説明

文書編集装置、プログラムおよび記憶媒体

【課題】デザインの知識がないユーザでも、オブジェクトのサイズを適切に設定することができる技術を提供すること。
【解決手段】文書編集装置は、オブジェクトを取得するオブジェクト取得手段と、オブジェクトの表示対象領域に基づく2本の基準線の間を黄金比に分割する黄金分割線を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された黄金分割線または前記表示対象領域の境界線のうち2本の線の間の距離に応じて、前記オブジェクトのサイズを変更する変更手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書を編集する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像やテキストなどのオブジェクトを含む文書を編集する技術が知られている。オブジェクトのサイズは文書の見た目すなわち美観に影響を与えるものであるが、従来、オブジェクトのサイズはユーザにより決定されていた。例えば、周知の文書編集ソフトでは、テンプレートで設定されているサイズをそのまま使用するか、あるいはユーザが自身の経験や知識に基づいてサイズを決定していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術によれば、デザインに関する専門知識のある者はオブジェクトのサイズを適切な値に設定することが可能であったが、デザインの知識がない場合、オブジェクトのサイズを適切に設定することは困難であった。
これに対し本発明は、デザインの知識がないユーザでも、オブジェクトのサイズを適切に設定することができる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の課題を解決するため、本発明は、オブジェクトを取得するオブジェクト取得手段と、オブジェクトの表示対象領域に基づく2本の基準線の間を黄金比に分割する黄金分割線を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された黄金分割線または前記表示対象領域の境界線のうち2本の線に一致するように、前記オブジェクトのサイズを変更する変更手段とを有する文書編集装置を提供する。
この文書編集装置によれば、黄金比に基づいてサイズを決定することができる。
【0005】
好ましい態様において、この文書編集装置は、前記オブジェクトのカテゴリを記憶する記憶手段を有し、前記変更手段が、前記記憶手段に記憶されたカテゴリに応じて選択された2本の線に一致させるように、前記オブジェクトのサイズを変更してもよい。
【0006】
さらに別の好ましい態様において、この文書編集装置は、前記オブジェクトのカテゴリを指定する指定手段を有し、前記変更手段が、前記指定手段により指定されたカテゴリに応じて選択された2本の線の間の距離に応じて、前記オブジェクトのサイズを変更してもよい。
【0007】
さらに別の好ましい態様において、この文書編集装置は、前記2本の基準線が、前記表示対象領域の1組の平行な境界線であってもよい。
【0008】
さらに別の好ましい態様において、この文書編集装置は、前記算出手段が少なくとも2本の黄金分割線を算出し、前記少なくとも2本の黄金分割線の方向が異なってもよい。
【0009】
さらに別の好ましい態様において、この文書編集装置は、前記2本の基準線のうち少なくとも1本の基準線が、前記表示対象領域の2つの境界線の間をあらかじめ決められた比率に分割する線であってもよい。ここで、前記あらかじめ決められた比率が1:1であってもよい。あるいは、前記あらかじめ決められた比率が黄金比であってもよい。
【0010】
さらに別の好ましい態様において、この文書編集装置は、前記変更手段が、前記オブジェクトのサイズの変更前と変更後との差が最小になるように、前記オブジェクトのサイズを変更してもよい。
【0011】
また、本発明は、コンピュータ装置に、オブジェクトを取得するステップと、オブジェクトの表示対象領域に基づく2本の基準線の間を黄金比に分割する黄金分割線を算出するステップと、前記算出された黄金分割線または前記表示対象領域の境界線のうち2本の線に一致するように、前記オブジェクトのサイズを変更するステップとを実行させるプログラムを提供する。
さらに、本発明は、コンピュータ装置に、オブジェクトの表示対象領域に基づく2本の基準線の間を黄金比に分割する黄金分割線を算出するステップと、前記算出された黄金分割線または前記表示対象領域の境界線のうち2本の線の間の距離に応じて、前記オブジェクトのサイズを変更するステップとを実行させるプログラムを記憶した記憶媒体を提供する。
このプログラムによれば、黄金比に基づいてサイズを決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る文書編集装置100の機能構成を示す図である。文書編集装置100は、文書を編集する機能、および、それに付随して、文書の編集を支援する機能を有する。「文書」とは、レイアウト領域(表示対象領域)内に配置される少なくとも1のオブジェクトおよびレイアウト領域におけるオブジェクトの配置を示すレイアウト情報を含むデータ、またはそのデータに従って出力された結果物をいう。「オブジェクト」とは、テキスト(文字列)もしくは画像の少なくとも一方を示すデータ、またはそのデータにより示されるテキストもしくは画像をいう。「レイアウト領域」とは、出力される文書の物理的な境界をいう。レイアウト領域は、例えば、文書が印刷される1または複数の紙、1つのページ、連続する複数のページ、またはページのうち一部分の領域をいう。
【0013】
黄金分割線算出部101は、オブジェクトの表示対象領域に基づく2本の基準線の間を黄金比に分割する黄金分割線を算出する。距離算出部102は、2本の線の間の距離を算出する。2本の線は、算出された黄金分割線または前記表示対象領域の境界線から選択される。サイズ変更部103は、2本の線の間の距離に応じてオブジェクトのサイズを変更する。記憶部104は、オブジェクトのカテゴリを記憶する。入力部105は、ユーザの操作入力を受け付ける。なお、黄金比とは次式(1)で示される比をいう。式(1)の左項と右項は入れ替えられてもよい。
【数1】

【0014】
図2は、文書編集装置100のハードウェア構成を示す図である。CPU(Central Processing Unit)110は、文書編集装置100の各構成要素を制御する制御装置である。ROM(Read Only Memory)120は、文書編集装置100の起動に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶装置である。RAM(Random Access Memory)130は、CPU110がプログラムを実行する際の作業領域として機能する記憶装置である。I/F(Interface)140は、種々の入出力装置や記憶装置との間でデータおよび制御信号の入出力をするインターフェースである。HDD(Hard Disk Drive)150は、各種プログラムおよびデータを記憶する記憶装置である。本実施形態に関して、HDD150は、黄金分割線の生成を行う文書編集プログラムを記憶している。キーボード・マウス160は、ユーザが文書編集装置100に対して指示入力を行うための入力装置である。ディスプレイ170は、データの内容あるいは処理の状況などを表示する出力装置である。本実施形態において、ディスプレイ170は、オブジェクト、レイアウト領域、および黄金分割線を表示する。ネットワークIF180は、ネットワーク(図示略)を介して接続された他の装置との間でデータの送受信を行うためのインターフェースである。文書編集装置100は、例えば、ネットワークおよびネットワークIF180を介して文書(正確には、文書を示す電子データ)を受信することができる。CPU110、ROM120、RAM130、およびI/F140は、バス190を介して接続されている。CPU110が文書編集プログラムを実行することにより、文書編集装置100は、図1に示される機能構成を備える。なお、文書編集装置100は、図1に示される機能構成および図2に示されるハードウェア構成を含むものであれば、どのような装置であってもよい。例えば、文書編集装置100は、いわゆるパーソナルコンピュータであってもよい。あるいは、文書編集装置100は、これらの機能を有するプリンタなどの画像形成装置であってもよい。
【0015】
2.動作
図3は、文書編集装置100の動作を示すフローチャートである。図3のフローに先立って、文書編集装置100は、編集対象となる文書を取得する。文書は、どのような経路で取得されてもよい。例えば、文書編集装置100のCPU110は、HDD150から文書を取得してもよい。あるいは、CPU110は、ネットワーク(図示略)およびネットワークIF180を介して文書を取得してもよい。あるいは、CPU110は、キーボード・マウス160を介したユーザの操作入力に応じて文書を取得してもよい。また、CPU110は、文書に含まれるオブジェクトのうち、処理対象となるオブジェクトを特定する。処理対象オブジェクトは、あらかじめ決められたアルゴリズムに従って自動的に決定されてもよいし、ユーザの指示入力に応じて決定されてもよい。さらに、CPU110は、対象オブジェクトのうち、サイズ変更の基準となる部分を特定する。以下、対象オブジェクトの幅(横方向の長さ)を基準としてサイズ変更が行われる例を説明する。サイズ変更の基準となる部分は、あらかじめ決められたアルゴリズムに従って自動的に決定されてもよいし、ユーザの指示入力に応じて決定されてもよい。
【0016】
ステップS100において、CPU110は、サイズ決定の基準となる領域である基準領域を決定する。基準領域は、例えば、紙面全体または版面全体すなわちレイアウト領域である。あるいは、基準領域は、レイアウト領域のうち一部の領域、例えばオブジェクトによって区切られた領域であってもよい。
【0017】
ステップS110において、CPU110は、黄金分割線を算出する。すなわち、CPU110は、サイズ変更処理に用いる線を決定する。この処理の詳細は後述する。ステップS120において、CPU110は、算出された黄金分割線に基づいてオブジェクトのサイズを決定する。この処理の詳細は後述する。ステップS130において、CPU110は、サイズ比の決定が必要であるか判断する。サイズ比とは、オブジェクトの縦横比をいう。サイズ比の決定が不要であると判断された場合(S130:NO)、CPU110は、図3に示される処理を終了する。サイズ比の決定が必要であると判断された場合(S130:YES)、CPU110は、処理をステップS140に移行する。ステップS140において、CPU110は、オブジェクトのサイズ比を決定する。
【0018】
図4は、ステップS110における黄金分割線決定処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS111において、CPU110は、対象オブジェクトのカテゴリ(種類)を判断する。オブジェクトのカテゴリは、属性情報に基づいて、CPU110が判断する。この場合、文書は、オブジェクトの属性情報を含んでいる。あるいは、オブジェクトのカテゴリは、ユーザの指示入力に応じて決定されてもよい。いま、オブジェクトが「ロゴ」、「テキスト」または「画像」のいずれかのカテゴリに分類される場合を例に説明する。オブジェクトのカテゴリがロゴであると判断された場合(S111:ロゴ)、CPU110は、処理をステップS112に移行する。オブジェクトのカテゴリがテキストであると判断された場合(S111:テキスト)、CPU110は、処理をステップS113に移行する。オブジェクトのカテゴリが画像であると判断された場合(S111:画像)、CPU110は、処理をステップS117に移行する。
【0019】
ステップS112において、CPU110は、基準領域を左右に黄金分割する黄金分割線を算出する。すなわち、CPU110は、基準領域の境界線の右辺および左辺を基準線として特定する。CPU110は、2つの基準線の間を黄金比に分割する黄金分割線を2本算出する。すなわち、CPU110は、2つの基準線の間を、1:{(1+√5)/2}に分割する黄金分割線と、{(1+√5)/2}:1に分割する黄金分割線とを算出する。CPU110は、これら2本の黄金分割線を用いてサイズ変更することを決定する。
【0020】
ステップS113において、CPU110は、テキストの種類を判断する。テキストの種類は、属性情報に基づいてCPU110が判断する。あるいは、テキストの種類は、ユーザの指示入力に応じて決定されてもよい。いま、テキストの種類が「タイトル」、「本文」または「その他」のいずれかである場合を例に説明する。テキストの種類が「タイトル」または「本文」であると判断された場合(S113:タイトル/本文)、CPU110は、処理をステップS114に移行する。テキストの種類が「その他」であると判断された場合(S113:その他)、CPU110は、処理をステップS116に移行する。
【0021】
ステップS114において、CPU110は、基準領域を左右半分に分割した領域のそれぞれを黄金分割する黄金分割線のうち、最も外側に位置する2本の黄金分割線を算出する。すなわちCPU110は、まず、基準領域の左辺および基準領域の左辺と右辺の間を1:1に分割する線(以下「中央線」という)を基準線として特定する。CPU110は、これらの基準線の間を1:{(1+√5)/2}に分割する黄金分割線を算出する。次に、CPU110は、中央線と基準領域の右辺を基準線として特定する。CPU110は、これらの基準線の間を{(1+√5)/2}:1に分割する黄金分割線を算出する。あるいは、CPU110は、基準線の各組に対しそれぞれ2本の黄金分割線を算出し、計4本の黄金分割線の中から最も外側に位置する2本の黄金分割線を選択してもよい。CPU110は、外側の2本の黄金分割線を用いてサイズ変更することを決定する。
【0022】
ステップS115において、CPU110は、テキストのフォントサイズが、しきい値よりも小さくなるか判断する。フォントサイズがしきい値よりも小さくなると判断された場合(S115:YES)、CPU110は、処理をステップS116に移行する。フォントサイズがしきい値よりも小さくならないと判断された場合(S115:NO)、CPU110は、図4に示される処理を終了する。オブジェクトのサイズが黄金分割線により規定されるサイズよりも大きい場合、オブジェクトを縮小する必要がある。このとき、縮小率によってはフォントサイズも縮小しなければならないことがある。フォントサイズを縮小しすぎるとかえって文書の美観を損ねる場合もあるので、このような場合にはサイズ変更を行わないこととするものである。なお、しきい値はあらかじめ決められていてもよい。あるいは、しきい値は、文書の種類に応じて決められていてもよい。あるいは、しきい値は、サイズ変更前のフォントサイズとの相対比で決められてもよい。
【0023】
ステップS116において、CPU110は、対象オブジェクトについて、黄金分割線に基づくサイズ変更を行わないことを決定する。すなわち、CPU110は、サイズ変更を行わないことを示すフラグをRAM130に記憶する。
【0024】
ステップS117において、CPU110は、対象オブジェクトが複数の画像を含むか判断する。対象オブジェクトが複数の画像を含まないと判断された場合(S117:NO)、CPU110は、処理をステップS116に移行する。対象オブジェクトが複数の画像を含むと判断された場合(S117:YES)、CPU110は、処理をステップS118に移行する。
【0025】
ステップS118において、CPU110は、基準領域の右辺および左辺ならびに上辺または下辺のうちいずれか1組または2組を基準線として特定する。CPU110は、基準線の各組に対してそれぞれ2本の黄金分割線を算出する。CPU110は、これらの黄金分割線と、レイアウト領域の境界線のうちから選択された2本の線を用いてサイズ変更処理を行うことを決定する。
【0026】
再び図3を参照して、ステップS120の処理の詳細を説明する。CPU110は、上記の処理によりサイズ変更に用いられることが決定した2本の線の間の距離と同一になるように、対象オブジェクトのサイズ(ここでは、幅)を決定する。ステップS116(図4)において黄金分割線に基づくサイズ変更を行わないことが決定されている場合、CPU110は、他のアルゴリズムによりサイズ変更を行う。例えば、対象オブジェクトがテキストである場合、初期状態(変更前)のフォントの種類およびサイズに基づいて定められるサイズに、オブジェクトのサイズが決定されてもよい。また、対象オブジェクトが画像である場合、紙面または版面に対する割合に基づいてオブジェクトのサイズが決定されてもよい。
【0027】
ステップS130におけるサイズ比の決定の要否の判断は、例えば、オブジェクトの数に基づいて行われる。すなわち、CPU110は、文書に複数のオブジェクトが含まれている場合に、サイズ比の決定が必要だと判断してもよい。あるいは、CPU110は、文書に同一カテゴリのオブジェクトが複数含まれている場合に、サイズ比の決定が必要だと判断してもよい。さらにあるいは、CPU110は、オブジェクトの属性情報に基づいてサイズ比の決定の要否を判断してもよい。さらにあるいは、CPU110は、ユーザの指示入力に基づいてサイズ比の決定の要否を判断してもよい。
【0028】
ステップS140におけるサイズ比の変更は、例えば次のように行われる。サイズ変更処理の対象となるオブジェクトが2つある場合、よりレイアウト領域の中央部に近いオブジェクトと、より外側に位置するオブジェクトの面積比(または、幅もしくは高さの比)が{(1+√5)/2}:1となるようにオブジェクトのサイズが決定されてもよい。また、サイズ変更処理の対象となるオブジェクトが3つ以上ある場合、そのうちの隣接する2つのオブジェクトについて、よりレイアウト領域の中央部に近いオブジェクトと、より外側に位置するオブジェクトのサイズ比(面積比または、幅もしくは高さの比)が{(1+√5)/2}:1となるようにオブジェクトのサイズが決定されてもよい。あるいは、すべてのオブジェクトのうち最も中央部に近いオブジェクトと、それ以外のオブジェクトのサイズ比が{(1+√5)/2}:1となるようにオブジェクトのサイズが決定されてもよい。
【0029】
CPU110は、以上のようにしてサイズが変更(決定)されたオブジェクトを含む文書を更新する。CPU110は、更新した文書を、ディスプレイ170に表示してもよい。あるいは、CPU110は、更新した文書をHDD150に記憶してもよい。さらにあるいは、CPU110は、更新した文書をネットワークを介して他の装置に出力してもよい。
【0030】
3.処理の具体例
図5は、処理の例を示す図である。図5は、対象オブジェクトがロゴである例を示している。黄金分割線GおよびGは、文書Dの紙面(レイアウト領域)の左辺と右辺の間を黄金比に分割する線である。ロゴLは、幅がGとGの間の距離と等しくなるようにサイズが決定されている。
【0031】
図6は、処理の別の例を示す図である。図6は、対象オブジェクトがテキストである例を示している。黄金分割線Gは、文書Dのレイアウト領域の左辺と中央線Cとの間を黄金比に分割する線である。黄金分割線Gは、文書Dのレイアウト領域の中央線Cと右辺との間を黄金比に分割する線である。テキストTは、幅がGとGの間の距離と等しくなるようにサイズが決定されている。
【0032】
図7は、処理のさらに別の例を示す図である。図7は、対象オブジェクトが複数の画像である例を示している。黄金分割線Gは、文書Dのレイアウト領域の右辺と左辺との間を黄金比に分割する線である。黄金分割線Gは、黄金分割線Gとレイアウト領域の右辺との間を黄金比に分割する線である。黄金分割線Gは、レイアウト領域の上辺と下辺との間を黄金比に分割する線である。図7では、対象オブジェクトである画像IおよびIのうち、より中央部に近い画像Iのサイズ(幅)と、より外側に位置する画像Iのサイズの比が黄金比となるようにそれぞれのサイズが決定されている。
【0033】
以上で説明したように、本実施形態によれば、黄金分割すなわち黄金比を用いてオブジェクトのサイズが決定される。したがって、ユーザは、デザインに関する知識または経験を有しなくても、バランスの取れた、すなわち審美性に優れた文書を生成することができる。
【0034】
4.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
図4において、オブジェクトの種類と、それに対応するサイズ決定処理の例を示したが、オブジェクトの種類と、そのサイズを決定するのに用いられる線の組み合わせは、図4で説明したものに限定されない。(1)レイアウト領域の境界線、(2)2本の境界線の間を黄金比に分割する黄金分割線、または(3)境界線と既に算出された黄金分割線のうちあらかじめ決められたアルゴリズムで選択された2本の線の間を黄金比に分割する線、から選択された2本の線の間の距離と同一になるように、オブジェクトのサイズが決定されるのであれば、どのような線の組み合わせが用いられてもよい。
【0035】
どのような線の組み合わせを用いるかは、上述の実施形態で説明したように、オブジェクトのカテゴリに応じて決定されてもよい。あるいは、サイズ変更処理に用いられる線の組は、オブジェクトのカテゴリによらず一律に決定されてもよい。すなわち、図4において、1以上の処理が省略されてもよい。さらにあるいは、サイズ変更処理に用いられる線の組は、オブジェクトの属性情報に基づいて決定されてもよい。この場合、文書は各オブジェクトの属性情報を含んでいる。さらにあるいは、サイズ変更処理に用いられる線の組は、ランダムに決定されてもよい。
【0036】
上述の実施形態ではオブジェクトのサイズとして幅が用いられる例を説明した。しかし、オブジェクトのサイズとしては、幅、高さ、面積などどのようなパラメータが用いられてもよい。また、サイズ決定に際して縦方向および横方向など向きの異なる黄金分割線が用いられてもよい。
【0037】
また、コンピュータ装置に上述の処理を実行させるプログラムは、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの記憶媒体により提供されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】一実施形態に係る文書編集装置100の機能構成を示す図である。
【図2】文書編集装置100のハードウェア構成を示す図である。
【図3】文書編集装置100の動作を示すフローチャートである。
【図4】黄金分割線決定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】処理の例を示す図である。
【図6】処理の別の例を示す図である。
【図7】処理のさらに別の例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
100…文書編集装置、101…黄金分割線算出部、102…距離算出部、103…サイズ変更部、104…記憶部、105…入力部、110…CPU、120…ROM、130…RAM、140…I/F、150…HDD、160…キーボード・マウス、170…ディスプレイ、180…ネットワークIF、190…バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトを取得するオブジェクト取得手段と、
オブジェクトの表示対象領域に基づく2本の基準線の間を黄金比に分割する黄金分割線を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された黄金分割線または前記表示対象領域の境界線のうち2本の線に一致するように、前記オブジェクトのサイズを変更する変更手段と
を有する文書編集装置。
【請求項2】
前記オブジェクトのカテゴリを記憶する記憶手段を有し、
前記変更手段が、前記記憶手段に記憶されたカテゴリに応じて選択された2本の線に一致させるように、前記オブジェクトのサイズを変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の文書編集装置。
【請求項3】
前記オブジェクトのカテゴリを指定する指定手段を有し、
前記変更手段が、前記指定手段により指定されたカテゴリに応じて選択された2本の線に一致させるように、前記オブジェクトのサイズを変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の文書編集装置。
【請求項4】
前記2本の基準線が、前記表示対象領域の1組の平行な境界線である
ことを特徴とする請求項1に記載の文書編集装置。
【請求項5】
前記算出手段が少なくとも2本の黄金分割線を算出し、
前記少なくとも2本の黄金分割線の方向が異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の文書編集装置。
【請求項6】
前記2本の基準線のうち少なくとも1本の基準線が、前記表示対象領域の2つの境界線の間をあらかじめ決められた比率に分割する線である
ことを特徴とする請求項1に記載の文書編集装置。
【請求項7】
前記あらかじめ決められた比率が1:1である
ことを特徴とする請求項6に記載の文書編集装置。
【請求項8】
前記あらかじめ決められた比率が黄金比である
ことを特徴とする請求項6に記載の文書編集装置。
【請求項9】
前記変更手段が、前記オブジェクトのサイズの変更前と変更後との差が最小になるように、前記オブジェクトのサイズを変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の文書編集装置。
【請求項10】
コンピュータ装置に、
オブジェクトを取得するステップと、
オブジェクトの表示対象領域に基づく2本の基準線の間を黄金比に分割する黄金分割線を算出するステップと、
前記算出された黄金分割線または前記表示対象領域の境界線のうち2本の線に一致するように、前記オブジェクトのサイズを変更するステップと
を実行させるプログラム。
【請求項11】
コンピュータ装置に、
オブジェクトを取得するステップと、
オブジェクトの表示対象領域に基づく2本の基準線の間を黄金比に分割する黄金分割線を算出するステップと、
前記算出された黄金分割線または前記表示対象領域の境界線のうち2本の線に一致するように、前記オブジェクトのサイズを変更するステップと
を実行させるプログラムを記憶した記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−197990(P2008−197990A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33591(P2007−33591)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】