説明

新規酵母及びこれを用いたエタノールの生産方法

【課題】グルコース及びキシロースとの共存下で、グルコース及びキシロースから短時間で効率良くエタノールを生産する能力を有する新規酵母及びこれを用いたエタノールの生産方法の提供。
【解決手段】カンジダ・インターメディア(Candida intermedia)4−6−4T2と命名され、FERM P−22165として寄託された酵母。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規酵母及びこれを用いたエタノールの生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策として世界的に大規模なバイオエタノール生産が行われている。バイオエタノールの原料はトウモロコシやサトウキビ等の可食性のバイオマスが多くを占めており、斯様な可食性のバイオマスにおいては、バイオエタノール原料としての使用と、食糧としての使用との競合が問題となる。
斯かる問題を回避するために、食糧として使用されない木材や非可食性の草本等のセルロース系バイオマス(特に、農業残渣、林業残渣等から得られるもの)からエタノールを生産する技術の開発が求められている。
斯かる技術においては、セルロース系バイオマスに含まれるセルロースや、ヘミセルロース、これらの一部分解物である多糖類を加水分解し、六炭糖であるグルコース、マンノース及びガラクトースや五炭糖であるキシロースを主成分とする糖化液を得、この糖化液中の糖を微生物で発酵させることでエタノールが得られる。
【0003】
グルコース及びマンノースから効率よくエタノールを生産可能な酵母として、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)が知られているものの、キシロースやガラクトースから効率的にエタノールを生産できる微生物はわずかな種類しか存在しない。
例えば、グルコースだけでなくキシロースからもエタノールを生産可能な微生物の数少ない例として、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)、カンジダ・シハタエ(Candida shehatae)及びパチソレン・タノフィルス(Pacysolen tannophilus)や(非特許文献1)、カンジダ・インターメディア(Candida intermedia)が知られている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Yablochkova, EN., Bolotnikova, OI., Mikhailova, NP., Nemova, NN. And Ginak, AI. Applied Biochemistry and Microbiology, Vol.39, 302-306 (2003)
【非特許文献2】Y. Morikawa,et al., Biotechnology and Bioengineering, Vol:XXVII, 509-513 (1984)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に記載の酵母は、セルロース系バイオマス由来の原料液に含まれるグルコース及びキシロースの両方の存在下でエタノール発酵を行うと、グルコースによるカタボライトリプレッション(異化代謝産物抑制)によりグルコースがほぼ完全に消費されるまでキシロースはほとんど消費されないため発酵に時間を要し、エタノール生産性が低下するという問題があった。
また、非特許文献2に記載の酵母は、本発明者が検討したところ、製造条件によってはグルコースによるカタボライトリプレッションが生じにくく、グルコース及びキシロースの両方の存在下でエタノール発酵を行ってもその両方からエタノール発酵をすることが可能な場合もあるものの、キシロースの消費効率が悪く、キシロースからエタノールを生産する能力が十分でないという問題がある。
【0006】
したがって、本発明の課題は、グルコース及びキシロースとの共存下で、グルコース及びキシロースから短時間で効率良くエタノールを生産する能力を有する新規酵母及びこれを用いたエタノールの生産方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者は、鋭意研究した結果、特定の酵母がグルコース及びキシロースとの共存下で、グルコース及びキシロースから短時間で効率良くエタノールを生産する能力を有することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、カンジダ・インターメディア(Candida intermedia)4−6−4T2と命名され、FERM P−22165として寄託された酵母を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、グルコース及びキシロースから選ばれる1種以上の単糖を含有する原料液体を、上記酵母を用いて発酵させる工程を含むことを特徴とするエタノールの生産方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の酵母は、グルコース及びキシロースとの共存下で、グルコース及びキシロースから短時間で効率良くエタノールを生産する能力を有する。また、斯かる酵母を用いれば、グルコースやキシロースを含有するセルロース系バイオマス由来の原料を用いた場合であっても短時間で効率良くエタノールを生産できる。
したがって、本発明のエタノールの生産方法によれば、セルロース系バイオマス由来の原料を用いて短時間で効率よくエタノールを生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】グルコース及びキシロースを親株で発酵させたときの各成分の経時変化を示す図である。
【図2】グルコース及びキシロースを4−6−4T2株で発酵させたときの各成分の経時変化を示す図である。
【図3】キシロースを親株で発酵させたときの各成分の経時変化を示す図である。
【図4】キシロースを4−6−4T2株で発酵させたときの各成分の経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<酵母>
本発明の酵母は、カンジダ・インターメディア(Candida intermedia)4−6−4T2と命名され、FERM P−22165として独立行政法人 製品評価基盤機構(NITE)に寄託された酵母である。斯かる酵母は、カンジタ・インターメディア(Candida intermedia)「NBRC10601」を親株として、常法に従い自然変異させ、親株よりもエタノール生産能が高い株を選抜することにより取得したものである。なお、上記「NBRC10601」は独立行政法人 製品評価基盤機構(NITE)から入手可能な酵母である。
そして、本発明の酵母は、グルコース及びキシロースとの共存下で、グルコース及びキシロースから短時間で効率良くエタノールを生産する能力を有する。
ここで、グルコース及びキシロースとの共存下とは、少なくともグルコースとキシロースを含む原料液体(発酵液)中に本発明の酵母が共存することを意味する。従来の酵母は、前述のようにキシロースの消費効率が十分でないもの、或いはグルコース又はキシロースのうちいずれか一方からのエタノール生産能を有するものの、グルコース及びキシロースの両方が存在する場合は、カタボライトリプレッションによりグルコースが完全に消費されるまでキシロースがほとんど消費されないものであったが、本発明の酵母は、グルコース及びキシロースの両方が存在する場合であっても、その両方から短時間で効率よくエタノールを生産する能力を有する。
また、本発明の酵母は、グルコース及びキシロースを含有する原料液体から短時間で効率良くエタノールを生産するが、このとき副生成物としてのキシリトールがほとんど生成されない。また、本発明の酵母は、このような糖からのエタノールの生産能力以外については親株と同等の性質を有する。
【0013】
<エタノール生産方法>
本発明のエタノールの生産方法は、グルコース及びキシロースから選ばれる1種以上の単糖を含有する原料液体を、上記酵母を用いて発酵させる工程(以下、発酵工程ともいう)を含むことを特徴とする。斯かる生産方法によれば、短時間で効率良くエタノールを生産できる。
【0014】
酵母の使用量は特に限定されないが、上記単糖1質量部に対し0.01〜100質量部程度であり、好ましくは0.1〜10質量部である。
【0015】
また、上記原料液体(例えば、糖化液)としては、グルコースとキシロースとを含むものが好ましい。また、これら単糖にくわえてマンノース、ガラクトース等の他の単糖(六炭糖)を含んでいてもよい。本発明の生産方法はカタボライトリプレッションの影響を受けにくいため、斯かる方法によれば、グルコースとともに上記のような単糖(キシロースや、マンノース、ガラクトース)を含んでいたとしても、効率よくエタノールを生産することができる。
【0016】
また、上記原料液体がグルコース及びキシロースを含む場合、グルコースとキシロースの含有比率としては、グルコース1質量部に対し、キシロースが0.1〜5質量部が好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。本発明の酵母を用いれば、グルコースとキシロースの含有比率が上記のような範囲であっても、グルコースと同時にキシロースからもエタノールを生産できる。また、原料液体中のグルコース含有量及びキシロース含有量は、それぞれ1〜100g/Lが好ましく、5〜50g/Lがより好ましい。本発明の酵母を用いれば、グルコースやキシロースの含有量が斯様な範囲であってもエタノールを生産できる。また、原料液体に含まれる糖に対するグルコースの含有割合は特に限定されないが、原料液体に含まれる糖全量中、5〜99質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。
【0017】
また、上記原料液体に含まれる単糖の合計含有量としては1〜100g/Lが好ましい。
【0018】
また、エタノール生産に用いる原料液体は、動物由来のもの、植物由来のもの、工業廃棄物由来のもの等のいずれであってもよいが、植物由来のものが好ましく、バイオエタノール原料としての使用と食糧としての使用との競合を避ける観点から、セルロース系バイオマスの加水分解物がより好ましい。ここで、セルロース系バイオマスとは、セルロースとヘミセルロースを含むバイオマスをいう。斯かるバイオマス中のセルロースが加水分解されることでグルコースが得られ、一方、ヘミセルロースが加水分解されることでグルコース、キシロース、マンノース、ガラクトースが得られる。
斯かるセルロース系バイオマスとしては、エタノール生産における経済的優位性の観点から、農業残渣(稲わら、麦わら等)、林業残渣(材木等)等から得られるものが好ましい。
【0019】
また、上記原料液体のpH(30℃)は、好ましくは3.5〜6.5であり、より好ましくは4〜6であり、更に好ましくは4.5〜5.5であり、特に好ましくは4.5〜5である。本発明の酵母によれば、斯様な低pH領域であってもエタノール生産が可能であり、酢酸等を含有する糖化液(バイオマス系セルロースの酸加水分解物)を用いた場合でもエタノールを生産できる。
なお、酸を用いてセルロース系バイオマスを加水分解することによって得られる低pHの糖化液には、微生物によるエタノール生産を阻害する酢酸等の阻害物質が含まれることが報告されており(Nigam JN. Journal of Applied Microbiology, Vol.90,208-215 (2001))、特に、キシロースからエタノール生産可能な微生物は、pH5以下という低pH領域ではエタノール発酵が阻害されることが報告されている(Palmqvist E., Hahn-Hagardal B. Bioresource Technology Vol.74,25-33 (2000))。
また、上記生産方法は、好ましくは20〜35℃、より好ましくは25〜30℃で行われる。
【0020】
また、上記生産方法においては、上記酵母を生育条件におき生育させつつエタノールを生産してもよく、また、休止菌体状態、すなわち窒素源を酵母の生育には不十分な程度に制限しかつエタノールの原料となる炭素源が豊富な条件下におき、酵母の生育を止めた状態でエタノールを生産することもできる。このうち、酢酸や亜硫酸等のエタノール生産阻害物の影響を受けにくいという点から、休止菌体の状態でエタノールを生産することが好ましい。休止菌体で生産を行う場合、酵母の濃度は5〜100g/Lで行うことが好ましい。また、休止菌体でエタノールを生産する場合には、窒素源や酵母エキスなどを含有させなくてもよいが、リン酸緩衝液や水酸化ナトリウム等で前記のpHに調整することが好ましい。なお、エタノールの回収は、蒸留等の通常の手段で行えばよい。
【0021】
また、上記生産方法においては、菌体量の観点から、上記発酵工程に先立って前培養を行うことが好ましい。斯かる前培養に用いる培地としては、グルコースと、マンノース、ガラクトース及びキシロースから選ばれる1種以上の糖を含有する培地が好ましい。斯様な培地として、前記セルロース系バイオマス加水分解物を含有するものを用いてもよい。
また、上記糖の濃度としては、合計で1〜100g/Lが好ましく、10〜50g/Lがより好ましい。なお、マンノース、ガラクトース及びキシロースから選ばれる1種以上とグルコースとの含有量の比率は特に限定されない。
また、上記前培養において、セルロース系バイオマス加水分解物を炭素源として用いる場合、斯かる加水分解物の使用量は、通常、培地容量の20容量%以下であるが、好ましくは10容量%以下である。なお、培地に含まれる他の成分は特に限定されるものではないが、生育に適したアミノ酸、尿素、ポリペプトン、アミノ酸不含ニトロゲンベース等の窒素源;酵母エキス等が挙げられる。前培養の温度は、好ましくは10℃〜37℃であり、より好ましくは25℃〜30℃である。一方、pHは、好ましくは4〜7、より好ましくは4.5〜6.5である。また、前培養は好気条件で行うことが好ましい。
【実施例】
【0022】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0023】
実施例1
以下の手順に従い、独立行政法人 製品評価基盤機構(NITE)に保存されている酵母カンジタ・インターメディア(Candida intermedia)「NBRC10601」を親株として、馴養及び自然変異により4−6−4T2株を取得した。
【0024】
まず、グルコース及びキシロースをそれぞれ1質量%含有する酢酸水溶液のpHを水酸化マグネシウムにて5.0に調整し、この溶液20%と液体培地(酵母エキス:1%、アミノ酸不含酵母ニトロゲンベース:2%)80%を混合した。この混合溶液10mLにキシロースを1%添加し、酵母カンジタ・インターメディア(Candida intermedia)「NBRC10601」を1白金耳植菌し、30℃で3日間培養し培養液を得た。
次いで、上記と同様にしてpHを5.0に調整したグルコース及びキシロースをそれぞれ1質量%含有する酢酸水溶液と液体培地を50%ずつ混合し、この混合液10mLに上記3日間培養した培養液を100μL添加し、更に7日間培養した。更に、上記と同様にしてpHを5.0に調整したグルコース及びキシロースをそれぞれ1質量%含有する酢酸水溶液80%と培地20%を混合し、この混合液10mLに上記7日間培養した培養液を100μL加え30日間更に培養し、馴養株液とした。
上記馴養株液を1000倍希釈し、YNB寒天培地(グルコース:5%、酵母エキス:1%、アミノ酸不含酵母ニトロゲンベース:2%、寒天:2%)の培地に塗布し、25℃で4日間培養した後、コロニーを形成した株を取得した。
【0025】
上記取得した株をYNB寒天培地(トレハロース:2%、酵母エキス:1%、アミノ酸不含酵母ニトロゲンベース:2%、寒天:2%)の培地に塗布し、25℃で3日間培養した後、コロニーが形成されたのを確認し、4℃で保管した。4℃において拡大したコロニーを選抜し、リン酸緩衝液(キシロース:2.5%、KH2PO4:0.1M、pH=5.0、MgSO4・7H2O:0.006M)でエタノール生産試験を実施し、親株よりもエタノール生産能の高い株を選抜した。
【0026】
このようにして目的とする酵母を選抜し、これをカンジダ・インターメディア(Candida intermedia)4−6−4T2株と命名した。本菌株は、独立行政法人 産業総合研究所特許微生物寄託センターに寄託されており、その受託番号はFERM P−22165である。
【0027】
実施例2
親株(NBRC10601株)及び4−6−4T2株をYNB培地(グルコース:0.5%、キシロース:2%、酵母エキス:1%、アミノ酸不含酵母ニトロゲンベース:2%)にそれぞれ植菌し、30℃、120rpmで振とう培養を行った(24〜48時間、OD660=18〜25)。培養液1mL中の乾燥菌体重量は経験的に得られた以下の関係式(1)にて算出した(式(1)によれば、例えばOD660=20のとき乾燥菌体重量は0.0062gに相当すると算出できる)。
【0028】
乾燥菌体重量(g/mL)=0.00032×OD660−0.00017・・・(1)
【0029】
菌体量が乾燥重量で2%となるように必要量の培養液をそれぞれ遠心分離(3000rpm、2分)で回収し、リン酸緩衝液(KH2PO4/K2HPO4:0.01M、pH=5.0)に下記表1〜4に示す糖(エタノール原料)を混合した発酵用液をそれぞれの菌体に添加して発酵させエタノール生産量の経時変化を確認した。結果を表1〜4及び図1〜4に示す。なお、表及び図中のGはグルコースをXはキシロースをそれぞれ示す。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
【表4】

【0034】
表1及び図1に示すように、親株(2%)を用いて、グルコース及びキシロース(それぞれ2.5%)を炭素源としてエタノールを生産させた場合は、発酵初期ではグルコースとキシロースの双方は消費されエタノールが生産されているが、グルコースを消費しきったところでエタノール生産は停止し、キシロースの消費もほとんど停止状態となっている。このことから、親株は、グルコースによるカタボライトリプレッションの影響をうけにくいものの、キシロースからのエタノール生産能が低いことがわかる。
これに対し、表2及び図2に示すように、4−6−4T2株(2%)を用いて、グルコースとキシロース(それぞれ2.5%)を炭素源としてエタノールを生産させた場合は、親株と同様に発酵初期でグルコースとキシロースの双方が消費されエタノールが生産されているだけでなく、グルコース消費後もキシロースの消費がほとんど変わらない速度で進行しており、グルコースだけでなくキシロースも充分に消費され、それに伴いエタノール生産量も増加している。このことから、4−6−4T2株は、グルコースによるカタボライトリプレッションの影響を受けにくい性質を親株から受け継ぎつつ、キシロースからのエタノール生産能が親株と比較して格段に向上したものであることがわかる。
【0035】
また、表3及び図3に示すように、親株(2%)を用いて、キシロース(5%)を炭素源としてエタノールを生産させた場合は、発酵24時間でも30%以上のキシロースが残存した。
これに対し、表4及び図4に示すように、4−6−4T2株(2%)を用いて、キシロース(5%)を炭素源としてエタノールを生産させた場合は、発酵時間24時間で90%以上のキシロースが消費され、親株と比較して約1.4倍のエタノールが生産されていた。
【0036】
4−6−4T2株と親株でキシロースからのエタノール生産能力に差がある理由は必ずしも明らかではないが、キシロースからエタノールが生産される際の中間代謝物であるキシリトールが蓄積することでキシロースからのエタノール生産が抑制・阻害されるものと上記図1〜4から推測される。
すなわち、上記親株を用いた発酵の経時変化を追った図1及び3と4−6−4T2株を用いた発酵の経時変化を追った図2及び4との比較から、いずれも親株ではキシリトールの生産量が多く、このキシリトールの増加に伴うようにしてキシロース消費が低下し、エタノール生産が停止する傾向があると考えられる。
【0037】
このように本発明の酵母を用いることでエタノールを効率良く生産できるのは、グルコースによるカタボライトリプレッションの影響が少ないことと共に、キシリトールの生産が抑制されているためキシリトールによるエタノール生産性が阻害されにくいことも影響していると推察される。
【0038】
実施例3
表5に示す糖を含む発酵用液(リン酸緩衝液:0.01M、pH5.0)に同表に示す酵母をそれぞれ2%乾燥重量相当添加し、12時間後のエタノール生産量(%(v/v))を測定した。結果を表5に示す。
【0039】
【表5】

【0040】
表5から、いずれの糖を用いた場合においても、4−6−4T2株は親株や公知酵母と比較して高いエタノール生産能を示すことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンジダ・インターメディア(Candida intermedia)4−6−4T2と命名され、FERM P−22165として寄託された酵母。
【請求項2】
グルコース及びキシロースから選ばれる1種以上の単糖を含有する原料液体を、請求項1に記載の酵母を用いて発酵させる工程を含むことを特徴とするエタノールの生産方法。
【請求項3】
原料液体として、グルコースとキシロースとを含有するものを用いる請求項2に記載の生産方法。
【請求項4】
原料液体のpHが3.5〜6.5である請求項2又は3に記載の生産方法。
【請求項5】
原料液体として、セルロース系バイオマスの加水分解物を用いる請求項2〜4のいずれか1項に記載の生産方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−94123(P2013−94123A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240158(P2011−240158)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000105567)コスモ石油株式会社 (443)
【Fターム(参考)】