説明

断層画像処理装置および断層画像処理方法

【課題】断層撮影装置により得られる複数の断層画像から、当該複数の断層画像のスライス厚よりもスライス厚が薄い断層画像を生成する。
【解決手段】断層画像処理装置400は、断層撮影装置により得られた複数の断層画像に所定の演算処理を施すことにより、複数の断層画像のスライス厚のいずれよりもスライス厚が薄い薄層化断層画像を生成する画像間演算処理部424を備えている。この画像間演算処理部424は、所定の演算処理として、複数の断層画像に対応するスライス感度プロファイルから、よりスライス厚が薄い薄層化スライス感度プロファイルを生成するプロファイル生成演算処理に基づいて決定された演算処理を複数の断層画像に施すことにより薄層化断層画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、断層画像の処理装置および処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用X線断層撮影装置(医療用X線CT装置)では、走査時間の短縮のため、X線照射装置およびX線検出装置を搭載したガントリを被検者の体軸に沿って連続的に回転させるとともに、ガントリを体軸に沿って連続的に移動させることにより、ガントリを被検者の周りを螺旋状に移動させるヘリカルスキャンが行われている。近年では、走査時間の更なる短縮と分解能改善のため、ヘリカルスキャン型のX線断層撮影装置において、複数のX線検出素子からなるX線検出器列を体軸方向に配列することが行われている。このようなX線断層撮影装置(マルチスライスCT装置)では、所望の断層面における断層画像は、各X線検出素子に入射するX線線量のデータに対し、補間処理等の再構成処理を施すことにより生成される。
【0003】
マルチスライスCT装置において、各X線検出器列に入射するX線ビームは、体軸方向に拡がっている。そのため、断層画像の階調値で表されるCT値(X線吸収係数を表す値)は、被検者体内におけるCT値が体軸方向(厚さ方向)に平均化された値となる。このように、断層画像は、体軸方向(厚さ方向)に平均化された画像であるため、厚さを有するスライスと表現される。
【0004】
一般に、各X線検出器列に入射するX線ビームの体軸方向の拡がりは、X線照射装置が有するX線管球の焦点の大きさや、X線検出器列の幅等の装置固有の特性によって決定される。そのため、従来では、スライスの厚さ(以下、「スライス厚」と呼ぶ)を薄くし、体軸方向の分解能を改善するため、X線管球の小焦点化や、X線検出器列の幅の縮小等の装置の改良が行われてきた。
【0005】
また、ヘリカルスキャンを行った場合、体軸方向に沿った感度の分布(スライス感度プロファイル)は、スライスの中心である断層面からスライスの外部に向かってなだらかに減少する。そのため、ヘリカルスキャンを行った場合には、スライスの外部においても一定の感度を有するため、スライス外部の組織がアーチファクト(偽像)として断層画像に写り込む。そこで、ヘリカルスキャンで得られた複数の断層面における断層画像を合成することにより、アーチファクトの発生が少ない非ヘリカル(ノンヘリカル)スキャンと同等の断層画像を得る試みがなされてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/024002号パンフレット
【特許文献2】特開2000−37379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、X線管球の小焦点化や、検出器列幅の縮小等を行うためには、X線断層撮影装置自体の変更を行う必要があり、既存のX線断層撮影装置においては、装置固有の限界である最小スライス厚よりも体軸方向の分解能を高くすることは困難であった。また、X線検出器列の幅を縮小すると、X線検出感度が低下して、被検者の放射線被曝線量が増大するおそれがあった。このような問題は、マルチスライスCT装置のみならず、X線検出器列が1つのX線断層撮影装置(シングルスライスCT装置)、非ヘリカルスキャン型の医療用X線断層撮影装置、工業用X線断層撮影装置等の種々のX線断層撮影装置に共通する。
【0008】
また、複数の断層面における断層画像を合成する場合、ノンヘリカルスキャンと同等の断層画像を得るためには、多数(例えば、10以上)の断層画像を合成する必要がある。そのため、断層画像を得るための演算処理量が増大するとともに、演算誤差が蓄積する虞がある。
【0009】
また、所望のスライス厚でノンヘリカルスキャンと同様の断層画像を得るためには、当該スライス厚よりも十分にスライス厚が薄い(例えば、1/10)断層画像を合成する必要がある。そのため、最小スライス厚が比較的厚いX線断層撮影装置では、所望のスライス厚でノンヘリカルスキャンと同等の断層画像を得ることが困難であった。
【0010】
これらの問題は、X線断層撮影装置のほか、核磁気共鳴画像撮影装置、ポジトロン断層撮影装置等の種々の断層撮影装置に共通する。
【0011】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、断層撮影装置により得られる複数の断層画像から、当該複数の断層画像のスライス厚よりもスライス厚が薄い断層画像を生成する技術を提供することを第1の目的とする。また、本発明は、ヘリカルスキャンを行って得られる複数の断層画像から、ノンヘリカルスキャンを行うことにより得られる断層画像と同等の断層画像を生成する技術を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0013】
[適用例1]
断層撮影装置により得られた互いにスライス厚が異なる複数の断層画像から、前記複数の断層画像のスライス厚のいずれよりもスライス厚が薄い薄層化断層画像を生成する断層画像処理装置であって、前記複数の断層画像に所定の演算処理を施すことにより前記薄層化断層画像を生成する画像間演算処理部を備え、前記所定の演算処理は、前記複数の断層画像に対応するスライス感度プロファイルから、前記スライス感度プロファイルよりもスライス厚が薄い薄層化スライス感度プロファイルを生成するためのプロファイル生成演算処理に基づいて決定された演算処理である断層画像処理装置。この適用例によれば、演算処理により得られる断層画像のスライス厚は、断層撮影装置により得られた断層画像のスライス厚よりも薄くできる。そのため、断層撮影装置により得られる断層画像よりも、より厚さ方向の解像度が高い断層画像を得ることが可能となる。
【0014】
[適用例2]
断層撮影装置においてヘリカルスキャンを行うことにより得られた互いにスライス厚が異なる複数のヘリカル断層画像から、前記断層撮影装置においてノンヘリカルスキャンを行うことにより得られる断層画像と同等の擬似ノンヘリカル断層画像を生成する断層画像処理装置であって、前記複数のヘリカル断層画像に所定の演算処理を施すことにより前記擬似ノンヘリカル断層画像を生成する画像間演算処理部を備え、前記所定の演算処理は、前記複数のヘリカル断層画像に対応するスライス感度プロファイルから、前記断層撮影装置においてノンヘリカルスキャンを行った場合のスライス感度プロファイルと同等の擬似ノンヘリカルスライス感度プロファイルを生成するためのプロファイル生成演算処理に基づいて決定された演算処理である断層画像処理装置。この適用例によれば、互いにスライス厚が異なる複数のヘリカル断層画像から擬似ノンヘリカル断層画像を生成することにより、より少ない演算処理量で擬似ノンヘリカル断層画像を生成することが可能となる。
【0015】
[適用例3]
前記複数のヘリカル断層画像は、断層面が同一である、適用例2記載の断層画像処理装置。断層面が異なる画像を合成すると、合成された画像にコントラストの高い境界部が多重に写り込む虞がある。一方、適用例2によれば、擬似ノンヘリカル画像は断層面が同一のヘリカル断層画像に所定の演算処理を施すことにより生成されるので、擬似ノンヘリカル画像に境界部が多重に写り込むことを抑制することができる。
【0016】
[適用例4]
前記所定の演算処理および前記プロファイル生成演算処理は、線形な演算処理である適用例1ないし3のいずれか記載の断層画像処理装置。この適用例によれば、所定の演算処理をプロファイル生成演算処理に基づいて決定することがより容易となる。
【0017】
[適用例5]
適用例1ないし4のいずれか記載の断層画像処理装置であって、前記断層撮影装置は、X線断層撮影装置であって、厚さ方向に複数のX線検出器列を有しており、前記複数のX線検出器列のうち、断層画像の生成に使用するX線検出器列の数を変更することにより、得られる断層画像のスライス厚を変更可能に構成されている断層画像処理装置。この適用例によれば、一回の断層撮影によって得られるデータに基づいてスライス厚の異なる断層画像を得ることができるので、薄層化断層画像をより容易に生成することが可能となる。
【0018】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。本発明は、例えば、断層画像処理装置および断層画像処理方法、その断層画像処理装置または断層画像処理方法を用いた断層画像撮影装置等の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態としての断層撮影システムの概略を示す概略構成図。
【図2】断層撮影システムの機能的な構成を示すブロック図。
【図3】断層撮影システムの撮影特性を示す説明図。
【図4】実際のX線吸収量およびスライス感度プロファイルと、断層画像において観測されるX線吸収量との関係を示す説明図。
【図5】薄いスライス厚のCT値を求める様子を示す説明図。
【図6】実験的に得られたスライス感度プロファイルから、薄層化スライス感度プロファイルを生成する様子を示す説明図。
【図7】実験的に得られたスライス感度プロファイルから、薄層化スライス感度プロファイルを生成する様子を示す説明図。
【図8】第1実施例における演算処理結果を示す説明図。
【図9】第1実施例における演算処理結果を示す説明図。
【図10】スキャン方法の違いがスライス感度プロファイルに与える影響を示す説明図。
【図11】スキャン方法の違いが再構成画像に与える影響を示す説明図。
【図12】擬似ノンヘリカルスライス感度プロファイルを生成する様子を示す説明図。
【図13】第2実施例における演算処理結果を示す説明図。
【図14】第2実施例における演算処理結果を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を以下の順序で説明する。
A.第1実施形態:
A1.断層撮影システム:
A2.断層撮影システムの特性:
A3.演算処理の概要:
B.第1実施例:
B1.演算処理の具体例:
B2.演算処理結果:
C.第2実施形態:
D.第2実施例:
E.変形例:
【0021】
A.第1実施形態:
A1.断層撮影システム:
図1は、本発明の第1実施形態におけるX線断層撮影システム10の概略を示す概略構成図である。このX線断層撮影システム10は、X線照射装置100と、X線検出装置200と、断層撮影制御装置300と、断層画像処理装置400とを有している。X線照射装置100とX線検出装置200とは、円筒状のガントリGNT内に格納されている。ガントリGNTを、一点鎖線で示すz軸を中心に回転させることにより、X線照射装置100とX線検出装置200とは、z軸を中心に連続的に回転する。被検者SBJを載せた寝台BEDは、z軸(体軸)方向に移動する。このようにガントリGNTをz軸を中心に回転させるとともに、寝台をz軸方向に連続的に移動させることにより、図1の破線で示すように、X線照射装置100とX線検出装置200とは、被検者SBJの周りを螺旋状に移動する。
【0022】
X線検出装置200としては、検出素子が二次元的に配列されたX線検出器を使用することができる。このようなX線検出器では、ガントリGNTの回転方向(チャンネル方向)に複数の検出素子を配列した検出素子列を、さらに、寝台BEDの移動方向すなわちz軸方向に配列することにより、検出素子がマトリックス状に配置される。なお、複数の検出素子列がz軸方向に配列されたX線検出器を用いて断層撮影を行う装置は、「マルチスライスCT」と呼ばれる。
【0023】
断層撮影制御装置300は、X線照射装置100と、X線検出装置200とのそれぞれに接続されている。また、断層撮影制御装置300は、ガントリGNTの回転機構と、寝台BEDの移動機構と(いずれも図示しない)に接続されている。断層撮影制御装置300は、X線照射装置100と、ガントリGNTの回転機構と、寝台BEDの移動機構とを制御するとともに、X線検出装置200の出力信号を取得する。
【0024】
断層撮影制御装置300は、取得したX線検出装置200の出力信号を元に被検者SBJの断層画像を生成する。生成された断層画像は、断層撮影制御装置300に接続された断層画像処理装置400において処理が施される。なお、断層撮影制御装置300と断層画像処理装置400とにおける具体的な処理については、後述する。
【0025】
図2は、X線断層撮影システム10の機能的な構成を示すブロック図である。断層撮影制御装置300は、撮影条件取得部310と、断層撮影装置制御部320と、検出器信号取得部330と、画像再構成部340と、通信制御部350と、外部記憶装置360とを有している。
【0026】
断層撮影制御装置300は、CPU、ROM、およびRAM(いずれも図示しない)を有するコンピュータとして構成されている。断層撮影制御装置300としての機能を実現する各機能部310〜350は、CPUがROMあるいは外部記憶装置360に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
【0027】
撮影条件取得部310は、オペレータが断層撮影制御装置300に設けられたキーボードやマウス等の入力装置を操作することにより設定される断層撮影のパラメータ(以下、撮影条件とも呼ぶ)を取得する。なお、撮影条件としては、例えば、X線照射条件や、ピッチファクタ、断層画像の生成条件等が設定される。ここで、ピッチファクタとは、X線検出装置200におけるX線検出器の幅に対するガントリGNTの1回転あたりの寝台BEDの移動量をいう。
【0028】
断層撮影装置制御部320は、X線照射装置100と、ガントリGNT(図1)の回転機構および寝台BED(図1)の移動機構(いずれも図示しない)とに接続されている。断層撮影装置制御部320は、撮影条件取得部310が取得した撮影条件に基づいて、X線照射装置100と、ガントリGNTの回転機構と、寝台BEDの移動機構とを制御する。具体的には、断層撮影装置制御部320は、X線照射装置100からのX線の照射状態、ガントリGNTの回転速度、ガントリGNTの1回転あたりの寝台BEDの移動量を制御する。
【0029】
検出器信号取得部330は、X線検出装置200に接続されており、X線検出装置200が有する複数の検出素子の出力信号を取得する。取得された出力信号、すなわち検出素子に到達したX線線量のデータは、ガントリGNTの回転角度および寝台BEDの位置とともに、外部記憶装置360に格納される。なお、ガントリGNTの回転角度および寝台BEDの位置とともに外部記憶装置360に格納されるX線線量のデータは、一般にRAWデータと呼ばれる。
【0030】
画像再構成部340は、外部記憶装置360に格納されたRAWデータから、z軸(体軸)方向(図1)に垂直な面(以下、「断層面」とも呼ぶ)におけるX線吸収係数(X線の線吸収係数)の分布を表す断層画像を生成(一般に、「再構成」と呼ばれる)する。断層画像の再構成では、まず、180度補間法あるいは360度補間法等を用いて、所定の断層面における断層画像が生成される。生成された断層画像には、さらに、Feldkamp法等の再構成法を用いて、X線束のz軸方向への拡がりが補正され、断層画像が生成される。生成された断層画像は、画像再構成部340により、外部記憶装置360に格納される。なお、以下では、画像再構成部340が生成・格納する断層画像を「再構成画像」と呼ぶ。
【0031】
画像再構成部340は、1枚の再構成画像に影響を与えるz軸(体軸)方向の厚さ(スライス厚)を変更することが可能となっている。スライス厚の変更は、例えば、z軸方向に配列された全検出素子列のうち、再構成に使用する検出素子列の数を増減することにより変更することが可能である。
【0032】
通信制御部350は、ローカルエリアネットワークLANに接続されている。断層撮影制御装置300の外部記憶装置360に格納された再構成画像は、通信制御部350を介して、ローカルエリアネットワークLANに接続された機器に送信される。
【0033】
断層画像処理装置400は、処理条件取得部410と、画像生成部420と、通信制御部450と、外部記憶装置460とを有している。画像生成部420は、再構成画像取得部422と、画像間演算処理部424とを備えている。
【0034】
断層画像処理装置400は、CPU、ROM、およびRAM(いずれも図示しない)を有するコンピュータとして構成されている。断層画像処理装置400としての機能を実現する各機能部410〜450は、CPUがROMあるいは外部記憶装置460に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
【0035】
処理条件取得部410は、オペレータが断層画像処理装置400に設けられたキーボードやマウス等の入力装置を操作することにより設定される断層画像の処理パラメータ(以下、画像処理条件とも呼ぶ)を取得する。画像処理条件としては、例えば、使用する再構成画像や、再構成画像に対する演算パラメータ等が設定される。
【0036】
画像生成部420は、処理条件取得部410が取得した画像処理条件に基づいて、断層撮影制御装置300において生成された再構成画像に処理を施し、断層画像を生成する。生成された断層画像は、外部記憶装置460に格納される。
【0037】
具体的には、再構成画像取得部422が、通信制御部450と、断層撮影制御装置300の通信制御部350とを介して、断層撮影制御装置300の外部記憶装置360から、スライス厚の異なる複数の再構成画像を取得する。次いで、画像間演算処理部424が、取得した複数の再構成画像に対して演算処理を施す。このように、スライス厚の異なる複数の再構成画像に演算処理(後述する)を施すことにより、取得した再構成画像よりもスライス厚が薄い断層画像(薄層化断層画像)が生成される。画像生成部420は、このように生成された薄層化断層画像(演算後画像)を外部記憶装置460に格納する。
【0038】
A2.断層撮影システムの特性:
図3は、断層撮影システムの撮影特性を示す説明図である。図3(a)は、X線照射装置100およびX線検出装置200の光学的構成を模式的に示している。X線照射装置100には、X線源(X線管)の焦点FSPから照射されるX線ビームの拡がりを制限するため、X線を遮蔽するビームコリメータ110が設けられている。X線管の焦点FSPはX線管に固有の拡がりをもっているため、X線照射装置100から照射されるX線ビームは、図3(a)の破線で示すように、z軸(体軸)方向に拡がる。
【0039】
X線検出装置200は、ビームトリマ210とX線検出器220との組み合わせとして表すことができる。X線検出器220のX線照射装置100側に設けられたビームトリマ210は、X線検出器220に入射するX線ビームの透過範囲を制限することにより、スライス厚を調整する機能を有している。なお、上述のように、z軸方向に検出素子列を配列したマルチスキャンCTにおいては、ビームトリマ210によるスライス厚の調整に換えて、再構成に使用する検出素子列の数を増減することによりスライス厚の調整が行われる。
【0040】
図3(a)に示すように、X線照射装置100から照射されるX線ビームは、z軸(体軸)方向に拡がるので、X線検出器220には、被検者SBJの体軸方向の異なった位置を通過したX線ビームが入射する。そのため、点線で示す断層面において断層撮影を行った場合、断層面からz軸方向に外れた位置における被検者SBJのX線吸収量が、断層画像に影響を与える。
【0041】
図3(b)は、z軸方向の位置におけるX線吸収量が断層画像に対して与える影響の程度(感度)を表すグラフである。図3(b)において、横軸はz軸方向の位置を表し、縦軸は最大感度を1とする相対感度S(以下、単に「感度S」とも呼ぶ)を表している。このようなz軸方向に沿った感度S(z)の分布は、スライス感度プロファイル(SSP:Slice Sensitivity Profile)と呼ばれ、特に、z軸方向に沿った感度分布については、「SSPz」とも表される。
【0042】
スライス感度プロファイルSは、半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)、あるいは1/10全幅(FWTM:Full Width at one-Tenth of the Maximum)等の指標によって特徴付けられる。これらの指標は、断層画像に影響を与えるz軸(体軸)方向の実際の厚さを表す。そのため、これらの指標のうち半値全幅(以下、単に「半値幅」とも呼ぶ)は、「実効スライス厚」と呼ばれ、断層撮影システムの評価に使用される。これに対し、断層撮影時のビームトリマ210の間隔、あるいは再構成に使用する検出素子列の数等により調整されるスライス厚は、「設定スライス厚」とも呼ばれる。
【0043】
このスライス感度プロファイルSは、例えば、微小球体法や微小コイン法等の方法によって測定することができる。具体的には、まず、直径が設定スライス厚の1/10以下の微小な金属球体あるいは厚さが設定スライス厚の1/10以下の微小な金属円盤を、X線吸収係数が小さい部材(例えば、アクリル樹脂や発泡スチロール)に固定した試料(「ファントム」と呼ばれる)を準備する。準備したファントムを寝台BED(図1)上に配置した後、ファントムの断層撮影を行なう。そして、z軸(体軸)方向に所望の間隔で、金属球体もしくは金属円盤の近傍における断層画像(再構成画像)を取得する。このように得られた複数の再構成画像において観察されるX線吸収係数を評価することにより、スライス感度プロファイルSが得られる。
【0044】
A3.演算処理の概要:
図4は、被検者SBJ体内のX線吸収係数およびスライス感度プロファイルと、再構成画像CTIにおいて観測されるCT値との関係を示す説明図である。ここで、CT値とは、X線の線吸収係数から算出される値であり、水を0、空気を−1000とするハンスフィールドユニット(HU:Hounsfield Unit)を用いて表わされる。なお、再構成画像CTIにおいて、個々の画素の階調値は、CT値を表している。そのため、以下では、特定の画素の階調値を、当該画素のCT値とも呼ぶ。また、本明細書においては、複数の再構成画像における対応する画素の階調値に対して演算処理を施すことを、当該複数の再構成画像に演算処理を施すと謂う。
【0045】
図4(a)は、点線で示す断層面における再構成画像CTIの画素PXLと、画素PXLに対応する被検者SBJ体内の体積要素VEa〜VEeとを示している。図4(a)の例では、z軸方向の厚さがdの体積要素VEa〜VEeのCT値α(z)は、頭頂部から頸部に向かって、順に100HU、120HU、200HU、400HU、および450HUとなっている。
【0046】
上述のように、再構成画像CTIには、断層面から離れた位置のX線吸収量が影響を与える。そのため、画素PXLにおけるCT値は、再構成画像CTIの画素PXLに対応するz軸に沿った各体積要素VEa〜VEeの厚さdと、各体積要素VEa〜VEeにおけるCT値α(z)と、各体積要素VEa〜VEeにおける感度S(z)によって決定される。
【0047】
再構成画像CTIにおけるCT値に対して、個々の体積要素VEa〜VEeは、感度S(z)に応じた影響を与える。そのため、CT値への影響に応じた体積要素VEa〜VEeの総厚D(以下、「測定厚D」とも呼ぶ)は、次の式(1)で与えられる。
【数1】

【0048】
ここで、画素PXLにおいて観測されるCT値ベースの総吸収量A(以下、単に「総吸収量」とも呼ぶ)は、各体積要素VEa〜VEeの厚さdと、CT値α(z)と、感度S(z)とを用いて、次の式(2)で与えられる。総吸収量Aは、CT値に基づいて算出されるので、負の値を取り得る。具体的には、体積要素VEa〜VEeのX線の線吸収係数が0である場合、すなわち、CT値が−1000である場合、総吸収量Aは、−1000×Dとなる。
【数2】

【0049】
上記式(2)に示すように、総吸収量Aは、各体積要素VEa〜VEeにおける厚さdと、CT値α(z)と、感度S(z)との積を、各体積要素VEa〜VEe毎(z毎)に積算することにより与えられる。
【0050】
画素PXLにおけるCT値HUは、式(2)で与えられる総吸収量Aを、式(1)で表される総厚Dで除することにより求められる。従って、画素PXLにおけるCT値HUは、体積要素VEa〜VEeの厚さdと、CT値α(z)と、感度S(z)とを用いて、次の式(3)により求められる。
【数3】

【0051】
式(3)は、画素PXLにおけるCT値が、CT値α(z)と、感度S(z)との畳み込み演算で与えられることを示している。なお、総厚Dでの除算は、畳み込み演算における規格化に相当する。
【0052】
なお、通常の断層撮影においては、水を標準試料に用いてCT値の校正を行う。断層撮影条件毎に、水を標準試料に用いたCT値の校正を行うことにより、スライス感度プロファイルSが未知であっても、CT値HUを求めることが可能である。
【0053】
図4(b)および図4(c)は、スライス厚が異なるスライス感度プロファイルを模式的に示している。上述のように、再構成画像CTIのスライス感度プロファイルは、断層撮影時あるいは画像再構成時(以下、併せて「再構成画像生成時」とも呼ぶ)における設定スライス厚を変更することにより変化する。
【0054】
図4(b)および図4(c)の各グラフにおいて、横軸は、断層面を基準(0)とするz軸方向の位置を表し、縦軸は感度を表している。なお、以下では、図4(b)に示すスライス厚が厚いスライス感度プロファイルSpを「厚層スライス感度プロファイルSp」とも呼び、図4(c)に示すスライス厚が薄いスライス感度プロファイルSfを「薄層スライス感度プロファイルSf」とも呼ぶ。また、厚層スライス感度プロファイルSpに関連する値には記号の末尾に文字「p」を付し、薄層スライス感度プロファイルSfに関連する値には記号の末尾に文字「f」を付す。
【0055】
図4(b)に示す厚層スライス感度プロファイルSpでは、断層面から厚さdずれた位置(z=±d)においては感度Sp(z)が0.5となっており、断層面から厚さ2d以上ずれた位置(z≧+2d,z≦−2d)においては感度Sp(z)が0となっている。また、図4(c)に示す薄層スライス感度プロファイルSfでは、断層面から厚さdずれた位置(z=±d)においては感度Sf(z)が0.25となっており、断層面から厚さ2d以上ずれた位置(z≧+2d,z≦−2d)においては感度Sf(z)が0となっている。
【0056】
ここで、上記式(3)に基づいて画素PXLにおけるCT値HUを算出すると、図4(b)の例においてはCT値HUpが230となり、図4(b)の例においてはCT値HUfが220となる。このように、体積要素VEa〜VEeのCT値α(z)がz軸(体軸)方向に変化している場合、画素PXLにおけるCT値は、断層面における被検者SBJ体内のCT値(200HU)と異なった値となる。
【0057】
図5は、スライス厚が異なるスライス感度プロファイルにより得られるCT値HUp,HUfから、より薄いスライス厚のCT値HUrを求める様子を示す説明図である。図5の各グラフにおいて、横軸は、断層面を基準(0)とするz軸方向の位置を表し、縦軸は感度を表している。
【0058】
図5(a)および図5(b)は、それぞれ、図4(b)および図4(c)と同じスライス感度プロファイルを示している。このとき、それぞれの総吸収量Ap,Afは、スライス感度プロファイル毎に、CT値HUp,HUfに測定厚Dp,Dfを乗ずることにより算出される。
【0059】
図5(a)に示す厚層スライス感度プロファイルSpから、図5(b)に示す薄層スライス感度プロファイルSfを減じることにより、図5(c)に示す仮想的なスライス感度プロファイルSs(以下、「差分スライス感度プロファイルSs」とも呼ぶ)が得られる。この差分スライス感度プロファイルSsは、断層面から厚さdずれた位置(z=±d)においては感度Ss(z)が0.25であり、断層面(z=0)と、断層面から厚さ2d以上ずれた位置(z≧+2d,z≦−2d)とにおいては感度Ss(z)が0である双峰性のスライス感度プロファイルである。なお、以下では、差分スライス感度プロファイルSsに関連する値には記号の末尾に文字「s」を付す。
【0060】
ここで、再構成画像生成時のスライス感度プロファイルが、差分スライス感度プロファイルSsであったと仮定する。このとき、画素PXL(図4(a))について観測される総吸収量Asは、次の式(4)で与えられる。
【数4】

【0061】
式(4)から解るように、差分スライス感度プロファイルSsに対応する総吸収量Asは、厚層スライス感度プロファイルSpに対応する総吸収量Apから、薄層スライス感度プロファイルSfに対応する総吸収量Afを減じることにより与えられる。
【0062】
図5(b)に示す薄層スライス感度プロファイルSfと、図5(c)に示す差分スライス感度プロファイルSsとは、いずれも、断層面から厚さdずれた位置(z=±d)においては感度Sp(z),Ss(z)が0.25となっている。そのため、図5(b)に示す薄層スライス感度プロファイルSfから、さらに、図5(c)に示す差分スライス感度プロファイルSsを減じることにより、図5(d)に示すように、断層面(z=0)の体積要素VEc(図3)にのみ感度を有する仮想的なスライス感度プロファイルSr(以下、「薄層化スライス感度プロファイルSr」とも呼ぶ)を生成することができる。なお、以下では、薄層化スライス感度プロファイルSrに関連する値には記号の末尾に文字「r」を付す。
【0063】
ここで、再構成画像生成時のスライス感度プロファイルが薄層化スライス感度プロファイルSrであったと仮定する。このとき、画素PXL(図4(a))について観測される総吸収量Arは、次の式(5)で与えられる。
【数5】

【0064】
式(5)から解るように、薄層化スライス感度プロファイルSrに対応する総吸収量Arは、薄層スライス感度プロファイルSfに対応する総吸収量Afから、差分スライス感度プロファイルSsに対応する総吸収量Asを減じること、すなわち、総吸収量Afの2倍から総吸収量Apを減じることにより算出される。そして、このように算出された総吸収量Arを、薄層化スライス感度プロファイルSrから得られる測定厚Drで除することにより、薄層化スライス感度プロファイルSrに対応するCT値HUrが求められる。
【0065】
このように、仮想的な薄層化スライス感度プロファイルSrに対応するCT値HUrは、再構成画像生成時のスライス感度プロファイルSp,Sfと、再構成画像CTI(図4)におけるCT値HUp,HUfから求められる。また、図5(d)に示すように、得られたCT値HUrは、断層面に位置する体積要素VEc(図4)のX線吸収量(200HU)に一致する。
【0066】
第1実施形態によれば、実効スライス厚が互いに異なる複数の再構成画像に対して所定の演算処理を施すことにより、複数の再構成画像のいずれよりも実効スライス厚が薄い断層画像を生成することができる。そのため、X線管の焦点FSP(図3)の拡がり、ビームコリメータ110(図3)の幅、あるいは、検出素子列のz軸方向の幅等、X線断層撮影システム10(図1)の装置上の制限や、ピッチファクタあるいは画像の再構成法等の撮影条件の影響による実効スライス厚の限界よりも薄い実効スライス厚の断層画像を得ることが可能となる。
【0067】
なお、第1実施形態では、説明の便宜上、実効スライス厚が異なるスライス感度プロファイルとして、図4(b)および図4(c)に示す単純なスライス感度プロファイルSp,Sfを用いている。そのため、薄層化スライス感度プロファイルSrを容易に生成可能である。しかしながら、実際の断層撮影システムにおけるスライス感度プロファイルSは、図3(b)に示すように、断層面から外れるに従ってなだらかに減少する。そのため、薄層化スライス感度プロファイルSrを所望の形状とするためには、薄層化スライス感度プロファイルSrを算出するための演算パラメータを適宜設定する必要がある。
【0068】
B.第1実施例:
B1.演算処理の具体例:
図6および図7は、実験的に得られたスライス感度プロファイルSp,Sfから、薄層化スライス感度プロファイルSrを生成する様子を示す説明図である。図6および図7の各グラフにおいて、横軸は、断層面を基準(0)とするz軸方向の位置を表し、縦軸は感度を表している。
【0069】
図6(a)および図6(b)は、それぞれ、設定スライス厚を1mmおよび0.5mmとした際のスライス感度プロファイルSp,Sfを示している。図6(a)および図6(b)から分かるように、スライス感度プロファイルSp,Sfの半値幅(実効スライス厚)は、それぞれ1.08mmと0.81mmとなっており、いずれの場合においても、実効スライス厚は設定スライス厚よりも厚くなった。
【0070】
図6(c)は、スライス感度プロファイルSp,Sfから、次の式(6)を用いて得られるスライス感度プロファイルSmを示している。このスライス感度プロファイルSmは、薄層化スライス感度プロファイルSrの生成過程で中間的に算出されるスライス感度プロファイルであるので、以下では、「中間スライス感度プロファイルSm」とも呼ぶ。
【数6】

【0071】
ここで、スライス感度プロファイルSp,Sfの差分(Sp−Sf)に乗ぜられる係数Msは、感度Sm(z)が0を下回るアンダーシュートを低減するためのパラメータである。係数Msは、1よりも小さい値に設定するのが好ましい。図6(c)の例では、係数Msを0.8に設定した。
【0072】
図6(c)に示すように、スライス感度プロファイルSp,Sfの差分に係数Msを乗じた場合においても、中間スライス感度プロファイルSmには、感度Sm(z)が0を下回るアンダーシュートが生じる。このアンダーシュートは、薄層スライス感度プロファイルSfをz軸方向にシフトさせるとともに、適宜設定された係数Mcを乗じた補正のためのスライス感度プロファイルSc(以下、「補正感度プロファイルSc」とも呼ぶ)を、中間スライス感度プロファイルSmに加えることにより低減できる。この補正感度プロファイルScは、係数Mcと、薄層スライス感度プロファイルSfのz軸方向へのシフト量δを用いて、以下の式(7)で与えられる。
【数7】

【0073】
図7(a)は、中間スライス感度プロファイルSmを示すグラフであり、図7(b)は、補正感度プロファイルScを示すグラフである。図7(b)の例では、係数Mcを0.02とし、シフト量δを0.8mmとした。
【0074】
図6および図7の例では、薄層化スライス感度プロファイルSrは、式(6)で与えられる中間スライス感度プロファイルSmに、式(7)で与えられる補正スライス感度プロファイルScを加えることにより得られる。従って、薄層化スライス感度プロファイルSrは、厚層スライス感度プロファイルSpと、薄層スライス感度プロファイルSfと、係数Ms,Mcと、薄層スライス感度プロファイルSfのz軸方向へのシフト量δとを用いて、次の式(8)で与えられる。
【数8】

【0075】
図7(c)は、このように得られた薄層化スライス感度プロファイルSrを示すグラフである。図7(c)に示すように、薄層化スライス感度プロファイルSrでは、中間スライス感度プロファイルSmよりもアンダーシュートが小さく抑えられている。また、薄層化スライス感度プロファイルSrの半値幅(実効スライス厚)は0.68mmとなり、1/10全幅は、1.16mmとなった。このように、薄層化スライス感度プロファイルSrの実効スライス厚は、薄層スライス感度プロファイルSfの実効スライス厚よりも小さくなった。
【0076】
薄層化スライス感度プロファイルSrに対応する総吸収量Arは、式(2)のS(z)に式(8)のSr(z)を代入することにより与えられ、厚層スライス感度プロファイルSpおよび薄層化スライス感度プロファイルSfに対応する総吸収量Ap,Afを用いて、次の式(9)で表される。
【数9】

【0077】
厚層スライス感度プロファイルSpおよび薄層スライス感度プロファイルSfに対応する総吸収量Ap,Afは、式(3)より、各スライス感度プロファイルSp,Sfの感度Sp(z),Sf(z)と、CT値HUp,HUfとを用いて、次の式(10)で与えられる。
【数10】

【0078】
従って、薄層化スライス感度プロファイルSrに対応するCT値HUrは、各スライス感度プロファイルSp,Sfの感度Sp(z),Sf(z)と、CT値HUp,HUfとを用いて、次の式(11)で与えられる。
【数11】

【0079】
なお、薄層化スライス感度プロファイルSrおよび対応するCT値HUrの算出に用いる演算パラメータMs,Mc,δは、演算パラメータMs,Mc,δを変化させつつ、得られる薄層化スライス感度プロファイルSrの形状を確認することにより決定することができる。このような演算パラメータMs,Mc,δの決定は、例えば、表計算のためのアプリケーションソフトウェアを用いて行うことができる。
【0080】
B2.演算処理結果:
図8および図9は、第1実施例における演算処理結果を示す説明図である。図8(a)および図8(b)は、再構成画像の画素列をz軸(体軸)方向に配列することにより得られた体軸断面画像である。体軸断面画像の元となる再構成画像(以下、「元画像」とも呼ぶ)としては、解像度を評価するための標準試料(「櫛形ファントム」と呼ばれる)をスリットがz軸(体軸)方向とほぼ直角となるように配置して、櫛形ファントムの断層撮影を行って得た再構成画像を用いた。図8(a)および図8(b)の元画像は、設定スライス厚をそれぞれ1mmおよび0.5mmとして再構成した再構成画像であり、それぞれ図6(a)および図6(a)に示すスライス感度プロファイルSp,Sfに対応する再構成画像である。
【0081】
図8(a)に示すように、設定スライス厚が1mmでは、櫛形ファントムのスリットは観察されなかった。また、図8(b)に示すように、設定スライス厚が0.5mmでは、スリットは観察されたものの、コントラストが低く、十分な解像度が得られなかった。
【0082】
図8(c)は、図8(a)および図8(b)に示す再構成画像に上記式(11)で表される演算処理を施した断層画像(演算後画像)を元画像として得られた体軸断面画像である。この体軸断面画像の元画像は、図7(c)に示す薄層化スライス感度プロファイルSrに対応する断層画像である。図8(c)に示すように、演算後画像を用いることにより、体軸断面画像において櫛形ファントムのスリットが明瞭に観察された。このように、スライス厚の異なる再構成画像に対して所定の演算処理を施すことにより、いずれの再構成画像よりもz軸(体軸)方向の解像度が高い画像が得られた。
【0083】
図9(a)は、演算後画像を元画像として得られた体軸断面画像である。図9(b)は、スリットがz軸(体軸)方向と平行となるように配置して、櫛形ファントムの断層撮影を行って得た断層画像である。図9(a)および図9(b)に示すように、演算後画像を元画像として得られた体軸断面画像では、z軸方向の解像度が、断層画像の面内解像度と同等以上であり、第1実施例によってz軸方向の解像度が十分に高い画像が得られることが分かった。
【0084】
第1実施形態および第1実施例では、図1に示すようにX線照射装置100およびX線検出装置200が被検者SBJの周囲を螺旋状に移動するX線断層撮影システム10(ヘリカルCT)に本発明を適用しているが、本発明は、実効スライス厚が異なる断層画像が得られる断層撮影システムであれば、X線照射装置100およびX線検出装置200の回転中において寝台BEDが固定されている断層撮影システム(ノンヘリカルCT)に適用することができる。
【0085】
C.第2実施形態:
第1実施形態では、スライス厚の異なる2つの再構成画像に対して演算処理を施すことにより、演算後画像としてこれらの再構成画像よりもスライス厚が薄い断層画像を生成している。これに対し、第2実施形態では、ヘリカルスキャンで得られたスライス厚の異なる2つの再構成画像(ヘリカル断層画像)に対して演算処理を施すことにより、演算後画像としてノンヘリカルスキャンを行った場合と同等の断層画像(擬似ノンヘリカル断層画像)を生成する点で、第1実施形態と異なっている。他の点は、第1実施形態と同様である。
【0086】
図10は、スキャン方法の違いがスライス感度プロファイルに与える影響を示す説明図である。図10のグラフにおいて、横軸は、断層面を基準(0)とするz軸方向の位置を表し、縦軸は感度を表している。図10の実線は、設定スライス厚を5mmとして、ヘリカルスキャンを行った際のスライス感度プロファイルSh(以下では、「ヘリカルスライス感度プロファイルSh」とも呼ぶ)を示している。図10の破線は、設定スライス厚を5mmとして、ノンヘリカルスキャンを行った際のスライス感度プロファイルSn(以下では、「ノンヘリカルスライス感度プロファイルSn」とも呼ぶ)を示している。なお、ノンヘリカルスライス感度プロファイルSnについては、実測値でなく推定値を示している。
【0087】
図10に示すように、ノンヘリカルスライス感度プロファイルSnに示されるように、ノンヘリカルスキャンを行った場合には、断層面(z=0)を中心に幅が実効スライス厚(図10の例では、約5mm)の領域(すなわち、スライス)内部の感度に対してスライス外部の感度が十分に低くなる。これに対し、ヘリカルスライス感度プロファイルShは、ノンヘリカルスライス感度プロファイルSnよりも裾が広がったプロファイル形状となっている。そのため、ヘリカルスキャンを行った場合には、スライス外部の感度がノンヘリカルスキャンを行った場合よりも高くなる。
【0088】
図11は、スキャン方法の違いが再構成画像に与える影響を示す説明図である。図11(a)および図11(b)は、ノンヘリカルスキャンとヘリカルスキャンとで、断層撮影システム10(図1)の調整用の標準試料(調整用ファントム)を撮影した際の再構成画像である。図11(c)および図11(d)は、図11(a)および図11(b)の再構成画像における円形像周辺を拡大した画像(以下、単に「拡大像」とも呼ぶ)である。
【0089】
撮影した調整用ファントムには、円形像を形成する円柱部の横(図11では右側)にラダーが設けられている。ラダーは、等間隔の穴をz軸(体軸)に対して斜めに配列することにより形成されており、再構成画像には櫛歯状の像(以下、単に「櫛歯」とも呼ぶ)が現れる。このように、再構成画像に現れる櫛歯の本数やコントラストの変化により、実効スライス厚やプロファイル形状を推測することができる。
【0090】
図11に示すように、ノンヘリカルスキャンで得られた再構成画像(図11(a),(c))には、6本の櫛歯が現れている。一方、ヘリカルスキャンで得られた再構成画像(図11(b),(d))には、ノンヘリカルスキャンで得られた再構成画像に現れた6本の櫛歯の外部にも櫛歯が観測される。このことから、ノンヘリカルスキャンを行った場合、スライス内のCT値を表す断層画像が得られるのに対し、ヘリカルスキャンを行った場合、スライス外部のCT値が断層画像に影響を与え、本来スライス内に無いはずの部分がアーチファクト(偽像)として断層画像に写り込むことが判る。
【0091】
第2実施形態では、このようなヘリカルスキャンによるアーチファクトの発生を抑制するため、ノンヘリカルスキャンで得られた実効スライス厚が異なる再構成画像(元画像)に演算処理を施す。具体的には、ノンヘリカルスライス感度プロファイルSnと同等のスライス感度プロファイルを生成するように、実効スライス厚が異なるスライス感度プロファイルに対する演算処理(プロファイル生成演算処理)を決定する。そして、プロファイル生成演算処理に基づいて決定された演算処理を、元画像に対して施す。これにより、ノンヘリカルスキャンを行った場合と同等の断層画像(演算後画像)を得る。なお、プロファイル生成演算処理と、再構成画像に対する演算処理との関係は、第1実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0092】
D.第2実施例:
図12は、実効スライス厚が異なるスライス感度プロファイルSa,Sbから、ノンヘリカルスライス感度プロファイルSnと同等のスライス感度プロファイルSq(以下、「擬似ノンヘリカルスライス感度プロファイルSq」とも呼ぶ)を生成する様子を示す説明図である。図12の各グラフにおいて、横軸は、断層面を基準(0)とするz軸方向の位置を表し、縦軸は感度を表している。
【0093】
図12(a)および図12(b)は、それぞれ、設定スライス厚を3.75mmおよび2.5mmとした際のスライス感度プロファイルSa,Sbを示している。図12(a)および図12(b)から分かるように、スライス感度プロファイルSa,Sbは、いずれも、プロファイル形状がヘリカルスライス感度プロファイルSh(図10)と同様に広がっており、感度は、断層面(z=0)から離れるに従ってなだらかに減少している。なお、実効スライス厚が異なるスライス感度プロファイルSa,Sbの半値幅(実効スライス厚)は、それぞれ3.63mmと2.24mmとなった。
【0094】
図12(c)の実線は、スライス感度プロファイルSa,Sbから次の式(12)を用いて得られる擬似ノンヘリカルスライス感度プロファイルSqを示している。図12(c)の破線は、ノンヘリカルスライス感度プロファイルSnを示している。
【数12】

【0095】
ここで、スライス感度プロファイルSbに乗ぜられる係数Mbは、断層面近傍のスライス感度プロファイルを平坦化するためのパラメータであり、1よりも小さい値に設定される。図12の例では、パラメータMbを0.55に設定した。また、パラメータMnは、スライス感度プロファイルを規格化するためのパラメータであり、1−Mbに設定される。図12の例では、上述のように、パラメータMbを0.55に設定しているため、Mnは0.45に設定される。
【0096】
このようにして得られた擬似ノンヘリカルスライス感度プロファイルSqは、図12(c)に示すように、半値幅(実効スライス厚)が5.23mmで、プロファイル形状がノンヘリカルスライス感度プロファイルSnとほぼ同等となった。
【0097】
擬似ノンヘリカルスライス感度プロファイルSqに対応する総吸収量Aqは、式(2)のS(z)に式(12)のSq(z)を代入することにより与えられ、スライス感度プロファイルSa,Sbに対応する総吸収量Aa,Abを用いて、次の式(13)で表される。
【数13】

【0098】
スライス感度プロファイルSa,Abに対応する総吸収量Aa,Abは、式(3)より、各スライス感度プロファイルSa,Sbの感度Sa(z),Sb(z)と、CT値HUa,HUbとを用いて、次の式(14)で与えられる。
【数14】

【0099】
従って、擬似ノンヘリカルスライス感度プロファイルSqに対応するCT値HUqは、各スライス感度プロファイルSa,Sbの感度Sa(z),Sb(z)と、CT値HUa,HUbとを用いて、次の式(15)で与えられる。
【数15】

【0100】
図13および図14は、第2実施例における演算処理結果を示す説明図である。図13(a)および図13(b)は、ヘリカルスキャンで得た実効スライス厚が異なる再構成画像(元画像)であり、図14(a)および図14(b)は、図13(a)および図13(b)に示す再構成画像の拡大像である。図13(c)および図14(c)は、演算後画像とその拡大像である。図13(d)および図14(d)は、図11(a)および図11(c)と同じ画像であり、ノンヘリカルスキャンで得られた再構成画像とその拡大像である。また、図13(e)および図14(e)は、図11(b)および図11(d)と同じ画像であり、ヘリカルスキャンで得られた再構成画像とその拡大像である。なお、図13および図14では、便宜上、設定スライス厚を単に「スライス厚」と表記している。
【0101】
図13および図14から判るように、設定スライス厚が3.75mmと2.5mmの再構成画像に演算処理を施して得られた演算後画像(図13(c)および図14(c))には、ノンヘリカルスキャンで得られた再構成画像(図13(d)および図14(d))と同様に、6本の櫛歯が現れた。このことから、実効スライス厚が異なる再構成画像に、擬似ノンヘリカルスライス感度プロファイルSqを生成するための演算処理に基づいて決定された演算処理を施すことにより、スライス外部のCT値の影響が少ない断層画像を生成できることが判った。
【0102】
なお、第2実施形態および第2実施例では、元画像として断層面が同一の再構成画像を使用しているが、元画像の断層面は、必ずしも一致する必要は無い。例えば、実効スライス厚が厚いスライス感度プロファイルSaにおける断層面のピークを実効スライス厚が厚いスライス感度プロファイルSbを用いて平坦化するとともに、スライス感度プロファイルSbの広がりを断層面が異なるスライス感度プロファイルを用いて狭くすることで、ノンヘリカルスキャンと同等のスライス感度プロファイルを得ることも可能である。従って、元画像として、これらのスライス感度プロファイルに対応する再構成画像を用いることにより、比較的少数(この場合は、4)の断層画像を用いて、ノンヘリカルスキャンによって得られる断層画像と同等の断層画像を得ることができる。
【0103】
但し、以下の点で、断層面が同一の再構成画像を元画像として用いるのが好ましい。一般に、断層面が異なる画像を合成すると、合成された画像にコントラストの高い境界部が多重に写り込む虞がある。これに対し、断層面が同一の再構成画像を元画像とした場合、生成された断層画像に境界部が多重に写り込むことが抑制される。従って、より違和感の少ない断層画像を得ることが可能となる点で、断層面が同一の再構成画像を元画像として用いるのが好ましい。
【0104】
また、第2実施形態および第2実施例では、元画像として実効スライス厚が異なる再構成画像を用いることにより、比較的少数(第2実施形態および第2実施例では、2)の元画像から、ノンヘリカルスキャンによって得られる断層画像と同等の断層画像を得ることができる。従って、演算処理量を低減することができるとともに、演算処理時の誤差の蓄積を抑制することができる。
【0105】
さらに、第2実施形態および第2実施例では、目標とするスライス厚(第2実施形態および第2実施例では、5mm)に近いスライス厚(第2実施形態および第2実施例では、3.75mmと2.5mm)の再構成画像を用いることにより、ノンヘリカルスキャンによって得られる断層画像と同等の断層画像を得ることができる。そのため、X線断層撮影装置の制約によって、十分に薄いスライス厚の再構成画像が得られない場合であっても、ノンヘリカルスキャンによって得られる断層画像と同等の断層画像を得ることができる。
【0106】
E.変形例:
なお、本発明は上記各実施形態や各実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0107】
E1.変形例1:
上記各実施形態および各実施例では、スライス厚の異なる2つの再構成画像に対して演算処理を施すことにより、スライス厚が薄い断層画像あるいはノンヘリカルスキャンと同等の断層画像を生成していたが、一般に、N個(Nは、2以上の整数)の再構成画像に対して演算処理を施すものとしても良い。N個の再構成画像に対して施される演算処理としては、上記各実施形態および各実施例で示す演算処理に限らず、N個の再構成画像に対応するスライス感度プロファイルから、よりスライス厚が薄い薄層化スライス感度プロファイルや擬似ノンヘリカルスライス感度プロファイルを生成する演算処理に基づいて決定される。なお、薄層化スライス感度プロファイルや擬似ノンヘリカルスライス感度プロファイルを生成する演算処理(プロファイル生成演算処理)と、再構成画像に対して施される演算処理とは、線形な演算処理とするのが好ましい。ここで、線形な演算処理とは、演算対象となる感度SあるいはCT値(以下、併せて「演算対象値」とも呼ぶ)について、演算対象値に対する定数の乗除と、演算対象値間の加減との組み合わせで与えられる任意の演算処理を謂う。上記各実施形態および各実施例から分かるように、線形演算処理により薄層化スライス感度プロファイルSrや擬似ノンヘリカルスライス感度プロファイルSqを生成することにより、再構成画像に対して施される演算処理をより容易に決定することができる
【0108】
E2.変形例2:
本発明は、医療用X線断層撮影システムに限らず、種々のX線断層撮影システムに適用することも可能である。本発明は、例えば、工業用のX線断層撮影システムにも適用可能である。この場合、被検者の動きやX線被爆の影響を考慮する必要がないため、ビームコリメータ110の間隔や、ビームコリメータ110と焦点FSPの距離などのX線の照射条件や、ビームトリマ210の間隔等の入射条件を変えた複数回の走査によって実効スライス厚の異なる断層画像を得ることができる。そのため、断層撮影時のスライス感度プロファイルをより柔軟に変更することができ、より薄いスライス感度プロファイルあるいはより理想的な形状のスライス感度プロファイルを得ることが可能となる。
【0109】
E3.変形例3:
本発明は、X線断層撮影システムに限らず、種々の断層撮影システムに適用可能である。一般に、断層画像の階調値が、測定対象の真値の分布と、スライス感度プロファイルとの畳み込み演算によって与えられる断層撮影システムであれば、本発明は、任意の断層撮影システムに適用可能であり、例えば、核磁気共鳴画像撮影システム、ポジトロン断層撮影システム等の種々の断層撮影システムに適用可能である。
【0110】
E4.変形例4:
上記各実施形態および各実施例では、図2に示すように、再構成画像に演算処理を施して演算後画像を生成する断層画像処理装置400を、断層撮影制御装置300とは別個の装置としているが、これらの断層画像処理装置400と、断層撮影制御装置300とを一体の装置として構成することも可能である。この場合、設定スライス厚としてX線断層撮影システム10に固有の限界である最小スライス厚よりも薄いスライス厚が設定された場合や、設定プロファイルとしてノンヘリカルスキャン型のプロファイルの使用が指定された場合に、オペレータの介在なしに、再構成画像から演算後画像を生成するものとしても良い。オペレータの介在なしに、再構成画像から演算後画像を生成する場合、再構成画像を外部記憶装置に格納することなく、RAMに格納された再構成画像に対し、直接演算処理を施すものとしても良い。
【符号の説明】
【0111】
10…X線断層撮影システム
100…X線照射装置
110…ビームコリメータ
200…X線検出装置
210…ビームトリマ
220…X線検出器
300…断層撮影制御装置
310…撮影条件取得部
320…断層撮影装置制御部
330…検出器信号取得部
340…画像再構成部
350…通信制御部
360…外部記憶装置
400…断層画像処理装置
410…処理条件取得部
420…画像生成部
422…再構成画像取得部
424…画像間演算処理部
450…通信制御部
460…外部記憶装置
BED…寝台
CTI…再構成画像
FSP…焦点
GNT…ガントリ
LAN…ローカルエリアネットワーク
PXL…画素
SBJ…被検者
VEa〜VEe…体積要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断層撮影装置により得られた互いにスライス厚が異なる複数の断層画像から、前記複数の断層画像のスライス厚のいずれよりもスライス厚が薄い薄層化断層画像を生成する断層画像処理装置であって、
前記複数の断層画像に所定の演算処理を施すことにより前記薄層化断層画像を生成する画像間演算処理部を備え、
前記所定の演算処理は、前記複数の断層画像に対応するスライス感度プロファイルから、前記スライス感度プロファイルよりもスライス厚が薄い薄層化スライス感度プロファイルを生成するためのプロファイル生成演算処理に基づいて決定された演算処理である
断層画像処理装置。
【請求項2】
断層撮影装置においてヘリカルスキャンを行うことにより得られた互いにスライス厚が異なる複数のヘリカル断層画像から、前記断層撮影装置においてノンヘリカルスキャンを行うことにより得られる断層画像と同等の擬似ノンヘリカル断層画像を生成する断層画像処理装置であって、
前記複数のヘリカル断層画像に所定の演算処理を施すことにより前記擬似ノンヘリカル断層画像を生成する画像間演算処理部を備え、
前記所定の演算処理は、前記複数のヘリカル断層画像に対応するスライス感度プロファイルから、前記断層撮影装置においてノンヘリカルスキャンを行った場合のスライス感度プロファイルと同等の擬似ノンヘリカルスライス感度プロファイルを生成するためのプロファイル生成演算処理に基づいて決定された演算処理である
断層画像処理装置。
【請求項3】
前記複数のヘリカル断層画像は、断層面が同一である、請求項2記載の断層画像処理装置。
【請求項4】
前記所定の演算処理および前記プロファイル生成演算処理は、線形な演算処理である請求項1ないし3のいずれか記載の断層画像処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか記載の断層画像処理装置であって、
前記断層撮影装置は、X線断層撮影装置であって、
厚さ方向に複数のX線検出器列を有しており、
前記複数のX線検出器列のうち、断層画像の生成に使用するX線検出器列の数を変更することにより、得られる断層画像のスライス厚を変更可能に構成されている
断層画像処理装置。
【請求項6】
断層撮影装置により得られた互いにスライス厚が異なる複数の断層画像から、前記複数の断層画像のスライス厚のいずれよりもスライス厚が薄い薄層化断層画像を生成する断層画像処理方法であって、
前記複数の断層画像に所定の演算処理を施すことにより前記薄層化断層画像を生成する工程を備え、
前記所定の演算処理は、前記複数の断層画像に対応するスライス感度プロファイルから、前記スライス感度プロファイルよりもスライス厚が薄い薄層化スライス感度プロファイルを生成するプロファイル生成演算処理に基づいて決定された演算処理である
断層画像処理方法。
【請求項7】
断層撮影装置においてヘリカルスキャンを行うことにより得られた互いにスライス厚が異なる複数のヘリカル断層画像から、前記断層撮影装置においてノンヘリカルスキャンを行うことにより得られる断層画像と同等の擬似ノンヘリカル断層画像を生成する断層画像処理方法であって、
前記複数のヘリカル断層画像に所定の演算処理を施すことにより前記擬似ノンヘリカル断層画像を生成する工程を備え、
前記所定の演算処理は、前記複数のヘリカル断層画像に対応するスライス感度プロファイルから、前記断層撮影装置においてノンヘリカルスキャンを行った場合のスライス感度プロファイルと同等の擬似ノンヘリカルスライス感度プロファイルを生成するためのプロファイル生成演算処理に基づいて決定された演算処理である
断層画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図12】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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