文書データの表示方法、携帯端末の表示装置
【課題】タブレット端末やスマートフォンなどのタッチパネルを搭載した携帯端末や、解像度の低いディスプレイを利用して電子帳票を閲覧する場合でも、閲覧者が一度に多くの必要な情報を見ることができる表示方法、及び閲覧者が画面操作を行う負担を減らすことができる操作方法を提供する。
【解決手段】文書データを表示部を有する携帯端末に表示させる文書データの表示方法であって、前記携帯端末における表示要求操作を検出するステップと、前記表示要求操作を検出するステップにおいて検出された操作が、前記文書データの項目と該項目の表示位置とを特定することができるレイアウト定義に基づく表示要求であった場合に、前記レイアウト定義に基づいて、前記項目を前記表示位置に表示させるステップと、を有することを特徴とする文書データの表示方法。
【解決手段】文書データを表示部を有する携帯端末に表示させる文書データの表示方法であって、前記携帯端末における表示要求操作を検出するステップと、前記表示要求操作を検出するステップにおいて検出された操作が、前記文書データの項目と該項目の表示位置とを特定することができるレイアウト定義に基づく表示要求であった場合に、前記レイアウト定義に基づいて、前記項目を前記表示位置に表示させるステップと、を有することを特徴とする文書データの表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書データの表示技術であって、例えば、電子帳票等の文書データに含まれるレイアウト定義情報を利用し、表示及び操作の最適化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ペーパーレス化による業務の効率化や省資源化を目的に、紙媒体の情報を文書データに置き換える企業が増加している。例えば、社内で運用されている業務帳票もその対象となることが多く、特に基幹系システムが出力する帳票は大量のページ数を出力するため運用コストが莫大なものになることから、帳票の電子化が積極的に行われている。電子化された電子帳票は、主にパソコン上で閲覧などの操作が行われている。
【0003】
現在、タブレット端末やスマートフォンなど、パーソナルコンピュータ(以下、PC)と同等の機能を持つ携帯端末が普及しており、これらの携帯端末を業務に導入する企業が増加している。そのため、今後、企業で取り扱っている文書データにおいても、帳票の閲覧時などにタブレット端末やスマートフォンなどの携帯端末が利用されていくことが予想される。
【0004】
タブレット端末やスマートフォンは、表示と入力の2つの機能を備えているタッチパネルを搭載しており、画面内へのアクションをマウスなどの外部ハードウェアを使用せず、タッチパネルへ直接指で触れることで操作を行うことができる。また、スワイプやピンチイン・ピンチアウトなどの固有の基本操作方法がある。
【0005】
画面を掃くように指を移動させるスワイプ操作とは、文書データ表示(画像やPDFファイルなどを含む)などの一般的な文書データの閲覧時において、スクロールやページめくりなどを行うための操作であり、ピンチインとは、画面の縮小、ピンチアウトとは画面の拡大操作のための2本の指先間隔の拡大・縮小の操作として割り当てられることが多い。電子帳票などの文書等をタブレット端末やスマートフォンで閲覧する際も、これらの基本操作に基づいて行う。
【0006】
端末における表示を最適化する技術として、携帯電話などの小型の閲覧者端末に合わせてHTMLの構成を拡張する技術を開示する下記特許文献1、携帯端末においてハイパーリンク先の表示倍率を最適化する技術を開示する下記特許文献2、タッチパネルを搭載した端末において画面遷移時の表示方法を最適化する技術を開示する特許文献3等が挙げられる。
【0007】
また、端末における操作性を向上させる技術として、携帯情報端末装置(Personal Digital Assistants:PDA)のペンタッチ操作による画面遷移を容易にする下記特許文献4、携帯端末においてサイト内ブラウジングと画面内ブラウジングとを相互に切り替えられるブラウジング方法に関する下記特許文献5が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−63155号公報
【特許文献2】特開2010−72754号公報
【特許文献3】特開2005−227853号公報
【特許文献4】特開2004−265142号公報
【特許文献5】特開2008−087871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
タブレット端末やスマートフォンなどのタッチパネルを搭載した携帯端末は、携帯性を重んじるために、デスクトップPCや一般的なノートPCで使われているディスプレイに比べ画面の表示領域が小さく、一度に表示可能な情報量が限られている。これらの携帯端末を利用して文書データを閲覧する場合、閲覧者にとって必要な情報が文書データ表示上に分散して表示されていると、すべての情報を閲覧するためには、閲覧者が画面の表示位置を移動するためのスワイプ操作を頻繁に行う必要があり、閲覧者にとって大きな負担になる。この点に関しては、画面の表示倍率を下げることで文書データ表示の全体を表示可能にし、閲覧者が行うスワイプ操作の頻度を下げ負担を軽減することができる。
【0010】
しかしながら、全体が表示可能になるまでに表示倍率を下げると、文書データ表示中の文字が潰れてしまい閲覧が難しくなる。そこで、閲覧可能になるまで表示倍率を上げるピンチイン操作、閲覧後に全体を表示させるために表示倍率を下げるピンチアウトの操作が必要になる。このように、ピンチイン・ピンチアウトの操作を頻繁に行う必要があり、必ずしも閲覧者の負担を減らすことにはつながらない。また、タブレット端末やスマートフォンに限らず、解像度の低い液晶ディスプレイなどにおいても解像度の高い画像やフォントサイズの小さい文字などを閲覧する際には同様の操作を行う必要があるという問題がある。
【0011】
また、文書データ表示に対して、端末別に書式フォーマットを作成し、各端末用の文書データを新規に作成する方法が考えられる。この場合、閲覧端末がスマートフォンのような小型端末であっても最適な画面構成で文書データを閲覧することが可能である。しかし、すべての文書データに対して端末種別ごとに書式フォーマットを作成する、特に印刷を前提としていた電子帳票等を電子化し携帯端末向け公開する場合には、管理者にとって大きな負担となる。
【0012】
本発明の目的は、表示領域の狭い携帯端末等における閲覧の自由度を向上させるとともに、操作を簡素化する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一観点によれば、文書データを表示部を有する携帯端末に表示させる文書データの表示方法であって、前記携帯端末における表示要求操作を検出するステップと、前記表示要求操作を検出するステップにおいて検出された操作が、前記文書データの項目と該項目の表示位置とを特定することができるレイアウト定義に基づく表示要求であった場合に、前記レイアウト定義に基づいて、前記項目を前記表示位置に表示させるステップと、
を有することを特徴とする文書データの表示方法が提供される。
【0014】
上記文書データの表示方法によれば、文書データの項目と該項目の表示位置とを特定することができるレイアウト定義をしておくことで、表示させたい項目を選択的に表示させることができる。
【0015】
前記レイアウト定義に、前記項目の表示順序が定義されている場合に、前記操作の方向に依存せずに前記表示順序に従って前記項目を順番に表示させることが好ましい。順番を予め定義しておくことで、操作方向に依存せずに、閲覧したい表示を優先的に見ることができる。
【0016】
前記レイアウト定義に、前記項目の表示順序が定義されている場合に、前記操作の方向と前記表示順序の定義とのいずれを選択するかを、操作内容に従って決定することが好ましい。例えば、1本指の操作と2本指の操作とで、異なるレイアウト定義を選択するようにすれば、簡単に表示処理の内容を変更することができる。
【0017】
前記項目を前記表示位置に表示させるステップは、前記レイアウト定義で定義された項目のみを、表示するようにしても良く、前記項目を前記表示位置に表示させるステップは、前記レイアウト定義で定義された項目を拡大し、定義されていない項目を縮小して表示するようにしても良い。
【0018】
本発明は、上記のいずれか1に記載の表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであっても良く、当該プログラムを記録するコンピュータ読みとり可能な記録媒体であっても良い。
【0019】
本発明の他の観点によれば、文書データを携帯端末に表示させる文書データの装置であって、文書データの項目と該項目の表示位置とを特定することができるレイアウト定義データと、様式データと、文書データ本体と、を格納する文書情報データベースに関連付けされ、前記様式データと前記文書データ本体から、端末に依存しない通常の文書データを生成する文書データ生成処理部と、前記レイアウト定義データを基に、前記文書生成処理部で生成された文書データを変更し、各端末に適した文書データを生成する端末別文書データ変換処理部とを有し、前記端末別文書データ生成処理部は、前記レイアウト定義に基づいて、前記項目を前記表示位置に表示させることを特徴とする文書表示装置が提供される。
【0020】
本発明は、上記の構成要素を任意に削除又は追加することが可能である。例えば、上記文書表示装置を、携帯端末内に設けても良いし、携帯端末とネットワーク接続されるサーバ内に設けても良い。
【発明の効果】
【0021】
本発明の文書データの表示技術によれば、次のような効果がある。
表示領域が狭い、もしくは解像度が低いディスプレイを利用して文書データを閲覧する場合でも、既存の電子帳票の書式フォーマットを活用することができ、簡単な操作で、閲覧者が一度に多くの必要な情報を見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態例を示すシステム構成図である。
【図2A】閲覧者端末のシステム構成図である。
【図2B】閲覧者端末のイベント処理部の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】帳票情報データベース内のレイアウト定義データ、帳票データ、帳票様式データのイメージである。
【図4】電子帳票に対してレイアウト定義を設定した例である。
【図5】電子帳票システムの帳票生成処理部のフローチャートである。
【図6】携帯端末上における電子帳票の表示例である。
【図7】図4の電子帳票からレイアウト定義が設定されている項目を抽出した表示例である。
【図8】図4の電子帳票からレイアウト定義が設定されている項目を拡大し、レイアウト定義が設定されていない項目を縮小した表示例である。
【図9】図4の電子帳票に対してスワイプ、スクロール操作の補助機能を利用した際に表示される順番である。
【図10A】図4の電子帳票に対して第1のスワイプ操作を行う際の指の軌跡を表した例である。
【図10B】図4の電子帳票に対して第2のスワイプ操作を行う際の指の軌跡を表した例である。
【図10C】図4の電子帳票に対して第3のスワイプ操作を行う際の指の軌跡を表した例である。
【図11】下方向へのスワイプ、スクロールイベント発生時のイベント処理部のフローチャートである。
【図12】レコード範囲内における下方向へのスワイプ、スクロールイベント発生時のイベント処理部のフローチャートである。
【図13】図4の電子帳票に対して、スワイプ、スクロール操作の補助機能を利用した際の表示例である。
【図14】図13において下方向へのスワイプ、スクロール操作を行った際の表示例である。
【図15】図14において下方向へのスワイプ、スクロール操作を行った際の表示例である。
【図16】図15において下方向へのスワイプ、スクロール操作を行った際の表示例である。
【図17】第1から第3までのスワイプ処理の内容例を示す図であり、図17(A)は、画面を領域XとYとに分割して示した図17(B)に示すスワイプパターン定義の例を示す図である。
【図18】図17の領域Xで、1本指のスワイプ処理を行った際の図10Bの定義に基づく表示例を示す図である。
【図19】図17の領域Xで、2本指のスワイプ処理を行った際の図10Bの定義に基づく表示例を示す図である。
【図20】図17の領域Yで、1本指のスワイプ処理を行った際の図10Cの定義に基づく表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、タブレット端末、スマートフォンなどのタッチパネルを搭載した携帯端末や、表示領域が狭い、携帯電話機等、もしくは、解像度が低いディスプレイ等を利用して文書データ表示を閲覧する場合でも、文書データにおいて、書式フォーマットを画定するために定義されているレイアウト定義情報を利用して、表示の要否、倍率等を決めることで、閲覧者が一度に多くの必要な情報を見ることができる表示方法、及び閲覧者が画面操作を行う負担を減らすものである。
【0024】
以下、本発明の一実施の形態による文書データの表示方法について、電子帳票を例にして詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態による文書データの表示技術を用いた文書データ表示システムの一構成例を示す機能ブロック図である。ここでは、文書データとして、電子帳票を例にして説明するが、他の文書データ、例えば、テキストデータと画像データなどを含むマルチメディアデータなどにも適用できる。
【0026】
本実施の形態による電子帳票(表示)システム101は、例えば、文書データ表示におけるレイアウトを画定するための、項目を特定するための項目ID(項目の内容自体でも良い。)などと、項目ID項目を表示させる位置情報を特定するための位置情報IDと、の組からなるレイアウト定義データ102と、電子帳票内の各コンテンツを描画するための位置情報などの様式情報である帳票様式データ103と、電子帳票の文字情報等、すなわち、項目名や日付、項目の内容等のデータである帳票データ104の内容自体を保持する帳票情報データベース105と、を備えている。帳票様式データ103における位置情報は、位置情報IDによりとレイアウト定義データ102と関連付けされ、帳票データ104の内容は、項目IDによりレイアウト定義データ102と関連付けされている。データベースは、1つで、記憶領域で分けられている形態でも良い。
【0027】
また、電子帳票システム101と閲覧者が電子帳票の閲覧、画面操作を行うための閲覧者端末106または107との間で電子帳票情報の送受信をするための、インターネットやLANなどのネットワーク108を備えている。閲覧者端末106は、デスクトップ型PCやノート型PC等であり、閲覧者端末107はタブレット端末やスマートフォンなどのタッチパネル機能などを搭載した携帯端末を表す。操作ボタンによる操作を行う携帯電話機にも適用可能である。
【0028】
電子帳票システム101の帳票生成処理部109では、帳票様式データ103と帳票データ104から、端末に依存しない通常の電子帳票データを生成する。端末別帳票変換処理部110では、レイアウト定義データ102を基に、帳票生成処理部109で生成された電子帳票を変更し、各閲覧者端末に適した電子帳票データを生成する。端末別帳票生成処理部110は、閲覧者端末107や解像度が低いディスプレイを使用した状態の閲覧者端末106で電子帳票を表示するために使用され、帳票様式データを変更することなく、各端末に最適な状態で電子帳票を表示させることができる。
【0029】
尚、電子帳票システム101内の機能を実行させるためのプログラムを、閲覧者端末106、107内の記憶装置204内に格納して、そのCPUにより以下の記憶を実行させるようにしても良い。
【0030】
図2Aは、閲覧者端末106の一構成例を示す機能ブロック図である。図2Aに示すように、閲覧者端末106は、電子帳票を表示させるための表示部201と、電子帳票システム101から電子帳票の情報を受信し、記憶装置204の設定情報及び帳票閲覧要求を送信する送受信部202と、スワイプ操作やピンチイン・ピンチアウト操作などのタッチイベントやマウスのスクロール操作などの発生時に処理を行うイベント処理部203と、閲覧者が設定した電子帳票の閲覧方法を記憶する記憶装置204と、を備える。記憶装置204に記憶された電子帳票の閲覧方法は、例えば、必要な項目のみを抽出して表示するレイアウト抽出モードと、必要な項目を拡大し、その他の項目を縮小して表示するレイアウト拡大モード、通常通り表示する通常モード、の3つの設定情報が存在する。各設定情報の詳細については図5を参照しながら説明する。
【0031】
図2Bは、端末106、107のイベント処理部203の一構成例を示す機能ブロック図である。イベント処理部203は、スワイプ操作やピンチイン・ピンチアウト操作などの端末106、107のタッチイベントやマウスのスクロール操作に基づく入力を検出する入力検出部203−1と、電子帳票データ内のレイアウト定義を探索するレイアウト定義探索部203−2と、探索したレイアウト定義の内容を判断するレイアウト定義データ判断部203−3と、判断されたレイアウト定義の内容に基づいて電子帳票の表示を制御する表示制御部203−4と、を有し、表示制御部203−4は、表示部201に接続されているため、レイアウト定義に沿った表示を行うことができる。
尚、この実施の形態では、端末106、107側に、上記のような、入力検出部203−1と、レイアウト定義探索部203−2と、レイアウト定義データ判断部203−3と、表示制御部203−4と、を持たせる例を示すが、これらの機能のうち、全て又は一部を、電子帳票システム101内の主として、端末別帳票変換処理部110に持たせるようにしても良い。
【0032】
前者の場合には、端末側の処理負担が大きくなるが、ネットワーク108経由のデータや命令のやり取りを最小限にできるため、入力の検出から表示までを高速に行うことができる。一方、後者の場合には、ネットワーク108経由のデータや命令のやり取りが多くなるが、端末側の処理負担は小さくなる。
【0033】
以下においては、端末別帳票変換処理部110に機能を持たせた例について説明する。
図3は、帳票情報データベース105内に格納されたレイアウト定義データ102と帳票様式データ103、帳票データ104の概要を示す図である。レイアウト定義データ102は、閲覧者または管理者が、電子帳票に対して、検索などを目的として作成したデータであり、例えばページ単位に固有の項目102aや繰り返しデータが出力されるレコード項目102b、102cなどの定義情報を保持する。帳票様式データ103は、罫線などの書式情報を保持する。帳票データ104は、可変項目に対する文字情報及びその位置情報を保持する。図3では、文書データ(電子帳票)の例として売り上げ伝票が例示されている。
【0034】
図4は、売り上げ伝票を例にして、電子帳票400に対してレイアウト定義を行った設定例を示した図である。売り上げ伝票400は、XXXXX株式会社などのタイトル表示401と、年月日420−1、伝票番号420−2、製品名420−3、単価420−4、数量420−5、売り上げ420−6が、項目名として例示されている。
【0035】
レイアウト定義として、ページ項目401と、レコード範囲402において、レコード403、レコード403に対して伝票番号列410の各項目411、412、413、414と、売上の項目420の各項目421、422、423、424とが定義されている。すなわち、レイアウト定義は、これらの定義において、項目と、欄の位置すなわち表示位置とが組みになって定義されていることになる。ここでは、項目とは項目を特定する項目のID等、欄の位置とは項目を表示させる位置情報のID等で定義することができる。
【0036】
以下、図4の電子帳票を、閲覧者端末106,107で表示させる場合を例にして説明する。
【0037】
図5は、電子帳票システム101の端末別帳票変換処理部110における処理の流れを示すフローチャート図である。端末別帳票変換処理部110は、閲覧者端末106または107からの閲覧者の入力操作等に基づく要求であって、通常モード以外の帳票閲覧要求を受信した際に処理が開始される。処理が開始されると、閲覧者端末106、107の帳票閲覧要求が、レイアウト抽出モードか、レイアウト拡大モードかを確認する(ステップ501)。
【0038】
帳票閲覧要求が通常モードだった場合は、図4の帳票情報をそのまま閲覧者端末に送信する。例えば、閲覧者端末106において、図4の電子帳票を閲覧した場合、図6のように表示される。すなわち、電子帳票400のうちの表示範囲601がそのまま、閲覧者端末106、107の表示部201において、そのままスケーリングされて表示される。項目401は表示401a、項目420は表示420aに対応する。
【0039】
もし、閲覧者が、図4に示す電子帳票の伝票番号項目列410と売上項目列420の情報のみを表示させたい場合には、閲覧者端末106において、伝票番号411の場所まで操作により画面表示を移動させて確認した後、さらに、売上421まで画面表示を移動させるあめの操作を行う必要がある。また、同じ表示動作を、レコード403以降のレコードにおいても繰り返し行うため、閲覧者は、頻繁にスワイプ操作を行う必要がある。このように、携帯端末を利用している閲覧者にとって、通常モードでの表示を行わせる際の操作負担が大きい。
【0040】
帳票閲覧要求がレイアウト抽出モードであった場合は(ステップ501でY)、帳票様式データ103と帳票データ104とからレイアウト定義が設定されている項目のみを抽出し(ステップ502)、閲覧者端末106に帳票情報を送信する(ステップ505)。ここで、電子帳票では繰り返し項目などのレコード範囲内の情報を除いて、データ項目の位置関係には大きな意味はないと考えられる。従って、レイアウト抽出モードでは、例えば、レイアウト項目を上から順番に抽出し、レイアウト項目を左詰にして表示していく。
【0041】
例えば、図4の電子帳票を抽出モードで表示させた場合には、図7のように、ページ項目401とレコード範囲402内の伝票番号項目列410、売上項目列420のみを帳票様式データの位置情報を基にして抽出を行い、ページ項目401、伝票番号項目420−1と売上項目列420−2を含んだレコード範囲の順番に、それぞれ左詰に表示される。このレイアウト抽出モードを利用することにより、余分な表示を除くことができ、表示領域の有効利用により、閲覧者は必要なデータのみに注目することができる。レイアウト抽出モードは、閲覧者端末107がスマートフォンのように比較的小さい画面の際に、特に有効である。
【0042】
一方、帳票閲覧要求がレイアウト拡大モードであった場合は(ステップ501でN)、帳票様式データ103と帳票データ104とからレイアウト定義が設定されている項目については文字サイズなどを拡大し(ステップ503)、レイアウト定義が設定されていない箇所を縮小する(ステップ504)。このように加工した帳票データを、閲覧者端末に送信する(ステップ505)。例えば、図4の電子帳票を拡大モードで表示した場合は、図8のように、図4のページ項目401とレコード範囲402内の伝票番号項目列410(420−2)、売上項目列420(420−6)を、設定済みのレイアウト定義に沿って、帳票様式データの位置情報を基に拡大表示し、レイアウト定義が設定されていない箇所(420−1、3、4、5)は、拡大した分だけ縮小表示を行う。
【0043】
このように、レイアウト拡大モードによる表示を行わせることで、余分な領域を最小限に残しつつ、閲覧者は必要なデータに注目することができる。
【0044】
また、必要なデータに関しては、文字サイズなどを拡大表示することにより、解像度が低いディスプレイにおいても、電子帳票全体の表示倍率を下げた状態で閲覧が可能である。加えて、通常表示した場合に比べ、閲覧者は一度に多くの情報を得ることができる。レイアウト拡大モードは、閲覧者端末107がタブレット端末のように比較的大きい画面の場合や、閲覧者端末106において、解像度の低いディスプレイを利用している場合に有効である。
【0045】
このように、レイアウト抽出モード、レイアウト拡大モードを活用することにより、タブレット端末やスマートフォンなどの閲覧者端末107や解像度の低いディスプレイを利用している閲覧者端末106において、電子帳票を最適化して表示することが可能になる。
【0046】
次に、帳票表示操作の最適化について説明する。タッチパネルを搭載した閲覧者端末107等では、スワイプ操作により画面の移動を行い、閲覧者端末106などの通常のPCではマウスのスクロール操作により画面移動を行う。例えば、タッチパネルを搭載した閲覧者端末107で、図9に示す項目を白抜きの○内の数字901をスタートとした順番で表示させる場合に、閲覧者がスワイプ操作を行い、各項目を白抜きの数字901に示す順番にたどっていくのが一般的である。
【0047】
図10Aは、閲覧者がスワイプ操作を行った際の指の軌跡を示した例である。閲覧者は目的の項目を表示させるために、白抜きの○内の数字の順番と、指の移動距離や指の移動速度などを意識しつつたどる必要があるため、何度もスワイプ操作を行う必要があることがわかる。また、文字サイズが小さい場合はピンチイン・ピンチアウトの操作も行う必要があり、これらの操作は閲覧者にとって大きな負担となる。
【0048】
そこで、電子帳票にレイアウト定義を行っておき、閲覧者が下方向へのスワイプ操作やスクロール操作を行った際に、レイアウト定義されている項目を順番に表示するように画面遷移の制御を行うようにする(数字により、表示に関する湯煎順位を定義している)。これにより、閲覧者は数回のスワイプ操作で図9の項目を順番に閲覧することができるようになる。例えば、タブレット端末のような画面の大きい端末では1回のスワイプ操作ですべての項目を閲覧することも可能になる。このようなスワイプ操作の補助を行うための設定は閲覧者端末106、107の記憶装置204に設定しておくことが可能である。電子帳票閲覧時、記憶装置204にスワイプ、スクロール操作の補助をする設定が有効であった場合、イベント処理部203が、閲覧者が行った操作に基づいた表示を制御する。
【0049】
図11は、端末106、107の表示部201の画面上において、下方向へのスワイプ、スクロールイベントが発生した時のイベント処理部203における処理の流れを示すフローチャート図である。イベント処理部203は、表示しているページ項目、またはレコード範囲内における終端の項目に対してスワイプ、スクロール操作を行った際に開始される。帳票様式データ103に対して、図10A等に示すような、下方向、及び、右方向への走査を行い(ステップ1101)、次の、レコード項目、または、ページ項目であるか否かを確認する(ステップ1102、ステップ1103)。
【0050】
ステップ1102でレイアウト定義がページ項目であった場合は(ステップ1102でY)、ページ項目を表示部201表示するように制御する(ステップ1104)。レイアウト定義がレコード項目であった場合は(ステップ1103でY)、レコード範囲内の先頭のレコードの先頭の項目を表示する(ステップ1105)。ページ項目またはレコード項目が電子帳票の終端まで見つからなかった場合はダイアログを表示し閲覧者に通知する(ステップ1102、1103でN、ステップ1106)。例えば、図4の電子帳票を閲覧者端末106で表示した場合、まず、図13のように先頭のページ項目である401を中心に表示する。そして、閲覧者が下方向へのスワイプ操作1401を行うと、次のレイアウト定義であるレコード範囲内の先頭レコード403の先頭の項目である伝票番号項目411を中心に図14のように表示するために画面の移動1402が行われる。このように、スワイプ方向とは独立して、スワイプ操作に応じて、レイアウト定義の順番に従って、画面表示が順次行われる。この場合には、スワイプ操作は、レイアウト定義の襦袢に沿って次の項目に移動させる契機となる操作となる。
【0051】
図12は、レコード範囲内(例えば、2011年8月01日のレコードであればその行の範囲内)における下方向へのスワイプ、スクロールイベント発生時のイベント処理部203における処理の流れを示すフローチャート図である。ここでは、タッチイベント処理部203が、表示しているレコード範囲内の項目に対してスワイプ、スクロール操作を行った際に開始される。処理が開始されると、現在表示中の項目(例えば420−2)と同一のレコード内(例えば2011年8月01日の伝票番号0001のレコードであればその行方向)に次の項目が存在するかを否かを確認し(ステップ1201)、2011年8月01日の伝票番号0001のレコードの行方向に次の項目が存在する場合は(Y)、次の項目まで画面移動し(ステップ1202)、表示対象の項目を表示する。例えば、図14の表示状態で下方向へのスワイプ、スクロールイベント1501が発生した場合、図15のように現在の表示状態である伝票番号項目410の同一レコード403(2011年8月01日の伝票番号0001のレコード)内の次の項目である売上項目421(420−6)の表示位置まで画面の移動1502を行う。
【0052】
同一レコードに次の項目が存在しない場合は(N)、次のレコードが存在するかを確認し(ステップ1204)、次のレコードが存在する場合は、次のレコード(2011年8月01日の伝票番号0002のレコード)の先頭の項目(図15の(4))に移動し(ステップ1205)、表示対象の項目を表示する(ステップ1203)。例えば、図15の表示状態で下方向へのスワイプイベント1601が発生した場合、レコード421(図4参照)には次の項目が存在しないため、レコード403の次のレコードであるレコード404(2011年8月01日の伝票番号0002のレコード)への移動を行い、図16のようにレコード404の先頭の項目である伝票番号項目(0002)412の表示位置まで画面の移動1602を行う。
【0053】
次のレコードが存在するかを確認し(ステップ1204)、次のレコードが存在しない場合は(ステップ1204でN)、図11のフローチャート図により判定を行う。
【0054】
下方向への移動操作は、スワイプ操作やマウスホイールによるスクロール操作に限らず、画面上に新たに操作ボタンを表示したり、新たにタッチイベントを定義したりしても良い。
【0055】
本実施例の電子帳票の閲覧方法においては、電子帳票において、検索を行う項目を設定しているレイアウト定義情報を利用した、電子帳票の閲覧方法であって、既存の帳票様式データを利用して端末ごとに自動的に電子帳票の表示方法を変えることができる方法として、レイアウト定義情報が設定されている項目のみを抽出して表示する手段と、レイアウト定義情報が設定されている項目の文字サイズなどを拡大し、レイアウト定義情報が設定されていない項目を縮小して表示する手段と、タッチパネルを搭載した画面に触れた状態で指を滑らせるスワイプ操作や、マウスホイールや端末のボタンなどによるスクロール操作を行った際に、レイアウト定義が設定されている項目のみを順番に表示していく手段を設けたものである。
【0056】
以下に、本実施の形態のいくつかの変形例について説明する。
(変形例)
(1)図10Bは、図9をベースに、白抜きの○内の数字で示した表示に関する優先順位の定義を、図10Aと異なるように定義した例を示す図である。すなわち、図10Bでは、同じ伝票番号項目420−2の列を上から下に向けで順番付けしていき、次いで、売り上げ項目420−6の列を上から下に向けて表示に関する優先順位について順番付けして定義している。
(2)図10Cは、図9をベースに、白抜きの○内の数字で示した優先順位の定義を、図10A・Bと異なるように定義した例を示す図である。すなわち、図10Cでは、同じ伝票番号項目420−2の列を上から下に向けでの順番付けの組(上下)と、売り上げ項目420−6の列を上から下に向けての順番付けの組(上下)と、伝票番号項目420−2の列と売り上げ項目420−6の列との組(左右)と、を有している。
【0057】
以下に、図10Aから図10Cまでに例示した表示の優先順位に関して、実際の操作を行った場合の、端末における表示例を説明する。
【0058】
図17は、端末107の表示画面において左右にそれぞれ画定される領域X1701と領域Y1702とにおける、スワイプ操作の例を示す図である。
【0059】
図10Aの定義において、領域Xにおいて、1本指の上下方向へのスワイプ操作1703が行われると、図17(B)及び図18に示すように、下方向へのスワイプで符号903に示す数字に沿って、会社名401から伝票番号の列に符号1802で示す白抜きの矢印で示すように、AR5で示す領域が、表示画面で拡大されて表示される。次は、白抜きの○内の数字3で示される売り上げ項目に移動する。
【0060】
この動作は、上記図10A、図12から図16までで説明した通りの、スワイプ方向には依存しない、図10Aの定義に沿った表示処理である。この場合のスワイプ操作は、図10Aの定義に沿った表示処理を順番に行わせるための契機となる操作である。
【0061】
図10B及び図17(B)に示すように、例えば、下方向への2本指のスワイプを行うと、図19に示すように、符号903に示す数字に沿って、会社名401から伝票番号の列に符号1802で示す白抜きの矢印で示すように、AR5で示す領域が、表示画面で拡大されて表示される。次は、白抜きの○内の数字3で示される売り上げ項目に移動する。
【0062】
この動作は、表示の順番としては上記図10Bの定義を選択し、かつ、スワイプ方向には依存しない、図10Aの定義に沿った表示処理である。この場合のスワイプ操作は、図10Bの定義に沿った表示処理を順番に行わせるための契機となる操作である。
【0063】
このように、1本指の操作と2本指の操作とで、図10Aの表示処理にするか、図10Bの表示処理にするかを切り替えることができる。このように、1本指と2本指との操作に依存して、表示処理を簡単に切り替えることができる。
【0064】
図10C及び図17(B)に示すように、図19の操作に続いて、上記の領域Xとは異なる領域Yにわたって、上下左右方向に1本指のスワイプ、ここでは、右から左へのスワイプ操作を行うと、図20に示すように、AR7−1からAR7−2のように(符号1502の矢印)に示すように、白抜きの○内の数字で示される順番には依存せず、スワイプ方向に向けて、伝票番号の列から売り上げの列に向けて図10Cに示すように、操作方向に従って、表示が移動する。すなわち、図20の場合には、異なる領域でスワイプを行うという操作により、定義付け順番に依存せずに一般的なスワイプ操作方向に依存する表示の移動が行われる。
【0065】
このような操作と表示処理との関連付けの規則は、予めきめておいても良く、或いは、後からユーザが定義しても良い。そのルールは、表示されてユーザの操作をガイドするようにすると判りやすい。
【0066】
このように、スワイプ、スクロール操作の補助を行うことで閲覧者の負担を減らし、最低限のスワイプ、スクロール操作で必要な項目を閲覧することが可能になる。また、レイアウト抽出モード、またはレイアウト拡大モードの表示最適化方法と、このスワイプ、スクロール操作の補助とを併用することで、閲覧者は必要な情報のみを最低限の操作で閲覧することが可能になる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものであり、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、文書データの表示方法として利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
101…電子帳票システム、102…レイアウト定義データ、103…帳票様式データ、104…帳票データ、105…帳票情報データベース、106・107…閲覧者端末、108…ネットワーク、109…帳票生成処理部、110…端末別帳票変換処理部、201…表示部、202…送受信部、203…イベント処理部、204…記憶装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書データの表示技術であって、例えば、電子帳票等の文書データに含まれるレイアウト定義情報を利用し、表示及び操作の最適化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ペーパーレス化による業務の効率化や省資源化を目的に、紙媒体の情報を文書データに置き換える企業が増加している。例えば、社内で運用されている業務帳票もその対象となることが多く、特に基幹系システムが出力する帳票は大量のページ数を出力するため運用コストが莫大なものになることから、帳票の電子化が積極的に行われている。電子化された電子帳票は、主にパソコン上で閲覧などの操作が行われている。
【0003】
現在、タブレット端末やスマートフォンなど、パーソナルコンピュータ(以下、PC)と同等の機能を持つ携帯端末が普及しており、これらの携帯端末を業務に導入する企業が増加している。そのため、今後、企業で取り扱っている文書データにおいても、帳票の閲覧時などにタブレット端末やスマートフォンなどの携帯端末が利用されていくことが予想される。
【0004】
タブレット端末やスマートフォンは、表示と入力の2つの機能を備えているタッチパネルを搭載しており、画面内へのアクションをマウスなどの外部ハードウェアを使用せず、タッチパネルへ直接指で触れることで操作を行うことができる。また、スワイプやピンチイン・ピンチアウトなどの固有の基本操作方法がある。
【0005】
画面を掃くように指を移動させるスワイプ操作とは、文書データ表示(画像やPDFファイルなどを含む)などの一般的な文書データの閲覧時において、スクロールやページめくりなどを行うための操作であり、ピンチインとは、画面の縮小、ピンチアウトとは画面の拡大操作のための2本の指先間隔の拡大・縮小の操作として割り当てられることが多い。電子帳票などの文書等をタブレット端末やスマートフォンで閲覧する際も、これらの基本操作に基づいて行う。
【0006】
端末における表示を最適化する技術として、携帯電話などの小型の閲覧者端末に合わせてHTMLの構成を拡張する技術を開示する下記特許文献1、携帯端末においてハイパーリンク先の表示倍率を最適化する技術を開示する下記特許文献2、タッチパネルを搭載した端末において画面遷移時の表示方法を最適化する技術を開示する特許文献3等が挙げられる。
【0007】
また、端末における操作性を向上させる技術として、携帯情報端末装置(Personal Digital Assistants:PDA)のペンタッチ操作による画面遷移を容易にする下記特許文献4、携帯端末においてサイト内ブラウジングと画面内ブラウジングとを相互に切り替えられるブラウジング方法に関する下記特許文献5が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−63155号公報
【特許文献2】特開2010−72754号公報
【特許文献3】特開2005−227853号公報
【特許文献4】特開2004−265142号公報
【特許文献5】特開2008−087871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
タブレット端末やスマートフォンなどのタッチパネルを搭載した携帯端末は、携帯性を重んじるために、デスクトップPCや一般的なノートPCで使われているディスプレイに比べ画面の表示領域が小さく、一度に表示可能な情報量が限られている。これらの携帯端末を利用して文書データを閲覧する場合、閲覧者にとって必要な情報が文書データ表示上に分散して表示されていると、すべての情報を閲覧するためには、閲覧者が画面の表示位置を移動するためのスワイプ操作を頻繁に行う必要があり、閲覧者にとって大きな負担になる。この点に関しては、画面の表示倍率を下げることで文書データ表示の全体を表示可能にし、閲覧者が行うスワイプ操作の頻度を下げ負担を軽減することができる。
【0010】
しかしながら、全体が表示可能になるまでに表示倍率を下げると、文書データ表示中の文字が潰れてしまい閲覧が難しくなる。そこで、閲覧可能になるまで表示倍率を上げるピンチイン操作、閲覧後に全体を表示させるために表示倍率を下げるピンチアウトの操作が必要になる。このように、ピンチイン・ピンチアウトの操作を頻繁に行う必要があり、必ずしも閲覧者の負担を減らすことにはつながらない。また、タブレット端末やスマートフォンに限らず、解像度の低い液晶ディスプレイなどにおいても解像度の高い画像やフォントサイズの小さい文字などを閲覧する際には同様の操作を行う必要があるという問題がある。
【0011】
また、文書データ表示に対して、端末別に書式フォーマットを作成し、各端末用の文書データを新規に作成する方法が考えられる。この場合、閲覧端末がスマートフォンのような小型端末であっても最適な画面構成で文書データを閲覧することが可能である。しかし、すべての文書データに対して端末種別ごとに書式フォーマットを作成する、特に印刷を前提としていた電子帳票等を電子化し携帯端末向け公開する場合には、管理者にとって大きな負担となる。
【0012】
本発明の目的は、表示領域の狭い携帯端末等における閲覧の自由度を向上させるとともに、操作を簡素化する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一観点によれば、文書データを表示部を有する携帯端末に表示させる文書データの表示方法であって、前記携帯端末における表示要求操作を検出するステップと、前記表示要求操作を検出するステップにおいて検出された操作が、前記文書データの項目と該項目の表示位置とを特定することができるレイアウト定義に基づく表示要求であった場合に、前記レイアウト定義に基づいて、前記項目を前記表示位置に表示させるステップと、
を有することを特徴とする文書データの表示方法が提供される。
【0014】
上記文書データの表示方法によれば、文書データの項目と該項目の表示位置とを特定することができるレイアウト定義をしておくことで、表示させたい項目を選択的に表示させることができる。
【0015】
前記レイアウト定義に、前記項目の表示順序が定義されている場合に、前記操作の方向に依存せずに前記表示順序に従って前記項目を順番に表示させることが好ましい。順番を予め定義しておくことで、操作方向に依存せずに、閲覧したい表示を優先的に見ることができる。
【0016】
前記レイアウト定義に、前記項目の表示順序が定義されている場合に、前記操作の方向と前記表示順序の定義とのいずれを選択するかを、操作内容に従って決定することが好ましい。例えば、1本指の操作と2本指の操作とで、異なるレイアウト定義を選択するようにすれば、簡単に表示処理の内容を変更することができる。
【0017】
前記項目を前記表示位置に表示させるステップは、前記レイアウト定義で定義された項目のみを、表示するようにしても良く、前記項目を前記表示位置に表示させるステップは、前記レイアウト定義で定義された項目を拡大し、定義されていない項目を縮小して表示するようにしても良い。
【0018】
本発明は、上記のいずれか1に記載の表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであっても良く、当該プログラムを記録するコンピュータ読みとり可能な記録媒体であっても良い。
【0019】
本発明の他の観点によれば、文書データを携帯端末に表示させる文書データの装置であって、文書データの項目と該項目の表示位置とを特定することができるレイアウト定義データと、様式データと、文書データ本体と、を格納する文書情報データベースに関連付けされ、前記様式データと前記文書データ本体から、端末に依存しない通常の文書データを生成する文書データ生成処理部と、前記レイアウト定義データを基に、前記文書生成処理部で生成された文書データを変更し、各端末に適した文書データを生成する端末別文書データ変換処理部とを有し、前記端末別文書データ生成処理部は、前記レイアウト定義に基づいて、前記項目を前記表示位置に表示させることを特徴とする文書表示装置が提供される。
【0020】
本発明は、上記の構成要素を任意に削除又は追加することが可能である。例えば、上記文書表示装置を、携帯端末内に設けても良いし、携帯端末とネットワーク接続されるサーバ内に設けても良い。
【発明の効果】
【0021】
本発明の文書データの表示技術によれば、次のような効果がある。
表示領域が狭い、もしくは解像度が低いディスプレイを利用して文書データを閲覧する場合でも、既存の電子帳票の書式フォーマットを活用することができ、簡単な操作で、閲覧者が一度に多くの必要な情報を見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態例を示すシステム構成図である。
【図2A】閲覧者端末のシステム構成図である。
【図2B】閲覧者端末のイベント処理部の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】帳票情報データベース内のレイアウト定義データ、帳票データ、帳票様式データのイメージである。
【図4】電子帳票に対してレイアウト定義を設定した例である。
【図5】電子帳票システムの帳票生成処理部のフローチャートである。
【図6】携帯端末上における電子帳票の表示例である。
【図7】図4の電子帳票からレイアウト定義が設定されている項目を抽出した表示例である。
【図8】図4の電子帳票からレイアウト定義が設定されている項目を拡大し、レイアウト定義が設定されていない項目を縮小した表示例である。
【図9】図4の電子帳票に対してスワイプ、スクロール操作の補助機能を利用した際に表示される順番である。
【図10A】図4の電子帳票に対して第1のスワイプ操作を行う際の指の軌跡を表した例である。
【図10B】図4の電子帳票に対して第2のスワイプ操作を行う際の指の軌跡を表した例である。
【図10C】図4の電子帳票に対して第3のスワイプ操作を行う際の指の軌跡を表した例である。
【図11】下方向へのスワイプ、スクロールイベント発生時のイベント処理部のフローチャートである。
【図12】レコード範囲内における下方向へのスワイプ、スクロールイベント発生時のイベント処理部のフローチャートである。
【図13】図4の電子帳票に対して、スワイプ、スクロール操作の補助機能を利用した際の表示例である。
【図14】図13において下方向へのスワイプ、スクロール操作を行った際の表示例である。
【図15】図14において下方向へのスワイプ、スクロール操作を行った際の表示例である。
【図16】図15において下方向へのスワイプ、スクロール操作を行った際の表示例である。
【図17】第1から第3までのスワイプ処理の内容例を示す図であり、図17(A)は、画面を領域XとYとに分割して示した図17(B)に示すスワイプパターン定義の例を示す図である。
【図18】図17の領域Xで、1本指のスワイプ処理を行った際の図10Bの定義に基づく表示例を示す図である。
【図19】図17の領域Xで、2本指のスワイプ処理を行った際の図10Bの定義に基づく表示例を示す図である。
【図20】図17の領域Yで、1本指のスワイプ処理を行った際の図10Cの定義に基づく表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、タブレット端末、スマートフォンなどのタッチパネルを搭載した携帯端末や、表示領域が狭い、携帯電話機等、もしくは、解像度が低いディスプレイ等を利用して文書データ表示を閲覧する場合でも、文書データにおいて、書式フォーマットを画定するために定義されているレイアウト定義情報を利用して、表示の要否、倍率等を決めることで、閲覧者が一度に多くの必要な情報を見ることができる表示方法、及び閲覧者が画面操作を行う負担を減らすものである。
【0024】
以下、本発明の一実施の形態による文書データの表示方法について、電子帳票を例にして詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態による文書データの表示技術を用いた文書データ表示システムの一構成例を示す機能ブロック図である。ここでは、文書データとして、電子帳票を例にして説明するが、他の文書データ、例えば、テキストデータと画像データなどを含むマルチメディアデータなどにも適用できる。
【0026】
本実施の形態による電子帳票(表示)システム101は、例えば、文書データ表示におけるレイアウトを画定するための、項目を特定するための項目ID(項目の内容自体でも良い。)などと、項目ID項目を表示させる位置情報を特定するための位置情報IDと、の組からなるレイアウト定義データ102と、電子帳票内の各コンテンツを描画するための位置情報などの様式情報である帳票様式データ103と、電子帳票の文字情報等、すなわち、項目名や日付、項目の内容等のデータである帳票データ104の内容自体を保持する帳票情報データベース105と、を備えている。帳票様式データ103における位置情報は、位置情報IDによりとレイアウト定義データ102と関連付けされ、帳票データ104の内容は、項目IDによりレイアウト定義データ102と関連付けされている。データベースは、1つで、記憶領域で分けられている形態でも良い。
【0027】
また、電子帳票システム101と閲覧者が電子帳票の閲覧、画面操作を行うための閲覧者端末106または107との間で電子帳票情報の送受信をするための、インターネットやLANなどのネットワーク108を備えている。閲覧者端末106は、デスクトップ型PCやノート型PC等であり、閲覧者端末107はタブレット端末やスマートフォンなどのタッチパネル機能などを搭載した携帯端末を表す。操作ボタンによる操作を行う携帯電話機にも適用可能である。
【0028】
電子帳票システム101の帳票生成処理部109では、帳票様式データ103と帳票データ104から、端末に依存しない通常の電子帳票データを生成する。端末別帳票変換処理部110では、レイアウト定義データ102を基に、帳票生成処理部109で生成された電子帳票を変更し、各閲覧者端末に適した電子帳票データを生成する。端末別帳票生成処理部110は、閲覧者端末107や解像度が低いディスプレイを使用した状態の閲覧者端末106で電子帳票を表示するために使用され、帳票様式データを変更することなく、各端末に最適な状態で電子帳票を表示させることができる。
【0029】
尚、電子帳票システム101内の機能を実行させるためのプログラムを、閲覧者端末106、107内の記憶装置204内に格納して、そのCPUにより以下の記憶を実行させるようにしても良い。
【0030】
図2Aは、閲覧者端末106の一構成例を示す機能ブロック図である。図2Aに示すように、閲覧者端末106は、電子帳票を表示させるための表示部201と、電子帳票システム101から電子帳票の情報を受信し、記憶装置204の設定情報及び帳票閲覧要求を送信する送受信部202と、スワイプ操作やピンチイン・ピンチアウト操作などのタッチイベントやマウスのスクロール操作などの発生時に処理を行うイベント処理部203と、閲覧者が設定した電子帳票の閲覧方法を記憶する記憶装置204と、を備える。記憶装置204に記憶された電子帳票の閲覧方法は、例えば、必要な項目のみを抽出して表示するレイアウト抽出モードと、必要な項目を拡大し、その他の項目を縮小して表示するレイアウト拡大モード、通常通り表示する通常モード、の3つの設定情報が存在する。各設定情報の詳細については図5を参照しながら説明する。
【0031】
図2Bは、端末106、107のイベント処理部203の一構成例を示す機能ブロック図である。イベント処理部203は、スワイプ操作やピンチイン・ピンチアウト操作などの端末106、107のタッチイベントやマウスのスクロール操作に基づく入力を検出する入力検出部203−1と、電子帳票データ内のレイアウト定義を探索するレイアウト定義探索部203−2と、探索したレイアウト定義の内容を判断するレイアウト定義データ判断部203−3と、判断されたレイアウト定義の内容に基づいて電子帳票の表示を制御する表示制御部203−4と、を有し、表示制御部203−4は、表示部201に接続されているため、レイアウト定義に沿った表示を行うことができる。
尚、この実施の形態では、端末106、107側に、上記のような、入力検出部203−1と、レイアウト定義探索部203−2と、レイアウト定義データ判断部203−3と、表示制御部203−4と、を持たせる例を示すが、これらの機能のうち、全て又は一部を、電子帳票システム101内の主として、端末別帳票変換処理部110に持たせるようにしても良い。
【0032】
前者の場合には、端末側の処理負担が大きくなるが、ネットワーク108経由のデータや命令のやり取りを最小限にできるため、入力の検出から表示までを高速に行うことができる。一方、後者の場合には、ネットワーク108経由のデータや命令のやり取りが多くなるが、端末側の処理負担は小さくなる。
【0033】
以下においては、端末別帳票変換処理部110に機能を持たせた例について説明する。
図3は、帳票情報データベース105内に格納されたレイアウト定義データ102と帳票様式データ103、帳票データ104の概要を示す図である。レイアウト定義データ102は、閲覧者または管理者が、電子帳票に対して、検索などを目的として作成したデータであり、例えばページ単位に固有の項目102aや繰り返しデータが出力されるレコード項目102b、102cなどの定義情報を保持する。帳票様式データ103は、罫線などの書式情報を保持する。帳票データ104は、可変項目に対する文字情報及びその位置情報を保持する。図3では、文書データ(電子帳票)の例として売り上げ伝票が例示されている。
【0034】
図4は、売り上げ伝票を例にして、電子帳票400に対してレイアウト定義を行った設定例を示した図である。売り上げ伝票400は、XXXXX株式会社などのタイトル表示401と、年月日420−1、伝票番号420−2、製品名420−3、単価420−4、数量420−5、売り上げ420−6が、項目名として例示されている。
【0035】
レイアウト定義として、ページ項目401と、レコード範囲402において、レコード403、レコード403に対して伝票番号列410の各項目411、412、413、414と、売上の項目420の各項目421、422、423、424とが定義されている。すなわち、レイアウト定義は、これらの定義において、項目と、欄の位置すなわち表示位置とが組みになって定義されていることになる。ここでは、項目とは項目を特定する項目のID等、欄の位置とは項目を表示させる位置情報のID等で定義することができる。
【0036】
以下、図4の電子帳票を、閲覧者端末106,107で表示させる場合を例にして説明する。
【0037】
図5は、電子帳票システム101の端末別帳票変換処理部110における処理の流れを示すフローチャート図である。端末別帳票変換処理部110は、閲覧者端末106または107からの閲覧者の入力操作等に基づく要求であって、通常モード以外の帳票閲覧要求を受信した際に処理が開始される。処理が開始されると、閲覧者端末106、107の帳票閲覧要求が、レイアウト抽出モードか、レイアウト拡大モードかを確認する(ステップ501)。
【0038】
帳票閲覧要求が通常モードだった場合は、図4の帳票情報をそのまま閲覧者端末に送信する。例えば、閲覧者端末106において、図4の電子帳票を閲覧した場合、図6のように表示される。すなわち、電子帳票400のうちの表示範囲601がそのまま、閲覧者端末106、107の表示部201において、そのままスケーリングされて表示される。項目401は表示401a、項目420は表示420aに対応する。
【0039】
もし、閲覧者が、図4に示す電子帳票の伝票番号項目列410と売上項目列420の情報のみを表示させたい場合には、閲覧者端末106において、伝票番号411の場所まで操作により画面表示を移動させて確認した後、さらに、売上421まで画面表示を移動させるあめの操作を行う必要がある。また、同じ表示動作を、レコード403以降のレコードにおいても繰り返し行うため、閲覧者は、頻繁にスワイプ操作を行う必要がある。このように、携帯端末を利用している閲覧者にとって、通常モードでの表示を行わせる際の操作負担が大きい。
【0040】
帳票閲覧要求がレイアウト抽出モードであった場合は(ステップ501でY)、帳票様式データ103と帳票データ104とからレイアウト定義が設定されている項目のみを抽出し(ステップ502)、閲覧者端末106に帳票情報を送信する(ステップ505)。ここで、電子帳票では繰り返し項目などのレコード範囲内の情報を除いて、データ項目の位置関係には大きな意味はないと考えられる。従って、レイアウト抽出モードでは、例えば、レイアウト項目を上から順番に抽出し、レイアウト項目を左詰にして表示していく。
【0041】
例えば、図4の電子帳票を抽出モードで表示させた場合には、図7のように、ページ項目401とレコード範囲402内の伝票番号項目列410、売上項目列420のみを帳票様式データの位置情報を基にして抽出を行い、ページ項目401、伝票番号項目420−1と売上項目列420−2を含んだレコード範囲の順番に、それぞれ左詰に表示される。このレイアウト抽出モードを利用することにより、余分な表示を除くことができ、表示領域の有効利用により、閲覧者は必要なデータのみに注目することができる。レイアウト抽出モードは、閲覧者端末107がスマートフォンのように比較的小さい画面の際に、特に有効である。
【0042】
一方、帳票閲覧要求がレイアウト拡大モードであった場合は(ステップ501でN)、帳票様式データ103と帳票データ104とからレイアウト定義が設定されている項目については文字サイズなどを拡大し(ステップ503)、レイアウト定義が設定されていない箇所を縮小する(ステップ504)。このように加工した帳票データを、閲覧者端末に送信する(ステップ505)。例えば、図4の電子帳票を拡大モードで表示した場合は、図8のように、図4のページ項目401とレコード範囲402内の伝票番号項目列410(420−2)、売上項目列420(420−6)を、設定済みのレイアウト定義に沿って、帳票様式データの位置情報を基に拡大表示し、レイアウト定義が設定されていない箇所(420−1、3、4、5)は、拡大した分だけ縮小表示を行う。
【0043】
このように、レイアウト拡大モードによる表示を行わせることで、余分な領域を最小限に残しつつ、閲覧者は必要なデータに注目することができる。
【0044】
また、必要なデータに関しては、文字サイズなどを拡大表示することにより、解像度が低いディスプレイにおいても、電子帳票全体の表示倍率を下げた状態で閲覧が可能である。加えて、通常表示した場合に比べ、閲覧者は一度に多くの情報を得ることができる。レイアウト拡大モードは、閲覧者端末107がタブレット端末のように比較的大きい画面の場合や、閲覧者端末106において、解像度の低いディスプレイを利用している場合に有効である。
【0045】
このように、レイアウト抽出モード、レイアウト拡大モードを活用することにより、タブレット端末やスマートフォンなどの閲覧者端末107や解像度の低いディスプレイを利用している閲覧者端末106において、電子帳票を最適化して表示することが可能になる。
【0046】
次に、帳票表示操作の最適化について説明する。タッチパネルを搭載した閲覧者端末107等では、スワイプ操作により画面の移動を行い、閲覧者端末106などの通常のPCではマウスのスクロール操作により画面移動を行う。例えば、タッチパネルを搭載した閲覧者端末107で、図9に示す項目を白抜きの○内の数字901をスタートとした順番で表示させる場合に、閲覧者がスワイプ操作を行い、各項目を白抜きの数字901に示す順番にたどっていくのが一般的である。
【0047】
図10Aは、閲覧者がスワイプ操作を行った際の指の軌跡を示した例である。閲覧者は目的の項目を表示させるために、白抜きの○内の数字の順番と、指の移動距離や指の移動速度などを意識しつつたどる必要があるため、何度もスワイプ操作を行う必要があることがわかる。また、文字サイズが小さい場合はピンチイン・ピンチアウトの操作も行う必要があり、これらの操作は閲覧者にとって大きな負担となる。
【0048】
そこで、電子帳票にレイアウト定義を行っておき、閲覧者が下方向へのスワイプ操作やスクロール操作を行った際に、レイアウト定義されている項目を順番に表示するように画面遷移の制御を行うようにする(数字により、表示に関する湯煎順位を定義している)。これにより、閲覧者は数回のスワイプ操作で図9の項目を順番に閲覧することができるようになる。例えば、タブレット端末のような画面の大きい端末では1回のスワイプ操作ですべての項目を閲覧することも可能になる。このようなスワイプ操作の補助を行うための設定は閲覧者端末106、107の記憶装置204に設定しておくことが可能である。電子帳票閲覧時、記憶装置204にスワイプ、スクロール操作の補助をする設定が有効であった場合、イベント処理部203が、閲覧者が行った操作に基づいた表示を制御する。
【0049】
図11は、端末106、107の表示部201の画面上において、下方向へのスワイプ、スクロールイベントが発生した時のイベント処理部203における処理の流れを示すフローチャート図である。イベント処理部203は、表示しているページ項目、またはレコード範囲内における終端の項目に対してスワイプ、スクロール操作を行った際に開始される。帳票様式データ103に対して、図10A等に示すような、下方向、及び、右方向への走査を行い(ステップ1101)、次の、レコード項目、または、ページ項目であるか否かを確認する(ステップ1102、ステップ1103)。
【0050】
ステップ1102でレイアウト定義がページ項目であった場合は(ステップ1102でY)、ページ項目を表示部201表示するように制御する(ステップ1104)。レイアウト定義がレコード項目であった場合は(ステップ1103でY)、レコード範囲内の先頭のレコードの先頭の項目を表示する(ステップ1105)。ページ項目またはレコード項目が電子帳票の終端まで見つからなかった場合はダイアログを表示し閲覧者に通知する(ステップ1102、1103でN、ステップ1106)。例えば、図4の電子帳票を閲覧者端末106で表示した場合、まず、図13のように先頭のページ項目である401を中心に表示する。そして、閲覧者が下方向へのスワイプ操作1401を行うと、次のレイアウト定義であるレコード範囲内の先頭レコード403の先頭の項目である伝票番号項目411を中心に図14のように表示するために画面の移動1402が行われる。このように、スワイプ方向とは独立して、スワイプ操作に応じて、レイアウト定義の順番に従って、画面表示が順次行われる。この場合には、スワイプ操作は、レイアウト定義の襦袢に沿って次の項目に移動させる契機となる操作となる。
【0051】
図12は、レコード範囲内(例えば、2011年8月01日のレコードであればその行の範囲内)における下方向へのスワイプ、スクロールイベント発生時のイベント処理部203における処理の流れを示すフローチャート図である。ここでは、タッチイベント処理部203が、表示しているレコード範囲内の項目に対してスワイプ、スクロール操作を行った際に開始される。処理が開始されると、現在表示中の項目(例えば420−2)と同一のレコード内(例えば2011年8月01日の伝票番号0001のレコードであればその行方向)に次の項目が存在するかを否かを確認し(ステップ1201)、2011年8月01日の伝票番号0001のレコードの行方向に次の項目が存在する場合は(Y)、次の項目まで画面移動し(ステップ1202)、表示対象の項目を表示する。例えば、図14の表示状態で下方向へのスワイプ、スクロールイベント1501が発生した場合、図15のように現在の表示状態である伝票番号項目410の同一レコード403(2011年8月01日の伝票番号0001のレコード)内の次の項目である売上項目421(420−6)の表示位置まで画面の移動1502を行う。
【0052】
同一レコードに次の項目が存在しない場合は(N)、次のレコードが存在するかを確認し(ステップ1204)、次のレコードが存在する場合は、次のレコード(2011年8月01日の伝票番号0002のレコード)の先頭の項目(図15の(4))に移動し(ステップ1205)、表示対象の項目を表示する(ステップ1203)。例えば、図15の表示状態で下方向へのスワイプイベント1601が発生した場合、レコード421(図4参照)には次の項目が存在しないため、レコード403の次のレコードであるレコード404(2011年8月01日の伝票番号0002のレコード)への移動を行い、図16のようにレコード404の先頭の項目である伝票番号項目(0002)412の表示位置まで画面の移動1602を行う。
【0053】
次のレコードが存在するかを確認し(ステップ1204)、次のレコードが存在しない場合は(ステップ1204でN)、図11のフローチャート図により判定を行う。
【0054】
下方向への移動操作は、スワイプ操作やマウスホイールによるスクロール操作に限らず、画面上に新たに操作ボタンを表示したり、新たにタッチイベントを定義したりしても良い。
【0055】
本実施例の電子帳票の閲覧方法においては、電子帳票において、検索を行う項目を設定しているレイアウト定義情報を利用した、電子帳票の閲覧方法であって、既存の帳票様式データを利用して端末ごとに自動的に電子帳票の表示方法を変えることができる方法として、レイアウト定義情報が設定されている項目のみを抽出して表示する手段と、レイアウト定義情報が設定されている項目の文字サイズなどを拡大し、レイアウト定義情報が設定されていない項目を縮小して表示する手段と、タッチパネルを搭載した画面に触れた状態で指を滑らせるスワイプ操作や、マウスホイールや端末のボタンなどによるスクロール操作を行った際に、レイアウト定義が設定されている項目のみを順番に表示していく手段を設けたものである。
【0056】
以下に、本実施の形態のいくつかの変形例について説明する。
(変形例)
(1)図10Bは、図9をベースに、白抜きの○内の数字で示した表示に関する優先順位の定義を、図10Aと異なるように定義した例を示す図である。すなわち、図10Bでは、同じ伝票番号項目420−2の列を上から下に向けで順番付けしていき、次いで、売り上げ項目420−6の列を上から下に向けて表示に関する優先順位について順番付けして定義している。
(2)図10Cは、図9をベースに、白抜きの○内の数字で示した優先順位の定義を、図10A・Bと異なるように定義した例を示す図である。すなわち、図10Cでは、同じ伝票番号項目420−2の列を上から下に向けでの順番付けの組(上下)と、売り上げ項目420−6の列を上から下に向けての順番付けの組(上下)と、伝票番号項目420−2の列と売り上げ項目420−6の列との組(左右)と、を有している。
【0057】
以下に、図10Aから図10Cまでに例示した表示の優先順位に関して、実際の操作を行った場合の、端末における表示例を説明する。
【0058】
図17は、端末107の表示画面において左右にそれぞれ画定される領域X1701と領域Y1702とにおける、スワイプ操作の例を示す図である。
【0059】
図10Aの定義において、領域Xにおいて、1本指の上下方向へのスワイプ操作1703が行われると、図17(B)及び図18に示すように、下方向へのスワイプで符号903に示す数字に沿って、会社名401から伝票番号の列に符号1802で示す白抜きの矢印で示すように、AR5で示す領域が、表示画面で拡大されて表示される。次は、白抜きの○内の数字3で示される売り上げ項目に移動する。
【0060】
この動作は、上記図10A、図12から図16までで説明した通りの、スワイプ方向には依存しない、図10Aの定義に沿った表示処理である。この場合のスワイプ操作は、図10Aの定義に沿った表示処理を順番に行わせるための契機となる操作である。
【0061】
図10B及び図17(B)に示すように、例えば、下方向への2本指のスワイプを行うと、図19に示すように、符号903に示す数字に沿って、会社名401から伝票番号の列に符号1802で示す白抜きの矢印で示すように、AR5で示す領域が、表示画面で拡大されて表示される。次は、白抜きの○内の数字3で示される売り上げ項目に移動する。
【0062】
この動作は、表示の順番としては上記図10Bの定義を選択し、かつ、スワイプ方向には依存しない、図10Aの定義に沿った表示処理である。この場合のスワイプ操作は、図10Bの定義に沿った表示処理を順番に行わせるための契機となる操作である。
【0063】
このように、1本指の操作と2本指の操作とで、図10Aの表示処理にするか、図10Bの表示処理にするかを切り替えることができる。このように、1本指と2本指との操作に依存して、表示処理を簡単に切り替えることができる。
【0064】
図10C及び図17(B)に示すように、図19の操作に続いて、上記の領域Xとは異なる領域Yにわたって、上下左右方向に1本指のスワイプ、ここでは、右から左へのスワイプ操作を行うと、図20に示すように、AR7−1からAR7−2のように(符号1502の矢印)に示すように、白抜きの○内の数字で示される順番には依存せず、スワイプ方向に向けて、伝票番号の列から売り上げの列に向けて図10Cに示すように、操作方向に従って、表示が移動する。すなわち、図20の場合には、異なる領域でスワイプを行うという操作により、定義付け順番に依存せずに一般的なスワイプ操作方向に依存する表示の移動が行われる。
【0065】
このような操作と表示処理との関連付けの規則は、予めきめておいても良く、或いは、後からユーザが定義しても良い。そのルールは、表示されてユーザの操作をガイドするようにすると判りやすい。
【0066】
このように、スワイプ、スクロール操作の補助を行うことで閲覧者の負担を減らし、最低限のスワイプ、スクロール操作で必要な項目を閲覧することが可能になる。また、レイアウト抽出モード、またはレイアウト拡大モードの表示最適化方法と、このスワイプ、スクロール操作の補助とを併用することで、閲覧者は必要な情報のみを最低限の操作で閲覧することが可能になる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものであり、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、文書データの表示方法として利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
101…電子帳票システム、102…レイアウト定義データ、103…帳票様式データ、104…帳票データ、105…帳票情報データベース、106・107…閲覧者端末、108…ネットワーク、109…帳票生成処理部、110…端末別帳票変換処理部、201…表示部、202…送受信部、203…イベント処理部、204…記憶装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書データを、表示部を有する携帯端末に表示させる文書データの表示方法であって、 前記携帯端末における表示要求操作を検出するステップと、
前記表示要求操作を検出するステップにおいて検出された操作が、前記文書データの項目と該項目の表示位置とを特定することができるレイアウト定義に基づく表示要求であった場合に、前記レイアウト定義に基づいて、前記項目を前記表示位置に表示させるステップと
を有することを特徴とする文書データの表示方法。
【請求項2】
前記レイアウト定義に、前記項目の表示順序が定義されている場合に、前記操作の方向に依存せずに前記表示順序に従って前記項目を順番に表示させることを特徴とする請求項1に記載の文書データの表示方法。
【請求項3】
前記レイアウト定義に、前記項目の表示順序が定義されている場合に、前記操作の方向と前記表示順序の定義とのいずれを選択するかを、操作内容に従って決定することを特徴とする請求項1に記載の文書データの表示方法。
【請求項4】
前記項目を前記表示位置に表示させるステップは、
前記レイアウト定義で定義された項目のみを、表示することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の文書データの表示方法。
【請求項5】
前記項目を前記表示位置に表示させるステップは、
前記レイアウト的で定義された項目を拡大し、定義されていない項目を縮小して表示することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の文書データの表示方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
文書データを携帯端末に表示させる文書データの表示装置であって、
文書データの項目と該項目の表示位置とを特定することができるレイアウト定義データと、様式データと、文書データ本体と、を格納する文書情報データベースに関連付け、前記様式データと前記文書データ本体から、端末に依存しない通常の文書データを生成する文書データ生成処理部と、
前記レイアウト定義データを基に、前記文書生成処理部で生成された文書データを変更し、各端末に適した文書データを生成する端末別文書データ変換処理部と、を有し、
前記端末別文書データ生成処理部は、前記レイアウト定義に基づいて、前記項目を前記表示位置に表示させることを特徴とする文書表示装置。
【請求項1】
文書データを、表示部を有する携帯端末に表示させる文書データの表示方法であって、 前記携帯端末における表示要求操作を検出するステップと、
前記表示要求操作を検出するステップにおいて検出された操作が、前記文書データの項目と該項目の表示位置とを特定することができるレイアウト定義に基づく表示要求であった場合に、前記レイアウト定義に基づいて、前記項目を前記表示位置に表示させるステップと
を有することを特徴とする文書データの表示方法。
【請求項2】
前記レイアウト定義に、前記項目の表示順序が定義されている場合に、前記操作の方向に依存せずに前記表示順序に従って前記項目を順番に表示させることを特徴とする請求項1に記載の文書データの表示方法。
【請求項3】
前記レイアウト定義に、前記項目の表示順序が定義されている場合に、前記操作の方向と前記表示順序の定義とのいずれを選択するかを、操作内容に従って決定することを特徴とする請求項1に記載の文書データの表示方法。
【請求項4】
前記項目を前記表示位置に表示させるステップは、
前記レイアウト定義で定義された項目のみを、表示することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の文書データの表示方法。
【請求項5】
前記項目を前記表示位置に表示させるステップは、
前記レイアウト的で定義された項目を拡大し、定義されていない項目を縮小して表示することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の文書データの表示方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
文書データを携帯端末に表示させる文書データの表示装置であって、
文書データの項目と該項目の表示位置とを特定することができるレイアウト定義データと、様式データと、文書データ本体と、を格納する文書情報データベースに関連付け、前記様式データと前記文書データ本体から、端末に依存しない通常の文書データを生成する文書データ生成処理部と、
前記レイアウト定義データを基に、前記文書生成処理部で生成された文書データを変更し、各端末に適した文書データを生成する端末別文書データ変換処理部と、を有し、
前記端末別文書データ生成処理部は、前記レイアウト定義に基づいて、前記項目を前記表示位置に表示させることを特徴とする文書表示装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−77231(P2013−77231A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217830(P2011−217830)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】
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