説明

文字入力装置および文字変換方法

【課題】文字変換対象として選択できる範囲を制限されることなく文字入力を行うこと。
【解決手段】タッチパネル101と、タッチパネル101と積層された表示部111とを有する文字入力装置100であって、座標検出部102は、2つの物体とタッチパネル101との2点の接触位置の座標値を検出し、文字変換処理部105は、タッチパネル101上を接触しながら2つの物体が移動することにより、初回に検出された2点の接触位置の座標値の間隔よりも、今回検出された2点の接触位置の座標値の間隔が狭くなった場合、表示部111に表示された文字列のうち、初回に検出された2点の接触位置の座標値に対応する文字を両端とする特定の文字列に対して、文字変換処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字入力装置および文字変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線端末装置において、文字を入力する文字入力装置として、接触により操作入力された座標値を検出するタッチパネルと、タッチパネルと積層されるディスプレイ等の表示部を有する文字入力装置がある。この文字入力装置は、タッチパネルに対する入力操作(接触)に応じて、ディスプレイに表示された文書データの処理内容を決定する。
【0003】
例えば、ディスプレイに表示された文書データに含まれる文字列を変換(例えば、漢字変換)する際、例えば、ユーザの指またはペン等により、文字変換対象の開始位置および終了位置の2点を入力して指定することが考えられる。
【0004】
また、指定された文字変換対象区間において、タッチパネルに接触した状態で移動した場合(ドラッグ操作が行われた場合)、文字入力装置は、物体が移動する方向に応じて文字変換対象の範囲を変更することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、文字入力装置は、再度接触された接触位置に対して物体が右方向にドラッグ(または、ペンラン)させられた場合には文字変換対象の終了位置を移動して文字変換対象の範囲を広げ、再度接触された接触位置に対して物体が左方向にドラッグ(または、ペンラン)させられた場合には文字変換対象の終了位置を移動して文字変換対象の範囲を狭める。
【0005】
また、指定された文字変換対象区間において、物体がタッチパネルに再度接触することで、文字入力装置は、物体とタッチパネルとの接触位置の座標値に対応する位置を、文字変換対象の文字列における文節区切り位置として指定することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平08−314917号公報
【特許文献2】特開平05−181839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術では、文字入力装置は、物体とタッチパネルとの接触(座標入力)により指定された文字変換対象区間において、文字変換対象の終了位置を変更したり、文節区切り位置を変更したりできるものの、文字変換対象の開始位置を変更することができない。つまり、上記従来技術では、文字変換対象の開始位置は固定されている。よって、上記従来技術では、文字変換対象として選択できる範囲が制限されてしまう。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、文字変換対象として選択できる範囲を制限されることなく文字入力を行うことができる文字入力装置および文字変換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の文字入力装置は、タッチパネルと、前記タッチパネルと積層された表示部とを有する文字入力装置であって、2つの物体と前記タッチパネルとの2点の接触位置の座標値を検出する検出手段と、前記タッチパネル上を接触しながら前記2つの物体が移動することにより、初回に検出された前記2点の接触位置の座標値の間隔よりも、今回検出された前記2点の接触位置の座標値の間隔が狭くなった場合、前記表示部に表示された文字列のうち、初回に検出された前記2点の接触位置の座標値に対応する文字を両端とする特定の文字列に対して、文字変換処理を行う変換処理手段と、を具備する構成を採る。
【0010】
本発明の文字変換方法は、タッチパネルと、前記タッチパネルと積層された表示部とを有する文字入力装置における文字変換方法であって、2つの物体と前記タッチパネルとの2点の接触位置の座標値を検出し、前記タッチパネル上を接触しながら前記2つの物体が移動することにより、初回に検出された前記2点の接触位置の座標値の間隔よりも、今回検出された前記2点の接触位置の座標値の間隔が狭くなった場合、前記表示部に表示された文字列のうち、初回に検出された前記2点の接触位置の座標値に対応する文字を両端とする特定の文字列に対して、文字変換処理を行うようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、文字変換対象として選択できる範囲を制限されることなく文字入力を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1に係る文字入力装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1に係る文字入力装置における文字変換処理の流れを示す図
【図3A】本発明の実施の形態1に係る文字変換処理部における変換処理を示す図
【図3B】本発明の実施の形態1に係る文字変換処理部における変換処理を示す図
【図3C】本発明の実施の形態1に係る文字変換処理部における変換処理を示す図
【図4A】本発明の実施の形態1に係る文字変換処理部における無変換処理を示す図
【図4B】本発明の実施の形態1に係る文字変換処理部における無変換処理を示す図
【図4C】本発明の実施の形態1に係る文字変換処理部における無変換処理を示す図
【図5】本発明の実施の形態2に係る文字入力装置における文字変換処理の流れを示す図
【図6A】本発明の実施の形態2に係る文字変換処理部における変換処理を示す図
【図6B】本発明の実施の形態2に係る文字変換処理部における変換処理を示す図
【図6C】本発明の実施の形態2に係る文字変換処理部における変換処理を示す図
【図6D】本発明の実施の形態2に係る文字変換処理部における変換処理を示す図
【図7A】本発明の実施の形態2に係る文字変換処理部における変換処理を示す図
【図7B】本発明の実施の形態2に係る文字変換処理部における変換処理を示す図
【図7C】本発明の実施の形態2に係る文字変換処理部における変換処理を示す図
【図7D】本発明の実施の形態2に係る文字変換処理部における変換処理を示す図
【図7E】本発明の実施の形態2に係る文字変換処理部における無変換処理を示す図
【図8】本発明の実施の形態3に係る文字入力装置における文字変換処理の流れを示す図
【図9A】本発明の実施の形態3に係る文字変換処理部における変換処理を示す図
【図9B】本発明の実施の形態3に係る文字変換処理部における変換処理を示す図
【図9C】本発明の実施の形態3に係る文字変換処理部における変換処理を示す図
【図9D】本発明の実施の形態3に係る文字変換処理部における無変換処理を示す図
【図10A】本発明の実施の形態3に係る文字変換処理部における無変換処理を示す図
【図10B】本発明の実施の形態3に係る文字変換処理部における変換処理を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る文字入力装置の構成を図1に示す。なお、図1に示す文字入力装置100は、座標入力部としてのタッチパネル101と、タッチパネル101と積層された表示部111(例えばディスプレイ等)とを有する。
【0015】
座標検出部102は、物体(ユーザの指またはペン等)によるタッチパネル101に対する座標入力操作(接触)を検出する。具体的には、座標検出部102は、タッチパネル101に入力された座標値(例えば、x、y座標)を検出する。そして、座標検出部102は、検出した座標値を文字変換処理部105に出力する。なお、座標検出部102は、物体とタッチパネル101との複数の接触(つまり、複数の座標値)を検出する。例えば、座標検出部102は、2つの物体とタッチパネル101との2点の接触位置の座標値を検出した場合には、2点の接触位置を示す2つの座標値を文字変換処理部105に出力する。また、座標検出部102は、例えば、物体とタッチパネル101とが継続して接触している場合には、接触位置の座標値を文字変換処理部105に出力し続ける。
【0016】
文書メモリ103は、例えば物体による操作キー等に対する操作により入力部(図示せず)から入力された文字列(文書データ)を格納する。また、文書メモリ103は、格納される文書データの読みを格納する。また、文書メモリ103は、格納されている文書データに対して、文字変換処理部105により文字変換処理(または無変換処理)が行われた場合、文字変換処理後の文字列を更新した文書データを格納する。
【0017】
ROM104は、例えば、ひらがな、カタカナ、漢字等の辞書を格納する。
【0018】
文字変換処理部105は、文書メモリ103に格納された文書データのうち、座標検出部102から入力される座標値に基づいて指定される、文字変換対象の文字列に対して、文字変換処理を行う。具体的には、まず、文字変換処理部105は、座標検出部102から2つの座標値が初回入力されると、表示部111に表示された文書データのうち、タッチパネル101上の2つの座標値に対応する文字を両端とする特定の文字列を、文字変換対象の文字列(以下、注目文節という)として指定する。そして、文字変換処理部105は、文書メモリ103に格納された文書データのうち、注目文節に対応する部分をワークメモリ106の注目文節情報バッファ107に出力する。また、文字変換処理部105は、文書メモリ103に格納された文書データの読みのうち、注目文節の読みをワークメモリ106の入力バッファ108に出力する。また、文字変換処理部105は、注目文節の読みに対応する変換候補をROM104(辞書)から検索し、検索結果(変換候補)をワークメモリ106の変換候補バッファ109に出力する。
【0019】
そして、例えば、ユーザがタッチパネル101上の2点で接触させながら移動させることにより、初回に検出された2点の座標値の間隔(2点間距離)よりも、今回検出された2つの座標値の間隔が狭くなった場合(例えばユーザがピンチインを行った場合)、文字変換処理部105は、注目文節情報バッファ107に格納されている注目文節に対して、文字変換処理を行う。例えば、文字変換処理部105は、変換候補バッファ109に格納された、注目文節に対する変換候補を表示制御部110に出力する。
【0020】
また、注目文節が変換されている場合であり、かつ、初回に検出された2点の接触位置の座標値の間隔よりも、今回検出された2点の接触位置の座標値の間隔が広くなった場合(例えばユーザがピンチアウトを行った場合)、文字変換処理部105は、注目文節情報バッファに格納されている注目文節(変換済みの注目文節)に対して文字変換処理を解除する(つまり、注目文節を無変換の状態に戻す)。具体的には、文字変換処理部105は、入力バッファ108に格納された注目文節の読みを、注目文節情報バッファ107に格納する。そして、文字変換処理部105は、無変換状態の注目文節を表示制御部110に出力する。なお、文字変換処理部105における文字変換処理の詳細な説明については後述する。
【0021】
ワークメモリ106は、文字変換処理部105により指定された注目文節に関する情報を格納する。具体的には、ワークメモリ106の注目文節情報バッファ107は、文書メモリ103に格納された文書データのうち注目文節を格納する。また、注目文節情報バッファ107は、文字変換処理部105により、変換済みの注目文節が無変換に変更された場合には入力バッファ108に格納された注目文節の読みを格納し、変換候補が確定された場合には、変換候補バッファ109に格納された変換候補のうち、確定された変換候補を格納することで、格納する注目文節を更新する。また、ワークメモリ106の入力バッファ108は、文書メモリ103に格納された文書データのうち、注目文節情報バッファ107に格納された注目文節に対応する文字列の読み(注目文節の読み)を格納する。また、ワークメモリ106の変換候補バッファ109は、注目文節の読みに対応する変換候補を格納する。
【0022】
表示制御部110は、文字変換処理部105から入力される文字列を表示するように、表示部111に指示する。
【0023】
表示部111は、表示制御部110により指示された文字列を表示する。例えば、表示部111が変換候補バッファ109に格納された、注目文節の変換候補を表示した場合には、ユーザは、物体によるタッチパネル101に対する接触により、注目文節の変換候補のいずれかを選択する。
【0024】
次に、本実施の形態に係る文字入力装置100における処理の流れについて詳細に説明する。図2は、文字入力装置100(図1)における処理の流れを示す。なお、以下の説明において、注目文節が変換中であるか否かを示す変換中フラグ(ON(変換中)またはOFF(変換中ではない))の初期状態を‘OFF’とする。
【0025】
ステップ(以下、STという)101では、座標検出部102は、物体(ここでは、ユーザの指)とタッチパネル101との接触位置の座標値を検出する検出処理を行う。
【0026】
ST102では、文字変換処理部105は、ST101において2本の指の接触(2つの座標値)が検出されたか否か(すなわち、座標検出部102から2つの座標値が入力されたか否か)を判断する。2本の指の接触(2つの座標値)が検出されない場合(ST102:NO)、文字変換処理部105は何もせず、ST102に戻る。
【0027】
一方、2本の指の接触が検出された場合(ST102:YES)、ST103では、文字変換処理部105は、文書メモリ103に格納されている文書データ(つまり、現在表示部111に表示されている文書データ)のうち、ST101において初回に検出された2本の指の接触位置の座標値に対応する文字を両端とする特定の文字列を注目文節として読み出す。そして、文字変換処理部105は、読み出した注目文節を注目文節情報バッファ107に格納する。また、文字変換処理部105は、注目文節情報バッファ107に格納した注目文節に対応する読みを、文書メモリ103から読み出して入力バッファ108に格納する。また、文字変換処理部105は、入力バッファ108に格納した注目文節の読みに対応する変換候補を、ROM104(辞書)から検索し、検索結果(変換候補)を変換候補バッファ109に格納する。
【0028】
ST104では、文字変換処理部105は、座標検出部102により順次検出される、物体(ユーザの指)とタッチパネル101との接触位置の座標値に基づいて、2本の指がタッチパネル101から離れたか否かを判断する。
【0029】
2本の指がタッチパネル101から離れていない場合(ST104:NO)、ST105では、文字変換処理部105は、初回(ST101)に検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔(2点間距離)よりも、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔(2点間距離)が狭められたか否かを判断する。具体的には、文字変換処理部105は、初回に検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔と比較して、座標検出部102から今回入力される2本の指の接触位置の座標値の間隔が短いか否かを判断する。
【0030】
2本の指の接触位置の座標値の間隔が狭められた場合(ST105:YES)、ST106では、文字変換処理部105は、ST103において注目文節情報バッファ107に格納された注目文節の変換処理(または再変換処理)を行う。例えば、文字変換処理部105は、ST103において変換候補バッファ109に格納された、注目文節の変換候補を読み出す。
【0031】
ST107では、文字変換処理部105は、注目文節の変換候補を表示制御部110に出力する。そして、表示制御部110は、変換候補を表示するように表示部111に指示することで、表示部111における変換候補の表示を更新する。
【0032】
ST108では、文字変換処理部105は、変換中フラグを‘ON’に変更する。
【0033】
一方、2本の指の接触位置の座標値の間隔が狭められていない場合(ST105:NO)、ST109では、文字変換処理部105は、初回(ST101)に検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔よりも、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔が広げられたか否かを判断する。2本の指の接触位置の座標値の間隔が広げられた場合(ST109:YES)、ST110では、文字変換処理部105は、注目文節情報バッファ107に格納された注目文節が変換済みであるか否かを判断する。
【0034】
注目文節が変換済みの場合(ST110:YES)、ST111では、文字変換処理部105は、ST103において注目文節情報バッファ107に格納された注目文節の無変換処理を行う。具体的には、文字変換処理部105は、ST103において入力バッファ108に格納された、注目文節の読みを注目文節情報バッファ107に格納する。
【0035】
ST112では、文字変換処理部105は、ST111において注目文節情報バッファ107に格納された注目文節(無変換状態の注目文節)を表示制御部110に出力する。そして、表示制御部110は、注目文節を表示するように表示部111に指示することで、表示部111における文書データの表示を更新する。
【0036】
ST113では、文字変換処理部105は、変換中フラグを‘OFF’に変更する。
【0037】
一方、2本の指の接触位置が広げられていない場合(ST109:NO)、または、注目文節が変換済みではない場合(ST110:NO)、文字変換処理部105は何もせず、ST104に戻る。
【0038】
このように、2本の指の接触位置の座標値の間隔が狭められた場合(ST105:YES)には、文字変換処理部105は、注目文節に対して変換処理(または再変換処理)を行う。これに対し、注目文節(特定の文字列)が変換されている場合(ST110:YES)であり、かつ、2本の指の接触位置の座標値の間隔が広げられた場合(ST109:YES)には、文字変換処理部105は、注目文節を無変換の状態に戻す。
【0039】
一方、2本の指がタッチパネル101から離れた場合(ST104:YES)、ST114では、文字変換処理部105は、変換中フラグが‘ON’であるか否かを判断する。変換中フラグが‘OFF’の場合(ST114:NO)、ST119に進む。一方、変換中フラグが‘ON’の場合(ST114:YES)、ST115では、文字変換処理部105は、変換候補バッファ109に格納された変換候補のいずれか1つがユーザにより選択され、変換候補が確定されたか否かを判断する。変換候補の確定が行われていない場合(ST115:NO)、ST115に戻る。一方、変換候補の確定が行われた場合(ST115:YES)、ST116では、文字変換処理部105は、変換候補バッファ109に格納された変換候補のうち、ST115で確定された変換候補を、注目文節情報バッファ107に格納することで、注目文節の変換候補を確定する。
【0040】
ST117では、文字変換処理部105は、ST116において注目文節情報バッファ107に格納された注目文節(確定後の注目文節)を表示制御部110に出力する。そして、表示制御部110は、注目文節を表示するように表示部111に指示することで、表示部111における文書データの表示を更新する。
【0041】
ST118では、文字変換処理部105は、変換中フラグを‘OFF’に変更する。
【0042】
ST119では、文字変換処理部105は、注目文節情報バッファ107に格納された注目文節(ST116において確定した注目文節)を文書メモリ103に書き込む。ST120では、文字変換処理部105は、ワークメモリ106の各バッファに格納されたデータをクリアする。ST120の処理後、ST102に戻る。
【0043】
次に、文字入力装置100の文字変換処理部105における文字変換処理の詳細について説明する。
【0044】
まず、一例として、図3Aに示すように、表示部111が、文書データ‘いろいろなでんかせいひんがある’を表示している場合について説明する。つまり、文書メモリ103には、文書データ‘いろいろなでんかせいひんがある’が格納されている。
【0045】
ここで、図3Bに示すように、座標検出部102が、表示部111に表示された‘で’に対応するタッチパネル101上の座標値と、表示部111に表示された‘ん’に対応するタッチパネル101上の座標値とを検出、つまり、2点の座標値(2本の指の接触)を検出したとする(図2に示すST102:YES)。この場合、文字変換処理部105は、図3Bに示すように、2本の指の接触位置の座標値に対応する文字(‘で’および‘ん’)を両端とする特定の文字列‘でんかせいひん’を注目文節として注目文節情報バッファ107に格納する(図2に示すST103)。また、文字変換処理部105は、注目文節の読み‘でんかせいひん’を入力バッファ108に格納する。また、文字変換処理部105は、注目文節の読み‘でんかせいひん’の変換候補をROM104(辞書)から検索し、検索結果である変換候補(例えば、図3Cに示す‘電化製品’、‘デンカセイヒン’等)を変換候補バッファ109に格納する。
【0046】
次いで、図3Cに示すように、ユーザがタッチパネル101を接触しながら2本の指を移動させることにより、図3Bで初回に検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔よりも、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔が狭められたとする(図2に示すST105:YES)。この場合、図3Cに示すように、文字変換処理部105は、変換候補バッファ109に格納された、注目文節の変換候補を読み出し(図2に示すST106)、読み出した変換候補を、表示制御部110を介して表示部111に表示させる(図2に示すST107)。
【0047】
これにより、ユーザが図3Cに示す変換候補の中からいずれか1つを選択すると(図2に示すST115:YES)、文字変換処理部105は、ユーザにより選択された変換候補を、注目文節情報バッファ107に格納することで、注目文節の変換候補を確定する(図2に示すST116)。
【0048】
次いで、一例として、図4Aに示すように、表示部111が、文書データ‘いろいろな電化製品がある’を表示している場合について説明する。つまり、文書メモリ103には、文書データ‘いろいろな電化製品がある’が格納されている。
【0049】
ここで、図4Bに示すように、座標検出部102が、表示部111に表示された‘電’に対応するタッチパネル101上の座標値と、表示部111に表示された‘品’に対応するタッチパネル101上の座標値とを検出したとする(図2に示すST102:YES)。この場合、文字変換処理部105は、図4Bに示すように、2本の指の接触位置の座標値に対応する文字(‘電’および‘品’)を両端とする特定の文字列‘電化製品’を注目文節として注目文節情報バッファ107に格納する(図2に示すST103)。また、文字変換処理部105は、注目文節の読み‘でんかせいひん’を入力バッファ108に格納し、注目文節の読み‘でんかせいひん’の変換候補を変換候補バッファ109に格納する。
【0050】
次いで、図4Cに示すように、ユーザがタッチパネル101を接触しながら2本の指を移動させることにより、図4Bで初回に検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔よりも、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔が広げられたとする(図2に示すST105:NOかつST109:YES)。また、注目文節‘電化製品’は変換済みの文字列である(図2に示すST110:YES)。よって、図4Cに示すように、文字変換処理部105は、入力バッファ108に格納された、注目文節の読み‘でんかせいひん’を注目文節情報バッファ107に格納することで、注目文節の無変換処理を行う(図2に示すST111)。つまり、文字変換処理部105は、注目文節を無変換の状態に戻す。そして、図4Cに示すように、文字変換処理部105は、注目文節情報バッファ107に格納された注目文節‘でんかせいひん’を、表示制御部110を介して表示部111に表示させる(図2に示すST112)。
【0051】
このように、文字変換処理部105は、物体とタッチパネル101との2点(2本の指)の接触位置の座標値が検出された際、初回に検出された2点の座標値の間隔、すなわち、注目文節として指定した文字列の間隔よりも、今回検出された2点の座標値の間隔が狭くなった場合、注目文節の変換処理を行う。一方、文字変換処理部105は、注目文節が変換済みの場合であり、かつ、初回に検出された2点の座標値の間隔(注目文節として指定した文字列の間隔)に対して、今回検出された2点の座標値の間隔が広くなった場合、注目文節の無変換処理を行う。
【0052】
よって、文字入力装置100では、ユーザは、タッチパネル101上で、表示部111に表示された文書データのうち注目文節の開始位置および終了位置を指定し、注目文節の間隔に対して2本の指の接触位置の座標の間隔を狭める(または、広げる)だけで、注目文節の変換処理(または無変換処理)を行うことができる。すなわち、文字入力装置100では、ユーザは、文字変換対象の範囲として、文字変換処理または無変換処理を行いたい箇所のみを指定すればよい。
【0053】
このようにして、本実施の形態では、文字入力装置は、物体によるタッチパネルに対する接触により文字変換対象の文字列を指定し、指定した文字列(注目文節)の間隔を変化させることで、文字変換処理(または無変換処理)を行う。これにより、本実施の形態に係る文字入力装置では、ユーザは、文字変換対象の開始位置および終了位置を自由に選択することで、文字変換対象の範囲を柔軟に設定することができる。よって、本実施の形態によれば、文字変換対象として選択できる範囲を制限されることなく文字入力を行うことができる。
【0054】
さらに、本実施の形態によれば、文字入力装置では、文書データのうち、文字変換対象の特定の文字列(注目文節)のみが指定され、注目文節に対してのみ文字変換処理が行われる。すなわち、文字入力装置では、入力された文字列のうち、注目文節以外の文字列(例えば漢字変換が不要な文字列)は、確定操作無しで入力が完了する。よって、本実施の形態によれば、文字変換処理を要する文字列に対してのみ文字変換処理を行えばよく、文字変換が不要な文字列を含むすべての文字列に対して確定操作を行う場合と比較して、文字入力操作が簡素化される。
【0055】
また、本実施の形態によれば、文字入力装置は、注目文節として指定した文字列の間隔を変化させる操作により、注目文節の文字変換処理(または無変換処理)を行う。よって、本実施の形態によれば、表示領域が制限されるタッチパネル画面において、文字変換処理のためのボタンを配置する必要がなくなる。
【0056】
(実施の形態2)
本実施の形態では、文字入力装置は、文字変換処理の際、注目文節を、2つの物体とタッチパネルとの2点の接触位置の座標値の間隔に応じた文字数の文字列に変換する。
【0057】
具体的には、本実施の形態に係る文字入力装置100の文字変換処理部105(図1)は、注目文節を指定した後の文字変換中に、2つの物体(例えば2本の指)とタッチパネル101との2点の接触位置の座標値の間隔が変化した場合、かつ、2つの物体の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数が、注目文節の読みの文字数以下の場合、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数と同一の文字数の変換候補を、変換候補バッファ109から読み出して文字変換処理を行う。
【0058】
以下、本実施の形態に係る文字入力装置100(図1)における処理の流れについて詳細に説明する。図5は、本実施の形態に係る文字入力装置100(図1)における処理の流れを示す。なお、図5において、図2と同一の処理には同一符号を付し説明を省略する。
【0059】
図5において、2本の指がタッチパネル101から離れていない場合(ST104:NO)、ST201では、文字変換処理部105は、初回(ST101)または前回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔に対して、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔が変化したか否かを判断する。2本の指の接触位置の座標値の間隔が変化していない場合(ST201:NO)、文字変換処理部105は、何もせず、ST104に戻る。
【0060】
一方、2本の指の接触位置の座標値の間隔が変化した場合(ST201:YES)、ST202では、文字変換処理部105は、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数が、ST103において入力バッファ108に格納された、注目文節の読みの文字数以下であるか否かを判断する。
【0061】
2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数が注目文節の読みの文字数以下の場合(ST202:YES)、ST203では、文字変換処理部105は、注目文節を、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数の文字列に変換する文字変換処理を行う。例えば、文字変換処理部105は、変換候補バッファ109に格納された、注目文節の変換候補のうち、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数の変換候補のみを読み出す。
【0062】
一方、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数が注目文節の読みの文字数よりも多い場合(ST202:NO)、文字変換処理部105は、実施の形態1と同様、ST111〜ST113において、注目文節に対する無変換処理を行う。
【0063】
次に、文字入力装置100の文字変換処理部105における文字変換処理の詳細について説明する。
【0064】
まず、一例として、図6Aに示すように、表示部111が、文字列‘あきらかな’を含む文書データを表示している場合について説明する。つまり、文書メモリ103には、文書データ‘…あきらかな…’が格納されている。
【0065】
ここで、図6Bに示すように、座標検出部102が、表示部111に表示された‘あ’に対応するタッチパネル101上の座標値と、表示部111に表示された‘な’に対応するタッチパネル101上の座標値とを検出したとする(図5に示すST102:YES)。この場合、文字変換処理部105は、図6Bに示すように、2本の指の接触位置の座標値に対応する文字(‘あ’および‘な’)を両端とする特定の文字列‘あきらかな’を注目文節として注目文節情報バッファ107に格納する(図5に示すST103)。また、文字変換処理部105は、注目文節の読み‘あきらかな’を入力バッファ108に格納する。つまり、注目文節の読みの文字数は5文字である。また、文字変換処理部105は、注目文節の読み‘あきらかな’の変換候補を変換候補バッファ109に格納する。
【0066】
次いで、図6Cに示すように、ユーザがタッチパネル101を接触しながら2本の指を狭めることにより、2本の指の接触位置の座標値の間隔が4文字分の間隔になったとする。つまり、図6Bで初回に検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔に対して、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔が変化し(図5に示すST201:YES)、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数(4文字)が、注目文節の読みの文字数(5文字)以下となる(図5に示すST202:YES)。この場合、図6Cに示すように、文字変換処理部105は、変換候補バッファ109に格納された、注目文節の変換候補のうち、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数(4文字)と同一の文字数の変換候補(例えば、図6Cに示す‘明らかな’、‘明良かな’等)のみを読み出す(図5に示すST203)。
【0067】
同様にして、図6Dに示すように、ユーザがタッチパネル101を接触しながら2本の指をさらに狭めることにより、2本の指の接触位置の座標値の間隔が3文字分の間隔になったとする。つまり、図6Cで前回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔に対して、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔が変化し(図5に示すST201:YES)、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数(3文字)が、注目文節の読みの文字数(5文字)以下となる(図5に示すST202:YES)。この場合、図6Dに示すように、文字変換処理部105は、変換候補バッファ109に格納された注目文節の変換候補のうち、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数(3文字)と同一の文字数の変換候補(例えば、図6Dに示す‘明かな’、‘昭かな’、‘亮かな’等)のみを読み出す(図5に示すST203)。
【0068】
つまり、文字変換処理部105は、文字変換中に2本の指の接触位置の座標値の間隔が変化した場合、注目文節を、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数(図6Cでは4文字、図6Dでは3文字)の変換候補のいずれかに変換する。
【0069】
次いで、一例として、図7Aに示すように、表示部111が、文字列‘明かな’を含む文書データを表示している場合について説明する。つまり、文書メモリ103には、文書データ‘…明かな…’が格納されている。
【0070】
ここで、図7Bに示すように、座標検出部102が、表示部111に表示された‘明’に対応するタッチパネル101上の座標値と、表示部111に表示された‘な’に対応するタッチパネル101上の座標値とを検出したとする(図5に示すST102:YES)。この場合、文字変換処理部105は、図7Bに示すように、2本の指の接触位置の座標値に対応する文字(‘明’および‘な’)を両端とする特定の文字列‘明かな’を注目文節として注目文節情報バッファ107に格納する(図5に示すST103)。また、文字変換処理部105は、注目文節の読み‘あきらかな’を入力バッファ108に格納する。つまり、注目文節の読みの文字数は5文字である。また、文字変換処理部105は、注目文節の読み‘あきらかな’の変換候補を変換候補バッファ109に格納する。
【0071】
次いで、図7Cに示すように、ユーザがタッチパネル101を接触しながら2本の指を広げることにより、2本の指の接触位置の座標値の間隔が4文字分の間隔になったとする。つまり、図7Bで初回に検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔に対して、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔が変化し(図5に示すST201:YES)、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数(4文字)が、注目文節の読みの文字数(5文字)以下となる(図5に示すST202:YES)。この場合、図7Cに示すように、文字変換処理部105は、図6Cと同様、変換候補バッファ109に格納された注目文節の変換候補のうち、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数(4文字)と同一の文字数の変換候補(例えば、図7Cに示す‘明らかな’、‘明良かな’等)のみを読み出す(図5に示すST203)。
【0072】
同様にして、図7Dに示すように、ユーザがタッチパネル101を接触しながら2本の指をさらに広げることにより、2本の指の接触位置の座標値の間隔が5文字分の間隔になったとする。つまり、図7Cで前回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔に対して、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔が変化し(図5に示すST201:YES)、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数(5文字)が、注目文節の読みの文字数(5文字)以下となる(図5に示すST202:YES)。この場合、図7Dに示すように、文字変換処理部105は、変換候補バッファ109に格納された注目文節の変換候補のうち、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数(5文字)と同一の文字数の変換候補(例えば、図7Dに示す‘あきらかな’等)のみを読み出す(図5に示すST203)。
【0073】
一方、図7Eに示すように、ユーザがタッチパネル101を接触しながら2本の指をさらに広げることにより、2本の指の接触位置の座標値の間隔が5文字分以上の間隔になったとする。つまり、図7Dで前回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔に対して、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔が変化し(図5に示すST201:YES)、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数(5文字以上)が、注目文節の読みの文字数(5文字)より多くなる(図5に示すST202:NO)。この場合、図7Eに示すように、文字変換処理部105は、入力バッファ108に格納された注目文節の読み(‘あきらかな’)を、注目文節情報バッファ107に格納することで、注目文節の無変換処理を行う(図5に示すST111)。
【0074】
つまり、図6C,Dおよび図7C,Dに示すように、文字変換処理部105は、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数が注目文節の読みの文字数以下の場合には、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数の変換候補のみを指定して文字変換処理を行う。一方、図7Eに示すように、文字変換処理部105は、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数が注目文節の読みの文字数よりも多い場合には、注目文節に対して無変換処理を行う。
【0075】
つまり、文字入力装置100では、ユーザは、文字変換処理の際に、2本の指の接触位置の座標値の間隔を、注目文節の読みの文字数以内の範囲で変化させることにより、注目文節の変換候補を絞り込んで選択することができる。また、文字入力装置100では、ユーザは、文字変換処理の際に、2本の指の接触位置の座標値の間隔を、注目文節の読みの文字数に対応する間隔よりも広げることにより、注目文節に対する無変換処理を行うことができる。
【0076】
このようにして、本実施の形態によれば、文字入力装置は、文字変換処理の際、2点(2本の指)の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数の変換候補のみを表示する。つまり、文字入力装置は、注目文節の変換候補として、すべての変換候補のうち2点(2本の指)の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数の変換候補のみに絞り込むことができる。よって、本実施の形態によれば、ユーザは、注目文節に対するすべての変換候補が表示される場合よりも、文字入力操作を容易に行うことができる。
【0077】
(実施の形態3)
本実施の形態では、文字入力装置は、文字変換中ではない場合には、実施の形態1と同様にして文字変換処理を行い、かつ、文字変換処理の際には、実施の形態2と同様にして文字変換処理を行う。
【0078】
まず、本実施の形態に係る文字入力装置100(図1)における処理の流れについて詳細に説明する。図8は、文字入力装置100(図1)における処理の流れを示す。なお、図8において、図2および図5と同一の処理には同一符号を付し説明を省略する。
【0079】
図8において、2本の指がタッチパネル101から離れていない場合(ST104:NO)、実施の形態2と同様、ST201では、文字変換処理部105は、初回(ST101)または前回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔に対して、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔が変化したか否かを判断する。
【0080】
2本の指の接触位置の座標値の間隔が変化した場合(ST201:YES)、ST301では、文字変換処理部105は、変換中フラグが‘ON’であるか否かを判断する。つまり、文字変換処理部105は、現在、文字変換中であるか否かを判断する。
【0081】
変換中フラグが‘OFF’の場合(ST301:NO)、実施の形態1と同様、ST105では、文字変換処理部105は、初回(ST102)に検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔よりも、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔が狭められたか否かを判断する。
【0082】
変換中フラグが‘ON’の場合(ST301:YES)または2本の指の接触位置の座標値の間隔が狭められた場合(ST105:YES)、実施の形態2と同様、ST202では、文字変換処理部105は、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数が、注目文節の読みの文字数以下であるか否かを判断する。
【0083】
つまり、図8に示すように、文字変換処理部105は、文字変換中ではない場合(ST301:NO)には、実施の形態1と同様にして、2本の指の接触位置の座標値の間隔が狭められると(ST105:YES)、注目文節に対する文字変換処理を行い、2本の指の接触位置の座標値の間隔が広げられると(ST201:YESかつST105:NO)、注目文節に対する無変換処理(ST111)を行う。
【0084】
また、文字変換中ではない状態から注目文節に対する文字変換処理を行う場合(ST301:NOかつST105:YES)、または、文字変換中の場合(ST301:YES)、つまり、文字変換処理が行われる際には、文字変換処理部105は、実施の形態2と同様にして文字変換処理を行う。具体的には、文字変換処理部105は、図8に示すように、ST202において、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数が、注目文節の読みの文字数以下であるか否かを判断する。そして、文字変換処理部105は、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数が注目文節の読みの文字数以下の場合(ST202:YES)には、実施の形態2と同様にして、注目文節を2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数の文字列に変換する。一方、文字変換処理部105は、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数が注目文節の読みの文字数より多い場合(ST202:NO)には、実施の形態2と同様にして、注目文節を無変換状態に戻す。
【0085】
次に、文字入力装置100の文字変換処理部105における文字変換処理の詳細について説明する。
【0086】
まず、一例として、実施の形態2と同様、図6Aに示すように、表示部111が、文字列‘あきらかな’を含む文書データを表示している場合について説明する。また、実施の形態2と同様、図6Bに示すように、座標検出部102が表示部111に表示された‘あ’に対応するタッチパネル101上の座標値と、表示部111に表示された‘な’に対応するタッチパネル101上の座標値とを検出したとする(図8に示すST102:YES)。なお、図6Bでは、変換中フラグは‘OFF’である。
【0087】
ここで、図9Aに示すように、ユーザがタッチパネル101を接触しながら2本の指を狭めることにより、2本の指の接触位置の座標値の間隔が4文字分の間隔になったとする。つまり、変換中フラグが‘OFF’であり(図8に示すST301:NO)、図6Bで初回に検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔よりも、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔が狭くなり(図8に示すST105:YES)、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数(4文字)が注目文節の読みの文字数(5文字)以下となる(図8に示すST202:YES)。この場合、図9Aに示すように、文字変換処理部105は、注目文節の変換候補のうち、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数(4文字)と同一の文字数の変換候補(例えば、図9Aに示す‘明らかな’、‘明良かな’等)を読み出す。また、文字変換処理部105は、変換中フラグを‘ON’に変更する(図8に示すST108)。
【0088】
次いで、図9Bおよび図9Cに示すように、図9Aで変換中フラグが‘ON’になった状態(図8に示すST301:YES)で、ユーザがタッチパネル101を接触しながら2本の指を狭めたり(図9B)、広げたり(図9C)したとする。ここで、図9Bおよび図9Cに示すように、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数は、3文字(図9B)または5文字(図9C)であり、注目文節‘あきらかな’の読みの文字数5文字以下である(図8に示すST202:YES)。この場合、図9Bおよび図9Cに示すように、文字変換処理部105は、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数に応じて、注目文節に対する文字変換処理を行う。具体的には、図9Bでは、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数が3文字であるので、文字変換処理部105は、変換候補バッファ109に格納された変換候補のうち、文字数が3文字である変換候補のみを読み出す。また、図9Cでは、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数が5文字であるので、文字変換処理部105は、変換候補バッファ109に格納された変換候補のうち、文字数が5文字である変換候補のみを読み出す。
【0089】
また、図9Dに示すように、例えば図9A〜Cにおいて変換中フラグが‘ON’になった状態(図8に示すST301:YES)で、ユーザがタッチパネル101を接触しながら2本の指をさらに広げることにより、2本の指の接触位置の座標値の間隔が5文字分以上の間隔になったとする(図8に示すST202:NO)。この場合、図9Dに示すように、文字変換処理部105は、入力バッファ108に格納された注目文節の読み‘あきらかな’を、注目文節情報バッファ107に格納することで、注目文節の無変換処理を行う(図8に示すST111)。
【0090】
次いで、一例として、実施の形態2と同様、図7Aに示すように、表示部111が、文字列‘明かな’を含む文書データを表示している場合について説明する。また、実施の形態2と同様、図7Bに示すように、座標検出部102が、表示部111に表示された‘明’に対応するタッチパネル101上の座標値と、表示部111に表示された‘な’に対応するタッチパネル101上の座標値とを検出したとする(図8に示すST102:YES)。なお、図7Bでは、変換中フラグは‘OFF’である。
【0091】
ここで、図10Aに示すように、ユーザがタッチパネル101を接触しながら2本の指を広げることにより、2本の指の接触位置の座標値の間隔が5文字分の間隔になったとする。つまり、2本の指の接触位置の座標値の間隔が変化し(図8に示すST201:YES)、変換中フラグが‘OFF’であり(図8に示すST301:NO)、図7Bで初回に検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔(3文字分の間隔)よりも、今回検出された2本の指の接触位置の座標値の間隔は狭くない(図8に示すST105:NO)。この場合、図10Aに示すように、文字変換処理部105は、入力バッファ108に格納された注目文節の読み(‘あきらかな’)を、注目文節情報バッファ107に格納することで、注目文節の無変換処理を行う(図8に示すST111)。また、文字変換処理部105は、変換中フラグを‘OFF’のままとする(図8に示すST113)。
【0092】
次いで、図10Bに示すように、図10Aで変換中フラグが‘OFF’になった状態(図8に示すST301:NO)で、ユーザがタッチパネル101を接触しながら2本の指を狭めたとする。ここで、図10Bに示すように、2本の指の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数は4文字であり、注目文節‘あきらかな’の読みの文字数5文字以下である(図8に示すST:202:YES)。この場合、図10Bに示すように、文字変換処理部105は、変換候補バッファ109に格納された変換候補のうち、文字数が4文字である変換候補のみを読み出す。
【0093】
このようにして、本実施の形態によれば、文字入力装置は、文字変換中ではない場合には実施の形態1と同様にして、物体とタッチパネルとの2点の接触位置の座標値の間隔が狭められるか否かに応じて、注目文節に対して文字変換処理または無変換処理を行う。また、文字入力装置は、文字変換処理の際には実施の形態2と同様にして、注目文節の変換候補の文字数を、2点の接触位置の座標値の間隔に対応する文字数に指定して文字変換処理を行う。よって、本実施の形態によれば、文字変換対象として選択できる範囲を制限されることなく、かつ、注目文節の変換候補の絞り込みを行いつつ文字入力を行うことができる。
【0094】
以上、本発明の各実施の形態について説明した。
【0095】
なお、本発明において、文字入力装置の座標検出部では、タッチパネルと物体との接触位置の座標値を検出する検出方式として、例えば、静電容量方式、感圧方式、光学方式または超音波方式等のいずれの方式を用いてもよい。例えば、静電容量方式のタッチパネルを用いる場合には、座標検出部は、タッチパネルと物体との間の静電容量を検出することで、物体との接触位置の座標を検出する。これにより、座標検出部は、タッチパネルと物体とが直接接触していなくても、タッチパネルと物体との接触位置の座標値を検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、タッチパネルと、タッチパネルと積層された表示部とを有する文字入力装置を備えた携帯端末装置等に適用することができる。
【符号の説明】
【0097】
100 文字入力装置
101 タッチパネル
102 座標検出部
103 文書メモリ
104 ROM
105 文字変換処理部
106 ワークメモリ
107 注目文節情報バッファ
108 入力バッファ
109 変換候補バッファ
110 表示制御部
111 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、前記タッチパネルと積層された表示部とを有する文字入力装置であって、
2つの物体と前記タッチパネルとの2点の接触位置の座標値を検出する検出手段と、
前記タッチパネル上を接触しながら前記2つの物体が移動することにより、初回に検出された前記2点の接触位置の座標値の間隔よりも、今回検出された前記2点の接触位置の座標値の間隔が狭くなった場合、前記表示部に表示された文字列のうち、初回に検出された前記2点の接触位置の座標値に対応する文字を両端とする特定の文字列に対して、文字変換処理を行う変換処理手段と、
を具備する文字入力装置。
【請求項2】
前記変換処理手段は、さらに、前記特定の文字列が変換されている場合であり、かつ、初回に検出された前記2点の接触位置の座標値の間隔よりも、今回検出された前記2点の接触位置の座標値の間隔が広くなった場合、前記特定の文字列を無変換の状態に戻す、
請求項1記載の文字入力装置。
【請求項3】
前記変換処理手段は、前記特定の文字列を、今回検出された前記2点の接触位置の座標値の間隔に応じた文字数の文字列に変換する、
請求項1記載の文字入力装置。
【請求項4】
タッチパネルと、前記タッチパネルと積層された表示部とを有する文字入力装置における文字変換方法であって、
2つの物体と前記タッチパネルとの2点の接触位置の座標値を検出し、
前記タッチパネル上を接触しながら前記2つの物体が移動することにより、初回に検出された前記2点の接触位置の座標値の間隔よりも、今回検出された前記2点の接触位置の座標値の間隔が狭くなった場合、前記表示部に表示された文字列のうち、初回に検出された前記2点の接触位置の座標値に対応する文字を両端とする特定の文字列に対して、文字変換処理を行う、
文字変換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2010−277545(P2010−277545A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132414(P2009−132414)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】