説明

新規な神経栄養因子

【課題】本発明の1つの目的はNGFファミーに属する第4の神経栄養因子を同定すること、並びにそのような因子をコードする核酸を得ることである。
【解決手段】神経栄養因子−4(NT−4)と命名された新規なポリペプチドをヒトゲノムDNAのPCR増幅によって同定した。本発明は、診断およびNT−4の組換えによる製造に有用なNT−4をコードする核酸を提供するものである。また、NT−4の天然に存在するアミノ酸配列変異体であるNT−4β、NT−4γおよびNT−4△をコードする核酸を提供するものである。本発明の神経栄養因子は神経細胞の治療および診断分析に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は神経組織の成長、調節または維持に関与するタンパク質に関する。さらに詳しくは、本発明はNGFと相同性を有する神経−誘導因子に関する。
【背景技術】
【0002】
神経成長因子(NGF)は末梢神経系の感覚神経および交感神経の発達に優先的に作用するタンパク質である。該NGFは、感受性を有するニューロンの細胞表面の特異的な受容体を介して作用し、神経細胞の生存を支え、軸索の外側への成長を促進し、神経化学的分化を進める。NGF作用は神経細胞膜(コノレーら(Connolly et al.),1981,J.Cell Biol.90:176;スケーパー(Skaper)およびバロン(Varon),1980,Brain Res.197:379)、神経タンパク質のりん酸化状態(ユら(Yu et al.),1980,J.Biol.Chem.255:10481;ハレクオ(Halequoua)およびパトリック(Patrick),1980,Cell 22:571)の変化を伴い、ある種のmRNAおよびタンパク質が豊富な状態で神経細胞の分化および機能に寄与しているようである(チェルシー(Tiercy)およびシューター(Shooter),1986,J.Cell,Biol.103:2367)。
【0003】
前脳神経もNGF反応性であり、その栄養面の支持にNGFを必要とすると思われる(ヘフティ(Hefti),1986,J.Neurosci.,6:2155)。実際、NGFおよび中枢神経系(CNS)におけるその受容体の分布および個体発生は、NGFが前脳基底のコリン作用性神経のための、標的一誘導性神経栄養因子であることを示唆している(コルシング(Korsching),Nov/Dec 1986,Trends
in Neuro.Sci.,pp570−573)。
【0004】
NGF相同性の動物性物質が多く知られるようになったが、NGFに幾分の相同性を有するにもかかわらず、明らかに区別し得る神経成長因子が同定されたのは最近である(レイブロックら(Leibrock et al.),1989,Nature 341:149)。この因子、脳一誘導神経栄養因子(BDNF)または今日ではNT−2と呼ばれるが、はブタ脳から精製され、N−末端および開裂後の断片の両者の部分アミノ酸配列が決定された。幾つかのオーバーラップする断片から編集された最長の配列を用いて2組のオリゴヌクレオチドを合成し、それをプライマーとして用いて、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)によりブタゲノム鋳型を増幅した。2個のプライマーの間のヌクレオチド配列を決定し、それを用いて、ブタ脳の上丘から単離した全RNAの逆転写によって得た相補的DNA鋳型に対するPCRに用いる特異的プライマーを合成した。このようにして得たヌクレオチド配列は4個のインフレーム(フレーム内)ストップコドン後方に最初に見出されるメチオニンから始まる、252アミノ酸のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有していた。Leibrockらは、BDNFとNGFのみが、構造と機能的特徴を共有する神経栄養性タンパク質ファミーのメンバーであるとする理由は全くないとしており、著者らは、これらの共通の構造上の特徴が、他のメンバーの発見に役立つだろうと期待している。
【0005】
より最近では、神経細胞因子(NF)またはニューロトロフィン−3(NT−3)と呼ばれる、βNGFおよびBDNFに密接に関連した他の新規な神経栄養因子が発見された。(ホーンら(Hohn,et al.),1990,Nature 344:339;マイソンピエールら(Maisonpierre,et al.),1990,Science 247:1446;ローゼンタールら(Rosenthal,et al.),
1990,Neuron 4:767)。BDNFとNT−3は、そのアミノ酸の約50%がβNGFと共通である。BDNFおよびNT−3をコードするmRNAは、成熟囓歯類の脳に高レベルで存在する。βNGF、BDNFおよびNT−3はヒナ鶏の感覚神経細胞の選択されたものの生存を支持しており、これは発生の過程での神経細胞生存の調節に別個の役割を有することを示唆している。
【0006】
神経細胞の生存および成長はまた、線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮性成長因子、およびインシュリン様成長因子等の非神経細胞に対する成長因子の影響をも受ける(モリソンら(Morrison et al.),1987,Science 238:72;ウオリック(Walicke),1988,J.Neurosci.8:2618;バット(Bhat),1983,Dev.Brain Res.11:315)。ベイシックFGF(bFGF)は分離した囓歯類胎児神経細胞の培養中での初期(一次)の生存および以後の繊維の成長を支える。多くの脳領域からの神経細胞が影響を受けるが、生存する神経細胞集団が脳領域闇で変化していることは、神経細胞の亜集団がbFGFに応答性を有することを示唆している(Morrison et al.,1986 Proc.Natl.Acad.Sci.83:7537;Walicke et al.,1986:Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:3012)。bFGFは、遊離されるタンパク質に典型的なシグナル配列を持たないので、そして、脳におけるbFGFレベルは、βNGFやBDNFのそれよりもはるかに大きいので、bFGFが神経栄養因子として生理学的な役割を担っているか否かが疑問視され、bFGFは細胞破壊に関連する事件に際し放出される「障害因子」として作用すると提案された(トーエネンら(Thoenen,et al.),1987,Rev.Physiol.Biochem.Pharmacol.109:145)。
【0007】
末梢神経系の異常に治療効果を有する可能性のある他の神経栄養因子としては、線毛神経栄養因子(ciliary neurotrophic factor:CNTF)がクローン化され、発現された。(リンら(Lin,et al.),1989,Science,246:1023)。成熟兎の坐骨神経から精製されたCNTFは、末梢神経系に作用し、完全にNGFと無関係のようである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的はNGFファミーに属する第4の神経栄養因子を同定すること、並びにそのような因子をコードする核酸を得ることである。
【0009】
他の目的は、組換え細胞培養内で、そのような新規な因子を合成することである。
【0010】
また、他の目的は、そのような新規な因子の変異体および改良形(修飾形)を与えることである。
【0011】
さらに、他の目的は、抗体を惹起するための免疫原を製造すること、並びにそのような新規な因子、その変異体または改良形と結合し得る抗体を得ることである。
【0012】
他の目的は、そのような新規な因子、その変異体または改良形を含有する、治療および診断のための組成物、および治療的処置法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
1.本発明は、NT−4をコードする単離された核酸を提供する。
2.1つの実施形態において、本発明は、成熟ヒトNT−4のための図1記載の核酸配列を有する上記単離された核酸を提供する。
3.本発明は、上記核酸を含有するベクターを提供する。
4.本発明は、上記核酸を含有する宿主細胞を提供する。
5.本発明は、動物種起源のNT−4を含有し、該動物種の不純物ポリペプチドを含有しない組成物を提供する。
6.1つの実施形態において、本発明は、NT−4がヒト起源である上記組成物を提供する。
7.本発明は、ストリンジェント条件下でNT−4をコードするDNAとハイブリダイズする核酸を提供する、但しNGF、BDNFまたはNT−3をコードする核酸を除く。
8.1つの実施形態において、本発明は、ヒトNT−4βのための図3記載の核酸を含有する上記核酸を提供する。
9.1つの実施形態において、本発明は、ヒトNT−4γのための図4記載の核酸を含有する上記核酸を提供する。
10.1つの実施形態において、本発明は、ヒトNT−4△のための図5記載の核酸を含有する上記核酸を提供する。
11.本発明は、免疫原ポリペプチドまたは非タンパク性ポリマーに結合したNT−4を含有する組成物を提供する。
12.本発明は、薬学的に許容し得る担体内に、有効量のNT−4を含有する医薬組成物を提供する。
13.1つの実施形態において、本発明は、さらに、NGF、BDNFまたはNT−3をも含有する上記組成物を提供する。
14.本発明は、NT−4と結合し得るが、NGF、BDNFまたはNT−3とは結合することができない抗体を提供する。
15.本発明は、NT−4と結合し得るモノクローナル抗体を提供する。
16.1つの実施形態において、本発明は、NGF、BDNFまたはNT−3とは交差反応しない上記モノクローナル抗体を提供する。
17.本発明は、哺乳類に有効量のNT−4を投与することを含む神経変性性疾患または損傷した神経細胞の治療方法を提供する。
18.1つの実施形態において、本発明は、哺乳類がヒトである上記方法を提供する。
19.1つの実施形態において、本発明は、有効量のNGF、BDNFまたはNT−3をも哺乳類に投与することを含む上記方法を提供する。
20.1つの実施形態において、本発明は、神経変性性疾患がハンチントン病、アルツハイマー症、ALSまたはパーキンソン病であり、損傷した神経細胞が外傷によるものである上記方法を提供する。
21.本発明は、上記抗体を用いてインビトロまたはインビボでNT−4を検出する方法を提供する。
22.本発明は、NT−4の混合物を上記抗体を結合させたカラムに通すことを含む、NT−4の精製法を提供する。
23.本発明は、上記宿主細胞を培養し、宿主細胞培養物からNT−4を回収することを含むNT−4の製造法を提供する。
24.1つの実施形態において、本発明は、NT−4を宿主細胞培養培地から回収する上記方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
NT−4β、NT−4γおよびNT−4△はNT−4の新規なアミノ酸配列変異体である。これら因子の各々は定まった神経細胞サブセットに単独で、または一緒に作用して中枢および末梢神経組織の両方における、正しい神経細胞連絡を達成すると思われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書中、「NT−4」は、図1に示すヒトNT−4のためのアミノ酸配列を持ったポリペプチド、そのようなポリペプチドのアミノ酸配列変異体、成熟ヒトNT−4および
該アミノ酸配列変異体のペプチドフラグメント、ここに該ペプチドは少なくとも約5アミノ酸長さであって、対応するポリペプチドの免疫エピトープまたは他の生物学的に活性な部位を有する、および成熟ヒトNT−4および該アミノ酸配列変異体およびペプチドフラグメントの改良形(ここにポリペプチドまたはペプチドは天然に存在するアミノ酸以外の部分による置換によって共有結合的に改良されている)を表す;但し、考慮下の特定のアミノ酸配列変異体、ペプチドフラグメント、またはその改良形は、新規であり、従来技術から自明でなく、かつどのような動物のNGF、BDNFまたはNT−3とも同一でなく、またそのようなNGF、BDNFまたはNT−3のいかなるフラグメントでもないことを条件とする。
【0016】
NT−4核酸はNT−4ポリペプチドをコードするRNAまたはDNAであるか、そのようなDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、結合状態で安定に維持される約10塩基長以上の核酸である;但し、そのようなハイブリダイズする核酸は、新規であり、NGF、BDNFまたはNT−3をコードする核酸またはその相補的な核酸をも含めて、従来技術の核酸と同一でないことを条件とする。ストリンジェント条件とは、(1)洗浄での低イオン強度と高温の使用、例えば、0.15M NaCl/0.015M
クエン酸ナトリウム/0.1%NaDSO、50℃、あるいは(2)ハイブリダイゼーションの間にホルムアミド、例えば50%v/vホルムアミドを、0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール(Ficoll)/0.1%ポリビニルピロリドン/50mM りん酸ナトリウムバッファー(pH6.5)と750mM NaClおよび75mM クエン酸ナトリウムとを42℃で用いる場合である。
【0017】
NT−4をコードするDNAは脳組織cDNAライブラリー、またはゲノムDNA、またはインビトロ合成で得ることができる。ハイブリダイズする核酸は通常、インビトロ合成で得られる。NT−4DNAの同定は、ヒトcDNAまたはゲノムライブラリーを図1の配列から通常の基準、例えば、配列長さが十分であり疑似陽性を最小にするために非不明瞭さが十分であることなど、に従い選択される標識オリゴヌクレオチドを用いてプローブすることにより最も好都合に行うことができる。通常、約30から50塩基の32P標識オリゴヌクレオチドが適し、特に、メチオニンまたはトリプトファンをコードするコドンを1またはそれ以上含むオリゴヌクレオチドが好適である。単離された核酸とは、同定され、核酸の供給源に由来する他のポリペプチドをコードする不純物核酸から分離されたものであるだろう。核酸を診断目的で標識することもできる。
【0018】
NT−4のアミノ酸配列変異体は、図1記載の配列内に1またはそれ以上のアミノ酸残基が挿入、欠失および/または置換されることによる、図1記載の成熟ヒトNT−4と異なるアミノ酸配列を有するNT−4ポリペプチドである。一般にアミノ酸配列変異体は、その配列内の各位置にあるアミノ酸の比較に基づいて、成熟ヒトNT−4と、約75%の相同性(そしてしばしば85%以上の相同性)を有するであろう。
【0019】
NT−4のアミノ酸配列変異体は、自然に生成するか、または、予め単離されたNT−4DNAに適当なヌクレオチド変化を導入することにより、またはインビトロで所望の変異ポリペプチドを合成することにより、合成法で生成され得る。上記に示したように、そのような変異体は図1に示した成熟ヒトNT−4のアミノ酸配列内に1またはそれ以上のアミノ酸残基の欠失、挿入または置換を有するであろう。変異体NT−4のアミノ酸配列を得るためには、生成する変異体ポリペプチドが所望の特性を有することを条件として、いかなる欠失、挿入、および置換の組み合わせを行ってもよい。アミノ酸の変化はまた、組換え宿主内での発現に際するNT−4のさらなる修飾を与えるもの、例えば、グリコシル化部位の導入または移動、あるいはメンブランアンカー配列の導入(PCTWO89/01041、1989年2月9日公開による)であってもよい。
【0020】
好ましくは、例えば、天然に存在するアレル等の、自然に起きるNT−4のアミノ酸配列変異体は、そのような自然発生的な変異体の配列をコードする、適当な宿主細胞のゲノムDNAまたはcDNA内で発現されることにより組換え法で生成される。他のNT−4のアミノ酸配列変異体は、先に単離しておいたNT−4DNAに、予め決定した突然変異を起こすことにより生成される。そのような予定の突然変異を起こす上で考慮すべき可変的な基本事項が2つある:突然変異部位の位置と、突然変異の性質である。一般に、突然変異の位置と性質の選択は改変されるべきNT−4特性による。例えば、候補NT−4アンタゴニストまたはスーパーアゴニストはまず、NGF、BDNF、NT−3およびNT−4の問で同一または高度に保存されているアミノ酸残基を位置付けることで選択されるであろう。これらの残基を次いで、例えば、(1)達成される結果に応じて、まず保存性選択で、次いでよりラジカルな選択によって置換する、(2)標的残基を欠失させる、あるいは(3)位置する部位の隣と同じまたは異なる種類の残基を挿入するという順で、あるいはこれら(1)、(2)および(3)の任意の組み合わせにより修飾する。
【0021】
1つの役立つ方法は「alaスキャニング」と呼ばれる。この方法ではアミノ酸残基または標的残基群を同定しアラニンまたはポリアラニンで置換する。次いで、さらなるまたは異なる変異をアラニン置換部位にまたはアラニン置換部位の代わりに導入することにより、アラニン置換に機能的な感受性を示すドメインに一層磨きをかける。
【0022】
明らかに、例えばNT−4をNGF、BDNF、またはNT−3に変換するような変異、および当業界で新規性および進歩性を欠くようなNT−4変異体またはポリペプチド配列のどのようなものも本発明範囲に含まない。このように、アミノ酸配列変異を導入する部位は予め決定されているが、突然変異の性質それ自体は予め決定されていなくともよい。例えば、特定の部位での突然変異の達成を最適にするために、標的コドンまたは標的領域でalaスキャニングまたはランダム突然変異誘発を行い、発現されたNT−4変異体を所望の活性の最適な組み合わせに関してスクリーニングする。
【0023】
アミノ酸配列の欠失は一般に約1−30残基、好ましくは1−10残基の範囲であって、典型的には隣接する。欠失はNT−4の活性を改良するために、BDNF、NGF、NT−3およびNT−4間で相同性の低い領域に導入される。実質的にBDNF、NGFおよびNT−3と相同な部位の領域からの欠失はNT−4の生物活性をより大きく変化させるであろう。保存的な欠失の数は、影響を受けるドメインの3次構造、例えば、ベーター布状(プリーツシート)構造またはアルファヘリックス構造等を保存するように選択される。
【0024】
アミノ酸配列の挿入には、単一または複数アミノ酸の配列内への挿入と同様、長さ1残基から、千またはそれ以上の残基を含有するポリペプチドのアミノ−および/またはカルボキシ−末端への融合が含まれる。配列内挿入(即ち、成熟NT−4配列内への挿入)は通常、約1から10残基、好ましくは1から5残基、最も好ましくは1から3残基の範囲である。末端挿入の例として、組換え宿主細胞からの成熟NT−4の分泌を容易ならしめるための、異質のN−末端シグナル配列のNT−4分子のN−末端への融合が含まれる。そのようなシグナルは通常、意図する宿主細胞と同質であって、例えば、大腸菌のためのSTIIまたはlpp、酵母のためのアルファ因子、および哺乳類細胞のためのヘルペスgDのようなウイルスシグナルがある。他の挿入には、細菌または酵母のタンパク質のような免疫原性ポリペプチドのNT−4のN−またはc−末端への融合を含む。
【0025】
第3の変異体は、NT−4内の少なくとも1個のアミノ酸残基、そして好ましくは唯一のアミノ酸残基が除去され、異なる残基がその部位に挿入されている変異体である。1つの例は、アルギニンおよびリジンを他のアミノ酸に置換し、NT−4をセリンプロテアーゼに対して抵抗性にし、そのことによりより安定なNT−4の変異体を創製するものであ
る。置換突然変異にとって最も興味深い部位は、BDNF、NGF、NT−3、およびNT−4に見い出されるアミノ酸が、側鎖の大きさ、電荷または疎水性において実質上異なるが、選択した部位が様々な動物種のBDNF、NGFおよびNT−3同族体間で(即ち、全動物のNGF、全動物のNT−3およびBDNFの間で)高い相同性を有するような部位である。この分析により、栄養因子の活性の分化に関与し得る残基が強調され、それ故に、これらの部位における変異はそのような活性に影響するであろう。成熟ヒトNT−4(N−末端から番号付け)におけるそのような部位は以下の通りである;挿入の例としてNT−4(G78−−>K,H,OまたはR)(それぞれ、SEQ IDNO13,14,15および16)およびNT−4(R85−−>E,F,P,YまたはW)(それぞれ、SEQ IDNO17,18,19,20および21)。その他興味深い部位は全動物種のBDNF、NGF、NT−3およびNT−4間で同一残基の部位であり、このコンホメーションの程度は、4因子全部に共通の生物活性を達成するのに重要であることを示している。これらの部位、少なくとも他の3つで同一に保存されている部位の配列に含まれるものは比較的保存的な方法で置換される。そのような保存的置換は、衰1の好ましい置換という表示の下に記載されている。そのような置換が生物活性の変化をもたらすときには、さらに実質的な置換、表1で模範的な置換という表示の下に記載されている変化、または後述のアミノ酸クラスを引用して記載してなる置換を導入し、そして生成物をスクリーニングする。
【0026】
【表1】

保存的置換に特に好ましい部位は、成熟ヒトNT−4のN−末端からの番号付けに従い、R11、G12、E13、V16、D18、W23、V24、D26、V40、L41、Q54、Y55、F56、E58、T59、G77、R79、G80、H85、W86、A99、L100、T101、W110、R111、W112、I113、R114、I115、D116およびA118である。NT−4の適切な立体配座の維持に寄与していないシステイン残基も、分子の酸化安定性を向上し、異常な交差反応を防ぐために、一般にセリン残基で置換することができる。この節で述べた上記以外の部位も、既に一般的に述べた欠失または挿入研究に適している。
【0027】
機能または免疫学的な同一性の実質的な改変は、(a)置換部位(エリア)におけるポリペプチドバックボーンの構造、例えばシートまたはヘリカルコンホメーション、(b)分子の標的部位の電荷または疎水性、または(c)側鎖の大きさ等、の維持に対する影響
において有意に異なる置換を選択することによって達成される。天然に存在する残基は側鎖の性質の共通点に基づいて分類される。
(1)疎水性=norleucine(ノルロイシン)、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性親水性:cys、ser、thr;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg;
(5)鎖の方向性に影響を及ぼす残基:gly、pro;そして
(6)芳香性:trp、tyrおよびphe。
【0028】
非一保存的置換は、これらのクラスの1つに属する1メンバーを他のものに交換することで得られるであろう。そのような置換された残基はまた、前記の保存的置換部位、または好ましくはその残余の(非線存的)部位に導入され得る。
【0029】
NT−4変異体には、NT−4(E67−−>SまたはT)(それぞれSEQ
IDNO.22および23)(これはN−結合グリコシル化部位を付加する);NT−4(G1−C61)(SEQ IDNO.25)(このような記載の変異体は、指摘した残基を含む断片である);
【0030】
【表2】

(このような方法で記載した変異体は指摘した残基をも含めて、この範囲の欠失を含む);NT−4(△R60−△D82)(SEQ IDNO.56)NT−4(△H60−△88)(SEQ IDNO.57);NT−4(△W86−△T101)(SEQ IDNO.58);NT−4(R53−−>H)(SEQ IDNO.59);NT−4(K91−−>H)(SEQ IDNO,60)NT−4(V108−−>F)(SEQ IDNO.61);NT−4(R84−−>Q,H,N,T,YまたはW)(それぞれ、SEQ IDNO.62、63、64、65、66および67);NT−4(D116−−>E,N,Q,Y,SまたはT)(それぞれ、SEQ IDNO.68、69、70、71、72、73)。
【0031】
さらに、位置70がG、E、DまたはP以外のアミノ酸残基で;位置71がA、PまたはM以外のアミノ酸残基で置換されており、そして/または位置83がR、D、SまたはK域外のアミノ酸残基で置換されているNT−4、並びに、例えば以下の配列を含む環状ポリペプチドを初めとする環化NT−4フラグメントが含まれる。
【0032】
【表3】

また、本明細書記載のNT−4変異体と類似の構造を有するBDNF、NT−3およびNGFアミノ酸配列変異体も本発明に包含される。例えば、NT−4の位置70における突然変異と同様に、NGF、NT−3およびBDNFの類似の位置がそれぞれD、EまたはP以外の残基で置換されたものである。
【0033】
NT−4のアミノ酸配列変異体をコードするDNAは天然起源(天然に存在するアミノ酸配列変異体の場合)から単離されるか、または先に調製された変異体または変異していないNT−4バージョンをコードするDNAに対する部位特異的突然変異誘発によって製造される。十分な数の隣接するヌクレオチドと同様、所望の突然変異のDNA配列をコードする特異的オリゴヌクレオチドを用いて、トラバースすべき欠失ジャンクションの両側と安定な2本鎖を形成するに十分なサイズと十分な配列の複雑さを有するプライマーを得ることにより、部位特異的突然変異によってNT−4が生成される。一般に、変更すべき配列ジャンクションの両側に約5〜10残基を持つ、約20から25ヌクレオチド長さのプライマーが好ましい。一般に、部位特異的突然変異誘発の方法は当業界でよく知られており、アデルマンら(Adelman,et al.)の文献(1983,DNA 2:183)に例示されている。
【0034】
理解されるように、部位特異的突然変異誘発法には、通常、1本鎖および2本鎖の両方の形で存在するファージベクターを用いる。部位特異的突然変異誘発に用い得る代表的なベクターには、例えば、メッシングらの記載したM13ファージベクターが含まれる(Messing,et al.,1981,Third Cleveland Symposium on Macromolecules and Recombinant DNA,(A.walton,Ed.,Elsvier,Amsterdam)。
【0035】
これらのファージは商業的に容易に入手可能であり、それらの使用は一般に当業者に既知である。また、1本鎖ファージ複製起点を有するプラスミドベクター[ヴェイラら(Veira,et al.),1987,Meth.Enzymol.153:3]を1本鎖DNAの調製に用いることができる。あるいは、インビトロで適当なDNA断片を合成することによってヌクレオチド置換を導入し、それを当業者に自体既知のポリメラーゼ鎖反応(PCR)法を用いて増幅する。
【0036】
一般に、本発明に用いる部位特異的突然変異誘発は、まず、その配列内に関連タンパク質をコードするDNA配列を有する1本鎖ベクターを得る。所望の突然変異配列を担持するオリゴヌクレオチドプライマーを、通常、例えばクレアら[Crea,1978,Proc,Natl.Acad.Sci.75:5765]の方法に従い合成的に調製する。このプライマーを次いで、1本鎖−タンパク質配列−含有−ベクターとアニーリングし、大腸菌ポリメラーゼIクレノウフラグメントのようなDNAポリメラーゼ酵素処理に付し、突然変異−担持鎖の合成を完成させる。このようにして1本の鎖は元の非突然変異配列を、他の第2の鎖は所望の突然変異を担持しているヘテロ2本鎖を得る。次いで、このヘ
テロ2本鎖ベクターを用いて、JM101のような適当な細胞を形質転換し突然変異した配列アレンジメントを担持する組換えベクターを含むクローンを選択する。
【0037】
そのようなクローンを選択した後、突然変異した領域を除去し、タンパク質の生産のための適当なベクター、一般に、適当な宿主の形質転換に通常用いられている発現ベクター内に配する。
【0038】
特にNT−4のアミノ酸の欠失および挿入、および置換の大多数はその特性を急激に変化させることを期待するものでなく、1つの置換ではNT−4ポリペプチド内の少なくとも1つの免疫エピトープが保存される。
【0039】
NT−4変異体を予め特性化することはしばしば困難であるため、所望の特性を有する変異体を同定するためにある種のスクリーニングが必要であることが理解されるであろう。促進された栄養活性、差別的な神経細胞型特異性、組換え細胞培養または血清における安定性(例えば、タンパク質分解的加水分解に対する)、アンタゴニスト作用の存在、酸化安定性、収率向上を伴う分泌される能力等に関し、スクリーニングすることができる。例えば、特定の抗体への親和性等の、NT−4の免疫学的特性の変化を競合型イムノアッセイで測定する。候補突然変異体の神経栄養活性の促進または抑制における変化を樹状突起の外への成長または体外移植組織細胞の生存率により測る。酸化還元または温度安定性、疎水性、プロテアーゼ分解の受け易さ、または担体との凝集またはマルチマーへの凝集のし易さ等のタンパク質の性質の改変を当業者既知の方法で分析する。
【0040】
トリプシンまたは他のプロテアーゼ開裂部位をコードするアミノ酸配列を対の塩基性アミノ酸残基、例えば、隣接するアルギニルおよびリジル残基、に関して精査することで同定する。これらは、以下の方法でプロテアーゼに不活性化することができる;これら残基の1方を他の残基、好ましくはグルタミンのような塩基性残基またはセリンのような疎水性残基で置換する;2個の塩基性残基の1つを欠失する;後方の塩基性残基の直後にプロリル残基を挿入する;あるいは2つの塩基性残基の間に他の残基を挿入する。
【0041】
NT−4のアミノ酸配列変異体は一般に組換え法で製造することができる。即ち、変異体NT−4をコードする核酸を組換え細胞培養で発現させ、所望により、変異体ポリペプチドを細胞培養から、例えば変異体活性のバイオアッセイまたはウサギ抗NT−4ポリクローナル抗体(それは該変異体の少なくとも1個のエピトープであって天然のNT−4にも存在するエピトープと結合する)を含有するイムノアフィニティーカラムヘの吸着により、精製する。40残基またはそれ以下の小さいペプチドフラグメントはインビトロ法で好都合に作成することができる。
【0042】
一度NT−4をコードするDNAが得られれば、さらにクローニングまたは発現させるために、通常、それを複製可能なベクターに結合させる。ベクターは、受容能力のある宿主細胞と協力(宿主−ベクター系)して2つの機能を行うのに有用である。1つの機能はNT−4をコードするDNAのクローニングを容易にする、即ち、使用可能な量の核酸を製造する機能である。他はNT−4の発現に向けられる。これら機能のいずれかまたは両者はベクター−宿主系によって達成される。ベクターは、クローニングまたは発現のために選択した宿主細胞と同様、それが達成すべき機能に応じて様々な成分を含有する。
【0043】
各ベクターは上記のNT−4をコードするDNAを含有する。一般に、これはそのアミノ末端に分泌シグナルを結合している成熟形のNT−4をコードするDNAである。この分泌シグナルは好ましくは、インビボで正常にヒト細胞からのNT−4の分泌を指令するNT−4前配列である。しかしながら、他の動物NT−4由来のシグナル、NGF、NT−2またはNT−3のシグナル、ウイルス性シグナルまたは同じまたは近縁種の分泌ポリ
ペプチドからのシグナル等にも適当な分泌シグナルがある。
【0044】
もしもシグナル配列が他の神経栄養ポリペプチド由来であれば、それは図2の、NT−2、NT−3またはNGFの開始メチオニン(M)残基から成熟タンパク質の直前のアルギニン(R)残基までの間の前駆体配列、あるいはこれら前駆体の相同性領域を考慮した、これら前駆体いずれか2つまたはそれ以上の配列からのコンセンサスまたはコンビネーション配列である。そのような前駆体領域のためのDNAを成熟NT−4をコードするDNAのリーディングフレームに結合させる。
【0045】
発現およびクローニングベクターはベクターを1またはそれ以上の選択した宿主細胞内で複製させるヌクレオチド配列を含有する。一般に、クローニングベクター内で、この配列はベクターを宿主染色体と独立に複製させるものであり、複製起点または自律的な複製配列を有する。そのような配列は様々な細菌、酵母およびウイルスに関して周知である。周知のプラスミドpBR322の複製起点は大多数のグラム陰性細菌に有用であり、酵母のための2μプラスミド複製起点および様々なウイルス複製起点(SV40,ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)は哺乳類細胞のためのクローニングベクターに有用である。哺乳類発現ベクターには複製起点は不要である(SV40複製起源は、通常、ただ、それが早期プロモーターを有するという理由で用いられている)。大多数の発現ベクターは「シャトル」ベクターであり、即ち、それらは少なくとも1種類の生物内で複製可能であるが、他の生物にも発現のためにトランスフェクションすることができるものである。例えば、あるベクターは大腸菌にクローンすることができ、それは宿主染色体と独立して複製することはできないが、発現のために酵母または哺乳類細胞を形質転換(トランスフェクション)することができる。
【0046】
DNAは宿主ゲノムヘの挿入によってもクローニングすることができる。これは樟菌種で容易に行え、例えば、樟菌ゲノムDNAに見いだされる配列に相補的なDNA配列をベクターに含有させることで行われる。細菌をこのベクターでトランスフェクションすると、ゲノムとの同種組換えとNT−4DNAの挿入が起こる。しかしながら、NT−4をコードするゲノムDNAを回収するには、制限酵素によるNT−4DNAの切り出しが必要なので、遺伝子外で複製したベクターのDNAの回収よりも複雑である。
【0047】
発現ベクターおよびクローニングベクターは選択遺伝子または選択可能マーカーを含有すべきである。一般に、これはベクターで形質転換された宿主細胞の生存または増殖に必要なタンパク質をコードする遺伝子である。この遺伝子の存在によって、ベクターを失った宿主細胞はすべて、確実に、形質転換された細胞を凌いで増殖または再生産するという利点を確実に得ることができない。代表的な選択遺伝子は、(a)アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサアートまたはテトラサイクリン等の抗生物質または他の毒素に対する耐性を付与するタンパク質、(b)相補性栄養要求欠損、または(c)樟菌のためのD−アラニンラセマーゼ遺伝子等の、複合培地から得ることができない重要な栄養素の供給、等のタンパク質をコードする遺伝子である。
【0048】
酵母で用いるための適当な選択遺伝子は、酵母プラスミド(YRp7)に存在するtrp1遺伝子である[スチンコムら(Stinchcomb et al.),1979,Nature 282:39;キングスマンら(Kingsman,et al.),1979,Gene 7:141;チェンパーら(Tschemper,et al.),1980,Gene 10:157]。trp1遺伝子はトリプトファン中で成長する能力を欠く酵母の突然変異種、例えばATCC No.44076またはPEP4−1(ジョーンズ(Jones)1977,Genetics 85:12)に選択マーカーを与える。酵母宿主細胞ゲノムにtrp1病巣が存在することは、トリプトファン不在下での培養による形質転換の検出に有効な状況を与える。同様にLeu2欠損酵母種(ATCC
20,622または38,626)はLeu2遺伝子を担持する既知のプラスミドにより相補される。
【0049】
哺乳類細胞にとって適当な選択マーカーの例は、デヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)またはチミジンキナーゼである。そのようなマーカーはNT−4核酸を取り込む能力のある細胞の同定を可能にする。哺乳類細胞の形質転換体を、マーカーを取り込むことによってのみ形質転換体が生存し得るという、選択圧の下に置く。形質転換体を培地内の選択剤の濃度が連続的に変化する条件下に置くことにより、選択圧を課し、それにより選択遺伝子とNT−4をコードするDNAの両者を増幅させる。増幅は、成長に重要なタンパク質の生産がより大きく損なわれた遺伝子が、連続的な組換細胞の世代の染色体内にタンデムに反復される過程を指す。増大量のNT−4が増幅されたDNAから産生される。
【0050】
例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞はまず、DHFRの競合的拮抗物質であるメトトレキサート(Mtx)を含有する培養培地で培養される。この場合、適当な宿主細胞はDHFR活性を欠くチャイニーズハムスターの卵巣細胞(CHO)細胞系であり、これはウラウブ(Urlaub)およびチャッシン(Chasin)[1980,Proc.Natl.Acad.Sci.77:4216]によって製造され、市販されている。特に有用なDHFRはMtxに高度に抵抗性の突然変異DHFR(EP117,060A)である。次いで、形質転換された細胞を漸増濃度のMtxにさらす。このことでDHFR遺伝子の複数コピーが合成され、同時に、NT−4をコードするDNAのような他のDNAを含有する発現ベクターの複数コピーが合成される。あるいは、NT−4、DHFRタンパク質、およびアミノグリコシド3’ホスホトランスフェラーゼ(APH)をコードするDNA配列を含有する発現ベクターで形質転換された宿主細胞をカナマイシンまたはネオマイシンまたはG418のようなアミノグリコシド抗生物質を含有する培地での細胞増殖により選択する。真核性細胞は通常、内因性APH活性を発現しないので、APHタンパク質をコードする遺伝子(一般にneo’遺伝子類と称する)は、ベクターで形質転換された宿主形質転換体を同定し得る、広範な真核性宿主細胞の選択可能マーカーとして優先的に用いられている。
【0051】
NT−4の組換え脊椎動物細胞培養での製造に適した他の方法、ベクターおよび宿主細胞は[ゲッシングら(Gething,et al.),1981,Nature 298:620;マンテイら(Mantei,et.al.),1979,Nature 281:40;レビンソンら(Levinson,et
al.),EP117,060A and 117,G58A]に記載されている。NT−4の哺乳類細胞培養での発現に特に適したプラスミドはpRK5(欧州特許公開第307,247号)またはpSV16B(PCT公開WO90/08291号、6/13/91公開)である。
【0052】
発現ベクターはクローニングベクターと異なり、宿主生物によって認識され、NT−4核酸に機能的に結合したプロモーターを含有する必要がある。プロモーターは構造遺伝子の開始コドンから上流(一般に約100から1000bp)に位置する非翻訳配列であり、それらのコントロール下にある核酸の転写および翻訳をコントロールする。それらは一般に、誘導可能なものと構成的なものの、2種類に分類される。誘導可能なプロモーターは、培養条件のある変化(例えば栄養物質の存在または不在、あるいは温度変化)に応じてそれらのコントロール下にある核酸の転写および翻訳レベルの増大を開始するプロモーターである。現在では、様々な有能な宿主細胞が認識する多くのプロモーターが知られている。これらのプロモーターはそれらの起源の遺伝子から、制限消化によって除去した後、NT−4の開始コドンの5’に挿入することでNT−4をコードするDNAと操作可能に結合される。これはゲノムNT−4プロモーターが使用不可能であることを意味するものではない。しかしながら、通常、異種のプロモーターの方がNT−4の大きい転写と高
収率を与えるであろう。
【0053】
核酸はそれが他の核酸配列と機能的な関係に置かれているとき、それは機能的(操作可能)に結合していると言う。例えば、プレ配列または分泌リーダーはそれがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現されるとき暗号配列と機能的に結合しており;プロモーターまたはエンハンサーは、それが配列の転写に影響するとき暗号配列と機能的に結合しており;またはリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように位置するとき、暗号配列と機能的に結合していると言う。一般に機能的に結合しているということは、結合しているDNA配列が隣接していること、そして分泌リーダーの場合には、それが隣接しておりかつ読み取り相内にあることを意味する。結合は、好都合な制限部位に結合させることで達成される。もしそのような部位が存在しない場合には、従来の実施に従い合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを用いる。
【0054】
原核性宿主細胞に用いるのに適したプロモーターには、βラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系[チャンら(Chang,)1978,Nature
275:615;ゲッデルら(Goeddel et al.),1979,Nature 281:544]、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系[ゲッデルら(Goeddel,et al.),1980,Nucleic.Acids.Res.8:4057およびEPO出願公開第36,776号]、tacプロモーターのようなハイブリッドプロモーター系[ボアら(H.de Boer,et al).,1983,Proc.Nat’l.Acad.Sci;,80:21]がある。しかしながら他の既知の細菌性プロモーターも適する。それらのヌクレオチド配列は公開されており、それにより、必要な制限部位を供給する任意のリンカーまたはアダプターを用いて、当業者はそれらをNT−4をコードするDNAに機能的に結合させることができる[シーベンリストら(Siebenlist et al.),1980,Cell 20:269]。細菌系で用いることができるプロモーターは、NT−4をコードするDNAに機能的に結合したシャイン−ダルガーノ(S.D.)配列を含有するだろう。
【0055】
酵母宿主細胞に用いる適当なプロモーターの例には、3−ホスホグリセラートキナーゼのためのプロモーター[ヒッツマンら(Hitseman,et al.),1980 J.Biol Chem.255:2073]または他のグリコリティック(糖分解)酵素類[ヘスら(Hess,et al,),1968,J.Adv.Enzyme Reg.7:149;ホランド(Holland),1978,Biochemistry 17:4900]であって、例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェート、デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルバートデカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グクコース−6−ホスファートイソメラーゼ、3−ホスホグリセラートムターゼ、ピルバートキナーゼ、トリオセホスファートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼおよびグルコキナーゼがある。
【0056】
培養条件により転写が制御されるという利点をも有する誘導可能な酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解可能な酵素、メ夕ロチオナイン、グリセルアルデヒド−3−ホスファートデヒドロゲナーゼ、およびマルトースおよびガラクトース利用に関連する酵素類のプロモーター領域がある。酵母発現に用いられる適当なベクターおよびプロモーターはハイツマン(R.Hitzman, et al.)の欧州特許73,657Aに記載されている。酵母エンハンサーも酵母プロモーターと用いると便利である。
【0057】
哺乳類宿主細胞内でのNT−4をコードするDNAの転写はポリオーマ、サイトメガロウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、B−型肝炎ウイルスおよび最も好ましくはシミアンウイルス40(SV40)等、ウイルスゲノムから、あるいは、アクチンプロモ
ーターのような、異種の哺乳類プロモーターから得られたプロモーターによってコントロールされる。SV40ウイルスの早期および後期プロモーターはSV40ウイルスの複製起点をも含む、SV40制限断片として好都合に得ることができる[ファイアーら(Fiers,et al.),1978,Nature 273:113]。勿論、宿主細胞または近縁種からのプロモーターも本発明には使用可能である。
【0058】
哺乳類宿主細胞内でのNT−4をコードするDNAの転写はエンハンサー配列を該ベクターに導入することで促進される。エンハンサーは通常、約10−300bpのヌクレオチド配列であって、その相対的な方向性および位置とは無関係にプロモーターに作用してその転写を増大させる。今日、多くの哺乳類遺伝子由来のエンハンサー配列が知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、αフェトプロテイン、およびインシュリン)。しかしながら、真核性細胞ウイルス由来のエンハンサーを用いるのが普通である。その例にはSV40の複製起点の後方部位にあるエンハンサー(bp100−270)、サイトメガロウイスルの早期プロモー夕ーエンハンサー、複製起点の後方部位にあるポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーがある。このエンハンサーはNT−4をコードする配列の5’または3’位置内にスプライスすることができるが、プロモーターの5’側が好ましい。
【0059】
真核性宿主細胞(酵母、カビ(真菌)、昆虫、植物、動物、ヒトまたは他の多核性生物由来の有核細胞)内で用いる発現ベクターは転写の終結とmRNAの安定化のための配列をも含有する必要がある。そのような配列は通常、真核性またはウイルス性DNAまたはcDNAの5’および時には3’非翻訳領域から得ることができる。これらの領域はNT−4をコードするmRNAの非翻訳部分内でポリアデニル化セグメントとして転写される領域を含む。3’非翻訳領域もまた転写終止部位を有する。
【0060】
本明細書記載のベクターのクローニングまたは発現に適した宿主細胞は原核性細胞、酵母または上記の高等な真核性細胞である。適当な原核性細胞には、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば、大腸菌や棹菌がある。好ましいクローニングのための宿主細胞はE.coli 294(ATCC 31,446)であるが、他のグラム陰性またはグラム陽性原核性細胞、例えばE.coliB,E.coliX1776(ATCC 31,537)、E.coliW3110(ATCC 27,325)、シュードモナス種またはSerratia marcesansも適する。
【0061】
原核性細胞に加えて、繊維状真菌、または酵母はNT−4をコードするベクターに適する。Saccharomyces cerevisiaeまたは通常のパン酵母が最も普通に用いられる下等真核性宿主微生物である。しかしながら多くの他の属、種および株も普通に手にいれ、本発明に用いることができる。
【0062】
NT−4の発現に適した宿主細胞は多細胞生物から導かれる。そのような宿主細胞は複雑なプロセシングとグリコシル化活性を有する。基本的には、それが脊椎動物または無脊椎動物培養のいずれであろうと、高等真核細胞培養は有効であるが、ヒト等の哺乳類細胞が好ましい。培養されたそのような細胞の販売は自体既知である。[Tissue Culture,1973,Kruse and Patterson,Eds.,Academic Press,New York]。有用な哺乳類宿主細胞系はVEROおよびHeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞、W138,BHK,COS−7,MDCK細胞系およびヒト胚腎細胞系293である。
【0063】
宿主細胞は上記の発現またはクローニングベクターで形質転換されプロモーターの誘導または増幅された遺伝子を含有する形質転換体の選択に適当な、通常の栄養培地内で培養する。温度、pH等の培養条件はクローニングまたは発現のために選択した宿主細胞に、
従来用いられているものが適し、そしてそれらは、当業者に明らかであろう。
【0064】
NT−4は、分泌シグナルなしに直接発現されたときは宿主細胞の溶解液(リゼート)から回収されるが、分泌タンパク質として培養培地から回収することが好ましい。ヒト起源でない組換え宿主細胞内でNT−4が発現された場合、該NT−4は、ヒト起源のタンパク質を全く含んでいない。しかしながら、タンパク質として実質上、均一な製品を得るためにはNT−4を組換え細胞タンパク質から精製する必要がある。第1工程として、培養培地またはリゼートを遠心して沈澱性の細胞屑を除去する。次いで、例えば、イムノアフィニティーまたはイオン交換カラムによるフラクション処理;エタノール沈澱;逆相HPLC;シリカゲルまたはDEAEのような陽イオン交換樹脂を用いるクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS−PAGE;硫酸アンモニウム沈澱;またはSephadex G−75等を用いるゲル電気泳動等によって共存する可溶性タンパク質からNT−4を精製する。天然NT−4に対する残基の欠失、挿入または置換のある変異体は、変異による実質上の特性の変化を考慮し、天然NT−4と同様に回収される。例えば、他のタンパク質、例えば細菌またはウイルス抗原、とNT−4との融合物の製造は該抗原に対する抗体を含有するアフィニティーカラムを用いて融合タンパク質を吸着させることができるので、精製を容易にする。フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)等のプロテアーゼインヒビターは、精製途中でのプロテアーゼによるタンパク質分解を阻害するので有用であり、偶然の汚染の増大を避けるために抗体を含有させてもよい。当業者は天然NT−4に適した精製法は、組換え細胞培養内でのNT−4またはその変異体の特性の変化を考慮して、改良する必要があるということを理解するであろう。
【0065】
NT−4および改良形NT−4のペプチドフラグメントも本発明の範囲に含まれる。約40アミノ酸残基までのペプチドフラグメントをインビトロ合成によって常法通り製造することができる。
【0066】
共有結合的な修飾はNT−4ポリペプチドまたはペプチドフラグメントの標的アミノ酸残基を、選択した側鎖またはN−またはC−末端残基と反応し得る有機誘導化剤と反応させることによって行う。
【0067】
システイニル残基は、最も一般的には、クロル酢酸またはクロル酢酸アミドのようなα−ハロアセテート類(および対応するアミン類)と反応させ、カルボキシメチルまたはカルボキシアミドメチル誘導体を得る。システイニル残基はまた、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジル ジスルフィド、メチル 2−ピリジル ジスルフィド、p−クロロ水銀ベンゾアート、2−クロロ水銀−4−ニトロフェノールまたはクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール等との反応によっても誘導体化される。
【0068】
ヒスチジル残基はpH5.5−7.0で、該ヒスチジンの側鎖に比較的特異的な試薬であるジエチルピロカーボナートと反応させることで誘導体化される。p−ブロモフェナシルブロミドも有用である;反応は好ましくはpH6.0で0.1M カコジル酸ナトリウム中で行う。
【0069】
リジルニルおよびアミノ末端残基はクエン酸または他のカルボン酸無水物と反応させる。これらの試薬による誘導体化はリジン残基の電荷の逆転効果がある。α−アミノ含有残基の誘導体化に適する他の適当な試薬には、メチルピコリンイミダートのようなイミドエステル類;ピリドキサルホスフェート;ピリドキサル;クロロボロハイドライド;トリニトロベンゼンスルホン酸;O−メチルイソウレア;2,4−ペンタンジオンおよびグリコキシラートによるトランスアミナーゼ−触媒反応である。
【0070】
アルギニル残基は1または数個の常用の試薬との反応で修飾される。それらの試薬には、フェニルグリオキサル、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオンおよびニンヒドリンが含まれる。グアニジン官能基の高いpK値の故に、アルギニンの誘導体化には、反応を塩基性条件下で行う必要がある。さらに、これらの試薬をアルギニンイプシロン−アミノ基と同様、リジン基と反応させてもよい。
【0071】
チロシル残基の特異的な修飾は、芳香性ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応にり、チロシン残基へのスペクトルラベルを導入するという利益を伴って行い得る。最も普通には、N−アセチルイミダゾールおよびテトラニトロメタンを用い、それぞれO−アセチルチロシル種および3−ニトロ誘導体を得る。チロシル残基を125Iまたは131Iでヨウ素化するとラジオイムノアッセイに用いる標識タンパク質が得られるが、上記のクロラミンT法が適当である。
【0072】
カルボキシル側鎖基(アスパラチルまたはグルタミル)は、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノ−4−エチル)カーボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カーボジイミド等のカーボジイミド類(R’−N=C=N−R’)との反応によって選択的に修飾される。さらに、アスパルチルおよびグルタミル残基はアンモニウムイオンとの反応でアスパラギニルおよびグルタミニル残基に変換される。
【0073】
2機能性試薬による誘導体化は、抗NT−4抗体の精製のために、NT−4を水不溶性支持体マトリックスまたは表面にクロスリンキングさせる、またはその逆のために有用である。通常用いられるクロスリンキング剤には、例えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、例えば4−アジドサリチル酸とのエステルのようなN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオナート)のようなジスクシンイミジルエステルを始めとするホモ2機能性イミドエステル、およびビス−N−マレイミド−1,8−オクタンのような2機能性マレイミド類がある。メチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミダートのような誘導体化剤は光の存在下でクロスリンキングを形成し得る光活性な中間体を与える。あるいは、臭化シアン−活性化炭化水素のような反応性水不溶性マトリクスと文献(米国特許第3,969,287;3,691,016;4,195,128;4,247,642;4,229,537;または4,330,440号)記載の反応性基質を用いてタンパク質の免疫原化を行うことができる。
【0074】
グルタミニルおよびアルパラギニル残基はしばしば脱アミド化されて対応するグルタミルおよびアスパルチル残基になる。あるいは、これらの残基をおだやかな酸性条件下で脱アミド化してもよい。これらの残基のいずれの形も本発明の範囲に含まれる。
【0075】
他の修飾には、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリルまたはスレオニル残基の水酸基のりん酸化、リジン、アルギニンおよびヒスチジン側鎖のαアミノ基のメチル化[クレトン(Creghton),Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman&Co.,San Francisco,pp.79−86)、N−末端アミンのアセチル化、および任意のC−末端カルボキシル基のアミド化が含まれる。NT−4はまた、非タンパク性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン類に、米国特許出願第07/275,296;または米国特許第4,640,835;4,496,689;4,301,144;4,60,417;4,791,192;または4,179,337号に記載の方法で共有結合的に結合させる。
【0076】
純化(精製)形のNT−4、即ち、実質上他のポリペプチドまたはペプチドを伴わないNT−4を、例えばコアセルベーション法または相間重合等(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセル、およびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)によって調製したマイクロカプセル、コロイド状薬物デリバリーシステム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフォア、マイクロエマルジョン、ナノ−粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルジョンに入れることができる。そのような方法は文献(Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition,1980,(A.Osol Ed.))に記載されている。
【0077】
NT−4には神経細胞の生存率を向上する薬剤または外方成長を刺激する薬剤としての用途が見つかった信じられる。従って、この物質は、アルツハイマー症、パーキンソン病、ハンチントン病、ALS、末梢ニューロパシー(神経障害)、およびその他の中枢、末梢または運動神経における神経細胞の壊死または喪失を特徴とする他の症状の治療に有用である。加えて、これは、例えば、火傷や怪我等の外傷条件により、糖尿病、腎不全、ガンやAIDSの化学療法の毒性作用で損傷された神経細胞等の、損傷神経細胞の治療にも有用である。それはまた、インビトロで神経細胞を培養する場合に培養培地に加える成分として有用である。最後に、NT−4製品は、放射性ヨウ素、酵素、発蛍光団、スピン標識等で標識すると、NT−4のアッセイおよび競合型受容体結合アッセイにおける標準として有用である。
【0078】
治療のためのNT−4製剤は所望の純度のNT−4を任意の生理学的に許容される担体、賦形剤または安定化剤((Remington’s Phamaceutical Sciences、前掲)と混合し、凍結乾燥ケーキまたは水溶液の剤形にして調製される。許容される担体、賦形剤または安定化剤は用いられる用量および濃度において受容者に非毒性であり、それには、りん酸、クエン酸、および他の有機酸のバッファー;アスコルビン酸等の抗酸化剤;低分子量(約10残基以下)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジン等のアミノ酸;単糖類;二糖類およびグルコース、マンノースおよびデキストリン等の他の炭化水素;マンニトールやソルビトール等の糖アルコール;ナトリウム等の塩形成性カウンターイオン;および/またはTween、PluronicsまたはPEG等の非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0079】
インビボに用いられるNT−4は滅菌されている必要がある。これは凍結乾燥の前または後で滅菌ろ過メンブランに通し、再構築することで容易に行われる。NT−4は通常、凍結乾燥形で保存される。
【0080】
治療用のNT−4組成物は通常、滅菌のための栓を有する容器、例えば、皮下注射針を突き刺すことができる静注溶液バッグまたはバイアルに入れられる。
【0081】
所望により、NT−4をNGF、NT−3および/またはBDNFを含む他の神経栄養因子と混合するか、あるいは一緒に投与し、他の変性性神経疾患の治療法と共に用いる。
【0082】
NT−4またはNT−4抗体の投与経路は周知の方法により、例えば、静脈、腹腔内、脳内、筋肉内、眼内、動脈内または病巣内経路への注射または注入、局所適用、または下記の徐放性システムである。NT−4はCNSの液体貯蔵所への連続注入によって投与されるが、ボーラス注射も受容し得る。NT−4は脳小室へ投与するか、さもなくば、CNSまたは脊髄液に導入する。それはポンプのような連続投与手段を用い、インドゥエリング(indwelling)カテーテルによって投与するか、あるいは例えば徐放性ビヒ
クルの脳内移植のような移植によって投与すべきである。より詳しくは、NT−4は慢性的に移植されているカニューレを通して注射するか、浸透圧ミニポンプの助けを借りて慢性的に注入する。タンパク質を小さい管を通して脳小室に供給する皮下ポンプも利用可能である。高精度のポンプは皮膚を通して再充填され、その供給速度は外科的処置の介在なしにセットし得る。適当な投与プロトコルおよび皮下ポンプ装置または完全に移植された薬物供給システムを通しての連続的脳小室注入を始めとする供給システムの例は、アルツハイマー患者、および文献[ハルバウ(Harbaugh),1987,J.Neural Transm.Suppl.24:271;DeYebenes,et al.,1987,Mov.Disord.2:143]記載のパーキンソン病のための動物モデルヘのドパミンアゴニスト、コリンアゴニストの投与に用いられるものである。NT−4抗体も同様の方法、または血流またはりンパヘの投与によって投与される。
【0083】
徐放性製剤の適当な例には、例えば、フィルム、マイクロカプセル等の形の成型された半透成型ポリマーマトリックスがある。徐放性マトリックスには、ポリエステル、ハイドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3,773,919,EP58,481)、L−グルタミン酸とガンマエチル−L−グルタミン酸ガンマエチルとのコポリマー(シドマンら(Sidman,et al.),1983,Biopolymers 22:547)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(ランガーら(Langer,et al.),1981,J.Biomed.Mater.Res.15:167;ランガー(Langer),1982,Chem.Tech.12:98)、エチレンビニルアセテート(Langer et al.,同)、ポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988A)がある。徐放性NT−4組成物にはリポソームにくるまれたNT−4も含まれる。NT−4含有リポソームは自体既知の方法で調製される[エプスタインら(Epstein et al.),1985,Proc.Natl.Acad.Sci.82:3688;ハワンら(Hwang,et al.),1980,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4030;DE3,218,121A;EP52322A;EP36676A;EP88046A;EP143949A;EP142641A;日本特許出題第83−118008号;米国特許第4,485,045号および第4,544545号;およびEP102,324A]。通常、リポソームは脂質含量が約30mol%コレステロールの小さい(約200−800オングストローム)単一層タイプであり、NT−4治療に最適な割合に調整したものが選択される。
【0084】
治療に用いられるNT−4の有効量は、例えば、治療目的、投与経路、および患者の状態等に依存するであろう。従って、治療者は最適な治療効果を得るよう、用量を定量し、投与経路を改良することが必要である。典型的な1日あたりの用量は上記の因子に応じて、約1μg/kgから100mg/kgまたはそれ以上の範囲であろう。一般に、臨床医は、神経細胞機能を修復し、維持し、そして好適に、神経細胞機能を再確立するだけの量のNT−4を投与するであろう。この治療の進行は従来からの分析により容易に改良し得る。
【0085】
NT−4に対するポリクローナル抗体はNT−4とアジュバントとを複数回、動物に皮下(sc)または腹腔内(ip)注射することで惹起される。NT−4または、標的アミノ酸配列を免疫すべき種内で免疫原性を有するタンパク質、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリン、または大豆トリプシンインヒビターに、2機能性試薬または誘導体化試薬、例えば、マレイミドベンゾイルスルホサクシンイミドエステル(システイン残基を介して結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介して結合)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOClまたはRN=C=NRを用いて結合させることが有用である。
【0086】
動物に、免疫原性コンジュゲート1mgまたは1μg(それぞれ兎またはマウスに対し
て)と、3容量のフロインド完全アジュバントを混合し、その溶液を複数の皮内部位に注射することで、動物を該コンジュゲートまたは誘導体に対して免疫する。1カ月後、元の、フロインドの完全アジュバント中コンジュゲートのの約1/5から1/10量を動物の皮内の複数箇所にブースター注射する。7〜10日後に動物から採血し、血清を抗NT−4力価に関して分析する。力価が一定になるまで動物にブースター注射を行う。好ましくは、動物を同じNT−4ポリペプチドのコンジュゲートであるが、異なるタンパク質に結合しており、そして/またはそれが異なるクロスリンキング剤を介して結合しているコンジュゲートでブースター注射する。コンジュゲートはまた、組換え細胞培養内で、融合タンパク質として製造され得る。また。免疫応答を高めるために、ミョウバンのような凝集剤を用いる。
【0087】
モノクローナル抗体は免疫動物から脾臓細胞を回収し、例えば骨髄腫細胞との融合またはEVウイルス形質転換等の常法に従い、該細胞を不死化し、所望の抗体を発現しているクローンをスクリーニングすることで調製される。
【0088】
NT−4抗体はNT−4またはその抗体の診断分析に有用である。抗体を上記のNT−4の標識と同様の方法で標識し、かつ/または不溶性マトリックスに固定化する。受容体結合分析の1態様では、全NT−4ファミリーを吸着させるために、全部のまたは選択したNT−4ファミリーの複数のメンバーと結合する抗体組成物を不溶性マトリックスに固定化し、被検試料を固定化抗体組成物と接触させ、次いで、固定化ファミリーメンバーを各メンバーに特異的な複数の抗体であって、その各々は、別個の発蛍光団等の特有の標識により、それぞれが予め決まったファミリーメンバーに特異的なものとして同定することが可能な抗体と接触させる。各特有の標識の存在および/または各特有の標識の量を測定することで各ファミリーメンバーの相対的な比率および量を決定することができる。
【0089】
NT−4抗体はまた、NT−4の組換え細胞培養または天然起源からのアフィニティー精製に有用である。検出可能な程度にはNGF、NT−3またはBDNFと交差反応しないNT−4抗体は、これらの他のファミリーメンバーを含まない精製NT−4の取得に有用である。
【0090】
NT−4およびその抗体の適当な診断分析は自体既知である。上記のバイオアッセイに加えて、競合法、サンドイッチ法および立体阻害アッセイが有用である。競合法およびサンドイッチ法は相分離工程部分を必要とするが、立体阻害アッセイは単一の反応混合物で行われる。分析される物質の分子量に応じて、ある方法が好ましいこともあるが、基本的には、NT−4およびNT−4に結合する物質について同じ工程を用いる。従って、本明細書では、それが抗原または抗体のいずれの状態であるかを問わず、被検物質をアナライトと称し、アナライトと結合するタンパク質を、抗体、細胞表面受容体または抗原のいずれであろうと、結合パートナーと称する。
【0091】
NT−4またはその抗体のための分析学的方法はすべて、以下の試薬の1つまたはそれ以上を用いる:標識アナライト類似体(アナローグ)、固定化アナライト類似体、標識結合パートナー、固定化結合パートナーおよび立体コンジュゲート。標識した試薬は「トレーサー」としても知られる。
【0092】
用いる標識はアナライトとその結合パートナーとの結合を干渉しない検出可能な機能物質である。イムノアッセイに用いられる多くの標識が既知であり、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ等の酵素、14Cおよび131I等の放射性同位元素、希土類キレートやフルオレスセイン等の発蛍光団、安定なフリーラジカル等がある。これらの標識をタンパク質またはポリペプチドに共有結合させるには、従来の方法を用いることができる。そのような結合法は、その全部がタンパク質性であるNT−4またはその抗体に用いるのに適
する。
【0093】
ある分析法では試薬の固定化が必要である。固定化は結合パートナーと、溶液中に遊離して残存するなんらのアナライトとの分離を伴う。これは、従来、分析に先立って結合パートナーまたはアナライト類のいずれかを水不溶性のマトリックスまたは表面[ベニッヒら(Bennich,et al.),U.S.Pat.No.3,720,760]に、共有結合的カップリング(例えば、グルタルアルデヒド交差結合を用い)でマトリックスまたは表面に吸着させるか、あるいは例えば免疫沈降により、後にパートナーまたは類似体を不溶化することで行われてきた。
【0094】
その他、競合法またはサンドイッチ法として周知の分析法は十分に確立されており、商業的診断産業で広範に利用されている。
【0095】
競合アッセイは、標識類似体(またはトレーサー)と被検試料アナライトとの、共通の結合パートナー上の限られた結合部位への結合能力によっている。通常、結合パートナーを競合の前または後に不溶化し、次いで、結合パートナーと結合したトレーサーおよびアナライトを結合しなかったトレーサーおよびアナライトから分離する。この分離はデカンテーション(競合反応前に結合パートナーを不溶化したとき)あるいは遠心(結合反応後に結合パートナーを沈降させたとき)で行う。被検試料アナライトの量はマーカー物質の量の測定価としての結合トレーサーの量と逆比例する。既知量のアナライトについての用量−応答曲線を作成し、試験結果と比較して被検試料中に存在するアナライトの量を定量的に決定する。これらのアッセイにおいて酵素を検出可能なマーカーとして用いた場合、ELISA系と称する。
【0096】
他の競合分析である「ホモジーニアス」アッセイでは、相の分離を必要としない。ここでは、酵素とアナライトとのコンジュゲートを調製し、抗アナライトがアナライトに結合したとき、抗アナライトの存在が酵素活性を改変するように用いる。この場合、NT−4またはその免疫学的に活性な断片を2機能性の有機性ブリッジを介してペルオキシダーゼのような酵素にコンジュゲート結合させる。コンジュゲートは、抗NT−4の結合が標識の酵素活性を阻害または強化するよう、抗NT−4と共に使用するよう選択する。この方法はそれ自体、EMITという名称で広範に用いられている。
【0097】
立体コンジュゲートはホモジーニアスアッセイにおける立体阻害法に用いられる。これらのコンジュゲートは、低分子量ハプテンを小さいアナライトに共有結合で結合させることにより合成されるが、この場合、ハプテンに対する抗体が、実質上、抗アナライトとして同時にコンジュゲートに結合することができないように合成される。この分析法では、被検試料に存在するアナライトが抗アナライトと結合し、それにより、抗ハプテンがコンジュゲートに結合することができ、その結果、コンジュゲートハプテンの性質、例えば、ハプテンが発蛍光団であるばあいには蛍光、を変化させる。
【0098】
サンドイッチ法は特にNT−4またはNT−4抗体の測定に有用である。連続サンドイッチ法では、固定化した結合パートナーを用いて被検試料中のアナライトを吸着させ、被検試料を洗浄等で除去し、結合したアナライトを用いて標識した結合パートナーを吸着させ、次いで結合した物質を残存トレーサーから分離する。結合したトレーサーの量は被検試料アナライトに正比例する。「同時」サンドイッチ法では、標識した結合パートナーを加える前に被検試料を除去しない。1方の抗体として抗NT−4モノクローナル抗体を、他の抗体としてポリクローナル抗NT−4抗体を用いる連続サンドイッチ法はNT−4活性を試験するための試料に有用である。
【0099】
上記は、単にNT−4および抗体の診断分析の例にすぎない。上記のバイオアッセイを
初めとして、今日、または将来、これらアナライトのために開発される他の方法も本発明の範囲に包含される。
【0100】
当業者に明らかなこれら、およびその他の本発明の目的は、まず、NGF、BDNFおよびNT−3と関連した新規な神経−誘導因子(以下、神経栄養因子−4またはNT−4と称する)をコードする配列の少なくとも一部を得ることで達成された。
【0101】
1側面では、本発明はNT−4をコードする単離された核酸を提供する。他の側面では、本発明はこの核酸を含むベクターを提供する。第3の側面では、本発明はこの核酸を含有する組換え宿主細胞を提供する。さらに他の側面では、本発明は動物種起源のNT−4を含有し、該動物種の不純物質(混在)ポリペプチドを含有しない組成物を提供する。
【0102】
NT−4をコードする核酸はまた、NT−4をコードする核酸と実質上配列相同性を有する核酸を同定、単離するためのハイブリダイゼーション分析に用いることができる。
【0103】
NT−4またはそのフラグメント(それらはインビトロの方法で合成することもできる)を(組換え発現、またはインビトロの共有結合的な方法で)免疫原性ポリペプチドと融合させ、次いで、この融合物を用いて動物を免疫し、NT−4エピトープに対する抗体を生産させる。抗NT−4抗体は免疫動物の血清から回収される。あるいは、免疫動物の細胞から、常法通り、モノクローナル抗体を調製する。通常のスクリーニングで同定された抗体はNT−4と結合するが、NGF、BDNFまたはNT−3とは実質上、交差反応しないであろう。特に、固定化抗NT−4抗体は特にNT−4の診断(インビトロまたはインビボ)またはNT−4の精製に有用である。
【0104】
置換、欠失または挿入によるNT−4の変異体をインビトロまたは組換え法で調製し、NT−4との免疫交差反応性に関し、またはNT−4拮抗またはアゴニスト作用に関して、スクリーニングする。
【0105】
特にNT−4またはその抗体の診断のために、またはNT−4抗体のアフィニティー精製のために、固定化および標識化NT−4を得るために、インビトロでNT−4の誘導体を調製する。
【0106】
NT−4、その変異体またはその改良形、あるいはその抗体を生理学的に許容される媒質、特に治療用の媒質を用いて製剤化する。そのような媒質には、徐放性製剤が含まれる。
【0107】
他の面では、本発明は、NT−4、またはその変異体または改良形を製造する方法であって、形質転換された宿主細胞を培養し、所望のポリペプチドを宿主細胞培養物から回収することからなる方法を提供する。
【0108】
NT−4は広範な組織分布を有し、NGF、BDNFおよびNT−3と構造上、関連することが分かった。その脳および筋肉組織における存在は、それが神経変性性疾患および損傷神経細胞、例えば、外傷による神経損傷、の治療剤として有用であることを示唆している。
【0109】
従って、他の面では、本発明は、神経変性性疾患または損傷神経細胞を治療する方法であって、哺乳類に有効量のNT−4、またはその変異体または改良形を投与することからなる方法を提供するものである。
【0110】
以下の実施例は例示のために示されたものであり、決して限定的なものではない。
【実施例】
【0111】
(実施例1)
ヒトゲノムおよびcDNAライブラリーから、NGFおよびBDNFプローブを用いてNT−4をコードするDNAを同定し単離する試みは失敗した。むしろNT−4遺伝子の同定には、ヒトゲノムDNAをポリメラーゼ鎖反応(PCR)(ムリスら(Mullis,et al.),1987,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.51:263)によって増幅する必要があった。活性型のNGF、BDNFおよびNT−3は単一のエクソンにコードされている(Leibrock,et al.(前掲);Hohn et al.(前掲);Maisonpierre et al.(前掲);Rosenthal et al.(前掲))ので、上記のプライマーのための鋳型としてヒト胎盤ゲノムDNA(マニアティスら(Maniatis et al.)1982,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New
Yorkの、ゲノムDNAライブラリーの調製の項を参考にして調製した)を用いた。NGF、BDNFおよびNT−3のアミノ酸配列を共通の相同性領域に関して精査した。これらの領域の多くが同定され、選択したNGF、BDNFおよびNT−3配列のプラスおよびマイナル鎖のDNAのすべての可能な配列に相補的な、Sal、XbaおよびEcoRIのための制限部位を有する1本鎖プライマープールを調製した。センス鎖のためのプライマープールは(成熟ヒトβNGF)NGFの50−58残基(NGX−54と命名)に相当していた。センスプライマーは以下のものから選択される配列を有する。(それぞれ、SEQ IDNO.93,94,95,96)。
【0112】
【表4】

アンチセンス鎖のためのプライマープールはNGFの残基102−110(AR1と命名)に相当しており、下記のものから選択される配列を有する。(それぞれ、SEQ IDNO.97、98、99および100)。
【0113】
【表5】

各プライマー配列は増幅配列のクローニングを容易にするために、その5’末端に制限部位を持っていることに注意されたい。増幅条件の注意深い選択によって、これらのプールがより短いアミノ酸配列(32から32,000倍の縮重)に対して従来用いられたプールよりもかなり大きいという事実にもかかわらず、NT−4配列を増幅することができた。(リーら(Lee,et al.),1988,Science 239:1288;ストラスマンら(Strathmann,et al.),1989,Proc.Natl.Acad.Sci.86:77407;Leibrock,et al.前掲)。プライマーを用いて増幅されたDNAを調製し、次いでこれを配列決定した。増幅の条件は以下の通りである。
I.ヒト胎盤ゲノムDNAを用いるPCR
最初は95℃,5分の変性を1回
以後、以下を44サイクル
変性:95℃,1分
アニーリング:55℃,1分
伸長:72℃,1分
最後に伸長:72℃、15分
10xバッファー(最終=50mM KCl、10mM Tris−HCl(pH8.4)、3.0mM MgCl)10μl
ヒトゲノムDNA3μl(3μg)
7.5ng/μlプライマー(33mer約1μg=約2.6μM、従って、10degen=nM、10=pM)
7.5ng/μlプライマー
10xdNTP類10μl(最終=0.2mM dNTPs)
Taqポリメラーゼ1μl
dHO 61μl
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
合計 100μl
II.SalIおよびEcoRIで切断し、所望の約210bpの大きさの生成したフラグメントをゲル精製し、M13に基づくベクター、M13mp18(ファルマシア)にサブクローニングする。
【0114】
NGF、BDNFおよびNT−3クローンをそれらの各々のcDNA配列の唯一の領域から導かれたオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによって同定する。ハイブリダイゼーションしない挿入物を含有するプラスミドを配列決定し(スミス(Smith),1980,Meth.Enzymol.65:560)、それらから可能な翻訳生成物をNGF、BDNFおよびNT−3との相同性に関して分析した。
【0115】
この工程によって、約500のNGF、BDNFおよびNT−3クローンと78の無関係なクローンが存在することが判明した。さらに、新規なNGF関連因子の部分をコードする3つのDNA断片が同定され、これらをまとめてNT−4と命名した。PCRによって生成したNT−4クローンの豊富度が低いことは、DNA配列とPCRプライマーとの相同性の低さに起因していた。
【0116】
ヒト胎児脳cDNAライブラリー(ローゼンタールら(Rosenthal,
et al.),1987,EMBO J.6:3641)を、胎盤ゲノムクローンをプローブとしてスクリーニングすると、なんら陽性のクローンが得られなかった。完全なヒトNT−4類似体を得るために、ヒトゲノムライブラリー(マニアティスら(Maniatis et al.),1978,Cell 15:687)をもスクリーニングし、6kb断片を単離した。この断片はNT−4成熟ポリペプチドを囲む168アミノ酸をコードする単一のオープンリーディングフレームを有することが分かった。
【0117】
ヒト成熟NT−4およびその前駆体の少なくとも一部の完全なヌクレオチド配列および推定のアミノ酸配列を図1に示す。シグナル配列を含む完全な前駆体領域は、示した開始メチオニンと、成熟配列の開始前の開裂部位の最後のArgとの間に示されているかもしれない。もし、そうであれば、NT−4の前駆体領域は図2に示したNGF、BDNFおよびNT−3の前駆体領域よりもはるかに短い。NT−4のための開始コドンの帰属は、NGF、BDNFおよびNT−3の開始コドンの位置に基づいて行った。成熟ヒトNT−4のアミノ酸配列は、図2記載の配列の比較に基づいて、NGF、BDNFおよびNT−3と約46%、55%および52%の配列相同性(同一性)を有する。
【0118】
NGF、BDNFおよびNT−3の活性な成熟形は、それらの約30kDの前駆体から生成される13−14kDのホモダイマーである(Leibrick et al.前掲;Maisonpierre et al.前掲;Hohn et al.前掲;グリーンおよびショーター(Greene&Shooter),1980 Ann Rev.Neurosci.3:353)。NT−4前駆体タンパク質もまた成熟領域の開始位置前に潜在的な4塩基の開裂部位を示し、これはこのタンパク質ファミリーの4つのメンバー全部が同様のプロセッシングを受けることを示している。この部位でのプロセッシングは13.14kD(130アミノ酸)ポリペプチドを与える。
【0119】
NT−4の可能な機能を評価するために、ノーザンブロット法でその組織内の分布を調べた。ラットでは、NT−4mRNAは心臓、筋肉、腎臓、肝臓、脾臓、腸、肺、および脊髄、並びに幾つかの脳の領域、小脳および皮質を含めて、調べた各組織に様々な濃度で存在していた。この、NT−4mRNAの広範な器官での分布は、抹消神経系では、NT−4は交感、感覚、および/または運動神経細胞のための標的−誘導性の栄養因子であることを示唆していた。この理論を、組換えヒトNT−4をコードするDNAを発現させ、その様々な活性を分析することで試験した。
【0120】
(実施例2)
以下のNT−4DNAの発現および生成したNT−4の精製のプロトコルは、分析目的に十分なNT−4を与えると予測されるものであった。この実施例では精製NT−4を試験してNGFと比較するのに用いることができると考えられるアッセイをも提供する。
【0121】
発現ベクターとして、サイトメガロウイルスに基づく発現ベクターpRK5[ゴーマンら(Gorman,et al.),1990,DNA and Protein Engineering Techniques 2:1およびEP公開No.307,247,1989年3月15日発行,]を用いる。NT−4ゲノムDNAをそれがクローンされていたファージから切断する。次いで、DNA断片を、予め、DNAに適応させるように適当な制限酵素で切断しておいたpRK5に標準的な結合法で結合させる[マニアティスら(Maniatis et al.),1982,Molecular Cloning:A Laboratory Mnnual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)。得られたベクターをpRK−5hNT−4と称する。
【0122】
ヒト胚性腎臓293細胞系(グラハムら(Graham et al.),J.Gen.Virol.36:59)を全面成長まで増殖させる。NT−4プラスミドDNA(pRK−5hNT−4)10μgをVA RNA遺伝子をコードするDNA[タイマッパヤら(Thimmappaya et al.),1982,Cell,31:543]1μgと混合し、1mM Tris−HCl、0.1mM EDTA、0.227M CaCl500μlに溶解する。これに50mM HEPES(pH7.35)、280mM NaCl、1.5mM NaPO500μlをボルテックスしながら滴下して加え、25℃で10分間沈澱を折出させる。懸濁した沈澱を細胞(100mM プレート中)に加え、インキュベーター内で4時間静置する。次いで培地を吸引除去し、りん酸緩衝化食塩水中20%グリセロール2mlを30秒加える。細胞を血清不含培地5mlで2回洗浄した後、新鮮な培地を加え、細胞を5日間インキュベーションする。
【0123】
293細胞をpRK5単独で同様に形質転換(トランスフェクション)する。
【0124】
形質転換(トランスフェクション)の24時間後、培地を交換し、細胞を200μCi/ml36S−システインおよび200μCi/ml36S−メチオニンの存在下で12時間インキュベーションする。次いで調整培地を採取し、凍結乾燥して5倍濃縮し、15
%SDSゲルに充填し、次いで、高め、乾燥し、2時間、フィルムに露出する。これらのデータは、ほぼ予測される大きさ(14−15kD)のポリペプチドの存在を示すと思われる。
【0125】
NT−4の大規模発現は、硫酸デキストラン法[ソンペイラックおよびダナ(Sompayrac and Danna),1981,Proc.Natl.Acad.Sci.12:7575]でpRK−5hNT−4 700μgを3リッターのBelco microcarrier spinnerフラスコ内で最大密度(1.5リッター)に増殖させたヒト胚腎臓293細胞系に一時的に導入することで行う。細胞をまず遠心してspinnerフラスコから濃縮し、りん酸緩衝化食塩水(PBS)で洗浄し、DNA−デキストラン沈澱を細胞ペレット上で4時間インキュベーションする。細胞を20%グリセロールで90秒間処理し、DMEM:F−12培地(50:50)等の培地で洗浄し、上記の培地+5μg/mlウシインシュリンおよび0.1μg/mlウシトランスフェリンを含有する3リッターのspinnerフラスコに再度導入する。上記のプロトコルを3個の別個の3リッター培養に関して行う。
【0126】
4日後、上記の大規模発現から得た約5リッターの調整培地を遠心し、濾過して細胞と屑を除去し、100倍濃縮する。バッファー、塩、および他の小さい分子を25mMのほう酸ナトリウム、pH9.0および4M尿素内に透折することで交換し、5cm x 5cmDEAEセファロース高速−イオン交換クロマトグラフィーカラム(ファルマシア)に適用する。カラム溶離液(495ml)を250mM 3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)バッファー0.1容量を最終組成が25mM MOPS、pH7.0および4M尿素となるように加えて中和(pH7.0)する。この試料を2.5cm x 2.5cmのS−セファロースイオン交換クロマトグラフィーカラム(ファルマシア)に適用し、洗浄し、25mM MOPS、pH7.0、4M尿素、および0.5M
NaCl(40ml)で溶離する。
【0127】
以下の2つの異なるアッセイは組換えヒトNT−4がS−セファロース塩溶離液(130ng/ml、合計5μg)にあることを示している:1)3種の型の雛胚末梢神経節細胞における48時間神経細胞生存および軸索の外への成長:それらは、脊椎傍交感神経鎖神経節細胞、後根神経節(腰仙領域)の脊髄感覚神経細胞、および結節性神経性細胞である、および2)NT−4でなく、βNGFを免疫原として用い、上記の発明の詳細な説明の項で述べたごとくにして生成することができるヒトβNGFに対するポリクローナル抗体を利用するELISAアッセイ(ルーカスら(Lucas,et al.),1989,J.Endocrinol.120;449)での免疫交差反応性。S−セファロース溶離液を1M酢酸と4M尿素に透折し、10倍に濃縮し、S−300セファクリルゲルろ過カラム(1.5cm x 44cm)に適用し、同じバッファーでクロマトグラフする。
【0128】
採取した各1ml画分から200μlをとり、1M酢酸に透折し、凍結乾燥し、30μlのレムリSDS−PAGE試料バッファー(Laemmli,1970,Nature
227:680)に再溶解する。ヒトβNGFも同様にして得られる。SDS−PAGEに続いて銀染色したゲルは、単一の優先的に染色される約15kDポリペプチドを示す。このSDS−PAGE分析領域に対応するS−300カラム溶離画分の3mlプール作り、1ml(0.5nmole)をプロトタイプ自動アミノ酸シーケンサー(コール(Kohr),EP Pat.Pub.No.257,735)によるエドマン分解によるN−末端アミノ酸配列決定に付す。N−末端アミノ酸配列決定はアルギニンで終わる4塩基の開裂配列で推測され、プレプロNGFから成熟βNGFのプロセッシングによって推測される、グリシンから始まる単一の配列を与える。
【0129】
最初の配列決定サイクルは3−カラム工程からの精製ヒトNT−4の回収量を示すために定量される。精製組換えヒトNT−4を0.1%酢酸に透折し、最終濃度3.25μg/mlとする。このストック物質を、種々のバイオアッセイのために、4〜60ng/mlの範囲の様々な濃度で神経細胞培地(10%ウシ胎児血清を含有するDMEM高グルコース)で希釈してもよい。
【0130】
NT−4の大規模生産のための好ましいベクターは上記のごとく、SV40から導いたベクター、例えばpSV16Bであり、好ましい宿主細胞はチャイニーズハムスターの卵巣細胞であり、好ましい培地は生成物の収率を最適にするようグルコース濃度を高めたDMEMまたはDMEM:F12(1:1)培地または米国特許4,767,704記載の血清不含培地である。
【0131】
精製NT−4の神経栄養活性を、デーヴィス(Davies,in Nerve Growth Factors,1989(R.A.Rush,Ed.,Johon Wiley&Sons,Boston)pp.95−109)が記載したように、幾つかの型の1次胚性10日雛神経細胞に関して分析する。即ち、脊椎傍交感神経鎖神経節細胞(SG)、後根神経節(腰仙領域)(DRG)、および結節性神経性細胞(NG)を10日雛胚から得る。トリプシンまたパンクレアチン(GIBCO)を用いて神経細胞を神経節から分離し2回プレプレートして非神経細胞の数を減少する。細胞を計数し、ポリオルニチン(500μg/ml)とラミニン(10μg/ml)[リンドセーら(Lindsay,et al.),1985,Dev.Biol,112:319)で前処理した96ウエルの組織培養プレートに撒く。細胞のは種数はSG、DRG、4000細胞/ウエル;NG、2000細胞/ウエルである。
【0132】
アッセイに用いた精製マウス下顎神経節βNGFはBiomedical Technologies,Inc.から得、0.1%酢酸に濃度10μg/mlで溶解する。最終濃度3.25μg/mlに0.1%酢酸に対して透折した精製組換えヒトNT−4を用いる。細胞を因子類の存在下または非存在下に48時間インキュベーションし、長さが細胞体の5倍(5x)に達した軸索を有する輝相(ブライトフェーズ)の細胞体の数を数える。DRGおよびNG神経細胞の培養内では個々の神経細胞形質を数えることができる。しかしながら、SG神経細胞は凝集するので、細胞凝集体を数える。最大応答に際して生存する細胞はDRGおよびNG神経細胞に関して約20〜40%であるが、SG神経細胞に関しては、凝集体が数えられているのでより高いであろう。NGFおよびNT−4の各々を用いて4回の実験を行う。
【0133】
NT−4は末梢神経細胞に対し、最も活性であると思われる。脊椎動物では、末梢神経細胞は2つの区別される胚起源から導かれる:神経堤と神経プラコードである[ルデュアリンおよびスミス(LeDouarin and Smith),1988,Ann.Rev.Cell Biol.4:375]。神経堤誘導細胞は神経細胞、および末梢神経系の支持細胞を生起し、プラコード誘導細胞は幾つかの感覚神経細胞と頭部神経細胞を生起する。
【0134】
神経堤誘導後根感覚神経節(DRG)細胞はCNSおよび末梢組織にプロジェクト(企画)されており、それらの両ターゲットから導かれる栄養因子に依存する。(リンセィら(Lindsay,et al.)1985,Dev Biol.112:319)。この2重依存性は、すべての適当な連絡(コネクション)を形成する神経節のみの生存を確かにすることを可能ならしめる機構である。プラコード誘導感覚神経神経節(NG)、これもまた2重連絡性であって、BDNFのCNS因子に応答するが、は末梢誘導栄養因子(NGF)に応答しない。即ち、NG神経細胞の末梢標的神経支配は、他の機構を介し、または他の因子によって確かにされると思われる。
【0135】
脳および末梢におけるNT−4の存在は、他の機能を示唆し、脳の神経細胞損傷によって引き起こされるアルツハイマー、パーキンソン、ハンチントン病等の疾患の治療における価値、および/または外傷により損なわれた神経の治療または末梢神経細胞の損傷の予防における価値の可能性を示唆する。NT−4を、例えばヘフティ(前掲)の確立された疾患動物モデル、または高齢ラットまたはサルを用いて、中枢神経系機能に関して試験することができる。
【0136】
(実施例III)
NT−4の天然に存在するアミノ酸配列変異体を同定するために、上記の成熟ヒトNT−4の暗号配列を含有するゲノムDNA断片をハイブリダイゼーションプローブとして用い、ヒト胎児脳cDNAライブラリー[ローゼンタールら(Rosenthal et al.),EMBO J.6:3641]およびヒトリンパ細胞ゲノムDNAライブラリー[Stratagene,La Jolla CA]における相同なDNA類のスクリーニングを行った。
【0137】
ライブラリーDNAを含有するフィルターのハイブリダイゼーションおよび洗浄は高ストリンジェンシー条件下で行った:放射標識したNT−4プローブのフィルターへのハイブリダイゼーションは50%ホルムアミド、5xSSC(1x=0.15M NaCl、0.015M クエン酸Na)、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、50mM りん酸ナトリウムpH6.8、2xDenhardt(デンハート)の溶液(1x=0.02%フィコール、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02%ウシ血清アルブミン)、10%硫酸デキストラン中、42℃で20時間行う。フィルターの洗浄は0.1%SSC、0.1%SDSで42℃で行う。
【0138】
成熟ヒトNT−4をコードするDNAと有意な配列相同性を有する3つのDNAが同定された。これら相同性DNAの完全なヌクレオチド配列を、それらがコードするポリペプチド(それぞれ、NT−4β、NT−4γ、およびNT−4△と命名)の推定のアミノ酸配列と共に、図3、4、5に示す。図3に示すヒトNT−4βをコードするDNAはヒト胎児脳cDNAライブラリーから単離された。図3に記載のヌクレオチド配列はヒトNT−4βの一部をコードするようである。全ヒトNT−4βをコードする完全長さのcDNAは、ヒト胎児脳cDNAライブラリーを図3に開示されたcDNAを用いてプローブすることで容易に得ることができる。ヒトNT−4γをコードするDNAは図4に示す配列を有し、ヒトリンパ細胞ゲノムDNAライブラリーから単離された。図5に示す配列を有するヒトNT−4△もヒトリンパ細胞ゲノムDNAライブラリーから単離された。
【0139】
図6はヒトNT−4、NT−4β、NT−4γおよびNT−4△のアミノ酸配列間の相同性を示す。ヒトNT−4のアミノ酸配列は、図6に記載のアミノ酸配列の比較に基づき、NT−4β、NT−4γおよびNT−4△の各々と約75%のアミノ酸相同性(同一性)を有する。本明細書で定義したように、NT−4β、NT−4γおよびNT−4△は明らかにヒトNT−4のアミノ酸配列変異体であり、様々なアミノ酸の挿入および置換によってヒトNT−4と異なっている。
【0140】
NT−4β、NT−4γおよびNT−4△はヒトNT−4の天然に存在するアミノ酸配列変異体であるから、NT−4β、NT−4γおよびNT−4△はヒトNT−4と同様に脊椎動物の神経組織の正常な成長および/または発達の調節に役割を有すると予測される。NT−4β、NT−4γおよびNT−4△は、上記のごとく、これらのポリペプチドをコードするDNAを含む発現ベクターによって形質転換された適当な宿主細胞内での発現による組換え法によって容易に得ることができる。NT−4β、NT−4γおよびNT−4△の神経栄養作用を、上記のNT−4に関する記載と同様に分析する。
【0141】
要約すると、NT−4は広範な組織分布の新規な栄養因子である。それはある末梢神経細胞の栄養因子であるNGF、BDNFおよびNT−3を補足するものである。NT−4β、NT−4γおよびNT−4△はNT−4の新規なアミノ酸配列変異体である。これら因子の各々は定まった神経細胞サブセットに単独で、または一緒に作用して中枢および末梢神経組織の両方における、正しい神経細胞連絡を達成すると思われる。
【0142】
(配列表)
【0143】
【表6】

【0144】
【表7】

【0145】
【表8】

【0146】
【表9】

【0147】
【表10】

【0148】
【表11】

【0149】
【表12】

【0150】
【表13】

【0151】
【表14】

【0152】
【表15】

【0153】
【表16】

【0154】
【表17】

【0155】
【表18】

【0156】
【表19】

【0157】
【表20】

【0158】
【表21】

【0159】
【表22】

【0160】
【表23】

【0161】
【表24】

【0162】
【表25】

【0163】
【表26】

【0164】
【表27】

【0165】
【表28】

【0166】
【表29】

【0167】
【表30】

【0168】
【表31】

【0169】
【表32】

【0170】
【表33】

【0171】
【表34】

【0172】
【表35】

【0173】
【表36】

【0174】
【表37】

【0175】
【表38】

【0176】
【表39】

【0177】
【表40】

【0178】
【表41】

【0179】
【表42】

【0180】
【表43】

【0181】
【表44】

【0182】
【表45】

【0183】
【表46】

【0184】
【表47】

【0185】
【表48】

【0186】
【表49】

【0187】
【表50】

【0188】
【表51】

【0189】
【表52】

【0190】
【表53】

【0191】
【表54】

【0192】
【表55】

【0193】
【表56】

【0194】
【表57】

【0195】
【表58】

【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1】図1は、成熟ヒトNT−4の全ヌクレオチドおよびアミノ酸配列をも含めて、ヒトNT−4遺伝子(SEQ IDNO.1)の部分ヌクレオチド配列および推定のアミノ酸配列(SEQ IDNO.2)を示す。矢印は成熟配列の開始位置を、アストリスクは神経栄養因子ファミリーの他のメンバーとの相同性の算定の始まる位置を示し、終止コドンは円で囲まれている。アミノ酸は成熟領域のN−末端から番号付けされている。
【図2】図2は、ヒトNT−2(SEQ IDNO.3)、NT−3(SEQ IDNO.4)およびNGF(SEQ IDNO.5)、およびNT−4の成熟および部分前駆体部分(SEQ IDNO.6)の問のアミノ酸配列の相同性を示す。配列上のセンス(NGX−54)およびアンチセンス(AR1)プライマーの位置は太い縦の矢印で、成熟領域の開始位置は矢印で示されている。
【図3】図3は、ヒトNT−4β(SEQ IDNO.7)の一部をコードするcDNA(SEQ IDNO.7)のヌクレオチド配列、NT−4βのこの部分の推定のアミノ酸配列(SEQ IDNO.8)を示す。
【図4】図4は、ヒトNT−4γをコードするゲノムDNAのヌクレオチド配列(SEQ IDNO.9)および推定のアミノ酸配列(SEQ IDNO.10)である。最初のインフレームMet残基はヌクレオチド位置356−358に位置し、ヒトNT−4γの開始コドンと推定される。
【図5】図5は、ヒトNT−4△をコードするゲノムDNAのヌクレオチド配列(SEQ IDNO.11)、およびヒトNT−4△のこの部分の推定のアミノ酸配列(SEQ IDNO.12)である。
【図6】図6は、ヒトNT−4、NT−4β、NT−4γおよびNT−4△のアミノ酸配列相互の相同性を示す。矢印は成熟ヒトNT−4配列の開始位置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的処置法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−209349(P2007−209349A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117791(P2007−117791)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【分割の表示】特願2005−290595(P2005−290595)の分割
【原出願日】平成3年9月24日(1991.9.24)
【出願人】(596168317)ジェネンテック・インコーポレーテッド (372)
【氏名又は名称原語表記】GENENTECH,INC.
【Fターム(参考)】