説明

断熱パネル及びその接合構造

【課題】表面板と枠材の結合を強固にすることにより断熱性能の維持が図れる断熱パネルと、断熱パネル間の接合部の隙間を防止して気密性・断熱性の低下の抑制を図れるようにした断熱パネルの接合構造を提供すること。
【解決手段】一対の表面板1,2と、両表面板の各辺部間に介在される枠材3と、両表面板と枠材とで形成される空間内に注入充填される断熱心材9と、を備える断熱パネルPにおいて、枠材はコンクリート製であって、枠材の外側面に長手方向に沿う両端部に係合受け部12a,12bが形成され、係合受け部に、表面板の辺部からパネル内方側に向かって折曲される係合部11a,11bを係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばクリーンルームや倉庫等の建築物の天井や壁等を構成する断熱パネル及びその接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えばクリーンルームや倉庫等の建築物の天井や壁を構成する断熱パネルは、一対の表面板と、両表面板の辺部に介在される枠材と、両表面板及び枠材間に形成される空間内に注入充填される例えば発泡ポリウレタンからなる断熱心材と、で構成されている。
【0003】
従来、枠材は、例えば合成樹脂製の押出形材や射出成形材にて形成され、その長手方向に沿って略断面台形状に形成される係合凸条もしくは係合凸条と嵌合し得る断面が略逆台形状の係合凹条が形成され、係合凸条及び係合凹条の両端には、両表面板に対して垂直に延在すると共に、表面板の端部折曲片が嵌合可能な嵌合溝を有する垂直片が連続的に形成されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−84782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の断熱パネルにおいては、枠材が合成樹脂製の押出形材や射出成形材にて形成されているため、経年劣化により枠材が変形し、例えば表面板の端部折曲片と枠材に設けられた嵌合溝との係合が不十分となる虞がある。また、表面板の端部折曲片と枠材に設けられた嵌合溝との係合が不十分になると、表面板と断熱心材及び枠材と断熱心材の密着性が低下し剥離することにより断熱パネルの断熱性能を低下させる懸念がある。
【0006】
また、一方の断熱パネルの長手方向に沿って略断面台形状に形成される係合凸条と、他方の断熱パネルの長手方向に沿って略逆台形状に形成される係合凹条と、を嵌合してパネル同士を接合するが、この状態においても経年劣化によって枠材が変形し、パネル同士の密着性が低下して接合部に隙間が生じ、気密性・断熱性が低下する虞がある。
【0007】
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、表面板と枠材の結合を強固にすることにより断熱性能の維持が図れる断熱パネルと、断熱パネル間の接合部の隙間を防止して気密性・断熱性の低下の抑制を図れるようにした断熱パネルの接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、請求項1記載の発明は、一対の表面板と、両表面板の各辺部間に介在される枠材と、上記両表面板と上記枠材とで形成される空間内に注入充填される断熱心材と、を備える断熱パネルにおいて、 上記枠材は無機断熱材製であって、上記枠材の外側面に長手方向に沿う両端部に係合受け部が形成され、 上記係合受け部に、上記表面板の辺部からパネル内方側に向かって折曲される係合部を係合してなる、ことを特徴とする。ここで、無機断熱材には、例えばコンクリート,ケイ酸カルシウム板あるいはロックウール等の断熱材がある。
【0009】
このように構成することにより、枠材は無機断熱材製であって経年劣化による変形を少なくすることができるため、表面板の係合部と枠材の係合受け部の係合が不十分になるのを防止することにより、表面板と枠材の結合を強固にすることができる。
【0010】
この発明において、上記表面板の内面に連結されると共に、上記断熱心材内に埋設される取付座金を更に備え、上記取付座金に突設された係合突起部を、上記枠材の内側面に設けられた凹部に係合してもよい(請求項2)。
【0011】
このように構成することにより、表面板の内面に連結されると共に、断熱心材内に埋設される取付座金に突設された係合突起部を、枠材の内側面に設けられた凹部に係合することにより、表面板と枠材との結合を更に強固にすることができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、一対の表面板と、両表面板の各辺部間に介在される枠材と、上記両表面板と上記枠材とで形成される空間内に注入充填される断熱心材と、を備える断熱パネルにおいて、 上記枠材は、無機断熱材製の枠材本体と、該枠材本体の長手方向に沿う一端に連設される断熱性を有する補助枠材と、からなり、 上記枠材本体の外側面の長手方向に沿う他端部に係合受け部が形成され、該係合受け部に、上記表面板の辺部からパネル内方側に向かって折曲される係合部を係合し、 上記補助枠材の長手方向に沿う端部に係合受け部が形成され、該係合受け部に、上記表面板の辺部からパネル内方側に向かって折曲される係合部を係合してなる、ことを特徴とする。
【0013】
このように構成することにより、枠材本体は無機断熱材製であって経年劣化による変形を少なくすることができるため、表面板の係合部と枠材本体の係合受け部の係合が不十分になるのを防止することにより、表面板と枠材本体の結合を強固にすることができる。また、断熱性を有する補助枠材を表面板と枠材本体の間に介在することにより、熱架橋(ヒートブリッジ)を防止することができる。
【0014】
この発明に係る断熱パネルを備えた接合構造は、接合される断熱パネルの上記枠材の外側面に、該枠材の長手方向に沿って他の断熱パネルとの接合用の凸条を形成し、他の断熱パネルの上記枠材の外側面に上記凸条が嵌合可能な凹条を形成し、上記凸条の端面と上記凹条の底面の間に、不燃材料製の目地塞ぎ材を介在して両断熱パネルを接合してなる、ことを特徴とする(請求項4)。また、上記枠材の外側面に、該枠材の長手方向に沿って凹溝を形成し、接合される両断熱パネルの上記凹溝内に不燃材料製の連結部材を嵌合して両断熱パネルを接合してもよい(請求項5)。
【0015】
このように構成することにより、枠材はコンクリート製であって経年劣化による変形を少なくすることができ、かつ、接合される両断熱パネルの枠材間に不燃材料製の目地塞ぎ材を介在又は連結部材を嵌合して接合することにより接合部の隙間を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る断熱パネルによれば、上記のように構成されているので、枠材は無機断熱材製であって経年劣化による変形を少なくすることができるため、表面板の係合部と枠材の係合受け部の係合が不十分になるのを防止することにより、表面板と枠材の結合を強固にすることができため、断熱パネルの断熱性能の維持が図れる。また、この発明に係る断熱パネルの接合構造によれば、枠材は無機断熱材製であって経年劣化による変形を少なくすることができ、かつ、接合される両断熱パネルの枠材間に不燃材料製の目地塞ぎ材を介在又は連結部材を嵌合して接合することにより接合部の隙間を防止することができるため、断熱パネル間の接合部の気密性・断熱性の低下の抑制をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明に係る第1実施形態の断熱パネルを天井パネルとして使用した場合の断面図である。
【図2】この発明に係る第1実施形態の断熱パネルと他の断熱パネルの一部を断面で示す斜視図である。
【図3】この発明に係る第1実施形態の断熱パネルの接合構造を示す拡大断面図である。
【図4】この発明に係る第2実施形態の断熱パネルを天井パネルとして使用した場合の断面図である。
【図5】この発明に係る第2実施形態の断熱パネルの一部を断面で示す分解斜視図である。
【図6】この発明に係る第2実施形態の断熱パネルの接合構造を示す拡大断面図である。
【図7】この発明に係る第3実施形態の断熱パネルの接合構造を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、この発明に係る断熱パネルの実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、この発明に係る断熱パネルを天井パネルに使用した場合の天井構造について説明する。
【0019】
<第1実施形態>
この発明に係る断熱パネルP(以下にパネルPという)は、図1,2に示すように、一対の表面板1,2(以下に上面板1,下面板2という)と、上下面板1,2の辺部間に介設される枠材3と、上下面板1,2と枠材3とで形成される空間内に注入充填される例えば発泡ポリウレタン等の断熱心材9と、パネルPの所定の部位例えば角部の内面側に連結され、断熱心材9内に埋設される取付座金20と、で構成されている。
【0020】
上下面板1,2は、図2に示すように、例えばアルミニウム合金によって一定の規格の大きさに薄板状に形成されており、その辺部にはパネルP内方面に向かって垂直に折曲される垂直片1a,2aと、垂直片1a,2aの端部からパネル内面方向に上下面板1,2に対して水平に折曲される水平片1b,2bと、からなる係合部11a,11bが形成されている。
【0021】
枠材3は、無機断熱材例えば発泡コンクリート製であって、図2に示すように、接合されるパネルPの上下面板1,2の辺部間に、その長手方向に沿って断面長方形状に形成される他のパネルP1との接合用の凸条3aと、他のパネルP1の上下面板1,2の辺部間に凸条3aを係合し得る断面長方形状の凹条3bが形成されている。これら枠材3の凸条3a及び凹条3bの長手方向に沿う両端部には、断面長方形状の係合受け部12a,12bが形成されている。
【0022】
図2に示すように、枠材3に形成される凸条3aの端面には、枠材3の長手方向に沿って不燃材料製例えばセラミックファイバー製の目地塞ぎ材19が、例えば両面接着テープ(図示せず)により接着されている。
【0023】
取付座金20は、パネルPの強度を高めるためのものであって、図1に示すように、上面板1の内面側に当接される矩形状の基板20aと、この基板20aの先端からパネルPの厚さ方向(パネルの内方)に屈曲して延設される起立片20bと、この起立片20bの先端から基板20aと反対側に上下面板1,2に対して平行に屈曲して延設される水平片20cとで一体に形成されている。基板20aの中央部に取付孔(図示せず)が設けられ、下面には取付孔に連通する取付ねじ受け部20dが固着されている。
【0024】
上記のように構成されるパネルPを製作するには、まず、上面板1の辺部に形成された係合部11aを、予め目地塞ぎ材19を凸条3aの端面に両面接着テープ(図示せず)にて接着してある枠材3の一方の係合受け部12aに係合して枠組みし、両面接着テープ(図示せず)を介して上面板1の内面に取付座金20の基板20aを仮装着した後、下面板2の辺部に形成された係合部11bを、枠材3の他方の係合受け部12bに係合して組み付ける。このようにして、複数のパネルを定盤及びスペーサを介して平積みにし、平積みされた各パネルの上面板1及び下面板2と枠材3によって形成された空間内に、枠材3に設けられた注入口(図示せず)から断熱心材9を注入・充填してパネルPを製作する。
【0025】
次に第1実施形態に係るパネルPの接合構造について説明する。パネルPとパネルP1を接合するには、図2,図3に示すように、パネルPとパネルP1を対峙させた後、パネルPに形成された凸条3aとパネルP1に形成された凹条3bを嵌合させる。図3に示すように、凸条3aの端面には目地塞ぎ材19が接着されているため、凸条3aの端面と凹条3bの底面の間には、枠材3の長手方向に沿って目地塞ぎ材19が介在される。また、両パネルの間には断熱パッキン18が圧縮された状態で介在させてある。なお、断熱パッキン18はコーキング材であってもよい。
【0026】
次に、この発明に係るパネルPを用いた天井構造について説明する。天井構造は、図1に示すように、図示しない吊り金具によって吊持される天井梁30に連結金具31を介してパネルPが取り付けられている。この場合、天井梁30は、例えばアルミニウム合金製の押出形材にて形成され、断面がC形状に形成されている。
【0027】
連結金具31は、例えばアルミニウム合金製の押出形材にて形成され、図1に示すように、天井梁30を外側からコ字状に囲むようにして取り付けられ、下方フランジ部31aの下面に当接するパネルPの内面に装着された取付座金20に固着された取付ねじ受け部20dにねじ結合される連結ボルト32によって固定されるようになっている。また、連結金具20の壁部と天井梁30の垂直片30aとは、固定ねじ33によって固定されている。なお、天井梁30の下面とパネルPの上面板1との当接部の周縁部にはシール部材34が装填され、気水密性の維持が図られている。
【0028】
上記のように構成される天井構造に使用されるパネルPによれば、上述のように構成されているので、枠材3はコンクリート製であって経年劣化による変形を少なくすることができるため、上下面板1,2の係合部11a,11bと枠材3の係合受け部12a,12bの係合が不十分になるのを防止することにより、上下面板1,2と枠材3の結合を強固にすることができため、パネルPの断熱性能の維持が図れる。
【0029】
上記のように構成される天井構造に使用されるパネルPとパネルP1の接合構造によれば、上述のように構成されているので、パネルP及びパネルP1の枠材3はコンクリート製であって経年劣化による変形を少なくすることができ、かつ、接合されるパネルP及びパネルP1の枠材3間に不燃材料製例えばセラミックファイバー製の目地塞ぎ材19を介在して接合することにより接合部の隙間を防止することができるため、パネルPとパネルP1間の接合部の気密性・断熱性の低下の抑制をすることができる。
【0030】
<第2実施形態>
第1実施形態は、上下面板1,2の辺部に形成された係合部11a,11bと、枠材3の外側面に形成された係合受け部12a,12bを係合して、上下面板1,2と枠材3を係合したが、図4に示すように、上面板1Aの内面に連結されると共に、断熱心材9内に埋設される取付座金21を更に備え、取付座金21に突設された係合突起部21aを、枠材4の内側面に設けられた凹部4hに係合しもよい。
【0031】
第2実施形態に係る断熱パネルP2(以下にパネルP2という)は、図4,5,6に示すように、一対の表面板1A,2(以下に上面板1A,下面板2という)と、上下面板1A,2の辺部間に介設される枠材4と、上下面板1A,2と枠材4とで形成される空間内に注入充填される例えば発泡ポリウレタン等の断熱心材9と、パネルP2の所定の部位例えば角部の内面側に連結され、断熱心材9内に埋設される取付座金21と、で構成されている。
【0032】
第2実施形態において、上面板1Aは、図5に示すように、各辺にパネル内方面に向かって垂直に折曲される折曲片1cからなる係合部11cが形成されている。なお、下面板2は、第1実施形態と同じ構成である。
【0033】
枠材4は、無機断熱材例えば発泡コンクリート製であって、図5,6に示すように、基部4aと、基部4aの下部には枠材の長手方向に沿って断面長方形状の係合受け部12bが形成され、基部4aの上部には上面板1の係合部11cが係合される垂直片4bからなる係合受け部12cが形成されている。
【0034】
枠材4の外側面には、枠材4の長手方向に沿って凹溝4gが形成されている。図5に示すように、凹溝4gは係合受け部12bに連設して形成されている。凹溝4gの幅は、水平片2bと重ねて嵌合される後述する連結部材6が嵌合可能な幅で形成され、凹溝4gの深さは、連結部材6の短手方向の幅のうち半分が嵌合可能な深さにて形成してある。
【0035】
枠材4の内側面には、長手方向に沿って凹部4hが設けられている。図5,6に示すように、凹溝4gの幅・深さは、後述する取付座金21の係合突起部21eの先端が係合可能な幅・深さで形成されている。
【0036】
取付座金21は、図4に示すように、断面ハット型の金具であって、上面板1の内面側に当接される矩形状の基板21aと、この基板21aの両端部からパネルP2の厚さ方向(パネルの内方)に屈曲して延設される起立片21b,21cと、一方の起立片21bの先端から基板21aと反対側に上下面板1,2に対して平行に屈曲して延設される水平片21dと、他方の起立片21cの先端から基板21aと反対側に上下面板1,2に対して平行に屈曲して突設される係合突起部21eと、で一体に形成されている。基板21aの中央部に取付孔(図示せず)が設けられ、下面には取付孔に連通する取付ねじ受け部21fが固着されている。取付座金21に突設された係合突起部21eは、枠材4の内側面に設けられた凹部4gに係合される。
【0037】
連結部材6は、図5に示すように、不燃材料製例えばアルミニウム製の断面矩形状の板材である。上述したように、枠材4の長手方向に沿って形成される凹溝4gに嵌合されるため枠材4と同じ長さで形成されている。なお、連結部材6は、不燃材料製であればよく例えばアルミニウム以外の金属等であってもよい。
【0038】
上記のように構成される構成されるパネルP2を製作するには、まず、上面板1Aの辺部に形成された係合部11cを枠材4の係合受け部12cに係合して枠組みし、両面接着テープ(図示せず)を介して上面板1Aの内面に取付座金21の基板21aを仮装着すると共に、係合突起部21eを凹溝4gに係合した後、下面板2の辺部に形成された係合部11bを、枠材4の係合受け部12bに係合して組み付ける。このようにして形成された複数のパネルを定盤及びスペーサを介して平積みにし、平積みされた各パネルの上面板1A及び下面板2と枠材4によって形成された空間内に、枠材4に設けられた注入口(図示せず)から断熱心材9を注入・充填してパネルP2を製作する。
【0039】
次に第2実施形態に係るパネルP2の接合構造について説明する。図6に示すように、接合されるパネルP2同士の凹溝4g内に連結部材6を嵌合してパネルP2が接合される。一方のパネルP2と他方のパネルP2を接合するには、パネルP2同士を対峙させた後、図5に示すように、一方のパネルP2の凹溝4gに、連結部材6の一端を嵌合する。次に他方のパネルP2の凹溝4gに、連結部材6の他端を嵌合して両パネルP2を接合する。図6に示すように、両パネルP2の間には断熱パッキン18が圧縮された状態で介在させてある。なお、断熱パッキン18はコーキング材であってもよい。
【0040】
なお、第2実施形態において、その他の部分は上述した第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
上記のように構成される天井構造に使用されるパネルP2によれば、上述のように構成されているので、枠材4はコンクリート製であって経年劣化による変形を少なくすることができるため、上下面板1A,2の係合部11c,11bと枠材4の係合受け部12c,12bの係合が不十分になるのを防止することができる。更に、上面板1Aの内面に連結されると共に、断熱心材9内に埋設される取付座金21に突設された係合突起部21eを、枠材4の内側面に設けられた凹部4hに係合することにより、上下面板1A,2と枠材4との結合を更に強固にすることができるため、パネルP2の断熱性能の維持が図れる。
【0042】
上記のように構成される天井構造に使用されるパネルP2同士の接合構造によれば、上述のように構成されているので、パネルP2の枠材3はコンクリート製であって経年劣化による変形を少なくすることができ、かつ、接合されるパネルP2の枠材3間に不燃材料製例えばアルミニウム製の連結部材6を嵌合して接合することにより接合部の隙間を防止することができるため、パネルP2間の接合部の気密性・断熱性の低下の抑制をすることができる。
【0043】
<第3実施形態>
第1実施形態は、上下面板1,2の各辺部間に介在される枠材3は、発泡コンクリート製の一部材であったが、図7に示すように、枠材5は、コンクリート製の枠材本体5Aと、該枠材本体5Aの長手方向に沿う一端に連設される断熱性を有する補助枠材7と、から形成されてもよい。
【0044】
第3実施形態に係る断熱パネルP3(以下にパネルP3という)は、図7に示すように、一対の表面板1A,2(以下に上面板1A,下面板2という)と、上下面板1A,2の辺部間に介設される枠材本体5A及び補助枠材7からなる枠材5と、上下面板1A,2と枠材本体5A及び補助枠材7とで形成される空間内に注入充填される例えば発泡ポリウレタン等の断熱心材9と、パネルP3の所定の部位例えば角部の内面側に連結され、断熱心材9内に埋設される取付座金21と、で構成されている。
【0045】
枠材本体5Aは、無機断熱材例えば発泡コンクリート製であって、図7に示すように、基部5aと、基部5aの上端面には後述する補助枠材7の係合部13が係合される水平片5cと、水平片5bの中央付近に補助枠材7の嵌合突起7eを嵌合可能な嵌合溝5bと、からなる係合受け部15が形成され、基部5aの下端部には枠材本体5Aの長手方向に沿って断面長方形状の係合受け部12bが形成されている。
【0046】
図7に示すように、枠材本体5Aの外側面には、枠材5の長手方向に沿って凹溝5gが形成されており、この凹溝5g内に上述した連結部材6が嵌合される。また、枠材本体5Aの内側面には、長手方向に沿って凹部5hが設けられており、この凹部5hには上述した取付座金21に突設された係合突起部21eが係合される。
【0047】
補助枠材7は断熱性を有する材質、例えば合成樹脂製の押出形材にて形成されており、図7に示すように、基部7aと、基部7aの上端部には、上下面板1,2に対して垂直に延在する外側垂直片7bと、外側垂直片7bと共に折曲片1cが嵌合可能な嵌合溝7hを形成する内側垂直片7cと、とからなる係合受け部14が形成されている。更に、内側垂直片7cの端部から、パネル内方側に直交状に屈曲される水平片7dが連続的に形成されている。一方、基部7aの下端からは、パネル内方側に直交状に屈曲される水平片7fと、水平片7fの中央付近から基部7aと反対の方向に延設される嵌合突起7eと、からなる係合部13が形成されている。
【0048】
上記のように構成されるパネルP3を製作するには、まず、枠材本体5Aの係合受け部15に補助枠材7の係合部13を係合させ、枠材本体5Aの長手方向に沿う一端に補助枠材7を連設する。次に、上面板1Aの辺部に形成された係合部11cを、補助枠材7の係合受け部14に係合して枠組みし、両面接着テープ(図示せず)を介して上面板1Aの内面に取付座金20の水平基片20aを仮装着すると共に、係合突起部21eを凹溝5gに係合する。次に下面板2の辺部に形成された係合部11bを、枠材本体5Aの係合受け部12bに係合して組み付ける。このようにして形成された複数のパネルを定盤及びスペーサを介して平積みにし、平積みされた各パネルの上面板1A及び下面板2と枠材本体5Aと補助枠材7によって形成された空間内に、枠材本体5Aに設けられた注入口(図示せず)から断熱心材9を注入・充填してパネルP3を製作する。
【0049】
なお、第3実施形態において、その他の部分は上述した第1,2実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
上記のように構成される天井構造に使用されるパネルP3によれば、上述のように構成されているので、枠材本体5Aはコンクリート製であって経年劣化による変形を少なくすることができるため、下面板2の係合部11bと枠材本体5Aの係合受け部12bの係合が不十分になるのを防止することができる。更に、上面板1Aの内面に連結されると共に、断熱心材9内に埋設される取付座金21に突設された係合突起部21eを、枠材本体5Aの内側面に設けられた凹部5hに係合することにより、上下面板1A,2と枠材本体5Aとの結合を更に強固にすることができるため、パネルP3の断熱性能の維持が図れる。また、断熱性を有する補助枠材7を上面板1Aと枠材本体5Aの間に介在することにより、熱架橋(ヒートブリッジ)の防止することができるため、断熱性能の向上を図ることができる。
【0051】
上記のように構成される天井構造に使用されるパネルP3同士の接合構造によれば、上述のように構成されているので、パネルP3の枠材本体5Aはコンクリート製であって経年劣化による変形を少なくすることができ、かつ、接合されるパネルP3の枠材本体5A間に不燃材料製例えばアルミニウム製の連結部材6を嵌合して接合することにより接合部の隙間を防止することができるため、パネルP3間の接合部の気密性・断熱性の低下の抑制をすることができる。
【0052】
なお、第3実施形態では、接合される両パネルP3の凹溝5g内に連結部材6を嵌合して接合する構造を採用したが、第1実施形態のパネルPとパネルP1の接合構造のように、パネルP3の枠材本体5Aの外側面に長手方向に沿って接合用の凸条を形成し、他のパネルP3の枠材本体5Aの外側面に凸条が嵌合可能な凹条を形成し、凸条の端面と凹条の底面の間に、目地塞ぎ材19を介在してパネルP3を接合してもよい。
【0053】
なお、上記実施形態では、枠材3,4,5及び枠材本体5Aがコンクリート製断熱材である場合について説明したが、コンクリート以外の無機断熱材例えばケイ酸カルシウム板やロックウール等の無機断熱材であってもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、この発明に係るパネルP,P1,P2,P3を天井パネルに使用する場合について説明したが、この発明に係るパネルP,P1,P2,P3を壁パネルにも使用することができる。この場合は、上面板1,1Aを躯体(壁スラブ)側に配置し、下面板2を室内側に配置する構成とする。
【符号の説明】
【0055】
P,P1,P2,P3 断熱パネル
1,1A 上面板(表面板)
2 下面板(表面板)
3,4,5 枠材
5A 枠材本体
3a 凸条
3b 凹条
4g,5g 凹溝
4h,5h 凹部
6 連結部材
7 補助枠材
9 断熱心材
11a,11b,11c 係合部
12a,12b,12c 係合受け部
14 係合受け部
19 目地塞ぎ材
21 取付座金
21e 係合突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の表面板と、両表面板の各辺部間に介在される枠材と、上記両表面板と上記枠材とで形成される空間内に注入充填される断熱心材と、を備える断熱パネルにおいて、
上記枠材は無機断熱材製であって、上記枠材の外側面に長手方向に沿う両端部に係合受け部が形成され、
上記係合受け部に、上記表面板の辺部からパネル内方側に向かって折曲される係合部を係合してなる、ことを特徴とする断熱パネル。
【請求項2】
請求項1記載の断熱パネルにおいて、
上記表面板の内面に連結されると共に、上記断熱心材内に埋設される取付座金を更に備え、
上記取付座金に突設された係合突起部を、上記枠材の内側面に設けられた凹部に係合してなる、ことを特徴とする断熱パネル。
【請求項3】
一対の表面板と、両表面板の各辺部間に介在される枠材と、上記両表面板と上記枠材とで形成される空間内に注入充填される断熱心材と、を備える断熱パネルにおいて、
上記枠材は、無機断熱材製の枠材本体と、該枠材本体の長手方向に沿う一端に連設される断熱性を有する補助枠材と、からなり、
上記枠材本体の外側面の長手方向に沿う他端部に係合受け部が形成され、該係合受け部に、上記表面板の辺部からパネル内方側に向かって折曲される係合部を係合し、
上記補助枠材の長手方向に沿う端部に係合受け部が形成され、該係合受け部に、上記表面板の辺部からパネル内方側に向かって折曲される係合部を係合してなる、ことを特徴とする断熱パネル。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の断熱パネルを備えた接合構造であって、
接合される断熱パネルの上記枠材の外側面に、該枠材の長手方向に沿って他の断熱パネルとの接合用の凸条を形成し、他の断熱パネルの上記枠材の外側面に上記凸条が嵌合可能な凹条を形成し、
上記凸条の端面と上記凹条の底面の間に、不燃材料製の目地塞ぎ材を介在して両断熱パネルを接合してなる、ことを特徴とする断熱パネルの接合構造。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の断熱パネルを備えた接合構造であって、
上記枠材の外側面に、該枠材の長手方向に沿って凹溝を形成し、
接合される両断熱パネルの上記凹溝内に不燃材料製の連結部材を嵌合して両断熱パネルを接合してなる、ことを特徴とする断熱パネルの接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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