説明

新規コポリマー及び該コポリマーからなる増粘剤

【課題】種々の極性の流動性油剤を任意の粘度に増粘させる新規なアクリル系ポリマーを提供する。
【解決手段】10〜65質量%のアクリル酸エステルと、10〜65質量%の一般式(II)と、6〜14質量%の一般式(III)とから誘導されるコポリマー。


一般式(II)


一般式(III)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流動性油剤の増粘に好適な新規なアクリルコポリマー及びそれを用いた流動性油剤用の増粘剤、該コポリマーを含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
流動性油剤を増粘させる化合物には、例えば、塗料等においては塗布時の液だれを防止し作業性を向上させる、乳化物においては、離しょう等を起こさず経時安定性を向上させる等の様々効用が期待される。又、ケーブルハウジングへの充填物のように、配電管などに侵入しにくい絶縁体への応用も有用であるし、公害の少ない燃料への応用も有用である。(例えば、特許文献1を参照)この様な種々の用途に於いては、それぞれの用途に応じた適切な粘度の範囲が存し、粘度を任意にコントロールする必要が存した。この為に、種々の油性増粘剤の開発が行われてきたが、油性成分に於いてその増粘作用を任意にコントロールする技術は困難であり、この様な粘度コントロール可能な油性増粘剤の開発が望まれている。
【0003】
従来に検討された、油剤の粘度を増加させる化合物としては、例えば、ステアリン酸アルミニウム等の金属石鹸、糖類脂肪酸エステル、12ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシ脂肪酸等を使用する方法が知られていが、これらの物質は本質的に油のゲル化剤であり、これらの配合では、前述の如く、油剤を任意の粘度に、特に流動性を維持しながら増粘させることは困難であった。
【0004】
また、流動性を保ちながら、油剤を任意の粘度に増粘させる化合物として梯子型シリコーン、シクロヘキサントリカルボキサミド誘導体等の使用も試みられている。(例えば特許文献2、3)しかしながら、梯子型シリコーンは、油剤への溶解性に課題があり、種々の極性の油剤の増粘剤として用いることには限界があった。
【0005】
また、シクロヘキサントリカルボキサミド誘導体も種々の極性の油剤に溶解するものの、ゲルになり易く、流動性油剤を任意の粘度に増粘することは困難であった。
【0006】
一方、ポリエチレン側鎖を有するポリマーは両親媒性から、種々の油剤に対する親和性が期待でき、有機溶媒膨潤性ミクロゲルとしての活用があるが(例えば特許文献4、5)、これらのミクロゲルは水系溶媒中に安定分散するものであり、油剤の増粘剤としての活用は困難である。
【0007】
【特許文献1】特表平8−502771号公報
【特許文献2】特開平9−100352号公報
【特許文献3】特開平10−273477号公報
【特許文献4】特開平2006−161026号公報
【特許文献5】特開平2006−161027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような状況下なされたものであり、種々の極性の流動性油剤を任意の粘度に増粘させる新規なアクリル系ポリマーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、特定の炭化水素基を有する(メタ)アクリルモノマー、ポリオキシエチレン鎖を有する単官能性モノマー及び二官能性モノマーを特定の構成比率下で共重合することにより、上記課題を解決するに有効なコポリマー得られることを見いだし、かかる知見に基づき本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)10〜65質量%の一般式(I)で表されるモノマーから誘導される構成単位の一種以上と、10〜65質量%の一般式(II)で表されるモノマーから誘導される構成単位の一種以上と、6〜14質量%の一般式(III)で表されるモノマーから誘導される構成単位の一種以上を必須構成単位とするコポリマー。
【0010】
【化1】

一般式(I)
(式(I)中R1は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は炭素数4〜18の炭化水素基を表す。)
【0011】
【化2】

一般式(II)
(式(II)中、R3は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は水素原子、炭素数6〜10の芳香族基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜12のアシル基を表す。mは4〜13の数値を表す。)
【0012】
【化3】

一般式(III)
(式(III)中、R5、R6は独立して水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは4〜15の数値を表す。)
【0013】
(2)(1)に記載のコポリマーの一種乃至は二種以上からなる流動性油剤の増粘剤。
(3)(1)に記載のコポリマーから選択される1種乃至は2種以上と流動性油剤とを含有する、粘ちょう性の油性組成物。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
1)本発明のコポリマーに含有される一般式(I)で表されるモノマーから誘導される一種以上の構成単位
本発明のコポリマーは、下記一般式(I)で表されるモノマーから誘導される一種以上の構成単位(以下、「構成単位(I)」ともいう)を必須構成単位として含有する。
【0015】
【化4】

一般式(I)
(式(I)中R1は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は炭素数4〜18の炭化水素基を表す。)
【0016】
ここで、R1で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、シクロプロピル基等が例示できる。本発明のコポリマーにおいて、R1は水素原子又はメチル基であることが好ましい。また、R2で表される炭化水素基としては、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ドデシル基、ステアリル基、フェニル基、ベンジル基等が例示でき、これらの中ではtert-ブチル基、2-エチルヘキシル基、n-ドデシル基が好ましい。
【0017】
上記一般式(I)で表されるモノマーを具体的に例示すれば、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸iso-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられ、ほとんどが市販品として入手可能である。
【0018】
本発明のコポリマーに含まれる構成単位(I)は一種のみでもよいが、上記一般式(I)を満たすものであれば二種以上の構成単位(I)を組み合わせて含有していてもよい。本発明では、構成単位(I)の一種以上を、該コポリマーを構成する全構成単位に対して総量で10〜65質量%、好ましくは15〜55質量%、更に好ましくは20〜50質量%含有する。
【0019】
上記一般式(I)で表されるモノマーから誘導される構成単位(I)は、コポリマーの流動性油剤への溶解性に影響し、コポリマーの全構成単位に対する構成単位(I)の含有量を上記範囲とすることにより、流動性油剤への溶解性の優れたコポリマーを製造することができる。構成単位(I)の含有量が上記範囲以下であったり、上記範囲以上であったりするとコポリマーの流動性油剤への溶解性が低下し、流動性油剤中にコポリマーが沈殿することがある。
【0020】
(2)本発明のコポリマーに含有される一般式(II)で表されるモノマーから誘導される一種以上の構成単位
本発明のコポリマーは、下記一般式(II)で表されるモノマーから誘導される一種以上の構成単位(以下、「構成単位(II)」ともいう)を必須構成単位として含有する。
【0021】
【化5】

一般式(II)
(式(II)中、R3は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は水素原子、炭素数6〜10の芳香族基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜12のアシル基を表す。mは4〜13の数値を表す。)
【0022】
ここで、R3で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、シクロプロピル基等が例示できる。本発明のコポリマーにおいて、R3は水素原子又はメチル基であることが好ましい。また、R4で表される基のうち、炭素数6〜10の芳香族基としては、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基等が例示でき;炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、ターシャリーブチル基、n−ヘキシル基、シクロへキシル基、n−オクチル基、2−エチルへキシル基、ラウリル基、ステアリル基などが例示でき;炭素数1〜12のアシル基としては、フォルミル基、アセチル基、n−プロピオニル基、n−ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ラウロイル基などが例示できる。これらのうち、R5で表される基として好ましくは炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基である。
【0023】
ここで、nは4〜13の数値範囲であることが重要である。本発明のコポリマーにおいてnが上記範囲である構成単位(II)をコポリマーに用いることにより、流動性油剤に対して優れた溶解性を有するコポリマーを製造することができる。nが4未満の場合及び13以上の場合はコポリマーの流動性油剤への溶解性が低下し、流動性油剤中にコポリマーが沈殿することがある。
【0024】
このような一般式(II)で表されるモノマーを具体的に例示すれば、ポリエチレングリコール(4.5)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(4.5)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール(10)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(8)モノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(9)モノアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(4)モノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(9)モノメタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(4)モノアクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(4)モノメタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(4)モノメタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(9)モノメタクリレート、ラウロイロキシポリエチレングリコール(10)モノタクリレート等が挙げられる。なお、カッコ内の数字はmの値を示す。
【0025】
これら上記一般式(II)で表されるモノマーは、対応するポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリエチレングリコールモノエステルとアクリル酸又はメタクリル酸のクロライド又は無水物とのエステル化反応により高収率で得ることができる。また、既に市販品も多数存在するので、かかる市販品を利用することも可能である。一例を挙げると、商品名ブレンマーAE−200、AE−400、PE−200、PE−350、AME−400、PME−200、PME−400、ALE−200、PLE−200、PSE−200、PSE400等(いずれも日本油脂(株)製)がある。
【0026】
本発明のコポリマーに含有される構成単位(II)は一種のみでもよいが、上記一般式(II)を満たすものであれば二種以上の構成単位(II)を組み合わせて含有していてもよい。本発明のコポリマーでは、構成単位(II)の一種以上を、該コポリマーを構成する全構成単位に対して総量で10〜65質量%、好ましくは15〜55%、更に好ましくは20〜50質量%含有する。
【0027】
上記一般式(II)で表されるモノマーから誘導される構成単位(II)は、コポリマーの流動性油剤への溶解性を担うものであり、該コポリマーの全構成単位に対する構成単位(II)の含有量を上記範囲とすることにより、流動性油剤への優れた溶解性を有するコポリマーを製造することができる。構成単位(II)の含有量が上記範囲より少なすぎたり、多すぎるとコポリマーの流動性油剤への溶解性が低下し、流動性油剤中にコポリマーが沈殿することがあるので好ましくない。
【0028】
(3)本発明のコポリマーに含有される一般式(III)で表されるモノマーから誘導される一種以上の構成単位
本発明のコポリマーは、下記一般式(III)で表されるモノマーから誘導される一種以上の構成単位(以下、「構成単位(III)」ともいう)を必須構成単位として含有する。
【0029】
【化6】

一般式(III)
(式(III)中、R5、R6は独立して水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは4〜15の数値を表す。)
【0030】
ここで、R5及びR6で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、シクロプロピル基が例示できる。本発明において、R5及びR6はそれぞれ水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0031】
本発明コポリマーに含有される構成単位(III)は一種のみでもよいが、上記一般式(III)を満たすものであれば二種以上の構成単位(III)を組み合わせて含有していてもよい。
また、構成単位(III)は上記一般式(III)又において、nが4〜15の数値範囲であることが必要である。本発明のコポリマーにおいてnが上記範囲である構成単位(III)を、含有することにより、流動性油剤に対して優れた増粘効果を有する。nが4未満の場合はコポリマーの流動性油剤中での自由度が著しく低下し、流動性油剤がゲル化することがあり、15より大きくなるとコポリマーの溶解性が低下し、流動性油剤中でコポリマーが沈殿することがある。
【0032】
本発明のコポリマーにおける上記一般式(III)で表されるモノマーは、対応する重合度のポリエチレングリコールとアクリル酸又はメタクリル酸のクロライド又は無水物とのエステル化反応により高収率で得ることができる。また、既に市販品も存在するので、かかる市販品を利用することも可能である。一例を挙げると商品名ブレンマーADE−200、ADE−400、PDE−200、PDE−400、PDE−600等(いずれも日本油脂(株)製)がある。
【0033】
本発明のコポリマーに含有される構成単位(III)は一種のみでもよいが、上記一般式(III)を満たすものであれば二種以上の構成単位(III)を組み合わせて含有していてもよい。本発明のコポリマーでは、構成単位(III)の二種以上を、該コポリマーを構成する全構成単位に対して総量で6〜14質量%、好ましくは7〜12%、更に好ましくは8〜11質量%含有する。
【0034】
上記一般式(III)で表されるモノマーから誘導される構成単位(III)は、コポリマーの流動性油剤への増粘効果を担うものであり、該コポリマーの全構成単位に対する構成単位(II)の含有量を上記範囲とすることにより、流動性油剤への優れた増粘効果を有するコポリマーを製造することができる。構成単位(III)の含有量が上記範囲より少なすると流動性油剤が増粘しなかったり、反対に多すぎると流動性油剤中でのコポリマーの溶解性が低下し、流動性油剤中にコポリマーが沈殿することがあるので好ましくない。
【0035】
(4)本発明のコポリマーに含まれうるその他の任意の構成単位
本発明のコポリマーは、上記の必須構成単位(I)〜(III)以外に、通常共重合体を構成しうるモノマーから誘導される任意の構成単位を、本発明のコポリマー効果を損なわない範囲で有することができる。かかる任意の構成単位としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の重合性カルボン酸;アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリル酸モノアルキルアミド、メタクリル酸モノアルキルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の炭素数3以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;2−ヒドロキエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドキロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;酢酸ビニル;ビニルピロリドン;スチレン;α−メチルスチレン;アクリロニトリル等が例示できる。これらの含有量は多くとも50質量%以内、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0036】
(5)本発明のコポリマー
本発明のコポリマーは、上記構成単位(I)、(II)、及び(III)、並びに必要に応じて他の任意の構成単位を、その骨格中に含有する共重合体である。上記コポリマーは通常はその構成単位がランダムに結合したランダム共重合体であるが、ブロック共重合体又はグラフト共重合体であってもよい。
本発明のコポリマーの製造方法は特に限定されないが、例えば各構成単位を誘導するモノマーを溶媒中で混合し、アクリル系モノマーの重合で通常用いられる方法に従って重合反応を行う方法により得ることができる。
【0037】
(6)本発明の流動性油剤の増粘剤
本発明の流動性油剤の増粘剤は上記本発明のコポリマーから選ばれる一種又は二種以上からなる。本発明の増粘剤には、さらに必要に応じて基剤等の任意成分を配合することが可能であり、このような任意成分と上記本発明のコポリマー配合して本発明の増粘剤を種々の剤型に製剤化することも可能である。ここで、本発明に言う流動性油剤とは、1気圧、25℃に恒量となった条件において、B型粘度計、4号ローター、毎分12回転の測定条件に於いて、呈する粘度が1000mP・s以下のものを意味する。
【0038】
本発明の増粘剤による流動性油剤の増粘方法としては、本発明のコポリマーの一種又は二種以上、さらに必要に応じて任意成分からなる本発明の増粘剤と流動性油剤を通常の手段で混合、溶解することからなる。必要に応じて、加熱、冷却を行っても良い。
【0039】
重合後の本発明のコポリマーの重合溶媒溶液を流動性油剤と混合した後、重合溶媒を留去するという手法が特に簡便であり好ましい。
【0040】
流動性の油剤を増粘させるための本発明の増粘剤の使用量は、用いる本発明のコポリマーや対象とする流動性油剤の種類によっても異なるが、流動性油剤に対して、本発明のコポリマーとして0.05〜15質量%、好ましくは0.1〜12質量%、更に好ましくは0.5〜10質量%の範囲を挙げることができる。
【0041】
本発明の増粘剤が適用される流動性油剤としては、オリーブ油、大豆油、コーン油、ヒマシ油、牛脂、ホホバ油等の動植物油、ガソリン、軽油、重油、原油、スクアラン、流動パラフィン等の鉱物油、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン類、オクタン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オクタン酸セチル、グリセリルトリイソオクタネート、ネオペンチルスリコールジシオオクタネート等の合成エステル類が例示できる。本発明の増粘剤は、また、これら流動性油剤の混合物にも適用されうる。
【実施例】
【0042】
以下に実施例を示して本発明に関して更に詳細に説明するが、本発明が実施例にのみ限定を受けないことは言うまでもない。
【0043】
<実施例1>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、n−ドデシルメタクリレート(東京化成工業(株)製)54.0g、メトキシポリエチレングリコール(4)モノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPME−200」)54.0g、ポリエチレングリコール(9)ジメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPDE−400」)12.0g、イソプロピルアルコール580ml及び2−メルカプトエタノール0.12gをイソプロピルアルコール10mlに溶解した溶液を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これにアゾビスイソブチロニトリル0.5gをイソプロピルアルコール10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行い、本発明のコポリマー1の溶液を得た。
【0044】
<実施例2>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(東京化成工業(株)製)12.0g、ステアロキシポリエチレングリコール(9)モノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPSE−400」)72.0g、ポリエチレングリコール(4)ジアクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーADE−200」)9.6g、メチルメタクリレート(東京化成工業(株)製)26.4g、酢酸エチル580ml及び2−メルカプトエタノール0.12gを酢酸エチル10mlに溶解した溶液を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過酸化ベンゾイル0.2gを酢酸エチル10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行い、本発明のコポリマー2の溶液を得た。
【0045】
<実施例3>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、シクロヘキシルメタクリレート(東京化成工業(株)製)49.5g、ラウロキシポリエチレングリコール(4)モノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPLE−200」)12.6g、ポリエチレングリコール(13)ジメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPDE−600」)9.9g、エチルアクリレート(東京化成工業(株)製)18.0g、メチルエチルケトン380ml及び2−メルカプトエタノール0.1gをメチルエチルケトン10mlに溶解した溶液を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これにアゾビスイソブチロニトリル0.35gをメチルエチルケトン10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行い、本発明のコポリマー3の溶液を得た。
【0046】
<実施例4>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、tert−ブチルメタクリレート(東京化成工業(株)製)43.2g、メトキシポリエチレングリコール(9)モノアクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーAME−400」)67.2g、ポリエチレングリコール(9)ジメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPDE−400」)9.6g、イソプロピルアルコール580ml及び2−メルカプトエタノール0.12gをイソプロピルアルコール10mlに溶解した溶液を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これにアゾビスイソブチロニトリル0.5gをイソプロピルアルコール10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行い、本発明のコポリマー4の溶液を得た。
【0047】
<実施例5>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、ベンジルメタクリレート(東京化成工業(株)製)64.8g、ステアロキシポリエチレングリコール(4)モノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPSE−200」)36.0g、ポリエチレングリコール(8)モノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPE−350」)12.0g、ポリエチレングリコール(9)ジアクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーADE−400」)7.2g、イソプロピルアルコール580ml及び2−メルカプトエタノール0.12gをイソプロピルアルコール10mlに溶解した溶液を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これにアゾビスイソブチロニトリル0.5gをイソプロピルアルコール10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行い、本発明のコポリマー5の溶液を得た。
【0048】
<実施例6>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、ステアリルメタクリレート(東京化成工業(株)製)45.6g、メトキシポリエチレングリコール(4)モノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPME−200」)60.0g、ポリエチレングリコール(9)ジメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPDE−400」)14.4g、酢酸エチル580ml及び2−メルカプトエタノール0.12gを酢酸エチル10mlに溶解した溶液を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを酢酸エチル10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行い、本発明のコポリマー6の溶液を得た。
【0049】
<実施例7>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、n−ヘキシルアクリレート(東京化成工業(株)製)36.0g、n−ブチルアクリレート(東京化成工業(株)製)12.0g、メトキシポリエチレングリコール(9)モノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPME−400」)54.0g、ポリエチレングリコール(9)ジメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPDE−400」)8.4g、ポリエチレングリコール(4)ジメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPDE−200」)2.4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成工業(株)製)7.2g、メチルエチルケトン580ml及び2−メルカプトエタノール0.12gをメチルエチルケトン10mlに溶解した溶液を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これにアゾビスイソブチロニトリル0.5gをメチルエチルケトン10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行い、本発明のコポリマー7の溶液を得た。
【0050】
<実施例8>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、2−エチルヘキシルメタクリレート(東京化成工業(株)製)60.0g、メトキシポリエチレングリコール(4)モノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPME−200」)49.2g、ポリエチレングリコール(9)ジメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPDE−400」)10.8g、イソプロピルアルコール580ml及び 2−メルカプトエタノール0.12gをイソプロピルアルコール10mlに溶解した溶液を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これにアゾビスイソブチロニトリル0.5gをイソプロピルアルコール10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行い、本発明のコポリマー8の溶液を得た。
【0051】
<実施例9>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、ステアリルアクリレート(東京化成工業(株)製)32.4g、ラウロキシポリエチレングリコール(4)モノアクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーALE−200」)60.0g、ポリエチレングリコール(13)ジメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPDE−600」)12.0g、エチルメタクリレート(東京化成工業(株)製)15.6g、イソプロピルアルコール580ml及び2−メルカプトエタノール0.12gをイソプロピルアルコール10mlに溶解した溶液を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これにアゾビスイソブチロニトリル0.5gをイソプロピルアルコール10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行い、本発明のコポリマー9の溶液を得た。
【0052】
<比較例1>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、n−ドデシルメタクリレート(東京化成工業(株)製)84.0g、メトキシポリエチレングリコール(23)モノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPME−1000」)26.4g、ポリエチレングリコール(9)ジメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPDE−400」)9.6g、酢酸エチル580ml及び2−メルカプトエタノール0.12gを酢酸エチル10mlに溶解した溶液を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを酢酸エチル10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行い、コポリマー10の溶液を得た。
【0053】
<比較例2>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、n−ドデシルメタクリレート(東京化成工業(株)製)58.2g、メトキシポリエチレングリコール(4)モノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPME−200」)58.2g、ポリエチレングリコール(9)ジメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPDE−400」)3.6g、酢酸エチル580ml及び2−メルカプトエタノール0.12gをイソプロピルアルコール10mlに溶解した溶液を採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これにアゾビスイソブチロニトリル0.5gをイソプロピルアルコール10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間のリフラックスにより反応を行い、コポリマー11の溶液を得た。
【0054】
<コポリマーの増粘性確認試験>
実施例1から9及び比較例1,2で得られた各コポリマーの溶液を各流動性油剤に油剤中のコポリマー濃度が5質量%及び7.5質量%となるように添加した後、ロータリーエバポレーターにてコポリマー溶液の溶媒を除去した。この各コポリマーの流動性油剤溶液の粘度をビスメトロン粘度計(芝浦システム(株)製)を用いて測定した。流動性油剤としては、トリイソオクタン酸グリセライド(トリグリセライド)、スクアラン(炭化水素)及びこれらの1:1(重量比)混合油剤を用いた。結果を表1にまとめる。
なお表1中の数字は粘度(単位mPa・S)を表す。
【0055】
【表1】

【0056】
表1の結果によれば本発明のコポリマーにより種々の流動性油剤が任意の粘度に増粘できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、化粧料や石油化学工業における油性の増粘剤として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10〜65質量%の一般式(I)で表されるモノマーから誘導される構成単位の一種以上と、10〜65質量%の一般式(II)で表されるモノマーから誘導される構成単位の一種以上と、6〜14質量%の一般式(III)で表されるモノマーから誘導される構成単位の一種以上を必須構成単位とするコポリマー。
【化1】

一般式(I)
(式(I)中R1は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は炭素数4〜18の炭化水素基を表す。)
【化2】

一般式(II)
(式(II)中、R3は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は水素原子、炭素数6〜10の芳香族基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜12のアシル基を表す。mは4〜13の数値を表す。)
【化3】

一般式(III)
(式(III)中、R5、R6は独立して水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは4〜15の数値を表す。)
【請求項2】
請求項1記載のコポリマーの一種乃至は二種以上からなる流動性油剤の増粘剤。
【請求項3】
請求項1に記載のコポリマーから選択される1種乃至は2種以上と流動性油剤とを含有する、粘ちょう性の油性組成物。

【公開番号】特開2008−138098(P2008−138098A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326410(P2006−326410)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】