説明

施設園芸ハウス用温風暖房システム

【課題】温湿度や炭酸ガス濃度を調節可能な施設園芸ハウス用温風暖房システムを提供することを目的とする。
【解決手段】施設園芸ハウス用温風暖房システム1は、温風暖房機3a〜3cと、温風暖房機3a〜3cに接続されるとともに側面部に多数の穴13を有し、ダクトジョイント12a,12bで接続された複数のパイプから構成されるビニルダクト4と、循環扇5a,5bと、配線11a〜11cを介して接続された温風暖房機3a〜3cを制御するコントローラ9と、操作盤10と、温度センサ6a〜6d、湿度センサ7及び炭酸ガス濃度検出器8とを備え、コントローラ9は、温度センサ6aが検出した気温が第1の設定値以下の時、温風暖房機3a〜3cに運転開始の指令信号を発し、気温が第1の設定値以上の時、この指令信号を温風暖房機3a,3cのみに発し、遅延時間経過後、気温が第2の設定値に到達しない時には温風暖房機3bにもこの指令信号を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を栽培する施設園芸ハウス内の環境を調節する暖房システムに係り、特に、温湿度及び炭酸ガス濃度を調節可能な施設園芸ハウス用温風暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
施設園芸ハウス(以下、ハウスという。)を利用して作物を栽培する場合、作物の生育に適するように温湿度、空気循環、炭酸ガス濃度などを常に最適に保つ必要がある。そのため、近年では、上記ハウス内環境の調整は自動化されつつある。例えば、地窓天窓の自動開閉や暖房機、換気扇、送風機、炭酸ガス発生装置の自動運転などによって温湿度の調整やハウス内の空気循環及び炭酸ガスの供給が行われている。通常、これらの自動設備は所定の時刻になると運転を開始し、あるいは停止するように設定されている。しかしながら、ハウスの形態は、作物の種類、地域、季節、施設規模によって様々であり、同一作物であっても生育時期によって環境条件が異なるため、一度設定した運転条件を変更し直す必要があった。また、実際のハウス内環境に即した柔軟な運転ができないという課題があった。
【0003】
このような課題に対処するため、いくつかの発明や考案が開示されている。例えば特許文献1には、「ハウス用暖房機の制御装置」という名称で、センサが故障した場合でもハウス内の暖房運転を安全に制御することができるハウス用暖房機の制御装置に関する発明が開示されている。
【0004】
以下、図10を参照しながら、特許文献1に開示された発明について説明する。図10は従来技術に係るハウス用暖房機の制御装置の概略構成を表したシステム・ブロック図である。
図10に示すように、従来技術に係る「ハウス用暖房機の制御装置」は、複数の温度センサ101a、101bと、送風機102と、バーナー103と、制御装置104とからなり、制御装置104は温度センサ101a等の信号に基づいて、送風機102及びバーナー103を制御している。制御装置104は、温度センサ101a等に接続された入力回路106と、装置全体の運転状態を統括するコントロール回路107と、入力回路106からの信号に応じて送風機102及びバーナー103の運転を調節する温調回路108と、ハウス内の暖房運転の開始時間と目標温度をそれぞれ設定入力する時間設定回路109及び温度設定回路110と、温度センサ101a等のいずれか一方にトラブルが発生した場合に正常な温度センサからの信号を基準値とするために温度センサからの検出信号を読み込む補正回路111と、予め設定したタイミングでクロックパルスを出力するタイマー回路112及びこれらの回路からの情報に基づき、送風機102及びバーナー103に駆動信号を出力する電子制御回路105とから構成されている。なお、制御装置104は、CPU105aと、ROM105bと、RAM105cと、I/Oポート105dと、これらを接続するバスライン105eとを備えた周知のマイクロコンピュータである。
このような構造においては、複数の温度センサのいずれか一つにトラブルが発生しても他のセンサがバックアップとして機能するので、送風機102及びバーナー103が運転を停止したり、暴走運転を起こすことがない。また、全ての温度センサが機能しなくなった場合には、タイマー回路112に予め設定されている信号に応じて送風機102及びバーナー103の運転を続行することができるので、ハウス内の暖房運転の停止や暴走によって、作物が大打撃を受けることがない。
【0005】
また、特許文献2には「高温型熱風加温機を用いる施設園芸用温室の暖房方法と装置」という名称で、中規模(面積が1,000m)以上の温室を温水暖房設備を用いずに小型の加温機を少数用いて暖房する方法とその装置に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された「高温型熱風加温機を用いる施設園芸用温室の暖房方法と装置」は、高温型熱風加温機に連結した小口径の熱風ダクトを圃場内に延在させ、その端末部を温風吹出し口が形成された温風吹出しユニットに連結させるとともにこの温風吹出し口の近傍に送風機を配置したことを特徴とするものである。
このような構造の暖房装置においては、熱風ダクトを介して高温型熱風加温機から温風吹出しユニットに送り込まれた熱風を温風吹出しユニット内に別途吸い込まれた温室内空気と混合し、温風として温風吹出し口から温室内四方へ吹出すことができる。
【0006】
【特許文献1】特開平5−56723号公報
【特許文献2】特開2002−305992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術である特許文献1に開示された発明は、温度センサのトラブルによる装置の暴走運転を防止することができるものの、作物の種類、地域、季節、施設規模に応じた環境条件を実現する多様な温度パターンを設定することができないという課題があった。
【0008】
また、特許文献2に開示された発明においては、ハウス内の湿度及び炭酸ガス濃度については調整・管理を行うことができないという課題があった。
【0009】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、温湿度や炭酸ガス濃度を調節可能な施設園芸ハウス用温風暖房システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である施設園芸ハウス用温風暖房システムは、作物を栽培する施設園芸ハウス内の環境を調節する暖房システムにおいて、所望の装置に対して指令信号を発してその動作を制御する制御手段と、指令信号に従って動作する少なくとも1機ずつ備えられる先発型と後発型の温風暖房機と、これらの温風暖房機に接続されてハウス内の所望の箇所に温風を送出する温風ダクトと、ハウス内の気温を検出する温度検出手段とを備え、温風暖房機は温風を温風ダクトへ送り込むための送風機と、熱交換器内における燃料の燃焼に伴う発熱により温風を発生させる温風発生手段とを有し、制御手段は、温度検出手段によって検出される気温が予め定められた第1の設定値以下の場合には、先発型の温風暖房機と後発型の温風暖房機に対して温風発生手段と送風機の運転を開始させるために同時に指令信号を発し、温度が第1の設定値より高い場合には運転開始のための指令信号を先発型の温風暖房機のみに発し、その後気温が、予め定められた遅延時間経過後、予め定められた第2の設定値に到達しない場合には後発型の温風暖房機にも運転開始のための指令信号を発することを特徴とするものである。
上記構成の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、ハウス内の気温の検出結果に基づいて環境条件の調整及び管理を行うため、制御誤差が小さく抑えられるという作用を有する。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、ハウス内の環境を調節する暖房システムにおいて、所望の装置に対して指令信号を発してその動作を制御する制御手段と、指令信号に従って動作するひとつ或いは複数の温風暖房機と、この温風暖房機に接続されてハウス内の所望の箇所に温風を送出する温風ダクトと、ハウス内の気温を検出する温度検出手段と、ハウス内の炭酸ガス濃度を検出する炭酸ガス濃度検出手段とを備え、温風暖房機は温風を温風ダクトへ送り込むための送風機と、熱交換器内における燃料の燃焼に伴う発熱により温風を発生させる温風発生手段とを有し、熱交換器はその出口に切換機構を備え、燃焼後の排気ガスの排出先をハウス内あるいはハウス外へ切り替え可能であり、制御手段は気温が予め入力された設定値に達すると温風発生手段及び送風機の運転を開始若しくは停止させるための指令信号を発するとともに、炭酸ガス濃度が予め入力された設定値に達すると切換機構を作動させて排気ガスの排出先を切り替えることを特徴とするものである。
上記構成の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、温風暖房機によってハウス内の炭酸ガス濃度が調整されるという作用を有する。
【0012】
請求項3記載の発明は、ハウス内の環境を調節する暖房システムにおいて、所望の装置に対して指令信号を発してその動作を制御する制御手段と、指令信号に従って動作するひとつ或いは複数の温風暖房機と、この温風暖房機に接続されてハウス内の所望の箇所に温風を送出する温風ダクトと、ハウス内の気温を検出する温度検出手段と、ハウス内の空気の循環及び排出を行う送風手段とを備え、温風暖房機は温風を温風ダクトへ送り込むための送風機と、熱交換器内における燃料の燃焼に伴う発熱により温風を発生させる温風発生手段とを有し、制御手段は気温が予め入力された設定値に達すると温風発生手段及び送風機の運転を開始若しくは停止させるための指令信号を発するとともに、送風手段の運転開始信号を受信すると温風暖房機に対して送風機のみを運転させるための指令信号を発し、送風手段の運転停止信号を受信すると送風機の運転を停止させるための指令信号を発することを特徴とするものである。
上記構成の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、送風手段を作動させる際には温風暖房機の送風機のみを連動運転させるため、外部へ暖気が無駄に排出されず、ハウス内の空気が効率よく循環されるという作用を有する。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいて、ハウス内の湿度を検出する湿度検出手段を備え、送風手段は制御手段の指令信号に従ってハウス内の空気の循環及び排出を行い、制御手段は湿度が予め入力された上限値以上の場合には温風暖房機に対して送風機のみを運転させるための指令信号を発するとともに送風手段に対して運転を開始させるための指令信号を発し、湿度が予め入力された上限値を下回ると温風暖房機に対して送風機の運転を停止させるための指令信号を発するとともに送風手段に対して運転を停止させるための指令信号を発することを特徴とするものである。
上記構成の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、請求項3に記載の発明と同様の作用を有する。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のハウス内の環境を調節する暖房システムにおいて、所望の装置に対して指令信号を発してその動作を制御する制御手段と、指令信号に従って動作するひとつ或いは複数の温風暖房機と、この温風暖房機に接続されてハウス内の所望の箇所に温風を送出する温風ダクトと、ハウス内の気温を検出する温度検出手段とを備え、温風暖房機は温風を温風ダクトへ送り込むための送風機と、熱交換器内における燃料の燃焼に伴う発熱により温風を発生させる温風発生手段とを有し、制御手段は指令信号を発する時刻を予め複数設定することが可能であり、この設定した時刻毎に温風発生手段及び送風機の運転を開始若しくは停止させるための指令信号を発するとともに、予め設定された時刻になる前に気温が予め入力された設定値に達すると温風発生手段及び送風機の運転を停止させるための指令信号を発することを特徴とするものである。
上記構成の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載された発明の作用に加えて、複数の温風暖房機が時間差をおいて運転を開始するという作用を有する。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいて、制御手段は、設定値を予め入力された設定時刻毎に設定可能であり、設定時刻毎に設定値を変更可能であることを特徴とするものである。
上記構成の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載された発明の作用に加えて、複数の運転開始時刻と運転終了時刻を設定し、目標温度に対する許容範囲の上限値及び下限値を各運転開始時刻に対応するように複数設定した場合には、時間の経過とともにハウス内の気温が段階的に変化するという作用を有する。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の請求項1に記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、ハウス内の環境条件を効率よく制御できるため、消費エネルギーを節約することが可能であり、作物に無用なストレスを与えないようにすることができる。
【0017】
本発明の請求項2に記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、温風暖房機と別個に炭酸ガス発生装置を用意する必要がなく、設備投資の無駄を省くことができる。
【0018】
本発明の請求項3に記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、温風暖房機の送風機を利用するため、別個に送風設備を用意する必要がない。従って、設備投資の無駄を省くことが可能である。
【0019】
本発明の請求項4に記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、請求項3に記載された発明の効果に加えて、送風手段と温風暖房機の送風機が同時に一つの制御手段の指令に従って連動運転するため、効率の良い制御を行うことができる。
【0020】
本発明の請求項5に記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載された発明の効果に加えて、複数の温風暖房機の運転開始のタイミングをずらすことにより、エネルギーの無用な消費を抑えることができる。
【0021】
本発明の請求項6に記載の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載された発明の効果に加えて、作物の種類、地域、季節、施設規模に応じた環境条件を実現する多様な温度パターンを設定することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の最良の実施の形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムの実施例について説明する。なお、以下の実施例では、限界高温値及び限界低温値をそれぞれ上下のしきい値とする温度範囲を設定し、ハウス内の気温がこの温度範囲内から外れて作物の生育が阻害されることがないように、温風暖房機の動作を制御している。
【実施例1】
【0023】
実施例1について図1乃至図5を用いて説明する(特に請求項6に対応)。図1は本発明の実施の形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムの平面図である。
図1に示すように、施設園芸ハウス用温風暖房システム1は、作物を栽培するハウス2内の環境を調節するものであって、温風を発生させる温風暖房機3a〜3cと、これらの温風暖房機に接続されたビニルダクト4と、ハウス2内の空気を強制的に循環させる循環扇5a,5bと、温湿度及び炭酸ガス濃度をそれぞれ検出する温度センサ6a〜6d、湿度センサ7及び炭酸ガス濃度検出器8と、温風暖房機3a〜3cに対して指令信号を送って各々の運転状態を制御するコントローラ9と、コントローラ9に配線接続(図示せず)されたハウス2電気設備用の操作盤10とを備え、温風暖房機3a〜3cとコントローラ9は配線11a〜11cによってそれぞれ電気的に接続されている。また、循環扇5a,5bは図示しない配線によって電気的に接続された操作盤10によって運転状態を制御されており、運転を開始した場合には運転信号を操作盤10に送信する。そして、操作盤10はこの運転信号をさらにコントローラ9に送信する。
【0024】
ビニルダクト4は、ダクトジョイント12a,12bを介して互いに接続されるとともに、側面部に穴13が等間隔に設けられた複数のビニルパイプから構成され、その一部は温風暖房機3a〜3cの吐出口(図示せず)にダクトバンド(図示せず)を用いて固定接続されている。従って、温風暖房機3a〜3cで発生した温風はビニルダクト4の穴13からハウス2内に均一に送出される。
【0025】
温度センサ6a〜6dは、コントローラ9、温風暖房機3a〜3cにそれぞれ配線接続されており、温度センサ6a〜6cは温風暖房機3a〜3cからそれぞれ20m程度離して設置され、温度センサ6dはコントローラ9から40m程度離して設置されている。また、湿度センサ7及び炭酸ガス濃度検出器8は、コントローラ9にそれぞれ配線接続されている。なお、本実施例では、コントローラ9をハウス2の骨組み(図示せず)に係止した状態で設置するが、予め園地に埋め込まれた専用のサポート部材に設置しても良い。
【0026】
次に、温風暖房機について図2乃至図4を用いて説明する。一般に、温風暖房機には間接温風仕様型(以下、間熱型温風暖房機という。)と直接温風仕様型(以下、直火型温風暖房機という。)の2つの形態がある。図2は間熱型温風暖房機の斜視図である。
図2に示すように、間熱型温風暖房機14は、バーナー15を用いて熱交換器(図示せず)内において燃料(灯油、重油又はガス)を燃焼させ、燃焼ガスを排気煙突16から排出するとともに、吸入網17を通して吸い込んだ空気を熱交換器での熱交換により暖め、内蔵する送風機(図示せず)を用いて温風として吐出口18から送出する構造となっている。なお、間熱型温風暖房機14の正面上部には操作盤19が配置されており、図1で説明したコントローラ9による集中制御を受けるか否かの切換を行うことができる。
このような構造の間熱型温風暖房機14を図1に示したハウス2に設置した場合、上記の燃焼ガスは排気煙突16を経由してハウス2外に排出されるため、ハウス2の空気成分を変化させずに気温のみを上昇させることができる。なお、このとき、ハウス2内の相対湿度は下降することになる。
【0027】
図3は直火型温風暖房機の斜視図である。なお、図2に示したものと同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図3に示すように、直火型温風暖房機20は、略直角に折れ曲がった直火煙突21を備え、直火煙突21の吸入網17に面した側には排気ガスを排出する開口部(図示せず)が設けられている。
このような構造の直火型温風暖房機20においては、バーナー15を用いた熱交換器(図示せず)内での燃料の燃焼により発生した排気ガスは直火煙突21を経由して吸入網17から再び装置内に吸い込まれ、熱交換器における熱交換により暖められた空気と混合されて、送風機(図示せず)によって吐出口18からともに送出されるという作用を有する。このように、燃焼によって発生したすべての熱を暖房に利用することができるので、効率的である。さらに、排気ガスには炭酸ガスが含まれているので、気温だけでなく、炭酸ガス濃度も上昇させることができる。ただし、排気ガス中に生成物として硫黄化合物が含まれないようにするために、燃料は灯油あるいはLPG(Liquefied Petroleum Gas:石油液化ガス)とする。
【0028】
図4は直間切換型温風暖房機をハウス内に設置した状態を示す正面図である。なお、図2及び図3に示したものと同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図4に示すように、直間切換型温風暖房機22は、図2で説明した間熱型温風暖房機14において、直火煙突21と、矢印で示す方向に回動自在に軸支された切換ダンパ23とを備え、切換ダンパ23は熱交換器(図示せず)内での燃料の燃焼により発生した排気ガスの排出先を排気煙突16から直火煙突21へ、あるいはその逆に切換える構造となっている。
このような構造の直間切換型温風暖房機22においては、切換ダンパ23を用いて排気ガスの排出先を切り換えることにより、間熱型温風暖房機14又は直火型温風暖房機20としてそれぞれ使用することができる。
【0029】
次に、本実施例の施設園芸ハウス用温風暖房システムの動作について説明する。図5は本発明の実施の形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムの実施例1の動作手順を示すフローチャートである。なお、図1乃至図4で説明した構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例では、温風暖房機3a,3bは間熱型温風暖房機14であり、温風暖房機3cは直間切換型温風暖房機22である。また、循環扇5a,5bは操作盤10の指令に従い、湿度センサ7によって検出された相対湿度が予め設定された上限値以上になると運転を開始し、この上限値を下回ると運転を停止する。さらに、直間切換型温風暖房機22は手動によって切換ダンパ23を作動させ、炭酸ガス濃度検出器8によって検出された炭酸ガス濃度が予め設定された下限値以下になると間熱型から直火型に切換え、上限値以上になると直火型から間熱型に切換えるものとする。
また、本実施例では、気温の微少な変動を許容して効率の良い制御を行うために、目標温度に対して許容範囲を設定している。以下の説明で使用する上限値及び下限値はこの許容範囲の上下のしきい値をそれぞれ表すものである。
【0030】
まず、ステップS10でコントローラ9が作動し、温風暖房機3a〜3cに対して制御を開始する。ステップS20で予め設定された運転開始時刻になっていないとステップS20の前に戻る。これは、運転開始時刻になるまで温風暖房機3a〜3cが待機状態にあることを意味している。そして、運転開始時刻になるとコントローラ9はステップS30に進む。ここで、ステップS20とステップS30の間に示したAは実施例3乃至実施例5で後述するサブルーチンを表している。
ステップS30において、温度センサ6dによって検出されたハウス2内の気温が予め設定された下限値以下の場合にはステップS40に進み、温風暖房機3a〜3cが運転中でないときはステップS50に進んで温風暖房機3a〜3cを作動させ、温風暖房機3a〜3cが運転中のときはステップS50を迂回してステップS60に進む。一方、ステップS30で上記気温が下限値より高い場合にはステップS40及びステップS50を迂回してステップS60に進む。
次に、ステップS60で上記気温が予め設定された上限値以上の場合にはステップS70に進み、温風暖房機3a〜3cが運転中のときはステップS80に進んで温風暖房機3a〜3cの運転を停止させ、温風暖房機3a〜3cが運転中でないときはステップS80を迂回してステップS90に進む。一方、ステップS60で上記気温が上限値より低い場合にはステップS70及びステップS80を迂回してステップS90に進む。
ステップS90で運転終了時刻になっていない場合にはステップS30の前に戻り、運転終了時刻になった場合にはステップS100に進み、温風暖房機3a〜3cが運転中のときはステップS110に進んで温風暖房機3a〜3cの運転を停止させた後、ステップS120に進む。一方、ステップS100において、温風暖房機3a〜3cが運転中でないときはステップS110を迂回してステップS120に進み、コントローラ9は制御を終了する。
【0031】
以上説明したように、本実施例の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、センサによるハウス内の温湿度及び炭酸ガス濃度の検出結果に基づいて環境条件の調整及び管理を行うため、エネルギーを節約することができるとともに、環境条件の制御誤差を小さく抑えることができる。従って、作物に無用なストレスを与えることがない。
【0032】
なお、本発明の施設園芸ハウス用温風暖房システムの動作手順は本実施例に示したものに限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、ステップS120でコントローラ9による制御を終了させずに、ステップS20の前に戻るようにしてもよい。そして、複数の運転開始時刻と運転終了時刻を設定し、目標温度に対する許容範囲の上限値及び下限値を各運転開始時刻に対応するように複数設定することによれば、時間の経過とともにハウス2内の気温を段階的に変化させることができる。この場合、作物の種類、地域、季節、施設規模に応じた環境条件を満足する多様な温度パターンを実現することが可能である。
【実施例2】
【0033】
実施例2について図6を用いて説明する(特に、請求項1及び請求項5に対応)。図6は本発明の実施の形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムの実施例2の動作手順を示すフローチャートである。本実施例は実施例1の場合と構成要素が同じであり、温風暖房機の動作のみが異なるため、図1乃至図4で説明した構成要素と同じものについては同一の符号を付し、図5で説明した動作手順と同一のものについては同一のステップ番号を付して、それぞれその説明を省略する。特に、図6においてステップS30以前及びステップS60以後のステップは図5と同一のため、図示及び説明を省略する。
また、上限値及び下限値の定義については実施例1と同様である。そして、本実施例で使用する第2の設定値は下限値以下の温度を表し、第1の設定値は第2の設定値よりも低い温度を表している。
さらに、本実施例では、温風暖房機3a,3bは間熱型温風暖房機14であり、温風暖房機3cは直間切換型温風暖房機22である。そして、温風暖房機3a,3cは先発型、温風暖房機3bは後発型に設定されている。また、循環扇5a,5b及び直間切換型温風暖房機22の切換ダンパ23の動作は実施例1と同様である。
【0034】
ステップS31において、温度センサ6dによって検出されたハウス2内の気温が第1の設定値以下の場合にはステップS40に進む。そして、ステップS40で温風暖房機が運転中でない場合はステップS50に進んで、温風暖房機を作動させて、ステップS60に進む。これに対し、ステップS40で温風暖房機が運転中の場合にはステップS50を迂回してステップS60に進む。これはハウス2内の気温が第1の設定値以下の場合には、すべての温風暖房機3a〜3cを作動させることを意味している。
一方、ステップS31で上記気温が第1の設定値より高い場合は、ステップS32に進み、温風暖房機が先発型の場合にはステップS40に進む。これは、ハウス2内の気温が第1の設定値より高い場合には、先発型の温風暖房機3a,3cのみを先行して作動させることを意味している。
次に、ステップS32で温風暖房機が先発型でない場合にはステップS33に進み、遅延時間を経過した場合にはステップS34に進み、遅延時間を経過していない場合にはステップS33の前に戻る。そして、ステップS34でハウス2内の気温が第2の設定値より高い場合にはステップS60に進み、第2の設定値以下の場合にはステップS40に進み、温風暖房機が運転中でないときはステップS50に進んで、温風暖房機を作動させて、ステップS60に進む。また、温風暖房機が運転中の場合にはステップS50を迂回してステップS60に進む。これは、遅延時間経過後にハウス2内の気温が第2の設定値を超えていない場合には、すでに運転中の温風暖房機3a,3cに加えて、後発型の温風暖房機3bを作動させることを意味している。
【0035】
なお、本発明の施設園芸ハウス用温風暖房システムの動作手順は本実施例に示したものに限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、ステップS30で使用する下限値を第2の設定値と同じ値としても良い。この場合、コントローラ9の制御を本実施例の場合よりも簡単なものとすることができる。
【0036】
以上説明したように、本実施例の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、温風暖房機を先発型と後発型に分けるとともに後発型に遅延時間を設定し、遅延時間を経過する前にハウス内の気温が所望の値に達した場合には、後発型の温風暖房機を作動させない構成となっているため、エネルギーの無用な消費を抑えることができる。
【実施例3】
【0037】
実施例3について図7を用いて説明する(特に、請求項2に対応)。図7は本発明の実施の形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムの実施例3の動作手順を示すフローチャートである。本実施例は実施例1の場合と構成要素が同じであり、温風暖房機の動作のみが異なるため、図1乃至図4で説明した構成要素と同じものについては同一の符号を付して、その説明を省略する。なお、本実施例は図5中にサブルーチンAとして示した部分に係るものであり、ステップS20以前及びステップS30以後のステップは図5と同一のため、図示及び説明を省略する。
本実施例では、温風暖房機3a〜3cの種類と循環扇5a,5bの動作は実施例1と同様である。ただし、温風暖房機3cの直間切換型温風暖房機22は切換ダンパ23の動作をコントローラ9によって制御されており、運転開始時は直火型となっている。
【0038】
ステップS21において、炭酸ガス濃度検出器8により検出された炭酸ガス濃度が予め設定された下限値以下の場合にはステップS22に進み、温風暖房機3cが間熱型でない場合はステップS24に進み、間熱型である場合はステップS23に進んで、コントローラ9は切換ダンパ23を作動させて直間切換型温風暖房機22である温風暖房機3cを間熱型から直火型に切換えた後、ステップS24に進む。これに対し、ステップS21で上記炭酸ガス濃度が下限値より高い場合にはステップS22及びステップS23を迂回してステップS24に進む。
次に、ステップS24で上記炭酸ガス濃度が予め設定された上限値以上の場合にはステップS25に進み、温風暖房機が直火型でない場合はステップS30に進み、直火型である場合はステップS26に進んで、コントローラ9は切換ダンパ23を作動させて直間切換型温風暖房機22である温風暖房機3cを直火型から間熱型に切換えた後、ステップS30に進む。これに対し、ステップS24で上記炭酸ガス濃度が上限値より低い場合にはステップS25及びステップS26を迂回してステップS30に進む。
【0039】
以上説明したように、本実施例の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、必要に応じて直間切換型温風暖房機を間熱型と直火型にそれぞれ切換えて使用するため、別個に炭酸ガス発生装置を用意する必要がなく、設備投資の無駄を省くことができる。
【実施例4】
【0040】
実施例4について図8を用いて説明する(特に、請求項3に対応)。図8は本発明の実施の形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムの実施例4の動作手順を示すフローチャートである。本実施例は実施例1の場合と構成要素が同じであり、温風暖房機の動作のみが異なるため、図1乃至図4で説明した構成要素と同じものについては同一の符号を付して、その説明を省略する。なお、本実施例は図5中にサブルーチンAとして示した部分に係るものであり、ステップS20以前及びステップS30以後のステップは図5と同一のため、図示及び説明を省略する。
本実施例では、温風暖房機3a〜3cの種類と循環扇5a,5b及び直間切換型温風暖房機22の切換ダンパ23の動作は実施例1と同様である。
【0041】
ステップS21において、コントローラ9が操作盤10から循環扇5a,5bの運転開始信号を受信するとステップS22に進み、温風暖房機3a〜3cが運転中でない場合はステップS25で温風暖房機3a〜3cの送風機のみを作動させてステップS26に進み、温風暖房機3a〜3cが運転中の場合はステップS23に進む。ステップS23で、温風暖房機3a〜3cのバーナー15及び送風機が運転中である場合はステップS24でコントローラ9はバーナー15を停止して送風機のみの運転に切換えて、ステップS26に進み、温風暖房機3a〜3cの送風機のみが運転中である場合はステップS24を迂回してステップS26に進む。これに対し、ステップS21でコントローラ9が上記運転開始信号を受信しない場合にはステップS22乃至ステップS28を迂回してステップS30に進む。
ステップS26でコントローラ9が操作盤10から循環扇5a,5bの運転停止信号を受信するとステップS28に進む。これに対し、コントローラ9が上記運転停止信号を受信しない場合にはステップS27に進み、温度センサ6dによって検出されたハウス2内の気温が予め設定された下限値より高いとステップS26に戻り、上記気温がこの下限値以下の場合はステップS28に進む。そして、ステップS28でコントローラ9は送風機の運転を停止してステップS30に進む。これは、ハウス2内の相対湿度の調整が完了していない場合であっても、気温が下限値以下になると循環扇5a,5bと連動運転状態にある温風暖房機3a〜3cの送風機を停止して気温の調整を優先させることを意味している。
【0042】
以上説明したように、本実施例の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、循環扇と温風暖房機の送風機を連動運転させるため、ハウス内の空気循環を効率よく行うことができる。そして、別個の送風設備を用意する必要がないため、設備投資の無駄を省くことが可能である。
【実施例5】
【0043】
実施例5について図9を用いて説明する(特に、請求項4に対応)。図9は本発明の実施の形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムの実施例5の動作手順を示すフローチャートである。本実施例は実施例1の場合と構成要素が同じであり、温風暖房機の動作のみが異なるため、図1乃至図4で説明した構成要素と同じものについては同一の符号を付して、その説明を省略する。なお、本実施例は図5中にサブルーチンAとして示した部分に係るものであり、ステップS20以前及びステップS30以後のステップは図5と同一のため、図示及び説明を省略する。
本実施例では、温風暖房機3a〜3cの種類と直間切換型温風暖房機22の切換ダンパ23の動作は実施例1と同様である。また、循環扇5a,5bの動作は実施例1とは異なり、操作盤10ではなくコントローラ9によって制御されている。
【0044】
ステップS21で湿度センサ7により検出された相対湿度が予め設定された上限値以上の場合にはステップS22に進み、温風暖房機3a〜3cが運転中でない場合はステップS25で温風暖房機3a〜3cの送風機のみを作動させるとともに循環扇5a,5bを運転させてステップS26に進み、温風暖房機3a〜3cが運転中の場合はステップS23に進む。ステップS23で、温風暖房機3a〜3cのバーナー15及び送風機が運転中である場合はステップS24でコントローラ9はバーナー15を停止して送風機のみの運転に切換えるとともに循環扇5a,5bを運転させて、ステップS26に進み、温風暖房機3a〜3cの送風機のみが運転中である場合はステップS24を迂回してステップS26に進む。これに対し、ステップS21で上記相対湿度が上限値より低い場合にはステップS27に進み、送風機及び循環扇5a,5bが運転中の場合はステップS28に進んでコントローラ9は送風機及び循環扇5a,5bの運転を停止し、送風機及び循環扇5a,5bが運転中でない場合はステップS28を迂回してステップS30に進む。
ステップS26において、温度センサ6dによって検出されたハウス2内の気温が予め設定された下限値より高いとステップS21に戻り、上記気温がこの下限値以下の場合はステップS28に進む。そして、ステップS28でコントローラ9は送風機及び循環扇5a,5bの運転を停止してステップS30に進む。これは、ハウス2内の相対湿度の調整が完了していない場合であっても、気温が下限値以下になると温風暖房機3a〜3cの送風機及び循環扇5a,5bの運転を停止して、気温の調整を優先させることを意味している。
【0045】
以上説明したように、本実施例の施設園芸ハウス用温風暖房システムにおいては、実施例4の場合と同様の効果を有するとともに、循環扇と温風暖房機の送風機を同時に一台のコントローラの指令によって連動運転させるため、両者を効率よく制御することができる。
【0046】
なお、本発明の施設園芸ハウス用温風暖房システムは本実施例に示したものに限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、温風暖房機の台数は3台に限らず、ハウスの規模に応じて増減させて良い。このとき、複数台の温風暖房機の少なくとも1台を直間切換型温風暖房機とすることが望ましいが、直間切換型温風暖房機の代わりに直火型温風暖房機を使用しても良い。さらに、ハウス内の気温を検出する際に、コントローラに接続された温度センサを使用する代わりに各温風暖房機に接続された温度センサを使用することができる。加えて、温湿度及び炭酸ガス濃度が予め設定された上限値又は下限値に達した場合に、音や光などで警報を発するようにしても良い。例えば、操作盤上のランプを点灯させて警報として表示させることができる。
また、実施例1の変形例の場合と同様に、複数の運転開始時刻と運転終了時刻を設定し、炭酸ガス濃度の上限値及び下限値あるいは相対湿度の上限値を各運転開始時刻に対応するように複数設定することとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように、本発明の請求項1乃至請求項6に記載された発明は、規模の大小によらず、作物を栽培するすべての施設園芸ハウスに対して適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムの平面図である。
【図2】間熱型温風暖房機の斜視図である。
【図3】直火型温風暖房機の斜視図である。
【図4】直間切換型温風暖房機をハウス内に設置した状態を示す正面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムの実施例1の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムの実施例2の動作手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムの実施例3の動作手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムの実施例4の動作手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係る施設園芸ハウス用温風暖房システムの実施例5の動作手順を示すフローチャートである。
【図10】従来技術に係るハウス用暖房機の制御装置の概略構成を表したシステム・ブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
1…施設園芸ハウス用温風暖房システム 2…ハウス 3a〜3c…温風暖房機 4…ビニルダクト 5a,5b…循環扇 6a〜6d…温度センサ 7…湿度センサ 8…炭酸ガス濃度検出器 9…コントローラ 10…操作盤 11a〜11c…配線 12a,12b…ダクトジョイント 13…穴 14…間熱型温風暖房機 15…バーナー 16…排気煙突 17…吸入網 18…吐出口 19…操作盤 20…直火型温風暖房機 21…直火煙突 22…直間切換型温風暖房機 23…切換ダンパ 101a,101b…温度センサ 102…送風機(又はポンプ) 103…バーナー(又はボイラ) 104…制御装置 105…電子制御回路 105a…CPU 105b…ROM 105c…RAM 105d…I/Oポート 105e…バスライン 106…入力回路 107…コントロール回路 108…温調回路 109…時間設定回路 110…温度設定回路 111…補正回路 112…タイマー回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を栽培する施設園芸ハウス(以下、ハウスという。)内の環境を調節する暖房システムにおいて、所望の装置に対して指令信号を発してその動作を制御する制御手段と、前記指令信号に従って動作する少なくとも1機ずつ備えられる先発型と後発型の温風暖房機と、これらの温風暖房機に接続されて前記ハウス内の所望の箇所に温風を送出する温風ダクトと、前記ハウス内の気温を検出する温度検出手段とを備え、前記温風暖房機は前記温風を前記温風ダクトへ送り込むための送風機と、熱交換器内における燃料の燃焼に伴う発熱により前記温風を発生させる温風発生手段とを有し、前記制御手段は、前記温度検出手段によって検出される気温が予め定められた第1の設定値以下の場合には、前記先発型の温風暖房機と後発型の温風暖房機に対して前記温風発生手段と前記送風機の運転を開始させるために同時に指令信号を発し、前記温度が前記第1の設定値より高い場合には前記運転開始のための指令信号を先発型の温風暖房機のみに発し、その後前記気温が、予め定められた遅延時間経過後、予め定められた第2の設定値に到達しない場合には後発型の温風暖房機にも前記運転開始のための前記指令信号を発することを特徴とする施設園芸ハウス用温風暖房システム。
【請求項2】
ハウス内の環境を調節する暖房システムにおいて、所望の装置に対して指令信号を発してその動作を制御する制御手段と、前記指令信号に従って動作するひとつ或いは複数の温風暖房機と、この温風暖房機に接続されて前記ハウス内の所望の箇所に温風を送出する温風ダクトと、前記ハウス内の気温を検出する温度検出手段と、前記ハウス内の炭酸ガス濃度を検出する炭酸ガス濃度検出手段とを備え、前記温風暖房機は前記温風を前記温風ダクトへ送り込むための送風機と、熱交換器内における燃料の燃焼に伴う発熱により前記温風を発生させる温風発生手段とを有し、前記熱交換器はその出口に切換機構を備え、燃焼後の排気ガスの排出先をハウス内あるいはハウス外へ切り替え可能であり、前記制御手段は前記気温が予め入力された設定値に達すると前記温風発生手段及び前記送風機の運転を開始若しくは停止させるための前記指令信号を発するとともに、前記炭酸ガス濃度が予め入力された設定値に達すると前記切換機構を作動させて前記排気ガスの前記排出先を切り替えることを特徴とする施設園芸ハウス用温風暖房システム。
【請求項3】
ハウス内の環境を調節する暖房システムにおいて、所望の装置に対して指令信号を発してその動作を制御する制御手段と、前記指令信号に従って動作するひとつ或いは複数の温風暖房機と、この温風暖房機に接続されて前記ハウス内の所望の箇所に温風を送出する温風ダクトと、前記ハウス内の気温を検出する温度検出手段と、前記ハウス内の空気の循環及び排出を行う送風手段とを備え、前記温風暖房機は前記温風を前記温風ダクトへ送り込むための送風機と、熱交換器内における燃料の燃焼に伴う発熱により前記温風を発生させる温風発生手段とを有し、前記制御手段は前記気温が予め入力された設定値に達すると前記温風発生手段及び前記送風機の運転を開始若しくは停止させるための指令信号を発するとともに、前記送風手段の運転開始信号を受信すると前記温風暖房機に対して前記送風機のみを運転させるための前記指令信号を発し、前記送風手段の運転停止信号を受信すると前記送風機の運転を停止させるための前記指令信号を発することを特徴とする施設園芸ハウス用温風暖房システム。
【請求項4】
前記ハウス内の湿度を検出する湿度検出手段を備え、前記送風手段は前記制御手段の前記指令信号に従って前記ハウス内の空気の循環及び排出を行い、前記制御手段は前記湿度が予め入力された上限値以上の場合には前記温風暖房機に対して前記送風機のみを運転させるための前記指令信号を発するとともに前記送風手段に対して運転を開始させるための前記指令信号を発し、前記湿度が予め入力された上限値を下回ると前記温風暖房機に対して前記送風機の運転を停止させるための前記指令信号を発するとともに前記送風手段に対して運転を停止させるための前記指令信号を発することを特徴とする請求項3に記載の施設園芸ハウス用温風暖房システム。
【請求項5】
前記ハウス内の環境を調節する暖房システムにおいて、所望の装置に対して指令信号を発してその動作を制御する制御手段と、前記指令信号に従って動作するひとつ或いは複数の温風暖房機と、この温風暖房機に接続されて前記ハウス内の所望の箇所に温風を送出する温風ダクトと、前記ハウス内の気温を検出する温度検出手段とを備え、前記温風暖房機は前記温風を前記温風ダクトへ送り込むための送風機と、熱交換器内における燃料の燃焼に伴う発熱により前記温風を発生させる温風発生手段とを有し、前記制御手段は前記指令信号を発する時刻を予め複数設定することが可能であり、この設定した時刻毎に前記温風発生手段及び前記送風機の運転を開始若しくは停止させるための前記指令信号を発するとともに、予め設定された前記時刻になる前に前記気温が予め入力された設定値に達すると前記温風発生手段及び前記送風機の運転を停止させるための前記指令信号を発することを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の施設園芸ハウス用温風暖房システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記設定値を予め入力された設定時刻毎に設定可能であり、前記設定時刻毎に前記設定値を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の施設園芸ハウス用温風暖房システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−296298(P2006−296298A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123021(P2005−123021)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(594189279)株式会社木原製作所 (6)
【Fターム(参考)】