説明

施療部に巻装した膨出部を人力のみの空気加減圧器で操作する指圧、マッサージ、リラクゼーション装置。

【課題】少量の加圧容積で効果を表わす膨出部の袋体の構造を提供する。
【解決手段】指圧、マッサージ、リラクゼーション装置の膨出部を人力の加減圧器で圧迫と馳緩をさせる膨出部の構造に於て、軟質のビニールシートを二枚重ね加減圧器と連通する通気孔を設け、施療部の輪郭に沿って熔着し、その内側に通気時に期待する膨らみの高さに対応する間隔で二枚のシートを貫通する熔着孔を穿ち装着時の接触をよくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
長時間狭い座席に座ることで足の静脈中に血流の塊が出来、それが心臓や肺、さらに脳に達して死につながるとされるエコノミーシンドロームと呼ばれる血行障害や、内臓脂肪型肥満のメタボリックシンドローム、或いは高齢者の生活習慣病の予防のために、リハビリテーション、ウオーキング、指圧、マッサージ等が行われ、機能回復のための機器が提供されている。本発明はこれらの症状の予防と回復を目的としたものである。
【背景技術】
【0002】
前記のような症状回復の目的で空気圧の圧迫と馳緩を応用した装置は(先行技術文献)(特許文献5)図1a(下肢部用)図1b(腕用)に示すものなどある。(先行技術文献)(特許文献2)にはエアーマットの膨張、収縮の速度(インターバル)と圧力が血行促進や筋肉の硬直防止におよぼす影響について述べられている。
【0003】
障害者であっても運動可能な部分が残っている場合が多い。完全自動の機器によって運動可能な部分をしようしないことは運動可能な部分の退化を進めるのみで、運動をさせることで、その部分の健康を維持するだけでなく、障害をうけている部分の或る程度の機能の回復に役立つとの発表もある(非特許文献4)日本経済新聞2006−9−24、脳とリハビリの関係探る。(非特許文献5)西日本新聞社、担当者床波昌雄氏。福岡大学病院東洋医学診療部長 向野美人 対談「リフレクソロージ」その他。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許 第3413105号 公報
【特許文献2】特公平8−24700号 公報
【特許文献3】特開2005−168613号 公報
【特許文献4】特開2003−220106号 公報
【特許文献5】特開平10−192354号 公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】静脈血栓塞検症 出典: フリー百科事典 ウィキペディア(Wikpedia)
【非特許文献2】メタボリックシンドローム 出典: フリー百科事典 ウィキペディア(Wikpedia)
【非特許文献3】ツボ健康百科 主婦と生活社 東京健康づくり 東洋療法センター長 芹澤 勝助著
【非特許文献4】日本経済新聞 2006−9−28 朝刊 「脳とリハビリ関係探る」日本福祉大学教授 久保田 競
【非特許文献5】「リフレク ソロージ」西日本新聞社 担当 床波昌雄 福岡大学病院 東洋医学診療部長 向野 美人 対談
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上述べた症状を治療するため、空気圧により膨出する空気袋に電動ポンプと切換弁により給気により患部を圧迫し排気により弛緩させる電動式が主流であるが狭い範囲の患部用として人力による加圧と排気による弛緩のものとが提案されている。以下その問題点を記し本発明で課題を解決するための手段を述べる。
【0007】
従来の装置の問題点を下記に記す。
「問題点―1」
電動ポンプと切換弁により、給気で加圧、排気で弛緩を自動制御するものは、電波や電磁波障害、騒音、空気汚染に対する制約のために使用する場所が限定される。
「問題点―2」
使用する人は、年齢、性別、体力、知識、体形、症状など多様であるためこれに対応する制御は複雑となり、高価となるだけでなく、使用者にとっては面倒な操作を要求される。
「問題点―3」
複雑な自動制御のため構成する部品も多く、装置のミスで重大な事故を起した例もある。(例えば排気弁がロックしたまま給気が続けられた)
「問題点―4」
使用される地域は広汎で且つ分散されるので、複雑な構造では充分な指導や点検は行い難い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の問題点を考慮し電動方式でなく、使用者本人が操作する人力装置とした。この場合の最大の問題点は膨出させる空気袋と連通する加減圧器の送風容量が小さいこと。空気袋を巻掛ける患部は複雑な曲面で個人差も大きいことなどで、送風容量の限界内で効果的な空気袋うを作ることであった。
【0009】

上記「0008」のための第一の手段として加減圧器の容量に対し膨出用空気袋の容積を小さくすること、並びに患部に巻掛は易いために「図2b」「図2a」に示す軟質の薄いビニールシートを重ね、高周波ウエルダーによって輪郭部を熔着しその内部に熔着貫通孔を穿ち薄い膨出部を作っている。
【0010】
更に第二の手段として、患部に巻掛けた膨出部空気袋の接触が出来るだけ良い事が望ましいので空気袋に「図4a」「図4b」の3b・3cに示すように3aの隣接熔着貫通孔との間隔に差をつけることで膨出時の膨らみに差が出るように考慮している。
【0011】
尚、第三の手段としては「0008」の構造のために例えば「図13a」「図13b」
のような複雑な展開輪郭の膨出部空気袋の装置も容易に製作することが出来前記「0010」との組合せで人力による加減圧器装置に効果が大である。
【0012】
指圧とマッサージ、リラクゼーションは、各々その患部に対する圧力の加え方が異なる。指圧はツボ押しであり、他は比較的広い範囲の血流と筋肉こりをほぐすもので、加圧のインターバル(サイクルタイム)も各々異なるが本発明は使用者本人が心地よい程度で操作するので特別の装置は必要ないが、ツボを押す力は他の部分と著しく異なるので「図5a」「図5b」の15に示す基盤に14の突起物を取付け突起の先端が患部のツボ部に接するようにし基板の背面を膨出袋体によって圧迫させることでツボ部の押圧を増幅させている。
【0013】
使用者の体形の個人差、使用目的、製作の難易、加減圧器の容量などを考慮し「非特許文献3」ツボ健康百科を参考にして装置を「図12」のA・B・Cに区分して製作しているが、区分は任意である。
【発明の効果】
【0014】
装置の膨出部の空気袋と連通する人力加減圧器に予圧を与え密封した装置内の空気の移動のみであるから、装置外との給、排気は全くないので空気汚染や騒音などは発生しない。
【0015】
完全な人力操作であるから周辺機器や人員に対し電波や電磁波の障害を起さないので使用場所の制約を受けない。
【0016】
軽量小形で形態が容易で既設の家具、交通機関や作業用椅子或いは車椅子などにも手軽に使用出来る。
【0017】
使用者本人が適当な予圧を与え密封後送風容積が限定された人力加減圧器を操作し更に体に接触しないところは拘束されていないために操作ミスによる圧力超過の危険は起らない。
【0018】
構造が単純で保守点検も容易であり使用者自身の運動可能な部分で加減圧器を操作するため「非特許文献4」「非特許文献5」の主旨の達成も期待される。
【0019】
材料は普辺化されたもので使用する材料の種類も少なく、加工設備も一般化されている高周波ウエルダーと簡単な金型のみで特種な技術を必要とせず周辺の環境を害することもなく製造原価も安価である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1a】従来品の下肢部マッサージ装置の1例
【図1b】従来品の腕部マッサージ装置の1例
【図2a】本発明使用の膨出部空気袋の膨張時X-X断面矢視図の見取図
【図2b】本発明使用の膨出部図2aの平面図の例
【図3a】請求項1の下肢部用「図3b」に装着した空気袋の展開見取図
【図3b】請求項1の下肢部用装置の装着見取図
【図4a】請求項1の腕部「図4b」用空気袋の展開図の例
【図4b】請求項1の腕部用の見取図(腕挿入の図は詳略)
【図5a】請求項2、特定のツボ部に強い指圧効果を与える目的の補助具
【図5b】請求項2、特定のツボ部に強い指圧効果を与える補助具の取付図
【図6a】圧迫と馳緩を人力で行う人力加減圧器の例の見取図
【図6b】圧迫と馳緩を人力で行う人力加減圧器の例の見取図
【図7】「非特許文献ツボ健康百科」の背面のツボの位置
【図8】「非特許文献ツボ健康百科」の腹面のツボの位置
【図9】「非特許文献ツボ健康百科」の下肢部の表、裏のツボの位置
【図10】「非特許文献ツボ健康百科」の足底部のツボの位置
【図11】「非特許文献ツボ健康百科」の腕部の表と裏のツボの位置
【図12】「非特許文献ツボ健康百科の分布よりA・B・Cの部位に区分した例
【図13a】図12のA部の肩用装置の膨出部袋体の展開図
【図13b】図12のA部の肩用装置の装着見取図
【図14a】図12のB部装置の平面見取図の例
【図14b】図12のB部装置の装着時の背面見取図の例
【図14c】図12のB部装置の装着時の腹部見取図の例
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本発明の実施の形態を図1aから図14cに基づいて説明する。
【0022】
「図1a」、「図1b」は給排気ポンプとコントローダー、減圧、加圧弁などを使用し給気することで圧迫し排気することで馳緩させる従来形を示している「特許文献5」同じ目的の本発明の図3a、図3b、図4a、図4bと対比するために示したもの。
【0023】
図2a〜図14cの図において、「図2a」の1.2は圧迫と馳緩を行う装置本体の二枚のビニールシートであり、図中A−B−C−Dの太線は膨出部の空気袋の輪郭をウエルダーによって熔着した線を表わしている。この熔着線の表示は他の図では詳略。
前記輪郭線に囲まれたシートの一枚に外部と連通する通気管18が取付けられており、人力加減圧器4と17で接続している。16は予圧弁である。3aは二枚のビニールシートを熔着で貫通させた孔の直径を示し、Pa、Pbはそれぞれ隣接する孔との間隔を示している。3b、3c、3dは4の加減圧器で加圧した時の膨らみの見取図で孔との間隔が大きい程「図2a」の3b、3c、3dに示すように膨らみは大きくなる。従って用途によって3aとPは任意に設定する。予圧が無い場合は薄い2枚のビニールシートの厚みのみで「図4b」の内部に腕を通すなど容易となる。
【0024】
前項に示した構造が基本で「図3a」「図4a」「図13a」「図14a」に示す平面図の例のような膨出空気袋を作り、患部に巻掛けて使用する。
【0025】
平面的に形成した空気袋を使用者が装着する場合本発明品は伸縮性があり更に厚みが極度に薄いので比較的に装着斑は少ないが使用者の体形に個人差もあり人力加減圧器の容積に限界があるため個人差による調節を「図3a」「図4a」では装着時の結合部A-E・B-F・C-G・D-H部に「図13a」「図14a」では、11a・11c・11dのマジックテープ(登録商標)などで調整する。
【0026】
特に強い刺激の加圧のツボには「図5a」「図5b」の15に示す厚手のシートに使用者に合わせたツボの位置を印し、そのところに突起物14を接着し、その背面を「図14c」のように装着し、加減圧器4a,4bによって圧迫と馳緩を行うことで、指圧効果を高める。この方法は「図13b」「図3b」「図4b」などにも使用している。
【0027】
次に本装置の実施例を示す。
材料 空気袋.加圧器 軟質塩化ビニールシート (国産、一般市販品)
硬度 #700
厚さ 0.4mm
熔着条件
高周波 ウエルダー 足踏式 (国産 標準品)
出力 4kw
最大圧力 250kg
電極材料 黄銅 (標準規格品、市販)
【符号の説明】
【0028】
1・2 気密で伸縮性のある軟質塩化ビニールシートなど
3a 二枚のシート1.2を重ねて高周波ウエルダーで穿った熔着貫通孔の孔径
3b、3c、3d 二枚のシートの輪郭とその内部に穿った熔着貫通孔3aで囲まれた加減圧器4の通気で膨出した頂点。
4 人力加減圧器(空気袋とパイプ18で連通)
4a・4b 膨出部空気袋の一部を人力加減圧器としたもの
5 人力加減圧器「図6」の熔着線
6 「図12」の人体の臍(へそ)
7 空気袋を下肢部に拘束する組み紐用鳩目孔
8・9 組み紐で拘束時の接合線
10 ツボ健康百科「非特許文献3」のツボの位置
11a〜11d 装着用マジックテープ(登録商標)
12 「図13a」「図13b」の輪郭熔着による切断線
13 「図14a」腰部装置の2ヶ所の加減圧器4a、4b空気通路の分離線
14 ツボ部に指圧効果を強めるため「図5a」「図5b」の突起物
15 上記14突起物を取付けるシート
16 加減圧器4の給気弁
17 加減圧器から膨出空気袋に連通する連通孔
18 加減圧器と膨出空気袋との連通パイプ
19 加減圧器と膨出空気袋との連通孔
20 使用者の身体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
指圧、マッサージ、リラクゼーション装置の膨出部を人力の加減圧器で圧迫と馳緩をさせる膨出部の構造に於て、軟質のビニールシートを二枚重ね加減圧器と連通する通気孔を設け、施療部の輪郭に沿って熔着し、その内側に通気時に期待する膨らみの高さに対応する間隔で二枚のシートを貫通する熔着孔を穿ち装着時の接触をよくする構造。
【請求項2】
指圧のツボを押す圧力を他の膨出部より大きくし指圧効果を高めるため基板シートに突起物をつけツボ押し突起物先端の押圧を増加する構造。


【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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