新規なフルオロアダマンタン誘導体およびその製造方法
【課題】新規なフルオロアダマンタン誘導体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】下記化合物(1)とR1−NH−R2を反応させる下記化合物(2)の製造方法、下記化合物(2a)、下記化合物(2a’)を脱水反応させる下記化合物(3)の製造方法、および下記化合物(3a)。ただし、Qはそれぞれ−CHF−または−CF2−を、Xはそれぞれ水素原子、フッ素原子または−COFを、YはそれぞれXに対応する基を、Yaはそれぞれ水素原子、フッ素原子または−CONR1R2を、R1およびR2はそれぞれ水素原子または1価有機基を、Y’は水素原子、フッ素原子または−CONH2を、ZはそれぞれY’に対応する基を、Zaはそれぞれ水素原子、フッ素原子またはシアノ基を、示す。
【化1】
【解決手段】下記化合物(1)とR1−NH−R2を反応させる下記化合物(2)の製造方法、下記化合物(2a)、下記化合物(2a’)を脱水反応させる下記化合物(3)の製造方法、および下記化合物(3a)。ただし、Qはそれぞれ−CHF−または−CF2−を、Xはそれぞれ水素原子、フッ素原子または−COFを、YはそれぞれXに対応する基を、Yaはそれぞれ水素原子、フッ素原子または−CONR1R2を、R1およびR2はそれぞれ水素原子または1価有機基を、Y’は水素原子、フッ素原子または−CONH2を、ZはそれぞれY’に対応する基を、Zaはそれぞれ水素原子、フッ素原子またはシアノ基を、示す。
【化1】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なフルオロアダマンタン誘導体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アダマンタンの水素原子のうち3級炭素原子に結合する水素原子がヒドロキシ基、フルオロカルボニル基、またはフルオロアルキルカルボニルオキシ基に置換され、かつ残余の水素原子がフッ素原子に置換されたフルオロアダマンタン化合物が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、非特許文献1には、ペルフルオロピバリル酸フロリドをペルフルオロピバリル酸アミドに化学変換する方法が記載されている。また、特許文献2には、ペルフルオロアルカン酸アミドを脱水反応させて、ペルフルオロアルカンニトリルを製造する方法が記載されている。
【0004】
【特許文献1】国際公開第2004/052832号パンフレット
【特許文献2】特開平09−003027号公報
【非特許文献1】Cheburkov,Yu.A.;Knunyants,I.L.Izv.Acad.Nauk SSSR,Ser.Khim.346(1967).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、アダマンタンの3級炭素原子に直接結合したフルオロカルボニル基を有するフルオロアダマンタン化合物の反応性は充分に検討されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、3級炭素原子にフルオロカルボニル基を有するフルオロアダマンタン化合物のフルオロカルボニル基の反応性を検討した。その結果、該フルオロカルボニル基はアミノカルボニル基または置換アミノカルボニル基に化学変換できることを見いだした。また、3級炭素原子にアミノカルボニル基または置換アミノカルボニル基が結合しているフルオロアダマンタン化合物を見いだした。さらに、該フルオロアダマンタン化合物のアミノカルボニル基はシアノ基に化学変換できることを見いだした。そして、3級炭素原子にシアノ基が結合しているフルオロアダマンタン化合物を見いだした。
【0007】
すなわち、本発明は下記の発明を提供する。
[1] 下式(1)で表される化合物と式R1−NH−R2で表される化合物を反応させることを特徴とする下式(2)で表される化合物の製造方法。
【0008】
【化1】
【0009】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
X:水素原子、フッ素原子またはフルオロカルボニル基であって、3個のXは同一であっても異なっていてもよい。
Y:Xにそれぞれ対応する基であって、水素原子であるXに対応するYは水素原子を、フッ素原子であるXに対応するYはフッ素原子を、フルオロカルボニル基であるXに対応するYは式−CONR1R2で表される基。
R1、R2:それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10の1価炭化水素基。
【0010】
[2] 下式(2a)で表される化合物。
【0011】
【化2】
【0012】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
Ya:水素原子、フッ素原子または式−CONR1R2で表される基であって、3個のYaは同一であっても異なっていてもよい。
R1、R2:それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10の1価炭化水素基。
【0013】
[3] 下式(2aa)で表される化合物。
【0014】
【化3】
【0015】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
Ya1:水素原子、フッ素原子または−CONH2であって、3個のYa1は同一であっても異なっていてもよい。
【0016】
[4] 下式(2a’)で表される化合物を脱水反応させることを特徴とする下式(3)で表される化合物の製造方法。
【0017】
【化4】
【0018】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
Y’:水素原子、フッ素原子または−CONH2であって、3個のY’は同一であっても異なっていてもよい。
Z:Y’にそれぞれ対応する基であって、水素原子であるY’に対応するZは水素原子、フッ素原子であるY’に対応するZはフッ素原子、−CONH2であるY’に対応するZはシアノ基。
【0019】
[5] 下式(3a)で表される化合物。
【0020】
【化5】
【0021】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
Za:水素原子、フッ素原子またはシアノ基であって、3個のZaは同一であっても異なっていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、新規なフルオロアダマンタン誘導体およびその製造方法を提供される。本発明のフルオロアダマンタン誘導体は、耐熱性、離型性、耐薬品性、透明性、耐光性、撥水性、撥油性、低屈折率性等に優れた機能性材料の原料として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本明細書において式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す。他の式で表される化合物も同様に示す。また、基中の記号は特に記載しない限り前記と同義である。
【0024】
本発明は、下記化合物(1)と式R1−NH−R2で表される化合物を反応させる下記化合物(2)の製造方法を提供する。
【0025】
【化6】
【0026】
本発明における化合物中の6個のQは、同一であっても異なっていてもよく、4個以上がジフルオロメチレン基であるのが好ましく、6個のQのすべてがジフルオロメチレン基であるのが特に好ましい(以下同様。)。
化合物(1)における3個のXは、それぞれ独立に、フッ素原子またはフルオロカルボニル基が好ましい。
R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、または炭素数6〜10の芳香族炭化水素基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、フェニル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0027】
化合物(1)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0028】
【化7】
【0029】
式R1−NH−R2で表される化合物の具体例としては、NH3、式R11−NH2で表される化合物、式R11−NH−R12で表される化合物が挙げられる(ただし、R11およびR12は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を示す。)。
式R11−NH2で表される化合物の具体例としては、CH3−NH2、CH3CH2−NH2、CH3CH2CH2−NH2、(CH3)2CH−NH2、CH3CH2CH2CH2−NH2、C6H5−NH2挙げられる。
式R11−NH−R12で表される化合物の具体例としては、CH3−NH−CH3、CH3CH2−NH−CH3、CH3CH2−NH−CH2CH3、CH3CH2CH2−NH−CH2CH2CH3、(CH3)2CH−NH−CH(CH3)2、CH3CH2CH2CH2−NH−CH2CH2CH2CH3が挙げられる。
【0030】
化合物(2)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0031】
【化8】
【0032】
化合物(1)と式R1−NH−R2で表される化合物の反応において、m個のフルオロカルボニル基を有する化合物(1)(ただし、mは1〜4の整数を示す。)に対する式R1−NH−R2の量は、(2〜10)m倍モルが好ましく、(2〜4)m倍モルが特に好ましい。
【0033】
反応条件(温度、圧力、時間等。)は、公知の反応条件を適用できる。たとえば、反応条件は非特許文献1に記載の反応条件を適用するのが好ましい。反応における温度は、−80〜+50℃が好ましく、−20〜+20℃が特に好ましい。反応における圧力は、特に限定されない。
【0034】
反応は、溶媒の存在下に行うのが好ましい。溶媒は、沸点が35〜200℃の有機溶媒が好ましく、沸点が50〜150℃の有機溶媒が特に好ましい。また、溶媒として有機溶媒と水の混合溶媒を用いてもよい。有機溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、フロリナートFC−77(スリーエム社製、商品名)、フルオロエーテルE2(スリーエム社製、商品名)、AK−225(旭硝子社製、商品名)、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロデカリン等が挙げられる。
【0035】
本発明の化合物(2)の製造方法の好ましい態様の1つとしては、下記化合物(11)とNH3を反応させる下記化合物(21)の製造方法が挙げられる。
【0036】
【化9】
【0037】
本発明の製造方法によれば、アダマンタンの3級炭素原子に結合した、アミノカルボニル基または置換アミノカルボニル基を有するフルオロアダマンタン誘導体を製造できる。本発明は下記化合物(2a)を提供する。
【0038】
【化10】
【0039】
化合物(2a)における3個のYaは、それぞれ独立に、フッ素原子または式−CONR1R2で表される基が好ましく、フッ素原子または−CONH2が特に好ましい。
【0040】
化合物(2a)は、下記化合物(2aa)が好ましい。
【0041】
【化11】
【0042】
化合物(2aa)の好ましい態様としては、下記化合物(21)、下記化合物(22)、下記化合物(23)、下記化合物(24)が挙げられる。
【0043】
【化12】
【0044】
化合物(2a)は、アダマンタンの3級炭素原子に結合した、アミノカルボニル基または置換アミノカルボニル基を有する特徴ある構造の新規化合物である。化合物(2a)は、アミノカルボニル基または置換アミノカルボニル基の反応性により種々のフルオロアダマンタン誘導体に誘導できる。
【0045】
本発明は、下記化合物(2a’)を脱水反応させる下記化合物(3)の製造方法を提供する。
【0046】
【化13】
【0047】
化合物(2a’)における3個のY’は、それぞれ独立に、フッ素原子または−CONH2が好ましい。
化合物(3)における3個のZは、それぞれ独立に、フッ素原子またはシアノ基が好ましい。
【0048】
化合物(3)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0049】
【化14】
【0050】
化合物(2a’)の脱水反応は、無水溶媒の存在下に化合物(2a’)と脱水剤を反応させて行うのが好ましい。
脱水剤は、酸無水物またはP2O5が好ましく、トリフルオロ酢酸無水物またはP2O5がより好ましく、トリフルオロ酢酸無水物が特に好ましい。
無水溶媒は、特に限定されず、脱水剤が酸無水物である場合にはカルボニル基を有する化合物からなる無水有機極性溶媒が好ましい。前記化合物の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。この場合、生成する酸と塩を形成する塩基を共存させてもよい。塩基としては、ピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンが好ましい。
【0051】
脱水剤がP2O5を用いる場合には、無水溶媒は、無水無極性溶媒が好ましい。無水無極性溶媒の具体例としては、キシレン、メシチレン、フロリナートFC−43(スリーエム社製、商品名)等が挙げられる。
【0052】
脱水反応において、m個のアミノカルボニル基を有する化合物(2a’)(ただし、mは1〜4の整数を示す。)に対する脱水剤の量は、(1〜10)m倍モルが好ましく、(1〜5)m倍モルが特に好ましい。
【0053】
脱水反応の反応条件(温度、圧力、時間等。)は、特に限定されない。温度は、−20〜+200℃が好ましく、0〜+160℃が特に好ましい。圧力は、特に限定されない。
【0054】
本発明の化合物(3)の製造方法の好ましい態様の1つとしては、化合物(21)を脱水反応させる下記化合物(31)の製造方法が挙げられる。
【0055】
【化15】
【0056】
本発明の化合物(3)の製造方法によれば、アダマンタンの3級炭素原子に結合したシアノ基を有するフルオロアダマンタン誘導体を製造できる。本発明は下記化合物(3a)を提供する。
【0057】
【化16】
【0058】
化合物(3a)における3個のZaは、それぞれ独立に、フッ素原子またはシアノ基が好ましい。
【0059】
化合物(3)の好ましい態様としては、下記化合物(31)、下記化合物(32)、下記化合物(33)、下記化合物(34)が挙げられる。
【0060】
【化17】
【0061】
化合物(3a)は、アダマンタンの3級炭素原子に結合したシアノ基を有する特徴ある構造の新規化合物である。化合物(3a)は、そのシアノ基を化学変換することにより、さらに他のフルオロアダマンタン誘導体に誘導できる。また、化合物(3a)は、耐熱性、撥水撥油性、耐薬品性、透明性、耐光性、低屈折率性等の物性に優れうるため、撥水撥油剤、樹脂添加剤等の機能性材料としても有用である。
【実施例】
【0062】
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、これによって本発明は限定されない。ガスクロマトグラフィをGCと、赤外分光スペクトルをIRと、GCのピーク面積比より求まる純度をGC純度と、テトラメチルシランをTMSと、CF2ClCF2CHFClをR−225と、記す。FC−77とは含フッ素有機溶媒である。
【0063】
[例1]化合物(2)の製造例
[例1−1]化合物(21)の製造例
フラスコに、30質量%アンモニア水溶液(1.52g)とR−225(5mL)を入れ、氷浴下で撹拌した。つぎに、フラスコに、下記化合物(11)(4.52g)がR−225(5mL)に溶解した液を、12分かけて滴下した。滴下終了後、フラスコを氷冷しながら1時間撹拌し、さらに25℃にて3.5時間撹拌した。そのままフラスコ内容液を分液し、下層を回収して硫酸マグネシウムで乾燥した。さらに濃縮して下記化合物(21)(4.38g、収率93%)を得た。
【0064】
【化18】
【0065】
化合物(21)のNMRデータとIRデータを以下に示す。
1H−NMR(300.4MHz,CDCl3,TMS)δ(ppm):6.24(br)。
19F−NMR(282.7MHz;CDCl3,CFCl3)δ(ppm):−111.0(6F),−121.1(6F),−218.9(3F)。
IR(KBr):1738.6,1692.8cm−1(νC=O)。
【0066】
[例1−2]化合物(22)の製造例
化合物(11)を下記化合物(12)に変更する以外は、例1−1と同様にして、下記化合物(22)を得る。
【0067】
【化19】
【0068】
[例1−3]化合物(23)の製造例
化合物(11)を下記化合物(13)に変更する以外は、例1−1と同様にして、下記化合物(23)を得る。
【0069】
【化20】
【0070】
[例1−4]化合物(24)の製造例
化合物(11)を下記化合物(14)に変更する以外は、例1−1と同様にして、下記化合物(24)を得る。
【0071】
【化21】
【0072】
[例2]化合物(3)の製造例
[例2−1]化合物(31)の製造例
化合物(21)(2.14g)、N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)およびピリジン(0.5g)の混合物中に、トリフルオロ酢酸無水物(1.3g)を氷冷しながら加えた。そのまま、氷冷しながら1時間、さらに25℃にて3時間撹拌した。得られた反応液を濾過し、白色固体として下記化合物(31)(0.47g、収率23%)を得た。
【0073】
【化22】
【0074】
化合物(31)のNMRデータを以下に示す。
19F−NMR(282.7MHz;CDCl3,CFCl3)δ(ppm):−108.8(6F),−120.7(6F),−218.7(3F)。
【0075】
[例2−2]化合物(32)の製造例
化合物(21)を下記化合物(22)に変更する以外は、例2−1と同様にして、下記化合物(32)を得る。
【0076】
【化23】
【0077】
[例2−3]化合物(33)の製造例
化合物(21)を下記化合物(23)に変更する以外は、例2−1と同様にして、下記化合物(33)を得る。
【0078】
【化24】
【0079】
[例2−4]化合物(34)の製造例
化合物(21)を下記化合物(24)に変更する以外は、例2−1と同様にして、下記化合物(34)を得る。
【0080】
【化25】
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明によれば、耐熱性、撥水撥油性、耐薬品性、透明性、耐光性、低屈折率性等に優れる新規なフルオロアダマンタン誘導体およびその製造方法が提供される。本発明のフルオロアダマンタン誘導体は、光ファイバー材料(光ファイバーのコア材料およびクラッド材料)、ペリクル材料、レンズ材料(眼鏡レンズ、光学レンズ、光学セル等。)、ディスプレイ(PDP、LCD、CRT、FED等。)の表面保護膜等の材料として有用である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なフルオロアダマンタン誘導体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アダマンタンの水素原子のうち3級炭素原子に結合する水素原子がヒドロキシ基、フルオロカルボニル基、またはフルオロアルキルカルボニルオキシ基に置換され、かつ残余の水素原子がフッ素原子に置換されたフルオロアダマンタン化合物が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、非特許文献1には、ペルフルオロピバリル酸フロリドをペルフルオロピバリル酸アミドに化学変換する方法が記載されている。また、特許文献2には、ペルフルオロアルカン酸アミドを脱水反応させて、ペルフルオロアルカンニトリルを製造する方法が記載されている。
【0004】
【特許文献1】国際公開第2004/052832号パンフレット
【特許文献2】特開平09−003027号公報
【非特許文献1】Cheburkov,Yu.A.;Knunyants,I.L.Izv.Acad.Nauk SSSR,Ser.Khim.346(1967).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、アダマンタンの3級炭素原子に直接結合したフルオロカルボニル基を有するフルオロアダマンタン化合物の反応性は充分に検討されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、3級炭素原子にフルオロカルボニル基を有するフルオロアダマンタン化合物のフルオロカルボニル基の反応性を検討した。その結果、該フルオロカルボニル基はアミノカルボニル基または置換アミノカルボニル基に化学変換できることを見いだした。また、3級炭素原子にアミノカルボニル基または置換アミノカルボニル基が結合しているフルオロアダマンタン化合物を見いだした。さらに、該フルオロアダマンタン化合物のアミノカルボニル基はシアノ基に化学変換できることを見いだした。そして、3級炭素原子にシアノ基が結合しているフルオロアダマンタン化合物を見いだした。
【0007】
すなわち、本発明は下記の発明を提供する。
[1] 下式(1)で表される化合物と式R1−NH−R2で表される化合物を反応させることを特徴とする下式(2)で表される化合物の製造方法。
【0008】
【化1】
【0009】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
X:水素原子、フッ素原子またはフルオロカルボニル基であって、3個のXは同一であっても異なっていてもよい。
Y:Xにそれぞれ対応する基であって、水素原子であるXに対応するYは水素原子を、フッ素原子であるXに対応するYはフッ素原子を、フルオロカルボニル基であるXに対応するYは式−CONR1R2で表される基。
R1、R2:それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10の1価炭化水素基。
【0010】
[2] 下式(2a)で表される化合物。
【0011】
【化2】
【0012】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
Ya:水素原子、フッ素原子または式−CONR1R2で表される基であって、3個のYaは同一であっても異なっていてもよい。
R1、R2:それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10の1価炭化水素基。
【0013】
[3] 下式(2aa)で表される化合物。
【0014】
【化3】
【0015】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
Ya1:水素原子、フッ素原子または−CONH2であって、3個のYa1は同一であっても異なっていてもよい。
【0016】
[4] 下式(2a’)で表される化合物を脱水反応させることを特徴とする下式(3)で表される化合物の製造方法。
【0017】
【化4】
【0018】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
Y’:水素原子、フッ素原子または−CONH2であって、3個のY’は同一であっても異なっていてもよい。
Z:Y’にそれぞれ対応する基であって、水素原子であるY’に対応するZは水素原子、フッ素原子であるY’に対応するZはフッ素原子、−CONH2であるY’に対応するZはシアノ基。
【0019】
[5] 下式(3a)で表される化合物。
【0020】
【化5】
【0021】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
Za:水素原子、フッ素原子またはシアノ基であって、3個のZaは同一であっても異なっていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、新規なフルオロアダマンタン誘導体およびその製造方法を提供される。本発明のフルオロアダマンタン誘導体は、耐熱性、離型性、耐薬品性、透明性、耐光性、撥水性、撥油性、低屈折率性等に優れた機能性材料の原料として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本明細書において式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す。他の式で表される化合物も同様に示す。また、基中の記号は特に記載しない限り前記と同義である。
【0024】
本発明は、下記化合物(1)と式R1−NH−R2で表される化合物を反応させる下記化合物(2)の製造方法を提供する。
【0025】
【化6】
【0026】
本発明における化合物中の6個のQは、同一であっても異なっていてもよく、4個以上がジフルオロメチレン基であるのが好ましく、6個のQのすべてがジフルオロメチレン基であるのが特に好ましい(以下同様。)。
化合物(1)における3個のXは、それぞれ独立に、フッ素原子またはフルオロカルボニル基が好ましい。
R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、または炭素数6〜10の芳香族炭化水素基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、フェニル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0027】
化合物(1)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0028】
【化7】
【0029】
式R1−NH−R2で表される化合物の具体例としては、NH3、式R11−NH2で表される化合物、式R11−NH−R12で表される化合物が挙げられる(ただし、R11およびR12は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を示す。)。
式R11−NH2で表される化合物の具体例としては、CH3−NH2、CH3CH2−NH2、CH3CH2CH2−NH2、(CH3)2CH−NH2、CH3CH2CH2CH2−NH2、C6H5−NH2挙げられる。
式R11−NH−R12で表される化合物の具体例としては、CH3−NH−CH3、CH3CH2−NH−CH3、CH3CH2−NH−CH2CH3、CH3CH2CH2−NH−CH2CH2CH3、(CH3)2CH−NH−CH(CH3)2、CH3CH2CH2CH2−NH−CH2CH2CH2CH3が挙げられる。
【0030】
化合物(2)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0031】
【化8】
【0032】
化合物(1)と式R1−NH−R2で表される化合物の反応において、m個のフルオロカルボニル基を有する化合物(1)(ただし、mは1〜4の整数を示す。)に対する式R1−NH−R2の量は、(2〜10)m倍モルが好ましく、(2〜4)m倍モルが特に好ましい。
【0033】
反応条件(温度、圧力、時間等。)は、公知の反応条件を適用できる。たとえば、反応条件は非特許文献1に記載の反応条件を適用するのが好ましい。反応における温度は、−80〜+50℃が好ましく、−20〜+20℃が特に好ましい。反応における圧力は、特に限定されない。
【0034】
反応は、溶媒の存在下に行うのが好ましい。溶媒は、沸点が35〜200℃の有機溶媒が好ましく、沸点が50〜150℃の有機溶媒が特に好ましい。また、溶媒として有機溶媒と水の混合溶媒を用いてもよい。有機溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、フロリナートFC−77(スリーエム社製、商品名)、フルオロエーテルE2(スリーエム社製、商品名)、AK−225(旭硝子社製、商品名)、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロデカリン等が挙げられる。
【0035】
本発明の化合物(2)の製造方法の好ましい態様の1つとしては、下記化合物(11)とNH3を反応させる下記化合物(21)の製造方法が挙げられる。
【0036】
【化9】
【0037】
本発明の製造方法によれば、アダマンタンの3級炭素原子に結合した、アミノカルボニル基または置換アミノカルボニル基を有するフルオロアダマンタン誘導体を製造できる。本発明は下記化合物(2a)を提供する。
【0038】
【化10】
【0039】
化合物(2a)における3個のYaは、それぞれ独立に、フッ素原子または式−CONR1R2で表される基が好ましく、フッ素原子または−CONH2が特に好ましい。
【0040】
化合物(2a)は、下記化合物(2aa)が好ましい。
【0041】
【化11】
【0042】
化合物(2aa)の好ましい態様としては、下記化合物(21)、下記化合物(22)、下記化合物(23)、下記化合物(24)が挙げられる。
【0043】
【化12】
【0044】
化合物(2a)は、アダマンタンの3級炭素原子に結合した、アミノカルボニル基または置換アミノカルボニル基を有する特徴ある構造の新規化合物である。化合物(2a)は、アミノカルボニル基または置換アミノカルボニル基の反応性により種々のフルオロアダマンタン誘導体に誘導できる。
【0045】
本発明は、下記化合物(2a’)を脱水反応させる下記化合物(3)の製造方法を提供する。
【0046】
【化13】
【0047】
化合物(2a’)における3個のY’は、それぞれ独立に、フッ素原子または−CONH2が好ましい。
化合物(3)における3個のZは、それぞれ独立に、フッ素原子またはシアノ基が好ましい。
【0048】
化合物(3)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0049】
【化14】
【0050】
化合物(2a’)の脱水反応は、無水溶媒の存在下に化合物(2a’)と脱水剤を反応させて行うのが好ましい。
脱水剤は、酸無水物またはP2O5が好ましく、トリフルオロ酢酸無水物またはP2O5がより好ましく、トリフルオロ酢酸無水物が特に好ましい。
無水溶媒は、特に限定されず、脱水剤が酸無水物である場合にはカルボニル基を有する化合物からなる無水有機極性溶媒が好ましい。前記化合物の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。この場合、生成する酸と塩を形成する塩基を共存させてもよい。塩基としては、ピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンが好ましい。
【0051】
脱水剤がP2O5を用いる場合には、無水溶媒は、無水無極性溶媒が好ましい。無水無極性溶媒の具体例としては、キシレン、メシチレン、フロリナートFC−43(スリーエム社製、商品名)等が挙げられる。
【0052】
脱水反応において、m個のアミノカルボニル基を有する化合物(2a’)(ただし、mは1〜4の整数を示す。)に対する脱水剤の量は、(1〜10)m倍モルが好ましく、(1〜5)m倍モルが特に好ましい。
【0053】
脱水反応の反応条件(温度、圧力、時間等。)は、特に限定されない。温度は、−20〜+200℃が好ましく、0〜+160℃が特に好ましい。圧力は、特に限定されない。
【0054】
本発明の化合物(3)の製造方法の好ましい態様の1つとしては、化合物(21)を脱水反応させる下記化合物(31)の製造方法が挙げられる。
【0055】
【化15】
【0056】
本発明の化合物(3)の製造方法によれば、アダマンタンの3級炭素原子に結合したシアノ基を有するフルオロアダマンタン誘導体を製造できる。本発明は下記化合物(3a)を提供する。
【0057】
【化16】
【0058】
化合物(3a)における3個のZaは、それぞれ独立に、フッ素原子またはシアノ基が好ましい。
【0059】
化合物(3)の好ましい態様としては、下記化合物(31)、下記化合物(32)、下記化合物(33)、下記化合物(34)が挙げられる。
【0060】
【化17】
【0061】
化合物(3a)は、アダマンタンの3級炭素原子に結合したシアノ基を有する特徴ある構造の新規化合物である。化合物(3a)は、そのシアノ基を化学変換することにより、さらに他のフルオロアダマンタン誘導体に誘導できる。また、化合物(3a)は、耐熱性、撥水撥油性、耐薬品性、透明性、耐光性、低屈折率性等の物性に優れうるため、撥水撥油剤、樹脂添加剤等の機能性材料としても有用である。
【実施例】
【0062】
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、これによって本発明は限定されない。ガスクロマトグラフィをGCと、赤外分光スペクトルをIRと、GCのピーク面積比より求まる純度をGC純度と、テトラメチルシランをTMSと、CF2ClCF2CHFClをR−225と、記す。FC−77とは含フッ素有機溶媒である。
【0063】
[例1]化合物(2)の製造例
[例1−1]化合物(21)の製造例
フラスコに、30質量%アンモニア水溶液(1.52g)とR−225(5mL)を入れ、氷浴下で撹拌した。つぎに、フラスコに、下記化合物(11)(4.52g)がR−225(5mL)に溶解した液を、12分かけて滴下した。滴下終了後、フラスコを氷冷しながら1時間撹拌し、さらに25℃にて3.5時間撹拌した。そのままフラスコ内容液を分液し、下層を回収して硫酸マグネシウムで乾燥した。さらに濃縮して下記化合物(21)(4.38g、収率93%)を得た。
【0064】
【化18】
【0065】
化合物(21)のNMRデータとIRデータを以下に示す。
1H−NMR(300.4MHz,CDCl3,TMS)δ(ppm):6.24(br)。
19F−NMR(282.7MHz;CDCl3,CFCl3)δ(ppm):−111.0(6F),−121.1(6F),−218.9(3F)。
IR(KBr):1738.6,1692.8cm−1(νC=O)。
【0066】
[例1−2]化合物(22)の製造例
化合物(11)を下記化合物(12)に変更する以外は、例1−1と同様にして、下記化合物(22)を得る。
【0067】
【化19】
【0068】
[例1−3]化合物(23)の製造例
化合物(11)を下記化合物(13)に変更する以外は、例1−1と同様にして、下記化合物(23)を得る。
【0069】
【化20】
【0070】
[例1−4]化合物(24)の製造例
化合物(11)を下記化合物(14)に変更する以外は、例1−1と同様にして、下記化合物(24)を得る。
【0071】
【化21】
【0072】
[例2]化合物(3)の製造例
[例2−1]化合物(31)の製造例
化合物(21)(2.14g)、N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)およびピリジン(0.5g)の混合物中に、トリフルオロ酢酸無水物(1.3g)を氷冷しながら加えた。そのまま、氷冷しながら1時間、さらに25℃にて3時間撹拌した。得られた反応液を濾過し、白色固体として下記化合物(31)(0.47g、収率23%)を得た。
【0073】
【化22】
【0074】
化合物(31)のNMRデータを以下に示す。
19F−NMR(282.7MHz;CDCl3,CFCl3)δ(ppm):−108.8(6F),−120.7(6F),−218.7(3F)。
【0075】
[例2−2]化合物(32)の製造例
化合物(21)を下記化合物(22)に変更する以外は、例2−1と同様にして、下記化合物(32)を得る。
【0076】
【化23】
【0077】
[例2−3]化合物(33)の製造例
化合物(21)を下記化合物(23)に変更する以外は、例2−1と同様にして、下記化合物(33)を得る。
【0078】
【化24】
【0079】
[例2−4]化合物(34)の製造例
化合物(21)を下記化合物(24)に変更する以外は、例2−1と同様にして、下記化合物(34)を得る。
【0080】
【化25】
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明によれば、耐熱性、撥水撥油性、耐薬品性、透明性、耐光性、低屈折率性等に優れる新規なフルオロアダマンタン誘導体およびその製造方法が提供される。本発明のフルオロアダマンタン誘導体は、光ファイバー材料(光ファイバーのコア材料およびクラッド材料)、ペリクル材料、レンズ材料(眼鏡レンズ、光学レンズ、光学セル等。)、ディスプレイ(PDP、LCD、CRT、FED等。)の表面保護膜等の材料として有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(1)で表される化合物と式R1−NH−R2で表される化合物を反応させることを特徴とする下式(2)で表される化合物の製造方法。
【化1】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
X:水素原子、フッ素原子またはフルオロカルボニル基であって、3個のXは同一であっても異なっていてもよい。
Y:Xにそれぞれ対応する基であって、水素原子であるXに対応するYは水素原子を、フッ素原子であるXに対応するYはフッ素原子を、フルオロカルボニル基であるXに対応するYは式−CONR1R2で表される基。
R1、R2:それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10の1価炭化水素基。
【請求項2】
下式(2a)で表される化合物。
【化2】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
Ya:水素原子、フッ素原子または式−CONR1R2で表される基であって、3個のYaは同一であっても異なっていてもよい。
R1、R2:それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10の1価炭化水素基。
【請求項3】
下式(2aa)で表される化合物。
【化3】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
Ya1:水素原子、フッ素原子または−CONH2であって、3個のYa1は同一であっても異なっていてもよい。
【請求項4】
下式(2a’)で表される化合物を脱水反応させることを特徴とする下式(3)で表される化合物の製造方法。
【化4】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
Y’:水素原子、フッ素原子または−CONH2であって、3個のY’は同一であっても異なっていてもよい。
Z:Y’にそれぞれ対応する基であって、水素原子であるY’に対応するZは水素原子、フッ素原子であるY’に対応するZはフッ素原子、−CONH2であるY’に対応するZはシアノ基。
【請求項5】
下式(3a)で表される化合物。
【化5】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
Za:水素原子、フッ素原子またはシアノ基であって、3個のZaは同一であっても異なっていてもよい。
【請求項1】
下式(1)で表される化合物と式R1−NH−R2で表される化合物を反応させることを特徴とする下式(2)で表される化合物の製造方法。
【化1】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
X:水素原子、フッ素原子またはフルオロカルボニル基であって、3個のXは同一であっても異なっていてもよい。
Y:Xにそれぞれ対応する基であって、水素原子であるXに対応するYは水素原子を、フッ素原子であるXに対応するYはフッ素原子を、フルオロカルボニル基であるXに対応するYは式−CONR1R2で表される基。
R1、R2:それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10の1価炭化水素基。
【請求項2】
下式(2a)で表される化合物。
【化2】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
Ya:水素原子、フッ素原子または式−CONR1R2で表される基であって、3個のYaは同一であっても異なっていてもよい。
R1、R2:それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10の1価炭化水素基。
【請求項3】
下式(2aa)で表される化合物。
【化3】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
Ya1:水素原子、フッ素原子または−CONH2であって、3個のYa1は同一であっても異なっていてもよい。
【請求項4】
下式(2a’)で表される化合物を脱水反応させることを特徴とする下式(3)で表される化合物の製造方法。
【化4】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
Y’:水素原子、フッ素原子または−CONH2であって、3個のY’は同一であっても異なっていてもよい。
Z:Y’にそれぞれ対応する基であって、水素原子であるY’に対応するZは水素原子、フッ素原子であるY’に対応するZはフッ素原子、−CONH2であるY’に対応するZはシアノ基。
【請求項5】
下式(3a)で表される化合物。
【化5】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Q:モノフルオロメチレン基またはジフルオロメチレン基であって、6個のQは同一であっても異なっていてもよい。
Za:水素原子、フッ素原子またはシアノ基であって、3個のZaは同一であっても異なっていてもよい。
【公開番号】特開2007−320861(P2007−320861A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−150073(P2006−150073)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
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