文書審査支援装置、文書審査支援方法およびプログラム
【課題】契約書の作成段階において、経験や知識がない契約担当者でも容易に契約書の審査をすることができる文書審査支援装置、文書審査支援方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】審査の対象である契約書の契約書データを記憶する契約書データ記憶部と、記憶された契約書データから予め定められた条項のデータを分割した契約書分割データを生成する契約書分割部と、審査対象の契約書の種別毎に予め定められた契約書の審査項目であって、契約書に対応して予め規定された審査項目データを取得する審査項目取得部と、審査項目取得部によって取得された審査項目データに基づいて、契約書分割部によって生成された契約書分割データから、審査項目に関連する関連条項を検索する審査項目対応条項検索部と、審査項目データと審査項目対応条項検索部によって検索された関連条項とを、契約書データに対応付けた審査データを生成する表示画面生成部と、を備える。
【解決手段】審査の対象である契約書の契約書データを記憶する契約書データ記憶部と、記憶された契約書データから予め定められた条項のデータを分割した契約書分割データを生成する契約書分割部と、審査対象の契約書の種別毎に予め定められた契約書の審査項目であって、契約書に対応して予め規定された審査項目データを取得する審査項目取得部と、審査項目取得部によって取得された審査項目データに基づいて、契約書分割部によって生成された契約書分割データから、審査項目に関連する関連条項を検索する審査項目対応条項検索部と、審査項目データと審査項目対応条項検索部によって検索された関連条項とを、契約書データに対応付けた審査データを生成する表示画面生成部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、契約書に係る文書審査支援装置、文書審査支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
取引を伴う業務において、互いの取引条件などを記載した契約書は、契約締結時の証拠として機能する重要な書類であり、契約書の作成は、非常に重要な業務である。一般に、契約書の作成は、例えば、A社とB社との間で契約を行う場合、以下のような流れによって行われる。
作業1:A社は、契約内容に応じた契約書をB社に提示するよう依頼する。
作業2:B社は、契約内容に応じた契約書を作成し、A社に提示する。
作業3:A社は、B社から提示された契約書に記載されている契約内容を確認し、修正が必要な場合には、変更案をB社に提示する。
以降、契約内容を両社が合意できるまで作業2、3を繰り返す。なお、A社は、2順目以降の作業3において、変更案の契約書とB社が作成した契約書とを比較し変更部分を確認する。また、B社は、2順目以降の作業2において、提出した契約書とA社が修正した変更案の契約書とを比較し変更部分を確認する。
【0003】
上述のような、契約書の作成において、例えば、特許文献1、特許文献2に示すような種々の技術が考案されている。特許文献1には、契約内容に応じた適切な契約書を簡便に作成するための技術が開示されている。具体的には、契約文書を作成する際に、種々の契約内容(契約種別)毎に予め想定される全ての契約パターン(雛型契約書・自雛型条項)を用意し、取引に内在するリスクを回避するために契約文書に盛り込むべき事項をチェックリストとして表示して、自動的に条文の順序や引用条文を整合して、規定漏れや不備のない契約文書を作成するシステムが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、上述の作業2、3の繰り返しによる契約書の変更以外による契約書が変更、つまり、契約内容に対して双方が合意した後に契約書が改変されるのを防止するための技術が開示されている。
具体的には、契約締結のための手続きにおける不正な改ざんを防止するとともに、契約の交渉過程を確実に証明可能とし、契約業務を適切に支援する契約支援サービス方法および契約支援システムが開示されている。特許文献2における改ざん防止、および、交渉過程の証明は、契約書に署名をする際、署名の実施前と実施後の契約条項を示す情報を、実施日時と実施者とを特定可能な態様により記録することによって実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−65421号公報
【特許文献2】特開2002−123764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実際の契約書の締結においては、いずれか一方が提示した契約書に基づいて、互いに協議を行いつつ、相互に契約書の変更案を提示し合いながら契約条件を詰めていくこととなる。従って、単に、自社にとって最善の契約条件だけを取り上げて相手と交渉するのではなく、相手側が修正してきた変更案では、どのような条件が変更されているのか把握し、相手側の変更案に対する留意点に着目した検討を行うことが必要となる。また、相手側の変更案を受け入れる場合には、条件が変更されることによって発生するリスクを認識した上での判断が必要となる。
【0007】
ところが、一般に、変更された契約書のどこに留意点があり、どの部分に着目して検討を行わなければならないのか、また、相手側による契約書の変更によってどのようなリスクが発生するのかを的確に認識し、相手側の契約条件が受け入れられる内容であるか否かの判断は、担当者の経験や知識に頼るしかない状況である。この状況において、契約書に記載されている契約内容や、その変更内容を審査し、適切な判断ができるような契約担当者の教育、育成には多くの時間とコストが必要であるという問題がある。
【0008】
また、企業内においては、契約担当者と異なる審査担当者によって契約内容に対する審査が行われることが多いため、確実にリスクへの対応がなされているかなどを審査担当者が把握することができず、相手側によって変更された契約内容に対する審査が不十分のまま契約が進んでしまう可能性があるという問題がある。すなわち、審査担当者は、把握している契約内容に基づいてリスクとなりうる箇所を指摘するが、その後のリスクに対する対応(例えば、契約内容の変更案を相手側に提示するのか、リスクを回避する施策を講じるのか、契約内容を受け入れるかなど)は、例えば、契約主管など専門家に求めた見解に基づいて契約担当者によって行われる。このため、指摘したリスクに対してどのような対応を行ったかを、審査担当者が十分に把握できない場合、例えば、最初に指摘したリスクを回避するための対策によって、新たなリスクが発生していないかなどの検討が十分になされないこととなる。
【0009】
なお、特許文献1に記載の技術は、予め想定される全ての契約パターンを用意し、その中から選択されたひな形の契約書に基づいたチェックリストを表示する。しかし、実際の契約においては、予め自社が用意したひな形の契約書に基づいて契約が行われるわけではなく、相手側の用意した契約書に基づいて契約が進むこともあるため、必ずしも全ての状況に対応した支援を行う技術を提供するものではない。
【0010】
また、特許文献2記載の技術は、契約締結後になされた契約書の改ざんの把握を支援するが、契約書作成時の契約内容の変更を把握するための技術を提供するものではない。また、変更された契約内容に応じたリスクの指摘や、対応方法に関する技術を提供するものでもない。
【0011】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、契約書の作成段階において、契約内容の審査に関係する契約書の記載を提示することによって、経験や知識がない契約担当者でも容易に契約書の審査をすることができる文書審査支援装置、文書審査支援方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明の文書審査支援装置は、審査の対象である契約書の契約書データを記憶する契約書データ記憶部と、前記記憶された契約書データから予め定められた条項のデータを分割した契約書分割データを生成する契約書分割部と、前記審査対象の契約書の種別毎に予め定められた契約書の審査項目であって、前記契約書に対応して予め規定された審査項目データを取得する審査項目取得部と、前記審査項目取得部によって取得された審査項目データに基づいて、前記契約書分割部によって生成された契約書分割データから、前記審査項目に関連する関連条項を検索する審査項目対応条項検索部と、前記審査項目データと前記審査項目対応条項検索部によって検索された関連条項とを、前記契約書データに対応付けた審査データを生成する表示画面生成部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の前記契約書分割部は、予め定められた正規表現に従って、前記契約書データに属性タグを付与する属性タグ付与部と、前記属性タグ付与部によって付与された属性タグの並びに基づいて、前記契約書データの条項構造を判別し、前記属性タグと前記条項構造とに基づいて、前記契約書データに含まれる前記条項のデータを抽出する情報抽出部と、を備え、前記契約書分割部は、前記契約書データから、前記抽出した条項のデータのみを分割した前記契約書分割データを生成する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の前記審査項目取得部によって取得される審査項目データは、前記審査対象の契約書の種別毎に予め定められた審査項目の審査項目データであり、前記審査項目対応条項検索部は、前記審査項目データから、検索に使用するキーワードを抽出し、前記抽出したキーワードを拡張、修正した検索キーワードを生成する検索キーワード生成部と、前記検索キーワード生成部によって生成された検索キーワードに基づいて、前記契約書分割データ内における前記検索キーワードの出現頻度を検索する対応条項検索部と、を備え、前記審査項目対応条項検索部は、前記対応条項検索部によって検索された前記検索キーワードの出現頻度の高い順に予め定められた個数の前記契約書分割データを、前記審査項目に関連する前記関連条項とする、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の文書審査支援方法は、契約書データ記憶部が、審査の対象である契約書の契約書データを記憶する契約書データ記憶ステップと、契約書分割部が、前記記憶された契約書データから予め定められた条項のデータを分割した契約書分割データを生成する契約書分割ステップと、審査項目取得部が、前記審査対象の契約書の種別毎に予め定められた契約書の審査項目であって、前記契約書に対応して予め規定された審査項目データを取得する審査項目取得ステップと、審査項目対応条項検索部が、前記審査項目取得ステップによって取得された審査項目データに基づいて、前記契約書分割ステップによって生成された契約書分割データから、前記審査項目に関連する関連条項を検索する審査項目対応条項検索ステップと、表示画面生成部が、前記審査項目データと前記審査項目対応条項検索ステップによって検索された関連条項とを、前記契約書データに対応付けた審査データを生成する表示画面生成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明のプログラムは、文書の審査を支援する文書審査支援装置のコンピュータに、審査の対象である契約書の契約書データを記憶する契約書データ記憶ステップと、前記記憶された契約書データから予め定められた条項のデータを分割した契約書分割データを生成する契約書分割ステップと、前記審査対象の契約書の種別毎に予め定められた契約書の審査項目であって、前記契約書に対応して予め規定された審査項目データを取得する審査項目取得ステップと、前記審査項目取得ステップによって取得された審査項目データに基づいて、前記契約書分割ステップによって生成された契約書分割データから、前記審査項目に関連する関連条項を検索する審査項目対応条項検索ステップと、前記審査項目データと前記審査項目対応条項検索ステップによって検索された関連条項とを、前記契約書データに対応付けた審査データを生成する表示画面生成ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、契約書の作成段階において、契約内容の審査に関係する契約書の記載を提示することができ、経験や知識がない契約担当者でも容易に契約書の審査をすることができるという効果が得られる。また、変更された契約内容に係る記載を的確に認識することによって、相手側によって変更された契約内容の審査のみではなく、相手側によって変更された契約内容に対する対策の審査もすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態による文書審査支援装置を含むシステムの構成例を示したシステム構成図である。
【図2】本発明の実施形態によるユーザデータ記憶部の構成例と記憶される情報の一例を示した図である。
【図3】本発明の実施形態による契約書データ記憶部の構成例と記憶される情報の一例を示した図である。
【図4】本発明の実施形態による審査項目データ記憶部の構成例と記憶される情報の一例を示した図である。
【図5】本発明の実施形態による文書審査支援装置の処理手順の概略を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態による文書審査支援装置の処理手順の詳細を示したフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態による文書審査支援装置に契約書データを入力する登録画面の一例である。
【図8】本発明の実施形態による文書審査支援装置の審査結果を示す出力画面の一例である。
【図9】本発明の実施形態による属性タグ付与部の動作を説明するための説明図である。
【図10】本発明の実施形態による情報抽出部の動作を説明するための説明図である。
【図11】本発明の実施形態による情報抽出部の動作を説明するための説明図である。
【図12】本発明の実施形態による審査項目取得部の動作を説明するための説明図である。
【図13】本発明の実施形態による審査項目取得部の動作を説明するための説明図である。
【図14】本発明の実施形態による検索キーワード生成部の動作を説明するための説明図である。
【図15】本発明の実施形態による検索キーワード生成部の動作を説明するための説明図である。
【図16】本発明の実施形態による対応条項検索部の動作を説明するための説明図である。
【図17】本発明の実施形態による文書審査支援装置にユーザの対処策を入力する動作を説明するための説明図である。
【図18】本発明の実施形態による文書審査支援装置にユーザの対処策を入力する動作を説明するための説明図である。
【図19】本発明の実施形態による文書審査支援装置が生成するチェックリストの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態による文書審査支援装置10を含むシステムの構成例を示したシステム構成図である。文書審査支援装置10は、ユーザが入力した契約書のテキストデータから、予め記録してある契約書の審査項目に関連する条項を検索し、入力された契約書のテキストデータと審査項目とを関連付けてユーザに提示する。なお、契約書の審査項目は、契約内容毎に規定されている。
【0020】
文書審査支援装置10は、図1に示すように、文書審査支援装置10は、ネットワーク20を介してユーザが使用する端末(例えば、コンピュータ、以下、「ユーザ端末」という)によって実行されるアプリケーションプログラム30からアクセスされる。なお、ネットワーク20は、例えば、LAN(Local Area Network)や、インターネットなどの通信手段であり、ネットワーク20を介して複数のユーザ端末と接続されることが想定されるため、契約情報の漏洩を防止するセキュリティ機能を備えることが望ましい。
【0021】
また、文書審査支援装置10は、システム管理者によって文書審査支援装置10内のデータが管理される。なお、図1では、システム管理者が文書審査支援装置10を直接操作する構成を示しているが、ネットワークを介してシステム管理者が文書審査支援装置10を操作する構成とすることもできる。
【0022】
文書審査支援装置10は、図1に示すように、ユーザデータ記憶部100、ユーザデータ管理部110、契約書データ記憶部120、審査項目データ記憶部130、審査項目データ管理部140、ユーザインタフェース部150、テキスト登録部160、テキスト分割部170、審査項目取得部180、審査項目対応条項検索部190、表示画面生成部200から構成される。また、テキスト分割部170は、属性タグ付与部171、情報抽出部172を備える。また、審査項目対応条項検索部190は、検索キーワード生成部191、対応条項検索部192を備える。
【0023】
ユーザデータ記憶部100は、ユーザに関するデータ(以下、「ユーザデータ」という)を記憶するデータベースである。図2は、ユーザデータ記憶部100の構成例と記憶される情報の一例を示した図である。ユーザデータ記憶部100には、図2(a)に示すような、ユーザデータテーブル101が予めシステム管理者によって記憶される。
【0024】
ユーザデータテーブル101は、ユーザに関する情報であるユーザデータを記憶するためのテーブルである。ユーザデータテーブル101に記憶されている項目は、図2(b)に示すように、項目「ユーザID」に関連付けられた、「ユーザ名」、「部署」、および「権限」の項目が含まれる。
【0025】
ユーザデータ管理部110は、システム管理者からの指示を受け付け、その受け付けた指示に従って、ユーザデータテーブル101内のデータを変更する。例えば、システム管理者からユーザの追加が指示されたときは、システム管理者によって入力された新たなユーザに関するユーザデータをユーザデータテーブル101に格納する。また、例えば、システム管理者からユーザの更新が指示されたときは、システム管理者が指定した項目「ユーザID」に関連付けられたユーザデータテーブル101内のユーザデータの一部または全てを、システム管理者によって入力されたユーザデータに変更する。また、例えば、システム管理者からユーザの削除が指示されたときは、システム管理者が指定した項目「ユーザID」およびこの項目「ユーザID」に関連付けられたユーザデータをユーザデータテーブル101から削除する。
【0026】
契約書データ記憶部120は、ユーザによって入力された契約書のデータを記憶するデータベースである。図3は、契約書データ記憶部120の構成例と記憶される情報の一例を示した図である。契約書データ記憶部120には、図3(a)に示すような、契約書データテーブル121が記憶される。
【0027】
契約書データテーブル121は、審査対象となる契約書のテキストデータを記憶するためのテーブルである。契約書データテーブル121には、ユーザ端末のアプリケーションプログラム30からネットワーク20を介して送られてきた契約書データが記憶される。契約書データテーブル121に記憶されている項目は、図3(b)に示すように、項目「文書ID」に関連付けられた、「登録ユーザ」、「契約書名」、「条タイトル」、「条番号」、「項番号」、「号番号」、「本文」、および「条文」(図示せず)の項目が含まれる。なお、図3(b)に示した契約書データテーブル121の項目「登録ユーザ」のデータは、ユーザデータテーブル101に記憶されている項目「ユーザID」と対応したデータが記憶され、契約書データテーブル121に契約書データを登録したユーザを認識することができるようになっている。
【0028】
審査項目データ記憶部130は、契約書の審査をする際の審査項目に関するデータ(以下、「審査項目データ」という)を記憶するデータベースである。図4は、審査項目データ記憶部130の構成例と記憶される情報の一例を示した図である。審査項目データ記憶部130には、図4(a)に示すような、審査項目データテーブル131が予めシステム管理者によって記憶される。
【0029】
審査項目データテーブル131は、契約書の審査において契約書内の記載内容をチェックする項目を記憶するためのテーブルである。審査項目データテーブル131には、システム管理者によって登録された審査項目データが記憶される。審査項目データテーブル131に記憶されている項目は、図4(b)に示すように、項目「項目番号(項目No)」に関連付けられた、「対応契約書」、「チェック項目」、「リスク要因」、「回答選択肢1」、「回答選択肢2」、および「想定リスク」の項目が含まれる。
【0030】
審査項目データ管理部140は、システム管理者からの指示を受け付け、その受け付けた指示に従って、審査項目データテーブル131内のデータを変更する。例えば、システム管理者から審査項目の追加が指示されたときは、システム管理者によって入力された新たな審査項目データを審査項目データテーブル131に格納する。また、例えば、システム管理者から審査項目の更新が指示されたときは、システム管理者が指定した項目「項目No」に関連付けられた審査項目データテーブル131内の審査項目データの一部または全てを、システム管理者によって入力された審査項目データに変更する。また、例えば、システム管理者から審査項目の削除が指示されたときは、システム管理者が指定した項目「項目No」およびこの項目「項目No」に関連付けられた審査項目データを審査項目データテーブル131から削除する。
【0031】
次に、文書審査支援装置の処理について説明する。図5は、本実施形態による文書審査支援装置10の処理手順の概略を説明する図である。なお、図5(a)は、文書審査支援装置10における処理手順を示したフローチャートであり、図5(b)は、文書審査支援装置10による処理が完了した後にアプリケーションプログラム30に送信される表示画面の例である。
【0032】
文書審査支援装置10に審査対象の契約書が送られてくると、契約書データの登録処理(ステップS100)、契約書テキストの自動分割処理(ステップS200)、審査項目の自動取得処理(ステップS300)、審査項目対応条項の検索処理(ステップS400)を実行し、図5(b)に示すような表示をするための表示画面データをアプリケーションプログラム30に送る。
【0033】
契約書データの登録処理(ステップS100)は、ユーザから審査対象の契約書のデータが送られてくると、この契約書のデータを送ってきたユーザが文書審査支援装置10を使用する権限があるか否かを判定し、文書審査支援装置10を使用する権限がある場合には、契約書データ記憶部120に契約書データを記憶する処理である。また、文書審査支援装置10を使用する権限がない場合には、使用する権限がないことをユーザに送り返す処理を行う。なお、契約書データの登録処理は、ユーザインタフェース部150およびテキスト登録部160によって行われるが、詳細な処理に関しては後述する。
【0034】
契約書テキストの自動分割処理(ステップS200)は、契約書データ記憶部120に記憶された契約書データの本文テキストデータを分割して、契約書内に含まれる条項のタイトルおよび条項の番号に関するデータを抽出し、契約書データ記憶部120に記憶する処理である。なお、契約書テキストの自動分割処理は、テキスト分割部170内の属性タグ付与部171および情報抽出部172によって行われるが、詳細な処理に関しては後述する。
【0035】
審査項目の自動取得処理(ステップS300)は、契約書データ記憶部120に記憶された条項のタイトルに対応する審査項目データを審査項目データ記憶部130から取得すると共に、取得した審査項目データに基づいて、契約書データに含まれるリスクを、ユーザに提示する処理である。なお、審査項目の自動取得処理は、主に審査項目取得部180によって行われ、リスクのユーザへの提示は、表示画面生成部200によって行われるが、詳細な処理に関しては後述する。
【0036】
審査項目対応条項の検索処理(ステップS400)は、審査項目データ記憶部130に記憶された審査項目データに基づいて、契約書データ記憶部120に記憶された契約書データに含まれる単語から審査項目と対応する条項(ユーザが回答するときに参考にする条項)のデータを検索し、審査項目の自動取得処理でユーザに提示したリスクに関連する条項のデータを、ユーザに提示する処理である。また、審査項目の自動取得処理においてユーザに提示したリスク、審査項目対応条項の検索処理においてユーザに提示した条項のデータおよび、提示したリスクに対するユーザからの回答をチェックリストとして作成し、審査項目データ記憶部130に記憶する処理も行う。なお、審査項目対応条項の検索処理は、主に審査項目対応条項検索部190内の検索キーワード生成部191および対応条項検索部192によって行われ、条項のデータのユーザへの提示とチェックリストの生成は、表示画面生成部200によって行われるが、詳細な処理に関しては後述する。
【0037】
次に、ユーザインタフェース部150、テキスト登録部160、テキスト分割部170(属性タグ付与部171および情報抽出部172)、審査項目取得部180、審査項目対応条項検索部190(検索キーワード生成部191および対応条項検索部192)、表示画面生成部200の機能、および詳細な処理の内容について説明する。図6は、本実施形態による文書審査支援装置10の処理手順の詳細を示したフローチャートである。なお、図6(a)は、契約書テキストの自動分割処理の処理手順を示したフローチャート、図6(b)は、審査項目の自動取得処理の処理手順を示したフローチャート、図6(c)は、審査項目対応条項の検索処理の処理手順を示したフローチャートである。
【0038】
また、図7は、契約書データを入力する登録画面の一例である。図8は、審査対象の契約書における審査結果をユーザに提示する出力画面の一例である。また、図9、図10および図11は、属性タグ付与部171および情報抽出部172の動作を説明するための説明図である。また、図12および図13は、審査項目取得部180の動作を説明するための説明図である。また、図14、図15および図16は、検索キーワード生成部191および対応条項検索部192の動作を説明するための説明図である。
【0039】
まず、図5(a)に示したステップS100について説明する。
ユーザインタフェース部150は、ユーザ端末のアプリケーションプログラム30からネットワーク20を介して送られてきた審査対象の契約書データを受信する。この契約書データには、例えば、ユーザ端末の情報や、ユーザの情報が含まれている。ユーザインタフェース部150は、受信したユーザの情報に基づいて、ユーザデータテーブル101を参照し、契約書データを送信してきたユーザが文書審査支援装置10を使用する権限があるか否かを判定する。
ユーザが文書審査支援装置10を使用する権限があるか否かを判定は、例えば、契約書データ内に含まれているユーザIDが、ユーザデータテーブル101の項目「ユーザID」に記憶されているか否かを比較することによって行う。比較の結果、契約書のデータに含まれているユーザIDが、ユーザデータテーブル101の項目「ユーザID」に記憶されている場合、契約書のデータを送ってきたユーザは、文書審査支援装置10を使用する権限があると判定し、契約書のデータに含まれているユーザIDが、ユーザデータテーブル101の項目「ユーザID」に記憶されていない場合、契約書のデータを送ってきたユーザは、文書審査支援装置10を使用する権限がないと判定する。
【0040】
ユーザインタフェース部150は、契約書データを送信してきたユーザが文書審査支援装置10を使用する権限があると判定した場合は、受信した契約書データをテキスト登録部160に出力する。また、ユーザインタフェース部150は、契約書データを送信してきたユーザが文書審査支援装置10を使用する権限がない場合は、使用する権限がないことを示す情報を、ネットワーク20を介してアプリケーションプログラム30に送信する。このことによって、例えば、アプリケーションプログラム30が、文書審査支援装置10の使用権限がなく、システム管理者に登録を依頼する必要があることを伝えるためのメッセージなどを、ユーザに提示することができる。
【0041】
また、ユーザインタフェース部150は、表示画面作成部200が作成した表示画面データを、ネットワーク20を介してアプリケーションプログラム30に送信し、アプリケーションプログラム30からネットワーク20を介して送られてきた表示画面への入力データをテキスト登録部160または表示画面作成部200に出力する。
【0042】
例えば、契約書データを登録する場合、ユーザインタフェース部150は、ユーザ端末のアプリケーションプログラム30から文書審査支援装置10の起動要求があると、図7に示すような契約書登録画面100aのデータを表示画面生成部200から取得してアプリケーションプログラム30に送信する。アプリケーションプログラム30は、受信した契約書登録画面100aのデータをユーザ端末の表示部に表示する。ユーザは、ユーザ端末に表示された契約書登録画面100aに契約書データを、例えば、下記の方法によって入力する。契約書データの入力方法は、例えば、図7に示した契約書登録画面100aの契約書登録覧110a内のテキスト入力欄111aに契約書のテキストデータを入力、または、契約書ファイル選択覧112aに契約書ファイルを格納している場所の情報を入力し、登録ボタン113aを操作(例えば、マウスを用いてクリック)する。
このことによって、契約書登録画面100aに対して入力したデータ(本例では、契約書データ)を文書審査支援装置10、すなわち、ユーザインタフェース部150に送信することができる。なお、ユーザインタフェース部150に送信されるデータには、例えば、ユーザ端末の情報や、ユーザの情報が含まれており、ユーザインタフェース部150は、ユーザ端末の情報や、ユーザの情報も含めて受信した契約書データをテキスト登録部160に出力する。
【0043】
また、例えば、文書審査支援装置10が処理した結果をユーザに提示する場合、ユーザインタフェース部150は、図8に示すような審査画面200aのデータを表示画面生成部200から取得してアプリケーションプログラム30に送信し、アプリケーションプログラム30がユーザ端末の表示部に審査画面200aのデータを表示する。ユーザが、ユーザ端末に表示された審査画面200aの審査結果に基づいた対処策を入力することによって、文書審査支援装置10にユーザの対処策の内容が送信される。なお、審査画面200aについては後述する。
【0044】
テキスト登録部160は、ユーザインタフェース部150から入力されたユーザ端末の情報や、ユーザの情報に基づいて、入力された契約書データを契約書データ記憶部120内の契約書データテーブル121に記憶する。なお、本実施形態においてテキスト登録部160が契約書データテーブル121に記憶する情報は、図3(b)に示した項目「文書ID」、「登録ユーザ」、「契約書名」などの契約書データの種別を示す情報と、項目「本文」のテキストデータである。
また、テキスト登録部160は、契約書データを契約書データテーブル121に記憶したことを示す情報を属性タグ付与部171に通知する。
【0045】
テキスト登録部160から属性タグ付与部171に契約書データを記憶したことを示す情報が通知されると、次に契約書テキストの自動分割処理(図6(a)参照)が開始される。
【0046】
属性タグ付与部171は、テキスト登録部160から契約書データを契約書データテーブル121に記憶したことを示す情報が入力されると、契約書データ記憶部120内の契約書データテーブル121から、項目「本文」のテキストデータを取得して、取得したテキストデータに属性タグを付与する。また、属性タグ付与部171は、テキストデータに属性タグを付与したデータ(以下、「属性タグ付き本文データ」という)を、情報抽出部172に出力する(ステップS210)。
【0047】
以下、属性タグ付与部171における属性タグの付与について詳細に説明する。
属性タグ付与部171は、対して、予め定義した正規表現に従って、項目「本文」のテキストデータに属性タグを付与する。より詳細には、属性タグ付与部171は、項目「本文」のテキストデータから、正規表現に合致する章番号、章タイトル、条番号、条タイトル、項番号、項タイトル、号番号などのデータを抽出し、属性タグを付与した属性タグ付き本文データを情報抽出部172出力する。
【0048】
例えば、ある項目「本文」のテキストデータ「第6条(瑕疵担保責任)」から条番号、条タイトルのデータを抽出する場合、属性タグ付与部171は、正規表現 [^”第” ¥d ”条” ”(” .+ ”)”]に合致する文字列のうち、”第”¥d”条”に合致する部分に<ZYOU_NUM>を、”(”.+”)”に合致する部分に<ZYOU_TITLE>を付与し、属性タグ付き本文データ「<ZYOU_NUM>第6条</ZYOU_NUM><ZYOU_TITLE>(瑕疵担保責任)</ZYOU_TITLE>」を出力する。
【0049】
すなわち、属性タグの付与に関する規則の一例は以下の通りである。
(規則1):文頭にあり、括弧でくくられた文字列は条項のタイトルを表すため<TITLE>タグを付与する。
(規則2):文頭にあり、「第」と「条」で挟まれた数字は条番号を表すため<ZYOU_NUM>タグを付与する。
(規則3):文頭にある数字で、後ろに空白の続くものは項番号を現すため<KOU_NUM>タグを付与する。
(規則4):文中にある、「前項」、「第○条」、「第○条○項」、「第○条○」は他の条項の参照を表すため<REFER>タグを付与する。
(規則5):文中にある、「○○法」は他情報の参照を表すため<REFER>タグを付与する。
【0050】
上記のような処理によって、図9(a)に示すような「第7条(給付完了)」の条文のテキストデータに対して、属性タグを付与した図9(b)に示すような属性タグ付き本文データを出力する。
【0051】
情報抽出部172は、属性タグ付与部171から入力された属性タグ付き本文データに付与されている属性タグの並びに基づいて、契約書データの条文の並び方(条項構造)を判別する(ステップS220)。
なお、情報抽出部172による条項構造の判別は、契約書の書式が異なる条項構造であっても正規表現に合致する章番号、章タイトル、条番号、条タイトル、項番号、項タイトル、号番号、条文などのデータを適切に抽出するための前段階の処理である。
【0052】
以下、情報抽出部172における条項構造の判別について詳細に説明する。
情報抽出部172は、例えば、図10(a)に示したある項目「本文」のテキストデータ「第6条(対象製品の再頒布及び使用許諾)」における条項構造を判別する場合、属性タグ付き本文データから、条項構造を表すキーワード(例えば、文頭の数字や、( )で囲まれた文字列など)を抽出する。そして、抽出したキーワードに対して、契約書の条項構造に関する知見(例えば、条タイトルは条番号の前後にある、第1項の項番号は省略する場合がある、など)に基づいて、予め設定した条項構造のパターンから、項目「本文」のテキストデータに合致するパターンを推定する。
【0053】
なお、条項構造のパターンの推定における推定アルゴリズムの一例は以下の通りである。
(1):連番になっており、重複しない数字は条番号を表す。これは、「第1条」、「第2条」など、条番号は重複せず連番となるということを利用している。
(2):連番になっており、重複し、多数使用される数字は項番号を表す。これは、「第1条1項」、「第2条1項」など、項番号は重複があり、各条で使用されるため多数用いられるということに基づいている。
(3):条タイトルは条番号の前か後ろにある。
【0054】
上記のような処理によって、図10(a)に示すような「第6条(対象製品の再頒布及び使用許諾)」の条文から、条項構造を判別し、図10(b)に示すような第1候補(パターン6)を選択する。
【0055】
また、情報抽出部172は、属性タグ付き本文データに含まれる属性タグと、判別した条項構造に基づいて、項目「本文」のテキストデータに含まれる章番号、章タイトル、条番号、条タイトル、項番号、項タイトル、号番号、条文などのデータを抽出し、更に、項目「本文」のテキストデータから不要な文字を削除することによって、項目「本文」のテキストデータを分割したデータ(以下、「条項データ」という)を抽出する。また、抽出した条項データを契約書データテーブル121に記憶する(ステップS230)。
【0056】
以下、情報抽出部172における条項データの生成について詳細に説明する。
情報抽出部172は、例えば、ある属性タグ付き本文データ「<ZYOU_NUM>第6条</ZYOU_NUM><ZYOU_TITLE>(瑕疵担保責任)</ZYOU_TITLE>」から条番号と条タイトルのデータを抽出し、契約書データテーブル121に記憶する場合、情報抽出部172は、<ZYOU_NUM>タグで挟まれた文字列「第6条」から数字以外の文字列を削除した文字列「6」を、契約書データテーブル121の項目「条番号」に記憶する。また、<ZYOU_TITLE>タグで挟まれた文字列「(瑕疵担保責任)」から括弧を削除した文字列「瑕疵担保責任」を、契約書データテーブル121の項目「条タイトル」に記憶する。
【0057】
上記のような処理によって、図11(a)に示すような「第7条(給付完了)」の条文の属性タグ付き本文データから、図11(b)に示すような条項データ(条番号、項番号、号番号、条文)を抽出する。図11(b)では、情報抽出部172は、属性タグ付き本文データから、<ZYOU_NUM>タグで挟まれた文字列「第7条」から数字以外の文字列を削除した「7」を項目「条番号」、<TITLE>タグで挟まれた文字列「(給付完了)」から括弧を削除した「給付完了」を項目「条タイトル」、<KOU_NUM>タグで挟まれた文字列「2」を項目「項番号」のデータとして抽出し契約書データテーブル121に記憶する。なお、図11(b)において、項目「項番号」は、「2」のデータのみが抽出されるが、上述の契約書の条項構造に関する知見(第1項の項番号は省略する場合がある)に基づいて、項目「項番号」=「2」の前の条文を第1項とする。
【0058】
また、図11(b)に示した項目「条文」のデータの抽出は、属性タグ付き本文データから、条番号や項番号に付けられた属性タグの後側の属性タグから、項番号、条タイトルに付けられた属性タグの前側の属性タグまでの文字列を項目「条文」のデータとして抽出している。例えば、以下の組み合わせの属性タグに挟まれるテキスト(下記「○○」部)を項目「条文」のデータとして抽出する。
(1):</ZYOU_NUM>○○<KOU_NUM>
(2):</ZYOU_NUM>○○<TITLE>
(3):</KOU_NUM>○○<TITLE>
図11(b)では、</ZYOU_NUM>タグから<KOU_NUM>タグまでの間の文字列「甲は、納入物が<REFER>第5条</REFER>の検査等に合格した場合、・・・」を、項目「項番号」=「1」の項目「条文」のデータとして抽出し、</KOU_NUM>タグから<TITLE>タグ(図示せず)までの間の文字列「<REFER> 前項</REFER>の規定にかかわらず、本契約において納入物を納入する旨・・・」を、項目「項番号」=「2」の項目「条文」のデータとして抽出している。そして、抽出されたそれぞれの条文のデータを契約書データテーブル121に記憶する。なお、上記抽出した項目「条文」のデータにおける<REFER>タグは、削除せずに契約書データテーブル121の項目「条文」に記憶する。
【0059】
また、情報抽出部172は、条項データを契約書データテーブル121に記憶したことを示す情報を審査項目取得部180に通知する。なお、情報抽出部172が審査項目取得部180に通知する情報には、契約書データテーブル121に記憶した条項データが、どのような契約に関するデータであるかを示す契約書データの種別を示す情報が含まれている。例えば、契約書データテーブル121に含まれる項目「契約書名」の情報が含まれる。
【0060】
情報抽出部172から契約書データテーブル121に条項データを記憶したことを示す情報が通知されると、次に審査項目の自動取得処理(図6(b)参照)が開始される。
【0061】
審査項目取得部180は、情報抽出部172から条項データを契約書データテーブル121に記憶したことを示す情報が入力されると、通知された情報に含まれる契約書データの種別を示す情報に基づいて、審査項目データ記憶部130内の審査項目データテーブル131から審査項目データを取得する(ステップS310)。
【0062】
例えば、通知された契約書データの種別を示す情報が、「ソフトウェア開発請負契約書」ある場合、この「ソフトウェア開発請負契約書」において確認すべき審査項目データを審査項目データテーブル131から取得する。より詳細には、審査項目取得部180は、図12に示した審査項目データテーブル131の項目「対応契約書」が「ソフトウェア開発請負契約書」となっている項目「項目No」=「1」の審査項目データを取得する。
【0063】
また、審査項目取得部180は、審査項目対応条項検索部190に出力した項目「項目No」に対応する審査項目データ内の項目「チェック項目」、「リスク要因」、「回答選択肢1」、「回答選択肢2」、および項目「想定リスク」のデータを、表示画面作成部200に出力する(ステップS320)。以下、審査項目取得部180が表示画面作成部200に出力するデータを、リスク評価データという。このことにより、リスク評価データがユーザに提示される。
【0064】
以下、審査項目取得部180の処理におけるリスク評価データの表示について詳細に説明する。
例えば、リスク評価データをユーザに提示する場合、図8に示した審査画面200a内のリスク評価覧220aに、図13に示すような表示がされる。図13において、チェック項目覧221aには、図12に示した審査項目データテーブル131の項目「チェック項目」のデータ「中途解除時の費用回収が可能か・・・」が表示され、回答欄222aには、図12に示した審査項目データテーブル131の項目「回答選択肢1」のデータ「リスク高:契約書等に、中途解約した場合に、お客様から費用回収が可能となる条件を記載していない。」および「回答選択肢2」のデータ「リスク低:契約書(案)等に、中途解約した場合に、お客様から費用回収が可能となる条件を記載している。」が表示され、想定リスク欄223aには、図12に示した審査項目データテーブル131の項目「想定リスク」のデータ「中途解除時の費用回収について明記していない場合、未回収リスクが高くなります。」が表示される。
また、チェックボックス2221aは、図12に示した審査項目データテーブル131の項目「回答選択肢1」に対応したチェックボックスであり、チェックボックス2222aは、図12に示した審査項目データテーブル131の項目「回答選択肢2」に対応したチェックボックスである。なお、ユーザによる対処策の入力に関しては、後述する。
【0065】
また、審査項目取得部180は、取得した審査項目データ内の項目「項目No」の情報を審査項目対応条項検索部190に出力する。
審査項目取得部180から審査項目データ内の項目「項目No」の情報が入力されると、次に審査項目対応条項の検索処理(図6(c)参照)が開始される。
【0066】
検索キーワード生成部191は、審査項目取得部180から審査項目データ内の項目「項目No」の情報が入力されると、審査項目データ記憶部130内の審査項目データテーブル131から項目「項目No」に対応する項目「チェック項目」、「回答選択肢1」、「回答選択肢2」および項目「想定リスク」のデータを取得して、取得したデータの文章から審査項目に関連する代表キーワードを抽出する(ステップS410)。
【0067】
以下、検索キーワード生成部191における代表キーワードの抽出について詳細に説明する。
検索キーワード生成部191は、例えば、検索キーワード生成部191が、項目「チェック項目」のテキストデータ「中途解除時の費用回収が可能か?」から代表キーワード「中途・解除・費用・回収・可能」を抽出する場合の処理は、以下の通りである(図14(a)参照)。
(処理1):項目「チェック項目」のテキストデータに対して形態素解析を行い、テキストデータの単語列への分割および各単語の品詞を取得する。
(処理2):単語列から2文字以上の名詞、未知語を抽出する。
なお、処理2では連続する単語列を組み合わせて複合語として抽出することや、動詞を含めて動作として抽出するなどを行ってもよい。例えば、「中途」と「解除」の複合語として「中途解除」を抽出してもよい。また、例えば、「回収」の動作として「回収する」を抽出してもよい。
【0068】
また、検索キーワード生成部191は、抽出した代表キーワードに基づいて、代表キーワードに関連するキーワードを追加(拡張)する(ステップS420)。このキーワードの拡張は、例えば、同じ意味を示す単語が、契約書において異なる表記で用いられることがあるため、単にシステム管理者によって予め登録された審査項目データから抽出した単語のみをキーワードとして抽出するのではく、契約書に異なる表記で記載されている単語も抽出するために行うものである。以下、代表キーワードと代表キーワードに関連するキーワードとをまとめて、関連キーワードという。
【0069】
以下、検索キーワード生成部191における関連キーワードの抽出について詳細に説明する。
検索キーワード生成部191は、例えば、検索キーワード生成部191が、抽出した代表キーワード「中途・解除・費用・回収・可能」を拡張する場合、以下の方法によって行う。
(方法1):同義語辞書等を用いて代表キーワードに関連するキーワード(例えば、「中途」の同義語である「途中」、「解除」の同義語である「解約」)を追加する(図14(b−1)参照)。
(方法2):修正用ユーザインタフェースを介して、ユーザがキーワードを追加する(図14(b−2)参照)。
【0070】
また、検索キーワード生成部191は、抽出、追加した関連キーワードを対応条項検索部192に出力する。
【0071】
対応条項検索部192は、検索キーワード生成部191から関連キーワードが入力されると、契約書データ記憶部120内の契約書データテーブル121から、条項データを取得する。そして、関連キーワードに基づいて、取得した条項データ内に含まれる関連キーワードを検索し、検索された関連キーワードの情報を含む契約書データテーブル121内の項目「本文」のテキストデータ(以下、「関連条項」という)を抽出する(ステップS430)。
【0072】
以下、対応条項検索部192における関連条項の抽出手順について詳細に説明する(図15参照)。
(手順1):対応条項検索部192は、関連キーワードに基づいて、条項データに対してスコアを算出する(図15(a)参照)。
(手順2):スコアの高い順に予め設定した件数の関連条項を審査項目に関連する条項として抽出する(図15(b)参照)。図15(b)では、3件の関連条項を抽出している例を示している。
なお、スコア付けアルゴリズムは、例えば、全文検索のスコアリング技術として知られる一般的なBM25などを用いる。
【0073】
また、関連キーワードが検出された条項データ、すなわち、項目「条文」のデータに対して、キーワードの部分を示すデータに強調表示用の<KEY>タグを付与してもよい。また、同様に関連条項、すなわち、項目「本文」のテキストデータに、キーワードの部分を示すデータに強調表示用の<KEY>タグを付与することもできる。例えば、関連条項のテキストデータ「一部を解除できるものとします。」に対してキーワード「解除」に強調表示用の<KEY>タグを付与すると、「一部を<KEY>解除</KEY>できるものとします。」となる。以下、強調表示用の<KEY>タグを付与した関連条項を「キーワードタグ付き関連条項」ということとする。
【0074】
また、審査項目対応条項検索部190(検索キーワード生成部191および対応条項検索部192)は、キーワードを追加する修正用ユーザインタフェースおよび抽出した関連条項を表示画面作成部200に出力する(ステップS440)。
【0075】
以下、審査項目対応条項検索部190の処理におけるキーワード追加、関連条項の表示について詳細に説明する。
検索キーワード生成部191の処理(方法2)において、ユーザが設定したキーワードを受け付ける場合、例えば、キーワードを追加する修正用ユーザインタフェースを、図8に示した審査画面200a内のチェック根拠・関連条項検索欄230aに、図16に示すような検索キーワード欄231aおよび検索ボタン232aを表示する。なお、ユーザによるキーワードの入力に関しては、後述する。
【0076】
また、対応条項検索部192の処理において、キーワードタグ付き関連条項をユーザに提示する場合、例えば、図8に示した審査画面200a内のチェック根拠・関連条項検索欄230aに、図16に示すような関連条項欄233aを表示する。図16において、関連条項欄233aには、図15(b)に示した関連条項が表示され、更に、強調表示用の<KEY>タグによって、検出された関連キーワードの文字領域の部分を強調表示する。例えば、<KEY>タグで挟まれた文字列の背景を“オレンジ”色にすることによって強調表示する場合は、<KEY>タグを<span style=“background−color : orange;”>に変更する。
なお、図16においては、関連キーワード強調表示を網掛けとしたが、例えば、文字の大きさ、太さ、文字の色、文字のフォント、文字(文字領域)への網掛け/塗り潰し、下線などの方法によって検出された関連キーワードの部分を強調表示してもよい。
また、関連条項欄233aには、対応条項検索部192が関連条項を抽出した際のスコアを表示している。
なお、ユーザによる対処策の入力に関しては、後述する。
【0077】
表示画面生成部200は、審査項目取得部180から入力されたリスク評価データに基づいて、アプリケーションプログラム30に出力する表示画面データ(図8に示すリスク評価覧220a)を生成し、ユーザインタフェース部150に出力する。また、表示画面生成部200は、対応条項検索部192から入力されたキーワードタグ付き関連条項に基づいて、アプリケーションプログラム30に出力する表示画面データ(図8に示すチェック根拠・関連条項検索欄230a)を生成し、ユーザインタフェース部150に出力する。また、表示画面生成部200は、審査項目データテーブル131の項目「リスク要因」のデータを、例えば、図8のチェック項目一覧210a(チェック項目欄211a)に表示する表示画面データを生成し、ユーザインタフェース部150に出力する。
【0078】
以下、表示画面生成部200によって生成される表示画面データについて詳細に説明する。図17および図18は、表示画面生成部200が出力した契約書の審査結果に対するユーザの対処策を入力する動作を説明するための説明図である。
【0079】
図17は、図13に示した審査項目取得部180によるリスク評価データに対してユーザが対処策を入力した状態を示している。
ユーザがリスク評価データに対する対処策を入力する場合、例えば、リスク評価覧220a内の回答欄222aのチェックボックス2221aまたはチェックボックス2222aを選択(例えば、マウスを用いてクリックし、チェックマークを付ける)する。また、ユーザの対処策をチェック結果に対するリスク対処策欄224aに記載する。このことによって、ユーザの対処策が文書審査支援装置10、すなわち、ユーザインタフェース部150に送信される。
【0080】
図18は、図16に示した審査項目対応条項検索部190(検索キーワード生成部191および対応条項検索部192)によるキーワード追加、関連条項の表示に対してユーザがキーワードおよび対処策を入力した状態を示している。
ユーザがキーワードを追加する場合、例えば、検索キーワード欄231aにキーワードを入力し、検索ボタン232aを操作(例えば、マウスを用いてクリック)することによってキーワードを確定する。このことによって、検索キーワード欄231aに入力したキーワード(図18では、「中途、解約、解除、費用、回収、金銭、履行」)のデータを、文書審査支援装置10、すなわち、ユーザインタフェース部150に送信することができる。
なお、検索キーワード欄231aの初期状態として、関連キーワードを提示してもよい。
【0081】
また、ユーザーが関連条項に対するチェック根拠を入力する場合、例えば、関連条項欄233aの項目「回答欄への引用」のチェックボックス(2331a、2332a、2333a)のいずれか1つ、または複数を選択(例えば、マウスを用いてクリックし、チェックマークを付ける)する。このことによって、ユーザの選択(引用)した関連条項が文書審査支援装置10、すなわち、ユーザインタフェース部150に送信される。
【0082】
また、表示画面生成部200は、審査項目取得部180から入力されたリスク評価データと、対応条項検索部192から入力されたキーワードタグ付き関連条項とに基づいて、契約書審査における自己チェックリストを作成し、審査項目データ記憶部130に出力する。また、ユーザインタフェース部150から入力されたリスク評価データに対するユーザの対処策(リスク評価覧220aへの記載およびチェック)の内容と、関連条項の引用(チェック根拠・関連条項検索欄230aへのチェック)の情報とに基づいて、作成した自己チェックリストを更新する(ステップS450)。
【0083】
以下、表示画面生成部200によって作成される自己チェックリストについて詳細に説明する。図19は、表示画面生成部200が作成、更新した自己チェックリストの一例である。
表示画面生成部200が作成、更新する自己チェックリストには、図19に示すように、項目「項番」、「リスク要因」、「想定リスク事象」、「リスク評価基準」、「チェック結果に対するリスク対処策」の項目が含まれる。また、項目「リスク評価基準」には、「チェック項目」、「チェックレベル」、「チェック根拠」の項目が含まれる。
【0084】
表示画面生成部200が、審査項目取得部180から入力されたリスク評価データと、対応条項検索部192から入力されたキーワードタグ付き関連条項とに基づいて、最初に自己チェックリストを作成する場合、すなわち、ユーザによる対処策がまだ入力されていない場合、自己チェックリストには、図8に示した審査画面200aにおける以下のデータが記録される。
(1)項目「項番」:チェック項目欄211a内の項目「項番」のデータ、
(2)項目「リスク要因」:チェック項目欄211a内の項目「リスク要因」のデータ、
(3)項目「想定リスク事象」:リスク評価覧220a内の想定リスク欄223aのデータ(図13参照)、
(4)項目「チェック項目」:リスク評価覧220a内のチェック項目覧221aのデータ(図13参照)、
(5)項目「チェックレベル」:リスク評価覧220a内の回答欄222aのデータ(図13参照)。
なお、ユーザによる対処策がまだ入力されていない場合、自己チェックリスト内の項目「チェック根拠」および項目「チェック結果に対するリスク対処策」は、データが記録されていない状態である。
【0085】
また、ユーザインタフェース部150から入力されたリスク評価データに対するユーザの対処策(リスク評価覧220aへの記載およびチェック)の内容と、関連条項の引用(チェック根拠・関連条項検索欄230aへのチェック)の情報とに基づいて、自己チェックリストを更新すると、自己チェックリストには、図8に示した審査画面200aにおける以下のデータが更に記録される。
(1)項目「チェックレベル」:リスク評価覧220aの回答欄222a内のチェックボックス2221aまたはチェックボックス2222aの選択(チェック)結果のデータ(図17参照)、
(2)項目「チェック根拠」:チェック根拠・関連条項検索欄230aの関連条項欄233aにおいて、項目「回答欄への引用」内のチェックボックス(2331a、2332a、2333a)を選択(チェック)した関連条項のデータ(図18参照)、
(3)項目「チェック結果に対するリスク対処策」:リスク評価覧220a内のチェック結果に対するリスク対処策欄224aに記載したユーザの対処策(図17参照)。
【0086】
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態によれば、作成した契約書におけるリスクおよび関連する条項を抽出することができる。このことによって、契約におけるリスクを効率的に審査することができ、経験や知識がない契約担当者が契約書を作成した場合でも、容易に契約書の審査を行うことができる。
また、想定したリスクに対してどのように対処するかを記載した自己チェックリストを作成することによって、効率的にチェックを行うことができる。また、自己チェックリストは、契約締結までの記録として利用することもできる。
【0087】
なお、本実施形態の文書審査支援装置10に契約相手が作成した契約書データを入力することによって、相手側の作成した契約書に対するリスクを効率的に想定することもできる。
【0088】
ここで、本実施形態の文書審査支援装置10を利用して契約書の審査を行うユーザの作業について補足する。本実施形態の文書審査支援装置10を利用するユーザの作業は、以下の通りである。
(前準備)契約書種別に応じた審査項目データを審査項目データ記憶部130に記憶。ただし、この作業は、システム管理者によって行われる作業であり、法律などの専門的な知識を有する契約主管など専門家が作成した審査項目データをシステム管理者が事前に登録する作業である。以降は、経験や知識がない契約担当者が実施することができる。
(作業1):契約書データを文書審査支援装置10に登録(図7参照)、
(作業2):チェック項目一覧210aから、チェック項目、すなわち、チェック項目欄211aの項目「リスク要因」を選択(図8参照)、
(作業3):関連条項欄233aを確認し、チェック項目に回答(図8、図17、図18参照)
(作業4):全てのチェック項目に回答後、自己チェックリストによって確認する。(図19参照)
【0089】
なお、図5または図6に示した文書審査支援装置10の各処理ステップを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、文書審査支援装置10に係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0090】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0091】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【符号の説明】
【0092】
10・・・文書審査支援装置、20・・・ネットワーク、30・・・アプリケーションプログラム、100・・・ユーザデータ記憶部、101・・・ユーザデータテーブル、110・・・ユーザデータ管理部、120・・・契約書データ記憶部、121・・・契約書データテーブル、130・・・審査項目データ記憶部、131・・・審査項目データテーブル、140・・・審査項目データ管理部、150・・・ユーザインタフェース部、160・・・テキスト登録部、170・・・テキスト分割部、171・・・属性タグ付与部、172・・・情報抽出部、180・・・審査項目取得部、190・・・審査項目対応条項検索部、191・・・検索キーワード生成部、192・・・対応条項検索部、200・・・表示画面生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、契約書に係る文書審査支援装置、文書審査支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
取引を伴う業務において、互いの取引条件などを記載した契約書は、契約締結時の証拠として機能する重要な書類であり、契約書の作成は、非常に重要な業務である。一般に、契約書の作成は、例えば、A社とB社との間で契約を行う場合、以下のような流れによって行われる。
作業1:A社は、契約内容に応じた契約書をB社に提示するよう依頼する。
作業2:B社は、契約内容に応じた契約書を作成し、A社に提示する。
作業3:A社は、B社から提示された契約書に記載されている契約内容を確認し、修正が必要な場合には、変更案をB社に提示する。
以降、契約内容を両社が合意できるまで作業2、3を繰り返す。なお、A社は、2順目以降の作業3において、変更案の契約書とB社が作成した契約書とを比較し変更部分を確認する。また、B社は、2順目以降の作業2において、提出した契約書とA社が修正した変更案の契約書とを比較し変更部分を確認する。
【0003】
上述のような、契約書の作成において、例えば、特許文献1、特許文献2に示すような種々の技術が考案されている。特許文献1には、契約内容に応じた適切な契約書を簡便に作成するための技術が開示されている。具体的には、契約文書を作成する際に、種々の契約内容(契約種別)毎に予め想定される全ての契約パターン(雛型契約書・自雛型条項)を用意し、取引に内在するリスクを回避するために契約文書に盛り込むべき事項をチェックリストとして表示して、自動的に条文の順序や引用条文を整合して、規定漏れや不備のない契約文書を作成するシステムが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、上述の作業2、3の繰り返しによる契約書の変更以外による契約書が変更、つまり、契約内容に対して双方が合意した後に契約書が改変されるのを防止するための技術が開示されている。
具体的には、契約締結のための手続きにおける不正な改ざんを防止するとともに、契約の交渉過程を確実に証明可能とし、契約業務を適切に支援する契約支援サービス方法および契約支援システムが開示されている。特許文献2における改ざん防止、および、交渉過程の証明は、契約書に署名をする際、署名の実施前と実施後の契約条項を示す情報を、実施日時と実施者とを特定可能な態様により記録することによって実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−65421号公報
【特許文献2】特開2002−123764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実際の契約書の締結においては、いずれか一方が提示した契約書に基づいて、互いに協議を行いつつ、相互に契約書の変更案を提示し合いながら契約条件を詰めていくこととなる。従って、単に、自社にとって最善の契約条件だけを取り上げて相手と交渉するのではなく、相手側が修正してきた変更案では、どのような条件が変更されているのか把握し、相手側の変更案に対する留意点に着目した検討を行うことが必要となる。また、相手側の変更案を受け入れる場合には、条件が変更されることによって発生するリスクを認識した上での判断が必要となる。
【0007】
ところが、一般に、変更された契約書のどこに留意点があり、どの部分に着目して検討を行わなければならないのか、また、相手側による契約書の変更によってどのようなリスクが発生するのかを的確に認識し、相手側の契約条件が受け入れられる内容であるか否かの判断は、担当者の経験や知識に頼るしかない状況である。この状況において、契約書に記載されている契約内容や、その変更内容を審査し、適切な判断ができるような契約担当者の教育、育成には多くの時間とコストが必要であるという問題がある。
【0008】
また、企業内においては、契約担当者と異なる審査担当者によって契約内容に対する審査が行われることが多いため、確実にリスクへの対応がなされているかなどを審査担当者が把握することができず、相手側によって変更された契約内容に対する審査が不十分のまま契約が進んでしまう可能性があるという問題がある。すなわち、審査担当者は、把握している契約内容に基づいてリスクとなりうる箇所を指摘するが、その後のリスクに対する対応(例えば、契約内容の変更案を相手側に提示するのか、リスクを回避する施策を講じるのか、契約内容を受け入れるかなど)は、例えば、契約主管など専門家に求めた見解に基づいて契約担当者によって行われる。このため、指摘したリスクに対してどのような対応を行ったかを、審査担当者が十分に把握できない場合、例えば、最初に指摘したリスクを回避するための対策によって、新たなリスクが発生していないかなどの検討が十分になされないこととなる。
【0009】
なお、特許文献1に記載の技術は、予め想定される全ての契約パターンを用意し、その中から選択されたひな形の契約書に基づいたチェックリストを表示する。しかし、実際の契約においては、予め自社が用意したひな形の契約書に基づいて契約が行われるわけではなく、相手側の用意した契約書に基づいて契約が進むこともあるため、必ずしも全ての状況に対応した支援を行う技術を提供するものではない。
【0010】
また、特許文献2記載の技術は、契約締結後になされた契約書の改ざんの把握を支援するが、契約書作成時の契約内容の変更を把握するための技術を提供するものではない。また、変更された契約内容に応じたリスクの指摘や、対応方法に関する技術を提供するものでもない。
【0011】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、契約書の作成段階において、契約内容の審査に関係する契約書の記載を提示することによって、経験や知識がない契約担当者でも容易に契約書の審査をすることができる文書審査支援装置、文書審査支援方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明の文書審査支援装置は、審査の対象である契約書の契約書データを記憶する契約書データ記憶部と、前記記憶された契約書データから予め定められた条項のデータを分割した契約書分割データを生成する契約書分割部と、前記審査対象の契約書の種別毎に予め定められた契約書の審査項目であって、前記契約書に対応して予め規定された審査項目データを取得する審査項目取得部と、前記審査項目取得部によって取得された審査項目データに基づいて、前記契約書分割部によって生成された契約書分割データから、前記審査項目に関連する関連条項を検索する審査項目対応条項検索部と、前記審査項目データと前記審査項目対応条項検索部によって検索された関連条項とを、前記契約書データに対応付けた審査データを生成する表示画面生成部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の前記契約書分割部は、予め定められた正規表現に従って、前記契約書データに属性タグを付与する属性タグ付与部と、前記属性タグ付与部によって付与された属性タグの並びに基づいて、前記契約書データの条項構造を判別し、前記属性タグと前記条項構造とに基づいて、前記契約書データに含まれる前記条項のデータを抽出する情報抽出部と、を備え、前記契約書分割部は、前記契約書データから、前記抽出した条項のデータのみを分割した前記契約書分割データを生成する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の前記審査項目取得部によって取得される審査項目データは、前記審査対象の契約書の種別毎に予め定められた審査項目の審査項目データであり、前記審査項目対応条項検索部は、前記審査項目データから、検索に使用するキーワードを抽出し、前記抽出したキーワードを拡張、修正した検索キーワードを生成する検索キーワード生成部と、前記検索キーワード生成部によって生成された検索キーワードに基づいて、前記契約書分割データ内における前記検索キーワードの出現頻度を検索する対応条項検索部と、を備え、前記審査項目対応条項検索部は、前記対応条項検索部によって検索された前記検索キーワードの出現頻度の高い順に予め定められた個数の前記契約書分割データを、前記審査項目に関連する前記関連条項とする、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の文書審査支援方法は、契約書データ記憶部が、審査の対象である契約書の契約書データを記憶する契約書データ記憶ステップと、契約書分割部が、前記記憶された契約書データから予め定められた条項のデータを分割した契約書分割データを生成する契約書分割ステップと、審査項目取得部が、前記審査対象の契約書の種別毎に予め定められた契約書の審査項目であって、前記契約書に対応して予め規定された審査項目データを取得する審査項目取得ステップと、審査項目対応条項検索部が、前記審査項目取得ステップによって取得された審査項目データに基づいて、前記契約書分割ステップによって生成された契約書分割データから、前記審査項目に関連する関連条項を検索する審査項目対応条項検索ステップと、表示画面生成部が、前記審査項目データと前記審査項目対応条項検索ステップによって検索された関連条項とを、前記契約書データに対応付けた審査データを生成する表示画面生成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明のプログラムは、文書の審査を支援する文書審査支援装置のコンピュータに、審査の対象である契約書の契約書データを記憶する契約書データ記憶ステップと、前記記憶された契約書データから予め定められた条項のデータを分割した契約書分割データを生成する契約書分割ステップと、前記審査対象の契約書の種別毎に予め定められた契約書の審査項目であって、前記契約書に対応して予め規定された審査項目データを取得する審査項目取得ステップと、前記審査項目取得ステップによって取得された審査項目データに基づいて、前記契約書分割ステップによって生成された契約書分割データから、前記審査項目に関連する関連条項を検索する審査項目対応条項検索ステップと、前記審査項目データと前記審査項目対応条項検索ステップによって検索された関連条項とを、前記契約書データに対応付けた審査データを生成する表示画面生成ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、契約書の作成段階において、契約内容の審査に関係する契約書の記載を提示することができ、経験や知識がない契約担当者でも容易に契約書の審査をすることができるという効果が得られる。また、変更された契約内容に係る記載を的確に認識することによって、相手側によって変更された契約内容の審査のみではなく、相手側によって変更された契約内容に対する対策の審査もすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態による文書審査支援装置を含むシステムの構成例を示したシステム構成図である。
【図2】本発明の実施形態によるユーザデータ記憶部の構成例と記憶される情報の一例を示した図である。
【図3】本発明の実施形態による契約書データ記憶部の構成例と記憶される情報の一例を示した図である。
【図4】本発明の実施形態による審査項目データ記憶部の構成例と記憶される情報の一例を示した図である。
【図5】本発明の実施形態による文書審査支援装置の処理手順の概略を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態による文書審査支援装置の処理手順の詳細を示したフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態による文書審査支援装置に契約書データを入力する登録画面の一例である。
【図8】本発明の実施形態による文書審査支援装置の審査結果を示す出力画面の一例である。
【図9】本発明の実施形態による属性タグ付与部の動作を説明するための説明図である。
【図10】本発明の実施形態による情報抽出部の動作を説明するための説明図である。
【図11】本発明の実施形態による情報抽出部の動作を説明するための説明図である。
【図12】本発明の実施形態による審査項目取得部の動作を説明するための説明図である。
【図13】本発明の実施形態による審査項目取得部の動作を説明するための説明図である。
【図14】本発明の実施形態による検索キーワード生成部の動作を説明するための説明図である。
【図15】本発明の実施形態による検索キーワード生成部の動作を説明するための説明図である。
【図16】本発明の実施形態による対応条項検索部の動作を説明するための説明図である。
【図17】本発明の実施形態による文書審査支援装置にユーザの対処策を入力する動作を説明するための説明図である。
【図18】本発明の実施形態による文書審査支援装置にユーザの対処策を入力する動作を説明するための説明図である。
【図19】本発明の実施形態による文書審査支援装置が生成するチェックリストの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態による文書審査支援装置10を含むシステムの構成例を示したシステム構成図である。文書審査支援装置10は、ユーザが入力した契約書のテキストデータから、予め記録してある契約書の審査項目に関連する条項を検索し、入力された契約書のテキストデータと審査項目とを関連付けてユーザに提示する。なお、契約書の審査項目は、契約内容毎に規定されている。
【0020】
文書審査支援装置10は、図1に示すように、文書審査支援装置10は、ネットワーク20を介してユーザが使用する端末(例えば、コンピュータ、以下、「ユーザ端末」という)によって実行されるアプリケーションプログラム30からアクセスされる。なお、ネットワーク20は、例えば、LAN(Local Area Network)や、インターネットなどの通信手段であり、ネットワーク20を介して複数のユーザ端末と接続されることが想定されるため、契約情報の漏洩を防止するセキュリティ機能を備えることが望ましい。
【0021】
また、文書審査支援装置10は、システム管理者によって文書審査支援装置10内のデータが管理される。なお、図1では、システム管理者が文書審査支援装置10を直接操作する構成を示しているが、ネットワークを介してシステム管理者が文書審査支援装置10を操作する構成とすることもできる。
【0022】
文書審査支援装置10は、図1に示すように、ユーザデータ記憶部100、ユーザデータ管理部110、契約書データ記憶部120、審査項目データ記憶部130、審査項目データ管理部140、ユーザインタフェース部150、テキスト登録部160、テキスト分割部170、審査項目取得部180、審査項目対応条項検索部190、表示画面生成部200から構成される。また、テキスト分割部170は、属性タグ付与部171、情報抽出部172を備える。また、審査項目対応条項検索部190は、検索キーワード生成部191、対応条項検索部192を備える。
【0023】
ユーザデータ記憶部100は、ユーザに関するデータ(以下、「ユーザデータ」という)を記憶するデータベースである。図2は、ユーザデータ記憶部100の構成例と記憶される情報の一例を示した図である。ユーザデータ記憶部100には、図2(a)に示すような、ユーザデータテーブル101が予めシステム管理者によって記憶される。
【0024】
ユーザデータテーブル101は、ユーザに関する情報であるユーザデータを記憶するためのテーブルである。ユーザデータテーブル101に記憶されている項目は、図2(b)に示すように、項目「ユーザID」に関連付けられた、「ユーザ名」、「部署」、および「権限」の項目が含まれる。
【0025】
ユーザデータ管理部110は、システム管理者からの指示を受け付け、その受け付けた指示に従って、ユーザデータテーブル101内のデータを変更する。例えば、システム管理者からユーザの追加が指示されたときは、システム管理者によって入力された新たなユーザに関するユーザデータをユーザデータテーブル101に格納する。また、例えば、システム管理者からユーザの更新が指示されたときは、システム管理者が指定した項目「ユーザID」に関連付けられたユーザデータテーブル101内のユーザデータの一部または全てを、システム管理者によって入力されたユーザデータに変更する。また、例えば、システム管理者からユーザの削除が指示されたときは、システム管理者が指定した項目「ユーザID」およびこの項目「ユーザID」に関連付けられたユーザデータをユーザデータテーブル101から削除する。
【0026】
契約書データ記憶部120は、ユーザによって入力された契約書のデータを記憶するデータベースである。図3は、契約書データ記憶部120の構成例と記憶される情報の一例を示した図である。契約書データ記憶部120には、図3(a)に示すような、契約書データテーブル121が記憶される。
【0027】
契約書データテーブル121は、審査対象となる契約書のテキストデータを記憶するためのテーブルである。契約書データテーブル121には、ユーザ端末のアプリケーションプログラム30からネットワーク20を介して送られてきた契約書データが記憶される。契約書データテーブル121に記憶されている項目は、図3(b)に示すように、項目「文書ID」に関連付けられた、「登録ユーザ」、「契約書名」、「条タイトル」、「条番号」、「項番号」、「号番号」、「本文」、および「条文」(図示せず)の項目が含まれる。なお、図3(b)に示した契約書データテーブル121の項目「登録ユーザ」のデータは、ユーザデータテーブル101に記憶されている項目「ユーザID」と対応したデータが記憶され、契約書データテーブル121に契約書データを登録したユーザを認識することができるようになっている。
【0028】
審査項目データ記憶部130は、契約書の審査をする際の審査項目に関するデータ(以下、「審査項目データ」という)を記憶するデータベースである。図4は、審査項目データ記憶部130の構成例と記憶される情報の一例を示した図である。審査項目データ記憶部130には、図4(a)に示すような、審査項目データテーブル131が予めシステム管理者によって記憶される。
【0029】
審査項目データテーブル131は、契約書の審査において契約書内の記載内容をチェックする項目を記憶するためのテーブルである。審査項目データテーブル131には、システム管理者によって登録された審査項目データが記憶される。審査項目データテーブル131に記憶されている項目は、図4(b)に示すように、項目「項目番号(項目No)」に関連付けられた、「対応契約書」、「チェック項目」、「リスク要因」、「回答選択肢1」、「回答選択肢2」、および「想定リスク」の項目が含まれる。
【0030】
審査項目データ管理部140は、システム管理者からの指示を受け付け、その受け付けた指示に従って、審査項目データテーブル131内のデータを変更する。例えば、システム管理者から審査項目の追加が指示されたときは、システム管理者によって入力された新たな審査項目データを審査項目データテーブル131に格納する。また、例えば、システム管理者から審査項目の更新が指示されたときは、システム管理者が指定した項目「項目No」に関連付けられた審査項目データテーブル131内の審査項目データの一部または全てを、システム管理者によって入力された審査項目データに変更する。また、例えば、システム管理者から審査項目の削除が指示されたときは、システム管理者が指定した項目「項目No」およびこの項目「項目No」に関連付けられた審査項目データを審査項目データテーブル131から削除する。
【0031】
次に、文書審査支援装置の処理について説明する。図5は、本実施形態による文書審査支援装置10の処理手順の概略を説明する図である。なお、図5(a)は、文書審査支援装置10における処理手順を示したフローチャートであり、図5(b)は、文書審査支援装置10による処理が完了した後にアプリケーションプログラム30に送信される表示画面の例である。
【0032】
文書審査支援装置10に審査対象の契約書が送られてくると、契約書データの登録処理(ステップS100)、契約書テキストの自動分割処理(ステップS200)、審査項目の自動取得処理(ステップS300)、審査項目対応条項の検索処理(ステップS400)を実行し、図5(b)に示すような表示をするための表示画面データをアプリケーションプログラム30に送る。
【0033】
契約書データの登録処理(ステップS100)は、ユーザから審査対象の契約書のデータが送られてくると、この契約書のデータを送ってきたユーザが文書審査支援装置10を使用する権限があるか否かを判定し、文書審査支援装置10を使用する権限がある場合には、契約書データ記憶部120に契約書データを記憶する処理である。また、文書審査支援装置10を使用する権限がない場合には、使用する権限がないことをユーザに送り返す処理を行う。なお、契約書データの登録処理は、ユーザインタフェース部150およびテキスト登録部160によって行われるが、詳細な処理に関しては後述する。
【0034】
契約書テキストの自動分割処理(ステップS200)は、契約書データ記憶部120に記憶された契約書データの本文テキストデータを分割して、契約書内に含まれる条項のタイトルおよび条項の番号に関するデータを抽出し、契約書データ記憶部120に記憶する処理である。なお、契約書テキストの自動分割処理は、テキスト分割部170内の属性タグ付与部171および情報抽出部172によって行われるが、詳細な処理に関しては後述する。
【0035】
審査項目の自動取得処理(ステップS300)は、契約書データ記憶部120に記憶された条項のタイトルに対応する審査項目データを審査項目データ記憶部130から取得すると共に、取得した審査項目データに基づいて、契約書データに含まれるリスクを、ユーザに提示する処理である。なお、審査項目の自動取得処理は、主に審査項目取得部180によって行われ、リスクのユーザへの提示は、表示画面生成部200によって行われるが、詳細な処理に関しては後述する。
【0036】
審査項目対応条項の検索処理(ステップS400)は、審査項目データ記憶部130に記憶された審査項目データに基づいて、契約書データ記憶部120に記憶された契約書データに含まれる単語から審査項目と対応する条項(ユーザが回答するときに参考にする条項)のデータを検索し、審査項目の自動取得処理でユーザに提示したリスクに関連する条項のデータを、ユーザに提示する処理である。また、審査項目の自動取得処理においてユーザに提示したリスク、審査項目対応条項の検索処理においてユーザに提示した条項のデータおよび、提示したリスクに対するユーザからの回答をチェックリストとして作成し、審査項目データ記憶部130に記憶する処理も行う。なお、審査項目対応条項の検索処理は、主に審査項目対応条項検索部190内の検索キーワード生成部191および対応条項検索部192によって行われ、条項のデータのユーザへの提示とチェックリストの生成は、表示画面生成部200によって行われるが、詳細な処理に関しては後述する。
【0037】
次に、ユーザインタフェース部150、テキスト登録部160、テキスト分割部170(属性タグ付与部171および情報抽出部172)、審査項目取得部180、審査項目対応条項検索部190(検索キーワード生成部191および対応条項検索部192)、表示画面生成部200の機能、および詳細な処理の内容について説明する。図6は、本実施形態による文書審査支援装置10の処理手順の詳細を示したフローチャートである。なお、図6(a)は、契約書テキストの自動分割処理の処理手順を示したフローチャート、図6(b)は、審査項目の自動取得処理の処理手順を示したフローチャート、図6(c)は、審査項目対応条項の検索処理の処理手順を示したフローチャートである。
【0038】
また、図7は、契約書データを入力する登録画面の一例である。図8は、審査対象の契約書における審査結果をユーザに提示する出力画面の一例である。また、図9、図10および図11は、属性タグ付与部171および情報抽出部172の動作を説明するための説明図である。また、図12および図13は、審査項目取得部180の動作を説明するための説明図である。また、図14、図15および図16は、検索キーワード生成部191および対応条項検索部192の動作を説明するための説明図である。
【0039】
まず、図5(a)に示したステップS100について説明する。
ユーザインタフェース部150は、ユーザ端末のアプリケーションプログラム30からネットワーク20を介して送られてきた審査対象の契約書データを受信する。この契約書データには、例えば、ユーザ端末の情報や、ユーザの情報が含まれている。ユーザインタフェース部150は、受信したユーザの情報に基づいて、ユーザデータテーブル101を参照し、契約書データを送信してきたユーザが文書審査支援装置10を使用する権限があるか否かを判定する。
ユーザが文書審査支援装置10を使用する権限があるか否かを判定は、例えば、契約書データ内に含まれているユーザIDが、ユーザデータテーブル101の項目「ユーザID」に記憶されているか否かを比較することによって行う。比較の結果、契約書のデータに含まれているユーザIDが、ユーザデータテーブル101の項目「ユーザID」に記憶されている場合、契約書のデータを送ってきたユーザは、文書審査支援装置10を使用する権限があると判定し、契約書のデータに含まれているユーザIDが、ユーザデータテーブル101の項目「ユーザID」に記憶されていない場合、契約書のデータを送ってきたユーザは、文書審査支援装置10を使用する権限がないと判定する。
【0040】
ユーザインタフェース部150は、契約書データを送信してきたユーザが文書審査支援装置10を使用する権限があると判定した場合は、受信した契約書データをテキスト登録部160に出力する。また、ユーザインタフェース部150は、契約書データを送信してきたユーザが文書審査支援装置10を使用する権限がない場合は、使用する権限がないことを示す情報を、ネットワーク20を介してアプリケーションプログラム30に送信する。このことによって、例えば、アプリケーションプログラム30が、文書審査支援装置10の使用権限がなく、システム管理者に登録を依頼する必要があることを伝えるためのメッセージなどを、ユーザに提示することができる。
【0041】
また、ユーザインタフェース部150は、表示画面作成部200が作成した表示画面データを、ネットワーク20を介してアプリケーションプログラム30に送信し、アプリケーションプログラム30からネットワーク20を介して送られてきた表示画面への入力データをテキスト登録部160または表示画面作成部200に出力する。
【0042】
例えば、契約書データを登録する場合、ユーザインタフェース部150は、ユーザ端末のアプリケーションプログラム30から文書審査支援装置10の起動要求があると、図7に示すような契約書登録画面100aのデータを表示画面生成部200から取得してアプリケーションプログラム30に送信する。アプリケーションプログラム30は、受信した契約書登録画面100aのデータをユーザ端末の表示部に表示する。ユーザは、ユーザ端末に表示された契約書登録画面100aに契約書データを、例えば、下記の方法によって入力する。契約書データの入力方法は、例えば、図7に示した契約書登録画面100aの契約書登録覧110a内のテキスト入力欄111aに契約書のテキストデータを入力、または、契約書ファイル選択覧112aに契約書ファイルを格納している場所の情報を入力し、登録ボタン113aを操作(例えば、マウスを用いてクリック)する。
このことによって、契約書登録画面100aに対して入力したデータ(本例では、契約書データ)を文書審査支援装置10、すなわち、ユーザインタフェース部150に送信することができる。なお、ユーザインタフェース部150に送信されるデータには、例えば、ユーザ端末の情報や、ユーザの情報が含まれており、ユーザインタフェース部150は、ユーザ端末の情報や、ユーザの情報も含めて受信した契約書データをテキスト登録部160に出力する。
【0043】
また、例えば、文書審査支援装置10が処理した結果をユーザに提示する場合、ユーザインタフェース部150は、図8に示すような審査画面200aのデータを表示画面生成部200から取得してアプリケーションプログラム30に送信し、アプリケーションプログラム30がユーザ端末の表示部に審査画面200aのデータを表示する。ユーザが、ユーザ端末に表示された審査画面200aの審査結果に基づいた対処策を入力することによって、文書審査支援装置10にユーザの対処策の内容が送信される。なお、審査画面200aについては後述する。
【0044】
テキスト登録部160は、ユーザインタフェース部150から入力されたユーザ端末の情報や、ユーザの情報に基づいて、入力された契約書データを契約書データ記憶部120内の契約書データテーブル121に記憶する。なお、本実施形態においてテキスト登録部160が契約書データテーブル121に記憶する情報は、図3(b)に示した項目「文書ID」、「登録ユーザ」、「契約書名」などの契約書データの種別を示す情報と、項目「本文」のテキストデータである。
また、テキスト登録部160は、契約書データを契約書データテーブル121に記憶したことを示す情報を属性タグ付与部171に通知する。
【0045】
テキスト登録部160から属性タグ付与部171に契約書データを記憶したことを示す情報が通知されると、次に契約書テキストの自動分割処理(図6(a)参照)が開始される。
【0046】
属性タグ付与部171は、テキスト登録部160から契約書データを契約書データテーブル121に記憶したことを示す情報が入力されると、契約書データ記憶部120内の契約書データテーブル121から、項目「本文」のテキストデータを取得して、取得したテキストデータに属性タグを付与する。また、属性タグ付与部171は、テキストデータに属性タグを付与したデータ(以下、「属性タグ付き本文データ」という)を、情報抽出部172に出力する(ステップS210)。
【0047】
以下、属性タグ付与部171における属性タグの付与について詳細に説明する。
属性タグ付与部171は、対して、予め定義した正規表現に従って、項目「本文」のテキストデータに属性タグを付与する。より詳細には、属性タグ付与部171は、項目「本文」のテキストデータから、正規表現に合致する章番号、章タイトル、条番号、条タイトル、項番号、項タイトル、号番号などのデータを抽出し、属性タグを付与した属性タグ付き本文データを情報抽出部172出力する。
【0048】
例えば、ある項目「本文」のテキストデータ「第6条(瑕疵担保責任)」から条番号、条タイトルのデータを抽出する場合、属性タグ付与部171は、正規表現 [^”第” ¥d ”条” ”(” .+ ”)”]に合致する文字列のうち、”第”¥d”条”に合致する部分に<ZYOU_NUM>を、”(”.+”)”に合致する部分に<ZYOU_TITLE>を付与し、属性タグ付き本文データ「<ZYOU_NUM>第6条</ZYOU_NUM><ZYOU_TITLE>(瑕疵担保責任)</ZYOU_TITLE>」を出力する。
【0049】
すなわち、属性タグの付与に関する規則の一例は以下の通りである。
(規則1):文頭にあり、括弧でくくられた文字列は条項のタイトルを表すため<TITLE>タグを付与する。
(規則2):文頭にあり、「第」と「条」で挟まれた数字は条番号を表すため<ZYOU_NUM>タグを付与する。
(規則3):文頭にある数字で、後ろに空白の続くものは項番号を現すため<KOU_NUM>タグを付与する。
(規則4):文中にある、「前項」、「第○条」、「第○条○項」、「第○条○」は他の条項の参照を表すため<REFER>タグを付与する。
(規則5):文中にある、「○○法」は他情報の参照を表すため<REFER>タグを付与する。
【0050】
上記のような処理によって、図9(a)に示すような「第7条(給付完了)」の条文のテキストデータに対して、属性タグを付与した図9(b)に示すような属性タグ付き本文データを出力する。
【0051】
情報抽出部172は、属性タグ付与部171から入力された属性タグ付き本文データに付与されている属性タグの並びに基づいて、契約書データの条文の並び方(条項構造)を判別する(ステップS220)。
なお、情報抽出部172による条項構造の判別は、契約書の書式が異なる条項構造であっても正規表現に合致する章番号、章タイトル、条番号、条タイトル、項番号、項タイトル、号番号、条文などのデータを適切に抽出するための前段階の処理である。
【0052】
以下、情報抽出部172における条項構造の判別について詳細に説明する。
情報抽出部172は、例えば、図10(a)に示したある項目「本文」のテキストデータ「第6条(対象製品の再頒布及び使用許諾)」における条項構造を判別する場合、属性タグ付き本文データから、条項構造を表すキーワード(例えば、文頭の数字や、( )で囲まれた文字列など)を抽出する。そして、抽出したキーワードに対して、契約書の条項構造に関する知見(例えば、条タイトルは条番号の前後にある、第1項の項番号は省略する場合がある、など)に基づいて、予め設定した条項構造のパターンから、項目「本文」のテキストデータに合致するパターンを推定する。
【0053】
なお、条項構造のパターンの推定における推定アルゴリズムの一例は以下の通りである。
(1):連番になっており、重複しない数字は条番号を表す。これは、「第1条」、「第2条」など、条番号は重複せず連番となるということを利用している。
(2):連番になっており、重複し、多数使用される数字は項番号を表す。これは、「第1条1項」、「第2条1項」など、項番号は重複があり、各条で使用されるため多数用いられるということに基づいている。
(3):条タイトルは条番号の前か後ろにある。
【0054】
上記のような処理によって、図10(a)に示すような「第6条(対象製品の再頒布及び使用許諾)」の条文から、条項構造を判別し、図10(b)に示すような第1候補(パターン6)を選択する。
【0055】
また、情報抽出部172は、属性タグ付き本文データに含まれる属性タグと、判別した条項構造に基づいて、項目「本文」のテキストデータに含まれる章番号、章タイトル、条番号、条タイトル、項番号、項タイトル、号番号、条文などのデータを抽出し、更に、項目「本文」のテキストデータから不要な文字を削除することによって、項目「本文」のテキストデータを分割したデータ(以下、「条項データ」という)を抽出する。また、抽出した条項データを契約書データテーブル121に記憶する(ステップS230)。
【0056】
以下、情報抽出部172における条項データの生成について詳細に説明する。
情報抽出部172は、例えば、ある属性タグ付き本文データ「<ZYOU_NUM>第6条</ZYOU_NUM><ZYOU_TITLE>(瑕疵担保責任)</ZYOU_TITLE>」から条番号と条タイトルのデータを抽出し、契約書データテーブル121に記憶する場合、情報抽出部172は、<ZYOU_NUM>タグで挟まれた文字列「第6条」から数字以外の文字列を削除した文字列「6」を、契約書データテーブル121の項目「条番号」に記憶する。また、<ZYOU_TITLE>タグで挟まれた文字列「(瑕疵担保責任)」から括弧を削除した文字列「瑕疵担保責任」を、契約書データテーブル121の項目「条タイトル」に記憶する。
【0057】
上記のような処理によって、図11(a)に示すような「第7条(給付完了)」の条文の属性タグ付き本文データから、図11(b)に示すような条項データ(条番号、項番号、号番号、条文)を抽出する。図11(b)では、情報抽出部172は、属性タグ付き本文データから、<ZYOU_NUM>タグで挟まれた文字列「第7条」から数字以外の文字列を削除した「7」を項目「条番号」、<TITLE>タグで挟まれた文字列「(給付完了)」から括弧を削除した「給付完了」を項目「条タイトル」、<KOU_NUM>タグで挟まれた文字列「2」を項目「項番号」のデータとして抽出し契約書データテーブル121に記憶する。なお、図11(b)において、項目「項番号」は、「2」のデータのみが抽出されるが、上述の契約書の条項構造に関する知見(第1項の項番号は省略する場合がある)に基づいて、項目「項番号」=「2」の前の条文を第1項とする。
【0058】
また、図11(b)に示した項目「条文」のデータの抽出は、属性タグ付き本文データから、条番号や項番号に付けられた属性タグの後側の属性タグから、項番号、条タイトルに付けられた属性タグの前側の属性タグまでの文字列を項目「条文」のデータとして抽出している。例えば、以下の組み合わせの属性タグに挟まれるテキスト(下記「○○」部)を項目「条文」のデータとして抽出する。
(1):</ZYOU_NUM>○○<KOU_NUM>
(2):</ZYOU_NUM>○○<TITLE>
(3):</KOU_NUM>○○<TITLE>
図11(b)では、</ZYOU_NUM>タグから<KOU_NUM>タグまでの間の文字列「甲は、納入物が<REFER>第5条</REFER>の検査等に合格した場合、・・・」を、項目「項番号」=「1」の項目「条文」のデータとして抽出し、</KOU_NUM>タグから<TITLE>タグ(図示せず)までの間の文字列「<REFER> 前項</REFER>の規定にかかわらず、本契約において納入物を納入する旨・・・」を、項目「項番号」=「2」の項目「条文」のデータとして抽出している。そして、抽出されたそれぞれの条文のデータを契約書データテーブル121に記憶する。なお、上記抽出した項目「条文」のデータにおける<REFER>タグは、削除せずに契約書データテーブル121の項目「条文」に記憶する。
【0059】
また、情報抽出部172は、条項データを契約書データテーブル121に記憶したことを示す情報を審査項目取得部180に通知する。なお、情報抽出部172が審査項目取得部180に通知する情報には、契約書データテーブル121に記憶した条項データが、どのような契約に関するデータであるかを示す契約書データの種別を示す情報が含まれている。例えば、契約書データテーブル121に含まれる項目「契約書名」の情報が含まれる。
【0060】
情報抽出部172から契約書データテーブル121に条項データを記憶したことを示す情報が通知されると、次に審査項目の自動取得処理(図6(b)参照)が開始される。
【0061】
審査項目取得部180は、情報抽出部172から条項データを契約書データテーブル121に記憶したことを示す情報が入力されると、通知された情報に含まれる契約書データの種別を示す情報に基づいて、審査項目データ記憶部130内の審査項目データテーブル131から審査項目データを取得する(ステップS310)。
【0062】
例えば、通知された契約書データの種別を示す情報が、「ソフトウェア開発請負契約書」ある場合、この「ソフトウェア開発請負契約書」において確認すべき審査項目データを審査項目データテーブル131から取得する。より詳細には、審査項目取得部180は、図12に示した審査項目データテーブル131の項目「対応契約書」が「ソフトウェア開発請負契約書」となっている項目「項目No」=「1」の審査項目データを取得する。
【0063】
また、審査項目取得部180は、審査項目対応条項検索部190に出力した項目「項目No」に対応する審査項目データ内の項目「チェック項目」、「リスク要因」、「回答選択肢1」、「回答選択肢2」、および項目「想定リスク」のデータを、表示画面作成部200に出力する(ステップS320)。以下、審査項目取得部180が表示画面作成部200に出力するデータを、リスク評価データという。このことにより、リスク評価データがユーザに提示される。
【0064】
以下、審査項目取得部180の処理におけるリスク評価データの表示について詳細に説明する。
例えば、リスク評価データをユーザに提示する場合、図8に示した審査画面200a内のリスク評価覧220aに、図13に示すような表示がされる。図13において、チェック項目覧221aには、図12に示した審査項目データテーブル131の項目「チェック項目」のデータ「中途解除時の費用回収が可能か・・・」が表示され、回答欄222aには、図12に示した審査項目データテーブル131の項目「回答選択肢1」のデータ「リスク高:契約書等に、中途解約した場合に、お客様から費用回収が可能となる条件を記載していない。」および「回答選択肢2」のデータ「リスク低:契約書(案)等に、中途解約した場合に、お客様から費用回収が可能となる条件を記載している。」が表示され、想定リスク欄223aには、図12に示した審査項目データテーブル131の項目「想定リスク」のデータ「中途解除時の費用回収について明記していない場合、未回収リスクが高くなります。」が表示される。
また、チェックボックス2221aは、図12に示した審査項目データテーブル131の項目「回答選択肢1」に対応したチェックボックスであり、チェックボックス2222aは、図12に示した審査項目データテーブル131の項目「回答選択肢2」に対応したチェックボックスである。なお、ユーザによる対処策の入力に関しては、後述する。
【0065】
また、審査項目取得部180は、取得した審査項目データ内の項目「項目No」の情報を審査項目対応条項検索部190に出力する。
審査項目取得部180から審査項目データ内の項目「項目No」の情報が入力されると、次に審査項目対応条項の検索処理(図6(c)参照)が開始される。
【0066】
検索キーワード生成部191は、審査項目取得部180から審査項目データ内の項目「項目No」の情報が入力されると、審査項目データ記憶部130内の審査項目データテーブル131から項目「項目No」に対応する項目「チェック項目」、「回答選択肢1」、「回答選択肢2」および項目「想定リスク」のデータを取得して、取得したデータの文章から審査項目に関連する代表キーワードを抽出する(ステップS410)。
【0067】
以下、検索キーワード生成部191における代表キーワードの抽出について詳細に説明する。
検索キーワード生成部191は、例えば、検索キーワード生成部191が、項目「チェック項目」のテキストデータ「中途解除時の費用回収が可能か?」から代表キーワード「中途・解除・費用・回収・可能」を抽出する場合の処理は、以下の通りである(図14(a)参照)。
(処理1):項目「チェック項目」のテキストデータに対して形態素解析を行い、テキストデータの単語列への分割および各単語の品詞を取得する。
(処理2):単語列から2文字以上の名詞、未知語を抽出する。
なお、処理2では連続する単語列を組み合わせて複合語として抽出することや、動詞を含めて動作として抽出するなどを行ってもよい。例えば、「中途」と「解除」の複合語として「中途解除」を抽出してもよい。また、例えば、「回収」の動作として「回収する」を抽出してもよい。
【0068】
また、検索キーワード生成部191は、抽出した代表キーワードに基づいて、代表キーワードに関連するキーワードを追加(拡張)する(ステップS420)。このキーワードの拡張は、例えば、同じ意味を示す単語が、契約書において異なる表記で用いられることがあるため、単にシステム管理者によって予め登録された審査項目データから抽出した単語のみをキーワードとして抽出するのではく、契約書に異なる表記で記載されている単語も抽出するために行うものである。以下、代表キーワードと代表キーワードに関連するキーワードとをまとめて、関連キーワードという。
【0069】
以下、検索キーワード生成部191における関連キーワードの抽出について詳細に説明する。
検索キーワード生成部191は、例えば、検索キーワード生成部191が、抽出した代表キーワード「中途・解除・費用・回収・可能」を拡張する場合、以下の方法によって行う。
(方法1):同義語辞書等を用いて代表キーワードに関連するキーワード(例えば、「中途」の同義語である「途中」、「解除」の同義語である「解約」)を追加する(図14(b−1)参照)。
(方法2):修正用ユーザインタフェースを介して、ユーザがキーワードを追加する(図14(b−2)参照)。
【0070】
また、検索キーワード生成部191は、抽出、追加した関連キーワードを対応条項検索部192に出力する。
【0071】
対応条項検索部192は、検索キーワード生成部191から関連キーワードが入力されると、契約書データ記憶部120内の契約書データテーブル121から、条項データを取得する。そして、関連キーワードに基づいて、取得した条項データ内に含まれる関連キーワードを検索し、検索された関連キーワードの情報を含む契約書データテーブル121内の項目「本文」のテキストデータ(以下、「関連条項」という)を抽出する(ステップS430)。
【0072】
以下、対応条項検索部192における関連条項の抽出手順について詳細に説明する(図15参照)。
(手順1):対応条項検索部192は、関連キーワードに基づいて、条項データに対してスコアを算出する(図15(a)参照)。
(手順2):スコアの高い順に予め設定した件数の関連条項を審査項目に関連する条項として抽出する(図15(b)参照)。図15(b)では、3件の関連条項を抽出している例を示している。
なお、スコア付けアルゴリズムは、例えば、全文検索のスコアリング技術として知られる一般的なBM25などを用いる。
【0073】
また、関連キーワードが検出された条項データ、すなわち、項目「条文」のデータに対して、キーワードの部分を示すデータに強調表示用の<KEY>タグを付与してもよい。また、同様に関連条項、すなわち、項目「本文」のテキストデータに、キーワードの部分を示すデータに強調表示用の<KEY>タグを付与することもできる。例えば、関連条項のテキストデータ「一部を解除できるものとします。」に対してキーワード「解除」に強調表示用の<KEY>タグを付与すると、「一部を<KEY>解除</KEY>できるものとします。」となる。以下、強調表示用の<KEY>タグを付与した関連条項を「キーワードタグ付き関連条項」ということとする。
【0074】
また、審査項目対応条項検索部190(検索キーワード生成部191および対応条項検索部192)は、キーワードを追加する修正用ユーザインタフェースおよび抽出した関連条項を表示画面作成部200に出力する(ステップS440)。
【0075】
以下、審査項目対応条項検索部190の処理におけるキーワード追加、関連条項の表示について詳細に説明する。
検索キーワード生成部191の処理(方法2)において、ユーザが設定したキーワードを受け付ける場合、例えば、キーワードを追加する修正用ユーザインタフェースを、図8に示した審査画面200a内のチェック根拠・関連条項検索欄230aに、図16に示すような検索キーワード欄231aおよび検索ボタン232aを表示する。なお、ユーザによるキーワードの入力に関しては、後述する。
【0076】
また、対応条項検索部192の処理において、キーワードタグ付き関連条項をユーザに提示する場合、例えば、図8に示した審査画面200a内のチェック根拠・関連条項検索欄230aに、図16に示すような関連条項欄233aを表示する。図16において、関連条項欄233aには、図15(b)に示した関連条項が表示され、更に、強調表示用の<KEY>タグによって、検出された関連キーワードの文字領域の部分を強調表示する。例えば、<KEY>タグで挟まれた文字列の背景を“オレンジ”色にすることによって強調表示する場合は、<KEY>タグを<span style=“background−color : orange;”>に変更する。
なお、図16においては、関連キーワード強調表示を網掛けとしたが、例えば、文字の大きさ、太さ、文字の色、文字のフォント、文字(文字領域)への網掛け/塗り潰し、下線などの方法によって検出された関連キーワードの部分を強調表示してもよい。
また、関連条項欄233aには、対応条項検索部192が関連条項を抽出した際のスコアを表示している。
なお、ユーザによる対処策の入力に関しては、後述する。
【0077】
表示画面生成部200は、審査項目取得部180から入力されたリスク評価データに基づいて、アプリケーションプログラム30に出力する表示画面データ(図8に示すリスク評価覧220a)を生成し、ユーザインタフェース部150に出力する。また、表示画面生成部200は、対応条項検索部192から入力されたキーワードタグ付き関連条項に基づいて、アプリケーションプログラム30に出力する表示画面データ(図8に示すチェック根拠・関連条項検索欄230a)を生成し、ユーザインタフェース部150に出力する。また、表示画面生成部200は、審査項目データテーブル131の項目「リスク要因」のデータを、例えば、図8のチェック項目一覧210a(チェック項目欄211a)に表示する表示画面データを生成し、ユーザインタフェース部150に出力する。
【0078】
以下、表示画面生成部200によって生成される表示画面データについて詳細に説明する。図17および図18は、表示画面生成部200が出力した契約書の審査結果に対するユーザの対処策を入力する動作を説明するための説明図である。
【0079】
図17は、図13に示した審査項目取得部180によるリスク評価データに対してユーザが対処策を入力した状態を示している。
ユーザがリスク評価データに対する対処策を入力する場合、例えば、リスク評価覧220a内の回答欄222aのチェックボックス2221aまたはチェックボックス2222aを選択(例えば、マウスを用いてクリックし、チェックマークを付ける)する。また、ユーザの対処策をチェック結果に対するリスク対処策欄224aに記載する。このことによって、ユーザの対処策が文書審査支援装置10、すなわち、ユーザインタフェース部150に送信される。
【0080】
図18は、図16に示した審査項目対応条項検索部190(検索キーワード生成部191および対応条項検索部192)によるキーワード追加、関連条項の表示に対してユーザがキーワードおよび対処策を入力した状態を示している。
ユーザがキーワードを追加する場合、例えば、検索キーワード欄231aにキーワードを入力し、検索ボタン232aを操作(例えば、マウスを用いてクリック)することによってキーワードを確定する。このことによって、検索キーワード欄231aに入力したキーワード(図18では、「中途、解約、解除、費用、回収、金銭、履行」)のデータを、文書審査支援装置10、すなわち、ユーザインタフェース部150に送信することができる。
なお、検索キーワード欄231aの初期状態として、関連キーワードを提示してもよい。
【0081】
また、ユーザーが関連条項に対するチェック根拠を入力する場合、例えば、関連条項欄233aの項目「回答欄への引用」のチェックボックス(2331a、2332a、2333a)のいずれか1つ、または複数を選択(例えば、マウスを用いてクリックし、チェックマークを付ける)する。このことによって、ユーザの選択(引用)した関連条項が文書審査支援装置10、すなわち、ユーザインタフェース部150に送信される。
【0082】
また、表示画面生成部200は、審査項目取得部180から入力されたリスク評価データと、対応条項検索部192から入力されたキーワードタグ付き関連条項とに基づいて、契約書審査における自己チェックリストを作成し、審査項目データ記憶部130に出力する。また、ユーザインタフェース部150から入力されたリスク評価データに対するユーザの対処策(リスク評価覧220aへの記載およびチェック)の内容と、関連条項の引用(チェック根拠・関連条項検索欄230aへのチェック)の情報とに基づいて、作成した自己チェックリストを更新する(ステップS450)。
【0083】
以下、表示画面生成部200によって作成される自己チェックリストについて詳細に説明する。図19は、表示画面生成部200が作成、更新した自己チェックリストの一例である。
表示画面生成部200が作成、更新する自己チェックリストには、図19に示すように、項目「項番」、「リスク要因」、「想定リスク事象」、「リスク評価基準」、「チェック結果に対するリスク対処策」の項目が含まれる。また、項目「リスク評価基準」には、「チェック項目」、「チェックレベル」、「チェック根拠」の項目が含まれる。
【0084】
表示画面生成部200が、審査項目取得部180から入力されたリスク評価データと、対応条項検索部192から入力されたキーワードタグ付き関連条項とに基づいて、最初に自己チェックリストを作成する場合、すなわち、ユーザによる対処策がまだ入力されていない場合、自己チェックリストには、図8に示した審査画面200aにおける以下のデータが記録される。
(1)項目「項番」:チェック項目欄211a内の項目「項番」のデータ、
(2)項目「リスク要因」:チェック項目欄211a内の項目「リスク要因」のデータ、
(3)項目「想定リスク事象」:リスク評価覧220a内の想定リスク欄223aのデータ(図13参照)、
(4)項目「チェック項目」:リスク評価覧220a内のチェック項目覧221aのデータ(図13参照)、
(5)項目「チェックレベル」:リスク評価覧220a内の回答欄222aのデータ(図13参照)。
なお、ユーザによる対処策がまだ入力されていない場合、自己チェックリスト内の項目「チェック根拠」および項目「チェック結果に対するリスク対処策」は、データが記録されていない状態である。
【0085】
また、ユーザインタフェース部150から入力されたリスク評価データに対するユーザの対処策(リスク評価覧220aへの記載およびチェック)の内容と、関連条項の引用(チェック根拠・関連条項検索欄230aへのチェック)の情報とに基づいて、自己チェックリストを更新すると、自己チェックリストには、図8に示した審査画面200aにおける以下のデータが更に記録される。
(1)項目「チェックレベル」:リスク評価覧220aの回答欄222a内のチェックボックス2221aまたはチェックボックス2222aの選択(チェック)結果のデータ(図17参照)、
(2)項目「チェック根拠」:チェック根拠・関連条項検索欄230aの関連条項欄233aにおいて、項目「回答欄への引用」内のチェックボックス(2331a、2332a、2333a)を選択(チェック)した関連条項のデータ(図18参照)、
(3)項目「チェック結果に対するリスク対処策」:リスク評価覧220a内のチェック結果に対するリスク対処策欄224aに記載したユーザの対処策(図17参照)。
【0086】
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態によれば、作成した契約書におけるリスクおよび関連する条項を抽出することができる。このことによって、契約におけるリスクを効率的に審査することができ、経験や知識がない契約担当者が契約書を作成した場合でも、容易に契約書の審査を行うことができる。
また、想定したリスクに対してどのように対処するかを記載した自己チェックリストを作成することによって、効率的にチェックを行うことができる。また、自己チェックリストは、契約締結までの記録として利用することもできる。
【0087】
なお、本実施形態の文書審査支援装置10に契約相手が作成した契約書データを入力することによって、相手側の作成した契約書に対するリスクを効率的に想定することもできる。
【0088】
ここで、本実施形態の文書審査支援装置10を利用して契約書の審査を行うユーザの作業について補足する。本実施形態の文書審査支援装置10を利用するユーザの作業は、以下の通りである。
(前準備)契約書種別に応じた審査項目データを審査項目データ記憶部130に記憶。ただし、この作業は、システム管理者によって行われる作業であり、法律などの専門的な知識を有する契約主管など専門家が作成した審査項目データをシステム管理者が事前に登録する作業である。以降は、経験や知識がない契約担当者が実施することができる。
(作業1):契約書データを文書審査支援装置10に登録(図7参照)、
(作業2):チェック項目一覧210aから、チェック項目、すなわち、チェック項目欄211aの項目「リスク要因」を選択(図8参照)、
(作業3):関連条項欄233aを確認し、チェック項目に回答(図8、図17、図18参照)
(作業4):全てのチェック項目に回答後、自己チェックリストによって確認する。(図19参照)
【0089】
なお、図5または図6に示した文書審査支援装置10の各処理ステップを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、文書審査支援装置10に係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0090】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0091】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【符号の説明】
【0092】
10・・・文書審査支援装置、20・・・ネットワーク、30・・・アプリケーションプログラム、100・・・ユーザデータ記憶部、101・・・ユーザデータテーブル、110・・・ユーザデータ管理部、120・・・契約書データ記憶部、121・・・契約書データテーブル、130・・・審査項目データ記憶部、131・・・審査項目データテーブル、140・・・審査項目データ管理部、150・・・ユーザインタフェース部、160・・・テキスト登録部、170・・・テキスト分割部、171・・・属性タグ付与部、172・・・情報抽出部、180・・・審査項目取得部、190・・・審査項目対応条項検索部、191・・・検索キーワード生成部、192・・・対応条項検索部、200・・・表示画面生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
審査の対象である契約書の契約書データを記憶する契約書データ記憶部と、
前記記憶された契約書データから予め定められた条項のデータを分割した契約書分割データを生成する契約書分割部と、
前記審査対象の契約書の種別毎に予め定められた契約書の審査項目であって、前記契約書に対応して予め規定された審査項目データを取得する審査項目取得部と、
前記審査項目取得部によって取得された審査項目データに基づいて、前記契約書分割部によって生成された契約書分割データから、前記審査項目に関連する関連条項を検索する審査項目対応条項検索部と、
前記審査項目データと前記審査項目対応条項検索部によって検索された関連条項とを、前記契約書データに対応付けた審査データを生成する表示画面生成部と、
を備えることを特徴とする文書審査支援装置。
【請求項2】
前記契約書分割部は、
予め定められた正規表現に従って、前記契約書データに属性タグを付与する属性タグ付与部と、
前記属性タグ付与部によって付与された属性タグの並びに基づいて、前記契約書データの条項構造を判別し、前記属性タグと前記条項構造とに基づいて、前記契約書データに含まれる前記条項のデータを抽出する情報抽出部と、
を備え、
前記契約書分割部は、
前記契約書データから、前記抽出した条項のデータのみを分割した前記契約書分割データを生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の文書審査支援装置。
【請求項3】
前記審査項目取得部によって取得される審査項目データは、
前記審査対象の契約書の種別毎に予め定められた審査項目の審査項目データであり、
前記審査項目対応条項検索部は、
前記審査項目データから、検索に使用するキーワードを抽出し、前記抽出したキーワードを拡張、修正した検索キーワードを生成する検索キーワード生成部と、
前記検索キーワード生成部によって生成された検索キーワードに基づいて、前記契約書分割データ内における前記検索キーワードの出現頻度を検索する対応条項検索部と、
を備え、
前記審査項目対応条項検索部は、
前記対応条項検索部によって検索された前記検索キーワードの出現頻度の高い順に予め定められた個数の前記契約書分割データを、前記審査項目に関連する前記関連条項とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の文書審査支援装置。
【請求項4】
契約書データ記憶部が、審査の対象である契約書の契約書データを記憶する契約書データ記憶ステップと、
契約書分割部が、前記記憶された契約書データから予め定められた条項のデータを分割した契約書分割データを生成する契約書分割ステップと、
審査項目取得部が、前記審査対象の契約書の種別毎に予め定められた契約書の審査項目であって、前記契約書に対応して予め規定された審査項目データを取得する審査項目取得ステップと、
審査項目対応条項検索部が、前記審査項目取得ステップによって取得された審査項目データに基づいて、前記契約書分割ステップによって生成された契約書分割データから、前記審査項目に関連する関連条項を検索する審査項目対応条項検索ステップと、
表示画面生成部が、前記審査項目データと前記審査項目対応条項検索ステップによって検索された関連条項とを、前記契約書データに対応付けた審査データを生成する表示画面生成ステップと、
を含むことを特徴とする文書審査支援方法。
【請求項5】
文書の審査を支援する文書審査支援装置のコンピュータに、
審査の対象である契約書の契約書データを記憶する契約書データ記憶ステップと、
前記記憶された契約書データから予め定められた条項のデータを分割した契約書分割データを生成する契約書分割ステップと、
前記審査対象の契約書の種別毎に予め定められた契約書の審査項目であって、前記契約書に対応して予め規定された審査項目データを取得する審査項目取得ステップと、
前記審査項目取得ステップによって取得された審査項目データに基づいて、前記契約書分割ステップによって生成された契約書分割データから、前記審査項目に関連する関連条項を検索する審査項目対応条項検索ステップと、
前記審査項目データと前記審査項目対応条項検索ステップによって検索された関連条項とを、前記契約書データに対応付けた審査データを生成する表示画面生成ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
審査の対象である契約書の契約書データを記憶する契約書データ記憶部と、
前記記憶された契約書データから予め定められた条項のデータを分割した契約書分割データを生成する契約書分割部と、
前記審査対象の契約書の種別毎に予め定められた契約書の審査項目であって、前記契約書に対応して予め規定された審査項目データを取得する審査項目取得部と、
前記審査項目取得部によって取得された審査項目データに基づいて、前記契約書分割部によって生成された契約書分割データから、前記審査項目に関連する関連条項を検索する審査項目対応条項検索部と、
前記審査項目データと前記審査項目対応条項検索部によって検索された関連条項とを、前記契約書データに対応付けた審査データを生成する表示画面生成部と、
を備えることを特徴とする文書審査支援装置。
【請求項2】
前記契約書分割部は、
予め定められた正規表現に従って、前記契約書データに属性タグを付与する属性タグ付与部と、
前記属性タグ付与部によって付与された属性タグの並びに基づいて、前記契約書データの条項構造を判別し、前記属性タグと前記条項構造とに基づいて、前記契約書データに含まれる前記条項のデータを抽出する情報抽出部と、
を備え、
前記契約書分割部は、
前記契約書データから、前記抽出した条項のデータのみを分割した前記契約書分割データを生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の文書審査支援装置。
【請求項3】
前記審査項目取得部によって取得される審査項目データは、
前記審査対象の契約書の種別毎に予め定められた審査項目の審査項目データであり、
前記審査項目対応条項検索部は、
前記審査項目データから、検索に使用するキーワードを抽出し、前記抽出したキーワードを拡張、修正した検索キーワードを生成する検索キーワード生成部と、
前記検索キーワード生成部によって生成された検索キーワードに基づいて、前記契約書分割データ内における前記検索キーワードの出現頻度を検索する対応条項検索部と、
を備え、
前記審査項目対応条項検索部は、
前記対応条項検索部によって検索された前記検索キーワードの出現頻度の高い順に予め定められた個数の前記契約書分割データを、前記審査項目に関連する前記関連条項とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の文書審査支援装置。
【請求項4】
契約書データ記憶部が、審査の対象である契約書の契約書データを記憶する契約書データ記憶ステップと、
契約書分割部が、前記記憶された契約書データから予め定められた条項のデータを分割した契約書分割データを生成する契約書分割ステップと、
審査項目取得部が、前記審査対象の契約書の種別毎に予め定められた契約書の審査項目であって、前記契約書に対応して予め規定された審査項目データを取得する審査項目取得ステップと、
審査項目対応条項検索部が、前記審査項目取得ステップによって取得された審査項目データに基づいて、前記契約書分割ステップによって生成された契約書分割データから、前記審査項目に関連する関連条項を検索する審査項目対応条項検索ステップと、
表示画面生成部が、前記審査項目データと前記審査項目対応条項検索ステップによって検索された関連条項とを、前記契約書データに対応付けた審査データを生成する表示画面生成ステップと、
を含むことを特徴とする文書審査支援方法。
【請求項5】
文書の審査を支援する文書審査支援装置のコンピュータに、
審査の対象である契約書の契約書データを記憶する契約書データ記憶ステップと、
前記記憶された契約書データから予め定められた条項のデータを分割した契約書分割データを生成する契約書分割ステップと、
前記審査対象の契約書の種別毎に予め定められた契約書の審査項目であって、前記契約書に対応して予め規定された審査項目データを取得する審査項目取得ステップと、
前記審査項目取得ステップによって取得された審査項目データに基づいて、前記契約書分割ステップによって生成された契約書分割データから、前記審査項目に関連する関連条項を検索する審査項目対応条項検索ステップと、
前記審査項目データと前記審査項目対応条項検索ステップによって検索された関連条項とを、前記契約書データに対応付けた審査データを生成する表示画面生成ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−231743(P2010−231743A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81611(P2009−81611)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】
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