説明

新規なピリミジン系またはトリアジン系誘導体、それよりなる電子輸送材料およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】新規なピリミジン系またはトリアジン系誘導体、それよりなる電子輸送材料およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子の提供。
【解決手段】下記一般式(1)


で示されるピリミジン系またはトリアジン系誘導体、それよりなる電子輸送材料およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なリン光材料、とくに青色リン光材料に適したワイドギャップな電子輸送層を形成するのに有用な新規なピリミジン系またはトリアジン系誘導体、それよりなる電子輸送材料およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、電極から注入されたホールと電子の再結合によって生成した励起エネルギーが、発光過程を経て基底状態に緩和されることにより自発光する。しかしながら、ホールと電子の再結合によって生成する励起状態には、一重項励起状態と三重項励起状態の2種類がそれぞれ1対3の割合で存在する。これまでの多くは、一重項励起状態からの発光を利用した蛍光材料が発光材料に利用されていたため、内部量子効率が最大で25%であり、この時の取り出し効率を20%とすると、最大外部量子効率は5%が理論限界であった。
【0003】
近年、イリジウムやプラチナなどの重原子効果を利用した錯体化合物を用い、三重項励起状態からの発光、例えばリン光発光を用いる事により発光効率の向上が報告されるようになった(例えば非特許文献1)。一重項励起状態に加え、三重項励起状態からの発光を利用する事で最大量子効率は理論上100%に到達する事が可能で、リン光材料は発光材料として注目を浴びている(非特許文献3)。
【0004】
例えば緑色材料として、下記式
【化3】

に示すトリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)[Ir(ppy)]が広く利用されている。
【0005】
また安達らの発表にかかる非特許文献2などにより青色リン光材料である下記式
【化4】

で示すビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C2′]イリジウム(III)ピコリネート(FIrPic)が注目を浴びるようになり、それ以降FIrpicを用いた有機EL素子の高効率化検討および新規な青色リン光錯体探索研究が盛んに行われるようになった。
【0006】
その結果、最近ではS.R.Forrestらによる非特許文献1では下記式
【化5】

で示すトリス{1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾラート−N,C2′}イリジウム(III)(Irtfmppz3)やM.E.Thompsonらによる非特許文献4の下記式
【化6】

で示すビス[2−(4′,6′−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2′]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート(FIr6)が開発された。
【0007】
これら発光材料を効率よく発光させるには、ホールと電子の注入バランスを整えて、発光層の中で十分にキャリアーの結合が行えるように、ホール輸送剤や電子輸送剤などの選択を行わなければならない。
特に青色リン材料については、エネルギーギャップが大きいために、ワイドギャップ化されたホール輸送材料や電子輸送剤が必要になってくる。現在これらリン光材料としては、従来から電子輸送材料に使用されているAlq[トリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム]やBAlq[ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリノラト)(4−フェニルフェノキシ)アルミニウム]等が使用されているが、リン光材料に使用するには十分なエネルギーギャップを持ち合わせていないため新規なワイドギャップな電子輸送材料の開発が必要である。
【0008】
【非特許文献1】M.A.Baldo,S.Lamansky,P.E.Burrows,M.E.Thompson,S.R.Forrest Appl.Phys.Lett 1999 75(1)4−7
【非特許文献2】Appl.Phys.Lett.,79,2082(2001)
【非特許文献3】J.Appl.Phys.,90 5048(2001)
【非特許文献4】Polyhedron,23 419(2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、新規なピリミジン系またはトリアジン系誘導体、それよりなる電子輸送材料およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1は、下記一般式(1)
【化7】

(式中、Qは
【化8】

よりなる群から選ばれた基であり、
〜R、R10〜R22は、水素、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキルアミノ基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、
6〜は、水素、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキルアミノ基およびピリジル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、
23、R24は、水素、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基からなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、
Xは炭素又は窒素である)
で示されるピリミジン系またはトリアジン系誘導体に関する。
本発明の第2は、請求項1のピリミジン系またはトリアジン系誘導体よりなる電子輸送材料に関する。
本発明の第3は、請求項1のピリミジン系またはトリアジン系誘導体を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明の第4は、請求項1のピリミジン系またはトリアジン系誘導体を電子輸送層に用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0011】
本発明におけるR1〜22およびR23、R24における炭素数1〜6の直鎖あるいは分枝のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘプチル、イソヘプチル、n−ヘキシル等を挙げることができる。
【0012】
本発明におけるR1〜22における炭素数1〜6の直鎖あるいは分枝のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、n−へプトキシ、イソへプトキシ、n−ヘキシロキシ等を挙げることができる。
【0013】
本発明におけるR1〜22における炭素数1〜6の直鎖あるいは分枝のアルキルアミノ基としては、−NHの水素の一個もしくは全部が前記アルキル基で置換されたタイプのものである。
【0014】
本発明におけるR6〜におけるピリジル基としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基および4−ピリジル基を挙げることができる。
【0015】
本発明の化合物は、下記の反応により製造することができる。
【化9】

なお、前記式中、Qは

【化10】

よりなる群からなる選ばれた基であり、R1〜、R10〜R22は、水素、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキルアミノ基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、R6〜は、水素、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキルアミノ基およびピリジル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、R23、R24は、水素、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基からなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Xは炭素又は窒素であり、Yはハロゲンである。
【0016】
A法で用いる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル系の溶媒を単独もしくはこれらの混合した形で使用できる。またトルエン、キシレン、メシチレンのような芳香族炭化水素とメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール系溶媒との混合溶媒を用いる事もできる。
【0017】
カップリングのところで用いられる溶媒に関してもA法で用いる溶媒に準ずる事ができる。
【0018】
B法で用いる溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル系の溶媒を単独もしくはこれらの混合した形で使用できる。
【0019】
本発明化合物の具体例を以下に例示する。
【0020】
【化11】

【0021】
【化12】

【0022】
【化13】

【0023】
【化14】

【0024】
【化15】

【0025】
【化16】

【0026】
【化17】

【0027】
【化18】

【0028】
【化19】

【0029】
【化20】

【0030】
【化21】

【0031】
【化22】

【0032】
【化23】

【0033】
【化24】

【0034】
本発明の新規なピリミジン系またはトリアジン系誘導体は高い電子輸送性能を有する。従って電子輸送材料として使用することができる。
【0035】
本発明の新規なピリミジン系またはトリアジン系誘導体を電子輸送層に用いる場合、本発明の化合物は電子輸送材料として使用できる。また他の電子輸送材料と組み合わせて使用することもできる。
【0036】
次に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)について説明する。本発明の有機EL素子は、陽極と陰極間にそれぞれの機能を有した多層の有機化合物を積層した素子であり、該有機化合物層の電子輸送層に本発明のピリミジン系またはトリアジン系誘導体を含有する。
多層型の有機EL素子の構成例としては、例えば陽極(例えばITO)/ホール輸送層(正孔輸送層)/発光層/電子輸送層/陰極、陽極(例えばITO)/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、陽極(例えばITO)/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層(正孔ブロック層)/電子輸送層/陰極、陽極(例えばITO)/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、陽極(例えばITO)/ホール注入層(正孔注入層)/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層したものが挙げられる。また、必要に応じて陰極上に封止層を有していても良い。
【0037】
正孔輸送層、電子輸送層、および発光層のそれぞれの層は一層構造であっても、多層構造であっても良い。また正孔輸送層、電子輸送層はそれぞれの層で注入機能を受け持つ層(正孔注入層および電子注入層)と輸送機能を受け持つ層(正孔輸送層および電子輸送層)を別々に設けることもできる。
【0038】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記構成例に限らず、種々の構成とすることができる。必要に応じて、正孔輸送成分と発光層成分、あるいは電子輸送層成分と発光層成分を混合した層を設けても良い。
【0039】
以下本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成要素に関して、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極からなる素子構成を例として取り上げて説明する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。
【0040】
基板の素材については特に制限はなく、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであれば良く、例えば、ガラス、石英ガラス、透明プラスチックなどからなるものを用いることができる。
【0041】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極としては、仕事関数の大きな金属単体(4eV以上)、仕事関数の大きな金属同士の合金(4eV以上)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、金、銀、銅等の金属、ITO(インジウム−スズオキサイド)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性透明材料、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料が挙げられる。陽極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリング、塗布などの方法により形成することができる。陽極のシート電気抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。
【0042】
陰極としては、仕事関数の小さな金属単体(4eV以下)、仕事関数の小さな金属同士の合金(4eV以下)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、リチウム、リチウム−インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金などが挙げられる。陰極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより作成することができる。陰極のシート電気抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陰極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。本発明の有機EL素子の発光を効率よく取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は透明もしくは半透明であることが好ましい。
【0043】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層は、正孔伝達化合物からなるもので、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有している。電界が与えた2つの電極の間に正孔伝達化合物が配置されて陽極から正孔が注入された場合、少なくとも10−6cm/V・秒以上の正孔移動度を有する正孔伝達物質が好ましい。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層に使用する正孔伝達物質は、前記の好ましい性能を有するものであれば特に制限はない。従来から光導電材料において正孔の電荷注入材料として慣用されているものや有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層に使用されている公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0044】
前記の正孔伝達物質としては、例えば銅フタロシアニンなどのフタロシアニン誘導体、N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジ(m−トリル)−N,N′−ジフェニル−4,4−ジアミノフェニル(TPD)、N,N′−
ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−4,4−ジアミノフェニル(α−NPD)等のトリアリールアミン誘導体、ポリフェニレンジアミン誘導体、ポリチオフェン誘導体、および水溶性のPEDOT−PSS(ポリエチレンジオキサチオフェン−ポリスチレンスルホン酸)などが挙げられる。正孔輸送層は、これらの他の正孔伝達化合物一種または二種以上からなる一層で構成されたものでよく、前記の正孔伝達物質とは別の化合物からなる正孔輸送層を積層したものでも良い。
正孔注入材料としては、下記化学式に示されるPEDOT−PSS(ポリマー混合物)やDNTPDを挙げることができる。

【化25】

正孔輸送材料としては、下記化学式に示すTPD、DTASi、α−NPDなどを挙げることができる。

【化26】

【0045】
発光材料としては、ペリレン誘導体、ナフタセン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体(例えばクマリン1、クマリン540、クマリン545など)ピラン誘導体(例えばDCM−1、DCM−2、DCJTBなど)、有機金属錯体、例えばトリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム錯体(Almq)等の蛍光材料や[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C2′]イリジウム(III)ピコリネート(FIrpic)、トリス{1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾラート−N,C2′}イリジウム(III)(Irtfmppz)、ビス[2−(4′,6′−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2′]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート(FIr6)、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)〔Ir(ppy)〕などのリン光材料などを挙げることができる。
【0046】
発光層は、ホスト材料とゲスト材料(ドーパント)から形成することもできる[Appl.Phys.Lett.,65 3610 (1989)]。特にリン光材料を発光層に使用する場合、ホスト材料の使用が必要であり、この時使用されるホスト材料としては4,4′−ジ(N−カルバゾリル)−1,1′−ビフェニル(CBP)、1,4−ジ(N−カルバゾリル)ベンゼン−2,2′−ジ[4″−(N−カルバゾリル)フェニル]−1,1′−ビフェニル(4CzPBP)等が挙げられる。
【0047】
ゲスト材料は、ホスト材料に対して好ましくは0.01〜40重量%であり、より好ましくは0.1〜20重量%である。ゲスト材料としては、下記に示す従来公知のFIrpic、〔Ir(ppy)〕、FIr6等を挙げることができる。

【化27】

【0048】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の電子輸送層の材料としては、本発明の新規なピリミジン系またはトリアジン系誘導体が好ましい。このものは単独で使用できるが他の電子輸送材料と併用しても構わない。
【0049】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、電子注入性をさらに向上させる目的で陰極と有機層(電子輸送層)の間に導電体から構成される電子注入層をさらに設けても良い。ここで使用される導電体としては、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属有機錯体から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用することが好ましい。アルカリ金属ハロゲン化物としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、塩化リチウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属ハロゲン化物としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウムなどが挙げられる。アルカリ金属有機錯体としては、8−ヒドロキシキノリノラトリチウム、8−ヒドロキシキノリノラトセシウムなどが挙げられる。
【0050】
正孔輸送層、発光層の形成方法については特に限定されるものではない。例えば乾式製膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)、湿式製膜法[溶媒塗布法(例えばスピンコート法、キャスト法、インクジェット法など)]を使用することができる。本発明の新規なピリミジン系またはトリアジン系誘導体は、乾式製膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)が好ましい。電子輸送層の製膜については、湿式製膜法で行うと下層が溶出する恐れがあるため乾式製膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)に限定される。素子の作成については上記の製膜法を併用しても構わない。
【0051】
真空蒸着法により正孔輸送層、発光層、電子輸送層などの各層を形成する場合、真空蒸着条件は特に限定されるものではない。通常10−5Torr程度以下の真空下で50〜500℃程度のボート温度(蒸着原温度)、−50〜300℃程度の基板温度で、0.01〜50nm/sec.程度蒸着することが好ましい。正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各層を複数の化合物を使用して形成する場合、化合物を入れたボートをそれぞれ温度制御しながら共蒸着することが好ましい。
【0052】
正孔輸送層、発光層を溶媒塗布法で形成する場合、各層を構成する成分を溶媒に溶解または分散させて塗布液とする。溶媒としては、炭化水素系溶媒(例えばヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、ハロゲン系溶媒(例えばジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、エーテル系溶媒(例えばジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等)、非プロトン性溶媒(例えばN,N′−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)、水等が挙げられる。溶媒は単独で使用しても良く、複数の溶媒を併用しても良い。
【0053】
正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常5〜5,000nmになるようにする。
【0054】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、酸素や水分等の接触を遮断する目的で保護層(封止層)を設けたり、不活性物質中に素子を封入して保護することができる。不活性物質としては、パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン等が挙げられる。保護層に使用する材料としては、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、光硬化性樹脂等がある。
【0055】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、通常直流駆動の素子として使用できる。直流電圧を印加する場合、陽極をプラス、陰極をマイナスの極性として通常1.5〜20V程度印加すると発光が観察される。また本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は交流駆動の素子としても使用できる。交流電圧を印加する場合には、陽極がプラス、陰極がマイナスの状態になった時に発光する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えば電子写真感光体、フラットパネルディスプレイなどの平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト、計器等の光源、各種発光素子、各種表示装置、各種標識、各種センサー、各種アクセサリーなどに使用することができる。
【0056】
図41〜50に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい例を示す。
【0057】
図41は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図41は、基板1上に陽極2、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、発光層は正孔輸送性の機能を有している場合に有用である。
【0058】
図42は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図42は、基板1上に陽極2、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。これはキャリア輸送と発光の機能を分離したものであり、材料選択の自由度が増すために、発光の高効率化や発光色の自由度が増すことになる。
【0059】
図43は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図43は、基板1上に陽極2、正孔注入層7、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、正孔注入層7を設けることにより、陽極2と正孔輸送層5の密着性を高めたり、陽極からの正孔の注入を良くし、発光素子の低電圧化に効果がある。
【0060】
図44は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図44は、基板1上に陽極2、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陰極4から電子の注入を良くし、発光素子の低電圧化に効果がある。
【0061】
図45は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図45は、基板1上に陽極2、正孔注入層7、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陽極2から正孔の注入を良くし、陰極4から電子注入を良くし、最も低電圧駆動に効果がある構成である。
【0062】
図46〜50は素子の中に正孔ブロック層を挿入したものの断面図である。正孔ブロック層は、陽極から注入された正孔、あるいは発光層3で再結合により生成した励起子が、陰極4に抜けることを防止する効果があり、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の向上に効果がある。正孔ブロック層9については、発光層3と陰極4の間もしくは発光層3と電子輸送層6の間あるいは発光層3と電子注入層8の間に挿入することができる。より好ましいものは発光層3と電子輸送層6の間である。
【0063】
図41〜50で、正孔輸送層5、正孔注入層7、電子輸送層6、電子注入層8、発光層3、正孔ブロック層9のそれぞれの層は、一層構造であっても多層構造であっても良い。
【0064】
図41〜50は、あくまでも基本的な素子構成であり、本発明の化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の構成はこれに限定されるものではない。
【0065】
前記電子注入層に用いる電子注入材料としては、本出願の特願2006−292032号にかかる化合物、例えば下記化合物群を例示することができる。
【化28】

【発明の効果】
【0066】
本発明の新規なピリミジン系またはトリアジン系誘導体は、例えば実施例14、15と比較例3、4を対比すると明らかなように、Alq等の従来の電子輸送層に比べ電子輸送能が非常に大きい。また移動度も大きく素子中でのホールとのキャリアバランスにも優れている。また発光材料として使用した場合、青色から緑色にかけての発光を示し素子のフルカラー用あるいは白色用材料として適しているので、本発明の新規なピリミジン系またはトリアジン系誘導体は工業的に極めて重要なものである。
【実施例】
【0067】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0068】
実施例1
1,3−ビス〔3,5−ジ(4−トリル)ピリミジル〕ベンゼン(略称BDTPmB)の合成
1)2−クロロ−4,6−(4−トリル)ピリミジンの(略称CDTPm)合成

【化29】

四つ口フラスコに2,4,6−トリクロロピリミジン(3.67g、20mmol)、p−トリルホウ酸(5.71g、42mmol)、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロライド〔PdCl(PPh〕(562mg、0.80mmol)、アセトニトリル(200ml)と2モル/リットル濃度のKCO水溶液(120ml)を入れて、窒素気流下50℃で24時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/n−ヘキサン=2/1)を行い、メタノールによる再結晶を行い白色の粉末を得た。収率:80.2%

2)1,3−フェニレンジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)(略称mBDOBB)の合成
【化30】

四つ口フラスコに1,3−ジブロモベンゼン(4.22g、17.9mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(10g、39.4mmol)、酢酸カリウム(10.5g、0.107mol)、下記式に示す〔1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン〕ジクロロパラジウム〔PdCl(dppf)〕(731mg、0.895mmol)と無水DMF(130ml)を入れて、窒素気流下105℃で24時間反応させた。その後、反応溶液に水を注ぎ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム)を行い、薄い緑色の固体を得た。収率:56.9%
【化31】

3)1,3−ビス〔3,5−ジ(4−トリル)ピリミジル〕ベンゼン(略称BDTPmB)の合成
【化32】

四つ口フラスコにCDTPm(1.95g、6.6mmol)、mBDOBB(0.99g、3.0mmol)、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロライド〔PdCl(PPh〕(84.2mg、0.12mmol)、1,4−ジオキサン(100ml)と2モル/リットル濃度のNaCO水溶液(60ml)を入れて、窒素気流下90℃で48時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/n−ヘキサン=2/1)を行い、アセトンによる再結晶を行い白色の粉末を得た。収率:31.4%
図1にBDTPmBの蒸着膜の吸収スペクトルおよび図2に蛍光スペクトルを示す。また紫外−可視吸収スペクトルおよびイオン化ポテンシャル(例えば理研計器AC−3)を測定し電気化学特性を評価した。その結果を表1に示す。
【表1】

Ip:イオン化ポテンシャル
Eg:エネルギーギャップ
Ea:エネルギーアフィニティ(電子親和力)
エネルギーギャップ(Eg)については、蒸着機で作成した薄膜を紫外−可視吸光度計で薄膜の吸収曲線を測定する。その薄膜の短波長側の立ち上がりのところに接線を引き、求まった交点の波長W(nm)を次の式に代入し目的の値を求める。それによって得た値がEgになる。
Eg=1240÷W
例えば接線を引いて求めた値W(nm)が470nmだったとしたらこの時のEgの値は
Eg=1240÷470=2.63(eV)
と言うことになる。
IP(イオン化ポテンシャル)はイオン化ポテンシャル測定装置(例えば理研計器AC−3)を使用して測定し、測定するサンプルがイオン化を開始したところの電圧(eV)の値を読む。
Ea(電子親和力)は、IpからEgを引いた値である。
実施例1の化合物の融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)および分解温度(Td)を表2に示す。

【表2】

n.d.は測定できないことを示す。
Tm(融点)は、DSC(Differential Scanning Calorimeter 示差熱量計)にサンプルを加え、昇温してゆくと吸熱カーブが現れるので、その極大のところの温度を読んでその温度をTmとする。
Tg(ガラス転移温度)については、同じくDSCの中にサンプルを加え、溶融させたものを急冷し、2〜3回繰り返すとガラス転移を表すカーブがチャート上に現れるので、そのカーブを接線で結び、その交点をTgとして採用する。
Td(分解温度)はDTA(Differential Thermal Analyzer 示差熱分析装置)にサンプルを加え加熱してゆくと、サンプルの熱によって分解し重量が減少しだす。その現象が開始しだしたところの温度を読んで、その温度をTdとする。
【0069】
実施例2
5−(ピリジン−3−イル)−1,3−ビス〔3,5−ジ(4−トリル)ピリミジル〕ベンゼン(略称BDTPmPyB)の合成
1)3−(3,5−ジブロモフェニル)ピリジン(略称DBrPyB)の合成
【化33】

四つ口フラスコに1,3,5−トリブロモベンゼン(18.9g、60mmol)、3−〔4,4,5,5−テトラメチル−(1,3,2)ジオキサボロラニル〕−ピリジン(12.3g、60mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム〔Pd(PPh〕(693mg、0.67mmol)、トルエン/エタノ−ル(3/1、270ml)と2モル/リットル濃度の炭酸ナトリウム水溶液(70ml)を入れて、窒素気流下90℃で24時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法〔展開溶媒:(1回目)クロロホルム/酢酸エチル=1/2、(2回目)クロロホルム/酢酸エチル/メタノール=10/20/1〕を行った。3−(3,5−ジブロモフェニル)ピリジン(DBrPyB)、収量:9.33g、収率:49.7%

2)1−(ピリジン−3−イル)−3,5−ジ〔4,4,5,5−テトラメチル−(1,3,2)−ボロラン−2−イル〕ベンゼン(略称BDOBPyB)の合成

【化34】

四つ口フラスコにDBrPyB(7.11g、22.7mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(12.7g、49.9mmol)、酢酸カリウム(13.4g、136mmol)、〔1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン〕ジクロロパラジウム〔(PdCl(dppf)〕(927mg、1.14mmol)と無水ジメチルフォルムアミド(DMF)(200ml)を入れて、窒素気流下85℃で24時間反応させた。その後、反応溶液に水を注ぎ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル=4/1)で行い、白色の粉末を得た。収率:52.5%

3)5−(ピリジン−3−イル)−1,3−ビス〔3,5−ジ(4−トリル)ピリミジル〕ベンゼン(略称BDTPmPyB)の合成
【化35】

四つ口フラスコにCDTPm(2.03g、6.9mmol)、BDOBPyB(1.22g、3.0mmol)、2モル/リットル濃度のKCO(50ml)、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロライド〔PdCl(PPh〕(84.2mg、0.12mmol)とジオキサン(150ml)を入れて、窒素気流下100℃で24時間反応させた。その後、反応溶液に水を注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法〔展開溶媒:(1回目)クロロホルム/酢酸エチル/メタノール=20/10/1、(2回目)クロロホルム/メタノール=100/3〕を行い、白色の粉末を得た。収率:83.9%
図3にBDTPmPyBの蒸着膜の吸収スペクトル(Abs)と蛍光スペクトル(PL)を示す。また紫外−可視吸収スペクトルおよびイオン化ポテンシャル(例えば理研計器AC−3)を測定し、電気化学特性を評価した。その結果を表3に示す。

【表3】

実施例2の化合物の融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)および分解温度(Td)を表4に示す。
【表4】

【0070】
実施例3
3,5−ビス〔3,5−ビス(p−トリル)ピリミジン−1−イル〕ピリジン(略称BDTPmPy)の合成
1)3,5−ビス〔4,4,5,5−テトラメチル−(1,3,2)−ジオキサボロラン−2−イル〕ピリジン(略称BDOBPy)の合成
【化36】

四つ口フラスコに3,5−ジブロモピリジン(10.66g、45mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(25.14g、99mmol)、酢酸カリウム(26.5g、270mmol)、〔1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン〕ジクロロパラジウム〔PdCl(dppf)〕(1.84g、2.25mmol)と無水メチルフォルムアミド(DMF)(200ml)を入れ、窒素気流下85℃で24時間反応させた。その後、反応溶液に水を注ぎ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム)を行い、白色の粉末を得た。収率:27.8%

2)3,5−ビス〔3,5−ビス(p−トリル)ピリミジン−1−イル〕ピリジン(略称BDTPmPy)の合成

【化37】

四つ口フラスコにCDTPm(2.95g、10.0mmol)、BDOBPy(1.65g、5.0mmol)、2モル/リットル濃度のKCO(50ml)、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロライド〔PdCl(PPh〕(140mg、0.20mmol)とジオキサン(150ml)を入れ、窒素気流下100℃で24時間反応させた。その後、反応溶液に水を注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム)を行い、白色の粉末を得た。収率:20.5%
図4にBDTPmPy蒸着膜の吸収スペクトル(Abs)と蛍光スペクトル(PL)を示す。また紫外−可視吸収スペクトルおよびイオン化ポテンシャル(例えば理研計器AC−3)を測定し、電気化学特性を評価した。その結果を表5に示す。
【表5】

実施例3の化合物の融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)および分解温度(Td)を表6に示す。
【表6】

【0071】
実施例4
1,3−ビス〔3,5−ビス(p−トリル)トリアジン−1−イル〕ベンゼン(略称BDTTzB)の合成
1)1−クロロ−3,5−ジ(p−トリル)トリアジン(略称CDTTz)の合成
【化38】

四つ口フラスコに1,3,5−トリアジン(7.68g、41.7mmol)と無水テトラヒドロフラン(50ml)を入れて、窒素気流下−5℃まで冷やした。激しく撹拌しながら、ゆっくりp−トリルマグネシウムブロマイド テトラヒドロフラン溶液(1M、1100ml)を滴下し、さらに1時間同温で反応させ、ゆっくり室温に戻した。その後、50℃まで加熱し、さらに24時間反応させた。反応終了後、反応溶液に塩化アンモニウム水溶液を注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
クロロホルム/メタノール=5/1による再結晶を行い、薄い黄色固体を得た。収率:66.4%

2)1,3−ビス〔3,5−ビス(p−トリル)トリアジン−1−イル〕ベンゼン(略称BDTTzB)の合成
【化39】

四つ口フラスコにCDTTz(2.03g、6.86mmol)、mBDOBB(1.03g、3.12mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム〔Pd(PPh〕(360mg、0.31mmol)、トルエン(150ml)と2モル/リットル濃度のKCO(50ml)を入れて、窒素気流下90℃で48時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム)で行い、クロロホルムによる再結晶を行い白色の粉末を得た。収率:85.9%
図1にBDTTzBの蒸着膜の吸収スペクトルおよび図2に蛍光スペクトルを示す。また紫外−可視吸収スペクトルおよびイオン化ポテンシャル(例えば理研計器AC−3)を測定し、電気化学特性を評価した。その結果を表7に示す。
【表7】

実施例4の化合物の融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)および分解温度(Td)を表8に示す。
【表8】

【0072】
実施例5
1−(ピリジン−3−イル)−3,5−ビス(3,5−ジフェニルトリアジン−1−イル)ベンゼン(略称BDPTzPyB)の合成
【化40】

四つ口フラスコに1−クロロ−3,5−ジフェニル−トリアジン(CDPTz)(1.85g、6.9mmol)、BDOBPyB(1.22g、3.0mmol)、2モル/リットル濃度のKCO水溶液(50ml)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム〔Pd(PPh〕(347mg、0.30mmol)とトルエン(150ml)を入れて、窒素気流下100℃で24時間反応させた。その後、反応溶液に水を注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=30/1)で行い、白色の粉末を得た。収率:48.6%
図5にBDPTzPyB蒸着膜の吸収スペクトル(Abs)と蛍光スペクトル(PL)を示す。図6にBDPTzPyBの低温リン光スペクトルを示す。また紫外−可視吸収スペクトルおよびイオン化ポテンシャル(例えば理研計器AC−3)を測定し、電気化学特性を評価した。その結果を表9に示す。
【表9】

実施例5の化合物の融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)および分解温度(Td)を表10に示す。
【表10】

【0073】
実施例6
9,9−ジメチル−2,7−ビス〔3,5−ビス(p−トリル)トリアジン−1−イル〕フルオレン(略称DTTzF)の合成

【化41】

四つ口フラスコにCDTTz(1.70g、5.75mmol)、9,9−ジメチル−2,7−ビス〔4,4,5,5−テトラメチル−(1,3,2)−ジオキサボロラン−2−イル〕フルオレン(DOBFI)(1.12g、2.5mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム〔Pd(PPh〕(290mg、0.25mmol)、トルエン(100ml)と2モル/リットル濃度のKCO水溶液(30ml)を入れ、窒素気流下、100℃で50時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、トルエンで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム)で行った。クロロホルムにより再結晶を行い、薄い黄色の固体を得た。収率:83.6%
さらに、昇華精製を行い、薄い黄色の結晶を得た。
図7にDTTzF蒸着膜の吸収スペクトル(Abs)と蛍光スペクトル(PL)を示す。また紫外−可視吸収スペクトルおよびイオン化ポテンシャル(例えば理研計器AC−3)を測定し、電気化学特性を評価した。その結果を表11に示す。
【表11】

実施例6の化合物の融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)および分解温度(Td)を表12に示す。
【表12】

【0074】
実施例7、8および9
実施例1で合成したBDTPmB、実施例2で合成したBDTPmPyBおよび実施例3で合成したBDTPmPyを電子輸送層に用いた素子を作成し、電子輸送性の評価を行った。
作成した素子構成は以下の通りである。
<素子構造>
実施例7
○:ITO/NPD(50nm)/Alq(40nm)/BDTPmPyB(実施例2の化合物)(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例8
□:ITO/NPD(50nm)/Alq(40nm)/BDTPmPy(実施例3の化合物)(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例9
△:ITO/NPD(50nm)/Alq(40nm)/BDTPmB(実施例1の化合物)(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm).
【化42】

【化43】

これらの素子の
電流密度−電圧特性は図8に、
輝 度−電圧特性は図9に、
視感効率−電圧特性は図10に、
電流効率−電圧特性は図11に、
視感効率−輝度特性は図12に、
ELスペクトルは 図13に、
それぞれ示す。
これら素子の100cd/mにおける電圧(Voltage)、電流密度(Current density)、電力効率(P.E.)、量子効率(Q.E.)を表13に示す。
【表13】

これらの素子の1000cd/mにおける電圧、電流密度、電力効率、量子効率を表14に示す。

【表14】

【0075】
実施例10、11
実施例3で合成したBDTPmPyおよび実施例2で合成したBDTPmPyBを電子輸送層に用いた緑色リン光素子を作成し、特性を評価した。
作成した素子構成は以下の通りである。
<素子構造>
実施例10
○:ITO/TPDPES(20nm)/TAPC(30nm)/CBP:〔Ir(ppy)〕(8wt%)(30nm)/BDTPmPy(実施例3の化合物)(40nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例11
●:ITO/TPDPES(20nm)/TAPC(30nm)/CBP:〔Ir(ppy)〕(8wt%)(30nm)/BDTPmPyB(実施例2の化合物)(40nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm).
【化44】


【化45】

【化46】

【化47】

これらの素子の
電流密度 −電圧特性は 図14に、
輝 度 −電圧特性は 図15に、
視感効率 −電圧特性は 図16に、
電流効率 −電圧特性は 図17に、
視感効率 −輝度特性は 図18に、
外部量子効率−輝度特性は 図19に、
ELスペクトルは 図20に、
ELスペクトル(拡大図)は図21に、
それぞれ示す。
これらの素子の100cd/mにおける電圧、電流密度、電力効率、量子効率を表15に示す。

【表15】

これらの素子の1000cd/mにおける電圧、電流密度、電力効率、量子効率を表16に示す。
【表16】

【0076】
実施例12、13および比較例1、2
実施例1で合成したBDTPmBと実施例4で合成したBDTTzBとの電子輸送性を既知の電子輸送材料TmPyPhTAZとTm5PmPhBの間で比較検討を行った。
作成した素子構成は以下の通りである。
<素子構造>
実施例12
○:ITO/α−NPD(50nm)/Alq(40nm)/BDTTzB(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
比較例1
□:ITO/α−NPD(50nm)/Alq(40nm)/TmPyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例13
△:ITO/α−NPD(50nm)/Alq(40nm)/BDTPmB(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
比較例2
◇:ITO/α−NPD(50nm)/Alq(40nm)/Tm5PmPhB(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm).

【化48】

【化49】

これらの素子の
電流密度−電圧特性は図22に、
輝 度−電圧特性は図23に、
電流効率−電圧特性は図24に、
視感効率−電圧特性は図25に、
ELスペクトルは 図26に、
それぞれ示す。
これら素子の100cd/mにおける電圧、電流密度、電力効率、量子効率を表17に示す。

【表17】

これらの素子の1000cd/mにおける電圧、電流密度、電力効率、量子効率を表18に示す。
【表18】

【0077】
実施例14、15および比較例3、4
実施例2で合成したBDTPmPyBと実施例5で合成したBDPTzPyBの電子輸送性の評価を行うため、公知の材料AlqとmBPyPPyBを電子輸送層に使用した素子をそれぞれ作成し、これらの比較を行った。
作成した素子構成は以下の通りである。
<素子構造>
実施例14
▽:ITO/NPD(50nm)/Alq(40nm)/BDTPmPyB(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm).
実施例15
◇:ITO/NPD(50nm)/Alq(40nm)/BDPTzPyB(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
比較例3
△:ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
比較例4
○:ITO/NPD(50nm)/Alq(40nm)/mBPyPPyB(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
【化50】

これらの素子の、
電流密度−電圧特性は図27に、
輝 度−電圧特性は図28に、
視感効率−電圧特性は図29に、
電流効率−電圧特性は図30に、
視感効率−輝度特性は図31に、
ELスペクトルは 図32に、
それぞれ示す。
これら素子の100cd/mにおける電圧、電流密度、電力効率、量子効率を表19に示す。
【表19】

これらの素子の1000cd/mにおける電圧、電流密度、電力効率、量子効率を表20に示す。

【表20】

【0078】
実施例16、17および比較例5
実施例2で合成したBDTPmPyBおよび実施例5で合成したBDPTzPyBを電子輸送層に用いた緑色リン光素子を作成し特性を評価した。また比較のため従来から用いている電子輸送材料mBPyPPyBを用いた素子も作成した。
作成した素子構成は以下の通りである。
<素子構造>
実施例16
◇:ITO/TPDPES(20nm)/TAPC(30nm)/CBP:〔Ir(ppy)〕(8wt%)(30nm)/BDTPmPyB(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm).
実施例17
○:ITO/TPDPES(20nm)/TAPC(30nm)/CBP:〔Ir(ppy)〕(8wt%)(30nm)/BDPTzPyB(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
比較例5
△:ITO/TPDPES(20nm)/TAPC(30nm)/CBP:〔Ir(ppy)〕(8wt%)(30nm)/mBPyPPyB(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
これらの素子の
電流密度 −電圧特性は 図33に、
輝 度 −電圧特性は 図34に、
視感効率 −電圧特性は 図35に、
電流効率 −電圧特性は 図36に、
視感効率 −輝度特性は 図37に、
外部量子効率−輝度特性は 図38に、
ELスペクトルは 図39に、
ELスペクトル(拡大図)は図40に、
それぞれ示す。
これら素子の100cd/mにおける電圧、電流密度、電力効率、量子効率を表21に示す。

【表21】

これらの素子の1000cd/mにおける電圧、電流密度、電力効率、量子効率を表22に示す。
【表22】

【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施例1の1,3−ビス〔3,5−ジ(4−トリル)ピリミジル〕ベンゼン(BDTPmB)および実施例4の1,3−ビス〔3,5−ビス(p−トリル)トリアジン−1−イル〕ベンゼン(BDTTzB)の蒸着膜の吸収スペクトルを示す。
【図2】実施例1の1,3−ビス〔3,5−ジ(4−トリル)ピリミジル〕ベンゼン(BDTPmB)および実施例4の1,3−ビス〔3,5−ビス(p−トリル)トリアジン−1−イル〕ベンゼン(BDTTzB)の蒸着膜の蛍光スペクトルを示す。
【図3】実施例2の5−(ピリジン−3−イル)−1,3−ビス〔3,5−ジ(4−トリル)ピリミジル〕ベンゼン(BDTPmPyB)の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示す。
【図4】実施例3の3,5−ビス〔3,5−ビス(p−トリル)ピリミジン−1−イル〕ピリジン(BDTPmPy)の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示す。
【図5】実施例5の1−(ピリジン−3−イル)−3,5−ビス(3,5−ジフェニルトリアジン−1−イル)ベンゼン(BDPTzPyB)の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示す。
【図6】実施例5の1−(ピリジン−3−イル)−3,5−ビス(3,5−ジフェニルトリアジン−1−イル)ベンゼン(BDPTzPyB)の低温リン光スペクトルを示す。
【図7】実施例6の9,9−ジメチル−2,7−ビス〔3,5−ビス(p−トリル)トリアジン−1−イル〕フルオレン(DTTzF)の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示す。
【図8】実施例7〜9の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流密度−電圧特性を示す。
【図9】実施例7〜9の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の輝度−電圧特性を示す。
【図10】実施例7〜9の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の視感効率−電圧特性を示す。
【図11】実施例7〜9の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流効率−電圧特性を示す。
【図12】実施例7〜9の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の視感効率−輝度特性を示す。
【図13】実施例7〜9の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のELスペクトルを示す。
【図14】実施例10、11の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流密度−電圧特性を示す。
【図15】実施例10、11の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の輝度−電圧特性を示す。
【図16】実施例10、11の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の視感効率−電圧特性を示す。
【図17】実施例10、11の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流効率−電圧特性示す。
【図18】実施例10、11の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の視感効率−輝度特性を示す。
【図19】実施例10、11の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の外部量子効率−輝度特性はを示す。
【図20】実施例10、11の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のELスペクトルを示す。
【図21】実施例10、11の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のELスペクトル(拡大図)を示す。
【図22】実施例12、13および比較例1、2の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流−電圧特性を示す。
【図23】実施例12、13および比較例1、2の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の輝度−電圧特性を示す。
【図24】実施例12、13および比較例1、2の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流効率−電圧特性を示す。
【図25】実施例12、13および比較例1、2の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の視感効率−電圧特性を示す。
【図26】実施例12、13および比較例1、2の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のELスペクトルを示す。
【図27】実施例14、15および比較例3、4の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流密度−電圧特性を示す。
【図28】実施例14、15および比較例3、4の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の輝度−電圧特性を示す。
【図29】実施例14、15および比較例3、4の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の視感効率−電圧特性を示す。
【図30】実施例14、15および比較例3、4の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流効率−電圧特性を示す。
【図31】実施例14、15および比較例3、4の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の視感効率−輝度特性を示す。
【図32】実施例14、15および比較例3、4の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のELスペクトルを示す。
【図33】実施例16、17および比較例5の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流密度−電圧特性を示す。
【図34】実施例16、17および比較例5の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の輝度−電圧特性を示す。
【図35】実施例16、17および比較例5の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の視感効率−電圧特性を示す。
【図36】実施例16、17および比較例5の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流効率−電圧特性を示す。
【図37】実施例16、17および比較例5の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の視感効率−輝度特性を示す。
【図38】実施例16、17および比較例5の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の外部量子効率−輝度特性を示す。
【図39】実施例16、17および比較例5の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のELスペクトルを示す。
【図40】実施例16、17および比較例5の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のELスペクトル(拡大図)を示す。
【図41】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図42】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の他の一例を示す断面図である。
【図43】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の他の一例を示す断面図である。
【図44】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の他の一例を示す断面図である。
【図45】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の他の一例を示す断面図である。
【図46】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の他の一例を示す断面図である。
【図47】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の他の一例を示す断面図である。
【図48】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の他の一例を示す断面図である。
【図49】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の他の一例を示す断面図である。
【図50】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の他の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0080】
1 基板
2 陽極(ITO)
3 発光層
4 陰極
5 正孔輸送層(ホール輸送層)
6 電子輸送層
7 正孔注入層(ホール注入層)
8 電子注入層
9 正孔ブロック層(ホールブロック層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、Qは
【化2】

よりなる群から選ばれた基であり、
〜R、R10〜R22は、水素、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキルアミノ基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、
6〜は、水素、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキルアミノ基およびピリジル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、
23、R24は、水素、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基からなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、
Xは炭素又は窒素である)
で示されるピリミジン系またはトリアジン系誘導体。
【請求項2】
請求項1のピリミジン系またはトリアジン系誘導体よりなる電子輸送材料。
【請求項3】
請求項1のピリミジン系またはトリアジン系誘導体を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
請求項1のピリミジン系またはトリアジン系誘導体を電子輸送層に用いた有機エレクトロルミネッセンス素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【公開番号】特開2009−184987(P2009−184987A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28099(P2008−28099)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国などの委託成果にかかる特許出願(平成15年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「高効率有機デバイスの開発事業」委託研究、産業技術力強化法第19条の適応を受けるもの)
【出願人】(394013644)ケミプロ化成株式会社 (63)
【Fターム(参考)】