説明

新規シクロデキストリン化合物

【課題】薬物、化粧品等で、難水溶性化合物の水溶性を向上させることができる新規なシクロデキストリン化合物を提供することが、本発明の課題である。
【解決手段】シクロデキストリンを2級水酸基側で2箇所の化学結合を介するシクロデキストリン2量化体を提供することによって課題が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規シクロデキストリン化合物に関する。本発明の新規シクロデキストリン化合物はシクロデキストリン誘導体が二本のスペーサーを介して結合した新規シクロデキストリン化合物であり、難水溶性化合物の水溶性を向上させることができる化合物であり、種々の目的、例えば、薬物の水溶化、化粧品成分の水溶性化、化成品成分の水溶性化に利用することができ、広域な産業分野に寄与するものとして使用できる。
【背景技術】
【0002】
これまでシクロデキストリンおよびその修飾化合物は、周知の如くその包接機能による薬物、食品成分、化粧品成分などの難水溶性化合物の可溶化、苦味渋味のマスキング、酸化・紫外線・熱による変性の軽減などに幅広く利用されている。しかし、これまでに公知されているシクロデキストリン化合物(例えば特許文献1、2)ではそれらの目的に適用できない場合があり、あるいはシクロデキストリン化合物による効果の向上を得たい場合などがある。これらの問題を解決するにあたり、新規なシクロデキストリン化合物の提供が必要となる。この解決手段として、本発明者は、シクロデキストリン2級水酸基側で化学結合することによるシクロデキストリン2量化体を提案した(特許文献3) 。
【0003】
【特許文献1】特開2003−221401号公報
【特許文献2】特開2000−344803号公報
【特許文献3】特開2007−106789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしフラーレン化合物等の難水溶性化合物の水溶化効率は低い状況であり、更なる水溶性化効率の向上が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、新規シクロデキストリン化合物の開発を鋭意検討し、本発明にいたった。シクロデキストリンの機能は、シクロデキストリン分子の構造上の性質にある。すなわちシクロデキストリン分子は、底のないバケツのような化学構造をしており、内側が疎水的、外側が親水的であり、疎水分子を内側に取り込む包接現象を示す。シクロデキストリン分子の2つの空洞口のうち一方(一級水酸基側)は狭く、もう一方(二級水酸基側)は広く、多くの場合、疎水性分子は広い空洞口から包接される。
【0006】
包接現象は、包接と解離の平衡反応であり、大きな空洞口に入りきれない疎水性分子は、包接されにくく解離が優先される。2個のシクロデキストリン分子を広い空洞口側で化学結合させたシクロデキストリン化合物は、大きな空洞口に入りきれない疎水性分子を両方向から包接すると考えられる。
【0007】
ここで、第一の発明は、隣接する二個のグルコース基の3位水酸基をアミノ基で置換した3−ジアミノシクロデキストリン誘導体のアミノ基を置換または無置換アルキル基、置換または無置換アリール基、置換または無置換アリル基から選択される化合物で共有結合したことを特徴とする下記一般式(1)で示されるシクロデキストリン化合物である。
【化1】

【0008】
本発明の代表的な例として次の化学式(2)で表わされるシクロデキストリン化合物を掲示できることができる。化学式(2)中において、mが4以上7以下の整数、nが4以上7以下の整数、xが2以上7以下の整数である。これらの化合物は、文献未載の新規化合物である。
【化2】

【0009】
次に第二の発明は、化学式(1)で示されるシクロデキストリン化合物の合成原料である化学式(3)で示されるシクロデキストリン化合物である。化学式(3)において、nは4以上14以下の整数であり、R1およびR2は、置換または無置換アルキル基、及び置換または無置換アリール基、及び置換または無置換アリル基から選択される化合物である。
【化3】

【0010】
本発明の代表的な例として次の化学式(4)で表わされるシクロデキストリン化合物を掲示できることができる。化学式(4)中において、mが4以上7以下の整数、nが4以上7以下の整数、xが2以上7以下の整数である。これらの化合物は、文献未載の新規化合物である。
【化4】

【発明の効果】
【0011】
本発明の新規シクロデキストリン化合物は、フラーレン、食品成分、化粧品成分などの難水溶性化合物の可溶化、苦味渋味のマスキング、酸化・紫外線・熱による変性の軽減などに幅広く利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の新規シクロデキストリン化合物は、隣接する2個のグルコース基の3位水酸基をアミノ基で置換した3−ジアミノシクロデキストリンのアミノ基を置換または無置換アルキル基、置換または無置換アリール基、置換または無置換アリル基から選択される化合物で共有結合したことを特徴とするシクロデキストリン化合物である。本発明の原料となるシクロデキストリンの3位水酸基をアミノ基で置換した3−ジアミノシクロデキストリンは公知の化合物であり、たとえば、K.
Teranishi,
Chem. Commun., 1255-1256 (2000)記載の方法で製造することができる。3−ジアミノシクロデキストリンとしては、グルコース単位が6分子、7分子、8分子からなるa-シクロデキストリン、b-シクロデキストリン、g-シクロデキストリンなどをあげることができる。加えて、化学的、酵素的に合成したものであってもよく、さらには、グルコース単位が9個以上のものであってもよい。
【0013】
3−ジアミノシクロデキストリンのアミノ基に脱水縮合してアミド結合を形成させるには、置換または無置換アルキル基、置換または無置換アリール基、置換または無置換アリル基のそれぞれにジカルボン酸基を有した化合物と3−ジアミノシクロデキストリンとの間で通常のアミド結合の形成方法を用いることができる。例えば、活性エステル化法、混合酸無水物法、いわゆる縮合試薬を用いる方法などであり、縮合する方法としては何ら制限なく、周知の方法を使用できる。
【0014】
1種類の3−アミノシクロデキストリンと置換または無置換アルキル基、置換または無置換アリール基、置換または無置換アリル基のそれぞれにジカルボン酸基を有した化合物とを通常のアミド結合の形成方法を用い縮合反応を行う場合は、化学式(1)中においてmとnが同じ整数である同じ種類のシクロデキストリン化合物を有した新規シクロデキストリン化合物が得られ、2種類の3−アミノシクロデキストリンと置換または無置換アルキル基、置換または無置換アリール基、置換または無置換アリル基のそれぞれにジカルボン酸基を有した化合物とを通常のアミド結合の形成方法を用い縮合反応を行う場合は、化学式(1)中においてmとnが異なる整数である異なった種類のシクロデキストリン化合物を有した新規シクロデキストリン化合物が得られる。
【化1】

【0015】
また、3−アミノシクロデキストリンと置換または無置換アルキル基、置換または無置換アリール基、置換または無置換アリル基のそれぞれにジカルボン酸基を有した化合物のモノ活性エステル化合物あるいは無水物とを反応させ、化学式(3)に示す化合物を合成し、さらに縮合試薬により3−アミノシクロデキストリンと反応させることにより化学式(1)で示される新規シクロデキストリン化合物を得ることができる。この場合、最初に反応させる3−アミノシクロデキストリンと後に反応させる3−アミノシクロデキストリンとが同じである場合には、化学式(1)中においてmとnが同じ整数である同じ種類のシクロデキストリン化合物を有した新規シクロデキストリン化合物が得られ、最初に反応させる3−アミノシクロデキストリンと後に反応させる3−アミノシクロデキストリンとが異なる場合には、化学式(1)中においてmとnが異なる整数である異なった種類のシクロデキストリン化合物を有した新規シクロデキストリン化合物を適宜得ることができる。
【化3】

【実施例】
【0016】
以下に実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0017】
<化合物5および6の合成例>
【化5】

【化6】

化合物3A,3B-ジアミノ-3A,3B-ジデオキシ-(2AS,2BS,3AS,3BS)-β-シクロデキストリン(0.5 g, 0.441 mmol)をDMF(10 ml)に溶解し、無水コハク酸(0.154 g,
1.54 mmol, 3.5 eq)を加えた。40時間後、反応液を減圧下で濃縮し溶液を約1mLとしアセトンを加え目的物5を粉体化させた。これをろ過・減圧乾燥し、化合物5(0.583 g,
99.6 %)を得た。化合物5: 1H NMR δ (30 oC, D2O)
: 2.42-2.58 (8H, m), 3.41-3.94 (majority), 4.10 (1H, br,s), 4.22 (1H, br,s), 4.65 (1H, d, J
= 4.9 Hz, H-1), 4.81 (1H, d, J = 3.7 Hz, H-1), 4.85 (1H, d, J
= 4.3Hz, H-1), 4.90 (2H, d, J = 3.1 Hz, H-1), 4.95 (1H, d, J
= 3.7Hz, H-1), 4.99 (1H, d, J = 4.3 Hz, H-1). ESI-MS
m/z: 1333.49 [M+1]+ (calcd M for C50H80N2O39:
1332.43).
化合物5(1.111 g,
0.833 mmol)と3A,3B-ジアミノ-3A,3B-ジデオキシ-(2AS,2BS,3AS,3BS)-β-シクロデキストリン (0.943 g, 0.833 mmol,
1.0 eq)をPy(50 ml)・H2O(5 ml)中、WSC(0.639 g, 3.33mmol,
4eq)存在下で反応させた(rt)。約48時間後、Pyを除去しODSオープンカラムクロマトグラフィー[0%→10% MeOH/
H2O→12% MeOH/ H2O→15% MeOH/ H2O]により10%〜15% MeOH/ H2Oで溶出した。さらに分取HPLC[8% MeOH/ H2O(50min),
10% MeOH/ H2O(30min)]で単離し、化合物6(0.415 g, 20.5 %)を得た。化合物6: 1H NMR δ (28 oC,
D2O): 2.35-2.80(8H, m),3.47-4.04 (majority,m), 4.19 (2H,dd, J =
4.9, 11 Hz), 4.82 (2H, d ,J = 4.3 Hz, H-1), 4.83 (2H, d, J = 3.7 Hz,
H-1), 4.95 (4H, d, J = 3.1 Hz, H-1), 4.97 (2H, d, J = 3.7 Hz, H-1),
5.03 (2H, d, J = 3.7 Hz, H-1), 5.08 (2H, d, J = 3.7 Hz, H-1). ESI-MS
m/z: 2430.7 [M+1]+ (calcd M for C92H148N4O70:
2428.81).
【0018】
<化合物7および8の合成例>
【化7】

【化8】

化合物3A,3B-ジアミノ-3A,3B-ジデオキシ-(2AS,2BS,3AS,3BS)-β-シクロデキストリン (1.01 g, 0.8973 mmol)をDMF(20 mL)中、無水グルタル酸 (0.358
g, 3.13mmol, 3.5 eq)と反応させた。約7日後、反応液を濃縮し約2mLとし、アセトンを加え粉体化させた。これをろ過・減圧乾燥し、化合物7(1.12 g, 92.1
%)を得た。化合物7: 1H NMR δ (40 oC,
D2O) : 1.90-2.00 (4H, m), 2.37-2.50 (8H, m), 3.51-4.12 (majority,m), 4.36 (1H, br,s), 4.84 (1H, d,
J = 4.9 Hz, H-1), 4.96 (1H, d, J = 4.3 Hz, H-1), 5.02 (1H, d, J
= 3.7 Hz, H-1), 5.06 (2H, d, J = 3.1 Hz, H-1), 5.10 (1H, d, J
= 3.7 Hz, H-1), 5.13 (1H, d, J = 3.7 Hz, H-1). ESI-MS
m/z: 1361.45 [M+1]+ (calcd M for C52H84N2O39:
1360.47).
化合物7(1.08 g, 0.795 mmol)と3A,3B-ジアミノ-3A,3B-ジデオキシ-(2AS,2BS,3AS,3BS)-β-シクロデキストリン(0.900 g, 0.795 mmol, 1
eq)をPy(50 ml)とH2O(5 ml)の混合液中、WSC(0.610 g, 3.18 mmol,
4eq)存在下で反応させ、約 5 日後、Pyを除去しODSオープンカラムクロマトグラフィー[0%→10% MeOH/
H2O→12% MeOH/ H2O→15% MeOH/ H2O]により10%〜12% MeOH/ H2Oで溶出した。さらに分取HPLC[3% EtOH/ H2O]で単離した。これをアセトンでパウダー化し、ろ過・減圧乾燥して化合物8(0.131 g,
14.5 %)を得た。 化合物8: 1H NMR δ
(40 oC, D2O): 1.90-2.10 (4H, m), 2.30-2.50 (8H, m), 3.60-4.30
(majority,m), 4.84 (2H, d ,J = 4.9 Hz, H-1), 5.03 (2H, d, J =
6.1 Hz, H-1), 5.04 (2H, d, J = 4.3 Hz, H-1), 5.10 (2H, d, J = 3.1
Hz, H-1), 5.11 (2H, d, J = 3.1 Hz, H-1), 5.15 (2H, d, J = 3.7 Hz,
H-1), 5.21 (2H, d, J = 3.7 Hz, H-1). ESI-MS m/z:
2458.71 [M+1]+ (calcd M for C94H152N4O70:
2456.85).
【0019】
<化合物9および10の合成例>
【化9】

【化10】

3A,3B-ジアミノ-3A,3B-ジデオキシ-(2AS,2BS,3AS,3BS)-g-シクロデキストリン (0.5
g, 0.386 mmol)をDMF(10 ml)中、無水コハク酸(0.136 g, 1.35 mmol,
3.5eq)と反応させ、約44時間後、反応液を濃縮し約1mLとした後、アセトンを加えパウダー化させた。これをろ過・減圧乾燥し、化合物9(0.530 g,
91.7 %)を得た。化合物9: 1H NMR δ (29
oC, D2O): 2.52-2.62(8H, m), 3.50-4.07 (majority,m), 4.18(1H,
m), 4.25 (1H, m), 4.73 (1H, d, J = 5.5 Hz, H-1), 4.88 (1H, d, J =
4.3 Hz, H-1), 4.92 (1H ,d, J = 4.3 Hz, H-1), 4.99 (1H, d, J =
3.75 Hz, H-1), 5.01 (1H, d, J = 5.5 Hz, H-1), 5.04 (1H, d, J =
3.67 Hz, H-1), 5.08 (1H, d, J = 3.7 Hz, H-1), 5.13 (1H, d, J =
3.7 Hz, H-1). ESI-MS m/z: 1495.49 [M+1]+ (calcd M for C56H90N2O44:
1494.49).
化合物9(0.922 g,
0.616 mmol)と化合物3A,3B-ジアミノ-3A,3B-ジデオキシ-(2AS,2BS,3AS,3BS)-g-シクロデキストリン(0.798 g,
0.616 mmol, 1.0 eq)をPy(65 ml)・H2O(6.5 ml)中、WSC(0.472 g, 2.46 mmol,
4 eq)存在下で反応させた。 3日後、減圧下でPyを除去し残渣をODSオープンカラムクロマトグラフィー[0%→10% MeOH/
H2O→15% MeOH/ H2O]により10%~15% MeOH/ H2Oで溶出した。さらに分取HPLC[5% MeOH/ H2O→10%
MeOH/ H2O(60min)]で単離し、化合物10(0.251 g, 14.8 %)を得た。1H NMR δ(60℃, DMSO):2.1 (2H, m), 2.3 (4H, m), 2.8 (2H, m),
3.2-4.1 (majority,m),4.64 (2H, d, J
= 7.3 Hz), 4.72 (2H, d, J = 6.7 Hz), 4.78 (2H, d, J = 4.3 Hz),
4.81 (4H, m), 4.85 (2H, d, J = 3.1 Hz), 4.95 (2H, d, J = 3.7 Hz),
5.00 (2H, d, J = 4.3 Hz). ESI-MS m/z: 1377.92 [M+2]2+
(calcd M for C104H168N4O80: 2752.92).
【0020】
<化合物11および12の合成例>
【化11】

【化12】

化合物3A,3B-ジアミノ-3A,3B-ジデオキシ-(2AS,2BS,3AS,3BS)-g-シクロデキストリン(0.502 g, 0.388 mmol)をDMF中、無水グルタル酸(0.155 g, 1.36 mmol, 3.5 eq)と反応させた。約45時間後、反応液を減圧濃縮し、約1mLとしアセトンを加えパウダー化させた。これをろ過・減圧乾燥し、化合物11(0.535 g,
90.6 %)を得た。 化合物11: 1H NMR δ
(40 oC, D2O): 1.90-2.00 (4H, m), 2.30-2.50 (8H, m),3.57-4.20 (majority,m),4.32 (1H, dd, J =
4.3, 8.5 Hz), 4.44 (1H, t, J = 4.9 Hz), 4.85 (1H, d, J = 4.9 Hz, H-1),
5.00 (1H, d, J = 4.3 Hz, H-1),5.01 (1H, d, J = 4.3 Hz, H-1), 5.08 (1H, d,
J = 3.7 Hz, H-1), 5.09 (1H, d, J = 3.7 Hz, H-1), 5.12 (1H, d, J
= 4.3 Hz, H-1), 5.15 (1H, d, J = 3.7 Hz, H-1), 5.25 (1H, d, J =
4.3 Hz, H-1). ESI-MS m/z: 1523.54 [M+1]+ (calcd M for C58H94N2O44:
1522.52).
化合物11(0.496 g,
0.326 mmol)と化合物3A,3B-ジアミノ-3A,3B-ジデオキシ-(2AS,2BS,3AS,3BS)-g-シクロデキストリン (0.422
g, 0.326 mmol, 1.0 eq)をPy(25
ml)・H2O(2.5
ml)中、WSC(0.250 g,
1.30 mmol, 4 eq)存在下で反応させた。約10日後、減圧濃縮によりPyを除去しODSオープンカラムクロマトグラフィー[0%→15% MeOH/
H2O]により化合物12(0.131 g,
14.5 %)を得た。化合物12: 1H NMR δ
(40 oC, D2O): 1.90-2.00 (4H, m), 2.30-2.50 (8H, m), 3.60-4.30
(majority,m), 4.81 (2H, d, J = 4.9 Hz, H-1), 5.02 (2H, d, J = 6.7
Hz, H-1), 5.04 (2H, d, J = 4.9 Hz, H-1), 5.12 (2H, d, J = 2.4Hz, H-1),
5.15(4H, br.s, H-1), 5.24 (4H, d, J = 3.1 Hz, H-1). ESI-MS
m/z: 1392.04 [M+2]2+ (calcd M for C106H172N4O80:
2780.95).
【0021】
本発明の新規シクロデキストリン化合物(10 mM)とフラーレンC60(20
mM)との混合水を7日間、25℃で攪拌し、攪拌液を遠心分離(20000
g, 40 分、25℃)し、その上澄み液中のフラーレンC60をHPLC分析により定量した。その結果を表1に示す。表から判るように、化合物12はg-シクロデキストリンの約4倍のフラーレンC60の水溶性化効率を有する。
【表1】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で示されるシクロデキストリン誘導体がR1およびR2を介してアミド結合してなる化合物であり、化学式(1)において、mは4以上14以下の整数であり、nは4以上14以下の整数であり、R1およびR2は、置換または無置換アルキル基、及び置換または無置換アリール基、及び置換または無置換アリル基から選択される化合物。
【化1】

【請求項2】
化学式(2)を有する請求項1の化合物であり、化学式(2)において、mが4以上の整数、nが4以上の整数、XおよびYが1以上の整数である化合物。
【化2】

【請求項3】
請求項2の化合物において、mが4以上7以下の整数、nが4以上7以下の整数、XおよびYが2以上7以下の整数である化合物。
【請求項4】
下記化学式(3)で示されるシクロデキストリン誘導体がR1およびR2を介してアミド結合してなる化合物であり、化学式(3)において、nは4以上14以下の整数であり、R1およびR2は、置換または無置換アルキル基、及び置換または無置換アリール基、及び置換または無置換アリル基から選択される化合物。
【化3】

【請求項5】
下記化式(4)を有する請求項1の化合物であり、化式(4)において、nが4以上の整数、XおよびYが1以上の整数である化合物。
【化4】

【請求項6】
請求項5の化合物において、nが4以上7以下の整数、XおよびYが2以上7以下の整数である化合物。















【公開番号】特開2009−24094(P2009−24094A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189091(P2007−189091)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(304026696)国立大学法人三重大学 (270)
【Fターム(参考)】