既設杭の撤去装置及び撤去方法
【課題】 確実に既設杭を切り離して排出する既設杭の撤去装置及び撤去方法を提供すること。
【解決手段】 地中に埋設されている既設杭Tと、その既設杭の周りを囲むように地中に回転圧入されたケーシング200との間に形成された環状間隙に挿入され、ケーシングをチャックして一緒に回転しながら既設杭に対して縦筋を切断するように円周状に切欠きを形成した後、その切欠き部分で既設杭を切断し、切り離された既設杭を把持してケーシングに対するチャックを解除してケーシング外に搬送するためのものであって、上から順に、内側からケーシング内面をグリップしてチャック状態にするケーシンググリップ機構2と、既設杭を把持する杭チャック機構3と、既設杭に対して切欠きするカッターを備えた杭カッター機構4とを有する既設杭の撤去装置1。
【解決手段】 地中に埋設されている既設杭Tと、その既設杭の周りを囲むように地中に回転圧入されたケーシング200との間に形成された環状間隙に挿入され、ケーシングをチャックして一緒に回転しながら既設杭に対して縦筋を切断するように円周状に切欠きを形成した後、その切欠き部分で既設杭を切断し、切り離された既設杭を把持してケーシングに対するチャックを解除してケーシング外に搬送するためのものであって、上から順に、内側からケーシング内面をグリップしてチャック状態にするケーシンググリップ機構2と、既設杭を把持する杭チャック機構3と、既設杭に対して切欠きするカッターを備えた杭カッター機構4とを有する既設杭の撤去装置1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、場所打ち杭のような鉄筋を内部に有する地中に残された既設杭を、オールケーシング工法の技術を利用して回収するための既設杭の撤去装置及び撤去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の基礎には、場所打ち杭のような内部に鉄筋を備える鉄筋コンクリート製の杭が構築されている。再開発等によって建造物が取り壊される場合、地上の建物は解体して撤去することができるが、地中に残った基礎杭は、引き抜くような簡単な方法で撤去することができるようなものではない。しかし、その跡地に新たな建造物を建築したり更地にする場合、そのまま地中に既設杭を残しておく訳にはいかない。そこで、旧建造物に使用されていた地中に残る既設杭を撤去する撤去装置や撤去方法が、特開平10−195873号公報に開示されている。ここで、図11は、当該公報に記載された既設杭の撤去装置を示した図である。
【0003】
従来、既設杭Tを撤去する場合、撤去装置100によって既設杭Tを上の方から所定長さ分ずつ切断して切り離し、持ち上げて撤去する方法がとられている。その際、既設杭Tの回りを掘削する必要があるが、それには先ず、チュービング装置によってケーシング200を把持して回転させながら下降させることにより、先端の掘削ビット211で既設杭Tの周囲の地盤を掘削しながら地中に回転圧入される。こうしてケーシング200が所定の深さまで回転圧入された後は、ケーシング200を掘削開始位置に引き上げ、外筒101を先端ケーシング200内に挿入してクリッパ装置102でケーシング200の内周壁をグリップしてチャックさせる。そして、再びチュービング装置によってケーシング200を回転させながら下降させる。そうすると、掘削ビット104によってケーシング200内には既設杭Tの回りに筒状の環状間隙が形成される。
【0004】
こうして既設杭Tの回りが掘削されると、次に既設杭Tに切欠きt1が形成される。それには、不図示の油圧シリンダが伸びて既設杭Tの外周部に対し切欠形成ビット103が漸次傾動し、既設杭Tに対する切欠形成ビット103の押し付け力が付与される。そして、既設杭Tは切欠形成ビット103によって外周部に切欠きt1が形成され、それによって既設杭T内の縦筋が切断される。
その後、複数配置されたジャッキ105を伸ばして当接部材106を上下方向に移動させ、案内部材107のテーパ溝で案内された当接部材106が既設杭Tの下方を把持する。その状態で次に油圧シリンダ108が伸びると、当接部材111が案内部材112のテーパ溝で案内され内側に移動して、既設杭Tの外周部に横力を与える。その横力によって既設杭Tが切断される。
【0005】
そして、油圧シリンダ105が縮められて当接部材106による既設杭Tの把持が解除され、既設杭Tが再び把持し直されてから、切断された既設杭Tが把持されたまま吊り上げられて地上に搬出される。
その後、こうした方法で既設杭Tを回収する場合、以上のような工程を必要回数繰り返し、既設杭Tを順次、上部側から長尺の状態で切断して地上に搬出し回収する。
【特許文献1】特開平10−195873号公報(第5−7頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来例で挙げた既設杭Tの撤去装置100及び、その撤去装置100を使用した撤去方法では、横力を加えて既設杭Tを切断するようにしたものであるため、次のような問題があった。
撤去装置100が、切欠形成用ビット103で既設杭Tに切欠きt1を形成し、そこを横力によって切断する際、切欠きt1の下方位置を当接部材106によって把持しているため、切断した既設杭Tは把持し直さなければならない。ところが、横力によって切断された既設杭Tは傾いてしまい、把持のし直しが困難になったり、傾いたまま把持して地上にまで持ち上げて排出する際、外筒101内で引っかかってしまって排出できないことが起こり得る。更に、既設杭Tの縦筋を完全に切断しきれなかった場合には、横力だけでは既設杭Tを切り離すことができなくなってしまうおそれもある。
【0007】
よって、本発明は、かかる課題を解決すべく、確実に既設杭を切り離して排出する既設杭の撤去装置及び撤去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る既設杭の撤去装置は、地中に埋設されている既設杭と、その既設杭の周りを囲むように地中に回転圧入されたケーシングとの間に形成された環状間隙に挿入され、ケーシングをチャックして一緒に回転しながら既設杭に対して縦筋を切断するように円周状に切欠きを形成した後、その切欠き部分で既設杭を切断し、切り離された既設杭を把持してケーシングに対するチャックを解除してケーシング外に搬送するためのものであって、上から順に、内側からケーシング内面をグリップしてチャック状態にするケーシンググリップ機構と、既設杭を把持する杭チャック機構と、既設杭に対して切欠きするカッターを備えた杭カッター機構とを有するものであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る既設杭の撤去装置は、前記ケーシンググリップ機構が、円周方向に等間隔に配置された複数の昇降シリンダと、その昇降シリンダによって上下動する楔形に形成された複数の押圧ブロックと、径方向に移動可能であって押圧ブロックの上下動によって前記ケーシング内面に当接又は離間するグリップブロックとを有するものであることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る既設杭の撤去装置は、前記杭チャック機構が、円周方向に等間隔で配置された複数の昇降シリンダと、その昇降シリンダによって上下動する楔形に形成された複数の押圧ブロックと、径方向に移動可能であって押圧ブロックの上下動によって前記既設杭に当接又は離間するチャックブロックとを有するものであることが好ましい。
また、本発明に係る既設杭の撤去装置は、前記チャックブロックには、前記既設杭に突き刺さるようにした突起が形成されたものであることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る既設杭の撤去装置は、前記杭カッター機構が、中心軸に対する直交平面上を揺動するように軸支されたカッターと、そのカッターを揺動させる駆動シリンダとを有することが好ましい。
また、本発明に係る既設杭の撤去装置は、前記カッター機構が、下方に突き出した複数の掘削ビットが設けられたものであることが好ましい。
更に、本発明に係る既設杭の撤去装置は、前記ケーシンググリップ機構、杭チャック機構及び杭カッター機構の間には、それぞれ連結及び取り外しが可能な着脱部が形成されたものであることが好ましい。
【0012】
一方、本発明に係る既設杭の撤去方法は、地中に埋設されている既設杭と、その既設杭の周りを囲むように地中に回転圧入されたケーシングとの間に形成された環状間隙に撤去装置を挿入し、その撤去装置が、ケーシングをチャックして一緒に回転しながら既設杭に対して縦筋を切断するように円周状に切欠きを形成した後、その切欠き部分で既設杭を切断し、その切り離された既設杭を把持する一方でケーシングに対するチャックを解除することにより、その撤去装置とともに既設杭をケーシング外に搬送するようにしたものであって、前記ケーシングに対するチャックによって前記撤去装置がケーシングと一体になって回転する状態にしておき、先ず当該撤去装置の下方部分に設けられたカッターによって既設杭に対して切欠きを形成し、その後、前記撤去装置が切欠き部分の上方で把持した既設杭に回転を加えることによって、既設杭を切欠き部分でねじ切るようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
よって、本発明に係る既設杭の撤去装置及び撤去方法によれば、既設杭に切欠きを入れた後、その切欠き部分上方をつかんだ状態でねじ切るので、切断した後の既設杭を傾けることなく把持した状態のまま持ち上げて撤去することができる。そのため、従来の切欠き部分の上方に横力を加えて切断する方法のように、傾いた既設杭の掴み直しが必要ない上、撤去装置の内部に引っかかることもないので、確実に切断した既設杭を排出することができる。また、仮に縦筋の切り残しが生じてしまった場合でも、切欠き部分にねじりを加えることによって縦筋の切り残しも確実に切断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明に係る既設杭の撤去装置及び撤去方法について、その一実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、第1実施形態の撤去装置を示した断面図である。この撤去装置1は、上からケーシングをグリップするケーシンググリップ機構2、その下に既設杭Tを把持する杭チャック機構3、そして更にその下には既設杭Tに対して切欠きを形成する杭カッター機構4が設けられている。
【0015】
ケーシンググリップ機構2は、支持フレーム11上に吊下げフレーム12が固定されており、この吊下げフレーム12にクレーンからのワイヤが連結され、撤去装置1が吊り下げられるようになっている。支持フレーム11には、その下方に4本の昇降シリンダ13が円周方向に等間隔で吊設されている。昇降シリンダ13は、ピストンロッドが下方に突き出るように取り付けられ、そのピストンロッドに昇降フレーム14が固定されている。この昇降フレーム14には、楔形をした押圧ブロック15が軸着され、下方に吊り下げられるようにして取り付けられている。
【0016】
ところで、このケーシンググリップ機構2は、支持フレーム11と下方の台フレーム16とが、環状に形成された昇降フレーム14を貫通して配置された四角柱形状の連結管17によって固定され一体になっている。押圧ブロック15は、径方向内側の面が連結管17に摺接し、垂直方向に上下動できるように取り付けられている。そして、ケーシンググリップ機構2の最下段に設けられた台フレーム16には、各々の押圧ブロック15に対応して、径方向にスライド可能なグリップブロック18が設けられている。押圧ブロック15とグリップブロック18とは、互いにテーパ面同士が摺接するように形成され、それぞれが配置されている。
【0017】
次に、こうしたケーシンググリップ機構2の下には、既設杭Tを把持するための杭チャック機構3が構成されている。ここで、図2は、図1のA−A断面を示した杭チャック機構3の断面図である。
杭チャック機構3は、上端の連結プレート21とボックス状に形成された円筒形状の連結フレーム22とが一体に形成され、その連結プレート21とケーシンググリップ機構2の台フレーム16とのブラケット19,23が径方向に差し込まれた連結ピン20によって軸着されている。すなわち、ケーシンググリップ機構2から杭チャック機構3へのケーシング200の回転が、このブラケット19,23及び連結ピン20を介して伝達されるようになっている。
【0018】
杭チャック機構3は、連結フレーム22に対し、図2に示すように180度ずれた位置に一対のチャック手段が設けられている。このチャック手段は、既設杭Tとケーシング200との間の環状間隙に合わせて、外管24aと内管24bとが一体になって構成された二重管24内に設けられている。二重管24内には、その外管24aや内管24bに対してチャックケース25が接続され一体に形成され、そのチャックケース25内にチャック手段が設けられている。
【0019】
そのチャックケース25には、上端に昇降シリンダ26が吊設され、その下方に突き出されたピストンロッドに楔形をした押圧ブロック27が軸着されている。一方、チャックケース25の底部には、チャックブロック28が径方向にスライドできるように設けられている。そして、その押圧ブロック27とチャックブロック28とは、テーパ面同士が摺接するように形成され、更に押圧ブロック27は、径方向外側の面がチャックケース25に摺接して垂直方向に上下動するように構成されている。また、チャックブロック28には、その径方向内側に既設杭Tを確実に掴むための突起29が複数突設されている。そして、二重管24の内管24bには、そうしたチャックブロック28が既設杭Tを掴むために移動できるよう開口部が形成されている。
【0020】
次に、こうした杭チャック機構3の下には、既設杭T内の縦筋t2を切断するための杭カッター機構4が構成されている。ここで、図3は、図1のB−B断面を示した杭カッター機構4の断面図である。この杭カッター機構4も、既設杭Tとケーシングとの間の環状間隙に合わせて外管31aと内管31bとが一体になって形成された二重管31内に設けられている。二重管31内は、一対の切欠き手段が設けられ、それぞれが壁32によって仕切られている。切欠き手段は、複数の切削ビット33が着脱可能に取り付けられたカッター34を備え、そのカッター34が中心軸に対する直交平面上を揺動するように、支持ピン35によって軸支されている。
【0021】
カッター34は、二重管31内を収納スペースとし、支持ピン35を支点として揺動することによって内管31bから中心軸方向に飛び出すように形成されている。そのため、内管31bにはカッター34の移動を妨げないように開口部が形成されている。そして、このカッター34を揺動させるための駆動シリンダ36が二重管31内にそれぞれ設けられている。駆動シリンダ36は、シリンダチューブが固定軸に軸着され、ピストンロッドがカッター34に対して軸着されている。
【0022】
こうしたケーシンググリップ機構2、杭チャック機構3および杭カッター機構4からなる撤去装置1は、各機構部分が着脱可能であって、組み付けによって図1に示すよう一体に形成される。ケーシンググリップ機構2と杭チャック機構3とは、前述したようにブラケット19,23が連結ピン20によって軸着されて連結されている。杭チャック機構3においては、連結フレーム22と二重管24とが、互いのフランジ部30が複数のボルト及びナットによって締め付け固定されている。そして、杭チャック機構3と杭カッター機構4も同じように、互いのフランジ部37が複数のボルト及びナットによって締め付け固定されている。
【0023】
続いて、この撤去装置1を使用した既設杭Tの撤去方法について説明する。ここで、図4及び図5は、既設杭Tの撤去作業における一連の作業工程を示した図であり、図4(a)〜(c)は、既設杭Tの周りを掘削して環状間隙を形成する掘削工程を示し、図5(a)〜(d)は、その掘削後に行う既設杭Tの撤去工程を示している。そこで先ず、図4に基づいて掘削工程を説明する。
本実施形態では、既設杭Tの周りを掘削するのにスパイラルケーシング200を使用する。このスパイラルケーシング200は、深く堀り進めるに従って複数のケーシングチューブが連結できるようにしたものであって、その最下段のケーシングチューブ201は先端に掘削刃211が取り付けられ、その上のケーシングチューブ202に螺旋羽根212が形成されている。
【0024】
ここで、図6は、ケーシングチューブ202を下方から見た図である。螺旋羽根212は、既設杭Tを避けて周りを掘削するようにした大きさの内周径で形成され、下端には径方向に一列に並べられた複数の掘削ビット213が下方に突設されている。
こうしたスパイラルケーシング(以下、単に「ケーシング」とする)200を使用した地盤の掘削は、掘削装置として全周回転式のチュービング装置300が使用される。チュービング装置300は、詳しく図示しないが次のように構成されている。図4に示すように、ベースフレーム301に立設されたスラストシリンダ302によって昇降フレーム303が昇降可能に設けられ、その昇降フレーム303は、駆動モータによって回転する回転体305を有し、ケーシング200との間に差し込まれる楔形のチャック部材306によって、回転体305に対してケーシング200を把持できるように構成されている。
【0025】
このチュービング装置300では、駆動モータからの回転出力によって回転体305が回転し、把持されたケーシング200に回転が伝えられる。そして、回転体305の設けられた昇降フレーム303がスラストシリンダ302の収縮作動によって下降すると、把持されたケーシング200が回転しながら下降し、地中に回転圧入される。ケーシング200の回転圧入は、スラストシリンダ302のストローク毎にチャック部材306の掴み替えが行われ、この掴み替えとスラストシリンダ302の伸縮とが繰り返えされることによって行われる。
【0026】
チュービング装置300によって地中に回転圧入されるケーシング200は、図4(a)に示すように、螺旋羽根212の下端に取り付けられた掘削ビット213がケーシング200と既設杭Tとの間の土を掘削していく。そして、掘削された土はほぐされて螺旋羽根212を相対的に上昇し、こうして既設杭Tの周りが環状に掘り出される。
ある程度まで掘り進むと、図4(b)に示すように、土砂を排土するためケーシング200が、チュービング装置300によって無回転のまま引き上げられる。これにより、既設杭Tの周りの掘削された土砂が持ち上げられ、螺旋羽根212が既設杭Tの上端まで上昇したところで止められる。そして、杭頭部に溜まった土砂をケーシング200内にハンマーグラフ400を挿入して排土が行われる。その後、図4(c)に示すように、掘削した深さまで再びケーシング200を下降させ、こうして既設杭Tの周りに環状間隙Kが形成される。
【0027】
次に、図5(a)に示すように、本実施形態の撤去装置1がワイヤを介してクレーンで吊り下げられ、ケーシング200内に挿入される。撤去装置1は、杭チャック機構3と杭カッター機構4とが既設杭Tに被さるようにして配置される。そうした後、撤去装置1がケーシング200と一体に回転できるように、ケーシンググリップ機構2においてケーシング200に対するチャックが行われる。それには昇降シリンダ13を伸張作動させ、昇降フレーム14を介して押圧ブロック15を下降させる。すると、内側が連結管17で支えられるようにして真っ直ぐ下降した押圧ブロック15は、テーパ面で摺接したグリップブロック18を外側に押し出す。そのため、グリップブロック18がケーシング200の内周面に強く押し付けられて摩擦抵抗によってグリップしたチャックが行われる。なお、摩擦抵抗だけでは滑ってしまうような場合は、ケーシングの内周面に中心軸に平行な溝を形成し、そこにグリップブロック18に形成した凸部をはめ込むようにしてもよい。
【0028】
撤去装置1によるケーシングのチャックが終了した後は、次に既設杭Tへの切欠きが行われる。すなわち、チュービング装置300によってケーシング200へ回転が与えられる。このとき撤去装置1がケーシング200をチャックしているため、ケーシング200の回転に伴って撤去装置1も一緒に回転する。なお、チュービング装置300においてスラストシリンダ302は作動せず、高さ方向の変化はない。
【0029】
回転する撤去装置1は、杭カッター機構4において、駆動シリンダ36が徐々に伸張作動してカッター34が二重管31の中から既設杭T側へと突き出される。具体的には、図3に示すように、駆動シリンダ36が伸びると、支持ピン35を中心にカッター34が時計方向に揺動し、切削ビット33側がせり出して既設杭Tに押し付けられる。ケーシング200の回転によって切削ビット33が回転しながら既設杭Tに当たるため、既設杭Tの周りには徐々に切欠きt1が深く形成されていく。最終的には、図1に示すように、コンクリート内に埋め込まれている縦筋t2が切断される深さで切欠きt1が形成される。
【0030】
既設杭Tに縦筋t2を切断するような切欠きt1が形成された後は、図5(b)に示すようにカッター34が格納される。これは、図3において駆動シリンダ36が収縮することよってカッター34が反時計方向に揺動し、二重管31内に収まる。そして、カッター34の格納後には、既設杭Tについて切欠きt2部分から上方のねじ切りが行われる。そのためには杭チャック機構3において既設杭Tの把持が行われる。
それには昇降シリンダ26が伸張作動し、押圧ブロック27を下降する。押圧ブロック27は、外側がチャックケース25で支えられるように真っ直ぐ下降し、テーパ面で摺接したチャックブロック28が内側に押し出される。そのため、チャックブロック28が既設杭Tに強く押し付けられて突起29が刺さり込む。
【0031】
そこで、再びチュービング装置300によってケーシング200に回転が与えられると、撤去装置1はケーシンググリップ機構2によってケーシング200をチャックしているため一体になって回転し、杭チャック機構3を介して既設杭Tに回転が伝えられる。従って、回転の加えられた既設杭Tは、縦筋t2が切断された切欠きt1より下が不動なため、その切欠きt1部分でねじ切られる。
【0032】
こうして既設杭Tがねじ切られると、撤去装置1は、ケーシンググリップ機構2におけるケーシング200のチャックを解除する。すなわち、昇降シリンダ13を収縮作動させ、昇降フレーム14を介して押圧ブロック15を上昇させる。このとき、グリップブロック18は、図1に示すように、金具41によって押圧ブロック15に引っ掛けられているので、押圧ブロック15の上昇につられて中心軸方向にスライドする。そのため、グリップブロック18がケーシング200の内周面への押し付けから解放され、チャックが解除される。
【0033】
この状態で撤去装置1を吊すワイヤをクレーンで引き上げれば、図5(c)に示すように、切断された既設杭T1がその撤去装置1に抱えられたまま引き上げられる。そして、撤去装置1はケーシング200の外に設けられた廃棄部へと運ばれ、その中に立てた状態のまま置かれる。そこで、杭チャック機構3において既設杭Tの把持を解除する。すなわち、昇降シリンダ26を収縮作動させて押圧ブロック27を上昇させる。チャックブロック28は、ケーシンググリップ機構2と同様、金具によって押圧ブロック27に引っ掛けられているので、押圧ブロック27の上昇につられて外側にスライドする。そのため、チャックブロック28の突起29が既設杭T1から外れてチャックが解除される。その後、撤去装置1を吊り上げれば、図5(d)に示すように切断した既設杭T1を廃棄台に残し、次の撤去作業に移ることができる。図4(a)〜(c)及び図5(a)〜(d)に示す工程を繰り返すことにより既設杭Tを所定長さずつ切断し、撤去作業が進められる。
【0034】
よって、本実施形態における既設杭Tの撤去装置1および撤去方法によれば、既設杭Tに切欠きt1を入れた後、その切欠きt1部分の上方をつかんだ状態でねじ切るので、切断した後の既設杭T1を把持した状態のまま持ち上げて撤去することができる。そのため、従来の切欠き部分の上方に横力を加えて切断する方法のように傾いた既設杭Tの掴み直す必要ない上、撤去装置の内部に引っかかることもないので、確実に切断した既設杭Tを排出することができるようになった。
また、仮に縦筋t2の切り残しが生じてしまった場合でも、切欠きt1部分にねじりを加えることによって縦筋t2の切り残しも確実に切断することができるようになった。
【0035】
次に、本発明に係る既設杭の撤去装置および撤去方法の第2実施形態について説明する。前記第1実施形態では、既設杭Tの周りを掘削して環状間隙を形成するのに螺旋羽根212を備えたスパイラルケーシング200を使用したが、本実施形態では環状間隙を形成するための掘削手段を設けた撤去装置を提案する。ここで、図7は、本実施形態の撤去装置を示した断面図である。前記第1実施形態の撤去装置1と同じ構成については同じ符号を付して説明する。
【0036】
本実施形態の撤去装置50は、第1実施形態の撤去装置1と同様に、上からケーシングをグリップするケーシンググリップ機構2、既設杭Tを把持する杭チャック機構3、そして既設杭Tに対して切欠きを形成する杭カッター機構4が設けられ、それぞれが同じように構成されている。そして、本実施形態の撤去装置50では特に、杭カッター機構4の下面に掘削ビット51が固定されている。ここで、図8は、図7に示す撤去装置を下方から見た杭カッター機構4の下面を示した図である。
【0037】
杭カッター機構4は、図3に示すように、既設杭Tとケーシングとの間の空間に合わせて外管31aと内管31bとが一体になって二重管31が構成され、その中に切削ビット33を取り付けたカッター34や駆動シリンダ36が設けられ、一対の切欠き手段が対称的に設けられている。二重管31は、一対の切欠き手段がそれぞれ壁32によって仕切られ下方からは底板38によって塞がれている。本実施形態では、その底板38に対し、図8に示すように、外管31aから内管31bにかけて複数の掘削ビット51が径方向に一列になってそれぞれ2箇所に固定されている。
【0038】
そこで、本実施形態では、図4に示すスパイラルケーシング200で形成する環状間隙を、撤去装置50によって形成する。そのためケーシング200には、図4に示す螺旋羽根212の付いたケーシングチューブ202を外したものが使用され、そのケーシング200が同じようにチュービング装置300によって地盤に回転圧入される。そうしたケーシング200に対して撤去装置50がクレーンによって吊り下げされて挿入される。
【0039】
そして、先ず、撤去装置50がケーシング200と一体に回転するように、ケーシンググリップ機構2においてケーシング200に対するチャックが行われる。それには昇降シリンダ13を伸張作動させ、昇降フレーム14を介して押圧ブロック15を下降させる。すると、連結管17を摺動するようにして下降した押圧ブロック15が、テーパ面で摺接したグリップブロック18が外側に押し出される。そのため、グリップブロック18がケーシング200の内周面に強く押し付けられて摩擦抵抗によってグリップしたチャックが行われる。
【0040】
こうして撤去装置50のチャックが行われると、次にケーシング200を回転させながら既設杭Tの周りが掘削される。すなわち、図4に示すチュービング装置300によってケーシング200に回転が与えられ、チャックした撤去装置50がそのケーシング200内で一体になって回転する。更にチュービング装置300は、ケーシング200のチャックが行われている昇降フレーム303部分がスラストシリンダ302の収縮作動によって下降し、ケーシング200の回転圧入が行われる。従って、撤去装置50は、下端に設けられた掘削ビット51が既設杭Tの周りの土を掘削しながら下降していく。
【0041】
掘削された土は、杭カッター機構4部分では、底板38を避けるようにして二重管31内へ入り込み(図8参照)、杭チャック機構3では、二重管24内のチャックケース25以外のスペースに入り込む(図2参照)。そして、既設杭Tの周りが掘削されて環状間隙が形成された後は、続いて既設杭Tへの切欠きが行われる。このときチュービング装置300は、ケーシング200を回転させるのみで、スラストシリンダ302は作動せず高さ方向には変化させない。
ケーシング200と一体に回転する撤去装置50は、図3に示すように、駆動シリンダ36によってカッター34が二重管31から突き出され、切削ビット33が既設杭Tに押し付けられる。そのため、既設杭Tは、周りが徐々に深く切削され、最終的には、コンクリート製の既設杭Tに縦筋t2まで切断される切欠きt1が形成される。
【0042】
こうして既設杭Tに対し縦筋t2を切断するような切欠きt1が形成された後は、カッター34を格納した後、杭チャック機構3において既設杭Tの把持が行われる。それには昇降シリンダ26が伸張作動し、押圧ブロック27を下降によってチャックブロック28を内側に押し出され、既設杭Tに強く押し付けられて突起29が刺さり込む。そこで、再びチュービング装置300によってケーシング200を回転させると、杭チャック機構3によって把持された既設杭Tに回転が加えられ、切欠きt1部分でねじ切られる。
【0043】
その後、ケーシンググリップ機構2のチャックが解除され、撤去装置50は、切断した既設杭Tを抱えられたまま引き上げられ、ケーシング200の外へと運ばれる。そして、撤去装置50は、廃棄台へと運ばれ、杭チャック機構3において既設杭Tの把持を解除し、それとともに既設杭Tの周りを掘削したときの土砂もそこで取り除かれる。
その後、撤去装置50を吊り上げれば、切断した既設杭Tを廃棄台に残し、次の撤去作業に移ることができる。
【0044】
よって、本実施形態における既設杭Tの撤去装置50および撤去方法によれば、前記第1実施形態と同様、既設杭Tに切欠きを入れた後、その切欠き部分上方をつかんだ状態でねじ切るので、切断した後の既設杭を把持した状態のまま持ち上げて撤去することができる。そのため、従来の切欠き部分の上方に横力を加えて切断する方法のように傾いた既設杭の掴み直しが必要ない上、撤去装置の内部に引っかかることもないので、確実に切断した既設杭Tを排出することができるようになった。また、仮に縦筋t2の切り残しが生じてしまった場合でも、切欠き部分にねじりを加えることによって縦筋t2の切り残しも確実に切断することができるようになった。
更に、本実施形態では、環状間隙を形成するための掘削ビット51を備えた撤去装置50を使用するので、掘削と切断、そして撤去までを一度に行うことができるようになった。
【0045】
ところで、前記第1実施形態の撤去装置1は、ケーシンググリップ機構2、杭チャック機構3及び杭カッター機構4を備え、それぞれが切り離せるように構成されている。従って、既設杭Tの周りを掘削して環状間隙を形成するための掘削部材を付け替えることができる。図9は、図1に示す撤去装置1のケーシンググリップ機構2に対し、杭チャック機構3及び杭カッター機構4に代えて掘削部材5を付け替えた掘削装置60を示した図である。
【0046】
この掘削部材5は、ブラケット61が固定された円形の天井板62aに円筒体62bを一体にした掘削カバー62に形成され、その円筒体62b内に螺旋羽根63が設けられている。ここで、図10は、掘削部材5を下方から見た図である。螺旋羽根63の最下端には径方向に複数の掘削ビット64が固定され、円筒体62bの下端には、円周方向に所定の間隔で複数の掘削ビット65が固定されている。こうした掘削部材5をケーシンググリップ機構2に連結した掘削装置60は、図4に示すスパイラルケーシング200で形成した環状間隙Kを同じように形成することができる。
【0047】
ケーシング200には、螺旋羽根212の付いたケーシングチューブ202を外したものが使用される。ケーシング200は、同じようにチュービング装置300によって地中に回転圧入され、その中に撤去装置1がクレーンによって吊り下げされて挿入される。掘削装置60をケーシング200と一体に回転させるため、ケーシンググリップ機構2においてケーシング200に対するチャックが行われる。なお、ここでは第1実施形態で示したものより径が大きい既設杭Tであって、それに合わせた大径のケーシング200が使用されている。従って、そのケーシング200をチャックできるようにグリップブロック18には、補助ブロック66が取り付けられている。
【0048】
ケーシング200のチャックは、昇降シリンダ13を伸張作動させ、昇降フレーム14を介して押圧ブロック15を下降させ、押圧ブロック15によって外側押し出されたグリップブロック18を介して補助ブロック66がケーシング200の内周面に強く押し付けられて摩擦抵抗によってグリップしたチャックが行われる。その後、チュービング装置300は、その回転出力がケーシング200に伝えられ、更にケーシング200をチャックする昇降フレーム303がスラストシリンダ302の収縮作動によって下降する。そのため、ケーシング200は地中に回転圧入され、同時にその内部は掘削装置60によって既設杭Tの周りが掘削される。すなわち、円筒体62b下端の掘削ビット65と螺旋羽根63の下端に取り付けられた掘削ビット64によって掘削が行われる。掘削された土はほぐされて螺旋羽根63を相対的に上昇し、掘削カバー62内に一時的に蓄えられる。
【0049】
そして、掘削カバー62の中にある程度既設杭Tが入る位置まで下降すると、次に土砂を排土するためケーシンググリップ機構2によるケーシング200のチャックが解除され、吊り上げられてケーシング200の外へと運ばれる。そこではケーシンググリップ機構2から掘削部材5が外され、代わりに杭チャック機構3及び杭カッター機構4が図1に示すように付け替えられ撤去装置1が組み立てられる。ただし、第1実施形態で示したものより既設杭Tの径が大きいため、具体的に図示しないが構造は同じでも既設杭Tに合わせた大きさで形成されている。既設杭Tの周りに環状間隙が形成され、付け替えが行われた撤去装置1は、図5を示して説明した第1実施形態と同様に既設杭Tへの切欠きが行われる。
【0050】
先ず、図5(a)に示すように、杭チャック機構3及び杭カッター機構4が環状間隙に挿入されて既設杭Tを覆った状態で、ケーシンググリップ機構2によってケーシング200のチャックが行われる。そして、チュービング装置300からケーシング200とともに回転が与えられる。回転している杭カッター機構4では、駆動シリンダ36を徐々に伸張させてカッター34を二重管31からせり出し、切削ビット33が既設杭Tに押し付けられて縦筋t2が切断されるまでの深さで切欠きt1が形成される。
【0051】
次に、カッター34が格納され、図5(b)に示すように杭チャック機構3によって切欠き部上方で既設杭Tが把持される。そして、再びチュービング装置300によってケーシング200を回転させると撤去装置1を介して既設杭Tに回転が与えられ、縦筋t2が切断された切欠きt1部分で既設杭Tがねじ切られる。その後、撤去装置1は、ケーシンググリップ機構2のチャックを解除し、切断された既設杭T1を抱えられたまま引き上げられて廃棄台へと運ばれる。そして、杭チャック機構3において既設杭Tの把持を解除して切断した既設杭Tを廃棄台に残し、次の撤去作業に移ることができる。
【0052】
よって、本実施形態における既設杭Tの撤去装置1および撤去方法によれば、前記実施形態と同様、既設杭Tに切欠きを入れた後、その切欠き部分上方をつかんだ状態でねじ切るので、切断した後の既設杭Tを把持した状態のまま持ち上げて撤去することができる。そのため、従来のように切欠き部分の上方に横力を加えて切断する場合のように、傾いた既設杭Tの掴み直しが必要ない上、撤去装置の内部に引っかかることもないので、確実に切断した既設杭Tを排出することができるようになった。また、仮に縦筋t2の切り残しが生じてしまった場合でも、切欠き部分にねじりを加えることによって縦筋t2の切り残しも確実に切断することができるようになった。
更に、本実施形態では、掘削装置60により確実に環状間隙を形成することができ、作業が確実となった。
【0053】
以上、本発明に係る既設杭Tの撤去装置及び撤去方法について一実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1実施形態の撤去装置を示した断面図である。
【図2】図1のA−A断面を示した杭チャック機構の断面図である。
【図3】図1のB−B断面を示した杭カッター機構の断面図である。
【図4】既設杭の周りを掘削して環状間隙を形成する掘削工程を示した図である。
【図5】掘削後に行う既設杭の撤去工程を示した図である。
【図6】螺旋羽根を備えたケーシングチューブを軸方向に見た図である。
【図7】第2実施形態の撤去装置を示した断面図である。
【図8】図7に示す撤去装置を下方から見た杭カッター機構の下面を示した図である。
【図9】図1に示す撤去装置のケーシンググリップ機構に対し、杭チャック機構及び杭カッター機構に代えて掘削部材を付け替えた掘削装置を示した図である。
【図10】掘削部材を軸方向に見た図である。
【図11】従来の既設杭Tの撤去装置を示した図である。
【符号の説明】
【0055】
1 撤去装置
2 ケーシンググリップ機構
3 杭チャック機構
4 杭カッター機構
13 昇降シリンダ
15 押圧ブロック
18 グリップブロック
26 昇降シリンダ
27 押圧ブロック
28 チャックブロック
33 切削ビット
34 カッター
200 ケーシング
300 チュービング装置
T 既設杭
t1 切欠き
t2 縦筋
【技術分野】
【0001】
本発明は、場所打ち杭のような鉄筋を内部に有する地中に残された既設杭を、オールケーシング工法の技術を利用して回収するための既設杭の撤去装置及び撤去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の基礎には、場所打ち杭のような内部に鉄筋を備える鉄筋コンクリート製の杭が構築されている。再開発等によって建造物が取り壊される場合、地上の建物は解体して撤去することができるが、地中に残った基礎杭は、引き抜くような簡単な方法で撤去することができるようなものではない。しかし、その跡地に新たな建造物を建築したり更地にする場合、そのまま地中に既設杭を残しておく訳にはいかない。そこで、旧建造物に使用されていた地中に残る既設杭を撤去する撤去装置や撤去方法が、特開平10−195873号公報に開示されている。ここで、図11は、当該公報に記載された既設杭の撤去装置を示した図である。
【0003】
従来、既設杭Tを撤去する場合、撤去装置100によって既設杭Tを上の方から所定長さ分ずつ切断して切り離し、持ち上げて撤去する方法がとられている。その際、既設杭Tの回りを掘削する必要があるが、それには先ず、チュービング装置によってケーシング200を把持して回転させながら下降させることにより、先端の掘削ビット211で既設杭Tの周囲の地盤を掘削しながら地中に回転圧入される。こうしてケーシング200が所定の深さまで回転圧入された後は、ケーシング200を掘削開始位置に引き上げ、外筒101を先端ケーシング200内に挿入してクリッパ装置102でケーシング200の内周壁をグリップしてチャックさせる。そして、再びチュービング装置によってケーシング200を回転させながら下降させる。そうすると、掘削ビット104によってケーシング200内には既設杭Tの回りに筒状の環状間隙が形成される。
【0004】
こうして既設杭Tの回りが掘削されると、次に既設杭Tに切欠きt1が形成される。それには、不図示の油圧シリンダが伸びて既設杭Tの外周部に対し切欠形成ビット103が漸次傾動し、既設杭Tに対する切欠形成ビット103の押し付け力が付与される。そして、既設杭Tは切欠形成ビット103によって外周部に切欠きt1が形成され、それによって既設杭T内の縦筋が切断される。
その後、複数配置されたジャッキ105を伸ばして当接部材106を上下方向に移動させ、案内部材107のテーパ溝で案内された当接部材106が既設杭Tの下方を把持する。その状態で次に油圧シリンダ108が伸びると、当接部材111が案内部材112のテーパ溝で案内され内側に移動して、既設杭Tの外周部に横力を与える。その横力によって既設杭Tが切断される。
【0005】
そして、油圧シリンダ105が縮められて当接部材106による既設杭Tの把持が解除され、既設杭Tが再び把持し直されてから、切断された既設杭Tが把持されたまま吊り上げられて地上に搬出される。
その後、こうした方法で既設杭Tを回収する場合、以上のような工程を必要回数繰り返し、既設杭Tを順次、上部側から長尺の状態で切断して地上に搬出し回収する。
【特許文献1】特開平10−195873号公報(第5−7頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来例で挙げた既設杭Tの撤去装置100及び、その撤去装置100を使用した撤去方法では、横力を加えて既設杭Tを切断するようにしたものであるため、次のような問題があった。
撤去装置100が、切欠形成用ビット103で既設杭Tに切欠きt1を形成し、そこを横力によって切断する際、切欠きt1の下方位置を当接部材106によって把持しているため、切断した既設杭Tは把持し直さなければならない。ところが、横力によって切断された既設杭Tは傾いてしまい、把持のし直しが困難になったり、傾いたまま把持して地上にまで持ち上げて排出する際、外筒101内で引っかかってしまって排出できないことが起こり得る。更に、既設杭Tの縦筋を完全に切断しきれなかった場合には、横力だけでは既設杭Tを切り離すことができなくなってしまうおそれもある。
【0007】
よって、本発明は、かかる課題を解決すべく、確実に既設杭を切り離して排出する既設杭の撤去装置及び撤去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る既設杭の撤去装置は、地中に埋設されている既設杭と、その既設杭の周りを囲むように地中に回転圧入されたケーシングとの間に形成された環状間隙に挿入され、ケーシングをチャックして一緒に回転しながら既設杭に対して縦筋を切断するように円周状に切欠きを形成した後、その切欠き部分で既設杭を切断し、切り離された既設杭を把持してケーシングに対するチャックを解除してケーシング外に搬送するためのものであって、上から順に、内側からケーシング内面をグリップしてチャック状態にするケーシンググリップ機構と、既設杭を把持する杭チャック機構と、既設杭に対して切欠きするカッターを備えた杭カッター機構とを有するものであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る既設杭の撤去装置は、前記ケーシンググリップ機構が、円周方向に等間隔に配置された複数の昇降シリンダと、その昇降シリンダによって上下動する楔形に形成された複数の押圧ブロックと、径方向に移動可能であって押圧ブロックの上下動によって前記ケーシング内面に当接又は離間するグリップブロックとを有するものであることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る既設杭の撤去装置は、前記杭チャック機構が、円周方向に等間隔で配置された複数の昇降シリンダと、その昇降シリンダによって上下動する楔形に形成された複数の押圧ブロックと、径方向に移動可能であって押圧ブロックの上下動によって前記既設杭に当接又は離間するチャックブロックとを有するものであることが好ましい。
また、本発明に係る既設杭の撤去装置は、前記チャックブロックには、前記既設杭に突き刺さるようにした突起が形成されたものであることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る既設杭の撤去装置は、前記杭カッター機構が、中心軸に対する直交平面上を揺動するように軸支されたカッターと、そのカッターを揺動させる駆動シリンダとを有することが好ましい。
また、本発明に係る既設杭の撤去装置は、前記カッター機構が、下方に突き出した複数の掘削ビットが設けられたものであることが好ましい。
更に、本発明に係る既設杭の撤去装置は、前記ケーシンググリップ機構、杭チャック機構及び杭カッター機構の間には、それぞれ連結及び取り外しが可能な着脱部が形成されたものであることが好ましい。
【0012】
一方、本発明に係る既設杭の撤去方法は、地中に埋設されている既設杭と、その既設杭の周りを囲むように地中に回転圧入されたケーシングとの間に形成された環状間隙に撤去装置を挿入し、その撤去装置が、ケーシングをチャックして一緒に回転しながら既設杭に対して縦筋を切断するように円周状に切欠きを形成した後、その切欠き部分で既設杭を切断し、その切り離された既設杭を把持する一方でケーシングに対するチャックを解除することにより、その撤去装置とともに既設杭をケーシング外に搬送するようにしたものであって、前記ケーシングに対するチャックによって前記撤去装置がケーシングと一体になって回転する状態にしておき、先ず当該撤去装置の下方部分に設けられたカッターによって既設杭に対して切欠きを形成し、その後、前記撤去装置が切欠き部分の上方で把持した既設杭に回転を加えることによって、既設杭を切欠き部分でねじ切るようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
よって、本発明に係る既設杭の撤去装置及び撤去方法によれば、既設杭に切欠きを入れた後、その切欠き部分上方をつかんだ状態でねじ切るので、切断した後の既設杭を傾けることなく把持した状態のまま持ち上げて撤去することができる。そのため、従来の切欠き部分の上方に横力を加えて切断する方法のように、傾いた既設杭の掴み直しが必要ない上、撤去装置の内部に引っかかることもないので、確実に切断した既設杭を排出することができる。また、仮に縦筋の切り残しが生じてしまった場合でも、切欠き部分にねじりを加えることによって縦筋の切り残しも確実に切断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明に係る既設杭の撤去装置及び撤去方法について、その一実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、第1実施形態の撤去装置を示した断面図である。この撤去装置1は、上からケーシングをグリップするケーシンググリップ機構2、その下に既設杭Tを把持する杭チャック機構3、そして更にその下には既設杭Tに対して切欠きを形成する杭カッター機構4が設けられている。
【0015】
ケーシンググリップ機構2は、支持フレーム11上に吊下げフレーム12が固定されており、この吊下げフレーム12にクレーンからのワイヤが連結され、撤去装置1が吊り下げられるようになっている。支持フレーム11には、その下方に4本の昇降シリンダ13が円周方向に等間隔で吊設されている。昇降シリンダ13は、ピストンロッドが下方に突き出るように取り付けられ、そのピストンロッドに昇降フレーム14が固定されている。この昇降フレーム14には、楔形をした押圧ブロック15が軸着され、下方に吊り下げられるようにして取り付けられている。
【0016】
ところで、このケーシンググリップ機構2は、支持フレーム11と下方の台フレーム16とが、環状に形成された昇降フレーム14を貫通して配置された四角柱形状の連結管17によって固定され一体になっている。押圧ブロック15は、径方向内側の面が連結管17に摺接し、垂直方向に上下動できるように取り付けられている。そして、ケーシンググリップ機構2の最下段に設けられた台フレーム16には、各々の押圧ブロック15に対応して、径方向にスライド可能なグリップブロック18が設けられている。押圧ブロック15とグリップブロック18とは、互いにテーパ面同士が摺接するように形成され、それぞれが配置されている。
【0017】
次に、こうしたケーシンググリップ機構2の下には、既設杭Tを把持するための杭チャック機構3が構成されている。ここで、図2は、図1のA−A断面を示した杭チャック機構3の断面図である。
杭チャック機構3は、上端の連結プレート21とボックス状に形成された円筒形状の連結フレーム22とが一体に形成され、その連結プレート21とケーシンググリップ機構2の台フレーム16とのブラケット19,23が径方向に差し込まれた連結ピン20によって軸着されている。すなわち、ケーシンググリップ機構2から杭チャック機構3へのケーシング200の回転が、このブラケット19,23及び連結ピン20を介して伝達されるようになっている。
【0018】
杭チャック機構3は、連結フレーム22に対し、図2に示すように180度ずれた位置に一対のチャック手段が設けられている。このチャック手段は、既設杭Tとケーシング200との間の環状間隙に合わせて、外管24aと内管24bとが一体になって構成された二重管24内に設けられている。二重管24内には、その外管24aや内管24bに対してチャックケース25が接続され一体に形成され、そのチャックケース25内にチャック手段が設けられている。
【0019】
そのチャックケース25には、上端に昇降シリンダ26が吊設され、その下方に突き出されたピストンロッドに楔形をした押圧ブロック27が軸着されている。一方、チャックケース25の底部には、チャックブロック28が径方向にスライドできるように設けられている。そして、その押圧ブロック27とチャックブロック28とは、テーパ面同士が摺接するように形成され、更に押圧ブロック27は、径方向外側の面がチャックケース25に摺接して垂直方向に上下動するように構成されている。また、チャックブロック28には、その径方向内側に既設杭Tを確実に掴むための突起29が複数突設されている。そして、二重管24の内管24bには、そうしたチャックブロック28が既設杭Tを掴むために移動できるよう開口部が形成されている。
【0020】
次に、こうした杭チャック機構3の下には、既設杭T内の縦筋t2を切断するための杭カッター機構4が構成されている。ここで、図3は、図1のB−B断面を示した杭カッター機構4の断面図である。この杭カッター機構4も、既設杭Tとケーシングとの間の環状間隙に合わせて外管31aと内管31bとが一体になって形成された二重管31内に設けられている。二重管31内は、一対の切欠き手段が設けられ、それぞれが壁32によって仕切られている。切欠き手段は、複数の切削ビット33が着脱可能に取り付けられたカッター34を備え、そのカッター34が中心軸に対する直交平面上を揺動するように、支持ピン35によって軸支されている。
【0021】
カッター34は、二重管31内を収納スペースとし、支持ピン35を支点として揺動することによって内管31bから中心軸方向に飛び出すように形成されている。そのため、内管31bにはカッター34の移動を妨げないように開口部が形成されている。そして、このカッター34を揺動させるための駆動シリンダ36が二重管31内にそれぞれ設けられている。駆動シリンダ36は、シリンダチューブが固定軸に軸着され、ピストンロッドがカッター34に対して軸着されている。
【0022】
こうしたケーシンググリップ機構2、杭チャック機構3および杭カッター機構4からなる撤去装置1は、各機構部分が着脱可能であって、組み付けによって図1に示すよう一体に形成される。ケーシンググリップ機構2と杭チャック機構3とは、前述したようにブラケット19,23が連結ピン20によって軸着されて連結されている。杭チャック機構3においては、連結フレーム22と二重管24とが、互いのフランジ部30が複数のボルト及びナットによって締め付け固定されている。そして、杭チャック機構3と杭カッター機構4も同じように、互いのフランジ部37が複数のボルト及びナットによって締め付け固定されている。
【0023】
続いて、この撤去装置1を使用した既設杭Tの撤去方法について説明する。ここで、図4及び図5は、既設杭Tの撤去作業における一連の作業工程を示した図であり、図4(a)〜(c)は、既設杭Tの周りを掘削して環状間隙を形成する掘削工程を示し、図5(a)〜(d)は、その掘削後に行う既設杭Tの撤去工程を示している。そこで先ず、図4に基づいて掘削工程を説明する。
本実施形態では、既設杭Tの周りを掘削するのにスパイラルケーシング200を使用する。このスパイラルケーシング200は、深く堀り進めるに従って複数のケーシングチューブが連結できるようにしたものであって、その最下段のケーシングチューブ201は先端に掘削刃211が取り付けられ、その上のケーシングチューブ202に螺旋羽根212が形成されている。
【0024】
ここで、図6は、ケーシングチューブ202を下方から見た図である。螺旋羽根212は、既設杭Tを避けて周りを掘削するようにした大きさの内周径で形成され、下端には径方向に一列に並べられた複数の掘削ビット213が下方に突設されている。
こうしたスパイラルケーシング(以下、単に「ケーシング」とする)200を使用した地盤の掘削は、掘削装置として全周回転式のチュービング装置300が使用される。チュービング装置300は、詳しく図示しないが次のように構成されている。図4に示すように、ベースフレーム301に立設されたスラストシリンダ302によって昇降フレーム303が昇降可能に設けられ、その昇降フレーム303は、駆動モータによって回転する回転体305を有し、ケーシング200との間に差し込まれる楔形のチャック部材306によって、回転体305に対してケーシング200を把持できるように構成されている。
【0025】
このチュービング装置300では、駆動モータからの回転出力によって回転体305が回転し、把持されたケーシング200に回転が伝えられる。そして、回転体305の設けられた昇降フレーム303がスラストシリンダ302の収縮作動によって下降すると、把持されたケーシング200が回転しながら下降し、地中に回転圧入される。ケーシング200の回転圧入は、スラストシリンダ302のストローク毎にチャック部材306の掴み替えが行われ、この掴み替えとスラストシリンダ302の伸縮とが繰り返えされることによって行われる。
【0026】
チュービング装置300によって地中に回転圧入されるケーシング200は、図4(a)に示すように、螺旋羽根212の下端に取り付けられた掘削ビット213がケーシング200と既設杭Tとの間の土を掘削していく。そして、掘削された土はほぐされて螺旋羽根212を相対的に上昇し、こうして既設杭Tの周りが環状に掘り出される。
ある程度まで掘り進むと、図4(b)に示すように、土砂を排土するためケーシング200が、チュービング装置300によって無回転のまま引き上げられる。これにより、既設杭Tの周りの掘削された土砂が持ち上げられ、螺旋羽根212が既設杭Tの上端まで上昇したところで止められる。そして、杭頭部に溜まった土砂をケーシング200内にハンマーグラフ400を挿入して排土が行われる。その後、図4(c)に示すように、掘削した深さまで再びケーシング200を下降させ、こうして既設杭Tの周りに環状間隙Kが形成される。
【0027】
次に、図5(a)に示すように、本実施形態の撤去装置1がワイヤを介してクレーンで吊り下げられ、ケーシング200内に挿入される。撤去装置1は、杭チャック機構3と杭カッター機構4とが既設杭Tに被さるようにして配置される。そうした後、撤去装置1がケーシング200と一体に回転できるように、ケーシンググリップ機構2においてケーシング200に対するチャックが行われる。それには昇降シリンダ13を伸張作動させ、昇降フレーム14を介して押圧ブロック15を下降させる。すると、内側が連結管17で支えられるようにして真っ直ぐ下降した押圧ブロック15は、テーパ面で摺接したグリップブロック18を外側に押し出す。そのため、グリップブロック18がケーシング200の内周面に強く押し付けられて摩擦抵抗によってグリップしたチャックが行われる。なお、摩擦抵抗だけでは滑ってしまうような場合は、ケーシングの内周面に中心軸に平行な溝を形成し、そこにグリップブロック18に形成した凸部をはめ込むようにしてもよい。
【0028】
撤去装置1によるケーシングのチャックが終了した後は、次に既設杭Tへの切欠きが行われる。すなわち、チュービング装置300によってケーシング200へ回転が与えられる。このとき撤去装置1がケーシング200をチャックしているため、ケーシング200の回転に伴って撤去装置1も一緒に回転する。なお、チュービング装置300においてスラストシリンダ302は作動せず、高さ方向の変化はない。
【0029】
回転する撤去装置1は、杭カッター機構4において、駆動シリンダ36が徐々に伸張作動してカッター34が二重管31の中から既設杭T側へと突き出される。具体的には、図3に示すように、駆動シリンダ36が伸びると、支持ピン35を中心にカッター34が時計方向に揺動し、切削ビット33側がせり出して既設杭Tに押し付けられる。ケーシング200の回転によって切削ビット33が回転しながら既設杭Tに当たるため、既設杭Tの周りには徐々に切欠きt1が深く形成されていく。最終的には、図1に示すように、コンクリート内に埋め込まれている縦筋t2が切断される深さで切欠きt1が形成される。
【0030】
既設杭Tに縦筋t2を切断するような切欠きt1が形成された後は、図5(b)に示すようにカッター34が格納される。これは、図3において駆動シリンダ36が収縮することよってカッター34が反時計方向に揺動し、二重管31内に収まる。そして、カッター34の格納後には、既設杭Tについて切欠きt2部分から上方のねじ切りが行われる。そのためには杭チャック機構3において既設杭Tの把持が行われる。
それには昇降シリンダ26が伸張作動し、押圧ブロック27を下降する。押圧ブロック27は、外側がチャックケース25で支えられるように真っ直ぐ下降し、テーパ面で摺接したチャックブロック28が内側に押し出される。そのため、チャックブロック28が既設杭Tに強く押し付けられて突起29が刺さり込む。
【0031】
そこで、再びチュービング装置300によってケーシング200に回転が与えられると、撤去装置1はケーシンググリップ機構2によってケーシング200をチャックしているため一体になって回転し、杭チャック機構3を介して既設杭Tに回転が伝えられる。従って、回転の加えられた既設杭Tは、縦筋t2が切断された切欠きt1より下が不動なため、その切欠きt1部分でねじ切られる。
【0032】
こうして既設杭Tがねじ切られると、撤去装置1は、ケーシンググリップ機構2におけるケーシング200のチャックを解除する。すなわち、昇降シリンダ13を収縮作動させ、昇降フレーム14を介して押圧ブロック15を上昇させる。このとき、グリップブロック18は、図1に示すように、金具41によって押圧ブロック15に引っ掛けられているので、押圧ブロック15の上昇につられて中心軸方向にスライドする。そのため、グリップブロック18がケーシング200の内周面への押し付けから解放され、チャックが解除される。
【0033】
この状態で撤去装置1を吊すワイヤをクレーンで引き上げれば、図5(c)に示すように、切断された既設杭T1がその撤去装置1に抱えられたまま引き上げられる。そして、撤去装置1はケーシング200の外に設けられた廃棄部へと運ばれ、その中に立てた状態のまま置かれる。そこで、杭チャック機構3において既設杭Tの把持を解除する。すなわち、昇降シリンダ26を収縮作動させて押圧ブロック27を上昇させる。チャックブロック28は、ケーシンググリップ機構2と同様、金具によって押圧ブロック27に引っ掛けられているので、押圧ブロック27の上昇につられて外側にスライドする。そのため、チャックブロック28の突起29が既設杭T1から外れてチャックが解除される。その後、撤去装置1を吊り上げれば、図5(d)に示すように切断した既設杭T1を廃棄台に残し、次の撤去作業に移ることができる。図4(a)〜(c)及び図5(a)〜(d)に示す工程を繰り返すことにより既設杭Tを所定長さずつ切断し、撤去作業が進められる。
【0034】
よって、本実施形態における既設杭Tの撤去装置1および撤去方法によれば、既設杭Tに切欠きt1を入れた後、その切欠きt1部分の上方をつかんだ状態でねじ切るので、切断した後の既設杭T1を把持した状態のまま持ち上げて撤去することができる。そのため、従来の切欠き部分の上方に横力を加えて切断する方法のように傾いた既設杭Tの掴み直す必要ない上、撤去装置の内部に引っかかることもないので、確実に切断した既設杭Tを排出することができるようになった。
また、仮に縦筋t2の切り残しが生じてしまった場合でも、切欠きt1部分にねじりを加えることによって縦筋t2の切り残しも確実に切断することができるようになった。
【0035】
次に、本発明に係る既設杭の撤去装置および撤去方法の第2実施形態について説明する。前記第1実施形態では、既設杭Tの周りを掘削して環状間隙を形成するのに螺旋羽根212を備えたスパイラルケーシング200を使用したが、本実施形態では環状間隙を形成するための掘削手段を設けた撤去装置を提案する。ここで、図7は、本実施形態の撤去装置を示した断面図である。前記第1実施形態の撤去装置1と同じ構成については同じ符号を付して説明する。
【0036】
本実施形態の撤去装置50は、第1実施形態の撤去装置1と同様に、上からケーシングをグリップするケーシンググリップ機構2、既設杭Tを把持する杭チャック機構3、そして既設杭Tに対して切欠きを形成する杭カッター機構4が設けられ、それぞれが同じように構成されている。そして、本実施形態の撤去装置50では特に、杭カッター機構4の下面に掘削ビット51が固定されている。ここで、図8は、図7に示す撤去装置を下方から見た杭カッター機構4の下面を示した図である。
【0037】
杭カッター機構4は、図3に示すように、既設杭Tとケーシングとの間の空間に合わせて外管31aと内管31bとが一体になって二重管31が構成され、その中に切削ビット33を取り付けたカッター34や駆動シリンダ36が設けられ、一対の切欠き手段が対称的に設けられている。二重管31は、一対の切欠き手段がそれぞれ壁32によって仕切られ下方からは底板38によって塞がれている。本実施形態では、その底板38に対し、図8に示すように、外管31aから内管31bにかけて複数の掘削ビット51が径方向に一列になってそれぞれ2箇所に固定されている。
【0038】
そこで、本実施形態では、図4に示すスパイラルケーシング200で形成する環状間隙を、撤去装置50によって形成する。そのためケーシング200には、図4に示す螺旋羽根212の付いたケーシングチューブ202を外したものが使用され、そのケーシング200が同じようにチュービング装置300によって地盤に回転圧入される。そうしたケーシング200に対して撤去装置50がクレーンによって吊り下げされて挿入される。
【0039】
そして、先ず、撤去装置50がケーシング200と一体に回転するように、ケーシンググリップ機構2においてケーシング200に対するチャックが行われる。それには昇降シリンダ13を伸張作動させ、昇降フレーム14を介して押圧ブロック15を下降させる。すると、連結管17を摺動するようにして下降した押圧ブロック15が、テーパ面で摺接したグリップブロック18が外側に押し出される。そのため、グリップブロック18がケーシング200の内周面に強く押し付けられて摩擦抵抗によってグリップしたチャックが行われる。
【0040】
こうして撤去装置50のチャックが行われると、次にケーシング200を回転させながら既設杭Tの周りが掘削される。すなわち、図4に示すチュービング装置300によってケーシング200に回転が与えられ、チャックした撤去装置50がそのケーシング200内で一体になって回転する。更にチュービング装置300は、ケーシング200のチャックが行われている昇降フレーム303部分がスラストシリンダ302の収縮作動によって下降し、ケーシング200の回転圧入が行われる。従って、撤去装置50は、下端に設けられた掘削ビット51が既設杭Tの周りの土を掘削しながら下降していく。
【0041】
掘削された土は、杭カッター機構4部分では、底板38を避けるようにして二重管31内へ入り込み(図8参照)、杭チャック機構3では、二重管24内のチャックケース25以外のスペースに入り込む(図2参照)。そして、既設杭Tの周りが掘削されて環状間隙が形成された後は、続いて既設杭Tへの切欠きが行われる。このときチュービング装置300は、ケーシング200を回転させるのみで、スラストシリンダ302は作動せず高さ方向には変化させない。
ケーシング200と一体に回転する撤去装置50は、図3に示すように、駆動シリンダ36によってカッター34が二重管31から突き出され、切削ビット33が既設杭Tに押し付けられる。そのため、既設杭Tは、周りが徐々に深く切削され、最終的には、コンクリート製の既設杭Tに縦筋t2まで切断される切欠きt1が形成される。
【0042】
こうして既設杭Tに対し縦筋t2を切断するような切欠きt1が形成された後は、カッター34を格納した後、杭チャック機構3において既設杭Tの把持が行われる。それには昇降シリンダ26が伸張作動し、押圧ブロック27を下降によってチャックブロック28を内側に押し出され、既設杭Tに強く押し付けられて突起29が刺さり込む。そこで、再びチュービング装置300によってケーシング200を回転させると、杭チャック機構3によって把持された既設杭Tに回転が加えられ、切欠きt1部分でねじ切られる。
【0043】
その後、ケーシンググリップ機構2のチャックが解除され、撤去装置50は、切断した既設杭Tを抱えられたまま引き上げられ、ケーシング200の外へと運ばれる。そして、撤去装置50は、廃棄台へと運ばれ、杭チャック機構3において既設杭Tの把持を解除し、それとともに既設杭Tの周りを掘削したときの土砂もそこで取り除かれる。
その後、撤去装置50を吊り上げれば、切断した既設杭Tを廃棄台に残し、次の撤去作業に移ることができる。
【0044】
よって、本実施形態における既設杭Tの撤去装置50および撤去方法によれば、前記第1実施形態と同様、既設杭Tに切欠きを入れた後、その切欠き部分上方をつかんだ状態でねじ切るので、切断した後の既設杭を把持した状態のまま持ち上げて撤去することができる。そのため、従来の切欠き部分の上方に横力を加えて切断する方法のように傾いた既設杭の掴み直しが必要ない上、撤去装置の内部に引っかかることもないので、確実に切断した既設杭Tを排出することができるようになった。また、仮に縦筋t2の切り残しが生じてしまった場合でも、切欠き部分にねじりを加えることによって縦筋t2の切り残しも確実に切断することができるようになった。
更に、本実施形態では、環状間隙を形成するための掘削ビット51を備えた撤去装置50を使用するので、掘削と切断、そして撤去までを一度に行うことができるようになった。
【0045】
ところで、前記第1実施形態の撤去装置1は、ケーシンググリップ機構2、杭チャック機構3及び杭カッター機構4を備え、それぞれが切り離せるように構成されている。従って、既設杭Tの周りを掘削して環状間隙を形成するための掘削部材を付け替えることができる。図9は、図1に示す撤去装置1のケーシンググリップ機構2に対し、杭チャック機構3及び杭カッター機構4に代えて掘削部材5を付け替えた掘削装置60を示した図である。
【0046】
この掘削部材5は、ブラケット61が固定された円形の天井板62aに円筒体62bを一体にした掘削カバー62に形成され、その円筒体62b内に螺旋羽根63が設けられている。ここで、図10は、掘削部材5を下方から見た図である。螺旋羽根63の最下端には径方向に複数の掘削ビット64が固定され、円筒体62bの下端には、円周方向に所定の間隔で複数の掘削ビット65が固定されている。こうした掘削部材5をケーシンググリップ機構2に連結した掘削装置60は、図4に示すスパイラルケーシング200で形成した環状間隙Kを同じように形成することができる。
【0047】
ケーシング200には、螺旋羽根212の付いたケーシングチューブ202を外したものが使用される。ケーシング200は、同じようにチュービング装置300によって地中に回転圧入され、その中に撤去装置1がクレーンによって吊り下げされて挿入される。掘削装置60をケーシング200と一体に回転させるため、ケーシンググリップ機構2においてケーシング200に対するチャックが行われる。なお、ここでは第1実施形態で示したものより径が大きい既設杭Tであって、それに合わせた大径のケーシング200が使用されている。従って、そのケーシング200をチャックできるようにグリップブロック18には、補助ブロック66が取り付けられている。
【0048】
ケーシング200のチャックは、昇降シリンダ13を伸張作動させ、昇降フレーム14を介して押圧ブロック15を下降させ、押圧ブロック15によって外側押し出されたグリップブロック18を介して補助ブロック66がケーシング200の内周面に強く押し付けられて摩擦抵抗によってグリップしたチャックが行われる。その後、チュービング装置300は、その回転出力がケーシング200に伝えられ、更にケーシング200をチャックする昇降フレーム303がスラストシリンダ302の収縮作動によって下降する。そのため、ケーシング200は地中に回転圧入され、同時にその内部は掘削装置60によって既設杭Tの周りが掘削される。すなわち、円筒体62b下端の掘削ビット65と螺旋羽根63の下端に取り付けられた掘削ビット64によって掘削が行われる。掘削された土はほぐされて螺旋羽根63を相対的に上昇し、掘削カバー62内に一時的に蓄えられる。
【0049】
そして、掘削カバー62の中にある程度既設杭Tが入る位置まで下降すると、次に土砂を排土するためケーシンググリップ機構2によるケーシング200のチャックが解除され、吊り上げられてケーシング200の外へと運ばれる。そこではケーシンググリップ機構2から掘削部材5が外され、代わりに杭チャック機構3及び杭カッター機構4が図1に示すように付け替えられ撤去装置1が組み立てられる。ただし、第1実施形態で示したものより既設杭Tの径が大きいため、具体的に図示しないが構造は同じでも既設杭Tに合わせた大きさで形成されている。既設杭Tの周りに環状間隙が形成され、付け替えが行われた撤去装置1は、図5を示して説明した第1実施形態と同様に既設杭Tへの切欠きが行われる。
【0050】
先ず、図5(a)に示すように、杭チャック機構3及び杭カッター機構4が環状間隙に挿入されて既設杭Tを覆った状態で、ケーシンググリップ機構2によってケーシング200のチャックが行われる。そして、チュービング装置300からケーシング200とともに回転が与えられる。回転している杭カッター機構4では、駆動シリンダ36を徐々に伸張させてカッター34を二重管31からせり出し、切削ビット33が既設杭Tに押し付けられて縦筋t2が切断されるまでの深さで切欠きt1が形成される。
【0051】
次に、カッター34が格納され、図5(b)に示すように杭チャック機構3によって切欠き部上方で既設杭Tが把持される。そして、再びチュービング装置300によってケーシング200を回転させると撤去装置1を介して既設杭Tに回転が与えられ、縦筋t2が切断された切欠きt1部分で既設杭Tがねじ切られる。その後、撤去装置1は、ケーシンググリップ機構2のチャックを解除し、切断された既設杭T1を抱えられたまま引き上げられて廃棄台へと運ばれる。そして、杭チャック機構3において既設杭Tの把持を解除して切断した既設杭Tを廃棄台に残し、次の撤去作業に移ることができる。
【0052】
よって、本実施形態における既設杭Tの撤去装置1および撤去方法によれば、前記実施形態と同様、既設杭Tに切欠きを入れた後、その切欠き部分上方をつかんだ状態でねじ切るので、切断した後の既設杭Tを把持した状態のまま持ち上げて撤去することができる。そのため、従来のように切欠き部分の上方に横力を加えて切断する場合のように、傾いた既設杭Tの掴み直しが必要ない上、撤去装置の内部に引っかかることもないので、確実に切断した既設杭Tを排出することができるようになった。また、仮に縦筋t2の切り残しが生じてしまった場合でも、切欠き部分にねじりを加えることによって縦筋t2の切り残しも確実に切断することができるようになった。
更に、本実施形態では、掘削装置60により確実に環状間隙を形成することができ、作業が確実となった。
【0053】
以上、本発明に係る既設杭Tの撤去装置及び撤去方法について一実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1実施形態の撤去装置を示した断面図である。
【図2】図1のA−A断面を示した杭チャック機構の断面図である。
【図3】図1のB−B断面を示した杭カッター機構の断面図である。
【図4】既設杭の周りを掘削して環状間隙を形成する掘削工程を示した図である。
【図5】掘削後に行う既設杭の撤去工程を示した図である。
【図6】螺旋羽根を備えたケーシングチューブを軸方向に見た図である。
【図7】第2実施形態の撤去装置を示した断面図である。
【図8】図7に示す撤去装置を下方から見た杭カッター機構の下面を示した図である。
【図9】図1に示す撤去装置のケーシンググリップ機構に対し、杭チャック機構及び杭カッター機構に代えて掘削部材を付け替えた掘削装置を示した図である。
【図10】掘削部材を軸方向に見た図である。
【図11】従来の既設杭Tの撤去装置を示した図である。
【符号の説明】
【0055】
1 撤去装置
2 ケーシンググリップ機構
3 杭チャック機構
4 杭カッター機構
13 昇降シリンダ
15 押圧ブロック
18 グリップブロック
26 昇降シリンダ
27 押圧ブロック
28 チャックブロック
33 切削ビット
34 カッター
200 ケーシング
300 チュービング装置
T 既設杭
t1 切欠き
t2 縦筋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設されている既設杭と、その既設杭の周りを囲むように地中に回転圧入されたケーシングとの間に形成された環状間隙に挿入され、ケーシングをチャックして一緒に回転しながら既設杭に対して縦筋を切断するように円周状に切欠きを形成した後、その切欠き部分で既設杭を切断し、切り離された既設杭を把持してケーシングに対するチャックを解除してケーシング外に搬送するための既設杭の撤去装置において、
上から順に、内側からケーシング内面をグリップしてチャック状態にするケーシンググリップ機構と、既設杭を把持する杭チャック機構と、既設杭に対して切欠きするカッターを備えた杭カッター機構とを有するものであることを特徴とする既設杭の撤去装置。
【請求項2】
請求項1に記載する既設杭の撤去装置において、
前記ケーシンググリップ機構は、円周方向に等間隔に配置された複数の昇降シリンダと、その昇降シリンダによって上下動する楔形に形成された複数の押圧ブロックと、径方向に移動可能であって押圧ブロックの上下動によって前記ケーシング内面に当接又は離間するグリップブロックとを有するものであることを特徴とする既設杭の撤去装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する既設杭の撤去装置において、
前記杭チャック機構は、円周方向に等間隔で配置された複数の昇降シリンダと、その昇降シリンダによって上下動する楔形に形成された複数の押圧ブロックと、径方向に移動可能であって押圧ブロックの上下動によって前記既設杭に当接又は離間するチャックブロックとを有するものであることを特徴とする既設杭の撤去装置。
【請求項4】
請求項3に記載する既設杭の撤去装置において、
前記チャックブロックには、前記既設杭に突き刺さるようにした突起が形成されたものであることを特徴とする既設杭の撤去装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載する既設杭の撤去装置において、
前記杭カッター機構は、中心軸に対する直交平面上を揺動するように軸支されたカッターと、そのカッターを揺動させる駆動シリンダとを有することを特徴とする既設杭の撤去装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載する既設杭の撤去装置において、
前記カッター機構は、下方に突き出した複数の掘削ビットが設けられたものであることを特徴とする既設杭の撤去装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載する既設杭の撤去装置において、
前記ケーシンググリップ機構、杭チャック機構及び杭カッター機構の間には、それぞれ連結及び取り外しが可能な着脱部が形成されたものであることを特徴とする既設杭の撤去装置。
【請求項8】
地中に埋設されている既設杭と、その既設杭の周りを囲むように地中に回転圧入されたケーシングとの間に形成された環状間隙に撤去装置を挿入し、その撤去装置が、ケーシングをチャックして一緒に回転しながら既設杭に対して縦筋を切断するように円周状に切欠きを形成した後、その切欠き部分で既設杭を切断し、その切り離された既設杭を把持する一方でケーシングに対するチャックを解除することにより、その撤去装置とともに既設杭をケーシング外に搬送するようにした既設杭の撤去方法において、
前記ケーシングに対するチャックによって前記撤去装置がケーシングと一体になって回転する状態にしておき、先ず当該撤去装置の下方部分に設けられたカッターによって既設杭に対して切欠きを形成し、その後、前記撤去装置が切欠き部分の上方で把持した既設杭に回転を加えることによって、既設杭を切欠き部分でねじ切るようにしたことを特徴とする既設杭の撤去方法。
【請求項1】
地中に埋設されている既設杭と、その既設杭の周りを囲むように地中に回転圧入されたケーシングとの間に形成された環状間隙に挿入され、ケーシングをチャックして一緒に回転しながら既設杭に対して縦筋を切断するように円周状に切欠きを形成した後、その切欠き部分で既設杭を切断し、切り離された既設杭を把持してケーシングに対するチャックを解除してケーシング外に搬送するための既設杭の撤去装置において、
上から順に、内側からケーシング内面をグリップしてチャック状態にするケーシンググリップ機構と、既設杭を把持する杭チャック機構と、既設杭に対して切欠きするカッターを備えた杭カッター機構とを有するものであることを特徴とする既設杭の撤去装置。
【請求項2】
請求項1に記載する既設杭の撤去装置において、
前記ケーシンググリップ機構は、円周方向に等間隔に配置された複数の昇降シリンダと、その昇降シリンダによって上下動する楔形に形成された複数の押圧ブロックと、径方向に移動可能であって押圧ブロックの上下動によって前記ケーシング内面に当接又は離間するグリップブロックとを有するものであることを特徴とする既設杭の撤去装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する既設杭の撤去装置において、
前記杭チャック機構は、円周方向に等間隔で配置された複数の昇降シリンダと、その昇降シリンダによって上下動する楔形に形成された複数の押圧ブロックと、径方向に移動可能であって押圧ブロックの上下動によって前記既設杭に当接又は離間するチャックブロックとを有するものであることを特徴とする既設杭の撤去装置。
【請求項4】
請求項3に記載する既設杭の撤去装置において、
前記チャックブロックには、前記既設杭に突き刺さるようにした突起が形成されたものであることを特徴とする既設杭の撤去装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載する既設杭の撤去装置において、
前記杭カッター機構は、中心軸に対する直交平面上を揺動するように軸支されたカッターと、そのカッターを揺動させる駆動シリンダとを有することを特徴とする既設杭の撤去装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載する既設杭の撤去装置において、
前記カッター機構は、下方に突き出した複数の掘削ビットが設けられたものであることを特徴とする既設杭の撤去装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載する既設杭の撤去装置において、
前記ケーシンググリップ機構、杭チャック機構及び杭カッター機構の間には、それぞれ連結及び取り外しが可能な着脱部が形成されたものであることを特徴とする既設杭の撤去装置。
【請求項8】
地中に埋設されている既設杭と、その既設杭の周りを囲むように地中に回転圧入されたケーシングとの間に形成された環状間隙に撤去装置を挿入し、その撤去装置が、ケーシングをチャックして一緒に回転しながら既設杭に対して縦筋を切断するように円周状に切欠きを形成した後、その切欠き部分で既設杭を切断し、その切り離された既設杭を把持する一方でケーシングに対するチャックを解除することにより、その撤去装置とともに既設杭をケーシング外に搬送するようにした既設杭の撤去方法において、
前記ケーシングに対するチャックによって前記撤去装置がケーシングと一体になって回転する状態にしておき、先ず当該撤去装置の下方部分に設けられたカッターによって既設杭に対して切欠きを形成し、その後、前記撤去装置が切欠き部分の上方で把持した既設杭に回転を加えることによって、既設杭を切欠き部分でねじ切るようにしたことを特徴とする既設杭の撤去方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−257675(P2006−257675A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−73602(P2005−73602)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】
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