でもポリエチレングリコールが最適である。
【0018】
本発明で用いられるポリアルキレングリコール誘導体は、下記の整髪油分などを包含する。整髪油分とは、一価〜四価のアルコール、または一価〜三価のカルボン酸のEO/PO付加体を意味する。市販のものを利用することができ、例えば、ユニルーブ50 MB 168、ユニルーブMB370、トリオールG−40、サボンドールSGP−7、サボンドールGP−9(以上日油株式会社)などを挙げることができる。
【0019】
本発明の化粧料における糖アルコール、ポリアルキレングリコール、及び/又はそれらの誘導体(成分a)の配合量は3〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%である。配合量が3質量%より少ないと所望の効果が得られない場合があり、30質量%を越えて配合するとべたつきやゴワツキを生ずる場合がある。
【0020】
本発明の整髪用化粧料は、化粧料中の溶媒が揮発することにより粘着性が発現し、所定の粘着性を有することが必要である。本明細書においては、化粧料の粘着性を、JIS Z 0237に準じたボールタック試験により特定する。
ボールタック試験とは、図1に示すような測定装置を用いて測定する粘着性の試験方法である。具体的には、被測定試料(粘着性物質)を図1の測定装置の傾斜面に配置し傾斜面の頂部から10cmの部分までを非粘着性のシートで被覆して助走路とし、所定の材質及び大きさのボールを傾斜面の頂部から転がしたとき、粘着面上のいずれかの位置において停止したボールのうち、最大の大きさのボールのナンバーで粘着性を特定する。
【0021】
本発明の整髪用化粧料は、該化粧料を用いて0.1mmの厚みの皮膜を形成させ、25℃・湿度50%にて1日乾燥させた後、図1に示した測定装置における傾斜面の傾斜角を10度とし、25℃・湿度50%にておいて、JIS Z 0237に準じたボールタック試験によって、該皮膜を測定した場合のボールナンバーが1〜30、より好ましくは3〜25である粘着性を有する。再整髪力を発揮するためには、この範囲の粘着性が好ましい。
ボールナンバー1が停止しないほど低い粘着性では再整髪力が不足し、ボールナンバー30より大きなボールが停止するほど大きな粘着性では毛髪にべたつきが生じてしまう。
【0022】
更に、本発明の整髪用化粧料は、毛髪への塗布時に速やかに粘着性を生じさせ、組成物の溶媒が揮発することにより粘着性が出るために、25℃でB型粘度計で測定したときの粘度が100mPa・s以下であることが必要である。また、霧状に噴霧することにより本発明の効果を発揮する。粘度が100mPa・sより大きいと、霧状に噴霧するのに適さなくなる場合があり、例えば噴霧装置のノズルに詰まる等の問題を生ずる場合がある。
【0023】
本発明の整髪用化粧料は、前記成分(a)に加えて、毛髪セット樹脂を含有するのが好ましい。毛髪セット樹脂を配合することにより耐湿性が向上する。
本発明の化粧料に配合されうる毛髪セット樹脂とは、セット剤又はセット樹脂等とも呼ばれるアニオン性、カチオン性、両性、ノニオン性の皮膜形成高分子であり、従来からヘアスタイリング剤に配合されているものでよい。具体例としては、以下のようなものを挙げることができる。
【0024】
アクリル系及びビニル系毛髪セット樹脂:
アニオン性のものとして、アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミド共重合体(プラスサイズL−53P、プラスサイズL−9909B、プラスサイズL−9948B等(いずれも互応化学工業株式会社製))、アクリル酸アルキル・オクチルアクリルアミド共重合体(Dermacryl 79(日本エヌエスシー株式会社製))、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール−25・ジメチコン・アクリレーツ共重合体(ルビフレックスSILK(BASF社製))、アクリル酸・アクリル酸アミド・アクリル酸エチル共重合体(ウルトラホールド8、ウルトラホールドStrong(BASF社製))、アクリル酸アルキル共重合体(アニセットNF−1000,アニセットHS−3000など(大阪有機化学工業株式会社製))等。
【0025】
両性毛髪セット樹脂:
アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピルプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER SH30、AMPHOMER LV−71(日本エヌエスシー株式会社製))、メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(ユカフォーマーR205、ユカフォーマー301、ユカフォーマーSM、ユカフォーマー104Dなど(三菱化学株式会社製)、RAMレジン−1000、RAMレジン−2000、RAMレジン−3000、RAMレジン−4000(大阪有機化学工業株式会社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(マーコート280、マーコート295(ナルコ社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸共重合体(マーコートプラス3330、マーコートプラス3331(ナルコ社製))等。
【0026】
カチオン性毛髪セット樹脂:
ビニルピロリドン・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体ジエチル硫酸塩(H.C.ポリマー1S(M)、H.C.ポリマー2(大阪有機化学工業株式会社製)、ガフコート755N(ISP社製))、ビニルピロリドン・ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体(スタイリーゼW−20(ISP社製))、ビニルピロリドン・メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル・アクリル酸アルキル・ジアクリル酸トリプロピレングリコール共重合体(コスカットGA467,コスカットGA468(大阪有機化学工業株式会社製)、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム(マーコート100(ナルコ社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(マーコート550(ナルコ社製))、塩化トリメチルアミノプロピルアクリルアミド・ジメチルアクリルアミド共重合体等。
【0027】
ノニオン性毛髪セット樹脂:
ポリビニルピロリドン(ルビスコールK17、ルビスコールK30、ルビスコールK90(BASF社製)、PVP K(ISP社製))、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(PVP/VA S−630、PVP/VA E−735、PVP/VA E−335(以上ISP社製)、ルビスコールVA73W、ルビスコール37E(以上BASF社製)、PVA−6450(大阪有機化学工業株式会社製))、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体(ガントレッツA−425、ガントレッツES−225、ガントレッツES−335など(ISP社製))、ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体(ルビセットクリア(BASF社製))、ポリビニルカプロラクタム(ルビスコールプラス(BASF社製))等。
【0028】
ウレタン系毛髪セット樹脂:
ヨドゾールPUD(日本エヌエスシー株式会社製)、ルビセットP.U.R.(BASF社製)、特開2006−213706号公報に記載されたポリマー等、アクリル−ウレタン系として、DynamX(日本エヌエスシー株式会社製)、特願2006−183144号公報に記載されたポリマー等。
【0029】
多糖類系毛髪セット樹脂:
アラビアガム、グルカン、サクシノグリカン、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、グアガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナンガム、キサンタンガム、デンプン、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアガム、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ローカストビーンガム、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムでんぷん等。
【0030】
本発明の整髪用化粧料に配合される毛髪セット樹脂は特に限定されず、上記に列挙したような毛髪セット樹脂の1種又は2種以上を適宜選択して用いることができるが、アクリル系、ビニル系、又はウレタン系の毛髪セット樹脂が特に好ましい。
【0031】
本発明の整髪用化粧料における毛髪セット樹脂の配合量は、一般的には0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。0.1質量%未満であると耐湿性が十分でない場合があり、30質量%を越えて配合すると髪がごわつく場合がある。
【0032】
本発明の整髪用化粧料は、上記した粘着性樹脂及び毛髪セット樹脂に加えて、水及びアルコールを含有しているのが好ましい。
本発明の整髪用化粧料におけるアルコールとしては、エタノール等の化粧品で一般に使用されているアルコール類から選択される1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。水及びアルコールの配合量は、特に限定されるものではなく、上記所定の粘着性及び粘度となる範囲内で適宜調節される。
【0033】
本発明の整髪用化粧料は、ヘアリキッド、ヘアフォーム、ヘアムース、ヘアスプレー、ヘアミスト、ヘアジェル、ヘアワックス等の様々な態様で提供することができるが、糖アルコール、ポリアルキレングリコール、及びそれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上を所定量含有し、限定された粘着性及び粘度を有する化粧料であるため、特に、使用時に霧状に噴霧して用いる形態に適している。霧状にして用いることで、溶媒の揮発が速く、速やかに粘着性・整髪力を発揮することができる。
【0034】
本発明の整髪用化粧料は、例えば、その形態に応じて、従来から整髪用化粧料に使用されている他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。
【実施例】
【0035】
以下に具体例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例等における配合量は特に断らない限り質量%を示す。
【0036】
(実施例及び比較例)
下記表1〜4の組成物を調製して、各組成物の粘着性をボールタック試験により測定した。なお、表中、ボールタック試験の結果が「−」とされているものは、粘着性が低くナンバー1のボールも停止しなかったことを示す。
【0037】
また、上記製造例及び比較製造例の樹脂を用いて試料を調製し、当該試料を使用したときのアレンジ力、固定力、再整髪力、耐湿性について評価した。
各特性の評価方法及び評価基準は以下の通りである。
【0038】
1.アレンジ力
1束の黒色バージンヘア(長さ20cm,質量2g)に試料を0.5g塗布し、常温にて乾燥させた後の毛束について、アレンジのしやすさを専門パネラーによる官能試験にて評価した。
<評価点基準>
5点:かなりアレンジしやすい
4点:ややアレンジしやすい
3点:普通
2点:ややアレンジしにくい
1点:アレンジしにくい
<評価基準>
◎:合計点が40点以上
○:合計点が30点以上40点未満
△:合計点が20点以上30点未満
×:合計点が20点未満
【0039】
2.固定力
黒色バージンヘア(長さ15cm,重さ1g)に、試料を0.4g塗布し、くしを使いなじませ、まっすぐになるよう形を整え、1試料あたり5本のストランドを作製した。これを50℃で1時間乾燥させた後目盛りの付いたボードに吊り下げ、温度30℃,湿度90%RHの恒温恒湿器にてストランドの撓んだ長さを(b)を測定した。試料未塗布時にあらかじめ測定しておいた、撓んだストランドの長さ(a)を用い、次式に従い固定力(キープ力)を求めた。数値が100%に近いほど固定力が高く、耐湿性に優れることを示している。
ヘアスタイルキープ力(%)={(a−b)/a}×100
<評価基準>
◎:値が90%以上
○:値が70〜90%未満
△:値が50〜70%未満
×:値が50%未満
【0040】
3.再整髪力
1束の黒色バージンヘア(長さ20cm,質量2g)に試料を0.5g塗布し、常温にて乾燥させた後の毛束について、塗布直後に整髪を行い、その後1時間後に再度整髪した際のしやすさ(再整髪力)を専門パネラーによる官能試験にて評価した。
<評価点基準>
5点:かなり再整髪力がある
4点:やや再整髪力がある
3点:普通
2点:やや再整髪力がない
1点:再整髪力がない
<評価基準>
◎:合計点が40点以上
○:合計点が30点以上40点未満
△:合計点が20点以上30点未満
×:合計点が20点未満
【0041】
4.耐湿性
黒色バージンヘア(長さ:20cm、重さ:2g)に、試料(実施例または比較例で得られた毛髪化粧料)を0.5g塗布し、直ちに、カール径が2cmのカーラーを用いてカールを作製し、これを50℃で1時間乾燥させた。このカールした毛髪ストランドの長さを測定して、該長さを初期値(L0)とする。
次に、乾燥させた毛髪束を目盛りの付いたボードに吊り下げ、温度30℃、湿度90%RHの恒温恒湿器に3時間入れた後、毛髪ストランドの長さを測定し、該長さを、加湿後の長さ(L2)とする。
なお、毛髪ストランドの長さとしては、カールされた状態であれば、カールの最大径になり、一方、カールが部分的に又は全体的にほどけていれば、根元側の端部からの最大の長さ(例えば、根元側の端部から毛先側の端部までの長さ)になる。
【0042】
次式に従って、カールリテンション値を算出し、下記の評価基準により、耐湿性について評価した。
カールリテンション値(%)={(20−L2)/(20−L0)}×100
なお、カールリテンション値が100%に近いほど、カール保持率が強く、耐湿性(即ち、スタイル保持力)が優れている。
<評価基準>
◎:カールリテンション値が90%点以上である。
○:カールリテンション値が70%以上90%未満である。
△:カールリテンション値が50%以上70%未満である。
×:カールリテンション値が50%未満である。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)マルチトール、ソルビトール、リビトール、マンニトール、アラビトール、ガラクチトール、キシリトール、及びエリトリトールから選ばれる1種又は2種以上の糖アルコールと、
(b)ポリエチレングリコール1種又は2種以上とを、
合計で5〜30質量%の配合量で含有せしめることを含む整髪用化粧料の調製方法であって、
該化粧料の粘着性を、該化粧料を用いて0.1mmの厚みの皮膜を形成させ、25℃・湿度50%にて1日乾燥した後の、傾斜式ボールタック試験(傾斜角10度、25℃、湿度50%)におけるボールナンバーが1〜30とし、かつ該化粧料の粘度性を、100mPa・s以下(25℃、B型粘度計)とすることを特徴とする、使用時に霧状に噴霧して用いる整髪用化粧料の調製方法。
【請求項2】
前記整髪用化粧料に、(c)0.1〜10質量%の毛髪セット樹脂を更に含有せしめることを含む、請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記(b)ポリエチレングリコールが、平均分子量200〜20000のポリエチレングリコールから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の調製方法。
【請求項4】
前記(b)ポリエチレングリコールが、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1540、PEG2000、PEG4000、PEG6000、PEG11000及びPEG20000からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項5】
前記(c)毛髪セット樹脂が、アクリル系、ビニル系、両性、カチオン性、ノニオン性、ウレタン系の毛髪セット樹脂から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項記載の調製方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−140500(P2011−140500A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43860(P2011−43860)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【分割の表示】特願2010−23830(P2010−23830)の分割
【原出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】