説明

新規オキシムエステル化合物およびそれを含んでなるラジカル重合開始剤および重合性組成物

【課題】高感度なラジカル重合開始剤として機能しうる新規化合物および該化合物を用いた硬化性組成物の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物および該化合物を用いた硬化性組成物。一般式(1)


(式中、R1〜R5、およびR12〜R16は、水素原子、アルキル等を表す。R6〜R11は、水素原子等を表す。XおよびYは、一価の有機残基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なオキシムエステル化合物およびそれを含んでなるラジカル重合開始剤およびそれを用いた重合性組成物に関する。さらに詳しくは、エネルギー線、特に光の照射によりフリーラジカルを効率よく発生し、ラジカル重合性化合物を短時間に確実に重合させ、例えば成形樹脂、注型樹脂、光造形用樹脂、封止剤、歯科用重合レジン、印刷インキ、塗料、印刷版用感光性樹脂、印刷用カラープルーフ、カラーフィルター用レジスト、ブラックマトリクス用レジスト、液晶用フォトスペーサー、リアプロジェクション用スクリーン材料、光ファイバー、プラズマディスプレー用リブ材、ドライフィルムレジスト、プリント基板用レジスト、ソルダーレジスト、半導体用フォトレジスト、マイクロエレクトロニクス用レジスト、マイクロマシン用部品製造用レジスト、エッチング用レジスト、マイクロレンズアレー、絶縁材、ホログラム材料、光学スイッチ、導波路用材料、オーバーコート剤、粉末コーティング、接着剤、粘着剤、離型剤、光記録媒体、粘接着剤、剥離コート剤、マイクロカプセルを用いた画像記録材料のための組成物、各種デバイスなどの分野において良好な物性を持った重合物を得るための新規なラジカル重合開始剤およびそれを用いた重合性組成物関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ある種のオキシムエステル化合物が光開始剤として機能することは公知である(非特許文献1、特許文献1,2参照)。また、ポジ又はネガ型の感光性ポリイミド前駆体用組成物の光ラジカル重合開始剤として、α−ケトオキシムエステル化合物が開示されている(特許文献3参照)。また、ある種のα,α'−ジケトオキシムエステル化合物が開示されている(特許文献4〜8参照)。また、ある種のo−アシルオキシムエステル化合物が開示されている(特許文献9〜12参照)。近年、生産性の向上や新しく提案される様々なプロセスに対応すべく、重合開始剤の高感度化が普遍的に求められ、活発な研究がなされてきた結果、目覚しい進歩が見られるが、それでもなお、さらなる感度の向上が生産性の向上やプロセスの対応に及ぼす影響は計り知れない。また、一方で感度以外にも、低臭気性、低黄変性、溶解性、現像性などの多種多様な機能を併せ持ち、なおかつ低コストな開始剤が望まれている。
【0003】
【非特許文献1】European polymer Journal, 1970, 6, 933−943
【特許文献1】米国特許第3,558,309号明細書
【特許文献2】米国特許第4,255,513号明細書
【特許文献3】特開平7−140,658号公報
【特許文献4】米国特許第5,019,482号明細書
【特許文献5】特開昭62−184,056号公報
【特許文献6】特開昭62−273,259号公報
【特許文献7】特開昭62−286,961号公報
【特許文献8】特開昭62−201,859号公報
【特許文献9】特開2001−233,842号公報
【特許文献10】特開2000−80,068号公報
【特許文献11】特表2004−534,797号公報
【特許文献12】特許第4007399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、エネルギー線、特に光の照射により活性なラジカルを効率よく発生し、ラジカル重合性化合物を短時間に重合させうる高感度なラジカル重合開始剤として機能しうる新規オキシムエステル化合物およびそれを用いた硬化性組成物を提案することにある。例えば、インキ、塗料、感光性印刷板、プルーフ材料、フォトレジスト、ホログラム材料、封止剤、オーバーコート材、光造形用樹脂、接着剤等の分野において実用的なオリゴマーやポリマーを工業的に提供し、良好な特性を持った硬化物を得るための、ラジカル重合開始剤およびそれを用いた重合性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、以上の諸問題点を考慮し解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。すなわち本発明は、下記一般式(1)で表される化合物に関する。
【0006】
一般式(1)
【化1】

【0007】
(式中、R1〜R5、およびR12〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキニル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、または、置換もしくは未置換のアミノ基を表す。また、これらR1〜R5、およびR12〜R16は、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよい。
6〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、または、置換もしくは未置換のアミノ基を表す。
XおよびYは、それぞれ独立に、一価の有機残基を表す。)
【0008】
また、本発明は、R12〜R16の少なくとも一つが、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、または置換もしくは未置換のアミノ基である上記化合物に関する。
【0009】
また、本発明は、R12〜R16の少なくとも一つが、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基である上記化合物に関する。
【0010】
また、本発明は、上記化合物を含んでなるラジカル重合開始剤(A)に関する。
【0011】
また、本発明は、上記ラジカル重合開始剤(A)とラジカル重合性化合物(B)とを含んでなる重合性組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、さらに増感剤(C)を含んでなる上記重合性組成物に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の化合物は、1−位にベンゾイルカルバゾリル基、また3−位にフェニル基を有することを特徴とするα,α'−ジケトオキシムエステル化合物であり、エネルギー線、特に光の照射により活性なラジカルを効率よく発生する。したがって、ラジカル重合開始剤として著しく良好な効果を有する化合物を提供することができた。また、本発明の化合物をラジカル重合開始剤(A)として用いることで、良好な特性を持った硬化性組成物を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
まず初めに、本発明の化合物について説明する。本発明の化合物は、一般式(1)で表される構造を有することが特徴である。本発明の化合物をラジカル重合開始剤として用いるときには、一般式(1)の3−位フェニル基に対応する置換基が縮合多環炭化水素基である開始剤に比べて、その合成のしやすさ、原料入手のしやすさからコスト性に優れた開始剤となる。また感度・溶解性・現像性においても優れている。
【0015】
一般式(1)中、R1〜R5、およびR12〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキニル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、または、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアミノ基を表す。また、R6〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、または、置換もしくは未置換のアミノ基を表す。
【0016】
置換もしくは未置換のアルキル基としては、炭素原子数1〜18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられ、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、tert−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0017】
置換もしくは未置換のアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられ、具体例としては、ビニル基、アリル基、スチリル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0018】
置換基もしくは未置換のアルキニル基としては、炭素数2〜10のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基、フェニルエチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0019】
置換もしくは未置換のアリール基としては、炭素数6〜18の単環または縮合多環アリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、1−アセナフチル基、9−フルオレニル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0020】
置換もしくは未置換の複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、単環または縮合多環複素環基が挙げられ、具体例としては、2−フラニル基、2−チエニル基、2−インドリル基、3−インドリル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−アクリジニル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0021】
置換もしくは未置換のアルキルオキシ基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状あるいは縮合多環状アルキルオキシ基が挙げられ、具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、sec−ペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、t−オクチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、ボロニルオキシ基、4−デシルシクロヘキシルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0022】
置換もしくは未置換のアリールオキシ基としては、炭素数6〜18の単環状または縮合多環状アリールオキシ基が挙げられ、具体例としては、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、5−ナフタセニルオキシ基、1−インデニルオキシ基、2−アズレニルオキシ基、1−アセナフチルオキシ基、9−フルオレニルオキシ基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0023】
置換もしくは未置換の複素環オキシ基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、単環状または縮合多環状複素環オキシ基が挙げられ、具体例としては、2−フラニルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−インドリルオキシ基、3−インドリルオキシ基、2−ベンゾフリルオキシ基、2−ベンゾチエニルオキシ基、2−カルバゾリルオキシ基、3−カルバゾリルオキシ基、4−カルバゾリルオキシ基、9−アクリジニルオキシ基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0024】
アルキルスルファニル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルスルファニル基が挙げられ、具体例としては、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、プロピルスルファニル基、ブチルスルファニル基、ペンチルスルファニル基、ヘキシルスルファニル基、オクチルスルファニル基、デシルスルファニル基、ドデシルスルファニル基、オクタデシルスルファニル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0025】
アリールスルファニル基としては、炭素数6〜18の単環状または縮合多環状アリールスルファニル基が挙げられ、具体例としては、フェニルスルファニル基、1−ナフチルスルファニル基、2−ナフチルスルファニル基、9−アンスリルスルファニル基、9−フェナントリルスルファニル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0026】
置換もしくは未置換のアシル基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族が結合したカルボニル基、あるいは、炭素数6から18の単環状あるいは縮合多環状アリール基が結合したカルボニル基、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、炭素数4〜18の単環状あるいは縮合多環状複素環基が結合したカルボニル基が挙げられ、それらは構造中に不飽和結合を有していてもよく、具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、シンナモイル基、3−フロイル基、2−テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、9−アンスロイル基、5−ナフタセノイル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0027】
置換もしくは未置換のアミノ基としては、総炭素数0〜50のアミノ基が好ましく、例えば、−NH2,N−アルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N−アシルアミノ基、N−スルホニルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、N、N−ジスルホニルアミノ基等が挙げられる。より具体的には、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−t―ブチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基、N−オクチルアミノ基、N−2−エチルヘキシルアミノ基、N−デシルアミノ基、N−オクタデシルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−2−メチルフェニルアミノ基、N−2−クロロフェニルアミノ基、N−2−メトキシフェニルアミノ基、N−2−イソプロポキシフェニルアミノ基、N−2−(2−エチルヘキシル)フェニルアミノ基、N−3−クロロフェニルアミノ基、N−3−ニトロフェニルアミノ基、N−3−シアノフェニルアミノ基、N−3−トリフルオロメチルフェニルアミノ基、N−4−メトキシフェニルアミノ基、N−4−シアノフェニルアミノ基、N−4−トリフルオロメチルフェニルアミノ基、N−4−メチルスルファニルフェニルアミノ基、N−4−フェニルスルファニルフェニルアミノ基、N−4−ジメチルアミノフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N、N−ジメチルアミノ基、N、N−ジエチルアミノ基、N、N−ジブチルアミノ基、N、N−ジフェニルアミノ基、N、N−ジアセチルアミノ基、N、N−ジベンゾイルアミノ基、N、N−(ジブチルカルボニル)アミノ基、N、N−(ジメチルスルホニル)アミノ基、N、N−(ジエチルスルホニル)アミノ基、N、N−(ジブチルスルホニル)アミノ基、N、N−(ジフェニルスルホニル)アミノ基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0028】
さらに、前述した置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキニル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、または、置換もしくは未置換のアシル基、置換もしくは未置換のアミノ基の水素原子はさらに他の置換基で置換されていても良い。
【0029】
そのような置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルキルオキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルキルオキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基、フリル基、チエニル基等の複素環基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
【0030】
一般式(1)中、好ましくは、置換基R12〜R16の少なくとも一つが、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、および置換もしくは未置換のアミノ基のいずれかであり、より好ましくは、置換基R12〜R16の少なくとも一つが、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、および置換もしくは未置換のアミノ基のいずれかである。
【0031】
具体例としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、ジメチルアミノ基が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0032】
さらに、特に好ましい場合として、置換基R12〜R16の少なくとも一つが置換もしくは未置換のアルキルオキシ基である。
【0033】
これらの置換基により、一般式(1)中のR12〜R16の少なくとも一つが置換されている場合、光重合開始剤(A)として用いると、より少ない光の照射量で化合物が分解し、効率よくラジカルを発生するようになるほか、吸収特性や、樹脂・溶剤との相溶性や、経時安定性の向上、現像性の向上などのすべてにおいて優れるため好ましいが、現在のところその詳細な理由については明らかではない。
【0034】
一般式(1)中、R6〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、または、置換もしくは未置換のアミノ基を表す。
【0035】
ここで、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、または、置換もしくは未置換のアミノ基は、前述したR1〜R5、およびR12〜R16における置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、または、置換もしくは未置換のアミノ基と同義である。
【0036】
これらR6〜R11がとりうる置換基の水素原子はさらに置換されていてもよく、そのような置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルキルオキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルキルオキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基、フリル基、チエニル基等の複素環基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
【0037】
これらR6〜R11は、原料の入手のしやすさ、合成のしやすさから、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基が好ましい。
また、これらR1〜R5、およびR12〜R16は、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよく、具体例としては以下が挙げられるが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
【化2】

【0039】
【化3】

【0040】
一般式(1)中の置換基XおよびYは一価の有機残基を表わす。一価の有機残基としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルキルオキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよい複素環オキシ基、置換基を有してもよいアシルオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、置換基を有してもよいスルファモイル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよい複素環基が挙げられる。
【0041】
置換基を有してもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、3−ニトロフェナシル基等が挙げられる。
【0042】
置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、およびp−トリル基、キシリル基、o−、m−、およびp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられる。
【0043】
置換基を有してもよいアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基等が挙げられる。
【0044】
置換基を有してもよいアルキニル基としては、炭素数2〜10のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
【0045】
置換基を有してもよいアルキルオキシ基としては、炭素数1〜30のアルキルオキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシキ、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、エトキシカルボニルメチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ基、アミノカルボニルメチルオキシ基、N, N−ジブチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N− メチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−エチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−オクチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−メチル−N−ベンジルアミノカルボニルメチルオキシ基、ベンジルオキシ基、シアノメチルオキシ基等が挙げられる。
【0046】
置換基を有してもよいアリールオキシ基としては、炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、2−クロロフェニルオキシ基、2−メチルフェニルオキシ基、2−メトキシフェニルオキシ基、2−ブトキシフェニルオキシ基、3−クロロフェニルオキシ基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシ基、3−シアノフェニルオキシ基、3−ニトロフェニルオキシ基、4−フルオロフェニルオキシ基、4−シアノフェニルオキシ基、4−メトキシフェニルオキシ基、4−ジメチルアミノフェニルオキシ基、4−メチルスルファニルフェニルオキシ基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシ基等が挙げられる。
【0047】
置換基を有してもよい複素環オキシ基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、単環状または縮合多環状複素環オキシ基が挙げられ、具体例としては、2−フラニルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−インドリルオキシ基、3−インドリルオキシ基、2−カルバゾリルオキシ基、2−ベンゾフリルオキシ基、2−ベンゾチエニルオキシ基、3−カルバゾリルオキシ基、4−カルバゾリルオキシ基、9−アクリジニルオキシ基等が挙げられる。
【0048】
置換基を有してもよいアシルオキシ基としては、炭素数2〜20のアシルオキシ基が好ましく、例えば、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、トリフルオロメチルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、1−ナフチルカルボニルオキシ基、2−ナフチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0049】
置換基を有してもよいアルキルスルファニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルファニル基が好ましく、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、プロピルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基、ブチルスルファニル基、ヘキシルスルファニル基、シクロヘキシルスルファニル基、オクチルスルファニル基、2−エチルヘキシルスルファニル基、デカノイルスルファニル基、ドデカノイルスルファニル基、オクタデカノイルスルファニル基、シアノメチルスルファニル基、メトキシメチルスルファニル基等が挙げられる。
【0050】
置換基を有してもよいアリールスルファニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルファニル基が好ましく、例えば、フェニルスルファニル基、1−ナフチルスルファニル基、2−ナフチルスルファニル基、2−クロロフェニルスルファニル基、2−メチルフェニルスルファニル基、2−メトキシフェニルスルファニル基、2−ブトキシフェニルスルファニル基、3−クロロフェニルスルファニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルファニル基、3−シアノフェニルスルファニル基、3−ニトロフェニルスルファニル基、4−フルオロフェニルスルファニル基、4−シアノフェニルスルファニル基、4−メトキシフェニルスルファニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルファニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルファニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルファニル基等が挙げられる。
【0051】
置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基が好ましく、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、オクチルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、デカノイルスルフィニル基、ドデカノイルスルフィニル基、オクタデカノイルスルフィニル基、シアノメチルスルフィニル基、メトキシメチルスルフィニル基等が挙げられる。
【0052】
置換基を有してもよいアリールスルフィニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルフィニル基が好ましく、例えば、フェニルスルフィニル基、1−ナフチルスルフィニル基、2−ナフチルスルフィニル基、2−クロロフェニルスルフィニル基、2−メチルフェニルスルフィニル基、2−メトキシフェニルスルフィニル基、2−ブトキシフェニルスルフィニル基、3−クロロフェニルスルフィニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル基、3−シアノフェニルスルフィニル基、3−ニトロフェニルスルフィニル基、4−フルオロフェニルスルフィニル基、4−シアノフェニルスルフィニル基、4−メトキシフェニルスルフィニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
【0053】
置換基を有してもよいアルキルスルホニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が好ましく、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、デカノイルスルホニル基、ドデカノイルスルホニル基、オクタデカノイルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基、メトキシメチルスルホニル基等が挙げられる。
【0054】
置換基を有してもよいアリールスルホニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルホニル基が好ましく、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2−メチルフェニルスルホニル基、2−メトキシフェニルスルホニル基、2−ブトキシフェニルスルホニル基、3−クロロフェニルスルホニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3−シアノフェニルスルホニル基、3−ニトロフェニルスルホニル基、4−フルオロフェニルスルホニル基、4−シアノフェニルスルホニル基、4−メトキシフェニルスルホニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルホニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルホニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0055】
置換基を有してもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロメチルカルボニル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等が挙げられる。
【0056】
置換基を有してもよいアルキルオキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、トリフルオロメチルオキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0057】
置換基を有してもよいカルバモイル基としては、総炭素数1〜30のカルバモイル基が好ましく、例えば、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N−ヘキシルカルバモイル基、N−シクロヘキシルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N−デシルカルバモイル基、N−オクタデシルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−2−メチルフェニルカルバモイル基、N−2−クロロフェニルカルバモイル基、N−2−イソプロポキシフェニルカルバモイル基、N−2−(2−エチルヘキシル)フェニルカルバモイル基、N−3−クロロフェニルカルバモイル基、N−3−ニトロフェニルカルバモイル基、N−3−シアノフェニルカルバモイル基、N−4−メトキシフェニルカルバモイル基、N−4−シアノフェニルカルバモイル基、N−4−メチルスルファニルフェニルカルバモイル基、N−4−フェニルスルファニルフェニルカルバモイル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基、N、N−ジメチルカルバモイル基、N、N−ジブチルカルバモイル基、N、N−ジフェニルカルバモイル基等が挙げられる。
【0058】
置換基を有してもよいスルファモイル基としては、総炭素数0〜30のスルファモイル基が好ましく、例えば、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N、N−ジアルキルスルファモイル基、N、N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモオイル基等が挙げられる。より具体的には、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基、N−オクチルスルファモイル基、N−2−エチルヘキシルスルファモイル基、N−デシルスルファモイル基、N−オクタデシルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N−2−メチルフェニルスルファモイル基、N−2−クロロフェニルスルファモイル基、N−2−メトキシフェニルスルファモイル基、N−2−イソプロポキシフェニルスルファモイル基、N−3−クロロフェニルスルファモイル基、N−3−ニトロフェニルスルファモイル基、N−3−シアノフェニルスルファモイル基、N−4−メトキシフェニルスルファモイル基、N−4−シアノフェニルスルファモイル基、N−4−ジメチルアミノフェニルスルファモイル基、N−4−メチルスルファニルフェニルスルファモイル基、N−4−フェニルスルファニルフェニルスルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基等が挙げられる。
【0059】
置換基を有してもよいアミノ基としては、総炭素数0〜50のアミノ基が好ましく、例えば、−NH2,N−アルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N−アシルアミノ基、N−スルホニルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、N、N−ジスルホニルアミノ基等が挙げられる。より具体的には、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−t―ブチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基、N−オクチルアミノ基、N−2−エチルヘキシルアミノ基、N−デシルアミノ基、N−オクタデシルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−2−メチルフェニルアミノ基、N−2−クロロフェニルアミノ基、N−2−メトキシフェニルアミノ基、N−2−イソプロポキシフェニルアミノ基、N−2−(2−エチルヘキシル)フェニルアミノ基、N−3−クロロフェニルアミノ基、N−3−ニトロフェニルアミノ基、N−3−シアノフェニルアミノ基、N−3−トリフルオロメチルフェニルアミノ基、N−4−メトキシフェニルアミノ基、N−4−シアノフェニルアミノ基、N−4−トリフルオロメチルフェニルアミノ基、N−4−メチルスルファニルフェニルアミノ基、N−4−フェニルスルファニルフェニルアミノ基、N−4−ジメチルアミノフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N、N−ジメチルアミノ基、N、N−ジエチルアミノ基、N、N−ジブチルアミノ基、N、N−ジフェニルアミノ基、N、N−ジアセチルアミノ基、N、N−ジベンゾイルアミノ基、N、N−(ジブチルカルボニル)アミノ基、N、N−(ジメチルスルホニル)アミノ基、N、N−(ジエチルスルホニル)アミノ基、N、N−(ジブチルスルホニル)アミノ基、N、N−(ジフェニルスルホニル)アミノ基等が挙げられる。
【0060】
置換基を有してもよいホスフィノイル基としては、総炭素数2〜50のホスフィノイル基が好ましく、例えば、ジメチルホスフィノイル基、ジエチルホスフィノイル基、ジプロピルホスフィノイル基、ジフェニルホスフィノイル基、ジメトキシホスフィノイル基、ジエトキシホスフィノイル基、ジベンゾイルホスフィノイル基、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィノイル基等が挙げられる。
【0061】
置換基を有してもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、芳香族あるいは脂肪族の複素環が好ましい。例えば、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基等が挙げられる。
【0062】
さらに、前述した置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルキルオキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよい複素環オキシ基、置換基を有してもよいアシルオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、置換基を有してもよいスルファモイル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよい複素環基の水素原子はさらに他の置換基で置換されていても良い。
【0063】
そのような置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert− ブトキシ基等のアルキルオキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルキルオキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基、フリル基、チエニル基等の複素環基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
【0064】
これら置換基Xにおいて、好ましくは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいホスフィニル基、置換基を有してもよい複素環基等が挙げられ、より好ましくは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が挙げられ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられるが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0065】
これら置換基Yにおいて、原料の入手のしやすさ、合成のしやすさから、置換もしくは未置換のアルキル基が好ましい。
【0066】
以上述べた本発明の化合物の具体例を表1に示すが、本発明の化合物の構造はそれらに限定されるものではない。
【0067】
表1
【表1】

【0068】
【表1】

【0069】
【表1】

【0070】
【表1】

【0071】
【表1】

【0072】
【表1】

【0073】
【表1】

【0074】
【表1】

【0075】
【表1】

【0076】
【表1】

【0077】
【表1】

【0078】
【表1】

【0079】
【表1】

【0080】
【表1】

【0081】
【表1】

【0082】
【表1】

【0083】
【表1】

【0084】
【表1】

【0085】
【表1】

【0086】
【表1】

【0087】
【表1】

【0088】
【表1】

【0089】
【表1】

【0090】
【表1】

【0091】
【表1】

【0092】
【表1】

【0093】
【表1】

【0094】
【表1】

【0095】
【表1】

【0096】
【表1】

【0097】
【表1】

【0098】
【表1】

【0099】
【表1】

【0100】
一般式(1)で表される化合物を合成する際の出発物質は、下記一般式(2)で表されるようなオキシムである。
【0101】
一般式(2)
【化4】

【0102】
(式中、R1〜R16およびYは一般式(1)と同義である。)
【0103】
一般式(2)で表されるオキシムは、例えばOrg. React., 7, <1953>, 327や、日本化学会編、第4版 実験化学講座、第14巻、1316頁(丸善)に記載されている種々の方法で得ることができる。さらに、市販の化学のテキスト(例えば、J. March, Advanced Organic Organic Chemistry, 4th Edition, Wiley Interscience, 1992)に記載されているオキシムの合成方法から得ることもできる。
【0104】
最も好都合なオキシムの合成方法の一つは、亜硝酸又は亜硝酸アルキルエステルによる活性メチレン基のニトロソ化である。反応条件は、例えばOrganic Syntheses Coll. Vol. VI、pp 840、Organic Syntheses Coll. Vol. III、pp 191 and 513、Organic Syntheses Coll. Vol. II、pp 202、204 and 363、J. Am. Chem. Soc., 47, <1925>, 2033、J. Chem. Soc., 117, <1920>, 590、J. Am. Chem. Soc., 51, <1929>, 2264に記載されており、オキシムの製造に適切である。亜硝酸は、通常亜硝酸ナトリウムから生成される。亜硝酸アルキルエステルは、例えば亜硝酸メチルエステル、亜硝酸イソプロピルエステル、亜硝酸ブチルエステル、亜硝酸イソアミルエステルである。
【0105】
一般式(1)で表される化合物は、一般式(2)で表されるオキシムを出発物質として、文献記載の方法、例えば、前記記載の方法で得たオキシムとアシルクロリド又は酸無水物と、例えばテトラヒドロフラン、ベンゼン又はジメチルホルムアミドのような不活性溶媒中、塩基、例えばトリエチルアミンのような第三級アミンの存在下に、又はピリジンのような塩基性溶媒中で反応させることにより製造される。
【0106】
そのような反応は、当業者には公知であり、一般に−15℃〜+50℃、好ましくは0〜30℃で行われる。
【0107】
全てのオキシムエステル基は、二つの立体配置、(Z)又は(E)で存在する。慣用の方法でこの異性体を分離することができるが、光開始種として異性体の混合物も用いることができる。従って、本発明は一般式(1)の化合物の立体配置異性体の混合物にも関する。
【0108】
本発明の一般式(1)で表されるラジカル重合開始剤(A)は、元素分析値、および1H−NMRによって同定することができる。
【0109】
次に、本発明の化合物をラジカル重合開始剤(A)として用いる場合を説明する。
【0110】
従来公知のα,α'−ジケトオキシムエステル化合物の多くは、通常紫外域より長波長に吸収を示さないため、近紫外から近赤外の光に対しては活性が乏しいが、本発明の一般式(1)で表されるラジカル重合開始剤(A)は、ベンゾイルカルバゾリル基を導入することにより近紫外から可視領域にまで吸収帯を持たせ、これら近紫外から可視より長波長の領域にまで活性を持たせることが可能となっている。
【0111】
しかしながら、一般式(1)の3−位フェニル基に対応する置換基が縮合多環炭化水素基であるラジカル重合開始剤はしばしば吸収が長波長に行き過ぎてしまい、化合物自身が色を持つ。このような化合物は開始剤自身が着色成分となってしまうため、あまり好ましくない。しかしながら本発明の一般式(1)で表されるラジカル重合開始剤(A)は吸収が着色領域までいくことはなく、高い透明性が要求されるような用途にも使用可能である。
【0112】
さらに、本発明の一般式(1)で表されるラジカル重合開始剤(A)を用いると、一般式(1)の3−位フェニル基に対応する置換基が縮合多環炭化水素基または複素環基であるラジカル重合開始剤に比べて黄変が低減することが可能である。これは、一般にはラジカル重合開始剤が光照射されることにより生じる分解物同士が、再結合した化合物が長波長領域に吸収を持つため黄変の原因となるが、分解成分であるフェニル基を持つ分解物は、対応する縮合多環の分解物に比べて共役が少ないためであると考えられるがその詳細については明らかではない。
【0113】
さらに、本発明の一般式(1)で表されるラジカル重合開始剤(A)は、一般式(1)の3−位フェニル基に対応する置換基が縮合多環炭化水素基または複素環基のラジカル重合開始剤よりも、種々の樹脂との相溶性に優れている。溶解性が悪いと、開始剤の析出などのハンドリング性に問題が生じてしまうが、溶解性に優れる本発明のラジカル重合開始剤(A)はそのような問題が生じることはない。
【0114】
さらに、本発明の一般式(1)で表されるラジカル重合開始剤(A)は、一般式(1)の3−位フェニル基に対応する置換基が縮合多環炭化水素基または複素環基のラジカル重合開始剤よりも現像性に優れている。その理由の詳細は明らかではないが近年求められているプロセスの低減において現像性は重要であり、本発明のラジカル重合開始剤(A)はより貢献可能な開始剤である。
【0115】
さらに、本発明の一般式(1)で表されるラジカル重合開始剤(A)は、一般式(1)の3−位フェニル基に対応する置換基が縮合多環炭化水素基または複素環基のラジカル重合開始剤よりも経時安定性に優れている。
【0116】
また、さらに上述したとおり、本発明のラジカル重合開始剤(A)は、一般式(1)中の3−位フェニル基上に電子供与性置換基を導入すると、上述した、吸収特性・感度・溶解性・現像性・安定性のすべてにおいて向上が見られる。現在のところ詳細な理由については明らかではないが、電子供与性置換基の電子的な寄与が化合物に対して良好な効果をもたらしていると考えられる。
【0117】
次に、本発明のラジカル重合性化合物(B)について説明する。本発明のラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物とは、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも一つ以上を有する化合物であればどのようなものでも良く、モノマー、オリゴマ−、ポリマー等の化学形態を持つものである。これらはただ一種のみ用いても、目的とする特性を向上するために任意の比率で二種以上混合した系でもかまわない。
【0118】
このようなラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸およびそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロ二トリル、スチレン、さらに種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ポリウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0119】
具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロへキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチラングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−へキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル酸誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体等が挙げられ、さらに具体的には、山下晋三ら編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年、大成社)や加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」、(1985年、高分子刊行会)、ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79項、(1989年、シーエムシー)、赤松清編、「新・感光性樹脂の実際技術」、(1987年、シーエムシー)、滝山榮一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性ないし架橋性モノマー、オリゴマ−、ポリマーが挙げられる。
【0120】
本発明のラジカル重合開始剤(A)の使用量は、ラジカル重合性化合物(B)100重量部に対して通常、0.01から60重量部であり、好ましくは0.01から30重量部であり、より好ましくは0.1から10重量部である。
【0121】
本発明の重合性組成物は、さらに重合を促進する目的で、増感剤(C)を添加することが可能である。増感剤は、紫外から近赤外領域にかけての光に対する活性を高めるため、重合性の促進が必要な場合には増感剤の添加が好ましい。
【0122】
このような増感剤の具体例としては、カルコン誘導体やジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、カルバゾール誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、ミヒラーケトン誘導体等が挙げられ、その他さらに具体例には大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤が挙げられ、これらは必要に応じて任意の比率で二種以上用いてもかまわない。上記、増感剤の中で本発明の光重合開始剤を特に好適に増感しうる増感剤としては、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体が挙げられる。さらに具体的には、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0123】
本発明のラジカル重合開始剤(A)と増感剤(C)の比率は任意であるが、100/1〜1/100(重量比)の範囲が好ましく、より好ましくは50/1〜1/50の範囲であり、さらに好ましくは20/1〜1/30の範囲である。
【0124】
本発明の重合性組成物は有機高分子重合体等のバインダーと混合し、ガラス板やアルミニウム板、その他の金属板、ポリエチレンテレフタレート等のポリマーフィルムに塗布して使用することが可能である。
【0125】
本発明の重合性組成物と混合して使用可能なバインダーとしては、ポリアクリレート類、ポリ−α−アルキルアクリレート類、ポリアミド類、ポリビニルアセタール類、ポリホルムアルデヒド類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリスチレン類、ポリビニルエステル類等の重合体、共重合体があげられ、さらに具体的には、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂その他、赤松清監修、「新・感光性樹脂の実際技術」、(1987年、シーエムシー)や「10188の化学商品」、657〜767頁(1988年、化学工業日報社)記載の業界公知の有機高分子重合体が挙げられる。
【0126】
さらに本発明の重合性組成物は、フォトレジスト材料として画像形成用に用いる等の目的のために、下記に示すカルボキシル基含有ポリマーを添加して用いても良い。カルボキシル基含有ポリマーはアルカリ水溶液に対する溶解性を有するため、本発明の光重合性組成物を用いて作成した膜を部分的に硬化すれば、アルカリ水溶液に対する溶解度の違いから、いわゆるネガ型レジストのパターンを形成することが可能である。ここでカルボキシル基含有ポリマーとは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとアクリル酸との共重合体、メタアクリル酸エステルとメタアクリル酸とこれらと共重合し得るビニルモノマーとの共重合体が挙げられる。これらの共重合体は単独であるいは2種以上混合しても差し支えない。
【0127】
ここで、メタアクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルへキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等が挙げられる。
【0128】
メタアクリル酸エステルとメタアクリル酸とこれらと共重合し得るビニルモノマーとしては、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、テトラヒドリフルフリルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、アクリルアミド、スチレン等が挙げられる。
【0129】
また、本発明の重合性組成物はさらに感度向上の目的で他の重合開始剤と併用することが可能である。
【0130】
本発明の重合性組成物と混合して併用可能な他の重合開始剤としては、特公昭59−1281号公報、特公昭61−9621号公報ならびに特開昭60−60104号公報記載のトリアジン誘導体、特開昭59−1504号公報ならびに特開昭61−243807号公報記載の有機過酸化物、特公昭43−23684号公報、特公昭44−6413号公報、特公昭47−1604号公報ならびにUSP第3567453号明細書記載のジアゾニウム化合物公報、USP第2848328号明細書、USP第2852379号明細書ならびにUSP第2940853号明細書記載の有機アジド化合物、特公昭36−22062号公報、特公昭37−13109号公報、特公昭38−18015号公報ならびに特公昭45−9610号公報記載のオルト−キノンジアジド類、特公昭55−39162号公報、特開昭59−140203号公報ならびに「マクロモレキュルス(MACROMOLECULES)」、第10巻、第1307頁(1977年)記載のヨードニウム化合物をはじめとする各種オニウム化合物、特開昭59−142205号公報記載のアゾ化合物、特開平1−54440号公報、ヨーロッパ特許第109851号明細書、ヨーロッパ特許第126712号明細書、「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.IMAG.SCI.)」、第30巻、第174頁(1986年)記載の金属アレン錯体、特開昭61−151197号公報記載のチタノセン類、「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(COORDINATION CHEMISTRY REVIEW)」、第84巻、第85〜第277頁(1988年)ならびに特開平2−182701号公報記載のルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体、特開平3−209477号公報記載のアルミナート錯体、特開平2−157760号公報記載のホウ酸塩化合物、特開昭55−127550号公報ならびに特開昭60−202437号公報記載の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、四臭化炭素や特開昭59−107344号公報記載の有機ハロゲン化合物、特開平5−255347号公報記載のスルホニウム錯体またはオキソスルホニウム錯体、特開昭54−99185号公報ならびに特開昭63−264560号公報記載のアミノケトン化合物、特開2001−264530号公報、特開2001−261761号公報、特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特表2004−534797号公報、USP3558309号明細書(1971年)、USP4202697号明細書(1980年)ならびに特開昭61−24558号公報記載のオキシムエステル化合物等があげられ、これらの重合開始剤はラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物100重量部に対して0.01から10重量部の範囲で含有されるのが好ましい。
【0131】
また、本発明の重合性組成物は保存時の重合を防止する目的で熱重合防止剤を添加することが可能である。
【0132】
本発明の重合性組成物に添加可能な熱重合防止剤の具体例としては、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキル置換ハイドロキノン、カテコール、tert−ブチルカテコール、フェノチアジン等をあげることができ、これらの熱重合防止剤は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物100重量部に対して0.001から5重量部の範囲で添加されるのが好ましい。
【0133】
また、本発明の重合性組成物はさらに重合を促進する目的で、アミンやチオール、ジスルフィド等に代表される重合促進剤や連鎖移動触媒等を添加することが可能である。
【0134】
本発明の重合性組成物に添加可能な重合促進剤や連鎖移動触媒の具体例としては、例えば、N−フェニルグリシン、トリエタノールアミン、N,N−ジエチルアニリン等のアミン類、USP第4414312号明細書や特開昭64−13144号公報記載のチオール類、特開平2−291561号公報記載のジスルフィド類、USP第3558322号明細書や特開昭64−17048号公報記載のチオン類、特開平2−291560号公報記載のO−アシルチオヒドロキサメートやN−アルキルオキシピリジンチオン類があげられる。
【0135】
本発明の重合性組成物はさらに目的に応じて、染料、有機および無機顔料、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト等の酸素除去剤や還元剤、カブリ防止剤、退色防止剤、ハレーション防止剤、蛍光増白剤、界面活性剤、着色剤、増量剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発砲剤、防カビ剤、帯電防止剤、磁性体やその他種々の特性を付与する添加剤、希釈溶剤等と混合して使用しても良い。
【0136】
本発明の重合性組成物は重合反応に際して、紫外線や可視光線、近赤外線等、電子線等によるエネルギーの付与により重合し、目的とする重合物を得ることが可能である。なお本明細書でいう、紫外線や近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線等の定義は久保亮五ら編「岩波理化学辞典第4版」(1987年、岩波)によった。
【0137】
したがって、本発明の重合性組成物は、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、アルゴンイオンレーザ、ヘリウムカドミウムレーザ、ヘリウムネオンレーザ、クリプトンイオンレーザ、各種半導体レーザ、YAGレーザ、発光ダイオード、CRT光源、プラズマ光源、電子線、γ線、ArFエキシマーレーザー、KrFエキシマーレーザー、F2レーザー等の各種光源によるエネルギーの付与により目的とする重合物や硬化物を得ることができる。
【0138】
故に、バインダーその他とともに基板上に塗布して各種インキ、各種刷版材料、フォトレジスト、電子写真、ダイレクト刷版材料、ホログラム材料等の感光材料やマイクロカプセル等の各種記録媒体、さらには接着剤、粘着剤、粘接着剤、封止剤および各種塗料に応用することが可能である。
【実施例】
【0139】
以下、合成例、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は下記のみに限定されるものではない。
【0140】
合成例、実施例および比較例に用いた化合物を表2に示す。
【0141】
表2
【表2】

【0142】
【表2】

【0143】
【表2】

【0144】
【表2】

【0145】
【表2】

【0146】
【表2】

【0147】
【表2】

【0148】
合成例
実施例1
化合物(1)の合成
1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−メトキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン90.0g(183.8mmol)をテトラヒドロフラン900mlと濃塩酸450mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル22.8g(220.6mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1600mlに注ぎ入れ、クロロホルム1600mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−メトキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム90.6gを得た(収率95.0%)。
【0149】
次に、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−メトキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム40.0g(77.1mmol)と酢酸ナトリウム6.3g(77.1mmol)とをベンゼン500ml中で攪拌したところに、無水酢酸9.5g(92.6mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水400ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(1)を39.7gを得た(収率91.8%)。
【0150】
実施例2
化合物(2)の合成
1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン50.0g(96.2mmol)をテトラヒドロフラン1000mlと濃塩酸500mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル11.9g(115.5mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水500mlに注ぎ入れ、クロロホルム500mlで抽出した。有機層を水洗(200ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム49.3gを得た(収率93.4%)。
【0151】
次に、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム21.0g(38.3mmol)と酢酸ナトリウム3.14g(38.3mmol)とをベンゼン300ml中で攪拌したところに、無水酢酸4.74g(45.9mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水300ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(200ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(2)を20.8gを得た(収率92.0%)。
【0152】
実施例3
化合物(3)の合成
1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−ジエチルアミノ−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン64.0g(120.6mmol)をテトラヒドロフラン640mlと濃塩酸320mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル14.9g(144.7mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。10%水酸化ナトリウム溶液600mlを氷浴で冷やしたところへ反応液を注ぎ入れ、クロロホルム600mlで抽出した。有機層を水洗(400ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−ジエチルアミノ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム60.3gを得た(収率89.4%)。
【0153】
次に、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−ジエチルアミノ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム25.0g(44.7mmol)とトリエチルアミン18.1g(178mmol)とプロピオニルクロライド16.5g(178mmol)とテトラヒドロフラン500mlとを氷浴で冷却しながら混合した後、室温で1時間攪拌後、さらに50℃で2時間攪拌した。その後、反応液を氷水600ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(200ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をジクロロエタン−ヘキサンで再結晶して、化合物(3)を26.2gを得た(収率95.4%)。
【0154】
実施例4
化合物(4)の合成
1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−ジエチルアミノ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシムは実施例3で合成した化合物を用いた。
【0155】
1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−ジエチルアミノ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム25.0g(44.7mmol)と酢酸ナトリウム3.66g(45.1mmol)とをベンゼン500ml中で攪拌したところに、無水酢酸5.53g(54.1mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水400ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をジクロロエタン−ヘキサンで再結晶して、化合物(4)を25.2gを得た(収率93.7%)。
【0156】
実施例5
化合物(5)の合成
1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(2,3−ジメチル−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン28.0g(53.9mmol)をテトラヒドロフラン300mlと濃塩酸150mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル6.67g(64,7mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水600mlに注ぎ入れ、クロロホルム600mlで抽出した。有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(2,3−ジメチル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム28.5gを得た(収率96.3%)。
【0157】
次に、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(2,3−ジメチル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム25.0g(45.6mmol)と酢酸ナトリウム3.74g(45.6mmol)とをベンゼン500ml中で攪拌したところに、無水酢酸5.64g(54.7mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水400ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(5)を25,6gを得た(収率95.2%)。
【0158】
実施例6
化合物(6)の合成
1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−プロピルオキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン60.0g(115.9mmol)をテトラヒドロフラン600mlと濃塩酸300mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル14.3g(139.1mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1500mlに注ぎ入れ、クロロホルム1500mlで抽出した。有機層を水洗(600ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−プロピルオキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム59.2gを得た(収率93.5%)。
【0159】
次に、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−プロピルオキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム50.0g(91.5mmol)と酢酸ナトリウム3.70g(45.1mmol)とをベンゼン1000ml中で攪拌したところに、無水酢酸5.53g(54.1mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水1000ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(6)を30.2gを得た(収率92.1%)。
【0160】
実施例7
化合物(7)の合成
1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−メチルスルファニル−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン52.0g(102.8mmol)をテトラヒドロフラン600mlと濃塩酸300mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル12.73g(123.4mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1200mlに注ぎ入れ、クロロホルム1200mlで抽出した。有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−メチルスルファニル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム50.1gを得た(収率91.1%)。
【0161】
次に、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−メチルスルファニル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム20.0g(37.4mmol)と酢酸ナトリウム3.07g(37.4mmol)とをベンゼン500ml中で攪拌したところに、無水酢酸4.63g(44.9mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水400ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(7)を20.2gを得た(収率93.7%)。
【0162】
実施例8
化合物(8)の合成
1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−メチル−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン70.0g(147.8mmol)をテトラヒドロフラン700mlと濃塩酸350mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル18.29g(177.4mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1500mlに注ぎ入れ、クロロホルム1500mlで抽出した。有機層を水洗(700ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−メチル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム69.0gを得た(収率92.9%)。
【0163】
次に、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−メチル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム30.0g(59.7mmol) と酢酸ナトリウム4.90g(59.7mmol)とをベンゼン600ml中で攪拌したところに、無水酢酸7.39g(71.6mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水600ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(8)を30.7gを得た(収率94.5%)。
【0164】
実施例9
化合物(9)の合成
1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−メチルオキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオンは実施例1で合成した化合物を用いた。
【0165】
次に、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−メチルオキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム40.0g(77.1mmol) とトリエチルアミン31.2g(308.5mmol)とプロピオニルクロライド28.6g(308.5mmol)とテトラヒドロフラン800mlとを氷浴で冷却しながら混合した後、室温で1時間攪拌後、さらに50℃で2時間攪拌した。その後、反応液を氷水900ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(400ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(9)を38.3gを得た(収率88.5%)。
【0166】
実施例10
化合物(10)の合成
1−[9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(2−エチルオキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン36.0g(73.5mmol)をテトラヒドロフラン360mlと濃塩酸180mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル9.10g(88.2mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水700mlに注ぎ入れ、クロロホルム800mlで抽出した。有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(2−エチルオキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム33.1gを得た(収率86.9%)。
【0167】
次に、1−[9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(2−エチルオキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム30.0g(57.9mmol)と酢酸ナトリウム4.75g(57.9mmol)とをベンゼン600ml中で攪拌したところに、無水酢酸7.16g(69.4mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水800ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(400ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(10)を29.8gを得た(収率92.0%)。
【0168】
実施例11
化合物(11)の合成
1−[9−ペンチル−6−(4−ジエチルアミノ−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3,4−ジメチルスルファニル−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン26.0g(39.9mmol)をテトラヒドロフラン300mlと濃塩酸150mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル4.94g(47.9mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水800mlに注ぎ入れ、クロロホルム800mlで抽出した。有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−ペンチル−6−(4−ジエチルアミノ−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3,4−ジメチルスルファニル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム24.2gを得た(収率89.1%)。
【0169】
次に、1−[9−ペンチル−6−(4−ジメチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3,4−ジメチルスルファニル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム20.0g(29.4mmol)と酢酸ナトリウム2.41g(29.4mmol)とをベンゼン400ml中で攪拌したところに、無水酢酸3.64g(35.3mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水500ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(11)を20.2gを得た(収率95.2%)
実施例12
化合物(12)の合成
1−[9−(2−エチルオキシ−エチル)−6−(3−エチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(2−ジメチルアミノ−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン37.0g(66.0mmol)をテトラヒドロフラン400mlと濃塩酸200mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル8.17g(79.2mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水800mlに注ぎ入れ、クロロホルム800mlで抽出した。有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−(2−エチルオキシ−エチル)−6−(3−エチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(2−ジメチルアミノ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム35.5gを得た(収率91.1%)。
【0170】
次に、1−[9−(2−エチルオキシ−エチル)−6−(3−エチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(2−ジメチルアミノ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム30.0g(50.9mmol)と酢酸ナトリウム4.17g(50.9mmol)とをベンゼン500ml中で攪拌したところに、無水酢酸6.30g(61.1mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水700ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(12)を29.9gを得た(収率93.0%)。
【0171】
実施例13
化合物(13)の合成
1−[9−エチル−6−(4−メチルオキシ−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3−シクロヘキシルオキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン45.0g(78.4mmol)をテトラヒドロフラン460mlと濃塩酸230mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル9.71g(94.1mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水800mlに注ぎ入れ、クロロホルム800mlで抽出した。有機層を水洗(400ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−エチル−6−(4−メチルオキシ−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3−シクロヘキシルオキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム41.6gを得た(収率87.9%)。
【0172】
次に、1−[9−エチル−6−(4−メチルオキシ−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3−シクロヘキシルオキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム40.0g(66.4mmol)と酢酸ナトリウム5.44g(66.4mmol)とをベンゼン700ml中で攪拌したところに、無水酢酸5.44g(66.4mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水1000ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(400ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(13)を39.2gを得た(収率91.5%)。
【0173】
実施例14
化合物(14)の合成
1−[9−(2−エチルオキシ−エチル)−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン39.0g(59.4mmol)をテトラヒドロフラン600mlと濃塩酸300mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル7.35g(71.3mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1000mlに注ぎ入れ、クロロホルム900mlで抽出した。有機層を水洗(400ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−(2−エチルオキシ−エチル)−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム36.6gを得た(収率90.0%)。
【0174】
次に、1−[9−(2−エチルオキシ−エチル)−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム35.0g(51.0mmol)と酢酸ナトリウム4.19g(51.0mmol)とをベンゼン600ml中で攪拌したところに、無水酢酸6.32g(61.2mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水900ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(400ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をジクロロメタン−ヘキサンで再結晶して、化合物(14)を34.6gを得た(収率93.1%)。
【0175】
実施例15
化合物(15)の合成
1−[9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−メチル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシムは実施例8で合成した化合物を用いた。
【0176】
次に、1−[9−エチル−6−メチル−ベンゾイル9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−メチル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム30.0g(59.7mmol) とトリエチルアミン24.2g(238.8mmol)とプロピオニルクロライド22.1g(238.8mmol)とテトラヒドロフラン600mlとを氷浴で冷却しながら混合した後、室温で1時間攪拌後、さらに50℃で2時間攪拌した。その後、反応液を氷水800ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をジクロロエタン−ヘキサンで再結晶して、化合物(3)を30.3gを得た(収率93.3%)。
【0177】
実施例16
化合物(16)の合成
1−[9−エチル−6−ベンゾイル−1−メチル−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3,4−ジエチルアミノ−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン39.0g(64.8mmol)をテトラヒドロフラン700mlと濃塩酸350mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル8.02g(77.8mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1200mlに注ぎ入れ、クロロホルム1000mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−エチル−6−ベンゾイル−1−メチル−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3,4−ジエチルアミノ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム37.6gを得た(収率91.9%)。
【0178】
次に、1−[9−エチル−6−ベンゾイル−1−メチル−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3,4−ジエチルアミノ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム30.0g(47.6mmol)と酢酸ナトリウム3.90g(47.6mmol)とをベンゼン500ml中で攪拌したところに、無水酢酸5.89g(57.1mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水800ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(16)を39.2gを得た(収率91.5%)。
【0179】
実施例17
化合物(17)の合成
1−[9−エチル−6−(2−エチルスルファニル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3−エチルスルファニル−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン42.0g(74.2mmol)をテトラヒドロフラン700mlと濃塩酸350mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル9.19g(89.1mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1200mlに注ぎ入れ、クロロホルム1200mlで抽出した。有機層を水洗(600ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−エチル−6−(2−エチルスルファニル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3−エチルスルファニル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム41.7gを得た(収率94.5%)。
【0180】
次に、1−[9−エチル−6−(2−エチルスルファニル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3−エチルスルファニル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム40.0g(67.3mmol) とトリエチルアミン27.2g(269.0mmol)とベンゾイルクロライド37.8g(269.0mmol)とテトラヒドロフラン700mlとを氷浴で冷却しながら混合した後、室温で1時間攪拌後、さらに50℃で2時間攪拌した。その後、反応液を氷水900ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(400ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をジクロロエタン−ヘキサンで再結晶して、化合物(17)を42.3gを得た(収率89.9%)。
【0181】
実施例18
化合物(18)の合成
1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−メチルスルファニル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシムは実施例7で合成した化合物を用いた。
【0182】
次に、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(4−メチルスルファニル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム25.0g(46.8mmol) とトリエチルアミン18.9g(187.0mmol)とプロピオニルクロライド17.3g(187.0mmol)とテトラヒドロフラン500mlとを氷浴で冷却しながら混合した後、室温で1時間攪拌後、さらに50℃で2時間攪拌した。その後、反応液を氷水800ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をジクロロエタン−ヘキサンで再結晶して、化合物(18)を25.3gを得た(収率91.6%)。
【0183】
実施例19
化合物(19)の合成
1−[9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(2,3,4−トリメチル−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン33.0g(67.7mmol)をテトラヒドロフラン700mlと濃塩酸350mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル8.37g(81.2mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1000mlに注ぎ入れ、クロロホルム1000mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(2,3,4−トリメチル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム37.6gを得た(収率91.9%)。
【0184】
次に、1−[9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(2,3,4−トリメチル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム30.0g(58.1mmol)と酢酸ナトリウム4.76g(58.1mmol)とをベンゼン600ml中で攪拌したところに、無水酢酸7.19g(69.7mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水1000ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(400ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(19)を29.6gを得た(収率91.3%)。
【0185】
実施例20
化合物(20)の合成
1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3,4−ジメチルオキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシムは実施例2で合成した化合物を用いた。
【0186】
次に、1−[9−エチル−6−(2−メチル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3,4−ジメチルオキシ−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム25.0g(45.6mmol) とトリエチルアミン18.5g(182.3mmol)とプロピオニルクロライド16.9g(182.3mmol)とテトラヒドロフラン500mlとを氷浴で冷却しながら混合した後、室温で1時間攪拌後、さらに50℃で2時間攪拌した。その後、反応液を氷水800ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(18)を25.9gを得た(収率94.0%)。
【0187】
実施例21
化合物(21)の合成
1−[9−エチル−6−(4−ベンゾイル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3−フェニルスルファニル−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン30.0g(45.6mmol)をテトラヒドロフラン700mlと濃塩酸350mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル5.64g(54.7mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1000mlに注ぎ入れ、クロロホルム1000mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−エチル−6−(4−ベンゾイル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3−フェニルスルファニル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム29.1gを得た(収率92.9%)。
【0188】
次に、1−[9−エチル−6−(4−ベンゾイル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3−フェニルスルファニル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム25.0g(36.4mmol)と酢酸ナトリウム2.99g(36.4mmol)とをベンゼン600ml中で攪拌したところに、無水酢酸4.50g(43.7mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水1000ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(21)を25.2gを得た(収率95.1%)。
【0189】
実施例22
化合物(22)の合成
1−[9−エチル−6−(3−フェニルオキシ−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(2−メチルスルファニル−4−メチル−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン36.0g(60.2mmol)をテトラヒドロフラン600mlと濃塩酸300mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル7.45g(72.3mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1000mlに注ぎ入れ、クロロホルム1000mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−エチル−6−(3−フェニルオキシ−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(2−メチルスルファニル−4−メチル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム34.6gを得た(収率91.7%)。
【0190】
次に、1−[9−エチル−6−(3−フェニルオキシ−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(2−メチルスルファニル−4−メチル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム30.0g(54.7mmol) とトリエチルアミン22.1g(218.7mmol)とプロピオニルクロライド23.3g(218.7mmol)とテトラヒドロフラン600mlとを氷浴で冷却しながら混合した後、室温で1時間攪拌後、さらに50℃で2時間攪拌した。その後、反応液を氷水900ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(400ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(22)を30.9gを得た(収率93.3%)。
【0191】
実施例23
化合物(23)の合成
1−[9−(2−エチルオキシ−エチル)−6−(4−フェニル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3−ペンチル−フェニル)−イル−プロパン−1,3−ジオン36.0g(56.6mmol)をテトラヒドロフラン600mlと濃塩酸300mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル7.01g(67.9mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1200mlに注ぎ入れ、クロロホルム1200mlで抽出した。有機層を水洗(600ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−[9−(2−エチルオキシ−エチル)−6−(4−フェニル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3−ペンチル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム36.3gを得た(収率96.5%)。
【0192】
次に、1−[9−(2−エチルオキシ−エチル)−6−(4−フェニル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−(3−ペンチル−フェニル)−イル−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム35.0g(52.6mmol) とトリエチルアミン21.3g(210.6mmol)とベンゾイルクロライド29.6g(210.6mmol)とテトラヒドロフラン600mlとを氷浴で冷却しながら混合した後、室温で1時間攪拌後、さらに50℃で2時間攪拌した。その後、反応液を氷水1000ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(400ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をジクロロメタン−ヘキサンで再結晶して、化合物(23)を37.9gを得た(収率93.6%)。
【0193】
実施例24
化合物(24)の合成
1−(9−ブチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−〔4−(1−チオフラニルオキシ)−フェニル−イル〕−プロパン−1,3−ジオン50.0g(87.5mmol)をテトラヒドロフラン900mlと濃塩酸450mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル10.8g(105.0mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1600mlに注ぎ入れ、クロロホルム1600mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−(9−ブチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−〔4−(1−チオフラニルオキシ)−フェニル−イル〕−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム49.0gを得た(収率93.3%)。
【0194】
次に、1−(9−ブチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−4−(1−チオフラニルオキシ)−フェニル−イル〕−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム45.0g(74.9mmol)と酢酸ナトリウム6.15g(74.9mmol)とをベンゼン800ml中で攪拌したところに、無水酢酸9.27g(89.9mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水1200ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(24)を45.8gを得た(収率95.2%)。
【0195】
実施例25
化合物(25)の合成
1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−(3,4−メチレンジオキシ−フェニル−イル)−プロパン−1,3−ジオン42.0g(83.4mmol)をテトラヒドロフラン900mlと濃塩酸450mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル10.3g(100.1mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1500mlに注ぎ入れ、クロロホルム1500mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−(3,4−メチレンジオキシ−フェニル−イル)−プロパン−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム40.5gを得た(収率91.1%)。
【0196】
次に、1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−(3,4−メチレンジオキシ−フェニル−イル)−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム35.0g(65.7mmol)と酢酸ナトリウム5.39g(65.7mmol)とをベンゼン700ml中で攪拌したところに、無水酢酸8.13g(78.9mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水1000ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(400ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(25)を34.9gを得た(収率92.5%)。
【0197】
実施例26
化合物(26)の合成
1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−(3,4−エチレンジオキシ−フェニル−イル)−プロパン−1,3−ジオン50.0g(96.6mmol)をテトラヒドロフラン1000mlと濃塩酸500mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル11.9g(115.9mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1800mlに注ぎ入れ、クロロホルム1800mlで抽出した。有機層を水洗(700ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−(3,4−エチレンジオキシ−フェニル−イル)−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム49.6gを得た(収率94.0%)。
【0198】
次に、1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−(3,4−エチレンジオキシ−フェニル−イル)−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム45.0g(82.3mmol)と酢酸ナトリウム6.75g(82.3mmol)とをベンゼン800ml中で攪拌したところに、無水酢酸10.2g(98.8mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水1200ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(26)を45.4gを得た(収率93.6%)。
【0199】
実施例27
化合物(27)の合成
1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−(N−メチルインドリン−5−イル)−プロパン−1,3−ジオン30.0g(58.3mmol)をテトラヒドロフラン600mlと濃塩酸300mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル7.21g(70.0mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1600mlに注ぎ入れ、クロロホルム1600mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−(N−メチルインドリン−5−イル)−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム29.7gを得た(収率93.7%)。
【0200】
次に、1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−(N−メチルインドリン−5−イル)−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム25.0g(46.0mmol)と酢酸ナトリウム3.77g(46.0mmol)とをベンゼン500ml中で攪拌したところに、無水酢酸5.69g(55.2mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水800ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(27)を24.8gを得た(収率91.9%)。
【0201】
実施例28
化合物(28)の合成
1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−〔クロマン−6−イル〕−プロパン−1,3−ジオン30.0g(58.2mmol)をテトラヒドロフラン600mlと濃塩酸300mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル7.20g(69.8mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1000mlに注ぎ入れ、クロロホルム1000mlで抽出した。有機層を水洗(400ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−〔クロマン−6−イル〕−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム29.4gを得た(収率92.9%)。
【0202】
次に、1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−〔クロマン−6−イル〕−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム25.0g(45.9mmol)と酢酸ナトリウム3.77g(45.9mmol)とをベンゼン500ml中で攪拌したところに、無水酢酸5.68g(55.1mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水800ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(400ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(28)を24.4gを得た(収率90.6%)。
【0203】
実施例29
化合物(29)の合成
1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−〔チオクロマン−6−イル〕−プロパン−1,3−ジオン40.0g(75.2mmol)をテトラヒドロフラン800mlと濃塩酸400mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル9.31g(90.3mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1400mlに注ぎ入れ、クロロホルム1500mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−〔チオクロマン−6−イル〕−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム39.6gを得た(収率93.9%)。
【0204】
次に、1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−3−〔チオクロマン−6−イル〕−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム35.0g(62.4mmol)と酢酸ナトリウム5.12g(62.4mmol)とをベンゼン600ml中で攪拌したところに、無水酢酸7.72g(74.9mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水900ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(300ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(29)を34.9gを得た(収率92.8%)。
【0205】
実施例30
化合物(30)の合成
1−〔9−エチル−6−(3,4−エチレンジオキシ−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−3−(4−メチルオキシ−フェニル−イル)−プロパン−1,3−ジオン50.0g(93.7mmol)をテトラヒドロフラン900mlと濃塩酸450mlの混合溶液に溶解したところに、室温で攪拌下、亜硝酸tert−ブチル11.6g(112.5mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応液を氷水1600mlに注ぎ入れ、クロロホルム1600mlで抽出した。有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物をn−ヘキサンで洗浄することにより、1−〔9−エチル−6−(3,4−エチレンジオキシ−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−3−(4−メチルオキシ−フェニル−イル)−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム50.1gを得た(収率95.0%)。
【0206】
次に、1−〔9−エチル−6−(3,4−エチレンジオキシ−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−3−(4−メチルオキシ−フェニル−イル)−プロパン−1,2,3−トリオン−2−オキシム45.0g(80.0mmol)と酢酸ナトリウム6.56g(80.0mmol)とをベンゼン800ml中で攪拌したところに、無水酢酸9.90g(96.0mmol)を加えて、3時間加熱還流した。その後、反応液を氷水1200ml中に注ぎ、組成生物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗(500ml×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、残留物を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶して、化合物(30)を45.8gを得た(収率94.8%)。
【0207】
上述の実施例1〜30の方法を応用することにより、実施例以外の本発明の化合物を合成することが容易に可能である。
【0208】
上記実施例1〜30で合成した本発明の化合物の元素分析の結果を表3に示す。
【0209】
【表3】

【0210】
【表3】

【0211】
次に、本発明の化合物をラジカル重合開始剤(A)として用いる応用例について説明するが、本発明は下記のみに限定されるものではない。
【0212】
実施例31〜60、比較例1
<硬化性試験1>
ラジカル重合開始剤(A)8重量部、ラジカル重合性化合物(B)としてペンタエリスリトールトリアクリレート100重量部、バインダーとしてポリメチルアクリレート100重量部、溶剤としてシクロヘキサノン1600重量部からなる重合性組成物を表4に示す組成にて配合し、塗工液を調製した。この塗工液をスピンコーターを用いてステンレス板上に塗工し、オーブン中40℃で10分間乾燥した。乾燥により溶媒を除去した後の膜厚は1.5μmであった。この塗工膜に対して、350〜380nmの光を選択的に透過するバンドパスフィルターを介して高圧水銀ランプの光(9.0mW/cm2)を照射を行なった。照射時間が20秒の場合において綿布でこすり、硬化物の傷の有無を確認した結果を表4に示す。
○:傷なし
×:傷あり
【0213】
表4
【表4】

【0214】
本発明のラジカル重合開始剤(A)を用いた重合組成物(実施例31〜60)は、一般式(1)の3−位フェニル基に対応する置換基が縮合多環炭化水素基であるラジカル重合開始剤(A)を用いた重合組成物(比較例1)よりも、光照射により効率的にラジカルを発生し、アクリル基を重合させている。すなわち、本発明一般式(1)で表される化合物をラジカル重合開始剤(A)として用いることにより、高感度化が可能となっている。
【0215】
実施例61〜72、比較例2
<硬化性試験2>
ラジカル重合開始剤(A)4重量部、ラジカル重合性化合物(B)としてペンタエリスリトールトリアクリレート100重量部、増感剤(C)を0または1重量部、バインダーとしてポリメチルアクリレート100重量部、溶剤としてシクロヘキサノン1600重量部からなる重合性組成物を表5に示す組成にて配合し、塗工液を調製した。この塗工液をスピンコーターを用いてステンレス板上に塗工し、オーブン中40℃で10分間乾燥した。乾燥により溶媒を除去した後の膜厚は1.5μmであった。この塗工膜に対して、350〜380nmの光を選択的に透過するバンドパスフィルターを介して高圧水銀ランプの光(9.0mW/cm2)を照射を行なった。まず照射時間が15秒の場合において綿布でこすり、傷がつかなかったものは終了した。傷が確認されたものは、同条件で塗光膜を作製し、同条件下で照射時間を25秒に延ばして硬化物の傷の有無を確認した結果を表5に示す。
○:傷なし。
△:わずかにかすり傷が確認される。
×:明らかに傷が確認される。
【0216】
表5
【表5】

【0217】
本発明のラジカル重合開始剤(A)を用いた重合組成物(実施例61〜72)は、増感剤(C)を用いなくても高感度なラジカル重合開始剤であるが、増感剤(C)を併用することによりさらなる高感度化が可能である。一方、一般式(1)の3−位フェニル基に対応する置換基が縮合多環炭化水素基であるラジカル重合開始剤(A)は増感剤(C)を併用しても十分な硬化性を示すには至らないことが明らかとなった(比較例2)。
【0218】
実施例73〜89、比較例3
<現像性試験>
(アクリル樹脂溶液の調製)
反応溶液にシクロヘキサノン800重量部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら、100℃に加熱して、同温度で下記モノマー及び熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
スチレン 60.0重量部
メタクリル酸 60.0重量部
メタクリル酸メチル 65.0重量部
メタクリル酸ブチル 65.0重量部
アゾビスイソブチロニトリル 10.0重量部
滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0重量部をシクロヘキサノン50.0重量部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けて、重量平均分子量が約40,000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして、180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%となるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
【0219】
ラジカル重合組成物(A)8重量部、ラジカル重合性化合物(B)としてジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社、SR399)を100重量部、アルカリ可溶性樹脂を含む溶液として上記で調製したアクリル樹脂溶液を500重量部、溶媒としてシクロヘキサノン400重量部からなる重合組成物を表6に示す組成にて配合し、塗工液を調製した。
【0220】
上記重合性組成物溶液を、0.2μm孔径のディスクフィルターにてろ過し、ステンレス板(#600研磨)上にスピンコーターを使用して塗工し、オーブン中80℃で3分間加熱乾燥して溶媒を除去した。乾燥後、ステンレス板上に形成された重合性組成物の膜厚は2μmであった。これらを0.2重量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に20℃で45秒浸した後、さらに蒸留水で洗浄し、温風乾燥器(60℃)で2時間乾燥して水分を除去した。ステンレス板の表面を指でタックしベトツキの有無を確認した結果を表6に示す。
○:ベトツキなし
×:ベトツキあり
【0221】
表6
【表6】

【0222】
本発明のラジカル重合開始剤(A)を用いた重合性組成物(実施例73〜89)はアルカリ現像液に対して、所定の時間で速やかに現像されることが確認された。一方、一般式(1)の3位−フェニル基に対応する置換基が縮合多環炭化水素基であるラジカル重合開始剤(A)を用いた場合(比較例3)、所定の時間で完全に現像されなかった。したがって本発明のラジカル重合開始剤(A)を用いることにより、アルカリ現像性が要求されるような分野においてもより優れた特性を持っていることが明らかとなった。
【0223】
実施例90〜119、比較例4
<保存安定性試験>
実施例で調整した重合性組成物溶液を、暗所、40℃にて3週間保存した。その後、この重合性組成物溶液のゲル化の有無により保存安定性を評価した結果を表7に示す。
○:保存安定性良好(保存前と変化無し。ゲル化は確認されず。)
×:保存安定性不良(ゲル化が確認された。)。
【0224】
表7
【表7】

【0225】
本発明のラジカル重合開始剤(A)を用いた重合性組成物(実施例90〜119)は、40℃、3週間の保存条件下においてゲル化が認められなかった。すなわち、本発明の一般式(1)で表される化合物をラジカル重合開始剤(A)として用いることにより、一般式(1)の3位−フェニル基に対応する置換基が縮合多環炭化水素基であるラジカル重合開始剤(A)を用いた重合組成物(比較例4)よりも保存安定性の向上が可能となっている。
【0226】
実施例120〜136、比較例5
<臭気試験>
硬化性試験と同条件で硬化したステンレス版をガラス瓶に詰め、40℃にて1時間経った後に5人のパネラーに臭気性を相対的に判定してもらい、1(不良)〜3(良好)の五段階で評価した結果を表8に示す。
【0227】
表8
【表8】

【0228】
本発明のラジカル重合開始剤(A)を用いた光重合性組成物(実施例120〜136)は、一般式(1)の3−位フェニル基に対応する置換基が縮合多環炭化水素基であるラジカル重合開始剤(A)(比較例5)と比較して、臭気性に優れることが分かった。本発明の光重合性組成物が臭気性に優れる理由としては、硬化後のラジカル重合開始剤(A)やその分解物の揮発などが少ないためではないかと推測している。
【0229】
実施例137〜154、比較例6
<溶解性試験>
ラジカル重合開始剤(A)10重量部をペンタエリスリトールトリアクリレート100重量部、シクロヘキサノン100重量部からなる重合組成物を表9に示す組成にて配合した。この時、目視にて溶け残りの有無により溶解性を評価した結果を表9に示す。
○:溶け残りなし
×:溶け残りあり
【0230】
表9
【表9】

【0231】
本発明のラジカル重合開始剤(A)は(実施例137〜154)、一般式(1)の3−位フェニル基に対応する置換基が縮合多環炭化水素黄であるラジカル重合開始剤(A)(比較例6)よりさらに溶解性に優れていることが明らかとなった。すなわち本発明の光重合開始剤(A)はハンドリング性に優れており、種々の用途へと展開可能な開始剤であることが明らかとなった。
【0232】
実施例155〜171、比較例7
<硬化物の黄変性>
ラジカル重合開始剤(A)6重量部、ラジカル重合性化合物(B)としてペンタエリスリトールトリアクリレート100重量部、バインダーとしてポリメチルアクリレート100重量部、溶剤としてシクロヘキサノン1600重量部からなる重合性組成物を表10に示す組成にて配合し、塗工液を調製した。この塗工液を、バーコーター(#3)を用いてペットフィルム上に塗工した。この塗工物に、硬化性と同条件で硬化した塗工物をカットし、10人のパネラーが塗工物の黄変性を相対的に判定したものであり、1(不良)〜5(良好)の五段階で評価した。その結果を表10に示す。
【0233】
表10
【表10】

【0234】
本発明のラジカル重合開始剤(A)を用いた光重合性組成物(実施例155〜171)は、一般式(1)の3−位フェニル基に対応する置換基が縮合多環炭化水素基であるラジカル重合開始剤(A)を用いた光重合性組成物(比較例7)と比較して、明らかに黄変性に優れている。すなわち本発明のラジカル重合開始剤(A)は、硬化物の透明性が求められる分野においても展開可能な開始剤であることが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物。
一般式(1)
【化1】



(式中、R1〜R5、およびR12〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキニル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、または、置換もしくは未置換のアミノ基を表す。また、これらR1〜R5、およびR12〜R16は、隣接する置換基が一体となって環を形成してもよい。
6〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、または、置換もしくは未置換のアミノ基を表す。
XおよびYは、それぞれ独立に、一価の有機残基を表す。)
【請求項2】
12〜R16の少なくとも一つが、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、および置換もしくは未置換のアミノ基のいずれかである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
12〜R16の少なくとも一つが、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基である請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか記載の化合物を含んでなるラジカル重合開始剤(A)。
【請求項5】
請求項4記載のラジカル重合開始剤(A)とラジカル重合性化合物(B)とを含んでなる重合性組成物。
【請求項6】
さらに増感剤(C)を含んでなる請求項5記載の重合性組成物。

【公開番号】特開2009−179619(P2009−179619A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22200(P2008−22200)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】