説明

新規な分散剤およびその組成物

本発明は、分散剤およびその組成物を提供する。この分散剤は、3個以上の酸基(A)を含有する非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基であり、この分散剤は、式[U−(Y)−T−N(R−A]−Z(Q−W、およびその塩によって表される分散剤であり、その変数は、本明細書中に定義されている。本発明のさらなる実施形態において、この組成物のインキ、ミルベース、プラスチックおよび塗料における用途が、提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、粒子状固体、有機媒体および/または水ならびに3個以上の酸基を含有する非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基を含む分散剤の組成物に関する。本発明は、さらに該組成物のインキ、ミルベース、プラスチックおよび塗料における用途に関する。本発明は、さらに、新規な分散剤に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
末端塩基性基、例えばポリ(低級アルキレン)イミン鎖など、を含む分散剤は、周知であり、ポリイミンを、末端酸基を含有するポリエステル鎖と反応させることによって一般に調製され、その反応は、アミドおよび塩の形の混合物を生じる。特許文献1は、ポリ(低級アルキレン)イミンと反応させた少なくとも8個の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸から誘導されたポリエステルを含む分散剤を開示している。このタイプの分散剤は、非極性媒体、例えば脂肪族の溶媒およびプラスチックなど、において有効であり得る。特許文献2は、ポリ(低級アルキレン)イミンと反応させたε−カプロラクトンから誘導されたポリエステルを含む分散剤を開示している。これらの分散剤は、より極性の媒体、例えばケトン類およびエステル類など、の中で有効であり得る。しかしながら、粒子状固体を極性および非極性の両方の有機媒体中で分散させることができる分散剤を有することが望ましい。本発明は、そのような分散剤およびそれらの組成を提供する。
【0003】
特許文献3は、最大で1343の数平均分子量を有する、二塩基酸無水物、ポリオキシアルキレンモノアミンおよびヒドロカルビルポリアミンの反応生成物を含む自動車燃料油組成物を開示している。
【0004】
特許文献4は、1800以上の数平均分子量を有する、二塩基酸無水物、ポリオキシアルキレンモノアミンおよびヒドロカルビルポリアミンの反応生成物を含む分散剤を開示している。
【特許文献1】米国特許第4224212号明細書
【特許文献2】欧州特許第208041号明細書
【特許文献3】米国特許第4865621号明細書
【特許文献4】国際公開第05/010109号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
特定の分散剤が、ある範囲の有機媒体、特に極性有機媒体および水を含む中で粒子状固体を分散する優れた能力を示すことが見出された。かくして、本発明の一実施形態は、粒子状固体、有機媒体および/または水ならびに3個以上の酸基(A)を含有する非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基を含む分散剤を含み、該分散剤が次式とその塩:
[U−(Y)−T−N(R−A]−Z(Q−W (式1)
によって表される組成物を提供し、式中、
jは、ゼロ、または1〜2000の整数であり;
dは、2〜3000、または4〜2000であり;
xは、2〜90であり;
cは、0または1であり;
Uは、R−O−、−NR、またはR−NR−T−O−であり;
は、独立して、HまたはC1〜30の置換されていてもよいヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボニル(アシル)基であり;
、R、R、RおよびRは、独立して、HまたはC1〜30の置換されていてもよいヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボニル基、またはエポキシドの残基、または置換されていてもよい(メタ)アクリル酸エステルもしくはアミド基の残基であり;
Yは、C2〜4のアルキレンオキシであり;Tは、C2〜4のアルキレンであり;
Aは、非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基であり;
Zは、ポリアミンおよび/またはポリイミンの残基であり;
Wは、酸化物、尿素または二塩基酸もしくはその無水物の残基を含み;
は、独立して、式R’−G−(M)−のポリエステルおよび/もしくはポリアミド鎖または式U−(Y)−T−N(R−Dのポリアルコキシレート、あるいはそれらの混合物であり;
Dは、二塩基酸またはその無水物の残基であり;
mは、2〜100の正の整数であり;
R’は、水素またはC1〜50の置換されていてもよいヒドロカルビル基であり;
Gは、二価の結合またはカルボニルであり;
Mは、1つ以上のアミノカルボン酸、1つ以上のヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸の1つ以上のラクトンの残基、あるいはそれらの混合物であり;
eは、0〜vであって、vは、基U−(Y)−T−N(R)−A−またはQを持たないZ中のアミノおよび/またはイミノ基の最大可能数を表す。
【0006】
一実施形態において、本発明は、3個以上の酸基(A)を含有している非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基を含む分散剤であって、次式およびその塩:
[U−(Y)−T−N(R−A]−Z(Q−W (式1)
[式(1)の変数は本明細書中で上述されている]
によって表される分散剤を提供する。
【0007】
一実施形態において、本発明は、3個以上の酸基(A)を含有している非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基を含む分散剤であって、次式およびその塩:
[R−O−(Y)−T−N(R−A]−Z(Q−W (式1a)
によって表される分散剤を提供し、式中、
jは、ゼロ、または1〜2000の整数であり;
dは、2〜3000、または4〜2000であり;
cは、0または1であり;
xは、2〜90であり;
は、独立して、HまたはC1〜30の置換されていてもよいヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボニル(アシル)基であり;
は、独立して、HまたはC1〜30の置換されていてもよいヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボニル基、またはエポキシドの残基、または置換されていてもよい(メタ)アクリル酸エステルもしくはアミド基の残基であり;
Yは、C2〜4のアルキレンオキシであり;Tは、C2〜4のアルキレンであり;
Aは、非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基であり;
Zは、ポリアミンおよび/またはポリイミンの残基であり;
Wは、酸化物、尿素または二塩基酸もしくはその無水物の残基を含み;
は、独立して、式R’−G−(M)−のポリエステルおよび/もしくはポリアミド鎖または式U−(Y)−T−N(R)−Dのポリアルコキシレート、あるいはそれらの混合物であり;
Dは、二塩基酸またはその無水物の残基であり;
mは、2〜100の正の整数であり;
R’は、水素またはC1〜50の置換されていてもよいヒドロカルビル基であり;
Gは、二価の結合またはカルボニルであり;
Mは、1つ以上のアミノカルボン酸、1つ以上のヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸の1つ以上のラクトンの残基、あるいはそれらの混合物であり;
eは、0〜vであって、vは、基R−O−(Y)−T−N(R−A−またはQを持たないZ中のアミノおよび/またはイミノ基の最大可能数を表す。
【0008】
一実施形態において、本発明は、粒子状固体、有機媒体および/または水ならびに3個以上の酸基(A)を含有している非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基を含む分散剤であって、次式およびその塩:
[R−O−(Y)−T−N(R−A]−Z(Q−W (式1a)
[式(1a)の変数は本明細書中で上述されている]
によって表される分散剤を含む組成物を提供する。
【0009】
一実施形態において、本発明は、粒子状固体、有機媒体および/または水ならびに3個以上の酸基(A)を含有している非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基を含む分散剤であって、次式およびその塩:
[R−NR−T−O−(Y)−T−N(R−A]−Z(Q−W (式1b)
で表される分散剤を含む組成物を提供し、式中、
jは、ゼロ、または1〜2000の整数であり;
dは、2〜3000、または4〜2000であり;
cは、0または1であり;
xは、2〜90であり;
、RおよびRは、独立して、HまたはC1〜30の置換されていてもよいヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボニル基、またはエポキシドの残基、または置換されていてもよい(メタ)アクリル酸エステルもしくはアミド基の残基であり;
Yは、C2〜4のアルキレンオキシであり;Tは、C2〜4のアルキレンであり;
Aは、非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基であり;
Zは、ポリアミンおよび/またはポリイミンの残基であり;
Wは、酸化物、尿素または二塩基酸もしくはその無水物の残基を含み;
は、独立して、式R’−G−(M)−のポリエステルおよび/もしくはポリアミド鎖または式U−(Y)−T−N(R)−Dのポリアルコキシレート、あるいはそれらの混合物であり;
Dは、二塩基酸またはその無水物の残基であり;
mは、2〜100の正の整数であり;
R’は、水素またはC1〜50の置換されていてもよいヒドロカルビル基であり;
Gは、二価の結合またはカルボニルであり;
Mは、1つ以上のアミノカルボン酸、1つ以上のヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸の1つ以上のラクトンの残基、あるいはそれらの混合物であり;
eは、0〜vであって、vは、基R−NR−T−O−(Y)−T−N(R−A−またはQを持たないZ中のアミノおよび/またはイミノ基の最大可能数を表す。
【0010】
一実施形態において、本発明は、3個以上の酸基(A)を含有している非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基を含む分散剤であって、次式およびその塩:
[R−NR−T−O−(Y)−T−N(R−A]−Z(Q−W (式1b)
[式(1b)の変数は本明細書中で上述されている]
によって表される分散剤を提供する。
【0011】
Zは、ポリアミンおよび/またはポリイミンの残基であるため、一般的にはZに結合している2つを超える基[U−(Y)−T−N(R−A]−が存在し、これらは同じであっても異なっていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明は、上記の分散剤および組成物を提供する。
【0013】
cが0(ゼロ)のとき、式(1)、(1a)または(1b)のNは、変数Aを有する環状イミド構造を形成するものと考えられる。
【0014】
本発明の第1の態様についてのさらなる変形は、2個以上の異なる[U−(Y)−T−N(R−A]鎖を含有する式1の分散剤である。これらの鎖は、分散すべき粒子状固体の性質および液体媒体の性質に依存して、同一の、類似のまたは異なる親水性/疎水性のものであり得る。したがって、例えば式1の分散剤が異なる鎖を含む場合に、一方は、本開示の範囲内のU、Y、T、R、x、およびAの一定の選択から導き出すことができるが、他方は、本開示の範囲内の変数に対するわずかに異なる選択から導き出すことができる。
【0015】
一実施形態において、Aすなわち非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基は、3個から6個、または3個から4個、または3個の酸基を含有する。一実施形態において、その酸基は、エステル化されてカルボン酸エステル基を形成していてもよい。一般的に、そのエステル基は、最大6個までの炭素原子を含むことができる。
【0016】
非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基を調製するために有用な適当な酸の例としては、アガリン酸、クエン酸(2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸)、1,3,5−シクロヘキサンネトリックカルボン酸(1,3,5−cyclohexanenetric carboxylic acid)、1,2,3−プロパントリカルボン酸(トリカルバリル酸)、1−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸、N−[1,2−ジカルボキシエチル]−L−アスパラギン酸、1,2,5−ペンタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、N,N’−エチレンジ−(L−アスパラギン酸)、またはそれらの混合物、またはそれらの(部分もしくは完全)エステル、またはそれらの酸ハロゲン化物(例えば塩化物)、またはそれらの無水物が挙げられる。
【0017】
本明細書で使用される用語「部分エステル」とは、利用できる酸基の1つ以上(しかし全部ではない)に官能性付与してカルボン酸エステル基を形成したものを意味する。実施形態が異なると、カルボン酸エステル基の数は、0から6、または0から4または0から2と変化する。一実施形態において、非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基は、さらなるカルボン酸エステル基を含有しない。一実施形態において、3個以上の酸基(A)を含有する非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基は、クエン酸、アガリン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、またはそれらの混合物、またはそれらの(部分もしくは完全)エステル、またはそれらの酸ハロゲン化物またはそれらの無水物を含む。一実施形態において、非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基は、クエン酸またはそれらの混合物、またはそれらの(部分もしくは完全)エステル、またはそれらの酸ハロゲン化物、またはそれらの無水物を含む。
【0018】
Uが、R−O−であるとき、式(1)のR−O−(Y)−T−N基は、ポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルモノアミンの残基であり得る。このR−O−(Y)−T−N基は、市販の化合物、例えばHuntsman Corporation由来のモノアミンのJeffermine(商標)Mシリーズなどの残基であり得る。Jeffermine(商標)アミンの具体例は、M−600(9、0、600)、M−1000(3、18、1000)、M−2005(32、2、2000)およびM−2070(10、31、2000)である。括弧内の数字は、それぞれ、プロピレンオキシド、エチレンオキシドのおよその繰り返し単位および数平均分子量である。
【0019】
Uが、R−NR−T−O−であるとき、式(1)のR−NR−T−O−(Y)−T−N基は、ポリアルキレンオキシドジアミンの残基であり得る。このタイプの化合物は、Huntsman Corporation由来のジアミン類のJeffermine(商標)DまたはEDシリーズとして市販されている。Jeffermine(商標)ジアミンの具体例は、D−230(3、0、230)、D−400(6、0、400)、D−2000(33、0、2000)、D−4000(68、0、4000)、ED−600(3、6、9,600)、ED−900(2.5、15.5、900)およびED2003(6、9、2000)である。括弧内の数字は、それぞれ、プロピレンオキシド、エチレンオキシドのおよその繰り返し単位および数平均分子量である。
【0020】
一実施形態において、R〜Rは、アリール、アラルキル、アルカリール、シクロアルキルまたは直鎖状または分枝状であり得るアルキルを含むヒドロカルビル基である。
【0021】
一実施形態において、R〜Rは、C1〜30、C1〜20、C1〜6またはC1〜4−アルキルを含むアルキル、場合によって分枝しているアルキルである。一実施形態においてRは、メチルである。
【0022】
〜Rが置換ヒドロカルビル基であるとき、その置換基は、C1〜10−アルコキシ、カルボニル、スルホニル、カルバモイル、スルファモイル、ハロゲン、ニトリル、ウレイド、ヒドロキシル、ウレタンまたはエステル(すなわち−COO−または−OCO−)であり得る。一実施形態において、R〜Rは、置換されていない。
【0023】
一実施形態において、R〜Rは、ナフチルまたはフェニルを含むアリールである。一実施形態において、R〜Rは、2−フェニルエチルまたはベンジルを含むアラルキルである。
【0024】
一実施形態において、R〜Rは、オクチルフェニルまたはノニルフェニルを含むアルカリールである。
【0025】
一実施形態において、R〜Rは、C3〜8−シクロアルキル、例えばシクロプロピルまたはシクロヘキシルなどを含むシクロアルキルである。
【0026】
、R〜Rにおいて定義される置換されていてもよい(メタ)アクリル酸エステルまたはアミドの残基は、置換基、例えばヒドロカルビル基、アルキルまたはアリール基を含有することができる。そのヒドロカルビル基、アルキルまたはアリール基は、R、R〜Rに対して記したものと同様に(本明細書に論じられているように)定義することができる。
【0027】
一実施形態において、R、R〜Rは、置換されていてもよい(メタ)アクリル酸エステルまたはアミド基、あるいはそれらの混合物の残基を含む。一実施形態において、R、R〜Rは、アルキル(メタ)アクリレート、またはそれらの混合物の残基を含む。一実施形態において、R、R〜Rは、アルキル(メタ)アクリルアミド、またはそれらの混合物の残基を含む。
【0028】
種々の実施形態において、Tは、C3〜4−アルキレン基、または−CHCH(CH)−基、または−CHCHCH−基を含む。一実施形態において、Tは、−CHCH(CH)−を含む。
【0029】
YがC3〜4−アルキレンオキシであり、(Y)によって表される鎖がエチレンオキシ(−CHCHO−)を含有するとき、(Y)の構造は、ランダムまたはブロックであり得る。
【0030】
(Y)によって表される鎖は、C3〜4−アルキレンオキシ繰り返し単位の1つのタイプのみを含有してもよく、またはそれは2つ以上の異なるC3〜4−アルキレンオキシ繰り返し単位を含有してもよい。(Y)によって表される鎖が、2つ以上の異なるC3〜4−アルキレンオキシ繰り返し単位を含有するとき、(Y)の構造は、ランダムまたはブロックであり得る。
【0031】
一実施形態において、Yは、C3〜4−アルキレンオキシ基、−CHCHCHCHO−または−CHCH(CH)CHO−または−CHCH(CH)O−である。別の実施形態において、Yは、−CHCHCH(CH)O−または−CH−CH(CH−CH)−O−である。一実施形態において、Yは、C3〜4−アルキレンオキシであり、(Y)によって表される鎖は、−CHCHCHCHO−、−CHCH(CH)O−または−CH−CH(CH−CH)−O−である。
【0032】
一実施形態において、式(1)の分散剤は、−CHCH(CH)O−のY基を含み、(Y)によって表される鎖は、エチレンオキシ繰り返し単位を含まなくてもよい。
【0033】
一実施形態において、式(1)の分散剤は、−CHCH(CH)O−のY基を含み、(Y)によって表される鎖は、エチレンオキシ繰り返し単位を最大75%まで含むことができる。
【0034】
一実施形態において、Tは、−CHCH(CH)−を含み、Yは、−CHCH(CH)O−を含む。
【0035】
一実施形態における基U−(Y)−T−は、ポリアルキレンオキシドの残基を含む。
【0036】
Zが、ポリアミンの残基であるとき、それはポリビニルアミンまたはポリアリルアミンを含む。異なる分子量のポリアリルアミンとポリ(N−アルキル)アリルアミンが日東紡績から市販されている。様々な分子量のポリビニルアミンが、三菱化成から入手できる。
【0037】
一実施形態において、Zは、ポリイミンの残基であり、ポリ(C2〜6−アルキレンイミン)、特にポリエチレンイミン(PEI)を含む。そのポリイミンは直鎖状または特に分枝状であり得る。直鎖状ポリエチレンイミンは、例えば、Macromolecules、1972年、第5巻、4470頁にTakeo Saegusaらによって記載されているように、ポリ(N−アシル)アルキレンイミンの加水分解によって調製することができる。様々な分子量の分枝状ポリエチレンイミンが、BASFおよび日本触媒から市販されている。ポリプロピレンイミンデンドリマーは、DSM Fine Chemicalsから市販されており、ポリ(アミドアミン)デンドリマーは、「Starburst」デンドリマーとしてAldrich Chemical Companyから入手できる。
【0038】
適当なポリアミンの例としては、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジエチレントリアミン、またはトリエチレンテトラミンが挙げられる。その他のポリアミン混合物の有用なタイプは、上記のポリアミン混合物のストリッピングによりもたらされ、残渣として残るしばしば「ポリアミンボトム」と称されるものである。一般に、アルキレンポリアミンボトムは、約200℃未満で沸騰する物質を、2重量%未満、通常は1重量%未満有するものとして特徴付けることができる。テキサス州フリーポートのDow Chemical Companyから得られる上記エチレンポリアミンボトムの「E−100」と称される典型的な試料は、1.0168の15.6℃における比重、33.15重量パーセントの窒素および40℃において121センチストークスの粘度を有する。ガスクロマトグラフィー分析によれば、上記試料は、約0.93%の「ライトエンド」(殆どが多分DETA)、0.72%のTETA、21.74%のテトラエチレンペンタミンおよび76.61%のペンタエチレンヘキサミンならびにそれより大きなもの(重量で)を含有する。これらのアルキレンポリアミンボトムは、環状縮合生成物、例えばピペラジンおよびジエチレントリアミンまたはトリエチレンテトラミンのより高分子の類似体などを含む。
【0039】
一実施形態におけるポリアミンまたはポリイミンの数平均分子量は、200〜650,000、500〜600,000、550〜100,000、または600〜70,000である。ポリエチレンイミンの場合、一実施形態における数平均分子量は、600以上、または1200以上である。
【0040】
Wおよび/またはDによって表される二塩基酸の残基は、Bが、直接結合または1〜20個の炭素原子を含有する二価の有機部分である式HOOC−B−COOHの任意の二塩基酸またはその無水物(またはエステル無水物または前記無水物の酸ハロゲン化物)から誘導することができる。Bは、置換されていてもよい、芳香族、ヘテロ芳香族、脂環族または脂肪族であり得る。Bが2個以上の炭素原子を含有する脂肪族であるとき、それは直鎖状または分枝状、飽和または不飽和であり得る。一実施形態において、Bは、置換されていない。別の実施形態において、Bは、12個以下の炭素原子を含有し、別の実施形態において8個以下の炭素原子を含有する。
【0041】
Bが芳香族であるとき、それはフェニレンを含み、Bが脂環族であるとき、それはシクロへキシレンを含み、Bが脂肪族であるとき、それはアルキレンを含む。一実施形態において、その二塩基酸は、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、C1〜20−アルケニルまたはアルキルコハク酸である。一実施形態において、その二塩基酸は、マレイン酸、マロン酸、コハク酸またはフタル酸あるいは前記酸のエステル無水物または酸ハロゲン化物から誘導される。該二塩基酸が無水物から誘導されるとき、適当な例は、無水グルタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸または無水フタル酸、あるいは前記酸無水物のエステル無水物または酸ハロゲン化物から導かれる。
【0042】
二塩基酸類またはそれらの無水物の混合物を使用することができる。したがって、Wおよび/またはDは、1つ以上の異なる二塩基酸または酸無水物の残基であり得る。一実施形態において、Wは、単一の二塩基酸または無水物の残基を含む。
【0043】
vがゼロである式1の分散剤は、着色した酸の塩の形であり得る。その着色した酸は、任意のアニオン性染料、例えば1分子当り平均して0.5〜3個のスルホン酸基を含有するスルホン化もしくはカルボキシル化銅もしくはニッケルフタロシアニンまたはスルホン酸基および/またはカルボン酸基を含有するジスアゾ染料などであり得る。
【0044】
vがゼロであるとき、基[U−(Y)−T−N(R−A]−またはQを持っていないZにおけるアミン/イミン基のいくつかは、酸または四級化剤との反応によって置換アンモニウム基に変換することができる。この目的のための適当な試薬としては、鉱酸および強酸、例えば塩酸、酢酸、硫酸、アルキルスルホン酸、硫酸水素アルキルまたはアリールスルホン酸が挙げられる。第四級化剤としては、硫酸ジメチル、塩化ベンジル、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン化メチル、ならびにプロパン(またはブタン)スルトンが挙げられる。
【0045】
式(1)の分散剤は、当技術分野には知られている任意の方法によって製造することができる。ポリアミンおよび/またはポリイミンとの反応前の式(1)の前駆物質は、米国特許出願公開第2005/0120911号および国際公開第05/010109号に記載されている方法によって調製することができる。
【0046】
ポリアミンおよび/またはポリイミンとの反応は、一実施形態においては100℃〜200℃の温度で行われる。上記条件下でその反応は塩の形単独よりもむしろアミドと塩の形の混合物を生ずる。
【0047】
二塩基酸またはその無水物を含む反応は、その反応物に対して不活性の有機希釈剤の存在する中で一般的に行われる。一実施形態において、その有機希釈剤はその反応物に対する溶媒である。その有機希釈剤は、ハロゲン化誘導体を含む芳香族または脂肪族であり得る。例は、トルエン、クロロベンゼン、ヘプタンおよび石油エーテル留出物である。一般的に、その反応は有機希釈剤が存在しない中で行われる。
【0048】
Wが酸化物の残基を含むとき、基[U−(Y)−T−N(R−A]−またはQを持たないZ中のアミノおよび/またはイミン基の数は、幅広い限界を超えて変化し得る。かかる分散剤は、遊離のアミノおよび/またはイミノ基を含有する分散剤を、酸化性化合物、例えば酸素(または空気)または過酸化水素などの過酸化物または過硫酸アンモニウムなどと反応させることによって容易に調製される。同様に、Wが、尿素の残基を含むとき、かかる分散剤もまた、基[U−(Y)−T−N(R−A]−またはQを持たないZ中の任意の遊離のアミノおよび/またはイミノ基を尿素と反応させることによって容易に調製することができる。一実施形態において、その反応は、不活性雰囲気中80℃と140℃の間の温度で行われる。
【0049】
Wが二塩基酸またはその無水物の残基を含む特別の場合、基[U−(Y)−T−N(R−A]−またはQを持たないZ中の遊離のアミノおよび/またはイミノ基の大多数は、その二塩基酸または無水物と反応する。
【0050】
一実施形態において、Gは、カルボニルであり、R’−G−は、C1〜50の置換されていてもよいヒドロカルビルカルボン酸、特に脂肪族基が飽和または不飽和、直鎖状または分枝状であってもよいC1〜50の置換されていてもよい脂肪族酸の残基である。
【0051】
一実施形態において、R’は、30個以下の炭素原子を含有する。R’−CO−は、また、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和の置換されていてもよいカルボン酸、例えば、メトキシ酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、オクタン酸、ラウリン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、2−エチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、2−ブチルオクタン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−オクチルデカン酸および2−デシルテトラデカン酸などの残基であり得る。このタイプの分枝状アルキルカルボン酸は、また、商標名Isocarb(商標)(以前のCondea GmbH)のもとで入手可能であり、具体例は、Isocarb(商標)12、16、20、28、32、34Tおよび36である。
【0052】
R’が置換されているとき、その置換基は、1つ以上のエーテル基あるいは2つ以上のエーテル基であり得る。したがって、R’−CO−は、Akypo(商標)カルボン酸(以前のKao Chem GmbH)の残基であり得る。具体例は、Akypo(商標)LF1、Akypo(商標)LF2、Akypo(商標)RLM25、Akypo(商標)RLM45CA、Akypo(商標)RO20VGおよびAkypo(商標)RO50VGである。
【0053】
Mをそこから得ることができるアミノカルボン酸としては、アミノ−C2〜20−アルキ(ケニ)レンカルボン酸またはアミノC1〜20−アルキレンカルボン酸が挙げられる。一実施形態において、アルキレン(アルケニレン)基は、12個以下の炭素原子を含有する。具体例は、11−アミノウンデカン酸、6−アミノカプロン酸、4−アミノ酪酸、β−アラニンまたはサルコシンである。
【0054】
そこからMを導くことができるヒドロキシカルボン酸としては、ヒドロキシ−C2〜20−アルケニレンカルボン酸またはヒドロキシ−C1〜20−アルキレンカルボン酸が挙げられる。適当なヒドロキシカルボン酸の具体例は、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシ吉草酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシデカン酸、4−ヒドロキシデカン酸、10−ヒドロキシウンデカン酸、乳酸またはグリコール酸である。
【0055】
Mはまた、ラクトン、例えばβ−プロピオラクトン、C1〜6−アルキル置換されていてもよいε−カプロラクトンおよびC1〜6−アルキル置換されていてもよいδ−バレロラクトンなどから誘導することもできる。具体例は、ε−カプロラクトンおよび7−メチル−、3−メチル−、5−メチル−、6−メチル−、4−メチル−、5−テトラ−ブチル−、4,4,6−トリメチル−および4,6,6−トリメチル−ε−カプロラクトンおよびδ−バレロラクトンである。
【0056】
一実施形態において、d対jの比は、6:1〜1:6である。
【0057】
組成物中に存在する粒子状固体は、有機媒体中に実質的に不溶解性の任意の無機または有機の固体物質であり得る。一実施形態において、その粒子状固体は顔料である。
【0058】
適当な固体の例は、溶剤型インキ用の顔料;塗料およびプラスチック材料用の顔料、体質顔料および充填剤;分散染料;溶剤染色浴、インキおよびその他の溶媒活用系のための蛍光増白剤および織物用助剤;油性および逆エマルジョン掘削泥水用の固体;ドライクリーニング液中の汚れおよび固体粒子;粒子状セラミック材料;磁性材料および磁気記録媒体;複合材料用の、ガラス、スチール、炭素、ホウ素などの繊維、ならびに有機媒体中の分散体として適用される殺虫剤、農薬、医薬品などである。
【0059】
一実施形態において、該固体は、例えば、Colour Index(1971年)の第3版および「Pigments」の見出しの章の欄のその後の改訂およびそこへの補足に記載されている認定されている種類の顔料のいずれかに由来する有機顔料である。有機顔料の例は、アゾ、ジスアゾ、縮合アゾ、チオインジゴ、インダンスロン、イソインダンスロン、アンサンスロン、アントラキノン、イソジベンズアントロン、トリフェンジオキサジン、キナクリドンおよび一連のフタロシアニン、特に銅フタロシアニンおよびその核ハロゲン化誘導体、ならびにまた、酸性、塩基性および媒染染料のレーキからのものである。カーボンブラックは、厳密には無機であるが、その分散性においてはより有機顔料のように振舞う。一実施形態において、有機顔料は、フタロシアニン、特に銅フタロシアニン、モノアゾ、ジスアゾ、インダンスロン、アントラントロン、キナクリドンおよびカーボンブラックである。
【0060】
無機の固体としては、体質顔料および充填剤、例えばタルク、カオリン、シリカ、バライト、白亜など;粒子状セラミック材料、例えばアルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、混合ケイ素−アルミニウム窒化物、チタン酸金属塩など;粒子状磁性材料、例えば遷移金属、特に鉄およびクロムの磁性酸化物、例えばガンマ−Fe、Fe、およびコバルトをドープした酸化鉄、酸化カルシウム、フェライト、特にバリウムフェライトなど;および金属粒子、特に金属鉄、金属ニッケル、金属コバルトおよびそれらの合金などが挙げられる。
【0061】
その他の有用な固体材料としては、農薬類、例えば殺菌剤のフルトリアフェン(flutriafen)、カーベンダジム(carbendazim)、クロロタロニル(chlorothalonil)およびマンコゼブ(mancozeb)が挙げられる。
【0062】
本発明の組成物中に存在する有機媒体は、一実施形態においてはプラスチック材料であり、別の実施形態においては有機液体である。極性有機液体が一般的には使用されるが、その有機液体は非極性または極性有機液体であり得る。その有機媒体に関連した「極性」という語は、Journal of Paint Technology、38巻、1966年、269頁において、Crowleyらによる「A ThreeDimensional Approach to Solubility」と題された論文中に記載されているように、有機液体が、中程度乃至強力な結合を形成することができることを意味する。そのような有機液体は、一般に、上記論文中で定義されている5以上の水素結合数を有している。
【0063】
適当な極性有機液体の例は、アミン類、エーテル類、特に低級アルキルエーテル類、有機酸類、エステル類、ケトン類、グリコール類、アルコール類およびアミド類である。そのような中程度に強力な水素結合液体の多数の具体例は、Ibert Mellanによる「Compatibility and Solubility」(Noyes DevelopmentCorporationにより1968年に出版)と題された書籍中の39〜40頁の表2.14に示されており、これらの液体はすべて本明細書で使用する用語の極性有機液体の範囲に入る。
【0064】
一実施形態において、極性有機液体は、ジアルキルケトン類、アルカンカルボン酸類とアルカノール類とのアルキルエステル類であり、特にその液体は、6個を含む合計6個までの炭素原子を含有している。極性有機液体の例としては、ジアルキルおよびシクロアルキルケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジ−イソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−イソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルn−アミルケトンおよびシクロヘキサノンなど;アルキルエステル類、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ギ酸エチル、プロピオン酸メチル、メトキシプロピルアセテートおよび酪酸エチルなど;グリコール類とグリコールエステル類およびエーテル類、例えばエチレングリコール、2−エトキシエタノール、3−メトキシプロピルプロパノール、3−エトキシプロピルプロパノール、2−ブトキシエチルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、3−エトキシプロピルアセテートおよび2−エトキシエチルアセテートなど;アルカノール類、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびイソブタノールなど、ならびに、ジアルキルおよび環式エーテル類、例えばジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどが挙げられる。一実施形態において、溶媒は、アルカノール類、アルカンカルボン酸類およびアルカンカルボン酸のエステル類である。
【0065】
極性有機液体として使用することができる有機液体の例は、インキ、塗料、ならびに塗料およびインキのような各種用途で使用するためのチップの調製のために適するフィルム形成性樹脂である。そのような樹脂の例としては、ポリアミド類、例えばVersamid(商標)およびWolfamid(商標)など、ならびにセルロースエーテル類、例えばエチルセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロースおよび酢酸酪酸セルロース樹脂などが挙げられ、それらの混合物も含む。塗料樹脂の例としては、短油アルキド/メラミン−ホルムアルデヒド、ポリエステル/メラミン−ホルムアルデヒド、熱硬化性アクリル/メラミン−ホルムアルデヒド、長油アルキッド、ポリエーテルポリオールおよび複合樹脂、例えばアクリルおよび尿素/アルデヒドなどが挙げられる。
【0066】
その有機液体は、ポリオール、すなわち、2個以上のヒドロキシ基を有する有機液体であり得る。一実施形態において、ポリオールとしては、アルファ−オメガジオールまたはアルファ−オメガジオールエトキシレートが挙げられる。
【0067】
一実施形態において、非極性有機液体は、脂肪族基、芳香族基またはそれらの混合物を含む化合物である。その非極性有機液体としては、非ハロゲン化芳香族炭化水素類(例えばトルエンおよびキシレン)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン)、非ハロゲン化脂肪族炭化水素類(例えば6個以上の炭素原子を含有する直鎖状および分枝状の両方とも完全にまたは部分的に飽和している脂肪族炭化水素類)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(例えばジクロロメタン、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエタン)および天然の非極性有機物(例えば植物油、ヒマワリ油、アマニ油、テルペン類およびグリセリド類)が挙げられる。
【0068】
一実施形態において、その有機液体は、全体の有機液体を基準として少なくとも0.1重量%または1重量%以上の極性有機液体を含む。
【0069】
その有機液体は、場合によってはさらに水を含む。一実施形態において、その有機液体は、水を含まない。
【0070】
その有機液体が水を含有するとき、一実施形態において存在する量は、有機液体の量を基準として、70重量%以下、50重量%以下または40重量%以下である。
【0071】
プラスチック材料は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂であり得る。本発明において有用な熱硬化性樹脂としては、加熱されたとき、触媒作用を受けたとき、またはUV照射されたときに化学反応を起こして比較的不溶解性となる樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂における典型的な反応としては、不飽和二重結合の酸化、エポキシ/アミン、エポキシ/カルボニル、エポキシ/ヒドロキシル、ポリイソシアネート/ヒドロキシ、アミノ樹脂/ヒドロキシ部分、ポリアクリレートのフリーラジカル反応、エポキシ樹脂およびビニルエーテルのカチオン重合、シラノールの縮合などが挙げられる。
【0072】
ヒドロキシ官能基を有するポリマー(しばしばポリオール)は、アミノ樹脂またはポリイソシアネートにより架橋する熱硬化系において広く使用される。そのポリオールとしては、アクリルポリオール、アルキッドポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオールが挙げられる。典型的なアミノ樹脂としては、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、グリコルリルホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。ポリイソシアネートは、2個以上のイソシアネート基を有する樹脂であり、脂肪族ジイソシアネートモノマー、芳香族ジイソシアネートモノマーの両方およびそれらのポリマーを含む。典型的な脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび水素化ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。典型的な芳香族ジイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネートおよびビフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0073】
一実施形態において、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリウレタン類、ポリスチレン類、ポリ(メタ)アクリレート類、セルロース類およびセルロース誘導体類が挙げられる。前記組成物は多くの方法によって調製することができるが、溶融混合および乾燥固体ブレンディングが典型的な方法である。
【0074】
必要に応じて、該組成物は、他の成分、例えば、樹脂類(これらは当該有機媒体を既に構成しるものではない)、バインダー、流動化剤、抗沈降剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、レオロジー調整剤、レベリング剤、光沢調整剤、防腐剤を含有することができる。
【0075】
該組成物は、1〜95重量%の粒子状固体を一般的には含有し、その正確な量は、その固体の性質ならびにその固体の性質とその固体および極性有機液体の相対的密度とに依存する量に依存する。例えば、固体が有機顔料などの有機物質である組成物は、一実施形態において、組成物の全体重量を基準として15〜60重量%の固体を含有し、一方、固体が無機顔料、充填剤または体質顔料などの無機物質である組成物は、一実施形態において、組成物の全体重量を基準として40〜90重量%の固体を含有する。
【0076】
該組成物は、分散体を調製するための公知の慣用的な任意の方法によって調製することができる。したがって、固体、有機媒体および分散剤を任意の順序で混合し、次いで、その混合物を、例えばボールミル混練、ビーズ混練、砂利混練またはプラスチック混練等により分散体が形成されるまで機械的処理にかけ、固体の粒子を適当な大きさに減少させることができる。別法では、独立にまたは有機媒体または分散剤のいずれかと混合して、固体を処理してその粒子の大きさを減少させてから、他の成分(単数または複数)を添加し、混合物を激しく振とうすることによって組成物を提供することもできる。
【0077】
本発明の組成物は、液状分散体に特に適する。一実施形態において、かかる分散体組成物は、
(a)0.5〜30部の粒子状固体;
(b)0.5〜30部の式(1)(または(1a)もしくは(1b))の分散剤;
(c)40〜99部の有機液体;(ただし、部はすべて重量であり、量(a)+(b)+(c)=100である)
を含む。
【0078】
一実施形態において、成分a)は、0.5〜30部の顔料を含み、かかる分散体は、液状インキ、塗料およびミルベースとして有用である。
【0079】
組成物が乾燥した形の粒子状固体および式(1)の分散剤を含むことを必要とする場合は、有機液体は、一般的には揮発性であり、そのため単純な分離手段、例えば蒸発によって、それを粒子状固体から容易に除去することができる。一実施形態において、該組成物は有機液体を含む。
【0080】
乾燥組成物が、本質的に式(1)の分散剤および粒子状固体からなる場合、それは、粒子状固体の重量を基準として、少なくとも0.2%、少なくとも0.5%または少なくとも1.0%の式(1)の分散剤を一般的には含有する。一実施形態において、該乾燥組成物は、粒子状固体の重量を基準として、100重量%以下、50重量%以下、20重量%以下、または10重量%以下の式(1)の分散剤を含有する。
【0081】
本明細書で先に開示したように、本発明の組成物は、粒子状固体を式(1)の化合物およびその塩の存在する有機液体中で混練するミルベースを調製することに対して適している。
【0082】
したがって、本発明のなおもさらなる態様によれば、粒子状固体、有機液体および式(1)の分散剤およびその塩を含むミルベースが提供される。
【0083】
一般的に、該ミルベースは、そのミルベースの全体重量を基準として、20〜70重量%の粒子状固体を含有する。一実施形態において、その粒子状固体は、ミルベースの10重量%以上または20重量%以上である。かかるミルベースは、混練の前または後のいずれかに、場合によってはバインダーを添加してもよい。
【0084】
そのバインダーは、有機液体が蒸発したとき組成物を結合することができるポリマー材料である。
【0085】
バインダーは、天然および合成材料を含むポリマー材料である。一実施形態において、バインダーとしては、ポリ(メタ)アクリレート類、ポリスチレン類、ポリエステル類、ポリウレタン類、アルキッド類、セルロースなどの多糖類、およびカゼインなどの天然タンパク質類が挙げられる。一実施形態において、バインダーは、組成物中に、粒子状固体の量を基準として、100%を超え、200%を超え、300%を超え、または400%を超えて存在する。
【0086】
ミルベース中の任意のバインダーの量は、広い限度幅を超えて変えることができるが、一般的には、ミルベースの連続/液体相の10重量%以上、多くの場合、20重量%以上である。一実施形態において、バインダーの量は、ミルベースの連続/液体相の50重量%以下、多くの場合、40重量%以下である。
【0087】
ミルベース中の分散剤の量は、粒子状固体の量に依存するが、一般的にはミルベースの0.5〜5重量%である。
【0088】
本発明の組成物から製造される分散体およびミルベースは、コーティングおよび塗料、特にハイソリッド塗料;インキ、特にフレキソインキ、グラビアインキおよびスクリーンインキ;非水性セラミック処理法、特にテープコーチング、ドクターブレード、押出および射出成形型の処理法;複合材、化粧品、接着剤およびプラスチック材料における使用に特に適している。
【0089】
したがって、本発明のさらなる態様によれば、粒子状固体、有機液体、バインダーおよび式(1)およびその塩の分散剤を含む塗料またはインキが提供される。
【0090】
上文に記したように、式(1)の分散剤の多くは新規である。
【0091】
本発明のなおさらなる態様によれば、Zが、600以上の数平均分子量を有するポリアミンおよび/またはポリイミンであり、vがゼロである式(1)およびその塩の分散剤が提供される。
【0092】
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、その中ですべての量の表示は、それと違う指摘がない限り重量部である。
【実施例】
【0093】
中間体1
中間体1は、クエン酸一水和物(4.91g、23.3mmol、Aldrichから)の存在する中でポリアルコキシレート(MeO+6EO+24PO)、(CHNH(50g、23.8mmol)を、窒素雰囲気下の150℃で、8時間攪拌することによって調製する。生成物の酸価は、23.2mgKOH/gと測定される。
【0094】
中間体2
中間体2は、およそのMW1650のポリエーテルアミンC12〜C15混合脂肪アルコール末端ポリプロポキシレートアミン(米国特許第5094667号において調製されたものと同じ、75重量%活性分)、(CHNH(50g、23.8mmol)およびクエン酸一水和物(5.0g、23.8mmol、Aldrichから)を、窒素雰囲気下の150℃で、8時間攪拌することによって調製する。生成物の酸価は、24.8mgKOH/gと測定される。
【0095】
中間体3
中間体3は、Jeffamine M2005(100g、50.6mmol、Huntsmannから)およびトリカルバリル酸(8.9g、50.6mmol、Flukaから)を、窒素雰囲気下の150℃で、10時間攪拌することによって調製する。得られる生成物は、コハク色の粘稠液(53g)である。生成物のIRスペクトルは、イミド基の存在(vmax1708cm−1)を示す。生成物の酸価は、27.4mgKOH/gと測定される。
【0096】
中間体4
中間体4は、Jeffamine M2005(23.7g、12mmol、Huntsmannから)およびアガリン酸(5g、12mmol、Sigma Aidrichから)を、窒素雰囲気下の150℃で、10時間攪拌することによって調製する。得られる生成物は、コハク色の粘稠液(27g)である。生成物のIRスペクトルは、イミド基の存在(vmax1708cm−1)を示す。生成物の酸価は、22mgKOH/gと測定される。
【0097】
中間体5
中間体5は、Jeffamine M2005(50g、25.3mmol、Huntsmannから)および1,2,3,4−ブタンカルボン酸(5.93g、25.3mmol、Aidrichから)を、窒素雰囲気下の150℃で、10時間攪拌することによって調製する。得られる生成物は、コハク色の粘稠液(54g)である。生成物のIRスペクトルは、イミド基の存在(vmax1708cm−1)を示す。生成物の酸価は、45mgKOH/gと測定される。
【0098】
中間体6
中間体6は、Jeffamine M2005(100g、50.6mmol、Huntsmannから)およびクエン酸(10.63g、50.6mmol、Fisherから)を窒素雰囲気下の150℃で、8時間攪拌することによって調製する。生成物は、コハク色の粘稠液(53g)であり、IRを用いる分析は、イミド基の存在(vmax1708cm−1)を示す。混合物の酸価は、26mgKOH/gと測定される。
【0099】
中間体7
中間体7は、Jeffamine M2070(50g、24.6mmol、Huntsmannから)およびエチレンジアミンテトラ酢酸二無水物(3.16g、12.3mmol、Aldrichから)を窒素雰囲気下の180℃で、16時間攪拌することによって調製する。生成物は、褐色の粘稠液(50g)である。IRによる生成物の分析は、イミド基の存在(vmax1708cm−1)を示す。混合物の酸価は、10.2mgKOH/gと測定された。
【0100】
中間体8
中間体8は、米国特許第6787600号におけるポリエステル11の生成物である。
【0101】
中間体9
中間体9は、無水コハク酸(2.5部、25mmol、Aldrichから供給)およびJeffamine(商標)M2005(51部、25mmol、Huntsmannから供給)を、窒素ガス雰囲気下で攪拌することにより調製する。温度を80℃に上げ、その混合物を8時間にわたり連続して攪拌する。生成物の赤外スペクトロスコピーは、無水物基が実質的に全部反応したことを示す。得られた生成物は、淡黄色の粘稠な油状物(53.5g)である。
(実施例1)
実施例1は、中間体1(53g)とPEI SP200(3.2g、日本触媒から)とを窒素雰囲気中120℃で6時間攪拌して反応させ、コハク色の液体(55g)を生じさせることによって調製する。その混合物の酸価は、16mgKOH/gと測定された。
(実施例2)
実施例2は、中間体2(53g)とPEI SP200(3.2g、日本触媒から)とを窒素雰囲気中120℃で6時間攪拌して反応させ、コハク色の液体(55g)を生じさせることによって調製する。その混合物の酸価は、14.5mgKOH/gと測定された。
(実施例3)
実施例3は、18gの中間体3を、ポリアリルアミンMW17000(10g、Aldrichから、20%水溶液)と窒素雰囲気中120℃で6時間反応させ、冷却してコハク色の粘稠なガム(19g)を生じさせることによって調製する。その混合物の酸価は、22.2mgKOH/gと測定される。
(実施例4)
実施例4は、30gの中間体3をPEI SP012(6g、日本触媒から)と窒素雰囲気中120℃で6時間反応させ、冷却してコハク色の粘稠な液体(33g)を生じさせることによって調製する。その混合物の酸価は、15.3mgKOH/gと測定される。
(実施例5)
実施例5は、30gの中間体3をPolymin P(4g、BASFから、50%水溶液)と窒素雰囲気中120℃で6時間反応させ、冷却してコハク色の粘稠な液体(31g)を生じさせることによって調製する。その混合物の酸価は、23.2mgKOH/gと測定される。
(実施例6)
実施例6は、18gの中間体4をポリエチレンイミンSP075(2.2g、日本触媒から)と窒素雰囲気中120℃で6時間反応させ、冷却してコハク色の粘稠な液体(19g)を生じさせることによって調製する。その混合物の酸価は、18.2mgKOH/gと測定される。
(実施例7)
実施例7は、20gの中間体5をポリエチレンイミンSP018(2g、日本触媒から)と窒素雰囲気中120℃で6時間反応させ、冷却してコハク色の粘稠なガム(19g)を生じさせることによって調製する。その混合物の酸価は、35mgKOH/gと測定される。
(実施例8)
実施例8は、18gの中間体5をペンタエチレンヘキサミン(1.5g、Aldrichから)と窒素雰囲気中120℃で6時間反応させ、冷却してコハク色の粘稠なガム(19g)を生じさせることによって調製する。その混合物の酸価は、31.1mgKOH/gと測定される。
(実施例9)
実施例9は、中間体6(54g)とPEI SP200(3.36g、日本触媒から)を窒素雰囲気下120℃で6時間攪拌することにより調製する。冷却すると、コハク色の粘稠な液体(55g)が得られる。酸価は、21mgKOH/gと測定され、塩基当量を測定すると1670である。
(実施例10)
実施例10は、中間体2(150g)とPEI SP018(8.82g、日本触媒から)を窒素雰囲気下180℃で6時間攪拌することにより調製する。冷却すると、その生成物は褐色の粘稠な液体(155g)である。酸価は、6.2mgKOH/gと測定される。
(実施例11)
実施例11は、中間体7(30g)をPEI SP050(2.5g、日本触媒から)と窒素雰囲気下120℃で6時間攪拌することにより調製する。冷却すると、その生成物は褐色の粘稠な液体(30g)である。酸価は、4.4mgKOH/gと測定される。
(実施例12)
実施例12は、中間体3(30g)とPEI SP012(6g、日本触媒から)を窒素雰囲気下120℃で6時間攪拌することにより調製する。冷却すると、その生成物はコハク色の粘稠な液体(34g)である。酸価は、23.2mgKOH/gと測定される。
(実施例13)
実施例13は、中間体5(10g)と中間体8(40g)をPEI SP075(5g、日本触媒から)と共に窒素雰囲気下120℃で6時間攪拌することにより調製する。冷却したときの生成物はコハク色の粘稠な液体(53g)である。酸価は、24.1mgKOH/gと測定される。
(実施例14)
実施例14は、中間体3(30g)と中間体9(6g)をPEI SP200(3g、日本触媒から)と共に窒素雰囲気下120℃で6時間攪拌することにより調製する。生成物はコハク色の粘稠な液体(37g)である。酸価は、17.3mgKOH/gと測定される。
(実施例15)
実施例15は、実施例5からの生成物(20g)と尿素(0.56g、9.4mmol、Aldrichから)とを、窒素雰囲気下120℃で18時間攪拌することにより調製する。20℃まで冷却した後、生成物はコハク色の粘稠な液体(19g)として得られる。
(実施例16)
実施例16は、実施例6からの生成物(15g)と無水コハク酸(1.5g、15mmol、Aldrichから)とを、窒素雰囲気下80℃で2時間攪拌することにより調製する。冷却すると、コハク色の粘稠な液体(18g)が得られる。酸価は、53.7mgKOH/gと測定される。
(実施例17)
実施例17は、実施例9からの生成物(20g)と35%過酸化水素水溶液(2.5g)とを、窒素雰囲気下80℃で、過酸化水素が実質的に反応を完了するまで(ヨウ素デンプン紙を用いる陰性の結果により確認)4時間攪拌することにより調製する。生成物は、冷却すると、コハク色の粘稠な液体(19g)を生ずる。
(実施例18)
実施例18は、実施例9からの生成物(20g)と硫酸ジメチル(0.75g、5.9mmol、Aldrichから)とを、窒素雰囲気下90℃で、硫酸ジメチルのすべてが実質的に反応するまで(ブロモクレゾールグリーン指示薬による指示として)4時間攪拌することにより調製する。淡黄色の粘稠な液体(18g)が得られる。その塩基当量は2850と測定される。
【0102】
比較例1は、米国特許第4645611号に記載されているポリ(ε−カプロラクトン)をラウリン酸で末端キャップし、ポリエチレンイミンと反応させたものである。
【0103】
比較例2は、分散剤が存在しないミルベースである。
【0104】
ミルベースの調製
一連のマゼンタミルベースを、実施例1〜2および比較例1を利用して調製する。そのミルベースは、実施例1または2(0.45g)を、MPA:ブタノールの比が4:1の溶媒混合物7.55g中に溶解することによって調製する(MPA=メトキシプロピルアセテート)。ガラスビーズ(3mm、17部)およびMonolite Rubine 3B(Heubachから、2.0部)を加え、その混合物を水平型シェーカーにより16時間振とうする。得られた分散体を、次に流動性についてAからE(良好から不良)の任意の尺度を用いて評価する。各試料に対して得られた混練性の評価を表1に示す。
【0105】
【表1】

上で言及したそれぞれの文献は、参照により本明細書に組み込む。実施例における、または別に明確に示されている場合を除いて、材料の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを特定している本文中のすべての数量は、「約」の語によって修飾されるものと理解されたい。別に示されていない限り、本明細書に言及されているそれぞれの化学物質または組成物は、市販等級で存在することが通常は理解されている、異性体、副生成物、誘導体、およびその他の物質を含有し得る市販等級の材料であると解釈すべきである。しかしながら、任意の溶媒または希釈油を除いて、別に示されていない限り、市販材料中に慣例的に存在し得る各化学成分の量が存在する。本明細書に示されている、量、範囲、および比率の上限および下限は、独立して組み合わせることができるものと理解されたい。
【0106】
本発明をその好ましい実施形態に関して説明してきたが、本明細書を読めば、当業者には様々なその変形が明らかとなることを理解すべきである。したがって、本明細書に開示された発明は、添付の特許請求の範囲の範囲に入るそのような変形も対象とすることが意図されているものと理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状固体、有機媒体および/または水ならびに3個以上の酸基(A)を含有する非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基を含む分散剤を含み、該分散剤が次式とその塩によって表される組成物
[U−(Y)−T−N(R−A]−Z(Q−W (式1)
[式中、
jは、ゼロ、または1〜2000の整数であり;
dは、2〜3000、または4〜2000であり;
cは、0または1であり;
xは、2〜90であり;
Uは、R−O−、−NR、またはR−NR−T−O−であり;
は、独立して、HまたはC1〜30の置換されていてもよいヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボニル(アシル)基であり;
、R、R、RおよびRは、独立して、HまたはC1〜30の置換されていてもよいヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボニル基、またはエポキシドの残基、または置換されていてもよい(メタ)アクリル酸エステルもしくはアミド基の残基であり;
Yは、C2〜4のアルキレンオキシであり;Tは、C2〜4のアルキレンであり;
Aは、非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基であり;
Zは、ポリアミンおよび/またはポリイミンの残基であり;
Wは、酸化物、尿素または二塩基酸もしくはその無水物の残基を含み;
は、独立して、式R’−G−(M)−のポリエステルおよび/もしくはポリアミド鎖または式U−(Y)−T−N(R−Dのポリアルコキシレート、あるいはそれらの混合物であり;
Dは、二塩基酸またはその無水物の残基であり;
mは、2〜100の正の整数であり;
R’は、水素またはC1〜50の置換されていてもよいヒドロカルビル基であり;
Gは、二価の結合またはカルボニルであり;
Mは、1つ以上のアミノカルボン酸、1つ以上のヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸の1つ以上のラクトンの残基、あるいはそれらの混合物であり;
eは、0〜vであって、vは、基U−(Y)−T−N(R−A−またはQを持たないZ中のアミノおよび/またはイミノ基の最大可能数を表す]。
【請求項2】
非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸(A)の残基が、3〜4個のカルボン酸基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
3個以上の酸基(A)を含有する非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基が、アガリン酸、クエン酸、1,3,5−シクロヘキサンネトリックカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸、N−[1,2−ジカルボキシエチル]−L−アスパラギン酸、1,2,5−ペンタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、N,N’−エチレンジ−(L−アスパラギン酸)、またはそれらの混合物、またはそれらの(部分もしくは完全)エステル、またはそれらの酸ハロゲン化物、またはそれらの無水物の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
3個以上の酸基(A)を含有する非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基が、クエン酸、アガリン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、またはそれらの混合物、またはそれらの(部分もしくは完全)エステル、またはそれらの酸ハロゲン化物を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
Yが、C3〜4のアルキレンオキシであり、(Y)によって表される鎖が、−CHCHCHCHO−、−CHCH(CH)O−または−CH−CH(CH−CH)−O−である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
Wが、マレイン酸、マロン酸、コハク酸およびフタル酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水コハク酸、無水フタル酸および無水トリメリット酸、または該無水物のエステル無水物もしくは酸ハロゲン化物からなる群から独立して誘導された残基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
Zによって表される基が、ポリエチレンイミンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記有機媒体が、有機液体またはプラスチック材料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記有機液体が、全体の有機液体を基準として少なくとも0.1重量%の極性有機液体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記粒子状固体が顔料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
3個以上の酸基(A)を含有する非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基を含む分散剤であって、次式とその塩によって表される分散剤
[U−(Y)−T−N(R−A]−Z(Q−W (式1)
[式中、
jは、ゼロ、または1〜2000の整数であり;
dは、2〜3000、または4〜2000であり;
cは、0または1であり;
xは、2〜90であり;
Uは、R−O−、−NR、またはR−NR−T−O−であり;
は、独立して、HまたはC1〜30の置換されていてもよいヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボニル(アシル)基であり;
、R、R、RおよびRは、独立して、HまたはC1〜30の置換されていてもよいヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボニル基、またはエポキシドの残基、または置換されていてもよい(メタ)アクリル酸エステルもしくはアミド基の残基であり;
Yは、C2〜4のアルキレンオキシであり;Tは、C2〜4のアルキレンであり;
Aは、非芳香族ヒドロカルビル置換カルボン酸の残基であり;
Zは、ポリアミンおよび/またはポリイミンの残基であり;
Wは、酸化物、尿素または二塩基酸もしくはその無水物の残基を含み;
は、独立して、式R’−G−(M)−のポリエステルおよび/もしくはポリアミド鎖または式U−(Y)−T−N(R−Dのポリアルコキシレート、あるいはそれらの混合物であり;
Dは、二塩基酸またはその無水物の残基であり;
mは、2〜100の正の整数であり;
R’は、水素またはC1〜50の置換されていてもよいヒドロカルビル基であり;
Gは、二価の結合またはカルボニルであり;
Mは、1つ以上のアミノカルボン酸、1つ以上のヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸の1つ以上のラクトンの残基、あるいはそれらの混合物であり;
eは、0〜vであって、vは、基U−(Y)−T−N(R−A−またはQを持たないZ中のアミノおよび/またはイミノ基の最大可能数を表す]。

【公表番号】特表2009−518182(P2009−518182A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544625(P2008−544625)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/061599
【国際公開番号】WO2007/111723
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(507370530)ルブリゾル リミテッド (8)
【Fターム(参考)】