説明

断熱ドア

【課題】例えば発泡ウレタン等の断熱材を内部に注入する場合に、断熱材漏れや浮き上がりが発生することを防止することができる断熱ドアを提供すること。
【解決手段】それぞれに開口部121,131が形成され、かつ互いの内面が対向した状態で配置された外側表面材12と内側表面材13との間に、パネル体151を備えたパネルユニット15を介在させ、開口部121,131を通じてパネル体151が露出した状態で外側表面材12と内側表面材13とを接着させることにより構成された断熱構造を有する断熱ドアにおいて、外側表面材12及び内側表面材13のそれぞれの内面における開口部121,131の開口縁部に接着固定されるとともに、パネルユニット15に接着固定された額縁部材20を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱ドアに関し、より詳細には、例えば建物等において使用される断熱ドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば建物等の玄関において開閉自在に設置される断熱ドアとして、鋼板等の金属材料からなる外側表面材と内側表面材とを備えたものが知られている。外側表面材は、室外側に位置するもので、例えば矩形状の開口部が形成されている。内側表面材は、室内側に位置するもので、例えば矩形状の開口部が形成されている。これら外側表面材と内側表面材とを互いの内面が対向した状態で配置し、ガラスよりなるパネル体を備えたガラスユニット、金属材料よりなるフレーム材、並びに発泡スチロール等からなる板状の断熱材を適宜介在させて、上記開口部よりパネル体が露出した状態で外側表面材と内側表面材とを接着させることにより、窓部付の断熱ドアが形成される。
【0003】
このような断熱ドアにおいては、外側表面材及び内側表面材のそれぞれの開口部から露出した状態のパネル体の水密性を確保するために、外側表面材及び内側表面材のそれぞれの内面における開口部の開口縁部に接着固定されるとともに、内部のガラスユニットに当接された化粧額縁が配設されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−297784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述したような断熱ドアにおいては、水密性を確保するために配設した化粧額縁は、外側表面材及び内側表面材のそれぞれの内面には接着固定されているものの、ガラスユニットには当接されているだけである。そのため、上述したような板状の断熱材ではなく、例えば発泡ウレタン等の断熱材を内部に注入させて充填させることにより断熱構造を形成する場合には、化粧額縁とガラスユニットとの当接個所にも注入された断熱材が進入してしまい、その結果、開口部から露出した状態のパネル体に断熱材が漏れてしまう断熱材漏れが発生したり、外側表面材及び内側表面材の所定部位が浮き上がってしまう浮き上がりが発生したりする虞れがあった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、例えば発泡ウレタン等の断熱材を内部に注入する場合に、断熱材漏れや浮き上がりが発生することを防止することができる断熱ドアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る断熱ドアは、それぞれに開口部が形成され、かつ互いの内面が対向した状態で配置された外側表面材と内側表面材との間に、パネル体を備えたパネルユニットを介在させ、前記開口部を通じて前記パネル体が露出した状態で前記外側表面材と前記内側表面材とを接着させることにより構成された断熱構造を有する断熱ドアにおいて、前記外側表面材及び前記内側表面材のそれぞれの内面における前記開口部の開口縁部に接着固定されるとともに、前記パネルユニットに接着固定された額縁部材を備えたことを特徴とする。
【0008】
このように外側表面材及び内側表面材のそれぞれの内面における開口部の開口縁部に接着固定された額縁部材が、パネルユニットにも接着固定されているので、発泡ウレタン等の断熱材を内部に注入しても、かかる断熱材が額縁部材とパネルユニットとの間、並びに額縁部材と表面材との間に進入してしまうことがない。そのため、開口部から露出されたパネル体に断熱材が漏れてしまう断熱材漏れが発生する虞れがなく、しかも当該進入により外側表面材及び内側表面材の所定部位が浮き上がってしまう浮き上がりが発生する虞れもない。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る断熱ドアは、上述した請求項1において、前記額縁部材は、前記外側表面材及び前記内側表面材のそれぞれの前記開口縁部に接着固定されるとともに、前記パネルユニットに接着固定される硬質ゴム部材と、前記硬質ゴム部材に一体的に形成されるとともに、前記パネルユニットを構成する前記パネル体に当接する軟質ゴム部材とを備えたことを特徴とする。
【0010】
このように額縁部材の硬質ゴム部材が、外側表面材及び内側表面材のそれぞれの開口縁部に接着固定されるとともにパネルユニットに接着固定されるので、接着固定される部位が容易に変形することを抑制することができ、表面材及びパネルユニットとの接着を良好なものとすることができる。しかも、硬質ゴム部材に一体的に形成される軟質ゴム部材が、パネルユニットを構成するパネル体に当接するので、パネル体に当接することにより容易に変形することができ、パネル体との密着性を良好なものとすることができる。
【0011】
また、本発明の請求項3に係る断熱ドアは、上述した請求項1又は請求項2において、前記開口縁部には、対向する表面材側に向けて立設する立上片が全周にわたって形成されてなり、前記額縁部材は、前記立上片に係合する係合部を有することを特徴とする。
【0012】
このように額縁部材の係合部が立上片に係合することにより、額縁部材の位置決めを容易なものとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る断熱ドアによれば、例えば発泡ウレタン等の断熱材を内部に注入する場合に、断熱材漏れや浮き上がりが発生することを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である断熱ドアを示すもので、外側(室外側)から見た場合を示す正面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態である断熱ドアを示すもので、図1の横断面図である。
【図3】図3は、ドア本体の分解斜視図である。
【図4】図4は、図2及び図3に示す外側表面材(内側表面材)の内面における開口縁部に接着固定される額縁部材を示す組立前の模式図である。
【図5】図5は、ドア本体の要部を示す横断面図である。
【図6】図6は、ドア本体の要部を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る断熱ドアの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1及び図2は、それぞれ本発明の実施の形態である断熱ドアを示すものであり、図1は、外側(室外側)から見た場合を示す正面図であり、図2は、図1の横断面図である。ここで例示する断熱ドアは、例えば建物等の玄関の開口に取り付けられた図示せぬドア枠体に対して同じく図示せぬヒンジ機構を介して開閉自在に配設されたものであり、把手部1及びロック部2がドア本体10に設けられて構成されている。
【0017】
把手部1は、利用者が把持して当該断熱ドアを開閉するための部位である。ロック部2は、把手部1の上下にそれぞれ設けられており、当該断熱ドアが閉成した状態にある場合に利用者に操作されて施錠状態になることにより、断熱ドアの開操作を規制する一方、当該断熱ドアが閉成した状態にある場合に利用者に操作されて解錠状態になることにより、断熱ドアの開操作を許容するものである。
【0018】
ドア本体10は、上下方向に沿って並設された複数(図示の例では7つ)の窓部11を有し、図3にも示すように、外側表面材12、内側表面材13、フレーム材14及びパネルユニット15を備えている。
【0019】
外側表面材12は、ドア本体10の室外面を構成する薄板状の鋼板等の金属材料からなる面材である。この外側表面材12には、上下方向に沿って矩形状をなす複数(図示の例では7つ)の開口部121が形成してある。
【0020】
内側表面材13は、ドア本体10の室内面を構成する薄板状の面材である。この内側表面材13は、その内面が外側表面材12の内面に対向した状態で配置してあり、該外側表面材12の開口部121に対向する個所に、該開口部121と同じ大きさを有する矩形状の開口部131が複数(図示の例では7つ)形成してある。
【0021】
フレーム材14は、ドア本体10の骨格をなす支持部材であり、上フレーム材141、下フレーム材142及び縦フレーム材143により枠状に形成してある。このフレーム材14は、アルミ材や鋼材等の金属材、あるいは樹脂材等により構成してある。ここで、上フレーム材141は、ドア本体10の上縁部を構成するものであり、下フレーム材142は、ドア本体10の下縁部を構成するものである。また縦フレーム材143は、ドア本体10の両側縁部を構成するものである。図には明示しないが、このようなフレーム材14には、ドアとしての機能を発揮するために必要な部材が取り付けられている。
【0022】
パネルユニット15は、パネル体151とパネルフレーム材152とを備えて構成してある。パネル体151は、例えばガラス板よりなる長尺平板状体である。ここで本実施の形態では、パネル体151としてガラス板を用いているが、本発明においてはこれに限られず、樹脂板等の他の材質の板材を用いても構わない。
【0023】
パネルフレーム材152は、複数(図示の例では2つ)あり、それぞれが断面コ字状をなして形成された長尺板状体である。これらパネルフレーム材152は、例えばアルミ材のような金属材から構成され、それぞれに複数(図示の例では7つ)のフレーム開口部153が形成してある。これらフレーム開口部153は、矩形状をなし、それぞれが外側表面材12及び内側表面材13に形成された開口部121,131よりも僅かに大きいものである。そして、これら2つのパネルフレーム材152の間にパネル体151を介在させ、これらパネルフレーム材152をビス154等により固定することにより該パネル体151を保持している。これによりパネル体151の一部がフレーム開口部153から露出した状態になる。尚、これらパネルフレーム材152の内部にはクッション材としての機能を有する樹脂が適宜配設してある。
【0024】
上記ドア本体10は、上記構成の他に額縁部材20を備えている。額縁部材20は、枠状をなすものであり、図4にも示すように、外側表面材12及び内側表面材13のそれぞれの内面における開口部121,131の開口縁部に接着固定してある。より詳細に説明すると、次のようになる。
【0025】
外側表面材12及び内側表面材13のそれぞれの内面における開口縁部には、対向する表面材に向けて立ち上がる立上片122,132が全周に亘って形成してある。
【0026】
額縁部材20は、図4に示すように、基部21と当接部22とが一体的に成形されて構成したものである。
【0027】
基部21は、主に硬質ゴムから形成された硬質ゴム部材であり、溝状の係合部211と平面状の接着部212とが連続して形成されたものである。係合部211は、溝内に立上片122,132を進入させて該立上片122,132と係合するものである。接着部212は、2つの接着面、すなわち表面材接着面212a及びパネル接着面212bを有している。表面材接着面212aは、外側表面材12の内面、あるいは内側表面材13の内面と両面接着テープ(図示せず)により接着固定されるものである。パネル接着面212bは、パネルユニット15(パネルフレーム材152)に両面接着テープ(図示せず)により接着固定されるものである(図2参照)。
【0028】
当接部22は、主に軟質ゴムから形成された軟質ゴム部材であり、パネル体151に当接するものである。この当接部22は、パネル体151に当接することにより自身の形状を弾性変形させることになる。
【0029】
このようにして外側表面材12及び内側表面材13のそれぞれの内面における開口部121,131の開口縁部に両面接着テープにより接着固定された額縁部材20の接着部212のパネル接着面212bにも両面接着テープを貼付し、図5に示すように、外側表面材12と内側表面材13との間に、パネルユニット15を介在させて、外側表面材12と内側表面材13とを、それぞれの開口部121,131からパネルユニット15のパネル体151が露出した状態でフレーム材14に接着させる。これにより窓部11が形成されるとともに、図6に示すように額縁部材20は、基部21における接着部212のパネル接着面212bは、パネルフレーム材152に接着固定されるとともに、当接部22が押圧されることにより自身の形状を変形させた状態でパネル体151に当接することになる。
【0030】
そして、その後図示せぬ所定の開口孔より外側表面材12、内側表面材13及びフレーム材14により形成される内部に例えば発泡ウレタン等の断熱材を注入することにより断熱構造を有するドア本体10が形成されることになる。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態である断熱ドアにおいては、外側表面材12及び内側表面材13のそれぞれの内面における開口部121,131の開口縁部に接着固定された額縁部材20は、基部21の係合部211が立上片122,132に係合するとともに、当接部22がパネル体151に自身の形状を変形させた状態で当接していることにより、断熱ドアの窓部11におけるパネル体151の全周の水密性を確保することができる。特に、係合部211が立上片122,132に係合することにより、額縁部材20の位置決めが容易になる。
【0032】
また、外側表面材12及び内側表面材13のそれぞれの内面における開口部121,131の開口縁部に両面接着テープにより接着固定された額縁部材20は、接着部212のパネル接着面212bがパネルユニット15に両面接着テープにより接着固定されているので、その後に発泡ウレタン等の断熱材を内部に注入しても、かかる断熱材が額縁部材20とパネルユニット15との間、並びに額縁部材20と表面材12,13との間に進入してしまうことがない。そのため、当該進入により開口部121,131から露出されたパネル体151、すなわち窓部11を構成するパネル体151に断熱材が漏れてしまう断熱材漏れが発生する虞れがなく、しかも当該進入により外側表面材12及び内側表面材13の所定部位が浮き上がってしまう浮き上がりが発生する虞れもない。
【0033】
従って、本実施の形態である断熱ドアによれば、例えば発泡ウレタン等の断熱材を内部に注入する場合に、断熱材漏れや浮き上がりが発生することを防止することができる。
【0034】
また、上記断熱ドアによれば、額縁部材20の接着部212は硬質ゴムよりなるので、表面材12,13とパネルユニット15との間に押圧された状態で配設されてもその形状を容易に変形させることがなく、これにより表面材12,13及びパネルユニット15との接着を良好なものとすることができる。
【0035】
更に、上記断熱ドアによれば、額縁部材20の当接部22は軟質ゴムよりなるので、パネル体151に当接することにより容易に変形することができ、パネル体151との密着性を良好なものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明に係る断熱ドアは、例えば建物等の玄関において開閉自在に設置されるのに有用である。
【符号の説明】
【0037】
10 ドア本体
11 窓部
12 外側表面材
13 内側表面材
14 フレーム材
15 パネルユニット
121 開口部
122 立上片
131 開口部
132 立上片
141 上フレーム材
142 下フレーム材
143 縦フレーム材
151 パネル体
152 パネルフレーム材
20 額縁部材
21 基部
22 当接部
211 係合部
212 接着部
212a 表面材接着面
212b パネル接着面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに開口部が形成され、かつ互いの内面が対向した状態で配置された外側表面材と内側表面材との間に、パネル体を備えたパネルユニットを介在させ、前記開口部を通じて前記パネル体が露出した状態で前記外側表面材と前記内側表面材とを接着させることにより構成された断熱構造を有する断熱ドアにおいて、
前記外側表面材及び前記内側表面材のそれぞれの内面における前記開口部の開口縁部に接着固定されるとともに、前記パネルユニットに接着固定された額縁部材を備えたことを特徴とする断熱ドア。
【請求項2】
前記額縁部材は、
前記外側表面材及び前記内側表面材のそれぞれの前記開口縁部に接着固定されるとともに、前記パネルユニットに接着固定される硬質ゴム部材と、
前記硬質ゴム部材に一体的に形成されるとともに、前記パネルユニットを構成する前記パネル体に当接する軟質ゴム部材と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の断熱ドア。
【請求項3】
前記開口縁部には、対向する表面材側に向けて立設する立上片が全周にわたって形成されてなり、
前記額縁部材は、前記立上片に係合する係合部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の断熱ドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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