文書細断屑用古紙再生装置
【課題】
文書細断屑用古紙再生装置において乾燥チャンバーの温度を所定の温度範囲に容易に制御できるようにした新規な温度制御機構、並びに乾燥チャンバーから排出される再生紙が巻取部において巻き取られ、所定の巻取量に達した再生紙を巻取部から取り外す際にその取り外し時間を確保できるようにした新規な巻取遅延機構を提供する。
【解決手段】
文書細断屑用古紙再生装置であって、抄紙機のドライヤーパート部が乾燥チャンバーと、除湿乾燥部とを有し、前記乾燥チャンバーが内部中空の乾燥用筐体と、該乾燥用筐体内に少なくとも一部が上下又は左右に交互に配置された複数の回転自在なロールと、該ロール間に係回された無端帯状のキャンバスからなり、並びに前記除湿乾燥部が前記乾燥用筐体に連通し内部中空の除湿乾燥ケースと、該乾燥チャンバー内の空気を除湿乾燥する除湿乾燥機とからなるようにした。
文書細断屑用古紙再生装置において乾燥チャンバーの温度を所定の温度範囲に容易に制御できるようにした新規な温度制御機構、並びに乾燥チャンバーから排出される再生紙が巻取部において巻き取られ、所定の巻取量に達した再生紙を巻取部から取り外す際にその取り外し時間を確保できるようにした新規な巻取遅延機構を提供する。
【解決手段】
文書細断屑用古紙再生装置であって、抄紙機のドライヤーパート部が乾燥チャンバーと、除湿乾燥部とを有し、前記乾燥チャンバーが内部中空の乾燥用筐体と、該乾燥用筐体内に少なくとも一部が上下又は左右に交互に配置された複数の回転自在なロールと、該ロール間に係回された無端帯状のキャンバスからなり、並びに前記除湿乾燥部が前記乾燥用筐体に連通し内部中空の除湿乾燥ケースと、該乾燥チャンバー内の空気を除湿乾燥する除湿乾燥機とからなるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、オフィス文書などの古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと該離解された再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機を含むオフィス設置型の文書細断屑用古紙再生装置の改良であって、前記抄紙機における乾燥チャンバーの温度制御機構に関するとともに、乾燥チャンバーから排出される再生紙が巻取部において巻き取られ、所定の巻取量に達した再生紙を巻取部から取り外す際にその取り外し時間を確保できるようにした巻取遅延機構に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、文書細断屑のリサイクルが充分に図られていないことに鑑み、文書細断屑をトイレットペーパー程度の比較的低い品質の再生紙にリサイクルするのであれば、古紙再生工程の省略化及び装置の小型化・簡略化によって、文書細断屑の再生を企業、官庁、組合、団地或いは地方公共団体等の各組織単位で文書細断屑のリサイクルを可能とし、省資源・省エネルギー化、古紙回収にかかる時間短縮や労力軽減を図るべく、文書細断機によって細断された古紙を攪拌手段を備えたパルパーで離解し再生パルプとする工程と、該離解された再生パルプを常時緩やかに攪拌されているチェストに貯蔵する工程と、該貯蔵された再生パルプを圧力源及び噴射孔を有する噴射装置に充填し、該噴射装置から再生パルプを噴射し、一対のローラを介して回動可能に取りつけられた無端の繊維シートを有する抄紙装置の該繊維シートに吹きかけて再生パルプをシート状にし、該シート状にされた再生パルプを乾燥ローラで乾燥して抄紙する工程とからなる文書細断屑の古紙再生方法が提案されている（特許文献１参照）。
【０００３】
また、本発明者らは、上記提案を実用化する上での種々の問題点を解決すべく、図５に示すような文書細断屑用古紙再生装置を提案した（特許文献２参照）。図５において、文書細断屑用古紙再生装置１は、文書細断屑Ｐを投入するためのホッパー４を有し、槽と槽の内底部に攪拌手段６a，８aを備えた第一パルパー６及び第二パルパー８を含み文書細断機によって細断された古紙を離解して再生パルプ懸濁液Ｐ１，Ｐ２とするパルパー２と、該離解された再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機３とからなる。該抄紙機３は、ストックインレット部１０、ワイヤーパート部２０、プレスパート部３０、ドライヤーパート部４０、巻取リール６２を備えた巻取部６０とから構成されている。
【０００４】
ワイヤーパート部２０において、余分な水分は丸網ドラム２２のワイヤー面を介してドレンＤとしてドレン容器２６に貯水される。プレスパート部３０は、ワイヤーパート部２０の丸網ドラム２２のワイヤー面上に形成された再生パルプ湿潤シートＰ３を圧搾して脱水し、より含水量の少ない再生パルプ湿潤シートＰ４とするものである。プレスパート部３０は、複数の回転自在なロール３４ａ，３４ｂ，３４ｃ，３４ｄ間に係回された無端のフェルト帯３２と、一対のプレスロール３８ａ，３８ｂを有し、ワイヤーパート部２０で形成された再生パルプ湿潤シートＰ３がフェルト帯３２に移載されてプレスロール３８ａ，３８ｂで搾水され、余分な水分はドレンＤとしてドレン容器３６に貯水される。
【０００５】
ドライヤーパート部４０は、プレスパート部３０で搾水された再生パルプ湿潤シートＰ４を乾燥して再生紙Ｐ５とするものである。ドライヤーパート部４０は、再生パルプ湿潤シートＰ４が内部を走行する乾燥チャンバー４２と、乾燥チャンバー４２内の雰囲気を除湿乾燥する除湿乾燥部５１とから構成されている。符号５３は、ドレンＤを回収するためのドレン容器である。
【０００６】
乾燥チャンバー４２は、その内部を搬送する前記プレスパート部３０で搾水された再生パルプ湿潤シートＰ４を乾燥する作用を行う。該乾燥チャンバー４２は、内部中空の乾燥用筐体４１と、該乾燥用筐体４１内に少なくとも一部が上下又は左右に交互に配置された複数の回転自在なロール４６ａ，４６ｂ，４６ｃ，４６ｄ，４６ｅ，４６ｆ，４６ｇ，４６ｈ，４６ｉ，４６ｊ，４６ｋ，４６ｌ，４６ｍと、該ロール４６ａ〜４６ｍ間に係回された無端帯状のキャンバス４４とを備えている。このキャンバス４４は格子状網材からなり、その材質は金属製でもよいが、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂製であることが望ましい。符号Ｗは水である。
【０００７】
上記した図５及び特許文献２に記載された文書細断屑用古紙再生装置は会社のオフィスに設置できる程のコンパクト設計であるため、比較的小型で高熱とならず且つ乾燥能力の劣らない新たな抄紙工程のドライヤーパートを実現でき、また、系内の使用水量を最小限とし、併せて、古紙再生工程の省略化及び装置の小型化・簡略化によって、文書細断屑の再生を企業、官庁、組合、団地或いは地方公共団体等の各組織単位で行い得るようにして、焼却・埋め立て処分とされていた文書細断屑をリサイクル可能とし、省資源・省エネルギー化、古紙回収にかかる時間短縮や労力軽減を図ることができるという効果を有する。
【０００８】
しかしながら、上記した図５及び特許文献２に開示された文書細断屑用古紙再生装置では、予め文書細断機などで細断された文書細断屑を用いることを前提としているため、オフィスで不要となった文書をまず予め文書細断機などで細断するわけであるが、次のような問題が生起する可能性が存在する。（１）オフィスの不要文書には雑菌が付着していることが多く、そのまま再生紙にすると雑菌を含んだ再生紙となってしまい、種々のトラブルの原因となる虞がある。（２）乾燥チャンバー４２が高温になると装置を構成する合成樹脂製の部材が変形したり電子部品に不具合が生じたりする虞がある。（３）乾燥チャンバー４２が低温の場合には乾燥効率が低下しそれだけ再生紙の製造効率が低下してしまう不都合がある。
【０００９】
また、乾燥チャンバー４２から排出される再生紙が巻取部において巻き取られ、所定の巻取量に達した再生紙を巻取部から取り外す際にその取り外しに時間を要するためにその取り外し作業を行う間に再生紙の搬送を遅延させる必要があるが、上記提案した装置ではこの問題はいまだ未解決のままであった。
【特許文献１】特開平１０−３１７２９０号公報
【特許文献２】特開２００６−１６９７１０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、文書細断屑用古紙再生装置において乾燥チャンバーの温度を所定の温度範囲に容易に制御できるようにした新規な温度制御機構、並びに乾燥チャンバーから排出される再生紙が巻取部において巻き取られ、所定の巻取量に達した再生紙を巻取部から取り外す際にその取り外し時間を確保できるようにした新規な巻取遅延機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明の文書細断屑用古紙再生装置の第一の態様は、古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと、該再生パルプ懸濁液から再生パルプ湿潤シートを介して再生紙を抄造する抄紙機と、を含む文書細断屑用古紙再生装置であって、前記抄紙機のドライヤーパート部が乾燥チャンバーと、除湿乾燥部とを有し、前記乾燥チャンバーが内部中空の乾燥用筐体と、該乾燥用筐体内に少なくとも一部が上下又は左右に交互に配置された複数の回転自在なロールと、該ロール間に係回された無端帯状のキャンバスとからなり、並びに前記除湿乾燥部が前記乾燥用筐体に連通し内部中空の除湿乾燥ケースと、該乾燥チャンバー内の空気を除湿乾燥する除湿乾燥機とからなり、前記除湿乾燥機は、冷媒の蒸発器、圧縮機、凝縮器及び膨張弁を有するヒートポンプ方式の除湿乾燥機であり、前記乾燥チャンバーから送入された低温多湿空気を該蒸発器で冷媒と熱交換して冷却除湿した後、該凝縮器で冷媒と熱交換して再加熱し、該乾燥チャンバーに高温乾燥空気として送出する作用を行い、
前記蒸発器と凝縮器とを互いに変位させて設置することによって蒸発器単独部分及び凝縮器単独部分を形成し、該蒸発器単独部分及び凝縮器単独部分の近傍に蒸発器用冷風ファン及び凝縮器用温風ファンをそれぞれ設け、前記除湿乾燥ケース内には前記蒸発器単独部分と冷風開口部と連通する冷風通路及び前記凝縮器単独部分と温風開口部と連通する温風通路を設ける構造とし、
前記乾燥チャンバー内が所定温度より低温となった場合には前記蒸発器用冷風ファンを駆動して冷風を前記ドライヤーパート部の外部に吹き出して前記除湿乾燥機の冷却能力を低下させて前記乾燥チャンバー内の温度を上昇させ、一方前記乾燥チャンバー内が所定温度より高温となった場合には前記凝縮器用温風ファンを駆動して温風を前記ドライヤーパート部の外部に吹き出して前記除湿乾燥機の加熱能力を低下させて前記乾燥チャンバー内の温度を低下させることによって前記乾燥チャンバー内の温度制御を行うことを特徴とする温度制御機構を具備した文書細断屑用古紙再生装置である。
【００１２】
前記蒸発器と凝縮器とを互いに変位させて設置するに際し、前記蒸発器と凝縮器の変位の程度が前記蒸発器と凝縮器のサイズの２０％〜５０％の範囲であるように設定するのが好適である。この範囲が２０％未満であると温度上昇及び温度低下の程度が低く温度制御動作が好適とはいえなくなり、５０％を超えると除湿能力が低下して好ましくない。
【００１３】
前記乾燥チャンバーの温度制御を４０℃〜６０℃の範囲で行うのが好ましい。乾燥チャンバーの温度が４０℃未満であると、古紙に付着している雑菌の殺菌が十分でなくなりかつ乾燥効率が低下し再生紙の製造効率が低下する不利があり、６０℃を超えると装置を構成する合成樹脂製の部材が変形したり電子部品に不具合が生じたりする不都合がある。
【００１４】
本発明の文書細断屑用古紙再生装置の第二の態様は、古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと、該離解された再生パルプ懸濁液から再生パルプ湿潤シートを介して再生紙を抄造する抄紙機と、を含む文書細断屑用古紙再生装置であって、前記抄紙機のドライヤーパート部が乾燥チャンバーと、除湿乾燥部とを有し、前記乾燥チャンバーが内部中空の乾燥用筐体と、該乾燥用筐体内に少なくとも一部が上下又は左右に交互に配置された複数の回転自在なロールと、該ロール間に係回された無端帯状のメインキャンバスと、前記メインキャンバスに対応して該ロール間に係回された無端帯状の押さえキャンバスと、からなり、並びに前記除湿乾燥部が前記乾燥用筐体に連通する内部中空の除湿乾燥ケースと、該乾燥チャンバー内の空気を除湿乾燥する除湿乾燥機とからなり、
前記乾燥チャンバーに隣接して移動可能に設けられた取付プレートに巻取遅延機構部及び巻取部を設置し、該遅延機構部が再生紙用遅延ロールを有するとともに前記巻取部が再生紙を巻き取るための巻取リールを有し、所定の巻取量に達した再生紙を前記巻取リールから取り外す際に前記取付プレートを移動することによって搬送されてきた再生紙を所定時間だけ再生紙用遅延ロールで受けて巻き取られた再生紙の取り外し時間を確保できるようにしたことを特徴とする巻取遅延機構を具備した文書細断屑用古紙再生装置である。
【００１５】
前記取付プレートにさらにメインキャンバス用遅延ロール及び押さえキャンバス用遅延ロールを設け、所定の巻取量に達した再生紙を前記巻取リールから取り外す際に前記取付プレートを移動することによって再生紙の搬送とともに送られてきたメインキャンバス及び押さえキャンバスの張りをメインキャンバス用遅延ロール及び押さえキャンバス用遅延ロールによってそれぞれ維持するように構成するのが好ましい。
【００１６】
前記乾燥用筐体に固定板を設け、該固定板に前記取付プレートを移動可能に取付け、前記固定板にメインキャンバス及び押さえキャンバスを係回するとともに前記巻取遅延機構部から搬送される再生紙を誘導する複数本のガイドロールをさらに設置し、前記メインキャンバスを係回する最末端メインキャンバスガイドロールにベルトを介してメインキャンバス紙はがしロールを連結し、かつ前記押さえキャンバスを係回する最末端押さえキャンバスガイドロールにベルトを介して押さえキャンバス紙はがしロールを連結し、該メインキャンバス紙はがしロールが該最末端メインキャンバスガイドロールの回転とは逆方向に回転するとともに前記メインキャンバスに常時接触するように配設され、かつ該押さえキャンバス紙はがしロールが該最末端押さえキャンバスガイドロールの回転とは逆方向に回転するとともに前記押さえキャンバスに常時接触するように配設され、前記最末端メインキャンバスガイドロール及び最末端押さえキャンバスガイドロールによって搬送される再生紙が前記メインキャンバス及び押さえキャンバスとともに搬送される状態となった場合に前記メインキャンバス紙はがしロール及び押さえキャンバス紙はがしロールがそれぞれメインキャンバス及び押さえキャンバスから再生紙をはがすように構成することにより、搬送中に再生紙がメインキャンバス及び押さえキャンバスに付着してしまう事故が防止でき、再生紙の搬送が円滑に行えるという有利さがある。
【００１７】
本発明の文書細断屑用古紙再生装置は、設置場所に制限のある極小規模かつコンパクトなものであり、一般のオフィスなどに設置が可能なオフィス設置型のものである。
【発明の効果】
【００１８】
本発明の文書細断屑用古紙再生装置の第一の態様によれば、文書細断屑用古紙再生装置において乾燥チャンバーの温度を所定の温度範囲に容易に制御でき、古紙に付着している雑菌の殺菌を十分の行うことができかつ乾燥効率を自在に制御できるので再生紙の製造効率を自在に高めることができ、さらに装置を構成する合成樹脂製の部材の変形や電子部品に不具合を未然に防止することができるという著大な効果を奏する。また、本発明の文書細断屑用古紙再生装置の第二の態様によれば、乾燥チャンバーから排出される再生紙が巻取部において巻き取られ、所定の巻取量に達した再生紙を巻取部から取り外す際にその取り外し時間を確保できるので、巻き取られた再生紙の取り外し作業を極めて簡易に行うことができる利点がある。
【００１９】
本発明の文書細断屑用古紙再生装置を用いれば、文書細断屑の再生を企業、官庁、組合、団地或いは地方公共団体等の各組織単位で行うことができ、焼却・埋め立て処分とされていた文書細断屑のリサイクルが可能となり、省資源・省エネルギー化、古紙回収にかかる時間短縮や労力軽減を図ることができるという大きな効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２０】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、図示例は例示的に示されたもので、本発明の技術的思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことは言うまでもない。
【００２１】
図１は本発明の文書細断屑用古紙再生装置におけるドライヤーパート部を示す上面的概略説明図である。図２は図１の除湿乾燥機部分の摘示概略説明図である。図３は本発明の文書細断屑用古紙再生装置の乾燥チャンバーの側面的概略説明図である。図４は図３の巻取遅延機構部分の摘示拡大図で、再生紙用遅延ロールを移動した状態を示す。図５は文書細断屑用古紙再生装置の全体構造を示す概略説明図である。図６は図５におけるドライヤーパート部の除湿乾燥の原理を示す概念的説明図である。なお、図１〜４において、図５〜６と同一又は類似部材は同一の符号を用いて説明する。
【００２２】
本発明の文書細断屑用古紙再生装置の基本的な全体構造は図５によって既に説明した文書細断屑用古紙再生装置１と同様であるが、再度簡単に説明しておく。本発明の文書細断屑用古紙再生装置は、図５に示したように、古紙を離解して再生パルプ懸濁液Ｐ１，Ｐ２とするパルパー２と、該離解された再生パルプ懸濁液から再生パルプ湿潤シートＰ３，Ｐ４を介して再生紙Ｐ５を抄造する抄紙機３と、を有している。
【００２３】
前記抄紙機３のドライヤーパート部４０は乾燥チャンバー４２と、除湿乾燥部５１とを有し、前記乾燥チャンバー４２が内部中空の乾燥用筐体４１と、該乾燥用筐体４１内に少なくとも一部が上下又は左右に交互に配置された複数の回転自在なロール４６ａ〜４６ｍと、該ロール４６ａ〜４６ｍ間に係回された無端帯状のキャンバス４４からなる。
【００２４】
前記除湿乾燥部５１は前記乾燥用筐体４１に連通する内部中空の除湿乾燥ケース５１ａと、該乾燥チャンバー４２内の空気を除湿乾燥する除湿乾燥機５０とからなる。前記除湿乾燥機５０は、冷媒Ｍの蒸発器５２、圧縮機５４、凝縮器５６及び膨張弁５８を有するヒートポンプ方式の除湿乾燥機であり、前記乾燥チャンバー４２から送入された低温多湿空気を該蒸発器５２で冷媒Ｍと熱交換して冷却除湿した後、該凝縮器５６で冷媒Ｍと熱交換して再加熱し、該乾燥チャンバー４２に高温乾燥空気として送出する作用を行う。
【００２５】
図６によって、除湿乾燥機５０についてさらに詳細に説明する。
除湿乾燥機５０は、空調技術の分野で用いられるいわゆる露点法によるヒートポンプ方式の除湿乾燥機構と同様の原理を有するものであり、乾燥チャンバー４２内と連通して乾燥チャンバー４２内の雰囲気を循環しつつ除湿乾燥するものである。即ち、除湿乾燥機５０は、冷媒Ｍが吸熱して蒸発（気化）する蒸発器（熱交換器）５２と、該蒸発した冷媒Ｍを圧縮して凝縮器５６に送る圧縮機５４と、該冷媒Ｍが放熱して凝縮（液化）する凝縮器（熱交換器）５６と、該凝縮した冷媒Ｍを減圧して蒸発器５２に送る膨張弁（減圧器）５８とを備え、蒸発器５２側で吸気管４５を介して乾燥チャンバー４２の右空隙部４９ａと連通し、凝縮器５６側で排気管４７を介して乾燥チャンバー４２の左空隙部４９ｃと連通している（図６参照）。
【００２６】
送風ファン５９によって送風が開始されると、乾燥チャンバー４２の右空隙部４９ａから吸気管４５を介して給気（送入）された低温多湿空気Ａ１（所定の設定温度未満例えば４０℃未満の多湿空気）は、蒸発器５２で冷媒と熱交換して冷却除湿（空気中の水分が結露）され低温乾燥空気Ａ２（所定の設定温度未満例えば４０℃未満の乾燥した空気）となり、低温乾燥空気Ａ２は凝縮器５６で冷媒と熱交換して再加熱され高温乾燥空気Ａ３（所定の設定温度を超える空気例えば６０℃を超える乾燥した空気）となり、高温乾燥空気Ａ３は排気管４７を介して乾燥チャンバー４２の左空隙部４９ｃに排気（送出）される。乾燥チャンバー４２内の仕切板４３ａ，４３ｂは多数の通風孔Ｈが穿孔されているため、乾燥チャンバー４２内の雰囲気は左空隙部４９ｃから右空隙部４９ａへ循環しつつ除湿乾燥されることとなる（図６参照）。これによって、乾燥チャンバー４２内を走行中の再生パルプ湿潤シートＰ４の乾燥が図られることとなる。
【００２７】
なお、図示例ではロール４６ｂ〜４６ｋを上部と下部に交互に配置した例を示したが、左部と右部に交互に配置するのでもよい。また、図示例では、２枚の仕切板４３ａ，４３ｂによって乾燥用筐体４１内を右空隙部４９ａ，中央空隙部４９ｂ，左空隙部４９ｃの３区画に仕切っているが、この仕切板４３ａ，４３ｂは必須ではなく、乾燥用筐体４１内の雰囲気を略均等に除湿乾燥可能な態様でありさえすればよい。
【００２８】
本発明で採用される温度制御機構について、図１及び図２によって説明する。本発明の温度制御機構の特徴は、図２によく示されるように、蒸発器５２と凝縮器５６とを互いに変位させて設置することによって蒸発器単独部分５２ａ及び凝縮器単独部分５６ａを形成し、前記蒸発器単独部分５２ａに連通する冷風通路９４及び前記凝縮器単独部分５６ａに連通する温風通路９５をそれぞれ形成し、該冷風通路９４には蒸発器用冷風ファン９２を設けかつ該温風通路９５には凝縮器用温風ファン９３を設けた構造とした点にある。前記蒸発器５２及び凝縮器５６の近傍には送風ファン９０及び９１が設置されている。これらの送風ファン９０，９１は図６に示した送風ファン５９と同様の作用を行うものである。
【００２９】
上記構成により、前記乾燥チャンバー４２内が低温（所定の設定温度未満、例えば４０℃未満）となった場合には前記蒸発器用冷風ファン９２を駆動して上部開口部９６から導入され前記蒸発器単独部分５２ａを介して冷却された冷風を前記冷風通路９４を通して前記ドライヤーパート部４０の外部に吹き出し前記除湿乾燥機５０の冷却能力を低下させて前記乾燥チャンバー４２内の温度を上昇させ、一方前記乾燥チャンバー４２内が高温（所定の設定温度を超える温度、例えば６０℃を超える温度）となった場合には前記凝縮器用温風ファン９３を駆動して下部開口部９７から導入され前記凝縮器単独部分５６ａを介して加熱された温風を前記温風通路９５を通して前記ドライヤーパート部４０の外部に吹き出し前記除湿乾燥機５０の加熱能力を低下させて前記乾燥チャンバー４２内の温度を低下させることによって前記乾燥チャンバー４２内の温度制御を行うことが可能となる。
【００３０】
前記蒸発器５２と凝縮器５６とを互いに変位させて設置するに際し、前記蒸発器５２と凝縮器５６の変位の程度が前記蒸発器５２と凝縮器５６のサイズの２０％〜５０％の範囲であるように設定するのが好適である。この範囲が２０％未満であると温度上昇及び温度低下の程度が低く温度制御動作が好適とはいえなくなり、５０％を超えると除湿能力が低下して好ましくない。
【００３１】
前記乾燥チャンバー４２の温度制御は４０℃〜６０℃の範囲で行うのが好ましい。乾燥チャンバーの温度が４０℃未満であると、古紙に付着している雑菌の殺菌が十分でなくなりかつ乾燥効率が低下し再生紙の製造効率が低下する不利があり、６０℃を超えると装置を構成する合成樹脂製の部材が変形したり電子部品に不具合が生じたりする不都合がある。
【００３２】
本発明で採用される巻取遅延機構について図３及び図４によって説明する。本発明の巻取遅延機構の特徴は、前記乾燥チャンバー４２に隣接して移動可能に設けられた取付プレート１００に巻取遅延機構部１０１を設置し、該巻取遅延機構部１０１が再生紙用遅延ロール１０２を有し、該巻取遅延機構部１０１から搬送される再生紙を巻き取るための巻取リール６２を有する巻取部６０を該巻取遅延機構部１０１に隣接して設け、所定の巻取量に達した再生紙Ｐ５を前記巻取リール６２から取り外す際に前記取付プレート１００を移動することによって搬送されてきた再生紙Ｐ５を所定時間だけ再生紙用遅延ロール１０２で受けて巻き取られた再生紙Ｐ５の取り外し時間を確保できるようにしたものである。
【００３３】
前記取付プレート１００にさらにメインキャンバス用遅延ロール１０３及び押さえキャンバス用遅延ロール１０４を設け、所定の巻取量に達した再生紙Ｐ５を前記巻取リール６２から取り外す際に前記取付プレート１００を移動することによって再生紙の搬送とともに送られてきたメインキャンバス４４ａ及び押さえキャンバス４４ｂの張りをメインキャンバス用遅延ロール１０３及び押さえキャンバス用遅延ロール１０４によってそれぞれ維持するように構成されている。
【００３４】
図３及び図４に示した実施の形態においては、前記取付プレート１００は前記乾燥チャンバー４２の下端部に取り付けられた固定板１０５に水平移動可能に取り付けられている。前記固定板１０５の下部には垂下部１１６が設けられている。該固定板１０５にはギアモータ１０６が設置されている。前記取付プレート１００の上部にはラック１０７が設けられている。該ラック１０７は前記ギアモータ１０６と噛み合い係合せしめられており、該ギアモータ１０６が回転すると該ラック１０７を介して前記取付プレート１００が水平移動し、それとともに再生紙用遅延ロール１０２、メインキャンバス用遅延ロール１０３及び押さえキャンバス用遅延ロール１０４が水平移動するように構成されている。
【００３５】
図５の例では、再生パルプ湿潤シートＰ４はロール４６ａ〜４６ｍ間に係回された無端帯状のキャンバス４４によって誘導される場合が示されていたが、図３の例では再生パルプ湿潤シートＰ４がロール１０８ａ〜１０８ｓに係回された無端帯状メインキャンパス４４ａ及び無端帯状押さえキャンバス４４ｂの間に挟まれた状態で誘導される場合を示してある。なお、１１０ａ〜１１０ｈは乾燥用筐体４１及びその近傍に設けられた補助ロールであり、１１２ａ〜１１２ｆは固定板１０５に取り付けられたガイドロールである。１１２ｇは、最末端メインキャンバスガイドロールである。
【００３６】
無端帯状メインキャンパス４４ａは補助ロール１１０ａ〜１１０ｄ、１１０ｇ、１１０ｈ、ロール１０８ａ〜１０８ｓ、ガイドロール１１２ａ〜１１２ｄ，１１２ｇ及びメインキャンバス用遅延ロール１０３を経由して係回されている。
【００３７】
無端帯状押さえキャンバス４４ｂは補助ロール１１０ａ〜１１０ｄ、ロール１０８ａ〜１０８ｓ、ガイドロール１１２ｂ，１１２ｄ，１１２ｅ、１１２ｆ及び押さえキャンバス用遅延ロール１０４を経由して係回されている。
【００３８】
乾燥チャンバー４２に導入される前の再生パルプ湿潤シートＰ４は補助ロール１１０ａ〜１１０ｄによってガイドされて乾燥チャンバー４２に導入される。乾燥チャンバー４２から排出された再生紙Ｐ５はガイドロール１１２ａ〜１１２ｄ、再生紙用遅延ロール１０２及びガイドロール１１２ｇを経由して巻取リール６２に巻き取られる。
【００３９】
前記メインキャンバス４４ａを係回する最末端メインキャンバスガイドロール１１２ｇにベルト１１７を介してメインキャンバス紙はがしロール１１４を連結し、かつ前記押さえキャンバス４４ｂを係回する最末端押さえキャンバスガイドロール１１２ｄにベルト１１８を介して押さえキャンバス紙はがしロール１１５を連結し、該メインキャンバス紙はがしロール１１４が該最末端メインキャンバスガイドロール１１２ｇの回転とは逆方向に回転するとともに前記メインキャンバス４４ａに常時接触するように配設され、かつ該押さえキャンバス紙はがしロール１１５が該最末端押さえキャンバスガイドロール１１２ｄの回転とは逆方向に回転するとともに前記押さえキャンバス４４ｂに常時接触するように配設され、前記最末端メインキャンバスガイドロール１１２ｇ及び最末端押さえキャンバスガイドロール１１２ｄによって搬送される再生紙Ｐ５が前記メインキャンバス４４ａ及び押さえキャンバス４４ｂとともに搬送される状態となった場合に前記メインキャンバス紙はがしロール１１４及び押さえキャンバス紙はがしロール１１５がそれぞれメインキャンバス４４ａ及び押さえキャンバス４４ｂから再生紙をはがすように作用する構成を採用することにより、搬送中に再生紙Ｐ５がメインキャンバス４４ａ及び押さえキャンバス４４ｂに付着してしまう事故が防止でき、再生紙Ｐ５の搬送が円滑に行えるという有利さがある。
【図面の簡単な説明】
【００４０】
【図１】本発明の文書細断屑用古紙再生装置におけるドライヤーパート部を示す上面的概略説明図である。
【図２】図１の除湿乾燥機部分の摘示概略説明図である。
【図３】本発明の文書細断屑用古紙再生装置の乾燥チャンバーの側面的概略説明図である。
【図４】図３の巻取遅延機構部分の摘示拡大図で、再生紙用遅延ロールを移動した状態を示す。
【図５】文書細断屑用古紙再生装置の全体構造を示す概略説明図である。
【図６】図５におけるドライヤーパート部の除湿乾燥の原理を示す概念的説明図である。
【符号の説明】
【００４１】
１：文書細断屑用古紙再生装置、２：パルパー、３：抄紙機、４：ホッパー、６：第一パルパー、８：第二パルパー、６a，８a：攪拌手段、１０：ストックインレット部、２０：ワイヤーパート部、２２：丸網ドラム、２６：ドレン容器、３０：プレスパート部、３２：フェルト帯、３４ａ，３４ｂ，３４ｃ，３４ｄ：ロール、３６：ドレン容器、３８ａ，３８ｂ：プレスロール、４０：ドライヤーパート部、４１：乾燥用筐体、４２：乾燥チャンバー、４３ａ，４３ｂ：仕切板、４４：キャンバス、４４ａ：メインキャンバス、４４ｂ：押さえキャンバス、４５：吸気管、４６ａ，４６ｂ，４６ｃ，４６ｄ，４６ｅ，４６ｆ，４６ｇ，４６ｈ，４６ｉ，４６ｊ，４６ｋ，４６ｌ，４６ｍ：ロール、４７：排気管、４９ａ：右空隙部、４９ｂ：中央空隙部、４９ｃ：左空隙部、５０：除湿乾燥機、５１：除湿乾燥部、５１ａ：除湿乾燥ケース、５２ａ：蒸発器単独部分、５３：ドレン容器、５４：圧縮機、５６：凝縮器、５６ａ：凝縮器単独部分、５８：膨張弁、５９，９０、９１：送風ファン、６０：巻取部、６２：巻取リール、９２：蒸発器用冷風ファン、９３：凝縮器用温風ファン、９４：冷風通路、９５：温風通路、９６：上部開口部、９７：下部開口部、１００：取付プレート、１０１：巻取遅延機構部、１０２：再生紙用遅延ロール、１０３：メインキャンバス用遅延ロール、１０４：押さえキャンバス用遅延ロール、１０５：固定板、１０６：ギアモータ、１０７：ラック、１０８ａ〜１０８ｓ：ロール、１１０ａ〜１１０ｈ：補助ロール、１１２ａ〜１１２ｇ：ガイドロール、１１４：メインキャンバス紙はがしロール，１１５：押さえキャンバス紙はがしロール，１１６：垂下部、１１７，１１８：ベルト、Ａ１：低温多湿空気、Ａ２：低温乾燥空気、Ａ３：高温乾燥空気、Ｄ：ドレン、Ｈ：通風孔、Ｍ：冷媒、Ｐ：文書細断屑、Ｐ１，Ｐ２：再生パルプ懸濁液、Ｐ３，Ｐ４：再生パルプ湿潤シート、Ｐ５：再生紙、Ｗ：水。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、オフィス文書などの古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと該離解された再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機を含むオフィス設置型の文書細断屑用古紙再生装置の改良であって、前記抄紙機における乾燥チャンバーの温度制御機構に関するとともに、乾燥チャンバーから排出される再生紙が巻取部において巻き取られ、所定の巻取量に達した再生紙を巻取部から取り外す際にその取り外し時間を確保できるようにした巻取遅延機構に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、文書細断屑のリサイクルが充分に図られていないことに鑑み、文書細断屑をトイレットペーパー程度の比較的低い品質の再生紙にリサイクルするのであれば、古紙再生工程の省略化及び装置の小型化・簡略化によって、文書細断屑の再生を企業、官庁、組合、団地或いは地方公共団体等の各組織単位で文書細断屑のリサイクルを可能とし、省資源・省エネルギー化、古紙回収にかかる時間短縮や労力軽減を図るべく、文書細断機によって細断された古紙を攪拌手段を備えたパルパーで離解し再生パルプとする工程と、該離解された再生パルプを常時緩やかに攪拌されているチェストに貯蔵する工程と、該貯蔵された再生パルプを圧力源及び噴射孔を有する噴射装置に充填し、該噴射装置から再生パルプを噴射し、一対のローラを介して回動可能に取りつけられた無端の繊維シートを有する抄紙装置の該繊維シートに吹きかけて再生パルプをシート状にし、該シート状にされた再生パルプを乾燥ローラで乾燥して抄紙する工程とからなる文書細断屑の古紙再生方法が提案されている（特許文献１参照）。
【０００３】
また、本発明者らは、上記提案を実用化する上での種々の問題点を解決すべく、図５に示すような文書細断屑用古紙再生装置を提案した（特許文献２参照）。図５において、文書細断屑用古紙再生装置１は、文書細断屑Ｐを投入するためのホッパー４を有し、槽と槽の内底部に攪拌手段６a，８aを備えた第一パルパー６及び第二パルパー８を含み文書細断機によって細断された古紙を離解して再生パルプ懸濁液Ｐ１，Ｐ２とするパルパー２と、該離解された再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機３とからなる。該抄紙機３は、ストックインレット部１０、ワイヤーパート部２０、プレスパート部３０、ドライヤーパート部４０、巻取リール６２を備えた巻取部６０とから構成されている。
【０００４】
ワイヤーパート部２０において、余分な水分は丸網ドラム２２のワイヤー面を介してドレンＤとしてドレン容器２６に貯水される。プレスパート部３０は、ワイヤーパート部２０の丸網ドラム２２のワイヤー面上に形成された再生パルプ湿潤シートＰ３を圧搾して脱水し、より含水量の少ない再生パルプ湿潤シートＰ４とするものである。プレスパート部３０は、複数の回転自在なロール３４ａ，３４ｂ，３４ｃ，３４ｄ間に係回された無端のフェルト帯３２と、一対のプレスロール３８ａ，３８ｂを有し、ワイヤーパート部２０で形成された再生パルプ湿潤シートＰ３がフェルト帯３２に移載されてプレスロール３８ａ，３８ｂで搾水され、余分な水分はドレンＤとしてドレン容器３６に貯水される。
【０００５】
ドライヤーパート部４０は、プレスパート部３０で搾水された再生パルプ湿潤シートＰ４を乾燥して再生紙Ｐ５とするものである。ドライヤーパート部４０は、再生パルプ湿潤シートＰ４が内部を走行する乾燥チャンバー４２と、乾燥チャンバー４２内の雰囲気を除湿乾燥する除湿乾燥部５１とから構成されている。符号５３は、ドレンＤを回収するためのドレン容器である。
【０００６】
乾燥チャンバー４２は、その内部を搬送する前記プレスパート部３０で搾水された再生パルプ湿潤シートＰ４を乾燥する作用を行う。該乾燥チャンバー４２は、内部中空の乾燥用筐体４１と、該乾燥用筐体４１内に少なくとも一部が上下又は左右に交互に配置された複数の回転自在なロール４６ａ，４６ｂ，４６ｃ，４６ｄ，４６ｅ，４６ｆ，４６ｇ，４６ｈ，４６ｉ，４６ｊ，４６ｋ，４６ｌ，４６ｍと、該ロール４６ａ〜４６ｍ間に係回された無端帯状のキャンバス４４とを備えている。このキャンバス４４は格子状網材からなり、その材質は金属製でもよいが、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂製であることが望ましい。符号Ｗは水である。
【０００７】
上記した図５及び特許文献２に記載された文書細断屑用古紙再生装置は会社のオフィスに設置できる程のコンパクト設計であるため、比較的小型で高熱とならず且つ乾燥能力の劣らない新たな抄紙工程のドライヤーパートを実現でき、また、系内の使用水量を最小限とし、併せて、古紙再生工程の省略化及び装置の小型化・簡略化によって、文書細断屑の再生を企業、官庁、組合、団地或いは地方公共団体等の各組織単位で行い得るようにして、焼却・埋め立て処分とされていた文書細断屑をリサイクル可能とし、省資源・省エネルギー化、古紙回収にかかる時間短縮や労力軽減を図ることができるという効果を有する。
【０００８】
しかしながら、上記した図５及び特許文献２に開示された文書細断屑用古紙再生装置では、予め文書細断機などで細断された文書細断屑を用いることを前提としているため、オフィスで不要となった文書をまず予め文書細断機などで細断するわけであるが、次のような問題が生起する可能性が存在する。（１）オフィスの不要文書には雑菌が付着していることが多く、そのまま再生紙にすると雑菌を含んだ再生紙となってしまい、種々のトラブルの原因となる虞がある。（２）乾燥チャンバー４２が高温になると装置を構成する合成樹脂製の部材が変形したり電子部品に不具合が生じたりする虞がある。（３）乾燥チャンバー４２が低温の場合には乾燥効率が低下しそれだけ再生紙の製造効率が低下してしまう不都合がある。
【０００９】
また、乾燥チャンバー４２から排出される再生紙が巻取部において巻き取られ、所定の巻取量に達した再生紙を巻取部から取り外す際にその取り外しに時間を要するためにその取り外し作業を行う間に再生紙の搬送を遅延させる必要があるが、上記提案した装置ではこの問題はいまだ未解決のままであった。
【特許文献１】特開平１０−３１７２９０号公報
【特許文献２】特開２００６−１６９７１０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、文書細断屑用古紙再生装置において乾燥チャンバーの温度を所定の温度範囲に容易に制御できるようにした新規な温度制御機構、並びに乾燥チャンバーから排出される再生紙が巻取部において巻き取られ、所定の巻取量に達した再生紙を巻取部から取り外す際にその取り外し時間を確保できるようにした新規な巻取遅延機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明の文書細断屑用古紙再生装置の第一の態様は、古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと、該再生パルプ懸濁液から再生パルプ湿潤シートを介して再生紙を抄造する抄紙機と、を含む文書細断屑用古紙再生装置であって、前記抄紙機のドライヤーパート部が乾燥チャンバーと、除湿乾燥部とを有し、前記乾燥チャンバーが内部中空の乾燥用筐体と、該乾燥用筐体内に少なくとも一部が上下又は左右に交互に配置された複数の回転自在なロールと、該ロール間に係回された無端帯状のキャンバスとからなり、並びに前記除湿乾燥部が前記乾燥用筐体に連通し内部中空の除湿乾燥ケースと、該乾燥チャンバー内の空気を除湿乾燥する除湿乾燥機とからなり、前記除湿乾燥機は、冷媒の蒸発器、圧縮機、凝縮器及び膨張弁を有するヒートポンプ方式の除湿乾燥機であり、前記乾燥チャンバーから送入された低温多湿空気を該蒸発器で冷媒と熱交換して冷却除湿した後、該凝縮器で冷媒と熱交換して再加熱し、該乾燥チャンバーに高温乾燥空気として送出する作用を行い、
前記蒸発器と凝縮器とを互いに変位させて設置することによって蒸発器単独部分及び凝縮器単独部分を形成し、該蒸発器単独部分及び凝縮器単独部分の近傍に蒸発器用冷風ファン及び凝縮器用温風ファンをそれぞれ設け、前記除湿乾燥ケース内には前記蒸発器単独部分と冷風開口部と連通する冷風通路及び前記凝縮器単独部分と温風開口部と連通する温風通路を設ける構造とし、
前記乾燥チャンバー内が所定温度より低温となった場合には前記蒸発器用冷風ファンを駆動して冷風を前記ドライヤーパート部の外部に吹き出して前記除湿乾燥機の冷却能力を低下させて前記乾燥チャンバー内の温度を上昇させ、一方前記乾燥チャンバー内が所定温度より高温となった場合には前記凝縮器用温風ファンを駆動して温風を前記ドライヤーパート部の外部に吹き出して前記除湿乾燥機の加熱能力を低下させて前記乾燥チャンバー内の温度を低下させることによって前記乾燥チャンバー内の温度制御を行うことを特徴とする温度制御機構を具備した文書細断屑用古紙再生装置である。
【００１２】
前記蒸発器と凝縮器とを互いに変位させて設置するに際し、前記蒸発器と凝縮器の変位の程度が前記蒸発器と凝縮器のサイズの２０％〜５０％の範囲であるように設定するのが好適である。この範囲が２０％未満であると温度上昇及び温度低下の程度が低く温度制御動作が好適とはいえなくなり、５０％を超えると除湿能力が低下して好ましくない。
【００１３】
前記乾燥チャンバーの温度制御を４０℃〜６０℃の範囲で行うのが好ましい。乾燥チャンバーの温度が４０℃未満であると、古紙に付着している雑菌の殺菌が十分でなくなりかつ乾燥効率が低下し再生紙の製造効率が低下する不利があり、６０℃を超えると装置を構成する合成樹脂製の部材が変形したり電子部品に不具合が生じたりする不都合がある。
【００１４】
本発明の文書細断屑用古紙再生装置の第二の態様は、古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと、該離解された再生パルプ懸濁液から再生パルプ湿潤シートを介して再生紙を抄造する抄紙機と、を含む文書細断屑用古紙再生装置であって、前記抄紙機のドライヤーパート部が乾燥チャンバーと、除湿乾燥部とを有し、前記乾燥チャンバーが内部中空の乾燥用筐体と、該乾燥用筐体内に少なくとも一部が上下又は左右に交互に配置された複数の回転自在なロールと、該ロール間に係回された無端帯状のメインキャンバスと、前記メインキャンバスに対応して該ロール間に係回された無端帯状の押さえキャンバスと、からなり、並びに前記除湿乾燥部が前記乾燥用筐体に連通する内部中空の除湿乾燥ケースと、該乾燥チャンバー内の空気を除湿乾燥する除湿乾燥機とからなり、
前記乾燥チャンバーに隣接して移動可能に設けられた取付プレートに巻取遅延機構部及び巻取部を設置し、該遅延機構部が再生紙用遅延ロールを有するとともに前記巻取部が再生紙を巻き取るための巻取リールを有し、所定の巻取量に達した再生紙を前記巻取リールから取り外す際に前記取付プレートを移動することによって搬送されてきた再生紙を所定時間だけ再生紙用遅延ロールで受けて巻き取られた再生紙の取り外し時間を確保できるようにしたことを特徴とする巻取遅延機構を具備した文書細断屑用古紙再生装置である。
【００１５】
前記取付プレートにさらにメインキャンバス用遅延ロール及び押さえキャンバス用遅延ロールを設け、所定の巻取量に達した再生紙を前記巻取リールから取り外す際に前記取付プレートを移動することによって再生紙の搬送とともに送られてきたメインキャンバス及び押さえキャンバスの張りをメインキャンバス用遅延ロール及び押さえキャンバス用遅延ロールによってそれぞれ維持するように構成するのが好ましい。
【００１６】
前記乾燥用筐体に固定板を設け、該固定板に前記取付プレートを移動可能に取付け、前記固定板にメインキャンバス及び押さえキャンバスを係回するとともに前記巻取遅延機構部から搬送される再生紙を誘導する複数本のガイドロールをさらに設置し、前記メインキャンバスを係回する最末端メインキャンバスガイドロールにベルトを介してメインキャンバス紙はがしロールを連結し、かつ前記押さえキャンバスを係回する最末端押さえキャンバスガイドロールにベルトを介して押さえキャンバス紙はがしロールを連結し、該メインキャンバス紙はがしロールが該最末端メインキャンバスガイドロールの回転とは逆方向に回転するとともに前記メインキャンバスに常時接触するように配設され、かつ該押さえキャンバス紙はがしロールが該最末端押さえキャンバスガイドロールの回転とは逆方向に回転するとともに前記押さえキャンバスに常時接触するように配設され、前記最末端メインキャンバスガイドロール及び最末端押さえキャンバスガイドロールによって搬送される再生紙が前記メインキャンバス及び押さえキャンバスとともに搬送される状態となった場合に前記メインキャンバス紙はがしロール及び押さえキャンバス紙はがしロールがそれぞれメインキャンバス及び押さえキャンバスから再生紙をはがすように構成することにより、搬送中に再生紙がメインキャンバス及び押さえキャンバスに付着してしまう事故が防止でき、再生紙の搬送が円滑に行えるという有利さがある。
【００１７】
本発明の文書細断屑用古紙再生装置は、設置場所に制限のある極小規模かつコンパクトなものであり、一般のオフィスなどに設置が可能なオフィス設置型のものである。
【発明の効果】
【００１８】
本発明の文書細断屑用古紙再生装置の第一の態様によれば、文書細断屑用古紙再生装置において乾燥チャンバーの温度を所定の温度範囲に容易に制御でき、古紙に付着している雑菌の殺菌を十分の行うことができかつ乾燥効率を自在に制御できるので再生紙の製造効率を自在に高めることができ、さらに装置を構成する合成樹脂製の部材の変形や電子部品に不具合を未然に防止することができるという著大な効果を奏する。また、本発明の文書細断屑用古紙再生装置の第二の態様によれば、乾燥チャンバーから排出される再生紙が巻取部において巻き取られ、所定の巻取量に達した再生紙を巻取部から取り外す際にその取り外し時間を確保できるので、巻き取られた再生紙の取り外し作業を極めて簡易に行うことができる利点がある。
【００１９】
本発明の文書細断屑用古紙再生装置を用いれば、文書細断屑の再生を企業、官庁、組合、団地或いは地方公共団体等の各組織単位で行うことができ、焼却・埋め立て処分とされていた文書細断屑のリサイクルが可能となり、省資源・省エネルギー化、古紙回収にかかる時間短縮や労力軽減を図ることができるという大きな効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２０】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、図示例は例示的に示されたもので、本発明の技術的思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことは言うまでもない。
【００２１】
図１は本発明の文書細断屑用古紙再生装置におけるドライヤーパート部を示す上面的概略説明図である。図２は図１の除湿乾燥機部分の摘示概略説明図である。図３は本発明の文書細断屑用古紙再生装置の乾燥チャンバーの側面的概略説明図である。図４は図３の巻取遅延機構部分の摘示拡大図で、再生紙用遅延ロールを移動した状態を示す。図５は文書細断屑用古紙再生装置の全体構造を示す概略説明図である。図６は図５におけるドライヤーパート部の除湿乾燥の原理を示す概念的説明図である。なお、図１〜４において、図５〜６と同一又は類似部材は同一の符号を用いて説明する。
【００２２】
本発明の文書細断屑用古紙再生装置の基本的な全体構造は図５によって既に説明した文書細断屑用古紙再生装置１と同様であるが、再度簡単に説明しておく。本発明の文書細断屑用古紙再生装置は、図５に示したように、古紙を離解して再生パルプ懸濁液Ｐ１，Ｐ２とするパルパー２と、該離解された再生パルプ懸濁液から再生パルプ湿潤シートＰ３，Ｐ４を介して再生紙Ｐ５を抄造する抄紙機３と、を有している。
【００２３】
前記抄紙機３のドライヤーパート部４０は乾燥チャンバー４２と、除湿乾燥部５１とを有し、前記乾燥チャンバー４２が内部中空の乾燥用筐体４１と、該乾燥用筐体４１内に少なくとも一部が上下又は左右に交互に配置された複数の回転自在なロール４６ａ〜４６ｍと、該ロール４６ａ〜４６ｍ間に係回された無端帯状のキャンバス４４からなる。
【００２４】
前記除湿乾燥部５１は前記乾燥用筐体４１に連通する内部中空の除湿乾燥ケース５１ａと、該乾燥チャンバー４２内の空気を除湿乾燥する除湿乾燥機５０とからなる。前記除湿乾燥機５０は、冷媒Ｍの蒸発器５２、圧縮機５４、凝縮器５６及び膨張弁５８を有するヒートポンプ方式の除湿乾燥機であり、前記乾燥チャンバー４２から送入された低温多湿空気を該蒸発器５２で冷媒Ｍと熱交換して冷却除湿した後、該凝縮器５６で冷媒Ｍと熱交換して再加熱し、該乾燥チャンバー４２に高温乾燥空気として送出する作用を行う。
【００２５】
図６によって、除湿乾燥機５０についてさらに詳細に説明する。
除湿乾燥機５０は、空調技術の分野で用いられるいわゆる露点法によるヒートポンプ方式の除湿乾燥機構と同様の原理を有するものであり、乾燥チャンバー４２内と連通して乾燥チャンバー４２内の雰囲気を循環しつつ除湿乾燥するものである。即ち、除湿乾燥機５０は、冷媒Ｍが吸熱して蒸発（気化）する蒸発器（熱交換器）５２と、該蒸発した冷媒Ｍを圧縮して凝縮器５６に送る圧縮機５４と、該冷媒Ｍが放熱して凝縮（液化）する凝縮器（熱交換器）５６と、該凝縮した冷媒Ｍを減圧して蒸発器５２に送る膨張弁（減圧器）５８とを備え、蒸発器５２側で吸気管４５を介して乾燥チャンバー４２の右空隙部４９ａと連通し、凝縮器５６側で排気管４７を介して乾燥チャンバー４２の左空隙部４９ｃと連通している（図６参照）。
【００２６】
送風ファン５９によって送風が開始されると、乾燥チャンバー４２の右空隙部４９ａから吸気管４５を介して給気（送入）された低温多湿空気Ａ１（所定の設定温度未満例えば４０℃未満の多湿空気）は、蒸発器５２で冷媒と熱交換して冷却除湿（空気中の水分が結露）され低温乾燥空気Ａ２（所定の設定温度未満例えば４０℃未満の乾燥した空気）となり、低温乾燥空気Ａ２は凝縮器５６で冷媒と熱交換して再加熱され高温乾燥空気Ａ３（所定の設定温度を超える空気例えば６０℃を超える乾燥した空気）となり、高温乾燥空気Ａ３は排気管４７を介して乾燥チャンバー４２の左空隙部４９ｃに排気（送出）される。乾燥チャンバー４２内の仕切板４３ａ，４３ｂは多数の通風孔Ｈが穿孔されているため、乾燥チャンバー４２内の雰囲気は左空隙部４９ｃから右空隙部４９ａへ循環しつつ除湿乾燥されることとなる（図６参照）。これによって、乾燥チャンバー４２内を走行中の再生パルプ湿潤シートＰ４の乾燥が図られることとなる。
【００２７】
なお、図示例ではロール４６ｂ〜４６ｋを上部と下部に交互に配置した例を示したが、左部と右部に交互に配置するのでもよい。また、図示例では、２枚の仕切板４３ａ，４３ｂによって乾燥用筐体４１内を右空隙部４９ａ，中央空隙部４９ｂ，左空隙部４９ｃの３区画に仕切っているが、この仕切板４３ａ，４３ｂは必須ではなく、乾燥用筐体４１内の雰囲気を略均等に除湿乾燥可能な態様でありさえすればよい。
【００２８】
本発明で採用される温度制御機構について、図１及び図２によって説明する。本発明の温度制御機構の特徴は、図２によく示されるように、蒸発器５２と凝縮器５６とを互いに変位させて設置することによって蒸発器単独部分５２ａ及び凝縮器単独部分５６ａを形成し、前記蒸発器単独部分５２ａに連通する冷風通路９４及び前記凝縮器単独部分５６ａに連通する温風通路９５をそれぞれ形成し、該冷風通路９４には蒸発器用冷風ファン９２を設けかつ該温風通路９５には凝縮器用温風ファン９３を設けた構造とした点にある。前記蒸発器５２及び凝縮器５６の近傍には送風ファン９０及び９１が設置されている。これらの送風ファン９０，９１は図６に示した送風ファン５９と同様の作用を行うものである。
【００２９】
上記構成により、前記乾燥チャンバー４２内が低温（所定の設定温度未満、例えば４０℃未満）となった場合には前記蒸発器用冷風ファン９２を駆動して上部開口部９６から導入され前記蒸発器単独部分５２ａを介して冷却された冷風を前記冷風通路９４を通して前記ドライヤーパート部４０の外部に吹き出し前記除湿乾燥機５０の冷却能力を低下させて前記乾燥チャンバー４２内の温度を上昇させ、一方前記乾燥チャンバー４２内が高温（所定の設定温度を超える温度、例えば６０℃を超える温度）となった場合には前記凝縮器用温風ファン９３を駆動して下部開口部９７から導入され前記凝縮器単独部分５６ａを介して加熱された温風を前記温風通路９５を通して前記ドライヤーパート部４０の外部に吹き出し前記除湿乾燥機５０の加熱能力を低下させて前記乾燥チャンバー４２内の温度を低下させることによって前記乾燥チャンバー４２内の温度制御を行うことが可能となる。
【００３０】
前記蒸発器５２と凝縮器５６とを互いに変位させて設置するに際し、前記蒸発器５２と凝縮器５６の変位の程度が前記蒸発器５２と凝縮器５６のサイズの２０％〜５０％の範囲であるように設定するのが好適である。この範囲が２０％未満であると温度上昇及び温度低下の程度が低く温度制御動作が好適とはいえなくなり、５０％を超えると除湿能力が低下して好ましくない。
【００３１】
前記乾燥チャンバー４２の温度制御は４０℃〜６０℃の範囲で行うのが好ましい。乾燥チャンバーの温度が４０℃未満であると、古紙に付着している雑菌の殺菌が十分でなくなりかつ乾燥効率が低下し再生紙の製造効率が低下する不利があり、６０℃を超えると装置を構成する合成樹脂製の部材が変形したり電子部品に不具合が生じたりする不都合がある。
【００３２】
本発明で採用される巻取遅延機構について図３及び図４によって説明する。本発明の巻取遅延機構の特徴は、前記乾燥チャンバー４２に隣接して移動可能に設けられた取付プレート１００に巻取遅延機構部１０１を設置し、該巻取遅延機構部１０１が再生紙用遅延ロール１０２を有し、該巻取遅延機構部１０１から搬送される再生紙を巻き取るための巻取リール６２を有する巻取部６０を該巻取遅延機構部１０１に隣接して設け、所定の巻取量に達した再生紙Ｐ５を前記巻取リール６２から取り外す際に前記取付プレート１００を移動することによって搬送されてきた再生紙Ｐ５を所定時間だけ再生紙用遅延ロール１０２で受けて巻き取られた再生紙Ｐ５の取り外し時間を確保できるようにしたものである。
【００３３】
前記取付プレート１００にさらにメインキャンバス用遅延ロール１０３及び押さえキャンバス用遅延ロール１０４を設け、所定の巻取量に達した再生紙Ｐ５を前記巻取リール６２から取り外す際に前記取付プレート１００を移動することによって再生紙の搬送とともに送られてきたメインキャンバス４４ａ及び押さえキャンバス４４ｂの張りをメインキャンバス用遅延ロール１０３及び押さえキャンバス用遅延ロール１０４によってそれぞれ維持するように構成されている。
【００３４】
図３及び図４に示した実施の形態においては、前記取付プレート１００は前記乾燥チャンバー４２の下端部に取り付けられた固定板１０５に水平移動可能に取り付けられている。前記固定板１０５の下部には垂下部１１６が設けられている。該固定板１０５にはギアモータ１０６が設置されている。前記取付プレート１００の上部にはラック１０７が設けられている。該ラック１０７は前記ギアモータ１０６と噛み合い係合せしめられており、該ギアモータ１０６が回転すると該ラック１０７を介して前記取付プレート１００が水平移動し、それとともに再生紙用遅延ロール１０２、メインキャンバス用遅延ロール１０３及び押さえキャンバス用遅延ロール１０４が水平移動するように構成されている。
【００３５】
図５の例では、再生パルプ湿潤シートＰ４はロール４６ａ〜４６ｍ間に係回された無端帯状のキャンバス４４によって誘導される場合が示されていたが、図３の例では再生パルプ湿潤シートＰ４がロール１０８ａ〜１０８ｓに係回された無端帯状メインキャンパス４４ａ及び無端帯状押さえキャンバス４４ｂの間に挟まれた状態で誘導される場合を示してある。なお、１１０ａ〜１１０ｈは乾燥用筐体４１及びその近傍に設けられた補助ロールであり、１１２ａ〜１１２ｆは固定板１０５に取り付けられたガイドロールである。１１２ｇは、最末端メインキャンバスガイドロールである。
【００３６】
無端帯状メインキャンパス４４ａは補助ロール１１０ａ〜１１０ｄ、１１０ｇ、１１０ｈ、ロール１０８ａ〜１０８ｓ、ガイドロール１１２ａ〜１１２ｄ，１１２ｇ及びメインキャンバス用遅延ロール１０３を経由して係回されている。
【００３７】
無端帯状押さえキャンバス４４ｂは補助ロール１１０ａ〜１１０ｄ、ロール１０８ａ〜１０８ｓ、ガイドロール１１２ｂ，１１２ｄ，１１２ｅ、１１２ｆ及び押さえキャンバス用遅延ロール１０４を経由して係回されている。
【００３８】
乾燥チャンバー４２に導入される前の再生パルプ湿潤シートＰ４は補助ロール１１０ａ〜１１０ｄによってガイドされて乾燥チャンバー４２に導入される。乾燥チャンバー４２から排出された再生紙Ｐ５はガイドロール１１２ａ〜１１２ｄ、再生紙用遅延ロール１０２及びガイドロール１１２ｇを経由して巻取リール６２に巻き取られる。
【００３９】
前記メインキャンバス４４ａを係回する最末端メインキャンバスガイドロール１１２ｇにベルト１１７を介してメインキャンバス紙はがしロール１１４を連結し、かつ前記押さえキャンバス４４ｂを係回する最末端押さえキャンバスガイドロール１１２ｄにベルト１１８を介して押さえキャンバス紙はがしロール１１５を連結し、該メインキャンバス紙はがしロール１１４が該最末端メインキャンバスガイドロール１１２ｇの回転とは逆方向に回転するとともに前記メインキャンバス４４ａに常時接触するように配設され、かつ該押さえキャンバス紙はがしロール１１５が該最末端押さえキャンバスガイドロール１１２ｄの回転とは逆方向に回転するとともに前記押さえキャンバス４４ｂに常時接触するように配設され、前記最末端メインキャンバスガイドロール１１２ｇ及び最末端押さえキャンバスガイドロール１１２ｄによって搬送される再生紙Ｐ５が前記メインキャンバス４４ａ及び押さえキャンバス４４ｂとともに搬送される状態となった場合に前記メインキャンバス紙はがしロール１１４及び押さえキャンバス紙はがしロール１１５がそれぞれメインキャンバス４４ａ及び押さえキャンバス４４ｂから再生紙をはがすように作用する構成を採用することにより、搬送中に再生紙Ｐ５がメインキャンバス４４ａ及び押さえキャンバス４４ｂに付着してしまう事故が防止でき、再生紙Ｐ５の搬送が円滑に行えるという有利さがある。
【図面の簡単な説明】
【００４０】
【図１】本発明の文書細断屑用古紙再生装置におけるドライヤーパート部を示す上面的概略説明図である。
【図２】図１の除湿乾燥機部分の摘示概略説明図である。
【図３】本発明の文書細断屑用古紙再生装置の乾燥チャンバーの側面的概略説明図である。
【図４】図３の巻取遅延機構部分の摘示拡大図で、再生紙用遅延ロールを移動した状態を示す。
【図５】文書細断屑用古紙再生装置の全体構造を示す概略説明図である。
【図６】図５におけるドライヤーパート部の除湿乾燥の原理を示す概念的説明図である。
【符号の説明】
【００４１】
１：文書細断屑用古紙再生装置、２：パルパー、３：抄紙機、４：ホッパー、６：第一パルパー、８：第二パルパー、６a，８a：攪拌手段、１０：ストックインレット部、２０：ワイヤーパート部、２２：丸網ドラム、２６：ドレン容器、３０：プレスパート部、３２：フェルト帯、３４ａ，３４ｂ，３４ｃ，３４ｄ：ロール、３６：ドレン容器、３８ａ，３８ｂ：プレスロール、４０：ドライヤーパート部、４１：乾燥用筐体、４２：乾燥チャンバー、４３ａ，４３ｂ：仕切板、４４：キャンバス、４４ａ：メインキャンバス、４４ｂ：押さえキャンバス、４５：吸気管、４６ａ，４６ｂ，４６ｃ，４６ｄ，４６ｅ，４６ｆ，４６ｇ，４６ｈ，４６ｉ，４６ｊ，４６ｋ，４６ｌ，４６ｍ：ロール、４７：排気管、４９ａ：右空隙部、４９ｂ：中央空隙部、４９ｃ：左空隙部、５０：除湿乾燥機、５１：除湿乾燥部、５１ａ：除湿乾燥ケース、５２ａ：蒸発器単独部分、５３：ドレン容器、５４：圧縮機、５６：凝縮器、５６ａ：凝縮器単独部分、５８：膨張弁、５９，９０、９１：送風ファン、６０：巻取部、６２：巻取リール、９２：蒸発器用冷風ファン、９３：凝縮器用温風ファン、９４：冷風通路、９５：温風通路、９６：上部開口部、９７：下部開口部、１００：取付プレート、１０１：巻取遅延機構部、１０２：再生紙用遅延ロール、１０３：メインキャンバス用遅延ロール、１０４：押さえキャンバス用遅延ロール、１０５：固定板、１０６：ギアモータ、１０７：ラック、１０８ａ〜１０８ｓ：ロール、１１０ａ〜１１０ｈ：補助ロール、１１２ａ〜１１２ｇ：ガイドロール、１１４：メインキャンバス紙はがしロール，１１５：押さえキャンバス紙はがしロール，１１６：垂下部、１１７，１１８：ベルト、Ａ１：低温多湿空気、Ａ２：低温乾燥空気、Ａ３：高温乾燥空気、Ｄ：ドレン、Ｈ：通風孔、Ｍ：冷媒、Ｐ：文書細断屑、Ｐ１，Ｐ２：再生パルプ懸濁液、Ｐ３，Ｐ４：再生パルプ湿潤シート、Ｐ５：再生紙、Ｗ：水。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと、該再生パルプ懸濁液から再生パルプ湿潤シートを介して再生紙を抄造する抄紙機と、を含む文書細断屑用古紙再生装置であって、前記抄紙機のドライヤーパート部が乾燥チャンバーと、除湿乾燥部とを有し、前記乾燥チャンバーが内部中空の乾燥用筐体と、該乾燥用筐体内に少なくとも一部が上下又は左右に交互に配置された複数の回転自在なロールと、該ロール間に係回された無端帯状のキャンバスとからなり、並びに前記除湿乾燥部が前記乾燥用筐体に連通し内部中空の除湿乾燥ケースと、該乾燥チャンバー内の空気を除湿乾燥する除湿乾燥機とからなり、前記除湿乾燥機は、冷媒の蒸発器、圧縮機、凝縮器及び膨張弁を有するヒートポンプ方式の除湿乾燥機であり、前記乾燥チャンバーから送入された低温多湿空気を該蒸発器で冷媒と熱交換して冷却除湿した後、該凝縮器で冷媒と熱交換して再加熱し、該乾燥チャンバーに高温乾燥空気として送出する作用を行い、
前記蒸発器と凝縮器とを互いに変位させて設置することによって蒸発器単独部分及び凝縮器単独部分を形成し、該蒸発器単独部分及び凝縮器単独部分の近傍に蒸発器用冷風ファン及び凝縮器用温風ファンをそれぞれ設け、前記除湿乾燥ケース内には前記蒸発器単独部分と冷風開口部と連通する冷風通路及び前記凝縮器単独部分と温風開口部と連通する温風通路を設ける構造とし、
前記乾燥チャンバー内が所定温度より低温となった場合には前記蒸発器用冷風ファンを駆動して冷風を前記ドライヤーパート部の外部に吹き出して前記除湿乾燥機の冷却能力を低下させて前記乾燥チャンバー内の温度を上昇させ、一方前記乾燥チャンバー内が所定温度より高温となった場合には前記凝縮器用温風ファンを駆動して温風を前記ドライヤーパート部の外部に吹き出して前記除湿乾燥機の加熱能力を低下させて前記乾燥チャンバー内の温度を低下させることによって前記乾燥チャンバー内の温度制御を行うことを特徴とする温度制御機構を具備した文書細断屑用古紙再生装置。
【請求項２】
前記蒸発器と凝縮器とを互いに変位させて設置するに際し、前記蒸発器と凝縮器の変位の程度が前記蒸発器と凝縮器のサイズの２０％〜５０％の範囲であることを特徴とする請求項１記載の温度制御機構を具備した文書細断屑用古紙再生装置。
【請求項３】
前記乾燥チャンバーの温度制御を４０℃〜６０℃の範囲で行うことを特徴とする請求項１又は２記載の温度制御機構を具備した文書細断屑用古紙再生装置。
【請求項４】
古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと、該離解された再生パルプ懸濁液から再生パルプ湿潤シートを介して再生紙を抄造する抄紙機と、を含む文書細断屑用古紙再生装置であって、前記抄紙機のドライヤーパート部が乾燥チャンバーと、除湿乾燥部とを有し、前記乾燥チャンバーが、内部中空の乾燥用筐体と、該乾燥用筐体内に少なくとも一部が上下又は左右に交互に配置された複数の回転自在なロールと、該ロール間に係回された無端帯状のメインキャンバスと、前記メインキャンバスに対応して該ロール間に係回された無端帯状の押さえキャンバスと、からなり、並びに前記除湿乾燥部が前記乾燥用筐体に連通する内部中空の除湿乾燥ケースと、該乾燥チャンバー内の空気を除湿乾燥する除湿乾燥機とからなり、
前記乾燥チャンバーに隣接して移動可能に設けられた取付プレートに巻取遅延機構部を設置し、該巻取遅延機構部が再生紙用遅延ロールを有し、該巻取遅延機構部から搬送される再生紙を巻き取るための巻取リールを有する巻取部を該巻取遅延機構部に隣接して設け、所定の巻取量に達した再生紙を前記巻取リールから取り外す際に前記取付プレートを移動することによって搬送されてきた再生紙を所定時間だけ再生紙用遅延ロールで受けて巻き取られた再生紙の取り外し時間を確保できるようにしたことを特徴とする巻取遅延機構を具備した文書細断屑用古紙再生装置。
【請求項５】
前記巻取遅延機構部がメインキャンバス用遅延ロール及び押さえキャンバス用遅延ロールを有し、所定の巻取量に達した再生紙を前記巻取リールから取り外す際に前記取付プレートを移動することによって再生紙の搬送とともに送られてきたメインキャンバス及び押さえキャンバスの張りをメインキャンバス用遅延ロール及び押さえキャンバス用遅延ロールによってそれぞれ維持するようにしたことを特徴とする請求項４記載の巻取遅延機構を具備した文書細断屑用古紙再生装置。
【請求項６】
前記乾燥用筐体に固定板を設け、該固定板に前記取付プレートを移動可能に取付け、前記固定板にメインキャンバス及び押さえキャンバスを係回するとともに前記巻取遅延機構部から搬送される再生紙を誘導する複数本のガイドロールをさらに設置し、前記メインキャンバスを係回する最末端メインキャンバスガイドロールにベルトを介してメインキャンバス紙はがしロールを連結し、かつ前記押さえキャンバスを係回する最末端押さえキャンバスガイドロールにベルトを介して押さえキャンバス紙はがしロールを連結し、該メインキャンバス紙はがしロールが該最末端メインキャンバスガイドロールの回転とは逆方向に回転するとともに前記メインキャンバスに常時接触するように配設され、かつ該押さえキャンバス紙はがしロールが該最末端押さえキャンバスガイドロールの回転とは逆方向に回転するとともに前記押さえキャンバスに常時接触するように配設され、前記最末端メインキャンバスガイドロール及び最末端押さえキャンバスガイドロールによって搬送される再生紙が前記メインキャンバス及び押さえキャンバスとともに搬送される状態となった場合に前記メインキャンバス紙はがしロール及び押さえキャンバス紙はがしロールがそれぞれメインキャンバス及び押さえキャンバスから再生紙をはがすように構成することを特徴とする請求項４又は５記載の巻取遅延機構を具備した文書細断屑用古紙再生装置。
【請求項１】
古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと、該再生パルプ懸濁液から再生パルプ湿潤シートを介して再生紙を抄造する抄紙機と、を含む文書細断屑用古紙再生装置であって、前記抄紙機のドライヤーパート部が乾燥チャンバーと、除湿乾燥部とを有し、前記乾燥チャンバーが内部中空の乾燥用筐体と、該乾燥用筐体内に少なくとも一部が上下又は左右に交互に配置された複数の回転自在なロールと、該ロール間に係回された無端帯状のキャンバスとからなり、並びに前記除湿乾燥部が前記乾燥用筐体に連通し内部中空の除湿乾燥ケースと、該乾燥チャンバー内の空気を除湿乾燥する除湿乾燥機とからなり、前記除湿乾燥機は、冷媒の蒸発器、圧縮機、凝縮器及び膨張弁を有するヒートポンプ方式の除湿乾燥機であり、前記乾燥チャンバーから送入された低温多湿空気を該蒸発器で冷媒と熱交換して冷却除湿した後、該凝縮器で冷媒と熱交換して再加熱し、該乾燥チャンバーに高温乾燥空気として送出する作用を行い、
前記蒸発器と凝縮器とを互いに変位させて設置することによって蒸発器単独部分及び凝縮器単独部分を形成し、該蒸発器単独部分及び凝縮器単独部分の近傍に蒸発器用冷風ファン及び凝縮器用温風ファンをそれぞれ設け、前記除湿乾燥ケース内には前記蒸発器単独部分と冷風開口部と連通する冷風通路及び前記凝縮器単独部分と温風開口部と連通する温風通路を設ける構造とし、
前記乾燥チャンバー内が所定温度より低温となった場合には前記蒸発器用冷風ファンを駆動して冷風を前記ドライヤーパート部の外部に吹き出して前記除湿乾燥機の冷却能力を低下させて前記乾燥チャンバー内の温度を上昇させ、一方前記乾燥チャンバー内が所定温度より高温となった場合には前記凝縮器用温風ファンを駆動して温風を前記ドライヤーパート部の外部に吹き出して前記除湿乾燥機の加熱能力を低下させて前記乾燥チャンバー内の温度を低下させることによって前記乾燥チャンバー内の温度制御を行うことを特徴とする温度制御機構を具備した文書細断屑用古紙再生装置。
【請求項２】
前記蒸発器と凝縮器とを互いに変位させて設置するに際し、前記蒸発器と凝縮器の変位の程度が前記蒸発器と凝縮器のサイズの２０％〜５０％の範囲であることを特徴とする請求項１記載の温度制御機構を具備した文書細断屑用古紙再生装置。
【請求項３】
前記乾燥チャンバーの温度制御を４０℃〜６０℃の範囲で行うことを特徴とする請求項１又は２記載の温度制御機構を具備した文書細断屑用古紙再生装置。
【請求項４】
古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと、該離解された再生パルプ懸濁液から再生パルプ湿潤シートを介して再生紙を抄造する抄紙機と、を含む文書細断屑用古紙再生装置であって、前記抄紙機のドライヤーパート部が乾燥チャンバーと、除湿乾燥部とを有し、前記乾燥チャンバーが、内部中空の乾燥用筐体と、該乾燥用筐体内に少なくとも一部が上下又は左右に交互に配置された複数の回転自在なロールと、該ロール間に係回された無端帯状のメインキャンバスと、前記メインキャンバスに対応して該ロール間に係回された無端帯状の押さえキャンバスと、からなり、並びに前記除湿乾燥部が前記乾燥用筐体に連通する内部中空の除湿乾燥ケースと、該乾燥チャンバー内の空気を除湿乾燥する除湿乾燥機とからなり、
前記乾燥チャンバーに隣接して移動可能に設けられた取付プレートに巻取遅延機構部を設置し、該巻取遅延機構部が再生紙用遅延ロールを有し、該巻取遅延機構部から搬送される再生紙を巻き取るための巻取リールを有する巻取部を該巻取遅延機構部に隣接して設け、所定の巻取量に達した再生紙を前記巻取リールから取り外す際に前記取付プレートを移動することによって搬送されてきた再生紙を所定時間だけ再生紙用遅延ロールで受けて巻き取られた再生紙の取り外し時間を確保できるようにしたことを特徴とする巻取遅延機構を具備した文書細断屑用古紙再生装置。
【請求項５】
前記巻取遅延機構部がメインキャンバス用遅延ロール及び押さえキャンバス用遅延ロールを有し、所定の巻取量に達した再生紙を前記巻取リールから取り外す際に前記取付プレートを移動することによって再生紙の搬送とともに送られてきたメインキャンバス及び押さえキャンバスの張りをメインキャンバス用遅延ロール及び押さえキャンバス用遅延ロールによってそれぞれ維持するようにしたことを特徴とする請求項４記載の巻取遅延機構を具備した文書細断屑用古紙再生装置。
【請求項６】
前記乾燥用筐体に固定板を設け、該固定板に前記取付プレートを移動可能に取付け、前記固定板にメインキャンバス及び押さえキャンバスを係回するとともに前記巻取遅延機構部から搬送される再生紙を誘導する複数本のガイドロールをさらに設置し、前記メインキャンバスを係回する最末端メインキャンバスガイドロールにベルトを介してメインキャンバス紙はがしロールを連結し、かつ前記押さえキャンバスを係回する最末端押さえキャンバスガイドロールにベルトを介して押さえキャンバス紙はがしロールを連結し、該メインキャンバス紙はがしロールが該最末端メインキャンバスガイドロールの回転とは逆方向に回転するとともに前記メインキャンバスに常時接触するように配設され、かつ該押さえキャンバス紙はがしロールが該最末端押さえキャンバスガイドロールの回転とは逆方向に回転するとともに前記押さえキャンバスに常時接触するように配設され、前記最末端メインキャンバスガイドロール及び最末端押さえキャンバスガイドロールによって搬送される再生紙が前記メインキャンバス及び押さえキャンバスとともに搬送される状態となった場合に前記メインキャンバス紙はがしロール及び押さえキャンバス紙はがしロールがそれぞれメインキャンバス及び押さえキャンバスから再生紙をはがすように構成することを特徴とする請求項４又は５記載の巻取遅延機構を具備した文書細断屑用古紙再生装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００８−１７９９０７（Ｐ２００８−１７９９０７Ａ）
【公開日】平成２０年８月７日（２００８．８．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１３３９０（Ｐ２００７−１３３９０）
【出願日】平成１９年１月２４日（２００７．１．２４）
【出願人】（０００１７０３４７）合資会社オリエンタル (21)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年８月７日（２００８．８．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１月２４日（２００７．１．２４）
【出願人】（０００１７０３４７）合資会社オリエンタル (21)
【Ｆターム（参考）】
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