昆虫の飼育方法、昆虫用飼料及びたんぱく質の製造方法、昆虫の実験方法
【課題】蚕の体内で、例えばインターフェロン等の有用物質を生産するための元になる遺伝子組換えウイルス等を感染させた蚕を飼育するときに、飼育段階で死亡する蚕の死亡率を低下させたり、生育速度が低下する蚕の生育速度を向上させる蚕飼育用人工飼料を利用した蚕の飼育方法を提供する。
【解決手段】0.1%〜数%(w/w)のキトサンを添加した蚕用人工飼料を、1令から繭化するまで蚕に与えて飼育する。
【解決手段】0.1%〜数%(w/w)のキトサンを添加した蚕用人工飼料を、1令から繭化するまで蚕に与えて飼育する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生育促進効果および死亡率低下し効果を有する昆虫の飼育方法である。
【背景技術】
【0002】
昆虫の体内で、インターフェロン等の有用物質を生産するための元になる遺伝子組換えウイルス等を感染させた昆虫を飼育し、インターフェロン等の有用物質を蚕の体内から抽出されている。例えば特許文献2のようなものがある。
【0003】
従来の蚕の飼育方法には、ペレット飼料を与えるものがある。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
インターフェロンの抽出方法には、特許文献2のようなものがある。
【0005】
【特許文献1】特開1995−246041号公報
【0006】
【特許文献2】特開2003−225036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インターフェロン等の有用物質を蚕の体内で生産させることが可能になり、生産性も上がっているが、まだまだ高価である。また、インターフェロン等の有用物質をコードする遺伝子を持つウイルスを感染させた蚕は、成育が悪くなり、インターフェロン等の有用物質の生産性も低下する。本発明は、それらの問題点を改善することを目的とするキトサンを添加した蚕飼育用人工飼料での蚕の飼育方法である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る蚕の飼育方法では、キトサンを0.1%〜数%(w/w)添加した昆虫用飼料により蚕を飼育する。例えば桑葉粉末・穀物粉末・クエン酸等が含まれる。また、キトサンは、エンコウガニから調製したもの、市販のもの等が含まれる。
また、昆虫には例えば蚕・クワガタなどの甲虫が含まれる。蚕の場合、桑の葉・人工飼料などが昆虫用飼料に含まれる。
【0009】
昆虫用飼料を昆虫に与える期間は、例えば孵化から繭化するまでとする。
【0010】
本発明の請求項4に係る昆虫用飼料は、0.1%〜数%(w/w)のキトサンを添加したことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5に係るたんぱく質の製造方法は、昆虫の体内でたんぱく質を生産するための遺伝子組み換えウイルスを昆虫に感染させ、昆虫を0.1%〜数%(w/w)のキトサンを添加した昆虫用飼料で飼育し、たんぱく質を抽出することを特徴とする。例えば、インターフェロン・ヒト成長ホルモンなどの体内に微量しかない有用物質を昆虫の体内で生産させ、精製する。
【0012】
本発明の請求項6に係る昆虫の実験方法は、昆虫を適当な数量に分け、キトサンを添加した昆虫用飼料を濃度別にそれぞれ分けて育てたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、昆虫用飼料に0.1%〜数%(w/w)のキトサンを加えることにより、昆虫の成育を促進させ、死亡率を低下させることができる。このため、たんぱく質を生産するためのインターフェロン等を精製する遺伝子組換えウイルスを感染させた昆虫の飼育に適用すれば、たんぱく質の生産率を向上させることに利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
蚕を1令から繭化するまで、0.1%〜数%(w/w)のキトサンを添加した蚕飼育用人工飼料で飼育すれば、無添加の人工飼料で飼育した蚕の生存率より向上させることができる。
【0015】
蚕を1令から繭化するまで、0.1%〜数%(w/w)のキトサンを添加した蚕飼育用人工飼料で飼育すれば、キトサンを添加した人工飼料で飼育した蚕の生存率は無添加の人工飼料で飼育した蚕よりも生育促進することができる。
【0016】
桑葉粉末・穀物粉末・クエン酸等で構成されている蚕飼育用人工飼料にコロイド状キトサン、または粉末状キトサンを混合する。キトサンの他に、ペクチンなどの多糖類なども添加することができる。
【0017】
キトサンの種類には、カニやエビから調整されるα‐キトサンとイカの軟甲から調整され、α‐キトサンよりも結晶度が低いため、体内での吸収率がよいβ-キトサンがある。このため、普段廃棄されているカニやエビなどの殻を利用することにより環境に配慮することができ、それによりカニやエビなどの殻の有効利用ができた。
【0018】
蚕の体内でインターフェロンなどの有用物質を生産させる方法は、インターフェロンなどの有用物質をコードする遺伝子をトランスファーベクターに導入し、その組換えプラスミドDNAをバキュロウイルスに形質転換する。その形質転換されたウイルスを蚕の幼虫に注射や経口摂取等により感染させることにより、蚕の幼虫体内でインターフェロンなどの有用物質が生産されるものである。また、5令の蚕を凍らすことにより蚕の体が収縮する特性を利用し、凍っている蚕の足を切断し後融解し、切り口からでてきた緩衝液の入った容器に入れ精製し抽出する。
【0019】
このため、このような蚕の飼育に、キトサンを添加した人工飼料を与えることにより、成長を促進させ、死亡率を低下させることができる。
これにより、インターフェロンの集収率を向上させ、生産性を向上させることができ、癌等の特効薬として高価だったインターフェロンを安価で多くの人々に提供できる。
【0020】
なお、今回の場合では、蚕を使った生産方法であったが、蚕意外にクワガタなどの甲虫などにも、有効である。
【実施例】
【0021】
蚕飼育用人工飼料「シルクメイト2S」(日本農産工業株式会社)(登録商標)に、「キトサン7B」(KATOKITI製)(登録商標)の粉末を0.1%〜数%の濃度になるように測り取りそのまま練りこむ。
【0022】
蚕飼育用人工飼料「シルクメイト2S」(日本農産工業株式会社)(登録商標)に、図1の方法でエンコウガニの甲羅から抽出・調整したコロイダルキトサンを1.0%・2.0%(w/w)の濃度になるように測り取りそのまま練りこんだ飼料で蚕を飼育した結果、図2に示されるように、1.0%キトサン添加飼料で飼育した蚕で無添加よりも生育促進効果が得られた。また、図3に示されるように、生存率においてはキトサンを添加した双方において無添加よりも高い結果となった。
【0023】
「キトサン7B」(KATOKITI製)(登録商標)を練りこんだ蚕飼育用人工飼料「シルクメイト2S」(日本農産工業株式会社)(登録商標)を、0%・0.5%・1.0%・1.5%・2.0%(w/w)に濃度分けしたものを、蚕幼虫期1〜5令すべてにそれぞれを与えた。その結果、図4に示されるように、0.5%キトサン添加飼料で飼育した蚕に、最も成育促進効果が得られた。また、図5に示されるように、生存率においてはキトサンを添加した飼料すべてにおいて向上した。
【0024】
「キトサン7B」(KATOKITI製)(登録商標)を練りこんだ蚕飼育用人工飼料「シルクメイト2S」(日本農産工業株式会社)(登録商標)を、0%・0.25%・0.5%・0.75%・1.0%(w/w)に濃度分けしたものを、蚕幼虫期1〜5令すべてにそれぞれを与えた。その結果、図6に示されるように、0.25%キトサン添加飼料で飼育した蚕に、最も生育促進効果が得られた。また、図7に示されるように、生存率においてはキトサンを添加したものすべてにおいて0%よりも低い結果になった。そのためキトサン添加飼料を与えた蚕では、気温が高いと生存率が悪いことがわかった。
【0025】
「キトサン7B」(KATOKITI製)(登録商標)を練りこんだ蚕飼育用人工飼料「シルクメイト2S」(日本農産工業株式会社)(登録商標)を、0%・0.25%・0.5%・0.75%・1.0%(w/w)に濃度分けしたものを、蚕幼虫期3〜5令にそれぞれを与えた。図8に示されるように、キトサン添加飼料のすべてにおいて成長率が0%よりも低い結果となった。また、図9に示されるように、生存率においてもキトサン添加飼料のすべてにおいて0%より低い結果となった。
【0026】
「キトサン7B」(KATOKITI製)(登録商標)を練りこんだ蚕飼育用人工飼料「シルクメイト2S」(日本農産工業株式会社)(登録商標)を、0%・0.25%・0.5%・0.75%・1.0%(w/w)に濃度分けしたものを、蚕幼虫期4〜5令にそれぞれを与えた。図10に示されるように、キトサン添加飼料のすべてにおいて成長率が0%よりも低い結果となった。また、図11に示されるように、生存率においてもキトサン添加飼料のすべてにおいて0%より低い結果となった。
【0027】
蚕飼育用人工飼料「シルクメイト2S」(日本農産工業株式会社)(登録商標)に、キチンを1.0%、2.0%の濃度になるように測り取りそのまま練りこんだ飼料で蚕を飼育した結果、図12に示されるように、キチン添加飼料のすべてにおいて成長率が0%よりも低い結果となった。また、図13に示されるように、生存率においてもキチン添加飼料のすべてにおいて0%より低い結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
上述の発明は、インターフェロン等の有用物質を生産するための元になる遺伝子組換えウイルス等を感染させた蚕の生育促進に効果があり、蚕の副産物であるインターフェロンの大量生産に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】エンコウガニの甲羅からキトサンを抽出、調整する過程を示す図である。
【図2】エンコウガニの甲羅から抽出、調整したキトサン添加飼料の各種濃度別の蚕質量変化の図である。
【図3】エンコウガニの甲羅から抽出、調整したキトサン添加飼料の各種濃度別の蚕の生存率の図である。
【図4】0%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%(w/w)に濃度分けしたキトサン添加飼料を与えた蚕幼虫期1〜5令の質量変化の図である。
【図5】0%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%(w/w)に濃度分けしたキトサン添加飼料を与えた蚕幼虫期1〜5令の生存率の図である。
【図6】0%、0.25%、0.5%、0.75%、1.0%(w/w)に濃度分けしたキトサン添加飼料を与えた蚕幼虫期1〜5令の質量変化の図である。
【図7】0%、0.25%、0.5%、0.75%、1.0%(w/w)に濃度分けしたキトサン添加飼料を与えた蚕幼虫期1〜5令の生存率の図である。
【図8】0%、0.25%、0.5%、0.75%、1.0%(w/w)に濃度分けしたキトサン添加飼料を与えた蚕幼虫期3〜5令の質量変化の図である。
【図9】0%、0.25%、0.5%、0.75%、1.0%(w/w)に濃度分けしたキトサン添加飼料を与えた蚕幼虫期3〜5令の生存率の図である。
【図10】0%、0.25%、0.5%、0.75%、1.0%(w/w)に濃度分けしたキトサン添加飼料を与えた蚕幼虫期4〜5令の質量変化の図である。
【図11】0%、0.25%、0.5%、0.75%、1.0%(w/w)に濃度分けしたキトサン添加飼料を与えた蚕幼虫期4〜5令の生存率の図である。
【図12】1.0%、2.0%キチン添加飼料を与えた蚕幼虫期1〜5令の質量変化の図である。
【図13】1.0%、2.0%キチン添加飼料を与えた蚕幼虫期1〜5令の生存率の図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、生育促進効果および死亡率低下し効果を有する昆虫の飼育方法である。
【背景技術】
【0002】
昆虫の体内で、インターフェロン等の有用物質を生産するための元になる遺伝子組換えウイルス等を感染させた昆虫を飼育し、インターフェロン等の有用物質を蚕の体内から抽出されている。例えば特許文献2のようなものがある。
【0003】
従来の蚕の飼育方法には、ペレット飼料を与えるものがある。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
インターフェロンの抽出方法には、特許文献2のようなものがある。
【0005】
【特許文献1】特開1995−246041号公報
【0006】
【特許文献2】特開2003−225036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インターフェロン等の有用物質を蚕の体内で生産させることが可能になり、生産性も上がっているが、まだまだ高価である。また、インターフェロン等の有用物質をコードする遺伝子を持つウイルスを感染させた蚕は、成育が悪くなり、インターフェロン等の有用物質の生産性も低下する。本発明は、それらの問題点を改善することを目的とするキトサンを添加した蚕飼育用人工飼料での蚕の飼育方法である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る蚕の飼育方法では、キトサンを0.1%〜数%(w/w)添加した昆虫用飼料により蚕を飼育する。例えば桑葉粉末・穀物粉末・クエン酸等が含まれる。また、キトサンは、エンコウガニから調製したもの、市販のもの等が含まれる。
また、昆虫には例えば蚕・クワガタなどの甲虫が含まれる。蚕の場合、桑の葉・人工飼料などが昆虫用飼料に含まれる。
【0009】
昆虫用飼料を昆虫に与える期間は、例えば孵化から繭化するまでとする。
【0010】
本発明の請求項4に係る昆虫用飼料は、0.1%〜数%(w/w)のキトサンを添加したことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5に係るたんぱく質の製造方法は、昆虫の体内でたんぱく質を生産するための遺伝子組み換えウイルスを昆虫に感染させ、昆虫を0.1%〜数%(w/w)のキトサンを添加した昆虫用飼料で飼育し、たんぱく質を抽出することを特徴とする。例えば、インターフェロン・ヒト成長ホルモンなどの体内に微量しかない有用物質を昆虫の体内で生産させ、精製する。
【0012】
本発明の請求項6に係る昆虫の実験方法は、昆虫を適当な数量に分け、キトサンを添加した昆虫用飼料を濃度別にそれぞれ分けて育てたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、昆虫用飼料に0.1%〜数%(w/w)のキトサンを加えることにより、昆虫の成育を促進させ、死亡率を低下させることができる。このため、たんぱく質を生産するためのインターフェロン等を精製する遺伝子組換えウイルスを感染させた昆虫の飼育に適用すれば、たんぱく質の生産率を向上させることに利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
蚕を1令から繭化するまで、0.1%〜数%(w/w)のキトサンを添加した蚕飼育用人工飼料で飼育すれば、無添加の人工飼料で飼育した蚕の生存率より向上させることができる。
【0015】
蚕を1令から繭化するまで、0.1%〜数%(w/w)のキトサンを添加した蚕飼育用人工飼料で飼育すれば、キトサンを添加した人工飼料で飼育した蚕の生存率は無添加の人工飼料で飼育した蚕よりも生育促進することができる。
【0016】
桑葉粉末・穀物粉末・クエン酸等で構成されている蚕飼育用人工飼料にコロイド状キトサン、または粉末状キトサンを混合する。キトサンの他に、ペクチンなどの多糖類なども添加することができる。
【0017】
キトサンの種類には、カニやエビから調整されるα‐キトサンとイカの軟甲から調整され、α‐キトサンよりも結晶度が低いため、体内での吸収率がよいβ-キトサンがある。このため、普段廃棄されているカニやエビなどの殻を利用することにより環境に配慮することができ、それによりカニやエビなどの殻の有効利用ができた。
【0018】
蚕の体内でインターフェロンなどの有用物質を生産させる方法は、インターフェロンなどの有用物質をコードする遺伝子をトランスファーベクターに導入し、その組換えプラスミドDNAをバキュロウイルスに形質転換する。その形質転換されたウイルスを蚕の幼虫に注射や経口摂取等により感染させることにより、蚕の幼虫体内でインターフェロンなどの有用物質が生産されるものである。また、5令の蚕を凍らすことにより蚕の体が収縮する特性を利用し、凍っている蚕の足を切断し後融解し、切り口からでてきた緩衝液の入った容器に入れ精製し抽出する。
【0019】
このため、このような蚕の飼育に、キトサンを添加した人工飼料を与えることにより、成長を促進させ、死亡率を低下させることができる。
これにより、インターフェロンの集収率を向上させ、生産性を向上させることができ、癌等の特効薬として高価だったインターフェロンを安価で多くの人々に提供できる。
【0020】
なお、今回の場合では、蚕を使った生産方法であったが、蚕意外にクワガタなどの甲虫などにも、有効である。
【実施例】
【0021】
蚕飼育用人工飼料「シルクメイト2S」(日本農産工業株式会社)(登録商標)に、「キトサン7B」(KATOKITI製)(登録商標)の粉末を0.1%〜数%の濃度になるように測り取りそのまま練りこむ。
【0022】
蚕飼育用人工飼料「シルクメイト2S」(日本農産工業株式会社)(登録商標)に、図1の方法でエンコウガニの甲羅から抽出・調整したコロイダルキトサンを1.0%・2.0%(w/w)の濃度になるように測り取りそのまま練りこんだ飼料で蚕を飼育した結果、図2に示されるように、1.0%キトサン添加飼料で飼育した蚕で無添加よりも生育促進効果が得られた。また、図3に示されるように、生存率においてはキトサンを添加した双方において無添加よりも高い結果となった。
【0023】
「キトサン7B」(KATOKITI製)(登録商標)を練りこんだ蚕飼育用人工飼料「シルクメイト2S」(日本農産工業株式会社)(登録商標)を、0%・0.5%・1.0%・1.5%・2.0%(w/w)に濃度分けしたものを、蚕幼虫期1〜5令すべてにそれぞれを与えた。その結果、図4に示されるように、0.5%キトサン添加飼料で飼育した蚕に、最も成育促進効果が得られた。また、図5に示されるように、生存率においてはキトサンを添加した飼料すべてにおいて向上した。
【0024】
「キトサン7B」(KATOKITI製)(登録商標)を練りこんだ蚕飼育用人工飼料「シルクメイト2S」(日本農産工業株式会社)(登録商標)を、0%・0.25%・0.5%・0.75%・1.0%(w/w)に濃度分けしたものを、蚕幼虫期1〜5令すべてにそれぞれを与えた。その結果、図6に示されるように、0.25%キトサン添加飼料で飼育した蚕に、最も生育促進効果が得られた。また、図7に示されるように、生存率においてはキトサンを添加したものすべてにおいて0%よりも低い結果になった。そのためキトサン添加飼料を与えた蚕では、気温が高いと生存率が悪いことがわかった。
【0025】
「キトサン7B」(KATOKITI製)(登録商標)を練りこんだ蚕飼育用人工飼料「シルクメイト2S」(日本農産工業株式会社)(登録商標)を、0%・0.25%・0.5%・0.75%・1.0%(w/w)に濃度分けしたものを、蚕幼虫期3〜5令にそれぞれを与えた。図8に示されるように、キトサン添加飼料のすべてにおいて成長率が0%よりも低い結果となった。また、図9に示されるように、生存率においてもキトサン添加飼料のすべてにおいて0%より低い結果となった。
【0026】
「キトサン7B」(KATOKITI製)(登録商標)を練りこんだ蚕飼育用人工飼料「シルクメイト2S」(日本農産工業株式会社)(登録商標)を、0%・0.25%・0.5%・0.75%・1.0%(w/w)に濃度分けしたものを、蚕幼虫期4〜5令にそれぞれを与えた。図10に示されるように、キトサン添加飼料のすべてにおいて成長率が0%よりも低い結果となった。また、図11に示されるように、生存率においてもキトサン添加飼料のすべてにおいて0%より低い結果となった。
【0027】
蚕飼育用人工飼料「シルクメイト2S」(日本農産工業株式会社)(登録商標)に、キチンを1.0%、2.0%の濃度になるように測り取りそのまま練りこんだ飼料で蚕を飼育した結果、図12に示されるように、キチン添加飼料のすべてにおいて成長率が0%よりも低い結果となった。また、図13に示されるように、生存率においてもキチン添加飼料のすべてにおいて0%より低い結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
上述の発明は、インターフェロン等の有用物質を生産するための元になる遺伝子組換えウイルス等を感染させた蚕の生育促進に効果があり、蚕の副産物であるインターフェロンの大量生産に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】エンコウガニの甲羅からキトサンを抽出、調整する過程を示す図である。
【図2】エンコウガニの甲羅から抽出、調整したキトサン添加飼料の各種濃度別の蚕質量変化の図である。
【図3】エンコウガニの甲羅から抽出、調整したキトサン添加飼料の各種濃度別の蚕の生存率の図である。
【図4】0%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%(w/w)に濃度分けしたキトサン添加飼料を与えた蚕幼虫期1〜5令の質量変化の図である。
【図5】0%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%(w/w)に濃度分けしたキトサン添加飼料を与えた蚕幼虫期1〜5令の生存率の図である。
【図6】0%、0.25%、0.5%、0.75%、1.0%(w/w)に濃度分けしたキトサン添加飼料を与えた蚕幼虫期1〜5令の質量変化の図である。
【図7】0%、0.25%、0.5%、0.75%、1.0%(w/w)に濃度分けしたキトサン添加飼料を与えた蚕幼虫期1〜5令の生存率の図である。
【図8】0%、0.25%、0.5%、0.75%、1.0%(w/w)に濃度分けしたキトサン添加飼料を与えた蚕幼虫期3〜5令の質量変化の図である。
【図9】0%、0.25%、0.5%、0.75%、1.0%(w/w)に濃度分けしたキトサン添加飼料を与えた蚕幼虫期3〜5令の生存率の図である。
【図10】0%、0.25%、0.5%、0.75%、1.0%(w/w)に濃度分けしたキトサン添加飼料を与えた蚕幼虫期4〜5令の質量変化の図である。
【図11】0%、0.25%、0.5%、0.75%、1.0%(w/w)に濃度分けしたキトサン添加飼料を与えた蚕幼虫期4〜5令の生存率の図である。
【図12】1.0%、2.0%キチン添加飼料を与えた蚕幼虫期1〜5令の質量変化の図である。
【図13】1.0%、2.0%キチン添加飼料を与えた蚕幼虫期1〜5令の生存率の図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1%〜数%(w/w)のキトサンを添加した昆虫用飼料による昆虫の飼育方法。
【請求項2】
前記昆虫が蚕であることを特徴とする請求項1記載の昆虫の飼育方法。
【請求項3】
孵化から繭化するまで飼育する請求項1記載の昆虫の飼育方法。
【請求項4】
0.1%〜数%(w/w)のキトサンを添加した昆虫用飼料。
【請求項5】
昆虫の体内でたんぱく質を生産するための遺伝子組み換えウイルスを昆虫に感染させ、昆虫を0.1%〜数%(w/w)のキトサンを添加した昆虫用飼料で飼育し、たんぱく質を抽出することを特徴とするたんぱく質の製造方法。
【請求項6】
昆虫を適当な数量に分け、キトサンを添加した昆虫用飼料を濃度別にそれぞれ分けて育てた昆虫の実験方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蚕の孵化から繭化するまでの期間、0.25%〜0.5%(w/w)のキトサンを添加した蚕用飼料で飼育することを特徴とする飼育方法。
【請求項2】
昆虫の体内でたんぱく質を生産する遺伝子組み換えウイルスを蚕に感染させ、蚕を0.25%〜0.5%(w/w)のキトサンを添加した蚕用飼料で孵化から繭化するまで飼育し、蚕からたんぱく質を抽出することを特徴とするたんぱく質の製造方法。
【請求項1】
0.1%〜数%(w/w)のキトサンを添加した昆虫用飼料による昆虫の飼育方法。
【請求項2】
前記昆虫が蚕であることを特徴とする請求項1記載の昆虫の飼育方法。
【請求項3】
孵化から繭化するまで飼育する請求項1記載の昆虫の飼育方法。
【請求項4】
0.1%〜数%(w/w)のキトサンを添加した昆虫用飼料。
【請求項5】
昆虫の体内でたんぱく質を生産するための遺伝子組み換えウイルスを昆虫に感染させ、昆虫を0.1%〜数%(w/w)のキトサンを添加した昆虫用飼料で飼育し、たんぱく質を抽出することを特徴とするたんぱく質の製造方法。
【請求項6】
昆虫を適当な数量に分け、キトサンを添加した昆虫用飼料を濃度別にそれぞれ分けて育てた昆虫の実験方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蚕の孵化から繭化するまでの期間、0.25%〜0.5%(w/w)のキトサンを添加した蚕用飼料で飼育することを特徴とする飼育方法。
【請求項2】
昆虫の体内でたんぱく質を生産する遺伝子組み換えウイルスを蚕に感染させ、蚕を0.25%〜0.5%(w/w)のキトサンを添加した蚕用飼料で孵化から繭化するまで飼育し、蚕からたんぱく質を抽出することを特徴とするたんぱく質の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−271243(P2006−271243A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−93738(P2005−93738)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(505113609)
【出願人】(505113610)
【出願人】(505113621)
【出願人】(505114536)
【出願人】(505113654)
【出願人】(505113698)
【出願人】(505113702)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(505113609)
【出願人】(505113610)
【出願人】(505113621)
【出願人】(505114536)
【出願人】(505113654)
【出願人】(505113698)
【出願人】(505113702)
【Fターム(参考)】
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