説明

断熱容器

【課題】容器本体とスリーブとを充分な強度で接着することができるとともに、両者の組み立て適性に優れる断熱容器を提供する。
【解決手段】側壁2a、側壁2aの下端側に配置された底部2b、および側壁2aからその下端側に延長して形成された糸尻2fを有する容器本体2と、シート状のスリーブ材からなり、下端側にはスリーブ材を容器の中心側に向けてカールさせてなる内向きカール部3aが形成され、上端側には容器本体2の側壁2aに対して接着される接着部BDが形成され、内向きカール部3aおよび接着部BDの間の少なくとも一部では側壁2aの外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブ3と、を備え、内向きカール部3aに巻き込まれるスリーブ材の先端と、スリーブ3の内壁面との間の隙間を糸尻2fの厚さよりも小さくしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体と、容器本体の外周に取付けられたスリーブとからなる断熱容器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱湯等を入れるのに適した断熱容器として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この容器は容器本体としての紙コップ本体と、紙コップ本体の外周に接着されるスリーブとを備え、紙コップ本体とスリーブとの間に空間を設けることにより、容器に断熱性を付与している。
【特許文献1】実開平04−045212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような断熱容器では、所定の断熱性を確保するために紙コップ本体とスリーブとの間に充分な間隔を確保する必要がある。その一方で、容器を手で持つ場合には、スリーブを把持して容器全体を支持することになるため、紙コップ本体とスリーブとを十分な強度で接着しなければならない。このように、紙コップ本体とスリーブとの間に充分な間隔を確保しつつ、両者を充分な強度で接着するためには、紙コップ本体およびスリーブの間の相対的な形状や寸法の関係等について考慮を払う必要がある。また、これらの関係は両者を組み立てる工程を円滑なものとし、不良を発生させないための条件を満たすものでなければならない。
【0004】
本発明は、容器本体とスリーブとを充分な強度で接着することができるとともに、両者の組み立て適性に優れる断熱容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0006】
請求項1に記載の発明は、側壁(2a)、側壁(2a)の下端側に配置された底部(2b)、および側壁(2a)からその下端側に延長して形成された糸尻(2f)を有する容器本体(2)と、シート状のスリーブ材からなり、下端側にはスリーブ材を容器の中心側に向けてカールさせてなる内向きカール部(3a)が形成され、上端側には容器本体(2)の側壁(2a)に対して接着される接着部(BD)が形成され、内向きカール部(3a)および接着部(BD)の間の少なくとも一部では側壁(2a)の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブ(3)と、を備え、内向きカール部(3a)に巻き込まれるスリーブ材の先端と、スリーブ(3)の内壁面との間の隙間を糸尻(2f)の厚さよりも小さくしたことにより、上記の目的を達成することができる(図5)。
【0007】
この発明によれば、内向きカール部(3a)に巻き込まれるスリーブ材の先端と、側壁(2a)内面との間の隙間を糸尻(2f)の厚さよりも小さくしたので、容器本体(2)とスリーブ(3)とを相互に組み立てる際に、糸尻(2f)が内向きカール部(3a)に入り込んで内向きカール部(3a)を押し開くおそれがなくなる。したがって、両者を円滑に組み立てることができるとともに歩留まりを向上させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、側壁(2a)、側壁(2a)の下端側に配置された底部(2b)、および側壁(2a)からその下端側に延長して形成された糸尻(2f)を有する容器本体(2)と、シート状のスリーブ材からなり、下端側にはスリーブ材を容器の中心側に向けてカールさせてなる内向きカール部(3a)が形成され、上端側には容器本体(2)の側壁(2a)に対して接着される接着部(BD)が形成され、内向きカール部(3a)および接着部(BD)の間の少なくとも一部では側壁(2a)の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブ(3)と、を備え、容器本体(2)の中心線(CL)を含む平面での断面について、糸尻(2f)が側壁の外面を延長した直線(R)よりも容器内側に位置付けられるように糸尻(2f)が倒し込まれていることにより、上記の目的を達成することができる(図6(a))。
【0009】
この発明によれば、糸尻(2f)が側壁の外面を延長した直線(R)よりも容器内側に位置付けられるように糸尻(2f)が倒し込まれているので、容器本体(2)とスリーブ(3)とを相互に組み立てる際に、糸尻(2f)が内向きカール部(3a)に引っ掛かりにくく、両者を円滑に組み立てることができるとともに歩留まりを向上させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、側壁(2a)、側壁(2a)の下端側に配置された底部(2b)、および側壁(2a)からその下端側に延長して形成された糸尻(2f)を有する容器本体(2)と、シート状のスリーブ材からなり、下端側にはスリーブ材を容器の中心側に向けてカールさせてなる内向きカール部(3a)が形成され、上端側には容器本体の側壁(2a)に対して接着される接着部(BD)が形成され、内向きカール部(3a)および接着部(BD)の間の少なくとも一部では側壁(2a)の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブ(3)と、を備え、糸尻(2f)のバリ(2g)を容器内側に突出させたことにより、上記の目的を達成することができる(図6(a))。
【0011】
この発明によれば、糸尻(2f)のバリ(2g)を容器内側に突出させたので、容器本体(2)とスリーブ(3)とを相互に組み立てる際に、糸尻(2f)が内向きカール部(3a)に引っ掛かりにくく、両者を円滑に組み立てることができるとともに歩留まりを向上させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、側壁(2a)、側壁(2a)の下端側に配置された底部(2b)、および側壁(2a)からその下端側に延長して形成された糸尻(2f)を有する容器本体(2)と、シート状のスリーブ材からなり、下端側にはスリーブ材を容器の中心側に向けてカールさせてなる内向きカール部(3a)が形成され、上端側には容器本体(2)の側壁(2a)に対して接着される接着部(BD)が形成され、内向きカール部(3a)および接着部(BD)の間の少なくとも一部では側壁(2a)の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブ(3)と、を備え、糸尻(2f)の下端の外周位置は内向きカール部(3a)における容器本体(2)の中心線(CL)に最も接近した部位よりも容器本体中心線(CL)寄りに位置することにより、上記の目的が達成される(図3)。
【0013】
この発明によれば、糸尻(2f)の下端の外周位置は内向きカール部(3a)における容器本体(2)の中心線(CL)に最も接近した部位よりも容器本体中心線(CL)寄りに位置するので、容器本体(2)とスリーブ(3)とを相互に組み立てる際に、糸尻(2f)が内向きカール部(3a)に引っ掛かりにくく、両者を円滑に組み立てることができるとともに歩留まりを向上させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項7に記載の断熱容器において、糸尻(2f)の下端の外周位置と、内向きカール部(3a)における容器本体(2)の中心線(CL)に最も接近した部位との間の変位量は、容器本体(2)の半径方向について0.01〜1mmの範囲に設定されていることにより、上記の目的が達成される(図3)。
【0015】
この発明によれば、糸尻(2f)の下端の外周位置と、内向きカール部(3a)における容器本体(2)の中心線(CL)に最も接近した部位との間の変位量は、容器本体(2)の半径方向について0.01〜1mmの範囲に設定されているので、容器本体(2)とスリーブ(3)とを相互に組み立てる際に、糸尻(2f)が内向きカール部(3a)に引っ掛かりにくい。また、断熱容器の変形を充分抑制することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、側壁(2a)、および側壁(2a)の下端側に配置された底部(2b)を有する容器本体(2)と、シート状のスリーブ材からなり、下端側にはスリーブ材を容器の中心側に向けてカールさせてなる内向きカール部(3a)が形成され、上端側には容器本体(2)の側壁(2a)に対して接着される接着部(BD)が形成され、内向きカール部(3a)および接着部(BD)の間の少なくとも一部では側壁(2a)の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブ(3)と、を備え、内向きカール部(3a)と、この部位に向き合う容器本体(2)の外面との間に隙間が形成されていることにより、上記の目的が達成される(図3、図8)。
【0017】
この発明によれば、内向きカール部(3a)と、この部位に向き合う容器本体(2)の外面との間に隙間が形成されているので、容器本体にしわが発生しない。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の断熱容器において、隙間は、0.01〜1mmの範囲に設定されている。
【0019】
この発明によれば、隙間は、0.01〜1mmの範囲に設定されているので、容器本体にしわが発生せず、また断熱容器の変形を充分抑制できる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、側壁(2a)および側壁(2a)の下端側に配置された底部(2b)を有する容器本体(2)と、シート状のスリーブ材からなり、側壁(2a)の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブ(3)と、を備え、容器本体(2)の下端はスリーブ(3)の下端よりも下方に突出されていることにより、上記の目的が達成される(図3)。
【0021】
この発明によれば、容器本体(2)の下端はスリーブ(3)の下端よりも下方に突出されているので、容器本体(2)の下端が直接テーブル等に接触し、スリーブ(3)の下端が接触する場合に生じるような容器の歪みを発生させないため、断熱容器を安定して置くことができる。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の断熱容器において、側壁(2a)および側壁(2a)の下端側に配置された底部(2b)を有する容器本体(2)と、スリーブ(3)の下端側にはスリーブ材を容器の中心側に向けてカールさせてなる内向きカール部(3a)が形成され、スリーブ(3)の上端側には容器本体(2)の側壁(2a)に対して接着される接着部(BD)が形成され、スリーブ(3)は、内向きカール部(3a)および接着部(BD)の間の少なくとも一部では側壁(2a)の外側に空間を確保しつつ配置される。
【0023】
この発明によれば、容器本体(2)の下端は内向きカール部(3a)の下端よりも下方に位置するので、容器本体(2)の下端が直接テーブル等に接触し、内向きカール部(3a)の下端が接触する場合に生じるような容器の歪みを発生させないため、断熱容器を安定して置くことができる。
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載の断熱容器において、容器本体(2)には、側壁(2a)からその下端側に延長して形成された糸尻(2f)が形成され、糸尻(2f)の下端は容器本体(2)の下端を構成する。
【0025】
この発明によれば、容器本体(2)には、側壁(2a)からその下端側に延長して形成された糸尻(2f)が形成され、糸尻(2f)の下端は容器本体(2)の下端を構成するので、硬く平面性の良好な糸尻(2f)の下端がテーブル等に接触するので、断熱容器を安定して置くことができる。
【0026】
請求項11に記載の発明は、請求項8〜10のいずれか1項に記載の断熱容器において、容器本体(2)の下端は、スリーブ(3)または内向きカール部(3a)の下端に対して0.01〜5mmの突出量で突出されている。
【0027】
この発明によれば、容器本体(2)の下端は、スリーブ(3)の下端に対して0.01〜5mmの突出量で突出されているので、容器本体(2)の突出が外観上判別できず容器のデザインを害しない。
【0028】
請求項12に記載の発明は、側壁(2a)および側壁(2a)の下端側に配置された底部(2b)を有し、側壁(2a)の上端側には容器の外側に向けてカールしてなる外向きカール部(2c)が形成された容器本体(2)と、シート状のスリーブ材からなり、上端側には容器本体(2)の側壁(2a)に対して接着される接着部(BD)が形成され、側壁(2a)の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブ(3)と、を備え、容器本体(2)の外向きカール部(2c)直下における外径と、外向きカール部(2c)直下に対向する部位におけるスリーブ(3)の内径との差が−1.0〜+0.5mmの範囲となるように形成された容器本体(2)およびスリーブ(3)を接着部(BD)を介して接着してなることにより、上記の目的が達成される(図1)。
【0029】
この発明によれば、容器本体(2)の外向きカール部(2c)直下における外径と、外向きカール部(2c)直下に対向する部位におけるスリーブ(3)の内径との差が−1.0〜+0.5mmの範囲となるように形成された容器本体(2)およびスリーブ(3)を接着部(BD)を介して接着してなるので、接着部(BD)における充分な接着力を確保するとともに、容器本体(2)の側壁(2a)にしわを発生させるおそれもない。
【0030】
請求項13に記載の発明は、側壁(2a)および側壁(2a)の下端側に配置された底部(2b)を有し、側壁(2a)の上端側には容器の外側に向けてカールしてなる外向きカール部(2c)が形成された容器本体(2)と、シート状のスリーブ材からなり、上端側には容器本体(2)の側壁(2a)に対して接着剤を介して接着される接着部(BD)が形成され、側壁(2a)の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブ(3)と、を備え、接着部(BD)の上端は、外向きカール部(2c)の下端から容器本体(2)の中心線(CL)の方向に沿って1mm以上下方に離された位置にあることにより、上記の目的が達成される(図7(a))。
【0031】
この発明によれば、接着部(BD)の上端は、外向きカール部(2c)の下端から容器本体(2)の中心線(CL)の方向に沿って1mm以上下方に離された位置にあるので、接着部(BD)の接着剤が外向きカール部(2c)に付着するおそれがない。
【0032】
請求項14に記載の発明は、側壁(2a)および側壁(2a)の下端側に配置された底部(2b)を有し、側壁(2a)の上端側には容器の外側に向けてカールしてなる外向きカール部(2c)が形成された容器本体(2)と、シート状のスリーブ材からなり、上端側には容器本体(2)の側壁(2a)に対して接着剤を介して接着される接着部(BD)が形成され、側壁(2a)の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブ(3)と、を備え、接着部(BD)は容器本体(2)の中心線(CL)の方向について3mm以上の幅にわたって設けられていることにより、上記の目的が達成される(図7(a))。
【0033】
この発明によれば、接着部(BD)は容器本体(2)の中心線(CL)の方向について3mm以上の幅にわたって設けられているので、接着部(BD)における充分な接着強度を確保できる。
【0034】
請求項15に記載の発明は、側壁(2a)および側壁(2a)の下端側に配置された底部(2b)を有し、側壁(2a)の上端側には容器の外側に向けてカールしてなる外向きカール部(2c)が形成された容器本体(2)と、シート状のスリーブ材からなり、上端側には容器本体(2)の側壁(2a)に対して接着剤を介して接着される接着部(BD)が形成され、側壁(2a)の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブ(3)と、を備え、接着部(BD)の上端は、スリーブ(3)の上端よりも下方に位置することにより、上記の目的が達成される(図7(a))。
【0035】
この発明によれば、接着部(BD)の上端は、スリーブ(3)の上端よりも下方に位置するので、接着部(BD)の接着剤がスリーブ(3)の上端からはみ出すおそれがない。
【0036】
なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0037】
請求項1に記載の発明によれば、内向きカール部に巻き込まれるスリーブ材の先端と、側壁内面との間の隙間を糸尻の厚さよりも小さくしたので、容器本体とスリーブとを相互に組み立てる際に、糸尻が内向きカール部に入り込んで内向きカール部を押し開くおそれがなくなる。したがって、両者を円滑に組み立てることができるとともに歩留まりを向上させることができる。
【0038】
請求項2に記載の発明によれば、糸尻が側壁の外面を延長した直線よりも容器内側に位置付けられるように糸尻が倒し込まれているので、容器本体とスリーブとを相互に組み立てる際に、糸尻が内向きカール部に引っ掛かりにくく、両者を円滑に組み立てることができるとともに歩留まりを向上させることができる。
【0039】
請求項3に記載の発明によれば、糸尻のバリを容器内側に突出させたので、容器本体とスリーブとを相互に組み立てる際に、糸尻が内向きカール部に引っ掛かりにくく、両者を円滑に組み立てることができるとともに歩留まりを向上させることができる。
【0040】
請求項4に記載の発明によれば、糸尻の下端の外周位置は内向きカール部における容器本体の中心線に最も接近した部位よりも容器本体中心線寄りに位置するので、容器本体とスリーブとを相互に組み立てる際に、糸尻が内向きカール部に引っ掛かりにくく、両者を円滑に組み立てることができるとともに歩留まりを向上させることができる。
【0041】
請求項5に記載の発明によれば、糸尻の下端の外周位置と、内向きカール部における容器本体の中心線に最も接近した部位との間の変位量は、容器本体の半径方向について0.01〜1mmの範囲に設定されているので、容器本体とスリーブとを相互に組み立てる際に、糸尻が内向きカール部に引っ掛かりにくい。また、断熱容器の変形を充分抑制することができる。
【0042】
請求項6に記載の発明によれば、内向きカール部と、この部位に向き合う容器本体の外面との間に隙間が形成されているので、容器本体にしわが発生しない。
【0043】
請求項7に記載の発明によれば、隙間は、0.01〜1mmの範囲に設定されているので、容器本体にしわが発生せず、また断熱容器の変形を充分抑制できる。
【0044】
請求項8に記載の発明によれば、容器本体の下端はスリーブの下端よりも下方に突出されているので、容器本体の下端が直接テーブル等に接触し、スリーブの下端が接触する場合に生じるような容器の歪みを発生させないため、断熱容器を安定して置くことができる。
【0045】
請求項9に記載の発明によれば、容器本体の下端は内向きカール部の下端よりも下方に位置するので、容器本体の下端が直接テーブル等に接触し、内向きカール部の下端が接触する場合に生じるような容器の歪みを発生させないため、断熱容器を安定して置くことができる。
【0046】
請求項10に記載の発明によれば、容器本体には、側壁からその下端側に延長して形成された糸尻が形成され、糸尻の下端は容器本体の下端を構成するので、硬く平面性の良好な糸尻の下端がテーブル等に接触するので、断熱容器を安定して置くことができる。
【0047】
請求項11に記載の発明によれば、容器本体の下端は、スリーブの下端に対して0.01〜5mmの突出量で突出されているので、容器本体の突出が外観上判別できず容器のデザインを害しない。
【0048】
請求項12に記載の発明によれば、容器本体の外向きカール部直下における外径と、外向きカール部直下に対向する部位におけるスリーブの内径との差が−1.0〜+0.5mmの範囲となるように形成された容器本体およびスリーブを接着部を介して接着してなるので、接着部における充分な接着力を確保するとともに、容器本体の側壁にしわを発生させるおそれもない。
【0049】
請求項13に記載の発明によれば、接着部の上端は、外向きカール部の下端から容器本体の中心線の方向に沿って1mm以上下方に離された位置にあるので、接着部の接着剤が外向きカール部に付着するおそれがない。
【0050】
請求項14に記載の発明によれば、接着部は容器本体の中心線の方向について3mm以上の幅にわたって設けられているので、接着部における充分な接着強度を確保できる。
【0051】
請求項15に記載の発明によれば、接着部の上端は、スリーブの上端よりも下方に位置するので、接着部の接着剤がスリーブの上端からはみ出すおそれがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、図1〜図8を用いて、本発明による断熱容器の実施の形態について説明する。
【0053】
図1は本実施の形態の断熱容器としての紙カップを、図2はその紙カップの製造手順の概略をそれぞれ示している。
【0054】
図1に示すように、紙カップ1は容器本体としてのカップ本体2と、その外周を覆うスリーブ3とを組み合わせて構成される。カップ本体2は側壁2aと底部2bとを有する略円錐台形に形成されている。底部2bはその外周端を図1において下方に折り曲げるように絞り加工され、これにより底部2bは図1においてその断面形状が下方に向けて開口する略「コ」の字型に形成される。この底部2bの外周部の折り曲げ部分を側壁2aが外側から包み込むように接着されて、カップ本体2の糸尻2fが形成される。
【0055】
カップ本体2の口部には外側に向かってカールされたカール部2cが設けられるとともに、カップ本体2の側壁2aには内側に向けて膨らむ周状のピーター線2dおよび外側に向けて膨らむ周状のリブ2eがそれぞれ設けられている。ピーター線2dはカップ本体2への注入物(例えば湯)の適量位置を示すためのものであり、リブ2eはカップ本体2を補強するためのものである。リブ2eはピーター線2dよりも幾らか大きく形成される。ピーター線2dおよびリブ2eはスリーブ3の内面と接触しないようにそれぞれの突出量が定められる。
【0056】
なお、ピーター線2dはカップ本体2の外側に突出させてもよく、リブ2eはカップ本体2の内側に突出させてもよい。
【0057】
カップ本体2の素材として例えば坪量150〜400g/m2の紙が使用され、少なくともその内面は耐熱性や耐水性を高めるための被覆層(例えばポリエチレン層)にて覆われる。
【0058】
スリーブ3は紙カップ1の断熱性を高めるために設けられる。図1に示すように、スリーブ3の下端には内側に向けてカールされたカール部3aが形成される。スリーブ3の上端部3bはカップ本体2の側壁2aに接着されるとともに、カール部3aはカップ本体2の糸尻2fの側面に対向する。カール部3aがスペーサーとして機能してスリーブ3がカップ本体2から引き離され、これによりカップ本体2の側壁2aとスリーブ3との間に断熱層として機能する空間が確保される。スリーブ3の素材には、例えば坪量150〜400g/m2の紙が用いられる。なお、スリーブ3は特に湯や水に触れないため、カップ本体2のような被覆層は省略してもよい。
【0059】
図2に示すように、側壁2aと底部2bとを接着した後、ピーター線2dおよびリブ2eを形成してカップ本体2が形成される。また、扇形のブランク3´の両端部3c、3cを貼り合わせ、下端に内向きのカール部3aを形成してスリーブ3が形成される。そして、カップ本体2のカール部2cの下方に設定された所定の接着範囲(図2のハッチング領域)BDに接着剤をスプレー塗布してカップ本体2とスリーブ3とを組み合わせ、スリーブ3の上端部3bとカップ本体2の側壁2aとを相互に接着して紙カップ1が形成される(接着範囲BDについて図7参照)。
【0060】
なお、ピーター線2dがカップ本体2の半径方向外側に膨らむ場合には、接着範囲BDがピーター線2dにかからないように設定される。
【0061】
図3はスリーブ3のカール部3a周辺を示す拡大断面図、図4および図5はカール部3aの形状を説明する断面図である。なお、図3〜図5はカップ本体2の中心線CLを鉛直方向に設定した場合における鉛直断面を示す。
【0062】
図3に示すように、糸尻2fの下端、すなわちカップ本体2の下端は、カール部3aの下端、すなわちスリーブ3の下端よりも下方に突出されている。したがって紙カップ1をテーブル等に置いた場合には、内容物が入れられたコップ本体2がテーブル等と直接接触することになり、しかもコップ本体2の糸尻2fは丈夫でその下端の平面性が比較的良好なため、紙カップ1が安定する。なお、図3における「A」はこの突出量を示す。
【0063】
これに対して、仮にカール部3aの下端がテーブル等と接触するように構成した場合には、カール部3aの下端の平面性は糸尻2fに比べて劣るうえ、コップ本体2がスリーブ3を介して支持されることになってスリーブ3の変形を招くため、紙コップ1の安定性が悪くなる。
【0064】
糸尻2fの下端はカール部3aの下端に対して、0.01〜5mmの突出量で突出するように構成すれば、カップ本体2の突出が目視で気にならず、しかも確実に糸尻2fがテーブル等に当接して紙カップ1が安定する。
【0065】
なお、容器本体の下端をスリーブの下端よりも下方に突出させる構成は、スリーブに内向きのカール部が形成されていない場合やカップ本体に糸尻が形成されていない断熱容器に適用することもできる。
【0066】
図3に示すように、糸尻2fの下端の外周位置は、カール部3aにおけるカップ本体2の中心線CLに最も接近した部位よりもカップ本体2の中心線CL寄りに位置する。図3の「B」は糸尻2fの下端の外周位置と、カール部3aにおけるカップ本体2の中心線CLに最も接近した部位との間の、カップ本体2の半径方向における変位量を示す。この変位量を0.01〜1mmの範囲に設定することにより、組み立ての円滑性を確保しつつ、紙カップ1の変形を抑制することができる。また、カール部3aにおけるカップ本体2の中心線CLに最も接近した部位と、この部位に向き合う糸尻2fの側面との間に隙間が形成されている。この隙間(図3の「D」)を0.01〜1mmの範囲に設定することにより、組み立ての円滑性を確保しつつ紙コップ1の変形を抑制できる。
【0067】
図3および図4において、「X」は鉛直軸の方向を、「Y」はカール部3aに巻き込まれた紙の先端が指し示す方向をそれぞれ示す。図3に示すように、カール部3aでは、巻き込まれた紙の先端の向きが鉛直上向き方向を超えて時計回りに回転する状態となるまで紙の先端が巻き込まれている。これにより、カップ本体2とスリーブ3とを組み立てるに際して、糸尻2fがカール部3aの紙の先端に引っ掛かりにくくなり、両者を円滑に組み立てることができる。
【0068】
これに対して、図4(a)では紙の先端の向きが鉛直上向き方向に到るまで紙の先端が巻き込まれていない。このように、紙の先端が鉛直上向きに到らずカール部3aが上向きに開いた状態とされている場合には、カップ本体2とスリーブ3とを組み立てるに際して、カール部3aにカップ本体2の糸尻2fが引っ掛かりカール部3aを押し開きやすくなるので好ましくない。
【0069】
なお、図4(b)では紙の先端が鉛直上向き方向を超えて回転するまで巻き込まれた状態の一例を示しており、カール部3aに糸尻2fが引っ掛かりにくくなっている。また、図3では、カール部3aの紙の先端が図4(b)の状態からさらに時計回り方向に巻き込まれた状態を示し、さらに糸尻2fが引っ掛かりにくい。
【0070】
また、図4(c)ではカール部3aにおける紙の先端の向きが鉛直上向き方向に到らないが、カール部3aにおけるカップ本体2の中心線CLに最も接近した部位よりも、この紙の先端が容器の外側方向に位置している。なお、図4(c)の「P」はカール部3aの内周面に接する鉛直線、すなわちカール部3aがカップ本体2の中心線CLに最も接近した水平方向の位置を示している。
【0071】
このように、カール部3aにおけるカップ本体2の中心線CLに最も接近した部位よりも、この紙の先端が容器の外側方向に位置するという要件を満たしている場合には、同様にカール部3aに糸尻2fが引っ掛かりにくくなる。なお、図3および図4(b)は、双方とも上記要件を満す場合を示している。一方、図4(a)では、紙の先端部において最もカップ本体2の中心線CLに接近しており、上記要件を満たしていない。この場合には、糸尻2fがカール部3aの紙の先端に引っ掛かりやすい。
【0072】
さらに、カール部3aに巻き込まれる紙の先端と、スリーブ3の内壁面との間の隙間を1mm以下とすることにより、カップ本体2とスリーブ3とを組み立てるに際して糸尻2fがカール部3aに引っ掛かりにくくなる。また、この隙間を糸尻2fの厚さよりも狭く設定することにより、組み立て時に糸尻2fがこの隙間からカール部3aの内側に進入してカール部3aを押し開くおそれが著しく減少する。図5(a)、図5(b)および図5(c)はそれぞれこの隙間がC1、C2およびC3(C1>C2>C3)の場合を示しており、図5(b)のC2は糸尻2fの厚みに一致している。また、図5(c)は図3のカール部3aに相当する。
【0073】
図6(a)は糸尻2fの付近を示す断面図である。図6(a)に示すように、糸尻2fは糸尻2fよりも上方の側壁2aの外壁面を延長して得られる延長線Rよりも容器内側に位置付けられるように、容器内側に向けて倒しこまれている。このように糸尻2fを容器内側に傾けることにより、カップ本体2とスリーブ3とを組み立てるときに糸尻2fがカール部3aに引っ掛かりにくくなる。
【0074】
また、図6(a)に示すように、糸尻2fの先端には容器内側に向けてバリ2gが突出している。カップ本体2の製造工程において、糸尻2fを形成した後にカール部2cを形成するが、カール部2cの形成工程ではカップ本体2を固定させるために糸尻2fを当て部材に強く押しつけるため、糸尻2fの先端部には必然的にバリが生じる。しかし、バリを図6(a)に示すように容器内側に向けて突出させ、容器外側に突出するバリを生じさせないように構成することにより、さらに糸尻2fがカール部3aに引っ掛かりにくくなる。
【0075】
図6(b)では、糸尻が側壁の延長線Rに沿って延びるとともに、容器外側にバリ2hが突出している。この形状は通常の紙カップに相当するものであるが、このような形状にカップ本体2を形成した場合にはバリ2hが延長線Rの外側にまで突出するため、糸尻がカール部3aに引っかかりやすくなる。
【0076】
糸尻2fを容器内側に向けて倒しこむように形成するためには、底部2bと側壁2aとを重ね合わせて糸尻2fを形成する際に、糸尻2fを容器内側に押し倒すような圧力を加えつつ、底部2bと側壁2aとを互いに接着すればよい。例えば、ローレットロールにより接着する場合には、糸尻2fを外側から受ける受け部材の受け面を容器内側に傾けるとともに、糸尻2fを内側から押さえ付ける回転体の側面を、受け部材に合わせたテーパー面とすればよい。糸尻2fが予め内側に傾けられている場合には、その後の工程、例えばカール部2cの形成工程において糸尻2fの先端に生じるバリは内側に突出するものとなるため、最終的に図6(a)に示すような形状の糸尻2fを形成することができる。
【0077】
また、糸尻を形成した後、カール部2cを形成する前に、糸尻に圧力を加えて糸尻を図6(a)に示すような形状に加工してもよいし、カール部2cの形成時に糸尻の先端を内側に絞り込むような形状の当て部材を用いて、カップ本体2を固定するようにしてもよい。後者の場合には、カール部2cの形成と同時に糸尻全体あるいは糸尻の先端部を内側に倒し込むことができる。
【0078】
図7(a)は、カップ本体2の中心線CLを鉛直方向に置いた場合における、カップ本体2とスリーブ3との接着部分を示す鉛直断面図である。図7(a)に示すように、側壁2aは湾曲して形成されており、接着範囲BDに対向する部位が、この部位の下方の部位の延長線(図7の直線「S」)に対して容器内側方向に傾くようにされている。これにより、接着範囲BDにおける側壁2aの方向とスリーブ3の方向とが一致して両者がよく密着するため、充分な接着強度を得ることができる。なお、図7の直線「T」は接着範囲BDにおける側壁2aの方向を示す。側壁2aを湾曲させる代わりに、図7(b)の鉛直断面図に示すように、スリーブ3を湾曲させて側壁2aと密着させてもよい。
【0079】
図7(a)において直線「U」はカール部2cの下端を通る水平面を、直線「V」は接着範囲BDの上端を通る水平面を、直線「W」は接着範囲BDの下端を通る水平面を、それぞれ示す。ここで接着範囲BDの鉛直方向の幅、すなわち図7(a)における直線「V」と直線「W」との距離は3mm以上とされ、これにより充分な接着強度を得るようにしている。また、接着範囲BDの上端とカール部2cの下端との間の距離、すなわち図7(a)における直線「V」と直線「U」との距離は1mm以上とされ、これにより接着剤が口をつける部位であるカール部2cに付着しないように考慮されている。さらに、直線「V」で示す接着範囲BDの上端は、スリーブの上端3cよりも下方に位置する。これにより、スリーブ3の上端3c側から接着剤がはみ出すおそれがなくなる。
【0080】
図2に示す工程に従い紙カップ1を製造する際に、カップ本体2のカール部2c直下の外径(図1において「E」で示す部位)と、その部位におけるスリーブ3の内径との差が−1.0〜+0.5mmの範囲となるようにカップ本体2およびスリーブ3を予め形成し、接着範囲BDを介して両者を接着している。このような寸法関係を採用することにより、接着範囲BDにおける充分な接着力を確保するとともに、カップ本体2の側壁2aにしわを発生させるおそれもない。
【0081】
図8に示すように、スリーブ3のカール部3aを糸尻2fよりも上方の側壁2aに対向させるように構成してもよい。この場合には、カール部3aと側壁2aとの隙間(D´)を0.01〜1mmの範囲に設定することにより、紙カップ1の変形を抑制できるとともに、側壁2aにしわを発生させることもない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明による断熱容器の一実施の形態を示す平面図。
【図2】図1の断熱容器の製造工程を示す図。
【図3】スリーブの内向きカールの付近を示す拡大断面図。
【図4】スリーブの内向きカールの形状を示す図であり、(a)は紙の先端が鉛直上方向まで巻き込まれていない状態を示す図、(b)は紙の先端が鉛直上方向を超えて巻き込まれた状態を示す図、(c)はさらに紙の先端が巻き込まれた状態を示す図。
【図5】スリーブの内向きカールの形状を示す図であり、(a)は紙の先端とスリーブの内壁面との間の隙間がC1である場合を、(b)は紙の先端とスリーブの内壁面との間の隙間がC2(>C1)である場合を、(c)は紙の先端とスリーブの内壁面との間の隙間がC3(>C2)である場合を、それぞれ示す図。
【図6】糸尻の付近を示す拡大断面図であり、(a)は図1の断熱容器の糸尻の付近を示す図、(b)は糸尻が容器内側に倒し込まれておらず、かつバリが容器外側に向けて突出している状態を示す図。
【図7】カップ本体とスリーブとの接着部付近を示す拡大断面図であり、(a)はカップ本体を湾曲させた場合を示す図、(b)はスリーブを湾曲させた場合を示す図。
【図8】スリーブの下端が糸尻よりも上方に位置する別実施例の一部を示す断面図。
【符号の説明】
【0083】
1 紙カップ
2 カップ本体
2a 側壁
2b 底部
2c カール部(外向きカール部)
2f 糸尻
3 スリーブ
3a カール部(内向きカール部)
BD 接着範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁、前記側壁の下端側に配置された底部、および前記側壁からその下端側に延長して形成された糸尻を有する容器本体と、
シート状のスリーブ材からなり、下端側には前記スリーブ材を容器の中心側に向けてカールさせてなる内向きカール部が形成され、上端側には前記容器本体の前記側壁に対して接着される接着部が形成され、前記内向きカール部および前記接着部の間の少なくとも一部では前記側壁の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブと、を備え、
前記内向きカール部に巻き込まれる前記スリーブ材の先端と、前記スリーブの内壁面との間の隙間を前記糸尻の厚さよりも小さくしたことを特徴とする断熱容器。
【請求項2】
側壁、前記側壁の下端側に配置された底部、および前記側壁からその下端側に延長して形成された糸尻を有する容器本体と、
シート状のスリーブ材からなり、下端側には前記スリーブ材を容器の中心側に向けてカールさせてなる内向きカール部が形成され、上端側には前記容器本体の前記側壁に対して接着される接着部が形成され、前記内向きカール部および前記接着部の間の少なくとも一部では前記側壁の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブと、を備え、
前記容器本体の中心線を含む平面での断面について、前記糸尻が前記側壁の外面を延長した直線よりも容器内側に位置付けられるように前記糸尻が倒し込まれていることを特徴とする断熱容器。
【請求項3】
側壁、前記側壁の下端側に配置された底部、および前記側壁からその下端側に延長して形成された糸尻を有する容器本体と、
シート状のスリーブ材からなり、下端側には前記スリーブ材を容器の中心側に向けてカールさせてなる内向きカール部が形成され、上端側には前記容器本体の前記側壁に対して接着される接着部が形成され、前記内向きカール部および前記接着部の間の少なくとも一部では前記側壁の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブと、を備え、
前記糸尻のバリを容器内側に突出させたことを特徴とする断熱容器。
【請求項4】
側壁、前記側壁の下端側に配置された底部、および前記側壁からその下端側に延長して形成された糸尻を有する容器本体と、
シート状のスリーブ材からなり、下端側には前記スリーブ材を容器の中心側に向けてカールさせてなる内向きカール部が形成され、上端側には前記容器本体の前記側壁に対して接着される接着部が形成され、前記内向きカール部および前記接着部の間の少なくとも一部では前記側壁の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブと、を備え、
前記糸尻の下端の外周位置は前記内向きカール部における前記容器本体の中心線に最も接近した部位よりも前記容器本体中心線寄りに位置することを特徴とする断熱容器。
【請求項5】
前記糸尻の下端の外周位置と、前記内向きカール部における前記容器本体の中心線に最も接近した部位との間の変位量は、前記容器本体の半径方向について0.01〜1mmの範囲に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の断熱容器。
【請求項6】
側壁、および前記側壁の下端側に配置された底部を有する容器本体と、
シート状のスリーブ材からなり、下端側には前記スリーブ材を容器の中心側に向けてカールさせてなる内向きカール部が形成され、上端側には前記容器本体の前記側壁に対して接着される接着部が形成され、前記内向きカール部および前記接着部の間の少なくとも一部では前記側壁の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブと、を備え、
前記内向きカール部と、前記部位に向き合う前記容器本体の外面との間に隙間が形成されていることを特徴とする断熱容器。
【請求項7】
前記隙間は、0.01〜1mmの範囲に設定されていることを特徴とする請求項6に記載の断熱容器。
【請求項8】
側壁および前記側壁の下端側に配置された底部を有する容器本体と、
シート状のスリーブ材からなり、前記側壁の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブと、を備え、
前記容器本体の下端は前記スリーブの下端よりも下方に突出されていることを特徴とする断熱容器。
【請求項9】
側壁および前記側壁の下端側に配置された底部を有する容器本体と、
前記スリーブの下端側には前記スリーブ材を容器の中心側に向けてカールさせてなる内向きカール部が形成され、前記スリーブの上端側には前記容器本体の前記側壁に対して接着される接着部が形成され、
前記スリーブは、前記内向きカール部および前記接着部の間の少なくとも一部では前記側壁の外側に空間を確保しつつ配置されることを特徴とする請求項8に記載の断熱容器。
【請求項10】
前記容器本体には、前記側壁からその下端側に延長して形成された糸尻が形成され、
前記糸尻の下端は前記容器本体の下端を構成することを特徴とする請求項8または9に記載の断熱容器。
【請求項11】
前記容器本体の下端は、前記スリーブの下端に対して0.01〜5mmの突出量で突出されていることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の断熱容器。
【請求項12】
側壁および前記側壁の下端側に配置された底部を有し、前記側壁の上端側には容器の外側に向けてカールしてなる外向きカール部が形成された容器本体と、
シート状のスリーブ材からなり、上端側には前記容器本体の前記側壁に対して接着される接着部が形成され、前記側壁の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブと、を備え、
前記容器本体の前記外向きカール部直下における外径と、前記外向きカール部直下に対向する部位における前記スリーブの内径との差が−1.0〜+0.5mmの範囲となるように形成された前記容器本体および前記スリーブを前記接着部を介して接着してなることを特徴とする断熱容器。
【請求項13】
側壁および前記側壁の下端側に配置された底部を有し、前記側壁の上端側には容器の外側に向けてカールしてなる外向きカール部が形成された容器本体と、
シート状のスリーブ材からなり、上端側には前記容器本体の前記側壁に対して接着剤を介して接着される接着部が形成され、前記側壁の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブと、を備え、
前記接着部の上端は、前記外向きカール部の下端から容器本体の中心線の方向に沿って1mm以上下方に離された位置にあることを特徴とする断熱容器。
【請求項14】
側壁および前記側壁の下端側に配置された底部を有し、前記側壁の上端側には容器の外側に向けてカールしてなる外向きカール部が形成された容器本体と、
シート状のスリーブ材からなり、上端側には前記容器本体の前記側壁に対して接着剤を介して接着される接着部が形成され、前記側壁の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブと、を備え、
前記接着部は容器本体の中心線の方向について3mm以上の幅にわたって設けられていることを特徴とする断熱容器。
【請求項15】
側壁および前記側壁の下端側に配置された底部を有し、前記側壁の上端側には容器の外側に向けてカールしてなる外向きカール部が形成された容器本体と、
シート状のスリーブ材からなり、上端側には前記容器本体の前記側壁に対して接着剤を介して接着される接着部が形成され、前記側壁の外側に空間を確保しつつ配置されるスリーブと、を備え、
前記接着部の上端は、前記スリーブの上端よりも下方に位置することを特徴とする断熱容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−179422(P2008−179422A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108687(P2008−108687)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【分割の表示】特願2002−11311(P2002−11311)の分割
【原出願日】平成10年12月28日(1998.12.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】