説明

文書細断屑用古紙再生装置の搬送機構

【課題】プレスパートでプレス後の強度が低く取り扱いがデリケートな湿紙を安定して自動的にドライヤーパートに搬送する文書細断屑用古紙再生装置の搬送機構を提供する。
【解決手段】再生パルプ懸濁液からの湿紙を運ぶフェルト帯12と、前記フェルト帯に運ばれる前記湿紙14をプレスするために相対向して設けられた第一プレスロール16及び第二プレスロール18と、前記第二プレスロールに押しつけることにより前記第二プレスロールに貼り付いた前記湿紙を剥がすためのドクターブレード20と、前記ドクターブレードによって剥がされた前記湿紙が搬送される搬送ベルト22と、を含み、前記搬送ベルトは上網搬送ローラ24に掛架された上網26と下網搬送ローラ28に掛架された下網30とから構成され、前記上網搬送ローラよりも前記下網搬送ローラを第二プレスロール側に近接させかつ前記上網搬送ローラと下網搬送ローラとを相対向させて設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス文書などの古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと該再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機を含むオフィス設置型の文書細断屑用古紙再生装置において用いられる古紙再生装置用の搬送機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、文書細断屑のリサイクルが充分に図られていないことに鑑み、文書細断屑をトイレットペーパー程度の比較的低い品質の再生紙にリサイクルするのであれば、古紙再生工程の省略化及び装置の小型化・簡略化によって、文書細断屑の再生を企業、官庁、組合、団地或いは地方公共団体等の各組織単位で文書細断屑のリサイクルを可能とし、省資源・省エネルギー化、古紙回収にかかる時間短縮や労力軽減を図るべく、文書細断機によって細断された古紙を攪拌手段を備えたパルパーで離解し再生パルプとする工程と、該再生パルプを常時緩やかに攪拌されているチェストに貯蔵する工程と、該貯蔵された再生パルプを圧力源及び噴射孔を有する噴射装置に充填し、該噴射装置から再生パルプを噴射し、一対のローラを介して回動可能に取りつけられた無端の繊維シートを有する抄紙装置の該繊維シートに吹きかけて再生パルプをシート状にし、該シート状にされた再生パルプを乾燥ローラで乾燥して抄紙する工程とからなる文書細断屑の古紙再生方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、本発明者らは、上記提案の実用化する上での種々の問題点を解決すべく、特許文献2に示すような文書細断屑用古紙再生装置を提案した。
【0004】
特許文献2の文書細断屑用古紙再生装置では、ワイヤーパートで再生パルプ懸濁液を抄紙用の網で脱水し、プレスパートで再生パルプ湿潤シート(湿紙)をプレスし、ドライヤーパートで再生パルプ湿潤シート(湿紙)を乾燥機に通して乾燥させ、リールパートで紙の巻き取りを行うように構成されている。
【0005】
パルパーによって再生パルプ懸濁液とされ、抄紙工程で紙とされる前の状態のものは、湿紙と呼ばれるが、この湿紙は、強度が低く取り扱いがデリケートである。
【0006】
しかし、従来の文書細断屑用古紙再生装置の搬送機構では、プレスパートでプレス後の強度が低く取り扱いがデリケートな湿紙を安定してドライヤーパートに搬送することが難しかった。
【特許文献1】特開平10−317290号公報
【特許文献2】特開2006−169710号公報
【特許文献3】特開2008−179907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたもので、プレスパートでプレス後の強度が低く取り扱いがデリケートな湿紙を安定して自動的にドライヤーパートに搬送することができるようにした文書細断屑用古紙再生装置の搬送機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の文書細断屑計量機構の搬送機構は、古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと前記再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機を含む文書細断屑用古紙再生装置において用いられる搬送機構であって、再生パルプ懸濁液からの湿紙を運ぶフェルト帯と、前記フェルト帯に運ばれる前記湿紙をプレスするために相対向して設けられた第一プレスロール及び第二プレスロールと、前記第二プレスロールに押しつけることにより前記第二プレスロールに貼り付いた前記湿紙を剥がすためのドクターブレードと、前記ドクターブレードによって剥がされた前記湿紙が搬送される搬送ベルトと、を含み、前記搬送ベルトは上網搬送ローラに掛架された上網と下網搬送ローラに掛架された下網とから構成され、前記上網搬送ローラよりも前記下網搬送ローラを第二プレスロール側に近接させかつ前記上網搬送ローラと下網搬送ローラとを相対向させて設け、前記ドクターブレードの押しつけ位置の下に前記下網の搬送面を位置させることで、前記ドクターブレードによって剥がされた前記湿紙が前記下網上に落下し、前記湿紙が前記下網と前記上網とに挟まれて搬送されるようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、前記フェルト帯の下方に当接して回転可能に設けられたメッシュ部を有する丸網装置と、前記メッシュ部の上方に設けられ、前記メッシュ部に、前記再生パルプ懸濁液を噴出するためのヘッドボックスと、をさらに含み、前記ヘッドボックスから噴出された再生パルプ懸濁液のうち前記メッシュ部上に残った前記再生パルプ懸濁液は湿紙となり前記フェルト帯によって搬送され、前記ヘッドボックスから噴出された再生パルプ懸濁液のうち前記メッシュ部を通過した白水の自由落下により、落下した位置のメッシュ部が洗浄されるように構成するのが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プレスパートでプレス後の強度が低く取り扱いがデリケートな湿紙を安定して自動的にドライヤーパートに搬送することができるようにした文書細断屑用古紙再生装置の搬送機構を提供することができるという著大な効果を奏する。
【0011】
また、丸網装置のメッシュ部の上方に設けられたヘッドボックスから噴出された再生パルプ懸濁液のうち前記メッシュ部を通過した白水が自由落下することにより、落水した位置のメッシュ部が洗浄されるので、別途に、白水や清水を噴出させるシャワー装置などを設置する必要がなくなるという効果がある。
【0012】
したがって、本発明の文書細断屑用古紙再生装置の搬送機構を組み込んだ文書細断屑用古紙再生装置を用いれば、文書細断屑の再生を企業、官庁、組合、団地或いは地方公共団体等の各組織単位で行うことができ、焼却・埋め立て処分とされていた文書細断屑のリサイクルが可能となり、省資源・省エネルギー化、古紙回収にかかる時間短縮や労力軽減を図ることができるという大きな効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、図示例は例示的に示されたもので、本発明の技術的思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことは言うまでもない。
【0014】
図1は本発明の文書細断屑用古紙再生装置の搬送機構を文書細断屑用古紙再生装置の一部に組み込んだ様子を示す正面斜視図、図2は図1の正面図、図3は図2の要部拡大図、図4は図3の要部拡大図である。
【0015】
図1〜図4において、符号10は本発明に係る文書細断屑用古紙再生装置の搬送機構を示す。本発明の文書細断屑用古紙再生装置の搬送機構10は、古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと前記再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機を含む文書細断屑用古紙再生装置において用いられる搬送機構であって、再生パルプ懸濁液からの湿紙を運ぶフェルト帯12と、前記フェルト帯12に運ばれる前記湿紙14をプレスするために相対向して設けられた第一プレスロール16及び第二プレスロール18と、前記第二プレスロール18に押しつけることにより前記第二プレスロール18に貼り付いた前記湿紙14を剥がすためのドクターブレード20と、前記ドクターブレード20によって剥がされた前記湿紙14が搬送される搬送ベルト22と、を含む構成とされている。
【0016】
前記搬送ベルト22は上網搬送ローラ24に掛架された上網26と下網搬送ローラ28に掛架された下網30とから構成されている。そして、前記上網搬送ローラ24よりも前記下網搬送ローラ28を第二プレスロール18側に近接させかつ前記上網搬送ローラ24と下網搬送ローラ28とを相対向させて設け、前記ドクターブレード20の押しつけ位置の下に前記下網30の搬送面32を位置させることで、前記ドクターブレード20によって剥がされた前記湿紙14が前記下網30上に落下し、前記湿紙14が前記下網30と前記上網26とに挟まれて搬送されるようにされている。
【0017】
このようにすれば、第一プレスロール16及び第二プレスロール18によるプレスパートでのプレス後の強度が低く取り扱いがデリケートな湿紙14を安定して自動的にドライヤーパートの乾燥チャンバー34に搬送することができる。乾燥チャンバー34としては、例えば特許文献3に記載されたものを使用すればよい。また、搬送機構以外の構成については、特許文献2に記載された構成を採用することができる。
【0018】
なお、符号108a〜108pは、乾燥チャンバー34内に設けられ、搬送ベルト22が掛架される補助ロールである。符号110a〜110fは、乾燥チャンバー34内に設けられ、搬送ベルト22、上網26、下網30が掛架されるロールである。
【0019】
また、前記フェルト帯12の下方に当接して回転可能に設けられたメッシュ部36を有する丸網装置38と、前記メッシュ部36の上方に設けられ、前記メッシュ部36に、前記再生パルプ懸濁液を噴出するためのヘッドボックス40と、をさらに含んでいる。
【0020】
ヘッドボックス40には供給管52が設けられており、パルパー装置によってつくられた再生パルプ懸濁液がヘッドボックス40へと送られる。そして、前記ヘッドボックス40から噴出された再生パルプ懸濁液のうち前記メッシュ部36上に残った前記再生パルプ懸濁液は湿紙14となり前記フェルト帯12によって搬送され、前記ヘッドボックス40から噴出された再生パルプ懸濁液のうち前記メッシュ部36を通過した白水42の自由落下により、落下した位置のメッシュ部36’が洗浄されるように構成されている。
【0021】
このようにすれば、丸網装置38のメッシュ部36の上方に設けられたヘッドボックス40から噴出された再生パルプ懸濁液のうち前記メッシュ部36を通過した白水42が自由落下することにより、落水した位置のメッシュ部36’が洗浄されるので、別途に、白水や清水を噴出させるシャワー装置などを設置する必要がなくなる。符号44はピックアップロールであり、フェルト帯12を丸網装置38のメッシュ部36に当接させることで湿紙14がフェルト帯12上を搬送されるようにしてある。また、フェルト帯12をガイドするための第一ガイドローラ48及び第二ガイドローラ50がそれぞれ設けられている。
【0022】
また、符号46は、丸網装置38の下方に設けられたドレン容器であり、落下した白水42を回収するためのものである。ドレン容器46で回収された白水42は、排水口54を通り、パルパーでの解離用水として再利用される。
【0023】
したがって、本発明の文書細断屑用古紙再生装置の搬送機構10を組み込んだ文書細断屑用古紙再生装置を用いれば、文書細断屑の再生を企業、官庁、組合、団地或いは地方公共団体等の各組織単位で行うことができ、焼却・埋め立て処分とされていた文書細断屑のリサイクルが可能となり、省資源・省エネルギー化、古紙回収にかかる時間短縮や労力軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の文書細断屑用古紙再生装置の搬送機構を文書細断屑用古紙再生装置の一部に組み込んだ様子を示す正面斜視図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0025】
10:本発明に係る文書細断屑用古紙再生装置の搬送機構、12:フェルト帯12、14:湿紙、16:第一プレスロール、18:第二プレスロール、20:ドクターブレード、22:搬送ベルト、24:上網搬送ローラ、26:上網、28:下網搬送ローラ、30:下網、32:搬送面、34:乾燥チャンバー、36:メッシュ部、36’:白水落下位置のメッシュ部、38:丸網装置、40:ヘッドボックス、42:白水、44:ピックアップロール、46:ドレン容器、48:第一ガイドローラ、50:第二ガイドローラ、52:供給管、54:排水口、108a〜108p:ロール、110a〜110f:補助ロール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと前記再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機を含む文書細断屑用古紙再生装置において用いられる搬送機構であって、
再生パルプ懸濁液からの湿紙を運ぶフェルト帯と、
前記フェルト帯に運ばれる前記湿紙をプレスするために相対向して設けられた第一プレスロール及び第二プレスロールと、
前記第二プレスロールに押しつけることにより前記第二プレスロールに貼り付いた前記湿紙を剥がすためのドクターブレードと、
前記ドクターブレードによって剥がされた前記湿紙が搬送される搬送ベルトと、
を含み、
前記搬送ベルトは上網搬送ローラに掛架された上網と下網搬送ローラに掛架された下網とから構成され、
前記上網搬送ローラよりも前記下網搬送ローラを第二プレスロール側に近接させかつ前記上網搬送ローラと下網搬送ローラとを相対向させて設け、前記ドクターブレードの押しつけ位置の下に前記下網の搬送面を位置させることで、前記ドクターブレードによって剥がされた前記湿紙が前記下網上に落下し、前記湿紙が前記下網と前記上網とに挟まれて搬送されるようにしたことを特徴とする文書細断屑用古紙再生装置の搬送機構。
【請求項2】
前記フェルト帯の下方に当接して回転可能に設けられたメッシュ部を有する丸網装置と、
前記メッシュ部の上方に設けられ、前記メッシュ部に、前記再生パルプ懸濁液を噴出するためのヘッドボックスと、
をさらに含み、前記ヘッドボックスから噴出された再生パルプ懸濁液のうち前記メッシュ部上に残った前記再生パルプ懸濁液は湿紙となり前記フェルト帯によって搬送され、
前記ヘッドボックスから供給された再生パルプ懸濁液のうち前記メッシュ部を通過した白水の自由落下により、落下した位置のメッシュ部が洗浄されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の文書細断屑用古紙再生装置の搬送機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−106376(P2010−106376A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277072(P2008−277072)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000170347)合資会社オリエンタル (21)
【Fターム(参考)】