説明

断熱下地材

【課題】面圧強度及び剛性がありしかも軽量で素人でも容易に敷設施工できる断熱下地材を提供することである。
【解決手段】合成樹脂発泡板材に50〜200mm間隔で直径5〜30mmの穴を穿孔してその穴にセメントモルタルを充填すると共に、表裏面及び端面にセメントモルタルを塗布して断熱下地材とする。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は建築用の断熱下地材に係るもので、舗装材、テラスデッキ、バルコニー、屋上、床材、壁材、屋根材、型枠等の下地材として使用するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築用断熱下地材として、ポリスチレン発泡板材、ポリウレタン発泡板材等の合成樹脂発泡板材が使用されている。合成樹脂発泡板材を使用した断熱下地材は特にバルコニー、屋上、床材、壁材、屋根材、型枠等の断熱下地材に適したものである。
【0003】
合成樹脂発泡板材は、断熱性に優れて軽量でハンドリング、施工性も容易であるが、面圧強度の弱いのが最大の欠点である。壁材等荷重の加わらない部位はあまり問題が生じないが、バルコニー、屋上、床材等載荷荷重の大きい部位に断熱下地材として使用する場合、合成樹脂発泡板材の表面にへこみを生じたり、欠けを生じたりする。
【0004】
このため発泡倍率を下げて合成樹脂発泡板材の面圧強度を高くするもあまりその効果は顕著ではなく、又合成樹脂発泡板材の単位寸法を小さくして合成樹脂発泡板材の接合部分に補強板を入れたり、合成樹脂発泡板材の中に補強材を入れる等の方法を行なっている。このため施工の手間がかかりコストアップとなるため、より広い用途への使用ができなかったのである。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
合成樹脂発泡板材製断熱下地材をきわめて簡単な方法によってその面圧強度を数10倍にも高めることができ、従来面圧強度が弱いため使えなかった部位への使用を可能とすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案は合成樹脂発泡板材に50〜200mm間隔で直径5〜30mmの穴を穿孔して、この穴にセメントモルタルを充填し、さらに合成樹脂発泡板材の表裏面及び端面にセメントモルタルを塗布する。使用すべき部位によっては、合成樹脂発泡板材に穿孔した穴にセメントモルタルを充填するのみで合成樹脂発泡板材の表裏面及び端面にセメントモルタルを塗布しないで使用することもできる。
【0007】
合成樹脂発泡板材に穿孔する穴は、合成樹脂発泡板材の表面側は大きく裏面側を小さく絞った形状とすることが好適である。
【0008】
【考案の実施の形態】
合成樹脂発泡板材は、軽量でハンドリングが容易であるが、発泡倍率を上げると面圧強度が低下する。例えば発泡倍率60倍前後の合成樹脂発泡板材の表面に合板等の表面材を積層した場合、合板上面に集中荷重がかかると合成樹脂発泡板材にへこみ等を生ずることがある。合成樹脂発泡板材の倍率をさらに上げると一層面圧強度は低下する。合成樹脂発泡板材面に所定間隔で一定寸法の穴を穿孔しここにセメントモルタルを充填することにより面圧強度を大幅に上げることができるのである。
【0009】
本考案に使用する合成樹脂発泡板材に使用する樹脂の種類は、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニール、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂、ユリア、エポキシ、硬質ポリウレタン、フェノールなどの熱硬化性樹脂などであるが、熱可塑性樹脂で特にポリスチレンが最も適している。又合成樹脂発泡板材の一部に廃プラスチック発泡材の粉砕物を使用することもできる。
【0010】
合成樹脂発泡板材に50〜200mm間隔で直径5〜30mmの穴を穿孔してこれにセメントモルタルを充填することによって面圧強度は大幅に向上する。セメントモルタルが合成樹脂発泡板材の垂直方向に対する圧縮力を補強するからである。
【0011】
合成樹脂発泡板材に穿孔する穴は、合成樹脂発泡板材の寸法が小さい場合は同一直径で貫通した穴でもよいが、同一直径で貫通しているよりも穴の直径を絞って裏面側を小さくした方が生産効率は向上する。
【0012】
合成樹脂発泡板材の表裏面にセメントモルタルを塗布して穴を介して表裏面のセメントモルタル層を一体とすることができる。この場合裏面材をセメントモルタル層とし合成樹脂発泡板材の端面もセメントモルタルで被覆することにより、合成樹脂発泡板材に剛性のみならず防火性、耐水性、耐候性を付与することができる。
【0013】
セメントモルタルの厚みは1〜15mmの範囲が好適である。裏面側のセメントモルタルの厚みを変えることによって裏面に勾配を付けることもできる。これはバルコニーや屋上等の断熱下地材として使用する場合に断熱下地材で勾配を付けることができ施工を簡略化できる。
【0014】
合成樹脂発泡板材の面にセメントモルタルを塗布する場合、セメントモルタルの付着強度を上げるため合成樹脂発泡板材の面に凹凸を付けたり、プラスチック製又は金属製のラス又はメッシュ等を敷設し合成樹脂発泡板材に食い込ませその上にセメントモルタルを塗布すればより密着強度は高くなる。
【0015】
合成樹脂発泡板材に穿孔する穴を合成樹脂発泡板材の表面側は大きく、裏面側を小さく絞るのは裏面にセメントモルタルを流出させず面圧強度を高くするためである。このため穴は貫通はしているが裏面側を小さくする場合は裏面側の穴直径を表面側の穴直径の0.2〜0.8倍程度とする。0.2以下では面圧強度の向上は充分でなく、0.8以上ではセメントモルタルの流出が多くなるからである。
【0016】
【実施例】
以下本考案の実施例について詳述する。
【0017】
実施例1 厚さ45mm、幅490mm、横490mm発泡倍率80倍のポリスチレン発泡板材に、100mm間隔で穴を穿孔した。穴の寸法はポリスチレン発泡板材の表面から40mmまでは直径15mmで40mmから裏面は穴の径を絞り裏面側は直径5mmとした。このポリスチレン発泡板材の穴にセメントモルタルを充填すると共にポリスチレン発泡板材の表裏面及び端面にメタルラス#240を敷設してポリスチレン発泡板材に食い込ませその上にセメントモルタルを表裏面5mm厚に塗布した。
【0018】
実施例2 実施例1と同寸法の合成樹脂発泡板材を使用し穴間隔及び穴の直径も全く同寸法とし穴にセメントモルタルを充填したのみで、合成樹脂発泡板材の表裏面及び端面にはセメントモルタルを塗布せずそのままの仕上げとした。
【0019】
【考案の効果】
以上述べた如く本考案は、合成樹脂発泡板材に50〜200mm間隔で直径5〜30mmの穴を穿孔して、この穴にセメントモルタルを充填すると共に合成樹脂発泡板材の表裏面及び端面にセメントモルタルを塗布し又は塗布せずに断熱下地材を作製した。この断熱下地材はきわめて軽量で面圧強度が高く防火性、耐水性、耐候性に優れ素人でも容易に施工することができた。
【0020】
特に合成樹脂発泡板材に所定間隔で表面側より裏面側を絞った穴を穿孔し、この穴にセメントモルタルを充填することによって、発泡倍率が高く面圧強度の低い合成樹脂発泡板材であるにもかかわらず、面圧強度と断熱下地材としての剪断力を大幅に増加させることができたのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1断熱下地材断面図
【図2】実施例2断熱下地材断面図
【図3】実施例1を使用した床材
【図4】実施例1を使用した舗装材施工図
【符号の説明】
1.セメントモルタル
2.メタル平ラス
3.合成樹脂発泡板材
4.穴
5.合板
6.目地
7.サンドクッション
8.上層路盤
9.下層路盤
10.路床

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項 1】 合成樹脂発泡板材に50〜200mm間隔で直径5〜30mmで合成樹脂発泡板材の表面側は大きく裏面側は小さく絞った形状の穴を穿孔しこの穴にセメントモルタルを充填すると共に合成樹脂発泡板材表裏面及び端面にセメントモルタルを塗布したことを特徴とする断熱下地材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】第3047181号
【登録日】平成10年(1998)1月14日
【発行日】平成10年(1998)3月31日
【考案の名称】断熱下地材
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平9−9337
【出願日】平成9年(1997)9月16日
【出願人】(392031158)株式会社リボール (8)