説明

新規なトリアリールホウ素誘導体およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】 新規なリン光材料、とくに青色リン光材料に適したワイドギャップな電子輸送層を形成するのに有用な新規なトリアリールホウ素誘導体およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で代表されるトリアリールホウ素誘導体及びそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なリン光材料、とくに青色リン光材料に適したワイドギャップな電子輸送層を形成するのに有用な新規なトリアリールホウ素誘導体およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、電極から注入されたホールと電子の再結合によって生成した励起エネルギーが発光過程を経て基底状態に緩和されることにより自発光する。しかしながら、ホールと電子の再結合によって生成する励起状態には一重項励起状態と三重項励起状態の2種類がそれぞれ1対3の割合で存在する。これまでの多くは一重項励起状態からの発光を利用した蛍光材料が発光材料に利用されていたため、内部量子効率が最大で25%であるので、この時取り出し効率を20%とすると、最大外部量子効率は5%が理論限界であった。
【0003】
近年、イリジウムやプラチナなどの重原子効果を利用した錯体化合物を用い三重項励起状態からの発光、すなわちリン光発光を用いることにより発光効率の向上が報告されるようになった(例えば、非特許文献1)。一重項励起状態に加え、三重項励起状態からの発光を利用することで最大内部量子効率は理論上100%に到達することが可能で、リン光材料は発光材料として注目を浴びている。
【0004】
例えば緑色材料として、下記式
【化7】

に示すトリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)[Ir(ppy)]が広く利用されている。
【0005】
また安達らによる非特許文献2などにより青色発光材料である下記式
【化8】

で示すビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジル−N,C2′]イリジウム(III)ピコリレート(FIrpic)が注目を浴びるようになり、それ以降FIrpicを用いた有機EL素子の高効率化検討および新規な青色リン光錯体探索研究が盛んに行われるようになった。
【0006】
その結果最近ではS.R.Forrestらによる非特許文献3では下記式
【化9】

で示すトリス[1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾラート,N,C2′]イリジウム(III)(Irtfmppz3)やM.E.Thompsonらによる非特許文献4では下記式
【化10】

で示すビス[2−(4′,6′−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2′]テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート(Fir6)が開発された。
【0007】
これら発光材料を効率よく発光させるにはホールと電子の注入バランスを整えて、発光層の中で十分にこれらのキャリアーの再結合が行えるようにホール輸送剤や電子輸送剤などを選択しなければならない。
特に青色リン光材料についてはエネルギーギャップが大きいためにワイドギャップ化されたホール輸送剤や電子輸送剤が必要になってくる。現在これらリン光材料については、電子輸送材料に従来から使用されているAlq〔トリス(8−キノリノラト)アルミニウム〕やBAlq〔ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム−p−フェニルフェノラート〕等が使用されているが、リン光材料に使用するには十分なエネルギーギャップを持ち合わせていないため新規なワイドギャップな電子輸送材料の開発が必要である。
【非特許文献1】M.A.Baldo, S.Lamansky, P.E.Burrows, M.E.Thompson, S.R.Forrest APPLIED PHYSICS LETTER 1999 75(1) 4−7
【非特許文献2】Appl.Phys.Lett.,79, 2082(2001)
【非特許文献3】J.Appl.Phys.90 5048(2001)
【非特許文献4】4Polyhedron 23 (2004) 419−428
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の第1の目的は、新規なトリアリールホウ素誘導体を提供する点にある。本発明の第2の目的は、それを用いた新規な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1は、下記一般式(1)
【化11】

下記一般式(2)
【化12】

下記一般式(3)
【化13】

下記一般式(4)
【化14】

下記一般式(5)
【化15】

および下記一般式(6)
【化16】

〔前記一般式(1)〜(6)における式中のR〜R14は、水素、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基をもつアルキルアミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリール基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基および炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリールアミノ基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた基であり、Arは、単結合または炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーレン基、Ar′は窒素、硫黄および酸素よりなる群から選ばれたヘテロ元素をもつヘテロアリール基(置換基として、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を有していてもよい)である。〕
よりなる群から選ばれたトリアリールホウ素誘導体に関する。
本発明の第2は、3.4eV以上の広いエネルギーギャップ(Eg)を有する請求項1記載のトリアリールホウ素誘導体に関する。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられる一般式(1)〜(6)で表される化合物はバンドギャップが3.4eV以上の値を示すことが好ましい。バンドギャップが上記の値を示すことで電子輸送性を保持しホールブロック効果が期待でき、発光効率の向上が期待できる。また特に青色リン光材料を発光させるには大きなバンドギャップが必要である。
バンドギャップとは、化合物のイオン化ポテンシャル(Ip)と電子親和力(Ea)の差を表す。化合物のイオン化ポテンシャル(Ip)と電子親和力(Ea)は一般に真空準位を基準に決定される。イオン化ポテンシャル(Ip)は化合物のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーのことであり、一方、電子親和力(Ea)は真空準位にある電子が物質のLUMO(最低空分子軌道)レベルに落ちて安定化するエネルギーのことである。
イオン化ポテンシャル(Ip)と電子親和力(Ea)の差は、エネルギーギャップ(Eg)として化合物の吸収スペクトルの吸収端より求めることができる。
一般に以下の式で求めることができる。吸収端の波長をWnmとすればそのときのエネルギーギャップEgは
Eg=1240÷W
で求めることができる。
本発明の第3は、500nmよりも短波長に低温リン光スペクトルの発光端を示す請求項1または2記載のトリアリールホウ素誘導体に関する。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられる一般式(1)〜(6)で表される化合物は低温リン光の発光端が500nm以下の値を示すことが好ましい。低温リン光スペクトルの測定は、リン光材料が一般に室温で測定することが困難であり、被測定物を液体ヘリウムなどで冷却した状態で測定する。これを測定することで組み合せるリン光発光材料へのエネルギーの移動がスムーズに起こるかどうかの判断がつく。特に青色リン光材料との組合せの場合、発光端の値が500nm以下でないとスムーズなエネルギー移動が起こりえない。
本発明の第4は、一般式(1)〜(6)におけるAr′がピリジル基である請求項1〜3いずれか記載のトリアリールホウ素誘導体に関する。
本発明の第5は、一般式(1)〜(6)におけるArが単結合またはフェニレン基である請求項1〜4いずれか記載のトリアリールホウ素誘導体に関する。
本発明の第6は、一般式(1)、(2)、(4)、(5)、(6)におけるArが3′−位および/または、5′−位に結合している請求項1〜5いずれか記載のトリアリールホウ素誘導体に関する。
本発明の第7は、請求項1〜6いずれか記載のトリアリールホウ素誘導体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明の第8は、請求項1〜6いずれか記載のトリアリールホウ素誘導体を電子輸送材料として使用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明の第9は、請求項2記載のトリアリールホウ素誘導体とリン光発光材料を併用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明の第10は、請求項3記載のトリアリールホウ素誘導体とリン光発光材料を併用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0010】
本発明の一般式(1)〜(6)で示されるトリアリールホウ素誘導体は、下記一般式(7)〜(12)
【化17】

【化18】

〔前記、一般式(7)〜(12)中、R〜R14は前記と同一であり、Xはハロゲン、好ましくはBrまたはCl、とくに好ましくはBrである〕
で示されるハロゲン化トリアリールホウ素化合物を原料とし、塩基、触媒および溶媒の存在下において、下記一般式(13)
【化19】

(式中、Ar、Ar′は前記と同一である)で示されるトリ(ヘテロアリールメシチル)ボランを反応させることにより製造できる。
【0011】
これらの反応で使用する溶媒は、トルエン、トルエン−アルコール混合溶媒、ジメトキシエタンなどが使用できる。またこの反応で使用する塩基については、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような無機アルカリ金属塩、トリエチルアミンのような有機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシドのような有機アルカリ金属塩、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド1Mメタノール溶液等の有機塩基化合物の有機溶液等が使用できる。また、触媒で使用するパラジウム触媒については、テトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウムが好ましいが、酢酸パラジウムやビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライド、ビス(1、1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウムジクロライド、ビス(1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン)パラジウムジクロライドなどの0価の有機パラジウム錯体が使用できる。
また、これらの反応で使用するアリールホウ酸化合物については、対応するアリールハロゲン化合物を無水のジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどのエーテル溶媒中でn−ブチルリチウムなどでリチオ化し、これにトリメトキシボラン、トリエトキシボロン、トリイソプロピルボロン、ピナコールボロンやビス(ピナコラート)ジボロンなどと作用させることにより容易に合成することができる。
【0012】
これらの反応は下記反応式に示すとおりである。
【化20】

【化21】

【0013】
前記R〜R14におけるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシルなどを挙げることができる。
【0014】
置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−(ジメチルアミノ)エトキシ基、2−(ジブチルアミノ)エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、3−メトキシプロポキシ基、3−エトキシプロポキシ基、3−(ジメチルアミノ)プロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、2−ペントキシ基、3−ペントキシ基、ネオペントキシ基、ヘキシロキシ基、2−ヘキシロキシ基、2−エチルヘキシロキシ基、2−ブチルヘキシロキシ基、ヘプチロキシ基、オクトキシ基、2−オクトキシ基、ノニロキシ基、デシロキシ基、ドデシロキシ基、アリロキシ基、ベンジロキシ基、4−メトキシベンジロキシ基、4−フルオロベンジロキシ基、3−(ジメチルアミノ)ベンジロキシ基、4−フェニルベンジロキシ基、1−ナフチルメトキシ基、2−ナフチルメトキシ基、1−(2−メトキシナフチル)メトキシ基、9−アントリルメトキシ基、ジフェニルメトキシ基、ジ(p−トリル)メトキシ基、ジ(4−メトキシフェニル)メトキシ基、ジ(1−ナフチル)メトキシ基、トリフェニルメトキシ基、3−フェニルプロピロキシ基等が挙げられる。
【0015】
置換もしくは無置換のアルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、ヘプチルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、イソプロピルメチルアミノ基、ブチルメチルアミノ基、イソブチルメチルアミノ基、エチルプロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルエチルアミノ基、エチルイソブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、メチルペンチルアミノ基、エチルペンチルアミノ基、ヘキシルメチルアミノ基、エチルヘキシルアミノ基、ブチルヘキシルアミノ基、ヘキシルペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルメチルアミノ基、シクロヘキシルエチルアミノ基、シクロヘキシルイソプロピルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、メチルオクチルアミノ基、ヘプチルメチルアミノ基、ヘプチルイソプロピルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、メチルオクチルアミノ基、オクチルプロピルアミノ基、ジオクチルアミノ基、デシルエチルアミノ基、デシルイソプロピルアミノ基、ジ(2−エチルヘキシル)アミノ基、ドデシルメチルアミノ基、ドデシルヘキシルアミノ基、シクロヘキシルドデシルアミノ基、ジドデシルアミノ基等が挙げられる。
【0016】
置換もしくは無置換のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−フェニル−1−ナフチル基、4−フェニル−2−ナフチル基、1−フェニル−5−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、10−フェニル−9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、1−フルオランテニル基、2−フルオランテニル基、3−フルオランテニル基、8−フルオランテニル基、2−トリフェニレニル基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジブチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジヘキシルフルオレン−2−イル基、9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、p−テルフェニル−3−イル基、p−テルフェニル−4−イル基、m−テルフェニル−3−イル基、m−テルフェニル−4−イル基、o−テルフェニル−3−イル基、o−テルフェニル−4−イル基、4−(1−ナフチル)−1−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−tert−ブチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基、4−シアノフェニル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−メチル−1−ナフチル基、2−メトキシ−1−ナフチル基、10−メチル−9−アントリル基、10−メトキシ−9−アントリル基、4−フェニル−8−フルオランテニル基、7−ジメチルアミノ−9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、3′,5′−ジフェニルビフェニル−4−イル基等が挙げられる
【0017】
炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基としては、前記例示の各種アリール基の結合手部分に酸素が導入されたものを挙げることができる。例えば、置換もしくは無置換のアリーロキシ基としては、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基、4−フェニル−1−ナフトキシ基、4−フェニル−2−ナフトキシ基、1−フェニル−5−ナフトキシ基、1−アントリロキシ基、2−アントリロキシ基、9−アントリロキシ基、10−フェニル−9−アントリロキシ基、1−フェナントリロキシ基、2−フェナントリロキシ基、3−フェナントリロキシ基、4−フェナントリロキシ基、9−フェナントリロキシ基、1−ピレニロキシ基、2−ピレニロキシ基、1−ペリレノキシ基、2−ペリレノキシ基、3−ペリレノキシ基、1−フルオランテノキシ基、2−フルオランテノキシ基、3−フルオランテノキシ基、8−フルオランテノキシ基、2−トリフェニレノキシ基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イロキシ基、9,9−ジブチルフルオレン−2−イロキシ基、9,9−ジヘキシルフルオレン−2−イロキシ基、9,9−ジオクチルフルオレン−2−イロキシ基、9,9−ジフェニルフルオレン−2−イロキシ基、2−ビフェニルイロキシ基、3−ビフェニルイロキシ基、4−ビフェニルイロキシ基、p−ターフェニル−3−イロキシ基、p−ターフェニル−4−イロキシ基、m−ターフェニル−3−イロキシ基、m−ターフェニル−4−イロキシ基、o−ターフェニル−3−イロキシ基、o−ターフェニル−4−イロキシ基、4−(1−ナフチル)−1−ナフトキシ基、o−トリロキシ基、m−トリロキシ基、p−トリロキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、4−ジメチルアミノフェノキシ基、4−シアノフェノキシ基、4−(トリフルオロメチル)フェノキシ基、4−メチル−1−ナフトキシ基、4−フェニル−1−ナフトキシ基、2−メトキシ−ナフトキシ基、10−メチル−9−アントリロキシ基、10−メトキシ−9−アントリロキシ基、4−フェニル−フルオランテン−8−イロキシ基、7−ジメチルアミノ−9,9−ジメチルフルオランテン−2−イロキシ基、3′,5′−ジフェニルビフェニル−4−イロキシ基等が挙げられる。
【0018】
置換もしくは無置換のアリールアミノ基の例としては、前記アリール基として挙げた1価の基にアミノ基が置換した基であり、たとえば、1−フェニルアミノ基、N−o−トリルアミノ基、N−m−トリルアミノ基、N−p−トリルアミノ基、N−1−ナフチルアミノ基、N−2−ナフチルアミノ基、N−(4−メトキシフェニル)アミノ基、N−(4−エチルフェニル)アミノ基、N−(4−フルオロフェニル)アミノ基、N−(4−ジメチルアミノフェニル)−アミノ基、2−ナフチルアミノ基、N−(1−アントリル)アミノ基、N−(2−アントリル)アミノ基、N−(9−アントリル)アミノ基、N−(10−メチル−9−アントリル)アミノ基、N−(9−フェナントリル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)アミノ基、N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(3−ペリレニル)アミノ基、ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(o−トリル)アミノ基、N,N−ジ(m−トリル)アミノ基、N,N−ジ(p−トリル)アミノ基、N,N−ジ(1−ナフチル)アミノ基、N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ基、N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ基、N−(4−メトキシフェニル)−N−フェニルアミノ基、N−(4−エチルフェニル)−N−フェニルアミノ基、N−(4−フルオロフェニル)−N−フェニルアミノ基、N−(4−ジメチルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ基、N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ基、N−(1−ナフチル)−N−(o−トリル)アミノ基、N−(2−ナフチル)−N−(o−トリル)アミノ基、N−(1−アントリル)フェニルアミノ基、N−(2−アントリル)−N−フェニルアミノ基、N−(9−アントリル)−N−フェニルアミノ基、N−(10−メチル−9−アントリル)−N−フェニルアミノ基、N−(1−アントリル)−N−(1−ナフチル)アミノ基、N−(2−アントリル)−N−(1−ナフチル)アミノ基、N−(9−アントリル)−N−(2−ナフチル)アミノ基、N−(10−メチル−9−アントリル)−N−(2−ナフチル)アミノ基、N−(9−フェナントリル)−N−フェニルアミノ基、N−(9−フェナントリル)−N−(p−トリル)アミノ基、N−(1−ナフチル)−N−(9−フェナントリル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(m−トリル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(1−ナフチル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(4−メトキシフェニル)アミノ基、N−(1−アントリル)−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(9−フェナントリル)アミノ基、N,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−フェニルアミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(p−トリル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(4−メトキシフェニル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(1−ナフチル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(2−ナフチル)アミノ基、N−(1−アントリル)−N−(3−フルオランテニル)アミノ基、N−(9−アントリル)−N−(3−フルオランテニル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(9−フェナントリル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミノ基、N,N−ジ(3−フルオランテニル)アミノ基、N−フェニル−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(1−ピレニル)−N−(p−トリル)アミノ基、N−(4−ジメチルアミノフェニル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(1−ナフチル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(2−ナフチル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(1−アントリル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(9−アントリル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(1−ピレニル)−N−(9−フェナントリル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(9−フルオランテニル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(3−ペリレニル)−N−フェニルアミノ基、N−(3−ペリレニル)−N−(m−トリル)アミノ基、N−(4−ジメチルアミノメチル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、N−(1−ナフチル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、N−(2−ナフチル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、N−(1−アントリル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、N−(3−ペリレニル)−N−(9−フェナントリル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、N−(9−フルオランテニル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)アミノ基、ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)アミノ基等が挙げられる。
【0019】
Arにおけるアリーレン基は、前記アリール基の例に挙げたものに対応するアリーレン基を挙げることができ、またAr′のヘテロアリール基としては、1個〜3個の窒素を1つの環内に有するもの、1個の硫黄を環内に有するもの、1個の硫黄と窒素を1つの環内に有するもの、1個の窒素と酸素を1つの環内に有するもの、1個の酸素と硫黄を1つの環内に有するものなどを挙げることができる。
【0020】
Ar′−Ar−として具体的な例を以下に示す。
【0021】
【化22】

【0022】
【化23】

【0023】
【化24】

【0024】
【化25】

【0025】
【化26】

前記Meはメチル基である。
【0026】
本発明のトリアリールホウ素誘導体の例を以下に示す。なお、本明細書における式中、環から突き出している結合手以外の線はすべて−CH(メチル基)の略号である。
【0027】
【化27】

【0028】
【化28】

【0029】
【化29】

【0030】
【化30】

【0031】
【化31】

【0032】
【化32】

【0033】
【化33】

【0034】
【化34】

【0035】
【化35】

【0036】
【化36】

【0037】
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【0144】
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【0146】
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【0147】
本発明のトリアリールホウ素誘導体は高い電子輸送性能を有する。従って、電子注入材料及び電子輸送材料として使用することができる。
【0148】
本発明のトリアリールホウ素誘導体を有機エレクトロルミネッセンス素子に使用する場合、適当な発光材料(ドーパント)と組み合わせて使用することもできる。
【0149】
本発明のトリアリールホウ素化合物を電子輸送層に用いる場合、電子注入材料、電子輸送材料として使用できる。また他の電子輸送材料と組み合わせて使用することもできる。
【0150】
次に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子について説明する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極間に一層もしくは多層の有機化合物を積層した素子であり、該有機化合物層の少なくとも一層が本発明トリアリールホウ素誘導体を含有する。有機エレクトロルミネッセンス素子が一層の場合、陽極と陰極間に発光層を設けている。発光層は、発光材料を含有しそれに加えて陽極から注入した正孔もしくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送するのが目的で、正孔注入材料もしくは電子注入材料を含有していても良い。多層型の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成例としては、例えば陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層されたものがあげられる。また、必要に応じて陰極上に封止層を有していても良い。
【0151】
正孔輸送層、電子輸送層、および発光層のそれぞれの層は、一層構造であっても、多層構造であっても良い。また正孔輸送層、電子輸送層はそれぞれの層で注入機能を受け持つ層(正孔注入層及び電子注入層)と輸送機能を受け持つ層(正孔輸送層および電子輸送層)を別々に設けることもできる。
【0152】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記構成例に限らず、種々の構成とすることができる。必要に応じて、正孔輸送層成分と発光層成分、あるいは電子輸送層成分と発光層成分を混合した層を設けても良い。
【0153】
以下本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成要素に関して、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極からなる素子構成を例として取り上げて詳細に説明する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。
【0154】
基板の素材については特に制限はなく、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであれば良く、例えばガラス、石英ガラス、透明プラスチックなどからなるものを用いることができる。
【0155】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極としては、仕事関数の大きな金属単体(4eV以上)、仕事関数の大きな金属同士の合金(4eV以上)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、金、銀、銅等の金属、ITO(インジウム−スズオキサイド)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性透明材料、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料が挙げられる。陽極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリング、塗布などの方法により基板上に形成することができる。陽極のシート電気抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。
【0156】
陰極としては、仕事関数の小さな金属単体(4eV以下)、仕事関数の小さな金属同士の合金(4eV以下)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、リチウム、リチウム−インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金などが挙げられる。陰極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより作製することができる。陰極のシート電気抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陰極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光を効率良く取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は、透明もしくは半透明であることが好ましい。
【0157】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層は、正孔伝達化合物からなるもので、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有している。電界が与えた2つの電極間に正孔伝達化合物が配置されて陽極から正孔が注入された場合、少なくとも10−6cm/V・秒以上の正孔移動度を有する正孔伝達物質が好ましい。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に使用する正孔輸送層に使用する正孔伝達物質は、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はない。従来から光導電材料において正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものや有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層に使用されている公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0158】
前記の正孔伝達物質としては、例えば銅フタロシアニンなどのフタロシアニン誘導体、N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジ(m−トリル)−N,N′−ジフェニル−4,4′−ジアミノビフェニル(TPD)、N,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−4,4′−ジアミノビフェニル(α−NPD)、等のトリアリールアミン誘導体、ポリフェニレンジアミン誘導体、ポリチオフェン誘導体、および水溶性のPEDOT−PSS(ポリエチレンジオキサチオフェン−ポリスチレンスルホン酸)が挙げられる。正孔輸送層は、これらの他の正孔伝達化合物一種または二種以上からなる一層で構成されたもので良く、前記の正孔伝達物質とは別の化合物からなる正孔輸送層を積層したものでもよい。
【0159】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層の発光物質については特に制限されることはなく、従来の公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0160】
発光材料としては、ペリレン誘導体、ナフタセン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体(例えばクマリン1、クマリン540、クマリン545など)、ピラン誘導体(例えばDCM−1、DCM−2、DCJTBなど)、有機金属錯体(トリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム(Alq)、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム(Almq)等の蛍光材料や[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジル−N,C2′]イリジウム(III)ピコリレート(FIrpic)、トリス[1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾラート,N,C2′]イリジウム(III)(Irtfmppz3)、ビス[2−(4′,6′−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2′]テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート(Fir6)、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)[Ir(ppy)]などのリン光材料などを挙げることができる。
【0161】
発光層は、ホスト材料とゲスト材料(ドーパント)から形成することもできる[Appl.Phys.Lett.,65 3610(1989)]。特にリン光材料を発光層に使用する場合、ホスト材料の使用が必要でありこの時使用されるホスト材料としては4,4′−ジ(N−カルバゾリル)−1,1′−ビフェニル(CBP)、1,4−ジ(N−カルバゾリル)ベンゼン、2,2′−ジ(4″−(N−カルバゾリル)フェニル)−1,1′−ビフェニル(4CzPBP)等があげられる。
【0162】
ゲスト材料は、ホスト材料に対して、好ましくは0.01〜40重量%であり、より好ましくは0.1〜20重量%である。
【0163】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の電子輸送層の材料としては、本発明のトリアリールホウ素誘導体が好ましい。このものは単独で使用できるが他の電子輸送材料と併用しても構わない。
【0164】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、電子注入性をさらに向上させる目的で、陰極と有機層の間に絶縁体で構成される電子注入層をさらに設けても良い。ここで使用される絶縁体としては、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用することが好ましい。アルカリ金属ハロゲン化物としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、塩化リチウム等が挙げられる。アルカリ土類ハロゲン化物としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム等が挙げられる。
【0165】
正孔輸送層、発光層の形成方法については特に限定されるものではない。例えば乾式成膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)、湿式成膜法(溶液塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法など))を使用することができる。本発明のトリアリールホウ素化合物の電子輸送層の形成方法については、乾式成膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法)が好ましい。また素子の作製については上記の成膜方法を併用しても構わない。
【0166】
真空蒸着法により正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層を形成する場合、真空蒸着条件は、特に限定されるものではない。通常10−5Torr程度以下の真空下で50〜500℃程度のボート温度(蒸着源温度)、−50〜300℃程度の基板温度で、0.01〜50nm/sec.程度蒸着することが好ましい。正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各層を複数の化合物を使用して形成する場合、化合物を入れた各ボートをそれぞれ温度制御しながら共蒸着することが好ましい。
【0167】
正孔輸送層、発光層を溶媒塗布法で形成する場合、各層を構成する成分を溶媒に溶解または分散させて塗布液とする。溶媒としては、炭化水素系溶媒(例えば、ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、ハロゲン系溶媒(例えばジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、エーテル系溶媒(例えばジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等)、非プロトン性溶媒(例えばN,N′−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)、水等が挙げられる。溶媒は単独で使用しても良く、複数の溶媒を併用しても良い。
【0168】
正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常5〜5,000nmになるようにする。
【0169】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、酸素や水分等との接触を遮断する目的で保護層(封止層)を設けたり、不活性物質中に素子を封入して保護することができる。不活性物質としては、パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン等が挙げられる。保護層に使用する材料としては、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、光硬化性樹脂等が挙げられる。
【0170】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、通常直流駆動の素子として使用できる。直流電圧を印加する場合、陽極をプラス、陰極をマイナスの極性として電圧を通常1.5〜20V程度印加すると発光が観測される。また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は交流駆動の素子としても使用できる。交流電圧を印加する場合には、陽極がプラス、陰極がマイナスの状態になった時に発光する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えば電子写真感光体、フラットパネルディスプレイなどの平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト、計器等の光源、各種発光素子、各種表示素子、各種標識、各種センサー、各種アクセサリーなどに使用することができる。
【0171】
図47〜60に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい例を示す。
【0172】
図47は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。図47は、基板1上に陽極2、発光層3および陰極4を順次設けた構成のものである。ここで使用する発光素子は、それ自体がホール輸送性、電子輸送性及び発光性の機能を単一で有している場合や、それぞれの機能を有する化合物を混合して使用する場合に有用である。
【0173】
図48は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図48は、基板1上に、陽極2、ホール輸送層5、発光層3及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、発光層は電子輸送性の機能を有している場合に有用である。
【0174】
図49は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図49は、基板1上に、陽極2、発光層3、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、発光層はホール輸送性の機能を有している場合に有用である。
【0175】
図50は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図50は、基板1上に、陽極2、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。これは、キャリア輸送と発光の機能を分離したものであり、材料選択の自由度が増すために、発光の高効率化や発光色の自由度が増すことになる。
【0176】
図51は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図51は、基板1上に、陽極2、ホール注入層7、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、ホール注入層7を設けることにより、陽極2とホール輸送層5の密着性を高めたり、陽極からホールの注入を良くし、発光素子の低電圧駆動に効果がある。
【0177】
図52は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図52は、基板1上に、陽極2、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陰極4から電子の注入を良くし、発光素子の低電圧駆動に効果がある。
【0178】
図53は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図53は、基板1上に、陽極2、ホール注入層7、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陽極2からホールの注入を良くし、陰極4からは電子の注入を良くし、最も低電圧駆動に効果がある構成である。
【0179】
図54〜60は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図54〜60は、発光層3と陰極4あるいは電子輸送層6の間にホールブロック層9を挿入した構成のものである。陽極から注入されたホール、あるいは発光層3で再結合により生成した励起子が、陰極4側に抜けることを防止する効果があり、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の向上に効果がある。
【0180】
図54〜60で、ホール輸送層5、ホール注入層7、電子輸送層6、電子注入層8、発光層3、ホールブロック層9のそれぞれの層は、一層構造であっても、多層構造であってもよい。
【0181】
図47〜60は、あくまで基本的な素子構成であり、本発明の化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の構成は、これに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0182】
本発明のトリアリールホウ素誘導体は、これまで知られている代表的な電子輸送材料Alqよりも高い電子輸送性能を示すだけでなく、ホールブロック性が高いため、青色リン光発光素子に用いることで、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子よりも高効率発光が可能となった。従って、本発明のトリアリールホウ素誘導体は、工業的に極めて重要なものである。
【0183】
本発明のトリアリールホウ素誘導体は、実施例に示されるようにこれまで知られている代表的な電子輸送材料Alqよりも遙かに高い電子輸送性能を示すことがわかる。このため有機エレクトロルミネッセンス素子、有機半導体トランジスタ等の有機半導体デバイスに適した材料を提供することが可能になった。また本発明のトリアリールホウ素誘導体を用いることにより、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子よりも低い駆動電圧で作動し、発光特性に優れ且つ安定性に優れた長寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することが可能になった。従って本発明のトリアリールホウ素誘導体は、工業的に極めて重要なものである。
またトリアリールホウ素誘導体は、可視領域に蛍光を持たないためAlqのような発光機能を示さない。従って電子輸送層として使用した場合Alqのように有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動電圧をあげると発光してくると言うことはない。このため発光材料の選択決定が容易である。
【実施例】
【0184】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0185】
実施例1
(1)トリ(4−ブロモメシチル)ボラン(TBrMB)の合成
【化147】

500ml四つ口フラスコに2,4−ジブロモメシチレン(20.0g 71.9mmol)を入れ、40分窒素フローした。これに乾燥ジエチルエーテル300mlを投入し、−75℃まで冷却した。この溶液にn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58M 51ml 79.1mmol)を20分で滴下し、滴下終了後、室温まで昇温させ10℃以上で2時間撹拌した。この反応液を再び−75℃まで冷却しボロントリフルオリドジエチルエーテル錯体(3.16g 22.3mmol)を3分で滴下し、滴下終了後再び室温まで戻し12時間撹拌した。この反応液をトルエン500mlで抽出し、5%食塩水400mlで2回分液洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過して硫酸マグネシウムを除去した。ろ液を濃縮して薄黄色粘体を得た。この粘体をシリカゲルカラム(展開液ヘキサン)で精製しトリ(4−ブロモメシチル)ボラン(TBrMB)の白色結晶7.4gを得た。H−NMRにより構造を確認した。(収率54.6% 理論収量13.5g)
【0186】
(2)トリ[4−(3−ピリジル)−メシチル]ボラン(TPYMB)の合成
【化148】

300ml四つ口フラスコにトリ(4−ブロモメシチル)ボラン(TBrMB)(2.0g 3.3mmol)、3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン(2.4g 11.6mmol)、トルエン100ml、エタノール60ml、炭酸ナトリウム(2.8g 26.4mmol)の60ml水溶液を投入し、40分間窒素フローした。溶液を70℃に加熱し、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(230mg 0.198mmol)を投入し24時間反応させた。40℃まで冷却し、反応液を5%食塩水で2回分液洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過して硫酸マグネシウムを除去した。ろ液を濃縮して薄黄色粘体を得た。この粘体をシリカゲルカラム(展開液酢酸エチル→クロロホルム/メタノール=30/1)で精製してトリ[4−(3−ピリジル)−メシチル]ボラン(TPYMB)の白色結晶1.5gを得た。H−NMRにより構造を確認した。H−NMRは図1に示す。(収率76.3% 理論収量1.98g)、このものの熱特性、電気化学的特性を表1および図3〜5に示す。
【0187】
実施例2
(1)3−(1−クロロフェニル)−ピリジン(ClPHPY)の合成
【化149】

500ml四つ口フラスコに4−クロロフェニルボロン酸(10g 65.6mmol)、3−ブロモピリジン(10.4g 65.6mmol)、トルエン200ml、エタノール100ml、炭酸ナトリウム(27.1g)の150ml水溶液を投入し、撹拌しながら、1時間窒素フローした。この液を70℃に加熱し、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(1.5g 1.31mmol)を投入し4時間反応させた。反応液を30℃まで冷却し、5%食塩水で2回分液洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した後、濃縮して薄オレンジ色粘体を得た。この粘体をシリカゲルカラム(展開液酢酸エチル/ヘキサン=1/1)で精製して3−(1−クロロフェニル)−ピリジン(ClPHPY)の薄黄色粘体11.3gを得た。H−NMRで構造を確認した。(収率90.9% 理論収量12.4g)
【0188】
(2)1−(3−ピリジル)−4−(4,4,5,5,−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼン(PHPYDOB)の合成
【化150】

500ml四つ口フラスコに3−(1−クロロフェニル)−ピリジン(ClPHPY)(6.8g 3.6mmol)、ビスピナコールジボロン(10g 3.9mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(617mg 0.107mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(903mg 0.32mmol)、酢酸カリウム(5.27g 5.37mmol)
乾燥ジオキサン250mlを投入し、撹拌しながら40分窒素フローした。この溶液を80℃に加熱し、24時間反応させた。反応終了後30℃まで冷却し、クロロホルム300mlを投入し、5%食塩水で3回分液洗浄した。この液を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して濃縮し褐色粘体を得た。この粘体をシリカゲルカラム(展開液酢酸エチル/クロロホルム=1/1)で精製し1−(3−ピリジル)−4−(4,4,5,5,−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼン(PHPYDOB)の薄黄色粘体6.7gを得た。H−NMRで構造を確認した。(収率67.3% 理論収量10.1g)
【0189】
(3)トリ[4−(4−フェニル−3−ピリジル)−メシチル]ボラン(TPPYMB)の合成
【化151】

300ml四つ口フラスコにトリ(4−ブロモメシチル)ボラン(TBrMB)(2g 3.31mmol)、1−(3−ピリジル)−4−(4,4,5,5,−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼン(PHPYDOB)(3.6g 11.9mmol)、トルエン150ml、エタノール70ml、炭酸ナトリウム3.5gの70ml水溶液を投入し撹拌しながら40分窒素フローした。この溶液を70℃に加熱し、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(230mg 0.20mmol)を加え24時間反応させた。反応終了後、30℃まで冷却し、5%食塩水で3回分液洗浄した。この液を硫酸マグネシウムで乾燥させろ過して濃縮し、淡黄色粘体を得た。この粘体をシリカゲルカラム(展開液酢酸エチル→クロロホルム/メタノール=30/1)で精製し、トリ[4−(4−フェニル−3−ピリジル)−メシチル]ボラン(TPPYMB)の白色結晶2.12gを得た。図2に示すH−NMRで構造を確認した。(収率77.4% 理論収量2.74g)、このものの熱特性、電気化学的特性を表1および図3〜5に示す。
【0190】
【表1】

【0191】
【表2】

【0192】
Td:分解温度、Tg:二次転移温度、Tc:結晶化温度、Tm:融点、Ip:イオン化ポテンシャル、Eg:エネルギーギャップ、Ea:エレクトロアフィニティ(電子親和力)、n.d.:検出されず。
Tg(二次転移温度)については、DSC(Diffirential Scanning Calorimeter 示差熱量計)中にサンプルを加え、溶融させたものを急冷し、2〜3回繰り返すとガラス転移を表すカーブがチャート上に現れるので、そのカーブを接線で結び、その交点の温度をTgとして採用する。
Tc(結晶化温度)は、一度融解した結晶が再び結晶化する温度である。Tgをもつものは、一般にTcは有しない。
Tm(融点)は、同じくDSCにサンプルを加え、昇温していくと吸熱カーブが現れるのでその極大のところとの温度を読んで、その温度をTmとする。
Td(分解温度)は、DTA(Differential thermal analyzer 示差熱分析装置)にサンプルを加え、加熱していくとサンプルが熱によって分解し、重量が減少しだす。その減少が開始しだしたところの温度を読んで、その温度をTdとする。
エネルギーギャップ(Eg)については、蒸着機で作成した薄膜を紫外−可視吸光度計で薄膜の吸収曲線を測定する。その薄膜の短波長側の立ち上がりの所に接線を引き、求まった交点の波長W(nm)を次の式に代入し目的の値を求める。それによって得た値がEgになる。
Eg=1240÷W
例えば接線を引いて求めた値W(nm)が470nmだったとしたらこの時のEgの値は
Eg=1240÷470=2.63(eV)
と言うことになる。
Ip(イオン化ポテンシャル)は、イオン化ポテンシャル測定装置(例えば理研計器AC−1)を使用して測定し、測定するサンプルがイオン化を開始しだしたところの電圧(eV)の値を読む。
Ea(電子親和力)は、IpからEgを引いた値である。
本明細書における波長に対する強度(intensity a.u.)の測定は、浜松ホトニクス社製ストリークカメラを用いて、クライオスタット中で4.2Kにおいて測定した。
【0193】
実施例3
(1)2−(ジメシチルボリル)−4,6−ジブロモメシチレン(MBDBrMES)の合成
【化152】

500ml四つ口フラスコに、トリブロモメシチレン(TBrMES)(10.9g 30.5mmol)を入れ、40分窒素フローした。これに乾燥ジエチルエーテル300mlを投入し、−75℃まで冷却した。この溶液にn−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.58M 19.3ml 30.5mmol)を15分で滴下し、滴下終了後、室温まで昇温させ10℃以上で2時間撹拌した。この反応液を再び−75℃まで冷却しジメシチルボランフルオリド〔10g(純度90%換算で9g 33.6mmol)〕のジエチルエーテル50ml溶液を20分で滴下し、滴下終了後再び室温まで戻し12時間撹拌した。この反応液をトルエン500mlで抽出し5%食塩水400mlで2回分液洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して硫酸マグネシウムを除去した。ろ液を濃縮して薄黄色粘体を得た。この粘体をシリカゲルカラム(展開液ヘキサン)で精製し、2−(ジメシチルボリル)−4,6−ジブロモメシチレン(MBDBrMES)の白色結晶10.8gを得た。H−NMRにより構造を確認した。(収率73.4% 理論収量14.7g)
【0194】
(2)1,4−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼン(BDOBBz)
【化153】

500ml四つ口フラスコに1,4−ジブロモベンゼン(6.3g 26.8mmol)、ビスピナコラートジボロン(15.0g 59.1mmol)、酢酸カリウム(15.8g 161mmol)、ジフェニルホスフィノフェロセンパラジウムジクロリド(1.3g 1.61mmol)を投入し、30分窒素フローした。これに乾燥ジメチルホルムアミド250mlを投入し、85℃で12時間撹拌した。40℃まで冷却後クロロホルムで抽出し、5%食塩水で2回分液洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して硫酸マグネシウムを除去した。ろ液を濃縮して茶色固体を得た。この固体をシリカゲルカラム(展開液クロロホルム/ヘキサン)で精製し、1,4−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼン(BDOBBz)の白色結晶7.2gを得た。H−NMRにより構造を確認した。(収率81.5% 理論収量8.8g)
【0195】
(3)1−(3−ピリジル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼン(PHPYDOB)の合成
【化154】

500ml四つ口フラスコに1,4−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボサン−2−イル)−ベンゼン(BDOBBz)(7.2g 21.8mmol)、3−ブロモピリジン(2.7g 16.8mmol)、トルエン200ml、エタノール100ml、炭酸ナトリウム(10.67g 100.7mmol)の100ml水溶液を投入し、40分間撹拌しながら窒素フローした。この液を70℃に加熱し、テトラキストリフェニルホスフェンパラジウム(387mg 0.336mmol)を投入して2時間反応させた。40℃に冷却し、反応液を5%食塩水で2回分液洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して硫酸マグネシウムを除去した。ろ液を濃縮して茶色粘体を得た。この粘体をシリカゲルカラム(展開液クロロホルム/酢酸エチル=3/1)で精製して1−(
3−ピリジル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼン(PHPYDOB)の薄黄色粘体1.91gを得た。H−NMRにより構造を確認した。(収率40.5% 理論収量4.7g)
【0196】
(4)2−(ジメシチルボリル)−4,6−ビス(3−ピリジルフェニル)メシチレン(PPYTMB)の合成
【化155】

300ml四つ口フラスコに2−(ジメシチルボリル)−4,6−ジブロモメシチレン(MBDBrMES)(1.38g 2.62mmol)、1−(3−ピリジル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼン(PHPYDOB)(1.84g 6.54mmol)トルエン100ml、エタノール60ml、炭酸ナトリウム(2.2g 21.0mmol)の60ml水溶液を投入し、40分間窒素フローした溶液を70℃に加熱し、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(121mg 0.105mmol)を投入し24時間反応させた。40℃まで冷却し、反応液を5%食塩水で2回分液洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して硫酸マグネシウムを除去した。ろ液を濃縮して黄色粘体を得た。この粘体をシリカゲルカラム(展開液クロロホルム/酢酸エチル=1/1.5)で精製して2−(ジメシチルボリル)−4,6−ビス(3−ピリジルフェニル)メシチレン(PPYTMB)の白色結晶763mgを得た。H−NMRにより構造を確認した。(収率40.5% 理論収量1.77g)
【0197】
実施例4、比較例1
Alq〔(8−キノリラート)アルミニウム〕を用いた有機EL素子(比較例1)と本実施例1のトリ[4−(3−ピリジル)−メシチル]ボラン(TPYMB)を用いた有機EL素子(実施例4)の対比
(1)素子構成
比較例1:ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
実施例4:ITO/NPD(50nm)/Alq(40nm)/TPYMB(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
【化156】

(2)両素子の電圧−電流密度特性を図6に、電圧−輝度特性を図7に、電圧−視感効率を図8に、電圧−電流効率特性を図9に示すと共に、素子の特性を表3に示す。
【0198】
【表3】

Turn on voltage:印加電圧
Current density:電流密度
P.E.:視感効率
C.E.:電流効率
【0199】
実施例5
本実施例1のトリ[4−(3−ピリジル)−メシチル]ボラン(TPYMB)を用いた青色リン光素子(実施例4)と、TPYMBの代りに3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)を用いた青色リン光素子(比較例2)との対比
(1)素子構成
比較例2:ITO/TPDPES:TBPAH(10wt%:20nm)/DTASI(20nm)/4CZPBP:FIrpic(9wt%:30nm)/TAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
実施例5:ITO/TPDPES:TBPAH(10wt%:20nm)/DTASI(20nm)/4CZPBP:FIrpic(9wt%:30nm)/TPYMB(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
【化157】

(2)両素子の電圧−電流密度特性を図10に、電圧−輝度特性を図11に、電圧−視感効率特性を図12に、電圧−電流効率特性を図13に、ELスペクトルを図14に示すと共に、素子の特性を表4示す。
【0200】
【表4】

QE:外部量子効率
【0201】
実施例6(TPYMBを電子輸送材料とした緑リン光素子)
(1)素子構成
ITO/TPDPES:TBPAH10wt%(20nm)/m−DTATPB(30nm)/CBP:Ir(ppy)9wt%/TPYMB/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
その1:発光層=CBP:Ir(ppy)9wt%(30nm)
電子輸送層=TPYMB(30nm)
その2:発光層=CBP:Ir(ppy)9wt%(20nm)
電子輸送層=TPYMB(40nm)
その3:発光層=CBP:Ir(ppy)9wt%(10nm)
電子輸送層=TPYMB(50nm)
TPDPESは、ポリ〔オキシ−1,4−フェニレンスルホニル−1,4−フェニレンオキシ−1,4−フェニレン(フェニルイミノ)(1,1′−ビフェニル)−4,4′−ジイル(フェニルイミノ)−1,4−フェニレン〕{poly〔oxy−1,4−phenylensulfonyl−1,4−phenyleneoxy−1,4−phenylene)(phenylimino)(1,1′−biphenyl)−4,4′−diyl(phenylimino)−1,4−phenylene〕}(9CI)(CA INDEX NAME)の略称である。
TBPAHはトリス(4−ブロモフェニル)アミニウム ヘキサクロロアンチモネート〔Tris(4−bromophenyl)aminium hexachloroantimonate〕である。
【化158】

(2)素子の評価
図16〜19に電圧−電流密度、電圧−輝度、電圧−視感効率、電圧−電流効率特性を図20に輝度−電流効率特性を示す。また図21にELスペクトルを示す。表5に得られた素子特性をまとめた。いずれの素子からもIr(ppy)のみの発光が観測されたことがELスペクトルを見て分かった。発光層の膜厚を薄くし、TPYMBを厚くするに伴い図16の電流特性からみて、電流注入性が向上する傾向がある。発光層10nm(100Å)とした素子では、視感効率、電流効率は発光層30nm(300Å)の素子よりも劇的に向上し、100cd/m時において視感効率87.7ルーメン/W、外部量子効率24.3%という非常に高効率的な結果が得られた。これは、TPYMBの電子移動度が発光層の電子移動より高いために発光層を薄くすると電流注入性が向上し、結果的に低電圧駆動するため高効率化したのではないかと考えられる。
【0202】
【表5】

【0203】
実施例7〜9(TPYMBを電子輸送層とした緑リン光素子におけるホール輸送層の検討)
さらなる低電圧駆動を狙って、最も高効率である発光層10nm/電子輸送層TPYMB50nm型素子のホール輸送層を比較的ホール移動度が高いとされているTAPCとホール注入性に優れていると考えられるDTNTPHをホール輸送層とした素子をそれぞれ作製し評価した。
(1)素子構成
実施例7:ITO/TPDPES:TBPAH10wt%(20nm)/m−DTATPB(30nm)/CBP:Ir(ppy)9wt%(10nm)/TPYMB(50nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
実施例8:ITO/TPDPES:TBPAH10wt%(20nm)/TAPC(30nm)/CBP:Ir(ppy)9wt%(10nm)/TPYMB(50nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
実施例9:ITO/TPDPES:TBPAH10wt%(20nm)/DTNTPH(30nm)/CBP:Ir(ppy)9wt%(10nm)/TPYMB(50nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
TPDPES、TBPAH、CBP、Ir(ppy)は前記と同一。
【化159】

(2)評価
それぞれの素子の電圧−電流密度特性(対数)、電圧−電流密度特性(線形)、電圧−輝度特性(対数)、電圧−輝度特性(線形)、電圧−視感効率特性、電圧−電流効率特性、25mA/cm時のELスペクトルを、図22〜28に示すと共に、各素子の特性を表6に示す。
図22、23の電圧−電流特性の対数および線形プロット、図24、25に電圧−輝度特性の対数および線形プロット、図26、27の電圧−視感効率特性、電圧−電流効率特性を表6にまとめた。ELスペクトルよりいずれの素子からもIr(ppy)のみの発光が観測されている。図22、23の電圧−電流特性より、期待どおり、TAPC、DTNTPHを用いた素子はm−DTATPBよりも電流注入性が向上していることがわかる。しかし図24、25の電圧−輝度特性より、TAPCでは輝度も向上しているが、DTNTPHでは逆に低下していることがわかる。
TAPCを用いた素子では、m−DTATPBを用いた素子よりも低電圧駆動したため、さらに効率が向上し100cd/m時の視感効率92.7ルーメン/W、外部量子効率24.2%と極めて高効率な発光が得られた。これはTAPCの励起子閉じこめ効果に加えて、極めてキャリアバランスが良いことが起因していると考えられる。逆にDTNTPHを用いた素子では最も電流注入がよいのにもかかわらず、効率は逆に最も低い。
【0204】
【表6】

【0205】
実施例10(TPYMBを電子輸送材料とした青リン光素子)、比較例3
(1)素子構成
実施例10:ITO/TPDPES:TBPAH10wt%(20nm)/DTASI(30nm)/4CZPBP:Flrpic9wt%(30nm)/TPYMB(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
比較例3:ITO/TPDPES:TBPAH10wt%(20nm)/DTASI(30nm)/4CZPBP:Flrpic9wt%(30nm)/TAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
TPDPES、TBPAH、DTASI、4CZPBP、TAZは、前記と同一。
(2)素子の評価
図29〜32に電圧−電流密度、電圧−輝度、電圧−視感効率、電圧−電流効率特性を示す。また図33に25mA/cm時のELスペクトルを示す、図34に300〜450nmの部分の拡大したELスペクトルを示す。図33、34のELスペクトルより、TPYMBを用いた素子からはFlrpicのみの発光が観測されているのに対し、TAZを用いた素子からはFlrpic以外に380nm付近にピークをもつTAZと思われる微弱な発光が観測されている。この結果よりTPYMBのホールブロック性はTAZを上回っていると考えられる。図29の電圧−電流特性よりTPYMBを用いた素子ではTAZよりも大きな電流密度が観測されている。また図30の輝度特性からも9Vまでの領域では低電圧駆動していることがわかる。これは明らかに、TPYMBの励起子閉じこめ効果よりも、電子移動度がTAZより上回っていることに起因すると考えられる。表7から明らかなように、TPYMBを用いた素子(実施例10)の効率は向上し、100cd/m時で視感効率29.1ルーメン/W、外部量子効率17.5%という高効率な発光が得られている。
【0206】
【表7】

【0207】
実施例11(TPYMBを電子輸送材料とした青リン光素子)
(1)素子構成
ITO/TPDPES:TBPAH10wt%(20nm)/DTASI(20nm)/4CZPBP:Flrpic9wt%/TPYMB/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
その1:4CZPBP:Flrpic9wt%(30nm)
TPYMB(30nm)
その2:4CZPBP:Flrpic9wt%(20nm)
TPYMB(40nm)
その3:4CZPBP:Flrpic9wt%(10nm)
TPYMB(50nm)
Ir(ppy)を用いた緑リン光素子同様、発光層(4CZPBP:Flrpic9wt%)/電子輸送層(TPYMB)の膜厚を30nm/30nm、20nm/40nm、10nm/50nmとしたものをそれぞれ製作し、評価した。
(2)素子の評価
図35〜39に電圧−電流密度、電圧−輝度、電圧−視感効率、電圧−電流効率、輝度−電流効率特性をそれぞれ示す。また図40に25mA/cm時のELスペクトルを示す。表8に素子特性をまとめる。図35の電圧−電流特性より発光層が薄くなるに伴い、電流密度が増大する傾向がある。Ir(ppy)を用いた緑リン光素子でも同様の傾向が観測されており、TPYMBの電子移動度が発光層の電子移動度を上回るため電流が注入されやすくなるのではないかと考えられる。
10nm/50nmの素子において100cd/m時の視感効率は33.6ルーメン/W、外部量子効率20.6%と最も高効率な結果が得られている。
【0208】
【表8】

【0209】
実施例12(TPYMBを電子輸送材料とした青リン光素子のFlrpicドープ濃度の検討)
(1)素子構成
ITO/TPDPES:TBPAH10wt%(20nm)/DTASI(20nm)/4CZPBP:Flrpic9wt%、13wt%、18wt%(10nm)/TPYMB(50nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
発光層は10nmに固定し、Flrpicドープ濃度を9wt%から13wt%、18wt%と濃くした素子を作製し評価した。
(2)素子の評価
図41、42に電圧−電流密度特性の対数プロットとその線形プロット、図43〜45に電圧−輝度、電圧−視感効率、電圧−電流効率をそれぞれ示す。また25mA/cm時のELスペクトルを図46に示す。表9に素子特性をまとめる。現在9wt%、13wt%、18wt%の3種類のデータであるが、13wt%で100cd/m時の視感効率38.2ルーメン/W、外部量子効率20.9%という非常に高効率な発光が得られている。1000cd/m時の視感効率もドープ濃度9wt%では8.5ルーメン/Wであったのに対し、13wt%では16.5ルーメン/Wと大きく改善されている。
図41、42の電流密度特性より、ドープ濃度18wt%の素子では電流注入は最も良いことが確認できる。
【0210】
【表9】

【図面の簡単な説明】
【0211】
【図1】本発明化合物である実施例1のトリ[4−(3−ピリジル)−メシチル]ボラン(TPYMB)のH−NMRを示す。
【図2】本発明化合物である実施例2のトリ[4−(4−フェニル−3−ピリジル)−メシチル]ボラン(TPPYMB)のH−NMRを示す。
【図3】本発明化合物である実施例1のトリ[4−(3−ピリジル)−メシチル]ボラン(TPYMB)と実施例2のトリ[4−(4−フェニル−3−ピリジル)−メシチル]ボラン(TPPYMB)の、それぞれの蒸着膜のUV吸収スペクトルを示す。
【図4】本発明化合物である実施例1のトリ[4−(3−ピリジル)−メシチル]ボラン(TPYMB)と実施例2のトリ[4−(4−フェニル−3−ピリジル)−メシチル]ボラン(TPPYMB)の、それぞれの蒸着膜のPLスペクトルを示す。
【図5】本発明化合物である実施例1のトリ[4−(3−ピリジル)−メシチル]ボラン(TPYMB)と実施例2のトリ[4−(4−フェニル−3−ピリジル)−メシチル]ボラン(TPPYMB)の、それぞれの蒸着膜の4.2Kにおけるリン光スペクトルを示す。
【図6】実施例4の有機EL素子(□印)と比較例1の有機EL素子(○印)の電圧−電流密度特性を示すグラフである。
【図7】実施例4の有機EL素子(□印)と比較例1の有機EL素子(○印)の電圧−輝度特性を示すグラフである。
【図8】実施例4の有機EL素子(□印)と比較例1の有機EL素子(○印)の電圧−視感効率特性を示すグラフである。
【図9】実施例4の有機EL素子(□印)と比較例1の有機EL素子(○印)の電圧−電流効率特性を示すグラフである。
【図10】実施例5の有機EL素子(□印)と比較例2の有機EL素子(○印)の電圧−電流密度特性を示すグラフである。
【図11】実施例5の有機EL素子(□印)と比較例2の有機EL素子(○印)の電圧−輝度特性を示すグラフである。
【図12】実施例5の有機EL素子(□印)と比較例2の有機EL素子(○印)の電圧−視感効率特性を示すグラフである。
【図13】実施例5の有機EL素子(□印)と比較例2の有機EL素子(○印)の電圧−電流効率特性を示すグラフである。
【図14】実施例5の有機EL素子(点線)と比較例2の有機EL素子(実線)のELスペクトルを示す。
【図15】実施例5の有機EL素子(点線)と比較例2の有機EL素子(実線)の300〜450nmの部分のELスペクトルを拡大表示したものである。
【図16】実施例6のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの電圧−電流密度特性を示すグラフである。
【図17】実施例6のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの電圧−輝度特性を示すグラフである。
【図18】実施例6のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの電圧−視感効率特性を示すグラフである。
【図19】実施例6のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの電圧−電流効率特性を示すグラフである。
【図20】実施例6のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの輝度−電流密度効率特性を示すグラフである。
【図21】実施例6のその1(実線)、その2(点線)、その3(破線)のそれぞれの25mA/cm時のELスペクトルを示すグラフである。
【図22】実施例7(○印)、実施例8(□印)、実施例9(△印)のそれぞれの電圧−電流密度特性(対数)を示すグラフである。
【図23】実施例7(○印)、実施例8(□印)、実施例9(△印)のそれぞれの電圧−電流密度特性(線形)を示すグラフである。
【図24】実施例7(○印)、実施例8(□印)、実施例9(△印)のそれぞれの電圧−輝度特性(対数)を示すグラフである。
【図25】実施例7(○印)、実施例8(□印)、実施例9(△印)のそれぞれの電圧−輝度特性(線形)を示すグラフである。
【図26】実施例7(○印)、実施例8(□印)、実施例9(△印)のそれぞれの電圧−視感効率特性を示すグラフである。
【図27】実施例7(○印)、実施例8(□印)、実施例9(△印)のそれぞれの電圧−電流効率特性を示すグラフである。
【図28】実施例7(実線)、実施例8(点線)、実施例9(破線)のそれぞれの25mA/cm時のELスペクトルを示すグラフである。
【図29】実施例10(□印)と比較例3(○印)のそれぞれの電圧−電流密度特性を示すグラフである。
【図30】実施例10(□印)と比較例3(○印)のそれぞれの電圧−輝度特性を示すグラフである。
【図31】実施例10(□印)と比較例3(○印)のそれぞれの電圧−視感効率特性を示すグラフである。
【図32】実施例10(□印)と比較例3(○印)のそれぞれの電圧−電流効率特性を示すグラフである。
【図33】実施例10(点線)と比較例3(実線)のそれぞれの25mA/cm時のELスペクトルを示すグラフである。
【図34】実施例10(点線)と比較例3(実線)のそれぞれの300〜450nmの部分のELスペクトルを拡大表示したものである。
【図35】実施例11のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの電圧−電流密度特性(対数)を示すグラフである。
【図36】実施例11のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの電圧−輝度特性を示すグラフである。
【図37】実施例11のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの電圧−視感効率特性を示すグラフである
【図38】実施例11のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの電圧−電流効率特性を示すグラフである。
【図39】実施例11のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの輝度−電流効率特性を示すグラフである。
【図40】実施例11のその1(太線)、その2(細線)、その3(点線)のそれぞれの25mA/cm時のELスペクトルを示すグラフである。
【図41】実施例12のFlrpicドープ濃度9wt%、13wt%、18wt%の3つの有機EL素子のそれぞれの電圧−電流密度特性(対数)を示すグラフである。
【図42】実施例12のFlrpicドープ濃度9wt%、13wt%、18wt%の3つの有機EL素子のそれぞれの電圧−電流密度特性(線形)を示すグラフである。
【図43】実施例12のFlrpicドープ濃度9wt%、13wt%、18wt%の3つの有機EL素子のそれぞれの電圧−輝度特性を示すグラフである。
【図44】実施例12のFlrpicドープ濃度9wt%、13wt%、18wt%の3つの有機EL素子のそれぞれの電圧−視感効率特性を示すグラフである。
【図45】実施例12のFlrpicドープ濃度9wt%、13wt%、18wt%の3つの有機EL素子のそれぞれの電圧−電流効率特性を示すグラフである。
【図46】実施例12のFlrpicドープ濃度9wt%(実線)、13wt%(点線)、18wt%(破線)の3つの有機EL素子のそれぞれの25mA/cm時のELスペクトルを示すグラフである。
【図47】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図48】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図49】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図50】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図51】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図52】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図53】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図54】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図55】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図56】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図57】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図58】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図59】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図60】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0212】
1 基板
2 陽極
3 発光層
4 陰極
5 ホール輸送層
6 電子輸送層
7 ホール注入層
8 電子注入層
9 ホールブロック層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

下記一般式(2)
【化2】

下記一般式(3)
【化3】

下記一般式(4)
【化4】

下記一般式(5)
【化5】

および下記一般式(6)
【化6】

〔前記一般式(1)〜(6)における式中のR〜R14は、水素、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基をもつアルキルアミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリール基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基および炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリールアミノ基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた基であり、Arは、単結合または炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーレン基、Ar′は窒素、硫黄および酸素よりなる群から選ばれたヘテロ元素をもつヘテロアリール基(置換基として、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を有していてもよい)である。〕
よりなる群から選ばれたトリアリールホウ素誘導体。
【請求項2】
3.4eV以上の広いエネルギーギャップ(Eg)を有する請求項1記載のトリアリールホウ素誘導体。
【請求項3】
500nmよりも短波長に低温リン光スペクトルの発光端を示す請求項1または2記載のトリアリールホウ素誘導体。
【請求項4】
一般式(1)〜(6)におけるAr′がピリジル基である請求項1〜3いずれか記載のトリアリールホウ素誘導体。
【請求項5】
一般式(1)〜(6)におけるArが単結合またはフェニレン基である請求項1〜4いずれか記載のトリアリールホウ素誘導体。
【請求項6】
一般式(1)、(2)、(4)、(5)、(6)におけるArが3′−位および/または、5′−位に結合している請求項1〜5いずれか記載のトリアリールホウ素誘導体。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか記載のトリアリールホウ素誘導体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
請求項1〜6いずれか記載のトリアリールホウ素誘導体を電子輸送材料として使用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
請求項2記載のトリアリールホウ素誘導体とリン光発光材料を併用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
請求項3記載のトリアリールホウ素誘導体とリン光発光材料を併用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【公開番号】特開2007−70282(P2007−70282A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258545(P2005−258545)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(394013644)ケミプロ化成株式会社 (63)
【Fターム(参考)】