説明

新規なω−コノトキシン

【解決手段】
本発明は、一般式Iで表されるω−コノトキシンペプチドのシステイン残基2番及び3番の間の二次ループにおいて、11番及び/または12番アミノ酸残基をそれぞれIle及びAlaが位置するようにω-コノトキシンペプチドを製造する段階を含む、ω-コノトキシンペプチドのN-タイプカルシウムチャネルに対する結合可逆性を増加させる方法に関する。また、本発明は、N-タイプカルシウムチャネルに対する遮断活性及び特異性、そしてN-タイプカルシウムチャネルに対して著しく増加された結合可逆性を有する、優れた特性を有した新規ω−コノトキシンペプチド及び薬剤学的組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なω−コノトキシンに関し、より詳細には、ω−コノトキシンペプチドのN-タイプカルシウムチャネルに対する結合可逆性を増加させる方法、及び新規なω−コノトキシンペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
イモガイ(cone snail)は、海洋軟体動物であって、多様なファミリーを含み、外部の敵から防御または餌を捕獲するために毒素を利用する。イモガイのそれぞれの種の毒素は、100ペプチド種以上の独特のアレイを含み、これらの薬剤学的効能は、ほとんど究明されていない。魚類、軟体動物または虫類を成功的に捕獲するために、イオンチャネルと受容体をターゲッティングするが、コノトキシン(conotoxins)の様々なクラスが進化された[1−6]。
【0003】
コノトキシンの重要なクラスの一つとして、piscivorous種から分離されたω−コノトキシンは、哺乳動物の神経電圧−敏感性カルシウムチャネル(VSCC)を抑制する。ω−コノトキシンは、N-タイプまたはP/Q-タイプVSCCsに対して選択性を示し、神経性VSCCsの分布及び機能を研究する実験道具として広く利用されている[7]。実験道具としてのω−コノトキシンの用途の他に、N-タイプVSCCsをターゲッティングするω−コノトキシンは、虚血性脳損傷及び痛みに対する臨床適用可能性を有している。
【0004】
しかし、今まで公知されたω−コノトキシンは、それらの選択性及び効能、そして脊髄で外傷受容情報を運搬するシナプスにおけるN-タイプVSCCsの主要な作用にもかかわらず、理想的な医薬ではない。
【0005】
例えば、強力なN-タイプ選択的ブロッカーであるGVIAは、N-タイプVSCCsから低い速度で解離されて、そのため、臨床的なセッティングで投与することが難しい[8]。別のω-コノトキシンであるMVIIAは、アメリカFDAで鎮痛剤として許可されたものであるにもかかわらず、数多い神経学的副作用を誘発すると知られている[9-11]。MVIIAは、末梢神経よりは中枢神経のN-タイプイソフォームに、より高い特異性を示すが、末梢神経側のN-タイプイソフォームが痛みシグナリングに直接的に作用する。CVIDは、中枢神経のイソフォームよりは末梢神経のイソフォームに、より高い選択性を示すが、そのため、MVIIAより副作用が少ない[12-14]。その他のω-コノトキシンは、N-タイプVSCCsに対して、より低い選択性を示すため、N-タイプVSCCsをターゲットとした医薬候補物質として有用ではない。
【0006】
N-タイプVSCCsブロッカーに対するアミノ酸残基スキャニング実験において、Tyr13, Lys2, Arg10, Leu11, Arg21及びN-末端とC-末端アミド基が順に(重要残基の順に並べている)、チャネルに対する親和度を決定するに重要な残基であることが究明された[7, 15]。最近、Arg10がコノトキシンの結合可逆性に重要な役割をするということが明かされて、Arg10をLys10で置換した場合、結合可逆性が増加して、Arg10をHyp10(hydroxyproline)で置換した場合、可逆性が減少したことも報告された[14]。結合可逆性は、親和度と密接に関連しているが、この二つの性質は、分離され得る。また、結合可逆性における改善は、より優れた痛み緩和剤を提供することができる。
【0007】
本明細書全体にかけて多数の特許文献及び論文が参照されて、その引用が表示されている。引用された特許文献及び論文の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、従来のω−コノトキシンの問題点、特にN-タイプカルシウムチャネルに対する低い特異性(specificity)及び低い可逆性(reversibility)による問題点を解決するために、新規のω-コノトキシンを開発するために鋭意研究した。その結果、大韓民国に生息するイモガイ(Conus Flavidus)から、上記二つの側面の問題点を完全に解決しながらも、N-タイプカルシウムチャネルに対する遮断剤(blocker)としての活性は高い、新規なω−コノトキシンを分離した。そして、新規なω−コノトキシンに対する構造的及び機能的研究を行い、その結果、ω−コノトキシンの可逆性に重要な役割を担当するアミノ酸残基を究明することにより、本発明を完成した。
【0009】
したがって、本発明の目的は、ω−コノトキシンペプチドのN-タイプカルシウムチャネルに対する結合可逆性を増加させる方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、分離、合成または組み換えω−コノトキシンペプチドを提供することにある。
【0011】
本発明のまた他の目的は、新規なω−コノトキシンペプチドをコーディングする核酸分子を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、N-タイプカルシウムチャネル異常(disorder)−関連疾患の治療または予防用薬剤学的組成物を提供することにある。
【0013】
本発明のまた他の目的は、N-タイプカルシウムチャネル異常(disorder)−関連疾患の予防また治療方法を提供することにある。
【0014】
本発明のまた他の目的は、N-タイプカルシウムチャネル異常(disorder)−関連疾患の治療または予防用薬剤を製造するためのω−コノトキシンペプチドの用途を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面により、さらに明確にされる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一様態によると、本発明は、下記の一般式Iで表されるω−コノトキシンペプチドのシステイン残基2番及び3番の間の二次ループにおいて、11番及び/または12番アミノ酸残基をそれぞれIle及びAlaが位置するようにω-コノトキシンペプチドを製造する段階を含む、ω-コノトキシンペプチドのN-タイプカルシウムチャネルに対する結合可逆性を増加させる方法を提供する。
[一般式I]
Cys-Lys-Xaa1-Xaa2-Gly-Xaa3-Xaa4-Cys-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Tyr-Xaa9-Cys-Cys-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Cys-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Cys
(上記式中、Xaa1 - Xaa16は、アミノ酸残基を示す。)
【0017】
本発明者らは、従来のω−コノトキシンの問題点、特にN-タイプカルシウムチャネルに対する低い特異性(specificity)及び低い可逆性(reversibility)による問題点を解決するために、新規のω-コノトキシンを開発するために鋭意研究した。その結果、大韓民国に生息するイモガイ(Conus Flavidus)から、上記二つの側面の問題点を完全に解決しながらも、N-タイプカルシウムチャネルに対する遮断剤(blocker)としての活性は高い、新規なω−コノトキシンを分離した。そして、新規なω−コノトキシンに対する構造的及び機能的研究を行い、その結果、ω−コノトキシンの可逆性に重要な役割を担当するアミノ酸残基を究明した。
【0018】
本明細書において、本発明は、ω−コノトキシンのN-タイプカルシウムチャネルに対する結合可逆性を増加させる方法と表現されているが、N-タイプカルシウムチャネルに対する結合可逆性を増加させるω−コノトキシンを製造する方法とも表現できる。
【0019】
本明細書で使用される用語‘可逆性(reversibility)’または‘結合可逆性’は、N-タイプカルシウムチャネルに結合されたω−コノトキシンが解離される程度を示す。 ω−コノトキシンの可逆性は、一般に、下記の実施例に記載のように、Washing-out実験を通じて分析される。用語‘可逆性’は、‘回復(recovery)’と同一な意味として本明細書で混用される。
【0020】
N-タイプカルシウムチャネルを強力に遮断するω−コノトキシンは既に開発されているが、これらのω−コノトキシンは、結合可逆性が悪いため、副作用を誘発する危険性が非常に大きく、臨床的に適用するに限界がある。
【0021】
本発明は、このような従来のω−コノトキシン(例えば、GVIA及びMVIIA)の問題点を解決したもので、結合可逆性に非常に優れている。
【0022】
また、本発明のω−コノトキシンは、N-タイプカルシウムチャネルに対する遮断活性及び特異性にも非常に優れている。このように、本発明のω−コノトキシンがイオンチャネル抑制活性及び可逆性に同時に優れている理由は、結合可逆性が親和度と密接に関連されてはいるものの、この二つの性質が分離され得るからである[16]。
【0023】
本発明者らによって究明されたω−コノトキシンの可逆性に重要な役割を担当するアミノ酸残基は、上記一般式Iで表されるω−コノトキシンにおいて、11番及び12番アミノ酸残基である。下記の実施例で証明されたように、ω−コノトキシンにおいて11番及び12番アミノ酸残基がIle及びAlaである場合、N−タイプカルシウムチャネルに対する可逆性に優れている。例えば、Ile及びAlaをそれぞれR-基が類似しているLeu及びMetで置換した場合、可逆性が大きく減少する。
【0024】
一方、従来技術によると、ω−コノトキシンにおいて11番目残基は、Leuが位置しなければ、イオンチャネル抑制活性が大きくないという報告がある。しかし、本発明によると、11番目残基にLeuの代わりにIleが位置するが、この場合、N-タイプカルシウムチャネルに対する抑制活性が、従来の強力なブロッカーの活性とほぼ等しい活性が発揮されるだけではなく、可逆性が大きく改善される。したがって、本発明は、従来の技術常識をひっくり返す画期的なものである。
【0025】
前記一般式Iにおいて、6個のCys残基は、ω−コノトキシンにおいて独特なものである。また、Lys2, Gly5及びTyr13は、ω−コノトキシンのイオンチャネル抑制活性において重要な残基である。
【0026】
本発明の好ましい具現例によると、6個のCys残基は、総3個の二硫化結合を形成する。より好ましくは、それぞれ一番目のCysと四番目のCys、二番目のCysと五番目のCys、そして三番目のCysと六番目のCysが二硫化結合を形成する。このような二硫化結合は、ω−コノトキシンの典型的なパターンであり、ω−コノトキシンの活性に重要な影響を及ぼす。
【0027】
ω−コノトキシンの構造は、典型的に四つのループを有する。


【0028】
四つのループは下線処理されている。本発明は、システイン残基2番及び3番の間に形成される二番目ループ内の11番及び/または12番アミノ酸のそれぞれに位置したIle及び/またはAla残基がN-タイプカルシウムチャネルに対するω−コノトキシンの可逆性に関与するという興味深い発見を提供する。
【0029】
本発明の好ましい具現例によると、ω−コノトキシンにおいて可逆性を最も大きくするためには、11番及び12番目アミノ酸残基にIle及びAlaが位置しなければならない。
【0030】
本発明の好ましい具現例によると、上記一般式Iにおいて、Xaa1は、Gly, AlaまたはSerであり、Xaa2は、Thr, Ala, LysまたはArgであり、Xaa3は、LysまたはAlaであり、Xaa4は、Ser, Pro,ヒドロキシプロリンまたはLysであって、Xaa5は、SerまたはArgであり、Xaa6は、ArgまたはLysであり、Xaa9は、AsnまたはAspであり、Xaa10は、ThrまたはSerであり、Xaa11は、Gly, AlaまたはSerであって、Xaa12は、Ser, Gly, AlaまたはThrであり、Xaa13は、ArgまたはGly-Argであり、Xaa14は、SerまたはArgであり、Xaa15は、Gly, AlaまたはSerであって、Xaa16は、LysまたはArgである。
【0031】
本発明のより好ましい具現例によると、上記一般式Iにおいて、Xaa6は、Argであり、Xaa13は、Argである。
【0032】
本発明のより好ましい具現例によると、上記一般式Iにおいて、Xaa1は、GlyまたはSerであり、Xaa2は、ThrまたはLysであり、Xaa3は、LysまたはAlaであり、Xaa4は、SerまたはLysであって、Xaa5は、SerまたはArgであり、Xaa6は、Argであり、Xaa9は、AsnまたはAspであり、Xaa10は、Thrであり、Xaa11は、Glyであり、Xaa12は、Serであって、Xaa13は、Argであり、Xaa14は、Serであり、Xaa15は、Glyであって、Xaa16は、LysまたはArgである。
【0033】
本発明のより好ましい具現例によると、上記一般式Iにおいて、前記Xaa2は、ThrまたはLysであり、Xaa3は、LysまたはAlaであり、Xaa4は、SerまたはLysであり、Xaa5は、SerまたはArgであって、Xaa6は、Argであり、Xaa9は、AsnまたはAspであり、Xaa10は、Thrであり、Xaa11は、Glyであって、Xaa12は、Serであり、Xaa13は、Argであり、Xaa14は、Serであり、Xaa15は、Glyであって、Xaa16は、LysまたはArgである。
【0034】
本発明の具体的な実施例によると、本発明の方法によりN-タイプカルシウムチャネルに対する結合可逆性が増加されたω-コノトキシンペプチドは、配列番号1乃至3のいずれか一つのアミノ酸配列を含む。
【0035】
配列番号2は、従来のω−コノトキシンであるMVIIAの11及び12番目残基を、本発明の方法によってIle及びAlaで置換したものであるが、この変異体は、カルシウムチャネル抑制活性にも優れているが、回復度においても、MVIIAと比較し、約2倍程度増加している(参照:実施例)。
【0036】
本発明の最も好ましい具現例によると、本発明の方法によりN-タイプカルシウムチャネルに対する結合可逆性が増加されたω-コノトキシンペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。
【0037】
本発明の好ましい具現例によると、一般式Iのω−コノトキシンは、アミド−変形C−末端(Cys残基)を有する。
【0038】
本発明の他の様態によると、本発明は、ω-コノトキシンペプチドのシステイン残基2番及び3番の間の二番目ループにおいて、下記の一般式IIのペプチドを含む分離、合成または組み換えω-コノトキシンペプチドを提供する。
[一般式II]
Xaa5-Xaa6-Ile-Ala-Tyr-Xaa9
(式中、Xaa5 - Xaa6及びXaa9は、アミノ酸残基を示す。)
【0039】
本発明のω−コノトキシンは、二番目ループにあるIle及びAla残基が、N-タイプカルシウムチャネルに対する結合可逆性を増加させるに必須的であるという発見に基づく。
【0040】
好ましくは、本発明のω−コノトキシンの一番目、三番目及び四番目ループのそれぞれは、天然のω−コノトキシンペプチドのループに該当するものである。
【0041】
好ましい具現例によると、Xaa5は、SerまたはArgであり、Xaa6は、ArgまたはLysであって、Xaa9は、AsnまたはAspである。より好ましい具現例によると、Xaa5は、Serであり、Xaa6は、Argであって、Xaa9は、Asnである。
【0042】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のω-コノトキシンペプチドは、下記の一般式IIIで表されるアミノ酸配列を含む。
[一般式III]
Cys-Lys-Xaa1-Xaa2-Gly-Xaa3-Xaa4-Cys-Xaa5-Xaa6-Ile-Ala-Tyr-Xaa9-Cys-Cys-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Cys-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Cys
(式中、Xaa1は、GlyまたはSerであり、Xaa2 - Xaa6及びXaa9 - Xaa16は、アミノ酸残基を示す。)
【0043】
本発明の好ましい具現例によると、上記一般式IIIにおいて、6個のCys残基は、総3個の二硫化結合を形成する。より好ましくは、それぞれ一番目のCysと四番目のCys、二番目のCysと五番目のCys、そして三番目のCysと六番目のCysが二硫化結合を形成する。このような二硫化結合は、ω−コノトキシンの典型的なパターンであり、ω−コノトキシンの活性に重要な影響を及ぼす。
【0044】
本発明の好ましい具現例によると、上記一般式IIIにおいて、Xaa2は、Thr, Ala, LysまたはArgであり、Xaa3は、LysまたはAlaであり、Xaa4は、Ser, Pro,ヒドロキシプロリンまたはLysであって、Xaa5は、SerまたはArgであり、Xaa6は、ArgまたはLysであり、Xaa9は、AsnまたはAspであり、Xaa10は、ThrまたはSerであり、Xaa11は、Gly, AlaまたはSerであって、Xaa12は、Ser, Gly, AlaまたはThrであり、Xaa13は、ArgまたはGly-Argであり、Xaa14は、SerまたはArgであり、Xaa15は、Gly, AlaまたはSerであって、Xaa16は、LysまたはArgである。
【0045】
本発明のより好ましい具現例によると、上記一般式IIIにおいて、Xaa6は、Argであり、Xaa13は、Argである。
【0046】
本発明のより好ましい具現例によると、上記一般式IIIにおいて、Xaa2は、ThrまたはLysであり、Xaa3は、LysまたはAlaであり、Xaa4は、SerまたはLysであり、Xaa5は、SerまたはArgであって、Xaa6は、Argであり、Xaa9は、AsnまたはAspであり、Xaa10は、Thrであり、Xaa11は、Glyであって、Xaa12は、Serであり、Xaa13は、Argであり、Xaa14は、Serであり、Xaa15は、Glyであって、Xaa16は、LysまたはArgである。
【0047】
本発明のより好ましい具現例によると、上記一般式IIIにおいて、Xaa2は、ThrまたはLysであり、Xaa3は、LysまたはAlaであり、Xaa4は、SerまたはLysであり、Xaa5は、SerまたはArgであって、Xaa6は、Argであり、Xaa9は、AsnまたはAspであり、Xaa10は、Thrであり、Xaa11は、Glyであって、Xaa12は、Serであり、Xaa13は、Argであり、Xaa14は、Serであり、Xaa15は、Glyであって、Xaa16は、LysまたはArgである。
【0048】
本発明のより好ましい具現例によると、本発明のω-コノトキシンペプチドは、配列番号1乃至3のいずれか一つのアミノ酸配列を含む。
【0049】
本発明の最も好ましい具現例によると、本発明のω-コノトキシンペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。
【0050】
本発明のω−コノトキシンの一つ以上のアミノ酸は、変形された側鎖を有することができる。側鎖変形の例は、還元アルキル化反応;メチルアセトイミデートによるアミジン化;無水酢酸によるアルキル化;シアネートによるアミノグループのカルバモイレーション(carbamolyation);2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)によるアミノ酸のトリニトロベンジレーション(trinitrobenzylation);無水コハク酸によるアミノグループのアルキル化;及びピリドキサル−5−ホスフェート処理後、NaBH4で還元されたピリドキシレーション(pyridoxylation)のようなアミノグループの変形を含む。
【0051】
アルギニン残基のグアニジングループは、2,3−ブタンジオン、フェニルグリオキサル及びグリオキサルのような試薬によるヘテロ環縮合物の形成で変形され得る。カルボキシルグループは、O−acylisourea形成によりカルボジイミド活性をして、次いで誘導体化、例えば、アミド化に誘導体化して変形させることができる。
【0052】
sulfhydrylグループは、ヨード酢酸またはヨードアセトアミドによるカルボキシルメチレーション;システイン酸への過ギ酸酸化;他のチオール化合物による混合されたジスルフィドの形成;マレイミド、無水マレイン酸または他の置換マレイミドによる反応;4−クロロマーキュリーベンゾエート、4−クロロマーキュリーフェニルスルホン酸、フェニルマーキュリルクロライド、2−クロロマーキュリー−4−ニトロフェノール及び他の水銀剤を使用した水銀誘導体の形成;塩基pHにおいてシアネートによるカルバモイレーションのような方法により変形できる。システイン残基のいかなる変形も、ペプチドが必要とする二硫化結合を形成するに影響を与えてはいけない。また、システインのsulfhydrylグループは、セレニウム等価物で代替することができて、これにより、ペプチドには、一つ以上の二硫化結合位置にジセレニウム結合が形成できる。
【0053】
トリプトファン残基は、例えば、N−ブロモスクシンイミドによる酸化または2−ヒドロキシ−5−ニトロベンジルブロマイドまたはスルファニルハライドによるインドール環のアルキル化により変形され得る。一方、チロシン残基は、テトラニトロメタンを利用したニトロ化により変形されて、3−ニトロチロシン誘導体を形成させることができる。
【0054】
ヒスチジン残基のイミダゾール環の変形は、ヨード酢酸誘導体によるアルキル化またはジエチルピロカーボネートによるN−カルベトキシレーション(carbethoxylation)により行うことができる。
【0055】
プロリン残基は、例えば、4−位置におけるヒドロキシレーション(hydroxylation)により変形できる。
【0056】
本発明のN−タイプカルシウムチャネルに特異的に結合して、前記イオンチャネルを遮断する作用をする。チャネル遮断剤(blocker)のメカニズムは、孔(pore)遮断及びゲート変形作用に分けられるが、本発明のω−コノトキシンは、孔遮断剤である。
【0057】
本発明のω−コノトキシンペプチドは、多様な方法により製造できる。代表的に、遺伝子クローニング方法及び固相合成技術(solid-phase synthesis techniques)によりω−コノトキシンペプチドを製造することができる。
【0058】
遺伝子クローニング方法によると、 ω−コノトキシンペプチドをコーディングするヌクレオチド配列を、適合した宿主細胞に形質転換して発現して、 ω−コノトキシンペプチドを多量製造することができる(参照: Sambrook, J. et al., Molecular Cloning. A Laboratory Manual, 3rd ed. Cold Spring Harbor Press(2001))。
【0059】
また、本発明のω−コノトキシンペプチドは、当業界に公知された固相合成技術によって製造できる(Merrifield, J. Amer. Chem. Soc. 85:2149-54(1963); Stewart, et al., Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd. ed., Pierce Chem. Co.: Rockford, 111(1984))。
【0060】
本発明の好ましい具現例によると、一般式Iのω−コノトキシンは、アミド−変形C−末端(Cys残基)を有する。
【0061】
本発明のω−コノトキシンペプチドは、N-タイプカルシウムチャネルに対する遮断活性及び特異性に非常に優れているだけではなく、結合可逆性にも非常に優れている。
【0062】
本発明のω−コノトキシンは、炎症及び神経性痛みに対して優れた治療効能を有している。その反面、本発明のω−コノトキシンは、侵害性痛みに対し、鎮痛効果側面でより低く関連している。
【0063】
侵害性痛みは、外部の有害な刺激に対する反応メカニズムの一つであるため、過度に侵害性痛みを抑制することは好ましくない。優れた鎮痛薬の候補物質は、選択的に病理的疼痛の一種の炎症及び神経性痛みに対して緩和効能を示すということは、当業者に一般的に知られている事実である。
【0064】
このような観点で、本発明のω−コノトキシンは、有望な鎮痛剤の候補物質として注目すべきである。
【0065】
また、本発明のω−コノトキシンは、実施例に記載のように、N-タイプカルシウムチャネルに非常に改善された可逆性を有しながら、心血関係にはより低く影響を与える側面で、副作用をほとんど示さない。
【0066】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を含むω−コノトキシンペプチドをコーディングする核酸分子を提供する。
【0067】
本明細書において、用語‘核酸分子’は、DNA(gDNA及びcDNA)、そしてRNA分子を包括的に含む意味を有して、核酸分子において基本構成単位であるヌクレオチドは、天然のヌクレオチドだけではなく、糖または塩基部位が変形された類似体(analogue)も含む(Scheit, Nucleotide Analogs, John Wiley, New York(1980); Uhlman Peyman, Chemical Reviews, 90:543-584(1990))。
【0068】
本発明の好ましい具現例によると、前記ω−コノトキシン−コーディング核酸分子は、配列番号4のヌクレオチド配列を含む。
【0069】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を含むω−コノトキシンペプチドをコーディングする上述の本発明の核酸分子を含むベクターを提供する。
【0070】
本発明のベクターシステムは、当業界に公知の多様な方法を通じて構築することができ、これに対する具体的な方法は、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)に開示されており、この文献は、本明細書に参照として取り込まれる。
【0071】
本発明のベクターは、典型的にクローニングのためのベクターまたは発現のためのベクターとして構築され得る。また、本発明のベクターは、原核細胞または真核細胞を宿主として構築され得る。
【0072】
例えば、本発明のベクターが発現ベクターであって、原核細胞を宿主とする場合は、転写を進行させることのできる強力なプロモーター(例えば、tacプロモーター, lacプロモーター, lacUV5プロモーター, lppプロモーター, pLλプロモーター, pRλプロモーター, rac5プロモーター, ampプロモーター, recAプロモーター, SP6プロモーター, trpプロモーター及びT7プロモーターなど)、解読の開始のためのリボソーム結合座及び転写/解読終結配列を含むことが一般的である。宿主細胞としてE. coliが利用される場合、E. coliトリプトファン生合成経路のプロモーター及びオペレーター部位(Yanofsky, C., J. Bacteriol., 158:1018-1024(1984))、そしてファージλの左向プロモーター(pLλプロモーター, Herskowitz, I. and Hagen, D., Ann. Rev. Genet., 14:399-445(1980))が調節部位として利用できる。
【0073】
原核細胞に使用される従来の多いベクターは、当業者に知られており、適切なベクターを選択することができる。本発明に利用できる従来のベクターは、pSC101, pGV1106, pACY177, ColE1, pKT230, pME290, pBR322, pUC8/9, pUC6, pBD9, pHC79, pIJ61, pLAFR1, pHV14, pGEXシリーズ、pETシリーズ、pUC19, λgt4?λB, λ-Charon, λΔz1及びM13を含むが、これらに限定されるものではない。
【0074】
一方、本発明のベクターが発現ベクターであって、真核細胞を宿主とする場合は、哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオニンプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクチニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、及びHSVのtkプロモーター)が利用できて、一般に転写終結配列としてポリアデニル化配列を有する。商業的に販売されるウイルス−根拠ベクターの例は、pcDNA(Invitrogen;サイトメガロウイルスプロモーター及びポリアデニル化配列を含む)、pSI(Promega; SV 40プロモーター及びポリアデニル化配列を含む)、pCI(Promega;サイトメガロウイルスプロモーター及びポリアデニル化配列を含む)及びpREP7(Invitrogen; RSVプロモーター及びSV 40ポリアデニル化配列を含む)を含む。
【0075】
本発明のベクターは、それから発現されるω−コノトキシンの精製を容易にするために、他の配列と融合されることもある。融合される配列は、例えば、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(Pharmacia, USA)、マルトース結合タンパク質(NEB, USA)、FLAG(IBI, USA)及び6x His(hexahistidine; Quiagen, USA)などがある。
【0076】
本発明の好ましい具現例によると、前記融合配列が含まれているベクターにより発現された融合タンパク質は、親和性クロマトグラフィーにより精製される。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼが融合された場合は、この酵素の基質であるグルタチオンを利用することができ、6x Hisが利用された場合は、Ni-NTA His-結合レジンカラム(Novagen, USA)を利用して、所望のω-コノトキシンを迅速且つ容易に得ることができる。
【0077】
一方、本発明のベクターは、選択マーカーとして、当業界に通常的に利用される抗生剤耐性遺伝子を含み、例えば、アンピシリン、ゲンタマイシン、カルベニシリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲネチシン、ネオマイシン及びテトラサイクリンに対する耐性遺伝子がある。
【0078】
本発明の他の様態によると、本発明は、上述の本発明のベクターを含む形質転換体を提供する。
【0079】
本発明のベクターを安定して且つ連続的にクローニング及び発現させることができる宿主細胞は、当業界に公知されたものなら何でも利用でき、例えば、E. coli JM109, E. coli BL21(DE3), E. coli RR1, E. coli LE392, E. coli B, E. coli X 1776, E. coli W3110、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・チューリンゲンシス菌のようなBacillus属菌株、そしてネズミチフス菌(Salmonella Typhimurium)、セラチア菌(Serratia marcescens)及び多様なシュードモナス(Pseudomonas)種のような腸内菌と菌株などがある。
【0080】
また、本発明のベクターを真核細胞に形質転換させる場合は、宿主細胞として、イースト(Saccharomyce cerevisiae)、昆虫細胞及びヒト細胞(例えば、CHO細胞株(Chinese hamster ovary), W138, BHK, COS-7, 293, HepG2, 3T3, RIN及びMDCK細胞株)などが利用できる。
【0081】
本発明のベクターを宿主細胞内に運搬する方法は、宿主細胞が原核細胞である場合、CaCl2方法(Cohen, S.N. et al., Proc. Natl. Acac. Sci. USA, 9:2110-2114(1973))、ハナハン方法(Cohen, S.N. et al., Proc. Natl. Acac. Sci. USA, 9:2110-2114(1973); 及びHanahan, D., J. Mol. Biol., 166:557-580(1983))及び電気穿孔法(Dower, W.J. et al., Nucleic. Acids Res.,16:6127-6145(1988))などによって行うことができる。また、宿主細胞が真核細胞である場合は、微細注入法(Capecchi, M.R., Cell, 22:479(1980))、カルシウムホスフェート沈殿法(Graham, F.L. et al., Virology, 52:456(1973))、電気穿孔法(Neumann, E. et al., EMBO J., 1:841(1982))、リポソーム−媒介形質感染法(Wong, T.K. et al., Gene, 10:87(1980))、DEAE-デキストラン処理法(Gopal, Mol. Cell Biol., 5:1188-1190(1985))、及び遺伝子ボンバードメント(Yang et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 87:9568-9572(1990))などにより、ベクターを宿主細胞内に注入することができる。
【0082】
宿主細胞内に注入されたベクターは、宿主細胞内で発現できて、このような場合は、多量のω−コノトキシンが得られる。例えば、前記発現ベクターがlacプロモーターを含む場合は、宿主細胞にIPTGを処理して、遺伝子発現を誘導することができる。
【0083】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、(a)上述の本発明のω-コノトキシンペプチドの治療学的有効量と、(b)薬剤学的に許容される担体とを含む、N-タイプカルシウムチャネル異常(disorder)−関連疾患の治療または予防用薬剤学的組成物を提供する。
【0084】
本発明の他の様態によると、本発明は、(a)上述の本発明のω-コノトキシンペプチドの治療学的有効量と、(b)薬剤学的に許容される担体とを含むN-タイプカルシウムチャネル異常(disorder)−関連疾患の治療または予防用薬剤学的組成物を、治療を必要とする対象に投与する段階を含む、N-タイプカルシウムチャネル異常(disorder)−関連疾患の予防または治療方法を提供する。
【0085】
本発明の他の様態によると、本発明は、N-タイプカルシウムチャネル異常(disorder)−関連疾患の治療または予防用薬剤を製造するための、本発明のω-コノトキシンの用途を提供する。
【0086】
本発明の薬剤学的組成物は、上述の本発明のω-コノトキシンペプチドを有効成分として利用するため、その共通の内容は、本明細書の過度なる複雑性を避けるために、その記載を省く。
【0087】
本発明の薬剤学的組成物は、N-タイプカルシウムチャネルに異常(disorder)が発生して招来される多様な疾患または疾病の治療または予防に利用できる。N-タイプカルシウムチャネル異常(disorder)−関連疾病、疾患または状態は、N-タイプカルシウムチャネルの異常(disorder)または好ましくない活性により招来される。
【0088】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の薬剤学的組成物により治療または予防できる疾病、疾患または状態は、神経病性痛み、糖尿末梢神経障害、疱疹後神経痛、三次神経痛、AIDS関連神経病症、ガン痛み、炎症痛み、骨関節炎痛み、リウマチ性関節炎痛み及び線維筋痛症のような慢性的痛み;急性痛み;手術後痛み;気分障害;一般的不安障害、社会不安障害、パニック障害、強迫性障害と外傷後ストレス障害のような不安障害;うつ病;コカイン依存及び禁断、オピオイド依存及び禁断、アルコール依存及び禁断、及びニコチン依存及び禁断のような中毒障害;炎症性腸疾患及び過敏性大腸症候群のような胃腸関係疾患;尿失禁、侵入性大腸炎及び性機能障害のような泌尿器系疾患;そして、発作、脳血管異常、脳または脊髄の傷害、心筋梗塞、物理的傷害、窒息、出産時窒息、周期的仮死または低血糖異常関連神経毒性(neurotoxic)のような低酸素症、酸素欠乏症または虚血による神経毒性を含む。
【0089】
本発明の最も好ましい具現例によると、本発明の薬剤学的組成物は、傷みの緩和(または軽減)に利用される。特に、薬剤学的組成物は、侵害性傷みよりは炎症または神経病症痛みに投与される。
【0090】
本発明の薬剤学的組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常的に利用されるもので、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の薬剤学的組成物は、前記成分の他に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含むことができる。適した薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences (19th ed., 1995)に詳細に記載されている。
【0091】
本発明の薬剤学的組成物は、経口または非経口で投与することができ、非経口で投与される場合は、脊髄注入、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、経皮投与などにより投与できる。
【0092】
本発明の薬剤学的組成物の適合した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応感応性のような要因により様々であり、普通に熟練した医者は、目的する治療に効果的な投与量を容易に決定及び処方することができる。本発明の好ましい具現例によると、本発明の薬剤学的組成物の1日投与量は、0.0001〜100mg/kg(体重)である。本発明で用語‘治療学的有効量’は、上述のN−タイプカルシウムチャネル異常−関連疾患を治療するに十分な量を意味する。
【0093】
本発明の薬剤学的組成物は、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できる方法により、薬剤学的に許容される担体及び/または賦形剤を利用して製剤化することにより、単位容量形態に製造されるか、または多用量容器内に入れて製造できる。この際、剤形は、オイルまたは水性媒質中の溶液、懸濁液または乳化液の形態であるか、エキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤またはカプセル剤の形態であってもよく、分散剤または安定化剤をさらに含むことができる。
【0094】
本発明の薬剤学的組成物は、N−タイプカルシウムチャネルに対する遮断活性及び特異性に非常に優れているだけではなく、結合可逆性にも非常に優れている。さらに、本発明の薬剤学的組成物は、N-タイプカルシウムチャネル異常(disorder)、好ましくは、痛み関連の多様な疾患の治療に非常に有効である。また、本発明の薬剤学的組成物は、N-タイプカルシウムチャネルへの結合可逆性を非常に増加させながら、実施例に記載のように、心血関係に与える影響が低いという点で副作用が少ない。
【0095】
このような観点で、本発明の薬剤学的組成物は、薬剤候補物質、特に、鎮痛剤候補薬物として期待できる。
【発明の効果】
【0096】
詳述のように、本発明の方法によると、可逆性が不良で臨床的適用に限界があった従来のω−コノトキシンの可逆性を大きく改善させることができる。また、本発明のω−コノトキシンペプチドは、N−タイプカルシウムチャネルに対する遮断活性及び特異性に非常に優れているだけではなく、結合可逆性にも非常に優れており、よって、副作用の心配なく臨床的に人体に適用することができる。一方、本発明の薬剤学的組成物は、N−タイプカルシウムチャネル異常(disorder)−関連疾患の治療に非常に有効であって、特に、痛み緩和または軽減に優れた効能を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1A】図1A及び1Bは、線形、環形化(図1A)及び精製FVIA(図1B)の逆相HPLCクロマトグラフィーを示す。環形化条件:線形ペプチド0.02mM, GSSS 0.1mM, GSH 1mM, 1mM EDTA, 50mM NH4OAc, 及び1M(NH4)2SO4(pH 7.8)
【図1B】図1A及び1Bは、線形、環形化(図1A)及び精製FVIA(図1B)の逆相HPLCクロマトグラフィーを示す。環形化条件:線形ペプチド0.02mM, GSSS 0.1mM, GSH 1mM, 1mM EDTA, 50mM NH4OAc, 及び1M(NH4)2SO4(pH 7.8)
【図2A】図2A及び2Bは、本発明のFVIA(2A)及びアナログペプチド(2B)のCDスペクトルである。5個の主要な二次構造(α-ヘリックス、反対平行β−シート、平行β−シート、β−ターン及びランダム構造)に対する二次構造スペクトルに基づき、FVIAは、β−ターン構造または反対平行β−シート構造を有していることが分かる。FVIAの二次構造は、酸化的フォルディングにより好適に形成された[18]。図2Bにおいて、Dアナログ、LMアナログ、FMキメラ及びMFキメラは、表4におけるFVIA[N14D], FVIA[I11L, A12M], キメラ-FMFF及びキメラ-MFMMとそれぞれ一致する。
【図2B】図2A及び2Bは、本発明のFVIA(2A)及びアナログペプチド(2B)のCDスペクトルである。5個の主要な二次構造(α-ヘリックス、反対平行β−シート、平行β−シート、β−ターン及びランダム構造)に対する二次構造スペクトルに基づき、FVIAは、β−ターン構造または反対平行β−シート構造を有していることが分かる。FVIAの二次構造は、酸化的フォルディングにより好適に形成された[18]。図2Bにおいて、Dアナログ、LMアナログ、FMキメラ及びMFキメラは、表4におけるFVIA[N14D], FVIA[I11L, A12M], キメラ-FMFF及びキメラ-MFMMとそれぞれ一致する。
【図3】MVIIA(パネルA)及びFVIA(パネルB)の処理量−抑制曲線である。処理量の範囲は、0.1nM乃至1μMである。曲線の形態は、S字形であり、0.1μMから飽和される傾向を示す。MVIIA及びFVIAのIC50値は、それぞれ7.96±1.59nM及び11.5±1.4nMであった。
【図4】MVIIA(パネルA)及びFVIA(パネルB)の電流−電圧曲線である。これは、水平的曲線シフティング無しに電流遮断を示す。
【図5】FVIA及びMVIIAの回復(recovery)曲線である。実線矢印は、1μMのコノトキシン注入を示し、点線矢印は、緩衝液で洗浄(washing-out)を示す。
【図6】FVIAで観察される連続的及びミディアム範囲NOE連係性(connectionvities)、3NH-CαHカップリング及び徐々に交換されるバックボーン陽性子を要約した図面である。構造的変数は、ω-コノトキシンFVIAの配列特異的指定及び2次構造要素の究明に利用された。NOEsは、黒いバーの高さによって、強、中間、弱及び極弱に別れる。3NH-CαHカップリング常数の値は、黒い円(≧8Hz)及び白い円(≦5.5Hz)で記載されている。化学的変位は、−1、0及び+1の値で3元のインデックスで示されている。−1及び+1は、それぞれ0.1p.p.m.アップフィールド及びダウンフィールドより大きいランダム−コイル値からの変位偏差を示す。ランダム−コイル値の範囲内は、0で表示されている。
【図7A】図7A及び7Bは、FVIA及びMVIIAバックボーン構造間の比較(7A)及び可逆性において、FVIA及びMVIIAの有効な残基位置を示す。図7Bにおいて、ボックスは、活性においてMVIIAの必須残基を示す。
【図7B】図7A及び7Bは、FVIA及びMVIIAバックボーン構造間の比較(7A)及び可逆性において、FVIA及びMVIIAの有効な残基位置を示す。図7Bにおいて、ボックスは、活性においてMVIIAの必須残基を示す。
【図8A】図8A及び8Bは、テール−フリック試験(8A)、プランタル試験(8B)に対するFVIAの鎮痛効果を示す。回避反応を示す時間を測定した。
【図8B】図8A及び8Bは、テール−フリック試験(8A)、プランタル試験(8B)に対するFVIAの鎮痛効果を示す。回避反応を示す時間を測定した。
【図9A】図9A〜9Cは、グルタメート(9A)とサブスタンスP(9B)の脊髄注入、アセト酸の腹腔投与(9C)で誘導された痛み反応に対するFVIAの鎮痛効果の試験結果を示すグラフである。頂点のバーは、平均の標準誤差を示して、*は、対照群と比較したP値を示す。(*P<0.05, **P<0.01, ***P<0.001)
【図9B】図9A〜9Cは、グルタメート(9A)とサブスタンスP(9B)の脊髄注入、アセト酸の腹腔投与(9C)で誘導された痛み反応に対するFVIAの鎮痛効果の試験結果を示すグラフである。頂点のバーは、平均の標準誤差を示して、*は、対照群と比較したP値を示す。(*P<0.05, **P<0.01, ***P<0.001)
【図9C】図9A〜9Cは、グルタメート(9A)とサブスタンスP(9B)の脊髄注入、アセト酸の腹腔投与(9C)で誘導された痛み反応に対するFVIAの鎮痛効果の試験結果を示すグラフである。頂点のバーは、平均の標準誤差を示して、*は、対照群と比較したP値を示す。(*P<0.05, **P<0.01, ***P<0.001)
【図10A】図10A及び10Bは、足裏内5%ホルマリン注入で誘導された痛みに対するFVIAの鎮痛効果を示すグラフである。図10Bは、FVIAの濃度依存的な試験結果を示す。頂点のバーは、平均の標準誤差を示し、*は、対照群と比較したP値を示す。(*P<0.05, **P<0.01, ***P<0.001)
【図10B】図10A及び10Bは、足裏内5%ホルマリン注入で誘導された痛みに対するFVIAの鎮痛効果を示すグラフである。図10Bは、FVIAの濃度依存的な試験結果を示す。頂点のバーは、平均の標準誤差を示し、*は、対照群と比較したP値を示す。(*P<0.05, **P<0.01, ***P<0.001)
【図11A】図11A及び11Bは、左足に通じる神経の部分損傷により誘導された神経病症性痛みモデルにおける0.1ngの脊髄投与FVIAの鎮痛作用に対するグラフであり、図11Bのグラフは、図11Aの結果に対応する%MPEを示す。
【図11B】図11A及び11Bは、左足に通じる神経の部分損傷により誘導された神経病症性痛みモデルにおける0.1ngの脊髄投与FVIAの鎮痛作用に対するグラフであり、図11Bのグラフは、図11Aの結果に対応する%MPEを示す。
【図12A】図12A〜12Cは、尻尾に通じる神経の部分損傷により誘導された神経病症性痛みモデルにおけるFVIAの鎮痛作用に対するグラフである。神経損傷114日後、機械的異痛に対するFVIAの効果(12A)、冷異痛に対するFVIAの効果(12B)及び温異痛に対するFVIAの効果(12C)を示す。*は、FVIA投与直前の数値と比較し、P<0.05である場合に表記する。右側グラフは、図12A〜12Cの結果に対応する%MPEグラフである。
【図12B】図12A〜12Cは、尻尾に通じる神経の部分損傷により誘導された神経病症性痛みモデルにおけるFVIAの鎮痛作用に対するグラフである。神経損傷114日後、機械的異痛に対するFVIAの効果(12A)、冷異痛に対するFVIAの効果(12B)及び温異痛に対するFVIAの効果(12C)を示す。*は、FVIA投与直前の数値と比較し、P<0.05である場合に表記する。右側グラフは、図12A〜12Cの結果に対応する%MPEグラフである。
【図12C】図12A〜12Cは、尻尾に通じる神経の部分損傷により誘導された神経病症性痛みモデルにおけるFVIAの鎮痛作用に対するグラフである。神経損傷114日後、機械的異痛に対するFVIAの効果(12A)、冷異痛に対するFVIAの効果(12B)及び温異痛に対するFVIAの効果(12C)を示す。*は、FVIA投与直前の数値と比較し、P<0.05である場合に表記する。右側グラフは、図12A〜12Cの結果に対応する%MPEグラフである。
【図13】100μgのFVIAとMVIIAを静脈投与した後の平均動脈圧(MAP)を示すグラフである。頂点のバーは、平均の標準誤差を示し、*は、対照群と比較したP値を示す(*P<0.05, **P<0.01, ***P<0.001)
【発明を実施するための形態】
【0098】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことであろう。
【実施例】
【0099】
実験材料及び実験方法
毒素物質の抽出及びシーケンシング
イモガイ(Conus Flavidus)を大韓民国ゼジュ島の海岸で収集した。毒素管、歯舌嚢及びバルブ内容物を30%アセト酸/水で抽出して遠心分離した。上澄み液を凍結乾燥させて、使用前に−20℃で貯蔵した。毒素粗抽出物の一部を半−精製RP-HPLCカラム(25x250mm C18, shimpack)にローディングして、1%溶媒Bの線形濃度勾配(溶媒A 100% H2O、溶媒B 0.1%トリフルオロアセト酸を含む100%アセトニトリル)で14ml/minの速度で65分間溶出して分画化した。毒素粗抽出物が8個分画に分かれて、3番目及び5番目分画をRP-HPLCでさらに精製した。ペプチドの分子量は、MALDI-MS(Shimadzu)を利用して決定した。α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸をマトリックスとして試料を用意した。アンジオテンシンを利用して外部補正(calibration)をした。
【0100】
精製されたペプチドを40mM DTT及び50mMアンモニウムバイカーボネートpH 7.5(50℃, 30 min)の存在下で還元させた後、1M 4-ビニルピリジンを添加して、室温で1時間アルキル化反応を進行した。アルキル化ペプチドをRP-HPLCで再精製した後、Procise 491タンパク質シーケンシングシステム(Applied Biosystems)を利用して、Edman方法によってペプチドのアミノ酸配列を決定した。
【0101】
ゲノムDNAの分離
イモガイの凍結組織(0.1g)を細胞溶解緩衝液及びグアニジウムチオシアネート/EDTA/サルコシル(GES)試薬の1mlに添加して、ガラス均質器でグラインディングした。混合物を室温で13,000rpmで15分間遠心分離した後、上澄み液をフェノール及びクロロホルムで抽出した。次いで、抽出液を4℃で13,000rpmで15分間遠心分離した後、無色の上部水溶液層を新しいチューブに移し、同一容量のイソプロパノールを添加してDNAを沈殿させて、微小遠心分離機で13,000rpmで10分間遠心分離した。形成されたペレットを70%エタノールで洗浄して、乾燥した後、ペレットを10mM Tris-HCl(pH8.5)50μlで再懸濁した。
【0102】
ゲノムDNAのPCR増幅
本発明のコノペプチド遺伝子を、ゲノムDNAを鋳型として、Taq DNA重合酵素を利用して増幅した。使用されたプライマーの中、5’−プライマーは、ω−コノトキシンプレプロペプチドのトキシン部位の前にある保存性イントロン部分の3’-末端の配列に基づいてデザインした:5'-CTCTCTCTCTCTCTGCTGGAC-3'。3’-プライマーは、ω-コノトキシンプレプロペプチドの3' UTR配列に基づいてデザインした。: 5'-CAGAAAAGGATAGAGCACAGAAGG-3'。PCR温度サイクリングは、94℃, 30 sec, 55℃, 30 sec及び70℃, 45 secの35サイクルを含む。
【0103】
前記PCR過程で得られたDNA断片を、High Pure PCR産物精製キット(Roche Diagnostics)を利用して精製した。精製したDNA断片をpGEM T-easy ベクター(Promega)に連結した後、大腸菌(JM109)に電気穿孔法(electroporation)を利用して形質転換させた。形質転換菌株をアンピシリンが添加されたLBプレートに塗抹して、37℃で24時間培養し、形質転換されたコロニーを選別した。選別されたコロニーを培養し、プラスミドを分離してEcoRI制限酵素で切断した後、約300〜400bpのDNA断片を有しているプラスミドを塩基配列分析に利用した。
【0104】
塩基配列の決定
前記過程でクローニングされた神経毒素cDNAの塩基配列は、ABI PRISM 377 Automated DNA Sequencer(PERKIN ELMER)を利用して分析した。塩基配列分析後、ベクターとプライマー部分を除去して、翻訳(translation)過程を通じてアミノ酸配列に転換した後、ω-コノトキシン特有のシステイン配列を有するヌクレオチド配列をイモガイの神経毒素遺伝子として決定した。
【0105】
ペプチド合成
Applied Biosystems model 433Aペプチド合成機を利用して、ペプチド合成を行った。Fmoc-NH2-アルコレジンから始めて、多様なアミノ酸保護基を利用し、固相Fmoc化学によって、FVIAの線形前駆体を合成した。トリフルオロアセト酸で切断した後、線形のペプチドを2Mアセト酸で抽出し、0.3Mアンモニウムアセテート、0.5Mグアニジン-HCl及び2mM還元/0.2mM酸化型グルタチオンの溶液であって、NH4OH水溶液でpH 8.0に調整された溶液で最終濃度20μMに希釈した後、5日間4℃で徐々に攪拌した。フォルディング反応は、HPLCでモニタリングした。酸化された産物を、CM-セルロースCM-52及びC18 シリカカラム付きprep HPLCで精製した。FVIAの純度は、分析用HPLC及びMALDI-TOF-MS測定で確認した。
【0106】
CD測定
1mmのパス長さの石英セルのあるJASCO J-710スペクトロポラリメータを利用して、190〜250nmで0.05mMの濃度の溶液(0.01Mリン酸ナトリウムin H2O, pH 7.0)で、20℃でCDスペクトルを測定した。20nm/minのスキャン速度で平均4スキャンでスペクトルを得た。スペクトルは、deg.cm2.dmol-1 単位を有する分子楕円率[θ]で表現される[18, 19]。
【0107】
カルシウムチャネル電流の電気生理学的測定
電気生理学的測定は、室温で全体−セルパッチ−クランプ技術を利用して行った。3〜4MΩの抵抗を有するボロシリケートガラス電極をSylgardでコーティングした。N-タイプCa2+ 電流を測定するために、標準全体-セルパッチ-クランプ方法を利用した。N-タイプCa2+ 電流を測定するために、内部溶液の組成は、130mM KCl, 11mM EGTA, 10mM Hepes及び5mM Mg-ATP(pH 7.4)として、外部溶液の組成は、140mM NaCl, 2mM CaCl2, 10mMグルコース及び10mM Hepes(pH 7.4)とした。電流測定は、EPC-9アンプ及びPulse/Pulsefitソフトウェアプログラム(HEKA, Germany)を利用して行った[20]。
【0108】
回復(Recovery)測定
-80mVのホールディングポテンシャルから0mVまで200-ms電圧ステップで電流を発生させた。ペプチドは、測定溶液に希釈されて、分当たり2mlの速度で潅流された。洗浄測定は、5分間電流が安定するまで測定されて、洗浄の間に電流を測定した。ペプチド毒素を最初のトレース(対照群)以前に添加した。毒素の洗浄の間、同一なセルで電流を測定した。電流記録は、15-s間隔にした。
【0109】
NMR測定
NMRスペクトルは、Bruker AVANCE 600スペクトロメータを利用して得た。NMR実験のための試料は、pH 3.5の90% H2O/10% 2H2Oまたは99.96% 2H2Oに溶解された7mM FVIAであった。全ての2次元NMR実験、即ち、DQF-COSY, E-COSY, HOHAHA及びNOESYを、標準パルスシーケンス及びフェーズ(phase)サイクリングを利用して、288K及び298Kの温度で行った[21, 22]。HOHAHAスペクトルを80ms及び100msのミキシング時間で得た。NOESYスペクトル[23, 24]を100ms, 150ms及び250msのミキシング時間で得た。NOESY及びTOCSY測定で溶媒共鳴の制限(constraints)は、WATERGATEスキームを利用してなされた[25]。DQF-COSY [26]及びPE-COSY [27]スペクトルは、それぞれ捻れ角及びステレオ特異的アサインメントに対するコンストレイントを得るために記録された。この場合、溶媒共鳴は、リラクセーション遅延時間の間、選択的照射により制限された。Acquisitionのためのデータの大きさは、DQF-COSY及びPE-COSYに対して512(t1)×8192(t2)であって、そうではない場合は、512×2048であった。徐々に交換されるバックボーンアミド陽性子は、TOCSYスペクトルを通じて分析されて、このスペクトルは、99.96% 2H2Oで2hr 30min, 5hr, 7hr 30min, 10hr及び24hrの時間スケールで記録された。内部標準物質として利用されたTSPのメチル共鳴を参照して化学的変位を分析した。2次元スペクトルの完全なセットを288K及び298K(pH 3.5)で記録した。
【0110】
Bruker XWIN-NMRソフトウェアを利用してスペクトルをプロセッシングして分析した。相-変位されたsine-squared window関数をFourier変換前に適用した。PE-COSYを除いて、最終マトリックス大きさは、2048×2048リアルポイントであった。高解像DQF-COSY及びPE-COSYスペクトルを1024×8192にストリップ変換した。
【0111】
構造計算
Contouring levelに基づきクロス−ピーク強度を定量化した。観察されたNOEデータは、四つのディスタンス範囲に分類した:1.8-2.7, 1.8-3.5, 1.8-5.0及び1.8-6.0Å、これはそれぞれ、強、中間、弱及び極弱NOE値に該当する。シュード-原子(Pseudo-atoms)をメチル陽性子または非-ステレオ特異的アサインメントメチレン陽性子に対して利用した。Pseudo-原子の利用に対する補正因子をディスタンス制限(constraints)に追加した[28]。また、0.5Åをメチル陽性子を含むディスタンス制限を追加した[29]。それぞれの二硫化結合に対して、3個のディスタンス制限、S(i)-S(j), S(i)-Cβ(j)及びS(j)-Cβ(i)を利用して、これはそれぞれ2.02(±0.02), 2.99(±0.5)及び2.99(±0.5)Åのターゲット値セットを有する[30]。
【0112】
構造バックボーンNH-CαHカップリング常数をDQF-COSYスペクトルから決定して、これを次の規則によってバックボーン捻れ角Φ制限に転換した: 5.5 Hz以下の3JNH-CαHに対して、Φ角は-65±25°の範囲に制限されて、8.0 Hz以上の3JNH-CαHに対して、Φ角は-120±40°の範囲に制限される[31, 32]。バックボーン二面角制限は、5.5-8.0Hzの値を有する3JNH-CαH に対しては適用しなかった。χ1分岐鎖捻れ角制限の範囲及びプロキラルβ-メチレン陽性子のステレオ特異的アサインメントは、内部残基NH-CβH NOEsが結合された3Jαβ カップリング常数を利用して得た[33]。3Jαβカップリング常数は、2H2O内PE-COSYスペクトルから決定した。Cα-Cβ結合周囲のt2g3, g2g3 及びg2t3構造に対して、χ1分岐鎖捻れ角を-60±30°, 60± 30°及び180±30°の範囲に制限した[34]。徐々に交換されるアミド陽性子に対する水素結合受容体を、予備的な計算された構造を分析して究明した[35, 36]。水素結合の距離制限を、NH(i)-O(j)に対して1.8〜2.3Åのターゲット値、N(i)-O(j)に対して2.8〜3.3Åのターゲット値として追加した。
【0113】
X-PLOR 3.851プログラムを利用するSGI O2ワークステーション上で運営されるX-PLOR 3.1プログラムを利用して全ての計算を行った[37]。ランダム化バックボーンΦ及びΨ捻れ角を有する鋳型構造から始まる動力学的模造のアニーリングプロトコールから実験的に得た距離及び捻れ角制限に基づいて、3次元構造を計算した。
【0114】
構造の評価
最も低いエネルギー及び最も小さいLennard-Jonesファンデルワールスエネルギーを有する少なくとも20個の構造を選択した。計算された構造の収斂は、構造変数で評価した。実験的距離及び二面角制限、エネルギー統計(FNOE, Ftor, Frepel 及びEL-J)及び理想化幾何学からRMS偏差があった。PROCHECK_NMR [38], PROMOTIF_NMR [39]及びMOLMOLプログラム[40]を利用して構造を分析した。最終収斂構造においてバックボーン二面角の分布を、Ramachandran二面角パターンで評価して、これは、許容(Φ, Ψ)角限界からの偏差を示す。収斂構造において、角変異の程度を角順序変数を利用して評価した[5, 41]。アミノ酸残基の分岐鎖に対する溶媒接近性表面積を1.4Åの溶媒半径をもって計算した。
【0115】
FVIAの部位特異置換体の製造、カルシウムチャネル抑制活性及び回復度分析
上述のペプチド合成方法によって、下記表5のアミノ酸配列を有するFVIAの部位特異置換体を合成した。製造されたFVIA置換体のカルシウムチャネル抑制活性及び回復度は、上述の実験方法と同様に行った。
【0116】
鎮痛作用に対する動物実験
1.実験動物
体重23-25gのICRマウス(IcrTacSam:ICR, MJ Co., 大韓民国)を実験に使用した。実験動物は、ケージ当たり5匹ずつ分配して、温度(22± 2℃)と湿度(30-50%)を維持した状態で24時間の適応時間を与えて、水と飼料は自由給食した。全ての実験動物は、痛み実験前、環境に適応するために少なくとも2時間の適応時間を与えて、実験の誤差を減らすために、昼間(10:00-17:00)だけ実験を行った。
【0117】
2.脊髄腔内FVIA注射
脊髄腔内投与方法は、上述した方法[50,51]によって実施し、30ゲージ針付き25μlハミルトン注射器を使用した。脊髄腔内注射する試料の量は、1%メチレンブルー溶液を注射して、脊髄が染色される程度をみて決定した。本発明者らは、脊髄腔内注射液を5μlとし、FVIAを0.01μg/5μlの濃度として注射した。
【0118】
3.テール−フリック試験(Tail-flick test)
実験5分前に、マウスにFVIAペプチド(0.01μg/5μl)5μlを脊髄腔内に処理した。対照群は、生理的食塩水だけを処理した。テール−フリック試験は、モデルTF6テールフリック装置(EMDIE Instrument Co., Maidens VA)を使用して行った。
【0119】
マウスの胴体を片手で固定した後、尻尾を揃えて、強度3.8の熱の強度で尻尾の下端部に光を照射した。光を照射する時間から尻尾がぱちぱち弾けるように動くまでの時間を記録した。
【0120】
4.プランタル試験(Plantar test)
実験5分前に、マウスにFVIAペプチド(0.01μg/5μl)5μlを脊髄腔内に処理した。プランタル試験は、熱プランタル装置(Plantar test 7371, Ugo Basile,イタリア)を使用して行って、熱痛み閾値(thermal pain threshold)を測定した。実験前に、マウスをチャンバにおいて周辺環境に適応させた。マウスの左側足裏に強度90mWatt/cm2の光を照射して、マウスに熱刺激を与えた。光を照射する時間から足裏をぱちぱち弾けるように動くまでの時間(latency of paw withdrawal)を記録した。
【0121】
5.Writhingテスト(内臓痛再演)
実験5分前に、マウスにFVIAペプチド(0.01μg/5μl)5μlを脊髄腔内に処理した後、生理食塩水(0.9% NaCl)内の1.0%アセト酸溶液250μlをマウスの腹腔内注射(intraperitoneal injection)して、30分間マウスのwrithing(苦悶動作)回数を測定した。
【0122】
6.グルタメート誘導痛み試験(Glutamate-induced nociceptive test)
実験5分前に、マウスにFVIAペプチド(0.01μg/5μl)5μlを脊髄腔内に処理した。その後、マウスをグルタメート(20μg/5μl)注入前、少なくとも30分間観察チャンバに適応させた。マウスにグルタメート(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO, 米国)を脊髄投与した後、透明観察チャンバ(アクリル-プラスチック, 20cm高さ, 20cm直径)に置いて、侵害性痛み行動反応を30分間記録した。脊髄の腰と尻尾部分に向いてのlicking、引っ掻き、噛みつきの累積反応時間を測定する。
【0123】
7.サブスタンスP誘導痛み試験(Substance P-induced nociceptive test)
実験5分前に、マウスにFVIAペプチド(0.01μg/5μl)5μlを脊髄腔内に処理した。その後、マウスをサブスタンスP(0.7μg/5μl)注入前、少なくとも30分間観察チャンバに適応させた。マウスにサブスタンスP(Tocris Cookson Ltd., Bristol, 英国)を脊髄投与した後、透明観察チャンバ(アクリル-プラスチック, 20cm高さ, 20cm直径)に置いて、侵害性痛み行動反応を30分間記録した。脊髄の腰と尻尾部分に向いてのlicking、引っ掻き、噛みつきの累積反応時間を測定する。
【0124】
8.ホルマリン試験(神経病症性痛みのメカニズム研究に重要)
ホルマリン試験は、Hunskaarらが提案した方法によって行った[52]。要約すると、実験5分前に、マウスにFVIAペプチド(0.01μg/5μl)5μlを脊髄腔内に処理した。その後、動物実験の度に、生理食塩水(0.9% NaCl)に5.0%ホルマリン溶液を新しく製造して、マウスの後ろの左足に10μlを皮下注射した。注射後、直ちにアクリル観察チャンバ(20cm高さ, 20cm直径)のマウスに対する、第1期:0〜5分及び第2期:20〜40分(総40分)間マウスが行動(後ろの左足を噛みついたり、なめたり、震えたりするなどの行動)をとる時間をストップワッチタイマーで測定した。
【0125】
神経病症性痛みに対する鎮痛作用I.左足神経損傷モデル
1.実験動物及び神経病症性痛み誘発モデル
この研究のための動物実験は、世界痛症研究学会(International Association for the Study of Pain)の倫理規定及びソウル大学校歯科大学動物実験倫理規定によって行われた。実験動物は、初期体重150〜200gの雄性Sprague-Dawleyラット(Orient Bio Co.,韓国)を対象とし、12時間の光周期性を維持して、4〜5匹ずつ敷藁のあるケージに飼育した。痛み行動検査は、一定温度(20〜24℃)及び一定湿度(40〜60%)を維持した環境で、一定時間(午前10時〜午後5時)に行った。
【0126】
KimとChungの方法[53]を利用して神経病症性痛みモデルを製作した。要約すると、ラットをenflurane(2〜3vol%)吸入麻酔下で脊椎の正中線を切開した後、第5番及び6番腰髄神経を露出させて、5-0シルク縫合糸で固く結紮した。生理食塩水で灌注して、止血した後、筋肉と皮膚を再び縫合した。モデル製作後、1,4,7及び14日目に痛み反応検査を行って、50%回避閾値が2.0g以下の痛みが確実に発生したラットを対象に、脊髄腔内にカテーテルを挿入した。
【0127】
2.脊髄腔内カテーテルの挿入(intrathecal catheterization)
カテーテル挿入は、Yakshらの方法[54]によって行った。要約すると、ラットを吸入麻酔誘導した後、立体定位器(stereotaxic frame)に両側外耳道をかけて伏臥位に固定した後、マスクを通じてenflurane麻酔ガスを供給しながら、後頭骨と第1頸椎との間の硬膜を露出させて、硬膜を切開した後、ポリエチレンカテーテル(PE-10)を8cm挿入して、腰膨大部(lumbar enlargement)まで挿入し、よく固定した後、さらに5cm長さを確保し(後でhamiltone注射器を利用した薬物注入路に使用)、筋肉と皮膚を縫合した後、麻酔から回復させた。カテーテル挿入5日後、神経学的欠損がなくて、1%リドカイン10μLを注射した後、後足の運動麻痺を示すラットを対象に、リドカイン注射の翌日からコノトキシン投与実験に使用した。
【0128】
3.機械的刺激に対する痛み検査
機械的刺激に対する痛み回避反応は、鉄網上にのせたチャンバ(8×8×18cm)に対象ラットを入れて、30分間安定させた後、測定した。痛み行動検査前、補正したvon Freyフィラメント(0.41, 0.70, 1.20, 2.00, 3.63, 5.50, 8.50及び15.14g)の中、2.00gから始めてup & down方法[55,57]によって鉄網の目を通じて足裏に刺激を加え、痛み行動を観察した。神経結紮前、1週間3回行った痛み行動検査で、3回とも50%回避閾値が15.14g以上であったラットを対象にした。
【0129】
神経病症性痛みにおける鎮痛作用II.尻尾神経損傷モデル
1.実験動物及び神経病症性痛み誘発手術
ラット(Sprague-Dawley, 150-200 g)雄性を実験動物として使用した。実験動物をケージ当たり4匹ずつ入れて、12時間間隔の日照周期(light-dark cycle, 光は午前7時から)下で、22〜25℃を維持しながら餌と水を自由に与えて飼育した。
【0130】
1−1.神経病症性痛みの誘発
ラット(Sprague-Dawley, 150-200g)雄性を4%enfluraneと95%酸素の混合ガスで麻酔を誘導した後、手術の全過程に渡って2〜3%enfluraneと95%酸素混合ガスで麻酔を維持させた。尻尾に神経病症性痛みを誘発するために、ラットの尻尾に分布する上、下尾幹(superior, inferior caudal trunk)を露出させて、第1、2仙骨神経間で周辺組織を注意して除去及び切断した。トランクの隣接及び末梢部の末端が互いに結合する可能性を防ぐために、トランクの約2mmを隣接末端から除去した。このような外科手術は、尻尾側の上、下尾幹を通じて尻尾の第1脊髄神経刺激伝達を落とす[56]。
【0131】
1−2.神経病症性痛み行動検査
全ての行動検査は、薬剤投与の有無を知らない研究者によって盲検法(blind study)で行った。
【0132】
1−2−1.機械的異痛症(mechanical allodynia)測定のための行動検査
ラットを丸いアクリルケージ(5.5×15, 6.5×18cm, 体の大きさに合わせて使用)に入れて、尻尾だけを外に取り出した後、板上にのせた。機械的異痛に対する測定は、様々なvon Frey hair(0.4, 0.6, 1.0, 2.0, 4.0, 6.0, 8.0, 15.0g)を利用して、Up-Down方式[55,57]で尻尾を刺激し、50%回避反応を示すvon Frey hairのグラム(g)を算定する方式で行った。神経損傷前と比較して、統計的に有意に回避反応閾値が減少したものを機械的異痛が発生したと判定した。
【0133】
1−2−2.冷異痛(cold allodynia)測定のための行動検査
ラットを丸いアクリルケージに入れて、尻尾だけ外に取り出し4℃の水に入れて、尻尾が回避反応を示すまでの時間を測定して記録した。実験結果は、5分間の間隔をおいて5回実施した平均値とした。15秒まで回避しない時は、尻尾の敏感化を防ぐために水から尻尾を取り出して、15秒を結果とした。手術前より有意に速く回避する場合は、冷異痛の結果と推定した。
【0134】
1−2−3. 温異痛(warm allodynia)測定のための行動検査
実験は、冷異痛と同様な方式で行うが、水の温度を40℃にした。手術前より有意に速く回避する場合を温異痛の結果と推定した。
【0135】
上記の行動検査実験で、神経に損傷を与える前と比較し、神経損傷後に有意な回避反応を示したら、痛みが誘発されたと推定した。
【0136】
2.薬物注射
慢性神経病症性痛みに対するFVIAとMVIIAの鎮痛効果を調べるために、神経損傷後、14日間の行動検査を行って、神経病症性痛みがよく誘発された動物を選択し、薬物検査を行った。
【0137】
薬物を生理食塩水に懸濁させて、以下のような方法で脊髄腔内に注射した。Enfluraneでラットに薄く麻酔をかけて、25μl Hamilton注射器に30-ゲージ針を連結し、第5, 6腰髄間の硬膜(dura mater)を通じて、くも膜下腔(subarachnoid space)に薬物を注射した。薬物は、6.5, 20, 65または200ng/kg投与量で注射するが、機械的異痛に対する鎮痛効果は、注射後、1時間までは15分間隔に、3時間までは30分間隔にして、5時間及び24時間目にそれぞれ行った。冷、温異痛に対する鎮痛効果は、注射後、1, 3, 5及び24時間目にそれぞれ調べた。
【0138】
平均動脈圧測定
ラット(Sprague-Dawley, 150-200g)雄性を対象に、12時間の光周期性を維持して、温度(22±3℃)と湿度(40-60%)を維持した状態で、水と餌は自由給食した。全ての手術過程は、isofluraneで吸入麻酔誘導した後、カテーテル(PE-10)を大腿動脈に挿入した。カテーテルを食塩水で満たし、患者モニタリング装置(Philips MP30, Intellivue)に連結した。MVIIAまたはFVIAをラットの側部尻尾血管に投与した。心電図モニタリングのために、前足の両ひざと左側後足の皮膚下にステンレス線電極を位置させた。
【0139】
統計処理
全ての結果は、平均±標準誤差平均(SEM)で示す。神経病症性痛みに及ぼす薬物の効果は、one-way repeated measured ANOVA検定法とBonferroni t-検定法により比較分析された。p-値が0.05より小さい場合を有意な結果と判定する。薬物処理後、回避閾値(withdrawal threshold)の増加をもって抗異痛効果を評価して、これは最大可能効果のパーセント(%MPE)で示す: (%MPE): %MPE = 100×[(回避閾値治療後)−(回避閾値手術後)/(回避閾値手術前)−(回避閾値手術後)]。
【0140】
実験結果
コノペプチド分離
まず、本発明者らは、生化学的方法を利用して幾つかのコノペプチド配列の特性を研究した(毒素抽出及びHPLC)。同時に、イモガイ毒素管のmRNAまたはgDNAを利用してコノペプチド遺伝子をクローニングし、追加的な結果を得た。約50個のコノペプチドを上記方法により究明した。分離されたコノペプチド配列は、O-スーパーファミリー、A-スーパーファミリー、M-スーパーファミリー及びその他のファミリーに属するものであった[1]。
【0141】
本発明者らにより究明された配列の中、FVIAは、公知のω-コノペプチドMVIIAと高い相同性(76%)を示し、必須残基Tyr13, Lys2及びArg10を有する(表1)。全体配列において6個の残基のみが相異なっている。FVIAのcDNA配列は、配列番号4のヌクレオチド配列を有することが究明された。
【0142】
【表1】

【0143】
ペプチド合成
本発明のコノペプチド、FVIAを固相化学合成法によって多量合成した。TFA切断後、全ての保護基が除去されたFVIAの線形前駆体を20%アセト酸から抽出した。ペプチドの空気酸化は、適した二硫化結合を有するペプチドを提供して、これは、イオン交換クロマトグラフィー及び逆相HPLCで精製された。FVIAは、中性pHで+5の電荷を有する強塩基性ペプチドであるため、CM-セルロースCM52を陽イオン交換クロマトグラフィーとして利用し、NH4OAc緩衝液勾配を溶出液として利用した。最終精製産物を、分析用HPLC、アミノ酸分析及びMALDI-TOF-MS測定で確認した(図1)。
【0144】
CD測定
FVIAのCDスペクトルは、約205nmで最小値を示す(図2A)。5個の主要な二次構造(α-ヘリックス、反対平行β−シート、平行β−シート、β−ターン及びランダム構造)に対する二次構造スペクトルに基づき、FVIAは、β−ターン構造または反対平行β−シート構造を有していることが分かった[18]。したがって、FVIAの二次構造は、酸化的フォルディングにより好適に形成されたことが分かる[19]。また、FVIAのペプチドアナログであるキメラ-FMFF、キメラ-MFMM、FVIA[N14D]及びFVIA[I11L, A12M]のCDスペクトルにおいて、これらの二次構造は、FVIAとほぼ一致して、活性の差は、二次構造の変化によるものではなく、残基の差異であることを示す(図2B)。
【0145】
電気生理学的分析
ω−コノトキシンのイン・ビトロ活性を研究するために、電気生理学的分析を行った[20]。IC50値は、ω-コノトキシンの活性を示し、これは、処理量-抑制(反応)曲線から計算される。処理量の範囲は、0.1nM乃至1μMである。合成されたMVIIA及びFVIAは、人間胚芽腎臓細胞から発現された人間N-タイプカルシウムチャネルを同一な水準に抑制した(図3)。曲線の形は、S字形であって、0.1μMから飽和(ほぼ100%抑制)される傾向を示す。MVIIA及びFVIAのIC50値は、それぞれ7.96±1.59nM及び11.5±1.4nMであった。
【0146】
次いで、ω-コノトキシンに対する電流-電圧曲線を得た。チャネル遮断剤のメカニズムは、孔遮断及びゲート変形作用に分けられる。MVIIAのようなω-コノトキシンは、孔遮断剤であって、N-タイプカルシウムチャネル孔部位のvestitubuleに結合するということはよく知られている。本発明のFVIAも、曲線のシフティング無しに抑制曲線を示す[42](図4)。
【0147】
最後に、本発明者らは、N-タイプVSCCに対する結合からの回復(recovery)を分析した。1μM 濃度で遮断が飽和された時、コノトキシンを洗浄した。FVIAのブロッキング作用は、MVIIAより迅速になされたが、FVIAは、MVIIAより優れた解離程度を示した(図5)。
【0148】
NMR分析
ω-コノトキシンFVIAの2次元1H NMRスペクトルを標準方法によって得た[43]。ピークはよく分散されており、ループ2と4の残基でオーバーラップがあった(表2)。DQF-COSY及びTOCSY実験により観察されて、NOESY測定結果により補充されたスカラーカップリングパターンに基づいて、アミノ酸スピンシステムを明かした。究明されたスピンシステムを、NOESYスペクトルで観察された残基間連続NOEsを通じて、FVIAの一次構造に沿って整列した。表2は、NOESYスペクトルの化学的変位を示す。
【0149】
【表2】

【0150】
図8に示されたように、FVIAは、残基6−8, 21及び24で構成された3個の短いβ-ストランドを含み、これは、幾つかのターンを有する反対平行方式で整列されている。β-ストランドの程度及びβ-シート構造における相対的な配向性を、下記の標準基準によって決定した:大きい3JNH-Cα カップリング常数(Lys6, Cys8, Ser9, Arg10, Ile11, Ala12, Tyr13, Cys15, Cys20, Arg21及びLys24)、強い連続dαN、ストランド間のNH-NH及びNH-CαH相互連結性(connectivities)、そして徐々に交換されるアミド陽性子(Lys6, Cys8, Ile11, Gly18, Gly23, Arg21及びLys24)。上記の基準は、β-シート内の周辺ストランド及び中心ストランドの区別を可能にした。
【0151】
FVIAの溶液構造の計算
本発明者らは、FVIAの3次元構造を計算するために、総317個のNMR実験制限を利用して、これは、301個の実験的距離制限及び16個の二面角制限を含み、残基当たり平均12.68 制限に該当する。285個の距離制限の中、128個の内部残基、156個の残基間NOE距離制限、水素-重水素交換実験から決定した8個の水素結合制限及び9個の二硫化結合制限があった。水素結合に係わる3個の距離制限は、下記のようである: Gly5 (NH) - Cys25 (CO), Lys6 (NH) - Gly3 (CO), Cys8 (NH) - Gly23 (CO), Ile11 (NH) - Ser9 (OH), Gly18 (NH) - Cys15 (CO), Arg21 (CO) - Lys24 (NH)、及びArg21 (CO) - Lys24 (NH)。
【0152】
100個のランダムFVIA構造から模造のアニーリング計算を行って、NMR実験制限とよく一致する、NOE距離及び捻れ角違反がそれぞれ0.3Å及び3°より小さい、20個の構造を最終的に選択した。収斂された構造に対する統計を構造変数の側面で評価した(表3)。
【0153】
【表3】

【0154】
理想的な共有幾何学からの偏差は非常に少なく、Lennard-Jones van der Waalsエネルギーは、大きくてネガティブであって、このような結果は、保存構造において歪曲がないか、または非結合性悪性接触がないことを示す。総配列に対する平均配位位置に対する原子RMS偏差は、バックボーン原子(N, Cα, C)に対して0.47±0.10Å、全ての重原子に対して1.36±0.21Åであった。総配列に対するバックボーン構造は、全体配列においてよく定められており;Ramachandran分析は、β-シート部位または一般に許容される部位内にあるバックボーン二面角を示す。
【0155】
FVIAの分子的構造
FVIAの分子的構造は、トリプル−ストランドの反対平行β-シート及び四つの鎖逆転から構成されている。FVIAの全体的なβ-シートトポロジーは、+2x、-1であり、これは、‘抑制システインノット’フォルドを有する毒性の抑制ペプチドからよく発見されるものである[45]。三つのβ-ストランドは、残基Ser7-Cys8 (β-ストランドI)、Arg21 (β-ストランドII)及びGly23-Lys24 (β-ストランドIII)により形成されて、β-ストランドIは、二硫化結合(Cys8-Cys20)によってβ-ストランドIIに拘束されて(tethered)おり、反対平行方式で約45°の角度で中心のβ-ストランドIIIと相互作用する。最初の鎖逆転は、残基Gly3-Lys6から発生して、これはタイプII β-ターンを形成する。二番目及び三番目の逆転は、残基Ser9-Ala12 及びCys15-Gly18から発生して、これは、それぞれタイプIV β-ターン及びタイプI β-ターンを形成する。最後の逆転は、残基Arg21-Lys24から発生して、これは、β-ヘアーピンターン(タイプIV β-ターン)を形成して、β-ストランドII及びIII間でバックボーンの方向を逆転させる。
【0156】
FVIAの部位特異置換体の製造、カルシウムチャネル抑制活性及び回復度
本発明で分離された新規のコノトキシンであるFVIAの活性及び回復度に影響を及ぼす部位及び残基を究明するために、FVIAの部位特異置換体を製造した。FVIAの部位特異置換体は、下記表4にまとめられている。
【0157】
【表4】

【0158】
前記FVIAの部位特異置換体のカルシウムチャネル抑制活性及び回復度を分析した。この実験で、30 nM FVIAの部位特異置換体を利用して実験した。実験結果は、表5にまとめられている。
【0159】
【表5】

【0160】
上記表5の結果から分かるように、キメラ−MFMMは、従来のコノトキシンであるMVIIAを主バックボーンとしながら、11〜15番目残基が本発明のFVIAで置換されたものであるが、カルシウムチャネル抑制活性にも優れているが、回復度もMVIIAと比較しほぼ2倍程度増加した。したがって、11〜15番目残基が、本発明のFVIAの優れた可逆性を決定する部分であることが分かる。
【0161】
より精密な分析のために、FVIAの11番及び12番目残基であるILe及びAlaをぞれぞれLeu及びMetで置換し、FVIA[I11L、A12M]置換体を製造した。この置換体のカルシウムチャネル抑制活性は、FVIAとほぼ等しかったが、可逆性は大きく減少した。したがって、FVIAの11番及び12番目残基であるILe及びAlaが、回復度、即ち可逆性に重要な役割をすることが分かる。
【0162】
鎮痛作用に対する動物実験
本発明のFVIAがマウスにおいて鎮痛作用を示すかを調べた。図8A及び8Bのテールフリック試験及びプランタル試験の結果を見ると、0.01μg/5μlのFVIAを投与したラットにおいて、対照群に比べて痛み現象を示す時間が減っているが、統計的有意性はない。
【0163】
図9A及び9Bに示されたように、対照群マウスにおいて、グルタメート20μgの脊髄注入、サブスタンスP 0.7μgの脊髄注入は、30分間持続される、licking、引っ掻き、噛みつきなどの急性行動反応を起こした。その反面、FVIAを脊髄投与したマウスからは、累積された痛み反応の時間が有意に減少した。
【0164】
また、食塩水を投与した対照群マウスにおいて、1%アセト酸250μlの腹腔注入は、writhing(苦悶動作)行動を示す。その反面、図9Cから分かるように、FVIAを投与したマウスからは、writhing(苦悶動作)の回数が有意に減少した。
【0165】
図10Aをみると、食塩水を脊髄投与した対照群マウスの左側足裏表面に5%ホルマリン10μlを皮下注射すると、1次反応として、5分間持続されるlicking、引っ掻き、噛みつきなどの急性痛み反応を示して、2次反応として、ホルマリン注入20分後から40分まで痛み反応を示した。FVIAを脊髄投与したマウスでは、ホルマリンの皮下注入により誘導された痛み行動の累積時間が1次と2次反応が有意に減少することが分かる。FVIAは、ホルマリンの1次反応よりは2次反応でさらに大きく痛みを減少させることが分かる。
【0166】
図10Bに示されたように、本発明のペプチドは、濃度依存的に鎮痛効果を奏することが確認された。投与されたFVIAの濃度が増加するにつれて(3.2ng/5μl, 10ng/5μl, 32ng/5μl及び100ng/5μl)、FVIAの鎮痛効果が増加した。驚くことに、100ng FVIA脊髄投与時、2次反応では、痛み行動をほぼ完璧に抑制することが確認された。
【0167】
このような結果は、本発明のFVIAは、動物個体水準で成功的に鎮痛作用をすることを示す。
【0168】
神経病症性痛みに対する鎮痛効果
本研究において、二種の神経病症性痛みモデルを製作した。 第5及び6番腰髄神経を損傷させた動物モデルと、第1、2仙骨神経を損傷させた動物モデルである。このように神経の損傷されたラットは、神経病症性痛みを起こし、その兆候として、異痛を感じる。
【0169】
機械的な異痛は、von Frey hairを利用して尻尾を刺激し、50%回避反応を示す時のvon Frey hairのグラムで算定した。図11から分かるように、FVIAとMVIIAの投与による50%回避閾値が経時増加し、2時間以後から減少していることが分かる。図12Aは、FVIA投与時間による50%回避閾値が濃度依存的な方式(6.5, 20, 65, 200ng/kg)で増加していることを示す。また、図12B及び図12Cに示されたように、FIVAペプチドは、冷温異痛に鎮痛効果を奏する。
【0170】
上述の実験結果によると、本発明のFVIAは、上記の二種の神経病症性痛み動物モデルに対し、成功的に鎮痛作用をすることが分かる。
【0171】
心血関係に及ぼす影響
FVIAまたはMVIIA 100μg/kgを投与して、時間経過による平均血圧(MAP)をモニタリングした。図13から分かるように、MVIIAは、投与後、血圧数値が初期から急激に減少した後、遅い回復を示した。一方、FVIAは、投与後、血圧数値が急激に減少するが、MVIIAより初期数値への速い回復を示した。
【0172】
実験結果に対する論議
コノペプチドの分離
コノペプチドは、シグナル配列及びCysパターンによって多様なファミリーを構成する。毒素成分に対する二つの広範囲な区分が記載されている:二硫化結合豊かなコノトキシン及び多数の二硫化結合が欠如されたペプチド[1]。
【0173】
これらのファミリーの中、O及びAスーパーファミリーは、他のファミリーより多い数が本発明により発見された。O-スーパーファミリー26種、A-スーパーファミリー18種が生化学的方法及び遺伝子クローニングにより究明された。その他は、M-スーパーファミリー5種と、二硫化結合のない1種のペプチドである。
【0174】
コノペプチドの配列を究明するために、生化学的方法及び遺伝子クローニングを利用した。生化学的方法は、20個以上のイモガイが要求されて、ペプチドを単離するために、手間のかかる工程を行わなければならない。しかし、解読後変形は、Edman配列決定及び分子量情報から究明できた。また、本来の二硫化結合パターンは、天然のペプチドから決定しなければならない。遺伝子クローニングにおいて、一つのイモガイから得たcDNAライブラリーは、実験をするには十分であったが、成熟ペプチドに対する情報は、推論をするしかなかった。前記二つの実験方法は、互いに相補的であった。50種以上のペプチドを究明して、より明確な配列情報のために、追加的に精製した。この中、本発明のFVIAは、genomic DNAをクローニングして得られた配列である。
【0175】
FVIA構造の分析及び制限
連続的指定(sequential assignment)方式によって、FVIA構造を決定した。Gly残基は、COSYスペクトルで対称整列により直ぐに究明された。Thr4及びAla12残基も、TOCSYスペクトルで容易に確認できた。Asn14のNH2及びTyr13のδ-及びε-陽性子を分析して、これは、指定過程で有用に利用された。TOCSY及びCOSYに存在するNH2をペプチドのC-末端に指定した。しかし、ピークの重なり合い及び広域化のため、困難があった。例えば、Cys1, Lys2及びLys6のCαH(4.503 ppm)、そしてThr17のNH及びC-末端のNH2(8.441 ppm)は、重なり合った。Gly18とGly23のピーク広域化は、周囲ピークを隠した。上記の問題点は、NOESYの異なる温度、pH及びミキシングタイムにおけるスペクトルを比較して克服した(表2)。
【0176】
最終計算で利用される制限(constraints)は、カップリング常数測定から得た128個の内部残基距離、72個の連続距離、84個の非連続距離、11個の二面角及び4個のχ1 角制限で構成されている。χ1 角カップリング常数及びCβH及びNH間のNOE-由来距離の組み合わせからβ-メチレン陽性子のステレオ特異的指定を得ることができた。
【0177】
FVIA及びMVIIAの構造−活性関連性
N-タイプカルシウムチャネルは、神経末端から分泌される神経伝達子の調節に重要な役割を担当し、痛み及び虚血性脳損傷の治療剤の主要なターゲットである。多様なイソフォームのN-タイプカルシウムチャネルが知られている[46−48]。これらのイソフォームの機能及び組織分布は、相異なっており、特に末梢形態(peripheral isoform)が、痛みを減らすのに重要である。
【0178】
多様なコノトキシンが選択的に電圧−開口Ca2+チャネルを選択的に遮断して、電圧敏感性チャネルの構造的多様性及び構造に対する重要な情報を提供する。これらの中、ω-コノトキシン、GVIA及びMVIIAは、N-タイプカルシウムチャネルのドメインIII S5-S6部位にある外部vestibuleに選択的に結合して、孔遮断剤として作用する[8, 42, 44]。 MVIIA(SNX111/Ziconotide/Prialt Elan)は、FDAで許可した鎮痛剤としてよく知られているω-コノトキシンである。しかし、MVIIAの副作用がよく発表されており、オーストリア研究グループでは、洗浄実験に基づいて、MVIIAが、末梢神経イソフォームよりは中枢神経イソフォームに特異性がさらに高く、これは、副作用の原因になると発表した[14]。一方、GVIAは、カルシウムチャネルに非可逆的に結合して、よって、これは論議から排除された。
【0179】
もし、MVIIAが、改善された可逆性を持てるなら、現在よりはもっと優れた医薬になるはずである。
【0180】
本発明者らは、このような側面で構造及び機能研究を行った。本発明者らは、C-C-CC-C-Cモチーフを有する20余種のO-スーパーファミリーコノトキシンを遺伝子クローニング及び伝統的な精製方法により発見した。これらの中、FVIAがMVIIAと非常に類似した構造を示した。しかし、MVIIA及びFVIAのループ1及び2にある6個の残基は、互いに相異なっていた。このような残基の相異は、構造的差とメカニズム、効能と洗浄に引き続き、回復のような機能的相異を招来すると期待された。また、効能及び可逆性に係わる分子的構造があると判断された。
【0181】
まず、本発明者らは、電気生理学的実験を通じて効能を調べた。実験に使用されたHEK 293細胞は、人間痛みシグナリングと直接的に連関のある人間N-タイプカルシウムチャネルを発現する。効能は、処理量−抑制(反応)曲線におけるIC50で示した。MVIIA及びFVIAのIC50値は、nMスケールで非常に類似していた。機能に重要なLys2, Tyr13, Arg10及びArg21残基がFVIAに保存されているため(図3)、上記結果は十分予測可能であった。次に、電流−電圧曲線実験を行った。この実験を通じて、MVIIA及びFVIAの孔遮断メカニズムが同一であることが分かった(図4)。最終的に、毒素を注入した後、洗浄する実験を行った。洗浄は、正常(安定した)状態に到達するまで行った。図5は、MVIIAからの回復(35%)は、FVIA(75%)と大きく差があることを明確に示す。このような実験結果、即ち、N-タイプカルシウムチャネルを抑制する活性は類似していながらも、可逆性に大きく差があることは、非常に興味深い事実である。そして、この実験結果は、ω-コノトキシンの効能(即ち、活性)と可逆性とが分離可能であって、明確に区別される分子構造(この場合、残基)があり得るということを示す(図5)。
【0182】
構造的相異が上記の可逆性にどのような影響を及ぼし、どんな残基が機能に重要であるかを決定するために、1H NMR実験を行った。本発明者らは、本来の配列差異に基づき、結合ループであるループ1及び特にループ2で最終的な構造差異が発生することを予測した。予測通りに、前記二つのペプチドの全体的なトポロジーは類似しているが、ループ2の構造は差異がある。
【0183】
したがって、本発明者らは、ループ2の構造的差異は、一つの残基差ではない、全体的に可逆性に影響を与えるという可能性を考慮した。このような構造的差異は、3JNH-CαHカップリング常数の異なる数により予想された。8.0Hz以上の3JNH-CαHは、MVIIA及びFVIAでそれぞれ9及び11であった[49]。また、Asn14(Asp14)及びIle11(Leu11)置換は、機能的差異を誘発し得る。Asn14は、陰電荷を有して、ネット(net)変化またはローカル電荷の変化は、機能的差異を誘発し得る。MVIIAにおいてLeu11は、活性において重要な残基である[7]。メチル基の微小な移動(IleのLeuによる置換により)は、結合を弱化させることができ、これは、FVIAがチャネルから放出されることを容易にする。
【0184】
FVIAの抗痛み効果
痛みは、メカニズムによって侵害性、炎症性、神経病症性痛みに分けられる。侵害性痛みは、外部の刺激により発生されるもので、外部の有害な刺激から自分を防御するために必要な痛みである。炎症性痛みは、炎症性分子により引き起こされる痛みであって、神経病症性痛みは、神経の損傷により引き起こされる痛みである。このような痛みに対して、50余種の動物モデルがある。
【0185】
テールフリック試験とプランタル試験は、熱による急性侵害性痛みモデル試験であり、FVIAペプチドは、上記二つの試験で鎮痛効果があることが確認された(図8A及び8B)。
【0186】
グルタメートとサブスタンスPは、痛み信号伝達に重要な神経伝達物質である。この物質を人為的に脊髄に投与して痛みを誘導することができる。このような痛みモデルにおいて、FVIAは、統計的に有意な鎮痛作用を示す(図9A、9B)。1%アセト酸を腹腔投与すると、痛みによるwrithing(苦悶動作)行動が現れるが、FVIAは、統計的に有意にwrithing(苦悶動作)の回数を減少させる(図9C)。
【0187】
ホルマリン試験において、痛みは、二つの局面に分けられるが、初期局面がホルマリンの皮下注入による侵害性痛みによる反応であり、二番目の局面は、ホルマリンによる炎症性痛み反応である。この試験で、FVIAは、二つの局面で同時に鎮痛現象を示すが、炎症性痛みである二番目の局面をさらに効果的に抑制する(図10A)。また、ホルマリン試験でFVIAは、濃度依存的な方式で痛み現象を抑制し、二番目の局面で痛みを効果的に抑制して、100ng FVIAは、痛みをほぼ100%抑制する(図10B)。
【0188】
マウスの第5、6腰髄神経または脊髄から尻尾に向かう第1、2仙骨神経を損傷させると、神経病症性痛みが誘導されて、症状として、痛覚過敏(hyperalgesia)と異痛(allodynia)現象が現れる。FVIAは、神経損傷後誘発される機械的異痛に対して、濃度依存的に50%撤回閾値を上昇させる(図11、12A)。また、冷温異痛に対して、FVIAは、効果的に痛みを抑制するが、濃度依存的な現象は、機械的異痛に比べて弱い(図12B、12C)。FVIAは、冷温異痛において、6.5ngの投与でも200ng投与とほぼ等しい効果を示しており、機械的異痛とは異なるメカニズムで作用し、冷温異痛に対しては、FVIAの投与にさらに敏感に作用すると言える。
【0189】
実験結果をまとめてみると、FVIAは、侵害性痛みに対して比較的弱い鎮痛効果を示し、これは、テールフリック試験、プランタル試験及びホルマリン試験の第1期試験により確認された。これとは違って、FVIAペプチドは、炎症性傷みに対しては優れた薬物候補物質であることが証明されたが、これは、ホルマリン試験、グルタメート、サブスタンスP及びアセト酸を利用した試験によって確認された。また、左足神経損傷と尻尾神経損傷を通じての神経病症性痛みモデルにおいても、FVIAは、異痛に有効な鎮痛効果を示した。侵害性痛みは、外部から自分を防御して警戒するために必須的な生体反応であるため、侵害性痛みが過度に抑制されることが好ましくなく、病的痛みである炎症性痛みと神経病症性痛みに対して鎮痛効果が有意であるものが、よい鎮痛剤の候補物質になれる。
【0190】
上述の実験結果に基づけば、韓国産イモガイ由来の本発明のFVIAペプチドまたはその類似体は、有力な鎮痛剤候補物質であることが明らかであるという結論が出せる。
【0191】
FVIAの副作用
MVIIA(Prialt, Elan Corp.)は、既に2004年にFDA承認を受け、商業的に市販されているが、深刻な副作用と投与方式のため、使用が制限されている。報告された主要な副作用は、中枢神経系のN-タイプVSCCsを抑制して発生する神経系副作用と、血管で自律神経系を抑制し、血圧、脈拍数に影響を与える心血関係副作用がある。本発明では、FVIAとMVIIAをラットの血液内に投与した後、平均血圧を測定して、心血関係副作用を測定した。FVIAとMVIIAは、いずれも短時間に初期血圧を急激に減少させる。しかし、時間が経つにつれて、FVIAが初期血圧に速く回復される反面、MVIIAは、回復速度が遅いだけではなく、約60mmHgの低い血圧を維持した。このような結果は、MVIIAの低い可逆性による現象と類推される。
【0192】
前記実験結果によると、FVIA及びその類似体は、MVIIAと類似したカルシウムチャネル遮断能力を有しながらも、MVIIAに比べて副作用が著しく少ないという側面で、優れた鎮痛剤候補物質であることが分かる。
【0193】
以上、本発明の特定な部分を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。
【0194】
参考文献
1. Heinrich Terlau and Baldomero M. Olivera (2004) Physiol Rev 84, 41-68
2. William R.Gray and Baldomero M. Olivera (1988) Ann. Rev. Biochem. 57, 665-700
3. Richard J. Lewis and Maria L. Garcia (2003) Nature Drug Disc. 2, 1-13
4. Baldomero M. Olivera (1997) Molecular Biology of the Cell 8, 2101-2109
5. Baldomero M. Olivera (2002) Annu. Rev. Ecol. Syst. 33, 25-47
6. D. Alonso and B.G. Livett (2003) Mini Reviews in Medicinal Chem. 3, 785-787
7. Katherine J. Nielsen and Richard Lewis (2000) J. Mol.Recognit. 13, 55-70
8. Zhong-Ping Feng and Gerald W. Zampoin (2003) J. Biol. Chem. 278, 20171-20178
9. Penn, R. D. and Paice, J. A. (2000) Pain. 85, 291-296
10. Jain, K. K. (2000) Expert. Opin. Investig. Drugs 9, 2403-2401
11. Levin, T and Bailine, S. (2002) Psychosomatics. 43, 63-66
12. Richard J. Lewis, Katherine J. Nielsen, David J. Craik, Marion L. Loughnan, Denise A. Adams, Iain A. Sharpe, Tudor Luchian, David J. Adams, Trudy Bond, Linda Thomas, Alun Jones, Jodi-Lea Matheson, Roger Drinkwater, Peter R. Andrews, and Paul F. Alewood (2000) J. Biol. Chem.275, 35335-35344
13. David J. Adams, Amanda B. Smith, Christina I. Schroeder, Takahiro Yasuda, and Richard J. Lewis (2003) J. Biol. Chem.278, 4057-4062
14. Jorgen Mould, Takahiro Yasuda, Christina I. Schroeder, Aaron M. Beedle, Clinton J. Doering, Gerald W. Zamponi, David J. Adams, and Richard J. Lewis (2004) J. Biol. Chem.279, 34705-34714
15. Laszlo Nadasdi and J. Ramachandran (1995) Biochemistry. 34, 8076-8081
16. H. Jijakli and W. J. Malaisse (1996) Pharmacological Research. 34, 105-108
17. Jae Il Kim and Kazuki Sato (1995) Biochem. Biophys. Res. Commun. 206, 449-454
18. Jae Il Kim and Kazuki Sato (1997) Biochem. Biophys. Res. Commun. 230, 133-135
19. Larry A. Compton and W. Curtis Johnson, JR. (1985) Anal. Biochem. 155, 155-167
20. Taehyun Kim and Hyewhon Rhim (2004) Biochem. Biophys. Res. Commun. 324,401-408
21. Marion, D. and W?thrich, K. (1983) Biochem. Biophys. Res. Commun. 113, 967-974
22. Bax, A. and Davis, D. G. (1985) J. Magn. Reson. 65, 355-359
23. Jeener, J., Meier, B. H., Bachmann, P. and Ernst, R. R. (1979) J. Chem. Phys. 71, 4546-4553
24. Macura, S., Huang, Y., Suter, D. And Ernst, R. R. (1981) J. Magn. Reson. 43, 259-281
25. Piotto, M., Saudek, V. and Sklenar, V. (1992) J. Biomol. NMR. 2, 661-665
26. Rance, M., Sorensen, O. W., Bodenhausen, G., Wagner, G., Ernst, R. R. and W?thrich, K. (1983) Biochem. Biophys. Res. Commun. 117, 479-485
27. Mueller, L. (1987) J. Magn. Reson. 72, 191-196
28. W?thrich, K., Billeter, M. and Braun, W. (1983) J. Mol. Biol. 169, 949-961
29. Clore, M., Gronenborn, A. M., Nilges, M. and Ryan, C. A. (1987) Biochemistry. 26, 8012-8023
30. Nilges, M., Gronenborn, A. M, Br?nger, A. T. and Clore, M. (1998) Protein Eng. 2, 27-38
31. Pardi, A., Billerter, M. and W?thrich, K. (1984) J. Mol. Biol. 180, 741-751
32. Kline, A. D., Braun, W. and W?thrich, K. (1988) J. Mol. Biol. 204, 675-724
33. Hyberts, S. G., Marki, W. and Wagner, G. (1987) Eur. J. Biochem. 164, 625-635
34. Wagner, G., Braun, W., Havel, T. F., Schaumann, T., Go, N. and W?thrich, K. (1987) J. Mol. Biol. 196, 611-639
35. Fletcher, J. I., Smith, R., O'Donoghue, S. I., Nilges, M., Conner, M. and Howden, M. E. H. et al. (1997) Nature Struct. Biol. 4, 559-566
36. Fletcher, J. I., Chapman, B. E., Mackay, J. P., Howden, M. E. H. and King, G. F. (1997) Structure 5, 1525-1535
37. Br?nger, A. T., (1992) X-PLOR Manual, Version 3.1, Yale University, New Haven,CT
38. Laskowski, R. A., Rullmann, J. A., MacArthur, M. W., Kaptein, R. and Thornton, J. M. (1996) J. Biomol. NMR. 8, 477-486
39. Hutchinson, E. G. and Thornton, J. M. (1996) Protein Sci. 5, 212-220
40. Koradi, R., Billeter, M. and W?thrich, K. (1996) J. Mol. Graph. 14, 29-32
41. Hyberts, S. G., Goldberg, M. S., Havel, T. F. and Wagner, G. (1992) Protein Sci. 1, 736-751
42. Patrick T. Ellinor, Ji-Fang Zhang, William A. Horne and Richard W. Tsien (1994) Nature. 372, 272-275
43. W?thrich, K. (1986) NMR of Proteins and Nucleic Acids,John Wiley & Sons, Inc., New York
44. Feng, Z. P., Hamid, J., Doering, C., Jarvis, S. E., Bosey, G. M., Bourinet, E., Snutch, T.P., and Zamponi, Z. W. (2001) J. Biol. Chem. 276, 5726-5730
45. Jane S. Richardson (1981) Advances in Protein Chemistry.Vol.34 167-339
46. Lin, Z., Haus, S., Edgerton, J., and Lipscombe, D. (1997) Neuron 18, 153166
47. Lin, Z., Lin, Y., Schorge, S., Pan, J. Q., Beierlein, M., and Lipscombe, D. (1999) J. Neurosci. 19, 53225331
48. Kaneko, S., Cooper, C. B., Nishioka, N., Yamasaki, H., Suzuki, A., Jarvis, S. E., Akaike, A., Satoh, M., and Zamponi, G. W. (2002) J. Neurosci. 22, 8292
49. Vladimir J. Basus, Laszlo Nadasdi, J. Ramachandran, George P. Miljanich (1995) FEBS Letters 370, 163169
50. Hylden JL and Wilcox GL. (1980) Eur. J. Pharmacol, 67:313-6
51. Hylden JL and Wilcox GL. (1981) Brain Res. 217:212-5
52. Hunskaar (1985) J. Neurosci. Methods, 14:69-76
53. Kim SH and Chung JM (1992) Pain, 50:355-363
54. Yaksh TL and Rudy TA. (1976) Physiol. Behav., 17:10316
55. Dixon, W.J. (1980) Annu. Rev. Pharmocol. Toxicol. 20, pp. 441462.
56. Na HS (1994) Neurosci Lett, 177:50-52.
57. Chaplan (1994) J Neurosci Methods 53:5563.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式Iで表されるω−コノトキシンペプチドのシステイン残基2番及び3番の間の二次ループにおいて、11番及び/または12番アミノ酸残基をそれぞれIle及びAlaが位置するようにω-コノトキシンペプチドを製造する段階を含む、ω-コノトキシンペプチドのN-タイプカルシウムチャネルに対する結合可逆性を増加させる方法。
[一般式I]
Cys-Lys-Xaa1-Xaa2-Gly-Xaa3-Xaa4-Cys-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Tyr-Xaa9-Cys-Cys-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Cys-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Cys
(上記式中、Xaa1 - Xaa16は、アミノ酸残基を示す。)
【請求項2】
前記Xaa1は、Gly, AlaまたはSerであり、Xaa2は、Thr, Ala, LysまたはArgであり、Xaa3は、LysまたはAlaであり、Xaa4は、Ser, Pro,ヒドロキシプロリンまたはLysであって、Xaa5は、SerまたはArgであり、Xaa6は、ArgまたはLysであり、Xaa9は、AsnまたはAspであり、Xaa10は、ThrまたはSerであり、Xaa11は、Gly, AlaまたはSerであって、Xaa12は、Ser, Gly, AlaまたはThrであり、Xaa13は、ArgまたはGly-Argであり、Xaa14は、SerまたはArgであり、Xaa15は、Gly, AlaまたはSerであって、Xaa16は、LysまたはArgであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記Xaa6は、Argであり、Xaa13は、Argであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記Xaa1は、GlyまたはSerであり、Xaa2は、ThrまたはLysであり、Xaa3は、LysまたはAlaであり、Xaa4は、SerまたはLysであって、Xaa5は、SerまたはArgであり、Xaa6は、Argであり、Xaa9は、AsnまたはAspであり、Xaa10は、Thrであり、Xaa11は、Glyであり、Xaa12は、Serであって、Xaa13は、Argであり、Xaa14は、Serであり、Xaa15は、Glyであって、Xaa16は、LysまたはArgであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記Xaa2は、ThrまたはLysであり、Xaa3は、LysまたはAlaであり、Xaa4は、SerまたはLysであり、Xaa5は、SerまたはArgであって、Xaa6は、Argであり、Xaa9は、AsnまたはAspであり、Xaa10は、Thrであり、Xaa11は、Glyであって、Xaa12は、Serであり、Xaa13は、Argであり、Xaa14は、Serであり、Xaa15は、Glyであって、Xaa16は、LysまたはArgであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記方法によりN-タイプカルシウムチャネルに対する結合可逆性が増加されたω-コノトキシンペプチドは、配列番号1乃至3のいずれか一つのアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ω-コノトキシンペプチドのシステイン残基2番及び3番の間の二次ループにおいて、下記の一般式IIのペプチドを含む分離、合成または組み換えω-コノトキシンペプチド。
[一般式II]
Xaa5-Xaa6-Ile-Ala-Tyr-Xaa9
(式中、Xaa5 - Xaa6及びXaa9は、アミノ酸残基を示す。)
【請求項8】
前記Xaa5は、SerまたはArgであり、Xaa6は、ArgまたはLysであって、Xaa9は、AsnまたはAspであることを特徴とする、請求項7に記載のω-コノトキシンペプチド。
【請求項9】
前記Xaa5は、Serであり、Xaa6は、Argであって、Xaa9は、Asnであることを特徴とする、請求項8に記載のω-コノトキシンペプチド。
【請求項10】
前記ω-コノトキシンペプチドは、下記の一般式IIIで表されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項7に記載のω-コノトキシンペプチド。
[一般式III]
Cys-Lys-Xaa1-Xaa2-Gly-Xaa3-Xaa4-Cys-Xaa5-Xaa6-Ile-Ala-Tyr-Xaa9-Cys-Cys-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Cys-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Cys
(式中、Xaa1は、GlyまたはSerであり、Xaa2 - Xaa6及びXaa9 - Xaa16は、アミノ酸残基を示す。)
【請求項11】
Xaa2は、Thr, Ala, LysまたはArgであり、Xaa3は、LysまたはAlaであり、Xaa4は、Ser, Pro,ヒドロキシプロリンまたはLysであって、Xaa5は、SerまたはArgであり、Xaa6は、ArgまたはLysであり、Xaa9は、AsnまたはAspであり、Xaa10は、ThrまたはSerであり、Xaa11は、Gly, AlaまたはSerであって、Xaa12は、Ser, Gly, AlaまたはThrであり、Xaa13は、ArgまたはGly-Argであり、Xaa14は、SerまたはArgであり、Xaa15は、Gly, AlaまたはSerであって、Xaa16は、LysまたはArgであることを特徴とする、請求項10に記載のω-コノトキシンペプチド。
【請求項12】
前記Xaa6は、Argであり、Xaa13は、Argであることを特徴とする、請求項11に記載のω-コノトキシンペプチド。
【請求項13】
前記Xaa2は、ThrまたはLysであり、Xaa3は、LysまたはAlaであり、Xaa4は、SerまたはLysであり、Xaa5は、SerまたはArgであって、Xaa6は、Argであり、Xaa9は、AsnまたはAspであり、Xaa10は、Thrであり、Xaa11は、Glyであって、Xaa12は、Serであり、Xaa13は、Argであり、Xaa14は、Serであり、Xaa15は、Glyであって、Xaa16は、LysまたはArgであることを特徴とする、請求項11に記載のω-コノトキシンペプチド。
【請求項14】
前記Xaa2は、ThrまたはLysであり、Xaa3は、LysまたはAlaであり、Xaa4は、SerまたはLysであり、Xaa5は、SerまたはArgであって、Xaa6は、Argであり、Xaa9は、AsnまたはAspであり、Xaa10は、Thrであり、Xaa11は、Glyであって、Xaa12は、Serであり、Xaa13は、Argであり、Xaa14は、Serであり、Xaa15は、Glyであって、Xaa16は、LysまたはArgであることを特徴とする、請求項11に記載のω-コノトキシンペプチド。
【請求項15】
前記ω-コノトキシンペプチドは、配列番号1乃至3のいずれか一つのアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項11に記載のω-コノトキシンペプチド。
【請求項16】
配列番号1のアミノ酸配列を含むω-コノトキシンペプチドをコーディングする核酸分子。
【請求項17】
(a)請求項7乃至15のいずれかに記載のω-コノトキシンペプチドの治療学的有効量と、(b)薬剤学的に許容される担体とを含む、N-タイプカルシウムチャネル異常(disorder)−関連疾病、疾患または状態の治療または予防用薬剤学的組成物。
【請求項18】
前記疾病、疾患または状態は、慢性痛み、急性痛み、手術後の痛み、気分障害、不安障害、うつ病、中毒障害、胃腸疾患、泌尿器系疾患、低酸素状態、酸素欠乏状態または虚血状態に係わる神経毒性(neurotoxic)または精神分裂症であることを特徴とする、請求項17に記載の薬剤学的組成物。
【請求項19】
(a)請求項7乃至15のいずれかに記載のω-コノトキシンペプチドの治療学的有効量と、(b)薬剤学的に許容される担体とを含むN-タイプカルシウムチャネル異常(disorder)−関連疾患の治療または予防用薬剤学的組成物を、治療を必要とする対象に投与する段階を含む、N-タイプカルシウムチャネル異常(disorder)−関連疾病、疾患または状態の予防または治療方法。
【請求項20】
前記疾病、疾患または状態は、慢性痛み、急性痛み、手術後の痛み、気分障害、不安障害、うつ病、中毒障害、胃腸疾患、泌尿器系疾患、低酸素状態、酸素欠乏状態または虚血状態に係わる神経毒性(neurotoxic)または精神分裂症であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
N-タイプカルシウムチャネル異常(disorder)−関連疾病、疾患または状態の治療または予防用薬剤を製造するための、請求項7乃至15のいずれかに記載のω-コノトキシンの用途。
【請求項22】
前記疾病、疾患または状態は、慢性痛み、急性痛み、手術後の痛み、気分障害、不安障害、うつ病、中毒障害、胃腸疾患、泌尿器系疾患、低酸素状態、酸素欠乏状態または虚血状態に係わる神経毒性(neurotoxic)または精神分裂症であることを特徴とする、請求項21に記載の用途。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図12C】
image rotate

【図13】
image rotate

【図10B】
image rotate


【公表番号】特表2010−509209(P2010−509209A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535214(P2009−535214)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【国際出願番号】PCT/KR2007/005519
【国際公開番号】WO2008/054171
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(506257445)エニジェン カンパニー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】