説明

新規カルバペネム誘導体

本発明は新規カルバペネム誘導体を提供し、医薬品技術領域に属する。具体的に、式(1)及び式(2)で示される化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体及び中間体(但し、R1、R2、R3、R4は明細書の記述通り)に関する。さらに、本発明はこれらの化合物の製造方法、これらの化合物が含まれる薬物組成物及び感染性疾病の治療及び/又は予防する薬物を製造するための、これらの化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品技術領域に属し、具体的に新規カルバペネム誘導体、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体及び中間体、これらの化合物の製造方法、これら化合物が含まれる薬物組成物及び感染性疾病の治療及び/又は予防する薬物を製造するための、これらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カルバペネム系抗生物質は70年代に発展してきたβ-ラクタム系抗生物質の一種類である。その抗菌スペクトラムが広く、抗菌活性が強い、且つβ-ラクタマーゼに対して安定であるため注目されている。その構造の特徴として、ペニシリン母核の1位にある硫黄が炭素で置換され、2位に二重結合があり、ペニシリンの五員環とセファロスポリンの共役二重結合によるβ-ラクタム環が活性化される特徴を兼備しており、6位のヒドロキシエチル側鎖がトランスコンフォーメーションである。
【0003】
欧州特許第0126587号明細書(特許文献1)には式(a)で示される化合物が公開された。好ましい化合物は式(b)で示されるメロペネムである。
【0004】
【化1】

【0005】
メロペネムは多くの国家で市販され、グラム陽性菌とグラム陰性菌に強い抗菌活性を示し、腹腔感染、皮膚及び皮膚軟組織感染等の治療に用いられる。腎dehydropeptidase-I(DHP-1)に安定である。しかし、半減期が短く、8時間ごとに投薬しなければならない。
【0006】
抗生物質の乱用により、臨床耐性菌がますます多くなり、病院臨床感染の各種の病原菌に高い抗菌活性及び長い半減期を有する新規カルバペネム系抗生物質の研究開発が必須となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第0126587号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術に存在する上記問題に鑑みて、本発明は、抗菌スペクトラムが広く、抗菌活性に優れ、且つ長い半減期を有するカルバペネム誘導体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は下記の技術案を提供する。
【0010】
[1]式(1):
【化2】

[式中、
R1は水素原子あるいはカルボキシの保護基を表し、
R2は水素原子あるいはアミノの保護基を表し、
R3は水素原子あるいは低級アルキルを表し、
R4は1つまたは複数の置換基で置換または未置換された
【化3】

を表し、
上述の置換基は、ハロゲン;ヒドロキシ;カルボキシ;アミノ;ニトロ;シアノ;ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ニトロまたはシアノで置換または未置換された低級アルキル、低級アルコキシ;アミノスルホニルまたは低級アルキルスルホンアミドから選択される]
で示される化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体。
【0011】
[2]式(1):
【化4】

[式中、
R1は水素原子あるいはカルボキシの保護基を表し、
R2は水素原子あるいはアミノの保護基を表し、
R3は水素原子あるいは低級アルキル基を表し、
R4は1つまたは複数の置換基で置換または未置換された
【化5】

を表し、
上述の置換基は、スルホン酸;カルバモイル;スルホン酸基、アミノスルホニルまたはカルバモイルで置換された低級アルキル、低級アルコキシ;ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、スルホン酸基、アミノスルホニルまたはカルバモイルで置換された低級アルキルスルホンアミド;ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、スルホン酸基、アミノスルホニルまたはカルバモイルで置換または未置換された低級アルキルカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルキルスルホニル、低級アルキルアミド、低級アルキルカルバモイル、低級アルキルアミノスルホニルから選択される]
で示される化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体。
【0012】
[3]式(2):
【化6】

[式中、
R1は水素原子あるいはカルボキシの保護基を表し、
R2は水素原子あるいはアミノの保護基を表し、
R3は水素原子あるいは低級アルキルを表し、
R4は1つまたは複数の置換基で置換または未置換された
【化7】

を表し、
上述の置換基は、ハロゲン;ヒドロキシ;カルボキシ;アミノ;ニトロ;シアノ;スルホン酸基;アミノスルホニル;カルバモイル;ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、スルホン酸基、アミノスルホニルまたはカルバモイルで置換または未置換された低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルキルカルバモイル、低級アルキルアミノスルホニル、低級アルキルアミド、低級アルキルスルホンアミドから選択される]
で示される化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体。
【0013】
[4]
式中、
R3は水素原子、メチル、エチルあるいはプロピルを表し、
R4は1つまたは複数の置換基で置換または未置換された
【化8】

を表し、
上述の置換基は、ハロゲン;ヒドロキシ;カルボキシ;アミノ;ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシまたはアミノで置換または未置換された低級アルキル、低級アルコキシ;アミノスルホニルから選択される[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体。
【0014】
[5]
式中、R1は水素原子を表し、
R2は水素原子を表し、
R3は水素原子あるいはメチルを表し、
R4は1つまたは複数の置換基で置換または未置換された
【化9】

を表し、
上述の置換基は、メチル;エチル;カルボキシ;カルボキシメチル;カルボキシエチル;トリフルオロメトキシまたはアミノスルホニルから選択される
[4]に記載の化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体。
【0015】
[6]
化合物が
- (4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル[[フラン−2−イルメチル]アミノ]−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ−[3.2.0]へプト−2−エン−2−カルボン酸、
- (4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル[[フラン−2−カルボキシ−5−イルメチル]アミノ]−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ−[3.2.0]へプト−2−エン−2−カルボン酸、
- (4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル[[フラン−2−カルボキシメチル−5−イルメチル]アミノ]−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ−[3.2.0]へプト−2−エン−2−カルボン酸、
- (4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル[[フラン−3−カルボキシ−5−イルメチル]アミノ]−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ−[3.2.0]へプト−2−エン−2−カルボン酸、または
- (4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル[[フラン−2−アミノスルホニル−5−イルメチル]アミノ]−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ−[3.2.0]へプト−2−エン−2−カルボン酸
から選択される[1]〜[5]に記載の化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体。
【0016】
[7]
[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、またはその異性体と、1種あるいは複数種の薬用キャリアー及び/又は希釈剤とを含む薬物組成物。
【0017】
[8]
感染性疾病の治療及び/又は予防する薬物を製造するための、[1]〜[3]のいずれかに記載された化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体の使用。
【0018】
[9]
式(4)あるいは式(5)の化合物を式(3)の化合物またはその塩またはエステルまたは異性体と求核置換反応させることにより、式(1)または式(2)の化合物を得ることが含まれる[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物の製造方法。
【化10】

[式中、
R1は水素原子あるいはカルボキシの保護基を表し、
R2は水素原子あるいはアミノの保護基を表し、
R3は水素原子あるいは低級アルキルを表し、
R4は1つまたは複数の置換基で置換または未置換された
【化11】

を表し、
上述の置換基は、ハロゲン;ヒドロキシ;カルボキシ;アミノ;ニトロ;シアノ;スルホン酸基;アミノスルホニル;カルバモイル;ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、スルホン酸基、アミノスルホニルまたはカルバモイルで置換または未置換された低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルキルカルバモイル、低級アルキルアミノスルホニル、低級アルキルアミド、低級アルキルスルホンアミドから選択される。式中、Lは脱離基を表す。]
【0019】
[10]
式(3):
【化12】

[式中、
R2は水素原子あるいはアミノの保護基を表し、
R3は水素原子あるいは低級アルキルを表し、
R4は1つまたは複数の置換基で置換または未置換された
【化13】

を表し、
上述の置換基は、ハロゲン;ヒドロキシ;カルボキシ;アミノ;ニトロ;シアノ;スルホン酸基;アミノスルホニル;カルバモイル;ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、スルホン酸基、アミノスルホニルまたはカルバモイルで置換または未置換された低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルキルカルバモイル、低級アルキルアミノスルホニル、低級アルキルアミド、低級アルキルスルホンアミドから選択される]
で示される化合物およびその塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体。
【0020】
本発明に記載された「ハロゲン」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0021】
本発明に記載された「低級アルキル」はC1-6の直鎖状あるいは分岐状アルキルである。
【0022】
本発明に記載された「アミノの保護基」はアミノの酸性プロトンを置換するための通常の保護基を指す。
【0023】
本発明に記載された「カルボキシの保護基」はカルボン酸の酸性プロトンを置換するための通常の保護基を指す。
【0024】
本発明のカルバペネム誘導体は従来技術と比べ、以下のメリットを有する。
【0025】
優れた抗菌活性を有し、且つ、低い毒性を示すため、哺乳動物(ヒトを含む)が敏感菌による各種の疾病の治療及び/又は予防に安全に使用できる。抗菌スペクトラムが広く、グラム陽性及び陰性菌、好気性と嫌気性菌および病院臨床の病原菌に対して優れた抗菌活性を示す。
【0026】
本発明のカルバペネム誘導体の長所は、β-ラクタマーゼとDHP-1に対して高度の安定性を有し、β-ラクタマーゼ産生菌に使用でき、且つ、他の薬物との併用する必要がない。
【0027】
本発明のカルバペネム誘導体の長所は、長い半減期を有し、抗菌作用が長く、投与しやすいことである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の1つの実施形態は上述の式(1)と式(2)で示される化合物である。
【0029】
式(1)と式(2)において、R1は水素原子あるいはカルボキシの保護基を表す。ここでの「カルボキシの保護基」とは、カルボン酸の酸性プロトンを置換するための通常の保護基を指す。カルボキシの保護基の実例として、メトキシメチル、メチルチオメチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、メトキシエチルメチル、ベンジルオキシメチル、フェナシル、p-ブロモフェナシル、α-メチルフェナシル、p-メトキシフェナシル、ジアシルメチル、N-フタルイミドメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-ハロエチル、ω-クロロアルキル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-メチルチオエチル、2-(p-ニトロフェニルチオ)エチル、2-(p-メチルフェニルチオ)エチル、1-メチル-1-フェニルエチル、t-ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ジ-(o-ニトロフェニル)メチル、9-フルオレニルメチル、2-(9,10-ジオキソ)フルオレニルメチル、5-ジフェニルチオ、2,4,6-トリメチルベンジル、p-ブロモベンジル、o-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、p-メトオキシベンジル、ピペロニル、4-ピコリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、S-t-ブチル、S-フェニル、S-2-ピリジル、N-ヒドロキシピペリジニル、N‐ヒドロキシスクシンイミジル、N-ヒドロキシフタルイミジル、N-ヒドロキシベンゾトリアゾイル、O-アシルオキシム、2,4-ジニトロフェニルチオ、2-アルキル-1,3-オキサゾリン、4-アルキル-5-オキソ-1,3-オキサゾリジン、5-アルキル-4-オキソ-1,3-ジオキサン、トリエチルスタンニル、トリ-n-ブチルスタンニル、N,N’-ジイソプロピルヒドラジド等が挙げられる。
【0030】
式(1)と式(2)において、R2は水素原子あるいはアミノの保護基を表す。ここでの「アミノの保護基」とは、アミノ基の酸性プロトンを置換するための通常の保護基を指す。アミノの保護基の実例として、メチル、エチル、シクロプロピルメチル、1-メチル-1-シクロプロピルメチル、ジイソプロピルメチル、9-フルオレニルメチル、9-(2-チオ)-フルオレニルメチル、2-フラニルメチル、2,2,2-トリクロロメチル、2-ハロメチル、2-ヨードエチル、2-トリメチルシリルエチル、2-メチルチオエチル、2-メチルスルホニルエチル、2-(p-トルエンスルホニル)エチル、2-ホスホニウムエチル、1,1-ジメチル-3-(N,N-ジメチル-ホルムアミド)-プロピル、1,1-ジフェニル-3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピル、1-メチル-1-(アダマンチル)エチル、1-メチル-1-フェネチル、1-メチル-1-(3,5-ジメトキシフェニル)エチル、1-メチル-1-(4-ビフェニル)エチル、1-メチル-1-(p-フェニルアゾフェニル)エチル、1,1-ジメチル-2,2,2-トリクロロエチル、1,1-ジメチル-2-シアノエチル、イソブチル、t-ブチル、t-アミル、シクロブチル、1-メチルシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-メチルシクロヘキシル、1-アダマンチル、イソボルニル、ビニル、アリル、シンナミル、フェニル、2,4,6-トリ-t-ブチルフェニル、m-ニトロフェニル、S-フェニル、8-キノリル、N’-ヒドロキシピペリジル、4-(1,4-ジメチルピペリジル)、4,5-ジフェニル-3-オキザゾリン-2-オン、ベンジル、2,4,6-トリメチルベンジル、p-メトキシベンジル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、3,5-ジメトキシベンジル、p-デシルオキシベンジル、p-ニトロベンジル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、o-ニトロベンジル、3,4-ジメトキシ-6-ニトロベンジル、p-ブロモベンジル、クロロベンジル、2,4-ジクロロベンジル、p-シアノベンジル、o-(N,N-ジメチル-アミノホルムアミド)ベンジル、m-クロロ-p-アシルオキシベンジル、p-(ジヒドロキシボリル)ベンジル、p-(フェニルアゾ)ベンジル、p(p-メトキシフェニルアゾ)ベンジル、5-ベンゾイソオキサゾリルメチル、9-アントリルメチル、ジフェニルメチル、フェニル(o-ニトロフェニル)メチル、ジ(2-ピリジル)メチル、1-メチル-1-(4-ピリジル)エチル、イソニコチニル、S-ベンジル、N’-ピペリジルカルボニル、N’-p-トルエンスルホニルアミノカルボニル及びN’-フェニルアミノチオカルボニルのアミノギ酸エステル;ホルミル、アセチル、アセチル-ピリジニウム、(N’-ジチオベンジルオキシカルボニルアミノ)アセチル、3-フェニルプロピオニル、3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオニル、3-(o-ニトロフェニル)プロピオニル、2-メチル-2- (o-ニトロフェノキシ)プロピオニル、2-メチル-2-(o-フェニルアゾフェノキシ)プロピオニル、4-クロロブチリル、イソブチリル、o-ニトロシンナモイル、ピコリノイル、N’-アセチルメチオニル、N’-ベンゾイル-フェニルアルキル、ベンゾイル、p-フェニルベンゾイル、p-メチルオキシベンゾイル、o-ニトロベンゾイル、o-(ベンゾイルオキシメチル)ベンゾイル及びp-P-ベンゾイルのアミド、フタロイル、2,3-ジフェニルマレオイル及びジチオスクシニルのサイクリックイミド;t-ブトキシカルボニル、アリル、アリルオキシカルボニル、フェナシル、3-アセトオキシプロピル、4-ニトロ-1-シクロヘキシル-2-オキソ-3-ピロリン-3-イル、第四級アンモニウム塩、メトキシメチル、2-クロロエトキシメチル、ベンジルオキシメチル、ピバロイルメチル、[1-(アルコキシカルボニルアミノ)]-2,2,2-トリフルオロ-エチル、[1-トリフルオロメチル-1-(p-クロロフェノキシメトキシ)-2,2,2-トリフルオロ]エチル、2-テトラヒドロ-ピラニル、2,4-ジニトロフェニル、ベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、o-ニトロベンジル、ジ(p-メトキシフェニル)メチル、トリフェニルメチル、(p-メトキシフェニル)ジフェニルメチル、ジフェニル-4-ピリジルメチル、2-ピコリル-N’-オキシド、5-ジフェニルプロピルシクロヘプチル、N’,N’-ジメチルアミノメチレン、N’-イソプロピレン、ベンジリデン、p-メトキシベンジリデン、p-ニトロベンジリデン、サリチリデン、5-クロロサリチリデン、ジフェニルメチレン、(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)フェニル-メチレン、(アシルビニル)、5,6-ジメチル-3-オキソ-1-シクロヘキセニル、ボラン、[フェニル(ペンタカルボニルクロミウムあるいはタングステン)]カルボニル、銅あるいは亜鉛キレート、ニトロ、ニトロソ、オキサイド、ジフェニルホスフィノ、ジメチルチオホスフィニル、ジフェニルチオホスフィニル、ジエチルホスホリル、ジベンジルホスホリル、ジフェニルホスホリル、ホスホリル、トリメチルシリル、フェニルチオ、o-ニトロフェニルチオ、2,4-ジニトロフェニルチオ、2-ニトロ-4-メトキシフェニルチオ、トリフェニルメチルチオ、ベンゼンスルホニル、p-メトキシベンゼンスルホニル、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホニル、メチルスルホニル、ベンジルスルホニル、p-メチルベンジルスルホニル、トリフルオロメチルスルホニル、フェナシルスルホニル、ジアゾ等が挙げられる。
【0031】
式(1)と(2)において、R3は水素原子あるいは低級アルキルを表す。ここでの「低級アルキル」はC1-6直鎖状あるいは分岐状アルキルである。低級アルキルの実例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、s-ブチル、アミル、ネオベンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0032】
式(1)と(2)において、R4は1つまたは複数の置換基で置換または未置換された
【化14】

を表す。フラン環上の置換基には、ハロゲン;ヒドロキシ;カルボキシ;アミノ;ニトロ;シアノ;スルホン酸基;アミノスルホニル;カルバモイル;ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、スルホン酸基、アミノスルホニル又はカルバモイルで置換または未置換された低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルキルカルバモイル、低級アルキルアミノスルホニル、低級アルキルアミド、低級アルキルスルホンアミド等が含まれる。そのうち好ましいのは、ハロゲン;ヒドロキシ;カルボキシ;アミノ;ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシまたはアミノで置換または未置換された低級アルキル、低級アルコキシ;アミノスルホニルがある。最も好ましいのは、メチル、エチル、カルボキシ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、トリフルオロメトキシまたはアミノスルホニルである。
【0033】
式(1)と式(2)で示される化合物から、さらに好ましい実例は表1に示す化合物が選出される。
【0034】
【表1】

【0035】
本発明の式(1)と式(2)で示される化合物の薬学的に許容しうる塩は、有機酸塩、無機酸塩、有機アルカリ塩または無機アルカリ塩である。そのうち、有機酸には酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸が含まれる。無機酸には塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸が含まれる。有機アルカリにはメグルミン、グルコサミンが含まれる。無機アルカリにはナトリウム、カリウム、バリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウムの塩基性化合物が含まれる。当領域の専門家にとって、本発明化合物の薬学的に許容しうる塩が当該化合物の遊離カルボキシ基において形成され、通常の方法により得られるということは自明である。好ましい薬用塩はナトリウム塩とカリウム塩であり、例として、(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル[[フラン−2−カルボキシ−5−イルメチル]アミノ]−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ−[3.2.0]へプト−2−エン−2−カルボン酸モノナトリウム塩(化合物Bモノナトリウム塩)がある。
【0036】
本発明の式(1)と式(2)で示される化合物の加水分解しやすいエステルは、そのカルボキシ基部分が加水分解しやすいエステルとして存在する化合物である。これらのエステルは慣用のものであり、低級アルカノイルオキシアルキルエステル、低級アルコキシカルボニルアルキルエステル、低級アルコキシメチルエステル、ラクトニルエステル、ベンゾフランケトンエステル、チオキシベンゾフランケトンエステル、低級アルカノイルアミノメチルエステルが含まれる。低級アルカノイルオキシアルキルエステルの例としては、ピバロイルオキシメチルエステル、1-ピバロイルオキシエチルエステルが挙げられる。低級アルコキシカルボニルアルキルエステルの例としては、メトキシカルボニルオキシメチルエステル、1-エトキシカルボニルオキシエチルエステル、1-イソプロピルカルボニルオキシエチルエステルが挙げられる。低級アルコキシメチルエステルの例としては、メトキシメチルエステルが挙げられる。低級アルカノイルアミノメチルエステルの例としては、アセチルアミノメチルエステルが挙げられる。また、その他のエステルとして、ベンジルエステル及びシアノメチルエステルを用いてもよい。これらのエステルのほかの実例として、2,2-ジメチル-1-オキシプロポキシ)メチルエステル、(1RS)-1-アセトキシエチルエステル、2-[(2-メチルプロポキシ)カルボニル]-2-ペンテニルエステル、1-[[(1-メチルエトキシ)カルボニル]オキシ]エチルエステル、イソプロピルオキシカルボニルオキシエチルエステル、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルエステル、1-[[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ]エチルエステル、3,3-ジメチル-2-オキソブチルエステル等が挙げられる。本発明の化合物の加水分解しやすいエステルが該化合物の遊離カルボキシ基のところに形成されてもよく、通常の方法により得られるということは当業者にとって自明である。好ましい実例として、ピバロイルオキシメチルエステル、イソプロピルカルボニルオキシエチルエステルと(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルエステルがある。例えば、(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル[[フラン−2−イルメチル]アミノ]−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ−[3.2.0]へプト−2−エン−2−カルボン酸ピバロイルオキシメチルエステル(化合物Aピバロイルオキシメチルエステル)。
【0037】
本発明に記載の異性体とは、すべてのエピマー、ジアステレオマー及び互変異性の形式を指す。化学結合がくさび形で表されるときは、三次元において当該結合が紙面から出てくることを表す。化学結合が破線で表されるときは、三次元において当該結合が紙面に戻すことを表す。式(1)と式(2)で示される化合物は4位、5位と6位等多数のステレオセンターを有する。
【0038】
本発明のもう一つ実施例は、式(1)と式(2)で示される任意の化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体、その水和物、またはそのエステル及び塩の水和物とその他の薬用活性成分が含まれる薬物組成物である。その他の薬用活性成分の例として、シラスタチン及びシラスタチンナトリウム塩、ベタミプロン等が挙げられる。
【0039】
本発明のもう一つの実施例は、式(1)と式(2)で示される任意の化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、またはその異性体と1種あるいは複数種の薬用キャリアー及び/又は希釈剤が含まれる薬物組成物である。本分野の公知の方式で臨床上または薬学上に許容しうる任意の剤型が調製できる。好ましいのは経口剤と注射剤である。そのうち、式(1)で示される化合物の生理的有効量は0.01g〜10g(例えば、0.01g, 0.015g, 0.02g, 0.025g, 0.03g, 0.04g, 0.05g, 0.1g, 0.125g, 0.2g、0.25g, 0.3g, 0.4g, 0.5g, 0.6g, 0.75g, 1g, 1.25g, 1.5g, 1.75g, 2g, 2.5g, 3g, 4g, 5g, 6g, 7g, 8g, 9g, 10g等)である。
【0040】
本発明の式(1)と式(2)で示される化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体、その水和物、またはそのエステルまたは塩の水和物は、経口または非経口(胃腸外投与)等の方式で当該治療を必要とする患者に投与できる。
【0041】
非経口(胃腸外投与)の方式で投与する時は、注射剤に調製することができる。注射剤とは、薬物から製造した体内に注入するための溶液、乳液または懸濁液、及び使用直前に溶液または懸濁液に調製または希釈出来る粉末または濃溶液の無菌製剤を指す。注射剤は注射液、注射用無菌粉末と注射用濃溶液に分けられる。注射液とは、薬物から製造した体内に注入するための無菌溶液型注射液、乳液型注射液または懸濁液型注射液を指す。筋肉注射、静脈注射、静脈点滴等に用いられる。その規格として、1ml、2ml、5ml、10ml、20ml、50ml、100ml、200ml、250ml、500ml等がある。そのうち、静脈点滴用大容積(一般的には100ml以上)の注射液は静脈輸液とも言える。注射用無菌粉末とは、薬物から製造した使用直前に適宜な無菌溶液で清澄化溶液あるいは均一な懸濁液に調製できる無菌の粉末あるいは塊を指す。適宜な注射用溶媒で調製してから注射に用いられるのも静脈輸液と一緒に点滴することもできる。無菌粉末は溶媒結晶法、噴霧乾燥法または凍結乾燥法により作られる。注射用濃溶液とは、薬物から製造した使用直前に希釈用の静脈点滴用の無菌濃溶液を指す。
【0042】
注射剤を調製する場合は、製薬分野においての従来の慣用方法で生産できる。水性溶媒または非水性溶媒が選択できる。最も常用する水性溶媒は注射用水であり、0.9%の塩化ナトリウム溶液またはその他の適宜な水溶液が用いられる。常用する非水性溶剤は植物油であり、主に注射用大豆油であるが、その他に、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の水溶液がある。注射剤を調剤するときは、添加剤を加えなくてもよいが、薬物の性質によって適宜の添加剤、例えば、浸透圧調整剤、pH値調整剤、溶解補助剤、充填剤、抗酸化剤、制菌剤、乳化剤、懸濁化剤等を加えてもよい。常用の浸透圧調整剤は、塩化ナトリウム、ブドウ糖、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、ソルビトール等がある。好ましいのは塩化ナトリウムまたはブドウ糖である。常用のpH値調整剤は酢酸−酢酸ナトリウム、乳酸、クエン酸−クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム−炭酸ナトリウム等がある。常用の溶解補助剤は、ポリソルベート80、プロピレングリコール、レシチン、ポリオキシエチレンキャスターオイル等がある。常用の充填剤には、乳糖、マンニトール、ソルビトール、デキストラン等がある。常用の抗酸化剤は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等がある。常用の制菌剤は、フェノール、クレゾール、トリクロロブタノール等がある。注射剤に通常に用いられる容器は、ガラスアンプル、バイアル、プラスチックアンプル、プラスチック瓶等がある。
【0043】
経口投与の場合は、慣用の固体製剤、例えば、錠剤、カプセル、丸剤、顆粒剤等に作製することができる。また、経口の液体製剤、例えば、経口溶液剤、経口懸濁剤、シロップ剤等に作製することもできる。錠剤とは、薬物を適宜の添加物と均一に混合し、円形または異形の固体製剤に打錠したものを指す。主に経口錠剤があるが、トローチ錠、舌下錠、口腔パッチ、チュアブル錠、分散錠、口腔内崩壊錠、発泡錠、徐放錠、制御放出錠、腸溶錠等もある。カプセル剤とは、薬物または薬物と添加物を中空カプセルに充填した、または軟質カプセル材に密封された固形製剤を指す。その溶解及び放出特性により、硬ゼラチンカプセル剤(通称はカプセル)、ゼラチンカプセル剤(軟カプセル剤)、徐放カプセル、放出制御カプセル、腸溶性カプセル等に分けられる。丸剤とは、薬物を適宜な添加物と均一に混合し、適当な方法で球状または類球状に作製した固形製剤を指す。滴丸、糖丸、小丸等が分けられる。顆粒剤とは、薬物と適宜の添加物を、ある程度の大きさに作られた乾燥顆粒製剤を指す。可溶顆粒(通称顆粒)、懸濁顆粒、発泡顆粒、腸溶性顆粒、徐放顆粒及び放出制御顆粒等に分けられる。経口液体製剤とは、薬物を適宜な溶剤に溶解して作製した経口投与用の清澄液体製剤を指す。経口懸濁剤とは、難溶性固形薬物を液体溶媒に分散して作製した経口投与用の懸濁液体製剤を指す。ドライ懸濁剤と高濃度懸濁液が含まれる。シロップ剤とは、薬物を含有する高濃度蔗糖水溶液を指す。
【0044】
経口用製剤を作製する時、適宜の充填剤、粘着剤、崩壊剤及び潤滑剤等を添加することができる。常用の充填剤には、デンプン、結晶性蔗糖粉末、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、デキストリン、微結晶セルロース、ラクトース、プレゼラチン化デンプン、マンニトール等がある。常用の粘着剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、PVP-K30、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプンスラリー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゲル化デンプン等がある。常用の崩壊剤には、ドライデンプン、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等がある。常用の潤滑剤にはステアリン酸マグネシウム、タルク、ドデシル硫酸ナトリウム、マイクロパウダーシリカゲル等がある。
【0045】
すでにカルバペネム系は温血動物に毒性を示さないことが発見されたので、この性質は式(1)と式(2)で示される化合物にも適用されると思われる。本発明の化合物が細菌感染防止できる過量投与量をマウスに投与した結果、本発明の化合物による明らかな中毒徴候または副作用が発見されていない。
【0046】
本発明はさらに、式(1)と式(2)で示されるいずれの化合物が感染性疾病の治療及び/又は予防する薬物を製造するための用途を提供した。本発明の化合物はグラム陽性菌、グラム陰性菌、好気菌、嫌気菌に対していずれも優れた抗菌活性を有し、驚くほどの長い半減期を持ちながら、β-ラクタマーゼとDHP-1に安定であり、ヒトを含む各種哺乳動物(マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ等)が病原微生物による各種疾病(例えば、呼吸器感染症と尿路感染症等)の治療あるいは予防に安全に使用できると思われる。
【0047】
また、本発明は式(1)と式(2)で示される化合物の製造方法を提供した。式(4)あるいは式(5)で示される化合物を、式(3)の化合物またはその塩またはそのエステルまたはその異性体と求核置換反応させることが含まれる。
【0048】
【化15】

【0049】
式(4)と式(5)中のR1が表す基は前記の通りである。Lは脱離基を表す。式(3)中のR2、R3、R4が表す基は前記の通りである。Lで表す脱離基には、ヒドロキシベースの反応基、例えばスルホン酸エステル(例えば、低級アルキルスルホニルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、フェニルスルホニルオキシ、メチルフェニルスルホニルオキシ)、リン酸エステル(例えば、ジフェニルリン酸エステルのようなジアリールリン酸エステル)またはハロゲン化合物(例えば、塩化物);スルホキシド(例えば、-SOCH=CH-NHCOCH3)があり、それは容易に置換される。好ましいのはジフェニルリン酸エステル(-OP(O)(OPh)2)である。
【0050】
本発明の製造方法の1つの実例として、以下の反応が挙げられる。
【0051】
【化16】

【0052】
本発明の製造方法のもう1つの実例として、以下の反応ステップが含まれる。
【0053】
ステップ1 中間体(I)の作製
乾燥した反応容器に(2S,4S)-4-(アセチルチオ)-2-カルボキシ-1- (tert-ブトキシカルボニル) ピロリジン(即ち、原料1)と無水テトラヒドロフランを入れ、窒素ガスの保護下で、室温下に1,1-カルボニルジイミダゾール(即ち、CDI)を加えて反応させ、0℃以下に原料2のアセトン溶液を加えて反応を持続させる。その後、1mol/Lの塩酸を滴加し、エチルアセテートで抽出する。有機相を水、飽和塩化ナトリウム溶液の順で洗い、減圧濃縮させ、残留物に5mol/Lの塩酸を加えて撹拌し、希アルカリ溶液でアルカリ性に調整し、固体を析出させる。固体をアセトニトリル-シクロヘキサンの混合溶液で再結晶させ、中間体(I)が得られる。
【0054】
ステップ2 中間体(II)の作製
(4R,5S,6S)- 3-(ジフェノキシホスホリルオキシ) -6[(1R) -1-ヒドロキシエチル]-4-メチル-7-オキソ-1-アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸-p-ニトロベンジルエステル(即ち、原料3)のアセトニトリル溶液を反応容器に入れ、-10℃以下まで冷却し、ジイソプロピルエチルアミンと中間体(I)のアセトニトリル溶液を加え、0℃で撹拌する。反応終了後、エチルアセテートを加えて希釈し、水、飽和塩化ナトリウム溶液の順で洗い、有機相を乾燥し濃縮させ、中間体(II)が得られる。
【0055】
ステップ3 化合物(III)の作製
中間体(II)をジクロロメタンに溶かし、アニソールとニトロメタンを加え、-50℃で、1mol/Lの塩化アルミニウムのニトロメタン溶液を滴加し、-40℃で撹拌する。水を加え、固体を析出させ、ろ過する。固体をTHFと水の混合液に溶かし、10%のPd-Cを加え、5MPaの水素圧と室温下で撹拌し反応させる。Pd-Cをろ過し、ろ液にTHFを加え、分離させ、水層を回収する。次にTHFに5%の塩化マグネシウム溶液を加え、静置し、水層を回収する。操作を繰り返し、水相を合わせ、0℃でゆっくりとメタノールを滴加する。-10℃で撹拌しろ過する。再結晶させ、化合物(III)が得られる。
【0056】
また、上記の方法で化合物(III)の薬学的に許容しうる塩またはエステルを作製できる。
【0057】
上述の作製方法に用いられる原料及び試薬等はいずれも購入あるいは合成できる。例えば、原料1はShanghai Qiude Biochemical Engineering Co.,ltdから購入できる。原料2は: Alfa Aesar China (Tianjin)Co.,Ltd.から購入できる。原料3は新郷弘辰科技有限公司から購入できる。Pd-Cは上海滬豊生物科技有限公司から購入できる。上述の反応において、R3、R4が表す基は前記の通りである。化合物(III)上のカルボキシはカルボキシの保護基により保護され、窒素原子上の水素原子はアミノの保護基により保護される。即ち、式(1)または式(2)で示される化合物である。
【0058】
その他、本発明のもう一つの実施形態は、式(3)で示される化合物とその塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体である。
【化17】

【0059】
式(3)において、R2、R3、R4が表す置換基は前記の通りである。式(3)で示される具体的な化合物の例としては、前記化合物A〜Eの対応する中間体、即ち、中間体I-1〜I-5が挙げられる。
【実施例】
【0060】
以下に実施例により本発明の内容をさらに詳しく説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に限らない。本発明上述の内容に基づいて実現する技術はすべて本発明の範囲に属する。
【0061】
原料作製例1
5-メチルアミノ-2-フラン酢酸の合成
11.1g(100mmol)の 2-メチルアミノ-5-メチルフランのジクロロメタン溶液300mL、ジイソプロピルエチルアミン25mLを反応容器に入れ、氷浴で0℃まで冷やし、二炭酸ジ-tert-ブチルエステル21.8g(100mmol)のジクロロメタン溶液100mLを滴加した後、室温下で3時間撹拌する。反応終了後、さらにジクロロメタン300mLを加えて希釈する。水、飽和塩化ナトリウム溶液の順で洗い、有機相を乾燥し、濃縮させ、2-(tert-ブトキシカルボニルアミノメチル)-5-メチルフランが得られる(20.15g、収率:95.5%)。
【0062】
上記のように得られた2-(tert-ブトキシカルボニルアミノメチル)-5-メチルフラン10.55g(50mmol)のトリクロロメタン溶液150mL、N-ブロモジイミド13.35g(75mmol)とアゾジイソブチルニトリル(0.1g)を反応容器に入れ、加熱回流し5時間反応させる。反応終了後、水と酢酸エチルの混合液で抽出し、有機相を分離し、水、飽和塩化ナトリウム溶液の順で洗い、有機相を乾燥し、濃縮させ、5-(tert-ブトキシカルボニルアミノメチル)-フラン-2-ベンジルブロマイドが得られる(6.55g、収率:45.3%)。
【0063】
上記の反応で得られた5-(tert-ブトキシカルボニルアミノメチル)-フラン-2-ベンジルブロマイド5.8g(20mmol)と50mLのアセトニトリルを反応溶器に入れ、トリエチルアミン2.3g(22mmol)を滴加し、室温下で6時間を撹拌する。反応終了後、反応液を水、飽和塩化ナトリウム溶液の順で洗い、有機層を乾燥し、濃縮させ、カラムに通し、5-(tert-ブトキシカルボニルアミノメチル)-フラン-2-アセトニトリルが得られる(3.9g、収率:83.3%)。
【0064】
上記の反応で得られた5-(tert-ブトキシカルボニルアミノメチル)-フラン-2-アセトニトリル2.36g(10mmol)、ジクロロメタン20mL及び1N塩酸溶液20mLを反応容器に入れ、氷浴で1時間撹拌する。反応終了後、有機相を分離乾燥し濃縮させ、5-メチルアミノ-2-フラン酢酸が得られる(1.06g、収率:95.4%)。
【0065】
原料作製例2
5-メチルアミノ-フラン-2-スルホンアミドの合成
9.7g(100mmol)の2-メチルアミノフランのジクロロメタン溶液300mLとジイソプロピルエチルアミン25mLを反応容器に入れ、氷浴で0℃まで冷やし、二炭酸ジ-tert-ブチルエステル21.8g(100mmol)のジクロロメタン100mLを滴加する。滴加終了後、室温下で3時間撹拌する。反応終了後、300mLのジクロロメタンを加えて希釈し、水、飽和塩化ナトリウム溶液の順で洗い、有機相を乾燥し、濃縮させ、2-(tert-ブトキシカルボニルアミノメチル)-フランが得られる(18.7g、収率:95.0%)。
【0066】
上記の反応で得られた2-(tert-ブトキシカルボニルアミノメチル)-フラン9.8g(50mmol)のジクロロメタン溶液150mLを反応容器に入れ、氷浴で0℃まで冷やしてから、ピリジンと三酸化硫黄の付加物15.9g(100mmol)のジクロロメタン溶液100mLを滴加する。滴加終了後、室温下で8時間撹拌する。反応終了後、水(400mL×2)で抽出する。水層にゆっくり10%の希塩酸を滴加し、pH値を6.5〜7の間に調整した後、ジクロロメタン(500mL×2)で抽出する。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗い、減圧濃縮させ、5-(tert-ブトキシカルボニルアミノメチル)-フラン-2-スルホン酸が得られる(5.5g、収率:40.0%)。
【0067】
上記のように得られた5-(tert-ブトキシカルボニルアミノメチル)-フラン-2-スルホン酸(5.5g, 20mmol)と塩化チオニル40mLを反応容器に入れ、室温下で6時間撹拌した後、過量の塩化チオニルを加圧蒸留で除去する。次いで、無水ジクロロメタン100mLを加え、充分溶解した後0℃まで冷やす。0℃で、溶液中に乾燥のアンモニアガスを通気し、3時間撹拌する。反応終了後、溶液をろ過し、ろ液を濃縮し、5- tert-ブトキシカルボニルアミノメチル-フラン-2-スルホンアミドが得られる(5.2g、収率:94.8%)。
【0068】
上記の反応で得られた5-(tert-ブトキシカルボニルメチルアミノ)-フラン-2-スルホンアミド5.2g(19mmol)を反応容器に入れ、200mLのトリフルオロ酢酸とジクロロメタンの混合液(V/V=4:1)を加え、室温下4時間撹拌する。反応終了後、濃縮させ、5-メチルアミノ-フラン-2-スルホンアミドが得られる(3.3g、収率:98.4%)。
【0069】
中間体作製例1
(2S,4S) -4-メルカプト- 2-ホルミル[(フラン-2-イルメチル)アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジンの作製
乾燥の反応容器に、14.5g(50mmol)の(2S,4S)-4-(アセチルチオ)-2-カルボキシ-1-(tert-ブトキシカルボニル) ピロリジンと、無水テトラヒドロフラン200mLを入れ、窒素ガスの保護下で、室温に1,1-カルボニルジイミダゾール(即ち、CDI)9.8g(60mmol)を加え、2時間反応させる。0℃以下に5.3g(55mmol)のフラン-2-イル-メチルアミンのアセトン溶液を加え、引き続き1時間反応させる。そして、1mol/Lの塩酸100mLを滴加し、酢酸エチル(50mL×2)で抽出する。有機相を水、飽和塩化ナトリウム溶液の順で洗い、減圧濃縮してから、残留物に5mol/Lの塩酸200mLを加えて2時間撹拌する。希アルカリ溶液でアルカリ性に調整し、固体を析出させる。固体をアセトニトリル−シクロヘキサンの混合液で再結晶させ、(2S,4S) -4-メルカプト- 2-ホルミル[(フラン-2-イルメチル)アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン14.2g が得られる。収率:86.8%。それを中間体I-1とする。
【0070】
中間体作製例2
(2S,4S) -4-メルカプト- 2-ホルミル[[フラン-2-カルボキシ-5-イルメチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジンの作製
5.3g(55mmol)のフラン-2-イル-メチルアミンの代わりに7.76g(55mmol)の5-メチルアミノ-2-フランギ酸を用いる以外、上記中間体作製例1と同じ操作により、(2S,4S) -4-メルカプト- 2-ホルミル[[フラン-2-カルボキシ-5-イルメチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン14.3gが得られる。収率:77.2%。それを中間体I-2とする。
【0071】
中間体作製例3
(2S,4S) -4-メルカプト- 2-ホルミル[[フラン-2-カルボキシメチル-5-メチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジンの作製
5.3g(55mmol)のフラン-2-イル-メチルアミンの代わりに8.5g(55mmol)の、原料製造例1で製造された5-アミノメチル-2-フラン酢酸を用いる以外、上記中間体作製例1と同じ操作により、固体状の(2S,4S) -4-メルカプト- 2-ホルミル[[フラン-2-カルボキシメチル-5メチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン16.0g が得られる。収率:83.5%。それを中間体I-3とする。
【0072】
中間体作製例4
(2S,4S) -4-メルカプト- 2-ホルミル[[フラン-3-カルボキシ-5イルメチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジンの作製
5.3g(55mmol)のフラン-2-イル-メチルアミンの代わりに7.76g(55mmol)の5-アミノメチル-3-フランギ酸を用いる以外、上記中間体作製例1と同じ操作により、(2S,4S) -4-メルカプト- 2-ホルミル[[フラン-3-ホルミル-5イルメチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン13.0g が得られる。収率:70.3%。それを中間体I-4とする。
【0073】
中間体作製例5
(2S,4S) -4-メルカプト- 2-ホルミル[[フラン-2-スルホニルアミノ-5-イルメチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジンの作製
5.3g(55mmol)のフラン-2-イル-メチルアミンの代わりに9.7g(55mmol)の、原料作製例2で製造された5-メチルアミノ-フラン-2-スルホンアミドを用いる以外、上記中間体作製例1と同じ操作により、固体16.7gが得られる。収率:82.6%。それを中間体I-5とする。
【0074】
中間体作製例6
(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-2-イルメチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル) -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸-p-ニトロベンジルエステルの作製
反応容器に、(4R,5S,6S)- 3-(ジフェノキシホスホリルオキシ) -6-[(1R) -1-ヒドロキシエチル]-4-メチル-7-オキソ-1-アザビシクロ[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸-p-ニトロベンジルエステル17.9g(30mmol)のアセトニトリル溶液150mLを入れ、-10℃以下に冷やし、ジイソプロピルエチルアミン8mLと、中間体作製例1で作製された中間体I-1 10.1g(31mmol)のアセトニトリル溶液100mLを加え、0℃で15時間撹拌する。反応終了後、酢酸エチル400mLを加えて希釈し、水、飽和塩化ナトリウム溶液の順で洗い、有機相を乾燥し、濃縮させ、(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-2-イルメチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル] -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸-p-ニトロベンジルエステ14.7g が得られる。収率:73.1%。それを中間体II-1とする。
【0075】
中間体作製例7
(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-2-カルボキシ-5イルメチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル] -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸-p-ニトロベンジルエステルの作製
10.1g(31mmol)の中間体I-1の代わりに中間体作製例2で作製された中間体I-2 11.5g(31mmol)を用いる以外、中間体作製例6と同じ操作により、(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-2-カルボキシ-5イルメチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル] -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸-p-ニトロベンジルエステル10.9g が得られる。収率:50.4%。それを中間体II-2とする。
【0076】
中間体作製例8
(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-2-カルボキシメチル-5-メチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル] -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸-p-ニトロベンジルエステルの作製
10.1g(31mmol)の中間体I-1の代わりに中間体作製例3で作製された中間体I-3 11.9g(31mmol)を用いる以外、中間体作製例6と同じ操作により、(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-2-カルボキシメチル-5-メチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル] -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸-p-ニトロベンジルエステル10.9g が得られる。収率:49.2%。それを中間体II-3とする。
【0077】
中間体作製例9
(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-3-カルボキシ-5イルメチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル] -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸-p-ニトロベンジルエステルの作製
10.1g(31mmol)の中間体I-1の代わりに中間体作製例4で作製された中間体I-4 11.5g(31mmol)を用いる以外、中間体作製例6と同じ操作により、(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-3-カルボキシ-5イルメチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル] -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸-p-ニトロベンジルエステル11.3g が得られる。収率:52.3%。それを中間体II-4とする。
【0078】
中間体作製例10
(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-2-スルホニルアミノ-5イルメチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル] -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸-p-ニトロベンジルエステルの作製
10.1g(31mmol)の中間体I-1の代わりに中間体作製例5で作製された中間体I-5 12.6g(31mmol)を用いる以外、中間体作製例6と同じ操作により、(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-2-スルホニルアミノ-5イルメチル]アミノ]-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル] -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸-p-ニトロベンジルエステル15.8g が得られる。収率:70.1%。それを中間体II-5とする。
【0079】
実施例1
化合物Aの作製
中間体作製例6で作製された中間体II-1 13.4g(20mmol)を100mLのジクロロメタンに溶かし、アニソール20mLとニトロメタン30mLを加え、-50℃で1mol/Lの塩化アルミニウムのニトロメタン溶液150mLを滴加し、-40℃で2時間撹拌する。水200mLを加え、固体を析出させた後ろ過し、固体を400mLTHFと30mL水との混合液に溶かし、10%のPd-C 5gを入れ、室温で5MPaの水素圧で2時間撹拌反応させる。Pd-Cをろ過し、ろ液に150mLのTHFに入れて、分離させ、水相を集める。次にTHF中に5%の塩化マグネシウム水溶液50mLを加えて静置し、水相を分離する。この操作を1回繰り返す。水相を合わせ、0℃でゆっくりとメタノール20mLを滴加し、-10℃で1時間撹拌する。ろ過して得られた固体を再結晶させ、白結晶の(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-2-イルメチル]アミノ]-ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル] -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸(化合物A)4.7g が得られる。収率:53.4%。
分子式:C20H25N3O6S
分子量:435.49
元素解析:
実測値:C, 55.02%; H, 5.98%; N, 9.43%; S, 7.22%
理論値:C, 55.16%; H, 5.79%; N, 9.65%; S, 7.36%
MS: m/e: 436.49 (M+1)
1H-NMR (600MHz, DMSO):
δ(1.11,d, 3H) δ(1.18,d, 3H) δ(2.00,S, 1H) δ(2.34,d, 1H)
δ(2.59,d, 1H) δ(2.63,m, 1H) δ(2.96,m, 1H) δ(3.14,q, 1H)
δ(3.25,d, 1H) δ(3.40,t, 1H) δ(3.50,d, 1H) δ(3.61,m, 1H)
δ(3.69,t, 1H) δ(4.31,s, 2H) δ(4.81,s, 1H) δ(6.59,d, 1H)
δ(7.14,d, 1H) δ(8.87,s, 1H) δ(8.96,s, 1H) δ(13.02,s, 1H)
【0080】
実施例2
化合物Bの作製
中間体II-1 13.4g(20mmol)の代わりに、中間体作製例7で作製された中間体II-2 14.4g(20mmol)を用いる以外、実施例1の操作と同じである。白色結晶の(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-2-カルボキシ-5-イルメチル]アミノ]-ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル] -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸(化合物B)4.8gが得られる。収率:50.4%。
分子式:C21H25N3O8S
分子量:479.5
元素解析:
実測値:C, 52.56%; H, 5.31%; N, 8.72%; S, 6.64%
理論値:C, 52.60%; H, 5.26%; N, 8.76%; S, 6.69%
MS: m/e: 480.5(M+1)
1H-NMR (600MHz, DMSO):
δ(1.11,d, 3H) δ(1.18,d, 3H) δ(2.00,S, 1H) δ(2.34,d, 1H)
δ(2.59,d, 1H) δ(2.63,m, 1H) δ(2.96,m, 1H) δ(3.14,q, 1H)
δ(3.25,d, 1H) δ(3.40,t, 1H) δ(3.50,d, 1H) δ(3.61,m, 1H)
δ(3.69,t, 1H) δ(4.31,s, 2H) δ(4.81,s, 1H) δ(6.59,d, 1H)
δ(7.14,d, 1H) δ(8.87,s, 1H) δ(12.56,s, 1H) δ(13.07,s, 1H)
【0081】
実施例3
化合物Cの作製
中間体II-1 13.4g(20mmol)の代わりに、中間体作製例8で作製された中間体II-3 15.0g(20mmol)を用いる以外、ほかは実施例1の操作と同じである。白色結晶の(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-2-カルボキシメチル-5-イルメチル]アミノ]-ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル] -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸(化合物C)5.3g が得られる。収率:53.5%。
分子式:C22H27N3O8S
分子量:493.53
元素解析:
実測値:C, 53.54%; H, 5.51%; N, 8.51%; S, 6.50%
理論値:C, 53.55%; H, 5.49%; N, 8.52%; S, 6.51%
MS: m/e: 494.53 (M+1)
1H-NMR (600MHz, DMSO):
δ(1.11,d, 3H) δ(1.18,d, 3H) δ(2.00,S, 1H) δ(2.34,d, 1H)
δ(2.59,d, 1H) δ(2.63,m, 1H) δ(2.96,m, 1H) δ(3.14,q, 1H)
δ(3.25,d, 1H) δ(3.34,s, 2H) δ(3.40,t, 1H) δ(3.50,d, 1H)
δ(3.61,m, 1H) δ(3.69,t, 1H) δ(4.31,s, 2H) δ(4.81,s, 1H)
δ(6.59,d, 1H) δ(7.14,d, 1H) δ(8.87,s, 1H) δ(12.56,s, 1H)
δ(13.07,s, 1H)
【0082】
実施例4
化合物Dの作製
中間体II-1 13.4g(20mmol)の代わりに中間体作製例9で作製された中間体II-4 14.4g(20mmol)を用いる以外、実施例1の操作と同じである。白色結晶の(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-3-カルボキシ-5-イルメチル]アミノ]-ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル] -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸(化合物D)4.7g が得られる。収率:49. 0%。
分子式:C21H25N3O8S
分子量:479.5
元素解析:
実測値:C, 52.72%; H, 5.21%; N, 8.70%; S, 6.64%
理論値:C, 52.60%; H, 5.26%; N, 8.76%; S, 6.69%
MS: m/e: 480.5(M+1)
1H-NMR (600MHz, DMSO):
δ(1.09,d, 3H) δ(1.19,d, 3H) δ(2.10,S, 1H) δ(2.39,d, 1H)
δ(2.55,d, 1H) δ(2.67,m, 1H) δ(2.30,m, 1H) δ(3.19,q, 1H)
δ(3.30,d, 1H) δ(3.47,t, 1H) δ(3.58,d, 1H) δ(3.69,m, 1H)
δ(3.71,t, 1H) δ(4.35,s, 2H) δ(4.79,s, 1H) δ(6.62,d, 1H)
δ(7.17,d, 1H) δ(8.90,s, 1H) δ(12.50,s, 1H) δ(13.00,s, 1H)
【0083】
実施例5
化合物Eの作製
中間体II-1 13.4g(20mmol)の代わりに、中間体作製例10で作製された中間体II-5 15.0g(20mmol)を用いる以外、実施例1の操作と同じである。白色結晶の(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-2-スルホニルアミノ-5-イルメチル]アミノ]-ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル] -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸(化合物E)5.2gが得られる。収率:50.5%。
分子式:C20H26N4O8S2
分子量:514.57
元素解析:
実測値:C, 46.02%; H, 5.01%; N, 10.44%; S, 12.12%
理論値:C, 46.68%; H, 5.09%; N, 10.89%; S, 12.46%
MS: m/e 515. 57 (M+1)
1H-NMR (600MHz, DMSO):
δ(1.14,d, 3H) δ(1.20,d, 3H) δ(2.00,S, 1H) δ(2.44,d, 1H)
δ(2.60,d, 1H) δ(2.65,m, 1H) δ(3.00,m, 1H) δ(3.20,q, 1H)
δ(3.30,d, 1H) δ(3.40,t, 1H) δ(3.50,d, 1H) δ(3.65,m, 1H)
δ(3.70,t, 1H) δ(4.31,s, 2H) δ(4.81,s, 1H) δ(6.20,d, 1H)
δ(6.26,d, 1H) δ(7.50,s, 2H) δ(8.90,s, 1H) δ(12.60,s, 1H)
【0084】
実施例6
化合物Aのピバロイルオキシメチルエステルの作製
反応容器に実施例1で得られた化合物A 8.75g(20mmol)とN,N-ジメチルホルムアミド50mLを入れ、氷浴でトリエチルアミン2.5gを加えて撹拌溶解した後、ヨードメチルピバレート5.33g(22mmol)を加え、0〜5℃で1時間撹拌する。反応終了後、反応駅を水と酢酸エチルの混合液に加え、pH7となるように炭酸水素ナトリウムで調整する。不溶物をろ過して除去し、有機相を分離乾燥し、濃縮させる。再結晶させ、白色結晶の(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-2-イルメチル]アミノ]-ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル] -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸ピバロイルオキシメチルエステル(化合物Aピバロイルオキシメチルエステル)8.7gが得られる。収率:79.0%。
分子式:C26H35N3O8S
分子量:549.64
元素解析:
実測値:C, 56.73%; H, 5.46%; N, 7.72%; S, 5.64%
理論値:C, 56.82%; H, 6.42%; N, 7.65%; S, 5.83%
MS: m/e 550.64(M+1)
1H-NMR (600MHz, DMSO):
δ(1.11,d, 3H) δ(1.18,d, 3H) δ(1.28,S, 9H) δ(2.00,S, 1H)
δ(2.34,d, 1H) δ(2.59,d, 1H) δ(2.63,m, 1H) δ(2.96,m, 1H)
δ(3.14,q, 1H) δ(3.25,d, 1H) δ(3.40,t, 1H) δ(3.50,d, 1H)
δ(3.61,m, 1H) δ(3.69,t, 1H) δ(4.31,s, 2H) δ(4.81,s, 1H)
δ(6.26,d, 1H) δ(6.46,d, 1H) δ(6.94,d, 2H) δ(7.65,d, 1H)
δ(8.87,s, 1H)
【0085】
実施例7
化合物Bモノナトリウム塩の製造
実施例2で得られた化合物B9.61(20mmol)、炭酸水素ナトリウム2.5g(24mmol)と水50mLを50℃まで加温する。順次にヨウ化ナトリウムとピリジンを加え、pH値が6.5〜7.0の範囲に調整し、撹拌しながら80℃まで加温する。室温まで冷却し、適量のアセトンを加え、固体を析出させ、ろ過し、白色結晶の(4R,5S,6S)- 3-[(2S,4S]-2-ホルミル[[フラン-2-カルボキシ-5-イルメチル]アミノ]-ピロリジン-4-イル]チオ-6-[ (1R)-1-ヒドロキシエチル] -4-メチル-7-オキソ-1- アザビシクロ-[3.2.0]ヘプト-2-エン-2-カルボン酸モノナトリウム塩(化合物Bモノナトリウム塩)7.9gが得られる。収率:79.2%。
分子式:C21H24N3O8S N a
分子量:501.49
元素解析:
実測値:C, 50.10%; H, 4.98%; N, 8.43%; S, 6.22%
理論値:C, 50.30%; H, 4.82%; N, 8.38%; S, 6.39%
MS: m/e 502.49(M+1)
1H-NMR (600MHz, DMSO):
δ(1.10,d, 3H) δ(1.19,d, 3H) δ(2.01,S, 1H) δ(2.33,d, 1H)
δ(2.60,d, 1H) δ(2.61,m, 1H) δ(2.99,m, 1H) δ(3.11,q, 1H)
δ(3.27,d, 1H) δ(3.41,t, 1H) δ(3.52,d, 1H) δ(3.60,m, 1H)
δ(3.70,t, 1H) δ(4.33,s, 2H) δ(4.82,s, 1H) δ(6.58,d, 1H)
δ(7.15,d, 1H) δ(8.86,s, 1H) δ(12.52,s, 1H)
【0086】
以下に示す混合物作製例に用いた添加剤は、薬学的に許容しうるもので置換えることも増減することもできる。
【0087】
混合物作製例1 本発明化合物の無菌注射粉末の作製
【0088】
1.処方
【表2】

【0089】
2.作製プロセス:使用されるガラスバイアル、キャップ等を無菌処理し、処方に従って原料(換算量)と添加物(あれば)を量り、分注機で分注し、随時に充填量を検査する。その後、キャップリング、製品検査、包装及び入庫を行う。
【0090】
組成物作製例2 本発明化合物の凍結乾燥粉末の作製
【0091】
1.処方
【表3】

【0092】
2.作製プロセス:バイアル、キャップ及び溶液を作製するための容器、器械設備等を洗浄、除菌及びパイロジェンフリー処理後、処方に従って原料及び添加物をはかる。添加物を、処方調剤量の80%の注射用水で溶かし、処方調剤量の0.05%の注射用活性炭を加え、15分間撹拌する。ろ過した後、原料を加えて攪拌より溶かし、pH値を測定しながら調整し、かつ処方量の注射用水を加え、定容する。薬液を0.22μmのメンブランフィルターでろ過し、透明度及び中間品検査を行う。薬液をバイアルに分注して、冷凍乾燥、キャップリングをしてから、製品検査を行い、包装して入庫する。
【0093】
組成物作製例3 本発明化合物の錠剤の作製
【0094】
1.処方
【表4】

【0095】
2.作製プロセス:それぞれ処方1及び処方2に示す原料及び添加物を量り、100メッシュの篩をかける。原料とプレゼラチン化デンプン(あるいはデンプン)及び微結晶性セルロース(あるいは低置換ヒドロキシプロピルセルロース)を均一に混合し、適量のHPMC水溶液を加えて練合する。20メッシュの篩で造粒し、60℃で乾燥する。整粒したものにステアリン酸マグネシウムと微粉シリカゲルを加えた後、18メッシュの篩を通し、サンプリング及び検査を行う。次に打錠し、製品検査及び包装、入庫等を行う。
【0096】
以下は体外抗菌試験と動物のファーマコキネティクス試験の一部を用いて本発明化合物の有益な効果について述べるが、本発明の他の化合物は試験中に示す本発明化合物と同様な効果を有する。また、本発明化合物は下述の効果のみを有することと理解してはいけない。
【0097】
効果例1 体外抗菌活性データ
試験菌株:以下のすべては臨床分離菌株であり、公衆機構より購入される。(1)グラム陽性菌:メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、メチシリン耐性表皮ブドウ球菌(MRSE)、メチシリン感受性表皮ブドウ球菌(MSSE)、ペニシリン感受性肺炎球菌(PSSP)、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP);(2)グラム陰性菌:大腸菌(ESBLs産生菌)、肺炎桿菌、緑膿菌。
検体:本発明化合物A-E;自製品
対照薬:メロペネム(注射用メロペネム)、エルタペネム(注射用エルタペネム)、市販品。
試験方法:寒天希釈法。Pharmacology experiment methodology, Shuyun Xu , People's Medical Publishing House , 2002 , P1659-1660を参照。
試験結果及び結論:試験結果は表2を参照。本発明化合物は臨床分離菌種に対し、メロペネムに相当あるいは高い、エルタペネムより著しく高い抗菌活性を示す。また、本発明化合物の誘導体、例えば、塩、エステルなどが体内における抗菌活性の発揮は、本発明化合物自体によるものであるということは、当業者にとって自明であるので、本発明化合物と同様な有益な効果が考えられる。
【0098】
【表5】

【0099】
効果例2 SDラット体内のPKデータ
検体:本発明化合物の一部、自家製品。
対照薬:エルタペネム(注射用エルタペネムナトリウム)、市販品。
内標準物:ワルファリン:白色粉末、純度:99%、ロットNo.:0072-8501、上海市薬検所により提供される。
薬物の調製:投与前に生理食塩水に溶かし、最終濃度が5mg/mLになるように調製する。静脈注射用。
試験動物:体重200〜250gの雄性SDラット。上海斯莱克実験動物有限責任公司より提供される。
【0100】
試験方法:
薬物投与:雄性SDラットをランダムに5群に分け、1群当たり3匹、静注投与する。投薬前に体重を量る。10mg/kg静注投与する。
サンプリング:投与前を0minとし、それぞれ投与後、5min, 15min, 30min, 45min, 1h, 2h, 4h, 6h, 8h, 24h に眼底静脈叢よりヘパリンで処理された遠心分離チューブに0.5ml採血し、8000rpmで6min遠心分離し、上層の血漿をLC-MS/MSで分析するまで-20℃で保管する。
血漿サンプル中のLC-MS/MS測定法
クロマトグラフ条件:
カラム:Gemini C6-Phenyl(50mm×4.6mm、5μm)
移動相:0.1%ギ酸-水-アセトニトリル(5:35:60、v/v/v)
流速:1mL/min
カラム温度:35-40℃
サンプル量:5μL
分割比:1/5
マススペクトル条件:
スキャンモード:カチオンマルチ反応モニターリング(MRM)
イオン源:エレクトロスプレーイオン化(ESI)
噴霧ガス:8L/min
カーテンガス:8L/min
衝突ガス:4L/min
イオンスプレー電圧:4500v
温度:400℃/500℃
【0101】
検量線及びコントロールサンプルの作製
適量の検体を正確に量り、超純水で2.60mg/mLのストック溶液を調製する。当該ストック溶液をメタノールで濃度が25000ng/mL、5000ng/mL、2500ng/mL、500ng/mL、250ng/mLと50ng/mLになるように希釈する。100μL血漿にそれぞれ上記の希釈液20μLを入れ、5000ng/mL、1000ng/mL、500ng/mL、100ng/mL、50ng/mLと10ng/mLの標準溶液が得られる。同様に4000ng/mL、800ng/mLと20ng/mLのコントロールサンプル溶液が作製し、クロマトグラフ及び検量線を作成する。
【0102】
サンプルの処理方法
血漿サンプル100μLに、20μLのアセトニトリル、200μL200ng/mLのワルファリンアセトニトリル溶液を入れ、1分間混合した後、15000rpm、5min遠心分離する。上清液を100μL、3μLを取り、LC/MS/MSで分析を行う。
【0103】
結果及び考察
薬物投与濃度:調製した薬物をHPLCで測定するとともに、標準品と対照し、得た静脈注射投与溶液の濃度の正確率は103.2%である。
データ解析:血漿薬物濃度が検出限界(10ng/mL)より低い場合は0とし、PKパラメーターはWinnonlin Professional 5.2ソフトの非コンパートメントモデルより算出する。
PK:各タイムポイントにおける血漿中薬物濃度に基づいてPKパラメーターを計算し、血中濃度−時間曲線を作成する。各化合物の血漿半減期(t1/2)は表3を参照する。ラット(静脈注射時)において、本発明化合物の血漿半減期はメロペネムより顕著に長く、エルタペネムよりも長いことがわかる。
【0104】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

[式中、
R1は水素原子あるいはカルボキシの保護基を表し、
R2は水素原子あるいはアミノの保護基を表し、
R3は水素原子あるいは低級アルキルを表し、
R4は1つまたは複数の置換基で置換または未置換された
【化2】

を表し、
上述の置換基は、ハロゲン;ヒドロキシ;カルボキシ;アミノ;ニトロ;シアノ;ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ニトロまたはシアノで置換または未置換された低級アルキル、低級アルコキシ;アミノスルホニルまたは低級アルキルスルホンアミドから選択される]
で示される化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体。
【請求項2】
式(1):
【化3】

[式中、
R1は水素原子あるいはカルボキシの保護基を表し、
R2は水素原子あるいはアミノの保護基を表し、
R3は水素原子あるいは低級アルキルを表し、
R4は1つまたは複数の置換基で置換または未置換された
【化4】

を表し、
上述の置換基は、スルホン酸基;カルバモイル;スルホン酸基、アミノスルホニルまたはカルバモイルで置換又は低級アルキル、低級アルコキシ;ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、スルホン酸基、アミノスルホニルまたはカルバモイルで置換された低級アルキルスルホンアミド;ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、スルホン酸基、アミノスルホニルまたはカルバモイルで置換または未置換された低級アルキルカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルキルスルホニル、低級アルキルアミド、低級アルキルカルバモイル、低級アルキルアミノスルホニルから選択される]
で示される化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体。
【請求項3】
式(2):
【化5】

[式中、
R1は水素原子あるいはカルボキシの保護基を表し、
R2は水素原子あるいはアミノの保護基を表し、
R3は水素原子あるいは低級アルキルを表し、
R4は1つまたは複数の置換基で置換または未置換された
【化6】

を表し、
上述の置換基は、ハロゲン;ヒドロキシ;カルボキシ;アミノ;ニトロ;シアノ;スルホン酸基;アミノスルホニル;カルバモイル;ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、スルホン酸基、アミノスルホニルまたはカルバモイルで置換または未置換された低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルキルカルバモイル、低級アルキルアミノスルホニル、低級アルキルアミド、低級アルキルスルホンアミドから選択される]
で示される化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体。
【請求項4】
R3は水素原子、メチル、エチルあるいはプロピルを表し、
R4は1つまたは複数の置換基で置換または未置換された
【化7】

を表し、
上述の置換基は、ハロゲン;ヒドロキシ;カルボキシ;アミノ;ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシまたはアミノで置換または未置換された低級アルキル、低級アルコキシ、アミノスルホニルから選択される、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体。
【請求項5】
R1は水素原子を表し、
R2は水素原子を表し、
R3は水素原子あるいはメチルを表し、
R4は1つまたは複数の置換基で置換または未置換された
【化8】

を表し、
上述の置換基は、メチル;エチル;カルボキシ;カルボキシメチル;カルボキシエチル;トリフルオロメトキシまたはアミノスルホニルから選択される、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体。
【請求項6】
化合物が、(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル[[フラン−2−イルメチル]アミノ]−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ−[3.2.0]へプト−2−エン−2−カルボン酸である、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体。
【請求項7】
化合物が
- (4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル[[フラン−2−カルボキシ−5−イルメチル]アミノ]−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ−[3.2.0]へプト−2−エン−2−カルボン酸、
- (4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル[[フラン−2−カルボキシメチル−5−イルメチル]アミノ]−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ−[3.2.0]へプト−2−エン−2−カルボン酸、
- (4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル[[フラン−3−カルボキシ−5−イルメチル]アミノ]−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ−[3.2.0]へプト−2−エン−2−カルボン酸、または
- (4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−ホルミル[[フラン−2−アミノスルホニル−5−イルメチル]アミノ]−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ−[3.2.0]へプト−2−エン−2−カルボン酸
から選択される、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、またはその異性体と、1種あるいは複数種の薬用キャリアー及び/又は希釈剤とが含まれる薬物組成物。
【請求項9】
感染性疾病の治療及び/又は予防する薬物を製造するための請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容しうる塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体の使用。
【請求項10】
式(4)あるいは式(5)の化合物と式(3)の化合物またはその塩、エステルまたは異性体との求核置換反応が含まれる請求項1〜3のいずれかに記載の化合物の製造方法。
【化9】

[式中、
R1は水素原子あるいはカルボキシの保護基を表し、
R2は水素原子あるいはアミノの保護基を表し、
R3は水素原子あるいは低級アルキルを表し、
R4は1つまたは複数の置換基で置換または未置換された
【化10】

を表し、
上述の置換基は、ハロゲン;ヒドロキシ;カルボキシ;アミノ;ニトロ;シアノ;スルホン酸基;アミノスルホニル;カルバモイル;ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、スルホン酸基、アミノスルホニルまたはカルバモイルで置換または未置換された低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルキルカルバモイル、低級アルキルアミノスルホニル、低級アルキルアミド、低級アルキルスルホンアミドから選択され、且つ、
Lは脱離基を表す。]
【請求項11】
式(3):
【化11】

[式中、
R2は水素原子あるいはアミノの保護基を表し、
R3は水素原子あるいは低級アルキルを表し、
R4は1つまたは複数の置換基で置換または未置換された
【化12】

を表し、
上述の置換基は、ハロゲン;ヒドロキシ;カルボキシ;アミノ;ニトロ;シアノ;スルホン酸基;アミノスルホニル;カルバモイル;ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、スルホン酸基、アミノスルホニルまたはカルバモイルで置換または未置換された低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルキルカルバモイル、低級アルキルアミノスルホニル、低級アルキルアミド、低級アルキルスルホンアミドから選択される]
で示される化合物とその塩、その加水分解しやすいエステル、その異性体。

【公表番号】特表2010−531310(P2010−531310A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513630(P2010−513630)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際出願番号】PCT/CN2008/071446
【国際公開番号】WO2009/000210
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(510003483)ケービーピー・バイオサイエンシズ・カンパニー・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】