説明

方法、コンピュータ読取可能記憶媒体、および記憶媒体上で記憶空間領域を管理するためのシステム

【課題】コンピュータ読取可能記憶媒体、および記憶媒体上で記憶空間領域を管理するためのシステムを提供する。
【解決手段】ホスト装置110によって規定されるデータ領域サイジングに基づいて分離領域の記憶位置を決定する。分離領域は、記憶装置105のうち1つ以上のデータ領域の分離に必要な1組の記憶位置を含む。ホスト装置110によって必要とされる連続した書込み区域としてデータ領域サイジングを決定するステップをさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
概要
記載した主題は、ホスト装置によって規定されるデータ領域サイジングに基づいて分離領域の記憶位置を決定するための方法またはシステムに関する。一実現例においては、分離領域は、記憶装置の1つ以上のデータ領域の分離に必要な1セットの記憶位置を含む。
【0002】
図面の簡単な説明
この明細書中に記載されるさまざまな実現例は、明細書の残りの部分に記載されている添付の図面を参照することによってさらに理解され得る。図面においては、いくつかの図全体にわたって同様の参照番号を用いて同様の構成要素を示す。場合によっては、参照番号は、複数の同様の構成要素のうちの1つを示すために小文字からなる関連するサブラベルを有していてもよい。サブラベルで規定されていない参照番号が参照される場合、すべてこのような複数の同様の構成要素を指すことが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1】ホスト装置と通信する記憶装置を示す例示的なブロック図である。
【図2】データ領域を有する記憶領域と動的な分離領域とを含む磁気ディスクの例示的な断面を示す図である。
【図3】データ領域を有する記憶領域と動的な分離領域とを含む磁気ディスクの代替的な例示的断面を示す図である。
【図4】分離領域の論理ブロックアドレスを決定するための例示的動作を示す図である。
【図5】分離領域の論理ブロックアドレスを決定するための代替的な例示的動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
詳細な説明
以下の記載においては、説明を目的として多数の具体的な詳細を述べることにより、この明細書中に記載されるさまざまな実現例を完全に理解できるようにしている。さまざまな特徴は特定の実現例に起因しているが、一実現例に関して記載される特徴が他の実現例にも組込まれ得ることが認識されるべきである。しかしながら、同様に、記載されるいずれの実現例の特徴も、他の実現例においてこのような特徴が省略され得るように、必須なものとしてみなされるべきではない。
【0005】
磁気媒体ストレージドライブは、各々のストレージドライブ内における1つ以上の磁化された媒体上の分極されたセルにデータを記憶させる。磁気ディスクドライブは磁気媒体ストレージドライブの一実現例であり、この場合、磁気媒体はディスクであり、分極されたセルがディスク上で同心の概して円形のトラックに配置されている。動作時に、ディスクのうちの1つ以上がストレージドライブ内で一定の高速で回転し、この間、アクチュエータアセンブリを用いて情報をディスク上のトラックに書込んだり当該トラックから読出したりする。アクチュエータアセンブリは、シーク動作中に、ディスクに近接して位置決めされた軸受シャフトアセンブリを中心として回転する。
【0006】
アクチュエータアセンブリは、ディスクに向かって延在する1つ以上の複数のアクチュエータアームを含む。アクチュエータアームの各々の遠位端には、読出し極および書込み極を備えたヘッドが取付けられている。書込み極は、対応するディスク上のセルの磁気分極を変化させるのに適した磁界を生成し(すなわち、ディスクにデータを書込み)、読出し極は、対応するディスク上のセルの磁気分極を検出する(すなわち、ディスクからデータを読出す)。
【0007】
非瓦磁気媒体においては、磁化された媒体上のセルの各々はそのサイズが、書込み極と比べて十分に大きなものであるため、周囲のいずれのセルにもデータを上書きすることなく、書込み極がセルにデータを書込むことが可能となる。結果として、磁気媒体上のどこにおいても利用可能なセルに任意にデータが書込まれ得る。しかしながら、磁気媒体に対するデータ記憶密度についての要件が高まるのに応じて、セル寸法が小さくなる。書込み極のサイズを相応に小さくすることは困難である。というのも、より大きな書込み極によってもたらされる強い書込み磁場勾配が、磁化された媒体上のセルの極性をシフトさせるのにしばしば必要とされるからである。結果として、比較的より大きな書込み極を用いて、磁化された媒体上のより小さなセルにデータを書込むことにより、隣接するセルの分極に影響が及ぼされる(すなわち、隣接するセルに上書きされる)可能性がある。書込み動作中に隣接するセルが上書きされるのを防ぎつつより小さなセルを利用するよう磁気媒体を適合させるための一技術として、瓦記録方式(SMR:shingled magnetic recording)が挙げられる。
【0008】
瓦記録方式は、書込み極によって生成される大きくて強い書込み磁場を利用する。瓦記録方式の一制約として、データが磁気媒体に書込まれると、データが、順次、増大または低減する半径トラックに書込まれることが挙げられる。強い書込み磁場は、現在書込まれているトラックを先に書込まれたトラックと部分的に重ね合わせ、比較的小さな細片からなる以前の書込みトラックには影響が及ばないようにしておき、さらに、現在書込まれているトラックを1つ以上のまだ書込まれていないトラックと部分的に重ね合わせる。先に書込まれたトラック上の書込まれたデータの残りの細片が有する上述のセルは、単に実現可能な書込みサイズを有する断片にすぎないが、読出し極を用いて読出すのに十分に大きい。結果として、瓦記録方式でも依然として従来のランダムアクセス読出し動作が可能であるが、書込みをランダムに行うことはもはやできなくなる。というのも、単一トラック書込みにより、まだ書込まれていない(または、これから書込まれるべき)1つ以上のトラックが変更/上書きされるからである。結果として、瓦状に重ねられたデータ内におけるいずれかのデータセルを変更するために、瓦状に重ねられたデータ全体が、選択された逐次的な書込み順序で書換えられる。
【0009】
磁気ディスク実現例におけるランダムな書込み機能の欠如を補償しつつ、瓦記録方式によって高いセル密度を実現可能にするために、1つ以上の分離領域には、ディスク上で、瓦状に重ねられたデータが割当てられてもよい。分離領域は、ガードトラック、ガードバンドなどとも称されるが、記録には利用できない瓦状に重ねられたデータ内の区域であり、複数のデータトラックを含む瓦状に重ねられたデータからなる別個のバンドを規定している。典型的には、各々の分離領域は、分離領域にわたる如何なる上書きをも防ぐのに十分なほど広い。結果として、バンド内における1つ以上のセルが変更されると、瓦状に重ねられたデータからなる1バンドが書換えられる。より密な間隔で配置された分離領域同士により、ガードトラック間により小さなバンドが作り出だされ、こうして、バンドの書換え時間が短くなる。しかしながら、用いられる分離領域が多くなるのに応じて、有効なディスクデータ記憶密度が低下する。というのも、磁気媒体上にある他の場合に利用可能な空間が分離領域によって占められているからである。現在開示されている技術により、ホスト装置によって規定されるデータ領域間隔に基づいて記憶装置のための分離領域を決定することが可能となる。SMR技術は、メモリカード、ユニバーサル・サービス・バス(USB:universal service bus)フラッシュドライブ、ソリッドステートドライブなどの他の種類の記憶装置においても用いられる。
【0010】
典型的には、SMRシステムにおいては、ディスク表面などの記憶区域はデータ領域および分離領域として構成される。SMRの一実現例においては、記憶装置が領域境界を選択し、1つ以上のルールがデータ領域に関連付けられる。このようなルールの1つとして、たとえば、データ領域内におけるすべての書込みが、順次増大するアドレスに限定されることが挙げられる。代替的なルールとしては、データ領域に属するすべてのアドレスのために、そのデータ領域が書換えられる前にTrimコマンドの発行が必要となることが挙げられる。このような実現例においては、記憶装置と通信するホストにはルールに従う義務や、データ保全性の責任がある。データ保全性を満たすために、ホストは、ルールがどんなものであるかと、データ領域境界がどこに位置しているかとを知る必要がある。一実現例においては、記憶装置は、領域境界と、記憶装置と通信するホストに対するデータ領域に関する他のルールとを規定する。しかしながら、データ領域境界のこのような規定は、ホスト装置にとって適した解決策ではないかもしれない。たとえば、ホストにとっては、記憶装置の各々のデータ領域が1GBの記憶容量を有することが好ましいかもしれない。このようなホストが0.9GBのデータ領域を有する記憶装置に接続される場合、ホストは記憶装置を十分に活用することができないかもしれない。というのも、ホストは、1GBの要件を満たすために0.9GBのデータ領域を2つ必要とし、このため、1GBの情報のために1.8GBの記憶空間を用いることになるからである。この明細書中に記載される実現例では、記憶装置のデータ領域を規定するためにホスト装置を設けており、こうして、記憶装置によって規定されるように、データ領域間隔とそれに関するルールとによってホストが制限されないようにしている。
【0011】
図1は、ホスト装置と通信する記憶装置の例示的なブロック図100を示す。一実現例においては、記憶装置105は、ディスクドライブ、メモリカード、ユニバーサル・サービス・バス(USB)フラッシュドライブおよびソリッドステートドライブのうちの1つである。ホスト装置110は、コンピュータ、サーバ、ネットワークスイッチなどのうちの1つである。ホスト装置は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、一時的でないメモリ、プロセッサ、1つ以上の入出力端子、1つ以上の通信端末などを含み得る。一実現例においては、記憶装置105は、ストレージコントローラを備えるか、または揮発性メモリ、不揮発性メモリ、一時的でないメモリ、プロセッサ、1つ以上の入出力端子、1つ以上の通信端末などを含む他の装置を備える。一実現例においては、いくつかの動作を含む1つ以上のコンピュータプロセスは、これらの動作がプロセッサを用いて処理され得るように、ストレージコントローラおよびホスト110の揮発性メモリまたは不揮発性メモリに記憶されてもよい。
【0012】
図1に開示された実現例においては、記憶装置105は、データ記憶のための瓦記録方式(SMR)技術を用いるのに適している。ホスト110は、記憶装置105へのデータの書込みや記憶装置105からのデータの読出しが頻繁に行われる場合、短期間のデータ記憶の間に記憶装置110を用いてもよい。代替的には、ホスト110は、データ保管などの長期にわたるデータ記憶のために記憶装置105を用いてもよい。ホスト110のデータ記憶要求の種類によっては、ホスト110にとって、データ領域間隔およびデータ領域境界の規定が異なっていることが好ましいだろう。
【0013】
ホスト110は、数字115で表わされるように、記憶空間についての要求を送信することによって記憶装置105とのストレージセッションを開始し得る。具体的には、ホスト110は、記憶装置105に含まれる現在のところ記憶するのに利用可能な空間の量について記憶装置105に要求し得る。一実現例においては、ホスト110は、記憶装置105上で利用可能な連続した記憶空間の量を識別するよう記憶装置に要求してもよい。
【0014】
ホスト110からの要求115に応じて、記憶装置105は、数字120によって表わされるように記憶のために利用可能な空間の量を伝えることによって応答する。一実現例においては、記憶装置105は、記憶装置105上で利用可能な2つ以上の連続した記憶空間についての情報を伝える。たとえば、記憶装置105が1組のディスクを含み、当該組のディスクのうち1つ以上のディスク上の連続した空間の量が異なっている場合、記憶装置105は、連続した空間の各ブロックについての情報をホスト110に伝え得る。代替的には、記憶装置105は、利用可能な空間の連続したブロックの最大サイズについてホスト110に通知し得る。さらなる代替的な実現例においては、記憶装置105はまた、利用可能な記憶空間に関する1つ以上のルールについての情報を送信し得る。このように、たとえば、一実現例においては、記憶装置は、データ領域の2つの別個のブロック間を分離するのにどれくらいの間隔が必要であるかについての情報を伝える。代替的には、記憶装置105はまた、データ領域などを書換える前にTrimコマンドを発行するための要件などの1つ以上のルールについての情報をホスト110に伝え得る。
【0015】
一例においては、記憶装置105は、利用可能なデータ領域の最大ブロックが10GBであることを伝え得る。代替的には、一実現例においては、記憶装置105は50GBの総記憶容量を含む未使用のディスクドライブシステムであってもよく、この場合、50GBの利用可能な総容量についての情報がホスト110に伝えられる。このような場合、記憶装置105はまた、50GBの総記憶容量が2以上のデータ領域に分割されるべき場合、各々のデータ領域が少なくとも0.1GBなどの分離領域によって次のデータ領域から分離されることをホスト110に伝える。一実現例においては、分離領域についての情報はさまざまなデータ領域ごとに異なっている。このため、たとえば、連続したデータ領域がディスクドライブの外径の方に位置する場合、2つ以上のデータ領域間においてこのような連続したデータ領域から作り出すのに必要な分離領域がより大きくなる可能性がある。代替的には、連続した空間領域がディスクドライブの内径の方に位置する場合、2つ以上のデータ領域間においてこのような連続したデータ領域から作り出すのに必要な分離領域がより小さくなる可能性がある。
【0016】
次に、数字125によって表わされるように、ホスト110は、ホスト110自体が特定の書込動作のために必要とするデータ領域についての情報を伝える。こうして、たとえば、ホスト110は、5GBの連続した空間が必要であることを記憶装置105に伝えてもよい。一実現例においては、ホスト110は、その現在の要件に基づいて分離領域およびデータ領域のサイズを決定し得る。たとえば、ホスト110は、データを書込んだ後でも、長期間にわたってデータを書換えるかまたは更新する必要がなく、現在利用可能な連続したデータ領域全体に書込むのに利用可能な十分なデータを有する保管用の記憶空間を必要とする可能性がある。このような場合、ホスト110は、連続したデータ空間全体が1つのデータ領域として識別されるべきであることを記憶装置105に通知する。このような場合、ホスト110はまた、分離領域を設ける必要がないことを記憶装置105に通知する。というのも、利用可能なすべての記憶空間が1ブロックとして書込まれたり書換えられたりされるからである。
【0017】
代替的な実現例においては、ホスト110は5つの5GBデータ領域を必要とする可能性がある。このような場合、ホスト110は、5GBサイズのデータ領域を作成して、このような各々のデータ領域の終端に分離領域を設けるよう記憶装置105に通知する。代替的な実現例においては、ホスト110はまた、データ領域が始まる論理ブロックアドレス(LBA)とデータ領域が終わるLBAとを記憶装置105に通知してもよい。代替的には、LBAについての情報は記憶装置105によって決定され、ホスト110に伝えられる。代替的には、ホスト110は、データ領域が始まるLBAとデータ領域が終わるLBAとを決定し、アクセスルールに従うようにその情報を用いる。この場合、ホストは、そのデータ領域境界選択については記憶装置105に通知しない。
【0018】
データ領域要求125に応じて、記憶装置105は、数字130によって示されるように、ホスト110にコンファメーションを送信する。記憶装置105は、要求されるようなデータ領域が利用可能であるという確認をホスト110に送信し得る。一実現例においては、データ領域のLBAを規定することなくホスト110がデータ領域を要求する場合、記憶装置105からホスト110に送信される確認には、データ領域のLBAについての情報も含まれる。記憶装置105がホスト110によって要求されるとおりにデータ領域および分離領域を提供することができないいくつかの状況においては、確認は、このような情報を、データ領域が利用できないことの理由とともに含み得る。このような場合、ホスト110は、データ領域についての代替的な要求と分離要求を用いて記憶装置105に通信し返してもよい。
【0019】
図2は、データ領域がホスト装置によって規定される領域サイジングに基づいて決定されているディスクドライブ200の例示的な断面を示す。具体的には、図2は、ホスト110などのホスト装置が使用し得るディスクドライブ200上の記憶空間205の図を示す。一実現例においては、記憶空間205は、ディスクドライブ200上で現在利用可能な記憶空間を表わす。なお、簡潔にする目的で、ディスクドライブ200上のトラックのうち4分の1だけが図2に示されていることに留意されたい。さらに、記憶空間205はディスクドライブ200の内径の方に続いている。代替的な実現例においては、記憶空間205は、ディスクドライブ200に含まれる1組のディスクのうち次のディスクへと続いていてもよい。
【0020】
ホスト装置からの要求に応じて、ディスクドライブ200は、ディスクドライブ200上で現在利用可能な連続する最大ブロックが、記憶空間205によって表わされる1000GBの総記憶容量を有するブロックであるとホスト装置に通知する。ディスクドライブ200はまた、利用可能な記憶空間の開始LBAが210であるとホスト装置に通知する。一実現例においては、ホスト装置は、各々が10GBのデータ領域を必要とする。このような場合、ホスト装置は、記憶空間205が、各々10GBのサイズを有するいくつかのデータ領域に分割されることをディスクドライブ200に通知する。一実現例においては、データ領域は順次書込みされる区域として規定される。他の実現例においては、データ領域は、その領域のうちいずれかの部分について書換えが必要とされる場合、その領域の開始時に書換え動作が開始されなければならない区域として規定されてもよい。データ領域の代替的な規定が用いられてもよい。
【0021】
ホスト装置からの要求に応じて、ディスクドライブ200は、記憶空間205を、10GBずつの等しいデータ領域に分割し得る。さらに、各々のデータ領域が分離領域によって分離される。こうして、図2に示される実現例においては、記憶位置210で始まる第1のデータ領域215が作成される。第1のデータ領域215は、分離領域220によって第2のデータ領域225と分離される。図2に示される実現例においては、ホスト装置は、データ領域のサイズについてディスクドライブ200に通知し、ディスクドライブ200は、データ領域215および225がどこで始まってどこで終わるかを判断する。しかしながら、代替的な実現例においては、ホスト装置が、データ領域がどこで始まってどこで終わるかをLBAのディスクドライブに通知し得る。この場合、記憶装置は、十分な分離領域を与えるためにデータ領域間に十分な記憶空間を確保している。代替的には、ホスト装置は、ディスクドライブ200によって確保されるべきさまざまな分離領域の開始LBAおよび終了LBAについて記憶装置に指示し得る。この場合、ディスクドライブ200は、領域のためのアクセスルールを実施してもよい。代替的には、ホスト装置は、領域の境界を選択し、データ領域のためのルールに従い、分離領域にアクセスしなくてもよい。この場合、ホストは、その領域境界選択についてはディスクドライブ200に通知しない。
【0022】
一実現例においては、ホストは、それが、サイズの異なる2つ以上のさまざまなデータ領域を必要とすると判断し得る。このような場合、ホスト装置は、単に、さまざまなデータ領域の開始LBAおよび終了LBAをディスクドライブに伝えるだけにすぎないかもしれない。図3は、ディスクドライブがLBA 310から始まる305によって表わされる利用可能な記憶空間を有するこのような実現例を示す。このような実現例においては、ホスト装置は、第1のデータ領域315がLBA 310において始まり、LBA 320において終わるようディスクドライブ300に指示し得る。第1の分離領域325は、記憶位置320において始まり、記憶位置330において終わるよう設定される。第2のデータ領域335は、第1のデータ領域315とはサイズが異なっているが、LBA 330において始まる。図3に示される実現例においては、分離領域325が、記憶位置320において始まり、記憶位置330において終わるよう設定されており、LBA 320およびLBA 330がともに、ディスクドライブ300上の同じ円周位置に位置するよう示されているが、代替的な実現例においては、LBA 320およびLBA 330は、ディスクドライブ300上の他のどの円周位置にも位置し得る。
【0023】
上述の実現例においては、分離領域はLBAを消費するものと想定されているが、代替的な実現例においては、分離領域はLBAを消費しない。このため、このような代替的な実現例においては、データ領域のLBAは、あるデータ領域から次のデータ領域へと連続的に続いている。たとえば、第1のデータ領域の終了LBAがXである場合、第1のデータ領域と第2のデータ領域とを分離する分離領域の後に始まる第2のデータ領域の開始LBAは、X+1となるだろう。
【0024】
図3に示されるデータ領域の規定によりホスト装置に柔軟性が与えられ、これにより、ディスクドライブ300上で利用可能な全記憶空間がホスト装置にとって有利に利用されるようにさまざまなデータ領域が規定される。このような柔軟性のあるデータ領域を達成するために、ディスクドライブ300は、利用可能な全記憶空間の開始アドレスと、連続する2つのデータ領域間に必要とされる分離領域のサイズとを、ホスト装置に通知する必要がある。この情報に基づいて、ホスト装置は、データ領域間の境界のLBAを決定する。このような実現例においては、ディスクドライブ300は、記憶領域境界がどこにあるかを通知しなくてもよいかもしれない。というのも、ホスト装置は、分離領域サイジングの要件を知っているため、隣接する記憶領域空間の間に十分な間隔があることを確実にし得る書込みコマンドを自動的に供給するからである。言いかえれば、このような実現例においては、ホスト装置は、各々の領域境界においてアドレス可能な空間がどれくらい失われるかを認識している。このような場合、ディスクドライブ300の観点から見ると、アドレス可能な空間の量に変化はない。
【0025】
ここで図4を参照すると、記憶装置のためのデータ領域および/または分離領域の位置を決定するための例示的な動作が示される。具体的には、図4は、ホスト装置によって規定されるデータ領域境界に基づいて記憶装置のためのデータ領域を決定する方法を示す。要求動作402は、記憶装置上の利用可能な記憶空間についての要求をホスト装置から記憶装置に送信する。一実現例においては、要求動作はまた、分離領域が必要であるかどうかと、もし必要であれば、何が分離領域の最小サイズに該当するのかとを識別するよう記憶装置に要求する。さらなる代替的な実現例においては、ホスト装置は、記憶空間情報についての要求を記憶装置に送信する必要はないかもしれない。このような実現例においては、記憶装置は、システム初期化中に、このような情報を記憶装置に接続されたいずれかのホスト装置に自動的に供給し得る。
【0026】
要求動作402に応じて、送信動作404では、記憶装置上で利用可能な記憶空間についての情報をホスト装置に送信する。さらに、代替的な実現例においては、送信動作404ではまた、分離領域の所要の最小サイズ、記憶空間に関する他のルールなどについての情報をホスト装置に送信する。たとえば、記憶装置は、利用可能な総空間がどれくらいであるか、何が利用可能な記憶空間の開始LBAに該当するのかについての情報を伝える。一実現例においては、記憶装置はまた、データ保全性を維持するために、記憶空間における隣接するデータ領域間において必要とされる分離のサイズについての情報を伝える。
【0027】
送信動作404から受信した情報に基づいて、判断動作406では、ホスト装置の要求に合致する利用可能な記憶空間のプロフィールが記憶装置上に存在するかどうかを判断する。たとえば、判断動作では、利用可能な全記憶空間がホスト装置のストレージ要求にとって十分であるかどうかを判断し得る。代替的な実現例においては、判断動作では、全記憶空間に対する分離領域の比が、ホスト装置が記憶空間を用いるのに効率的になるように設定されているかどうかを判断する。たとえば、2つのデータ領域間の記憶装置が必要とする分離領域のサイズが大きすぎる場合、そして、ホスト装置が比較的サイズの小さい多数のデータ領域を探している場合、判断動作では、その特定の記憶装置から得られる記憶空間を用いないよう判断され得る。このような場合、検討動作では、ホスト装置の記憶要求についての代替的な選択肢を評価する。
【0028】
判断動作406では、記憶装置が十分かつ適切な空間を与えると判断された場合、送信動作410で、データ領域のLBAについての要求を送信する。一実現例においては、送信動作では、データ領域のLBAについての要求を記憶装置に送信して、データ領域を作成する。一実現例においては、送信動作410では、データ領域のLBAをホストから記憶装置に送信する。代替的な実現例においては、送信動作410で、分離領域のLBAを記憶装置に送信する。
【0029】
結果として、受信動作412では、データ領域についての情報および/または分離領域についての情報を受信する。一実現例においては、受信動作では、要求されたデータ領域についての情報および/または要求された分離領域についての情報をホスト装置から受信する。なお、一実現例においては、記憶装置がデータ領域のLBAまたは分離領域のLBAについての情報を受信する必要がないことに留意されたい。このような実現例においては、ホスト装置は、分離領域サイズについての要件を考慮に入れて、1つ以上の書込動作を計画してもよい。一実現例においては、確認動作414では、要求されたデータ領域および要求された分離領域の使用準備ができているという確認を送信する。確認動作414では、データ領域および/または分離領域を要求するホスト装置にこのような確認を送信してもよい。しかしながら、確認動作で送信される確認が否定的なものであった場合、ホスト装置は代替的な要求を送信してもよく、または、代替的な記憶の選択肢を検討してもよい。
【0030】
図5は、記憶装置のための分離領域の論理ブロックアドレスを決定するための代替的な動作例を示す。なお、図5に示される1つ以上の動作が図4に示されるさまざまな動作と同様であることに留意されたい。具体的には、要求動作502、送信動作504、判断動作506および検討動作508は、それぞれ、要求動作402、送信動作404、判断動作406および検討動作408と同様の態様で作用する。
【0031】
送信動作510では、さまざまな分離領域をどこで開始するかとどこで終了させるかとについての要求を送信する。具体的には、送信動作では、1つ以上の分離領域の開始位置のLBAと、1つ以上の分離領域の終了位置のLBAとを送信し得る。一実現例においては、送信動作510では、分離領域のLBAについての情報をホスト装置から記憶装置に送信し得る。次に、受信動作512では、1つ以上の分離領域の開始位置のLBAと、1つ以上の分離領域の終了位置のLBAとを受信し得る。分離領域の開始位置および終了位置についての規定されたLBAが適切であると記憶装置が判断した場合、確認動作514では確認を送信する。一実現例においては、このような確認は、記憶装置から分離領域を要求するホスト装置に送信される。
【0032】
この明細書中に記載される実現例は、1つ以上のコンピュータシステムにおける論理ステップとして実現されてもよい。この明細書中に記載されるさまざまな実現例の論理動作が、(1)1つ以上のコンピュータシステムにおいて実行される一連のプロセッサ実現型ステップとして、そして、(2)1つ以上のコンピュータシステム内における相互接続された機械または回路モジュールとして、実現される。この実現は、コンピュータシステムの性能要件に応じた選択事項である。したがって、この明細書中に記載される実現例の実施例を構成する論理動作は、動作、ステップ、物体またはモジュールとさまざまに称される。さらに、特に明示的にクレームされていない限り、または具体的な順序がクレームの文言によって本質的に必要とされない限り、論理動作が如何なる順序でも実行され得ることが理解されるはずである。
【0033】
明瞭にするために、この明細書中に記載される実現例のルーチン機能がすべて図示および記載されているわけではない。このような実際のいずれの実現例の開発時にも、アプリケーション関連の制約およびビジネス関連の制約に対するコンプライアンスなどの開発者固有の目標を達成するために、実現例に特有の多数の判断が下されることや、それらの固有の目標が、実現例ごとに、そして開発者ごとに異なるであろうことが認識されるだろう。
【0034】
上述の明細書、例およびデータは、実現例の構造および使用を包括的に説明するものである。多数の代替的な実現例が本発明の精神および範囲から逸脱することなく実現可能であるので、本発明は添付の特許請求の範囲内にある。さらに、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、異なる実現例の構造的特徴をさらに別の実現例において組合わせてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト装置によって規定されるデータ領域サイジングに基づいて分離領域の記憶位置を決定するステップを含む、方法。
【請求項2】
分離領域は、記憶装置のうち1つ以上のデータ領域の分離に必要な1組の記憶位置を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ホスト装置によって必要とされる連続した書込み区域としてデータ領域サイジングを決定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
分離された場合には他のデータ領域と相互に作用しないアドレスのスパンとしてデータ領域サイジングを決定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
分離領域は、分離領域に隣接するデータ領域のうち一方への書込みを、分離領域に隣接する他方のデータ領域におけるデータに悪影響を及ぼすことなく行うことを可能にする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ホスト装置によって規定されるデータ領域の終端に基づいて分離領域の論理ブロックアドレスを決定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
最小の分離領域サイズを記憶装置からホスト装置に伝えるステップをさらに含み、最小の分離領域サイズは、記憶装置上で2つのデータ領域を分離するのに必要とされる最小空間を表わす、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
最小の分離領域サイズは、書込動作によって影響を受けた記憶装置上の隣接するトラックの数と、隣接するトラックの数の最小サイズとを表わす、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
最小の分離領域サイズは、(1)ディスクドライブ、(2)ディスクドライブの規定された領域、および(3)ディスクドライブの規定された位置のうち少なくとも1つについての最小の分離領域サイズを表わす、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
記憶装置は、データを記録するために瓦記録方式を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
記憶装置はディスクドライブである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ホスト装置は、データ領域の開始LBAおよび終了LBAを規定することによって、データ領域サイジングを規定する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
コンピュータシステム上でコンピュータプロセスを実行するためのコンピュータ実行可能命令を符号化する1つ以上のコンピュータ読取可能記憶媒体であって、前記コンピュータプロセスは、
ホスト装置によって規定されるデータ領域サイジングに基づいて分離領域の記憶位置を決定するステップを含む、コンピュータ読取可能記憶媒体。
【請求項14】
分離領域の記憶位置を決定するステップはさらに、ホスト装置によって必要とされる連続した書込み区域としてデータ領域サイジングを決定するステップを含む、請求項13に記載のコンピュータ読取可能記憶媒体。
【請求項15】
最小の分離領域サイズを記憶装置からホスト装置に伝えるステップをさらに含み、最小の分離領域サイズは、記憶装置上で2つのデータ領域を分離するのに必要な最小空間を表わす、請求項13に記載のコンピュータ読取可能記憶媒体。
【請求項16】
最小の分離領域サイズは、書込動作によって影響を受けた記憶装置上の隣接するトラックの数と、隣接するトラックの数の最小サイズとを表わす、請求項15に記載のコンピュータ読取可能記憶媒体。
【請求項17】
記憶装置は、データを記録するために瓦記録方式を用いる、請求項15に記載のコンピュータ読取可能記憶媒体。
【請求項18】
記憶媒体上で記憶空間領域を管理するためのシステムであって、
ストレージコントローラモジュールを含み、前記ストレージコントローラモジュールは、記憶媒体上で利用可能な記憶空間についての情報をホスト装置に伝え、
記憶媒体にとって必要な1つ以上の分離領域のサイズについての情報をホスト装置に伝え、
分離領域における記憶位置についての命令をホスト装置から受信するよう適合される、システム。
【請求項19】
ストレージコントローラはさらに、最小の分離領域サイズを記憶装置からホスト装置に伝えるよう適合され、最小の分離領域サイズは、記憶装置上で2つのデータ領域を分離するのに必要な最小空間を表わす、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
記憶媒体は、データを記録するために瓦記録方式を用いる、請求項17に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−212498(P2012−212498A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−29557(P2012−29557)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【出願人】(500373758)シーゲイト テクノロジー エルエルシー (278)
【Fターム(参考)】