説明

新規のシゲラタンパク質抗原及び方法

本発明は、多くのシゲラ類型及び種等の中で共通であり、ワクチンで投与されるとき、疫痢又は他の腸内感染を防止することのできるシゲラ由来のタンパク質抗原IcsP2及びSigA2に関する。併せて、本発明は、シゲラ種等及び腸管浸透性大腸菌(EIEC)の間に共通の抗原に関する。本発明はさらに、前記抗原に対し誘発された抗原及びDNA探針を、シゲラ及びEIEC感染の診断に用いる用途に関する。

【発明の詳細な説明】
【先の出願への相互参照】
【0001】
本発明は、その全体が引用により本発明に含まれている2008年10月21日付で出願された米国仮特許出願第61/107,306号に対し35U.S.C.119による優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、シゲラ種(Shigella spp.)及び大腸菌腸管浸透性菌株にも存在する新規のタンパク質抗原、及び前記抗原をシゲラ種及び血清型(serotype)によりもたらされる疫痢(shigellosis)及び腸管浸透性大腸菌(EIEC, enteroinvasive E. coli)バクテリアによりもたらされる疾患に対するワクチンを開発するのに用いる方法に関する。本発明はさらに、疫痢の診断及びシゲラバクテリアの同定のための前記新規の抗原及び当該抗体の用途に関する。
【背景技術】
【0003】
シゲラ種は、結腸(colon)の上皮細胞を感染させることにより、人間において細菌性赤痢(bacillary dysentery)をもたらすグラム陰性のバクテリア病原体である。シゲラは、1次的に腸の上皮細胞(IEC、Intestinal Epithelial Cell)を感染させる。シゲラは、食菌作用(phagocytosis)を介し宿主細胞内にバクテリアの吸収を誘導するエフェクター(effector)を運ぶためのメカニズムを提供する幾種類のタンパク質を発現する。前記エフェクターの感染を達成するため、シゲラは類型III分泌(TTS、type III secretion)システムを用いて上皮細胞内への進入を誘導し、感染した大食細胞の死滅(apoptosis)を触発させる。
【0004】
シゲラ・ディセンテリアエ(S. dysenteriae)、シゲラ・フレックスネリ(S. flexneri)、シゲラ・ボイディ(S. boydii)及びシゲラ・ソンネイ(S. sonnei)を含むシゲラ種のバクテリアは、人間において発展途上国で年間百万人の死亡原因(殆どが子供である)になる結腸上皮の破壊により特定される疾患である疫痢の原因になる。
【0005】
シゲラ・ディセンテリアエには15種の血清型があり、シゲラ・フレックスネリでは14種の血清型及び亜型(subtype)が認識されており、シゲラ・ボイディは20種の血清型を有し、シゲラ・ソンネイには一つの血清型が存在するが、これらの出現率(prevalence)は均一に分布されていない。先進国で最も一般的であり、一部のラテンアメリカ国家で出現率が増加するシゲラ種は、シゲラ・ソンネイである。志賀毒素(Shiga−toxin)を生成することのできるシゲラ・ディセンテリアエタイプ1は、高い疾病率及び死亡率をもたらし得る。シゲラ・フレックスネリは発展途上国の風土病領域(endemic region)で最も一般的である。世界保健機関(WHO)は発展途上国のため疫痢に対するワクチンの開発を最優先と看做した。
【0006】
抗生剤を利用して疫痢の発生を調節及び治療するのが可能であるが、抗体の高い価格、及び甚だしくは最も最近の抗体に対しても抗体抵抗性シゲラ種が絶えず出現することは、世界の発展途上区域でシゲラ及び関連腸管浸透性大腸菌疾患の調節を助ける効果的なワクチンに対する必要性を強調している(12)。
【0007】
成功的な感染を確立するため、シゲラは宿主の免疫反応、特に炎症を引き起こす反応を細密に調節する。サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)と対照的に、シゲラは極性化された(polarized)腸の上皮細胞の頂極(apical pole)を浸透するには効果的でない。その代わりに、シゲラは上皮障壁を破壊するため多形核白血球(PMN、polymorphonuclear leucocyte)の移動を要し、上皮細胞の側底極(basolateral pole)を通じた細胞の浸透を促進させる(26)。先天性免疫システムの細胞により促進される宿主の炎症反応はPMNを炎症部位に引き込む。したがって、シゲルラによる細胞浸透のためには、感染の初期段階に炎症を触発させることが求められる。細胞の細胞内区画(compartment)に到達するバクテリアは細胞から細胞へ成長及び拡散され、宿主の免疫防御から保護される。しかし、感染した上皮細胞は、炎症過程でバクテリアの浸透を検出する監視者(sentinel)、及び特に粘膜性炎症を開始及び組織するサイトカイン(cytokine)及びケモカイン(chemokine)のような媒介者(mediator)の主な供給源として大きな役割を果たす。上皮細胞によるバクテリアの認識は、本質的に微生物モチーフ(motif)であるペプチドグリカンを感知する細胞内分子であるNod1/CARD4を介し細胞内で生じる(8)。Nod1の活性はインターロイキン8(IL−8)のようなケモカインの発現を誘導するNF−κB及びc−Jun N−末端キナーゼ(JNK)を誘導する他の炎症促進性の信号経路を誘導する。したがって、過度な炎症を触発させることは宿主でのシゲラの生存に害となる。
【0008】
自然的なシゲラ感染は免疫を与え、以後の同質的な毒性(virulent)シゲラの感染に対する保護を提供する(5)。このような排他的な人間疾病は、感染した患者からの糞口経路を介し直接的に、又は汚染した食べ物及び水を介し間接的に伝染される。これは100匹ほどの少ない微生物でも伝染され得る非常に伝染性のある感染である(6)。力学的研究及び志願者研究から、シゲラに対する保護免疫はLPS又はO−特異的抗原に対するものであり、したがって、血清型と関連があることを明らかにした。生きている弱毒化されたシゲラ(16、22)、死んだシゲラ全体バクテリア(18)、及びプロテオソーム(24)、破傷風毒素(25)及びリボソーム(31)のような担体に接合されたシゲラ・リポポリサッカライド(LPS、lipopolysaccharide)又はO−ポリサッカライドを用いることを含むシゲラワクチンのための多くの接近法が用いられてきた。数年間の広範な研究にも拘わらず、前記シゲラ種等に対する効果的且つ廉価なワクチンは未だ利用可能ではない。
【0009】
経口用生菌ワクチンとして弱毒化されたシゲラ菌株を用いれば保護効能が誘導されるものと表れた。遺伝的によく特性化された浸透性シゲラワクチンの臨床試験結果は有望である。経口投与されたCVD1208、SC602、WRSS1及びWRSd1ワクチン候補者は志願者試験で安全で免疫性があり、SC602の場合は疫痢に対し保護するものと表れた(11、16、17、33)。CVD1208を利用した臨床試験は、一部シゲラ生菌ワクチンを利用するとき見られる微熱及び下痢症候(symptom)がワクチン菌株からsen及びset遺伝子を除去することにより減少され得ることを見せている。一つの血清型から他の血清型への重複(duplication)との成功的な戦略は進行中の研究分野であるが、結局は殆どのシゲラに対し保護することのできる相違する血清型のシゲラ菌株の多価(polyvalent)混合物を用いることを求めるはずである(21)。6個のアジア国家におけりシゲラ下痢の最近のマルチセンター研究は、患者から単離されたシゲラ種の相対的な分布が相違する国家及び位置で多様であるとのことを見せている。さらに、シゲラ・フレックスネリ血清型は位置ごとに、甚だしくは毎年その分布が非常に異質的であった。シゲラ種及び血清型の異質的な分布は、世界的に疫痢を防止するためには多価の又は交差−保護性シゲラワクチンが必要であることを提示する(35)。広いスペクトルのカバレッジ(coverage)を与えるための目的のワクチンは、全ての重要なシゲラ血清型を含ませることを必要とするはずである(21)。このようなジレンマを解消するため、シゲラ・フレックスネリ2a、3a及び6菌株とともに弱毒化されたシゲラ・ソンネイ及びシゲラ・ディセンテリアエ1菌株を含む「5価の剤形」の利用に基づくワクチン戦略が支持されてきた(Noriega et al.、1994)。他の一方で、例えば死んだ又は生きている弱毒化された全体バクテリアのようなシゲラ由来の血清型−特異的及び交差−反応性抗原を含む複雑な構造を利用することは、シゲラの最も共通的な種及び血清型によりもたらされる感染に対しワクチン化するための接近法として看做され得た。Ipaタンパク質及びLPSからなり、シゲラ水抽出物由来の精製された複合体である、鼻腔内に投与されたInvaplexが提示されてきており、現在ウォルターリード陸軍研究所(WRAIR、Walter Reed Army Institute of Research)で第1相試験中である(23)。
【0010】
したがって、世界の発展途上区域におけるシゲラ及び関連腸管浸透性大腸菌疾患の調節を助けるための効果的なワクチンに対する必要性がある。
【発明の概要】
【0011】
ある具現例で、本発明は、シゲラに対する免疫反応を起こすのに効果的な量のIcsP2及びSigA2でなる群から選択されるシゲラタンパク質、及び薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を含むシゲラに対し、哺乳動物を免疫させるためのワクチン組成物に関する。ある具現例で、前記シゲラIcsP2及びSigA2タンパク質は、他のタンパク質と化学的に接合されるか遺伝工学的に融合されている。
【0012】
追加具現例で、本発明は、シゲラに対し免疫反応を起こすのに効果的な量のシゲラIcsP2、及び薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を含むシゲラに対し、哺乳動物を免疫させるためのワクチン組成物に関する。
【0013】
他の追加具現例で、本発明は、シゲラに対し免疫反応を起こすのに効果的な量のシゲラSigA2、及び薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を含むシゲラに対し、哺乳動物を免疫させるためのワクチン組成物に関する。
【0014】
他の追加具現例で、本発明は、化学的に接合されるか遺伝工学的に融合されたIcsP2及びSigA2を一定量含むシゲラに対し、哺乳動物を免疫させるためのワクチン組成物に関する。
【0015】
ある具現例で、前記ワクチン組成物はアジュバント(adjuvant)をさらに含む。
【0016】
ある具現例で、前記アジュバントは油中水型エマルジョン(water−in−oil emulsion)及びダブルオイル(double oil)エマルジョンでなる群から選択されるエマルジョンのオイル相(oil phase)である。
【0017】
追加具現例で、本発明は、配列番号2で記載されるアミノ酸配列(シゲラIcsP2の場合)を含む単離されたポリペプチドに関する。
【0018】
追加具現例で、本発明は、配列番号4で記載されるアミノ酸配列(SigA2の場合)を含む単離されたポリペプチドに関する。
【0019】
追加具現例で、本発明は、前記シゲラIcsP2ポリペプチドをコーディングする単離された核酸配列に関する。
【0020】
追加具現例で、本発明は前記SigA2ポリペプチドをコーディングする単離された核酸配列に関する。
【0021】
追加具現例で、本発明は、シゲラIcsP2ポリペプチド及びSigA2ポリペプチドをコーディングする単離された核酸配列に関する。
【0022】
追加具現例で、本発明は、請求項8、9又は10の核酸配列を含むベクターに関する。追加具現例で、本発明は、本発明に開示された任意のベクターで伝達感染(transfection)した宿主細胞に関する。
【0023】
追加具現例で、本発明は、タンパク質発現のため適した条件下で本発明で開示された任意の宿主細胞を培養する段階、及び前記培養された細胞から前記ポリペプチドを収集する段階を含むシゲラIcsP2及びSigA2ポリペプチドの製造方法に関する。
【0024】
追加具現例で、本発明は、(a)シゲラIcsP2及びSigA2、及び(b)アジュバントを含む免疫性組成物に関するものであって、前記(a)及び(b)の量は組み合わせてシゲラに対する免疫反応を起こすのに効果的である。
【0025】
追加具現例で、本発明は、本発明に開示されたワクチン組成物を効果量で投与する段階を含む、病原性感染を病むか病原性感染に敏感な哺乳動物を治療する方法に関する。ある具現例で、前記ワクチン組成物の効果量は大凡10μg〜大凡2mgの間の範囲である。
【0026】
追加具現例で、本発明は、本発明に開示されたワクチン組成物のうち何れか一つを効果量で投与する段階を含む、哺乳動物の免疫反応を調節する方法に関する。ある具現例で、前記ワクチン組成物の効果量は大凡10μg〜大凡2mgである。
【0027】
追加具現例で、本発明は、シゲラIcsP2ポリペプチドに特異的に結合する抗体に関する。
【0028】
追加具現例で、本発明はSigA2ポリペプチドに特異的に結合する抗体に関する。ある具現例で、前記抗体は標識(label)をさらに含む。追加具現例で、前記標識は酵素、タンパク質、ペプチド、抗原、抗体、レクチン、炭水化物、ビオチン、アビジン、放射性同位元素、毒素及び重金属でなる群から選択される。追加具現例で、前記抗体は人間化抗体である。追加具現例で、前記抗体はCDR−グラフト抗体である。追加具現例で、前記抗体はキメラ抗体である。追加具現例で、前記抗体は抗体切片である。追加具現例で、前記抗体はモノクローナル抗体である。追加具現例で、前記抗体はポリクローナル抗体である。
【0029】
追加具現例で、本発明はシゲラIcsP2又はSigA2タンパク質に共有結合されたシゲラバクテリアのO抗原を含むサッカライドを含む接合体分子(conjugate molecule)に関する。
【0030】
追加具現例で、本発明は、本発明で開示されたもののようなポリペプチドに共有結合されたシゲラバクテリアのO抗原を含むサッカライドを含む接合体分子に関する。
【0031】
追加具現例で、本発明は、疫痢に対し哺乳動物を免疫させるため、本発明に開示されたもののような接合体分子を含むワクチンに関する。
【0032】
追加具現例で、本発明は、シゲラ属と係わりのないバクテリア由来のサッカライドを含む接合体分子に関するものであって、前記サッカライドはシゲラIcsP2又はSigA2タンパク質に共有結合される。
【0033】
追加具現例で、本発明は、シゲラ属と係わりのないバクテリア由来のサッカライドを含む接合体分子に関するものであって、前記サッカライドは本発明に開示されたもののようなポリペプチドに共有結合される。
【0034】
追加具現例で、本発明は、疫痢及び腸チフス疾患に対し哺乳動物を免疫させるため、本発明に開示されたもののような接合体分子を含むワクチンに関する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】IcsP2を利用した免疫が、シゲラ・フレックスネリ2aを利用した肺チャレンジに対し動物を保護するとのことを示す図である。前記結果はさらに、弱毒化されたシゲラ・フレックスネリ生菌ワクチン菌株(SC602)を鼻腔内に投与すれば、チャレンジに対しマウスを保護するとのことを示す。
【図2】IcsP2を利用した粘膜性免疫が、独特な(distinct)血清型のシゲラ・フレックスネリにより誘導された肺炎に対しマウスを保護するとのことを示す図である。
【図3】IcsP2を利用した粘膜性免疫が、独特な血清型のシゲラ・ディセンテリアエタイプ1により誘導された肺炎に対しマウスを保護するとのことを示す図である。
【図4】SigA2を利用した粘膜性免疫は、シゲラ・フレックスネリ2a(2457T)チャレンジに対しては保護するが、シゲラ・フレックスネリ5a(M90T)に対しは保護しないとのことを示す図である。
【図5】SigA2又はIcsP2と共にCTアジュバントを粘膜に投与すれば、血清抗体反応を誘導するとのことを示す図である。
【図6A】SigA2を利用して免疫された動物が、脾臓(図6A)及び肺(図6B)全てで、IgA−及びIgG−ASC反応が優勢に増加するとのことを示すグラフである。
【図6B】SigA2を利用して免疫された動物が、脾臓(図6A)及び肺(図6B)全てで、IgA−及びIgG−ASC反応が優勢に増加するとのことを示すグラフである。
【図7】SigA2を利用した全身性(i.p.)及び粘膜性(i.n.)免疫が、肺及び脾臓で抗体反応を誘導するとのことを示すグラフである。
【図8】マウス抗血清によりシゲラ菌株内のSigA2タンパク質が認識されると、SigA2タンパク質に対し誘発するとのことを示す図である。
【図9A】SigA2に対するテスト抗血清が、シゲラ・フレックスネリにより誘導されたプラック(plaque)の形成を抑制するとのことを示す図である。
【図9B】SigA2に対するテスト抗血清が、シゲラ・フレックスネリにより誘導されたプラック(plaque)の形成を抑制するとのことを示す図である。
【図10】シゲラ種のそれぞれの血清型でのsigA遺伝子及びicsP遺伝子の存在を示すゲル写真である。
【図11】SigA2に対する抗体が、シゲラ・フレックスネリ2aによる角結膜炎を抑制することを示す図である。
【図12】IcsP2切片のDNA配列及び全長(full−length)IcsP配列内のその位置を示す図である。前記IcsP2切片は、シゲラ・フレックスネリ2a 2457T菌株の全体ゲノム配列の全長icsP遺伝子から抽出された。
【図13A】SigA2切片のDNA配列及び全長SigA配列内のその位置を示す図である。前記SigA2切片は、シゲラ・フレックスネリ2a 2457T菌株の全体ゲノム配列の全長sigA遺伝子から抽出された。
【図13B】SigA2切片のDNA配列及び全長SigA配列内のその位置を示す図である。前記SigA2切片は、シゲラ・フレックスネリ2a 2457T菌株の全体ゲノム配列の全長sigA遺伝子から抽出された。
【図13C】SigA2切片のDNA配列及び全長SigA配列内のその位置を示す図である。前記SigA2切片は、シゲラ・フレックスネリ2a 2457T菌株の全体ゲノム配列の全長sigA遺伝子から抽出された。
【図13D】SigA2切片のDNA配列及び全長SigA配列内のその位置を示す図である。前記SigA2切片は、シゲラ・フレックスネリ2a 2457T菌株の全体ゲノム配列の全長sigA遺伝子から抽出された。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、シゲラ感染に対するワクチン組成物内の候補者タンパク質抗原としてIcsP及びSigAを同定したことに関する。より具体的に、本発明は、毒性シゲラバクテリアによりもたらされる感染に対し保護免疫反応を誘導することのできるシゲラIcsP及びSigAの特定ポリペプチド部分(moiety)又は切片に関する。前記特定ポリペプチドは、以下にそれぞれIcsP2及びSigA2で表す。IcsP2は全てのシゲラ種で共通であり、さらにEIECにも存在する。SigA2はシゲラ・フレックスネリ2a、シゲラ・ボイディ及びシゲラ・ソンネイ菌株に存在する。
【0037】
本発明は、シゲラの表面に係わったものに同定されるか及び/又はシゲラから分泌され、シゲラ・フレックスネリ、シゲラ・ソンネイ、シゲラ・ボイディ及びシゲラ・ディセンテリアエを含むシゲラ類型及び種に共通であり、ワクチンで投与されるとき疫痢及び他の腸内感染に対し保護することのできるタンパク質抗原IcsP及びSigAに関する。併せて、本発明はさらに、シゲラ種及びEIEC間に共通のこのような抗原等のうち一部に関する。本発明はさらに、前記抗原に対し誘発された抗体及びDNA探針(probe)をシゲラ及びEIEC感染の診断に用いる用途に関する。
【0038】
抗原の同定及び前記抗原の特性分析
シゲラ種であるシゲラ・フレックスネリ2a菌株2457T(37)及びSf301(15)、シゲラ・フレックスネリ5b菌株Sf8401(20)、シゲラ・ディセンテリアエ1菌株Sd197、シゲラ・ボイディ血清型4菌株Sb227及びシゲラ・ソンネイ菌株Ss046の全体ゲノム配列は利用可能である(38、39)。前記シゲラ菌株の全体ゲノム配列以外にも、多数のシゲラ種由来の毒性プラスミドの完全なヌクレオチド配列もまた利用可能である(3、14)。
【0039】
IcsP
宿主細胞の細胞質内でのシゲラの移動は、前記バクテリアが宿主細胞のアクチンをその表面に募集して前記バクテリアを一細胞から他の細胞へ進ませるアクチンの尾(actin tail)を形成する能力に依存する(2)。アクチンの尾の組み立ては、前記バクテリアの一極の外表面上で発見される単一のバクテリアタンパク質IcsAにより媒介され、前記極でアクチンの組み立てが生じる(27)。前記IcsAタンパク質は前記バクテリアの古い極(old pole)に位置し、アクチンの組み立てのために必要充分なものである(9)。前記icsA遺伝子は前記シゲラ毒性プラスミド上に位置し、前記バクテリアの移動に必須であるため、全ての血清型及び種等に存在する(38)。前記IcsAタンパク質は二つのドメイン(domain)を含む:a−ドメイン(53〜758残基)はアクチン組立ての決定因子(determinant)を含み、バクテリア表面から細胞外環境に延長される傍ら、β−ドメイン(759〜1、102残基)は外膜内に埋め込まれている(32)。
【0040】
IcsAは、外膜プロテアーゼ(protease)であるIcsPによりバクテリア表面から徐々に切断される(7)。IcsPは、シゲラの大きい(230kb)毒性プラスミド上でモノシストロン性オペロン(monocistronic operon)によりコーディングされる(3)。IcsPがなければ表面IcsAの分布が変更されるようにして、極性キャップ(cap)が維持され、一部IcsAがバクテリアの側壁に沿って分布されるようにする。327個のアミノ酸配列のポリペプチドは、大腸菌プロテアーゼOmpP及びOmpTとそれぞれ58%の配列相同性(identity)、サルモネラ・チフィムリウム・プロテアーゼE前駆体であるPrtAと42%の配列相同性、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)フィブリノリジン前駆体であるPlaと40%の配列相同性を有する(29)。
【0041】
SigA
sigA遺伝子は、シゲラ・フレックスネリ2a染色体DNAの病原性島(pathogenicity island)上に位置している。sigAはシゲラ・フレックスネリの血清型2aで排他的に発見されるものと信じられたが、sigAの存在はさらにシゲラ・ボイディ及びシゲラ・ソンネイでも報告された(38)。配列分析は、sigAがオートトランスポータタンパク質のSPATE(serine protease autotransporters of Enterobacteriaceae)サブファミリーに属する139 kDaタンパク質をコーディングしていることを表す(1)。腸毒性(enterotoxic)及び細胞変性(cytopathic)プロテアーゼである腸凝集性(enteroaggregative)大腸菌オートトランスポータPetと比べるとき、SigAタンパク質のアミノ酸相同性は58%である(1)。SigA突然変異体バクテリアは野生型シゲラと比べるとき減少した流体蓄積(fluid accumulation)を見せるが、前記突然変異体バクテリアは依然相当な流体蓄積を誘導することができ、これはSigAがシゲラ・フレックスネリ2aにより製造された多くの腸毒素中の一つであることを表す。
【0042】
全部ではなくとも殆どのシゲラ種及び血清型に共通である新規の抗原を同定することは、このような抗原に実際に保護性があれば理想的なはずである。ゲノミックス(genomics)及びプロテオミクス (proteomics)は、新しいワクチン標的を見付けて効果的なワクチンを開発する能力に至大な影響を及ぼしてきており、一部のシゲラ表面タンパク質は、疫痢に対する潜在的なワクチン候補者として認識されている(13、19、36)。
【0043】
本発明はさらに、関心のあるシゲラタンパク質のクローニング、発現及び精製に関する。精製されたタンパク質は(1)マウス肺炎モデル、(2)ギニーピッグ角結膜炎(keratoconjunctivitis)モデル及び(3)ギニーピッグ大腸炎モデル(前記モデル等は10、28及び30に開示されている)の3種の動物モデルで保護性免疫を免疫化及び評価するために用いられた。
【0044】
ある具現例で、本発明は、シゲラ種の共通的なタンパク質抗原をスクリーニングする方法を提供し、本発明で用いられる前記方法は、粘膜性病原体のタンパク質抗原をスクリーニングするのに適用され得る。
【0045】
ある具現例で、本発明は、前記シゲラIcsP2及びSigA2ポリペプチドに対し特異的な抗体の製造方法、及び前記共通的な抗原に特異的な当該DNA探針を製造する方法を提供する。このような抗体及びDNA探針は、前記共通の抗原又は当該遺伝子の検出、及びシゲラ及びEIECによりもたらされる細菌性赤痢の診断に用いられ得る。治療用抗体はさらに、前記当該タンパク質抗原を発現するバクテリアによりもたらされる急性細菌性赤痢を病んでいる患者を治療するために用いられ得る。
【0046】
細菌性赤痢の診断
シゲラ種以外にも、ある大腸菌菌株は疫痢をもたらし得る。現在、人間で胃腸炎をもたらす腸毒性大腸菌(集合的にEEC群と表す)には4種のクラスが認識されている。大腸菌は、人間及び他の霊長類の正常な腸内細菌叢(flora)の一部である。少数の大腸菌菌株は、幾種類の相違するメカニズムにより人間の疾病をもたらし得る。これらの中には腸管浸透性(EIEC)菌株もある。ある食べ物が細菌性赤痢の原因になるこのような病原性腸管浸透性(EIEC)菌株を匿わせ得るかは知られていない。腸管浸透性大腸菌(EIEC)は、細菌性赤痢と知られている疾病を起こし得る。このような症状の原因となるEIEC菌株は、シゲラ種と密接に係わる。EIECを摂取した後、前記微生物は腸の上皮細胞を侵犯して軽い形態の疫痢を起こし、たびたびシゲラ種によりもたらされる疫痢に誤認される。前記疾病は、感染した個体の大便で血液及び粘液が現われるものと特定される。シゲラ及びEIEC感染の診断は相対的に難しいが、その理由は前記バクテリアが大便から単離されなければならないためであり、感染性用量のシゲラ及びEIECは10〜100匹の微生物ほど少ないものと思われる。
【0047】
感染した個体の大便から微生物を培養することと、組職培養又は適宜な動物モデルで単離物の浸透性を立証することとが、このような微生物によりもたらされる疫痢の診断に必要である。しかし、このような接近法は煩わしく時間消耗的である。
【0048】
エケベリアP.などは次のように開示している:『(…)4種のシゲラ種(シゲラ・ディセンテリアエ、シゲラ・フレックスネリ、シゲラ・ボイディ及びシゲラ・ソンネイ)は古典的に選択培地で大便検体を培養し、種−特異的抗血清により単離物の凝集をテストすることにより同定される。抗血清で凝集しないラクトース−発酵性及び非−ラクトース−発酵性EIEC及びシゲラ単離物を同定するためDNA探針を用いてきた。シゲラ抗血清を利用した受容性(competent)細菌学実験室を利用することができれば、これらDNA探針はシゲラの同定のため必要でない。EIEC感染と係る前記臨床的疾病は疫痢と類似する。しかし、疫痢を有する子供達より少ないEIEC感染を有する子供達が、大便内にオカルト(occult)血液(36%対82%)と高出力フィールド当り10個以上の大便白血球(36%対67%)を有する。標準細菌学的方法及びシゲラ/EIEC探針を利用した交雑のための大腸菌単離物のテストが、現在これら腸内病原体によりもたらされる感染を診断する最も敏感な手段である。細菌学実験室が利用可能でない状況でシゲラ及びEIEC感染を同定するより速やかな方法は、免疫学的分析を含む。』(40)(Echeverria P.et al., Rev.Infect.Dis.1991 Mar−Apr;13 Suppl 4:S220−5)。
【0049】
本発明は、部分的にIcsP2がEIECによっても発現され、その配列はシゲラIcsP2の配列とは非常に相同的であるが、他の3種のクラスの腸内毒性(enterovirulent)大腸菌(EEC)の遺伝子とは相同的でないことを見付けたことに関する。結果的に、本発明の一側面は、EIECに対する保護用製剤としてのIcsP2だけでなく、シゲラ及びEIEC全てによりもたらされる疫痢の診断に用いられ得るシゲラIcsP2に特異的な抗体及びDNA探針に関する。
【0050】
一つの具現例で、本発明で開示されたシゲラポリペプチド抗原は、薬学的に許容可能な希釈剤とともに投与される。このような剤形は注射(皮下(subcutaneous)、皮内(intradermal)、筋肉内(intramuscular))により投与されるか、接着性パッチを利用して肌上に局所塗布され得る。他の一方で、前記ワクチンは薬学的に許容可能なビヒクル(vehicle)を利用して粘膜性経路(経口、口腔、舌下(sublingual)、エーロゾル、点鼻液、直腸)により投与される。前記抗原はさらに、後続する免疫反応を向上させるためアジュバントとともに混合され得る。このようなアジュバントの例にはアルミニウム塩、ISCOM、サポニン系アジュバント、水中油型(oil−in−water)及び油中水型エマルジョン、ムラミルジペプチドのようなトール様(toll−like)受容体リガンド、大腸菌LPS、メチル化されないDNAを含むオリゴヌクレオチド、ポリI:C、リポテイコ酸(lipoteichoic acid)及びペプチドグリカンがあり、これに限定されるものではない。腸毒素及びそのアジュバントはコレラ毒素、熱−敏感性(labile)大腸菌腸毒素、百日咳毒素、志賀毒素及び類似体(analog)のような活性誘導体である。
【0051】
本発明の追加具現例で、開示された抗原は非毒性又は弱毒化されたバクテリア内でクローニング及び発現され、後者はシゲラIcsP及びSigAの一つ又は全てをコーディングする遺伝子を含む開放解読枠(open reading frame)と機能的に繋がれるmRNAの合成を開始することのできるDNAプロモーター因子を含むベクターとして用いられる。結果物のタンパク質(等)は、バクテリア表面及び/又はペリプラズム(periplasm)で放出及び組み立てられる。以後、このような非毒性又は弱毒化されたバクテリアは経口用又は粘膜用ワクチンとして用いられ得る。大腸菌、サルモネラ種、シゲラ種、ビブリオコレラ(Vibrio cholera)、バチルス種、クロストリディウム種、リステリア・モノサイトゲネス(Listerium monocytogenes)、ミコバクテリア種、ラクトバチルス種、ラクトコッカス種、ストレプトコッカス・ゴルドニ(Streptococcus gordonii)のようなバクテリアベクターの例は本技術分野に知られている。他の具現例で、前記IcsP及びSigA抗原は、適宜なプロモーターが装着されているシゲラの非毒性菌株又は弱毒化された菌株内で過剰発現される。IcsP又はSigA抗原の一つ又は全てを発現するこのようなバクテリアは、疫痢に対する生菌ワクチンとして用いられ得る。他の一方で、このような過剰発現菌株はホルマリン又は加熱により不活性化可能であり、結果物のバクテリアは死菌ワクチンとして用いられ得る。本発明の追加具現例は、シゲラ種を形質変換させるため用いられるベクターであり、異形(heterologous)抗原をペリプラズムに発現させる。前記発現は、経口投与後シゲラの本質的な組職トロピズム(tropism)(大腸の上皮)を変更するか、菌株の浸透性を著しく減少させるようではない。適宜なシゲラ種はシゲラ・ソンネイ、シゲラ・ディセンテリアエ、シゲラ・フレックスネリ及びシゲラ・ボイディの生きている、弱毒化されたワクチン菌株を含む。例示的な形質転換されたシゲラ菌株はシゲラ・フレックスネリ2a(SC608(3098))、シゲラ・フレックスネリ2a(SC608(cfaAE))、シゲラ・フレックスネリ2a(SC608(pCFAI))及びシゲラ・フレックスネリ2a(SC608(pCFAI/LTB))のようなシゲラワクチン菌株を含む。前記菌株は、宿主上皮細胞内でシゲラを細胞内及び細胞間で拡散させることのできるicsA遺伝子及びバクテリアによる鉄習得で役割を果たすiucA遺伝子で欠失(deletion)を有するものと特定される。これら形質転換されたシゲラ菌株は免疫性組成物、特に経口用又は粘膜投与用ワクチンとして用いるのに適する。他のバクテリアが開示されてきており、ベクターシステムとしての用途が本技術分野によく知られている:
サルモネラ及び大腸菌バクテリア表面タンパク質が、生菌ワクチンの開発を含む多様な目的で外来エピトープ(epitope)の担体又はビヒクルとして用いられてきた(米国特許第5,348,867号、発明者:Georgiou, George, Francisco, Joseph A, Earhart, Charles F.)。
信号配列をコーディングする発現カセットを持っているラクトバチルスであって、生物学的活性ポリペプチドは異形カルボキシ−末端標的領域に繋がれている(WO2005/012491, PCT/US2004/002460)(発明者:CHANG, Chia−Hwa, LIU, Xiaowen et al.)。
バクテリア表面タンパク質の発現:Smit, John;及びNina Agabian;『Cloning of the Major Protein of the Caulobacter crescentus Periodic Surface Layer:Detection and Characterization of the Cloned Peptide by Protein Expression Assays』(1984)J. Bacteriol. 160, 1137−1145。米国特許第5,500,353号。
宿主細胞での再組合ポリペプチドの区画化(PCT/EP00/00686、米国特許第6,610,517号、発明者:Werner Lubitz)。
タンパク質の酵母細胞表面ディスプレイ(display)及びその用途(米国特許第6,423,538号、Wittrup, K. Dane et al.)。
関心のある生成物(タンパク質又はポリペプチド)をコーディングする異形DNAを発現する再組合マイコバクテリア、特に再組合M. bovis BCG(米国特許第5,591,632号、O’Donnell, Michael A. et al.)。
再組合タンパク質を発現するためのグラム−陽性バクテリアの用途(米国特許第5,821,088号、Darzins, Aldis et al.)。Gianni Pozzi et al.、『Delivery and Expression of a Heterologous Antigen on the Surface of Sterptococci』、Infection and Immunity(May 1992)60:1902−1907。
バチルスでの発現及び分泌方法(米国特許第5,032,510号)−S. Kovacevic et al。
【0052】
さらに、哺乳動物細胞、組職、器官及び個体内にIcsP及び/又はSigAポリペプチドを取り入れるため用いられるベクターは、IcsP及び/又はSigAをコーディングするトランス遺伝子(transgene)の発現を調節する適宜なプロモーター因子が装着された弱毒化したウイルスを含み、IcsP及び/又はSigAを製造するため準備及び使用可能である。IcsP及び/又はSigAを発現するため使用可能なウイルスベクターの例は、アデノウイルス、ポリオウイルス、シンドビス(sindbis)ウイルスベクター、セムリキ森林熱ウイルス(Semliki Forrest virus)、ポックスウイルス、パピローマウイルス、レトロウイルス又はレンチウイルスを含むが、これに限定されるものではない。IcsP及び/又はSigAを発現するため用いられる追加ベクターは、ウイルス−類似粒子(VLP、virus−like particle)及びバクテリオファージを含む。
【0053】
さらに、IcsP及びSigAは選別遺伝子、酵母配列及びIcsP及び/又はSigAをコーディングするポリヌクレオチドを含む再組合発現ベクター内に含まれ得、前記ポリヌクレオチドは酵母プロモーターに機能的に繋がれており、前記ベクターは本発明のIcsP及び/又はSigAポリペプチドを生産する酵母細胞を伝達感染させるために用いられる。本発明の再組合発現ベクターは、酵母細胞で本発明のタンパク質を発現するようにデザインされ得る。サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)及びクルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)のような酵母でタンパク質を発現する方法は、本技術分野によく知られている。
【0054】
さらに、本発明は、前記IcsP及びSigA遺伝子、並びにIcsP2及びSigA2ポリペプチドに特異的な試薬を診断テストのデザインに用いる用途に関する。
【0055】
本発明の追加具現例で、開示された抗原は非毒性又は弱毒化されたバクテリア内でクローニング及び発現され、後者はシゲラIcsP及びSigAをコーディングする遺伝子の一つ又は全てを含む開放解読枠と機能的に繋がるmRNAの合成を開始することのできるDNAプロモーター因子を含むベクターとして用いられる。結果物のタンパク質(等)は、バクテリア表面及び/又はペリプラズムで放出及び組み立てられる。以後、このような非毒性又は弱毒化されたバクテリアは、経口用又は粘膜用ワクチンとして用いられ得る。他の具現例で、前記IcsP及びSigA抗原は、適宜なプロモーターが装着されている非毒性シゲラ菌株又は突然変異シゲラ菌株内で過剰発現される。以後、IcsP又はSigA抗原の一つ又は全てを発現するこのようなバクテリアは、疫痢に対する生菌ワクチンとして用いられ得る。他の一方で、このような過剰発現菌株はホルマリン又は加熱により不活性化可能であり、結果物のバクテリアは死菌ワクチンとして用いられ得る。本発明の追加具現例は、シゲラ種を形質転換させるため用いられるベクターであり、異形抗原をペリプラズムに発現させる。前記発現は、経口投与後シゲラの本質的な組職トロピズム(大腸の上皮)を変更するか、菌株の浸透性を著しく減少させるようではない。適宜なシゲラ種はシゲラ・ソンネイ、シゲラ・ディセンテリアエ、シゲラ・フレックスネリ及びシゲラ・ボイディの生きている、弱毒化されたワクチン菌株を含む。例示的な形質転換されたシゲラ菌株はシゲラ・フレックスネリ2a(SC608(3098))、シゲラ・フレックスネリ2a(SC608(cfaAE))、シゲラ・フレックスネリ2a(SC608(pCFAI))及びシゲラ・フレックスネリ2a(SC608(pCFAI/LTB))のようなシゲラワクチン菌株を含む。前記菌株は、宿主上皮細胞内でシゲラを細胞内及び細胞間で拡散させることのできるicsA遺伝子及びバクテリアによる鉄習得で役割を果たすiucA遺伝子で欠失を有するものと特定される。これら形質転換されたシゲラ菌株は免疫性組成物、特に経口用又は粘膜投与用ワクチンとして用いるのに適する。他のバクテリアが開示されてきており、ベクターシステムとしての用途が本技術分野によく知られている:
サルモネラ及び大腸菌バクテリア表面タンパク質が、生菌ワクチンの開発を含む多様な目的で外来エピトープの担体又はビヒクルとして用いられてきた(米国特許第5,348,867号、発明者:Georgiou, George, Francisco, Joseph A, Earhart, Charles F.)。
信号配列をコーディングする発現カセットを持っているラクトバチルスであって、生物学的活性ポリペプチドは異形カルボキシ−末端標的領域に繋がれている(WO2005/012491, PCT/US2004/002460)(発明者:CHANG, Chia−Hwa, LIU, Xiaowen et al.)。
バクテリア表面タンパク質の発現:Smit, John;及びNina Agabian;『Cloning of the Major Protein of the Caulobacter crescentus Periodic Surface Layer:Detection and Characterization of the Cloned Peptide by Protein Expression Assays』(1984)J. Bacteriol. 160, 1137−1145。米国特許第5,500,353号。
宿主細胞での再組合ポリペプチドの区画化(PCT/EP00/00686、米国特許第6,610,517号、発明者:Werner Lubitz)。
タンパク質の酵母細胞表面ディスプレイ及びその用途(米国特許第6,423,538号、Wittrup, K. Dane et al.)。
関心のある生成物(タンパク質又はポリペプチド)をコーディングする異形DNAを発現する再組合マイコバクテリア、特に再組合M. bovis BCG(米国特許第5,591,632号、O’Donnell, Michael A. et al.)。
再組合タンパク質を発現するためのグラム−陽性バクテリアの用途(米国特許第5,821,088号、Darzins, Aldis et al.)。Gianni Pozzi et al.、『Delivery and Expression of a Heterologous Antigen on the Surface of Sterptococci』、Infection and Immunity(May 1992)60:1902−1907。
バチルスでの発現及び分泌方法(米国特許第5,032,510号)−S. Kovacevic et al。
【0056】
さらに、本発明は、前記IcsP及びSigA遺伝子、並びにIcsP2及びSigA2ポリペプチドに特異的な試薬を診断テストのデザインに用いる用途に関する。
【0057】
重合酵素連鎖反応(PCR)と呼ばれる遺伝子増幅技術は、本技術分野によく知られており、シゲラ感染の診断のため用いられてきた(41)。本発明は、前記IcsP2及びSigA2遺伝子配列に結合することのできる特異的なプライマーを開示する。このようなプライマーは、臨床サンプル(例えば、大便)内に存在するバクテリア由来のicsP又はsigA遺伝子を増幅するため用いられ得、増幅された切片は視覚的方法、測光法(photometric method)、同位元素法又は蛍光検出法により検出可能である。したがって、本発明は、前記IcsP2及びSigA2遺伝子配列を、シゲラ種及びEIECによりもたらされる疫痢の診断に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーとして用いる用途を請求する。
【0058】
さらに、本発明は、SigA2及びIcsP2に対する抗血清の製造に関する。このような抗血清は、相違するシゲラ種により発現される当該ポリペプチドと反応することができた。併せて、このような抗血清は、シゲラバクテリアによるHela細胞の試験管内感染を抑制し、角結膜炎モデルでシゲラによりもたらされる炎症に対し動物を保護することができた。
【0059】
さらに、本発明は、IcsP2とシゲラのOポリサッカライド抗原の接合体、及びSigA2とシゲラのOポリサッカライド抗原の接合体に関する。病原性バクテリア表面の前記O−特異的ポリサッカライドは、保護性抗原及び必須の毒性因子全てであるものと思われる。大部分のポリサッカライドが弱化した免疫システムを持つ乳児及び成人で保護性レベルの抗−ポリサッカライド抗体を起こすことができないとのことは、T−細胞依存的な特性を与えるタンパク質に共有的に付着されることにより克服可能である。このような原理は、ヘモフィルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae)b(Hib)、肺炎球菌性肺炎及びナイセリア・メニンジティディス(Neisseria meningitidis)に対するワクチンを構築するようにした。接合体技術をグラム−陰性バクテリアの前記O−特異的ポリサッカライドに拡張すれば、新しい糖接合体(glycoconjugate)ワクチンが生成されるようにした。本来、アベリー及びゲーベル(Avery and Goebel, J. Exp. Med. 50:531(1929))及びゲーベル(Goebel, J. Exp. Med. 50:469−520(1929))は、肺炎球菌タイプ3ポリサッカライドの免疫原性は、これを担体タンパク質に化学的に結合させることにより増加され得ることを見せた。前記原理は、他の病原体のポリサッカライドの免疫原性を増加させるため成功的に適用されてきた。タンパク質担体にポリサッカライドを共有的にカップリングさせる方法は本技術分野に知られており、次を含む:
【0060】
Gu, X., et al., “Synthesis, Characterization, and Immunologic Properties of Detoxified Lipooligosaccharide from Nontypeable Haemophilus influenza Conjugated to Proteins”, Infection and Immunity, 64(10), (1996), pp. 4047−4053.
【0061】
Gupta, R., et al., “Comparative Immunogenicity of Conjugates Composed of Escherichia coli O111 O−Specific Polysaccharide, Prepared by Treatment with Acetic Acid or Hydrazine, Bound to Tetanus Toxoid by Two Synthetic Schemes”, Infection and Immunity, 63(8), (1995), pp. 2805−2810.
【0062】
Gupta, R., et al., “Synthesis, Characterization, and Some Immunological Properties of Conjugates Composed of the Detoxified Lipopolysaccharide of Vibrio cholerae O1 Serotype Inaba Bound to Cholera Toxin”, Infection and Immunity, 60(8), (1992), pp. 3201−3208.
【0063】
Konadu, E., et al., “Investigational Vaccine for Escherichia coli O157: Phase 1 Study of O157 O−Specifc Polysaccharide−Pseudomonas aeruginosa Recombinant Exprotein A Conjugates in Adults”, Journal of Infectious Diseases, 177, (1998), pp. 383−387.
【0064】
Konadu, E., et al., “Phase 1 and Phase 2 Studies of Salmonella enterica Serovar Paratyphi A O−Specific Polysaccharide−Tetanus Toxoid Conjugates in Adults, Teenagers, and 2− to 4− Year Old Children in Vietnam”, Infection and Immunity, 68(3), (2000), pp. 1529−1534.
【0065】
Konadu, E., et al., “Preparation, Characterization, and Immunological Properties in Mice of Escherichia coli O157 O−Specific Polysaccharide−Protein Conjugate Vaccines”, Infection and Immunity, 62(11), (1994), pp. 5048−5054.
【0066】
Robbins, J., et al., “Polysaccharide−Protein Conjugates: A New Generation of Vaccines”, The Journal of Infectious Diseases, 161, (1990), pp. 821−832.
【0067】
Taylor, D., et al., “Synthesis, Characterization, and Clinical Evaluation of Conjugate Vaccines Composed of the O−Specific Polysaccharides of Shigella dysenteriae Type 1, Shigella flexneri Type 2a, and Shigella sonnei (Plesiomonas shigelloides) Bound to Bacterial Toxoids”, Infection and Immunity, 61, (1993), pp. 3678−3687.
【0068】
WO/1999/003871;米国特許第4,771,127号;米国特許第5,866,132号。
【0069】
他の具現例で、本発明は、ポリサッカライドの抗原性及び免疫原性を向上させるため、前記シゲラOポリサッカライドがスペーサ(spacer)を介しIcsP又はSigA中一つにカップリングされた接合体に関し、前記接合体は、前記タンパク質及びポリサッカライド全てに対する免疫反応を誘導するために用いられる。
【0070】
さらに他の具現例で、前記シゲラIcsP及びSigAタンパク質は化学的に接合されるか、例えばワクチンで免疫原に用いるための他のタンパク質との遺伝子融合生成物であり得る。このようなタンパク質は破傷風毒素、ジフテリア(diphtheria)毒素、コレラ毒素Bサブユニット、大腸菌腸毒素Bサブユニット及びフラジェリン(flagellin)を含む。前記タンパク質等は本技術分野によく知られており、下記文献等に開示されているように、このような目的で産業及び/又は研究で広範に用いられてきた:
SJ McKenzie and JF Halsey. Cholera toxin B subunit as a carrier protein to stimulate a mucosal immune response. The Journal of Immunology, Vol 133, Issue 4, 1818−1824.
S. Shah, R. Raghupathy, Om. Singh, G.P. Talwarand A. Sodhi. Prior immunity to a carrier enhances antibody responses to hCG in recipients of an hCG−carrier conjugate vaccine. Vaccine, Volume 17, Issues 23−24, 1999, Pages 3116−3123.
LE MOIGNE Vincent; ROBREAU Georges; MAHANA Wahib; Flagellin as a good carrier and potent adjuvant for Th1 response: Study of mice immune response to the p27 (Rv2108) Mycobacterium tuberculosis antigen. Molecular immunology 2008, vol. 45, no 9, pp. 2499−2507.
Camilo Cuadros, Francisco J. Lopez−Hernandez, Ana Lucia Dominguez, Michael McClelland, and Joseph Lustgarten. Flagellin Fusion Proteins as Adjuvants or Vaccines Induce Specific Immune Responses. Infection and Immunity, May 2004, p. 2810−2816, Vol. 72, No. 5.
【0071】
さらに他の具現例で、本発明は、サルモネラチフィ(Typhi)Viポリサッカライド又はサルモネラパラチフィ(Paratyphi)のような他の腸病原性(enteropathogenic)バクテリアのポリサッカライドが、スペーサを介しIcsP又はSigA中一つに共有的にカップリングされている接合体に関し、前記接合体は、前記タンパク質とポリサッカライド全てに対する免疫反応を誘導し、したがって、疫痢及び腸チフス(又はパラチフス)疾患全てに対しワクチン化するために用いられる。
【0072】
さらに、本発明は、疫痢を病むと知られているか疑われる患者でシゲラを検出するための診断方法に用いるため、動物で抗−シゲラIcsP2及びSigA2抗体及び再組合ポリペプチドを製造する方法を提供する。免疫されたマウス及びギニーピッグの血清内に存在するこのような抗体はさらに、例えば馬、山羊、兎、猿、牛、ろ馬、ハムスターのような他の動物種で製造され得る。分子生物学及びハイブリドーマの使用を含むことのような抗体技術は、研究者及び臨床医が一般的な診断及び臨床手続で有用な非常に特異的で強力なモノクローナル抗体のソース(source)を利用できるようにした。このようなモノクローナル抗体は、適宜な骨髓細胞を有するIcsP2又はSigA2中一つで免疫された動物から免疫細胞の標準融合により得られ得る。より具体的に、本発明の核酸、タンパク質又はペプチド分子は、シゲラIcsP2又はSigA2に結合するモノクローナル又はポリクローナル抗体を開発するために用いられ得る。本発明のシゲラIcsP2−又はSigA2−結合抗体を製造するため、培養物で連続的な細胞株により抗体分子の製造を提供する任意の技術が用いられ得る。例えば、本来Kohler及びMilsteinにより開発されたハイブリドーマ技術(Nature, 256,495−497(1975))が用いられ得る。さらに、米国特許第4,376,110号;Ausubel et al., Antibodies; a Laboratory Manual, (Harlow & Lane eds., Cold Spring Harbor Lab. 1988); Current Protocols in Immunology, (Colligan et al., eds., Greene Pub. Assoc. & Wiley Interscience N.Y., 1992−1996)参照。
【0073】
高親和性及び高結合活性(high avidity)の人間抗体を生成するための他の有益な経路は、米国特許第6,537,809号に開示されているように、自然型の(native)人間リンパ球を試験管内で抗原プライミング(priming)する段階、結果物である試験管内抗原プライミングされたリンパ球を、免疫損傷されたドナー(immunocompromised donor)、例えばSCIDマウスに伝達する段階、前記免疫損傷されたドナーを抗原でブースティング(boosting)する段階、前記ドナーから人間抗体を分泌するB−細胞(IgG分泌)を単離する段階、及び前記単離された人間抗体分泌細胞をEBV形質転換させる段階を含む。
【0074】
本発明の抗体は、人間抗体の保存領域がマウスの軽鎖及び重鎖可変領域にクローニングされた一部の人間及び一部のマウス抗体を含むキメラ抗体を含む。ある場合において、人間配列の70%が維持される。人間化抗体は大凡90%の人間抗体骨組(framework)が維持され、前記げっ歯類(murine)とは相補性決定領域のみ組み合わされるキメラ抗体である。さらに、完全な人間化抗体が本発明で考慮される。
【0075】
シゲラIcsP2又はSigA2のアミノ酸配列内に含まれるエピトープに結合する再組合げっ歯類又はキメラげっ歯類−人間又は人間−人間抗体は、公知の技術を利用して提供され得る。例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds. Wiley Interscience, N.Y., 1987, 1992, 1993); Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Lab. Press 1989); EP0239400参照。
【0076】
本発明の抗−シゲラIcsP2及びSigA2抗体及び/又はペプチドは、サンプル内のシゲラIcsP2及びSigA2又は抗−シゲラIcsP2及びSigA2抗体を検出又は定量する免疫分析用として有用である。シゲラIcsP2及びSigA2に対する免疫分析は、典型的にIcsP2特異的抗体又はSigA2特異的抗体に選択的に結合することのできる、本発明の検出可能に標識された高親和性(又は高結合活性)抗−シゲラIcsP2又はSigA2抗体又はポリペプチドの存在下で臨床的又は生物学的サンプルをインキュベーションする段階、及びサンプル内に結合された前記標識されたペプチド又は抗体を検出する段階を含む。多様な臨床分析手続が本技術分野によく知られている。例えば、Immunoassays for the 80’s(Voller et al.,eds.,University Park,1981)参照。このようなサンプルは、組職の血液、血清及び大便サンプル、又は貧血又は経口用緩下溶液(laxative solution)の後で結腸直腸トラック(colorectal track)から収集された液体を含み、後述したようにELISA分析を行うことになる。
【0077】
したがって、抗−シゲラIcsP2又はSigA2抗体又はシゲラIcsP2及びSigA2ポリペプチドは、ニトロセルローズ又は可溶性タンパク質を固定することのできる他の固形支持体に固定可能である。以後、前記支持体は適宜なバッファで洗浄された後、検出可能に標識されたシゲラIcsP2及びSigA2特異的ペプチド又は抗体で処理され得る。以後、前記固相支持体を前記バッファで再度洗浄し、結合されていないペプチド及び抗体を除去することができる。以後、前記固形支持体上に結合された標識の量は公知の方法の段階により検出され得る。
【0078】
『固相支持体』又は『担体』はペプチド、抗原又は抗体に結合することのできる任意の支持体を表す。周知の支持体又は担体はガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルフルオリド(PVDF)、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、自然型又は変形されたセルロース、ポリアクリルアミド、アガロース及び磁鉄石(magnetite)を含む。前記担体の本性は、本発明の目的のためある程度可溶性であるか不溶性であり得る。前記支持体物質は、カップリングされた分子がシゲラIcsP2及びSigA2又は抗−シゲラIcsP2又は抗−シゲラSigA2抗体に結合することができる限り、実質的に任意の可能な構造的な外形(structural configuration)を有することができる。したがって、前記支持体の外形は、ビード(bead)でのように球形であるか、テストチューブの内表面又は棒の外表面でのように円筒状であり得る。他の一方、前記表面はシート、培養皿、テストストリップなどのように扁平でもよい。例えば、支持体はポリスチレンビードを含むことができる。本技術分野の当業者は抗体、ペプチド又は抗原に結合するための多い他の適宜な担体を知っているか、日常の実験によりこれらを確認することができるはずである。
【0079】
周知の方法の段階等は、与えられたロット(lot)の抗−シゲラIcsP2及びSigA2ペプチド及び/又は抗体の結合活性を決めることができる。本技術分野の熟練した当業者は、日常の実験により可動性(operative)及び最適分析条件を決めることができる。
【0080】
シゲラIcsP2又はSigA2特異的ペプチド及び/又は抗体を検出可能に標識することは、酵素免疫分析(EIA)又は酵素結合免疫吸着分析(ELISA)に用いるため酵素を結合させることにより達成することができる。前記結合された酵素は露出した基質と反応し、例えば分光光度法、蛍光検出法又は視覚的手段により検出可能な化学的成分を生成する。本発明のシゲラIcsP2及びSigA2特異的抗体を検出可能に標識するために用いられ得る酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ及びアセチルコリンエステラーゼを含むが、これに限定されるものではない。
【0081】
前記シゲラIcsP2及びSigA2特異的抗体を放射性標識することにより、放射免疫分析(RIA)を用いてシゲラIcsP2及びSigA2を検出することが可能である。Work et al., LABORATORY TECHNIQUES & BIOCHEMISTRY IN MOLECULAR BIOLOGY(North Holland Publishing Co., N.Y.(1978)参照。前記放射性同位元素は、ガンマカウンター又は閃光(scintillation)カウンターを利用することのような手段により、又はオートラジオグラフィー法(autoradiography)により検出され得る。本発明の目的のため特に有用な同位元素は3H、125I、131I、35S、14C及び125Iである。
【0082】
さらに、前記シゲラIcsP2及びSigA2特異的抗体を蛍光化合物で標識することも可能である。前記蛍光標識された抗体が適当な波長の光に露出されると、その存在が蛍光により検出され得る。最もよく用いられる蛍光標識化合物はフルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocyanate)、ローダミン(rhodamine)、フィコエリトリン(phycoerythrin)、フィコシアニン(phycocyanin)、アロフィコシアニン(allophycocyanin)、o−フタルデヒド(phthaldehyde)及びフルオレスカミン(fluorescamine)である。
【0083】
さらに、前記シゲラIcsP2及びSigA2特異的抗体は、125Eu又はランタン系列の他の金属のような蛍光放出金属を利用して検出可能に標識され得る。これら金属は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようなこのような金属のキレートグループを利用して、前記シゲラIcsP2及びSigA2特異的抗体に付着され得る。
【0084】
さらに、前記シゲラIcsP2及びSigA2特異的抗体は、化学発光化合物にカップリングされることにより検出可能に標識され得る。前記化学発光標識された抗体の存在は、化学反応過程の間に誘発される発光の存在を検出することにより測定される。有用な化学発光標識化合物の例はルミノール、イソルミノール、セロマティックアクリジニウム・エステル(theromatic acridinium ester)、イミダゾール、アクリジニウム塩及びオキサレートエステルである。
【0085】
同様に、生物発光化合物が本発明のシゲラIcsP2及びSigA2特異的抗体、一部、切片、ポリペプチド又は誘導体を標識するために用いられ得る。生物発光は、触媒タンパク質が化学発光反応の効能を増加させる生物学的システムで発見される化学発光の一形態である。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在を検出することにより測定される。標識の目的のための重要な生物発光化合物はルシフェリン、ルシフェラーゼ及びエクオリン(aequorin)である。
【0086】
前記シゲラIcsP2及びSigA2特異的抗体、一部、切片、ポリペプチド又は誘導体の検出は、例えば検出可能な標識が放射性ガンマエミッタ(emitter)であれば閃光カウンターにより、例えば前記標識が蛍光物質であれば蛍光検出器により達成され得る。酵素標識の場合、前記検出は、前記酵素に対する基質を取り入れる比色法により達成され得る。検出はさらに、類似に準備された標準品と比べて基質の酵素反応の度合いを視覚的に比べることにより達成され得る。
【0087】
本発明の目的のため、前記分析により検出されるシゲラIcsP2及びSigA2は、生物学的サンプル内に存在することができる。シゲラIcsP2又はSigA2を含む任意のサンプルが用いられ得る。例えば、前記サンプルは、例えば、血液、血清、小便、大便、組職抽出物又は均質物などのような生物学的流体である。しかし、本発明はこのようなサンプルのみを利用する分析に限定されるものではなく、本技術分野の通常の当業者は、他のサンプルを用いることがようにする適宜な条件を決めることができる。
【0088】
本発明の抗体、切片又は誘導体は『ツーサイト(tow−site)』又は『サンドイッチ』分析にも知られている免疫検出分析(immunometric assay)で利用するように適応され得る。典型的な免疫検出分析で、一定量の標識されていない抗体(又は抗体の切片)がテストされる流体に不溶性の固形支持体に結合され、一定量の検出可能に標識された可溶性抗体が添加され、固相抗体、抗原及び標識された抗体の間に形成された三元(ternary)複合体を検出及び/又は定量するようにする。
【0089】
典型的な免疫検出分析は、前記固相に結合された抗体が先ずテストされるサンプルと接触し、バイナリー(binary)固相抗体−シゲラIcsP2又はSigA2複合体を形成することにより、前記サンプルからシゲラIcsP2又はSigA2含有タンパク質を抽出する『フォワード(forward)』分析を含む。適宜なインキュベーション期間後、前記固形支持体を洗浄することにより未反応シゲラIcsP2又はSigA2があれば、これを含む前記流体サンプルの残留物を除去した後、知られた量の標識された抗体(『レポーター分子』として作用する)を含む溶液と接触する。前記標識された抗体が標識されない抗体を介し前記固形支持体に結合されたシゲラIcsP2又はSigA2と複合体を形成するようにする二番目のインキュベーション期間後、前記固形支持体を再度洗浄して反応しない標識された抗体を除去する。このような類型のフォワードサンドイッチ分析は、シゲラIcsP2及び/又はSigA2が存在するか否かを決めるのに用いられるか、前記標識された抗体の測定値を知られた量のシゲラIcsP2及びSigA2を含む標準サンプルに対し得られた測定値と比べることにより定量することができる。このような『ツーサイト』又は『サンドイッチ』分析はWide, Radioimmune Assay Methods, 199−206 (Kirkham, ed., Livingstone, Edinburgh, 1970)により開示されている.
【0090】
さらに、シゲラIcsP2及びSigA2に対し有用な他の類型の『サンドイッチ』分析は、所謂『同時』及び『リバース(reverse)』分析である。同時分析は、固形支持体に結合された抗体及び標識された抗体が全て、テストされるサンプルに同時に添加される単一インキュベーション段階を含む。インキュベーションが完了すれば、前記固形支持体を洗浄して流体サンプルと複合体を形成しない標識された抗体の残留物を除去する。以後、前記固形支持体に係る標識された抗体の存在は、従来のサンドイッチ分析でのように測定される。
【0091】
前記『リバース』分析で、順次、先ず前記流体サンプルに標識された抗体溶液を添加した後、適当なインキュベーション期間後固形支持体に結合された標識されない抗体を添加することが利用される。二番目のインキュベーション後、従来の方式で前記固相を洗浄することにより、テストされるサンプル及び反応しない標識された抗体溶液の残留物から自由にする。以後、固形支持体に係る標識された抗体の測定は、前記『同時』及び『フォワード』分析でのように測定される。一具現例で、別途のエピトープに特異的な本発明の抗体の組合せが敏感な三つの部位(three−site)免疫放射測定分析(immunoradiometric assay)を構築するために用いられ得る。
【0092】
本発明によれば、本技術分野の技術内には分子免疫学、細胞免疫学、薬理学及び微生物学で普通用いられるものなどのような多様な手段と技術があり得る。このような手段と技術は、例えば次の文献等に詳しく開示されている:Sambrook et al. (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 3rd ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press: Cold Spring Harbor, New York; Ausubel et al. eds. (2005) Current Protocols in Molecular Biology. John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken, NJ; Bonifacino et al. eds. (2005) Current Protocols in Cell Biology. John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken, NJ; Coligan et al. eds. (2005) Current Protocols in Immunology, John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken, NJ; Coico et al. eds. (2005) Current Protocols in Microbiology, John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken, NJ; Coligan et al. eds. (2005) Current Protocols in Protein Science, John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken, NJ; and Enna et al. eds. (2005) Current Protocols in Pharmacology, John Wiley and Sons, Inc.: Hoboken, NJ.
【0093】
本明細書に開示された略字は、測定単位、技術、特性又は化合物に該当し、次の通りである:『min』は分を意味し、『h』は時間(等)を意味し、『μl』はマイクロリットル(等)を意味し、『ml』はミリリットル(等)を意味し、『mM』はミリモルを意味し、『M』はモルを意味し、『mmole』はミリモル(等)を意味し、『kb』はキロベースを意味し、『bp』は塩基対(等)を意味し、『IU』は国際単位(International Unit)を意味する。
【0094】
『重合酵素連鎖反応』はPCRと略称する;『逆転写酵素重合酵素連鎖反応』はRT−PCRと略称する;『非翻訳区域』はUTRと略称する;『ドデシル硫酸ナトリウム』はSDSと略称する;及び『高圧液体クロマトグラフィー』はHPLCと略称する。
【0095】
本発明で用いられたもののようなDNAの『増幅』は、DNA配列の混合物内で特定DNA配列の濃度を増加させるため重合酵素連鎖反応(PCR)を用いることを表す。PCRの説明に対してはSaiki et al.,Science 1988,239:487を参照。
【0096】
『ポリヌクレオチド』又は『ヌクレオチド配列』は、DNA及びRNAのような核酸内の一連のヌクレオチド塩基(『ヌクレオチド』とも呼ばれる)であって、二つ以上のヌクレオチドの任意の鎖を意味する。ヌクレオチド配列は、典型的にタンパク質及び酵素を作るため細胞機械(cellular machinery)により用いられる情報を含む遺伝情報を運ぶ。前記用語等は、二重又は単一本のゲノム及びcDNA、RNA、任意の合成及び遺伝的に操作されたポリヌクレオチド、及びセンス及びアンチセンスポリヌクレオチド全て(たとえ、センス本だけが本発明で表れているものの)を含む。これは単一及び二重本分子等、即ちDNA−DNA、DNA−RNA及びRNA−RNAハイブリッドだけでなく、塩基をアミノ酸バックボーン(backbone)に接合させることにより形成される『タンパク質核酸』(PNA)を含む。これはさらに、例えばチオウラシル、チオグアニン及びフルオロウラシルのような変形された塩基を含む核酸を含む。
【0097】
本発明において、前記核酸は自然的調節(発現調節)配列の側にあり得、又はプロモーター、内部リボソーム進入部位(IRES)及び他のリボソーム結合部位配列、エンハンサー、反応因子、サプレッサー(suppressor)、信号配列、ポリアデニン化配列、イントロン、5’及び3’非コーディング領域などを含む異形配列と係り得る。前記核酸はさらに、本技術分野に知られた多くの手段により変形可能である。このような変形の非制限的な例は、メチル化、『キャップ』、一つ以上の自然的に発生するヌクレオチドを類似体に組み換えること、及び例えば、非電荷性(uncharged)結合を有する変形(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート、カルバメートなど)、及び電荷性結合を有する変形(例えば、 ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)のようなヌクレオチド間の変形を含む。ポリヌクレオチドは、例えばタンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、信号ペプチド、ポリ−L−リシンなど)、インターカレータ(intercalator)(例えば、アクリジン、ソラーレン(psoralen)など)、キレーター(例えば、金属、放射性金属、鉄、酸化性金属など)及びアルキル化剤(alkylator)のような一つ以上の追加的な共有結合された部分(moiety)を含むことができる。前記ポリヌクレオチドは、メチル又はエチルホスホトリエステル又はアルキルホスホラミデート結合の形成により誘導され得る。併せて、本発明において、前記ポリヌクレオチドはさらに、検出可能な信号を直接的に又は間接的に提供することのできる標識で変形され得る。例示的な標識は、放射性同位元素、蛍光分子、ビオチンなどを含む。
【0098】
『核酸の交雑(hybridization)』との用語は、AはT(又は、RNA核酸の場合はU)と対をなし、CはGと対をなす二つの単一本核酸間の逆平行(anti−parallel)水素結合を表す。核酸分子は、所定の厳密性(stringency)条件下で一核酸分子の少なくとも一本が他の核酸分子の相補性塩基と水素結合を形成することができるとき互いに『交雑することができる』。交雑の厳密性は、例えば(i)交雑及び/又は洗浄が行われる温度、(ii)イオンの強さ及び(iii)前記交雑及び洗浄溶液のホルムアミドのような変性剤の濃度だけでなく、他のパラメータ(parameter)により決定される。交雑は、前記二つの本が実質的に相補的な配列を含むことを要する。しかし、交雑の厳密性に従い、ある程度の不一致(mismatch)が容認されてもよい。『低い厳密性』条件下では、さらに大きい百分率の不一致が容認され得る(即ち、逆平行ハイブリッドの形成を防止しないはずである)。Molecular Biology of the Cell, Alberts et al., 3rd ed., New York and London: Garland Publ., 1994, Ch. 7 参照。
【0099】
典型的に、高い厳密性で二つの本が交雑することは、その配列がその長さの延長された部分にかけて高い程度の相補性を表すことを要する。高い厳密性条件の例は、次を含む:65℃で0.5 M NaHPO、7% SDS、1mM EDTAでフィルタ−結合DNAに対し交雑した後、68℃で0.1×SSC/0.1% SDS(1×SSCは0.15 M NaCl、0.15 M クエン酸ナトリウム)、又はオリゴヌクレオチド分子の場合は大凡37℃(大凡14ヌクレオチド長さのオリゴの場合)、大凡48℃(大凡17ヌクレオチド長さのオリゴの場合)、大凡55℃(20ヌクレオチド長さのオリゴの場合)及び大凡60℃(23ヌクレオチド長さのオリゴの場合)で6×SSC/0.5%ピロリン酸ナトリウムで洗浄する。したがって、『高い厳密性の交雑』との用語は、二つの本がそのヌクレオチド配列が殆ど完全に相補的な時にのみ『交雑』螺旋を形成するように対をなす溶媒と温度の組合せを表す(Molecular Biology of the Cell, Alberts et al., 3rd ed., New York and London: Garland Publ., 1994, Ch. 7 参照)。
【0100】
中間又は普通の厳密性条件(例えば、65℃で2×SSCの水溶液;他の一方で、例えば、65℃で0.5 M NaHPO、7% SDS、1mM EDTAでフィルタ−結合DNAに対し交雑した後、42℃で0.2×SSC/0.1% SDSで洗浄すること)及び低い厳密性条件(例えば、55℃で2×SSCの水溶液)は、二つの配列の間に交雑が起きるための当該全体相補性が低いことを要する。任意の与えられた厳密性交雑反応のための特定温度及び塩条件は、標的DNAの濃度及び探針の長さ及び塩基組成に依存し、普通日常の予備実験で経験的に決定される(Southern, J. Mol. Biol. 1975; 98: 503; Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., vol. 2, ch. 9.50, CSH Laboratory Press, 1989; Ausubel et al. (eds.), 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, Green Publishing Associates, Inc., and John Wiley & Sons, Inc., New York, at p. 2.10.3 参照)。
【0101】
本発明で用いられたように、『標準交雑条件』との用語は、少なくとも75%の配列同質性を有する配列が交雑されるようにする交雑条件を表す。特定の具現例によれば、高い厳密性の交雑条件は、少なくとも80%の配列相同性、少なくとも90%の配列相同性、少なくとも95%の配列相同性、又は少なくとも99%の配列相同性を有する配列のみを交雑するようにするため用いられ得る。
【0102】
本発明の任意の所望の核酸に『交雑する』核酸分子は、任意の長さであり得る。一具現例で、このような核酸分子は、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個及び少なくとも70個のヌクレオチド長さである。他の具現例で、交雑する核酸分子は、特定の所望の核酸と殆ど同一な長さである。
【0103】
『単離された(isolated)』との用語は、対象物質が普通発見される環境から前記対象物質が除去されることを意味する。したがって、単離された生物学的物質は細胞成分、即ち前記物質が発見されるか製造される細胞の成分がないこともある。単離された核酸分子は、例えばPCR生成物、単離されたmRNA、cDNA又は制限酵素切片を含む。さらに、単離された核酸分子は、例えばプラスミド、コスミド、人工染色体などに挿入された配列を含む。単離された核酸分子は、前記核酸分子が発見され得るゲノムから切断されるのが好ましく、非調節性配列、非コーディング配列、又は前記ゲノム内で発見されるとき、前記核酸分子の上流又は下流に位置する他の遺伝子にこれ以上結合されていないことがより好ましい。単離されたタンパク質は、細胞内で前記タンパク質が関連している他のタンパク質又は核酸又はこれら全て、又はもし膜−関連タンパク質であれば細胞膜と関連され得る。
【0104】
『宿主細胞』は、ベクター又はポリヌクレオチド分子を挿入するための受容体(recipient)であり得るか、受容体を有する個別細胞又は細胞培養物を含む。本発明において、宿主細胞はバクテリア、哺乳動物細胞、昆虫細胞又は酵母細胞であり得る。
【0105】
状態、疾病又は症状の『処理』又は『治療』は次を含む:
(1)前記状態、疾病又は症状の臨床又は準臨床症侯が、前記状態、疾病又は症状を病むか、これに脆弱であり得るが、前記状態、疾病又は症状の臨床又は準臨床徴候を未だ経験するか表しない哺乳動物で表れることを防止するか遅延させること;又は
(2)前記状態、疾病又は症状を抑制すること、即ち前記疾患又はその再発(維持治療の場合)、又は少なくともその臨床又は準臨床徴候のうち一つの発生を阻止、減少又は遅延させること;又は
(3)前記疾患を軽減させること、即ち前記状態、疾病又は症状、又は少なくともその臨床又は準臨床徴候のうち一つの退行(regression)をもたらすこと。
【0106】
治療される対象に対する利点は、統計学的に有意であるか、少なくとも患者又は医者に認知可能なことである。
【0107】
『免疫反応』は、宿主で関心のある組成物又はワクチンに対し、細胞性及び/又は抗体−媒介性免疫反応が発生することを表す。このような反応は、普通前記関心のある組成物又はワクチン内に含まれる抗原、又は抗原等を特異的に狙う抗体、B細胞、ヘルパー(hepler)T細胞、及び/又は細胞毒性T細胞を生成する対象からなる。さらに、前記免疫反応は、その活性が関心のある生物体を超すものであって、他の免疫又はアレルギー反応を抑制することのできる調節性T−細胞を含むことができる。
【0108】
『治療学的有効量』は状態、疾病又は症状を治療するため哺乳動物に投与されるとき、化合物、アジュバント又はワクチン組成物がこのような治療に効果を奏するのに十分な量を意味する。前記『治療学的有効量』は、投与される化合物、バクテリア又は類似体だけでなく、前記疾患及びその重症度(severity)、治療される哺乳動物の年齢、重量、物理的症状及び反応性に従い変わるはずである。
【0109】
『予防学的有効量』は、用量及び必要な期間の間所望の予防結果を達成するための有効量を表す。典型的に、予防学的用量は疾患の以前又は初期段階で用いられるので、予防学的有効量は前記治療学的有効量より少ないはずである。
【0110】
本発明により提供された組成物を治療用に用いることが可能であるが、これを薬学的剤形、例えば所望の投与経路及び標準薬学的実務と関連して選択された適宜な薬学的賦形剤(excipient)、希釈剤、担体との混合物として投与することが好ましいこともある。したがって、一側面で、本発明は少なくとも一つの活性型組成物又は薬学的に許容可能なその誘導体を含み、薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤及び/又は担体に係る薬学的組成物又は剤形を提供する。前記賦形剤、希釈剤及び/又は担体は、前記剤形の他の成分と両立可能であり、その受容者に有害でないとの側面で『許容可能』でなければならない。
【0111】
本発明の組成物は、人間又は脊椎動物の薬物で用いるため、任意の便利な方式で投与するために剤形化され得る。したがって、本発明は、その範囲内に人間又は脊椎動物の薬物で用いるように適応された本発明の生成物を含む薬学的組成物を含む。
【0112】
好ましい具現例で、前記薬学的組成物は液体経口用剤形として便利に投与される。前記剤形の運搬には物理的な制約がないが、経口運搬が簡便かつ便利であり、経口用剤形は牛乳、ヤクルト及び乳児用流動食のような追加的な混合物を直ちに収容するので好ましい。他の経口用剤形は本技術分野によく知られており、錠剤、糖衣錠、ジェルキャップ(gelcap)、カプセル及び医療用食品を含む。例えば、錠剤は濡れた、乾燥した又は流動化されたベッド(bed)顆粒化方法を利用する、よく知られた圧搾技術により製作され得る。
【0113】
このような経口用剤形は、一つ以上の適宜な賦形剤、希釈剤及び担体の補助で従来の方式通り用いるために提供され得る。薬学的に許容可能な賦形剤は、生物活性物質のための剤形の形成を助けるか形成するようにし、希釈剤、結合剤、滑沢剤(glidant)、崩壊剤(disintegrant)、発色剤及び他の成分等を含む。保存剤、安定化剤、染料及び甚だしくは香味剤も薬学的組成物内に提供され得る。保存剤の例は、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルを含む。抗酸化剤及び懸濁化剤(suspending agent)も用いられ得る。賦形剤は、その所望の機能を行うことに加え、非毒性で、攝取時によく耐えられ、生物活性物質の攝取を妨げなければ薬学的に許容可能なものである。
【0114】
治療学的用途のため許容可能な賦形剤、希釈剤及び担体は薬学分野によく知られており、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins(A.R. Gennaro edit. 2005)に開示されている。薬学的賦形剤、希釈剤及び担体の選択は、所望の投与経路及び標準薬学的実務に係わり選択され得る。
【0115】
本発明で用いられたように、『薬学的に許容可能な』との表現は、一般に生理学的に容認されるものと看做される分子エンティティ(entity)及び組成物を表す。
【0116】
『患者』又は『対象』は哺乳動物を表し、人間及び脊椎動物対象を含む。
【0117】
アジュバント剤形又は前記アジュバントを含むワクチン組成物の用量は、疾患の本性、患者の病歴、投与頻度、投与方式、宿主からの前記製剤の除去などに伴い非常に変わるはずである。初期用量は多く、以後の維持用量は少ないこともある。前記用量は、効果的な免疫学的記憶を維持するため、毎月又は毎年のように希に投与され得る。
【0118】
『担体』との用語は、前記化合物とともに投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤又はビヒクルを表す。このような薬学的担体は、水及びピーナッツ油、大豆油、ミネラルオイル、胡麻油などのような石油、動物、植物又は合成起原のオイルを含むオイルのような滅菌された液体であり得る。水又は水溶液、生理食塩水(saline)溶液及び水性デキストロース及びグリセロール溶液が、特に注射用溶液のための担体として好ましく導入される。他の一方で、前記担体は一つ以上の結合剤(圧搾された丸剤の場合)、滑沢剤、カプセル化剤、香味剤及び発色剤を含む固形剤形の担体であり得るが、これに限定されるものではない。適宜な薬学的担体は、E.W.Martinによる『Remington’s Pharmaceutical Sciences』に開示されている。
【0119】
さらに、本発明は、薬学的組成物及びワクチンを包括する。本発明の薬学的組成物及びワクチン組成物は、少なくとも一つの前記新規のシゲラ抗原及び一つ以上のアジュバントとともに薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む。薬学的組成物及びワクチンの剤形化方法は、前述のRemingtonの文献に開示されているように、本技術分野の熟練した当業者によく知られている。
【0120】
剤形。本発明の組成物は、薬学的に許容可能な希釈剤、保存剤、可溶化剤、エマルジョン化剤、アジュバント及び/又は担体を含むことができる。このような組成物は、多様なバッファ内容物(例えば、Tris−HCl、アセテート、フォスフェート)、pH及びイオンの強度;界面活性剤及び可溶化剤のような添加剤(例えば、ツイン80、ポリソルベート80)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、二亜硫酸ナトリウム)、保存剤(例えば、チメルソル、ベンジルアルコール)及びバルキング(bulking)物質(例えば、ラクトース、マンニトール);前記物質をポリ乳酸、ポリグリコール酸などのようなポリマー性化合物の特定準備物又はリポソーム内に含ませることを含む。さらに、ヒアルロン酸も用いられ得る。例えば、引用により本発明に含まれているRemington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed.(1990, Mack Publishing Co., Easton, PA 18042)pages 1435−1712 参照。
【0121】
本発明で用いるために考慮されるのは経口用固形剤形であり、引用により本発明に含まれているRemington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. 1990(Mack Publishing Co. Easton PA 18042)の Chapter 89に一般に開示されている。固形剤形は錠剤、カプセル、丸剤、トローチ(troch)、ロゼンジ(lozenge)、カシェ剤(cachet)、ペレット、粉末又は顆粒を含む。さらに、リポソーム性又はタンパク質性カプセル化が本発明の組成物を剤形化するため用いられ得る(例えば、米国特許第4,925,673号に報告されたタンパク質性ミクロスフェア)。リポソーム性カプセル化が用いられ得、前記リポソームは多様なポリマーで誘導され得る(例えば、米国特許第5,013,556号)。治療剤用に可能な固形剤形は、引用により本発明に含まれているMarshall, K. In: Modern Pharmaceutics, Edited by G.S. Banker and C.T. Rhodes, Chapter 10, 1979に開示されている。一般に、前記剤形は、前記治療剤及び胃腸の環境に対し保護し、腸内で生物学的活性物質を放出させる不活性成分を含むはずである。
【0122】
さらに、本発明で用いるために考慮されるのは、薬学的に許容可能なエマルジョン、溶液、サスペンション及びシロップを含む経口投与用液体剤形であり、不活性希釈剤;アジュバント、湿潤剤、エマルジョン化剤及び懸濁化剤;及び甘味剤、香味剤、発色剤及び芳香剤を含む他の成分を含むことができる。
【0123】
経口用剤形の場合、放出位置は胃腸、小腸(十二指腸、空腸(jejunum)、回腸(ileum))又は大腸であり得る。本技術分野の熟練した当業者は、例えば腸溶コーティング(enteric coating)を用いることにより、胃腸では溶解されないものの、その物質を腸内の十二指腸又は他所に放出する剤形を利用することができる。腸溶コーティングとして用いられるより一般的な不活性成分の例は、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、HPMCP 50、HPMCP 55、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、ユードラジット(Eudragit)L30D、アクアテリック(Aquateric)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ユードラジットL、ユードラジットS及びシェラック(Shellac)である。これらコーティングは、混合されたフィルムとして用いられ得る。
【0124】
さらに、コーティング又はコーティングの混合物は、胃腸に対する保護を目的にしない錠剤上に用いられ得る。これは、糖コーティング又は前記錠剤を呑みやすくするコーティングを含むことができる。カプセルは、乾燥した治療剤(即ち、粉末)の運搬用に硬質のシェル(hard shell)(例えば、ゼラチン)でなるか、液体形態の場合、軟質のゼラチンシェルが用いられ得る。カシェ剤のシェル物質は、厚い澱粉又は別の食用紙であり得る。丸剤、ロゼンジ、成形された錠剤又は錠剤研磨物の場合、湿気マッシング技術(moist massing technique)が用いられ得る。カプセル投与用物質の剤形はさらに、粉末、軽く圧搾されたプラグ、又は甚だしくは錠剤の形態であり得る。前記治療剤は、圧搾により製造可能である。
【0125】
当業者は、不活性物質を利用して治療剤の体積を希釈又は増加させることができる。前記希釈剤は炭水化物、特にマンニトール、β−ラクトース、無水ラクトース、セルロース、スクロース、変形したデキストラン及び澱粉を含むことができる。さらに、カルシウムトリホスフェート、炭酸マグネシウム及び塩化ナトリウムを含む特定無機塩も充填剤として用いられ得る。ある商業的に利用可能な希釈剤はFast−Flo、Emdex、STA−Rx 1500、エンコンプレス(Emcompress)及びアビセル(Avicell)である。
【0126】
崩壊剤は、治療剤の剤形で固形剤形内に含まれ得る。崩壊剤として用いられる物質は、澱粉、澱粉基盤の市販される崩壊剤、Explotab、ナトリウム澱粉グリコレート、アンバーライト(Amberlite)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ウルトラミロペクチン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、橙皮、酸カルボキシメチルセルロース、天然スポンジ及びベントナイトを含むが、これに限定されるものではなく、これら全てが用いられ得る。前記崩壊剤はさらに、不溶性カチオン性交換樹脂であり得る。粉末化されたガムが崩壊剤及び結合剤として用いられ得、アガー、カラヤ(Karaya)又はトラガカント(tragacanth)のような粉末化されたガムを含むことができる。アルギン酸及びそのナトリウム塩もまた崩壊剤として有用である。結合剤は、治療剤とともに取って硬質錠剤を形成するのに使用可能であり、アカシア、トラガカント、澱粉及びゼラチンのような天然生成物由来の物質を含む。他のもの等にはメチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む。ポリビニルピロリドン(PVP)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)全て、アルコール性溶液内で前記ペプチド(又は誘導体)を顆粒化するのに用いられ得る。
【0127】
剤形工程の間にくっ付くことを防止するため、ガンマ剤(antifrictional agent)が前記剤形内に含まれ得る。潤滑剤が前記ペプチド(又は誘導体)と金型壁(die wall)との間に層として用いられ得、潤滑剤はそのマグネシウム及びカルシウム塩を含むステアリン酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油及びワックスを含むが、これに限定されるものではない。さらに、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、多様な分子量のポリエチレングリコール、カルボワックス(Carbowax)4000及び6000などの可溶性潤滑剤が用いられ得る。
【0128】
剤形化する間に薬物の流動特性を改善し、圧搾する間に再配列を助けることのできる滑沢剤が添加され得る。前記滑沢剤は澱粉、タルク、発熱性シリカ及び水和されたケイアルミン酸を含むことができる。
【0129】
水性環境中へ治療剤が溶解されることを補助するため、界面活性剤が湿潤剤として添加されてもよい。界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム及びスルホン酸ジオクチルナトリウムなどのアニオン性洗剤(detergent)を含むことができる。カチオン性界面活性剤が使用可能であり、塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)又はベンゾエトミウムクロリド(benzethomium chloride)を含むことができる。界面活性剤として剤形中に含めることができる潜在的な非イオン性洗剤のリストは、ラウロマクロゴール(lauromacrogol)400、ポリオキシル40ステアリン酸、ポリオキシエチレン水和された(hydrogenated)ヒマシ油10、50及び60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート40、60、65及び80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースである。これらの界面活性剤は、単独に又は相違する比の混合物として前記タンパク質または誘導体の剤形中に存在し得る。
【0130】
放出が調節される経口用剤形が本発明の実施において用いられ得る。前記治療剤は、拡散、又は例えばガムのような浸出(leaching)メカニズムにより放出を可能にする不活性マトリックス中に組み込むことができる。遅変性マトリックスもまた、前記剤形中に組み込んでもよい。ある腸溶コーティングはさらに、遅延性放出効果を有する。別の形の調節された放出は、オロス(Oros)治療システム(Alza Corp.)に基づく、即ち、前記治療剤が、浸透作用によって単一の小さな開口部を通って、水が入り、製剤は外へ押し出すようにする半透過性膜内に入っている方法によるものである。
【0131】
他のコーティングが、前記剤形に用いられ得る。これらは、コーティングパンに適用できる多様な糖を含む。前記治療剤はさらに、フィルムコーティングされた錠剤内で提供可能であり、この場合に用いられる物質は、2群に分けられる。第1は、非腸溶(nonenteric)物質であり、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、プロビドン及びポリエチレングリコールを含む。第2の群は、一般にフタル酸のエステルである腸溶物質からなる。物質の混合物が、最適のフィルムコーティングを提供するため用いられ得る。フィルムコーティングは、パンコーティング機又は流動床中で、又は圧縮コーティングによって行われ得る。
【0132】
一具現例で、本発明に開示されたシゲラポリペプチド抗原は、薬学的に許容可能な希釈剤とともに投与される。このような剤形は、注射(皮下、皮内、筋肉内)により投与されるか、接着性パッチを利用して肌上に局所塗布され得る。他の一方で、前記ワクチンは薬学的に許容可能なビヒクルを利用して粘膜性経路(経口、口腔、舌下、点鼻液、エーロゾル、直腸)により投与される。前記抗原はさらに、後続する免疫反応を向上させるためアジュバントとともに混合され得る。このようなアジュバントの例には、アルミニウム塩、ISCOM、サポニン系アジュバント、水中油型及び油中水型エマルジョン、ムラミルジペプチドのようなトール様受容体リガンド、大腸菌LPS、メチル化されないDNAを含むオリゴヌクレオチド、ポリI:C、リポテイコ酸、ペプチドグリカンがあり、これに限定されるものではない。腸毒素及びそのアジュバントはコレラ毒素、熱−敏感性大腸菌腸毒素、百日咳毒素、志賀毒素及び類似体のような活性誘導体である。
【0133】
非経口投与のための本発明に係る製造物は、滅菌された水性又は非水性溶液、サスペンション又はエマルジョンを含む。非水性溶媒又はビヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイル及びコーンオイルのような植物性オイル、ゼラチン及びオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルである。このような剤形はさらに、アジュバント、保存剤、湿潤剤、エマルジョン化剤及び分散剤を含むことができる。前記薬学的組成物は、例えば、バクテリア保持フィルタを通して濾過するか、滅菌剤を組成物中に組み込むか、組成物に放射能処理をするか、又は組成物を加熱することによって滅菌してもよい。それらはまた、使用の直前に、滅菌水又は幾つかのその他の滅菌された注射可能な媒体を用いて製造してもよい。
【0134】
ワクチン。ワクチンの場合において、アジュバントなく抗原を単独に利用する1次チャレンジ(primary challenge)は、体液性又は細胞性免疫反応を起こすのに失敗するとのことが度々観察される。したがって、本発明のワクチンはコレラ毒素、アジュバント特性を有する切片及び突然変異体又は誘導体、大腸菌熱−敏感性腸毒素、アジュバント特性を有する切片及び突然変異体又は誘導体、水中油型及び油中水型エマルジョン、ムラミルジペプチドのようなトール様受容体リガンド、大腸菌LPS、メチル化されないDNAを含むオリゴヌクレオチド、ポリI:C、リポテイコ酸及びペプチドグリカンを含むが、これに限定されるものではないアジュバントを含むことができる。腸毒素及びそのアジュバントはコレラ毒素、熱−敏感性大腸菌腸毒素、百日咳毒素、志賀毒素及び類似体のような活性誘導体である。完全フロイント(Freund)アジュバント、不完全フロイントアジュバント、サポニン、アルミニウムヒドロキシドのようなミネラルゲル、リゾレシチンのような表面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイル又は炭化水素エマルジョン、キーホールリンペットヘモシニアン(keyhole limpet hemocyanin)、及びN−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン、BCG(bacille Calmette−Guerin)及びコリネバクテリウム・パルヴム(Corynebacterium parvum)などの潜在的に有用な人間アジュバントのような他のアジュバントが用いられ得る。アジュバントは、抗原を徐々に放出する組職の貯蔵所(depot)、又は免疫反応を非特異的に向上させるリンパ系活性剤として機能することができる(Hood et al., Immunology, Second Ed., 1984, Benjamin/cummings: Menlo Park, California, p.384)。ワクチンが人間対象で用いるための意図であれば、前記アジュバントは薬学的に許容可能でなければならない。
【0135】
投与。このような薬学的組成物及びワクチンは、経口(固形又は液体)、非経口(筋肉内、腹腔内、静脈内(IV)又は皮下注射)、経皮内(受動的に又はイオン移動(ionophoresis)又は電気穿孔を利用して)、粘膜内(transmucosal)(鼻、腟、直腸又は舌下)、又は吸入投与経路、又は生分解性(bioerodible)挿入体を利用して投与可能であり、それぞれの投与経路に適した剤形に剤形化され得る。
【0136】
一つの好ましい具現例で、前記組成物又はワクチンは、肺運搬(pulmonary delivery)により投与される。前記組成物又はワクチンは、吸い込む間に哺乳動物の肺に運ばれ、肺の上皮ライニング(lining)を横切って血流に入り込む [例えば、Adjei, et al. Pharmaceutical Research 1990; 7:565−569; Adjei, et al. Int. J. Pharmaceutics 1990;63:135−144 (leuprolide acetate); Braquet, et al. J. Cardiovascular Pharmacology 1989;13(sup5):143−146 (endothelin−1); Hubbard, et al. (1989) Annals of Internal Medicine, Vol.III, pp. 206−212 (a1−antitrypsin); Smith, et al. J. Clin. Invest. 1989;84:1145−1146 (a−1−proteinase); Oswein, et al. 『Aerosolization of Proteins』, 1990; Proceedings of Symposium on Respiratory Drug Delivery II Keystone, Colorado (recombinant human growth hormone); Debs, et al. J. Immunol. 1988;140:3482−3488 (interferon−γ and tumor necrosis factor a);及びPlatzなどの米国特許第5,284,656号(granulocyte colony stimulating factor)参照]。全身性効果のための薬物の肺運搬用方法及び組成物は、Wongなどの米国特許第5,451,569号に開示されている。さらに、Licalsiなどの米国特許第6,651,655号を参照。
【0137】
本発明の実施に用いるため、治療用生成物の肺運搬のためにデザインされたネブライザー(nebulizer)、計量された用量吸入器及び粉末吸入器を含むが、これに限定されるものではない多様な範囲の機械装置が考慮され、これら全ては本技術分野の熟練した当業者において慣れている。本発明の実施のため適した商業的に利用可能な装置のある特定の例は、ウルトラベント(Ultravent)ネブライザー(Mallinckrodt Inc., St. Louis, MO);エーコン(Acorn)IIネブライザー(Marquest Medical Products, Englewood, CO);ベントリン(Ventolin) 計量された用量吸入器(Glaxo Inc., Research Triangle Park, NC);及びスピンヘイラ(Spinhaler)粉末吸入器(Fisons Corp., Bedford, MA)である。このような全ての装置は、前記治療剤の調剤に適した剤形を用いることを要する。典型的に、それぞれの剤形は、導入される装置の類型に特異的であり、治療に有用な通常の希釈剤、アジュバント、界面活性剤及び/又は担体以外に適切な噴射剤(propellant)物質を用いることを含むことができる。さらに、リポソーム、マイクロカプセル又はミクロスフェア、包接錯体(inclusion complex)又は他の類型の担体を用いることが考慮される。
【0138】
計量された用量吸入装置とともに用いるための剤形は、一般に界面活性剤の補助で噴射剤中にサスペンドされた治療剤を含む微細に分けられた粉末を含むはずである。前記噴射剤はクロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン又はトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンを含む炭化水素、又はそれらの組合せのように、このような目的のため導入される任意の従来の物質であり得る。適宜な界面活性剤は、トリオレイン酸ソルビタン及びダイズレシチンを含む。さらに、オレイン酸も界面活性剤として有用であり得る。
【0139】
粉末吸入装置から調剤するための剤形は、前記治療剤を含む微細に分けられた乾燥した粉末を含むはずであり、さらにラクトース、ソルビトル、スクロース又はマンニトールのようなバルキング製剤を、例えば前記剤形の50〜90重量%のように、前記装置から粉末が分散されることを促進する量で含むはずである。前記治療剤は最も有益には、最も効果的に遠位肺まで運ぶため、10mm(又はμm)以下、最も好ましくは0.5〜5mmの平均粒子大きさの粒子形態で準備されなければならない。
【0140】
さらに、前記治療剤の鼻腔又は他の粘膜性運搬が考慮される。鼻腔運搬は、前記組成物を鼻に投与した後、前記生成物が肺内に沈着する必要がなく、直接血流へ通過するようにする。鼻腔運搬用剤形は、アジュバントとしてデキストラン又はシクロデキストラン及びサポニンを有するものらを含む。
【0141】
本発明の組成物又はワクチンは、一つ以上の追加的な活性成分、薬学的組成物又はワクチンとともに結合され投与され得る。本発明の治療剤は動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくは人間に投与され得る。
【0142】
用量。
本技術分野に良好に確立された方法論に従い、試験管内テストで良好に行われる本発明の化合物及び組成物の効果的な用量及び毒性は、前記シゲラ抗原、ポリペプチド、薬学的又はワクチン組成物が治療学的に有効なものと表れており、これら薬物が人間の臨床試験に対し提案された同一の経路により投与可能な小さな動物モデル(例えば、マウス又はラット)を利用する前臨床研究で決定される。
【0143】
本発明で用いられるための剤形又は用量は、本発明で開示された成分等を治療学的有効量に含む必要はないが、その理由は、このような治療学的有効量はこのような剤形又は服用形態を複数で投与することにより達成可能であるためである。
【0144】
本発明の方法で用いられる任意の薬学的組成物において、前記治療学的に効果的な用量は、先ず動物モデルから推定され得る。以後、動物システムから得た用量−反応カーブは、人間で初期臨床研究のためのテスティング用量を決定するのに用いられる。それぞれの組成物に対し安全性を決定するにおいて、投与量及び頻度は臨床試験で用いるように予測されるものらを満たすか、これを上回らなければならない。
【0145】
本発明で開示されているように、本発明の組成物中の成分等の用量は、持続的に又は間歇的に投与される用量が、動物テスト及び患者の個別的な症状の結果を考慮した後に決定される量を超過しないことを保証するように決定される。
勿論、特定用量は服用手続、年齢、体重、性別、敏感性、食べ物、服用期間、組合せで用いられる薬物及び疾患の重症度のような、患者又は対象動物の症状に従い変化する。ある条件下の適宜な用量及び服用時間は、前述の指標基盤のテストにより決定され得るが、標準臨床技術に従い、実務者の判断及びそれぞれの患者の状況(年齢、一般的な症状、症候の重症度、性別など)により調整され最終的に決定可能である。
【0146】
本発明の組成物の毒性及び治療学的効能は、実験動物での標準薬学的手続により、例えばLD50(母集団の50%に致死的な(lethal)用量)及びED50(母集団の50%に治療学的に効果的な用量)を測定することにより決定され得る。治療及び毒性効果の間の用量比は治療学的指数であり、これはED50/LD50の比で表され得る。大きい治療指数を表す組成物が好ましい。
【0147】
動物研究から得られたデータは、人間で用いるための用量範囲を剤形化するのに用いられ得る。人間での治療学的に効果的な用量は、好ましくは毒性が殆どないかないED50を含む循環する濃度範囲内に置かれている。前記用量は、導入される剤形及び利用される投与経路に従い、このような範囲内で変わり得る。理想的には、それぞれの薬物の単一な用量が毎日用いられなければならない。
【実施例】
【0148】
以下、実施例1〜実施例14で導入される物質及び方法を開示する。
【0149】
物質及び方法
シゲラSigA2及びIcsP2ポリペプチドのクローニング、発現及び錠剤
【0150】
タンパク質抗原のDNA配列は、前述のように利用可能である(37)。シゲラ・フレックスネリ2a菌株2457TのSigA DNA配列は、遺伝子銀行の寄託番号[Genbank AE014073]から入手した。さらに、シゲラ・フレックスネリ5a菌株M90TのicsP DNA配列は、遺伝子銀行の寄託番号[Genbank AL391753]から入手した。相違するシゲラ種間のヌクレオチドの相同性及びアミノ酸配列の同一性(homology)は99%以上である。DNA切片を商業的に利用可能な大腸菌過剰発現プラスミドpET21d(Novagen,Gibbstown,NJ,USA)内に挿入させ、TALON金属−親和性樹脂(Clontech,Mountain View,CA,USA)を利用して製造社の指針に従い精製した。
【0151】
プライマー:
IcsP2切片がシゲラ・フレックスネリ2a 2457T菌株由来であれば、IcsP2プライマーセットCCGGAATTCGGAGTGAAAACGGGGGGAGC及びCGGCGGCTCGAGCTAGTGGTGGTGGTGGTGGTGAATACTTGCACTATTTTTを増幅のために用いた。増幅された切片(配列番号1、390 bp、下線を引いた配列)をEcoRI及びXhoIで消化させた(図12にボックスで表した配列)。
【0152】
SigA2プライマーセットCCCGGGGAATTCGGGAAAAAGCCTTCAATAAAA及びCGGCGGCTCGAGCTAGTGGTGGTGGTGGTGGTGGTTGAAACTACTTTCGCCTGをシゲラ・フレックスネリ2a 2457T菌株由来のSigA2切片の増幅のために用いた。増幅された切片(配列番号3、795 bp、下線を引いた配列)をEcoRI及びXhoIで消化させた(図13bにボックスで表した配列)。
【0153】
増幅されたIcsP2切片及びSigA2切片をpET21dのEcoRI及びXhoI部位内に挿入させ、再組合DNAはシーケンシングを利用して確認した。大腸菌BL21(DE3)(Novagen,Gibbstown,NJ,USA)バクテリアをそれぞれの再組合プラスミドで形質転換させ、37℃で培地内の0.5mM IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)によりタンパク質の過剰発現を誘導した。それぞれの切片を過剰発現する大腸菌BL21(DE3)を収穫しており、冷凍/解凍した後、6Mウレア(urea)の存在下で音波処理して破砕した。大腸菌抽出物を12,000×gで遠心分離し、上澄液を予め平衡化された(1×結合バッファ:20mM TrisCl pH 7.9、500mM NaCl、5mM イミダゾール及び6Mウレアを利用する)TALON樹脂コラム(3ml)上にローディング(loading)した。前記コラムを20mlの1×結合バッファ及び30mlの1×洗浄バッファ(20mM TrisCl pH 7.9、500mM NaCl、15mMイミダゾール及び6Mウレア)を利用して洗浄し、前記タンパク質を1×湧出バッファ(20mM TrisCl pH 7.9、500mM NaCl、250mMイミダゾール)により湧出した。
【0154】
さらに他のIcsPの切片も、前述のようにサブクローニングした(プライマーセットCCCGGGGAATTCACCACTAACTATCCACTTTT及びCGGCGGCTCGAGCTAGTGGTGGTGGTGGTGGTGACTGTAACGACTCTCTTGGTA)。
【0155】
icsP及びsigA遺伝子が破砕された突然変異体菌株(シゲラ・フレックスネリ2a 2457T背景)の構築:icsP及びsigA遺伝子が破砕された突然変異体菌株を、対立遺伝子(allele)交換法(17)を利用して個別的に構築した。簡単に、icsA切片の場合はプライマーIcs5Tr/Ics3Tr(5’−GGC TCT AGA ACCACTAACTATCCACTT−3’/5’−GCC GAA TTC CCA GCT CTG GTC GGT CCA−3’)を利用し、sigA切片の場合はSig5Tr/Sig3Tr(5’−GGC TCT AGA GAA CTG ACC CGG AAA GTT AGT−3’/5’−GCC GAA TTC GTA CGC ACC TCC TAA TGA−3’)を利用してicsP及びsigAの内部300nt DNA切片(ヌクレオチド61から360まで)を増幅した。前記切片等を自殺プラスミドpSW23.oriT内に挿入させた。前記再組合プラスミドpSWicsPTr及びpSEsigATrを利用して大腸菌菌株BW19610(pir Amp Cm)を形質転換させた。それぞれのプラスミドをBW19610から精製しており、大腸菌SM10λpir(pir Tra Amp Cm)を形質転換させるために用いた。大腸菌SM10λpirをシゲラ・フレックスネリ2a 2457Tと共に接合させ、クロラムフェニコール抵抗性シゲラ・フレックスネリをコンゴレッド/ストレプトマイシン/クロラムフェニコールプレート上で単離した。それぞれのノックアウト(knockout)菌株において、毒性プラスミド及びゲノム上の遺伝子は二つの切片に分けられる:360ヌクレオチドの5’末端切片と3’末端切片。このような突然変異菌株上のそれぞれの遺伝子の破砕は、PCR及びシーケンシングにより確証した。それぞれの菌株を免疫されたマウスをチャレンジするために用いた。
【0156】
さらに、3種の別のSigAタンパク質の切片を、次のようなプライマーセットを利用して前述のように精製した:SigA1切片のプライマーセット:CCCGGGGAATTCGGTATGGCGAAACAGCATTTGC及びCGGCGGCTCGAGCTAGTGGTGGTGGTGGTGGTGCTCTTGTTTTTTACCATCCA(EcoRI及びXhoIを利用した824bp切片)、SigA3切片のプライマーセット:CCGGGGAAGCTTGACCCCTACAGAAAATAATA及びCGGCGGCTCGAGCTAGTGGTGGTGGTGGTGGTGCTCGCCATTGGTGTCACGCA(HindIII及びXhoIを利用した822bp切片)、及びSigA4切片のプライマーセット:CCCGGGGAATTCGGGATAAAAAACATGAGCTGG及びCGGCGGCTCGAGCTAGTGGTGGTGGTGGTGGTGGAAAGAGTAACGGAAGTTGG(EcoRI及びXhoIを利用した702bp切片)。前述のように、これら切片を過剰発現及び精製した。前記SigA1切片は免疫原性を見せていたが保護してはいず、SigA3及びSigA4切片はマウスで抗体反応を誘発しなかった。全てのプライマーは、ゼノテク社(Genotech、Taejon、Korea)から購入した。
【0157】
バクテリア菌株
シゲラ・フレックスネリ2a菌株2457T及びシゲラ・フレックスネリ5a菌株M90Tは、フィリップ・サンソネッティ博士(Dr. Philippe Sansonetti, Institut Pasteur, Paris, France)により提供された。
【0158】
シゲラ・ボイディ(IB8295)血清型1は、2002年に収集されたパキスタンの疫痢患者から入手した(国際ワクチン研究所の所蔵品)。
【0159】
シゲラ・ソンネイ(IB4200)は、2004年にインドから収集された疫痢患者から入手され、G.B.ネア博士(Dr.G.B.Nair,NICED,India)により提供された。
【0160】
シゲラ・ディセンテリアエ血清型1は、D.コペコ博士(Dr.D.Kopecko,FDA,Bethesda,MD,USA)により提供された。
【0161】
動物の免疫
全ての動物は、国際指針に従い国際ワクチン研究所(ソウル)の動物保護施設で特定病原体不在の条件下で維持され、本発明で開示された全ての実験は動物実験に対する国際ワクチン研究所の倫理委員会により承認された。
【0162】
本発明の目的のため、免疫性アジュバントは『特定のワクチン抗原と組合せで用いられるとき、抗原特異的免疫反応を加速、持続又は向上させる作用をする任意の物質』(The Use of Conventional Immunologic Adjuvants in DNA Vaccine Preparations, by Shin Sasaki and Kenji Okuda. In D.B. Lowrie and R.G. Whalen (editors), DNA Vaccines: Methods and Protocols, Humana Press, 2000. ISBN 978−0−89603−580−5)であるだけでなく、『ワクチンに対する免疫反応をブースティングして少ないワクチンが必要であるように助けるために用いられる物質』(Definition of Adjuvant, National Cancer Institute;www.cancer.gov/templates/db_alpha.aspx CdrID=43987)に定義される。コレラ毒素、メチル化されていないCpGモチーフを含むオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)及びアルミニウム塩は、抗原と共に投与されるときの公知のアジュバントである。
【0163】
5〜6週齢のめすBalb/cマウスを多様な経路で投与してタンパク質抗原を免疫させた。用量:それぞれの免疫において、25μg用量のタンパク質抗原を等張の発熱体−不在ホスフェート−バッファ生理食塩水、pH 7.4(PBS)内でアジュバントと混合した。前記アジュバントは、コレラ毒素(CT)(3〜5μg/用量)、CpG ODN(4μg/用量)又はアルミニウムヒドロキシド(alum)からなっている。
【0164】
腹腔内投与
合計0.2ml体積のPBS内で25μgのタンパク質抗原を、アジュバントと共に又はアジュバントなく腹腔内注射で投与した。マウスを2週間隔で3回免疫させた。
【0165】
鼻腔内投与
25μgのタンパク質抗原を3μgのコレラ毒素(CT)と共に混合し、それぞれの鼻孔を介し50μlの総体積(鼻孔当り大凡25μl)で投与した。2週及び4週後、同一の条件下でマウスを再び免疫させた。
【0166】
直腸投与
100μgのタンパク質抗原をCT(5μg)と混合し、直腸肛門の穴内に挿入されたピペットを利用して0.2mlの最終体積で投与した。ギニーピッグをそれぞれの免疫の間に2週間隔で3回免疫させた。
【0167】
疫痢の動物モデル
マウス肺炎モデル:50μl PBS内の2×10 CFUのシゲラ・フレックスネリ2a菌株2457Tを免疫されたマウスの鼻孔に接種した。動物を10日間毎日観察した。シゲラ・フレックスネリ5a菌株M90T及びシゲラ・ディセンテリアエ1菌株もチャレンジ実験に用いた。
【0168】
ギニーピッグ角結膜炎モデル:シゲラタンパク質抗原をアジュバントであるCTと共に3回連続的に免疫させた最後の1週後、ギニーピッグを麻酔させ、1×10 cfu/20μlのシゲラ・フレックスネリ2a菌株2457Tをギニーピッグの眼の結膜嚢内に注入した。眼周囲の症候を4〜5日間毎日観察した。全身性免疫と比べるため、50μgのタンパク質を3μgのCTと共に2週間隔で3回腹腔内経路を介し投与し、免疫されたギニーピッグを前述のように最終免疫1週後にチャレンジした。
【0169】
ギニーピッグ大腸炎モデル:最近開発された腸の疫痢モデル(30)を使って本発明に開示された新規のシゲラ共通タンパク質抗原の保護効能を評価した。簡単に、シゲラ・フレックスネリ2a 2457T(1×10 CFU)又はシゲラ・フレックスネリ5a菌株M90TをShim、Suzuki、Changなどにより開示されているように、5週齢のギニーピッグの直腸肛門の穴を介し注入して投与した(30)。疫痢症候(下痢、裏急後重(tenesmus))に対し毎日動物を調査した後、結腸組職検体を解剖学的に分析する前にペントバルビタールを過量投与して動物を犠牲させた。
【0170】
シゲラ共通タンパク質抗原に対する全身性及び粘膜性免疫反応の測定
生物学的流体の収集
血清及び分泌物(唾液、腟及び直腸洗浄物)を一番目に免疫させる1週間前に収集し、1週後それぞれ免疫させた。
【0171】
器官抽出物及び細胞サスペンション単離物の製造
最後の免疫1週後、マウスをペントバルビタールで麻酔させ、0.2ml生理食塩水内の125 i.u.のヘパリン(SIGMA、MO、USA)を腹腔内注射した。心臓から直接採血した後、頚椎脱臼でマウスを犠牲させた。肺が脹れ上がって綺麗になるまで心臓の右心室内にヘパリン(10 i.u./ml)を含むPBS 15mlを注射して灌流させた。微細に切断された肺切片をDNase 1(0.1mg/ml)が補充されたRPMI培地(Gibco Europe、U.K.)内のコラゲナーゼA(0.5mg/ml)(Roche)で37℃で30分間消化させ、単一細胞サスペンションを細胞ストレーナー(strainer)を介し濾過して収集した。ナイロン篩を介し脾臓を押圧することにより、脾臓から単一細胞サスペンションを得た。全てのサスペンションは、アンモニウムクロライドを処理することにより赤血球を除去し、洗浄しており、5% FBSを含むRPMI培地に再浮遊させた後、後述するELISPOT分析により分析されるまで(30分以内)氷上に保管した。
【0172】
細胞のない器官抽出物を製造するため、PERFEXT技術(34)を用いた。灌流された動物の肺を切断し、小さい(2〜3mm厚さ)切片にスライスした後、一定に撹拌しながらヘパリンを含むPBS内で37℃で30分間インキュベーションすることにより再灌流させた。遠心分離(500rpm、3分)により切片をペレット化し、トリトンX100、PMSF及びプロテアーゼ抑制剤でなる抽出バッファ内に再浮遊させた(34)。サンプルを液体窒素内で急遽凍結させ、−70℃に保管した。使用前にサンプルを室温で解凍し、遠心分離した(2,000rpm、5分)。上澄液を収集し、後述したようにELISAにより特定抗体の活性を分析した。
【0173】
抗体ELISA(Enzyme Linked Immunosorbent Assay)
血清、分泌物及び組職PERFEXT抽出物内のシゲラ共通タンパク質抗原に対する抗体のレベルを標準固相酵素結合免疫吸着分析(ELISA)により推定した。ポリスチレン 96−ウェルプレート(NUNC、Denmark)の個別ウェルをそれぞれのタンパク質でコーティングし(1μg/mlのPBS;0.1ml/ウェル;周囲温度で一晩中インキュベーション)、0.05%ツイーン20を含むPBS内の5%(体積/体積)脱脂乳でブロッキングし(0.2ml/ウェル;周囲温度で30分)、PBS−ツイーンで3回洗浄した。PBS−ツイーン内のサンプルを5%脱脂乳溶液で2倍ずつ連続希釈し、周囲温度で2時間の間抗原コーティングされたウェルでインキュベーションし、プレートをPBS−ツイーンで3回洗浄して結合されない抗体を除去した。次に、適切に希釈された(1/5,000)西洋ワサビペルオキシダーゼと接合された山羊抗−マウスIgA又はIgG抗体(Southern Biotechnology,Birmingham,AL,USA)を含むPBS−ツイーン0.1mlを個別ウェルに添加した。以後、前記プレートをPBSで3回洗浄し、発色性酵素基質を添加した後、酵素結合活性をモニタリングした。50μlの0.5 N HSOを添加することにより色の発生を中断させ、ELISA判読器を利用して分光光度法(O.D450)で測定した。データは幾何平均抗体力価で表現しており、力価は対照群(サンプルなし)に添加されたものと同一であるか、それ以上の吸光度値を生成する最も多く希釈されたサンプルの逆数として定義した。
【0174】
ELISPOT分析:シゲラタンパク質抗原に対し特異的な抗体を生成する細胞の頻度を、酵素結合免疫スポット(ELISPOT)分析により測定した(4)。比較のため、コレラ毒素(CT)に対する抗体を生成する細胞の頻度を適用可能時に測定した。簡単に、10μgのコレラ毒素、50μgのSigA2、及びPBSで希釈された100μgのSigA2タンパク質を、底にニトロセルローズのある96−ウェルHAプレート(Millipore,Bedford,USA)の個別ウェルに添加した。4℃で一晩中インキュベーションした後、それぞれのウェルをPBSで洗浄し、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むRPMI培養培地(GIBCO,UK)でブロッキングした。免疫されたマウスの肺及び脾臓細胞サスペンションを、FBSを含むRPMI培地で2倍ずつ連続希釈(ウェル当り800,000個の単核細胞から始める)してインキュベーションした。37℃で4時間インキュベーションした後、個別ウェルをPBSで5回、0.05%ツイーン20を含むPBSで5回洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼが接合された、マウスIgG又はマウスIgAに対する山羊抗体を含むPBS−ツイーン(1:1,000希釈)0.1mlに室温で1時間の間露出させた。PBS−ツイーンで3回、PBSで4回洗浄した後、スポットが消失するまで色原体(chromogen)基質に10〜20分間ウェルを露出させた。以後、プレートを流れる水道水で洗浄した後乾燥した。以後、立体顕微鏡を利用してスポットを計数した。データは、百万個の細胞に調整されたスポット−形成細胞(SFC)の数として表現した。
【0175】
実施例1
IcsP2を利用した粘膜性免疫は、シゲラ・フレックスネリ2aにより誘導された肺炎に対しマウスを保護する。
マウスを前述のように、鼻腔内経路によりCTと共にIcsP2で免疫させた。動物を致死用量のシゲラ・フレックスネリ2a菌株2457Tでチャレンジした。図1の結果は、IcsPタンパク質を利用した免疫は、シゲラ・フレックスネリ2aを利用した肺チャレンジに対し動物を保護するとのことを示す。図1に示した結果から、弱毒化されたシゲラ・フレックスネリ生菌ワクチン菌株(SC602)を鼻腔内投与しても、チャレンジに対しマウスを保護するとのことを示す。
【0176】
実施例2
IcsP2を利用した粘膜性免疫は、独特の血清型のシゲラ・フレックスネリにより誘導された肺炎に対しマウスを保護する。
マウスを前述のように、鼻腔内経路によりCTと共にIcsP2で免疫させた。動物を致死用量のシゲラ・フレックスネリ5a菌株M90T(50μl内の2×10 CFU)でチャレンジした。図2の結果は、IcsPタンパク質を利用した免疫は、シゲラ・フレックスネリ5aを利用した肺チャレンジに対し動物を保護するとのことを示す。逆に、生きている弱毒化されたシゲラ・フレックスネリ2a菌株(SC602)を鼻腔内投与すれば、相違する(5a)血清型に属するシゲラ菌株に対しマウスを保護することに失敗した(図2の黒四角で要約されている結果により見せられた通りである)。
【0177】
実施例3
IcsP2を利用した粘膜性免疫は、シゲラ・ディセンテリアエにより誘導された肺炎に対しマウスを保護する。
マウスを前述のように、鼻腔内経路によりCTと共にIcsP2で免疫させた。動物を致死用量のシゲラ・ディセンテリアエタイプ1(D.Kopecdko博士(FDA,Bethesda,MD,USA)により提供された菌株)でチャレンジした。
【0178】
図3で提供された結果は、動物がIcsP2で免疫されるとき、動物は他のシゲラ種、即ちシゲラ・ディセンテリアエタイプ1によるチャレンジに対し保護されるとのことを示す。逆に、生きている弱毒化されたシゲラ・フレックスネリ2a菌株であるSC602は、シゲラ・ディセンテリアエタイプ1を利用した致死的な肺チャレンジに対しマウスを保護することに失敗した。
【0179】
前記実験から、IcsP2は独特の血清型に属するシゲラ・フレックスネリを利用した粘膜性感染に対してだけでなく、シゲラ・ディセンテリアエのような相違するシゲラ種によりもたらされる感染に対しても保護するとの結論を下ろすことができる。
【0180】
実施例4
SigA2を利用した粘膜性免疫は、シゲラ・フレックスネリ2a(2457T)チャレンジに対しては保護するものの、シゲラ・フレックスネリ5a(M90T)に対しては保護しない。
SigAタンパク質は、シゲラ・フレックスネリ2aでのみ排他的に存在し、他の血清型のシゲラ・フレックスネリでは存在しないものと知られている(1)。SigA2タンパク質で免疫されたマウスを、致死用量のシゲラ・フレックスネリ2a(2457T、黒丸)及びシゲラ・フレックスネリ5a(M90T、黒四角)でチャレンジした。2457Tでチャレンジされたマウスは80%の生存を見せたが、シゲラ・フレックスネリ5aでチャレンジされたマウスは、バクテリアにより誘導された肺炎により死んだ。PBSで免疫されたマウスは、2457T(図4の白丸)及びM90T(図4の白四角)の二つの菌株により100%死ぬとのことを見せた。
【0181】
実施例5
IcsP2を利用した免疫は、実験的な角結膜炎に対し保護する。
【0182】
ギニーピッグを前述のように、IcsP2及び対照群(PBSで免疫されたシャム(sham))で免疫させた。IcsP2及びCTを利用した3回の連続的な免疫の最後の免疫1週後に、動物を1×10コロニー形成単位の毒性シゲラ・フレックスネリ2a 2457Tを利用して鼻腔内又は腹腔内経路により投与してチャレンジした。以後、チャレンジ24時間及び48時間後に眼の炎症(角結膜炎)の症状及び強度に対しギニーピッグを調査した。検出可能な炎症のない動物は保護されたものと看做した。下記表1で見られるところのように、鼻腔内又は腹腔内経路により投与されたIcsP2で免疫された動物の40〜50%がシゲラにより誘導された角結膜炎に対し保護されたが、対照群動物(PBSで処理される)は全て角結膜炎を表した。
【表1】

【0183】
実施例6
IcsP2、SigA2を利用した免疫は、シゲラにより誘導された実験的な直腸結腸炎に対し保護する。
IcsP2、SigA2、SC602及びPBSで免疫されたギニーピッグを、1×10 CFUの接種物(inoculum)で毒性シゲラ・フレックスネリ2a菌株2457でチャレンジしており、接種24時間後下痢、結腸の出血及び裏急後重の頻度に対し調査した。表2に見られるところのように、対照群(PBS処理される)動物は全て直腸結腸粘膜の出血を見せており、これら大部分は下痢(固形大便なし)をし、直腸の裏急後重とも呼ばれる大便の捻挫症状を表した。逆に、SigA2で免疫された動物は直腸結腸炎の症状がなかったが、裏急後重は表した。生きている弱毒化されたシゲラ・フレックスネリ2a菌株SC602で免疫された動物は、毒性シゲラ・フレックスネリ2a(2457T菌株)を利用したチャレンジに対し保護された。最も重要なことは、精製されたIcsP2で免疫されたギニーピッグは、さらにシゲラ・フレックスネリ2a(2457T菌株)を利用したチャレンジに対しても完全に保護された。
【表2】

【0184】
実施例7
IcsP2は、シゲラにより誘導されたギニーピッグ大腸炎モデルで、相違する血清型のシゲラ・フレックスネリ及びシゲラ・ディセンテリアエタイプ1に対し保護性免疫を誘導する。
【表3】

【0185】
実施例8
CTアジュバントと共にSigA2又はIcsP2を粘膜に投与すれば、血清抗体反応を誘導する。
以後、3回目の鼻腔内免疫1週後に血清抗体のレベルを測定した。図5で見られるところのように、それぞれの免疫に対し10μgの量のそれぞれのシゲラタンパク質で免疫されたマウスは、当該抗原に対し激しい(vigorous)血清IgG抗体反応を表したが、これは2回目の免疫後に既に表れており、3回目のワクチン化によりさらに増加した。図5は、それぞれの3回の連続的な免疫後の抗体の力価が、SigA2及びIcsP2タンパク質に対し表れていることを見せる。
【0186】
実施例9
シゲラ共通タンパク質抗原を粘膜に投与すれば、全身性及び粘膜性免疫反応を誘導する。
CTでアジュバントされたSigA2又はIcsP2で3回鼻腔内免疫させた1週後に収集された細胞サスペンションに対し行われたELISpot分析により、SigA2又はIcsP2で免疫されたマウスの脾臓及び肺内の抗体−分泌細胞を計数した。図6a及び図6bに示した結果は、3〜4匹のマウス群に対し測定された百万単核細胞当りASCの平均数(ヒストグラム)と前記平均の標準偏差(垂直の線)で表現される。図で見られるところのように、SigA2で免疫された動物は、脾臓(図6a)及び肺(図6b)全てでIgA−ASC反応を優勢に表し、さらにIgG−ASC反応も表した。IcsP2で免疫されたマウスでは、IcsP2特異的IgA−及びIgG−ASC反応に対し非常に類似する結果が得られた。
【0187】
鼻腔内(i.n.)経路又は腹腔内(i.p.)経路によりSigA2で免疫されたマウスの肺抽出物を、3回の連続的な免疫の最後の免疫1週後にSigA2特異的IgG抗体活性に対し分析した。図7で見られるところのように、SigA2を利用した全身性(i.p.)及び粘膜性(i.n.)免疫は、肺及び血清で抗体反応を誘導した。IcsP2を鼻腔内投与した後、IcsP2で免疫されたマウスでも類似する肺反応が記録された。
【0188】
併せて考慮するとき、前記結果等は粘膜に投与されたSigA2及びIcsP2が免疫性であり、全身性及び粘膜性抗体反応を誘導することができることを示す。
【0189】
実施例10
IcsP2及びSigA2に対する血清抗体は、全長IcsP及びSigAシゲラタンパク質と反応する。
シゲラタンパク質のウエスタンブロット分析:シゲラ・フレックスネリ血清型2a 2457T、シゲラ・ボイディ及びシゲラ・ソンネイの全体細胞の洗剤抽出物に対するSDS−PAGEを行っており、前記タンパク質をニトロセルローズ膜へ伝達した。膜を(PBS−ツイーン20内で)1/50又は1/100に希釈されたマウス抗血清で、周囲温度で2時間の間インキュベーションした。前記抗血清は、前述のようにミョウバン(alum)賦形剤と共に投与されたSigA2及びIcsP2の腹腔内注射により得た。PBS−ツイーンで洗浄した後、前記膜をマウスIgに対するアルカリホスファターゼ接合された山羊抗体(Southern Biotech,Birmingham,AL,USA)でさらにインキュベーションした。洗浄後、BCIP−NBT色原体基質を添加することにより膜を現像した。比較目的のため、別途の膜をクーマシーブルー(Coomassie Blue)で染色した。図9a及び図9bで見られるところのように、SigA2及びIcsP2に対し誘発された抗血清は、相違するシゲラ種(シゲラ・フレックスネリ2a、シゲラ・ボイディ、シゲラ・ソンネイ及びシゲラ・ディセンテリアエ)の全長SigA及びIcsP2(矢印はタンパク質の位置に当る)を認識することができる。
【0190】
実施例11
SigA2に対する抗血清の試験管内抑制効果
全面生長した(confluent)HeLa細胞を、浸透性100、10及び1の感染多重度(multiplicity of infection、m.o.i.)で、37℃で2時間の間シゲラ・フレックスネリ2a24 57T菌株で感染させた。前記バクテリアを洗浄し、培養物をアガロースで覆った。注射後48時間に行われたGiemsa染色によりプラクを視覚化した。SigA2に対する抗血清がプラクの形成を抑制する能力をテストするため、浸透性バクテリア及びテスト抗血清を細胞に添加する前に20分間混合した(図9a及び図9b)。Giemsa染色後プラクの減少をモニタリングした。図9bに示されているように、SigA2に対する抗体は、シゲラ・フレックスネリによるプラクの形成を抑制した。M.O.I.10で、感染した細胞で浸透性シゲラ・フレックスネリ2aにより誘導されたプラクの数は、抗血清のない対照群(図9a)と比べてSigA2に対するマウス抗血清の存在時(図9b)に大凡60%減少した。
【0191】
実施例12
シゲラ菌株におけるIcsP及びSigAの存在を確証する。
【0192】
前記『シゲラSigA2及びIcsp2ポリペプチドのクローニング、発現及び精製』部分で開示された過剰発現ベクターの構築に用いられたプライマーを利用したPCRにより、シゲラ菌株におけるIcsP及びSigAの存在を確証した。
【0193】
図10に示されているように、SigA2及びIcsP2切片に対するプライマーセットを利用したPCRにより、それぞれのシゲラ種の血清型でのsigA遺伝子及びicsP遺伝子の存在を確証した。シゲラ・ディセンテリアエのsigAを除き、全ての菌株からsigA2及びicsP2の核酸切片をPCRにより増幅した。前記sigA遺伝子は、全体ゲノムシーケンシング結果によりシゲラ・ディセンテリアエ菌株ではないものと知られている(39)。
【0194】
実施例13
SigA2に対する抗体は、シゲラ・フレックスネリ2aによる角結膜炎を抑制する。
毒性シゲラ・フレックスネリ2a菌株2457T(20μlでの2×10コロニー形成単位)をPBS、同一体積のSigA2に対する抗血清又は前免疫(preimmune)血清と混合した後、ギニーピッグの結膜嚢内に接種した。図11のAで見られるところのように、左上のパネルは、対照群動物でシゲラ・フレックスネリ2a(2457T菌株)の接種後、普通の(24時間)眼周囲炎症を見せ、48時間には深刻になったことを見せる(右上パネル、図11のB)。逆に、図11の下側二つのパネルで見られるところのように、SigA2に対する抗血清は、シゲラ・フレックスネリ(2457T菌株)バクテリアの同時投与により誘導される眼の炎症を24時間(図11のC)及び48時間(図11のD)後に抑制した。前免疫血清と混合したバクテリアで接種されたギニーピッグは角結膜炎が発生した。
【0195】
実施例14
icsP及びsigAが破砕された突然変異体菌株は、それぞれIcsP2及びSigA2により誘導された免疫から免れることができる。
IcsP2、SigA2又はSC602(生きている弱毒化されたシゲラ・フレックスネリ2a菌株)でマウスをそれぞれ免疫させた。シゲラ・フレックスネリ2a又はIcsP又はSigAのうち一つが欠失されたシゲラ・フレックスネリ2a(本発明ではKO菌株と表す)で動物等をチャレンジした。表4に示したように、マウスはシゲラ・フレックスネリ2aを利用したチャレンジでは生存したものの、KO菌株を利用したチャレンジでは死んだが、これはそれぞれIcsP2及びSigA2により誘導された保護の特異性を見せるものである。
【表4】

【0196】
参考文献
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50. WO/1999/003871.
51. 米国特許第4,771,127号
52. 米国特許第5,866,132号.
【0197】
本発明は、本明細書に開示された特定の具現例よりその範囲が限定されるものではない。実際に、本明細書に開示されたものなどに加え、本発明の多様な具現例が前述の内容及び添付の図から、本技術分野の当業者において自明になるはずである。このような変形は、添付された請求項の範囲内に属するための意図である。併せて、全ての値等は近似値であり、説明のため提供されるとの点が理解されなければならない。
【0198】
特許、特許出願、公開文献、製品の説明及びプロトコル(protocol)が本出願の全般に亘って引用されており、その開示された内容は、全ての目的のためにその全体が引用により本発明に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シゲラに対する免疫反応を起こすのに効果的な量のシゲラタンパク質IcsP2又はSigA2タンパク質、及び薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を含むシゲラに対し、哺乳動物を免疫させるためのワクチン組成物。
【請求項2】
シゲラに対する免疫反応を起こすのに効果的な量のシゲラタンパク質IcsP2、及び薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を含むシゲラに対し、哺乳動物を免疫させるためのワクチン組成物。
【請求項3】
前記IcsP2タンパク質は、担体タンパク質に化学的に接合されている請求項2に記載のワクチン。
【請求項4】
シゲラに対する免疫反応を起こすのに効果的な量のシゲラSigA2、及び薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を含むシゲラに対し、哺乳動物を免疫させるためのワクチン組成物。
【請求項5】
前記IcsP2タンパク質は、IcsP2の配列及び担体タンパク質の配列をコーディングするポリペプチドの遺伝子融合生成物である請求項2に記載のワクチン。
【請求項6】
前記SigA2タンパク質は、担体タンパク質に化学的に接合されている請求項5に記載のワクチン。
【請求項7】
前記SigA2タンパク質は、担体及び前記SigA2タンパク質の遺伝子融合生成物である請求項5に記載のワクチン。
【請求項8】
前記担体タンパク質は破傷風毒素、ジフテリア毒素、コレラ毒素Bサブユニット、大腸菌腸毒素Bサブユニット及びフラジェリンでなる群から選択される請求項3、5、6又は7に記載のワクチン。
【請求項9】
さらにアジュバントを含む請求項1〜請求項8の何れか一項に記載のワクチン。
【請求項10】
さらにアジュバントを含み、前記アジュバントは、油中水型エマルジョン及びダブルオイルでなる群から選択されるエマルジョンのオイル相である請求項5に記載のワクチン。
【請求項11】
配列番号2のアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
【請求項12】
配列番号4のアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
【請求項13】
請求項11に記載のポリペプチドをコーディングする単離された核酸配列。
【請求項14】
請求項12に記載のポリペプチドをコーディングする単離された核酸配列。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のポリペプチドをコーディングする単離された核酸配列。
【請求項16】
請求項13、14又は15に記載の核酸配列を含むベクター。
【請求項17】
バクテリアベクター、ウイルスベクター、バクテリオファージ、酵母ベクター、ウイルス−類似粒子及びプラスミドDNAでなる群から選択される請求項16に記載のベクター。
【請求項18】
請求項15又は16に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項19】
タンパク質発現に適した条件下で請求項18の宿主細胞を培養する段階、及び前記ポリペプチドを収集する段階を含むシゲラIcsP2及びSigA2ポリペプチドの製造方法。
【請求項20】
(a)シゲラIcsP2及びSigA2及び(b)アジュバントを含む免疫性組成物であって、前記(a)及び(b)の量は組み合わせてシゲラに対する免疫反応を起こすのに効果的な免疫性組成物。
【請求項21】
請求項1〜請求項7の何れか一項に記載のワクチン組成物を効果量で投与する段階を含む、シゲラによりもたらされる病原性感染を病むか、病原性感染に敏感な哺乳動物を治療する方法。
【請求項22】
前記ワクチン組成物の効果量は、大凡10μg〜大凡2mgの間の範囲である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜請求項7の何れか一項に記載のワクチン組成物のうち何れか一つを効果量で投与する段階を含む、哺乳動物の免疫反応を調節する方法。
【請求項24】
前記ワクチン組成物の効果量は、大凡10μg〜大凡2mgの間の範囲である請求項22に記載の方法。
【請求項25】
請求項6に記載のシゲラIcsP2ポリペプチドに特異的に結合する抗体。
【請求項26】
請求項7に記載のSigA2ポリペプチドに特異的に結合する抗体。
【請求項27】
前記抗体は、さらに酵素、フルオロクロム、レクチン、炭水化物、ビオチン、アビジン、放射性同位元素、毒素及び重金属でなる群から選択される標識を含む請求項25又は26に記載の抗体。
【請求項28】
シゲラIcsP2又はSigA2タンパク質に共有結合されたシゲラバクテリアのO抗原からなるポリサッカライドでなる接合体分子。
【請求項29】
請求項11又は12に記載のポリペプチドに共有結合されたシゲラバクテリアのO抗原からなるサッカライドを含む接合体分子。
【請求項30】
疫痢に対し免疫が必要な哺乳動物を免疫させるための請求項28又は29に記載の接合体分子を含むワクチン。
【請求項31】
シゲラ属と係りのないバクテリア由来のポリサッカライドを含む接合体分子であって、前記ポリサッカライドはシゲラIcsP2又はSigA2タンパク質に共有結合されている接合体分子。
【請求項32】
シゲラ属と係りのないバクテリア由来のポリサッカライドを含む接合体分子であって、前記ポリサッカライドは請求項11又は12に記載のポリペプチドに共有結合されている接合体分子。
【請求項33】
シゲラ属と係りのないバクテリア由来のポリサッカライドを含む接合体分子であって、前記ポリサッカライドはリポポリサッカライドである接合体分子。
【請求項34】
疫痢及び請求項31又は32に記載のポリサッカライドを発現する病原体によりもたらされる疾患に対し、免疫が必要な哺乳動物を免疫させるための請求項28又は29に記載の接合体分子を含むワクチン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−506413(P2012−506413A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532739(P2011−532739)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007385
【国際公開番号】WO2010/046778
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(511101092)インターナショナル ワクチン インスティテュート (1)
【Fターム(参考)】