説明

断路器の動作確認装置

【課題】 磁気近接スイッチの動作範囲を縮小して断路器の開閉位置の検出精度を向上できるようにした断路器の動作確認装置を提供する。
【解決手段】 断路器1の主軸2の下部に回転盤8を水平に固着し、回転盤8の下面の両端部に開路用磁気端子9と閉路用磁気端子10を取り付け、断路器1が開及び閉の状態における開路用磁気端子9及び閉路用磁気端子10の直下位置に開路用磁気近接スイッチ12と閉路用磁気近接スイッチ13を取付ステー11で架台3に取り付ける。開路用磁気端子9は保護ケースに動作確認用磁石とインターロック用磁石を隣接するとともに動作確認用磁石とインターロック用磁石の後部に鉄片を取り付けて封止する。開路用磁気近接スイッチ12は保護ケースに動作確認用スイッチとインターロック用スイッチを隣接して封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気近接スイッチを用いて断路器の開閉動作を確認する断路器の動作確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の動作確認装置としては、機械式のリミットスイッチを用いた構造が知られている。この技術は、送電路の断路器を回動させる主軸の下部に回転盤を固着し、同回転盤に2個の位置検出装置を取り付け、断路器が開及び閉の状態における位置を検出することで開閉状態を確認できるようにしている。
【0003】
ところで、前記技術では、過酷な環境により機械的な部分の錆の発生やスプリング応力の減衰により、開閉位置の検出精度が徐々に低下し、信頼性に満足できるものではなかった。一方、磁気近接スイッチを用いた非接触式の動作確認装置も知られている。しかし、磁気近接スイッチは磁界が比較的広いから、断路器が開又は閉の状態の位置に回動完了する前に動作確認装置が作動することがあり、検出精度に満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−324464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、磁気近接スイッチの動作範囲を縮小して断路器の開閉位置の検出精度を向上できるようにした断路器の動作確認装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 送電路の断路器を回動させる主軸の下部に回転盤を固着し、同回転盤に2体の磁石を所定間隔おいて取り付け、断路器が開及び閉の状態における各磁石の直近位置に磁気近接スイッチをそれぞれ設け、磁気近接スイッチが近接した磁石の磁気を検出することで断路器の開閉状態を確認できるようにした断路器の動作確認装置において、前記各磁石の後部に鉄片を取り付け、磁気近接スイッチの動作範囲を縮小して開閉位置の精度を高めるようにしたことを特徴とする、断路器の動作確認装置
2) 磁石及び磁気近接スイッチをそれぞれ保護ケースに収容して封止した、前記1)記載の断路器の動作確認装置
3) 開路用の磁石及び磁気近接スイッチを2体づつ近接して設け、一方の磁石及び磁気近接スイッチを動作確認用とし、他方の磁石及び磁気近接スイッチを開路状態を保持するためのインターロック用とし、磁石同士及び磁気近接スイッチ同士をそれぞれ保護ケースに収容して一体的に封止した、前記1)又は2)記載の断路器の動作確認装置
4) 断路器が開及び閉の状態において、上下の保護ケースの側面に印となる縦長のラインを直線状に一致するように表示した、前記1)〜3)いずれか記載の断路器の動作確認装置
にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、磁気近接スイッチと対向する側の磁石の磁界が鉄片で狭幅となるから、磁気近接スイッチの動作範囲が縮小し、磁気近接スイッチに磁石がほぼ同一線上に近接しないと検出しないようになり、断路器の開閉位置の検出精度が向上する。また、インターロック用の磁石を隣接する際は、磁気近接スイッチの動作範囲が狭いから直近位置に隣設でき、装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例の断路器の外観図である。
【図2】実施例の動作確認装置の正面図である。
【図3】実施例の磁気端子と磁気近接スイッチの説明図である。
【図4】実施例の動作確認装置の動作を示す説明図である。
【図5】実施例と従来例の磁気近接スイッチの検出範囲を示す比較図である。
【図6】実施例の他の例の動作確認装置の正面図である。
【図7】実施例の他の例の動作確認装置の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明では、磁石及び磁気近接スイッチをそれぞれ保護ケースに収容して封止すると、断路器への取り付けが容易となり、耐久性・耐水性も優れるものとなる。断路器が開及び閉の状態において、上下の保護ケースの側面に印となる縦長のラインを直線状に一致するように表示すると、開閉状態を目視で容易に確認できる。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例】
【0010】
図1は実施例の断路器の外観図、図2は実施例の動作確認装置の正面図、図3は実施例の磁気端子と磁気近接スイッチの説明図、図4は実施例の動作確認装置の動作を示す説明図、図5は実施例と従来例の磁気近接スイッチの検出範囲を示す比較図である。
【0011】
図中、1は断路器、2は主軸、3は架台、4は接触子、5は固定接触子、6は碍子、7は動作確認装置、8は回転盤、9は開路用磁気端子、9aは動作確認用磁石、9bはインターロック用磁石、9cは鉄片、9dはナット、9eは保護ケース、10は閉路用磁気端子、10aはライン、11は取付ステー、12は開路用磁気近接スイッチ、12aは動作確認用スイッチ、12bはインターロック用スイッチ、12cは保護ケース、12dはライン、13は閉路用磁気近接スイッチ、13aはラインである。
【0012】
本実施例の動作確認装置7は、図1,2に示すように、断路器1の主軸2の下部に回転盤8を水平に固着し、回転盤8の下面の両端部に開路用磁気端子9と閉路用磁気端子10を取り付け、断路器1が開及び閉の状態における開路用磁気端子9及び閉路用磁気端子10の直下位置に開路用磁気近接スイッチ12と閉路用磁気近接スイッチ13を取付ステー11で架台3に取り付けている。
【0013】
開路用磁気端子9は、耐食性のアルミニウム合金製の保護ケース9eに動作確認用磁石9aとインターロック用磁石9bを隣接し、動作確認用磁石9aとインターロック用磁石9bの後部に円板状の鉄片9cを配置し、これらをナット9dで固定して封止している。閉路用磁気端子10も開路用磁気端子9と同様の構造であるが、インターロック用磁石は省略している。
【0014】
開路用磁気近接スイッチ12は、耐食性のアルミニウム合金製の保護ケース12cに動作確認用スイッチ12aとインターロック用スイッチ12bを隣接して封止している。閉路用磁気近接スイッチ13も開路用磁気近接スイッチ12と同様の構造であるが、インターロック用スイッチは省略している。開路用磁気端子9と開路用磁気近接スイッチ12及び閉路用磁気端子10と閉路用磁気近接スイッチ13の直近時の隙間は5mmに設定している。
【0015】
開路用磁気端子9と閉路用磁気端子10と開路用磁気近接スイッチ12と閉路用磁気近接スイッチ13の各保護ケースの側面には、断路器1が開及び閉の状態において、印となる縦長の赤色のライン10a,12d,13a(開路用磁気端子9のラインは図に表れず)を直線状に一致するように表示している。各磁気近接スイッチは、窒素封入型の円柱状磁気近接スイッチPSMS−RV形(製品名)を用いた。
【0016】
本実施例では、図4(a)に示すように断路器1が閉路の方向に回転すると、図2に示すように閉路用磁気近接スイッチ13に閉路用磁気端子10が近接して磁気を検出し、閉路の状態が確認される。図4(b)に示すように断路器1が開路の方向に回転すると、開路用磁気近接スイッチ12に開路用磁気端子9が近接して磁気を検出し、開路の状態が確認される。同時に、インターロック用スイッチ12bがインターロック用磁石9bの磁気で作動して開路の状態がロックされる。
【0017】
図5に示すように、本実施例では磁気近接スイッチと対向する側の磁石の磁界が鉄片で狭幅となるから、磁気近接スイッチの動作範囲が縮小し、磁気近接スイッチに磁石がほぼ同一線上に近接しないと検出しないようになり、断路器の開閉位置の検出精度が向上する。鉄片を有しない従来例では動作点が15〜20mmであったが、本実施例では3〜5mmと機械式のリミットスイッチと同等の位置で作動し、動作点が大幅に改善された。
【0018】
図6,7に示すのは、本発明の動作確認装置を接地装置に取り付けた実施例の他の例である。図6は実施例の他の例の動作確認装置の正面図、図7は実施例の他の例の動作確認装置の右側面図である。図中、9fはライン、14は接地装置、15は支持軸、16は接地線、17は取付ステーである。その他、符号、構成、作用効果は実施例と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の技術は、発電所・変電所等に利用される。
【符号の説明】
【0020】
1 断路器
2 主軸
3 架台
4 接触子
5 固定接触子
6 碍子
7 動作確認装置
8 回転盤
9 開路用磁気端子
9a 動作確認用磁石
9b インターロック用磁石
9c 鉄片
9d ナット
9e 保護ケース
9f ライン
10 閉路用磁気端子
10a ライン
11 取付ステー
12 開路用磁気近接スイッチ
12a 動作確認用スイッチ
12b インターロック用スイッチ
12c 保護ケース
12d ライン
13 閉路用磁気近接スイッチ
13a ライン
14 接地装置
15 支持軸
16 接地線
17 取付ステー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電路の断路器を回動させる主軸の下部に回転盤を固着し、同回転盤に2体の磁石を所定間隔おいて取り付け、断路器が開及び閉の状態における各磁石の直近位置に磁気近接スイッチをそれぞれ設け、磁気近接スイッチが近接した磁石の磁気を検出することで断路器の開閉状態を確認できるようにした断路器の動作確認装置において、前記各磁石の後部に鉄片を取り付け、磁気近接スイッチの動作範囲を縮小して開閉位置の精度を高めるようにしたことを特徴とする、断路器の動作確認装置。
【請求項2】
磁石及び磁気近接スイッチをそれぞれ保護ケースに収容して封止した、請求項1記載の断路器の動作確認装置。
【請求項3】
開路用の磁石及び磁気近接スイッチを2体づつ近接して設け、一方の磁石及び磁気近接スイッチを動作確認用とし、他方の磁石及び磁気近接スイッチを開路状態を保持するためのインターロック用とし、磁石同士及び磁気近接スイッチ同士をそれぞれ保護ケースに収容して一体的に封止した、請求項1又は2記載の断路器の動作確認装置。
【請求項4】
断路器が開及び閉の状態において、上下の保護ケースの側面に印となる縦長のラインを直線状に一致するように表示した、請求項1〜3いずれか記載の断路器の動作確認装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−267520(P2010−267520A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118587(P2009−118587)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(391057764)株式会社巧電社 (4)
【Fターム(参考)】