説明

新規化学物質及び代謝異常の治療におけるそれらの使用法

アルツハイマー型の老人性痴呆、又はニューロン代謝低下に起因し認知機能減弱に至るその他の状態の発生を治療又は予防するための方法及び組成物について記載する。好適な態様において、新規エステル化サッカリド化合物を前記患者に認知能力における改善を生み出す量で投与する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、アルツハイマー病、並びにパーキンソン病、ハンチントン病、及びてんかんを含むニューロン代謝の低下に伴うその他の疾患を治療するための治療薬の分野に関する。該治療薬はエステル化サッカリドで、その多くは新規化合物である。
【0002】
発明の背景
アルツハイマー病(AD)は進行性の神経変性障害で、主として高齢者が冒される。ADの形態には早期発症型と晩期発症型の2種類がある。早発型ADは稀ではあるが、早くも30代で罹病性(かかりやすい)個人を襲い、小セットの遺伝子の突然変異が関係することが多い。晩発型、又は自発性ADは、70代又は80代を襲う多くの遺伝的リスク因子による多因子性のありふれた疾患である。晩発型ADは、65歳以上の人の痴呆の主因である。65歳以上の米国人口の7〜10%、80歳以上の米国人口の40%までがADに苦しんでいる(McKhannら、1984年;Evansら、1989年)。疾患の初期に患者は記憶及び見当識の喪失を経験する。疾患の進行に従って、認知機能がさらに障害され、最終的に患者は完全に無能力者になる。ADを起こす事象の連鎖を説明する多数の理論が提唱されているが、本出願の時点で、その理由は不明のままである。現在、ADの有効な予防法又は治療法はない。今日市場に出ているAD治療薬は、アリセプト(Aricept、登録商標)、コグネックス(Cognex、登録商標)、レミニル(Reminyl、登録商標)及びエクセロン(Exelon、登録商標)だけで、いずれもアセチルコリンエステラーゼ阻害薬である。これらの薬物は基礎にあるADの病理に対処するものではなく、単にまだ機能できる神経細胞の有効性を増強し、疾患の症状緩和を提供するだけである。疾患は継続するので、これらの治療の利益はわずかである。
【0003】
代謝及びアルツハイマー病。本出願の時点でADの原因は依然として不明であるが、多数のエビデンスからアルツハイマー病がニューロン代謝の低下に関連していることは明らかである。1984年、Blass及びZemcovは、ADはコリン作動性ニューロンの亜集団における代謝率の低下に起因すると提唱した。しかしながら、ADはコリン作動性の系だけでなく、多くの型の伝達系及びいくつかの不連続な(別個の)脳領域が関与していることが明らかになった。陽電子放出断層撮影からAD患者の脳におけるグルコースの利用不良が明らかであり、この代謝障害は、痴呆の臨床徴候が現れるかなり前に検出できる(Reimanら、1996年;Messier及びGagnon、1996年;Hoyer、1998年)。さらに、AD脳の皮質のソマトスタチン細胞のようなある種の細胞集団は、数が少なく、ゴルジ体も縮小している。この二つの事項とも代謝活性の低下を示すものである(解説についてはSwaabら、1998年参照)。脳の代謝率を健常人とAD患者で測定すると、AD患者ではグルコース代謝が20〜40%低下している(Hoyer、1992年)。グルコース代謝の低下は、AD患者に重大なATPの低濃度をもたらす。また、代謝低下の重症度は老人斑密度と相関することも見出された(Meier−Rugeら、1994年)。
【0004】
さらに、AD患者ではインスリンシグナリングとグルコース利用の細胞成分が障害されている。グルコースは血液脳関門を越えて運搬され、成人の脳における主燃料源として利用される。高レベルのグルコース利用と一致して、哺乳動物の脳はインスリン及びIGFの受容体がよく供給されている。特に、学習及び記憶にとって重要な皮質及び海馬の領域に豊富である(Frolichら、1998年)。ADと診断された患者では、インスリン受容体の密度の増加が脳の多くの領域で観察されたが、正常であればインスリン受容体に伴うチロシンキナーゼ活性のレベルは低下していた。いずれも年齢を適合させた対照との比較である(Frolichら、1998年)。受容体密度の増加は、受容体活性の低下を補うための受容体レベルのアップレギュレーションを表す。インスリン受容体の活性化は、ホスファチジルイノシトール−3キナーゼ(PI3K)を刺激することが知られている。PI3K活性はAD患者では低下している(Jollesら、1992年;Zubenkoら、1999年)。さらに、脳の主なグルコース輸送体、GLUT1及びGLUT3の密度は、年齢適合対照の50%であることが分かった(Simpson及びDavies、1994年)。ADにおけるグルコース代謝の障害は、ADがII型糖尿病に類似した脳のインスリン抵抗性の形態かもしれないという提案を導いた(Hoyer、1998年)。インスリン受容体活性の阻害は、インスリン受容体の公知阻害薬であるストレプトゾトシンの脳室内注射によってラットの脳に外因的に誘導できる。これらの動物は学習及び記憶に進行性の欠陥を発症する(Lannert及びHoyer、1998年)。AD患者の脳ではグルコース利用が障害されるが、ケトン体のβ−ヒドロキシブチレート及びアセトアセテートの利用は影響を受けないようである(Ogawaら、1996年)。
【0005】
ADにおけるニューロン代謝の低下の原因は不明のままである。とは言え、加齢はADにおけるグルコース代謝の低下を増悪しうる。高齢者ではグルコース取込みのインスリン刺激が障害され、インスリン作用の低下及びインスリン抵抗性の増大がもたらされる(解説についてはFinch及びCohen、1997年参照)。例えば、グルコース負荷後、平均血漿中グルコースは、若い被験者より65歳以上の被験者が10〜30%高い。従って、ADの遺伝的リスク因子がもたらす脳のニューロン代謝不全はわずかでありうる。これらの欠陥は、晩年グルコース代謝が障害されたときにしか明らかにならないため、ADの発症に寄与する。グルコース利用の欠陥はADの脳に限定されているので、肝臓が脂肪酸を動員することはない(以下の脳代謝のセクション参照)。ケトン体をエネルギー源として使用しなければ、AD患者のニューロンは次第に餓死する。
【0006】
AD患者の脳代謝率の低下を補おうとする試みは一定の成功を収めている。高用量のグルコース及びインスリンでAD患者を治療すると、認知得点が増加する(Craftら、1996年)。しかしながら、インスリンはポリペプチドであり、血液脳関門を越えて輸送されなければならないので、脳への送達は簡単でない。従ってインスリンは全身的に投与される。血流中の大用量のインスリンは高インスリン血症を招きかねず、他の組織に異常を起こすであろう。これらの欠点のいずれもがこのタイプの治療法を困難にし、多くの合併症を伴うものにしている。そこで、アルツハイマー病を患う患者の脳代謝率を増加し、その結果認知能力を増大しうる薬剤に対する需要がある。
【0007】
脳代謝。脳は非常に高い代謝率を有しいてる。例えば、脳は安静状態で消費される全酸素の20%を使用する。脳のニューロンによって大量のATPが、一般的細胞機能、電位の維持、神経伝達物質の合成及びシナプスのリモデリングのために必要とされる。現在のモデルの提唱するところによれば、正常の生理学的条件下で、成人脳のニューロンはエネルギーをグルコースだけに頼っている。ニューロンはグリコーゲン貯蔵を欠くので、適正な機能のために血液からのグルコースの常時供給に依存している。従って、脳へのグルコース供給の突然の中断はニューロンの損傷をもたらす。とは言え、絶食中のようにグルコース濃度が次第に降下した場合、ニューロンはグルコースの代わりにケトン体を代謝し始めるので、ニューロンの損傷は起きない。
【0008】
ニューロン支持細胞であるグリア細胞は、代謝的にはずっと多様で、多くの物質を代謝できる。特に、グリア細胞は細胞呼吸のために脂肪酸を利用することができる。脳のニューロンは脂肪酸を効率的に酸化できないので、脂肪酸の酸化及びケトン体の生成を肝細胞や星状細胞のような他の細胞に頼っている。ケトン体は脂肪酸の不完全酸化によって産生され、グルコース濃度が低いときに全身にエネルギーを分配するのに使用される。炭水化物の豊富な通常の西洋式食事ではインスリン濃度が高いので、脂肪酸が燃料に利用されることはない。従って、血中ケトン体濃度は非常に低く、脂肪は貯蔵されて使用されない。現在のモデルの提唱するところによれば、新生児の発育時及び絶食中のような特別な状態のときのみ、脳はケトン体を燃料として利用する。脂肪酸の部分的酸化でD−3−ヒドロキシブチレート(D−β−ヒドロキシブチレート)及びアセトアセテートが生じる。これらとアセトンをまとめてケトン体と呼ぶ。新生哺乳動物は発育を乳に依存している。乳中の主要炭素源は脂肪である(炭水化物は乳の熱量の12%未満しか構成しない)。乳中の脂肪酸は酸化されてケトン体を生じ、次にこれが血液中に拡散して発育のためのエネルギー源を提供する。数多くの研究から、発育中の哺乳動物新生児の脳の呼吸にとって好適な物質はケトン体であることが示されている。この観察と一致するのが生化学的所見で、星状細胞、乏突起膠細胞及びニューロンはいずれも効率的なケトン体代謝能を有している(解説についてはEdmond、1992年参照)。なお、星状細胞だけは脂肪酸からケトン体への効率的酸化が可能である。
【0009】
身体は通常少量のケトン体を産生する。しかしながら、それらは迅速に利用されるので、血中ケトン体濃度は非常に低い。血中ケトン体濃度は、低炭水化物食、絶食中、及び糖尿病患者で上昇する。低炭水化物食では、血中グルコース濃度が低く、膵臓のインスリン分泌が刺激されない。グルコースが制限されている場合にはこれが引き金となって燃料源として使用するための脂肪酸の酸化が起こる。同様に、断食又は絶食中は肝グリコーゲン貯蔵がすぐに枯渇するので、脂肪が動員されてケトン体の形態になる。低炭水化物食も絶食も血中グルコース濃度の急激な降下を来さないので、身体は血中ケトン濃度の増加に時間を要する。血中ケトン体の増加は脳に代替燃料源を提供するので細胞損傷は起きない。脳はそのように高いエネルギー需要を有するので、肝臓は身体が文字どおりケトン体で飽和されるまで大量の脂肪酸を酸化する。従って、不十分なケトン体供給源とグルコース利用不良が結びつくと、ニューロンに深刻な損傷がもたらされる。グリア細胞は非常に様々な物質を利用できるので、ニューロンほどグルコース代謝の欠陥に弱くない。このことは、グリア細胞はADで変性及び死亡しないという観察と一致する(Mattson、1998年)。
【0010】
代謝とアルツハイマー病のセクションで解説したように、ADでは脳のニューロンがグルコースを利用できないため餓死し始める。欠陥は脳に限定され、末梢のグルコース代謝は正常なので、身体はケトン体の産生を増加させない。従って、脳のニューロンは次第に餓死する。そこで、グルコース代謝不全を示す脳細胞のためにエネルギー源を求める需要が存在する。グルコース代謝不全はADの証である。従って、代替エネルギー源の投与はAD患者にとって有益であると証明されるであろう。
【0011】
ハンチントン病
ハンチントン病(HD)は家族性の神経変性障害で、10,000人に1人が冒される。常染色体優性遺伝し、舞踏病性の運動、痴呆、及び認知低下を特徴とする。この疾患は、コード領域内に可変的に増加した(伸長した)CAGリピートを含有する遺伝子によって発病する。リピートのサイズ範囲はあらゆる疾患で同様である。非罹患者はCAGリピート数が30個未満であるが、患者は通常40個以上のリピート数を有する。障害は、通常30〜50歳の中年期に発症するが、非常に早期のこともかなり晩期のこともある。遺伝的に受け継いだCAGリピートのサイズが重症度と発病年齢に相関する。CAGトリプレットリピートは、発現タンパク質にポリグルタミンドメインを生ずる。症状は進行性で、典型的には発病後10〜20年で死に至る。死因の多くは運動障害の二次的合併症の結果である。
【0012】
突然変異遺伝子はハンチントンタンパク質を産生するが、その機能は不明である。ハンチントンのポリグルタミン領域は、主要な糖分解酵素のグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)と相互作用する。正常のグルタミンはGAPDHと結合でき酵素に何の害も及ぼさないが、突然変異体のハンチントンの結合は酵素を阻害する。ハンチントンタンパク質がGAPDHを妨害することによる脳への供給エネルギー不足が、基底核及び大脳皮質におけるニューロン損傷を起こす原因の一部と考えられている。ミトコンドリアの機能不全もHDに関与している。
【0013】
少なくとも4種類のその他の疾患が伸長CAGリピートによって起こる。従ってそれらにもグルコース代謝不全が関与しうる。それらは、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、脊髄小脳失調1型、及び脊髄小脳失調3型である。
【0014】
パーキンソン病
パーキンソン病(PD)は、脳のシナプス前ドパミン作動性ニューロンの劣化とそれに続く神経伝達物質ドパミンの放出量の減少の結果であると広くみなされている。従って、不適切なドパミン放出が、PDの症状である随意筋制御障害を発生させる。
【0015】
PDの運動機能障害の症状はこれまで、ドパミン受容体アゴニスト、モノアミンオキシダーゼ結合阻害薬、三環系抗うつ薬、抗コリン作動薬、及びヒスタミンH1−アンタゴニストを用いて治療されてきた。残念なことに、黒質における細胞変性という主要な病理的事象はそのような治療では救われない。疾患は進行し続けるので、ある長さの時間後にドパミン補充療法がその効果を失うことが多い。しかしながら、運動機能障害の他にPDは神経精神障害又は症状も特徴とする。それらは、無関心−無動機、うつ、及び痴呆などである。痴呆のあるPD患者は標準的L−ドーパ療法にあまり良く反応しないことが報告されている。その上、これらの治療は精神神経症状に関してはほとんどないし全く利益がない。ニューロン代謝の障害がPDの寄与因子であると考えられている。
【0016】
てんかん
てんかんは発作障害と呼ばれることもあるが、脳の電気的機能の一時的変化によって起こる慢性の医学的状態で、意識、運動、又は感覚に影響を及ぼす発作を起こす。てんかんの治療を受けた小児において、絶食を模倣したケト原性(ケトン形成)食事に関する長い経験がある。該食事は医学療法なので、医師及び/又は食事療法士の注意深い監督の下に用いられるべきである。該治療食は熱量摂取を注意深くコントロールするため、子供は1日の熱量の90%を提供する計算の範囲内のものだけを脂肪として食べなくてはならない。しかしながら、そのような食事は成人に使用するには一般的に不適切である。その理由は、(1)これらの食事の主要脂肪として長鎖トリグリセリドのコレステロールへの取込み及び高脂血症の影響による循環系への有害作用;(2)低炭水化物食が魅力に乏しいため、患者の順守が得られにくいことである。
【0017】
従って、代謝障害の疾患のための治療薬が求められている。
係属中の米国特許出願第10/152,147号、2002年5月20日出願、発明の名称“アルツハイマー病及びニューロン代謝の低下に由来するその他の疾患の治療及び予防のための中鎖トリグリセリドの使用II(Use of Medium Chain Triglycerides for the Treatment of Alzheimer's Disease and Other Diseases Resulting from Reduced Neuronal Metabolism II)”;及び出願第09/845,741号、2001年5月1日出願、発明の名称“アルツハイマー病及びニューロン代謝の低下に由来するその他の疾患の治療及び予防のための中鎖トリグリセリドの使用(Use of Medium Chain Triglycerides for the Treatment of Alzheimer's Disease and Other Diseases Resulting from Reduced Neuronal Metabolism)”に、アルツハイマー型痴呆、又はニューロン代謝の低下に起因するその他の認知機能喪失の治療又は予防法が記載されている。該方法は、有効量の中鎖トリグリセリドをその必要ある患者に投与することを含む。これらの出願は、中鎖トリグリセリド(MCT)及び関連脂肪酸が、AD患者及びニューロン代謝低下に由来するその他の疾患及び状態の治療及び予防策として有用であることを示している。該出願は、MCTの摂取が血中ケトン体の濃度の増加をもたらし、それによって飢餓脳ニューロンにエネルギーが供給され、それによってニューロン代謝が回復することを示している。
【0018】
本発明は治療薬を提供し、その多くは新規化合物であり、MCTと同様、摂取すると血中ケトン体濃度の増加とニューロン代謝の回復をもたらすことになろう。本明細書中に記載されている化合物と類似の化合物は、これまでもその他の用途、例えば化粧品の用途で(WO00/61079)及び食品の賦形剤として(WO91/15963)利用されているが、治療薬としての用途ではない。
発明の要旨
本発明は、式:
【0019】
【化1】

【0020】
の化合物を提供する。式中、Aはサッカリド部分を表し、pはサッカリド部分A上の遊離ヒドロキシル基の数であり、Rは、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する不飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、及び前述のいずれかの誘導体から独立して選ばれる。一態様において、該化合物はTakadaら(1991)にもJandacek & Webb(1978)にも記載されていない。一態様において、RはC脂肪酸残基を含む。別の態様において、該化合物は、構造:
【0021】
【化2】

【0022】
又は
【0023】
【化3】

【0024】
を含む。
本発明はまた、式:
【0025】
【化4】

【0026】
の化合物も提供する。式中、Rは、R、サッカリドとエステル結合した必須脂肪酸、サッカリドとエステル結合したβ−ヒドロキシブチレート、サッカリドとエステル結合したアセトアセテート、サッカリドとエステル結合した化合物5、及びサッカリドとエステル結合した化合物6からなる群から独立して選ばれる。一態様において、該化合物はTakadaら(1991)にもJandacek & Webb(1978)にも記載されていない。一態様において、Rは、サッカリドとエステル結合したアセトアセテート又はサッカリドとエステル結合したβ−ヒドロキシブチレートのいずれかである。別の態様において、β−ヒドロキシブチレートのR基とアセトアセテートのR基の比は約3:2〜4:1であり、3:1の比が好適である。別の態様において、本発明は、第一の化合物と第二の化合物との混合物を提供し、第一の化合物のR基はβ−ヒドロキシブチレートであり;第二の化合物のR基はアセトアセテートであり、そして第一の化合物と第二の化合物は3:2〜4:1の比で存在し、3:1の比が好適である。
【0027】
本発明はまた、TCA回路の中間体と、前述の式:
【0028】
【化5】

【0029】
の化合物とを含む医薬組成物も提供する。一態様において、TCA回路の中間体は、クエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、α−ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0030】
別の態様において、本発明は、TCA回路の中間体の前駆体と、前述の式:
【0031】
【化6】

【0032】
の化合物とを含む医薬組成物も提供する。ある態様において、TCA回路の中間体の前駆体は、ヒトに投与されるとインビボで変換されてTCA回路の中間体を形成する化合物である。その他の態様において、該前駆体は、2−ケト−4−ヒドロキシプロパノール、2,4−ジヒドロキシブタノール、2−ケト−4−ヒドロキシブタノール、2,4−ジヒドロキシ酪酸、2−ケト−4−ヒドロキシ酪酸、アスパルテート、モノ−及びジ−アルキルオキサロアセテート、ピルベート、及びグルコース−6−ホスフェートからなる群から選ばれる。
【0033】
別の態様において、本発明は、ケトン体又はケトン体の代謝前駆体と、前述の式:
【0034】
【化7】

【0035】
の化合物とを含む医薬組成物も提供する。一態様において、ケトン体又は代謝前駆体は、β−ヒドロキシブチレート、アセトアセテート、β−ヒドロキシブチレート又はアセトアセテートの代謝前駆体、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる。他の態様において、代謝前駆体は、ポリマー又はオリゴマーの生理学的に許容しうる塩又はエステルであって、いずれの場合もサブユニットのリピート数は、前記ポリマー又はオリゴマーがヒト又は動物に投与されると容易に代謝されて高められた血中ケトン体濃度を提供するように選ばれる。なお更なる態様において、該代謝前駆体は、
【0036】
【化8】

【0037】
[式中、nは0〜1,000の整数、mは1以上の整数]、それらと1個以上のカチオンとの複合体又は治療もしくは栄養に使用されるそれらの塩からなる群から選ばれる。
本発明はさらに、代謝アジュバントと、前述の式:
【0038】
【化9】

【0039】
の化合物からなる群から選ばれる化合物とを含む医薬組成物も提供する。一態様において、該アジュバントは、ビタミン、ミネラル、抗酸化剤、エネルギー増強化合物、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる。別の態様において、該エネルギー増強化合物は、コエンザイムCoQ−10、クレアチン、L−カルニチン、n−アセチル−カルニチン、L−カルニチン誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる。その他の態様において、該ビタミンは、アスコルビン酸、ビオチン、カルシトリオール、コバラミン、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ピリドキシン、レチノール、レチナール(レチナールデヒド)、レチノイン酸、リボフラビン、チアミン、α−トコフェロール、フィチルメナキノン、マルチプレニルメナキノン、ピリドキシン誘導体、パントテン酸、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる。さらにその他の態様において、該ミネラルは、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、亜鉛、銅、アルミニウム、クロム、バナジウム、セレン、リン、マンガン、鉄、フッ素、コバルト、モリブデン、ヨウ素及びそれらの混合物からなる群から選ばれる。さらにその他の態様において、該抗酸化剤は、アスコルビン酸、α−トコフェロール、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0040】
本発明はさらに、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、アセチルコリン合成調節薬、アセチルコリン貯蔵調節薬、アセチルコリン放出調節薬、抗炎症薬、エストロゲン又はエストロゲン誘導体、インスリン感作薬、β−アミロイド斑除去薬(ワクチンを含む)、β−アミロイド斑形成阻害薬、γ−セクレターゼ調節薬、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体調節薬、α−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体調節薬、神経栄養成長因子(例えばBDNF)、セラミド又はセラミド類似体、及びNMDAグルタミン酸受容体アンタゴニストから選ばれる治療薬と;前述の式:
【0041】
【化10】

【0042】
の化合物とを含む医薬組成物も提供する。
本発明はまた、脂肪酸の利用を誘導する少なくとも一つの治療薬と、前述の式:
【0043】
【化11】

【0044】
の化合物とを含む医薬組成物も提供する。一態様において、脂肪酸の利用を誘導する治療薬は、PPAR−γアゴニスト、スタチン系薬、及びフィブラート系薬からなる群から選ばれる。更なる態様において、該PPAR−γアゴニストは、アスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、及びナプロキセン、及びチアゾリジンジオン薬からなる群から選ばれる。なお更なる態様において、該スタチン系薬は、リピトール(Lipitor)又はゾコール(Zocor)である。なお更なる態様において、該フィブラート系薬は、ベザフィブラート(Bezafibrate)、シプロフィブラート、フェノフィブラート及びジェムフィブロジル(Gemfibrozil)からなる群から選ばれる。なお更なる態様において、該治療薬はカフェイン及びエフェドラである。
【0045】
本発明はまた、ケトン体濃度の上昇法も提供し、該方法は、前述の式:
【0046】
【化12】

【0047】
の化合物を投与することを含む。
本発明はまた、アルツハイマー病を患う患者における認知能力の増大法も提供し、該方法は、前述の式:
【0048】
【化13】

【0049】
の化合物を投与することを含む。ある態様において、認知能力の増大は、ADAS−cog(アルツハイマー病評価尺度認知機能検査)、MMSE(ミニメンタルステート検査)、ストループの色と言語干渉作業(Stroop Color Word Interference Task)、ウェクスラー記憶尺度−IIIの論理的記憶サブテスト(Logical Memory subtest of the Wechsler Memory Scale-III)、臨床痴呆評価尺度(Clinician's Dementia Rating)、及び全般臨床症状の評価尺度(Clinician's Interview Based Impression of Change)からなる群から選ばれる検査によって測定される。
【0050】
本発明はさらに、アルツハイマー病を患う患者における認知能力の増大法も提供し、該方法は、該患者にケトン体濃度を増加させることを含み、該増加は、前述の式:
【0051】
【化14】

【0052】
の化合物を投与することによって達成される。ある態様において、認知能力の増大は、ADAS−cog、MMSE、ストループの色と言語干渉作業、ウェクスラー記憶尺度−IIIの論理的記憶サブテスト、臨床痴呆評価尺度、及び全般臨床症状の評価尺度からなる群から選ばれる検査によって測定される。
【0053】
本発明はさらに、アルツハイマー型の痴呆、又はニューロン代謝の低下によって起こるその他の認知機能の喪失の治療又は予防法も提供し、該方法は、前述の式:
【0054】
【化15】

【0055】
の化合物からなる群から選ばれる化合物の有効量を投与することを含む。ある態様において、該化合物は、約0.01g/kg/日〜約10g/kg/日の用量で投与される。
【0056】
発明の詳細な説明
本発明は、とりわけ、(i)心効率、特にグルコースの使用における効率を増大する、(ii)特に糖尿病及びインスリン抵抗性状態におけるエネルギー源を提供する、及び(iii)特にアルツハイマー及び類似の状態に見られるような記憶関連脳領域における脳損傷を遅延又は防止することにより、脳細胞への損傷によって起こる障害を治療する、という性質を有するエステル化サッカリド化合物、並びにヒト及び動物への投与に適した組成物に関する。
【0057】
背景のセクションで述べたとおり、脳のニューロンは呼吸のためにグルコースとケトン体の両方を使用できる。アルツハイマー病患者のニューロンは、グルコース代謝に欠陥があることが十分に立証されている。また、アルツハイマー病の知られている遺伝的リスク因子は脂質及びコレステロール輸送に関連しており、トリグリセリド使用における欠陥がアルツハイマー病への罹病性(かかりやすさ)の基礎にありうることを示唆している。そこで、本発明の目的は、摂取すると血中ケトン体濃度の増加を導き、それによって飢餓脳ニューロンにエネルギーを供給する新規化学物質を提供することである。さらに、ハンチントン病、パーキンソン病、及びてんかん、並びにウェルニッケ−コルサコフ病及びおそらく精神分裂病のようなその他の関連神経変性疾患におけるニューロン代謝の欠陥は、脳細胞にエネルギー源を供給する治療薬から誘導された高い血中ケトン濃度によって利益を得るであろう。本明細書中で使用している“高い血中ケトン濃度”とは、少なくとも約0.1mMの濃度のことである。更に好ましくは、高い血中ケトン濃度とは、0.1〜50mMの範囲、更に好ましくは0.2〜20mMの範囲、更に好ましくは0.3〜5mMの範囲、そして更に好ましくは0.5〜2mMの範囲の濃度のことである。
【0058】
本発明のエステル化サッカリド化合物は、血中ケトン体をアルツハイマー病の発生の治療及び予防に必要な濃度に増加させるのに必要な用量で投与される。ケトン体は脂肪酸の酸化によって、そのような酸化が可能な組織で産生される。脂肪酸を酸化する主要な器官は肝臓である。正常の生理学的条件下で、ケトン体は迅速に利用され血液から除去される。絶食又は低炭水化物食のようなある条件下では、ケトン体は過剰に産生され、血流中に蓄積される。脂肪酸の酸化を増大する効果を模倣する化合物は、ケトン体濃度を、代謝不全のニューロン細胞に代替エネルギー源を提供するレベルに引き上げる。そのような化合物の効能は、脂肪酸の利用を増大し血中ケトン体濃度を高めるそれらの能力から誘導されるので、それらは本発明の態様に負うところが大きい。
【0059】
脂肪酸の酸化を増大する効果を模倣しケトン体濃度を上げる化合物は、ケトン体のD−β−ヒドロキシブチレート及びアセトアセテート、並びにこれらの代謝前駆体などであるが、これらに限定されない。本明細書中で使用している代謝前駆体という用語は、1,3ブタンジオール、アセトアセチル又はD−β−ヒドロキシブチレート部分を含む化合物、例えばアセトアセチル−1−1,3−ブタンジオール、アセトアセチル−D−β−ヒドロキシブチレート、及びアセトアセチルグリセロールのような化合物のことを言う。そのような化合物のいずれかと一価、二価又は三価アルコールとのエステルも考えている。代謝前駆体は、D−β−ヒドロキシブチレートのポリエステル、及びD−β−ヒドロキシブチレートのアセトアセテートエステルも含む。D−β−ヒドロキシブチレートのポリエステルは、ヒト又は動物によって容易に消化可能及び/又は代謝されるように設計されたこのポリマーのオリゴマーを含む。これらは、好ましくは2〜100リピート長、典型的には2〜20リピート長、及び最も便宜的には3〜10リピート長である。ケトン体前駆体として使用可能なポリD−β−ヒドロキシブチレート又は末端が酸化されたポリ−D−β−ヒドロキシブチレートエステルの例を以下に示す。
【0060】
【化16】

【0061】
いずれの場合も、nは、ポリマー又はオリゴマーが、ヒト又は動物体に投与されると容易に代謝されて血中ケトン体濃度の上昇を提供するように選ばれる。nの好適な値は0〜1,000、更に好ましくは0〜200、なおさらに好ましくは1〜50、最も好ましくは1〜20の整数で、特に好都合なのは3〜5である。カチオン及び典型的な生理学的塩の例は本明細書に記載されており、さらにナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム(それぞれ塩複合体を形成する生理学的対イオンによって平衡化されている)、L−リシン、L−アルギニン、メチルグルカミン、及び当業者に公知のその他を含む。そのような代謝前駆体の製造及び使用は、Veech,WO98/41201及びVeech,WO00/15216に詳述されている。これらはいずれも引用によってその全体を本明細書に援用する。
【0062】
従って、本発明は、式:
【0063】
【化17】

【0064】
のエステル化サッカリド化合物に向けられている。式中、Aはサッカリド部分を表し、pはサッカリド部分A上の遊離ヒドロキシル基の数であり、Rは、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する不飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、及び前述のいずれかの誘導体から独立して選ばれる。pに関して言うと、例えばAがフルクトフラノース又はグルコピラノースの場合、pは5である。Aがセロビオース又はマルトースの場合、nは8である。
【0065】
理論にとらわれないが、エステル結合はインビボで容易に加水分解されて短鎖脂肪酸を提供し、これが完全に代謝されてケトン体になると考えられている。
【0066】
本明細書中で使用しているサッカリドとは、比較的低分子量の水溶性炭水化物群のことである。単純な糖はモノサッカリドと呼ばれる。より複雑な糖は、一緒に連結した2〜10個のモノサッカリドを含む。ジサッカリドは2個、トリサッカリドは3個を含有する等々である。サッカリドは、必要に応じてL−及びD−異性体並びにα−及びβ−形を含み、モノサッカリド、例えばグルコース、フルクトース、マンノース、ストレプトース、アルドース例えばアルドモノース、アルドジオース、アルドトリオース、アルドテトロース、アルドペントース、アルドヘキソース、アルドヘプトース、アルドオクトース、アルドノノース、及びアルドデコース、ケトース例えばケトモノース、ケトジオース、ケトトリオース、ケトテトロース、ケトペントース、ケトヘキソース、ケトヘプトース、ケトオクトース、ケトノノース、及びケトデコース、イドース、ガラクトース、アロース、アラビノース、グロース、フコース、グリコース、グリコスロース、エリトロース、トレオース、リボース、キシロース、、リキソース、アルトロース、イドース、タロース、エリトルロース、リブロース、ミカロース、キシルロース、プシコース、ソルボース、タガトース、酸、グルカル酸、グルコン酸、グルクロン酸、グリセルアルデヒド、グルコピラノース、グルコフラノース、アルデヒドグルコース、アラビノフラノース、ガラクツロン酸、マヌロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン及びノイラミン酸、ジサッカリド、例えばスクロース、マルトース、セロビオース、ラクトース、ストロファントビオース、及びトレハロース、そしてトリサッカリド、例えばマルトトリオース、ラフィノース、セロトリオース又はマンニノトリオースなどであるが、これらに限定されない。
【0067】
本明細書中で使用しているエステル化とは、サッカリドのヒドロキシル(−OH)基と脂肪酸又はその他の酸の酸部分(COO−)との間の連結により典型的なエステル結合(ROOR’)が形成されることを言う。
【0068】
これらの化合物のあるものは以前に報告されている。Takadaら(1991)は、セロビオースオクタ(n−アルカノエート)の製造及び熱的性質について記載している。Jandacek & Webb(1978)は、純スクロースオクタエステルの製造と物理的性質について記載している。Takadaら(1991)もJandacek & Webb(1978)も、該化合物が治療目的に使用できることについて全く示唆していない。実際、いずれの文献もこれらの化合物のいかなる可能な使用についても示していない。Takadaら(1991)及びJandacek & Webb(1978)に記載の化合物は本発明から特定的に除外する。
【0069】
化合物1の好適な態様は、α−D−グルコピラノースペンタオクタノエート:
【0070】
【化18】

【0071】
;β−D−フルクトースペンタオクタン酸エステル:
【0072】
【化19】

【0073】
;及びマルトースオクタン酸エステル:
【0074】
【化20】

【0075】
などであるが、これらに限定されない。
本発明はまた、式:
【0076】
【化21】

【0077】
のエステル化サッカリド化合物にも向けられる。式中、Rは、R、サッカリドとエステル結合した必須脂肪酸、サッカリドとエステル結合したβ−ヒドロキシブチレート、サッカリドとエステル結合したアセトアセテート、サッカリドとエステル結合した化合物5、及びサッカリドとエステル結合した化合物6からなる群から独立して選ばれる。この化合物は、Rがケトン体前駆体の分子であるという分子の特性により、増加したケトン体濃度を提供する。さらに、Rが必須脂肪酸、すなわちリノール酸又はアラキドン酸の場合、該化合物は必須脂肪酸を提供するという追加の利点も有する。
【0078】
式化合物4の好適な化合物は、Rがサッカリドとエステル結合したアセトアセテート又はサッカリドとエステル結合したβ−ヒドロキシブチレートのいずれかである化合物;Rがサッカリドとエステル結合したアセトアセテート又はサッカリドとエステル結合したβ−ヒドロキシブチレートのいずれかであり、β−ヒドロキシブチレートのR基とアセトアセテートのR基の比が約3:2〜4:1である化合物などであるが、これらに限定されない。3:1の比率が好適であるが、全ての糖が3:1の比率を可能にする遊離ヒドロキシル基の数を持っているわけではない。例えば、Aがフルクトフラノースである化合物の場合、β−ヒドロキシブチレートとアセトアセテートのR基の比は4:1又は3:2である。あるいは、AがフルクトフラノースでRがβ−ヒドロキシブチレートである化合物;及びAがフルクトフラノースでRがアセトアセテートである化合物の混合物を3:1の比で製造してもよい。
【0079】
別の好適な化合物は、
【0080】
【化22】

【0081】
[式中、3個のRはオクタン酸のエステルであり、4個目のRはアセトアセテートのエステルであり、そして3個のRはオクタン酸のエステルであり、4個目のRはアセトアセテートのエステルである]を含む。
【0082】
本発明は、アルツハイマー型の痴呆、又はニューロン代謝の低下によって起こるその他の認知機能の喪失の治療又は予防法を提供する。該方法は、その必要ある患者に、式化合物1及び/又は化合物4のエステル化サッカリド化合物の有効量を投与することを含む。一般的に有効量は、(1)治療しようとする疾患の症状を減弱する、又は(2)治療しようとする疾患の治療に関連する薬理学的変化を誘導する、のいずれかに有効な量である。アルツハイマー病の場合、有効量は、認知得点を増加し;痴呆の進行を緩徐化し;又は罹病患者の平均余命を増大するのに有効な量を含む。
【0083】
本発明のエステル化サッカリド化合物は、Takadaら(1991)及びJandacek & Webb(1978)の方法を含む当該技術分野で公知のいずれかの方法によって製造できる。
【0084】
好適な態様において、該方法は、Rが8個の炭素の骨格を含有する脂肪酸である化合物1の使用を含む。
【0085】
別の好適な態様において、本発明は、化合物1及び/又は化合物4と、L−カルニチン又はL−カルニチンの誘導体との共投与を含む。MCTをL−カルニチンと組み合わせるとMCFA酸化にわずかな増加が認められた(Odle、1997年)。従って、本発明では化合物1及び/又は化合物4を、前記化合物1及び/又は化合物4の利用を増大するのに必要な用量のL−カルニチンと組み合わせる。L−カルニチンと化合物1及び/又は化合物4の用量は、宿主の状態、送達法、及び当業者に公知のその他の因子に応じて変動するであろうが、アルツハイマー病の治療及び予防に必要な程度に血中ケトン濃度を高めるのに足る量である。本発明で使用されうるL−カルニチンの誘導体は、デカノイルカルニチン、ヘキサノイルカルニチン、カプロイルカルニチン、ラウロイルカルニチン、オクタノイルカルニチン、ステアロイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、アセチル−L−カルニチン、O−アセチル−L−カルニチン、及びパルミトイル−L−カルニチンなどであるが、これらに限定されない。
【0086】
治療薬の治療上有効な量は、所望の抗痴呆効果をもたらすのに足る任意の量又は用量であってよく、一部は、状態の重症度及び病期、患者の大きさ及び状態、並びに当業者が容易に分かるその他の因子によって決まる。用量は、1回量として、又は数回量として、例えば数週間の投薬期間にわたって分割して投与できる。
【0087】
一態様において、化合物1及び/又は化合物4は経口投与される。別の態様において、化合物1及び/又は化合物4は静脈内投与される。MCTの経口投与及び静脈内MCT溶液の製造は当業者に周知なので、本発明のエステル化サッカリド化合物の投与及び製造のについての手引きとなる。
【0088】
本発明はまた、アルツハイマー型の痴呆、又はニューロン代謝の低下によって起こるその他の認知機能の喪失の治療又は予防のための中鎖トリグリセリドを含む治療薬も提供する。好適な態様において、該治療薬は、様々な容器に配合された用量単位を含む投与上好都合な組成物の製剤で提供される。エステル化サッカリドの用量は、AD又はその他のニューロン代謝低下状態に冒された患者の認知能力を増大するに足るケトン体濃度を生じるために有効な量で投与されるのが好ましい。ケトン体D−β−ヒドロキシブチレートの場合、血中濃度を望ましくは約0.1〜50mM(尿排泄による測定で約5mg/dL〜約160mg/dLの範囲)に上昇、更に好ましくは約0.2〜20mMに上昇、更に好ましくは約0.3〜5mMに上昇、更に好ましくは約0.5〜2mMに上昇させる。もっとも、例えば製剤及び宿主によって変動は必然的に発生するであろう。本発明のエステル化サッカリドの有効量の用量は当業者には明白であろう。一態様において、エステル化サッカリドの用量は、0.05g/kg/日〜10g/kg/日の範囲のエステル化サッカリドであろう。更に好ましくは、用量は0.25g/kg/日〜5g/kg/日の範囲のエステル化サッカリドであろう。更に好ましくは、用量は0.5g/kg/日〜2g/kg/日の範囲のエステル化サッカリドであろう。好都合な単位用量容器及び/又は製剤は、特に、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、硬質キャンディ、栄養バー、栄養ドリンク、計量スプレー、クリーム、及び坐剤などである。組成物は、製薬学的に許容しうる賦形剤、例えばゼラチン、油、及び/又はその他の製薬学的活性剤と組み合わせてもよい。例えば、組成物は、主題化合物とは異なるその他の治療薬又は予防薬と都合よく組み合わせられる及び/又は組み合わせて使用できる。多くの場合、主題組成物との併用投与はそのような薬剤の効能を増強する。例えば、該化合物は、抗酸化剤、グルコース利用の効率を高める化合物、及びそれらの混合物と都合よく併用できる(Goodmanら、1996年参照)。
【0089】
好適な態様において、本発明は、高めた血中ケトン濃度を提供するために本発明のエステル化サッカリドとカルニチンとの混合物を含む製剤を提供する。そのような製剤の性質は投与期間及び投与経路に左右される。そのような製剤は、0.05g/kg/日〜10g/kg/日の範囲のエステル化サッカリドと0.05mg/kg/日〜10mg/kg/日のカルニチン又はその誘導体であろう。一態様において、エステル化サッカリドの用量は0.05g/kg/日〜10g/kg/日の範囲であろう。更に好ましくは、用量は0.25g/kg/日〜5g/kg/日の範囲のエステル化サッカリドであろう。更に好ましくは、用量は0.5g/kg/日〜2g/kg/日の範囲のエステル化サッカリドであろう。ある態様において、カルニチン又はカルニチン誘導体の用量は0.05g/kg/日〜10g/kg/日の範囲であろう。更に好ましくは、カルニチン又はカルニチン誘導体の用量は0.1g/kg/日〜5g/kg/日の範囲であろう。更に好ましくは、カルニチン又はカルニチン誘導体の用量は0.5g/kg/日〜1g/kg/日の範囲であろう。変動は、例えば製剤及び/又は宿主に応じて必然的に発生するであろう。
【0090】
別の態様において、本発明は、治療用の化合物又は化合物の混合物を提供し、その組成及び用量は患者の遺伝子型、特にアポリタンパク質E遺伝子の対立遺伝子に影響される。係属中の米国特許出願第10/152,147号、2002年5月20日出願、発明の名称“アルツハイマー病及びニューロン代謝の低下に由来するその他の疾患の治療及び予防のための中鎖トリグリセリドの使用II”の実施例3に、高めたケトン体濃度がMCTによって誘導された場合、非E4保因者の方がE4対立遺伝子保因者より好成績であったことが開示されている。また、E4対立遺伝子保因者は、高い空腹時ケトン体濃度を有し、該濃度は2時間の間隔で上昇を続けた。従って、E4保因者は、より高いケトン濃度又は存在するケトン体を使用する能力を増大させる薬剤を必要としうる。従って、好適な態様は、本発明のエステル化サッカリドと、脂肪、MCT又はケトン体の利用を増大する薬剤とを組み合わせた用量からなる。脂肪酸の利用を増大する薬剤は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、スタチン系薬(リピトールLipitor(登録商標)及びゾコールZocor(登録商標))及びフィブラート(これらに限定されない)を含む群から選ばれうる。NSAIDの例は、アスピリン、イブプロフェン(アドビルAdvil、ヌプリンNuprinなど)、ケトプロフェン(オルヂスOrudis KT、アクトロンActron)及びナプロキセン(アリーブAleve)などである。
【0091】
NSAIDは一部PPAR−γアゴニストとして機能する。PPAR−γ活性が増大すると、脂肪酸代謝に関連するFATPのような遺伝子の発現が増加する(解説についてはGelman、Fruchartら、1999年参照)。従って、本発明のエステル化サッカリドとPPAR−γアゴニストとの組合せは、ニューロン代謝が低下した人に有益であると立証されるであろう。好適な態様において、PPAR−γアゴニストはNSAIDである。
【0092】
スタチンは多面的効果を有する薬物の類で、コレステロール合成における鍵となる律速段階の酵素3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼの阻害を最大の特徴とする。スタチンは、血管拡張、抗血栓、抗酸化、抗増殖、抗炎症及びプラーク安定化性といったその他の生理学的作用も有する。さらにスタチンは、循環しているトリグリセリド豊富リポタンパク質を、リポタンパク質リパーゼの濃度を増加し、同時にアポリポタンパク質C−III(リポタンパク質リパーゼの阻害薬)を減少することによって削減する(Schoonjans,Peinado−Onsurbeら、1999年)。従って、スタチンの投与は脂肪酸の利用の増大をもたらすので、本発明のエステル化サッカリドとの投与で相乗的に作用できる。これは特にアポE4保因者に有益であると立証されるはずである。本発明の一態様は、スタチンと本発明のエステル化サッカリドからなる併用療法である。
【0093】
ベザフィブラート(Bezafibrate)、シプロフィブラート、フェノフィブラート及びジェムフィブロジル(Gemfibrozil)のようなフィブラートは脂質低下薬の類である。それらはPPAR−αアゴニストとして作用し、スタチンと同様、リポタンパク質リパーゼ、アポAI及びアポAIIの転写を増加し、アポCIIIの濃度を低下する(Staels,Dallongevilleら、1998年)。従って、それらは、おそらくは末梢組織による脂肪酸の利用を増加することにより、血漿中のトリグリセリド豊富リポタンパク質の濃度に主な影響を及ぼす。そこで、本発明は、フィブラート単独又は本発明のエステル化サッカリドとの組合せは、アルツハイマー病のようなニューロン代謝の低下した患者に有益であると立証されるであろうことを開示する。
【0094】
カフェイン及びエフェドラアルカロイドは店頭販売される栄養補助食品に普通に使用されている。エフェドラアルカロイドは一般にマオウ(Ephedra sinica)のような植物源から誘導される。カフェインとエフェドラの組合せは脂肪の利用を刺激する。エフェドラアルカロイドは構造がアドレナリンに類似しており、細胞表面のβ−アドレナリン受容体を活性化する。これらのアドレナリン受容体は、サイクリックAMP(cAMP)を通して脂肪酸の使用を増大する信号を伝達する。cAMPは正常ではホスホジエステラーゼ活性によって分解される。カフェインの一つの機能はホスホジエステラーゼ活性を阻害することで、それによってcAMP媒介シグナリングを増大する。従って、カフェインはエフェドラアルカロイドの活性を増強する。そこで、本発明は、エフェドラアルカロイド単独でもニューロン代謝低下の状態の治療又は予防を提供できることを開示する。さらに、カフェインと組み合わせたエフェドラアルカロイドは、ニューロン代謝低下の状態の治療又は予防を提供できることも開示する。従って、本発明のエステル化サッカリドとエフェドラ、又は本発明のエステル化サッカリドとカフェイン、又は本発明のエステル化サッカリド、エフェドラアルカロイド及びカフェイン全部との組合せは、ニューロン代謝低下の状態の治療又は予防を提供できることも開示する。
【0095】
ケトン体はアセチル−CoA源としてニューロンによって使用される。アセチル−CoAはオキサロ酢酸と一緒になってクレブス回路、又はクエン酸回路(TCA回路)のクエン酸を形成する。ニューロンにとってアセチル−CoA源並びにTCA回路の中間体を有することは効率的なエネルギー代謝のために重要である。にもかかわらず、ニューロンは、グルタミン酸形成のような合成反応のためのTCA回路の中間体を失う。ニューロンは、ピルビン酸カルボキシラーゼ及びリンゴ酸デヒドロゲナーゼ酵素も欠いてピルビン酸からTCA回路中間体を補給できなくなる(Hertz,Yuら、2000年)。そこで、本発明は、ケトン体とTCA回路中間体源との組合せはニューロン代謝低下の状態に有益であることを開示する。TCA回路の中間体は、クエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、α−ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる。本発明の一態様は、TCAの効率増大のための製剤におけるTCA回路中間体と本発明のエステル化サッカリドの組合せである。
【0096】
TCA回路中間体の別の供給源は、体内でTCA回路中間体に変換される化合物である(TCA中間体前駆体)。そのような化合物の例は、2−ケト−4−ヒドロキシプロパノール、2,4−ジヒドロキシブタノール、2−ケト−4−ヒドロキシブタノール、2,4−ジヒドロキシ酪酸、2−ケト−4−ヒドロキシ酪酸、アスパルテート、並びにモノ−及びジ−アルキルオキサロアセテート、ピルベート、及びグルコース−6−ホスフェートである。そこで、本発明は、TCA中間体前駆体とケトン体の組合せは代謝低下に起因する疾患の治療及び予防に有益であることを開示する。また、本発明は、本発明のエステル化サッカリドとTCA中間体前駆体の組合せは代謝低下に起因する疾患の治療及び予防に有益であることも開示する。
【0097】
本発明はさらに、追加のTCA回路中間体とアセチル−CoAの供給源もケトン体療法と都合よく組み合わせられることも開示する。TCA回路の中間体とアセチル−CoAの供給源はモノ及びジサッカリド並びに様々な鎖長及び構造のトリグリセリドなどである。
【0098】
更なる利益は、代謝アジュバントを含む医薬組成物の製剤から引き出すことができる。代謝アジュバントは、ビタミン、ミネラル、抗酸化剤及びその他の関連化合物などである。そのような化合物は、アスコルビン酸、ビオチン、カルシトリオール、コバラミン、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ピリドキシン、レチノール、レチナール(レチナールデヒド)、レチノイン酸、リボフラビン、チアミン、α−トコフェロール、フィチルメナキノン、マルチプレニルメナキノン、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、アルミニウム、亜鉛、カリウム、クロム、バナジウム、セレン、リン、マンガン、鉄、フッ素、銅、コバルト、モリブデン、ヨウ素を含むリストから選ばれうるが、これらに限定されない。従って、代謝アジュバント、ケトン体濃度を増加する化合物、及びTCA回路中間体から選ばれる成分の組合せは、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、及びてんかんを含む代謝低下に伴う疾患の治療及び予防に有益であると立証されるであろう。
【0099】
てんかんに関しては、先行技術は高脂肪低炭水化物のケト原性食事の記載を提供している。要約すれば、そのような食事の論理的根拠は、長鎖又は中鎖トリグリセリドにかかわらず大量の脂肪を摂取することが、炭水化物量がゼロ又は制限されている非常に厳格に管理された食事の状況下で、血中ケトン濃度を増加できるということである。炭水化物及びインスリンの制限は、脂肪組織における再エステル化を防止すると考えられている。先行技術とは対照的に、本発明はケト原性食事という状況以外で血中ケトン濃度を増加できる化合物の投与を提供しクレームする。
【0100】
ケト原性食事は数十年来知られているが、中鎖トリグリセリド療法又はその他のケトン体前駆体を使用して、ケト原性食事による代謝的制約以外でアルツハイマー病又はその他の認知障害を治療することを教示又は示唆している先行技術はないようである。
【0101】
更なる代謝アジュバントは、コエンザイムCoQ−10、クレアチン、L−カルニチン、n−アセチル−カルニチン、L−カルニチン誘導体、及びそれらの混合物のようなエネルギー増強化合物を含む。これらの化合物は様々な手段によってエネルギー産生を増強する。カルニチンは脂肪酸の代謝を増大する。CoQ10はミトコンドリア内の電子伝達時の電子伝達体として機能する。従って、そのような化合物をMCTとともに加えることは、特に栄養が十分でない人の代謝効率を増大する。
【0102】
MCT、特にC6及びC8脂肪酸残基で構成されるトリグリセリドの投与は、大量の炭水化物を同時に消費してもケトン体濃度の上昇をもたらす(概要についてはOdle、1997年参照)。出願人の方法の利点は、食べたものを注意深くモニタリングする必要がなく順守もずっと簡単なことから明らかである。
【0103】
更なる利益は、本発明のエステル化サッカリドとアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、又はてんかんの治療に使用されるその他の治療薬とを含む医薬組成物の製剤から引き出すことができる。そのような治療薬は、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、アセチルコリン合成調節薬、アセチルコリン貯蔵調節薬、アセチルコリン放出調節薬、抗炎症薬、エストロゲン又はエストロゲン誘導体、インスリン感作薬、β−アミロイド斑除去薬(ワクチンを含む)、β−アミロイド斑形成阻害薬、γ−セクレターゼ調節薬、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体調節薬、神経栄養成長因子(例えばBDNF)、セラミド又はセラミド類似体、及び/又はNMDAグルタミン酸受容体アンタゴニストなどである。そのような治療法の概要についてはSelkoe、2001年;Bullock、2002年参照。そのような治療法はまだ実験段階であるが、前記治療法を本明細書中に記載のように脂肪酸/ケトン体の増大した利用と組み合わせると有益であるというのは本発明の新規な洞察である。
【0104】
ケトン体は、正常なインスリンシグナリング経路が障害されているインスリン抵抗性の治療、及び代謝的理由で心臓の水圧作業の効率が低下している状態における治療的アプローチも提供できる。ケトン体の使用はインスリン自体の使用に優る大きな利点があることが示唆されている。血糖の異常上昇は、インスリン欠乏及びインスリン非依存型糖尿病の場合だけでなく様々なその他の疾患でも起こる。糖尿病の高血糖はグルコースの代謝不能及び過生産から起こる。どちらの型の糖尿病も食事で治療される。I型糖尿病はほとんどの場合追加のインスリンが必要であるが、老年性糖尿病のようなインスリン非依存型糖尿病、すなわちII型糖尿病は食事と体重と減量で治療されうる。ただし高血糖を制御するためインスリンは増加的に使用される。II型糖尿病患者にケトン体を補給することは血糖のよりよい制御を可能にするであろうことが示唆されている。それによって20年間の糖尿病の果てに今起きている眼及び腎臓における血管変化、すなわち糖尿病患者の発病及び死亡の主因が防止される。従って、本発明は、インスリン抵抗性状態を治療するためのヒト及び動物の治療法を提供し、該方法は、本発明のエステル化サッカリドをその人に投与することを含む。本明細書で言うインスリン抵抗性状態とは、糖尿病の形態、特にインスリンに十分反応しない形態を含む。
【0105】
利点
前述の説明からアルツハイマー病を治療及び予防するための本発明のいくつかの利点が明らかになった。すなわち、
(a)ADに関する先行技術は、多くの場合アミロイド沈着物の防止及び除去に焦点を当てている。ADにおけるこれらのアミロイド沈着物の役割についてはまだ議論の余地があり、何らかのその他の病理のマーカーに過ぎないかもしれない。本発明は、アミロイド蓄積の観点ではなく、ADに伴う低下したニューロン代謝の緩和に基づいた、新規な経路のAD治療法及び予防法を提供する。
(b)現在のAD治療法は単に対症療法的であってADに伴うニューロン代謝の低下には向けられていない。新規ケトン体前駆体を栄養補助食品又は治療薬として摂取することは、グルコース代謝不全のニューロン細胞にケトン体を代謝基質として提供する簡単な方法である。
(c)ケトン体濃度は、市販製品によって(例えばKetostix(登録商標),Bayer,Inc.)によって尿中又は血中で容易に測定できる。
【0106】
従って、読者は、本発明のエステル化サッカリドをアルツハイマー病(AD)の治療及び予防策として使用することは、ADに伴うニューロン代謝低下を緩和する新規な手段を提供することが分かるであろう。これらの化合物を使用すると、AD、ALS、パーキンソン病及びハンチントン病のようなニューロン代謝低下に伴う疾患にニューロン代謝増大を提供する高ケトン血がもたらされるというのは、本発明の新規かつ重要な洞察である。前述の説明は多数の具体的事項を含有しているが、これらを本発明の範囲の制限と解釈すべきではない。単に本発明の現時点で好適な態様のいくつかについて説明を提供しているだけである。例えば、本発明のエステル化サッカリドの補給は、硫酸バナジル、クロミウム・ピコリネート、及びビタミンEのようなインスリン感作薬と組み合わせるとさらに効果的であると立証されうる。そのような薬剤は、不全ニューロンにおけるグルコース利用を増大し、高ケトン血と相乗的に作用しうる。別の例では、本発明のエステル化サッカリドを、L−カルニチン及びその誘導体のような脂肪酸利用率を増大する化合物と組み合わせてもよい。そのような化合物の混合物は、循環ケトン体の濃度を相乗的に増加しうる。
【0107】
そこで、本発明の範囲は添付のクレーム及びそれらの法的等価物によって決定されるべきである。
【0108】
参考文献
明細書全体を通じて、いくつかの特許、公開特許出願、及び文献を引用した。これらの出版物のそれぞれは引用によってその全体を本明細書に援用する。多数の文献をここにまとめる。
【0109】
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【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】細胞で起こるTCA回路の概要を示す図である。
【図2】中鎖トリグリセリドで治療した場合のアポE4+及びアポE4−の患者の認知成績に関する治療結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

の化合物であって、式中、Aはサッカリド部分を表し、pはサッカリド部分A上の遊離ヒドロキシル基の数であり、Rは、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する不飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、及び前述のいずれかの誘導体から独立して選ばれ、該化合物はTakadaら(1991)にもJandacek & Webb(1978)にも記載されていない化合物。
【請求項2】
がC脂肪酸残基を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
構造:
【化2】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
構造:
【化3】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式:
【化4】

の化合物であって、式中、Rは、R、サッカリドとエステル結合した必須脂肪酸、サッカリドとエステル結合したβ−ヒドロキシブチレート、サッカリドとエステル結合したアセトアセテート、サッカリドとエステル結合した化合物5、及びサッカリドとエステル結合した化合物6からなる群から独立して選ばれ、該化合物はTakadaら(1991)にもJandacek & Webb(1978)にも記載されていない化合物。
【請求項6】
が、サッカリドとエステル結合したアセトアセテート又はサッカリドとエステル結合したβ−ヒドロキシブチレートのいずれかである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
β−ヒドロキシブチレートのR基とアセトアセテートのR基の比が3:2〜4:1の範囲である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
β−ヒドロキシブチレートのR基とアセトアセテートのR基の比が3:1である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
請求項6に記載の第一の化合物と請求項6に記載の第二の化合物との混合物であって、第一の化合物のR基がβ−ヒドロキシブチレートであり;第二の化合物のR基がアセトアセテートであり、そして第一の化合物と第二の化合物が3:2〜4:1の範囲の比で存在する混合物。
【請求項10】
第一の化合物と第二の化合物が3:1の比で存在する、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
医薬組成物であって、
TCA回路の中間体と、式:
【化5】

[式中、Aはサッカリド部分を表し、pはサッカリド部分A上の遊離ヒドロキシル基の数であり、Rは、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する不飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、及び前述のいずれかの誘導体から独立して選ばれる]の化合物;及び式:
【化6】

[式中、Rは、R、サッカリドとエステル結合した必須脂肪酸、サッカリドとエステル結合したβ−ヒドロキシブチレート、サッカリドとエステル結合したアセトアセテート、サッカリドとエステル結合した化合物5、及びサッカリドとエステル結合した化合物6からなる群から独立して選ばれる]の化合物からなる群から選ばれる化合物とを含む医薬組成物。
【請求項12】
TCA回路の中間体が、クエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、α−ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
TCA回路の中間体の前駆体は、ヒト又は動物に投与されるとインビボで変換されてTCA回路の中間体を形成する化合物である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前駆体が、2−ケト−4−ヒドロキシプロパノール、2,4−ジヒドロキシブタノール、2−ケト−4−ヒドロキシブタノール、2,4−ジヒドロキシ酪酸、2−ケト−4−ヒドロキシ酪酸、アスパルテート、モノ−及びジ−アルキルオキサロアセテート、ピルベート、及びグルコース−6−ホスフェートからなる群から選ばれる、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
医薬組成物であって、
ケトン体又はケトン体の代謝前駆体と、式:
【化7】

[式中、Aはサッカリド部分を表し、pはサッカリド部分A上の遊離ヒドロキシル基の数であり、Rは、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する不飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、及び前述のいずれかの誘導体から独立して選ばれる]の化合物;及び式:
【化8】

[式中、Rは、R、サッカリドとエステル結合した必須脂肪酸、サッカリドとエステル結合したβ−ヒドロキシブチレート、サッカリドとエステル結合したアセトアセテート、サッカリドとエステル結合した化合物5、及びサッカリドとエステル結合した化合物6からなる群から独立して選ばれる]の化合物からなる群から選ばれる化合物とを含む医薬組成物。
【請求項16】
ケトン体が、β−ヒドロキシブチレート、アセトアセテート、β−ヒドロキシブチレート又はアセトアセテートの代謝前駆体、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
代謝前駆体がポリマー又はオリゴマーの生理学的に許容しうる塩又はエステルであって、いずれの場合もサブユニットのリピートの数が、前記ポリマー又はオリゴマーがヒト又は動物に投与されると容易に代謝されて高められた血中ケトン体濃度を提供するように選ばれる、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
代謝前駆体が、
【化9】

[式中、nは0〜1,000の整数、mは1以上の整数]、それらと1個以上のカチオンとの複合体又は治療もしくは栄養に使用されるそれらの塩からなる群から選ばれる、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
医薬組成物であって、
代謝アジュバントと、式:
【化10】

[式中、Aはサッカリド部分を表し、pはサッカリド部分A上の遊離ヒドロキシル基の数であり、Rは、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する不飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、及び前述のいずれかの誘導体から独立して選ばれる]の化合物;及び式:
【化11】

[式中、Rは、R、サッカリドとエステル結合した必須脂肪酸、サッカリドとエステル結合したβ−ヒドロキシブチレート、サッカリドとエステル結合したアセトアセテート、サッカリドとエステル結合した化合物5、及びサッカリドとエステル結合した化合物6からなる群から独立して選ばれる]の化合物からなる群から選ばれる化合物とを含む医薬組成物。
【請求項20】
アジュバントが、ビタミン、ミネラル、抗酸化剤、エネルギー増強化合物、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
エネルギー増強化合物が、コエンザイムCoQ−10、クレアチン、L−カルニチン、n−アセチル−カルニチン、L−カルニチン誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
ビタミンが、アスコルビン酸、ビオチン、カルシトリオール、コバラミン、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ピリドキシン、レチノール、レチナール(レチナールデヒド)、レチノイン酸、リボフラビン、チアミン、α−トコフェロール、フィチルメナキノン、マルチプレニルメナキノン、ピリドキシン誘導体、パントテン酸、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項23】
ミネラルが、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、亜鉛、銅、アルミニウム、クロム、バナジウム、セレン、リン、マンガン、鉄、フッ素、コバルト、モリブデン、ヨウ素、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項24】
抗酸化剤が、アスコルビン酸、α−トコフェロール、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項25】
医薬組成物であって、
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、アセチルコリン合成調節薬、アセチルコリン貯蔵調節薬、アセチルコリン放出調節薬、抗炎症薬、エストロゲン又はエストロゲン誘導体、インスリン感作薬、β−アミロイド斑除去薬(ワクチンを含む)、β−アミロイド斑形成阻害薬、γ−セクレターゼ調節薬、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体調節薬、α−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体調節薬、神経栄養成長因子(例えばBDNF)、セラミド又はセラミド類似体、及びNMDAグルタミン酸受容体アンタゴニストからなる群から選ばれる治療薬と;式:
【化12】

[式中、Aはサッカリド部分を表し、pはサッカリド部分A上の遊離ヒドロキシル基の数であり、Rは、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する不飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、及び前述のいずれかの誘導体から独立して選ばれる]の化合物;及び式:
【化13】

[式中、Rは、R、サッカリドとエステル結合した必須脂肪酸、サッカリドとエステル結合したβ−ヒドロキシブチレート、サッカリドとエステル結合したアセトアセテート、サッカリドとエステル結合した化合物5、及びサッカリドとエステル結合した化合物6からなる群から独立して選ばれる]の化合物からなる群から選ばれる化合物とを含む医薬組成物。
【請求項26】
医薬組成物であって、
脂肪酸の利用を誘導する少なくとも一つの治療薬と、式:
【化14】

[式中、Aはサッカリド部分を表し、pはサッカリド部分A上の遊離ヒドロキシル基の数であり、Rは、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する不飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、及び前述のいずれかの誘導体から独立して選ばれる]の化合物;及び式:
【化15】

[式中、Rは、R、サッカリドとエステル結合した必須脂肪酸、サッカリドとエステル結合したβ−ヒドロキシブチレート、サッカリドとエステル結合したアセトアセテート、サッカリドとエステル結合した化合物5、及びサッカリドとエステル結合した化合物6からなる群から独立して選ばれる]の化合物からなる群から選ばれる化合物とを含む医薬組成物。
【請求項27】
脂肪酸の利用を誘導する治療薬が、PPAR−γアゴニスト、スタチン系薬、及びフィブラート系薬からなる群から選ばれる、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
PPAR−γアゴニストが、アスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、及びナプロキセン、及びチアゾリジンジオン薬からなる群から選ばれる、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
スタチン系薬が、リピトール又はゾコールである、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項30】
フィブラート系薬が、ベザフィブラート、シプロフィブラート、フェノフィブラート及びジェムフィブロジルからなる群から選ばれる、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項31】
治療薬がカフェイン及びエフェドラである、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項32】
ケトン体濃度の上昇法であって、
式:
【化16】

[式中、Aはサッカリド部分を表し、pはサッカリド部分A上の遊離ヒドロキシル基の数であり、Rは、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する不飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、及び前述のいずれかの誘導体から独立して選ばれる]の化合物;及び式:
【化17】

[式中、Rは、R、サッカリドとエステル結合した必須脂肪酸、サッカリドとエステル結合したβ−ヒドロキシブチレート、サッカリドとエステル結合したアセトアセテート、サッカリドとエステル結合した化合物5、及びサッカリドとエステル結合した化合物6からなる群から独立して選ばれる]の化合物からなる群から選ばれる化合物を、その必要ある患者に投与することを含む方法。
【請求項33】
アルツハイマー病を患う患者における認知能力の増大法であって、
式:
【化18】

[式中、Aはサッカリド部分を表し、pはサッカリド部分A上の遊離ヒドロキシル基の数であり、Rは、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する不飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、及び前述のいずれかの誘導体から独立して選ばれる]の化合物;及び式:
【化19】

[式中、Rは、R、サッカリドとエステル結合した必須脂肪酸、サッカリドとエステル結合したβ−ヒドロキシブチレート、サッカリドとエステル結合したアセトアセテート、サッカリドとエステル結合した化合物5、及びサッカリドとエステル結合した化合物6からなる群から独立して選ばれる]の化合物からなる群から選ばれる化合物を、その必要ある患者に投与することを含む方法。
【請求項34】
前記認知能力の増大が、ADAS−cog(アルツハイマー病評価尺度認知機能検査)、MMSE(ミニメンタルステート検査)、ストループの色と言語干渉作業、ウェクスラー記憶尺度−IIIの論理的記憶サブテスト、臨床痴呆評価尺度、及び全般臨床症状の評価尺度からなる群から選ばれる検査によって測定される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
アルツハイマー病を患う患者における認知能力の増大法であって、
前記患者にケトン体濃度を増加させることを含み、前記増加は、式:
【化20】

[式中、Aはサッカリド部分を表し、pはサッカリド部分A上の遊離ヒドロキシル基の数であり、Rは、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する不飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、及び前述のいずれかの誘導体から独立して選ばれる]の化合物;及び式:
【化21】

[式中、Rは、R、サッカリドとエステル結合した必須脂肪酸、サッカリドとエステル結合したβ−ヒドロキシブチレート、サッカリドとエステル結合したアセトアセテート、サッカリドとエステル結合した化合物5、及びサッカリドとエステル結合した化合物6からなる群から独立して選ばれる]の化合物からなる群から選ばれる化合物を投与することによって達成される方法。
【請求項36】
前記認知能力の増大が、ADAS−cog(アルツハイマー病評価尺度認知機能検査)、MMSE(ミニメンタルステート検査)、ストループの色と言語干渉作業、ウェクスラー記憶尺度−IIIの論理的記憶サブテスト、臨床痴呆評価尺度、及び全般臨床症状の評価尺度からなる群から選ばれる検査によって測定される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
アルツハイマー型の痴呆、又はニューロン代謝の低下によって起こるその他の認知機能の喪失の治療又は予防法であって、式:
【化22】

[式中、Aはサッカリド部分を表し、pはサッカリド部分A上の遊離ヒドロキシル基の数であり、Rは、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、サッカリドとエステル結合した炭素骨格中に5〜12個の炭素を有する不飽和脂肪酸残基(C5〜C12脂肪酸)、及び前述のいずれかの誘導体から独立して選ばれる]の化合物;及び式:
【化23】

[式中、Rは、R、サッカリドとエステル結合した必須脂肪酸、サッカリドとエステル結合したβ−ヒドロキシブチレート、サッカリドとエステル結合したアセトアセテート、サッカリドとエステル結合した化合物5、及びサッカリドとエステル結合した化合物6からなる群から独立して選ばれる]の化合物からなる群から選ばれる化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項38】
前記化合物が、約0.01g/kg/日〜約10g/kg/日の用量で投与される、請求項37に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−519843(P2006−519843A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507004(P2006−507004)
【出願日】平成16年3月8日(2004.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/007191
【国際公開番号】WO2004/077938
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(502398171)アクセラ・インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】