説明

早期陣痛の危険を予測するための方法およびキット

【課題】妊婦における早期陣痛の危険を予測することを可能とするキットおよび方法の提供。
【解決手段】早期陣痛となる患者の危険を測定する方法であって、a.妊娠中の患者から子宮頚部分泌試料を得て;b.子宮頚部分泌試料中での生体力学関連マーカーの存在を検出し、ここで、該生体力学関連マーカーはトロンボスポンジン2およびデコリンおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれ;c.規準化ベースラインマーカーレベルと比較して該生体力学関連マーカーの増大したレベルを、早期陣痛の増大した危険と相関させる、ことを含む、該方法。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、米国出願番号11/874,717(2007年10月18日出願)に関連する[非−米国]国際特許出願である。
【技術分野】
【0002】
本発明は一般的に、妊娠中の早期分娩の増大された危険の診断に関連する。より具体的には、本発明は、早期の子宮頚部の軟化の予測に有用な方法およびキットに関する。
【背景技術】
【0003】
早期陣痛、およびその後の早産児の分娩は、引き続き乳児死亡率および罹患率、並びに社会における重大な経済的な負担の主要な原因である。妊娠中の子宮頚部の未熟な軟化は、未熟な子宮頚部の拡張(開口)および展退(菲薄化)を生じ、そして妊婦を未熟分娩の高リスクに置く。現在、子宮頚部の未熟な拡張を予測するための診断方法はなく、従って、高リスクな早期分娩は無症候期の妊婦において予測することはできない。
【0004】
乳児死亡率を減少させるために多くの研究がなされているが、未熟分娩との闘いにおいてほとんど進歩はない。未熟分娩は現在、乳児死亡率を決定する際の主導の因子である。北米において、10人の妊婦中の約1人が早期分娩を併発する。例えば、数年間にわたる多施設治験の結果は、未熟に、すなわち20〜36週の在胎期間の間に、出生した胎児は、出生の9.6%と説明されている(Cooperら著, Amer. J. Obstet. Gynecol. 168: 78, 1993)。多数の患者にとっての早期分娩の多数の同定された原因(例えば、感染症および多胎妊娠)が存在するが、該原因は未知である。早期陣痛を正確に予測しそして処置する方法を開発するのに最近10年間においてほとんど進歩はない。
【0005】
未熟に産まれた赤ん坊は実質的な医療財源を消費する。早産の入院費用は毎年110億ドルを越えると見積もられている。これらの出生の実際の短期間の費用は、新生児集中治療;親、ソシアルワーカーおよびこれらの親のための補助スタッフによる病院で費やす時間;稼ぎの減少および移動の費用の増加である。これらの早産の長期間の費用は、早産の下流の影響(例えば、長期間の健康および発達上の問題、精神学なおよび身体的なハンディキャップの危険の増大)に関係し、これは子供および親の稼ぎの可能性の両方に影響を与え得る。
【0006】
早期の陣痛(labor)および分娩(delivery)の診断は引き続き問題である。現在では、早期陣痛の評価の2つの分類:従来の診断およびバイオマーカーが存在する。各々はその利点を有するが、両者は偽早期陣痛の鑑別においてなおかなり乏しい。従来の診断は、子宮収縮の頻度、膜の状態、子宮頚部の拡張および展退、および在胎期間の評価を含む。臨床的な早期陣痛とは、規則的な収縮を伴う、進行性の子宮頚部の拡張、展退、またはその両方と定義され、これは、37週の在胎期間前の出生を生じる。
【0007】
子宮頚部の変化はまた早産分娩の従来の指標である。子宮頚部の変化は展退および拡張の減少を含む。子宮頚部が1cm未満の長さおよび2cm以上の拡張を有し、そして規則的な収縮が生じた場合に、早期陣痛が診断される。しかしながら、メタ分析は、これらの基準が早産のわずか50%予測にすぎないと示した。30週の在胎期間前の1.5cm未満の子宮頚部の長さは、早期陣痛の有意な予知であることが分かっている。しかしながら、30週後では、この測定基準は信頼できない予知である。80%以上の子宮頚部の展退もまた強い予測因子であった。しかしながら、感知される痛みの収縮頻度、規則性、期間、およびレベルの評価は、信頼して早期陣痛を識別しない。
【0008】
早期陣痛を予測する際のバイオマーカー
現在、いくつかのバイオマーカーが使用されて、早期分娩を防止するために前もって十分に早期陣痛を予測しようと試みられている。これらのバイオマーカーは、胎児フィブロネクチン、唾液エストリオール、脱落膜タンパク質、内分泌/パラクリンマーカーを含む。これらのバイオマーカーの2つは十分に研究されている。胎児フィブロネクチン(Teraoら著, 5,650,394)および唾液エストリオールはある程度詳細に研究されており、そして胎児フィブロネクチンは商業的に入手可能である。該胎児フィブロネクチン試験(fFN(Adeza Biomedical/RossProducts Division Abbott Laboratories, Inc)として現在市販されている)は、膣分泌物からの胎児フィブロネクチン(フィブロネクチンの胎児特異的なグリコフォーム)の検出に基づく。現行の試験は、エライザ法に基づく。その試験の背後にある理論は、膣分泌物中に見られる胎児フィブロネクチンの増大量は胎膜および胎盤脱落膜の接合の妨害、従って切迫している分娩、をシグナルするというものである。症候期の妊婦において、該試験は、37週の在胎期間の完了前の早期分娩を予測するための限られた有効性(58%感受性)を有する(33)。しかしながら、該試験は、該試験の1週間以内に生じる分娩のより良い予測値(90%感受性)を有する(34)。この試験の別の価値は、早期分娩の可能性を排除する能力である(85%特異性)(35)。従って、無症候期の妊婦(早期分娩の危険が低い)において、胎児フィブロネクチン試験は低感受性であるが、該試験の後まもなく早期分娩を予測する高い特異性を有する。
【0009】
子宮頚部の生体力学の性質
子宮頚部の軟化は、拡張および展退のための準備における子宮頚部の力学的性質を変える漸進的な生理学的プロセスである。該子宮頚部(これは、該子宮および該子宮頚部の重なり境界での連結組織が多い括約筋である)は、妊娠期間における子宮内での受胎産物の保持を保証するように機能する。非妊娠期または妊娠の非常な早期において、子宮頚部の管腔は非常に狭く、そして子宮頚部はそれを開口するための機械的な力に抵抗することができる。しかしながら、妊娠の最後には、子宮頚部は、新生児が産道を通って通過することを可能とするために拡張しそして展退する目的で非常に伸展性となる。伸展性における漸次の増大(別称、子宮頚部の軟化)は妊娠の早期に始まり、そして妊娠が第3期における後期に向かって進行するにつれて促進される(8−11)。しかしながら、この後期における子宮頚部はなお、受胎産物を保持するために括約筋として機能することができる(12−14)。該軟化期に続いて、展退および拡張期があり、これは、好中球浸潤の増大(15、16)、プロスタグランジン産生の増加(17)、一酸化窒素の産生の増加(18)、マトリックス分解を伴うプロテアーゼ活性の増大(19)、および子宮頚部中でのサイトカインのレベルの増加(16)を特徴とする。該展退および拡張の期の分子的な基礎はよく理解されているが、この知識を有するからといって、早期分娩の時点での子宮頚部の管理は改善されていない。
【0010】
該間質性細胞外マトリックスのリモデリングは、生理学的な子宮頚部の軟化にとって中心である。子宮頚部間質性細胞外マトリックスはI型およびIII型コラーゲン、プロテオグリカン、エラスチン、ヒアルロナン、および構造糖タンパク質から構成される(4、15、および16)。このマトリックスは、プロテオグリカンおよびヒアルロナンの粘稠性マトリックス中に包埋される荷重負荷(load-bearing)I型およびIII型のコラーゲン繊維との繊維強化複合体物質と見なされ得る(20)。該荷重負荷要素のアライメントまたは該マトリックス中での分散のそれらの程度の変化は、複合体物質の力学的な性質を変える(21)。十分な証拠が、子宮頚部間質性細胞外マトリックスが妊娠期間に広範にリモデリングされるとの現行の概念を支持している。該コラーゲン繊維および繊維束は、マウス(22)、ラット(23、24)、モルモット(25)、ヒツジ(26)、およびヒト(27、28)中での子宮頚部の軟化の間に進行性で解離されそして崩壊される。コラーゲン原繊維関連タンパク質(例えば、デコリンおよびフィブロモジュリン)の変化は、子宮頚部の伸展性の増大と相関することが分かっている(9、29、30)。コラーゲン架橋の程度の低下はまた、妊娠期間での子宮頚部間質の組織崩壊の増大に寄与し得る(31)。
【0011】
発明者の実験室において行なわれた観察によれば、トロンボスポジン2は、子宮頚部の生体力学の性質の保持および形質転換において重要な役割を果たしている。トロンボスポジン2(TSP2)は、広範囲の分子相互作用が可能である多量体細胞外マトリックス糖タンパク質であり(48、49)、そしてTSP1とは機能的に区別される(50)。TSP2−ヌルマウスの研究は、TSP2の欠落が皮膚および腱中での繊維性コラーゲン繊維の形態学の変化(51)、およびそれら組織の引っ張り強さの対応する減少と関連することを示した。
【0012】
TSP2−ヌルマウスの予備的な研究(これは、発明者の実験室において行なわれた)は、未熟な子宮頚部の軟化表現型を実証した。発明者の実験室からの最近の論文中で議論されている通り(32)、妊娠の14日目までは、TSP2−ヌルマウスは、対応する妊娠の期にある野生型マウスと比較して、子宮頚部の伸展性の4.5倍の増大を、および18日までは6.1倍の増大を示した。野生型子宮頚部のウェスタンブロットは、TSP2発現が妊娠の14日目および18日目で検出されるが、10日目または非妊娠子宮頚部においては検出されないことを示し、このことは、TSP2発現が該子宮頚部の生体力学の状態に相関することを示す。加えて、免疫組織化学的な研究は、子宮頚部中でのMMP2のレベルが妊娠の14日目では11倍および18日目では19倍増大することを示した。
【0013】
全てのこれらの研究および観察にもかかわらず、なお何が未熟な子宮頚部の軟化および拡張の分子的な基礎であるか不明なままである。このことは、高リスク妊娠からヒト子宮頚部のバイオプシーを得ることの困難さに、および自発性の未熟な子宮頚部の軟化を有する動物モデルの今までの非存在に大きく拠る。実験系のこの欠落は、子宮頚部の軟化の重要な分子マーカーを同定することおよび適当な診断キットを構築することを不可能とする。
【0014】
(引用文献)
以下の引用文献を、関連する数字の識別を用いて本出願中に引用する。本出願人は、従来技術としてのこれらの文献の状況に関して、言及せず、暗示せず、また示さない。これらの引用文献は、引用によって本明細書中にとり込む。
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【発明の開示】
【0015】
(発明の概要)
本発明者は、コラーゲン繊維関連タンパク質がヒトにおける妊娠期間での子宮頚部の変化に関与するとの驚くべき且つ重要な発見を成した。従って、本発明者は、コラーゲン線維関連タンパク質、グリコサミノグリカン、グリコサミノグリカン−関連タンパク質、および他の細胞外マトリックス成分(例えば、構造的な成分並びにリモデリング成分および制御因子因子(例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ(「MMPs」))が哺乳動物(例えば、ヒトを含む)における早期子宮頚部の軟化および早期陣痛の危険の予測においてバイオマーカーとして役立ち得ると、意図する。
【0016】
従って、本発明は、妊婦から子宮/子宮頚部の試料を得る工程、該試料中の細胞外マトリックス成分(別称、バイオマーカー)のレベルを評価する工程、該細胞外マトリックス成分のレベルを対照標準またはベースライン標準と比較する工程、および早期の子宮頚部の軟化および早期陣痛の危険を予測する工程を含む、妊婦における早期陣痛を予測する方法に関する。該子宮下部/子宮頚部の試料は、子宮下部組織バイオプシー、子宮頚部分泌物、または膣分泌物であり得る。好ましくは、該試料は子宮頚部分泌物であり、これはスワブを用いて非観血的に得ることができる。
【0017】
好ましい細胞外マトリックス成分は、トロンボスポンジン2(「TSP2」)、ヒアルロン酸(「HA」)、マトリックスメタロプロテイナーゼ2(「MMP2」)、マトリックスメタロプロテイナーゼ12(「MMP12」)、デコリン、ルミカン、およびフィブロモジュリンを含む。より好ましい細胞外マトリックス成分は、TSP2、HA、MMP2、およびMMP12を含む。表1は、子宮頚部の軟化の状態および早期の子宮頚部の軟化の危険の評価に有用なバイオマーカーのリストを提示する。
【0018】
該対照標準は、細胞外マトリックス成分の標準量または希釈系列であり得る。ベースライン標準は、子宮下部細胞中に常時(すなわち、妊娠の進行に特異的に関連しない)存在するタンパク質または他の生体分子(例えば、アクチン、グリセロアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ(「GAPDH」)など)であり得る。該細胞外マトリックス成分は、当該分野において知られるいずれかの特異的な生体分子認識アッセイ(例えば、抗体アッセイ、アプタマーアッセイ、リガンド受容体アッセイ、およびアロステリック酵素活性アッセイ)を用いて検出しそして定量化することができる。標準的な抗体アッセイは、ELISA、ウェスタンブロット、ドットブロット、RIA、抗体サンドイッチアッセイ、抗体捕捉アッセイ、抗原捕捉アッセイなどであり得る。1個以上のバイオマーカーを該方法において評価することができる。本発明の実施態様の別態様において、多数のバイオマーカーを評価することができ、そして診断決定をシグナルの多重度に基づいて行なうことができる。
表1:子宮頚部の軟化/早期分娩の危険を評価するのに有用なバイオマーカー
【表1】

【0019】
更に別の実施態様において、早期の子宮頚部の軟化および早期分娩についての危険に関連するバイオマーカーを検出しそして定量化することができる早期陣痛試験キットに関する。1実施態様において、該キットは第1の部分(これは、臨床条件において使用する)に、妊婦から子宮頚部分泌試料を経膣的に得るためのスワブを含む。該キットは、第2の部分(これは、診断条件において使用する)に、機械的な担体(例えば、膜、試験管、ペトリ皿、多ウェルプレートなど)、およびバイオマーカーを特異的に認識する第1薬物を含む。好ましい実施態様において、該キットは、第2部中に第2薬物、シグナル分子を含み、ここで、該シグナル分子は、該第2薬物、および適宜、内部対照としての役目を果たすバイオマーカーと結合する。薬物(第1または第2)は、アプタマー、リガンド、受容体、酵素の産物、アロステリックな制御因子、抗体、またはそれらのいずれかのフラグメントであり得て、これは該バイオマーカーと特異的に結合し得る。第2薬物の場合には、該第2薬物は、第1薬物もしくはバイオマーカーのいずれか、またはその両方と特異的に結合し得る。好ましい第1薬物は、抗体またはバイオマーカーと特異的に結合する抗体フラグメントである。好ましいバイオマーカーは、以下:デコリン、TSP2、MMP2、MMP12、およびHAの1個以上である。シグナル分子は、蛍光分子(例えば、蛍光タグ)、酵素(例えば、HRPまたはアルカリ性ホスファターゼ)、放射性標識(例えば、125I)、高親和性分子(例えば、ビオチン)などであり得る。該キット実施態様の別の態様において、該キットは、単一部分において、妊婦から子宮頚部分泌試料を経膣的に得るためのスワブ、緩衝液、機械的な担体、第1薬物、第2薬物、および対照バイオマーカー(上記)を含み得る。
【0020】
本発明の別の実施態様において、生体力学関連マーカーの定量化のためのキットは、該子宮頚部分泌試料中の生体力学関連マーカーをコードする核酸分子の量を測定することによって達成される。
【0021】
本発明の1実施態様において、測定される核酸分子はDNAである。
【0022】
本発明の別の実施態様において、測定される核酸分子はRNAである。
【0023】
本発明の1実施態様において、測定される核酸分子はcDNAである。
【0024】
更に別の実施態様において、本発明は、妊娠中の患者における早期陣痛の危険を測定するための方法に関し、該方法は(a)患者から好ましくはスワブを用いて子宮頚部分泌試料を得る工程、(b)該子宮頚部分泌試料を含有するスワブを緩衝液中に置き、(c)様々なバイオマーカーを含む緩衝液について定量イムノアッセイを行ない、(d)該試料中の子宮頚部の軟化に関連する1個以のバイオマーカーの相対量を測定し、そして(e)該相対量に基づき該早期陣痛の危険を評価する、ことを含む。バイオマーカーの相対量とは、試料中のバイオマーカーの量が該試料中のベースライン対照マーカーの量に相対的に定量化することを意味する。該ベースライン対照マーカーとは、そのレベルが妊娠の進行の経過において変らないかまたはほとんど全く変らないマーカーである。好ましい実施態様において、該試料を臨床的な環境(例えば、医院)において採取し、該緩衝液(これは、試料中の該バイオマーカーおよびベースライン対照マーカーの完全性を維持するのに役立つ)中に置き、そして実験試験施設に移す。該実験施設において、該試料をプロセシングし(例えば、定量的なイムノアッセイまたは同様な原理の生体分子アッセイにおいて)、そして1個以上のバイオマーカーを1個以上のベースライン対照マーカーに相対的に定量化する。該早期陣痛の危険は1個以上のバイオマーカーの相対量に基づいて測定し、そして該危険を患者および/または患者の医療従事者に連絡する。
【0025】
キットおよび方法の実施態様の両方の好ましい態様において、上記ベースラインレベルを有意に超える、MMP12、デコリンおよびTSP2の単独または1個以上の別のバイオマーカーとの組み合わせの増大は、早期陣痛の危険の増大を示す。ベースラインレベルは、期間終了時に分娩する女性の子宮頚部分泌物中で発現された該バイオマーカーのいずれかの1個以上の平均的な規格化された光学密度(本明細書[上記]中に記載する任意の単位)を意味する。光学密度は、任意の単位で示すことができる。好ましくは、該早産の正のレベルは、少なくとも1つのバイオマーカーの正常なベースラインレベルを超える少なくとも1つの標準偏差である。いずれか1個以上とは、TSP2の単独またはデコリン、MMP12、もしくは表1(上記)中に記載するいずれか他のバイオマーカーとの組み合わせ、またはそれらの複数の組み合わせを定量化しそして使用して早期陣痛の危険を測定し得ることを意味する。
【0026】
本発明者によって、該子宮頚部試料は妊娠期間のいずれかの時点で(試料を収集するのに好ましい時間は妊娠の22週および26週を含む)得ることができる。他の時点でのより多くの試料を、早期陣痛のより大きな危険であると考えられる症例を追跡するのに、収集することができる。別の態様において、本発明はある程度まで該子宮頚部の該生体力学の状態を確認することに関するので、該試験を分娩の誘発前に患者に供して、該子宮頚部が分娩を許容する能力を有するかどうかを評価することができる。
【0027】
本発明者は、上記子宮頚部バイオマーカー試験が他の妊娠関連評価状況においても有用であり得ることを意図する。例えば、このバイオマーカーアッセイを用いて、子宮頚部の軟化および/または子宮収縮を抑制する(停止または遅らせる)ために治療の有効性を追跡することができる。また、該バイオマーカーアッセイを用いて、妊娠期間のいずれかの時点での該子宮頚部の状態(しかし、妊娠状況だけに限定されない)を評価することができる。例えば、該バイオマーカーアッセイを用いて、該子宮頚部が赤ん坊を分娩するのに十分に準備されているかどうか(例えば、ピトシンの投与前に)を測定することができ、これによって、下流の問題を軽減するのに役立つ。本発明に関係する当業者は、多数の産科学的および婦人科学的な試験への本発明の利用可能性を合理的に知ることができる。
【0028】
(詳細な記載)
好ましい実施態様の記載
本発明者は、細胞外マトリックス成分(例えば、トロンボスポンジン2、MMP2、MMP12、HA、およびデコリン)(これは、哺乳動物の子宮頚部および子宮下部の生体力学的な性質を調節するのに関与する)が、(1)哺乳動物(特に、ヒト)の子宮頚部および子宮下部における妊娠の進行の間に差次的に発現し、そして(2)子宮頚部分泌物中で検出され得る、ことを驚くべきことに発見した。本発明者は、これらのおよび他の細胞外マトリックス成分、並びに表1中に例示する他のバイオマーカーが、妊婦における早期陣痛の危険の予測においておよび赤ん坊の分娩のための子宮頚部の準備の評価において、バイオマーカーとして機能し得ることを意図する。従って、本発明は、女性における早期の子宮頚部の軟化および併発する早期陣痛についての危険を診断しそして予測する方法、並びに女性における早期の子宮頚部の軟化および併発する早期分娩においてそして分娩のための子宮頚部の準備の評価において有用なキットに関する。該方法およびキットは、1個以上のバイオマーカー(これは、子宮頚部および/または子宮下部の生体力学的な性質の変化に関係すると実証されるかおよび/または合理的に予測される)の使用を含む。該バイオマーカーは、トロンボスポンジン2(TSP2)、デコリン、フィブロモジュリン、ルミカン、ヒアルロナン(HA)、マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2、別呼:エラスターゼ)、およびマトリックスメタロプロテイナーゼ12(MMP12)から選ばれる細胞外マトリックス成分が好ましいが、必ずしもこれらに制限されない。
【0029】
本発明の1実施態様において、早期陣痛となる患者の危険を測定する方法は、(a)妊娠中の患者から子宮頚部分泌試料を得て:(b)該子宮頚部分泌試料中での該生体力学関連マーカーの存在を検出し(ここで、該生体力学関連マーカーは、トロンボスポンジン2およびデコリン並びにそれらの組み合わせからなる群から選ばれる);および、(c)規準化ベースラインマーカーレベルと比べて該生体力学関連マーカーの増大したレベルを早期陣痛の危険の増大と相関させる、ことを含む。
【0030】
本発明の別の実施態様において、早期陣痛となる患者の危険を測定する方法は更に、マトリックスメタロプロテイナーゼ12の存在を検出し、および規準化ベースラインマーカーレベルと比べてマトリックスメタロプロテイナーゼ12の増大したレベルを早期陣痛の危険の増大と相関させることを含む。
【0031】
本発明の別の実施態様において、早期陣痛の危険の測定方法は更に、患者のための適当な処置プロトコールの測定を含み、これは、以下の処置:i)患者の身体的な再配置;ii)女性への薬物治療の投与;iii)患者への行動変化の推奨;および、iv)患者のより緊密なモニタリング、の少なくとも1つを含む。
【0032】
本発明の1実施態様において、患者に投与される薬物治療は、プロゲステロンまたはプロゲステロンの誘導体である。プロゲステロンの誘導体の例は例えば、微粒子化プロゲステロン、注射性17−OHプロゲステロン、および経口メドロキシプロゲステロン酢酸を含むが、これらに限定されない。該プロゲステロンは、患者に経膣的に、舌下に、または直腸的に送達し得る。
【0033】
本発明の別の実施態様において、患者に投与される薬物治療は、子宮収縮を刺激しまたは遮断する化合物である。好ましくは、子宮収縮を刺激する化合物はピトシンまたはオキシトシンであり、そして子宮収縮を阻害する化合物はオキシトシン類縁体である。
【0034】
本発明の別の実施態様において、早期陣痛の危険の測定、特に生体力学関連マーカーの検出の方法は、該子宮頚部分泌試料中の該生体力学関連マーカーをコードする核酸分子の量を測定することによって達成される。
【0035】
本発明の1実施態様において、測定される核酸分子はDNAである。
【0036】
本発明の別の実施態様において、測定される核酸分子はRNAである。
【0037】
本発明の1実施態様において、測定される核酸分子はcDNAである。
【0038】
本明細書中に記載する通り(上述)、該方法およびキットを、妊婦の子宮下部または子宮頚部の状態を反映するバイオマーカーの生物学的な試料中の相対量を測定するために、抗体−またはアプタマー−ベースアッセイを利用することができる。該生物学的な試料は、組織バイオプシー(子宮頚部または子宮下部)、子宮頚部分泌物、または膣分泌物であり得る。該試料は、妊娠の期間のいずれか1時点または複数の時点でいずれかの妊娠中の哺乳動物(ヒトが好ましい)から採取することができる。ヒトにとっての好ましい実施態様において、子宮頚部分泌試料は、在胎期間の22、24、26、28、30および32週で、早期分娩を保護するために介入する適当な時間を保証する時点で、スワブを用いて医師によって採取し得る。しかしながら、本発明の実施における産婦人科医は、本発明が子宮頚部の分子的な−生体力学的な状態を評価するために、妊娠の期間の複数の他の時点での能力を有することを容易に認識するであろう。
【実施例】
【0039】
以下の実施例は、子宮頚部分泌試料を用いる、キットおよび方法を記載する。当業者は、多数の生体分子検出方法が本発明の実施において使用し得ることを容易に認めるであろう。抗体ベースの検出方法に関する記載については、HarlowおよびLane著, Antibodies: A laboratory Manual, CSHL Press, 1988, Cold Spring Harbor, NY(これは引用によって本明細書中に取り込む)を参照。アプタマーベースの検出方法に関する記載については、HeydukおよびHeyduk著,「Nucleic acid-based fluorescence sensors for detecting proteins,」 Anal Chem. 2005 Feb 15; 77(4): 1147-56(これは引用によって本明細書中に取り込む)を参照。
【0040】
実施例1
子宮頚部分泌試料中のバイオマーカーを評価するためのキットおよび方法
子宮頚部分泌物はダクロンスワブを用いて収集する。露出されている子宮膣部表面および後膣円蓋をスワブで採取し、そして該スワブを生理食塩水および保存剤を含有する収集バイアル中に置く。該試料の収集は、出発物質として子宮頚部分泌物を使用する他の通常のアッセイ(胎児フィブロネクチン)において使用される場合と非常に類似する。
【0041】
濃縮洗浄剤溶液を該収集バイアルに加え、そして該スワブを該溶液中への分子の完全な放出を達成する目的で撹拌する。該スワブを取り出し、そして該試料溶液を短時間の遠心分離によって清澄化する。該清澄化試料、および精製標準物質のアリコート(TSP2、HA、MMP2、およびMMP12の様々な濃度)をドットブロット装置中にロードし、そして該溶液を高親和性タンパク質結合膜(PDVF)を通した。得られたタンパク質スポットを、タンパク質定量化およびバイオマーカー定量化のために使用する。
【0042】
該試料タンパク質スポットを含有する膜を、ブロッキング溶液(例えば、5%粉ミルク/トリス緩衝化生理食塩水)を用いて30分間処理する。該膜を、TSP2、MMP2、およびMMP12に特異的な一次抗体と一緒にインキュベートする。HA検出の場合には、ビオチン化ヒアルロナン結合性タンパク質(Calbiochem製)を一次抗体の代わりに使用する。該抗体および該ヒアルロナン結合性タンパク質を5%粉ミルク溶液中に溶解し得る。インキュベートは、4℃で約12時間であるかまたは室温もしくは37℃でより短時間とする。インキュベート後に、該膜をトリス−緩衝化生理食塩水で洗浄し、次いでペルオキシダーゼ−接合二次抗体(TSP2、MMP2、およびMMP12の場合)またはペルオキシダーゼ接合アビジン(HAの場合)と一緒にインキュベートする。このインキュベート後に、該膜をトリス−緩衝化生理食塩水で数回洗浄し、そして着色をジアミノベンジジン(diaminiobenzidine)基質を用いて行なう。該着色強度は濃度測定を用いて定量化する。
【0043】
標準曲線を得るために、TSP2、MMP2、MMP12、およびHAの公知の量を膜上に量を増加させながらスポットする。検出方法は、先の項目に記載する方法と同一である(上記)。標準的な曲線は、バイオマーカーの量に対して染色強度をプロットすることによって導く。該スポット−ELISAアッセイ上の染色スポットの光学密度は、プログラム(例えば、シオン(Scion)4.2プログラム)を用いて該ELISA膜のデジタル化した画像を解析することによって測定する。TSP2、HA、MMP2、およびMMP12の場合の標準曲線は、当業者が試料中のバイオマーカーの絶対的な量を測定することを可能とする。バイオマーカーの量を標準曲線の対照に規格化する。
【0044】
該アッセイの感受性は、比色分析読み取りの代替物として蛍光読み取りを用いることによって増大し得る。該蛍光ベース読み取りは、上記のスポット−ELISAの一般的なフォーマット(ここで、蛍光発生基質をジアミノベンジジン基質の代わりに使用する)に基づく(上述)。該シグナルの検出のための装置および濃度測定の定量化は、比色分析法について記載するのと本質的に同様に実施する。
【0045】
該試料の全タンパク質の含量を、Chapdelaineら著の方法(46)によって測定し得る。この方法は、膜結合タンパク質上でのアミドブラック溶液の使用および濃度測定による色の強さの定量化に基づく。この方法は、培養物中で細胞に使用することに成功している(47)。
【0046】
実施例2
子宮下部中でのバイオマーカーの発現
期間最後までの妊娠の維持は、子宮および子宮頚部の協調された機能を要する。該子宮頚部は、期間の最後に拡張を可能とするために、妊娠の期間に実質的なリモデリングを受ける連結組織から主に構成される括約筋様構造である(Leppert, P. C.著, 1995, Clin Obstet Gynecol, 38: 267-79)。該ヒト子宮頚部の異常なリモデリングは、「無能な子宮頚部」、または未熟な子宮頚部の軟化および拡張のより緩和された形態の原因であると考えられる。これらの子宮頚部疾患は、未熟な分娩に対する有意な寄与である。
【0047】
連結組織の個々の成分の子宮頚部の機能への寄与を測定する目的で、本発明者は、連結組織の個々のタンパク質が欠損しているマウスの子宮頚部の性質を研究することを選択する。いくつかのコラーゲン繊維関連タンパク質(デコリン、ルミカン、フィブロモジュリン、トロンボスポンジン2)は、マウスにおいてコラーゲン原繊維の形態および皮膚の力学的な性質を調節することが分かった。目的は、トロンボスポンジン2−ヌル(TSP2−ヌル)マウスの子宮頚部の特性を測定することによって、未熟な子宮頚部の軟化の分子的な基礎のより良い理解を得ることであった(Kyriakides, T. R.ら著, 1998, J Cell Biol, 140: 419-30)。
【0048】
該子宮頚部の伸展性は腹ばい(creep)試験によって測定し、そしてTSP2−ヌルマウスの子宮頚部は、野生型マウスと比較して、妊娠の14日目までには4.5倍の増大、および妊娠の18日目までには6.1倍の増大を示す(Kokenyesi, R.ら著, 2004, Biol Reprod, 70: 385-90(これは引用によって本明細書中に取り込む))。該TSP2−ヌル子宮頚部の伸展性は、非妊娠マウスおよび妊娠の10日目における野生型子宮頚部の場合と同様である。該生物学的な欠損のタイミングと一致して、TSP2の発現パターン(ウェスタンブロットによって測定する)は、TSP2が妊娠の14日目および18日目(10日目または非妊娠期ではない)でのマウスの子宮頚部中で発現することを示す。伸展性の増大に加えて、該TSP2−ヌル子宮頚部の防御的な生物学的な機能はまた該TSP2−ヌルマウスにおいて実証される。妊娠の15日目でのマウスのミフェプリストン処置は、野生型マウスと比べてTSP2−ヌルマウスにおける促進された分娩を生じる。マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)のレベルの増大が、妊娠の14日目および18日目でのTSP2−ヌル子宮頚部中で見られる。対応して、MMP2活性の増大は、妊娠の14日目でのTSP2−ヌル子宮頚部の抽出物中のゲラチン酵素電気泳動によって検出される。MMP9活性はゲラチン酵素電気泳動法によって全く見られない。カゼイン酵素電気泳動は、妊娠の14日目でのTSP2−ヌル子宮頚部のカゼイン分解性活性の変化を全く示さない。本発明者はまた、MMP3(ストロメライシン)、MMP7(マトリリシン)、MMP13(主要なマウスコラゲナーゼ)、およびカテプシンGの免疫組織化学的な染色を評価した。その理由は、これらが連結組織のリモデリングに関与すると当該分野において知られるプロテアーゼであるというのが理由である。染色された膜の濃度測定分析は、妊娠の14日目でのTSP2−ヌル子宮頚部中でのこれらプロテアーゼのいずれの染色の強さの有意な変化を全く示さない。本発明者は、TSP2−ヌル子宮頚部中でのデコリンおよびルミカンの分解産物(子宮頚部中で多量に発現する2個のMMP物質)を検出することができなかった。妊娠の14日目でのメタロプロテイナーゼ(TIMP)の組織インヒビターの発現もまた研究する。TIMPS 1、2および4は免疫組織化学的な染色によって検出されるが;しかしながら、濃度測定分析は、染色の強さの有意な変化の非存在を示す。TIMP3は、子宮頚部中に検出されない。
【0049】
該TSP2−ヌル子宮頚部の微細構造の変化の種類および大きさのより良い理解を得る目的で、出願人は、コラーゲン間質性マトリックスの微細構造の特徴を確認するために定量的な形態計測を使用する。標準化されたサンプリングプロトコールを、透過型電子顕微鏡像上のマトリックス構造の不偏の表示を得るために開発する。妊娠の14日目でのTSP2−ヌル子宮頚部において、出願人は、コラーゲン繊維の直径の増大、繊維の直径の分配の変化、コラーゲン繊維束の横断面の領域の減少、繊維束内のコラーゲン繊維の記録密度(packing density)の減少、コラーゲン繊維間での電子顕微鏡で明るく見える粒子の蓄積、および破壊されるコラーゲンマトリックスの比率の増加を観察する。
【0050】
TSP2−ヌル子宮頚部中でのヒアルロナンの存在を、免疫組織化学的な方法によって検査する。該ヒアルロナン染色は間質中でより多く、そして上皮中でより少なく観察される。濃度測定分析は、妊娠の14日目および18日目(10日目ではない)でのヒアルロナン染色強度の有意な増大を示す。これらのデータから、当業者は、マウス子宮頚部中でのTSP2発現が組織完全性の保持および機械的な力に対する抵抗にとって重要であると合理的に結論付けることができる。従って、該TSP2−ヌルマウスは、自発性の未熟な子宮頚部の軟化の研究を可能とする最初の動物モデルである。妊娠の14日目でのTSP2−ヌルマウスにおいて見られる未熟な子宮頚部の軟化は、間質性マトリックスの微細構造の広範囲な変化、およびMMP2およびヒアルロナンのレベルの増大と相関し、一方で多数の他のプロテアーゼ/プロテアーゼインヒビターシステムは影響を及ぼさない。これらの発見は、未熟な子宮頚部の軟化がコラーゲン繊維束のアセンブリ/ジアセンブリのバランスの変化を生じ、タンパク質分解性の作用の関与は限られる、ことを示唆する。このデータは、単一のコラーゲン繊維関連タンパク質が子宮頚部の伸展性を有意に変え得る(これは、TSP2および他のコラーゲン線維関連タンパク質(例えば、デコリンまたはルミカン)が連結組織の完全性の調節において特異的な非重複性の役割を果たすことを示唆する)ことを実証する。理論によって束縛されることを望むわけではないが、出願人は、いずれかのコラーゲン繊維関連タンパク質または該子宮頚部細胞外マトリックスの制御因子の防御的な発現は妊婦における防御的な子宮頚部の機能を導き得る、と合理的に推測する。
【0051】
TSP2がヒト生殖器系において研究されていないとの理由で、本発明者は、ヒト子宮下部中でのTSP2の発現パターンに関する免疫組織化学的な研究を行なう。TSP2染色は、在胎期間の27〜36週に及ぶ全ての検体の平滑筋細胞間に存在する連結組織が豊富な領域中で見られる。平滑筋細胞それ自身の染色はほとんど存在しない。TSP2の染色強度は妊娠の33〜35週にピークとなり、そして該染色は27〜31週で強さが劣る(図1を参照、これは、週単位の在胎期に対するヒト子宮下部試料からの定量化されたTSP2染色を示す)。
【0052】
子宮下部検体を、セントルイス大学の治験審査委員会によって承認されたプロトコールによって得る。検体を、未熟な陣痛以外の徴候としての帝王切開を受ける患者から得る。在胎期間の範囲は27〜37週である。該検体を緩衝化ホルマリン中に固定化し、そして免疫組織化学的検査のためにプロセシングする。TSP2に特異的なモノクローナル抗体(BD Biosceinces社製)を1:50希釈で用いて、その後に西洋わさびペルオキシダーゼ接合二次抗体を用いる。ポリクローナルヒツジ抗−ヒトデコリン抗体(US Biological社製)を1:50希釈で使用すること以外には、デコリンについての免疫組織化学的な染色を本質的に記載する通り(44)行なう。画像は、デジタルカメラを備えたニコンエクリプスE400顕微鏡によって記録する。デコリンの染色パターンを参考基準として使用するが、その理由は子宮頚部細胞外マトリックス中でのデコリン発現は何度も実証されているからである。TSP2(図1)およびデコリン(図2)は共に、筋繊維間でのマトリックス蓄積の位置で検出される。該平滑筋細胞は、TSP2およびデコリンの場合には非常に弱い染色を示す。
【0053】
実施例3
子宮頚部バイオマーカーとしてのHAおよびMMP12
自発性の未熟な子宮頚部の軟化の動物モデルの更なる研究において、本発明者は、未熟に軟化した子宮頚部中での上昇したヒアルロン酸(HA)、MMP2、およびMMP12の免疫染色を発見した。従って、本発明者は、子宮頚部中でのHA、MMP2、およびMMP12の増大したレベルが未熟な子宮頚部の拡張のためのバイオマーカーとして有用であることを意図する。
【0054】
HAレベルを、Kobayashiおよび共同研究者の方法(45)に従う組織化学を用いて研究する。この検出方法は、ビオチン化HA結合性タンパク質のHAとの特異的な結合、およびアビジンペルオキシダーゼによるヒアルロン酸結合性タンパク質のその後の視覚化に基づく。対照は、染色配列からビオチン化ヒアルロン酸結合性タンパク質を除外することによって行なう。この技術の特異性は、ストレプトマイセスヒアルロニダーゼの10mUを用いて37℃で1時間、子宮頚部切片を前処理することによって確立する。該前処理は該切片の染色を完全に排除し、このことはヒアルロン酸結合性タンパク質がマウス子宮頚部切片中のHAに特異的であることを示す。組織形態計測(イメージJプログラム(Image J program)を使用)を用いて、染色強度を定量化した。3個の子宮頚部を各遺伝子型および各在胎期について研究し;各子宮頚部の子宮外口領域からの少なくとも6高倍率視野を画像解析に使用する。
【0055】
野生型マウスにおいて、HAの染色強度は、妊娠の10日目の4.2単位(+/−0.4 SEM)から、妊娠の14日目の6.6単位(+/−0.8 SEM)および妊娠の18日目の13.5単位(+/−1.1 SEM)まで増大される。TSP2−ヌルマウスにおいて、HAの染色強度は、妊娠の10日目の3.8単位(+/−0.4 SEM)から、妊娠の14日目の11.9単位(+/−1.4 SEM)および妊娠の18日目の17.4単位(+/−1.0 SEM)まで増大される。妊娠の10日目では野生型およびTSP2−ヌル子宮頚部のHA染色強度の間には検出可能な差違(p<0.25)は存在しない。しかしながら、HA染色強度は、妊娠の14日目および18日目のTSP2−ヌル子宮頚部中で有意により高い(p<0.01)ことが出現される。
【0056】
MMP12発現をまた、免疫組織化学的な染色によって研究する。妊娠の14日目の時限の妊婦からの子宮頚部を研究する。一次抗体(MMP12特異的な抗体)をSanta Cruz Biotechnology, Inc.から購入する。MMP12の場合の染色強度は野生型子宮頚部中では10.5単位(+/−0.9 SEM)であり、そしてTSP2−ヌル子宮頚部中では16.5単位(+/−0.5 SEM)まで増大される。組織形態計測(プロテアーゼについての記載と同様にイメージJプログラムを使用)を用いて染色強度を定量化する。3個の子宮頚部を各遺伝子型および各在胎期について研究し;各子宮頚部の子宮外口領域からの少なくとも6高倍率視野を画像解析に使用する。
【0057】
実施例4
ヒト子宮頚部/子宮下部
ヒト子宮下部(子宮から子宮頚部までの移行を示す組織)中でのTSP2の発現を測定する。子宮下部検体を、セントルイス大学の治験審査委員会によって承認されたプロトコールによって得る。検体は、未熟な陣痛以外の徴候として帝王切開を受ける患者から得る。在胎期間の範囲は27〜37週とする。該検体を緩衝化ホルマリン中に固定化し、免疫組織学検査のためにプロセシングする。TSP2に特異的なモノクローナル抗体(BD Biosciences社製)を1:50希釈で使用し、続いて西洋わさびペルオキシダーゼ接合二次抗体を用いる。デコリンについての免疫組織化学的な染色は、ポリクローナルヒツジ抗−ヒトデコリン抗体(US Biologial社製)を1:50希釈で使用することを除いて、記載(44)と本質的に同様に行なう。デコリンの染色パターンを参考基準として使用し、その理由は子宮頚部細胞外マトリックス中でのデコリン発現は何度も実証されているからである。該画像は、デジタルカメラを備えたニコンエクリプスE400顕微鏡によって記録する。
【0058】
TSP2およびデコリンは共に、筋繊維間のマトリックス蓄積の位置で検出する。平滑筋細胞は、TSP2およびデコリンの場合には非常に弱い染色が示される。従って、TSP2がヒト子宮頚部中に存在することが測定されたことから、当業者は、TSP2もまた子宮頚部分泌中に存在するであろうこと(上記)を合理的に予測し得る。
【0059】
次に、様々な在胎期を代表するバイオプシー検体をTSPについて染色し、そしてスライドからの染色強度をイメージJプログラム(NIHイメージプログラムの変形)を用いてデジタル化された画像から定量化する。6高倍率視野を各検体について見積もる。TSP2の染色強度は、在胎期の27週から在胎期の35週までの増加傾向、および在胎期の36週および37週の間の減少傾向を示す(図1)。
【0060】
実施例5
子宮頚部分泌物中のバイオマーカー
候補バイオマーカーのTSP2、HA、MMP2、およびMMP12をヒト子宮頚部分泌物中で検出する。在胎期間の37週での妊婦から得たヒト子宮頚部分泌物を用いて、典型的なバイオマーカーのTSP2、MMP2、MMP12、およびHAが子宮頚部分泌物中で具体的に検出され得るかどうかを測定する。TSP2、MMP2、MMP12の検出において、該子宮頚部分泌物(総検体の20%)を電気泳動ロード緩衝液と混合し、そして該試料を4%(TSP2およびMMP2の場合)および10%(MMP12の場合)のポリアクリルアミドゲル上で電気泳動させる。ウェスタンブロットおよび膜の洗浄を上記(52)の通り行なう。TSP2は、モノクローナル抗体(BD Biosciences社製)を1:100希釈で用いて検出し;MMP2は、モノクローナル抗体(Calbiochem社製)を1:100希釈で用いて検出し;MMP12は、ポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)を1:100希釈で用いて検出する。西洋わさびペルオキシダーゼ接合二次抗体を1:500希釈で使用する。反応帯域はジアミノベンジジン基質を用いて着色させる。
【0061】
特異的な反応帯域は矢印によってマークする(図3)。MMP2およびMMP12の分子量は予想通りである(72kDa、および54kDa)。MMP12ウェスタンは、別の低分子量の帯域、プロ酵素のタンパク質分解性プロセシングのあり得るサインを示す。TSP2帯域の分子量は予想される62kDaよりも小さかったが、これは子宮頚部分泌物中でのTSP2のタンパク質分解を示す。
【0062】
子宮頚部分泌物からのHAをスポット−ELISA方法を用いて検出する。該子宮頚部分泌物(総検体の10%)を1MグアニジンHClおよび5%メルカプトエタノールを含むように調節して、粘膜凝集物を破壊する。該混合物を15,000×gで5分間遠心分離し、そして該上清液をドットブロット装置を用いてPVDF膜上にロードする。該膜をウェスタンブロットと同一の様式で(ビオチン化HA−結合性タンパク質を一次抗体の代わりに置き換え、そしてペルオキシダーゼ接合アビジン化合物を二次抗体の代わりに置き代えることを除く)プロセシングする。
【0063】
HAプローブの適用は暗色サークル(図4中に矢印によってマークした点の頂上の列)を生じ、これはHAの検出を示す。該緩衝液対照の点、およびHAプローブを除外した点は、可視の染色シグナルを全く与えない。これらのデータは、HAが子宮頚部分泌物中で特異的に検出可能であることを示唆する。
【0064】
実施例6
子宮頚部分泌物試料の収集および分析
試料の収集
子宮頚部分泌物をダクロンスワブを用いて患者から収集する。露出された子宮膣部表面および後膣円蓋をスワブで採取し、そして該スワブを、生理食塩水、トリズマ(Trizma)緩衝液、プロテアーゼインヒビター(EDTA、フェニルメチルスルホニルフルオリド、ペプスタチン)および抗菌剤(アジドナトリウム)を含有する収集バイアル中に入れる。この試料収集方法は、出発物質として子宮頚部分泌物を使用する他の通常の臨床アッセイ(胎児フィブロネクチン)について使用される方法と非常によく類似する(例えば、Colemanら著,「Fetal fibronectin detection in preterm labor: evaluation of a prototype bedside dipstick technique and cervical assessment,」 Am J Obstet Gynecol. 1998 Dec; 179(6 Pt 1): 1553-8(これは引用によって本明細書中にとり込む)を参照)。
【0065】
分析のための試料調製
バイオマーカーは、検体を膜上にロードする前に可溶化させる。濃縮尿素/DTT溶液を該収集バイアルに加えて、最終濃度を1M 尿素および10mM DTT(ジチオトレイトール)とし、そして該溶液中への該微粒子の完全な放出を達成させる目的でスワブを撹拌する。該スワブを取り出し、そして得られた試料をアリコートに分割する。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)をアリコートのサブセットへ1%の最終濃度まで加え、次いでこのものを沸騰するまで加熱し、15,000×gで10分間遠心分離する。該上清液を、TSP2、MMP2、およびMMP12の検出のため、および他のタンパク質の定量化のために使用する。別のアリコート(または、アリコートのサブセット)を15,000×gで10分間遠心分離し、そして該上清液をHAまたは他のグリコサミノグリカンの検出のために使用する。これらのバイオマーカーは緩衝液中で水溶性であり、そしてこのものは上清液であると予想される。
【0066】
着色を伴うスポット−ELISA分析
清澄化試料をドットブロット装置中にロードし、そして該溶液を高親和性膜(タンパク質バイオマーカーのためのニトロセルロース膜[例えば、TSP2、MMP12、MMP2]、および非タンパク質バイオマーカーのためのPVDF膜)[例えば、HA]を通す。次いで、ニトロセルロース膜を5%粉ミルク溶液(トリス緩衝生理食塩水中)を用いて30分間処理する。次いで、該膜を、タンパク質バイオマーカー(TSP2、MMP2、およびMMP12)に特異的な一次抗体と一緒にインキュベートする。PVDF膜を0.2%BSA(ウシ血清アルブミン)溶液(トリス緩衝溶液中)を用いて30分間処理する。次いで、バイオマーカーとしてHAの場合には、該膜をビオチン化ヒアルロナン結合性タンパク質(Calbiochem社から購入)と一緒にインキュベートする。該インキュベートは初期の試験において4℃で約12時間進行させる。該インキュベート後に、膜をトリス−緩衝化生理食塩水(0.3%ツイーン20を含有)を用いて洗浄し、次いで西洋わさびペルオキシダーゼ接合二次抗体(TSP2、MMP2、およびMMP12の場合)または西洋わさびペルオキシダーゼ接合アビジン(HAの場合)と一緒にインキュベートする。このインキュベート後に、該膜をトリス緩衝化生理食塩水(0.3%ツイーン20を含有)を用いて数回洗浄し、そして着色をジアミノベンジジン基質を用いて行なう。
【0067】
化学発光−ベース検出
比色分析読み取り(上記)についての別の実施態様において、本発明を該アッセイの化学発光ベース検出を用いて行なうことができる。この化学発光ベース検出アッセイを上記の一般的なスポット−エライザプラットフォームを使用し;しかしながら、シグナルの着色の間、化学発光生成基質(例えば、ルミトール)をジアミノベンジジン基質の代わりに使用する。該化学発光シグナルの検出および濃度測定定量化は画像システム(コダックゲルロジック440画像ステーション(Kodak Gel Logic 440 Imaging Station);これは、写真用フィルムの感受性を用いて化学発光シグナルを記録することができる)を用いて実施することができる。この装置は、検出されたシグナルの定量分析を実施するために画像解析ソフトウェアを含む。
【0068】
内部標準
本発明のバイオマーカーベースツールの相対的な特性を考慮すれば、1個以上の内部標準を使用して、ベースラインを確立し、そして収集された試料の量を変えるために調節する。内部標準は、妊娠の進行の間、子宮頚部の状態に係らず均一な量で子宮頚部分泌物中に見られるタンパク質を含む。
【0069】
スポット−ELISAについての標準曲線
組み換えまたは精製のMMP2、MMP12、およびHAの公知の量を、該膜上の量を増大させながらスポットする。これらの物質は、Calbiochem/EMD Biosciences社(La Jolla, CA)から商業的に入手可能である。現在、商業的に入手可能な精製TSP2はなく、従って、BD Biosciences社(San Diego, CA)製のRSV−3T3細胞ライセートをTSP2の均一な供給源として使用する。これらの公知物質をドットブロットをロードするのに使用する緩衝液中に溶解する。標準物質についての検出方法は記載(上記)する方法と同一である。標準的な曲線は、バイオマーカーの量に対して濃度測定によって測定される光学密度をプロットすることによって導く。
【0070】
濃度測定
スポット−ELISAアッセイにおける染色されたスポットの光学密度は、該ELISA膜のデジタル化画像を解析し、そして該コダックイメージングステーション内で包埋された画像解析ソフトウェアを用いて光学密度を解析することによって、測定する。HA、MMP2、およびMMP12についての標準曲線は、試料中のバイオマーカーの絶対量の測定を可能とする。TSP2についての標準曲線は、光学密度の任意の単位としてTSP2の量の測定を可能とする。次いで、バイオマーカーの量は、単位タンパク質レベルに規格化される。
【0071】
タンパク質定量化
該スポット−ELISAの光学密度を、子宮頚部分泌物中のタンパク質レベルに規格化する。該試料のタンパク質含量は、Chapdelaineら著(46)の方法によって測定する。この方法は、膜結合タンパク質上でのアミドブラック溶液の使用、および密度測定による色強度の定量化の達成に基づく。この方法を用いて、細胞ライセート中でのタンパク質レベルを定量化することに成功している(47)。
【0072】
実施例7
子宮頚部分泌物の試験のためのドットブロットプロトコール
子宮頚部分泌物は、ダクロンスワブを用いる膣円蓋から収集する。子宮頚部分泌物の各スワブを、氷冷試料収集用緩衝液(10mM トリス/HCl、pH 7.4、0.15M NaCl、20mM EDTA、5μM ペスタチンA、1μM ロイペプチン、10μg/mL アプロチニン)の1.5mLを含有する15mL 青色トップチューブ中に入れる。該試料を、長期間の保存のために−20℃の冷凍室中に置く前に、数日間冷蔵庫中に保存してもよい。
【0073】
抽出のために該試料を解凍し、そして冷却抽出緩衝液(10mM トリス/HCl、pH 7.4、2M 尿素、0.3M NaCl、20mM EDTA)の1.5mLを該チューブに加える。該チューブ(該スワブをなお含有する)を30秒間渦巻き、次いで該スワブを取り出しそして廃棄する。該抽出物を−20℃冷凍室中での保存のために、2個の1.5mL微量遠心機用チューブ中にアリコートする。
【0074】
分析のために、該凍結抽出物を氷上で解凍し、そして微量遠心機内でトップスピードで10分間遠心分離する。タンパク質の定量化のために、該上清液の2mLを使用し、イムノドットブロットのために、該上清液の100mLを使用する。タンパク質定量化は、Chapdelaineら著, Biotechiques, 2001, 31/478-482(これは引用によって本明細書中にとり込む)のアミド−ブラック染色方法を用いて行なう。該BSA標準物質を0.5×抽出緩衝液中に溶解する。
【0075】
イムノドットブロットを、PVDF(イムノビリオン−P)膜を用いて行なう。該抽出物(100mL)を、真空ポンプの補助で該膜を通す。該膜をトリス緩衝化生理食塩水(TBS;Sambrook, FritshおよびManiatis著,「Molecular Cloning: A laboratory Manual, 2版」, CSHLP 1989, CSH, New York(これは引用によって本明細書中にとり込む))を用いて簡単にすすぎ、次いでTBS中の5%粉ミルクと一緒に室温で1時間インキュベートする。
【0076】
一次抗体を、商業的に入手可能な抗体溶液から粉ミルク/TBS中に1:100希釈で希釈する。抗体を4℃で14時間該膜と一緒にインキュベートする。次いで、該膜を、各々0.3%(容量比)ツイーン−20を含有するTBSを用いて10分間3回洗浄する。次いで、該膜を、西洋わさびペルオキシダーゼ接合二次抗体と一緒に室温で1時間インキュベートする。該二次抗体を、商業的に入手可能な抗体溶液から粉ミルク/TBS中に1:500希釈で希釈する。次いで、該膜を、各0.3%ツイーン−20を含有するTBSを用いて10分間3回洗浄する。
【0077】
膜をトリス/HCl、pH 7.4、0.6mg/mL ジアミノベンジジン、0.03% NaCl、および0.003%過酸化水素を含有する溶液と一緒にインキュベートすることによって、膜を着色させる。該着色ブロットを乾燥し、そしてデジタルカメラを用いて写真撮影を行なう。該タンパク質ブロットの濃度測定分析およびイムノブロットを、イメージJ(パブリックドメインジャバイメージプロセッシングプログラム(http://rsb.info.nih.gov/ij/docs/intro.html.から自由に入手可能))を用いて行なう。濃度測定の結果を図5に提示し、これは、妊娠の進行に伴うマトリックスタンパク質発現の変化を明確に示す。
【0078】
実施例8
早期陣痛の予測
ヒトの妊娠患者の臨床治験において、候補バイオマーカーのTSP2、デコリン、およびMMP12は、早期陣痛に入ることが運命づけられている妊婦の子宮頚部分泌物中でのレベルが増大されることが分かった。
【0079】
56妊婦を臨床研究に登録する。全女性が無症候期の初妊婦(早期陣痛の徴候を全く示さない)である。該女性が、子宮頚部スワブ上で収集された子宮頚部分泌物の検体を提供することに同意した。該子宮頚部分泌物を尿素溶液を用いて抽出し、そして該抽出物をドットブロットフォーマットで研究する。各検体の3組のアリコートを該膜に適用する。タンパク質レベルを、アミドブラック技術(58)を用いて測定する。TSP2、デコリン、およびMMP12のレベルを、化学発光検出方法を利用して特異的抗体を用いて測定する。化学発光シグナルをx−線フィルム上で捕捉し、そして該フィルム上の暗色スポットを濃度測定によって解析して、光学密度値を得る。該暗色スポットはより高い光学密度を生じ、これはより強い化学発光シグナル、従ってより良いバイオマーカーを示す。該光学密度値を該検体のタンパク質含有量に規格化して、光学密度単位/マイクログラムタンパク質の最終的な測定値を供する。
【0080】
患者の個体群において、3女性が検体収集の時点(27および30週の在胎期)では無症候であることが分かり、次いで彼女らは、33週の在胎期では早期陣痛の症状があると診断される(図6、7および8における早産の危険群)。
【0081】
27〜30週の在胎期の範囲内では、子宮頚部分泌物を27〜30週の在胎期で収集した10女性のマッチングした群が存在するが、しかし、これらの女性は早期陣痛の徴候を決して示さない(図6、7および8における危険なしの群)。
【0082】
早産の危険群および危険なしの群の平均値を、不等なサンプルサイズおよび不等分散のためのt検定を用いて比較する。危険なしの群内の女性と比較する場合(n=10)、TSP2およびデコリンのレベル(これは、光学密度/マイクログラムのタンパク質単位で表す)は早産の危険群(n=3)の女性において有意により高かい(p<0.01)。この予備的なデータは、これら3つの子宮頚部バイオマーカーがより多数の研究被験者において研究されるべきであることを示唆する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、在胎期間の週単位での妊娠の様々な期にある女性からの子宮下部組織中でのトロンボスポンジン2のインシチュ染色レベルの定量化を示す図面である。。
【図2】図2は、在胎期間の週単位での妊娠の様々な期にある女性からの子宮下部組織中でのデコリンのインシチュ染色レベルの定量化を示す図面である。
【図3】図3は、ヒト子宮頚部分泌試料中でのタンパク質細胞外マトリックス成分の存在を示すウェスタンブロット条片を示す図面である。
【図4】図4は、ヒト子宮頚部分泌試料中でのヒアルロン酸の存在を示すドットブロット条片を示す図面である。
【図5】図5は、妊娠中のヒトから得られる子宮頚部スワブ試料によって免疫学的に検出される、ヒト子宮頚部の様々な細胞外マトリックス成分についての濃度測定値の捧グラフを示す図面である。TSP2=トロンボスポンジン2、ADAMTS4=アルツハイマー疾患関連トロンボスポンジンタイプ1モチーフ4、MMP3=マトリックスメタロプロテイナーゼ3、MMP1=マトリックスメタロプロテイナーゼ1、MMP8=マトリックスメタロプロテイナーゼ8。
【図6】図6は、期間終了時に分娩する場合に対する早産分娩した患者におけるトロンボスポンジン2(TSP2)レベルの光学濃度測定値の棒グラフを示す図面である。該光学濃度測定値は全タンパク質レベルに規格化した。
【図7】図7は、期間終了時に分娩する場合に対する早産分娩した患者におけるデコリンレベルの光学濃度測定値の棒グラフを示す図面である。該光学濃度測定値は全タンパク質レベルに規格化した。
【図8】図8は、期間終了時に分娩する場合に対する早産分娩した患者におけるMMP−12レベルの光学濃度測定値の棒グラフを示す図面である。該光学濃度測定値は全タンパク質レベルに規格化した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
早期陣痛となる患者の危険を測定する方法であって、
a.妊娠中の患者から子宮頚部分泌試料を得て;
b.子宮頚部分泌試料中での生体力学関連マーカーの存在を検出し、ここで、該生体力学関連マーカーはトロンボスポンジン2およびデコリンおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれ;
c.規準化ベースラインマーカーレベルと比較して該生体力学関連マーカーの増大したレベルを、早期陣痛の増大した危険と相関させる、
ことを含む、該方法。
【請求項2】
子宮頚部分泌試料中の生体力学関連マーカーはトロンボスポンジン2を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
子宮頚部分泌試料中の生体力学関連マーカーはデコリンを含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
子宮頚部分泌試料中の生体力学関連マーカーの少なくとも1つはトロンボスポンジン2である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
子宮頚部分泌試料中の生体力学関連マーカーはトロンボスポンジン2およびデコリンを含む、請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
更に、マトリックスメタロプロテイナーゼ12の存在を検出し、そして規準化ベースラインマーカーレベルと比較して該マトリックスメタロプロテイナーゼ12の増大したレベルを、早期陣痛の増大した危険と相関させる、ことを含む、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
更に、患者への適当な処置プロトコールの測定を含む、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
患者の適当な処置プロトコールは以下の処置:i)患者の身体的な再配置、ii)患者への薬物治療の投与、iii)患者への行動変化の推奨、およびiv)患者のより緊密なモニタリング、の少なくとも1つを含む、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
患者へ投与される薬物治療はプロゲステロンまたはプロゲステロンの誘導体である、請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
患者へ投与される薬物治療は子宮収縮を刺激しまたは遮断する化合物である、請求項8記載の方法。
【請求項11】
子宮収縮を刺激する化合物はピトシンまたはオキシトシンである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
子宮収縮を阻害する化合物はオキシトシン類縁体である、請求項10記載の方法。
【請求項13】
早期陣痛となる患者の危険を測定する方法は薬物治療の投与の前、その間、またはその後に行なう、請求項9〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
生体力学関連マーカーの存在の検出は、子宮頚部分泌試料中の該生体力学関連マーカーをコードする核酸分子の量を測定することによって実施する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
核酸分子はRNAまたはDNAである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
核酸分子はRNAである、請求項14または15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
核酸分子はDNAである、請求項14〜16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
DNAはcDNAである、請求項14〜17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
適当な密閉容器中にパッケージされた、早期陣痛となる患者の危険を測定する際の使用に適当であるキットであって、
スワブ;
収集用緩衝液;
子宮頚部分泌試料中でのトロンボスポンジン2およびデコリンおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる生体力学関連マーカーの増大したレベルの検出のためのアッセイ、
を含有する、該キット。
【請求項20】
生体力学関連マーカーの増大したレベルの検出のためのアッセイは、マトリックスメタロプロテイナーゼ−12、マトリックスメタロプロテイナーゼ−8、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1、マトリックスメタロプロテイナーゼ−2、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3、マトリックスメタロプロテイナーゼ−9、ヒアルロニダーゼ、ルミカン、フィブロモジュリン、ケラトカン、PRELPバイグリカン、ミメカン、セルグリシン、パールカン、アグリン、バーシカン、リンクタンパク質、CD44、TSG−6、ビクニン、インターアルファトリプシンインヒビター、ヒアルロナンシンターゼ、ヒアルロン酸、エラスチン、フィブリン、フィブリリン、テネイシンX、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラナーゼ、リジルオキシダーゼ、V型コラーゲン、VI型コラーゲン、XII型コラーゲン、XIV型コラーゲン、XVIII型コラーゲン、XX型コラーゲン、カルレティキュリン、CD47、シンデカン、グリピカン、リポ蛋白受容体類似蛋白(LRP)、ADAMプロテアーゼ、ADAMTSプロテアーゼ、E−セレクチン、L−セレクチン、血小板第4因子、トランスフォーミング増殖因子ベータ1、2および3(TGF−β)、上皮増殖因子(EGF)、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)1および2、血小板由来増殖因子(PDGF)、およびそれらの組合せ、のレベルを検出することができる、請求項19記載のキット。
【請求項21】
子宮頚部分泌試料中での生体力学関連マーカーの増大したレベルの検出のためのアッセイは、放射性免疫測定法、酵素免疫測定法、リガンドアッセイ、免疫放射線測定法、蛍光免疫測定法、および酵素結合免疫吸着測定法からなる群から選ばれるアッセイによって行なわれる、請求項19または20のいずれかに記載のキット。
【請求項22】
生体力学関連マーカーの増大したレベルの検出のためのアッセイは、
a)生体力学関連マーカーに対する一次抗体;および
b)一次抗体または生体力学関連マーカーを認識する二次抗体、
を含有するアッセイである、
ここで、該二次抗体は、化学発光、放射性標識、蛍光標識、または酵素標識によって標識化される、
請求項19〜21のいずれか1つに記載のキット。
【請求項23】
生体力学関連マーカーの増大したレベルの検出は子宮頚部分泌試料中の生体力学関連マーカーをコードする核酸分子の量を測定することによって達成される、請求項19〜22のいずれか1つに記載のキット。
【請求項24】
測定される核酸分子はDNAまたはRNAである、請求項19〜23のいずれか1つに記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−106279(P2009−106279A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−268256(P2008−268256)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(508311824)サービマーク・ザ・セカンド・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】CERVIMARK II, LLC
【Fターム(参考)】