説明

施療機

【課題】 太さが異なる人体施療部位でも均一で隈無く施療を実施する事ができ、また回転施療機構から施療部位が逃げてしまう特有の問題を解消すると共に、回転施療以外の多様な施療を実施する事が可能な施療機を提供する。
【解決手段】 足施療部13aに施療部位を挿入し得る左右一対の凹部6a内に、各底部に配備された回転施療部材71aで施療部位を押圧する回転施療機構7aを各々配設した施療機1aにおいて、前記回転施療機構7aが、前記回転施療部材71aを支持する施療部材支持体72aと、該施療部材支持体72aを凹部6aの開口側へ出没可能にする施療部材出没機構73aとで構成し、凹部6aにより施療部位を安定させた状態で施療を行なわせ、前記施療部材出没機構73aにより、回転施療機構7aが施療部位の太さや大きさ、または重さなどに対応して効果的に施療する事ができるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体施療部位に対して、移動しながら回転する回転施療機構により回転施療を行う事が可能な施療機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、施療ローラなどの回転施療機構を移動可能に配設して、施療者の施療部位に対し移動しながら該回転施療機構による回転施療を行うものは多く存在し、小型で持ち運びできる携帯型や、椅子の座部前方に設けられた足載せ部に設置したもの、またベッド型に内装したものがあり、この種の施療機は今や多様化している。
【0003】
一例として、図24で示すマッサージ機(施療機)1は、マッサージチェア(椅子)2のフットレストに足施療部を備えた形態を示しているが、該マッサージ機1は表面を布あるいは皮革等の変形可能な被覆部材3によって覆われており、ふくらはぎ等の被施療部(施療部位)は被覆部材3を介してローラ(回転施療機構)14a,14bによるマッサージを受ける。マッサージ機1は略直方体形状をなし、被覆部材2で覆われた上面には、一方の側部から他方の側部にかけて略平行の2条の溝(凹部)5,6が形成されている。この2条の溝5,6に沿ってローラ14a,14bを移動させることにより、被施療部の広い範囲に対してマッサージ施療を行うようにしている。
【特許文献1】特開2002−143257号公報(第7頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記のような回転施療機構を設けた施療機は、上下において太さが異なる人体脛部などの施療部位を施療するにあたって、太い部位では施療感が比較的強く、細い部位ではそれが弱くなるため、均一で隈無く施療を実施する事ができなかった。
【0005】
また、回転施療機構の人体施療部位に対する施療は、ほとんど自重に頼っており、回転施療機構が上下方向やそれに近い方向で移動しながら回転施療する形態の場合は、人体施療部位が回転施療機構とは逆の方向に逃げてしまい、回転施療機構から十分な施療を得損なうという問題もあった。
【0006】
更に、回転施療機構を設けるにあたって、それを移動させるための移動機構などが本体内部空間を占めてしまい、回転施療以外の、例えば指圧や叩きなどの他の施療を実施するための機構を設ける事が困難であり、多様な施療を実施する面で限界があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解消する為に成されたものであり、太さが異なる人体施療部位でも均一で隈無く施療を実施する事ができ、また回転施療機構から施療部位が逃げてしまう特有の問題を解消すると共に、回転施療以外の多様な施療を実施する事が可能な施療機を提供する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の施療機は、足施療部に施療部位を挿入し得る左右一対の凹部内に、各底部に配備された回転施療部材で施療部位を押圧する回転施療機構を各々配設した施療機において、前記回転施療機構が、前記回転施療部材を支持する施療部材支持体と、該施療部材支持体を凹部開口側へ出没可能にする施療部材出没機構とから構成したものである。
【0009】
また、本発明の施療機は、前記回転施療機構に、凹部内の底部で前記回転施療部材を移動可能にする施療部材移動機構が設けられている事を特徴とするものである。
【0010】
更に、本発明の施療機は、前記回転施療機構に、施療部位に対する回転施療部材の押圧力を検知する押圧力検知手段を設け、押圧力検知手段で検知した信号を施療部材出没機構に送信して回転施療部材の施療部位に対する押圧力を制御できるようにして構成したものである。
【0011】
更に、本発明の施療機は、前記回転施療機構の施療部材出没機構は、空気の給排気により拡縮する拡縮体である事を特徴とするものである。
【0012】
更に、本発明の施療機は、前記回転施療機構が、前記凹部内における底部に複数配備されている事を特徴とするものである。
【0013】
更にまた、本発明の施療機は、前記回転施療機構が配設された凹部内の両側壁に、空気の給排気で膨縮して施療部位を押圧する膨縮袋を一対以上配設して構成している。
【発明の効果】
【0014】
よって、本発明の施療機は、足施療部に施療部位を挿入し得る左右一対の凹部内に、各底部に配備された回転施療部材で施療部位を押圧する回転施療機構を各々配設した施療機において、前記回転施療機構が、前記回転施療部材を支持する施療部材支持体と、該施療部材支持体を凹部開口側へ出没可能にする施療部材出没機構とで構成したものであるため、前記凹部により施療部位を安定させた状態で施療を行う事ができ、前記施療部材出没機構により、回転施療機構が施療部位の太さや大きさ、または重さなどに対応して効果的に施療を実施する事ができる。
【0015】
また、本発明の施療機は、前記回転施療機構に、凹部内の底部で前記回転施療部材を移動可能にする施療部材移動機構が設けられている構成のものであるため、施療部位の長さ方向における広範な施療を実施する事ができる。
【0016】
更に、本発明の施療機は、前記回転施療機構に、施療部位に対する回転施療部材の押圧力を検知する押圧力検知手段を設け、押圧力検知手段で検知した信号を施療部材出没機構に送信して回転施療部材の施療部位に対する押圧力を制御できるようにした構成のものであるため、回転施療機構が施療部位の太さや大きさ、または重さなどに対応して、所定の押圧力を保ちながら隈無く均一な施療を実施する事ができる。
【0017】
更に、本発明の施療機は、前記回転施療機構の施療部材出没機構を、空気の給排気により拡縮する拡縮体にする構成のものであるため、前記回転施療部材による当接感をソフトにする事ができ、不快な痛みを招くことがなく、快適な回転施療を実施する事ができる。また、空気の給排動作を繰り返す事により、指圧や叩き、又は振動施療などを実施できる。
【0018】
更に、本発明の施療機は、前記回転施療機構が、前記凹部内における底部に複数配備されている構成のものであるため、回転施療機構による一度に行う施療範囲を大きくする事ができ、また個別に回転施療機構を制御して、施療部位の太さの違いに対し、より極め細かく対応する事ができる。
【0019】
更にまた、本発明の施療機は、前記回転施療機構が配設された凹部内の両側壁に、空気の給排気で膨縮して施療部位を押圧する膨縮袋を一対以上配設した構成のものであるため、前記回転施療機構の移動中においても、前記膨縮袋による施療が行うことができる。また、前記凹部の開口部へ人体施療部位が逃げるのを防止しながら、回転施療機構による安定した十分な押圧施療を実施する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の施療機を、図面に示す一実施形態に基づきこれを詳細に説明する。
図1は本発明の施療機の一実施形態を示す斜視図であり、図2は本発明の施療機の一実施形態を示す使用状態図であり、図3は本発明の施療機の一実施形態を示す右側面図である。図4及び図5は本発明の施療機における足施療部の内部フレームの一実施形態を示す斜視図であり、図6は本発明の施療機における回転施療機構の一実施形態を示す斜視図であり、図7は本発明の施療機における回転施療機構の一実施形態を示す側面説明図であり、図8乃至図11は本発明の施療機における回転施療機構の一実施形態を示す底面図であり、図12及び図13は本発明の施療機における回転施療機構及び施療部材移動機構の一実施形態を示す部分正面図であり、図14乃至図21は本発明の施療機における足施療部の一実施形態を示す右側面説明図であり、図22は本発明の施療機における足施療部の一実施形態を示す斜視図であり、図23は本発明の施療機における押圧力検知手段の一実施形態を示すブロック図であり、図24は従来技術を示す参考図である。
【0021】
すなわち、本発明の施療機は、図1の実施形態で示したように、足施療部13aに施療部位を挿入し得る左右一対の凹部6a内に、各底部に配備された回転施療部材71aで施療部位を押圧する回転施療機構7aを各々配設した施療機1aである。尚、一実施形態として、図1は椅子型であるが、本発明の施療機はこれに限らず、例えば携帯型やその他の形態であってもよい。
【0022】
図1及び図2に示す椅子型である施療機1aは、座部11aと共に、該座部11aの後側にリクライニング可能に連結する背凭れ部12aと、座部11aの前側において上下方向へ揺動可能に連結した足施療部13aとから構成している。
【0023】
更に、前記座部11aの両側に肘掛け部14aを立設すると共に、前記背凭れ部12aの左右両側に前方に向かって突出した側壁部2aを夫々配設している。
【0024】
図1に示すように、前記背凭れ部12aには、その中央部に左右一対の施療子31aを備えた昇降自在の施療機構3aを設けている。該施療機構3aは、背凭れ部12aの内部左右に設けた左右一対のガイドレール32aに沿って背凭れ部12aの上端から下端にかけて昇降するようにしている。
【0025】
前記左右一対の施療子31aは、モータ等を駆動源とした機械式の施療機構であり、前記背凭れ部12aに凭れた施療者の首部、背部、腰部、臀部等の背面全域を、たたき、揉み、ローリング、振動、指圧などの多様な形態で施療するようにしたものである。
【0026】
また、前記施療機1aの前記回転施療機構7aが配設された凹部6a内の両側壁において、空気の給排気で膨縮して施療部位を押圧する膨縮袋4aを一対以上配設している。該膨縮袋4aは、エアーコンプレッサー及び各膨縮袋4aに空気を分配するための分配器等からなる空気給排装置41aによる給排気により膨縮動作を行うようにしており、該空気給排装置41aは前記座部11aの下部空間に配備している。
【0027】
前記空気給排装置41aによる各前記膨縮袋4aの膨縮動作によって、施療者の所定の施療部位を押圧、指圧等を実施する事ができ、一定間隔を存して対向するよう複数の膨縮袋4aを対設させるならば、挟圧等の施療も行う事ができる。また膨縮袋4aを膨張状態に保つ場合は、施療者の所定の部位を一定の時間保持する事も可能としている。
【0028】
また、前記施療機1aは、前記背凭れ部12aの左右側において、上部及び下部に夫々膨縮袋4aを設けており、施療者の背中及び腰部を押圧、または左右両側から挟圧するような施療を行うよう構成している。
【0029】
また、前記座部11aには、後部側に臀下部用、また腿部用の膨縮袋4aを夫々埋設して、主に下方から上方に押圧する施療を行うようにしている。
【0030】
前記足施療部13aは、人体の脛部及び足先部を夫々嵌入させる左右一対の凹部6aを夫々形成したものであり、各凹部6aに膨縮袋4aを左右一対として対設するよう設けて、凹部6a内部で人体の脛部及び足先部に対する挟圧施療を実施するようにしている。該足施療部13aの構成については後に詳しく説明する。
【0031】
前記左右の肘掛け部14aの上部には、必要に応じて人体の手や前腕を嵌入保持して施療するための凹部6aを形成する腕保持部15aを設ける事ができる。図1の場合、該腕保持部15aの内部において、上下に各膨縮袋4aを夫々対設するよう設けて、凹部6a内部で人体の手や前腕に対する挟圧施療を実施するようにしている。
【0032】
前記左右の側壁部2aは、座部11aに着座した施療者の肩または上腕側方となる位置に配設しており、該左右の側壁部2aの内側面には夫々左右方向に重合した膨縮袋4aを並列状態に埋設している。これら重合した膨縮袋4a・4aはその基端部のみを側壁部2aの基端部に取り付けているため、膨張時には重合した膨縮袋4a・4aが扇状に広がって施療者の身体側部を挟圧しつつ、身体前方まで覆うようになる。
【0033】
よって、前記左右側壁部2aの前記膨縮袋4aは、膨縮動作により身体側部を施療する事ができるだけでなく、一定の時間において膨張状態を保つならば、施療者の身体が前記背凭れ部12aから離れないようにしっかりと保持する事ができ、施療者の身体を固定したままの状態で前記施療機構3aの前記施療子31aによる背部からの施療を効果的に受ける事が可能となるのである。
【0034】
本発明である前記施療機1aの前記足施療部13aは、図1の実施形態で示したように、上部に人体脛部を施療するための凹部6aを幅方向左右に夫々設けた脛施療体131aと、該脛施療体131aの下部に位置する人体足先を施療するための凹部6aを幅方向左右に夫々設けた足先施療体132aとから構成しており、脛施療体131aと足先施療体132aの各凹部6a内部に、前述のような膨縮袋4aを左右に対設させている。尚、適宜各凹部6aの底部にも膨縮袋4aを設ける事ができる。
【0035】
尚、図17に示すように、前記脛施療体131a及び前記足先施療体132aが一体形成されたものであってもよい。
【0036】
また、図1、図14、図22に示すように、前記足施療部13aの前記凹部6aの底部に、凹部6aの上下長さ方向に可動して、脛部または足先部の裏や両側部を回転施療する前記回転施療機構7aを設けている。
【0037】
そのため、図4及び図5に示すように、前記足施療部13aの内部フレーム134aには、前記回転施療機構7aが人体施療部位に施療可能となるよう、前記左右の各凹部6aの底部から両側部にかけて孔部61aを夫々形成している。
【0038】
前記回転施療機構7aは、図6及び図7に示すように、前記回転施療部材71aを支持する施療部材支持体72aと、該施療部材支持体72aを前記足施療部13aの前記凹部6aの開口側へ出没可能にする施療部材出没機構73aとから構成している。
【0039】
また前記回転施療部材71aは、図6の実施例で示すように、施療部材支持体72aの先端で前記足施療部13aの上下長さ方向において回転可能に支持されている。そのため、人体施療部位に対しスムーズに回転しながら移動する事が可能となる。
【0040】
また、前記回転施療部材71aは、湾曲した円筒形状であるので、脚部などの肢体にフィットしながら安定状態で回転施療する事ができる。
【0041】
図6に示した実施例では、前記施療部材出没機構73aに、前記空気給排装置41aの空気の給排気により拡縮する事が可能な拡縮体731aを適用している。また、スムーズ且つ安定して出没する事ができるようにするため、シリンダ732a内部を施療部材支持体72aの基部が往復滑動するよう挿入されている。尚、空気式の他にも機械式による拡縮体を適宜用いてもよい。
【0042】
前記拡縮体731aは前記シリンダ732a内底部に内設しており、図7に示すように前記空気給排装置41aの空気の給気による拡縮体731aの拡張動作により、前記施療部材支持体72aの基端が押され、前記回転施療部材71aは人体施療部位を押圧する事になる。また、空気給排装置41aの空気の排気動作による拡張した拡縮体731aの収縮動作により、人体施療部位における押圧状態を弛緩する。このようにして拡縮体731aは、拡張及び収縮動作が可能となり、人体施療部位に対する前記回転施療機構7aの突出量を調節する事ができ、また、拡縮体731aの拡縮を所定時間毎に繰り返して押圧施療又は指圧施療を行ったり、拡縮体731aの拡張状態を一定時間保持したりする事が可能となるのである。
【0043】
前記回転施療機構7aは、前記凹部6a内における底部に複数配備する事ができる。すなわち、回転施療機構7aの前記回転施療部材71aを図8及び図9に示すように、一つの前記施療部材支持体72aにつき、複数設ける事ができる。図面の実施形態は、前記足施療部13aにある前記凹部6aの幅方向において、施療部材支持体72aの左右両端に夫々回転施療部材71aを並設している。
【0044】
また、前記左右の回転施療部材71aは、前記施療部材支持体72aの左右両端において、前記凹部6aの幅方向において所定の角度内で回動可能になるよう回動部材721aを介設している。尚、図9の状態から図8の状態に常に戻る方向に付勢する戻りバネ(図示せず)を該回動部材721aに設けてもよい。
【0045】
それで、図9に示すように、施療を受ける肢体が前記左右の回転施療部材71aの間に当接されると、前記左右の回転施療部材71aは回動して互いに内側に傾く事になり、全体が施療部位の周部に沿った凹状となる。よって、肢体の底部だけでなく、その左右両側部に対する施療をも実施する事ができるのである。
【0046】
また、前記回転施療部材71aは、人体施療部位における異なった太さまたは大きさ、或いは重さにも自在に対応にした凹状とも成り得る。
【0047】
例えば、図12に示すのは、前記回転施療機構7aに、凹部6a内の底部で前記回転施療部材71aを移動可能にする施療部材移動機構74aが設けられている形態であるが、回転施療機構7aが前記足施療部13aの上下長さ方向に前記足施療部13aの内部左右において上下に形成したガイドレール742aに沿って、モータ741aを備えた施療部材移動機構74aにより移動する構成で該回転施療機構7aを移動させて回転施療を行う場合、肢体の上下において太さが異なる脛部のどの施療部位においても、常に回転施療部材71aは施療部位にフィットした形態となる。
【0048】
尚、図12の形態は、前記施療部材支持体72aを、前記各凹部6aの上下長さ方向において上下一対として配設した構成であり、人体施療部位の長さ方向において施療範囲が大きくなるようにしたものである。また、施療部材支持体72aを各凹部6aにおいて上下多数配設してもよい。
【0049】
更に、図12の前記施療部材移動機構74aは、図示しないが前記モータ741aの先端に備えたギヤの回転により動力がラックに伝わる方式や、前記足施療部13aの長さ方向に縦設した螺軸をモータにより回転させる方式などにより、前記回転施療機構7aを移動させるものでもよい。他にも、空気給排装置の空力によるものでもよい。
【0050】
また、図10及び図11に示すように、前記各回転施療部材71aを湾曲させた形状とする事もできる。この場合は、回転施療部材71aの左右両端で別々に設けられた回転軸(図示せず)により回転する事になるが、いずれにしても前記足施療部13aの上下長さ方向においてスムーズに回転できるように回転軸が取り付けられている。
【0051】
よって、このような形状の前記回転施療部材71aにより、図10で示すように施療を受ける肢体の底部と共に側部を同時に施療する事が可能となる。
【0052】
加えて、前述した図8と同様、前記施療部材支持体72aの左右両端に設けた回動部材721aにより、前記各回転施療部材71aを取り付けているため、図10及び図11で示すように、人体施療部位における異なった太さまたは大きさ、或いは重さに対応する事ができる。
【0053】
尚、図10の形態に、図8の形態で説明した前記戻りバネ(図示せず)を前記回動部材721aに設けてもよい。
【0054】
本発明の前記施療機1aは図23に示すように、前記回転施療機構7aに、施療部位に対する回転施療部材71aの押圧力を検知する押圧力検知手段8aを設け、押圧力検知手段8aで検知した信号を施療部材出没機構73aに送信して回転施療部材71aの施療部位に対する押圧力を制御できるようにして構成している。
【0055】
すなわち、前記押圧力検知手段8aの検知信号により、前記施療部材出没機構73aによる前記回転施療部材71aの出没量を制御するようにして、人体施療部位に対し所定の押圧力を保ちながら施療を行う。該押圧力検知手段8aには、類を問わないが例えば、半導体センサ(歪ゲージ)等を適用する事ができる。
【0056】
例えば、前記押圧力検知手段8aを前記回転施療部材71aに備えて、人体施療部位から該回転施療部材71aにかかる圧力を検出したり、または、前記施療部材支持体72aの前記回動部材721aに対して回転施療部材71aからかかる圧力を検出したり、或いは、前記施療部材出没機構73aの前記拡縮体731aにかかる圧力を検出する事ができる。
【0057】
また、前記シリンダ732aに対する前記施療部材支持体72a基部の出没位置を検知して施療部位に対する押圧力を検出する方法や、前記拡縮体731aが前記空気給排装置による拡縮動作を行う構成である場合は、空気の内部圧力を検知する方法、また、施療部材支持体72aに対する回転施療部材71aの出没位置を検知したり、施療部材支持体72aにおける回転施療部材71aの回動角度を検出したりする方法などを適用できる。
【0058】
他にも、前記施療部材移動機構74aにかかる回転施療機構7aの圧力の検知や、前記回転施療機構7aから前記足施療部13aにかかる圧力検知も用いる事ができる。
【0059】
前記足施療部13aが座部11aに対して上下回動可能となるよう、電動モータを動力源とするアクチュエータなどの伸縮機構(図示せず)を適用する場合は、回転施療機構7aから前記足施療部13aにかかる圧力を、該伸縮機構にて検出する事ができる。
【0060】
このような前記押圧力検知手段8aにより、人体施療部位に対する押圧力を検知するのであるが、前記回転施療機構7aは所定の圧力を検知するまで、前記施療部材出没機構73aにより前記回転施療部材71aを突出させる動作を行い、検知後、施療部材出没機構73aの動作を停止する。
【0061】
また、前記押圧力検知手段8aが所定圧力を超過した圧力を検出する場合は、前記施療部材出没機構73aは前記押圧力検知手段8aが所定圧力を検知するまで前記回転施療部材71aを退没させる動作を行うようにしている。
【0062】
図14の形態は、前記回転施療部材71aを備えた前記施療部材支持体72aを、前記凹部6aの長さ方向に複数設けたものであり、図面では上下夫々に施療部材支持体72aを設けたものであるが、各施療部材支持体72aに前記各施療部材出没機構73aを設けて、前記押圧力検知手段8aの検知信号により各施療部材出没機構73aを個別に制御して、人体施療部位に対する各回転施療部材71aの押圧力が所定の圧力に保つようにしてもよい。
【0063】
よって、例えば図14に示す人体脛部の比較的太い施療部位や、図15に示す脛部の細い施療部位など、上下に太さの大小の違いがある肢体に対応して、各施療部位を所定の押圧力で施療する事ができるのである。
【0064】
また、図14及び図15に示すように、前記回転施療機構7aを前記施療部材移動機構74aにより上下に移動させる場合は、前記回転施療部材71aは常時人体施療部位にフィットしながら、隈無く回転施療する事ができる。
【0065】
図16に示すように、前記足施療部13aの前後方向における角度が傾斜し、水平状態に近くなるほど、図14に示す直立状態よりも、人体施療部位に対する前記回転施療機構7aの押圧力が高くなるが、前記押圧力検知手段8aが作動している時は、回転施療機構7aの突出量を制御するため、足施療部13aが水平状態であっても、所定以上の押圧からくる不快感をもたらす事は回避でき、快適な施療を行える。
【0066】
また、前記回転施療機構7aの押圧力を施療者の所望に応じて変更する事ができる。例えば、押圧力検知手段8aの所定圧力の設定値を変更する事ができる。
【0067】
更に、前記回転施療機構7aによる回転施療と共に、指圧または叩き或いは振動施療を実施可能な構成としている。回転施療機構7aによる指圧、叩き、振動施療は、前記拡縮体731aの拡縮動作によって行うが、前記押圧力検知手段8aによって設定された押圧力に達するまで回転施療部材71aを突出させる。指圧施療は拡縮体731aの拡縮動作のリズムを比較的遅くし、叩き施療は指圧よりリズムを早くし、振動施療は叩きよりももっとリズムを早くして行うよう前記空気給排装置41aの給排気を制御する。
【0068】
例えば、図14の構成は、前記回転施療機構7aの前記施療部材支持体72aが上下一対となっているが、どちらか一方の施療部材支持体72aは回転施療を行い、他方の施療部材支持体72aは指圧または叩き或いは振動施療を行うようにする事ができる。勿論、上下両方の施療部材支持体72aが、同種の施療を実施する事も可能である。
【0069】
尚、前記回転施療機構7aによる指圧、叩き、振動施療に関し、前記左右の凹部6aにおける前記各回転施療部材71aを、左右交互に出没させる事も可能である。
【0070】
前記足施療部13aの前記各凹部6aには、前述した膨縮袋4aを左右に対設しているので、図14乃至図16に示す前記回転施療機構7aの移動中にも、該膨縮袋4aによる施療が行える。
【0071】
例えば、前記足施療部13aの上下位置において、前記回転施療機構7aに近い位置の前記膨縮袋4aを膨縮させて挟圧施療を行ったり、または逆に回転施療機構7aの位置ではない上下位置にある膨縮袋4aによる挟圧施療を行ったりするなど、多様な施療を実施する事ができる。
【0072】
また、前記足施療部13aの上下位置において、前記回転施療機構7aに近い位置の前記膨縮袋4aを一定時間膨張保持させる事により、その人体部位をしっかりと固定させる事ができ、その場合は、前記凹部6aの開口部へ人体施療部位が逃げるのを防止しながら、回転施療機構7aによる安定した十分な押圧施療を実施する事ができるのである。
【0073】
図17及び図22に示すのは、人体脛部と共に足先までを前記回転施療機構7aにより施療を可能とした構成である。
【0074】
すなわち、前記回転施療機構7a及び前記施療部材移動機構74aが、前記足施療部13aにおいて可動するようにしているのであるが、図面の実施形態では、前記足施療部13aの上部に設けた上部回動部134aにより前後方向に回動する可動フレーム133aに、回転施療機構7a及び施療部材移動機構74aが取り付けられている。また、施療部材移動機構74aは、モータ741aやガイドレール742aを備えている。
【0075】
また、前記回転施療機構7a及び前記膨縮袋4aは前述したのと同様、人体施療部位に対する施療を行うが、さらに図20に示すように、人体足先をも施療する事ができる構成としている。
【0076】
例えば、図17に示すように、人体脛部上方に位置する前記回転施療機構7aの前記回転施療部材71aは、図18に示すように前記施療部材移動機構74aにより下方に移動し、図19に示す踵に到達する事で、脛部から踵にわたる部位を施療する。
【0077】
次いで図20に示すように、足施療部13aの内部中央に設けたアクチュエータなどの進退機構135aにより、前記可動フレーム133aを前方へ移動させて、前記回転施療部材71aは、足裏とその両側部を経て足指に到達する。このように足先全体にわたる施療を実施する事ができる。
【0078】
その後、前記進退機構135aにより前記可動フレーム133aを後方に戻してから、前記回転施療部材71aを再び脛部上方へ向けて移動させながら施療を継続し、往復施療を実施できる。
【0079】
尚、前記進退機構135aは、前記拡縮体731aのような空気の給排による拡縮で進退動作を行う形態のものであってもよい。
【0080】
前記回転施療部材71aによる人体足先に対する施療中に、前記足先施療体132aの前記左右の各凹部6aに対設した前記膨縮袋4aによる施療を行う事ができる。図7の実施形態では先施療部132aの前後に夫々膨縮袋4aを設けている。
【0081】
例えば、前記足先施療体132aの前後位置において、前記回転施療機構7aに近い位置の前記膨縮袋4aを膨縮させて挟圧施療を行ったり、または逆に回転施療機構7aの位置ではない前後位置にある膨縮袋4aによる挟圧施療を行ったりするなど、多様な施療を実施する事ができる。
【0082】
また、前記足先施療体132aの前後位置において、前記回転施療機構7aに近い位置の前記膨縮袋4aを一定時間膨張保持させる事により、その人体部位をしっかりと固定させる事ができ、その場合は、前記凹部6aの上方開口部へ人体足先が逃げるのを防止しながら、回転施療機構7aによる安定した十分な押圧施療を実施する事ができるのである。
【0083】
前記進退機構135aにより、前記回転施療部材71aの脛部に対する突出量の調節を行う事も可能であり、その調節は前記押圧力検知手段8aから検知される信号によって制御してもよい。
【0084】
本発明の施療機1aを、一実施例として椅子型のものを詳述したが、前記足施療部13aのみを全体構成とするような、携帯型の形態も可能である。その場合は、前記空気給排装置41aを本体内部に内装させるか、近接或いは外部に設置させる事になる。その他は、前述した足施療部13aの構成と同じであり、同様の作用及び効果をもたらす。
【0085】
前記施療機1aの操作を行うため、図3示すような、リモートコントローラ等の操作部5aを設ける事ができる。尚、携帯型の前記施療機1aは、図示しないが適所に設けられる。
【0086】
前記施療機1aが前述した椅子型の場合は、例えば図3のように前記左右の腕保持部15aの片側上方位置に備える事ができ、該操作部5aによって、主電源の入切、前記施療機構3aや前記空気給排装置41a、また前記回転施療機構7aの回転施療部材71aや各前記膨縮袋4aによる施療の種類や強度等の選択、また、前記背凭れ部12aのリクライニングや前記足施療部13aの上下動の調節、また回転施療機構7aの前記施療部材移動機構74aによる移動等、施療機1aのほとんどの機能に対する操作を行うようにしている。尚、操作部5aの操作は、図示しないが、液晶画面等の操作表示部や操作ボタンまたはダイヤル等の操作指示部等で行うようにしてもよい。
【0087】
更に、前記操作部5aによる前記施療機1aの操作に伴う制御は、電子制御であり、また、予めプログラムされたデータに基づく動作や、施療者が任意に入力したプログラムデータに基づいて動作するようにしてもよい。
【0088】
また、本発明の施療機の構成は、前記足施療部13aに限らず、図1に示す施療機各所に設けられるあらゆる凹部6aにも適用する事ができる。例えば、前記背凭れ部12aと前記左右の側壁部2aとからなる凹部6a、腕保持部15aの凹部6a、前記座部11aに設けられた凹部6a、または座部11aと前記左右の肘掛け部14aとからなる凹部6aなど、凹部6aの両側壁に膨縮袋4aを夫々配設すると共にその底部に前記回転施療機構7aを設けた構成を適宜組み込む事ができる。したがって、本発明の構成は、マット型やベッド型、他のあらゆる形態の施療機にも幅広く適用する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の施療機の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の施療機の一実施形態を示す使用状態図である。
【図3】本発明の施療機の一実施形態を示す右側面図である。
【図4】本発明の施療機における足施療部の内部フレームの一実施形態を示す斜視図である。
【図5】本発明の施療機における足施療部の内部フレームの一実施形態を示す斜視図である。
【図6】本発明の施療機における回転施療機構の一実施形態を示す斜視図である。
【図7】本発明の施療機における回転施療機構の一実施形態を示す側面説明図である。
【図8】本発明の施療機における回転施療機構の一実施形態を示す底面図である。
【図9】本発明の施療機における回転施療機構の一実施形態を示す底面図である。
【図10】本発明の施療機における回転施療機構の一実施形態を示す底面図である。
【図11】本発明の施療機における回転施療機構の一実施形態を示す底面図である。
【図12】本発明の施療機における回転施療機構及び施療部材移動機構の一実施形態を示す部分正面図である。
【図13】本発明の施療機における回転施療機構及び施療部材移動機構の一実施形態を示す部分正面図である。
【図14】本発明の施療機における足施療部の一実施形態を示す右側面説明図である。
【図15】本発明の施療機における足施療部の一実施形態を示す右側面説明図である。
【図16】本発明の施療機における足施療部の一実施形態を示す右側面説明図である。
【図17】本発明の施療機における足施療部の一実施形態を示す右側面説明図である。
【図18】本発明の施療機における足施療部の一実施形態を示す右側面説明図である。
【図19】本発明の施療機における足施療部の一実施形態を示す右側面説明図である。
【図20】本発明の施療機における足施療部の一実施形態を示す右側面説明図である。
【図21】本発明の施療機における足施療部の一実施形態を示す右側面説明図である。
【図22】本発明の施療機における足施療部の一実施形態を示す斜視図である。
【図23】本発明の施療機における押圧力検知手段に関する一実施形態を示すブロック図である。
【図24】従来技術を示す参考図である。
【符号の説明】
【0090】
1a 施療機
11a 座部
12a 背凭れ部
13a 足施療部
131a 脛施療体
132a 足先施療体
133a 可動フレーム
134a 内部フレーム
135a 進退機構
14a 肘掛け部
15a 腕保持部
2a 側壁部
3a 施療機構
31a 施療子
32a ガイドレール
4a 膨縮袋
41a 空気給排装置
5a 操作部
6a 凹部
61a 孔部
7a 回転施療機構
71a 回転施療部材
72a 施療部材支持体
721a 回動部材
73a 施療部材出没機構
731a 拡縮体
732a シリンダ
74a 施療部材移動機構
741a モータ
742a ガイドレール
8a 押圧力検知手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
足施療部に施療部位を挿入し得る左右一対の凹部内に、各底部に配備された回転施療部材で施療部位を押圧する回転施療機構を各々配設した施療機において、前記回転施療機構が、前記回転施療部材を支持する施療部材支持体と、該施療部材支持体を凹部開口側へ出没可能にする施療部材出没機構とから構成されている事を特徴とする施療機。
【請求項2】
前記回転施療機構に、凹部内の底部で前記回転施療部材を移動可能にする施療部材移動機構が設けられている事を特徴とする請求項1記載の施療機。
【請求項3】
前記回転施療機構に、施療部位に対する回転施療部材の押圧力を検知する押圧力検知手段を設け、押圧力検知手段で検知した信号を施療部材出没機構に送信して回転施療部材の施療部位に対する押圧力を制御できるようにした事を特徴とする請求項1又は請求項2記載の施療機。
【請求項4】
前記回転施療機構の施療部材出没機構は、空気の給排気により拡縮する拡縮体である事を特徴とする請求項1記載の施療機。
【請求項5】
前記回転施療機構が、前記凹部内における底部に複数配備されている事を特徴とする請求項1乃至請求項4記載の施療機。
【請求項6】
前記回転施療機構が配設された凹部内の両側壁に、空気の給排気で膨縮して施療部位を押圧する膨縮袋を一対以上配設した事を特徴とする請求項1乃至請求項5記載の施療機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−225(P2008−225A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170678(P2006−170678)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【Fターム(参考)】