説明

断熱性能に優れた発泡積層体

【課題】 顕著な断熱性能の改善効果を有する断熱材用発泡積層体を提供することを課題とする。
【解決手段】 厚み方向に発泡層が熱線輻射抑制材を含む非発泡層を介して積層された構造を少なくとも1個有する発泡積層体とすることにより、顕著な断熱性能の改善効果を有する発泡積層体を得ることができる。熱線輻射剤としては、カーボングラファイト、アルミニウム系化合物等の熱線反射剤や、カーボンブラック、アンチモン系化合物等の熱線吸収剤が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用、自動車用、土木用などの断熱材として好適に使用される発泡積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
建材分野、自動車内装材分野等において、断熱材としてフェノール系樹脂発泡ボード、ポリウレタン系樹脂発泡ボード、ポリスチレン系樹脂発泡ボードが広く使用されている。
【0003】
近年、居住空間の快適性、省エネルギーの要求が高まるなか、従来から使用されている断熱材の断熱性能の向上が求められており、発泡ボードの断熱性能改善のため、発泡ボードを構成する樹脂の検討、発泡剤種の検討、添加剤の検討、セル構造の検討等、様々な検討がなされてきた(例えば、特許文献1〜6参照)。
【0004】
これらの検討の結果、発泡ボードの断熱性能は飛躍的に向上し、前記従来技術の延長線上では、断熱性能の更なる向上は容易に見込めない領域に達した観があるのが現状である。
【0005】
一方、発泡ボードに良好な断熱性能を付与する発泡剤の1種であるフロン類は、オゾン層を破壊する原因物質とされており、その使用、排出は制約を受け、更に地球環境的側面から、全廃が叫ばれて久しい。
【0006】
このような状況下において、発泡ボードの更なる断熱性能改善を図るには、前記従来から行われてきた検討の視点とは異なるアプローチが必要である。
【0007】
発泡ボードの断熱性能改善に関する新たな試みとして、特許文献7に開示の技術がある。これは、2枚のポリプロピレン系樹脂発泡体の間にアルミ箔を挟みこむ内容の発明であり、アルミ箔を挟み込むことにより断熱性能が顕著に改善されるものである。但し、特許文献7に開示の技術は、断熱性能が低いポリプロピレン系樹脂発泡体に限定した内容であり、この技術を断熱性能が高いポリスチレン系樹脂発泡ボード、ポリウレタン系樹脂発泡ボード、ポリフェノール系樹脂発泡ボードに適用した際、断熱性能を改善するには困難性を伴うと考えられていた。実際、ポリスチレン系樹脂発泡ボード、ポリウレタン系樹脂発泡ボード、ポリフェノール系樹脂発泡体等において、特許文献7を応用した技術の開示はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−13659号公報
【特許文献2】特開2007−154006号公報
【特許文献3】特開2001−114922号公報
【特許文献4】特開2002−309030号公報
【特許文献5】特開平8−231667号公報
【特許文献6】特開2007−332203号公報
【特許文献7】特開2001−179866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するものであり、発泡剤としてフロン類を使用することなく、顕著な断熱性能の改善効果を有する断熱材用発泡積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記の事項等を見出し、本発明を完成するに至った。
・発泡層間への挟み込みによる断熱性能改善効果が公知のアルミ箔以外にも、熱線輻射抑制効果が知られている材料(熱線輻射抑制材)を発泡層間に挟み込むことにより、断熱性能が改善されること。
・樹脂への練り込みが可能なアルミペースト、カーボングラファイト、カーボンブラック等の添加剤を非発泡層構成樹脂へ配合することにより、容易に熱線輻射抑制材が得られ、これまでアルミ箔を積層する際に必要とされていた煩雑な工程を経ずに、工業的に有利な共押出法等にて発泡層/非発泡層(熱線輻射抑制材を含有)/発泡層からなる構造を有する発泡積層体が得られること。
・ポリプロピレン系樹脂発泡体に比べ断熱性能に優れ、断熱性能を改善するにはポリプロピレン系樹脂発泡体に比べて困難性を伴うと考えられていたポリスチレン系樹脂発泡体、フェノール系樹脂発泡体、ポリウレタン系樹脂発泡体においても、熱線輻射抑制材を発泡層間に挟み込むことにより、断熱性能が改善されること。
・発泡積層体の厚み方向に発泡層/非発泡層(熱線輻射抑制材を含有)/発泡層からなる構造を複数有する発泡積層体が、1個のみ有する発泡積層体よりも断熱性能がより改善されること。
【0011】
すなわち、本発明は、
[1]厚み方向に発泡層が非発泡層を介して積層された構造を少なくとも1個有する発泡積層体であって、該非発泡層中に熱線輻射抑制材を含むことを特徴とする、発泡積層体、
[2]厚み方向に、発泡層が非発泡層を介して積層された構造を複数個有することを特徴とする、[1]記載の発泡積層体、
[3]前記熱線輻射抑制材が熱線反射材および/または熱線吸収材であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の発泡積層体、
[4]前記熱線反射材がアルミニウム系化合物、マグネシウム系化合物、銀系化合物およびチタン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、[4]記載の発泡積層体、
[5]前記熱線反射材がアルミニウム箔であることを特徴とする、[3]または[4]に記載の発泡積層体、
[6]前記熱線反射材がアルミニウムペーストを含むことを特徴とする、[3]または[4]に記載の発泡積層体、
[7]前記熱線反射材がカーボングラファイトを含むことを特徴とする、[3]または[4]に記載の発泡積層体、
[8]前記熱線反射材が酸化チタンを含むことを特徴とする、[2]または[3]に記載の発泡積層体、
[9]前記熱線吸収材がカーボンブラック、金属硫酸塩およびアンチモン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、[3]記載の発泡積層体、
[10]前記熱線吸収材がカーボンブラックを含むことを特徴とする、[3]または[9]に記載の発泡積層体、
[11]前記熱線吸収材が酸化アンチモンを含むことを特徴とする、[3]または[9]に記載の発泡積層体、
[12]前記熱線吸収材が硫酸バリウムを含むことを特徴とする、[3]または[9]に記載の発泡積層体、
[13]発泡層を構成する樹脂がポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、または、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、フェノール系樹脂およびポリウレタン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]〜[12]のいずれか1項に記載の発泡積層体、
[14]発泡層を構成する樹脂がポリスチレン系樹脂であることを特徴とする、[13]に記載の発泡積層体、および
[15]20℃における熱伝導率が0.034W/m・K以下であることを特徴とする、[1]〜[14]のいずれか1項に記載の発泡積層体、
に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果は、以下のとおりである。
・厚み方向に発泡層が熱線輻射抑制材を含む非発泡層を介して積層された発泡積層体構造をとることによって、断熱性能を改善される。
・発泡層/熱線輻射抑制材を含む非発泡層/発泡層からなる構造を複数回繰り返すことにより、断熱性能がより改善される。
【0013】
上記効果は、発泡ボードの断熱性改善の従来技術との組合せが可能であるため、これにより、従来にない優れた断熱性能を有する発泡ボードの提供を期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の1例を示す発泡積層シートの断面図
【図2】本発明の1例を示す発泡積層シートの断面図
【図3】本発明の1例を示す発泡積層シートの断面図
【図4】本発明の1例を示す発泡積層シートの断面図
【図5】本発明の1例を示す発泡積層シートの断面図
【図6】本発明の1例を示す発泡積層シートの断面図
【図7】本発明の1例を示す発泡積層シートの断面図
【図8】本発明の1例を示す発泡積層シートの断面図
【図9】本発明の1例を示す発泡積層シートの断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の発泡積層体は、厚み方向に発泡層が非発泡層を介して積層された構造を少なくとも1個有し、且つ、非発泡層中に熱線輻射抑制材を含むことが必要である。
【0016】
本発明の発泡積層体を構成する発泡層とは、密度が500kg/m以下の層をいい、複数のハニカム状のセル構造を有するものをいう。その形状としては、特に限定されず、フィルム形状、シート形状、ボード形状が挙げられ、これらの中でも、断熱性能を発現しやすいこと、発泡積層体に軽量性を付与できることより、シート形状、ボード形状が好ましい。
【0017】
本発明の発泡積層体を構成する非発泡層とは、密度が500kg/m超の層をいい、構成材として熱線輻射抑制材を含むものである。非発泡層の形状としては、発泡積層体に軽量性を付与できることより、フィルム形状、シート形状が好ましい。非発泡層の構成としては、特に限定されず、単層でも複層でも構わず、例えば、熱線輻射抑制材単体からなるもの、複数の熱線輻射抑制材からなるもの、熱線輻射抑制材と熱線輻射抑制効果を有しない材料を複合してなるもの、等が挙げられる。
【0018】
本発明の発泡積層体を構成する非発泡層中に含まれる熱線輻射抑制材とは、近赤外または赤外領域(例えば、800〜3000nm程度の波長域)の光を反射・散乱・吸収する特性を有する材料をいい、黒体放射率が発泡層を構成する樹脂よりも小さいものをいう。
熱線輻射抑制材としては、以下に述べる熱線反射材、熱線吸収材が挙げられる。
【0019】
前記熱線反射材とは、近赤外または赤外領域(例えば、800〜3000nm程度の波長域)の光を反射・散乱する特性を有する物質(以下、「熱線反射剤」と記載する)を含む材料をいい、その構成としては、特に限定されず、例えば、熱線反射剤単体からなるもの、複数の熱線反射剤からなるもの、熱線反射剤と熱線反射特性を有さない物質を複合してなるもの(例えば、熱線反射剤を添加してなる樹脂、等)などが挙げられる。
【0020】
熱線反射剤としては、近赤外または赤外領域(例えば、800〜3000nm程度の波長域)の光を反射・散乱する物質であれば、特に限定されず、具体的には、鱗片状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛等のカーボングラファイト、アルミニウム、酸化アルミニウム等のアルミニウム系化合物、アルミン酸亜鉛等の亜鉛系化合物;ハイドロタルサイト等のマグネシウム系化合物;銀等の銀系化合物:チタン、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム等のチタン系化合物;ステンレス、ニッケル、錫、銀、銅、ブロンズ、シラスバルーン、セラミックバルーン、マイクロバルーン、パールマイカ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0021】
熱線反射材としては、熱伝導率低減効果が大きいこと、コスト的に有利なこと、環境適合面、安全面を含めたハンドリング性が良好なこと等により、カーボングラファイト、アルミニウム系化合物、マグネシウム系化合物、銀系化合物、チタン系化合物を含む材料が好ましい。これらのなかでも、圧延加工によって得られるアルミニウム箔;混錬加工によって得られるカーボングラファイト、アルミニウムペースト、酸化チタンを樹脂中に含む材料が、熱伝導率低減効果とコストのバランスが優れるため、より好ましい。
【0022】
熱線反射材の形状としては、特に限定されず、例えば、平板シート状、平板フィルム状、波板シート状、波板フィルム状などが挙げられるが、このなかでも、加工容易性、コスト、熱伝導率低減効果等から平板フィルム状が好ましい。
【0023】
熱線反射材の形状が平板フィルム状の場合、その厚みは、発泡積層体の熱伝導率の低減効果と発泡積層体密度とのバランス関係(すなわち、熱線反射材による熱伝導率低減効果が大きく、且つ、密度の低い発泡積層体が得られる)から、10〜1000μmが好ましく、10〜500μmがより好ましく、10〜200μmが特に好ましく、15〜100μmが最も好ましい。
【0024】
前記熱線反射剤は、熱線反射剤自体の圧延;基材フィルム等へのスパッタリング、真空蒸着等の物理蒸着、化学蒸着等による熱線反射剤の製膜;熱線反射剤を添加剤として配合し溶融混練等により得られる樹脂のフィルム化;熱線反射剤を添加してなる樹脂ラテックスあるいは樹脂溶液の乾燥フィルム化;等により、熱線反射材に加工・作製される。なお、樹脂ラテックス・樹脂溶液を用いた熱線反射材の作製法は、熱線反射剤を均一分散させたフィルム等を簡便に得ることができる点から好ましい。
【0025】
熱線反射材が熱線反射剤を添加してなる樹脂フィルム・樹脂シート等からなる場合、熱線反射剤の添加量は、熱線反射剤の種類、熱線反射材の厚みによって適宜設定されるが、その指標としては、所望の厚みの熱線反射材を作製し、赤外線分光光度計(IR)にて測定したスペクトルの800〜3000nmの吸光度変化が殆ど無いような添加量を設定することが、発泡積層体の熱伝導率の低減効果とコストとのバランスが優れるため好ましい。
【0026】
熱線反射材が熱線反射剤を添加してなる樹脂フィルム・樹脂シート等からなる場合、熱線反射剤が添加される樹脂としては、発泡層との良好な接着性を確保するために、発泡層を構成する樹脂と相溶性を有する樹脂を選定することが好ましい。なお、該樹脂が、発泡層を構成する樹脂と相溶性を有さなくても、発泡層との間でアンカー効果が発現するような粘着性・接着性を有する樹脂層を介して積層することも可能である。
【0027】
粘着性・接着性を有する樹脂としては、特に限定されず、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系共重合樹脂、天然ゴム系樹脂、クロロプレン系樹脂および、上記樹脂にロジン類、ロジン誘導体、石油系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂、ケトン樹脂等の粘着付与剤樹脂を配合してなる樹脂組成物等が挙げられる。これらを押出法等によりフィルム形状・シート形状に加工したもの、これらのラテックスを乾燥させてフィルム形状・シート形状に加工したものが、本発明の発泡積層体を簡便に作製できることから好ましい。
【0028】
また、粘着性・接着性を有する樹脂層に熱線反射剤を添加することにより、熱線反射剤を含有する非発泡層の発泡層への接着性を向上させることができ、さらに、市販の熱線反射剤を含まないフィルムと組み合わせることにより、非発泡層の剛性を向上させることができ、ハンドリング性を改善することができる。
【0029】
前記熱線吸収材とは、近赤外又は赤外領域(例えば、800〜3000nm程度の波長域)の光を吸収する特性を有する物質(以下、「熱線吸収剤」と記載する)を含む材料をいい、その構成としては、特に限定されず、例えば、熱線吸収剤単体からなるもの、複数の熱線吸収剤からなるもの、熱線吸収剤と熱線吸収特性を有さない物質を複合してなるもの(例えば、熱線吸収剤を添加してなる樹脂、等)などが挙げられる。
【0030】
前記熱線吸収剤としては、近赤外または赤外領域(例えば、800〜3000nm程度の波長域)の光を吸収する物質であれば、特に限定されず、具体的には、カーボンブラック、炭素粉末;硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、メルカライト、ハロトリ石、ミョウバン石、鉄ミョウバン石等の硫酸金属塩;ATO、酸化アンチモン等のアンチモン系化合物;酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、無水酸化アンチモン酸亜鉛等の金属酸化物;アンモニウム系、尿素系、イモニウム系、アミニウム系、シアニン系、ポリメチン系、アントラキノン系、ジチオール系、銅イオン系、フェニレンジアミン系、フタロシアニン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系、ベンゾトリアゾール系等の有機染顔料;等を挙げることができる。
【0031】
熱線吸収材としては、熱伝導率低減効果が大きいこと、コスト的に有利なこと、環境適合面、安全面を含めたハンドリング性が良好なこと等により、カーボンブラック、金属硫酸塩またはアンチモン系化合物を含む材料が好ましく、このなかでも、混錬加工によって得られるカーボンブラック、酸化アンチモンまたは硫酸バリウムを含む材料が、熱伝導率低減効果とコストのバランスが優れより好ましい。
【0032】
熱線吸収材の形状としては、特に限定されず、例えば、平板シート状、平板フィルム状、波板シート状、波板フィルム状などが挙げられるが、このなかでも、加工容易性、コスト、熱伝導率低減効果等から平板フィルム状が好ましい。
【0033】
熱線吸収材の形状が平板フィルム状の場合、その厚みは、発泡積層体の熱伝導率の低減効果と発泡積層体密度のバランス関係(すなわち、熱線吸収材による熱伝導率低減効果が大きく、且つ密度の低い発泡積層体が得られる)から、10〜1000μmが好ましく、10〜500μmがより好ましく、10〜200μmがさらに好ましく、15〜100μmが特に好ましい。
【0034】
前記熱線吸収剤は、熱線吸収剤自体の圧延加工;基材フィルム等への熱線吸収剤のスパッタリング、真空蒸着等の物理蒸着、化学蒸着等による製膜加工;熱線吸収剤を添加剤として配合し溶融混練等により得られる樹脂のフィルム化;熱線吸収剤を添加してなる樹脂ラテックスあるいは樹脂溶液の乾燥フィルム化;等により、熱線反射材に加工・作製される。なお、樹脂ラテックス・樹脂溶液を用いた熱線吸収材の作製法は、熱線吸収剤を均一分散させたフィルム等を簡便に得ることができる点から好ましい。
【0035】
熱線吸収材が熱線吸収剤を添加してなる樹脂フィルム・樹脂シートからなる場合、その添加量は、熱線吸収剤の種類、熱線吸収材の厚みによって適宜設定されるが、その指標としては、上記所定の厚みの熱線吸収材を作製し、赤外線分光光度計(IR)にて測定したスペクトルの800〜3000nmの吸光度変化が殆ど無いように添加量を設定することが、発泡積層体の熱伝導率の低減効果とコストのバランスが良く好ましい。
【0036】
熱線吸収材が熱線吸収剤を添加してなる樹脂フィルム・樹脂シートからなる場合、熱線吸収剤が添加される樹脂としては、発泡層との良好な接着性を確保するため、発泡層を構成する樹脂と相溶性を有する樹脂を選定することが好ましい。なお、該樹脂が発泡層を構成する樹脂と相溶性を有さなくても、発泡層との間でアンカー効果が発現するような粘着性・接着性を有する樹脂を介して積層することも可能である。
【0037】
粘着性・接着性を有する樹脂としては、特に限定されず、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系共重合樹脂、天然ゴム系樹脂、クロロプレン系樹脂および、上記樹脂にロジン類、ロジン誘導体、石油系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂、ケトン樹脂等の粘着付与剤樹脂を配合してなる樹脂組成物等が挙げられる。これらを押出法等によりフィルム形状・シート形状に加工したもの、これらのエマルジョンラテックスを乾燥させてフィルム形状・シート形状に加工したものが本発明の発泡積層体を簡便に作製できることから好ましい。
【0038】
また、粘着性・接着性を有する樹脂層に熱線吸収剤を添加することにより、熱線吸収剤を含有する非発泡層の発泡層への接着性を向上させることができ、さらに、市販の熱線吸収剤を含まないフィルムと組み合わせることにより、非発泡層の剛性を向上させることができ、ハンドリング性を改善することができる。
【0039】
本発明の発泡積層体を構成する発泡層の構成樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも好適に使用される。
【0040】
前記熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂などが挙げられ、これらは単独または2種以上混合して使用することができる。これらの中でも断熱性能に優れ、充填、発泡の工程が容易なことから、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂が好ましい。
【0041】
フェノール系樹脂からなる発泡層の配合、製造方法等については、特に限定は無く、例えば、特開2000−801761号公報、特開2001−114922号公報、特開2002−309030号公報等に記載の配合および製造方法を用いて製造することが可能である。
【0042】
ポリウレタン系樹脂からなる発泡層の配合、製造方法等については、特に限定は無く、例えば、特開平8−231667号公報、特開2007−332203号公報等に記載の配合および製造方法を用いて製造することが可能である。
【0043】
前記熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレンランダム共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニル酢酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリレート、熱可塑性フェノール系樹脂などが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも断熱性能に優れ、成形性が容易なことから、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂が好ましく、スチレン系樹脂がより好ましい。
【0044】
スチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン単量体のみから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能な単量体またはその誘導体から得られるランダム、ブロックまたはグラフト共重合体、後臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレン、ABS樹脂などが挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
【0045】
スチレンと共重合可能な単量体としては、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのスチレン誘導体、ジビニルベンゼンなどの多官能性ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系化合物、ブダジエンなどのジエン系化合物またはその誘導体、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和カルボン酸無水物、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−4−ジフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−4−ブロモフェニルマレイミド、N−1−ナフチルマレイミド等のN−アルキル置換マレイミド化合物;などがあげられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
【0046】
特に、本発明の発泡積層体を構成する発泡層としては、発泡体の加工性の面から、スチレンホモポリマー、スチレンアクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸共重合ポリスチレン、無水マレイン酸変性ポリスチレン、スチレン−不飽和ジカルボン酸無水物−N−アルキル置換マレイミド系共重合体、耐衝撃性ポリスチレンを用いることがさらに好ましく、最も好ましくはスチレンホモポリマーである。
【0047】
本発明の発泡積層体を構成する発泡層を得る際に用いられる発泡剤としては、特に限定されず、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどの炭素数3〜5の飽和炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケトン、エチルn−ブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類;蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどのエステル類;塩化メチル、塩化エチルなどのハロゲン化アルキル類;水、二酸化炭素などの無機発泡剤、さらには、アゾ化合物、テトラゾールなどの化学発泡剤等が挙げられる。これら発泡剤は単独または2種以上混合して使用することができる。
【0048】
前記発泡剤の中でも、発泡性、発泡体成形性などの点からは、n−ブタン、i−ブタン、プロパン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、塩化メチル、塩化エチルなどが好ましく、発泡剤の燃焼性、発泡体の難燃性または断熱性等の点からは水、二酸化炭素が好ましく、更に好ましくは、環境適合性に優れることより、n−ブタン、i−ブタン、プロパン、ジメチルエーテル、水、二酸化炭素である。
【0049】
本発明の発泡積層体を構成する熱可塑性樹脂からなる発泡層を製造する際に、熱可塑性樹脂中に添加または注入される発泡剤の量としては、発泡倍率の設定値などに応じて適宜選定されるが、通常、発泡剤の合計量を、熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜20重量部とするのが好ましく、3〜8重量部とするのがより好ましい。発泡剤の合計添加量が1〜20重量部の場合、発泡体中にボイドが無く、難燃性が制御可能な、適度な発泡倍率の発泡層が得られ、発泡積層体として軽量、断熱などの特性が発現される。
【0050】
発泡剤を添加または注入する際の圧力としては、特に限定されず、押出機などの内圧力よりも高い圧力であればよい。
【0051】
発泡剤として水を用いる場合には、加工性や、気泡径0.25mm以下の気泡(以下、小気泡とも言う)と気泡径0.3〜1mmの気泡(以下、大気泡とも言う)の生成しやすさの面から、発泡剤全量100重量%に対する水の含有量は、好ましくは1〜80重量%、より好ましくは2〜70重量%、特に好ましくは3〜60重量%である。
【0052】
発泡剤として水を用いる場合は、スメクタイト、膨潤性フッ素雲母などの吸水性または水膨潤性の層状珪酸塩類、またはこれらの有機化処理品;吸水性高分子;日本アエロジル(株)製AEROSILなどのシラノール基を有する無水シリカなど(本明細書においては、これらの物質を「吸水性物質」と総称する)の1種または2種以上を添加することにより、発泡体中に、前記小気泡、大気泡の発生する作用をさらに向上することができ、得られる発泡体の成形性、生産性および断熱性能がさらに向上する。
【0053】
これらの吸水性物質は、熱可塑性樹脂に対して相溶性のない水を吸水してゲルを形成し、ゲルの状態で熱可塑性樹脂中に均一に分散させることができると考えられることから、使用される。
【0054】
本発明の発泡積層体を構成する発泡層を製造する際に用いられる吸水性物質の添加量は、水の添加量などによって、適宜調整されるものであるが、一般に、熱可塑性樹脂100重量部に対して、好ましくは0.2〜10重量部、さらに好ましくは0.3〜8重量部、特に好ましくは0.5〜7重量部である。吸水性物質の添加量が0.2〜10重量部の場合、押出機内で水が良好に分散され、気泡ムラ、ボイドの発生の無い良好なセル構造を有する発泡層が得られ、バラツキのない良好な断熱性能を有する発泡積層体が得られる。
【0055】
本発明の発泡積層体を構成する発泡層を製造する際に用いられる層状珪酸塩とは、酸化ケイ素を主成分とする四面体シートと、金属水酸化物を主成分とする八面体シートからなり、前記四面体シートと前記八面体シートが単位層を形成し、単位層単独構造の、または複数の単位層が層間に陽イオンなどを介して積層された構造の一次粒子、および、一次粒子の凝集体(二次粒子)として存在するものである。層状珪酸塩の具体例としては、例えば、スメクタイト族粘土および膨潤性雲母などがあげられる。
【0056】
前記のスメクタイト族粘土は下記一般式(I)
0.2〜0.62〜310(OH)・nHO・・・・・・一般式(I)
(ただし、XはK、Na、1/2Ca、および1/2Mgからなる群より選ばれる1種以上であり、YはMg、Fe、Mn、Ni、Zn、Li、Al、およびCrからなる群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、およびAlからなる群より選ばれる1種以上である。なお、HOは層間イオンと結合している水分子を表すが、nは層間イオンおよび相対湿度に応じて著しく変動する)で表される、天然または合成されたものである。
【0057】
前記スメクタイト族粘土の具体例としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトおよびベントナイト等、またはこれらの置換体、誘導体、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0058】
また、前記の膨潤性雲母は下記一般式(II)
0.5〜1.02〜3(Z10)(F、OH)・・・・・・一般式(II)
(ただし、XはLi、Na、K、Rb、Ca、Ba、およびSrからなる群より選ばれる1種以上であり、YはMg、Fe、Ni、Mn、Al、およびLiからなる群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、Ge、Al、Fe、およびBからなる群より選ばれる1種以上である)で表される、天然または合成されたものである。
【0059】
これらは、水、水と任意の割合で相溶する極性のある有機化合物、および水と該極性のある有機化合物の混合溶媒中で膨潤する性質を有する物であり、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、およびナトリウム型四ケイ素雲母等、またはこれらの置換体、誘導体、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0060】
前記膨潤性雲母の中にはバーミキュライト類と似通った構造を有するものもあり、この様なバーミキュライト類相当品等も使用し得る。該バーミキュライト類相当品には3八面体型と2八面体型があり、下記一般式(III)
(Mg,Fe,Al)2〜3(Si4−xAl)O10(OH)・(M,M2+1/2)・nHO・・・・・・一般式(III)
(ただし、MはNaおよびMg等のアルカリまたはアルカリ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=3.5〜5である)で表されるものがあげられる。
【0061】
膨潤性層状珪酸塩は単独で用いても良く、2種以上組み合わせて使用しても良い。これらの内では、得られる発泡体中の分散性の点などからスメクタイト族粘土、膨潤性雲母が好ましく、さらに好ましくは、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、合成スメクタイトおよび膨潤性フッ素雲母などの層間にナトリウムイオンを有する膨潤性雲母が好ましい。
【0062】
ベントナイトの代表例としては、天然ベントナイト、精製ベントナイトなどがあげられる。また、有機化ベントナイトなども使用できる。本発明におけるスメクタイトには、アニオン系ポリマー変性モンモリロナイト、シラン処理モンモリロナイト、高極性有機溶剤複合モンモリロナイトなどのモンモリロナイト変性処理生成物もその範疇に含まれる。
【0063】
ベントナイトなどのスメクタイトの含有量は、水の添加量などによって、適宜調整されるものであるが、熱可塑性樹脂100重量部に対して、好ましくは0.2〜10重量部、さらに好ましくは0.3〜8重量部、特に好ましくは、0.5〜7重量部、最も好ましくは1〜5重量部である。スメクタイトの含有量が0.2重量部未満では水の圧入量に対してスメクタイトによる水の吸着量が不足し、押出機内で水の分散不良による気孔が発生し成形体不良になる傾向がある。一方、10重量部を超える場合には、熱可塑性樹脂中に存在する無機物粉体の量が過剰になるため、熱可塑性樹脂中への均一分散が困難になり、気泡むらが発生する傾向にある。さらには、独立気泡を保持することが困難となる傾向にある。したがって、発泡体の断熱性能の悪化とバラツキを生じ易くなる。水/スメクタイト(ベントナイト)の混合比率は重量比で、好ましくは0.02〜20、さらに好ましくは0.1〜10、特に好ましくは0.15〜5、最も好ましくは0.25〜2の範囲が理想的である。
【0064】
本発明の発泡積層体を構成する熱可塑性樹脂からなる発泡層における平均気泡径は、0.05〜1mmが好ましく、0.06〜0.6mmがさらに好ましく、0.08〜0.4mmが特に好ましい。
【0065】
また、発泡剤として水を併用する場合、発泡体中に、気泡径が概ね0.25mm以下の比較的気泡径の小さい気泡(小気泡)と、気泡径が概ね0.3mm〜1mm程度の比較的気泡径の大きな気泡(大気泡)が海島状に混在する特徴的な気泡構造を有する発泡層が得られ、この気泡構造は。得られる発泡積層体の断熱性能向上に寄与するため、発泡剤として水を併用することが好ましい。
【0066】
さらに、気泡径0.25mm以下の小気泡および気泡径0.3〜1mmの大気泡が混在してなる特定の気泡構造の発泡層においては、発泡体断面積あたりに占める小気泡の面積の割合(単位断面積あたりの占有面積率)(以下、小気泡面積率という)は、5〜98%が好ましく、さらに好ましくは10〜90%、特に好ましくは20〜80%、最も好ましくは25〜70%である。小気泡面積率が5〜98%の範囲では、断熱性能に優れ、且つ、発泡体厚みの調整が可能な成形性に優れた発泡層が得られる。
【0067】
本発明の発泡積層体を構成する熱可塑性樹脂からなる発泡層の密度は、前記したように500kg/m以下であるが、より軽量でかつ優れた断熱性を付与するため20〜50kg/mであることが好ましく、25〜35kg/mであることがより好ましい。密度が20〜50kg/mの範囲では、軽量性と断熱性を備えた発泡積層体が得られる。
【0068】
本発明の発泡積層体を構成する発泡層の製造時において、必要に応じて難燃剤、難燃助剤、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を添加させることが好ましい。
【0069】
また、より安定的に押出発泡するためには、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスフェート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイトなどのヒンダードフェノール系抗酸化剤、トリフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビスステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイトなどのリン系安定剤、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどのアミン系安定剤、3,3−チオビスプロピオン酸ジオデシルエステル、3,3’−チオビスプロピオン酸ジオクタデシルエステルなどのイオウ系安定剤を添加するのが好ましい。
【0070】
本発明の発泡積層体を構成する熱可塑性樹脂からなる発泡層は、押出発泡成形により製造されるのが好ましい。
押出発泡成形の成形方法としては、例えば、
(i)熱可塑性樹脂に、必要に応じて前記添加剤を混合した後、加熱溶融する、
(ii)熱可塑性樹脂に、必要に応じて前記添加剤から選ばれる1種以上を混合した後、加熱溶融し、これに残りの前記添加剤をそのまま、または必要により液体化または溶融させて添加し加熱混合する、
(iii)予め熱可塑性樹脂に、必要に応じて前記添加剤からから選ばれる1種以上の添加剤を混合した後、加熱溶融した組成物を準備し、次いで、該組成物と残りの前記添加剤、必要に応じて熱可塑性樹脂を改めて混合し、押出機に供給して加熱溶融する、
など、熱可塑性樹脂、必要に応じて前記添加剤を押出機等の加熱溶融手段に供給し、その後、任意の段階において高圧条件下で発泡剤を熱可塑性樹脂に添加し、流動ゲルとなし、押出発泡に適する温度に冷却し、該流動ゲルを、ダイを通して低圧領域に押出発泡して、発泡層を形成することにより製造することができるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
熱可塑性樹脂と発泡剤などの添加剤を加熱溶融混練する際の加熱温度、溶融混練時間および溶融混練手段については特に制限するものではない。加熱温度は、使用する熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよいが、難燃剤などの影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度、例えば150〜280℃程度が好ましい。溶融混練時間は、単位時間あたりの押出量、溶融混練手段などによって異なるので一概には決定することができないが、熱可塑性樹脂と発泡剤が均一に分散混合するのに要する時間が適宜選ばれる。また溶融混練手段としては、例えばスクリュー型の押出機などがあげられるが、通常の押出発泡に用いられているものであれば特に限定はない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるため、スクリュー形状については、低剪断タイプのスクリュー形状を用いる方が好ましい。
【0072】
また、発泡成形方法も特に制限されないが、例えば、スリットダイより圧力開放して得られた発泡体をスリットダイと密着または接して設置した成形金型および成形ロールなどを用いて、断面積の大きい板状発泡体を成形する一般的な方法を用いることができる。
【0073】
本発明の発泡積層体を構成する発泡層の厚みは、発泡積層体の厚みおよび発泡積層体中の非発泡層の数(発泡層/非発泡層/発泡層からなるユニットの数)に応じて適宜選択される。
【0074】
本発明の発泡積層体を構成する非発泡層の構造は、非発泡層中に輻射抑制材を含む限りにおいて、特に限定されず、単層、複層のいずれの構造も採りうる。また、その厚みは、発泡積層体の厚みおよび発泡積層体中の非発泡層の数(発泡層/非発泡層/発泡層からなるユニットの数)に応じて適宜選択されるが、1〜1000μmが好ましく、2〜500μmがより好ましく、3〜300μmが特に好ましく、5〜100μmが最も好ましい。非発泡層の厚みが1〜1000μmの範囲では、軽量性と断熱性を備えた発泡積層体が得られる。
【0075】
本発明の発泡積層体の製造方法、特に発泡層と非発泡層との積層方法については、特に限定はなく、例えば、最外面(発泡層との被着面)に粘着性・接着性を有する(または粘着性・接着性を付与した)非発泡層を予めフィルム状またはシート状に成形し、これを予め成形された発泡層で挟み込み圧着する方法;非発泡層の構成樹脂を、押出機を用いて溶融混練し、溶融された非発泡層の構成樹脂を、予め成形された発泡層で挟み込み圧着する方法;予め成形された非発泡層と発泡層を用い、非発泡層を発泡層で挟み込んだ後、加熱圧着する方法;非発泡層と発泡層の構成樹脂を各々異なる押出機を用いて溶融混練し、各々溶融樹脂を多層状に合流させ積層した後に発泡成形する方法;等が挙げられる。
【0076】
これらの中でも、生産性に優れること、得られる発泡積層体の品質が安定すること等から、粘・接着性を有する非発泡層を予めフィルム状またはシート状に成形し、これを予め成形された発泡層で挟み込み圧着する方法、非発泡層と発泡層の構成樹脂を各々異なる押出機を用いて溶融混練し、各々の溶融樹脂を多層状に合流させ積層した後に発泡成形する方法が好ましい。
【0077】
粘接着剤を有する非発泡層を発泡層間に挟み込み圧着する方法としては、特に限定されず、プレス機を用いて、常温または加熱プレスする方法;複数のロール間で圧着する方法;手で押圧する方法などがあげられる。
【0078】
非発泡層と発泡層の構成樹脂を各々異なる押出機を用いて溶融混練し、各々の溶融樹脂を多層状に合流させ積層する方法としては、特に限定されず、例えば、特開平4−278323号公報等に記載の複数の層からなる積層流を作った後、分割・積層を繰り返す方法、特表2005−523831号公報、特開2004−249520号公報、等に記載の複数の分割流を作った後、逐次積層する方法が挙げられる。
【0079】
本発明の発泡積層体の構造としては、発泡積層体の厚み方向に発泡層/非発泡層/発泡層からなる構造を少なくとも1個有することが必要であり、発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の如く、発泡層/非発泡層/発泡層からなる構造を複数個有することが好ましく、3個以上有することがより好ましく、5個以上有することが更に好ましく、7層以上有することが特に好ましく、10層以上有することが最も好ましい。発泡積層体の厚み方向に熱線輻射抑制材を含む非発泡層を複数枚設けることにより、1枚の非発泡層(熱線輻射抑制材)では得られない優れた熱伝導率の低減効果が発現するできる。
【0080】
本発明の発泡積層体の厚みは、特に限定されず、用途に応じて適宜選択される。例えば、建材などに使用される断熱材用途の場合、好ましい断熱性、曲げ強度および圧縮強度を付与するためには、シートのような薄いものよりも、通常の板状物のような厚さのあるものが好ましく、通常10〜150mm、好ましくは20〜100mmである。
【0081】
本発明の発泡積層体の平均温度20℃での等価熱伝導率は、0.034W/m・K(0.0292kcal/m・hr・℃)以下が好ましく、0.032W/m・K(0.0275kcal/m・hr・℃)以下がより好ましく、0.030W/m・K(0.0258kcal/m・hr・℃)以下が特に好ましい。
【0082】
等価熱伝導率が0.034W/m・K以下の場合、発泡積層体は建築用部材用途として好適に使用され、快適な居住空間の提供に貢献する。
【0083】
本発明の発泡積層体は、その優れた軽量性、断熱性の点から、種々の用途、例えば、床材、壁材、屋根材などの建築用部材、保冷車用断熱材、車両バンパー、自動車天井材などの自動車用部材、地盤の凍上防止剤などの土木用部材などに好適に使用できる。
【実施例】
【0084】
つぎに本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、「%」は重量%を表わす。
【0085】
実施例および比較例に対する評価方法は、以下のとおりである。
【0086】
(1)発泡体寸法(単位:mm)
厚さ:異なる時間にサンプルングした3つの発泡体について、幅方向(押出方向と直交する水平方向)における中央の厚さを測定し、平均値を算出した。
幅:異なる時間にサンプルングした3つの発泡体について、厚み方向における中央の幅を測定し、平均値を算出した。
【0087】
(2)発泡体の密度(単位:kg/m
得られた樹脂押出発泡体を、幅方向(押出方向に直交する水平方向)における全幅および全厚みで、試験片の体積が50cm以上となるように直方体形状に切り出して試験片とした。この試験片について、JIS K7222−1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」に記載の方法に準じて、発泡体密度を測定した。
【0088】
(3)熱伝導率(単位:W/mK)
作製後30日経過した樹脂押出発泡体の熱伝導率を、JIS A9511(1995)に準じて、20℃にて測定した。
【0089】
(製造例1)
ポリスチレン(PSジャパン株式会社製、商品名:G9401、MFR=2.5g/10分)100重量部に対して、タルク(林化成株式会社製、商品名:TALCAN PAWDER PK−Z)0.2重量部、ハロゲン系難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカン(アルベマール・コーポレーション製、商品名:SAYTEX HP−900)4重量部、ステアリン酸バリウム(堺化学工業株式会社製、商品名:ステアリン酸バリウム)0.5重量部、安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商品名:IRGANOX B911[ヒンダードフェノール系抗酸化剤IRGANOX1076:オクタデシル−3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとリン系安定剤IRGAFOS168:トリス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトの1:1の混合物])0.3重量部、流動パラフィン(新日本石油株式会社製、商品名:ポリブテンLV−50)0.2重量部からなる混合物をドライブレンドしてスチレン系樹脂組成物とした。
該スチレン系樹脂組成物を口径65mmの第1押出機と口径90mmの第2押出機とを直列に連結した二段式押出機へ50kg/時間で供給した。第1押出機に供給したスチレン系樹脂組成物を、200℃に加熱して混練し、第1押出機の先端付近(第2押出機に接続される側)において、発泡剤として、ポリスチレン系樹脂組成物100重量%に対して、i−ブタン(三井化学株式会社製)4重量%、ジメチルエーテル(三井化学株式会社)2.0重量%を溶融されたスチレン系樹脂組成物に圧入した。この際、第1押出機の先端における樹脂圧は8〜19MPaであり、これに対して発泡剤の圧入圧力は+0.5〜3MPaに設定した。第1押出機に連結された第2押出機において、樹脂温度を120℃に冷却し、第2押出機の先端に設けられた厚さ方向1.2mm、幅方向50mmの長方形断面の空隙を有したダイリップより、スチレン系樹脂組成物を大気中へ押し出し、厚み25mm、幅200mmの直方体状の発泡体を得た。ダイリップは、85℃に温度設定した。
得られた発泡体を両側面から幅方向に20mmまでの部分を切除して幅160mmとし、30日養生後に評価を行った。
30日養生後の押出発泡体の発泡体の密度は33kg/mであり、熱伝導率が0.032W/mKであった。
【0090】
(製造例2)
ポリスチレン(PSジャパン株式会社製、商品名:680、MFR=7.0g/10分)100重量部に対して、タルク(林化成株式会社製、商品名:TALCAN PAWDER PK−Z)0.1重量部、ステアリン酸カルシウム(堺化学工業株式会社製、商品名:ステアリン酸カルシウム)0.3重量部、ベントナイト(豊順鉱業株式会社製、商品名:ベントナイトL)1.0重量部、アエロジル(日本アエロジル株式会社製、商品名:AEROSIL)0.1重量部、流動パラフィン(新日本石油株式会社製、商品名:ポリブテンLV−50)0.2重量部からなる混合物をドライブレンドしてスチレン系樹脂組成物とした。
該スチレン系樹脂組成物を、口径65mmの第1押出機と口径90mmの第2押出機とを直列に連結した二段式押出機へ45kg/時間で供給した。第1押出機に供給したスチレン系樹脂組成物を、200℃に加熱して溶融混練を行い、第1押出機の先端付近(第2押出機に接続される側)において、発泡剤として、ポリスチレン系樹脂組成物100重量%に対して、i−ブタン(三井化学株式会社製)4.0重量%、ジメチルエーテル(大洋液化ガス株式会社)2.0重量%、水 0.6重量%を溶融されたスチレン系樹脂組成物に圧入した。この際、第1押出機の先端における樹脂圧は8〜15MPaであり、これに対して発泡剤の圧入圧力は+0.5〜3MPaに設定した。
第1押出機に連結された第2押出機において、樹脂温度を122℃に冷却し、第2押出機の先端に設けられた厚さ方向1.2mm、幅方向50mmの長方形断面の空隙を有したダイリップより、スチレン系樹脂組成物を大気中へ押し出し、厚み28mm、幅220mmの直方体状の発泡体を得た。ダイリップは、85℃に温度設定した。
得られた発泡体を両端から幅方向に20mmまでの部分を切除して幅180mmとし、また、厚み方向の両端から2mmまでの部分を削除して厚み24mmとして、厚み方向に6分割(各層の厚み2.0mm)にスライスして30日養生後に評価を行った。
30日養生後の押出発泡体スライス品の発泡体密度は32kg/mであり、スライス品を12枚重ねたものの熱伝導率は0.0333W/mKであった。
【0091】
(実施例1)
厚み12μmのアルミ箔(東洋アルミ)の両面に、粘着剤層としてアクリル系エマルジョン(日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブラン7000R)を各々24μm塗布した後、恒温槽中100℃で1時間乾燥させて、非発泡層1を得た。得られた非発泡層1は、粘着剤層(14μm)/アルミ箔(12μm)/粘着剤層(14μm)の構造であった。
非発泡層1を、製造例1で得られた発泡体を厚み方向に2分割した発泡層(12.5mm)2枚の間に、図1のように挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)して、サンプルを得た。得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表1および表3に示す。
【0092】
(実施例2)
厚み55μmの熱線反射フィルム(NI帝人株式会社製、商品名:レフテルZC05G[PETフィルム(30μm)の一方の面に粘着剤層(25μm)、他方の面にハードコート層で被覆された銀系の膜を積層した4層構造のフィルム])のハードコート層上に、粘着剤層としてアクリル系エマルジョン(日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブラン7000R)を各々24μm塗布した後、恒温槽中100℃で1時間乾燥させ、非発泡層2を得た。得られた非発泡層2のアクリル系粘着剤層の厚みは14μmであった。
非発泡層2を、製造例1で得られた発泡体を厚み方向に2分割した発泡層(12.5mm)2枚の間に、図1のように挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表1に示す。
【0093】
(実施例3)
厚み62μmの熱線吸収フィルム(住友大阪セメント株式会社製、商品名:レイバリアレフテルTFI3836A[PETフィルム(30μm)の一方の面に粘着剤層(30μm)、他方の面に酸化アンチモンを含むハードコート層(2μm)を積層した3層構造のフィルム])のハードコート層上に粘着剤層としてアクリル系エマルジョン(日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブラン7000R)を各々24μm塗布した後、恒温槽中100℃で1時間乾燥させ、非発泡層3を得た。得られた非発泡層3のアクリル系粘着剤層の厚みは14μmであった。
非発泡層3を、製造例1で得られた発泡体を厚み方向に2分割した発泡層(12.5mm)2枚の間に、図1のように挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入して圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表1に示す。
【0094】
(比較例1)
厚み20μmのポリスチレンフィルム(旭化成ライフ&リビング製、商品名:OPSフィルム[GPPSの2軸延伸フィルム])の両面に、粘着剤層としてアクリル系エマルジョン(日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブラン7000R)を各々24μm塗布した後、恒温槽中100℃で1時間乾燥させて非発泡層4を得た。得られた非発泡層4は、粘着剤層(14μm)/OPSフィルム(20μm)/粘着剤層(14μm)の構造であった。
非発泡層4を、製造例1で得られた発泡体を厚み方向に2分割した発泡層(12.5mm)2枚の間に、図1のように挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入してプレス機を用いて圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表1に示す。
【0095】
(比較例2)
製造例1で得られた発泡体を厚み方向に2分割した。得られた発泡層(12.5mm)を2枚重ね、熱伝導率を測定した。熱伝導率測定結果を、表1および表3に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
(実施例4)
厚み20μmのポリスチレンフィルム(旭化成ライフ&リビング製、商品名:OPSフィルム[GPPSの2軸延伸フィルム])の両面に、アクリル系エマルジョン(日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブラン7000R 固形分60%)100重量部中にアルミペースト(昭和アルミパウダー株式会社製 商品名:561SW(粒子径16μm 固形分72%))を8.3重量部添加し、均一分散させたものを各々44μm塗布した後、恒温槽中100℃で1時間乾燥させ、非発泡層5を得た。得られた非発泡層5はアルミペースト10%添加粘着剤層(28μm)/OPSフィルム(20μm)/アルミペースト10%添加粘着剤層(28μm)の構造であった。
非発泡層5を、図2のように製造例2で得られた発泡体スライス(厚み2.0mm)を12枚重ねたサンプルの上側より6枚目と7枚目の間に挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。
得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表2および表3に示す。
【0098】
(実施例5)
厚み20μmのポリスチレンフィルム(旭化成ライフ&リビング製、商品名:OPSフィルム[GPPSの2軸延伸フィルム])の両面に、アクリル系エマルジョン(日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブラン7000R 固形分60%)100重量部中にアルミペースト(昭和アルミパウダー株式会社製 商品名:770SW(粒子径40μm 固形分81%))を7.4重量部添加し、均一分散させたものを各々44μm塗布した後、恒温槽中100℃で1時間乾燥させ、非発泡層6を得た。得られた非発泡層6は、アルミペースト10%添加粘着剤層(30μm)/OPSフィルム(20μm)/アルミペースト10%添加粘着剤層(30μm)の構造であった。
非発泡層6を、図2のように、製造例2で得られた発泡体スライス(厚み2.0mm)を12枚重ねたサンプルの上側より6枚目と7枚目の間に挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表2に示す。
【0099】
(実施例6)
厚み20μmのポリスチレンフィルム(旭化成ライフ&リビング製、商品名:OPSフィルム[GPPSの2軸延伸フィルム])の両面に、アクリル系エマルジョン(日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブラン7000R 固形分60%)100重量部中にカーボングラファイト(伊藤黒鉛工業株式会社製 商品名:X−10(鱗片状黒鉛 平均粒径10μm 固形分98.6%)を6.1重量部添加し、均一分散させたものを各々44μm塗布した後、恒温槽中100℃で1時間乾燥させ非発泡層7を得た。得られた非発泡層7はカーボングラファイト10%添加粘着剤層(29μm)/OPSフィルム(20μm)/カーボングラファイト10%添加粘着剤層(29μm)の構造であった。
非発泡層7を、図2のように、製造例2で得られた発泡体スライス(厚み2.0mm)を12枚重ねたサンプルの上側より6枚目と7枚目の間に挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)して、サンプルを得た。得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表2および表4に示す。
【0100】
(実施例7)
厚み20μmのポリスチレンフィルム(旭化成ライフ&リビング製、商品名:OPSフィルム[GPPSの2軸延伸フィルム])の両面に、アクリル系エマルジョン(日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブラン7000R 固形分60%)100重量部中にカーボングラファイト(伊藤黒鉛工業株式会社製 商品名:AGB−5(人造黒鉛 平均粒径5.6μm 固形分98.6%)を6.1重量部添加し、均一分散させたものを各々44μm塗布した後、恒温槽中100℃で1時間乾燥させ、非発泡層8を得た。得られた非発泡層8は、カーボングラファイト10%添加粘着剤層(30μm)/OPSフィルム(20μm)/カーボングラファイト10%添加粘着剤層(30μm)の構造であった。
発泡層8を、図2のように、製造例2で得られた発泡体スライス(厚み2.0mm)を12枚重ねたサンプルの上側より6枚目と7枚目の間に挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。
得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表2に示す。
【0101】
(実施例8)
厚み20μmのポリスチレンフィルム(旭化成ライフ&リビング製、商品名:OPSフィルム[GPPSの2軸延伸フィルム])の両面に、アクリル系エマルジョン(日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブラン7000R 固形分60%)100重量部中に酸化チタン(石原産業株式会社製 商品名:タイペーク CR−50(粒子径0.25μm)を6.0重量部添加し、均一分散させたものを各々44μm塗布した後、恒温槽中100℃で1時間乾燥させ、非発泡層9を得た。得られた非発泡層9は酸化チタン10%添加粘着剤層(29μm)/OPSフィルム(20μm)/酸化チタン10%添加粘着剤層(29μm)の構造であった。
非発泡層9を、図2のように、製造例2で得られた発泡体スライス(厚み2.0mm)を12枚重ねたサンプルの上側より6枚目と7枚目の間に挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。
得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表2に示す。
【0102】
(実施例9)
厚み20μmのポリスチレンフィルム(旭化成ライフ&リビング製、商品名:OPSフィルム[GPPSの2軸延伸フィルム])の両面に、アクリル系エマルジョン(日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブラン7000R 固形分60%)100重量部中に硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製 商品名:バリエース B−35(粒子径0.3μm)を6.0重量部添加し、均一分散させたものを各々44μm塗布した後、恒温槽中100℃で1時間乾燥させ、非発泡層10を得た。得られた非発泡層10は、硫酸バリウム10%添加粘着剤層(29μm)/OPSフィルム(20μm)/硫酸バリウム10%添加粘着剤層(29μm)の構造であった。
非発泡層10を、図2のように、製造例2で得られた発泡体スライス(厚み2.0mm)を12枚重ねたサンプルの上側より6枚目と7枚目の間に挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。
得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表2に示す。
【0103】
(比較例3)
製造例2で得られた発泡体スライス(厚み2.0mm)12枚を重ねたサンプルを2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。
得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表2および表4に示す。
【0104】
【表2】

【0105】
(実施例10)
実施例1と同様な方法により、非発泡層1を2枚作製した。2枚の非発泡層1を、製造例1で得られた発泡体を厚み方向に3分割した発泡層(8.3mm)枚の間に、図3のように挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入してプレス機を用いて圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。
得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表3に示す。
【0106】
(実施例11)
実施例1と同様な方法により、非発泡層1を3枚作製した。図4のように、3枚の非発泡層1を、製造例1で得られた発泡体を厚み方向に4分割した発泡層(6.3mm)枚の間に挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入してプレス機を用いて圧着(圧力約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。
得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表3に示す。
【0107】
(実施例12)
実施例1と同様な方法で非発泡層1を4枚作製した。図5のように、4枚の非発泡層1を、製造例1で得られた発泡体を厚み方向に5分割した発泡層(5.0mm)枚の間に挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入してプレス機を用いて圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。
得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表3に示す。
【0108】
(比較例4)
製造例1で得られた発泡体を厚み方向に3分割した。得られた発泡層(8.3mm)を3枚重ね、熱伝導率を測定した。熱伝導率測定結果を、表3に示す。
【0109】
(比較例5)
製造例1で得られた発泡体を厚み方向に4分割した。得られた発泡層(6.3mm)を4枚重ね、熱伝導率を測定した。熱伝導率測定結果を表3に示す。
【0110】
(比較例6)
製造例1で得られた発泡体を厚み方向に5分割した。得られた発泡層(5.0mm)を5枚重ね、熱伝導率を測定した。熱伝導率測定結果を表3に示す。
【0111】
【表3】

【0112】
(実施例13)
実施例4と同様な方法により、非発泡層5を2枚作製した。非発泡層5を、図6のように、製造例2で得られた発泡体スライス(厚み2.0mm)を12枚重ねたサンプルの上側より4枚目と5枚目の間および8枚目と9枚目の間に挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。
得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表4に示す。
【0113】
(実施例14)
実施例4と同様な方法により、非発泡層5を3枚作製した。非発泡層5を、図7のように、製造例2で得られた発泡体スライス(厚み2.0mm)を12枚重ねたサンプルの上側より3枚目と4枚目の間、6枚目と7枚目の間、および9枚目と10枚目の間に挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。
得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表4に示す。
【0114】
(実施例15)
実施例4と同様な方法により、非発泡層5を5枚作製した。非発泡層5を、図8のように、製造例2で得られた発泡体スライス(厚み2.0mm)を12枚重ねたサンプルの上側より2枚目と3枚目の間、4枚目と5枚目の間、6枚目と7枚目の間、および、8枚目と9枚目の間に挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。
得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表4に示す。
【0115】
(実施例16)
実施例4と同様な方法により、非発泡層5を11枚作製した。 非発泡層5を、図9のように、製造例2で得られた発泡体スライス(厚み2.0mm)を12枚重ねたサンプルの各発泡層の間に挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。
得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表4に示す。
【0116】
(実施例17)
実施例6と同様な方法により、非発泡層7を2枚作製した。非発泡層7を、図6のように、製造例2で得られた発泡体スライス(厚み2.0mm)を12枚重ねたサンプルの上側より4枚目と5枚目の間および8枚目と9枚目の間に挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。
得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表4に示す。
【0117】
(実施例18)
実施例6と同様な方法により、非発泡層7を3枚作製した。非発泡層7を、図7のように、製造例2で得られた発泡体スライス(厚み2.0mm)を12枚重ねたサンプルの上側より3枚目と4枚目の間、6枚目と7枚目の間、および9枚目と10枚目の間に挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。
得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表4に示す。
【0118】
(実施例19)
実施例6と同様な方法により非発泡層7を5枚作製した。非発泡層7を、図8のように、製造例2で得られた発泡体スライス(厚み2.0mm)を12枚重ねたサンプルの上側より2枚目と3枚目の間、4枚目と5枚目の間、6枚目と7枚目の間、および、8枚目と9枚目の間に挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。
得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表4に示す。
【0119】
(実施例20)
実施例6と同様な方法により、非発泡層7を11枚作製した。非発泡層7を、図9のように、製造例2で得られた発泡体スライス(厚み2.0mm)を12枚重ねたサンプルの各発泡層の間に挟み込み、2枚の鉄板(6mm厚)の間に挿入し圧着(圧力:約0.1〜0.2MPa)してサンプルを得た。
得られたサンプルの熱伝導率測定結果を、表4に示す。
【0120】
【表4】

【0121】
表1および2の結果から、2枚の発泡層に熱線輻射抑制材を含む非発泡層を挟み込むことによって、熱伝導率が低減し、断熱性能が改善されることが判る。また、表3および4の結果から、発泡層/熱線輻射抑制材を含む非発泡層/発泡層の繰り返し単位が多くなるに従って、熱伝導率が低減し、断熱性能がより改善されることが判る。
【符号の説明】
【0122】
1 発泡層
2 非発泡層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に発泡層が非発泡層を介して積層されてなる構造を、少なくとも1個有する発泡積層体であって、該非発泡層中に熱線輻射抑制材を含むことを特徴とする、発泡積層体。
【請求項2】
厚み方向に発泡層が非発泡層を介して積層された構造を、複数個有すること特徴とする、請求項1記載の発泡積層体。
【請求項3】
前記熱線輻射抑制材が、熱線反射材および/または熱線吸収材であることを特徴とする、請求項1または2に記載の発泡積層体。
【請求項4】
前記熱線反射材が、カーボングラファイト、アルミニウム系化合物、マグネシウム系化合物、銀系化合物およびチタン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項3記載の発泡積層体。
【請求項5】
前記熱線反射材がアルミニウム箔であることを特徴とする、請求項3または4に記載の発泡積層体。
【請求項6】
前記熱線反射材がアルミニウムペーストを含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の発泡積層体。
【請求項7】
前記熱線反射材がカーボングラファイトを含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の発泡積層体。
【請求項8】
前記熱線反射材が酸化チタンを含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の発泡積層体。
【請求項9】
前記熱線吸収材がカーボンブラック、金属硫酸塩、アンチモン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項3記載の発泡積層体。
【請求項10】
前記熱線吸収材がカーボンブラックを含むことを特徴とする、請求項3または9に記載の発泡積層体。
【請求項11】
前記熱線吸収材が酸化アンチモンを含むことを特徴とする、請求項3または9に記載の発泡積層体。
【請求項12】
前記熱線吸収材が硫酸バリウムを含むことを特徴とする、請求項3または9に記載の発泡積層体。
【請求項13】
発泡層を構成する樹脂が、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、フェノール系樹脂およびポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の発泡積層体。
【請求項14】
発泡層を構成する樹脂がポリスチレン系樹脂であることを特徴とする、請求項13に記載の発泡積層体。
【請求項15】
20℃における熱伝導率が0.034W/m・K以下であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の発泡積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−234261(P2009−234261A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52971(P2009−52971)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構革新的ノンフロン系断熱材技術開発プロジェクト委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】