説明

新聞を包装するための方法、およびこの方法を実施するための装置

【課題】図形模様が繰り返し印刷されたフィルムと、無地フィルムの2枚のフィルムによって、新聞紙を密閉包装する新聞包装装置において、フイルムの印刷位置のずれを安定的に、簡単に、安いコストで行なう装置の提供。
【解決手段】新聞紙3の挿入時点を挿入センサで検出し、新聞紙3およびこれら2つのフィルム11、12を搬送する搬送機構を起動して共に搬送し、新聞紙3の後端を検出する停止センサによって新聞紙3の後端を検出し、印刷範囲識別マークを検出するセンサによって印刷範囲識別マークの終わりを検出し、これら検出した信号に基づいて、前回の包装工程において、印刷フィルム11が所定長さを超えて使用された場合に、今回の包装工程において後端溶着切断する位置が図形模様の印刷範囲に入らないようにするために、この印刷フィルム11の不足を無地フィルム12の所定の長さで印刷フィルム11側に先端T巻き込みすることによって補充する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向に一定の間隔で図形模様が繰り返し印刷され、これら図形模様の間に無地の余白部分がある印刷フィルムと、何も印刷されていない無地フィルムの、2枚の新聞紙包装フィルムによって、新聞紙を密閉包装するための新聞包装装置を作動するための方法であって、
その際、この印刷フィルムの側方に図形模様の印刷範囲であることを識別可能な印刷範囲識別マークが印刷されており、この印刷範囲識別マークを検出して、後端部溶着切断、および両側端部の溶着を行う様式の、上記方法に関する。
【0002】
本発明は、更に、長手方向に一定の間隔で図形模様が繰り返し印刷され、これら図形模様の間に無地の余白部分がある印刷フィルム(11)と、何も印刷されていない無地フィルム(12)の、2枚の新聞紙包装フィルム(1)によって、新聞紙(3)を密閉包装するための新聞包装装置であって、
その際、この印刷フィルムの側方に図形模様の印刷範囲であることを識別可能な印刷範囲識別マーク(M)が印刷されており、
この印刷範囲識別マーク(M)を検出して、溶着切断刃(K)でもっての後端部溶着切断、および両側端部溶着機構でもっての両側端部の溶着を行うように構成されている様式の、上記新聞包装装置に関する。
【背景技術】
【0003】
雨の日に、新聞を配達するとき、この新聞紙が雨に濡れないようにするために使用できる、新聞紙を薄いフィルムでもって密閉封止する包装装置は、例えば、特開平8−143010号公報(特許文献1)、および特開2001−171607号公報(特許文献2)から公知である。これら包装装置では、新聞紙をこれら装置の入口に手動で挿入し、挿入後、上下2枚の薄いフィルムと共に、この新聞紙を自動的にほぼ水平方向に搬送するための機構、および、これらフィルムの両側端部、および後端部を溶着し、この溶着した後端部を自動的に切断する機構が採用されている。
【0004】
上記の包装装置は、プラスチックス材料の無地のフィルムを上下で使用することを前提としている。しかし、最近時、特定の図柄の図形模様、及び/または特定の文字、数字を印刷したフィルムでもって、新聞紙を包装する要請が高まっている。上記のような従来の新聞包装装置では、このような図形模様等の印刷されたフィルムは、印刷の位置に無関係に、新聞紙の後端を検出した時点で停止し、溶着切断され、このことによって、場合によっては、印刷された部分を溶着切断することとなり、その結果、溶着切断刃に印刷のインクが付着し、頻繁な刃の清掃が必要となるという欠点が生じる。頻繁な刃の清掃を回避するために、現在では、インク量を少なくした、薄い色の印刷を余儀なくされている。しかし最近は、これら新聞紙の包装フィルムに、更にコマーシャル性を向上した印刷が要望され、これに伴い、視認性の良い、より濃い色の印刷が要求されている。
【0005】
この問題を解決すべく、フィルムの長手方向に一定間隔で繰り返し図形模様が印刷され、これらの図形模様の間に無地の余白部分をもたせ、この図形模様の位置を示す位置マークを検出し、その位置マークのずれで、新聞紙と印刷フィルムの相対位置関係の補正を行う方法が、特開2001−225807号公報(特許文献3)で提唱されている。この方法では、新聞紙3の4つ折り時の誤差による新聞紙長lnの変化、この新聞紙3に挿入されているチラシ等のはみ出しによる新聞長さの変化を補償し、フィルムと新聞紙との相対位置を一定の範囲内において保持するために、これらフィルムを独立して移動させることができる上部および下部駆動機構により、これらフィルムの新聞紙に対する相対位置を調整している。しかしながら、この機構は、これらフィルムを戻す場合にこれらフィルムにシワが生じやすく識別マークの読み違いが発生しやすく、且つ、機構が複雑で高価であるという欠点を有している。
【特許文献1】特開平8−143010号公報
【特許文献2】特開2001−171607号公報
【特許文献3】特開2001−225807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、この公知技術を出発点として、本発明の根底をなす課題は、長手方向に一定の間隔で図形模様が繰り返し印刷され、これら図形模様の間に無地の余白部分がある印刷フィルムと、何も印刷されていない無地フィルムの、2枚の新聞紙包装フィルムによって、新聞紙を密閉包装するための新聞包装装置を作動するための方法において、新聞紙の4つ折り時の誤差による新聞紙長の変化、この新聞紙3に挿入されているチラシ等のはみ出しによる新聞長さの変化、即ち新聞紙の見かけの長さの変化の補償を、更に安定的に、より簡単に、より安いコストで行える方法に改善することである。更に、本発明の課題は、このような方法を実施するための新聞包装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は本発明に従い、
長手方向に一定の間隔で図形模様が繰り返し印刷され、これら図形模様の間に無地の余白部分がある印刷フィルムと、何も印刷されていない無地フィルムの、2枚の新聞紙包装フィルムによって、新聞紙を密閉包装するための新聞包装装置を作動するための方法であって、
その際、この印刷フィルムの側方に図形模様の印刷範囲であることを識別可能な印刷範囲識別マークが印刷されており、この印刷範囲識別マークを検出して、後端部溶着切断、および両側端部の溶着を行う様式の、上記方法において、
新聞紙の挿入時点を挿入センサで検出し、
この信号によって、この新聞紙、およびこれら2つのフィルムを搬送する搬送機構を起動して共に搬送し、
新聞紙の後端を検出する停止センサによって新聞紙の後端を検出し、且つ、図形模様の印刷範囲を示す印刷範囲識別マークを検出する印刷範囲識別センサによって印刷範囲識別マークの終わりを検出し、
これら検出した信号に基づいて、
前回の包装工程において、印刷フィルムが所定の長さの範囲内で使用された場合、今回の包装工程において、印刷範囲識別マークの終わりを検出してから所定の長さ搬送した後、後端部溶着切断を行い、
これに対して、前回の包装工程において、印刷フィルムが所定長さを超えて使用された場合に、今回の包装工程において、後端溶着切断する位置が図形模様の印刷範囲に入らないようにするために、この印刷フィルムの不足を無地フィルムの所定の長さでもって、この無地フィルムを印刷フィルム側に先端巻き込みすることによって補充することによって解決される。
【0008】
更に、この課題は本発明に従い、
長手方向に一定の間隔で図形模様が繰り返し印刷され、これら図形模様の間に無地の余白部分がある印刷フィルムと、何も印刷されていない無地フィルムの、2枚の新聞紙包装フィルムによって、新聞紙を密閉包装するための新聞包装装置であって、
その際、この印刷フィルムの側方に図形模様の印刷範囲であることを識別可能な印刷範囲識別マークが印刷されており、
この印刷範囲識別マークを検出して、溶着切断刃でもっての後端部溶着切断、および両側端部溶着機構でもっての両側端部の溶着を行うように構成されている様式の、上記新聞包装装置において、
新聞紙の挿入時点を検出する挿入センサを有していること、
この信号によって、この新聞紙、およびこれら2つのフィルムを共に搬送する搬送機構を有していること、
新聞紙の後端を検出する停止センサを有していること、
図形模様の印刷範囲を示す印刷範囲識別マークを検出する印刷範囲識別センサを有していること、
前回の包装工程において、印刷フィルムが所定長さを超えて使用された場合に、今回の包装工程において、後端溶着切断する位置が図形模様の印刷範囲に入らないようにするために、この印刷フィルムの不足を無地フィルムの所定の長さでもって、この無地フィルムを印刷フィルム側に先端巻き込みすることによって補充可能な補正機構を有していること、および、
この停止センサと印刷範囲識別センサとの協働で、搬送機構および補正機構を制御する電気制御装置を有していること、
によって解決される。
【0009】
この発明による他の有利な構成は、特許請求の範囲の従属請求項に記載されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、長手方向に一定の間隔で図形模様が繰り返し印刷され、これら図形模様の間に無地の余白部分がある印刷フィルムと、何も印刷されていない無地フィルムの、2枚の新聞紙包装フィルムによって、新聞紙を密閉包装するための新聞包装装置を作動するための方法、およびこの方法を実施するための新聞包装装置は、安定的に、簡単に、安いコストで実施できるように改善される。これら本発明による装置の改善は、既に大量に販売され、使用されている既存の新聞包装装置に対して、単にそれぞれ1つの印刷範囲識別センサ、電磁ソレノイド、摩擦ゴムベルトの追加、および、電気制御装置の変更のみによるだけで、比較的に僅かのバージョンアップ作業で行える利点を有している。
【0011】
次に、図を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、標準新聞紙長lnを有する新聞紙3を新聞紙包装フィルム1、即ち上下2枚の無地フィルム12、および印刷フィルム11でもって包装する状態を示している。この新聞紙3は、案内板2上、次いで、溶着切断刃Kと受台Rの部分を通過して、搬送機構4に導入される。前回溶着切断された包装体の先端溶着部Tと、今回溶着切断される個所の間で、この新聞紙3は包装される。この先端溶着部Tでもって、上側の無地フィルム12と、下側の印刷フィルム11は溶着されている。本発明では、以下、この上下関係でもって説明するが、この上下関係は、逆、即ち上側が印刷フィルム11で下側が無地フィルム12でも良く、その場合には、以下の説明の構成は、全て上下逆に解釈して戴きたい。また、本実施例では、搬送系が横型の新聞包装装置を示しているが、搬送系が縦型の新聞包装装置(例えば、特開平11−70913号公報(特許文献4))にも使用できることは言うまでもない。
【特許文献4】特開平11−70913号公報
【0013】
図2は、長手方向に一定の間隔で図形模様PTが繰り返し印刷され、これら図形模様の間に無地の余白部分WTがある印刷フィルム11が、印刷フィルムロール11aから繰り出されている状態を図示している。これら図形模様PTは、図形模様間隔L1で繰り返し印刷されており、これら図形模様PTの図形模様印刷範囲LPが、LPで示されている。この印刷フィルム11の少なくとも一方の側方に、図形模様の印刷範囲であることを識別可能な印刷範囲識別マークMが、長手方向に図形模様PTと同じ一定の間隔で、印刷範囲識別マーク長LMでもって、繰り返し印刷されている。この印刷範囲識別マークMの長さは、本発明の実施例では、図形模様印刷範囲LPと同じ長さであるが、制御方法および以下で説明する各センサの配置等によっては、異なっていても良い。また、この図形模様PTに対する印刷範囲識別マークMの、印刷フィルム11における長手方向での位置は、実施例では同じであるが、制御方法および以下で説明する各センサの配置等によっては、異なっていても良い。更に、この印刷範囲識別マークMは、実施例では、途切れの無いマークであるが、制御方法によって、周期的な島状マークの連続であっても良い。この場合の島状マークのピッチは、その際、制御方法に基づいて選択される。更に、この印刷範囲識別マークMの幅、およびフィルム縁部からの距離は、以下で説明する印刷範囲識別センサS4性能、および配置、フィルムの搬送時の蛇行を考慮して適当に決定される。本実施例では、幅は10〜20mm、フィルム縁部からの距離は0〜5mmである。
【0014】
図3は、本発明の補正機構を、概略的に図示した図である。この図3では、以下の説明で必要なものだけが図示されており、他の構成要素は、新聞紙を薄いフィルムでもって密閉封止する包装装置として公知であるので説明を省略する。
【0015】
長手方向に一定の間隔で図形模様が繰り返し印刷され、これら図形模様の間に無地の余白部分がある印刷フィルム11は、印刷フィルムロール11aから下側補助ローラ7を経由して溶着切断刃Kおよび受台Rが設けられている溶着切断部に導かれている。この印刷フィルムロール11aは、下側で下側ロールシャフト8と、補助ロールシャフト81上に載置されている。何も印刷されていない無地フィルム12は、無地フィルムロール12aから、上側補助ローラ10を経由して、同様に溶着切断刃Kおよび受台Rが設けられている溶着切断部に導かれている。この無地フィルムロール12aは、下方から上側ロールシャフト9が当接している。これら印刷フィルムロール11a、および無地フィルムロール12aは、それぞれに、下側ロールシャフト8、もしくは上側ロールシャフト9によって、これらフィルムロールの引き出し工程の後、慣性力によって、これらフィルムロールが過回転しないように、この下側ロールシャフト8には、摩擦ゴムベルト55が巻回され、この摩擦ゴムベルト55を電磁ソレノイド54で緊張し、および、この上側ロールシャフト9には、同様に摩擦ゴムベルトが巻回され、この摩擦ゴムベルトを電磁ソレノイドで緊張してブレーキ作用を行っている。
【0016】
溶着切断刃Kの搬送方向手前側に、挿入センサS1、および少なくとも1つの印刷範囲識別センサS4が配設されている。この挿入センサS1は、新聞紙3の挿入時点を検出し、この印刷範囲識別センサS4が、図形模様の印刷範囲を示す印刷範囲識別マークMを検出する。この印刷範囲識別センサS4の新聞包装装置の幅方向での配設位置は、印刷フィルム11上の印刷範囲識別マークMの位置に相応して決定される。溶着切断刃Kの搬送方向後ろ側に、新聞紙3の後端を検出する停止センサS2が配設されている。更に引き続いて、この新聞紙3、およびこれら2つのフィルム11、12を共に搬送する搬送機構4が設けられている。この搬送機構4の後方には、新聞紙3の排出を検出する排出センサS3が配設されている。これらセンサの搬送方向での配置位置、および順番、および横方向での配置位置は、制御方法、および構造により適宜決定可能である。
【0017】
下側補助ローラ7には、上記したと同様の様式で、摩擦ゴムベルト53が巻回され、この摩擦ゴムベルトを電磁ソレノイド52で緊張してブレーキ作用を行っている。この電磁ソレノイド52、および摩擦ゴムベルト53が、本発明によるブレーキ機構51であり、このブレーキ機構51が、前回の包装工程において、印刷フィルム11が所定長さを超えて使用された場合に、今回の包装工程において、後端溶着切断する位置が図形模様の印刷範囲に入らないようにするために、この印刷フィルム11の不足を無地フィルム12の所定の長さでもって、この無地フィルム12を印刷フィルム11側に先端巻き込みすることによって補充可能な補正機構を構成している。
【0018】
本発明の新聞包装装置は、詳細には図示されていないが、両側端部の溶着を行う両側端部溶着機構、および、停止センサS2と印刷範囲識別センサS4との協働で、搬送機構および補正機構を制御する電気制御装置6(図8を参照)、その他、従来公知の新聞包装装置の諸構成部材を有している。
また、印刷フィルム11の送りにブレーキをかけるブレーキ機構51は、この印刷フィルム11の印刷フィルムロール11aを支持している下側ロールシャフト8に摩擦力をかける、電磁ソレノイド54とこれに装着された摩擦ゴムベルト55から成っていても良い。上記のブレーキ作用は、本発明の実施例では、それぞれに電磁ソレノイドと摩擦ゴムベルトで行うが、これらブレーキ作用は、これに限られず、他のブレーキ機構、例えばモータとブレーキ板、等でも行えることは言うまでもない。
【0019】
図4は、新聞紙3を包装する新聞包装装置の作動を示す、概略のフローチャートである。先ず始めに、長手方向に一定の間隔で図形模様が繰り返し印刷された印刷フィルム11と、何も印刷されていない無地フィルム12は、作業者によって、溶着切断刃Kの手前に、公知の方法でセットされる。次いで、ダミーの新聞紙3が挿入され、更に搬送機構4まで押込まれ、挿入センサS1によって駆動を開始した搬送機構4によって搬送を開始される。印刷範囲識別マークMの終わりを検出してから所定の長さ(la+ls)だけ搬送した後、新聞紙包装フィルム1、即ち印刷フィルム11および無地フィルム12は、後端部溶着切断され、このフローチャートの新聞包装のスタート状態(即ち、図形模様の間の無地の余白部分が、溶着切断刃Kの位置で止まった状態)となる。
【0020】
包装されるべき新聞紙3は、案内板2上を挿入され、この新聞紙3の先端の通過により、挿入時点を挿入センサS1で検出する。この信号によって、この新聞紙3、およびこれら2つのフィルム11、12を搬送する搬送機構4の駆動用パルスモータが起動され、更に、押し込まれた新聞紙3およびフィルム11、12は、この搬送機構4によって、共に搬送を開始される。次いで、この新聞紙3の後端を検出する停止センサS2によってこの新聞紙3の後端を検出し、且つ、図形模様の印刷範囲を示す印刷範囲識別マークMを検出する印刷範囲識別センサS4によって印刷範囲識別マークMの終わりを検出する。
【0021】
これらセンサによって検出した信号および、駆動用パルスモータのタイミングパルスに基づいて、本発明による第1の方法として、
前回の包装工程において、印刷フィルム11が所定の長さの範囲内で使用されたと判断された場合は、今回の包装工程において、印刷範囲識別マークMの終わりを検出してから所定の長さ(la+ls)だけ搬送した後、新聞紙包装フィルム1、即ち印刷フィルム11および無地フィルム12が、後端部溶着切断される。この判断は、図4における(あ)の部分で行われる。
ここで、印刷フィルム11が所定の長さとは、図2における図形模様間隔L1であり、更に、lsとは、印刷範囲識別マークMの終わりから溶着切断位置までの距離であり、laが溶着切断刃Kより印刷範囲識別センサまでの距離である。これらの関係は、図9において説明されている。LWは、印刷部余白長である。更に、図10は、図9の状態を側方から見た図である。このlsは、搬送方向前方の余白長さ(LW−ls)、即ち余裕分を増すために、比較的に小さな値に設定されることは有利である。
また、図形模様間隔L1は、標準新聞紙長ln+停止センサS2から溶着切断刃Kまでの距離lm+標準調整幅ld、即ち、
L1=ln+lm+ld
である。
この標準調整幅ldは、実験等により、新聞紙3の4つ折り時の誤差による新聞紙長lnの変化、この新聞紙3に挿入されているチラシ等のはみ出しによる新聞長さの変化等の変動を補償する値に設定されている。典型的な例として、ln=275mm、lm=20mm、ld=5〜15mmであり、従って、L1=300〜310mmである。
更に、印刷フィルムが所定の長さの範囲内で使用された場合とは、このL1の範囲内にあることである。この判断は、図4における(あ)の部分である。この方法1では、新聞紙長lnの変化、新聞紙3を新聞包装装置に挿入、搬送する際の誤差が標準調整幅ldの範囲内であれば、および、新聞紙3の見かけの長さが標準新聞紙長lnよりも短い場合には、以下に記載の補正を必要としない。
【0022】
これに対して、上記標準調整幅ldでは、補償しきれなかった場合には、本発明による更なる方法で以下のようになる。
前回の包装工程において、印刷フィルム11が所定長さ、即ちL1の範囲を超えて使用された場合、今回の包装工程において、後端溶着切断する位置が図形模様PTの印刷範囲LPに入らないようにするために、この印刷フィルム11の不足を無地フィルム12の所定の長さでもって、この無地フィルム12を印刷フィルム11側に先端巻き込みすることによって補充する。
【0023】
印刷フィルムが所定長さを超えて使用されたことは、新聞紙の後端を検出する停止センサS2によって新聞紙3の後端を検出した時点に、印刷範囲識別センサS4が、図形模様の印刷範囲を示す印刷範囲識別マークMが後端部溶着切断する後端部溶着切断刃Kの位置を通過した後であることを検出した場合に判断される。この判断は、図4における(あ)の部分で行われる。
【0024】
図5、6に、この先端巻き込み状態を図示する。図5が、新聞紙3が案内板2上からまさに挿入される時点の図であり、図6は、無地フィルム12を印刷フィルム11側に先端巻き込みした状態の図であり、先端溶着部Tが印刷フィルム11側にずれ込んでいることが見て取れる。印刷フィルム11が所定長さ、即ちL1を超えて使用された場合、挿入センサS1を検出した時点から所定の時間間隔、印刷フィルム11の送りにブレーキ機構51でもってブレーキをかけ、無地フィルム12が、この印刷フィルム11よりも、より多く送られるようにすることによって、この無地フィルム12が印刷フィルム11側に先端巻き込みを行う。このブレーキをかける所定の時間間隔は、実験等により予め設定され、例えば、100〜200msの時間である。先端巻き込みによって、この印刷フィルム11は、無地フィルム12によって補充される。
【0025】
本発明によれば、印刷フィルム11の送りにブレーキすることは、印刷フィルム11の供給側で搬送途中に配設された方向転換のための下側補助ローラ7に摩擦力をかけて行う。この摩擦力は、電磁ソレノイド52と、これに装着された、この下側補助ローラ7の巻回された摩擦ゴムベルト53を用いて、電気制御装置6によって制御される。
【0026】
図7に、各センサ、搬送機構4を駆動する搬送モータ、溶着切断刃Kを動作する溶着切断モータ、および、下側補助ローラ7のブレーキ、等のタイミングチャートを概略的に示す。基本的な動作は、既に本出願人による特開2001−171607号公報(特許文献2)、および、特開2001−225807号公報(特許文献3)に開示されているので、ここで特に説明しない。本発明で大切なことは以下の点である。
【0027】
このタイミングチャートの、時点Aにおいて、印刷フィルムが所定長さを超えて使用されたことが、新聞紙の後端を検出する停止センサS2によって新聞紙3の後端を検出した時点に、印刷範囲識別センサS4が、図形模様の印刷範囲を示す印刷範囲識別マークMが後端部溶着切断する後端部溶着切断刃Kの位置を通過した後であることを検出したことによって判断されている。この状態を放置し、数回このような状態の包装工程が続くと、溶着切断が、図形模様印刷範囲にかかってしまうという不具合を生じる。この場合、次回の包装工程において、挿入センサS1が「H」になった時点で下側補助ローラにブレーキ作用がかけられることが見て取れる。時点Bでは、無地フィルム12の印刷フィルム11側への先端巻き込みによって時点Aでの状態は解消され、正規の状態、即ち、新聞紙の後端を検出する停止センサS2によって新聞紙3の後端を検出した時点に、印刷範囲識別センサS4が、図形模様の印刷範囲を示す印刷範囲識別マークMが後端部溶着切断する後端部溶着切断刃Kの位置を、いまだ通過していない状態に戻っているので、上記の補正を必要としない。このタイミングチャートでは、実際的に、搬送モータの停止のタイミングは、印刷範囲識別センサS4が溶着切断刃Kより上流側にlaだけ距離を有しているので、これに印刷範囲識別マークMの終わりから溶着切断位置までの距離lsを加えた(la+ls)分だけ印刷範囲識別センサS4のタイミングとずれて現れている。これらセンサS1、S2、およびS3の設置順序は、図3に示された順序と異なる配置とすることは可能であり、その場合、図7のタイミングは、相応して変化することは言うまでもない。
【0028】
この図7内には、更に別の手段である下側ロールシャフト8にブレーキをかける場合のタイミングチャート、および上側ロールシャフト9のブレーキのタイミングチャートも併せて記載している。各包装工程の停止センサS2が「L」の時点において、これら下側ロールシャフト8、および上側ロールシャフト9のブレーキ動作が「H」となるのは、前記した、各フィルムロールが慣性力で過回転するのを防止するためのものである。下側ロールシャフト8のブレーキを、本発明による補正に使用する場合には、破線で示された様に、新聞紙3の挿入を挿入センサS1が検出した時点から、所定の時間継続してブレーキがかけられている。
【0029】
図8は、本発明の実施例での、新聞包装装置内における、下側補助ローラ7、または、下側ロールシャフト8に巻回された摩擦ゴムベルト53;55、および、電磁ソレノイド53:54の配置を示している。
【0030】
上下の新聞紙包装フィルムに従来通り、無地フィルム12を共に使用して包装する場合、本発明による新聞包装装置では、印刷範囲識別センサS4によって、印刷範囲識別マークMが全く検出されないため、常に図形模様印刷範囲ではないと判断され、上記の補正無しに溶着切断される。従って、本発明による新聞包装装置は、これらどちらにも、特に作業者が切替え等の作業無しに兼用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】標準新聞紙長lnを有する新聞紙3を新聞紙包装フィルム1、即ち上下2枚の無地フィルム12、および印刷フィルム11でもって包装する状態を示した図である。
【図2】長手方向に一定の間隔で図形模様PTが繰り返し印刷され、これら図形模様の間に無地の余白部分WTがある印刷フィルム11が、印刷フィルムロール11aから繰り出されている状態を示す図である。
【図3】発明の補正機構を、概略的に図示した図である。
【図4】新聞紙3を包装する新聞包装装置の作動を示す、概略のフローチャートである。
【図5】新聞紙3が案内板2上からまさに挿入される時点の図である。
【図6】無地フィルム12を印刷フィルム11側に先端巻き込みした状態の図である。
【図7】各センサ、搬送機構4を駆動する搬送モータ、溶着切断刃Kを動作する溶着切断モータ、下側補助ローラブレーキのタイミングチャートを概略的に示した図である。
【図8】新聞包装装置内における、摩擦ゴムベルトおよび電磁ソレノイドの配置を示した図である。
【図9】印刷範囲識別マークMの終わりから溶着切断位置までの距離lsと、印刷部余白長LWの関係を示した図である。
【図10】図9の状態を側方から見た図である。
【符号の説明】
【0032】
1 新聞紙包装フィルム
11 印刷フィルム
11a 印刷フィルムロール
12 無地フィルム
12a 無地フィルムロール
2 案内板
3 新聞紙
4 搬送機構
51 ブレーキ機構
52 電磁ソレノイド
53 摩擦ゴムベルト
54 電磁ソレノイド
55 摩擦ゴムベルト
6 電気制御装置
7 下側補助ローラ
8 下側ロールシャフト
81 補助ロールシャフト
9 上側ロールシャフト
10 上側補助ローラ
K 溶着切断刃
la 溶着切断刃Kより印刷範囲識別センサまでの距離
ld 標準調整幅
lm 停止センサS2から溶着切断刃Kまでの距離
ln 標準新聞紙長
ls 印刷範囲識別マークMの終わりから溶着切断位置までの距離
L1 図形模様間隔
LM 印刷範囲識別マーク長
LW 印刷部余白長
LP 図形模様印刷範囲
M 印刷範囲識別マーク
PT 図形模様
R 受台
S1 挿入センサ
S2 停止センサ
S3 排出センサ
S4 印刷範囲識別センサ
T 先端溶着部
WT 余白部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に一定の間隔で図形模様が繰り返し印刷され、これら図形模様の間に無地の余白部分がある印刷フィルムと、何も印刷されていない無地フィルムの、2枚の新聞紙包装フィルムによって、新聞紙を密閉包装するための新聞包装装置を作動するための方法であって、
その際、この印刷フィルムの側方に図形模様の印刷範囲であることを識別可能な印刷範囲識別マークが印刷されており、この印刷範囲識別マークを検出して、後端部溶着切断、および両側端部の溶着を行う様式の、上記方法において、
新聞紙の挿入時点を挿入センサで検出し、
この信号によって、この新聞紙、およびこれら2つのフィルムを搬送する搬送機構を起動して共に搬送し、
新聞紙の後端を検出する停止センサによって新聞紙の後端を検出し、且つ、図形模様の印刷範囲を示す印刷範囲識別マークを検出する印刷範囲識別センサによって印刷範囲識別マークの終わりを検出し、
これら検出した信号に基づいて、
前回の包装工程において、印刷フィルムが所定の長さの範囲内で使用された場合、今回の包装工程において、印刷範囲識別マークの終わりを検出してから所定の長さ搬送した後、後端部溶着切断を行い、
これに対して、前回の包装工程において、印刷フィルムが所定長さを超えて使用された場合に、今回の包装工程において、後端溶着切断する位置が図形模様の印刷範囲に入らないようにするために、この印刷フィルムの不足を無地フィルムの所定の長さでもって、この無地フィルムを印刷フィルム側に先端巻き込みすることによって補充することを特徴とする新聞包装のための方法。
【請求項2】
印刷フィルムが所定長さを超えて使用されたことは、新聞紙の後端を検出する停止センサによって新聞紙の後端を検出した時点に、印刷範囲識別センサが、図形模様の印刷範囲を示す印刷範囲識別マークが後端部溶着切断する後端部溶着切断刃の位置を通過した後であることを検出した場合に判断されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
印刷フィルムが所定長さを超えて使用された場合、挿入センサを検出した時点から所定の時間間隔、印刷フィルムの送りにブレーキをかけ、無地フィルムが、この印刷フィルムよりも、より多く送られるようにすることによって、この無地フィルムが印刷フィルム側に先端巻き込みすることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
印刷フィルムの送りにブレーキすることは、印刷フィルムの供給側で搬送途中に配設された方向転換のための下側補助ローラに摩擦力をかけて行うことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
長手方向に一定の間隔で図形模様が繰り返し印刷され、これら図形模様の間に無地の余白部分がある印刷フィルム(11)と、何も印刷されていない無地フィルム(12)の、2枚の新聞紙包装フィルム(1)によって、新聞紙(3)を密閉包装するための新聞包装装置であって、
その際、この印刷フィルムの側方に図形模様の印刷範囲であることを識別可能な印刷範囲識別マーク(M)が印刷されており、
この印刷範囲識別マーク(M)を検出して、溶着切断刃(K)でもっての後端部溶着切断、および両側端部溶着機構でもっての両側端部の溶着を行うように構成されている様式の、上記新聞包装装置において、
新聞紙(3)の挿入時点を検出する挿入センサ(S1)を有していること、
この信号によって、この新聞紙(3)、およびこれら2つのフィルム(11、12)を共に搬送する搬送機構(4)を有していること、
新聞紙(3)の後端を検出する停止センサ(S2)を有していること、
図形模様の印刷範囲を示す印刷範囲識別マーク(M)を検出する印刷範囲識別センサ(S4)を有していること、
前回の包装工程において、印刷フィルム(11)が所定長さを超えて使用された場合に、今回の包装工程において、後端溶着切断する位置が図形模様の印刷範囲に入らないようにするために、この印刷フィルム(11)の不足を無地フィルム(12)の所定の長さでもって、この無地フィルム(12)を印刷フィルム(11)側に先端巻き込みすることによって補充可能な補正機構を有していること、および、
この停止センサ(S2)と印刷範囲識別センサ(S4)との協働で、搬送機構および補正機構を制御する電気制御装置(6)を有していること、
を特徴とする新聞包装装置。
【請求項6】
補正機構は、挿入センサ(S1)を検出した時点から所定の時間間隔、印刷フィルム(11)の送りにブレーキをかけるブレーキ機構(51)から成ることを特徴とする請求項5に記載の新聞包装装置。
【請求項7】
印刷フィルム(11)の送りにブレーキをかけるブレーキ機構(51)は、この印刷フィルム(11)の供給側で搬送途中に配設された方向転換のための下側補助ローラ(7)に摩擦力をかける、電磁ソレノイド(52)とこれに装着された摩擦ゴムベルト(53)から成ることを特徴とする請求項5または6に記載の新聞包装装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−1628(P2006−1628A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182348(P2004−182348)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000217675)電元オートメーション株式会社 (12)
【Fターム(参考)】