説明

文書情報記録装置、文書情報記録方法、文書情報記録プログラムおよび文書情報記録システム

【課題】ユーザーの意図しない時間帯の情報が文書情報に反映されることを防止する。
【解決手段】複数の時刻と当該時刻に対応する位置とを示す移動履歴情報を取得する移動履歴情報取得手段と、文書作成の対象となる対象期間を特定する期間特定手段と、前記移動履歴情報から前記対象期間以外の期間に関する情報を抽出することなく、前記移動履歴情報から前記対象期間に属する時刻と当該時刻に対応する位置とを示す対象期間情報を抽出する対象期間情報抽出手段と、前記対象期間情報から文書作成のための文書情報を抽出して記録する文書情報記録手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書作成のための情報を記録する文書情報記録装置、文書情報記録方法、文書情報記録プログラムおよび文書情報記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
GPSモジュールによりユーザーの位置を特定し、当該位置と時刻とを対応付けた移動履歴情報(GPSログ)を記録する技術が知られている(特許文献1、参照)。近年、GPSモジュールは一般の携帯電話等にも搭載されるようになり、多くのユーザーについての移動履歴情報が携帯電話等にて記録され得る状況に至っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−183594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、移動履歴情報はユーザーの行動が推定できる情報であるため、ユーザーの意図に反して移動履歴情報や当該移動履歴情報から抽出した情報が送受信されることは望ましくない。特に、ユーザーが自らの行動を秘密にしておきたい時間帯についての移動履歴情報に基づいて文書作成が行われると、ユーザーのプライバシーが大きく害されることとなる。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、ユーザーの意図しない時間帯の情報が文書情報に反映されることを防止する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明の文書情報記録装置において、移動履歴情報取得手段は、複数の時刻と当該時刻に対応する位置とを示す移動履歴情報を取得する。期間特定手段は、文書作成の対象となる対象期間を特定する。対象期間情報抽出手段は、移動履歴情報から対象期間以外の期間に関する情報を抽出することなく、移動履歴情報から対象期間に属する時刻と当該時刻に対応する位置とを示す対象期間情報を抽出する。そして、文書情報記録手段は、対象期間情報から文書作成のための文書情報を抽出して記録する。かかる構成により、対象期間に関する対象期間情報のみから文書作成のための文書情報を抽出することができ、対象期間以外の期間に関する情報が文書情報に反映されることが防止できる。すなわち、ユーザーの意図しない時間帯の情報が文書情報として記録されることが防止できる。
【0006】
さらに、期間特定手段は、移動履歴情報が示す位置が所定の第1位置から第2位置へと移動した時刻から、移動履歴情報が示す位置が第2位置から第1位置へと移動した時刻までの期間を対象期間として特定してもよい。すなわち、第1位置から第2位置に向かう往路に対応する時刻から、反対に第2位置から第1位置へと帰る帰路に対応する時刻までの期間を対象期間とすることができる。
例えば、第1位置をユーザーの自宅の位置とし、第2位置をユーザーの勤務地の位置とすることにより、勤務地に出社してから退社するまでの期間を対象期間とすることができ、勤務先に報告するために好適な文書情報を記録できる。なお、勤務地には出張先等も含まれ、第2位置は単一の位置に限らない。また、第1位置から第2位置へと移動した時刻、および、第2位置から第1位置へと移動した時刻とは、移動の開始時刻であってもよいし、終了時刻であってもよいし、これらの中間の時刻であってもよい。
【0007】
また、期間特定手段は、移動履歴情報が示す位置が所定範囲内に存在する期間以外の期間を第1期間として特定してもよい。これにより、移動履歴情報が示す位置が所定範囲内に存在する期間、すなわち所定範囲内におけるユーザーの行動が文書情報に反映されることが防止できる。
例えば、所定範囲は、ユーザーの自宅の位置から所定距離以内の範囲であってもよい。これにより、自宅の位置を中心とした生活圏内におけるユーザーのプライベートな行動が文書情報に反映されることが防止できる。
【0008】
なお,請求項に記載された各手段の機能は,構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、または、それらの組み合わせにより実現される。また,これら各手段の機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。さらに、本発明は方法としても成立するし、前記した機能をサーバーおよびプリンターに実現させるコンピュータープログラムとしても成立するし、そのプログラムの記録媒体としても成立する。むろん、そのコンピュータープログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】文書情報記録システムのブロック図である。
【図2】(2A)は携帯端末が実行する処理のフローチャート、(2B)はサーバーが実行する処理のフローチャートである。
【図3】(3A)は位置の軌跡を示す図、(3B)はイベントを示す表である。
【図4】移動速度の推移を示すグラフである。
【図5】出張報告書を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら以下の順に説明する。
(1)第1実施形態:
(1−1)携帯端末の構成:
(1−2)サーバーの構成:
(1−3)文書作成処理:
(2)他の実施形態:
【0011】
(1)第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態にかかる文書情報記録システム1のブロック図である。文書情報記録システム1は、文書情報記録装置としての携帯端末10とサーバー20とを含む。
【0012】
(1−1)携帯端末の構成:
携帯端末10は、制御部11と記録媒体12とGPS受信器13とUI部14と通信部15とを含む。制御部11は、CPUとROMとRAM等を含み、ROMや記録媒体12に記録されたプログラムデータに基づいて、文書情報入力プログラムP1を実行する。記録媒体12は、各種プログラムを実行するためのプログラムデータ(不図示)と、地図情報12aと移動履歴情報12bと対象期間情報12cと文書情報12dとを記録する。地図情報12aは、各種の施設の名称と、施設の位置(緯度・経度)とを示す情報である。さらに、地図情報12aは、ユーザーの自宅の位置と、ユーザーの勤務地の位置とを示す。移動履歴情報12bは、過去の複数の時刻と、当該時刻において携帯端末10が存在した位置(緯度・経度)とを示す情報である。対象期間情報12cは、移動履歴情報12bから対象期間に属する時刻と当該時刻に対応する位置とを抽出した情報である。文書情報12dは、サーバー20が文書としての出張報告書を作成するために使用する情報である。
【0013】
GPS受信器13は、GPS衛星からGPS信号を受信し、GPS信号を制御部11に出力する。通信部15は、無線通信または有線通信によりサーバー20と携帯端末10とを通信させるための回路を含む。UI部14は、ユーザーが認識可能に情報を出力する出力手段と、ユーザーから入力操作を受け付ける入力手段とを含む。本実施形態のUI部14は、出力手段と入力手段とを兼ねるタッチパネルディスプレイを備える。UI部14は、制御部11が出力した表示信号に基づいてタッチパネルディスプレイにて画像を表示させるとともに、タッチパネルディスプレイに対する指の接触状態に基づいて操作信号を生成して制御部11に出力する。
【0014】
文書情報入力プログラムP1は、移動履歴情報取得部P1aと期間特定部P1bと対象期間情報抽出部P1cと文書情報記録部P1dとを含む。なお、本実施形態において文書情報入力プログラムP1は、ユーザーが文書としての出張報告書を作成することを目的として実行されることとする。移動履歴情報取得部P1aは、複数の時刻ごとに位置を対応付けて示す移動履歴情報12bを取得する機能を制御部11に実行させるモジュールである。すなわち、移動履歴情報取得部P1aの機能により制御部11は、GPS受信器13から出力されたGPS信号に基づいて携帯端末10が存在する位置を特定し、当該位置と現在の時刻とを対応付けた情報を移動履歴情報12bとして記録媒体12に蓄積する。移動履歴情報取得部P1aの機能により制御部11は、所定の時間周期(例えば1分周期)ごとに現在の時刻と位置とを特定し、これらを移動履歴情報12bに蓄積していく。
【0015】
期間特定部P1bは、文書作成の対象となる対象期間を特定する機能を制御部11に実行させるモジュールである。本実施形態において、指定情報受付部P1bの機能により制御部11は、移動履歴情報12bが示す位置がユーザーの自宅の位置(第1位置)から勤務地(第2位置)へと移動した時刻(到着時刻)から、移動履歴情報12bが示す位置がユーザーの勤務地(第2位置)から自宅の位置(第1位置)へと移動した時刻(出発時刻)までの期間を対象期間として特定する。これにより、ユーザーが勤務地に出社してから退社するまでの就業期間を対象期間とすることができる。
【0016】
対象期間情報抽出部P1cは、移動履歴情報12bから対象期間に属する時刻と当該時刻に対応する位置とを示す対象期間情報12cを抽出する機能を制御部11に実行させるモジュールである。本実施形態において、対象期間情報抽出部P1cの機能により制御部11は、移動履歴情報12bから対象期間に属する情報(時刻と位置)を抽出することにより、対象期間に属する時刻と当該時刻に対応する位置とを示す対象期間情報12cを取得する。
【0017】
文書情報記録部P1dは、対象期間情報12cから文書作成のための文書情報12dを抽出して記録媒体12に記録する機能を制御部11に実行させるモジュールである。文書情報記録部P1dの機能により制御部11は、対象期間情報12cが示す位置の変化パターンが所定パターンとなる時刻を抽出時刻として抽出する。本実施形態では、対象期間情報12cが示す位置の変化パターンに基づいて、携帯端末10を携行するユーザーが交通手段を乗り換えたと推定できる時刻、および、当該ユーザーがある程度長い期間にわたって一定位置に留まっている期間(開始時刻〜終了時刻)を抽出時刻として抽出する。さらに、文書情報記録部P1dの機能により制御部11は、対象期間情報12cにおいて抽出時刻に対応付けられた位置を抽出位置として抽出し、当該抽出位置から最も近い位置に存在する施設を地図情報12aから経由施設として抽出する。以上のようにして、抽出時刻と経由施設とが抽出できると、これらを対応付けて示す文書情報12dを記録媒体12に記録し、サーバー20に送信する。
【0018】
(1−2)サーバーの構成:
サーバー20は、制御部21と記録媒体22と通信部23とを含む。制御部21は、CPUとROMとRAM等を含み、ROMや記録媒体22に記録されたプログラムデータに基づいて、文書作成プログラムP2を実行する。記録媒体22は、交通機関情報22aと文書情報22bとを記録する。交通機関情報22aは、交通機関の時刻表と交通費とを記録したデータベースである。文書情報22bは、携帯端末10から受信した文書情報12dを記録媒体22に記録した情報である。通信部23は、無線通信または有線通信によりサーバー20と携帯端末10とを通信させるための回路を含む。
【0019】
文書作成プログラムP2は、文書情報12dを受信し、当該文書情報12dに基づいて文書を作成する機能を制御部21に実行させるプログラムである。すなわち、文書作成プログラムP2の機能により制御部21は、文書情報22b(文書情報12d)が示す経由施設に複数の交通施設(空港、港、駅、バス停、駐車場、インターチェンジ)が含まれる場合には、交通機関情報22aを参照して、交通施設間の交通費を特定する。そして、制御部21は、経由施設を示すとともに、交通費を特定した場合には当該交通費も示す出張報告書を作成する。
【0020】
(1−3)文書作成処理:
図2Aは文書作成処理のうち携帯端末10が実行する処理のフローチャートである。図2AのステップS105において、携帯端末10の制御部11は、記録媒体12から移動履歴情報12bを取得する。本実施形態において、移動履歴情報12bは日付ごとに記録されている。制御部11は、UI部14を介してユーザーから出張日の入力を受け付け、出張日についての移動履歴情報12bを取得する。ステップS110において制御部11は、移動履歴情報12bが示す位置がユーザーの自宅の位置から勤務地へと移動した時刻(到着時刻)から、移動履歴情報12bが示す位置がユーザーの勤務地から自宅の位置へと移動した時刻(出発時刻)までの期間を対象期間として特定する。
【0021】
図3Aは出張日についての移動履歴情報12bが示す位置の軌跡を示す模式図であり、図3Bは出張日に生じたイベントE1〜E14を時系列に示す表である。なお、図3Aにおいて対象期間における位置の軌跡を実線で示し、対象期間外における位置の軌跡を破線で示す。図3Aに示すように、移動履歴情報12bが示す位置は携帯端末10を携行するユーザーが自宅Aを出発するまでは自宅Aの位置に留まる。本実施形態において、ユーザーの自宅Aの位置と勤務地の位置とは予め地図情報12aに登録されており、地図情報12aには2つのユーザーの勤務地(事業所D,F)の位置が登録されている。なお、ユーザーは事業所Dを本拠としており、事業所Fにおける業務は出張扱いとなることとする。
【0022】
制御部11は、まず移動履歴情報12bが示す位置の軌跡に基づいて、最初に自宅Aの位置から所定距離(例えば100m)以遠となった時刻を特定し、当該時刻から時刻の早い順に軌跡を辿っていき、最初に勤務地の位置から所定距離(例えば100m)以内となった時刻を対象期間の始期とする。図3A,3Bの例において、対象期間の始期は、最初に勤務地としての事業所Dに到着したイベントE4の時刻(8:25)と特定される。また、制御部11は、移動履歴情報12bが示す位置の軌跡に基づいて、最後に自宅Aの位置から所定距離(例えば100m)以遠となっていた時刻を特定し、当該時刻から時刻の遅い順に軌跡を辿っていき、最後に勤務地の位置から所定距離(例えば100m)以内となっていた時刻を対象期間の終期とする。図3A,3Bの例において、対象期間の終期は、最後に勤務地としての事業所Fを出発したイベントE10の時刻(17:05)と特定される。すなわち、対象期間は、イベントE4〜E10に対応する期間となる。
【0023】
以上のようにして対象期間の始期と終期とが特定できると、ステップS115において制御部11は、移動履歴情報12bから対象期間以外の期間に関する情報を抽出することなく、移動履歴情報12bから対象期間に属する時刻と当該時刻に対応する位置とを示す対象期間情報12cを抽出する。すなわち、図3Aにおいて実線で示す軌跡に対応する時刻と位置とを示す情報が対象期間情報12cとして抽出される。ステップS120において制御部11は、対象期間情報12cから抽出時刻を抽出する。
【0024】
図4は、図3A,3Bの例において対象期間情報12cが示す位置の移動速度を示すグラフである。なお、移動速度は、対象期間情報12cが示す位置の単位時間あたりの変化量を意味する。本実施形態において、制御部11は、対象期間情報12cが示す位置(速度)の変化パターンが乗換パターンPT1と停止パターンPT2に該当する時刻を抽出時刻として抽出する。むろん、対象期間情報12cは対象期間に属する時刻と、当該時刻に対応する位置を示すため、対象期間以外の期間の時刻が抽出時刻として抽出されることはない。
【0025】
乗換パターンPT1は、時間的に連続する第1期間p1と第2期間p2(例えば5分間ずつ)における平均速度の差が所定速度(例えば10km/時)以上となるパターンである。第1期間p1から第2期間p2にかけて平均速度が所定速度以上増減した時刻は、携帯端末10を携行するユーザーはある交通手段(徒歩を含む)から別の交通手段へと乗り換えた時刻であると推定できる。例えば、制御部11は、第1期間p1と第2期間p2の境界の時刻を変化させながら、各時刻について第1期間p1における平均速度と第2期間p2における平均速度との差の絶対値を算出する。そして、制御部11は、差の絶対値が所定速度よりも大きく、かつ、極大値となる時刻を抽出時刻とする。図4に示すように、徒歩により駅Cに到達するまでの第1期間p1と、駅Cにて電車が発車してからの第2期間p2とでは平均速度の差の絶対値が所定速度以上、かつ、極大値となり、第1期間p1と第2期間p2との境界の時刻(イベントE6:10:50)、すなわち駅Cにて乗車した電車の発車時刻が抽出時刻として特定される。同様に、駅Eにて電車が停車するまでの第1期間p1と、駅Eから徒歩にて事業所Eに向かう第2期間p2とでは平均速度の差の絶対値が所定速度以上、かつ、極大値となり、第1期間p1と第2期間p2との境界の時刻(イベントE7:11:25)、すなわち駅Eにて降車した電車の停車時刻が抽出時刻として特定される。
【0026】
一方、停止パターンPT2は、速度が所定速度(例えば0.1km/時)以下となる時刻が所定期間(例えば10分)以上にわたって継続するパターンである。速度が所定速度以下となる時刻が所定期間以上にわたって継続した場合には、携帯端末10を携行するユーザーはほぼ同一位置に留まっており、例えば会議に参加していたり、オフィスでデスクワークをしていたものと推定できる。制御部11は、指定時刻から所定期間内のいずれかの時刻を少なくとも一部に含む停止パターンPT2を対象期間情報12cにて特定する。そして、停止パターンPT2に対応する期間(開始時刻〜終了時刻)を抽出時刻とする。図4に示すように、事業所Fにて会議に参加している期間p3における位置(速度)の変化パターンが停止パターンPT2に該当し、当該期間p3(イベントE9:開始時刻(12:30)〜終了時刻(16:30))が抽出時刻とされる。
【0027】
以上のようにして、抽出時刻が抽出できると、ステップS125において制御部11は、対象期間情報12cにて抽出時刻に対応付けられた位置を抽出位置として抽出する。なお、停止パターンPT2に該当する場合、抽出時刻として停止パターンPT2に対応する期間の開始時刻と終了時刻とが特定されるが、これらのいずれに対応する位置を抽出位置としてもよい。停止パターンPT2に対応する期間においては、対象期間情報12cが示す位置はほぼ移動しないからである。さらに、ステップS130において制御部11は、抽出位置から最も近い位置に存在する施設を地図情報12aを参照することにより特定し、当該施設を経由施設とする。上述のように図3A,3Bの例では、イベントE6,E7,E9に対応する10:50,11:25,12:30〜16:30が抽出時刻とされるが、これらのそれぞれについて駅C,駅E,事業所Fが経由施設として特定される。制御部11は、ステップ135において抽出時刻と経由施設とを対応付けて示す文書情報12dを記録媒体12に記録し、ステップ140において文書情報12dをサーバー20に送信する。
【0028】
以上の処理によってサーバー20に送信される文書情報12dは、ユーザーが事業所Dに出社してから事業所Fから退社するまでの対象期間のみにおけるユーザーの位置が反映された情報であり、対象期間以外の期間におけるユーザーの位置が反映された情報とはならない。従って、文書情報12dに基づいて出張報告書が作成されることにより、ユーザーのプライバシーが損なわれることはない。図3A,3Bの例では、イベントE13(17:50〜18:45)においてレストランGでユーザーが食事したことが、出張報告書に記載されることが防止できる。
【0029】
図2Bは文書作成処理のうちサーバー20が実行する処理のフローチャートである。図2BのステップS205においてサーバー20の制御部21は、経由施設と抽出時刻とを対応付けた文書情報12dをサーバー20から受信し、文書情報22bとして記録媒体22に記録する。ステップS210において制御部21は、文書情報22bが示す経由施設のうち抽出時刻が連続し、かつ、双方とも交通施設である経由施設のペアーを抽出する。図3A,3Bの例では、駅Cと駅Eとのペアーが抽出される。ステップ215において制御部21は、抽出時刻が連続する交通施設のペアーを接続する公共交通経路およびその交通費を公知の経路探索手法により交通機関情報22aを参照して探索する。ステップS220において、制御部21は、経由施設と抽出時刻とを対応付けて記載するとともに、経由施設間の交通費も記載した出張報告書を例えばプリンターによって印刷する。
【0030】
図5は、図3A,3Bの場合に印刷される出張報告書の例を示す図である。図5に示すように、出張報告書にはイベントE6,E7,E9について経由施設と抽出時刻とが対応付けて記載される。また、出張報告書において精算欄が設けられ、当該精算欄に駅C〜駅Eにおいて利用した電車の交通費が記載される。
【0031】
(2)他の実施形態:
本発明においては、文書作成の対象となる対象期間が特定できればよく、対象区間の特定手法として種々の手法を採用できる。例えば、前記実施形態において、自宅Aから勤務地に向かう出発時刻から、勤務地から自宅Aに到着する到着時刻までを対象期間としてもよい。さらに、移動履歴情報12bが示す位置がユーザーの自宅の位置から所定距離以内となる期間を除く期間を対象期間と特定してもよい。これにより、自宅の位置を中心とした生活圏内におけるユーザーのプライベートな行動が文書情報12dに反映されることが防止できる。例えば、図3Aにおいて一点鎖線で示すように、自宅Aの位置を中心とし、所定距離Rを半径とした範囲内に移動履歴情報12bが示す位置が存在する期間を対象期間から除いてもよい。なお、所定距離Rは、例えば一般的な生活圏の距離に基づいて定められてもよいし、自宅Aの位置と勤務地である事業所D,Fとの距離に所定の比率(<1)を乗じることにより定められてもよい。
【0032】
さらに、就業時間(始業時刻〜終業時刻)が定められている場合には、就業時間を対象期間としてもよい。前記実施形態においては、文書として出張報告書を作成したが、移動履歴情報12bに基づいて出張報告書以外の文書を作成してもよい。例えば、移動履歴情報12bに基づいて個人旅行の旅行記を作成してもよいし、図3A,3Bの例においてレストランGにおける食事を報告する文書を作成してもよい。このようにプライベートな事項を記載した文書を作成する場合、前記実施形態における対象期間を除く期間を、対象期間として取り扱えばよい。この場合、就業期間におけるユーザーの行動がこれらの文書に反映されることが防止できる。従って、プライベートな事項を記載した文書を作成するための文書情報12dがWEBサーバー等にアップロードされた場合でも、ユーザーの勤務先の秘密情報が漏洩することが防止できる。なお、文書情報12dに基づいて作成された文書は印刷されなくてもよく、例えば文書情報12dに基づいてWEBサーバーにアップロードするためのWEBページデータが作成されてもよい。
【0033】
前記実施形態において携帯端末10とサーバー20において文書作成処理を実行することとしたが、むろん携帯端末10において文書作成処理が完結してもよい。また、サーバー20が携帯端末10から対象期間情報12cを取得し、それ以降の処理をサーバー20が実行してもよい。さらに、携帯端末10とサーバー20以外のクライアントPCにおいて文書作成処理の一部が実行されてもよい。すなわち、ユーザーが出張から帰った後に、携帯端末10から対象期間情報12cをクライアントPCに転送し、クライアントPCとサーバー20との間で文書作成処理を実行してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1…文書情報記録システム、10…携帯端末、11…制御部、12…記録媒体、12a…地図情報、12b…移動履歴情報、12c…対象期間情報、12d…文書情報、13…GPS受信器、14…UI部、15…通信部、20…サーバー、21…制御部、22…記録媒体、22a…交通機関情報、22b…文書情報、23…通信部、P1…文書情報入力プログラム、P1a…移動履歴情報取得部、P1b…期間特定部、P1b…指定情報受付部、P1c…対象期間情報抽出部、P1d…文書情報記録部、P2…文書作成プログラム、PT1…乗換パターン、PT2…停止パターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の時刻と当該時刻に対応する位置とを示す移動履歴情報を取得する移動履歴情報取得手段と、
文書作成の対象となる対象期間を特定する期間特定手段と、
前記対象期間に属する時刻と当該時刻に対応する位置とを示す対象期間情報を抽出する対象期間情報抽出手段と、
前記対象期間情報から文書作成のための文書情報を抽出して記録する文書情報記録手段と、
を備える文書情報記録装置。
【請求項2】
前記期間特定手段は、前記移動履歴情報が示す位置が所定の第1位置から第2位置へと移動した時刻から、前記移動履歴情報が示す位置が前記第2位置から前記第1位置へと移動した時刻までの期間を前記対象期間として特定する、
請求項1に記載の文書情報記録装置。
【請求項3】
前記第1位置はユーザーの自宅の位置であり、前記第2位置はユーザーの勤務地の位置である、
請求項2に記載の文書情報記録装置。
【請求項4】
前記期間特定手段は、前記移動履歴情報が示す位置が所定範囲内に存在する期間を除く期間を前記前記対象期間として特定する、
請求項1に記載の文書情報記録装置。
【請求項5】
前記所定範囲は、ユーザーの自宅の位置から所定距離以内の範囲である、
請求項4に記載の文書情報記録装置。
【請求項6】
複数の時刻と当該時刻に対応する位置とを示す移動履歴情報を取得し、
文書作成の対象となる対象期間と、文書作成の対象とならない第2期間とを特定し、
前記移動履歴情報から前記対象期間以外の期間に関する情報を抽出することなく、前記移動履歴情報から前記対象期間に属する時刻と当該時刻に対応する位置とを示す対象期間情報を抽出し、
前記対象期間情報から文書作成のための文書情報を抽出して記録する、
文書情報記録方法。
【請求項7】
複数の時刻と当該時刻に対応する位置とを示す移動履歴情報を取得する移動履歴情報取得機能と、
文書作成の対象となる対象期間を特定する期間特定機能と、
前記移動履歴情報から前記対象期間に属する時刻と当該時刻に対応する位置とを示す対象期間情報を抽出する対象期間情報抽出機能と、
前記対象期間情報から文書作成のための文書情報を抽出して記録する文書情報記録機能と、
をコンピューターに実行させる文書情報記録プログラム。
【請求項8】
携帯端末と、当該携帯端末と通信可能に接続されたサーバーとを含む文書情報記録システムであって、
前記携帯端末は、
複数の時刻と当該時刻に対応する位置とを示す移動履歴情報を取得する移動履歴情報取得手段と、
文書作成の対象となる対象期間を特定する期間特定手段と、
前記移動履歴情報から前記対象期間に属する時刻ごとに位置を対応付けた対象期間情報を抽出する対象期間情報抽出手段と、
前記対象期間情報から文書作成のための文書情報を抽出して前記サーバーに送信する文書情報記録手段と、
を備え、
前記サーバーは、
前記文書情報に基づいて文書作成を行う文書作成手段を、備える、
文書情報記録システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−178110(P2012−178110A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41498(P2011−41498)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】