説明

断熱パネル

【課題】美観に優れると共に単純な構造のため容易に製造可能であって、かつ、長期に渡って表面板と断熱心材の密着性を確保して断熱性能の維持を図ることができる断熱パネルを提供すること。
【解決手段】一対の表面板1,2と、これら表面板1,2の各辺部間に介在される枠材3と、両表面板1,2と枠材3にて形成される空間内に注入充填される断熱心材5と、を備える断熱パネルPにおいて、両表面板1,2は、その辺部に対向する表面板1,2に向かって屈曲される折曲片10,11が形成され、両表面板1,2の折曲片10,11を、棒状基部6Aと棒状基部6Aの両端から直交状に屈曲される一対の爪部6Bとを備える連結部材6によって連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばクリーンルームや倉庫等の建築物の天井や壁等を構成する断熱パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えばクリーンルームや倉庫等の建築物の天井や壁を構成する断熱パネルは、一対の表面板と、両表面板の辺部に介在される枠材と、両表面板及び枠材間に形成される空間内に注入充填される例えば発泡ポリウレタンからなる断熱心材とで構成されている。
【0003】
上記のように構成される断熱パネルを例えば天井用パネルとして使用すると、断熱心材の経年劣化により表面板と断熱心材の密着性が低下し、表面板と断熱材が剥離することにより断熱性能が低下する虞がある。
【0004】
従来、上記問題を解決する断熱パネルの構造として、上下の金属板間に断熱材(断熱心材)を充填させて両側に山部を有するパネル本体を形成し、パネル本体の一側の山部の側端面に固定部を突設すると共に固定部の先端に嵌合凸部を延設し、パネル本体の他側の山部の側端面に嵌合凹部を形成し、パネル本体の嵌合凸部の先端部及び嵌合凹部の底部に金属板の両側縁を埋設して形成される断熱パネルが知られている。(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の断熱パネルにおいて、上の金属板により形成される上記固定部の上面から貫通するボルトが、断熱材及び下の金属板により形成される上記固定部の下面を貫通して、下の金属板の外面に接合された支持部材に固定されることにより、上下の金属板が連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平7−15200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の断熱パネルにおいては、上の金属板により形成される固定部の上面から貫通するボルトが、断熱材及び下の金属板により形成される固定部の下面を貫通して、下の金属板の外面に接合された支持部材に固定されることにより、上下の金属板が連結されているが、例えば断熱パネルの下の金属板の外面が天井面を形成する場合、貫通するボルトの下端部及び支持部材が下方から目視されるため、天井面の美観を損なう虞がある。
【0007】
天井面の美観を損なわないためには、上下の金属板を連結する部材が下方から目視されない部位に取り付けられることが必要である。その一方で、上下の金属板を連結する部材・構造により、例えば他の断熱パネルとの接合部に隙間が生じ易くなる等の断熱性能の低下につながる要素は排除しなければならない。また、単純な構造で容易に取付可能であることが望まれる。
【0008】
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、美観に優れると共に単純な構造のため容易に製造可能であって、かつ、長期に渡って表面板と断熱心材の密着性を確保して断熱性能の維持を図ることができる断熱パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、請求項1記載の発明は、一対の表面板と、これら表面板の各辺部間に介在される枠材と、上記両表面板と上記枠材とで形成される空間内に注入充填される断熱心材と、を備える断熱パネルにおいて、 上記両表面板は、その辺部に対向する表面板に向かって屈曲される折曲片が形成され、 上記両表面板の上記折曲片が、連結部材によって連結されている、ことを特徴とする。
【0010】
このように構成することにより、両表面板の折曲片が、連結部材によって連結されるため、両表面板の外面側に連結部材が露呈されることはない。
【0011】
この場合、上記枠材の外周面には、断熱パネルの厚み方向に沿う凹溝が設けられ、上記連結部材は、棒状基部と、上記棒状基部の両端から直交状に屈曲される一対の爪部と、を備え、上記枠材の外周面方向から上記連結部材の上記棒状基部を上記凹溝に嵌合すると共に、上記爪部がそれぞれ上記両表面板の上記折曲片を貫通して上記両表面板を連結してもよい(請求項2)。
【0012】
このように構成することにより、確実に両表面板を連結することができる。また、連結部材は棒状基部を凹溝に嵌合すると共に、爪部がそれぞれ両表面板の折曲片を貫通して両表面板を連結するため、連結部材を他の断熱パネルと接合する際の障害とならないよう凹溝内に収納することができる。
【0013】
また、上記枠材の外周面には、該枠材の長手方向に沿って他の断熱パネルとの接合用の凸条が形成され、上記凸条には、断熱パネルの厚み方向に沿う凹所が設けられ、上記連結部材は、板状基部と、上記板状基部の両端部における表裏面にそれぞれ直交する方向に突設される4本の連結ピンと、を備え、上記枠材の外周面方向から上記連結部材の上記板状基部を上記凹所に嵌合すると共に、上記板状基部の表面に突設された2本の連結ピンが、上記両表面板の上記折曲片を貫通して上記両表面板を連結し、上記板状基部の裏面に突設された2本の連結ピンは、上記他の断熱パネルが接合される際に、他の断熱パネルの一対の表面板の辺部に屈曲された折曲片を貫通して、他の断熱パネルの両表面板を連結してもよい(請求項3)。
【0014】
このように構成することにより、確実に両表面板を連結することができると共に、接合される他の断熱パネルの両表面板を連結することができる。また、連結部材は棒状基部を凹所に嵌合すると共に、表面に突設された2本の連結ピンがそれぞれ両表面板の折曲片を貫通して両表面板を連結し、裏面に突設された2本の連結ピンが他の断熱パネルの両表面板の折曲片を貫通して両表面板を連結するため、連結部材を他の断熱パネルと接合する際の障害とならないよう凹所内に収納することができる。
【0015】
また、上記連結部材は、ワイヤであって、上記断熱心材内に埋設され、両端部がそれぞれ上記両表面板の上記折曲片と連結して上記両表面板を連結してもよい(請求項4)。
【0016】
このように構成することにより、確実に両表面板を連結することができる。また、ワイヤは断熱心材内に埋設され、両端部がそれぞれ両表面板の折曲片と連結するため、連結部材を他の断熱パネルと接合する際の障害とならないようパネル内部に収納することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る断熱パネルは、上記のように構成されているので、両表面板の外面側に連結部材が露呈されることはないため美観に優れる。また、断熱パネルの両表面板を連結部材により確実に連結することができるため長期に渡って表面板と断熱心材の密着性を確保して断熱性能の維持を図ることができる。更に、連結部材を他の断熱パネルと接合する際の障害とならないよう凹溝内等に収納することにより、断熱パネルと他の断熱パネルの密着性を確保して断熱性能の維持を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明に係る第1実施形態の断熱パネルを天井パネルとして使用した場合の断面図である。
【図2】この発明に係る第1実施形態の断熱パネルの一部を断面で示す分解斜視図である。
【図3】この発明に係る第1実施形態の断熱パネルの連結構造を示す断面図である。
【図4】この発明に係る第2実施形態の断熱パネルの一部を断面で示す分解斜視図である。
【図5】この発明に係る第2実施形態の断熱パネルと他の断熱パネルの一部を断面で示す分解斜視図である。
【図6】この発明に係る第2実施形態の断熱パネルの連結構造を示す断面図である。
【図7】この発明に係る第3実施形態の断熱パネルの連結構造を示す断面図(a)、(a)のI部拡大断面図(b)及び(b)の他の連結方法を示す拡大断面図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、この発明に係る断熱パネルの実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、この発明に係る断熱パネルを天井パネルに使用した場合の天井構造について説明する。
【0020】
<第1実施形態>
この発明に係る断熱パネルP(以下にパネルPという)は、図1及び図2に示すように、一対の表面板1,2(以下に上面板1,下面板2という)と、上下面板1,2の辺部間に介在される枠材3と、上下面板1,2と枠材3とで形成される空間内に注入充填される例えば発泡ポリウレタン等の断熱心材5と、パネルPの側面を形成する枠材3の外周面方向から上下面板1,2を連結する連結部材6と、パネルPの所定の部位例えば角部の内面側に当接される取付座金20と、で構成されている。
【0021】
上下面板1,2は、例えばアルミニウム合金によって一定の規格の大きさに薄板状に形成されており、各辺には対向する上下面板1,2に向かって屈曲される折曲片10,11が端部に形成されている。
【0022】
図2に示すように、接合する一方のパネルPの上下面板1,2の辺部間に、その長手方向に沿って断面略台形状に形成される係合凸条12と、接合される他方のパネルPの上下面板1,2の辺部間に係合凸条12と係合し得る係合凹条13が、上下面板1,2と枠材3とで形成されている。係合凸条12は、上下面板1,2の辺部に上下面板1,2に対して垂直に屈曲される垂直片1a,2aと、垂直片1a,2aの先端部からパネル外面方向に上下面板1,2に対して狭小テーパ状に屈曲される外向き傾斜片1b,2bと、その外向き傾斜片1b,2bの先端部から垂直片1a,2aと反対側に上下面板1,2に対して垂直に屈曲される折曲片10,11とを有し、折曲片10,11を後述する枠材3の嵌合溝16に嵌合することにより係合凸条12が形成される。一方、係合凹条13は、上下面板1,2の辺部に上下面板1,2に対して垂直に屈曲される垂直片1a,2aと、垂直片1a,2aの先端部からパネル内面方向に上下面板1,2に対して狭小テーパ状に屈曲される内向き傾斜片1c,2cと、その内向き傾斜片1c,2cの先端部から垂直片1a,2aと反対側に上下面板1,2に対して垂直に屈曲される折曲片10,11とを有し、折曲片10,11を後述する枠材3の嵌合溝16に嵌合することにより係合凹条12が形成される。
【0023】
枠材3は、例えば合成樹脂製の押出形材や射出成形材にて形成されており、図1,図2及び図3に示すように、基部3bと、基部3bと共に接合面15を形成し基部3bの両端から上下面板1,2に対して垂直に延在する外側垂直片3cと、外側垂直片3cと共に折曲片10,11が嵌合可能な嵌合溝16を形成する内側垂直片3dが連続的に形成されている。また、内側垂直片3dの端部から、パネル内方側に略直交状に屈曲される水平片3eが連続的に形成されている。
【0024】
図2に示すように、枠材3の基部3bと外側垂直片3cで形成される接合面15には、パネルPの厚み方向に沿って、基部3bの一部が切削され外側垂直片3cが切断される凹溝3Fが設けられている。凹溝3Fの幅は後述する連結部材6の棒状基部6Aが嵌合可能な幅にて形成されている。また、基部3bに形成される凹溝3Fの深さは、後述する連結部材6の嵌合後、接合面15上に連結部材6の棒状基部6Aが突出しない深さにて切削されている。凹溝3F内の外側垂直片3cが切断されることにより上下面板1,2の折曲片10,11が凹溝3F底部に露呈可能となる。このように構成される凹溝3Fは、枠材3の1辺当たり例えば両端部付近に2箇所設けられている。
【0025】
なお、隣接する枠材3同士は、例えば、合成樹脂製の射出成形材にて形成されるコーナー材(図示せず)によって連結されている。
【0026】
連結部材6は不燃材料性の材質例えば鉄製であって、図2に示すように、棒状基部6Aと、棒状基部6Aの両端から直交状に屈曲される一対の爪部6Bと、を備えた鎹(かすがい)である。棒状基部6Aの長さは、上下の折曲片10,11に一対の爪部6Bが配置することができるに長さであればよく、また、爪部6Bの長さは上下面板1,2の折曲片10,11を貫通させる必要があるため、少なくともの上下面板1,2の厚みより長く形成してあればよい。
【0027】
取付座金20は、パネルPの強度を高めるためのものであって、図1に示すように、上面板1の内面側に当接される矩形状の水平基片20aと、この水平基片20aの先端からパネルPの厚さ方向(パネルの内方)に屈曲して延設される起立片20bと、この起立片20bの先端から水平基片20aと反対側に上下面板1,2に対して平行に屈曲して延設される水平片20cとで一体に形成されている。水平基片20aの中央部に取付孔(図示せず)が設けられ、下面には取付孔に連通する取付ねじ受け部21が固着されている。
【0028】
上記のように構成されるパネルPを製作するには、まず、上面板1の辺部に形成された折曲片10,11を、あらかじめ凹溝3Fが形成されている枠材3の嵌合溝16に嵌合して枠組みし、両面接着テープ(図示せず)を介して上面板1の内面に取付座金20の水平基片20aを仮装着した後、下面板2の辺部に形成された折曲片10,11を、枠材3の嵌合溝16に挿入して組み付ける。次に、連結部材6を枠材3の外周面方向から取り付ける。上述したように、枠材3に形成された凹溝3F内では、嵌合溝16に嵌合された上下面板1,2の折曲片10,11が凹溝3F底部で露呈しており、連結部材6の爪部6Bを凹溝3F底部で露呈された折曲片10,11に貫通させる。そして、連結部材6の棒状基部6Aを凹溝3Fに嵌合して接合面15上に棒状基部6Aが突出しない程度まで押し込んで収納する。このようにして、複数のパネルを定盤及びスペーサを介して平積みにし、平積みされた各パネルの上面板1及び下面板2と枠材3によって形成された空間内に、枠材3に設けられた注入口(図示せず)から断熱心材5を注入・充填してパネルPを製作する。
【0029】
次に第1実施形態に係るパネルPの接合構造について説明する。一方のパネルPと他方のパネルPを接合するには、図2に示すように、一方のパネルPと他方のパネルPを対峙させた後、一方のパネルPに形成された係合凸条12と他方のパネルPに形成された係合凹条13を係合させると共に、互いの接合面15同士を接合させる。図3に示すように、両パネルの間には断熱パッキン18が圧縮された状態で介在させてある。なお、断熱パッキン18はコーキング材であってもよい。
【0030】
上記接合構造において、図3に示すように、一方のパネルPと他方のパネルPに取り付けられた連結部材6は、それぞれのパネルにおいて、棒状基部6Aを凹溝3Fに嵌合して接合面15上に棒状基部6Aが突出しない程度まで押し込んで収納されているため、他の断熱パネルと接合する際の障害とならない。
【0031】
次に、この発明に係るパネルPを用いた天井構造について説明する。天井構造は、図1に示すように、図示しない吊り金具によって吊持される天井梁30に連結金具31を介してパネルPが取り付けられている。この場合、天井梁30は、例えばアルミニウム合金製の押出形材にて形成され、断面がC形状に形成されている。
【0032】
上記連結金具31は、例えばアルミニウム合金製の押出形材にて形成され、図1に示すように、天井梁30を外側からコ字状に囲むようにして取り付けられ、下方フランジ部31aの下面に当接するパネルPの内面に装着された取付座金20に固着された取付ねじ受け部21にねじ結合される連結ボルト32によって固定されるようになっている。また、連結金具31の壁部と天井梁30の垂直片30aとは、固定ねじ33によって固定されている。なお、天井梁30の下面とパネルPの上面板1との当接部の周縁部にはシール部材34が装填され、気水密性の維持が図られている。
【0033】
上記のように構成される天井構造に使用されるパネルPによれば、下面板1,2の折曲片10,11が、連結部材6によって連結されため、下面板2の外面側に連結部材6が露呈せず下方から目視されることはないため、美観に優れた断熱パネルである。
【0034】
また、連結部材6は棒状基部6Aと、棒状基部6Aの両端から直交状に屈曲される一対の爪部6Bとを備え、爪部6Bが上下面板1,2の折曲片10,11を貫通して確実に上下面板1,2を連結することができるため、長期に渡って上下面板1,2と断熱心材5の密着性を確保して断熱性能の維持を図ることができる。
【0035】
更に、連結部材6は棒状基部6Aを凹溝3Fに嵌合して接合面15上に棒状基部6Aが突出しない程度まで押し込んで収納され、他方のパネルPと接合する際の障害とならないよう凹溝3F内に収納することができるため、両パネルの密着性を確保して断熱性能の維持を図ることができる。
【0036】
<第2実施形態>
第1実施形態は、上下面板1,2の折曲片10,11を連結する連結部材6について鎹を使用したが、連結部材6は上下面板1,2の折曲片10,11を連結することができればよい。例えば、図4に示すように、板状基部7Aと、板状基部7Aの両端部における表裏面7c,7dにそれぞれ直交する方向に突設される4本の連結ピン7Bと、を備える連結部材7であってもよい。
【0037】
第2実施形態において、上下面板1A,2Aは、各辺に対向する上下面板1A,2Aに向かって垂直に屈曲される折曲片10A,11Aが形成されている。
【0038】
枠材4は、図4,図5に示すように、接合する一方のパネルPAの上下面板1A,2Aの辺部間に、その長手方向に沿って略断面台形状に形成される凸条4Aと、接合される他方のパネルPBの上下面板1A,2Aの辺部間に凸条4Aを係合し得る略断面逆台形状の凹条4Bが形成されている。これら枠材4の凸条4A及び凹条4Bの両端には、上下面板1A,2Aに対して垂直に延在する外側垂直片4dと、外側垂直片4dと共に上下面板1A,2Aの折曲片10A,11Aが嵌合可能な嵌合溝16Aを形成する内側垂直片4eが連続的に形成されている。また、内側垂直片4eの端部から、上下面板1A,2Aに対して平行に屈曲されて上下面板1A,2Aの内面に当接する水平片4fが連続的に形成されている。
【0039】
図4に示すように、枠材4の凸条4A及び外側垂直片4dには、パネルPAの厚み方向に沿って切断され凹所4Cが設けられている。凹所4Cの幅は後述する連結部材7の板状基部7Aが嵌合可能な幅にて形成されている。外側垂直片4dが切断されることにより上下面板1A,2Aの折曲片10A,11Aが凹所4C底部に露呈可能となる。このように構成される凹所4Cは、枠材4の1辺当たり例えば両端部付近に2箇所設けられている。
【0040】
連結部材7は、図4に示すように、板状基部7Aと、板状基部7Aの両端部における表裏面7c,7dにそれぞれ直交する方向に突設される4本の連結ピン7Bと、を備える。
【0041】
板状基部7Aは、図4に示すように、例えば鉄製の矩形状板にて形成され、板状基部7Aは外側垂直片4dと略同一の厚さを有し、パネルPAの厚み方向の長さを超えない長さで形成されている。また、両端部付近には挿入孔7eが設けられている。
【0042】
連結ピン7Bは、図4に示すように、板状基部7Aの面と直交する方向に突設される例えば鉄製の棒状体である。連結ピン7Bは、板状基部7Aの表裏面7c,7dの両端部に計4本の連結ピン7Bが設けられている。連結部材7を形成するためには、2本の鉄製の棒を上述した板状基部7Aの挿入孔7eに挿入し、棒の中央付近で板状基部7Aとカシメ固定して形成する。
【0043】
上記のように構成される構成されるパネルPAを製作するには、まず、上面板1Aの辺部に形成された折曲片10A,11Aを、あらかじめ凹所4Cが形成されている枠材4の嵌合溝16Aに嵌合して枠組みし、両面接着テープ(図示せず)を介して上面板1Aの内面に取付座金20の水平基片20aを仮装着した後、下面板2Aの辺部に形成された折曲片10A,11Aを、枠材4の嵌合溝16Aに挿入して組み付ける。
【0044】
次に、連結部材7を取り付ける。この際、凹所4C底部に露呈した折曲片10A,11Aに取付孔9aを形成する。取付孔9aはパネル内面側に配置される内側垂直片4eにも連設されている。そして、図4,図5に示すように、枠材4の外周面方向から取付孔9aに、板状基部7Aの表面7cに突設された2本の連結ピン7Bを挿入し、板状基部7Aが外側垂直片4dと面一になるように凹所4Cに嵌合する。なお、凹所4Cに形成される台形状の開口は、サイドシール19で密封される。このようにして形成された複数のパネルを定盤及びスペーサを介して平積みにし、平積みされた各パネルの上面板1A及び下面板2Aと枠材4によって形成された空間内に、枠材4に設けられた注入口(図示せず)から断熱心材5を注入・充填してパネルPAを製作する。
【0045】
次に第2実施形態に係るパネルPAの接合構造について説明する。パネルPAとパネルPBを接合するには、まず、パネルPBに取付孔9bを形成しなければならない。取付孔9bは、図5に示すように、パネルPAの凹所4Cに嵌合された板状基部7Aの裏面7dから突設された2本の連結ピン7Bに対応する位置である外側垂直片4d上に形成される。取付孔9bはパネル内面側に配置される折曲片10A,11A及び内側垂直片4eに連設されている。
【0046】
図5に示すように、パネルPAと取付孔9bを設けたパネルPBを対峙させた後、パネルPAに形成された凸条4AとパネルPBに形成された凹条4Bを係合させると共に、パネルPAの凹所4Cに嵌合された板状基部7Aの裏面7dから突設された2本の連結ピン7Bを取付孔9bに挿入して接合させる。
【0047】
上記接合構造において、図6に示すように、パネルPAとパネルPBに取り付けられた連結部材7は、板状基部7AをパネルPAの凹所4Cに嵌合して収納されているため、パネルPBと接合する際の障害とならない。
【0048】
なお、第2実施形態において、その他の部分は上述した第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
上記のように構成される天井構造に使用されるパネルPAによれば、上下面板1A,2Aの折曲片10A,11Aが、連結部材7によって連結されため、下面板2の外面側に連結部材7が露呈せず下方から目視されることはないため、美観に優れた断熱パネルである。
【0050】
また、連結部材7は板状基部7Aと、板状基部7Aの両端部における表裏面7c,7dにそれぞれ直交する方向に突設される4本の連結ピン7Bとを備え、板状基部7Aを凹所4Cに嵌合すると共に、表面7cに突設された2本の連結ピン7Bがそれぞれ上下面板1A,2Aの折曲片10A,11Aを貫通して上下面板1A,2Aを確実に連結することができると共に、裏面7dに突設された2本の連結ピン7BがパネルPBの上下面板1A,2Aの折曲片10A,11Aを貫通して上下面板1A,2Aを連結するためできるため、長期に渡ってパネルPA及びパネルPBの上下面板1A,2Aと断熱心材の密着性を確保して断熱性能の維持を図ることができる。
【0051】
更に、連結部材7は板状基部7Aを一方のパネルPAの枠材4に設けられた凹所4Cに嵌合して他のパネルPBと接合する際の障害とならないよう収納されるため、両パネルの密着性を確保して断熱性能の維持を図ることができる。
【0052】
<第3実施形態>
第1実施形態は、上下面板1,2の折曲片10,11を連結する連結部材6について鎹を使用したが、連結部材6は上下面板1,2の折曲片10,11を連結することができればよい。例えば、図7(a)に示すように、連結部材はワイヤ8であってもよい。
【0053】
第3実施形態において、枠材3Aは第1実施形態の枠材3とほぼ同様の構造であるが、凹溝3Fは設けられていない。
【0054】
図7に示すように、折曲片10,11には透孔9cが形成されており、透孔9aはパネル内面側に配置される内側垂直片3dにも連設されている。
【0055】
ワイヤ8は、断熱心材5内に埋設され、両端部が上下面板1,2の折曲片10,11を連結する。図7に示すように、ワイヤ8の一端が上面板1の折曲片10に連結され、他端が下面板2の折曲片11と連結する。この場合、ワイヤ8と折曲片10,11の連結は、図7(b)に示すように、ワイヤ8の端部が内側垂直片3d及び折曲片10,11に連設された透孔9c内を貫通し、ワイヤ8の端部に結び目8aを設ける方法によって連結されている。あるいは、図7(c)に示すように、ワイヤ8の端部が内側垂直片3d及び折曲片10,11に連設された透孔9c内を貫通し、ワイヤ8の端部にループ部8bを形成し、形成されたループ部8bに抜け止めピン8cを挿入してワイヤ8と折曲片10,11を連結してもよい。このように構成されるワイヤ8による上下面材1、2の連結部位は、枠材3Aの1辺当たり例えば両端部付近に2箇所設けられている。
【0056】
上記のように構成されるパネルPCを製作するには、まず、上面板1の辺部に形成された折曲片10,11を、枠材3Aの嵌合溝16に嵌合して枠組みし、両面接着テープ(図示せず)を介して上面板1の内面に取付座金20の水平基片20aを仮装着した後、下面板2の辺部に形成された折曲片10,11を、枠材3Aの嵌合溝16に挿入して組み付ける。内側垂直片3d及び折曲片10,11に透孔9cを形成した後、ワイヤ8の一端をパネル外から折曲片10の透孔9c内を貫通させてパネル内に挿入し、更にパネル内から折曲片11の透孔9c内を貫通させてパネル外に取り出す。そして、上述したようにワイヤ8の両端部に結び目8aを形成して折曲片10,11と連結する。このようにして、複数のパネルを定盤及びスペーサを介して平積みにし、平積みされた各パネルの上面板1及び下面板2と枠材3Aによって形成された空間内に、枠材3Aに設けられた注入口(図示せず)から断熱心材5を注入・充填してパネルPCを製作する。
【0057】
図7(a)に示すように、パネルPCの接合構造において、一方のパネルPCと他方のパネルPCに取り付けられたワイヤ8は、それぞれのパネルPCの断熱心材5内に埋設され、両端部が上下面板1,2の折曲片10,11と連結しているため、他の断熱パネルと接合する際の障害とならない。
【0058】
なお、第3実施形態において、その他の部分は上述した第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0059】
上記のように構成される天井構造に使用されるパネルPCによれば、下面板1,2の折曲片10,11が、ワイヤ8によって連結されため、下面板2の外面側に連結部材であるワイヤ8が露呈せず下方から目視されることはないため、美観に優れた断熱パネルである。
【0060】
また、ワイヤ8によって確実に上下面板1,2を連結することができるため、長期に渡って上下面板1,2と断熱心材5の密着性を確保して断熱性能の維持を図ることができる。
【0061】
更に、ワイヤ8は断熱心材5内に埋設され、両端部が上下面板1,2の折曲片10,11と連結するため、ワイヤ8を他の断熱パネルと接合する際の障害とならないようパネルPC内部に収納することができるため、両パネルの密着性を確保して断熱性能の維持を図ることができる。
【0062】
なお、上記実施形態では、この発明に係るパネルP,PA,PB,PCを天井パネルに使用する場合について説明したが、この発明に係るパネルP,PA,PB,PCを壁パネルにも使用することができる。この場合は、上面板1,1Aを躯体(壁スラブ)側に配置し、下面板2,2Aを室内側に配置する構成とする。
【符号の説明】
【0063】
P,PA,PB,PC 断熱パネル
1,1A 上面板(表面板)
2,2A 下面板(表面板)
3,3A,4 枠材
3F 凹溝
4A 凸条
4C 凹所
5 断熱心材
6,7 連結部材
6A 棒状基部
6B 爪部
7A 板状基部
7B 連結ピン
7c 表面
7d 裏面
8 ワイヤ
10,10A,11,11A 折曲片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の表面板と、これら表面板の各辺部間に介在される枠材と、上記両表面板と上記枠材とで形成される空間内に注入充填される断熱心材と、を備える断熱パネルにおいて、
上記両表面板は、その辺部に対向する表面板に向かって屈曲される折曲片が形成され、
上記両表面板の上記折曲片が、連結部材によって連結されている、ことを特徴とする断熱パネル。
【請求項2】
請求項1記載の断熱パネルにおいて、
上記枠材の外周面には、断熱パネルの厚み方向に沿う凹溝が設けられ、
上記連結部材は、棒状基部と、上記棒状基部の両端から直交状に屈曲される一対の爪部と、を備え、上記枠材の外周面方向から上記連結部材の上記棒状基部を上記凹溝に嵌合すると共に、上記爪部がそれぞれ上記両表面板の上記折曲片を貫通して上記両表面板を連結する、ことを特徴とする断熱パネル。
【請求項3】
請求項1記載の断熱パネルにおいて、
上記枠材の外周面には、該枠材の長手方向に沿って他の断熱パネルとの接合用の凸条が形成され、上記凸条には、断熱パネルの厚み方向に沿う凹所が設けられ、
上記連結部材は、板状基部と、上記板状基部の両端部における表裏面にそれぞれ直交する方向に突設される4本の連結ピンと、を備え、上記枠材の外周面方向から上記連結部材の上記板状基部を上記凹所に嵌合すると共に、上記板状基部の表面に突設された2本の連結ピンが、上記両表面板の上記折曲片を貫通して上記両表面板を連結し、上記板状基部の裏面に突設された2本の連結ピンは、上記他の断熱パネルが接合される際に、他の断熱パネルの一対の表面板の辺部に屈曲された折曲片を貫通して、他の断熱パネルの両表面板を連結する、ことを特徴とする断熱パネル。
【請求項4】
請求項1記載の断熱パネルにおいて、
上記連結部材は、ワイヤであって、上記断熱心材内に埋設され、両端部がそれぞれ上記両表面板の上記折曲片と連結して上記両表面板を連結する、ことを特徴とする断熱パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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