断層画像生成装置及び方法
【課題】断層画像生成装置において、光音響信号と超音波信号との受信完了まで要する時間を短縮する。
【解決手段】トリガ制御回路28は、光トリガ信号を出力し、被検体に対する光照射を行わせる。サンプリング制御回路29は、サンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、光音響信号のサンプリングを開始して、サンプリングした光音響信号を受信メモリ23に格納する。トリガ制御回路28は、AD変換手段22のサンプリングが継続している状態で超音波トリガ信号を出力し、被検体に対して超音波を送信させる。AD変換手段22は、光音響信号と連続して反射音響信号をサンプリングし、サンプリングした反射音響信号を受信メモリ23に格納する。光音響画像生成手段25及び超音波画像生成手段26は、受信メモリ23に格納されたデータに基づいて、光音響画像及び超音波画像を生成する。
【解決手段】トリガ制御回路28は、光トリガ信号を出力し、被検体に対する光照射を行わせる。サンプリング制御回路29は、サンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、光音響信号のサンプリングを開始して、サンプリングした光音響信号を受信メモリ23に格納する。トリガ制御回路28は、AD変換手段22のサンプリングが継続している状態で超音波トリガ信号を出力し、被検体に対して超音波を送信させる。AD変換手段22は、光音響信号と連続して反射音響信号をサンプリングし、サンプリングした反射音響信号を受信メモリ23に格納する。光音響画像生成手段25及び超音波画像生成手段26は、受信メモリ23に格納されたデータに基づいて、光音響画像及び超音波画像を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断層画像生成装置及び方法に関し、更に詳しくは、反射超音波に基づく超音波画像と、光音響信号に基づく光音響画像とを生成する断層画像生成装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内部の状態を非侵襲で検査できる画像検査法の一種として、超音波検査法が知られている。超音波検査では、超音波の送信及び受信が可能な超音波探触子を用いる。超音波探触子から被検体(生体)に超音波を送信させると、その超音波は生体内部を進んでいき、組織界面で反射する。超音波探触子でその反射音波を受信し、反射超音波が超音波探触子に戻ってくるまでの時間に基づいて距離を計算することで、内部の様子を画像化することができる。
【0003】
また、光音響効果を利用して生体の内部を画像化する光音響イメージングが知られている。一般に光音響イメージングでは、パルスレーザ光を生体内に照射する。生体内部では、生体組織がパルスレーザ光のエネルギーを吸収し、そのエネルギーによる断熱膨張により超音波(光音響信号)が発生する。この光音響信号を超音波プローブなどで検出し、検出信号に基づいて光音響画像を構成することで、光音響信号に基づく生体内の可視化が可能である。
【0004】
光音響画像と超音波画像とを生成可能な装置が、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の生体情報映像装置は、光音響画像データの収集開始コマンドが入力されると、被検体に対するレーザ照射と、レーザ照射により生じた光音響信号の受信とを行う。生体情報映像装置は、受信信号に基づいて光音響画像を生成し、生成した光音響画像を、光音響画像データ用の画像データメモリAに保存する。生体情報映像装置は、光音響画像の生成後、超音波画像データの収集開始コマンドが入力されると、超音波の送受信を行い、受信した超音波に基づいて超音波画像を生成する。生体情報映像装置は、生成した超音波画像を、超音波画像データ用の画像データメモリBに保存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】2010−12295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、光音響画像と超音波画像との双方が生成可能な装置においては、特許文献1と同様に、光音響画像と超音波画像とを別個のメモリに格納する。例えば画像構築前の、受信した光音響信号及び超音波信号をメモリに格納する場合も、やはり光音響信号を格納するためのメモリと超音波信号を格納するためのメモリとを個別に設け、双方の信号を別個のメモリに格納する。この場合において、光音響信号の受信に続いて超音波信号の受信を行うことを考えると、光音響信号の受信が完了した後にメモリの切替えを行う必要があり、メモリの切替えが完了するまでは、超音波信号の受信を行うことができない。この場合、メモリの切替えに必要な時間だけ無駄な時間が生じ、この無駄な時間が処理高速化の妨げとなっていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑み、光音響信号と超音波信号との受信完了まで要する時間を短縮し、処理を高速化できる断層画像生成装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、被検体に対して照射すべき光を出射する光源ユニットと、前記被検体に対して超音波の送信を行う超音波送信部と、前記レーザ光の照射により前記被検体内で生じた光音響信号、及び前記送信された超音波に対する反射音響信号を検出する音響信号検出部と、前記光源ユニットに対して光出射を指示する光トリガ信号を出力し、かつ、前記超音波送信部に対して超音波送信を指示する超音波トリガ信号を出力するトリガ制御部と、前記音響信号検出部が検出した光音響信号及び反射音響信号をサンプリングし、該サンプリングした光音響信号及び反射音響信号を両者に共通のメモリに格納するサンプリング手段と、サンプリング手段に対してサンプリング開始を指示するサンプリングトリガ信号を出力するサンプリング制御手段と、メモリに格納された光音響信号に基づいて光音響画像を生成する光音響画像生成手段と、メモリに格納された反射音響信号に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成手段とを備え、トリガ制御手段が、光トリガ信号と超音波トリガ信号のうちの一方を出力した後、サンプリング手段がサンプリングを継続している状態で、光トリガ信号と超音波トリガ信号のうちの他方を出力し、サンプリング手段が、サンプリングを中断することなく、光音響信号と反射音響信号とを連続的にサンプリングすることを特徴とする断層画像生成装置を提供する。
【0009】
本発明の断層画像生成装置では、サンプリング制御手段が、光トリガ信号と超音波トリガ信号のうちの一方が出力されるタイミングと所定の時間関係にあるタイミングでサンプリングトリガ信号を出力し、トリガ制御手段が、サンプリングトリガ信号が出力されるタイミングから所定時間が経過したタイミングで光トリガ信号と超音波トリガ信号のうちの他方を出力する構成を採用することができる。
【0010】
本発明の断層画像生成装置は、サンプリング手段が、光音響信号と反射音響信号とを同一のサンプリングレートでサンプリングするものであり、超音波画像生成手段が、サンプリングされた反射音響信号を1/2にリサンプルする1/2リサンプル手段を含み、1/2にリサンプルされた反射音響信号に基づいて超音波画像を生成するものとすることができる。この場合、1/2リサンプル手段が、サンプリングされた反射音響信号を時間軸方向に1/2に圧縮することとしてもよい。
【0011】
上記に代えて、本発明の断層画像生成装置が、サンプリング手段におけるサンプリングレートを制御するサンプリングレート制御手段であって、サンプリング手段が反射音響信号をサンプリングする際のサンプリングレートを、光音響信号をサンプリングする際のサンプリングレートの半分にするサンプリングレート制御手段を更に備える構成を採用することができる。この場合、サンプリングレート制御手段が、超音波トリガ信号又は被検体に対する光照射に同期して、サンプリングレートを制御することとすることができる。
【0012】
トリガ制御手段が、光トリガ信号の出力に後続して超音波トリガ信号を出力することとしてもよい。あるいは、トリガ制御手段が、超音波トリガ信号の出力に後続して光トリガ信号を出力することとしてもよい。
【0013】
前記超音波送信部から超音波の送信を行う範囲と、前記音響信号検出部が前記光音響信号及び反射音響信号の検出を行う範囲とがそれぞれ複数の領域に分割されており、分割された領域ごとに、トリガ制御手段が光トリガ信号と超音波トリガ信号とを出力し、サンプリング制御手段がサンプリングトリガ信号を出力することとしてもよい。
【0014】
断層画像生成装置が、メモリに格納された光音響信号と反射音響信号とを分離するデータ分離手段を更に備えていてもよい。また、光音響画像と超音波画像とを合成する画像合成手段を更に備えていてもよい。
【0015】
本発明の断層画像生成装置では、光源に、相互に異なる複数の波長の光を出射するものを用いてもよい。その場合、レーザ媒質と、レーザ媒質を励起する励起手段と、光共振器を構成する一対のミラーと、光共振器内に配置された波長選択素子とを含む光源を用いてもよい。
【0016】
波長選択素子が、透過波長が相互に異なる複数のバンドパスフィルタを含んでおり、光源が、光共振器の光路上に挿入されるバンドパスフィルタが所定の順序で順次に切り替わるように波長選択素子を駆動する駆動手段を更に有する構成としてもよい。
【0017】
波長選択素子が、回転変位に伴って光共振器の光路上に選択的に挿入するバンドパスフィルタを切り替えるフィルタ回転体で構成され、駆動手段がフィルタ回転体を回転駆動するものとしてもよい。
【0018】
光音響画像生成手段が、被検体に照射された複数の波長の光に対して前記音響信号検出部で検出された、複数の波長のそれぞれに対応した光音響信号間の相対的な信号強度の大小関係を抽出する2波長データ演算手段を含み、2波長データ演算手段で抽出された相対的な信号強度の大小関係に基づいて光音響画像を生成してもよい。
【0019】
光音響画像生成手段が、複数の波長のそれぞれに対応した光音響信号に基づいて信号強度を示す強度情報を生成する強度情報抽出手段を更に含み、光音響画像の各画素の階調値を強度情報に基づいて決定すると共に、各画素の表示色を前記相対的な信号強度の大小関係に基づいて決定することとしてもよい。
【0020】
光源が出射すべき光の波長が第1の波長と第2の波長を含み、光音響画像生成手段が、第1の波長のパルスレーザ光が被検体に照射されたときに音響信号検出部で検出された第1の光音響信号と、第2の波長のパルスレーザ光が被検体に照射されたときに音響信号検出部で検出された第2の光音響信号とのうちの何れか一方を実部、他方を虚部とした複素数データを生成する複素数化手段と、複素数データからフーリエ変換法により再構成画像を生成する再構成手段とを更に含み、強度比抽出手段が、再構成画像から前記大小関係としての位相情報を抽出し、強度情報抽出手段が、再構成画像から強度情報を抽出する構成を採用してもよい。
【0021】
本発明の光音響画像生成装置では、音響信号検出部の音響信号検出素子が、超音波送信部の超音波送信素子を兼ねていてもよい。
【0022】
本発明は、また、被検体に対する光の照射、及び、被検体に対する超音波の送信のうちの一方を実施するステップと、光の照射又は超音波の送信タイミングに合わせてサンプリング手段におけるサンプリングを開始させるステップと、サンプリング手段により、光の照射により被検体内で生じた光音響信号、又は、送信された超音波に対する反射音響信号の一方をサンプリングし、サンプリングした光音響信号又は反射音響信号の一方をメモリに格納するステップと、サンプリング手段がサンプリングを継続している状態で、被検体に対する光の照射、及び、被検体に対する超音波の送信のうちの他方を実施するステップと、サンプリング手段により、光音響信号又は反射音響信号の一方のサンプリングと連続して、光音響信号又は反射音響信号の他方をサンプリングし、サンプリングした光音響信号又は反射音響信号の他方をメモリに格納するステップと、メモリに格納された光音響信号及び超音波信号に基づいて、光音響画像及び超音波画像を生成するステップとを有する断層画像生成方法を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の断層画像生成装置及び方法では、被検体に対する光の照射、及び、被検体に対する超音波の送信のうちの一方を実施して光音響信号又は反射音響信号のサンプリングを開始し、サンプリング状態を維持したまま、光照射及び超音波送信のうちの他方を実施して反射音響信号又は光音響信号をサンプリングし、サンプリングされた光音響信号及び反射音響信号を、両信号に共通のメモリに格納する。本発明では、光音響信号及び反射音響信号のうちの一方のサンプリングから光音響信号及び反射音響信号の他方への移行に際してサンプリングを中断してメモリの切り替えを行わないため、光音響信号と超音波信号との受信完了まで要する時間を短縮することができ、処理を高速化できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態の断層画像生成装置を示すブロック図。
【図2】第1実施形態の断層画像生成装置の動作手順を示すフローチャート。
【図3】ブロックの分割例を示す図。
【図4A】エリアAにおける光照射を示す図。
【図4B】エリアAにおける光音響信号の検出を示す図。
【図4C】エリアAにおける超音波送信を示す図。
【図4D】エリアAにおける反射音響信号の検出を示す図。
【図5】第1実施形態における動作例を示すタイミングチャート。
【図6】本発明の第2実施形態の断層画像生成装置を示すブロック図。
【図7】第2実施形態の断層画像生成装置の動作手順を示すフローチャート。
【図8】第2実施形態における動作例を示すタイミングチャート。
【図9】本発明の第3実施形態の断層画像生成装置を示すブロック図。
【図10】波長可変のレーザユニットを示すブロック図。
【図11】波長選択素子、駆動手段、及び駆動状態検出手段の構成例を示すブロック図。
【図12】第3実施形態における動作例を示すタイミングチャート。
【図13】本発明の変形例における動作例を示すタイミングチャート。
【図14】プローブと対向する位置に光照射部を有する例を示す図。
【図15】対向する位置から光照射を行った状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の断層画像生成装置を示す。断層画像生成装置10は、超音波探触子(プローブ)11、超音波ユニット12、及び光源ユニット(レーザユニット)13を備える。断層画像生成装置10は、超音波画像と光音響画像との双方を生成可能である。レーザユニット13は、被検体に照射すべき光を出射する。被検体に照射される光の波長は、観察対象物に応じて適宜設定すればよい。レーザユニット13から出射した光は、例えば光ファイバなどの導光手段を用いてプローブ11まで導光され、プローブ11から被検体に照射される。
【0026】
プローブ11は、被検体に対する超音波の出力(送信)を行う超音波送信部と、被検体からの超音波の検出(受信)を行う超音波検出部(音響信号検出部)とを有する。ここで、超音波検出部の超音波検出素子は、超音波送信部の超音波送信素子を兼ねていてもよい。例えば1つの超音波振動子(素子)を、超音波の送信と検出との双方に用いてもよい。プローブ11は、例えば一次元的に配列された複数の超音波振動子を有しており、それら複数の超音波振動子から超音波を出力し、出力された超音波に対する反射超音波(以下、反射音響信号とも呼ぶ)を複数の超音波振動子により検出する。また、プローブ11は、被検体内の測定対象物がレーザユニット13からの光を吸収することで生じた超音波(以下、光音響信号とも呼ぶ)を複数の超音波振動子により検出する。なお、1つのプローブ11が超音波送信部と超音波検出部との双方を有している必要はなく、超音波送信部と超音波検出部とを分けて、超音波の送信と超音波の受信とを別の場所で行うこととしてもよい。
【0027】
超音波ユニット12は、受信回路21、AD変換手段22、受信メモリ23、データ分離手段24、光音響画像生成手段25、超音波画像生成手段26、画像合成手段27、トリガ制御回路28、サンプリング制御回路29、送信制御回路30、及び制御手段31を有する。制御手段31は、超音波ユニット12内の各部を制御する。受信回路21は、プローブ11が検出した超音波(光音響信号又は反射音響信号)を受信する。AD変換手段22は、サンプリング手段であり、受信回路21が受信した光音響信号及び反射音響信号をサンプリングしてデジタル信号に変換する。AD変換手段22は、例えばADクロック信号に同期して、所定のサンプリング周期で超音波信号をサンプリングする。
【0028】
トリガ制御回路28は、トリガ制御手段であり、レーザユニット13に対して光出射を指示する光トリガ信号を出力する。レーザユニット13は、図示しないYAGやチタン−サファイアなどのレーザ媒質を励起するフラッシュランプ32と、レーザ発振を制御するQスイッチ33とを含む。レーザユニット13は、トリガ制御回路28がフラッシュランプトリガ信号を出力すると、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、例えばフラッシュランプ32がレーザ媒質を十分に励起させると、Qスイッチトリガ信号を出力する。Qスイッチ33は、Qスイッチトリガ信号を受けるとオンし、レーザユニット13からレーザ光を出射させる。フラッシュランプ32の点灯からレーザ媒質が十分な励起状態となるまでに要する時間は、レーザ媒質の特性などから見積もることができる。トリガ制御回路28からQスイッチを制御するのに代えて、レーザユニット13内において、レーザ媒質を十分に励起させた後にQスイッチ33をオンにしてもよい。その場合は、Qスイッチ33をオンにした旨を示す信号を超音波ユニット12側に通知してもよい。ここで、光トリガ信号とは、フラッシュランプトリガ信号とQスイッチトリガ信号の少なくとも一方を含む概念である。トリガ制御回路28からQスイッチトリガ信号を出力する場合はQスイッチトリガ信号が光トリガ信号に対応し、レーザユニット13にてQスイッチトリガのタイミングを生成する場合はフラッシュランプトリガ信号が光トリガ信号に対応していてもよい。
【0029】
また、トリガ制御回路28は、送信制御回路30に、超音波送信を指示する超音波トリガ信号を出力する。送信制御回路30は、超音波トリガ信号を受けると、プローブ11から超音波を送信させる。トリガ制御回路28は、例えば先に光トリガ信号を出力し、その後、超音波トリガ信号を出力する。つまり、トリガ制御回路28は、光トリガ信号の出力に後続して、超音波トリガ信号を出力する。光トリガ信号が出力されることで被検体に対するレーザ光の照射及び光音響信号の検出が行われ、その後、超音波トリガ信号が出力されることで被検体に対する超音波の送信及び反射音響信号の検出が行われる。
【0030】
サンプリング制御回路29は、AD変換手段22に対して、サンプリング開始を指示するサンプリングトリガ信号を出力する。サンプリング制御回路29は、例えばトリガ制御回路28から光トリガ信号が出力されたタイミング以後で、かつ超音波トリガ信号が出力される前に、サンプリングトリガ信号を出力する。サンプリング制御回路29は、光トリガ信号が出力されたタイミング以後、好ましくは、被検体に実際にレーザ光が照射されるタイミングで、サンプリングトリガ信号を出力する。例えばサンプリング制御回路29は、トリガ制御回路28がQスイッチトリガ信号を出力するタイミングに同期して、サンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けると、プローブ11にて検出された超音波(光音響信号)のサンプリングを開始する。
【0031】
トリガ制御回路28は、光トリガ信号の出力後、光音響信号の検出を終了するタイミングで超音波トリガ信号を出力する。このとき、AD変換手段22は超音波信号のサンプリングを中断せず、サンプリングを継続して実施する。言い換えれば、トリガ制御回路28は、AD変換手段22が超音波信号のサンプリングを継続している状態で、超音波トリガ信号を出力する。超音波トリガ信号に応答してプローブ11が超音波送信を行うことで、プローブ11で検出される超音波信号は、光音響信号から反射音響信号に変わる。AD変換手段22は、検出された超音波信号のサンプリングを継続することで、光音響信号と超音波信号とを、連続的にサンプリングする。
【0032】
AD変換手段22は、サンプリングした光音響信号及び超音波信号を、光音響信号と超音波信号とに共通の受信メモリ23に格納する。受信メモリ23には、例えば半導体記憶装置を用いることができる。あるいは、受信メモリ23に、その他の記憶装置、例えば磁気記憶装置を用いてもよい。受信メモリ23に格納されたサンプリングデータは、ある時点までは光音響信号のデータであり、ある時点からは反射音響信号のデータとなる。データ分離手段24は、受信メモリ23に格納された光音響信号と超音波信号とを分離する。データ分離手段24は、分離した光音響信号を光音響画像生成手段25に渡し、超音波信号を超音波画像生成手段26に渡す。
【0033】
光音響画像生成手段25は、光音響信号に基づいて光音響画像を生成する。光音響画像生成手段25は、光音響画像再構成手段251、検波・対数変換手段252、及び光音響画像構築手段253を含む。超音波画像生成手段26は、反射音響信号に基づいて超音波画像を生成する。超音波画像生成手段26は、1/2リサンプル手段261、超音波画像再構成手段262、検波・対数変換手段263、及び超音波画像構築手段264を含む。光音響画像生成手段25及び超音波画像生成手段26内の各部の機能は、コンピュータが所定のプログラムに従って処理を動作することで実現できる。
【0034】
光音響画像再構成手段251は、データ分離手段24から光音響信号を受け取る。光音響画像再構成手段251は、光音響信号に基づいて、断層画像である光音響画像の各ラインのデータを生成する。光音響画像再構成手段251は、例えばプローブ11の64個の超音波振動子からのデータを、超音波振動子の位置に応じた遅延時間で加算し、1ライン分のデータを生成する(遅延加算法)。光音響画像再構成手段251は、遅延加算法に代えて、CBP法(Circular Back Projection)により再構成を行ってもよい。あるいは光音響画像再構成手段251は、ハフ変換法又はフーリエ変換法を用いて再構成を行ってもよい。
【0035】
検波・対数変換手段252は、光音響画像再構成手段251が出力する各ラインのデータの包絡線を生成し、その包絡線を対数変換してダイナミックレンジを広げる。光音響画像構築手段253は、対数変換が施された各ラインのデータに基づいて、光音響画像を生成する。超音波画像構築手段253は、例えば光音響信号(ピーク部分)の時間軸方向の位置を、断層画像における深さ方向の位置に変換して光音響画像を生成する。
【0036】
1/2リサンプル手段261は、データ分離手段24から反射音響信号を受け取り、受け取った反射音響信号を1/2にリサンプルする。1/2リサンプル手段261は、例えば反射音響信号を、時間軸方向に1/2に圧縮する。リサンプルを行う理由は、被検体内の深さ方向の同じ位置で光音響信号及び反射音響信号が発生したとすると、反射音響信号の場合は、プローブ11から送信された超音波がその位置まで進むまでに要する時間が必要なため、超音波送信から反射音響信号検出までの時間が、光照射から光音響信号検出までの時間の倍の時間となるためである。つまり、光音響信号は片道分の時間で検出されるのに対し、反射音響信号は往復分の時間がかかるためである。
【0037】
超音波画像再構成手段262は、リサンプルされた超音波信号に基づいて、断層画像である超音波画像の各ラインのデータを生成する。検波・対数変換手段263は、超音波画像再構成手段262が出力する各ラインのデータの包絡線を生成し、その包絡線を対数変換してダイナミックレンジを広げる。超音波画像構築手段264は、対数変換が施された各ラインのデータに基づいて、超音波画像を生成する。超音波画像生成手段26における超音波画像の生成は、信号が1/2にリサンプルされた超音波信号に代わることを除けば、光音響画像生成手段25における光音響画像の生成と同様でよい。
【0038】
画像合成手段27は、光音響画像生成手段25で生成された光音響画像と、超音波画像生成手段26で生成された超音波画像とを合成する。画像合成手段27は、例えば超音波画像に対して光音響画像を重畳することで、画像合成を行う。画像表示手段14は、画像合成手段27で合成された画像を、表示モニタなどに表示する。画像合成を行わずに、画像表示手段14に、光音響画像と超音波画像とのうちの何れか一方を表示してもよい。あるいは、光音響画像と超音波画像とを並べて表示してもよい。
【0039】
図2は、動作手順を示す。トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(ステップA1)。レーザユニット13では、フラッシュランプトリガ信号に応答してフラッシュランプ32が点灯し、レーザ媒質の励起が開始される(ステップA2)。トリガ制御回路28は、Qスイッチトリガ信号をレーザユニット13に送り、Qスイッチ33をオンさせることで、レーザユニット13からパルスレーザ光を出射させる(ステップA3)。トリガ制御回路28は、例えばフラッシュランプトリガ信号を出力するタイミングと所定の時間関係にあるタイミングでQスイッチトリガ信号を出力する。レーザユニット13から出射したレーザ光は、被検体に照射される。被検体内では、照射されたパルスレーザ光による光音響信号が発生する。プローブ11は、被検体内で発生した光音響信号を検出する。
【0040】
サンプリング制御回路29は、レーザ出射のタイミングに合わせて、AD変換手段22にサンプリングトリガ信号を送る(ステップA4)。サンプリング制御回路29は、例えばトリガ制御回路28がQスイッチトリガ信号を出力するタイミングと同じタイミングでサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、プローブ11で検出された光音響信号を、受信回路21を介して入力し、光音響信号のサンプリングを開始する(ステップA5)。AD変換手段22は、例えばクロック周波数40MHzのADクロック信号に基づいて、1秒あたり40M個(サンプル)のサンプリングレートで光音響信号をサンプリングする。AD変換手段22は、サンプリングした光音響信号を受信メモリ23に格納する(ステップA6)。
【0041】
トリガ制御回路28は、所定のタイミングで、超音波トリガ信号を出力する(ステップA7)。トリガ制御回路28は、例えば、AD変換手段22における、サンプリング開始からのサンプリングデータ数が所定のサンプル数に到達したタイミングに合わせて、超音波トリガ信号を出力する。言い換えれば、トリガ制御回路28は、サンプリング制御回路29がサンプリングトリガ信号を出力するタイミングから所定時間が経過したタイミングで超音波トリガ信号を出力する。このとき、AD変換手段22は、サンプリングを中断せず、サンプリング状態を継続する。
【0042】
プローブ11は、送信制御回路30を介して超音波送信を指示する超音波トリガ信号を受け取ると、被検体に対する超音波送信を行う(ステップA8)。プローブ11は、超音波の送信後、送信した超音波に対する反射音響信号を検出する。AD変換手段22は、光音響信号のサンプリングと連続して、反射音響信号をサンプリングする(ステップA9)。反射音響信号のサンプリングレートは、光音響信号をサンプリングする際のサンプリングレートと同じである。AD変換手段22は、受信メモリ23に、サンプリングした反射音響信号を、格納済みの光音響信号に続けて格納する(ステップA10)。ここで、光音響信号と反射音響信号とは、受信メモリ23に論理的に連続して記録されればよく、必ずしも物理的に連続的に記録されている必要はない。例えば受信メモリ23が複数の半導体メモリチップを含み、複数の半導体メモリチップで1つの論理的なメモリが形成されているとき、光音響信号と反射音響信号とが複数のチップにまたがって記録されていてもよい。AD変換手段22が、反射音響信号を所定のサンプル数だけサンプリングすると、サンプリング終了となる。
【0043】
データ分離手段24は、光音響信号と超音波信号とが連続して格納された受信メモリ23から光音響信号と超音波信号とを分離し、光音響信号を光音響画像生成手段25に渡し、超音波信号を超音波画像生成手段26に渡す(ステップA11)。光音響画像生成手段25は、光音響信号に基づいて光音響画像を生成する(ステップA12)。超音波画像生成手段26は、超音波信号を1/2にリサンプルした上で、超音波画像を生成する(ステップA13)。画像合成手段27は、光音響画像と超音波画像とを合成し(ステップA14)、画像表示手段14の表示画面上に合成画像を表示させる。
【0044】
光音響信号の検出と超音波の送受信とは、プローブ11が有する超音波振動子の範囲の全てで行ってもよく、或いは、光音響信号の検出と超音波の送受信を行う範囲を複数の領域(ブロック)に分割し、領域ごとに行ってもよい。領域に分割し、領域ごとに光音響信号の検出と超音波の送受信とを行う場合は、領域ごとに、光トリガ信号の出力、サンプリングトリガ信号の出力、及び超音波トリガ信号の出力を行い、各領域における光音響信号及び反射音響信号のサンプリングが終了した後に、次の領域に移るようにすればよい。
【0045】
図3は、ブロックの分割例を示す。例えばプローブ11が192個の超音波振動子を有しているとする。被検体50は、プローブ11の直下に、パルスレーザ光の照射により光音響波を発生させる光吸収体51と、超音波が反射する反射体52とを有している。例えば、プローブ11の全192個の超音波振動子を64素子ずつの領域に分割することで、全素子の範囲を、エリアA、エリアB、及びエリアCの3つのエリアに分割する。この場合、光照射、光音響信号の検出、超音波送信、反射音響信号の検出を、3つのエリアのそれぞれで実行すればよい。
【0046】
図4A〜図4Dに、エリアAにおける光照射から光音響信号の検出、及び超音波の送信から反射音響信号の検出を示す。まず、図2のステップA2で、被検体50のエリアAを含む全域にパルスレーザ光を照射する(図4A)。光吸収体51がパルスレーザ光のエネルギーを吸収し、そのエネルギーによる断熱膨張を起こすことで、光吸収体51の位置で光音響信号が発生する。プローブ11は、全192素子のうち、エリアAに対応する64素子で光音響信号を検出する(図4B)。エリアB及びエリアCに対応する残りの超音波振動子は休止状態とする。AD変換手段22(図1)は、ステップA5で、エリアAに対応する64素子で検出された光音響信号をサンプリングし、ステップA6でサンプリングした光音響信号を受信メモリ23に格納する。
【0047】
次いで、ステップA8で、プローブ11の全192素子のうち、エリアAに対応する64素子から超音波を送信する(図4C)。送信された超音波は反射体52で反射し、反射音響信号が発生する。プローブ11は、エリアAに対応する64素子で、反射音響信号を検出する(図4D)。AD変換手段22は、ステップA9で、エリアAに対応する64素子で検出された反射音響信号をサンプリングし、ステップA10で反射音響信号を受信メモリ23に格納する。エリアB及びエリアCについても、同様に、各エリアに対応する超音波振動子を用いて、光音響信号の検出と、超音波の送受信とを行う。
【0048】
図5に、動作例のタイミングチャートを示す。制御手段31は、フレームトリガ信号(a)を生成する。また、1フレームにつき、エリアA〜エリアCに対応した3つのパルスを有するライントリガ信号(b)を生成する。エリアの選択は、エリアA、エリアB、エリアCの順で行うとする。制御手段31は、時刻t0で、フレームトリガ信号のパルスを出力すると共に、ライントリガ信号の1つ目のパルスを出力する。トリガ制御回路28は、1つ目のライントリガ信号のパルスが出力されると、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。
【0049】
トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t1で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。時刻t0から時刻t1までの時間は、レーザの特性に合わせて設定すればよい。Qスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、パルスレーザ光を出力する(g)。受信回路21は、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて光音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を格納していく(f)。
【0050】
受信メモリ23は、例えば被検体の表面から約40mmの深さ位置までに対応したデータ点数分の光音響信号及び反射音響信号のサンプリングデータを格納する。具体的には、受信メモリ23は、深さ方向約40mmに対応した1024点の光音響信号のサンプリングデータと、深さ方向約40mmに対応した2048点の反射音響信号のサンプリングデータとを格納する。この場合、トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から1024個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t2で、超音波トリガ信号を出力する(e)。超音波トリガ信号が出力されると、プローブ11は、エリアAに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアAに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。
【0051】
光音響から超音波への切り替わりに際して、AD変換手段22は、検出信号のサンプリングを中断せずに、サンプリング状態を維持する。AD変換手段22は、光音響信号に続けて、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアAにおける光音響信号と反射音響信号とを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に2048個の反射音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアAにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0052】
制御手段31は、エリアAにおける検出が終了すると、時刻t3で、2つ目のライントリガ信号のパルスを出力する(b)。これを受けて、トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t4で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。Qスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、パルスレーザ光を出力する(g)。
【0053】
受信回路21は、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて光音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を格納していく(f)。トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から1024個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t5で、超音波トリガ信号を出力する(e)。
【0054】
プローブ11は、エリアBに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアBに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。AD変換手段22は、光音響信号に続けて、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアBにおける光音響信号と反射音響信号とを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に2048個の反射音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアBにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0055】
制御手段31は、エリアBにおける検出が終了すると、時刻t6で、3つ目のライントリガ信号のパルスを出力する(b)。これを受けて、トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t7で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。Qスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、パルスレーザ光を出力する(g)。
【0056】
受信回路21は、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて光音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を格納していく(f)。トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から1024個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t8で、超音波トリガ信号を出力する(e)。
【0057】
プローブ11は、エリアCに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアCに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。AD変換手段22は、光音響信号に続けて、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアCにおける光音響信号と反射音響信号とを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に2048個の反射音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアCにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0058】
エリアA〜エリアCの3つのエリアにおいて光音響信号及び反射信号の検出を行うことで、受信メモリ23に、1枚の光音響画像及び超音波画像の生成に必要なデータが揃う。データ分離手段24は、受信メモリ23から、光音響信号と反射音響信号とを分離する。データ分離手段24は、例えば受信メモリ23に格納された各素子の全3072個のサンプリングデータのうち、特定のアドレス範囲にある1024個のサンプリングデータを光音響信号として読み出し、残りの2048個のサンプリングデータを反射音響信号として読み出すことで、光音響信号と反射音響信号とを分離する。あるいは、光音響信号と反射音響信号との間にデータ区切りとなるデリミタを記録しておき、そのデリミタを用いて光音響信号と反射音響信号とを分離してもよい。また、受信メモリ23中の光音響信号及び反射音響信号にヘッダ情報を付加しておき、ヘッダ情報を参照して両者を分離するようにしてもよい。光音響画像生成手段25は、1素子あたり1024個のデータ点を有する光音響信号に基づいて、光音響画像を生成する。一方、超音波画像生成手段26は、1/2リサンプル手段261を用いて、1素子あたり2048個のデータ点を有する反射音響信号を1024個のデータ点にリサンプルした上で、超音波画像を生成する。
【0059】
制御手段31は、エリアCにおける光音響信号及び反射音響信号の検出(サンプリング)が終了すると、時刻t9で、フレームトリガ信号のパルスを出力する(a)。以降の動作は、時刻t0でフレームトリガ信号の1つ目のパルスが出力された以降の動作と同じである。断層画像生成装置10は、各フレームにおいて、エリアごとに、光照射、光音響信号の検出、超音波の送信、及び反射音響信号の検出を行い、光音響画像と超音波画像とを生成する。
【0060】
なお、領域分割を行わない場合は、被検体に対するレーザ光の照射後、192素子で光吸収体51からの光音響信号を検出すればよい。また、192素子から被検体内に超音波を送信し、192素子で反射体52からの反射音響信号を検出すればよい。エリア分割については、上記した分割に限定されるわけではなく、エリアの分割数は3より少なくてもよいし、多くてもよい。上記では、エリア間にオーバーラップが生じていないが、エリア間をオーバーラップさせてもよい。
【0061】
本実施形態では、被検体に対する光照射を行って被検体からの超音波信号(光音響信号)のサンプリングを開始し、サンプリングした光音響信号を受信メモリ23に格納する。また、超音波信号のサンプリング状態を継続したまま超音波送信を行い、被検体からの超音波信号(反射音響信号)をサンプリングして受信メモリ23に格納する。本実施形態では、受信メモリ23を、光音響信号と反射音響信号とに共通のメモリとして用い、AD変換手段22は、光音響信号のサンプリング後、サンプリングを中断することなく反射音響信号のサンプリングを行う。このようにすることで、光音響信号と反射音響信号とをシームレスに取得することができ、光音響信号の取得開始から反射音響信号の取得終了までに要する時間を短縮できる。
【0062】
比較例として、光音響信号を光音響信号用のメモリに格納し、反射音響信号を反射音響信号用のメモリに格納する場合を考える。この場合、AD変換手段22は、光音響信号のサンプリングから反射音響信号のサンプリングへの移行に際して、サンプリングデータを格納すべきメモリを、光音響信号用のメモリから反射音響信号用のメモリに切り替える必要がある。メモリを切り替えるためには、光音響信号の取得が終了した時点で一度サンプリングを中断する必要があり、光音響信号のサンプリング開始から反射音響信号のサンプリング終了までに要する時間が無駄に長くなる。本実施形態では、両信号に共通のメモリを用い、サンプリング状態を維持したまま超音波送信を行うため、比較例に比して、データ取得の所要時間を短縮でき、処理を高速化できる。処理高速化が可能となることで、例えば繰り返し光音響画像及び超音波画像を生成して動画表示する際に、フレームレートを向上してなめらかな動画像を表示することができる。
【0063】
次いで、本発明の第2実施形態を説明する。図6は、本発明の第2実施形態の断層画像生成装置を示す。本実施形態の断層画像生成装置10は、超音波ユニット12a内の構成が、図1に示す第1実施形態の断層画像生成装置10と相違する。超音波ユニット12aは、ADクロック制御回路(サンプリングレート制御手段)34を更に有する。また、本実施形態における超音波画像生成手段26aの構成は、第1実施形態における超音波画像生成手段26の構成から1/2リサンプル手段261を省いた構成である。
【0064】
ADクロック制御回路34は、例えばAD変換手段22に入力するADクロック信号の周波数を制御することで、AD変換手段22におけるデータサンプリングのサンプリングレートを制御する。ADクロック制御回路34は、AD変換手段22が反射音響信号をサンプリングする際のサンプリングレートを、光音響信号をサンプリングする際のサンプリングレートの半分に制御する。例えば、ADクロック制御回路34は、AD変換手段22が光音響信号をサンプリングしているときは、クロック周波数40MHzのADクロック信号を出力し、AD変換手段22に1秒あたり40Mサンプルのサンプリングレートで光音響信号をサンプリングさせる。ADクロック制御回路34は、AD変換手段22が反射音響信号をサンプリングしているときは、クロック周波数20MHzのADクロック信号を出力し、AD変換手段22に1秒あたり20Mサンプルのサンプリングレートで光音響信号をサンプリングさせる。ADクロック制御回路34は、例えばトリガ制御回路28が超音波トリガ信号を出力するタイミングに同期して、ADクロック信号の周波数を半分に下げる。
【0065】
図7は、第2実施形態の断層画像生成装置10aの動作手順を示す。トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(ステップB1)。レーザユニット13では、フラッシュランプトリガ信号に応答してフラッシュランプ32が点灯し、レーザ媒質の励起が開始される(ステップB2)。トリガ制御回路28は、Qスイッチトリガ信号をレーザユニット13に送り、Qスイッチ33をオンさせることで、レーザユニット13からパルスレーザ光を出射させる(ステップB3)。レーザユニット13から出射したレーザ光は、被検体に照射される。被検体内では、照射されたパルスレーザ光による光音響信号が発生する。プローブ11は、被検体内で発生した光音響信号を検出する。
【0066】
サンプリング制御回路29は、レーザ出射のタイミングに合わせて、AD変換手段22にサンプリングトリガ信号を送る(ステップB4)。AD変換手段22は、プローブ11で検出された光音響信号を、受信回路21を介して入力し、光音響信号のサンプリングを開始する(ステップB5)。ADクロック制御回路34は、例えばクロック周波数40MHzのADクロック信号をAD変換手段22に入力している。AD変換手段22は、ADクロック信号に基づいて、1秒あたり40Mサンプルのサンプリングレートで光音響信号をサンプリングする。AD変換手段22は、サンプリングした光音響信号を受信メモリ23に格納する(ステップB6)。
【0067】
トリガ制御回路28は、所定のタイミングで、超音波トリガ信号を出力する(ステップB7)。トリガ制御回路28は、例えば、AD変換手段22における、サンプリング開始からのサンプリングデータ数が所定のサンプル数に到達したタイミングに合わせて、超音波トリガ信号を出力する。言い換えれば、トリガ制御回路28は、サンプリング制御回路29がサンプリングトリガ信号を出力するタイミングから所定時間が経過したタイミングで超音波トリガ信号を出力する。このとき、AD変換手段22は、サンプリングを中断せず、サンプリング状態を継続する。ここまでのステップは、図2に示す第1実施形態における動作手順と同様でよい。
【0068】
ADクロック制御回路34は、超音波送信が行われるタイミングに合わせて、AD変換手段22におけるサンプリングレートを、光音響信号サンプリング時のサンプリングレートの半分に制御する(ステップB8)。言い換えれば、反射音響信号の検出が開始されるタイミングに合わせて、AD変換手段22におけるサンプリングレートを半分に落とす。ADクロック制御回路34は、例えばAD変換手段22に入力されるADクロック信号のクロック周波数を、40MHzから20MHzに変更することで、AD変換手段22におけるサンプリングレートを半分に落とす。
【0069】
プローブ11は、送信制御回路30を介して超音波送信を指示する超音波トリガ信号を受け取ると、被検体に対する超音波送信を行う(ステップB9)。プローブ11は、超音波の送信後、送信した超音波に対する反射音響信号を検出する。AD変換手段22は、光音響信号のサンプリングと連続して、反射音響信号をサンプリングする(ステップB10)。このとき、ADクロック制御回路34がAD変換手段22のサンプリングレートを半分に制御しているため、AD変換手段22は、光音響信号をサンプリングする際のサンプリングレートの半分のサンプリングレートで、反射音響信号をサンプリングする。AD変換手段22は、受信メモリ23に、サンプリングした反射音響信号を、格納済みの光音響信号に続けて格納する(ステップB11)。AD変換手段22が、反射音響信号を所定のサンプル数だけサンプリングすると、サンプリング終了となる。
【0070】
データ分離手段24は、光音響信号と超音波信号とが連続して格納された受信メモリ23から光音響信号と超音波信号とを分離し、光音響信号を光音響画像生成手段25に渡し、超音波信号を超音波画像生成手段26に渡す(ステップB12)。光音響画像生成手段25は、光音響信号に基づいて光音響画像を生成する(ステップB13)。データの分離及び光音響画像の生成は、第1実施形態における動作と同様でよい。超音波画像生成手段26aは、反射音響信号に基づいて超音波画像を生成する(ステップB13)。本実施形態では、反射音響信号のサンプリングレートが光音響信号のサンプリングレートの半分になっているため、超音波画像の生成に際して、1/2リサンプル手段261(図1)を用いてデータ点数を半分にリサンプルする必要がない。画像合成手段27は、光音響画像と超音波画像とを合成し(ステップB14)、画像表示手段14の表示画面上に合成画像を表示させる。
【0071】
図8に、動作例のタイミングチャートを示す。ここでは、図3に示すように、プローブ11の超音波振動子が配列された範囲をエリアA〜エリアCの3つの領域に分割し、エリアA、エリアB、エリアCの順に、光音響信号及び反射音響信号の検出を行うものとする。制御手段31は、フレームトリガ信号(a)を生成する。また、1フレームにつき、エリアA〜エリアCに対応した3つのパルスを有するライントリガ信号(b)を生成する。制御手段31は、時刻t10で、フレームトリガ信号のパルスを出力すると共に、ライントリガ信号の1つ目のパルスを出力する。トリガ制御回路28は、1つ目のライントリガ信号のパルスが出力されると、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。
【0072】
トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t11で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。時刻t10から時刻t11までの時間は、レーザの特性に合わせて設定すればよい。Qスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、パルスレーザ光を出力する(g)。受信回路21は、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて光音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を格納していく(f)。このとき、ADクロック制御回路34は、AD変換手段22に、例えばクロック周波数40MHzのADクロック信号を出力している。
【0073】
受信メモリ23は、例えば被検体の表面から約40mmの深さ位置までに対応したデータ点数分の光音響信号のサンプリングデータを格納する。具体的には、受信メモリ23は、深さ方向約40mmに対応した1024点の光音響信号のサンプリングデータを格納する。この場合、トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から1024個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t12で、超音波トリガ信号を出力する(e)。超音波トリガ信号が出力されると、プローブ11は、エリアAに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアAに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。このとき、ADクロック制御手段34は、AD変換手段22に出力するADクロック信号のクロック周波数を、40MHzから20MHzに変更する。
【0074】
光音響から超音波への切り替わりに際して、AD変換手段22は、検出信号のサンプリングを中断せずに、サンプリング状態を維持する。ただし、ADクロック信号が光音響信号サンプリング時のクロック周波数の半分になっているため、サンプリングレートは半分となる。AD変換手段22は、光音響信号に続けて、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。
【0075】
反射音響信号のサンプリングレートは、光音響信号のサンプリングレートの半分になっているため、光音響信号と同じ点数のサンプリングデータを得るためには、光音響信号のサンプリング時間の倍の時間がかかる。光音響信号と反射音響信号とを同一のサンプリングレートでサンプリングする場合、深さ方向約40mmに対応した反射音響信号のデータ点数は、光音響信号のデータ点数の倍の2048点となる(図5参照)。本実施形態では、サンプリングレートが半分になることで、深さ方向約40mmに対応した反射音響信号のデータ点数は、光音響信号のデータ点数と同じ1024点となる。受信メモリ23に1024個の反射音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアAにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0076】
制御手段31は、エリアAにおける検出が終了すると、時刻t13で、2つ目のライントリガ信号のパルスを出力する(b)。これを受けて、トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t14で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。Qスイッチ33がオンすることで、レーザユニットは、パルスレーザ光を出力する(g)。
【0077】
受信回路21は、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。このとき、ADクロック制御回路34は、AD変換手段22にクロック周波数40MHzのADクロック信号を出力している。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて、1秒あたり40Mサンプルのサンプリングレートで光音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を格納していく(f)。トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から1024個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t15で、超音波トリガ信号を出力する(e)。このとき、ADクロック制御回路34は、ADクロック信号のクロック周波数を40MHzから20MHzに変更する。
【0078】
プローブ11は、エリアBに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアBに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。AD変換手段22は、光音響信号に続けて、1秒あたり20Mサンプルのサンプリングレートで、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングを行い、サンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアBにおける光音響信号と反射音響信号とを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に1024個の反射音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアBにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0079】
制御手段31は、エリアBにおける検出が終了すると、時刻t16で、3つ目のライントリガ信号のパルスを出力する(b)。これを受けて、トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t17で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。Qスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、パルスレーザ光を出力する(g)。
【0080】
受信回路21は、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。このとき、ADクロック制御回路34は、AD変換手段22にクロック周波数40MHzのADクロック信号を出力している。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて、1秒あたり40Mサンプルのサンプリングレートで光音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を格納していく(f)。トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から1024個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t18で、超音波トリガ信号を出力する(e)。このとき、ADクロック制御回路34は、ADクロック信号のクロック周波数を40MHzから20MHzに変更する。
【0081】
プローブ11は、エリアCに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアCに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。AD変換手段22は、光音響信号に続けて、1秒あたり20MHzのサンプリングレートで、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングを行い、サンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアCにおける光音響信号と反射音響信号とを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に1024個の反射音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアCにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0082】
エリアA〜エリアCの3つのエリアにおいて光音響信号及び反射信号の検出を行うことで、受信メモリ23に、1枚の光音響画像及び超音波画像の生成に必要なデータが揃う。データ分離手段24は、受信メモリ23から、光音響信号と反射音響信号とを分離する。データ分離手段24は、例えば受信メモリ23に格納された各素子の全1024個のサンプリングデータのうち、特定のアドレス範囲にある1024個のサンプリングデータを光音響信号として読み出し、残りの1024個のサンプリングデータを反射音響信号として読み出すことで、光音響信号と反射音響信号とを分離する。光音響画像生成手段25は、1素子あたり1024個のデータ点を有する光音響信号に基づいて、光音響画像を生成する。一方、超音波画像生成手段26は、同じく1素子あたり1024個のデータ点を有する反射音響信号に基づいて、超音波画像を生成する。
【0083】
制御手段31は、エリアCにおける光音響信号及び反射音響信号の検出(サンプリング)が終了すると、時刻t19で、フレームトリガ信号のパルスを出力する(a)。以降の動作は、時刻t10でフレームトリガ信号の1つ目のパルスが出力された以降の動作と同じである。断層画像生成装置10は、各フレームにおいて、エリアごとに、光照射、光音響信号の検出、超音波の送信、及び反射音響信号の検出を行い、光音響画像と超音波画像とを生成する。
【0084】
本実施形態では、ADクロック制御回路34は、AD変換手段22における反射音響信号の検出時のサンプリングレートを、光音響信号検出時のサンプリングレートの半分に制御する。このようにすることで、受信メモリ23に格納する光音響信号及び反射音響信号のデータ点数を同じ数にしながらも、光音響画像と超音波画像とで同じ深さ方向の位置まで画像化することができる。本実施形態では、第1実施形態に比して、受信メモリ23に格納する反射音響信号のサンプリングデータ点数を半分にすることができ、受信メモリ23に必要な容量を減らすことができる。その他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0085】
引き続き、本発明の第3実施形態を説明する。図10は、本発明の第3実施形態の光音響画像生成装置を示す。断層画像生成装置10bは、超音波探触子(プローブ)11、超音波ユニット12b、及び光源(レーザユニット)13を備える。超音波ユニット12bは、受信回路21、AD変換手段22、受信メモリ23、データ分離手段24、光音響画像生成手段25b、超音波画像生成手段26、画像合成手段27、トリガ制御回路28、サンプリング制御回路29、送信制御回路30、及び制御手段31を有する。本実施形態では、レーザユニット13から、相互に異なる複数の波長のレーザ光を被検体に照射する。光音響画像生成手段25bは、被検体内の光吸収体における光吸収特性の波長依存性を利用して、例えば動脈と静脈とが判別可能な光音響画像を生成する。
【0086】
本実施形態におけるレーザユニット13は、相互に異なる複数の波長のパルスレーザ光を切り替えて出射する。レーザユニット13から出射したパルスレーザ光は、例えば光ファイバなどの導光手段を用いてプローブ11まで導光され、プローブ11から被検体に向けて照射される。以下の説明においては、主に、レーザユニット13が、第1の波長のパルスレーザ光と第2の波長のパルスレーザ光とを順次に出射するものとして説明する。
【0087】
例えば、第1の波長(中心波長)として約750nmを考え、第2の波長として約800nmを考える。ヒトの動脈に多く含まれる酸素化ヘモグロビン(酸素と結合したヘモグロビン:oxy-Hb)の波長750nmにおける分子吸収係数は、波長800nmにおける分子吸収係数よりも高い。一方、静脈に多く含まれる脱酸素化ヘモグロビン(酸素と結合していないヘモグロビンdeoxy-Hb)の波長750nmにおける分子吸収係数は、波長800nmにおける分子吸収係数よりも低い。この性質を利用し、波長800nmで得られた光音響信号に対して、波長750nmで得られた光音響信号が相対的に大きいのか小さいのかを調べることで、動脈からの光音響信号と静脈からの光音響信号とを判別することができる。
【0088】
プローブ11は、被検体内からの超音波信号(光音響信号又は反射音響信号)を検出する。受信回路21は、プローブ11が検出した超音波信号を受信する。AD変換手段22は、受信回路21が受信した超音波信号をサンプリングする。AD変換手段22は、例えばADクロック信号に同期して、所定のサンプリング周期で超音波信号のサンプリングを行う。AD変換手段22は、反射音響信号をサンプリングした反射超音波データと、光音響信号をサンプリングした光音響データとを、受信メモリ23に格納する。
【0089】
トリガ制御回路28は、レーザユニット13に対して光出射を指示する光トリガ信号を出力する。トリガ制御回路28は、まずフラッシュランプトリガ信号を出力し、それに後続して、Qスイッチトリガ信号を出力する。レーザユニット13は、フラッシュランプトリガ信号に応答してレーザ媒質の励起を行い、Qスイッチトリガ信号に応答してパルスレーザ光を出射する。トリガ制御回路28からQスイッチトリガ信号をレーザユニット13に送信するのに代えて、レーザユニット13内においてQスイッチトリガのタイミングを生成してもよい。その場合は、Qスイッチをオンにした旨を示す信号をレーザユニット13から超音波ユニット12b側に通知してもよい。ここで、光トリガ信号とは、フラッシュランプトリガ信号とQスイッチトリガ信号の少なくとも一方を含む概念である。トリガ制御回路28からQスイッチトリガ信号を出力する場合はQスイッチトリガ信号が光トリガ信号に対応し、レーザユニット13にてQスイッチトリガのタイミングを生成する場合はフラッシュランプトリガ信号が光トリガ信号に対応していてもよい。
【0090】
上記に加えて、トリガ制御回路28は、送信制御回路30に、超音波送信を指示する超音波トリガ信号を出力する。送信制御回路30は、超音波トリガ信号を受けると、プローブ11から超音波を送信させる。トリガ制御回路28は、例えば先に光トリガ信号を出力し、次いで超音波トリガ信号を出力する。つまり、トリガ制御回路28は、光トリガ信号の出力に後続して、超音波トリガ信号を出力する。光トリガ信号が出力されることで被検体に対するレーザ光の照射及び光音響信号の検出が行われ、その後、超音波トリガ信号が出力されることで被検体に対する超音波の送信及び反射音響信号の検出が行われる。
【0091】
サンプリング制御回路29は、AD変換手段22に対して、サンプリング開始を指示するサンプリングトリガ信号を出力する。サンプリング制御回路29は、例えばトリガ制御回路28から光トリガ信号が出力されたタイミング以後で、かつ超音波トリガ信号が出力される前に、サンプリングトリガ信号を出力する。サンプリング制御回路29は、光トリガ信号が出力された後、好ましくは、被検体に実際にレーザ光が照射されるタイミングで、サンプリングトリガ信号を出力する。例えばサンプリング制御回路29は、トリガ制御回路28がQスイッチトリガ信号を出力するタイミングに同期して、サンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けると、プローブ11にて検出された超音波(光音響信号)のサンプリングを開始する。
【0092】
トリガ制御回路28は、光トリガ信号の出力後、光音響信号の検出を終了するタイミングで超音波トリガ信号を出力する。このとき、AD変換手段22は超音波信号のサンプリングを中断せず、サンプリングを継続して実施する。言い換えれば、トリガ制御回路28は、AD変換手段22が超音波信号のサンプリングを継続している状態で、超音波トリガ信号を出力する。超音波トリガ信号に応答してプローブ11が超音波送信を行うことで、プローブ11で検出される超音波信号は、光音響信号から反射音響信号に変わる。AD変換手段22は、検出された超音波信号のサンプリングを継続することで、光音響信号と反射音響信号とを、連続的にサンプリングする。
【0093】
AD変換手段22は、サンプリングした光音響信号及び反射音響信号を、光音響信号と反射音響信号とに共通の受信メモリ23に格納する。受信メモリ23に格納されたサンプリングデータは、ある時点までは光音響信号のデータであり、ある時点からは反射音響信号のデータとなる。
【0094】
光音響信号のサンプリング及び反射音響信号のサンプリングは、例えばレーザユニット13が出射する光の波長の数だけ繰り返し行う。例えばまずレーザユニット13から第1の波長の光を被検体に照射し、被検体に第1の波長のパルスレーザ光が照射されたときにプローブ11で検出された第1の光音響信号(第1の光音響データ)を受信メモリ23に格納する。その第1の光音響データと連続して、受信メモリ23に反射超音波データを格納する。次いで、レーザユニット13から第2の波長の光を被検体に照射し、第2の波長のパルスレーザ光が照射されたときにプローブ11で検出された第2の光音響信号(第2の光音響データ)を受信メモリ23に格納する。その第2の光音響データと連続して、受信メモリ23に反射超音波データを格納する。
【0095】
データ分離手段24は、受信メモリ23に格納された超音波データと、第1及び第2の光音響データとを分離する。データ分離手段24は、第1及び第2の光音響データを、光音響画像生成手段25bに渡す。また、反射超音波データを、超音波画像生成手段26に渡す。超音波画像生成手段26における超音波画像の生成は、第1実施形態における超音波画像の生成と同様でよい。
【0096】
光音響画像生成手段25bは、光音響画像再構成手段251、検波・対数変換手段252、及び光音響画像構築手段253に加えて、2波長データ複素数化手段254、強度情報抽出手段255、及び2波長データ演算手段256を有する。2波長データ複素数化手段254は、第1の光音響信号と第2の光音響信号のうちの何れか一方を実部、他方を虚部とした複素数データを生成する。以下では、2波長データ複素数化手段254が、第1の光音響信号を実部とし、第2の光音響信号を虚部とした複素数データを生成するものとして説明する。
【0097】
光音響画像再構成手段251は、2波長データ複素数化手段254から光音響データである複素数データを入力し、光音響データの再構成を行う。光音響画像再構成手段251は、入力された複素数データから、フーリエ変換法(FTA法)により画像再構成を行う。フーリエ変換法による画像再構成には、例えば文献”Photoacoustic Image Reconstruction-A Quantitative Analysis”Jonathan I.Sperl et al. SPIE-OSA Vol.6631 663103 等に記載されている従来公知の方法を適用することができる。光音響画像再構成手段251は、再構成画像を示すフーリエ変換のデータを強度情報抽出手段255と2波長データ演算手段256とに入力する。
【0098】
2波長データ演算手段256は、各波長に対応した光音響データ間の相対的な信号強度の大小関係を抽出する。本実施形態では、2波長データ演算手段256は、光音響画像再構成手段251で再構成された再構成画像を入力データとし、複素数データである入力データから、実部と虚部とを比較したときに、相対的に、どちらがどれくらい大きいかを示す位相情報を抽出する。2波長データ演算手段256は、例えば複素数データがX+iYで表わされるとき、θ=tan−1(Y/X)を位相情報として生成する。なお、X=0の場合はθ=90°とする。実部を構成する第1の光音響データ(X)と虚部を構成する第2の光音響データ(Y)とが等しいとき、位相情報はθ=45°となる。位相情報は、相対的に第1の光音響データが大きいほどθ=0°に近づいていき、第2の光音響データが大きいほどθ=90°に近づいていく。
【0099】
強度情報抽出手段255は、各波長に対応した光音響データに基づいて信号強度を示す強度情報を生成する。本実施形態では、強度情報抽出手段255は、光音響画像再構成手段251で再構成された再構成画像を入力データとし、複素数データである入力データから、強度情報を生成する。強度情報抽出手段255は、例えば複素数データがX+iYで表わされるとき、(X2+Y2)1/2を、強度情報として抽出する。検波・対数変換手段252は、強度情報抽出手段255で抽出された強度情報を示すデータの包絡線を生成し、次いでその包絡線を対数変換してダイナミックレンジを広げる。
【0100】
光音響画像構築手段253は、2波長データ演算手段256から位相情報を入力し、検波・対数変換手段252から検波・対数変換処理後の強度情報を入力する。光音響画像構築手段253は、入力された位相情報と強度情報とに基づいて、光吸収体の分布画像である光音響画像を生成する。光音響画像構築手段253は、例えば入力された強度情報に基づいて、光吸収体の分布画像における各画素の輝度(階調値)を決定する。また、光音響画像構築手段253は、例えば位相情報に基づいて、光吸収体の分布画像における各画素の色(表示色)を決定する。光音響画像構築手段253は、例えば例えば位相0°から90°の範囲を所定の色に対応させたカラーマップに用いて、入力された位相情報に基づいて各画素の色を決定する。
【0101】
ここで、位相0°から45°の範囲は、第1の光音響データが第2の光音響データよりも大きい範囲であるため、光音響信号の発生源は、波長798nmの光に対する吸収よりも波長756nmの光に対する吸収の方が大きい酸素化ヘモグロビンを主に含む血液が流れている動脈であると考えられる。一方、位相45°から90°の範囲は、第2の光音響データが第1の光音響データよりも小さい範囲であるため、光音響信号の発生源は、波長798nmの光に対する吸収よりも波長756nmの光に対する吸収の方が小さい脱酸素化ヘモグロビンを主に含む血液が流れている静脈であると考えられる。
【0102】
そこで、カラーマップとして、例えば位相が0°が赤色で、位相が45°に近づくに連れて無色(白色)になるように色が徐々に変化すると共に、位相90°が青色で、位相が45°に近づくに連れて白色になるように色が徐々に変化するようなカラーマップを用いる。この場合、光音響画像上で、動脈に対応した部分を赤色で表わし、静脈に対応した部分を青色で表わすことができる。強度情報を用いずに、階調値は一定として、位相情報に従って動脈に対応した部分と静脈に対応した部分との色分けを行うだけでもよい。
【0103】
画像合成手段27は、光音響画像構築手段253で生成された光音響画像と、超音波画像構築手段264で生成された超音波画像とを合成する。合成された画像は、画像表示手段14に表示される。画像合成を行わずに、画像表示手段14に、光音響画像と超音波画像とを並べて表示し、或いは光音響画像と超音波画像とを切り替えて表示することも可能である。
【0104】
続いて、レーザユニット13の構成を詳細に説明する。図10は、レーザユニット13の構成を示す。レーザユニット13は、レーザロッド61、フラッシュランプ62、ミラー63、64、Qスイッチ65、波長選択素子66、駆動手段67、駆動状態検出手段68、及びBPF制御回路69を有する。フラッシュランプ62及びQスイッチ65は、それぞれ図1におけるフラッシュランプ32及びQスイッチ33に対応する。
【0105】
レーザロッド61は、レーザ媒質である。レーザロッド61には、例えばアレキサンドライト結晶やCr:LiSAF(Cr:LiSrAlF6),Cr:LiCAF(Cr:LiCaAlF6)結晶,Ti:Sapphire結晶を用いることができる。フラッシュランプ62は、レーザ媒質を励起する励起手段であり、レーザロッド61に励起光を照射する。フラッシュランプ62以外の光源、例えば半導体レーザや固体レーザを、励起光源として用いてもよい。
【0106】
ミラー63、64は、レーザロッド61を挟んで対向しており、ミラー63、64により光共振器が構成される。ここでは、ミラー64が出力側のミラーであるとする。光共振器内には、Qスイッチ65が挿入される。Qスイッチ65により、光共振器内の挿入損失を損失大(低Q)から損失小(高Q)へと急速に変化させることで、パルスレーザ光を得ることができる。
【0107】
波長選択素子66は、透過波長が相互に異なる複数のバンドパスフィルタ(BPF:Band Pass Filter)を含む。波長選択素子66は、複数のバンドパスフィルタを光共振器の光路上に選択的に挿入する。波長選択素子66は、例えば波長750nm(中心波長)の光を透過させる第1のバンドパスフィルタと、波長800nm(中心波長)の光を透過させる第2のバンドパスフィルタとを含む。光共振器の光路上に第1のバンドパスフィルタを挿入することで、光発振器の発振波長を750nmとすることができ、光共振器の光路上に第2のバンドパスフィルタを挿入することで、光発振器の発振波長を800nmとすることができる。
【0108】
駆動手段67は、光共振器の光路上に挿入されるバンドパスフィルタが所定の順序で順次に切り替わるように波長選択素子66を駆動する。例えば波長選択素子66が、回転変位に伴って光共振器の光路上に選択的に挿入するバンドパスフィルタを切り替えるフィルタ回転体で構成されているとき、駆動手段67は、波長選択素子66を構成するフィルタ回転体を回転駆動する。駆動状態検出手段68は、波長選択素子66の駆動状態を検出する。駆動状態検出手段68は、例えばフィルタ回転体である波長選択素子66の回転変位を検出する。駆動状態検出手段68は、フィルタ回転体の回転変位位置を示すBPF状態情報を出力する。
【0109】
図11は、波長選択素子66、駆動手段67、及び駆動状態検出手段58の構成例を示す。この例では、波長選択素子66は2つのバンドパスフィルタを含むフィルタ回転体であり、駆動手段67はサーボモータである。また、駆動状態検出手段58はロータリーエンコーダーである。波長選択素子66は、サーボモータの出力軸の回転に従って回転する。波長選択素子66を構成するフィルタ回転体の半分(例えば回転変位位置0°から180°)は波長750nmの光を透過させる第1のバンドパスフィルタであり、残りの半分(例えば回転変位位置180°から360°)は波長800nmの光を透過させる第2のバンドパスフィルタである。このようなフィルタ回転体を回転させることで、光共振器の光路上に、第1のバンドパスフィルタと第2のバンドパスフィルタとを、フィルタ回転体の回転速度に応じた切り替え速度で交互に挿入することができる。
【0110】
駆動状態検出手段68を構成するロータリーエンコーダーは、サーボモータの出力軸に取り付けられたスリット入りの回転板と透過型フォトインタラプタとで、波長選択素子66であるフィルタ回転体の回転変位を検出し、BPF状態情報を生成する。駆動状態検出手段68は、フィルタ回転体の回転変位位置を示すBPF状態情報をBPF制御回路69に出力する。
【0111】
図10に戻り、BPF制御回路69は、駆動手段67を制御する。BPF制御回路69は、例えば所定時間の間に駆動状態検出手段68が検出した回転変位の量が、フィルタ回転体の所定の回転速度に応じた量になるように駆動手段67に供給する電圧などを制御する。トリガ制御回路28は、BPF制御信号を通じて、BPF制御回路69に、フィルタ回転体の回転速度を指示する。BPF制御回路69は、例えばBPF状態情報をモニタし、所定時間の間に駆動状態検出手段68で検出される波長選択素子66の変位量が、指示された回転速度に対応した量に保たれるように、サーボモータに供給する電圧などを制御する。BPF制御回路69を用いるのに代えて、トリガ制御回路28がBPF状態情報をモニタし、波長選択素子66が所定の速度で駆動されるように、駆動手段67を制御するようにしてもよい。
【0112】
図9に戻り、制御手段31は、超音波ユニット12b内の各部の制御を行う。トリガ制御回路28は、前述の動作に加え、レーザユニット13内の波長選択素子66が光共振器の光路上に挿入するバンドパスフィルタが所定の切替え速度で切り替わるように、BPF制御回路69を制御する。トリガ制御回路28は、例えば、波長選択素子66を構成するフィルタ回転体を、所定の方向に所定の回転速度で連続的に回転させる旨のBPF制御信号を、BPF制御回路69に出力する。フィルタ回転体の回転速度は、例えばレーザユニット13から出射すべきパルスレーザ光の波長の数(バンドパスフィルタの透過波長の数)と、単位時間当たりのパルスレーザの個数とに基づいて決定できる。
【0113】
トリガ制御回路28は、レーザユニット13に、フラッシュランプ62(図10)からレーザロッド61へ励起光を照射させる旨のフラッシュランプトリガ信号を出力する。フラッシュランプ62は、フラッシュランプトリガ信号に応答してレーザロッド61に励起光を照射する。トリガ制御回路28は、BPF状態信号に基づいて、フラッシュランプトリガ信号を出力する。例えばトリガ制御回路28は、BPF状態情報が、出射すべきパルスレーザ光の波長に対応したバンドパスフィルタが光共振器の光路上に挿入される波長選択素子66の駆動位置から、レーザロッド61の励起に要する時間の間に波長選択素子66が変位する量を差し引いた位置を示す情報になるとフラッシュランプトリガ信号を出力し、レーザロッド61に対して励起光を照射させる。トリガ制御回路28は、例えば所定の時間間隔で周期的にフラッシュランプトリガ信号を出力する。
【0114】
トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、レーザユニット13のQスイッチ65にQスイッチトリガ信号を出力する。トリガ制御回路28は、波長選択素子66が、出射すべきパルスレーザ光の波長に対応した透過波長のバンドパスフィルタを光共振器の光路上に挿入しているタイミングでQスイッチトリガ信号を出力する。例えば波長選択素子66がフィルタ回転体で構成されるとき、トリガ制御回路28は、BPF状態情報が、出射すべきパルスレーザ光の波長に対応したバンドパスフィルタが光共振器の光路上に挿入されていることを示す位置となっているときに、Qスイッチトリガ信号を出力する。Qスイッチ65が、Qスイッチトリガ信号に応答して光共振器内の挿入損失を損失大から損失小に急激に変化させることで、出力側のミラー64からパルスレーザ光が出射する。
【0115】
図12に、動作例のタイミングチャートを示す。ここでは、プローブ11が超音波信号を検出する範囲が、図3に示すように、エリアA、エリアB、及びエリアCの3つのエリアに分割されているものとする。制御手段31は、フレームトリガ信号(a)を生成する。フレームレートは、例えば10フレーム/秒である。また、制御手段31は、750nmと800nmの各波長に対し、1フレームにつき、エリアA〜エリアCに対応した3つのパルスを有するライントリガ信号(b)を生成する。被検体に照射する光の波長が2つあるため、1フレームあたりのライントリガのパルスは6つになる。エリアの選択は、エリアA、エリアB、エリアCの順で行うとする。また、被検体に対して、750nm、800nmの光を交互に照射するこことする。
【0116】
制御手段31は、時刻t20で、フレームトリガ信号のパルスを出力すると共に、ライントリガ信号の1つ目のパルスを出力する。トリガ制御回路28は、1つ目のライントリガ信号のパルスが出力されると、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ62を点灯し、レーザ媒質を励起する。
【0117】
トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t21で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。このとき、波長選択素子66は、波長750nmの光を透過するバンドパスフィルタを光共振器の光路上に挿入している(g)。時刻t20から時刻t21までの時間は、レーザの特性に合わせて設定すればよい。Qスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、波長750nmのパルスレーザ光を出力する(h)。
【0118】
受信回路21は、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて光音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号のサンプリングデータ(第1の光音響データ)を格納していく(f)。
【0119】
受信メモリ23は、例えば被検体の表面から約40mmの深さ位置までに対応したデータ点数分の光音響信号及び反射音響信号のサンプリングデータを格納する。具体的には、受信メモリ23は、深さ方向約40mmに対応した1024点の光音響信号のサンプリングデータと、深さ方向約40mmに対応した2048点の反射音響信号のサンプリングデータとを格納する。この場合、トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から1024個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t22で、超音波トリガ信号を出力する(e)。超音波トリガ信号が出力されると、プローブ11は、エリアAに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアAに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。
【0120】
光音響から超音波への切り替わりに際して、AD変換手段22は、検出信号のサンプリングを中断せずに、サンプリング状態を維持する。AD変換手段22は、光音響信号に続けて、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアAにおける第1の光音響データと反射超音波データとを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に2048個の反射音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアAにおける波長750nmの光に対する光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0121】
制御手段31は、波長750nmでの検出が終了すると、時刻t23で、2つ目のライントリガ信号のパルスを出力する(b)。これを受けて、トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ62を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t24で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。このとき、波長選択素子66は、波長800nmの光を透過するバンドパスフィルタを光共振器の光路上に挿入している(g)。Qスイッチ65がオンすることで、レーザユニット13は、波長800nmのパルスレーザ光を出力する(h)。
【0122】
受信回路21は、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて光音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号のサンプリングデータ(第2の光音響データ)を格納していく(f)。トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から1024個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t25で、超音波トリガ信号を出力する(e)。
【0123】
プローブ11は、エリアAに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアAに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。AD変換手段22は、光音響信号に続けて、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアAにおける第2の光音響データと反射超音波データとを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に2048個の反射音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアAにおける波長800nmの光に対する光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。2つの波長の光に対する光音響信号の検出が終わると、エリアAにおける検出が終了する。
【0124】
エリアAにおける検出が終了すると、次いで、エリアBの検出に移る。エリアBにおける検出は、エリアAにおける検出と同様である。すなわち、波長選択素子66が光共振器の光路上に波長750nmの光を透過するバンドパスフィルタを挿入しているタイミングでQスイッチトリガ信号を出力し、波長750nmの光を被検体に照射して第1の光音響データを受信メモリ23に格納する。それと連続して超音波の送受信を行い、第1の光音響データと連続して反射超音波データを受信メモリ23に格納する。続いて、波長選択素子66が光共振器の光路上に波長800nmの光を透過するバンドパスフィルタを挿入しているタイミングでQスイッチトリガ信号を出力し、波長800nmの光を被検体に照射して第2の光音響データを受信メモリ23に格納する。それと連続して超音波の送受信を行い、第2の光音響データと連続して反射超音波データを受信メモリ23に格納する。
【0125】
エリアBにおける検出が終了すると、続いて、エリアCの検出に移る。エリアCにおける検出もエリアにおける検出と同様である。エリアA〜エリアCの各エリアにおいて、波長750nmと波長800nmに対して光音響信号及び反射信号の検出を行うことで、受信メモリ23に、光音響画像及び超音波画像の生成に必要なデータが揃う。データ分離手段24は、受信メモリ23から、光音響データと反射超音波データとを分離する。データ分離手段24は、例えば受信メモリ23に格納された各素子の全3072個のサンプリングデータのうち、特定のアドレス範囲にある1024個のサンプリングデータを第1又は第2の光音響データとして読み出し、残りの2048個のサンプリングデータを反射超音波データとして読み出すことで、光音響データと反射超音波データとを分離する。光音響画像生成手段25は、各波長につき、1素子あたり1024個のデータ点を有する第1及び第2の光音響データに基づいて、光音響画像を生成する。一方、超音波画像生成手段26は、1/2リサンプル手段261を用いて、1素子あたり2048個のデータ点を有する反射超音波データを1024個のデータ点にリサンプルした上で、超音波画像を生成する。
【0126】
制御手段31は、エリアCにおける光音響信号及び反射音響信号の検出(サンプリング)が終了すると、2つ目のフレームトリガ信号のパルスを出力する(a)。以降の動作は、時刻t20でフレームトリガ信号の1つ目のパルスが出力された以降の動作と同じである。断層画像生成装置10は、各フレームにおいて、エリアごとに、2つの波長の光の照射、光音響信号の検出、超音波の送信、及び反射音響信号の検出を行い、光音響画像と超音波画像とを生成する。
【0127】
本実施形態では、レーザユニット13が波長選択素子66を含んでおり、レーザユニット13から、相互に異なる複数の波長のレーザ光を被検体に照射することができる。例えば、透過波長が異なる2つのバンドパスフィルタを含む波長選択素子66を連続的に駆動することで、2つのバンドパスフィルタを連続的、かつ選択的に光共振器の光路上に挿入することができ、レーザユニット13から複数波長のレーザ光を連続的に切り換えて出射することができる。複数の波長のパルスレーザ光を照射したときの光音響信号(光音響データ)を用いることで、各光吸収体の光吸収特性が波長に応じて異なることを利用した機能イメージングを行うことができる。
【0128】
また、本実施形態では、2つの波長で得られた第1の光音響データと、第2の光音響データとの何れか一方を実部、他方を虚部とした複素数データを生成し、その複素数データからフーリエ変換法により再構成画像を生成している。このようにする場合、再構成は一度で済むため、第1の光音響データと第2の光音響データとを別々に再構成する場合に比して、再構成を効率的に行うことができる。光音響データと反射超音波データとを一連のデータとしてサンプリングすることで、光音響信号の取得開始から反射音響信号の取得終了までに要する時間を短縮できる点は、第1実施形態と同様である。
【0129】
なお、上記各実施形態では、光音響信号のサンプリングを先に行い、それに後続して反射音響信号のサンプリングを行うこととしたが、反射音響信号のサンプリングを先に行い、それに続いて光音響信号のサンプリングを行うこととしてもよい。例えば図1に示す第1実施形態の断層画像生成装置10において、超音波の送受信を先に行い、それに後続して被検体に対する光照射及び光音響信号の検出を行ってもよい。図13は、その場合の動作例を示す。ここでも、図5の例と同様に、1つのフレームトリガ信号のパルス(a)に対して、エリアA〜エリアCに対応した3つのライントリガ信号のパルス(b)が出力されるものとする。
【0130】
制御手段31は、時刻t30で、フレームトリガ信号のパルス(a)を出力すると共に、ライントリガ信号の1つ目のパルス(b)を出力する。トリガ制御回路28は、1つ目のライントリガ信号のパルスが出力されると、送信制御回路30に、超音波トリガ信号を出力する(e)。超音波トリガ信号が出力されると、プローブ11は、エリアAに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアAに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。
【0131】
受信回路21は、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、超音波送信のタイミングに同期してAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて反射音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを格納していく(f)。
【0132】
トリガ制御回路28は、超音波トリガ信号の出力後、時刻t31で、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t32で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。時刻t31から時刻t32までの時間は、レーザの特性に合わせて設定すればよい。Qスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、パルスレーザ光を出力する(g)。
【0133】
レーザユニット13がパルスレーザ光を出射するタイミングは、反射音響信号のサンプリング終了のタイミングと一致している。例えばトリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から2048個目のデータをサンプリングするタイミングでパルスレーザ光が被検体に照射されるように、フラッシュランプトリガ信号及びQスイッチトリガ信号を出力する。
【0134】
被検体に対する光の照射後、受信回路21は、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。超音波から光音響への切り替わりに際して、AD変換手段22は、検出信号のサンプリングを中断せずに、サンプリング状態を維持する。AD変換手段22は、反射音響信号に続けて、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアAにおける反射超音波データと光音響データとを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に1024個の光音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアAにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0135】
制御手段31は、エリアAにおける検出が終了すると、時刻t33で、2つ目のライントリガ信号のパルスを出力する(b)。これを受けて、トリガ制御回路28は、送信制御回路30に超音波トリガ信号を出力する(e)。プローブ11は、エリアBに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアBに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。
【0136】
受信回路21は、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、超音波送信のタイミングに同期してAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて反射音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを格納していく(f)。
【0137】
トリガ制御回路28は、超音波トリガ信号の出力後、時刻t34で、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から2048個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t35で、Qスイッチトリガ信号を出力する(e)。Qスイッチトリガ信号に応答してQスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、パルスレーザ光を出力する(g)。
【0138】
被検体に対する光の照射後、受信回路21は、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。AD変換手段22は、反射音響信号に続けて、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアBにおける反射超音波データと光音響データとを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に1024個の光音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアBにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0139】
制御手段31は、エリアBにおける検出が終了すると、時刻t36で、3つ目のライントリガ信号のパルスを出力する(b)。これを受けて、トリガ制御回路28は、送信制御回路30に、超音波トリガ信号を出力する(e)。プローブ11は、エリアCに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアCに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。
【0140】
受信回路21は、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、超音波送信のタイミングに同期してAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて反射音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを格納していく(f)。
【0141】
トリガ制御回路28は、超音波トリガ信号の出力後、時刻t37で、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から2048個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t38で、Qスイッチトリガ信号を出力する(e)。Qスイッチトリガ信号に応答してQスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、パルスレーザ光を出力する(g)。
【0142】
被検体に対する光の照射後、受信回路21は、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。AD変換手段22は、反射音響信号に続けて、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアCにおける反射超音波データと光音響データとを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に1024個の光音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアCにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0143】
エリアA〜エリアCの3つのエリアにおいて光音響信号及び反射信号の検出を行うことで、受信メモリ23に、1枚の光音響画像及び超音波画像の生成に必要なデータが揃う。制御手段31は、エリアCにおける光音響信号及び反射音響信号の検出(サンプリング)が終了すると、時刻t39で、フレームトリガ信号のパルスを出力する(a)。以降の動作は、時刻t30でフレームトリガ信号の1つ目のパルスが出力された以降の動作と同じである。以上のような動作でも、第1実施形態と同様な効果が得られる。第2実施形態において超音波の送受信を先に行う場合は、光照射のタイミングに同期して、サンプリングレートを反射音響信号検出時の倍のサンプリングレートに制御すればよい。
【0144】
また、図4Aでは、プローブ11から光照射を行う例を示したが、光の照射場所は任意であり、これには限定されない。図14に、プローブ11と対向する位置から光照射する例を示す。被検体50は、プローブ11の直下に、パルスレーザ光の照射により光音響波を発生させる光吸収体51と、超音波が反射する反射体52とを有している。プローブ11と被検体50を挟んで対向する位置には、光照射部としての導光板53が設けられる。導光板53には、光ファイバ54などの導光手段を用いて、レーザユニット13からの光が導光される。
【0145】
図15は、光照射の様子を示す。この例では、光ファイバ54などを用いて導光板53に導光された光は、プローブ11と対向する位置から被検体50に向けて照射される。図4Aに示した例との違いは、図4Aでは超音波検出面と同じ面から光が照射されるのに対し、図15では超音波検出面とは対向する位置から光が照射される点である。光音響信号及び反射音響信号の検出は、第1実施形態で説明したものと同様でよい(図4B〜図4D)。
【0146】
第3実施形態では、第1の光音響データと第2の光音響データとを複素数化する例について説明したが、複素数化せずに、第1の光音響データと第2の光音響データとを別々に再構成してもよい。また、再構成の手法は、フーリエ変換法には限定されない。さらに、第3実施形態においては、複素数化して位相情報を用いて第1の光音響データと第2の光音響データの比を計算しているが、両者の強度情報から比を計算しても同様の効果が得られる。また、強度情報は、第1の再構成画像における信号強度と、第2の再構成画像における信号強度とに基づいて生成できる。
【0147】
光音響画像の生成に際して、被検体に照射されるパルスレーザ光の波長の数は2つには限られず、3以上のパルスレーザ光を被検体に照射し、各波長に対応する光音響データに基づいて光音響画像を生成してもよい。その場合、例えば2波長データ演算手段256は、各波長に対応する光音響データ間での相対的な信号強度の大小関係を位相情報として生成すればよい。また、強度情報抽出手段255は、例えば各波長に対応する光音響データにおける信号強度を1つにまとめたものを強度情報として生成すればよい。
【0148】
第3実施形態では、主に、波長選択素子66が、2つのバンドパスフィルタ領域を含むフィルタ回転体で構成される例を説明したが、波長選択素子66は、光共振器内で発振する光の波長を変化させるものであればよく、フィルタ回転体の構成には限定されない。例えば、波長選択素子66を、複数のバンドパスフィルタを円周状に配置した回転体で構成してもよい。波長選択素子66は回転体である必要はなく、例えば、複数のバンドパスフィルタを一列に並べたものでもよい。その場合、複数のバンドパスフィルタが循環的に光共振器の光路上に挿入されるよう波長選択素子66を駆動してもよいし、一列に並べられた複数のバンドパスフィルタが光共振器の光路上を横切るように波長選択素子66を往復駆動させてもよい。バンドパスフィルタに代えて、複屈折フィルタなどの波長選択素子を用いることも可能である。また、2波長選択において、両者のゲインが異なる場合は、バンドパスフィルタの代わりにロングパスフィルタ又はショートパスフィルタを使用してもよい。例えばアレキサンドライトレーザで、800nmと750nmとを切り替えて出射する場合、750nmの方が高ゲインであるため、800nmと750nmのロングパスフィルターの組み合わせでも、それぞれの波長の選択が可能である。
【0149】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の断層画像生成装置及び方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0150】
10:断層画像生成装置
11:プローブ
12:超音波ユニット
13:レーザユニット
14:画像表示手段
21:受信回路
22:AD変換手段
23:受信メモリ
24:データ分離手段
25:光音響画像生成手段
26:超音波画像生成手段
27:画像合成手段
28:トリガ制御回路
29:サンプリング制御回路
30:送信制御回路
31:制御手段
32:フラッシュランプ
33:Qスイッチ
34:ADクロック制御回路
50:被検体
51:光吸収体
52:反射体
53:導光板
54:光ファイバ
61:レーザロッド
62:フラッシュランプ
63、64:ミラー
65:Qスイッチ
66:波長選択素子
67:駆動手段
68:駆動状態検出手段
69:BPF制御回路
251:光音響画像再構成手段
252:検波・対数変換手段
253:光音響画像構築手段
254:2波長データ複素数化手段
255:強度情報抽出手段
256:2波長データ演算手段
261:1/2リサンプル手段
262:超音波画像再構成手段
263:検波・対数変換手段
264:超音波画像構築手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、断層画像生成装置及び方法に関し、更に詳しくは、反射超音波に基づく超音波画像と、光音響信号に基づく光音響画像とを生成する断層画像生成装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内部の状態を非侵襲で検査できる画像検査法の一種として、超音波検査法が知られている。超音波検査では、超音波の送信及び受信が可能な超音波探触子を用いる。超音波探触子から被検体(生体)に超音波を送信させると、その超音波は生体内部を進んでいき、組織界面で反射する。超音波探触子でその反射音波を受信し、反射超音波が超音波探触子に戻ってくるまでの時間に基づいて距離を計算することで、内部の様子を画像化することができる。
【0003】
また、光音響効果を利用して生体の内部を画像化する光音響イメージングが知られている。一般に光音響イメージングでは、パルスレーザ光を生体内に照射する。生体内部では、生体組織がパルスレーザ光のエネルギーを吸収し、そのエネルギーによる断熱膨張により超音波(光音響信号)が発生する。この光音響信号を超音波プローブなどで検出し、検出信号に基づいて光音響画像を構成することで、光音響信号に基づく生体内の可視化が可能である。
【0004】
光音響画像と超音波画像とを生成可能な装置が、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の生体情報映像装置は、光音響画像データの収集開始コマンドが入力されると、被検体に対するレーザ照射と、レーザ照射により生じた光音響信号の受信とを行う。生体情報映像装置は、受信信号に基づいて光音響画像を生成し、生成した光音響画像を、光音響画像データ用の画像データメモリAに保存する。生体情報映像装置は、光音響画像の生成後、超音波画像データの収集開始コマンドが入力されると、超音波の送受信を行い、受信した超音波に基づいて超音波画像を生成する。生体情報映像装置は、生成した超音波画像を、超音波画像データ用の画像データメモリBに保存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】2010−12295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、光音響画像と超音波画像との双方が生成可能な装置においては、特許文献1と同様に、光音響画像と超音波画像とを別個のメモリに格納する。例えば画像構築前の、受信した光音響信号及び超音波信号をメモリに格納する場合も、やはり光音響信号を格納するためのメモリと超音波信号を格納するためのメモリとを個別に設け、双方の信号を別個のメモリに格納する。この場合において、光音響信号の受信に続いて超音波信号の受信を行うことを考えると、光音響信号の受信が完了した後にメモリの切替えを行う必要があり、メモリの切替えが完了するまでは、超音波信号の受信を行うことができない。この場合、メモリの切替えに必要な時間だけ無駄な時間が生じ、この無駄な時間が処理高速化の妨げとなっていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑み、光音響信号と超音波信号との受信完了まで要する時間を短縮し、処理を高速化できる断層画像生成装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、被検体に対して照射すべき光を出射する光源ユニットと、前記被検体に対して超音波の送信を行う超音波送信部と、前記レーザ光の照射により前記被検体内で生じた光音響信号、及び前記送信された超音波に対する反射音響信号を検出する音響信号検出部と、前記光源ユニットに対して光出射を指示する光トリガ信号を出力し、かつ、前記超音波送信部に対して超音波送信を指示する超音波トリガ信号を出力するトリガ制御部と、前記音響信号検出部が検出した光音響信号及び反射音響信号をサンプリングし、該サンプリングした光音響信号及び反射音響信号を両者に共通のメモリに格納するサンプリング手段と、サンプリング手段に対してサンプリング開始を指示するサンプリングトリガ信号を出力するサンプリング制御手段と、メモリに格納された光音響信号に基づいて光音響画像を生成する光音響画像生成手段と、メモリに格納された反射音響信号に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成手段とを備え、トリガ制御手段が、光トリガ信号と超音波トリガ信号のうちの一方を出力した後、サンプリング手段がサンプリングを継続している状態で、光トリガ信号と超音波トリガ信号のうちの他方を出力し、サンプリング手段が、サンプリングを中断することなく、光音響信号と反射音響信号とを連続的にサンプリングすることを特徴とする断層画像生成装置を提供する。
【0009】
本発明の断層画像生成装置では、サンプリング制御手段が、光トリガ信号と超音波トリガ信号のうちの一方が出力されるタイミングと所定の時間関係にあるタイミングでサンプリングトリガ信号を出力し、トリガ制御手段が、サンプリングトリガ信号が出力されるタイミングから所定時間が経過したタイミングで光トリガ信号と超音波トリガ信号のうちの他方を出力する構成を採用することができる。
【0010】
本発明の断層画像生成装置は、サンプリング手段が、光音響信号と反射音響信号とを同一のサンプリングレートでサンプリングするものであり、超音波画像生成手段が、サンプリングされた反射音響信号を1/2にリサンプルする1/2リサンプル手段を含み、1/2にリサンプルされた反射音響信号に基づいて超音波画像を生成するものとすることができる。この場合、1/2リサンプル手段が、サンプリングされた反射音響信号を時間軸方向に1/2に圧縮することとしてもよい。
【0011】
上記に代えて、本発明の断層画像生成装置が、サンプリング手段におけるサンプリングレートを制御するサンプリングレート制御手段であって、サンプリング手段が反射音響信号をサンプリングする際のサンプリングレートを、光音響信号をサンプリングする際のサンプリングレートの半分にするサンプリングレート制御手段を更に備える構成を採用することができる。この場合、サンプリングレート制御手段が、超音波トリガ信号又は被検体に対する光照射に同期して、サンプリングレートを制御することとすることができる。
【0012】
トリガ制御手段が、光トリガ信号の出力に後続して超音波トリガ信号を出力することとしてもよい。あるいは、トリガ制御手段が、超音波トリガ信号の出力に後続して光トリガ信号を出力することとしてもよい。
【0013】
前記超音波送信部から超音波の送信を行う範囲と、前記音響信号検出部が前記光音響信号及び反射音響信号の検出を行う範囲とがそれぞれ複数の領域に分割されており、分割された領域ごとに、トリガ制御手段が光トリガ信号と超音波トリガ信号とを出力し、サンプリング制御手段がサンプリングトリガ信号を出力することとしてもよい。
【0014】
断層画像生成装置が、メモリに格納された光音響信号と反射音響信号とを分離するデータ分離手段を更に備えていてもよい。また、光音響画像と超音波画像とを合成する画像合成手段を更に備えていてもよい。
【0015】
本発明の断層画像生成装置では、光源に、相互に異なる複数の波長の光を出射するものを用いてもよい。その場合、レーザ媒質と、レーザ媒質を励起する励起手段と、光共振器を構成する一対のミラーと、光共振器内に配置された波長選択素子とを含む光源を用いてもよい。
【0016】
波長選択素子が、透過波長が相互に異なる複数のバンドパスフィルタを含んでおり、光源が、光共振器の光路上に挿入されるバンドパスフィルタが所定の順序で順次に切り替わるように波長選択素子を駆動する駆動手段を更に有する構成としてもよい。
【0017】
波長選択素子が、回転変位に伴って光共振器の光路上に選択的に挿入するバンドパスフィルタを切り替えるフィルタ回転体で構成され、駆動手段がフィルタ回転体を回転駆動するものとしてもよい。
【0018】
光音響画像生成手段が、被検体に照射された複数の波長の光に対して前記音響信号検出部で検出された、複数の波長のそれぞれに対応した光音響信号間の相対的な信号強度の大小関係を抽出する2波長データ演算手段を含み、2波長データ演算手段で抽出された相対的な信号強度の大小関係に基づいて光音響画像を生成してもよい。
【0019】
光音響画像生成手段が、複数の波長のそれぞれに対応した光音響信号に基づいて信号強度を示す強度情報を生成する強度情報抽出手段を更に含み、光音響画像の各画素の階調値を強度情報に基づいて決定すると共に、各画素の表示色を前記相対的な信号強度の大小関係に基づいて決定することとしてもよい。
【0020】
光源が出射すべき光の波長が第1の波長と第2の波長を含み、光音響画像生成手段が、第1の波長のパルスレーザ光が被検体に照射されたときに音響信号検出部で検出された第1の光音響信号と、第2の波長のパルスレーザ光が被検体に照射されたときに音響信号検出部で検出された第2の光音響信号とのうちの何れか一方を実部、他方を虚部とした複素数データを生成する複素数化手段と、複素数データからフーリエ変換法により再構成画像を生成する再構成手段とを更に含み、強度比抽出手段が、再構成画像から前記大小関係としての位相情報を抽出し、強度情報抽出手段が、再構成画像から強度情報を抽出する構成を採用してもよい。
【0021】
本発明の光音響画像生成装置では、音響信号検出部の音響信号検出素子が、超音波送信部の超音波送信素子を兼ねていてもよい。
【0022】
本発明は、また、被検体に対する光の照射、及び、被検体に対する超音波の送信のうちの一方を実施するステップと、光の照射又は超音波の送信タイミングに合わせてサンプリング手段におけるサンプリングを開始させるステップと、サンプリング手段により、光の照射により被検体内で生じた光音響信号、又は、送信された超音波に対する反射音響信号の一方をサンプリングし、サンプリングした光音響信号又は反射音響信号の一方をメモリに格納するステップと、サンプリング手段がサンプリングを継続している状態で、被検体に対する光の照射、及び、被検体に対する超音波の送信のうちの他方を実施するステップと、サンプリング手段により、光音響信号又は反射音響信号の一方のサンプリングと連続して、光音響信号又は反射音響信号の他方をサンプリングし、サンプリングした光音響信号又は反射音響信号の他方をメモリに格納するステップと、メモリに格納された光音響信号及び超音波信号に基づいて、光音響画像及び超音波画像を生成するステップとを有する断層画像生成方法を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の断層画像生成装置及び方法では、被検体に対する光の照射、及び、被検体に対する超音波の送信のうちの一方を実施して光音響信号又は反射音響信号のサンプリングを開始し、サンプリング状態を維持したまま、光照射及び超音波送信のうちの他方を実施して反射音響信号又は光音響信号をサンプリングし、サンプリングされた光音響信号及び反射音響信号を、両信号に共通のメモリに格納する。本発明では、光音響信号及び反射音響信号のうちの一方のサンプリングから光音響信号及び反射音響信号の他方への移行に際してサンプリングを中断してメモリの切り替えを行わないため、光音響信号と超音波信号との受信完了まで要する時間を短縮することができ、処理を高速化できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態の断層画像生成装置を示すブロック図。
【図2】第1実施形態の断層画像生成装置の動作手順を示すフローチャート。
【図3】ブロックの分割例を示す図。
【図4A】エリアAにおける光照射を示す図。
【図4B】エリアAにおける光音響信号の検出を示す図。
【図4C】エリアAにおける超音波送信を示す図。
【図4D】エリアAにおける反射音響信号の検出を示す図。
【図5】第1実施形態における動作例を示すタイミングチャート。
【図6】本発明の第2実施形態の断層画像生成装置を示すブロック図。
【図7】第2実施形態の断層画像生成装置の動作手順を示すフローチャート。
【図8】第2実施形態における動作例を示すタイミングチャート。
【図9】本発明の第3実施形態の断層画像生成装置を示すブロック図。
【図10】波長可変のレーザユニットを示すブロック図。
【図11】波長選択素子、駆動手段、及び駆動状態検出手段の構成例を示すブロック図。
【図12】第3実施形態における動作例を示すタイミングチャート。
【図13】本発明の変形例における動作例を示すタイミングチャート。
【図14】プローブと対向する位置に光照射部を有する例を示す図。
【図15】対向する位置から光照射を行った状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の断層画像生成装置を示す。断層画像生成装置10は、超音波探触子(プローブ)11、超音波ユニット12、及び光源ユニット(レーザユニット)13を備える。断層画像生成装置10は、超音波画像と光音響画像との双方を生成可能である。レーザユニット13は、被検体に照射すべき光を出射する。被検体に照射される光の波長は、観察対象物に応じて適宜設定すればよい。レーザユニット13から出射した光は、例えば光ファイバなどの導光手段を用いてプローブ11まで導光され、プローブ11から被検体に照射される。
【0026】
プローブ11は、被検体に対する超音波の出力(送信)を行う超音波送信部と、被検体からの超音波の検出(受信)を行う超音波検出部(音響信号検出部)とを有する。ここで、超音波検出部の超音波検出素子は、超音波送信部の超音波送信素子を兼ねていてもよい。例えば1つの超音波振動子(素子)を、超音波の送信と検出との双方に用いてもよい。プローブ11は、例えば一次元的に配列された複数の超音波振動子を有しており、それら複数の超音波振動子から超音波を出力し、出力された超音波に対する反射超音波(以下、反射音響信号とも呼ぶ)を複数の超音波振動子により検出する。また、プローブ11は、被検体内の測定対象物がレーザユニット13からの光を吸収することで生じた超音波(以下、光音響信号とも呼ぶ)を複数の超音波振動子により検出する。なお、1つのプローブ11が超音波送信部と超音波検出部との双方を有している必要はなく、超音波送信部と超音波検出部とを分けて、超音波の送信と超音波の受信とを別の場所で行うこととしてもよい。
【0027】
超音波ユニット12は、受信回路21、AD変換手段22、受信メモリ23、データ分離手段24、光音響画像生成手段25、超音波画像生成手段26、画像合成手段27、トリガ制御回路28、サンプリング制御回路29、送信制御回路30、及び制御手段31を有する。制御手段31は、超音波ユニット12内の各部を制御する。受信回路21は、プローブ11が検出した超音波(光音響信号又は反射音響信号)を受信する。AD変換手段22は、サンプリング手段であり、受信回路21が受信した光音響信号及び反射音響信号をサンプリングしてデジタル信号に変換する。AD変換手段22は、例えばADクロック信号に同期して、所定のサンプリング周期で超音波信号をサンプリングする。
【0028】
トリガ制御回路28は、トリガ制御手段であり、レーザユニット13に対して光出射を指示する光トリガ信号を出力する。レーザユニット13は、図示しないYAGやチタン−サファイアなどのレーザ媒質を励起するフラッシュランプ32と、レーザ発振を制御するQスイッチ33とを含む。レーザユニット13は、トリガ制御回路28がフラッシュランプトリガ信号を出力すると、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、例えばフラッシュランプ32がレーザ媒質を十分に励起させると、Qスイッチトリガ信号を出力する。Qスイッチ33は、Qスイッチトリガ信号を受けるとオンし、レーザユニット13からレーザ光を出射させる。フラッシュランプ32の点灯からレーザ媒質が十分な励起状態となるまでに要する時間は、レーザ媒質の特性などから見積もることができる。トリガ制御回路28からQスイッチを制御するのに代えて、レーザユニット13内において、レーザ媒質を十分に励起させた後にQスイッチ33をオンにしてもよい。その場合は、Qスイッチ33をオンにした旨を示す信号を超音波ユニット12側に通知してもよい。ここで、光トリガ信号とは、フラッシュランプトリガ信号とQスイッチトリガ信号の少なくとも一方を含む概念である。トリガ制御回路28からQスイッチトリガ信号を出力する場合はQスイッチトリガ信号が光トリガ信号に対応し、レーザユニット13にてQスイッチトリガのタイミングを生成する場合はフラッシュランプトリガ信号が光トリガ信号に対応していてもよい。
【0029】
また、トリガ制御回路28は、送信制御回路30に、超音波送信を指示する超音波トリガ信号を出力する。送信制御回路30は、超音波トリガ信号を受けると、プローブ11から超音波を送信させる。トリガ制御回路28は、例えば先に光トリガ信号を出力し、その後、超音波トリガ信号を出力する。つまり、トリガ制御回路28は、光トリガ信号の出力に後続して、超音波トリガ信号を出力する。光トリガ信号が出力されることで被検体に対するレーザ光の照射及び光音響信号の検出が行われ、その後、超音波トリガ信号が出力されることで被検体に対する超音波の送信及び反射音響信号の検出が行われる。
【0030】
サンプリング制御回路29は、AD変換手段22に対して、サンプリング開始を指示するサンプリングトリガ信号を出力する。サンプリング制御回路29は、例えばトリガ制御回路28から光トリガ信号が出力されたタイミング以後で、かつ超音波トリガ信号が出力される前に、サンプリングトリガ信号を出力する。サンプリング制御回路29は、光トリガ信号が出力されたタイミング以後、好ましくは、被検体に実際にレーザ光が照射されるタイミングで、サンプリングトリガ信号を出力する。例えばサンプリング制御回路29は、トリガ制御回路28がQスイッチトリガ信号を出力するタイミングに同期して、サンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けると、プローブ11にて検出された超音波(光音響信号)のサンプリングを開始する。
【0031】
トリガ制御回路28は、光トリガ信号の出力後、光音響信号の検出を終了するタイミングで超音波トリガ信号を出力する。このとき、AD変換手段22は超音波信号のサンプリングを中断せず、サンプリングを継続して実施する。言い換えれば、トリガ制御回路28は、AD変換手段22が超音波信号のサンプリングを継続している状態で、超音波トリガ信号を出力する。超音波トリガ信号に応答してプローブ11が超音波送信を行うことで、プローブ11で検出される超音波信号は、光音響信号から反射音響信号に変わる。AD変換手段22は、検出された超音波信号のサンプリングを継続することで、光音響信号と超音波信号とを、連続的にサンプリングする。
【0032】
AD変換手段22は、サンプリングした光音響信号及び超音波信号を、光音響信号と超音波信号とに共通の受信メモリ23に格納する。受信メモリ23には、例えば半導体記憶装置を用いることができる。あるいは、受信メモリ23に、その他の記憶装置、例えば磁気記憶装置を用いてもよい。受信メモリ23に格納されたサンプリングデータは、ある時点までは光音響信号のデータであり、ある時点からは反射音響信号のデータとなる。データ分離手段24は、受信メモリ23に格納された光音響信号と超音波信号とを分離する。データ分離手段24は、分離した光音響信号を光音響画像生成手段25に渡し、超音波信号を超音波画像生成手段26に渡す。
【0033】
光音響画像生成手段25は、光音響信号に基づいて光音響画像を生成する。光音響画像生成手段25は、光音響画像再構成手段251、検波・対数変換手段252、及び光音響画像構築手段253を含む。超音波画像生成手段26は、反射音響信号に基づいて超音波画像を生成する。超音波画像生成手段26は、1/2リサンプル手段261、超音波画像再構成手段262、検波・対数変換手段263、及び超音波画像構築手段264を含む。光音響画像生成手段25及び超音波画像生成手段26内の各部の機能は、コンピュータが所定のプログラムに従って処理を動作することで実現できる。
【0034】
光音響画像再構成手段251は、データ分離手段24から光音響信号を受け取る。光音響画像再構成手段251は、光音響信号に基づいて、断層画像である光音響画像の各ラインのデータを生成する。光音響画像再構成手段251は、例えばプローブ11の64個の超音波振動子からのデータを、超音波振動子の位置に応じた遅延時間で加算し、1ライン分のデータを生成する(遅延加算法)。光音響画像再構成手段251は、遅延加算法に代えて、CBP法(Circular Back Projection)により再構成を行ってもよい。あるいは光音響画像再構成手段251は、ハフ変換法又はフーリエ変換法を用いて再構成を行ってもよい。
【0035】
検波・対数変換手段252は、光音響画像再構成手段251が出力する各ラインのデータの包絡線を生成し、その包絡線を対数変換してダイナミックレンジを広げる。光音響画像構築手段253は、対数変換が施された各ラインのデータに基づいて、光音響画像を生成する。超音波画像構築手段253は、例えば光音響信号(ピーク部分)の時間軸方向の位置を、断層画像における深さ方向の位置に変換して光音響画像を生成する。
【0036】
1/2リサンプル手段261は、データ分離手段24から反射音響信号を受け取り、受け取った反射音響信号を1/2にリサンプルする。1/2リサンプル手段261は、例えば反射音響信号を、時間軸方向に1/2に圧縮する。リサンプルを行う理由は、被検体内の深さ方向の同じ位置で光音響信号及び反射音響信号が発生したとすると、反射音響信号の場合は、プローブ11から送信された超音波がその位置まで進むまでに要する時間が必要なため、超音波送信から反射音響信号検出までの時間が、光照射から光音響信号検出までの時間の倍の時間となるためである。つまり、光音響信号は片道分の時間で検出されるのに対し、反射音響信号は往復分の時間がかかるためである。
【0037】
超音波画像再構成手段262は、リサンプルされた超音波信号に基づいて、断層画像である超音波画像の各ラインのデータを生成する。検波・対数変換手段263は、超音波画像再構成手段262が出力する各ラインのデータの包絡線を生成し、その包絡線を対数変換してダイナミックレンジを広げる。超音波画像構築手段264は、対数変換が施された各ラインのデータに基づいて、超音波画像を生成する。超音波画像生成手段26における超音波画像の生成は、信号が1/2にリサンプルされた超音波信号に代わることを除けば、光音響画像生成手段25における光音響画像の生成と同様でよい。
【0038】
画像合成手段27は、光音響画像生成手段25で生成された光音響画像と、超音波画像生成手段26で生成された超音波画像とを合成する。画像合成手段27は、例えば超音波画像に対して光音響画像を重畳することで、画像合成を行う。画像表示手段14は、画像合成手段27で合成された画像を、表示モニタなどに表示する。画像合成を行わずに、画像表示手段14に、光音響画像と超音波画像とのうちの何れか一方を表示してもよい。あるいは、光音響画像と超音波画像とを並べて表示してもよい。
【0039】
図2は、動作手順を示す。トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(ステップA1)。レーザユニット13では、フラッシュランプトリガ信号に応答してフラッシュランプ32が点灯し、レーザ媒質の励起が開始される(ステップA2)。トリガ制御回路28は、Qスイッチトリガ信号をレーザユニット13に送り、Qスイッチ33をオンさせることで、レーザユニット13からパルスレーザ光を出射させる(ステップA3)。トリガ制御回路28は、例えばフラッシュランプトリガ信号を出力するタイミングと所定の時間関係にあるタイミングでQスイッチトリガ信号を出力する。レーザユニット13から出射したレーザ光は、被検体に照射される。被検体内では、照射されたパルスレーザ光による光音響信号が発生する。プローブ11は、被検体内で発生した光音響信号を検出する。
【0040】
サンプリング制御回路29は、レーザ出射のタイミングに合わせて、AD変換手段22にサンプリングトリガ信号を送る(ステップA4)。サンプリング制御回路29は、例えばトリガ制御回路28がQスイッチトリガ信号を出力するタイミングと同じタイミングでサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、プローブ11で検出された光音響信号を、受信回路21を介して入力し、光音響信号のサンプリングを開始する(ステップA5)。AD変換手段22は、例えばクロック周波数40MHzのADクロック信号に基づいて、1秒あたり40M個(サンプル)のサンプリングレートで光音響信号をサンプリングする。AD変換手段22は、サンプリングした光音響信号を受信メモリ23に格納する(ステップA6)。
【0041】
トリガ制御回路28は、所定のタイミングで、超音波トリガ信号を出力する(ステップA7)。トリガ制御回路28は、例えば、AD変換手段22における、サンプリング開始からのサンプリングデータ数が所定のサンプル数に到達したタイミングに合わせて、超音波トリガ信号を出力する。言い換えれば、トリガ制御回路28は、サンプリング制御回路29がサンプリングトリガ信号を出力するタイミングから所定時間が経過したタイミングで超音波トリガ信号を出力する。このとき、AD変換手段22は、サンプリングを中断せず、サンプリング状態を継続する。
【0042】
プローブ11は、送信制御回路30を介して超音波送信を指示する超音波トリガ信号を受け取ると、被検体に対する超音波送信を行う(ステップA8)。プローブ11は、超音波の送信後、送信した超音波に対する反射音響信号を検出する。AD変換手段22は、光音響信号のサンプリングと連続して、反射音響信号をサンプリングする(ステップA9)。反射音響信号のサンプリングレートは、光音響信号をサンプリングする際のサンプリングレートと同じである。AD変換手段22は、受信メモリ23に、サンプリングした反射音響信号を、格納済みの光音響信号に続けて格納する(ステップA10)。ここで、光音響信号と反射音響信号とは、受信メモリ23に論理的に連続して記録されればよく、必ずしも物理的に連続的に記録されている必要はない。例えば受信メモリ23が複数の半導体メモリチップを含み、複数の半導体メモリチップで1つの論理的なメモリが形成されているとき、光音響信号と反射音響信号とが複数のチップにまたがって記録されていてもよい。AD変換手段22が、反射音響信号を所定のサンプル数だけサンプリングすると、サンプリング終了となる。
【0043】
データ分離手段24は、光音響信号と超音波信号とが連続して格納された受信メモリ23から光音響信号と超音波信号とを分離し、光音響信号を光音響画像生成手段25に渡し、超音波信号を超音波画像生成手段26に渡す(ステップA11)。光音響画像生成手段25は、光音響信号に基づいて光音響画像を生成する(ステップA12)。超音波画像生成手段26は、超音波信号を1/2にリサンプルした上で、超音波画像を生成する(ステップA13)。画像合成手段27は、光音響画像と超音波画像とを合成し(ステップA14)、画像表示手段14の表示画面上に合成画像を表示させる。
【0044】
光音響信号の検出と超音波の送受信とは、プローブ11が有する超音波振動子の範囲の全てで行ってもよく、或いは、光音響信号の検出と超音波の送受信を行う範囲を複数の領域(ブロック)に分割し、領域ごとに行ってもよい。領域に分割し、領域ごとに光音響信号の検出と超音波の送受信とを行う場合は、領域ごとに、光トリガ信号の出力、サンプリングトリガ信号の出力、及び超音波トリガ信号の出力を行い、各領域における光音響信号及び反射音響信号のサンプリングが終了した後に、次の領域に移るようにすればよい。
【0045】
図3は、ブロックの分割例を示す。例えばプローブ11が192個の超音波振動子を有しているとする。被検体50は、プローブ11の直下に、パルスレーザ光の照射により光音響波を発生させる光吸収体51と、超音波が反射する反射体52とを有している。例えば、プローブ11の全192個の超音波振動子を64素子ずつの領域に分割することで、全素子の範囲を、エリアA、エリアB、及びエリアCの3つのエリアに分割する。この場合、光照射、光音響信号の検出、超音波送信、反射音響信号の検出を、3つのエリアのそれぞれで実行すればよい。
【0046】
図4A〜図4Dに、エリアAにおける光照射から光音響信号の検出、及び超音波の送信から反射音響信号の検出を示す。まず、図2のステップA2で、被検体50のエリアAを含む全域にパルスレーザ光を照射する(図4A)。光吸収体51がパルスレーザ光のエネルギーを吸収し、そのエネルギーによる断熱膨張を起こすことで、光吸収体51の位置で光音響信号が発生する。プローブ11は、全192素子のうち、エリアAに対応する64素子で光音響信号を検出する(図4B)。エリアB及びエリアCに対応する残りの超音波振動子は休止状態とする。AD変換手段22(図1)は、ステップA5で、エリアAに対応する64素子で検出された光音響信号をサンプリングし、ステップA6でサンプリングした光音響信号を受信メモリ23に格納する。
【0047】
次いで、ステップA8で、プローブ11の全192素子のうち、エリアAに対応する64素子から超音波を送信する(図4C)。送信された超音波は反射体52で反射し、反射音響信号が発生する。プローブ11は、エリアAに対応する64素子で、反射音響信号を検出する(図4D)。AD変換手段22は、ステップA9で、エリアAに対応する64素子で検出された反射音響信号をサンプリングし、ステップA10で反射音響信号を受信メモリ23に格納する。エリアB及びエリアCについても、同様に、各エリアに対応する超音波振動子を用いて、光音響信号の検出と、超音波の送受信とを行う。
【0048】
図5に、動作例のタイミングチャートを示す。制御手段31は、フレームトリガ信号(a)を生成する。また、1フレームにつき、エリアA〜エリアCに対応した3つのパルスを有するライントリガ信号(b)を生成する。エリアの選択は、エリアA、エリアB、エリアCの順で行うとする。制御手段31は、時刻t0で、フレームトリガ信号のパルスを出力すると共に、ライントリガ信号の1つ目のパルスを出力する。トリガ制御回路28は、1つ目のライントリガ信号のパルスが出力されると、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。
【0049】
トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t1で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。時刻t0から時刻t1までの時間は、レーザの特性に合わせて設定すればよい。Qスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、パルスレーザ光を出力する(g)。受信回路21は、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて光音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を格納していく(f)。
【0050】
受信メモリ23は、例えば被検体の表面から約40mmの深さ位置までに対応したデータ点数分の光音響信号及び反射音響信号のサンプリングデータを格納する。具体的には、受信メモリ23は、深さ方向約40mmに対応した1024点の光音響信号のサンプリングデータと、深さ方向約40mmに対応した2048点の反射音響信号のサンプリングデータとを格納する。この場合、トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から1024個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t2で、超音波トリガ信号を出力する(e)。超音波トリガ信号が出力されると、プローブ11は、エリアAに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアAに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。
【0051】
光音響から超音波への切り替わりに際して、AD変換手段22は、検出信号のサンプリングを中断せずに、サンプリング状態を維持する。AD変換手段22は、光音響信号に続けて、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアAにおける光音響信号と反射音響信号とを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に2048個の反射音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアAにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0052】
制御手段31は、エリアAにおける検出が終了すると、時刻t3で、2つ目のライントリガ信号のパルスを出力する(b)。これを受けて、トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t4で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。Qスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、パルスレーザ光を出力する(g)。
【0053】
受信回路21は、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて光音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を格納していく(f)。トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から1024個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t5で、超音波トリガ信号を出力する(e)。
【0054】
プローブ11は、エリアBに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアBに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。AD変換手段22は、光音響信号に続けて、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアBにおける光音響信号と反射音響信号とを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に2048個の反射音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアBにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0055】
制御手段31は、エリアBにおける検出が終了すると、時刻t6で、3つ目のライントリガ信号のパルスを出力する(b)。これを受けて、トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t7で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。Qスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、パルスレーザ光を出力する(g)。
【0056】
受信回路21は、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて光音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を格納していく(f)。トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から1024個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t8で、超音波トリガ信号を出力する(e)。
【0057】
プローブ11は、エリアCに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアCに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。AD変換手段22は、光音響信号に続けて、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアCにおける光音響信号と反射音響信号とを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に2048個の反射音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアCにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0058】
エリアA〜エリアCの3つのエリアにおいて光音響信号及び反射信号の検出を行うことで、受信メモリ23に、1枚の光音響画像及び超音波画像の生成に必要なデータが揃う。データ分離手段24は、受信メモリ23から、光音響信号と反射音響信号とを分離する。データ分離手段24は、例えば受信メモリ23に格納された各素子の全3072個のサンプリングデータのうち、特定のアドレス範囲にある1024個のサンプリングデータを光音響信号として読み出し、残りの2048個のサンプリングデータを反射音響信号として読み出すことで、光音響信号と反射音響信号とを分離する。あるいは、光音響信号と反射音響信号との間にデータ区切りとなるデリミタを記録しておき、そのデリミタを用いて光音響信号と反射音響信号とを分離してもよい。また、受信メモリ23中の光音響信号及び反射音響信号にヘッダ情報を付加しておき、ヘッダ情報を参照して両者を分離するようにしてもよい。光音響画像生成手段25は、1素子あたり1024個のデータ点を有する光音響信号に基づいて、光音響画像を生成する。一方、超音波画像生成手段26は、1/2リサンプル手段261を用いて、1素子あたり2048個のデータ点を有する反射音響信号を1024個のデータ点にリサンプルした上で、超音波画像を生成する。
【0059】
制御手段31は、エリアCにおける光音響信号及び反射音響信号の検出(サンプリング)が終了すると、時刻t9で、フレームトリガ信号のパルスを出力する(a)。以降の動作は、時刻t0でフレームトリガ信号の1つ目のパルスが出力された以降の動作と同じである。断層画像生成装置10は、各フレームにおいて、エリアごとに、光照射、光音響信号の検出、超音波の送信、及び反射音響信号の検出を行い、光音響画像と超音波画像とを生成する。
【0060】
なお、領域分割を行わない場合は、被検体に対するレーザ光の照射後、192素子で光吸収体51からの光音響信号を検出すればよい。また、192素子から被検体内に超音波を送信し、192素子で反射体52からの反射音響信号を検出すればよい。エリア分割については、上記した分割に限定されるわけではなく、エリアの分割数は3より少なくてもよいし、多くてもよい。上記では、エリア間にオーバーラップが生じていないが、エリア間をオーバーラップさせてもよい。
【0061】
本実施形態では、被検体に対する光照射を行って被検体からの超音波信号(光音響信号)のサンプリングを開始し、サンプリングした光音響信号を受信メモリ23に格納する。また、超音波信号のサンプリング状態を継続したまま超音波送信を行い、被検体からの超音波信号(反射音響信号)をサンプリングして受信メモリ23に格納する。本実施形態では、受信メモリ23を、光音響信号と反射音響信号とに共通のメモリとして用い、AD変換手段22は、光音響信号のサンプリング後、サンプリングを中断することなく反射音響信号のサンプリングを行う。このようにすることで、光音響信号と反射音響信号とをシームレスに取得することができ、光音響信号の取得開始から反射音響信号の取得終了までに要する時間を短縮できる。
【0062】
比較例として、光音響信号を光音響信号用のメモリに格納し、反射音響信号を反射音響信号用のメモリに格納する場合を考える。この場合、AD変換手段22は、光音響信号のサンプリングから反射音響信号のサンプリングへの移行に際して、サンプリングデータを格納すべきメモリを、光音響信号用のメモリから反射音響信号用のメモリに切り替える必要がある。メモリを切り替えるためには、光音響信号の取得が終了した時点で一度サンプリングを中断する必要があり、光音響信号のサンプリング開始から反射音響信号のサンプリング終了までに要する時間が無駄に長くなる。本実施形態では、両信号に共通のメモリを用い、サンプリング状態を維持したまま超音波送信を行うため、比較例に比して、データ取得の所要時間を短縮でき、処理を高速化できる。処理高速化が可能となることで、例えば繰り返し光音響画像及び超音波画像を生成して動画表示する際に、フレームレートを向上してなめらかな動画像を表示することができる。
【0063】
次いで、本発明の第2実施形態を説明する。図6は、本発明の第2実施形態の断層画像生成装置を示す。本実施形態の断層画像生成装置10は、超音波ユニット12a内の構成が、図1に示す第1実施形態の断層画像生成装置10と相違する。超音波ユニット12aは、ADクロック制御回路(サンプリングレート制御手段)34を更に有する。また、本実施形態における超音波画像生成手段26aの構成は、第1実施形態における超音波画像生成手段26の構成から1/2リサンプル手段261を省いた構成である。
【0064】
ADクロック制御回路34は、例えばAD変換手段22に入力するADクロック信号の周波数を制御することで、AD変換手段22におけるデータサンプリングのサンプリングレートを制御する。ADクロック制御回路34は、AD変換手段22が反射音響信号をサンプリングする際のサンプリングレートを、光音響信号をサンプリングする際のサンプリングレートの半分に制御する。例えば、ADクロック制御回路34は、AD変換手段22が光音響信号をサンプリングしているときは、クロック周波数40MHzのADクロック信号を出力し、AD変換手段22に1秒あたり40Mサンプルのサンプリングレートで光音響信号をサンプリングさせる。ADクロック制御回路34は、AD変換手段22が反射音響信号をサンプリングしているときは、クロック周波数20MHzのADクロック信号を出力し、AD変換手段22に1秒あたり20Mサンプルのサンプリングレートで光音響信号をサンプリングさせる。ADクロック制御回路34は、例えばトリガ制御回路28が超音波トリガ信号を出力するタイミングに同期して、ADクロック信号の周波数を半分に下げる。
【0065】
図7は、第2実施形態の断層画像生成装置10aの動作手順を示す。トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(ステップB1)。レーザユニット13では、フラッシュランプトリガ信号に応答してフラッシュランプ32が点灯し、レーザ媒質の励起が開始される(ステップB2)。トリガ制御回路28は、Qスイッチトリガ信号をレーザユニット13に送り、Qスイッチ33をオンさせることで、レーザユニット13からパルスレーザ光を出射させる(ステップB3)。レーザユニット13から出射したレーザ光は、被検体に照射される。被検体内では、照射されたパルスレーザ光による光音響信号が発生する。プローブ11は、被検体内で発生した光音響信号を検出する。
【0066】
サンプリング制御回路29は、レーザ出射のタイミングに合わせて、AD変換手段22にサンプリングトリガ信号を送る(ステップB4)。AD変換手段22は、プローブ11で検出された光音響信号を、受信回路21を介して入力し、光音響信号のサンプリングを開始する(ステップB5)。ADクロック制御回路34は、例えばクロック周波数40MHzのADクロック信号をAD変換手段22に入力している。AD変換手段22は、ADクロック信号に基づいて、1秒あたり40Mサンプルのサンプリングレートで光音響信号をサンプリングする。AD変換手段22は、サンプリングした光音響信号を受信メモリ23に格納する(ステップB6)。
【0067】
トリガ制御回路28は、所定のタイミングで、超音波トリガ信号を出力する(ステップB7)。トリガ制御回路28は、例えば、AD変換手段22における、サンプリング開始からのサンプリングデータ数が所定のサンプル数に到達したタイミングに合わせて、超音波トリガ信号を出力する。言い換えれば、トリガ制御回路28は、サンプリング制御回路29がサンプリングトリガ信号を出力するタイミングから所定時間が経過したタイミングで超音波トリガ信号を出力する。このとき、AD変換手段22は、サンプリングを中断せず、サンプリング状態を継続する。ここまでのステップは、図2に示す第1実施形態における動作手順と同様でよい。
【0068】
ADクロック制御回路34は、超音波送信が行われるタイミングに合わせて、AD変換手段22におけるサンプリングレートを、光音響信号サンプリング時のサンプリングレートの半分に制御する(ステップB8)。言い換えれば、反射音響信号の検出が開始されるタイミングに合わせて、AD変換手段22におけるサンプリングレートを半分に落とす。ADクロック制御回路34は、例えばAD変換手段22に入力されるADクロック信号のクロック周波数を、40MHzから20MHzに変更することで、AD変換手段22におけるサンプリングレートを半分に落とす。
【0069】
プローブ11は、送信制御回路30を介して超音波送信を指示する超音波トリガ信号を受け取ると、被検体に対する超音波送信を行う(ステップB9)。プローブ11は、超音波の送信後、送信した超音波に対する反射音響信号を検出する。AD変換手段22は、光音響信号のサンプリングと連続して、反射音響信号をサンプリングする(ステップB10)。このとき、ADクロック制御回路34がAD変換手段22のサンプリングレートを半分に制御しているため、AD変換手段22は、光音響信号をサンプリングする際のサンプリングレートの半分のサンプリングレートで、反射音響信号をサンプリングする。AD変換手段22は、受信メモリ23に、サンプリングした反射音響信号を、格納済みの光音響信号に続けて格納する(ステップB11)。AD変換手段22が、反射音響信号を所定のサンプル数だけサンプリングすると、サンプリング終了となる。
【0070】
データ分離手段24は、光音響信号と超音波信号とが連続して格納された受信メモリ23から光音響信号と超音波信号とを分離し、光音響信号を光音響画像生成手段25に渡し、超音波信号を超音波画像生成手段26に渡す(ステップB12)。光音響画像生成手段25は、光音響信号に基づいて光音響画像を生成する(ステップB13)。データの分離及び光音響画像の生成は、第1実施形態における動作と同様でよい。超音波画像生成手段26aは、反射音響信号に基づいて超音波画像を生成する(ステップB13)。本実施形態では、反射音響信号のサンプリングレートが光音響信号のサンプリングレートの半分になっているため、超音波画像の生成に際して、1/2リサンプル手段261(図1)を用いてデータ点数を半分にリサンプルする必要がない。画像合成手段27は、光音響画像と超音波画像とを合成し(ステップB14)、画像表示手段14の表示画面上に合成画像を表示させる。
【0071】
図8に、動作例のタイミングチャートを示す。ここでは、図3に示すように、プローブ11の超音波振動子が配列された範囲をエリアA〜エリアCの3つの領域に分割し、エリアA、エリアB、エリアCの順に、光音響信号及び反射音響信号の検出を行うものとする。制御手段31は、フレームトリガ信号(a)を生成する。また、1フレームにつき、エリアA〜エリアCに対応した3つのパルスを有するライントリガ信号(b)を生成する。制御手段31は、時刻t10で、フレームトリガ信号のパルスを出力すると共に、ライントリガ信号の1つ目のパルスを出力する。トリガ制御回路28は、1つ目のライントリガ信号のパルスが出力されると、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。
【0072】
トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t11で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。時刻t10から時刻t11までの時間は、レーザの特性に合わせて設定すればよい。Qスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、パルスレーザ光を出力する(g)。受信回路21は、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて光音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を格納していく(f)。このとき、ADクロック制御回路34は、AD変換手段22に、例えばクロック周波数40MHzのADクロック信号を出力している。
【0073】
受信メモリ23は、例えば被検体の表面から約40mmの深さ位置までに対応したデータ点数分の光音響信号のサンプリングデータを格納する。具体的には、受信メモリ23は、深さ方向約40mmに対応した1024点の光音響信号のサンプリングデータを格納する。この場合、トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から1024個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t12で、超音波トリガ信号を出力する(e)。超音波トリガ信号が出力されると、プローブ11は、エリアAに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアAに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。このとき、ADクロック制御手段34は、AD変換手段22に出力するADクロック信号のクロック周波数を、40MHzから20MHzに変更する。
【0074】
光音響から超音波への切り替わりに際して、AD変換手段22は、検出信号のサンプリングを中断せずに、サンプリング状態を維持する。ただし、ADクロック信号が光音響信号サンプリング時のクロック周波数の半分になっているため、サンプリングレートは半分となる。AD変換手段22は、光音響信号に続けて、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。
【0075】
反射音響信号のサンプリングレートは、光音響信号のサンプリングレートの半分になっているため、光音響信号と同じ点数のサンプリングデータを得るためには、光音響信号のサンプリング時間の倍の時間がかかる。光音響信号と反射音響信号とを同一のサンプリングレートでサンプリングする場合、深さ方向約40mmに対応した反射音響信号のデータ点数は、光音響信号のデータ点数の倍の2048点となる(図5参照)。本実施形態では、サンプリングレートが半分になることで、深さ方向約40mmに対応した反射音響信号のデータ点数は、光音響信号のデータ点数と同じ1024点となる。受信メモリ23に1024個の反射音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアAにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0076】
制御手段31は、エリアAにおける検出が終了すると、時刻t13で、2つ目のライントリガ信号のパルスを出力する(b)。これを受けて、トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t14で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。Qスイッチ33がオンすることで、レーザユニットは、パルスレーザ光を出力する(g)。
【0077】
受信回路21は、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。このとき、ADクロック制御回路34は、AD変換手段22にクロック周波数40MHzのADクロック信号を出力している。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて、1秒あたり40Mサンプルのサンプリングレートで光音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を格納していく(f)。トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から1024個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t15で、超音波トリガ信号を出力する(e)。このとき、ADクロック制御回路34は、ADクロック信号のクロック周波数を40MHzから20MHzに変更する。
【0078】
プローブ11は、エリアBに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアBに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。AD変換手段22は、光音響信号に続けて、1秒あたり20Mサンプルのサンプリングレートで、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングを行い、サンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアBにおける光音響信号と反射音響信号とを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に1024個の反射音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアBにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0079】
制御手段31は、エリアBにおける検出が終了すると、時刻t16で、3つ目のライントリガ信号のパルスを出力する(b)。これを受けて、トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t17で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。Qスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、パルスレーザ光を出力する(g)。
【0080】
受信回路21は、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。このとき、ADクロック制御回路34は、AD変換手段22にクロック周波数40MHzのADクロック信号を出力している。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて、1秒あたり40Mサンプルのサンプリングレートで光音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を格納していく(f)。トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から1024個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t18で、超音波トリガ信号を出力する(e)。このとき、ADクロック制御回路34は、ADクロック信号のクロック周波数を40MHzから20MHzに変更する。
【0081】
プローブ11は、エリアCに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアCに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。AD変換手段22は、光音響信号に続けて、1秒あたり20MHzのサンプリングレートで、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングを行い、サンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアCにおける光音響信号と反射音響信号とを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に1024個の反射音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアCにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0082】
エリアA〜エリアCの3つのエリアにおいて光音響信号及び反射信号の検出を行うことで、受信メモリ23に、1枚の光音響画像及び超音波画像の生成に必要なデータが揃う。データ分離手段24は、受信メモリ23から、光音響信号と反射音響信号とを分離する。データ分離手段24は、例えば受信メモリ23に格納された各素子の全1024個のサンプリングデータのうち、特定のアドレス範囲にある1024個のサンプリングデータを光音響信号として読み出し、残りの1024個のサンプリングデータを反射音響信号として読み出すことで、光音響信号と反射音響信号とを分離する。光音響画像生成手段25は、1素子あたり1024個のデータ点を有する光音響信号に基づいて、光音響画像を生成する。一方、超音波画像生成手段26は、同じく1素子あたり1024個のデータ点を有する反射音響信号に基づいて、超音波画像を生成する。
【0083】
制御手段31は、エリアCにおける光音響信号及び反射音響信号の検出(サンプリング)が終了すると、時刻t19で、フレームトリガ信号のパルスを出力する(a)。以降の動作は、時刻t10でフレームトリガ信号の1つ目のパルスが出力された以降の動作と同じである。断層画像生成装置10は、各フレームにおいて、エリアごとに、光照射、光音響信号の検出、超音波の送信、及び反射音響信号の検出を行い、光音響画像と超音波画像とを生成する。
【0084】
本実施形態では、ADクロック制御回路34は、AD変換手段22における反射音響信号の検出時のサンプリングレートを、光音響信号検出時のサンプリングレートの半分に制御する。このようにすることで、受信メモリ23に格納する光音響信号及び反射音響信号のデータ点数を同じ数にしながらも、光音響画像と超音波画像とで同じ深さ方向の位置まで画像化することができる。本実施形態では、第1実施形態に比して、受信メモリ23に格納する反射音響信号のサンプリングデータ点数を半分にすることができ、受信メモリ23に必要な容量を減らすことができる。その他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0085】
引き続き、本発明の第3実施形態を説明する。図10は、本発明の第3実施形態の光音響画像生成装置を示す。断層画像生成装置10bは、超音波探触子(プローブ)11、超音波ユニット12b、及び光源(レーザユニット)13を備える。超音波ユニット12bは、受信回路21、AD変換手段22、受信メモリ23、データ分離手段24、光音響画像生成手段25b、超音波画像生成手段26、画像合成手段27、トリガ制御回路28、サンプリング制御回路29、送信制御回路30、及び制御手段31を有する。本実施形態では、レーザユニット13から、相互に異なる複数の波長のレーザ光を被検体に照射する。光音響画像生成手段25bは、被検体内の光吸収体における光吸収特性の波長依存性を利用して、例えば動脈と静脈とが判別可能な光音響画像を生成する。
【0086】
本実施形態におけるレーザユニット13は、相互に異なる複数の波長のパルスレーザ光を切り替えて出射する。レーザユニット13から出射したパルスレーザ光は、例えば光ファイバなどの導光手段を用いてプローブ11まで導光され、プローブ11から被検体に向けて照射される。以下の説明においては、主に、レーザユニット13が、第1の波長のパルスレーザ光と第2の波長のパルスレーザ光とを順次に出射するものとして説明する。
【0087】
例えば、第1の波長(中心波長)として約750nmを考え、第2の波長として約800nmを考える。ヒトの動脈に多く含まれる酸素化ヘモグロビン(酸素と結合したヘモグロビン:oxy-Hb)の波長750nmにおける分子吸収係数は、波長800nmにおける分子吸収係数よりも高い。一方、静脈に多く含まれる脱酸素化ヘモグロビン(酸素と結合していないヘモグロビンdeoxy-Hb)の波長750nmにおける分子吸収係数は、波長800nmにおける分子吸収係数よりも低い。この性質を利用し、波長800nmで得られた光音響信号に対して、波長750nmで得られた光音響信号が相対的に大きいのか小さいのかを調べることで、動脈からの光音響信号と静脈からの光音響信号とを判別することができる。
【0088】
プローブ11は、被検体内からの超音波信号(光音響信号又は反射音響信号)を検出する。受信回路21は、プローブ11が検出した超音波信号を受信する。AD変換手段22は、受信回路21が受信した超音波信号をサンプリングする。AD変換手段22は、例えばADクロック信号に同期して、所定のサンプリング周期で超音波信号のサンプリングを行う。AD変換手段22は、反射音響信号をサンプリングした反射超音波データと、光音響信号をサンプリングした光音響データとを、受信メモリ23に格納する。
【0089】
トリガ制御回路28は、レーザユニット13に対して光出射を指示する光トリガ信号を出力する。トリガ制御回路28は、まずフラッシュランプトリガ信号を出力し、それに後続して、Qスイッチトリガ信号を出力する。レーザユニット13は、フラッシュランプトリガ信号に応答してレーザ媒質の励起を行い、Qスイッチトリガ信号に応答してパルスレーザ光を出射する。トリガ制御回路28からQスイッチトリガ信号をレーザユニット13に送信するのに代えて、レーザユニット13内においてQスイッチトリガのタイミングを生成してもよい。その場合は、Qスイッチをオンにした旨を示す信号をレーザユニット13から超音波ユニット12b側に通知してもよい。ここで、光トリガ信号とは、フラッシュランプトリガ信号とQスイッチトリガ信号の少なくとも一方を含む概念である。トリガ制御回路28からQスイッチトリガ信号を出力する場合はQスイッチトリガ信号が光トリガ信号に対応し、レーザユニット13にてQスイッチトリガのタイミングを生成する場合はフラッシュランプトリガ信号が光トリガ信号に対応していてもよい。
【0090】
上記に加えて、トリガ制御回路28は、送信制御回路30に、超音波送信を指示する超音波トリガ信号を出力する。送信制御回路30は、超音波トリガ信号を受けると、プローブ11から超音波を送信させる。トリガ制御回路28は、例えば先に光トリガ信号を出力し、次いで超音波トリガ信号を出力する。つまり、トリガ制御回路28は、光トリガ信号の出力に後続して、超音波トリガ信号を出力する。光トリガ信号が出力されることで被検体に対するレーザ光の照射及び光音響信号の検出が行われ、その後、超音波トリガ信号が出力されることで被検体に対する超音波の送信及び反射音響信号の検出が行われる。
【0091】
サンプリング制御回路29は、AD変換手段22に対して、サンプリング開始を指示するサンプリングトリガ信号を出力する。サンプリング制御回路29は、例えばトリガ制御回路28から光トリガ信号が出力されたタイミング以後で、かつ超音波トリガ信号が出力される前に、サンプリングトリガ信号を出力する。サンプリング制御回路29は、光トリガ信号が出力された後、好ましくは、被検体に実際にレーザ光が照射されるタイミングで、サンプリングトリガ信号を出力する。例えばサンプリング制御回路29は、トリガ制御回路28がQスイッチトリガ信号を出力するタイミングに同期して、サンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けると、プローブ11にて検出された超音波(光音響信号)のサンプリングを開始する。
【0092】
トリガ制御回路28は、光トリガ信号の出力後、光音響信号の検出を終了するタイミングで超音波トリガ信号を出力する。このとき、AD変換手段22は超音波信号のサンプリングを中断せず、サンプリングを継続して実施する。言い換えれば、トリガ制御回路28は、AD変換手段22が超音波信号のサンプリングを継続している状態で、超音波トリガ信号を出力する。超音波トリガ信号に応答してプローブ11が超音波送信を行うことで、プローブ11で検出される超音波信号は、光音響信号から反射音響信号に変わる。AD変換手段22は、検出された超音波信号のサンプリングを継続することで、光音響信号と反射音響信号とを、連続的にサンプリングする。
【0093】
AD変換手段22は、サンプリングした光音響信号及び反射音響信号を、光音響信号と反射音響信号とに共通の受信メモリ23に格納する。受信メモリ23に格納されたサンプリングデータは、ある時点までは光音響信号のデータであり、ある時点からは反射音響信号のデータとなる。
【0094】
光音響信号のサンプリング及び反射音響信号のサンプリングは、例えばレーザユニット13が出射する光の波長の数だけ繰り返し行う。例えばまずレーザユニット13から第1の波長の光を被検体に照射し、被検体に第1の波長のパルスレーザ光が照射されたときにプローブ11で検出された第1の光音響信号(第1の光音響データ)を受信メモリ23に格納する。その第1の光音響データと連続して、受信メモリ23に反射超音波データを格納する。次いで、レーザユニット13から第2の波長の光を被検体に照射し、第2の波長のパルスレーザ光が照射されたときにプローブ11で検出された第2の光音響信号(第2の光音響データ)を受信メモリ23に格納する。その第2の光音響データと連続して、受信メモリ23に反射超音波データを格納する。
【0095】
データ分離手段24は、受信メモリ23に格納された超音波データと、第1及び第2の光音響データとを分離する。データ分離手段24は、第1及び第2の光音響データを、光音響画像生成手段25bに渡す。また、反射超音波データを、超音波画像生成手段26に渡す。超音波画像生成手段26における超音波画像の生成は、第1実施形態における超音波画像の生成と同様でよい。
【0096】
光音響画像生成手段25bは、光音響画像再構成手段251、検波・対数変換手段252、及び光音響画像構築手段253に加えて、2波長データ複素数化手段254、強度情報抽出手段255、及び2波長データ演算手段256を有する。2波長データ複素数化手段254は、第1の光音響信号と第2の光音響信号のうちの何れか一方を実部、他方を虚部とした複素数データを生成する。以下では、2波長データ複素数化手段254が、第1の光音響信号を実部とし、第2の光音響信号を虚部とした複素数データを生成するものとして説明する。
【0097】
光音響画像再構成手段251は、2波長データ複素数化手段254から光音響データである複素数データを入力し、光音響データの再構成を行う。光音響画像再構成手段251は、入力された複素数データから、フーリエ変換法(FTA法)により画像再構成を行う。フーリエ変換法による画像再構成には、例えば文献”Photoacoustic Image Reconstruction-A Quantitative Analysis”Jonathan I.Sperl et al. SPIE-OSA Vol.6631 663103 等に記載されている従来公知の方法を適用することができる。光音響画像再構成手段251は、再構成画像を示すフーリエ変換のデータを強度情報抽出手段255と2波長データ演算手段256とに入力する。
【0098】
2波長データ演算手段256は、各波長に対応した光音響データ間の相対的な信号強度の大小関係を抽出する。本実施形態では、2波長データ演算手段256は、光音響画像再構成手段251で再構成された再構成画像を入力データとし、複素数データである入力データから、実部と虚部とを比較したときに、相対的に、どちらがどれくらい大きいかを示す位相情報を抽出する。2波長データ演算手段256は、例えば複素数データがX+iYで表わされるとき、θ=tan−1(Y/X)を位相情報として生成する。なお、X=0の場合はθ=90°とする。実部を構成する第1の光音響データ(X)と虚部を構成する第2の光音響データ(Y)とが等しいとき、位相情報はθ=45°となる。位相情報は、相対的に第1の光音響データが大きいほどθ=0°に近づいていき、第2の光音響データが大きいほどθ=90°に近づいていく。
【0099】
強度情報抽出手段255は、各波長に対応した光音響データに基づいて信号強度を示す強度情報を生成する。本実施形態では、強度情報抽出手段255は、光音響画像再構成手段251で再構成された再構成画像を入力データとし、複素数データである入力データから、強度情報を生成する。強度情報抽出手段255は、例えば複素数データがX+iYで表わされるとき、(X2+Y2)1/2を、強度情報として抽出する。検波・対数変換手段252は、強度情報抽出手段255で抽出された強度情報を示すデータの包絡線を生成し、次いでその包絡線を対数変換してダイナミックレンジを広げる。
【0100】
光音響画像構築手段253は、2波長データ演算手段256から位相情報を入力し、検波・対数変換手段252から検波・対数変換処理後の強度情報を入力する。光音響画像構築手段253は、入力された位相情報と強度情報とに基づいて、光吸収体の分布画像である光音響画像を生成する。光音響画像構築手段253は、例えば入力された強度情報に基づいて、光吸収体の分布画像における各画素の輝度(階調値)を決定する。また、光音響画像構築手段253は、例えば位相情報に基づいて、光吸収体の分布画像における各画素の色(表示色)を決定する。光音響画像構築手段253は、例えば例えば位相0°から90°の範囲を所定の色に対応させたカラーマップに用いて、入力された位相情報に基づいて各画素の色を決定する。
【0101】
ここで、位相0°から45°の範囲は、第1の光音響データが第2の光音響データよりも大きい範囲であるため、光音響信号の発生源は、波長798nmの光に対する吸収よりも波長756nmの光に対する吸収の方が大きい酸素化ヘモグロビンを主に含む血液が流れている動脈であると考えられる。一方、位相45°から90°の範囲は、第2の光音響データが第1の光音響データよりも小さい範囲であるため、光音響信号の発生源は、波長798nmの光に対する吸収よりも波長756nmの光に対する吸収の方が小さい脱酸素化ヘモグロビンを主に含む血液が流れている静脈であると考えられる。
【0102】
そこで、カラーマップとして、例えば位相が0°が赤色で、位相が45°に近づくに連れて無色(白色)になるように色が徐々に変化すると共に、位相90°が青色で、位相が45°に近づくに連れて白色になるように色が徐々に変化するようなカラーマップを用いる。この場合、光音響画像上で、動脈に対応した部分を赤色で表わし、静脈に対応した部分を青色で表わすことができる。強度情報を用いずに、階調値は一定として、位相情報に従って動脈に対応した部分と静脈に対応した部分との色分けを行うだけでもよい。
【0103】
画像合成手段27は、光音響画像構築手段253で生成された光音響画像と、超音波画像構築手段264で生成された超音波画像とを合成する。合成された画像は、画像表示手段14に表示される。画像合成を行わずに、画像表示手段14に、光音響画像と超音波画像とを並べて表示し、或いは光音響画像と超音波画像とを切り替えて表示することも可能である。
【0104】
続いて、レーザユニット13の構成を詳細に説明する。図10は、レーザユニット13の構成を示す。レーザユニット13は、レーザロッド61、フラッシュランプ62、ミラー63、64、Qスイッチ65、波長選択素子66、駆動手段67、駆動状態検出手段68、及びBPF制御回路69を有する。フラッシュランプ62及びQスイッチ65は、それぞれ図1におけるフラッシュランプ32及びQスイッチ33に対応する。
【0105】
レーザロッド61は、レーザ媒質である。レーザロッド61には、例えばアレキサンドライト結晶やCr:LiSAF(Cr:LiSrAlF6),Cr:LiCAF(Cr:LiCaAlF6)結晶,Ti:Sapphire結晶を用いることができる。フラッシュランプ62は、レーザ媒質を励起する励起手段であり、レーザロッド61に励起光を照射する。フラッシュランプ62以外の光源、例えば半導体レーザや固体レーザを、励起光源として用いてもよい。
【0106】
ミラー63、64は、レーザロッド61を挟んで対向しており、ミラー63、64により光共振器が構成される。ここでは、ミラー64が出力側のミラーであるとする。光共振器内には、Qスイッチ65が挿入される。Qスイッチ65により、光共振器内の挿入損失を損失大(低Q)から損失小(高Q)へと急速に変化させることで、パルスレーザ光を得ることができる。
【0107】
波長選択素子66は、透過波長が相互に異なる複数のバンドパスフィルタ(BPF:Band Pass Filter)を含む。波長選択素子66は、複数のバンドパスフィルタを光共振器の光路上に選択的に挿入する。波長選択素子66は、例えば波長750nm(中心波長)の光を透過させる第1のバンドパスフィルタと、波長800nm(中心波長)の光を透過させる第2のバンドパスフィルタとを含む。光共振器の光路上に第1のバンドパスフィルタを挿入することで、光発振器の発振波長を750nmとすることができ、光共振器の光路上に第2のバンドパスフィルタを挿入することで、光発振器の発振波長を800nmとすることができる。
【0108】
駆動手段67は、光共振器の光路上に挿入されるバンドパスフィルタが所定の順序で順次に切り替わるように波長選択素子66を駆動する。例えば波長選択素子66が、回転変位に伴って光共振器の光路上に選択的に挿入するバンドパスフィルタを切り替えるフィルタ回転体で構成されているとき、駆動手段67は、波長選択素子66を構成するフィルタ回転体を回転駆動する。駆動状態検出手段68は、波長選択素子66の駆動状態を検出する。駆動状態検出手段68は、例えばフィルタ回転体である波長選択素子66の回転変位を検出する。駆動状態検出手段68は、フィルタ回転体の回転変位位置を示すBPF状態情報を出力する。
【0109】
図11は、波長選択素子66、駆動手段67、及び駆動状態検出手段58の構成例を示す。この例では、波長選択素子66は2つのバンドパスフィルタを含むフィルタ回転体であり、駆動手段67はサーボモータである。また、駆動状態検出手段58はロータリーエンコーダーである。波長選択素子66は、サーボモータの出力軸の回転に従って回転する。波長選択素子66を構成するフィルタ回転体の半分(例えば回転変位位置0°から180°)は波長750nmの光を透過させる第1のバンドパスフィルタであり、残りの半分(例えば回転変位位置180°から360°)は波長800nmの光を透過させる第2のバンドパスフィルタである。このようなフィルタ回転体を回転させることで、光共振器の光路上に、第1のバンドパスフィルタと第2のバンドパスフィルタとを、フィルタ回転体の回転速度に応じた切り替え速度で交互に挿入することができる。
【0110】
駆動状態検出手段68を構成するロータリーエンコーダーは、サーボモータの出力軸に取り付けられたスリット入りの回転板と透過型フォトインタラプタとで、波長選択素子66であるフィルタ回転体の回転変位を検出し、BPF状態情報を生成する。駆動状態検出手段68は、フィルタ回転体の回転変位位置を示すBPF状態情報をBPF制御回路69に出力する。
【0111】
図10に戻り、BPF制御回路69は、駆動手段67を制御する。BPF制御回路69は、例えば所定時間の間に駆動状態検出手段68が検出した回転変位の量が、フィルタ回転体の所定の回転速度に応じた量になるように駆動手段67に供給する電圧などを制御する。トリガ制御回路28は、BPF制御信号を通じて、BPF制御回路69に、フィルタ回転体の回転速度を指示する。BPF制御回路69は、例えばBPF状態情報をモニタし、所定時間の間に駆動状態検出手段68で検出される波長選択素子66の変位量が、指示された回転速度に対応した量に保たれるように、サーボモータに供給する電圧などを制御する。BPF制御回路69を用いるのに代えて、トリガ制御回路28がBPF状態情報をモニタし、波長選択素子66が所定の速度で駆動されるように、駆動手段67を制御するようにしてもよい。
【0112】
図9に戻り、制御手段31は、超音波ユニット12b内の各部の制御を行う。トリガ制御回路28は、前述の動作に加え、レーザユニット13内の波長選択素子66が光共振器の光路上に挿入するバンドパスフィルタが所定の切替え速度で切り替わるように、BPF制御回路69を制御する。トリガ制御回路28は、例えば、波長選択素子66を構成するフィルタ回転体を、所定の方向に所定の回転速度で連続的に回転させる旨のBPF制御信号を、BPF制御回路69に出力する。フィルタ回転体の回転速度は、例えばレーザユニット13から出射すべきパルスレーザ光の波長の数(バンドパスフィルタの透過波長の数)と、単位時間当たりのパルスレーザの個数とに基づいて決定できる。
【0113】
トリガ制御回路28は、レーザユニット13に、フラッシュランプ62(図10)からレーザロッド61へ励起光を照射させる旨のフラッシュランプトリガ信号を出力する。フラッシュランプ62は、フラッシュランプトリガ信号に応答してレーザロッド61に励起光を照射する。トリガ制御回路28は、BPF状態信号に基づいて、フラッシュランプトリガ信号を出力する。例えばトリガ制御回路28は、BPF状態情報が、出射すべきパルスレーザ光の波長に対応したバンドパスフィルタが光共振器の光路上に挿入される波長選択素子66の駆動位置から、レーザロッド61の励起に要する時間の間に波長選択素子66が変位する量を差し引いた位置を示す情報になるとフラッシュランプトリガ信号を出力し、レーザロッド61に対して励起光を照射させる。トリガ制御回路28は、例えば所定の時間間隔で周期的にフラッシュランプトリガ信号を出力する。
【0114】
トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、レーザユニット13のQスイッチ65にQスイッチトリガ信号を出力する。トリガ制御回路28は、波長選択素子66が、出射すべきパルスレーザ光の波長に対応した透過波長のバンドパスフィルタを光共振器の光路上に挿入しているタイミングでQスイッチトリガ信号を出力する。例えば波長選択素子66がフィルタ回転体で構成されるとき、トリガ制御回路28は、BPF状態情報が、出射すべきパルスレーザ光の波長に対応したバンドパスフィルタが光共振器の光路上に挿入されていることを示す位置となっているときに、Qスイッチトリガ信号を出力する。Qスイッチ65が、Qスイッチトリガ信号に応答して光共振器内の挿入損失を損失大から損失小に急激に変化させることで、出力側のミラー64からパルスレーザ光が出射する。
【0115】
図12に、動作例のタイミングチャートを示す。ここでは、プローブ11が超音波信号を検出する範囲が、図3に示すように、エリアA、エリアB、及びエリアCの3つのエリアに分割されているものとする。制御手段31は、フレームトリガ信号(a)を生成する。フレームレートは、例えば10フレーム/秒である。また、制御手段31は、750nmと800nmの各波長に対し、1フレームにつき、エリアA〜エリアCに対応した3つのパルスを有するライントリガ信号(b)を生成する。被検体に照射する光の波長が2つあるため、1フレームあたりのライントリガのパルスは6つになる。エリアの選択は、エリアA、エリアB、エリアCの順で行うとする。また、被検体に対して、750nm、800nmの光を交互に照射するこことする。
【0116】
制御手段31は、時刻t20で、フレームトリガ信号のパルスを出力すると共に、ライントリガ信号の1つ目のパルスを出力する。トリガ制御回路28は、1つ目のライントリガ信号のパルスが出力されると、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ62を点灯し、レーザ媒質を励起する。
【0117】
トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t21で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。このとき、波長選択素子66は、波長750nmの光を透過するバンドパスフィルタを光共振器の光路上に挿入している(g)。時刻t20から時刻t21までの時間は、レーザの特性に合わせて設定すればよい。Qスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、波長750nmのパルスレーザ光を出力する(h)。
【0118】
受信回路21は、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて光音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号のサンプリングデータ(第1の光音響データ)を格納していく(f)。
【0119】
受信メモリ23は、例えば被検体の表面から約40mmの深さ位置までに対応したデータ点数分の光音響信号及び反射音響信号のサンプリングデータを格納する。具体的には、受信メモリ23は、深さ方向約40mmに対応した1024点の光音響信号のサンプリングデータと、深さ方向約40mmに対応した2048点の反射音響信号のサンプリングデータとを格納する。この場合、トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から1024個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t22で、超音波トリガ信号を出力する(e)。超音波トリガ信号が出力されると、プローブ11は、エリアAに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアAに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。
【0120】
光音響から超音波への切り替わりに際して、AD変換手段22は、検出信号のサンプリングを中断せずに、サンプリング状態を維持する。AD変換手段22は、光音響信号に続けて、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアAにおける第1の光音響データと反射超音波データとを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に2048個の反射音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアAにおける波長750nmの光に対する光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0121】
制御手段31は、波長750nmでの検出が終了すると、時刻t23で、2つ目のライントリガ信号のパルスを出力する(b)。これを受けて、トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ62を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t24で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。このとき、波長選択素子66は、波長800nmの光を透過するバンドパスフィルタを光共振器の光路上に挿入している(g)。Qスイッチ65がオンすることで、レーザユニット13は、波長800nmのパルスレーザ光を出力する(h)。
【0122】
受信回路21は、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて光音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号のサンプリングデータ(第2の光音響データ)を格納していく(f)。トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から1024個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t25で、超音波トリガ信号を出力する(e)。
【0123】
プローブ11は、エリアAに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアAに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。AD変換手段22は、光音響信号に続けて、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアAにおける第2の光音響データと反射超音波データとを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に2048個の反射音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアAにおける波長800nmの光に対する光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。2つの波長の光に対する光音響信号の検出が終わると、エリアAにおける検出が終了する。
【0124】
エリアAにおける検出が終了すると、次いで、エリアBの検出に移る。エリアBにおける検出は、エリアAにおける検出と同様である。すなわち、波長選択素子66が光共振器の光路上に波長750nmの光を透過するバンドパスフィルタを挿入しているタイミングでQスイッチトリガ信号を出力し、波長750nmの光を被検体に照射して第1の光音響データを受信メモリ23に格納する。それと連続して超音波の送受信を行い、第1の光音響データと連続して反射超音波データを受信メモリ23に格納する。続いて、波長選択素子66が光共振器の光路上に波長800nmの光を透過するバンドパスフィルタを挿入しているタイミングでQスイッチトリガ信号を出力し、波長800nmの光を被検体に照射して第2の光音響データを受信メモリ23に格納する。それと連続して超音波の送受信を行い、第2の光音響データと連続して反射超音波データを受信メモリ23に格納する。
【0125】
エリアBにおける検出が終了すると、続いて、エリアCの検出に移る。エリアCにおける検出もエリアにおける検出と同様である。エリアA〜エリアCの各エリアにおいて、波長750nmと波長800nmに対して光音響信号及び反射信号の検出を行うことで、受信メモリ23に、光音響画像及び超音波画像の生成に必要なデータが揃う。データ分離手段24は、受信メモリ23から、光音響データと反射超音波データとを分離する。データ分離手段24は、例えば受信メモリ23に格納された各素子の全3072個のサンプリングデータのうち、特定のアドレス範囲にある1024個のサンプリングデータを第1又は第2の光音響データとして読み出し、残りの2048個のサンプリングデータを反射超音波データとして読み出すことで、光音響データと反射超音波データとを分離する。光音響画像生成手段25は、各波長につき、1素子あたり1024個のデータ点を有する第1及び第2の光音響データに基づいて、光音響画像を生成する。一方、超音波画像生成手段26は、1/2リサンプル手段261を用いて、1素子あたり2048個のデータ点を有する反射超音波データを1024個のデータ点にリサンプルした上で、超音波画像を生成する。
【0126】
制御手段31は、エリアCにおける光音響信号及び反射音響信号の検出(サンプリング)が終了すると、2つ目のフレームトリガ信号のパルスを出力する(a)。以降の動作は、時刻t20でフレームトリガ信号の1つ目のパルスが出力された以降の動作と同じである。断層画像生成装置10は、各フレームにおいて、エリアごとに、2つの波長の光の照射、光音響信号の検出、超音波の送信、及び反射音響信号の検出を行い、光音響画像と超音波画像とを生成する。
【0127】
本実施形態では、レーザユニット13が波長選択素子66を含んでおり、レーザユニット13から、相互に異なる複数の波長のレーザ光を被検体に照射することができる。例えば、透過波長が異なる2つのバンドパスフィルタを含む波長選択素子66を連続的に駆動することで、2つのバンドパスフィルタを連続的、かつ選択的に光共振器の光路上に挿入することができ、レーザユニット13から複数波長のレーザ光を連続的に切り換えて出射することができる。複数の波長のパルスレーザ光を照射したときの光音響信号(光音響データ)を用いることで、各光吸収体の光吸収特性が波長に応じて異なることを利用した機能イメージングを行うことができる。
【0128】
また、本実施形態では、2つの波長で得られた第1の光音響データと、第2の光音響データとの何れか一方を実部、他方を虚部とした複素数データを生成し、その複素数データからフーリエ変換法により再構成画像を生成している。このようにする場合、再構成は一度で済むため、第1の光音響データと第2の光音響データとを別々に再構成する場合に比して、再構成を効率的に行うことができる。光音響データと反射超音波データとを一連のデータとしてサンプリングすることで、光音響信号の取得開始から反射音響信号の取得終了までに要する時間を短縮できる点は、第1実施形態と同様である。
【0129】
なお、上記各実施形態では、光音響信号のサンプリングを先に行い、それに後続して反射音響信号のサンプリングを行うこととしたが、反射音響信号のサンプリングを先に行い、それに続いて光音響信号のサンプリングを行うこととしてもよい。例えば図1に示す第1実施形態の断層画像生成装置10において、超音波の送受信を先に行い、それに後続して被検体に対する光照射及び光音響信号の検出を行ってもよい。図13は、その場合の動作例を示す。ここでも、図5の例と同様に、1つのフレームトリガ信号のパルス(a)に対して、エリアA〜エリアCに対応した3つのライントリガ信号のパルス(b)が出力されるものとする。
【0130】
制御手段31は、時刻t30で、フレームトリガ信号のパルス(a)を出力すると共に、ライントリガ信号の1つ目のパルス(b)を出力する。トリガ制御回路28は、1つ目のライントリガ信号のパルスが出力されると、送信制御回路30に、超音波トリガ信号を出力する(e)。超音波トリガ信号が出力されると、プローブ11は、エリアAに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアAに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。
【0131】
受信回路21は、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、超音波送信のタイミングに同期してAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて反射音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを格納していく(f)。
【0132】
トリガ制御回路28は、超音波トリガ信号の出力後、時刻t31で、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、時刻t32で、Qスイッチトリガ信号を出力する(d)。時刻t31から時刻t32までの時間は、レーザの特性に合わせて設定すればよい。Qスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、パルスレーザ光を出力する(g)。
【0133】
レーザユニット13がパルスレーザ光を出射するタイミングは、反射音響信号のサンプリング終了のタイミングと一致している。例えばトリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から2048個目のデータをサンプリングするタイミングでパルスレーザ光が被検体に照射されるように、フラッシュランプトリガ信号及びQスイッチトリガ信号を出力する。
【0134】
被検体に対する光の照射後、受信回路21は、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。超音波から光音響への切り替わりに際して、AD変換手段22は、検出信号のサンプリングを中断せずに、サンプリング状態を維持する。AD変換手段22は、反射音響信号に続けて、エリアAに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアAにおける反射超音波データと光音響データとを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に1024個の光音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアAにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0135】
制御手段31は、エリアAにおける検出が終了すると、時刻t33で、2つ目のライントリガ信号のパルスを出力する(b)。これを受けて、トリガ制御回路28は、送信制御回路30に超音波トリガ信号を出力する(e)。プローブ11は、エリアBに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアBに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。
【0136】
受信回路21は、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、超音波送信のタイミングに同期してAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて反射音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを格納していく(f)。
【0137】
トリガ制御回路28は、超音波トリガ信号の出力後、時刻t34で、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から2048個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t35で、Qスイッチトリガ信号を出力する(e)。Qスイッチトリガ信号に応答してQスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、パルスレーザ光を出力する(g)。
【0138】
被検体に対する光の照射後、受信回路21は、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。AD変換手段22は、反射音響信号に続けて、エリアBに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアBにおける反射超音波データと光音響データとを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に1024個の光音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアBにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0139】
制御手段31は、エリアBにおける検出が終了すると、時刻t36で、3つ目のライントリガ信号のパルスを出力する(b)。これを受けて、トリガ制御回路28は、送信制御回路30に、超音波トリガ信号を出力する(e)。プローブ11は、エリアCに対応する64個の超音波振動子から超音波の送信を行い、エリアCに対応する64個の超音波振動子で反射音響信号を検出する。
【0140】
受信回路21は、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号を受信する。サンプリング制御回路29は、超音波送信のタイミングに同期してAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて反射音響信号のサンプリングを開始し、受信メモリ23に、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された反射音響信号のサンプリングデータを格納していく(f)。
【0141】
トリガ制御回路28は、超音波トリガ信号の出力後、時刻t37で、フラッシュランプトリガ信号をレーザユニット13に出力する(c)。レーザユニット13は、フラッシュランプ32を点灯し、レーザ媒質を励起する。トリガ制御回路28は、AD変換手段22がサンプリング開始から2048個目のデータをサンプリングするタイミングである時刻t38で、Qスイッチトリガ信号を出力する(e)。Qスイッチトリガ信号に応答してQスイッチ33がオンすることで、レーザユニット13は、パルスレーザ光を出力する(g)。
【0142】
被検体に対する光の照射後、受信回路21は、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号を受信する。AD変換手段22は、反射音響信号に続けて、エリアCに対応する64個の超音波振動子で検出された光音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する(f)。受信メモリ23は、エリアCにおける反射超音波データと光音響データとを、一連のデータとして格納する。受信メモリ23に1024個の光音響信号のサンプリングデータが格納されると、エリアCにおける光音響信号及び反射音響信号の検出が終了する。
【0143】
エリアA〜エリアCの3つのエリアにおいて光音響信号及び反射信号の検出を行うことで、受信メモリ23に、1枚の光音響画像及び超音波画像の生成に必要なデータが揃う。制御手段31は、エリアCにおける光音響信号及び反射音響信号の検出(サンプリング)が終了すると、時刻t39で、フレームトリガ信号のパルスを出力する(a)。以降の動作は、時刻t30でフレームトリガ信号の1つ目のパルスが出力された以降の動作と同じである。以上のような動作でも、第1実施形態と同様な効果が得られる。第2実施形態において超音波の送受信を先に行う場合は、光照射のタイミングに同期して、サンプリングレートを反射音響信号検出時の倍のサンプリングレートに制御すればよい。
【0144】
また、図4Aでは、プローブ11から光照射を行う例を示したが、光の照射場所は任意であり、これには限定されない。図14に、プローブ11と対向する位置から光照射する例を示す。被検体50は、プローブ11の直下に、パルスレーザ光の照射により光音響波を発生させる光吸収体51と、超音波が反射する反射体52とを有している。プローブ11と被検体50を挟んで対向する位置には、光照射部としての導光板53が設けられる。導光板53には、光ファイバ54などの導光手段を用いて、レーザユニット13からの光が導光される。
【0145】
図15は、光照射の様子を示す。この例では、光ファイバ54などを用いて導光板53に導光された光は、プローブ11と対向する位置から被検体50に向けて照射される。図4Aに示した例との違いは、図4Aでは超音波検出面と同じ面から光が照射されるのに対し、図15では超音波検出面とは対向する位置から光が照射される点である。光音響信号及び反射音響信号の検出は、第1実施形態で説明したものと同様でよい(図4B〜図4D)。
【0146】
第3実施形態では、第1の光音響データと第2の光音響データとを複素数化する例について説明したが、複素数化せずに、第1の光音響データと第2の光音響データとを別々に再構成してもよい。また、再構成の手法は、フーリエ変換法には限定されない。さらに、第3実施形態においては、複素数化して位相情報を用いて第1の光音響データと第2の光音響データの比を計算しているが、両者の強度情報から比を計算しても同様の効果が得られる。また、強度情報は、第1の再構成画像における信号強度と、第2の再構成画像における信号強度とに基づいて生成できる。
【0147】
光音響画像の生成に際して、被検体に照射されるパルスレーザ光の波長の数は2つには限られず、3以上のパルスレーザ光を被検体に照射し、各波長に対応する光音響データに基づいて光音響画像を生成してもよい。その場合、例えば2波長データ演算手段256は、各波長に対応する光音響データ間での相対的な信号強度の大小関係を位相情報として生成すればよい。また、強度情報抽出手段255は、例えば各波長に対応する光音響データにおける信号強度を1つにまとめたものを強度情報として生成すればよい。
【0148】
第3実施形態では、主に、波長選択素子66が、2つのバンドパスフィルタ領域を含むフィルタ回転体で構成される例を説明したが、波長選択素子66は、光共振器内で発振する光の波長を変化させるものであればよく、フィルタ回転体の構成には限定されない。例えば、波長選択素子66を、複数のバンドパスフィルタを円周状に配置した回転体で構成してもよい。波長選択素子66は回転体である必要はなく、例えば、複数のバンドパスフィルタを一列に並べたものでもよい。その場合、複数のバンドパスフィルタが循環的に光共振器の光路上に挿入されるよう波長選択素子66を駆動してもよいし、一列に並べられた複数のバンドパスフィルタが光共振器の光路上を横切るように波長選択素子66を往復駆動させてもよい。バンドパスフィルタに代えて、複屈折フィルタなどの波長選択素子を用いることも可能である。また、2波長選択において、両者のゲインが異なる場合は、バンドパスフィルタの代わりにロングパスフィルタ又はショートパスフィルタを使用してもよい。例えばアレキサンドライトレーザで、800nmと750nmとを切り替えて出射する場合、750nmの方が高ゲインであるため、800nmと750nmのロングパスフィルターの組み合わせでも、それぞれの波長の選択が可能である。
【0149】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の断層画像生成装置及び方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0150】
10:断層画像生成装置
11:プローブ
12:超音波ユニット
13:レーザユニット
14:画像表示手段
21:受信回路
22:AD変換手段
23:受信メモリ
24:データ分離手段
25:光音響画像生成手段
26:超音波画像生成手段
27:画像合成手段
28:トリガ制御回路
29:サンプリング制御回路
30:送信制御回路
31:制御手段
32:フラッシュランプ
33:Qスイッチ
34:ADクロック制御回路
50:被検体
51:光吸収体
52:反射体
53:導光板
54:光ファイバ
61:レーザロッド
62:フラッシュランプ
63、64:ミラー
65:Qスイッチ
66:波長選択素子
67:駆動手段
68:駆動状態検出手段
69:BPF制御回路
251:光音響画像再構成手段
252:検波・対数変換手段
253:光音響画像構築手段
254:2波長データ複素数化手段
255:強度情報抽出手段
256:2波長データ演算手段
261:1/2リサンプル手段
262:超音波画像再構成手段
263:検波・対数変換手段
264:超音波画像構築手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して照射すべき光を出射する光源ユニットと、
前記被検体に対して超音波の送信を行う超音波送信部と、
前記レーザ光の照射により前記被検体内で生じた光音響信号、及び前記送信された超音波に対する反射音響信号を検出する音響信号検出部と、
前記光源ユニットに対して光出射を指示する光トリガ信号を出力し、かつ、前記超音波送信部に対して超音波送信を指示する超音波トリガ信号を出力するトリガ制御部と、
前記音響信号検出部が検出した光音響信号及び反射音響信号をサンプリングし、該サンプリングした光音響信号及び反射音響信号を両者に共通のメモリに格納するサンプリング手段と、
前記サンプリング手段に対してサンプリング開始を指示するサンプリングトリガ信号を出力するサンプリング制御手段と、
前記メモリに格納された光音響信号に基づいて光音響画像を生成する光音響画像生成手段と、
前記メモリに格納された反射音響信号に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成手段とを備え、
前記トリガ制御手段が、前記光トリガ信号と前記超音波トリガ信号のうちの一方を出力した後、前記サンプリング手段がサンプリングを継続している状態で、前記光トリガ信号と前記超音波トリガ信号のうちの他方を出力し、前記サンプリング手段が、サンプリングを中断することなく、前記光音響信号と前記反射音響信号とを連続的にサンプリングすることを特徴とする断層画像生成装置。
【請求項2】
前記サンプリング制御手段が、前記光トリガ信号と前記超音波トリガ信号のうちの一方が出力されるタイミングと所定の時間関係にあるタイミングで前記サンプリングトリガ信号を出力し、前記トリガ制御手段が、前記サンプリングトリガ信号が出力されるタイミングから所定時間が経過したタイミングで前記光トリガ信号と前記超音波トリガ信号のうちの他方を出力するものであることを特徴とする請求項1に記載の断層画像生成装置。
【請求項3】
前記サンプリング手段が、前記光音響信号と前記反射音響信号とを同一のサンプリングレートでサンプリングするものであり、
前記超音波画像生成手段が、前記サンプリングされた反射音響信号を1/2にリサンプルする1/2リサンプル手段を含み、1/2にリサンプルされた反射音響信号に基づいて前記超音波画像を生成するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の断層画像生成装置。
【請求項4】
前記1/2リサンプル手段が、前記サンプリングされた反射音響信号を時間軸方向に1/2に圧縮するものであることを特徴とする請求項3に記載の断層画像生成装置。
【請求項5】
前記サンプリング手段におけるサンプリングレートを制御するサンプリングレート制御手段であって、前記サンプリング手段が前記反射音響信号をサンプリングする際のサンプリングレートを、前記光音響信号をサンプリングする際のサンプリングレートの半分にするサンプリングレート制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の断層画像生成装置。
【請求項6】
前記サンプリングレート制御手段が、前記超音波トリガ信号又は被検体に対する光照射に同期して、前記サンプリングレートを制御するものであることを特徴とする請求項5に記載の断層画像生成装置。
【請求項7】
前記トリガ制御手段が、前記光トリガ信号の出力に後続して前記超音波トリガ信号を出力することを特徴とする請求項1から6何れかに記載の断層画像生成装置。
【請求項8】
前記トリガ制御手段が、前記超音波トリガ信号の出力に後続して前記光トリガ信号を出力することを特徴とする請求項1から6何れかに記載の断層画像生成装置。
【請求項9】
前記超音波送信部から超音波の送信を行う範囲と、前記音響信号検出部が前記光音響信号及び反射音響信号の検出を行う範囲とがそれぞれ複数の領域に分割されており、該分割された領域ごとに、前記トリガ制御手段が前記光トリガ信号と前記超音波トリガ信号とを出力し、前記サンプリング制御手段がサンプリングトリガ信号を出力するものであることを特徴とする請求項1から8何れかに記載の断層画像生成装置。
【請求項10】
前記メモリに格納された光音響信号と反射音響信号とを分離するデータ分離手段を更に備えることを特徴とする請求項1から9何れかに記載の断層画像生成装置。
【請求項11】
前記光音響画像と前記超音波画像とを合成する画像合成手段を更に備えることを特徴とする請求項1から10何れかに記載の断層画像生成装置。
【請求項12】
前記光源が、相互に異なる複数の波長の光を出射するものであることを特徴とする請求項1から11何れかに記載の断層画像生成装置。
【請求項13】
前記光源が、レーザ媒質と、該レーザ媒質を励起する励起手段と、光共振器を構成する一対のミラーと、前記光共振器内に配置された波長選択素子とを含むことを特徴とする請求項12に記載の断層画像生成装置。
【請求項14】
前記波長選択素子が、透過波長が相互に異なる複数のバンドパスフィルタを含んでおり、前記光源が、前記光共振器の光路上に挿入されるバンドパスフィルタが所定の順序で順次に切り替わるように前記波長選択素子を駆動する駆動手段を更に有することを特徴とする請求項13に記載の断層画像生成装置。
【請求項15】
前記波長選択素子が、回転変位に伴って前記光共振器の光路上に選択的に挿入するバンドパスフィルタを切り替えるフィルタ回転体で構成され、前記駆動手段が前記フィルタ回転体を回転駆動するものであることを特徴とする請求項14に記載の断層画像生成装置。
【請求項16】
前記光音響画像生成手段が、被検体に照射された複数の波長の光に対して前記音響信号検出部で検出された、複数の波長のそれぞれに対応した光音響信号間の相対的な信号強度の大小関係を抽出する2波長データ演算手段を含み、該2波長データ演算手段で抽出された相対的な信号強度の大小関係に基づいて光音響画像を生成するものであることを特徴とする請求項12から15何れかに記載の断層画像生成装置。
【請求項17】
前記光音響画像生成手段が、複数の波長のそれぞれに対応した光音響信号に基づいて信号強度を示す強度情報を生成する強度情報抽出手段を更に含み、前記光音響画像の各画素の階調値を前記強度情報に基づいて決定すると共に、各画素の表示色を前記相対的な信号強度の大小関係に基づいて決定するものであることを特徴とする特徴とする請求項16に記載の断層画像生成装置。
【請求項18】
前記光源が出射すべき光の波長が第1の波長と第2の波長を含み、
前記光音響画像生成手段が、前記第1の波長のパルスレーザ光が被検体に照射されたときに前記音響信号検出部で検出された第1の光音響信号と、前記第2の波長のパルスレーザ光が被検体に照射されたときに前記音響信号検出部で検出された第2の光音響信号とのうちの何れか一方を実部、他方を虚部とした複素数データを生成する複素数化手段と、前記複素数データからフーリエ変換法により再構成画像を生成する再構成手段とを更に含み、
前記強度比抽出手段が、前記再構成画像から前記大小関係としての位相情報を抽出し、前記強度情報抽出手段が、前記再構成画像から前記強度情報を抽出するものであることを特徴とする請求項17記載の光音響画像生成装置。
【請求項19】
前記音響信号検出部の音響信号検出素子が、前記超音波送信部の超音波送信素子を兼ねることを特徴とする請求項1から18何れかに記載の光音響画像生成装置。
【請求項20】
被検体に対する光の照射、及び、被検体に対する超音波の送信のうちの一方を実施するステップと、
前記光の照射又は超音波の送信タイミングに合わせてサンプリング手段におけるサンプリングを開始させるステップと、
前記サンプリング手段により、前記光の照射により前記被検体内で生じた光音響信号、又は、前記送信された超音波に対する反射音響信号の一方をサンプリングし、該サンプリングした光音響信号又は反射音響信号の一方をメモリに格納するステップと、
前記サンプリング手段がサンプリングを継続している状態で、被検体に対する光の照射、及び、被検体に対する超音波の送信のうちの他方を実施するステップと、
前記サンプリング手段により、前記光音響信号又は反射音響信号の一方のサンプリングと連続して、前記光音響信号又は前記反射音響信号の他方をサンプリングし、該サンプリングした前記光音響信号又は前記反射音響信号の他方を前記メモリに格納するステップと、
前記メモリに格納された光音響信号及び超音波信号に基づいて、光音響画像及び超音波画像を生成するステップとを有する断層画像生成方法。
【請求項1】
被検体に対して照射すべき光を出射する光源ユニットと、
前記被検体に対して超音波の送信を行う超音波送信部と、
前記レーザ光の照射により前記被検体内で生じた光音響信号、及び前記送信された超音波に対する反射音響信号を検出する音響信号検出部と、
前記光源ユニットに対して光出射を指示する光トリガ信号を出力し、かつ、前記超音波送信部に対して超音波送信を指示する超音波トリガ信号を出力するトリガ制御部と、
前記音響信号検出部が検出した光音響信号及び反射音響信号をサンプリングし、該サンプリングした光音響信号及び反射音響信号を両者に共通のメモリに格納するサンプリング手段と、
前記サンプリング手段に対してサンプリング開始を指示するサンプリングトリガ信号を出力するサンプリング制御手段と、
前記メモリに格納された光音響信号に基づいて光音響画像を生成する光音響画像生成手段と、
前記メモリに格納された反射音響信号に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成手段とを備え、
前記トリガ制御手段が、前記光トリガ信号と前記超音波トリガ信号のうちの一方を出力した後、前記サンプリング手段がサンプリングを継続している状態で、前記光トリガ信号と前記超音波トリガ信号のうちの他方を出力し、前記サンプリング手段が、サンプリングを中断することなく、前記光音響信号と前記反射音響信号とを連続的にサンプリングすることを特徴とする断層画像生成装置。
【請求項2】
前記サンプリング制御手段が、前記光トリガ信号と前記超音波トリガ信号のうちの一方が出力されるタイミングと所定の時間関係にあるタイミングで前記サンプリングトリガ信号を出力し、前記トリガ制御手段が、前記サンプリングトリガ信号が出力されるタイミングから所定時間が経過したタイミングで前記光トリガ信号と前記超音波トリガ信号のうちの他方を出力するものであることを特徴とする請求項1に記載の断層画像生成装置。
【請求項3】
前記サンプリング手段が、前記光音響信号と前記反射音響信号とを同一のサンプリングレートでサンプリングするものであり、
前記超音波画像生成手段が、前記サンプリングされた反射音響信号を1/2にリサンプルする1/2リサンプル手段を含み、1/2にリサンプルされた反射音響信号に基づいて前記超音波画像を生成するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の断層画像生成装置。
【請求項4】
前記1/2リサンプル手段が、前記サンプリングされた反射音響信号を時間軸方向に1/2に圧縮するものであることを特徴とする請求項3に記載の断層画像生成装置。
【請求項5】
前記サンプリング手段におけるサンプリングレートを制御するサンプリングレート制御手段であって、前記サンプリング手段が前記反射音響信号をサンプリングする際のサンプリングレートを、前記光音響信号をサンプリングする際のサンプリングレートの半分にするサンプリングレート制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の断層画像生成装置。
【請求項6】
前記サンプリングレート制御手段が、前記超音波トリガ信号又は被検体に対する光照射に同期して、前記サンプリングレートを制御するものであることを特徴とする請求項5に記載の断層画像生成装置。
【請求項7】
前記トリガ制御手段が、前記光トリガ信号の出力に後続して前記超音波トリガ信号を出力することを特徴とする請求項1から6何れかに記載の断層画像生成装置。
【請求項8】
前記トリガ制御手段が、前記超音波トリガ信号の出力に後続して前記光トリガ信号を出力することを特徴とする請求項1から6何れかに記載の断層画像生成装置。
【請求項9】
前記超音波送信部から超音波の送信を行う範囲と、前記音響信号検出部が前記光音響信号及び反射音響信号の検出を行う範囲とがそれぞれ複数の領域に分割されており、該分割された領域ごとに、前記トリガ制御手段が前記光トリガ信号と前記超音波トリガ信号とを出力し、前記サンプリング制御手段がサンプリングトリガ信号を出力するものであることを特徴とする請求項1から8何れかに記載の断層画像生成装置。
【請求項10】
前記メモリに格納された光音響信号と反射音響信号とを分離するデータ分離手段を更に備えることを特徴とする請求項1から9何れかに記載の断層画像生成装置。
【請求項11】
前記光音響画像と前記超音波画像とを合成する画像合成手段を更に備えることを特徴とする請求項1から10何れかに記載の断層画像生成装置。
【請求項12】
前記光源が、相互に異なる複数の波長の光を出射するものであることを特徴とする請求項1から11何れかに記載の断層画像生成装置。
【請求項13】
前記光源が、レーザ媒質と、該レーザ媒質を励起する励起手段と、光共振器を構成する一対のミラーと、前記光共振器内に配置された波長選択素子とを含むことを特徴とする請求項12に記載の断層画像生成装置。
【請求項14】
前記波長選択素子が、透過波長が相互に異なる複数のバンドパスフィルタを含んでおり、前記光源が、前記光共振器の光路上に挿入されるバンドパスフィルタが所定の順序で順次に切り替わるように前記波長選択素子を駆動する駆動手段を更に有することを特徴とする請求項13に記載の断層画像生成装置。
【請求項15】
前記波長選択素子が、回転変位に伴って前記光共振器の光路上に選択的に挿入するバンドパスフィルタを切り替えるフィルタ回転体で構成され、前記駆動手段が前記フィルタ回転体を回転駆動するものであることを特徴とする請求項14に記載の断層画像生成装置。
【請求項16】
前記光音響画像生成手段が、被検体に照射された複数の波長の光に対して前記音響信号検出部で検出された、複数の波長のそれぞれに対応した光音響信号間の相対的な信号強度の大小関係を抽出する2波長データ演算手段を含み、該2波長データ演算手段で抽出された相対的な信号強度の大小関係に基づいて光音響画像を生成するものであることを特徴とする請求項12から15何れかに記載の断層画像生成装置。
【請求項17】
前記光音響画像生成手段が、複数の波長のそれぞれに対応した光音響信号に基づいて信号強度を示す強度情報を生成する強度情報抽出手段を更に含み、前記光音響画像の各画素の階調値を前記強度情報に基づいて決定すると共に、各画素の表示色を前記相対的な信号強度の大小関係に基づいて決定するものであることを特徴とする特徴とする請求項16に記載の断層画像生成装置。
【請求項18】
前記光源が出射すべき光の波長が第1の波長と第2の波長を含み、
前記光音響画像生成手段が、前記第1の波長のパルスレーザ光が被検体に照射されたときに前記音響信号検出部で検出された第1の光音響信号と、前記第2の波長のパルスレーザ光が被検体に照射されたときに前記音響信号検出部で検出された第2の光音響信号とのうちの何れか一方を実部、他方を虚部とした複素数データを生成する複素数化手段と、前記複素数データからフーリエ変換法により再構成画像を生成する再構成手段とを更に含み、
前記強度比抽出手段が、前記再構成画像から前記大小関係としての位相情報を抽出し、前記強度情報抽出手段が、前記再構成画像から前記強度情報を抽出するものであることを特徴とする請求項17記載の光音響画像生成装置。
【請求項19】
前記音響信号検出部の音響信号検出素子が、前記超音波送信部の超音波送信素子を兼ねることを特徴とする請求項1から18何れかに記載の光音響画像生成装置。
【請求項20】
被検体に対する光の照射、及び、被検体に対する超音波の送信のうちの一方を実施するステップと、
前記光の照射又は超音波の送信タイミングに合わせてサンプリング手段におけるサンプリングを開始させるステップと、
前記サンプリング手段により、前記光の照射により前記被検体内で生じた光音響信号、又は、前記送信された超音波に対する反射音響信号の一方をサンプリングし、該サンプリングした光音響信号又は反射音響信号の一方をメモリに格納するステップと、
前記サンプリング手段がサンプリングを継続している状態で、被検体に対する光の照射、及び、被検体に対する超音波の送信のうちの他方を実施するステップと、
前記サンプリング手段により、前記光音響信号又は反射音響信号の一方のサンプリングと連続して、前記光音響信号又は前記反射音響信号の他方をサンプリングし、該サンプリングした前記光音響信号又は前記反射音響信号の他方を前記メモリに格納するステップと、
前記メモリに格納された光音響信号及び超音波信号に基づいて、光音響画像及び超音波画像を生成するステップとを有する断層画像生成方法。
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図14】
【図15】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−196428(P2012−196428A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−7610(P2012−7610)
【出願日】平成24年1月18日(2012.1.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月18日(2012.1.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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